説明

保護ネット敷設装置および保護ネット敷設方法

【課題】 砂地を覆うように保護ネットを容易にかつ確実に固定することができる保護ネット敷設装置および保護ネット敷設方法を提供する。
【解決手段】 敷設方向、すなわち敷設装置1の移動方向に沿って、先頭からロータ4、溝切り板2、押し込み部材3、砂戻し板5の順にほぼ直列状態に設けられる。ロータ4で被保護領域の両端を耕運し、溝切り板2で溝を形成し、保護ネット10で被保護領域を被覆し、押し込み部材3で保護ネット10を押し込み、砂戻し板5で溝内に保護ネット10の端部を埋め込んで固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二枚貝などの生息地である砂地を覆うように保護ネットを固定して敷設する保護ネット敷設装置および保護ネット敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二枚貝(主としてアサリ)の冬季波浪による逸散、流出防止対策として、二枚貝が生息する砂地を保護ネットで覆うことにより砂面を安定化することが有効とされている。しかし、保護ネットを砂地に固定するのは困難であり、容易に固定することはできない。
【0003】
たとえば、保護ネットを固定するためには、保護ネットの端部をベルトなどで補強し、これに鳩目を打ってロープを通したものを用意する。保護したい砂地には、ペグのような固定用の金具を打ち込み、ロープを固定金具に結び付けて砂面を覆うように固定する。
【0004】
このような固定方法では、まず保護ネット自体に固定化のための加工が必要で、さらに固定作業も機械化することが困難であり、人力によることになる。
【0005】
したがって、有効であるにもかかわらず施設が困難であるとの理由から保護ネットが用いられることは少ない。
【0006】
さらに、二枚貝は、冬季波浪による逸散、流出のみならずナルトビエイ、クロダイや甲殻類などによる食害を防止することも必要である。食害防止対策としては、竹製、鉄製、樹脂製などの杭を二枚貝が生息する砂地に高密度に立てる必要があり、機械化することが困難である。
【0007】
保護ネットで砂地を覆うための技術に類似の技術として特許文献1記載のマルチフィルム貼り機がある。
【0008】
特許文献1記載のマルチフィルム貼り機は、畝の左右両側に一対の溝を形成する左右一対の溝切り部、溝にマルチフィルムの両縁部をそれぞれ案内し押さえる左右一対のフィルム押え部、両縁部上にそれぞれ土を寄せて被せる左右一対の土寄せ部とを備えており、マルチフィルムを安定して張ることができる。
【0009】
【特許文献1】特開2003−116370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
畝にマルチフィルムを張るための特許文献1記載のマルチフィルム貼り機を、砂地に保護ネットを固定する技術には転用することは困難であり、特許文献1記載のマルチフィルム貼り機を使用したとしても保護ネットを十分に固定することはできない。
【0011】
たとえば、マルチフィルムは紙管を巻芯にして強固に巻き付けられた状態で、引き出されるとともに埋設されるが、保護ネットは巻き付けが緩いためにずれが生じやすいなどの問題がある。
【0012】
本発明の目的は、砂地を覆うように保護ネットを容易にかつ確実に固定することができる保護ネット敷設装置および保護ネット敷設方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、被保護領域である砂地を覆うように保護ネットを固定して敷設する保護ネット敷設装置であって、
砂地を耕運するロータと、
耕運された砂地部分に溝を形成する溝切り板と、
保護ネットを支持し、前記被保護領域上に保護ネットを被覆する支持部材と、
形成された溝に、前記保護ネットの敷設方向両端部を押し込む押し込み部材と、
溝形成時に排除された砂を、前記保護ネットが押し込まれた溝内に戻して前記保護ネットの敷設方向両端部を溝中に埋め込む砂戻し板とを備えることを特徴とする保護ネット敷設装置である。
【0014】
また本発明は、前記溝切り板は、敷設方向に対して垂直な前方板と、前方板の両側辺に一辺が接するように設けられる2枚の側方板と、前方板の下端辺に一辺が接し、略水平方向に設けられる底板と、前方板の下方で前方板よりも前方に突出し、下方から上方にかけて敷設方向後方に傾斜したすくい板とで構成されることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記支持部材は、巻芯に巻かれた状態で保護ネットを支持し、保護ネットの巻芯を挿通する固定用の芯材と、円板状部材からなり、その中心を芯材が貫通して、巻かれた状態の保護ネットを両端部側から抑えるように設けられるずれ防止板とで構成されることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記ロータは、ロータリーカッターと、前記ロータリーカッターの外側に、前記ロータリーカッターよりも直径が小さな小径ロータリーカッターを、前記ロータリーカッターとを同軸に設けることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、被保護領域である砂地を覆うように保護ネットを固定して敷設する保護ネット敷設方法であって、
ロータで砂地を耕運する工程と、
耕運された砂地部分に溝を形成する工程と、
保護ネットを前記被保護領域上に被覆させる工程と、
形成された溝に、前記保護ネットの敷設方向両端部を押し込む工程と、
溝形成時に排除された砂を、前記保護ネットが押し込まれた溝内に戻して前記保護ネットの敷設方向両端部を溝中に埋め込む工程とを備えることを特徴とする保護ネット敷設方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被保護領域である砂地を覆うように保護ネットを固定して敷設する保護ネット敷設装置である。
【0019】
ロータによって砂地を耕運し、溝切り板が、耕運された砂地部分に溝を形成する。
支持部材は、保護ネットを支持し、前記被保護領域上に保護ネットを被覆する。押し込み部材は、形成された溝に、前記保護ネットの敷設方向両端部を押し込み、砂戻し板が、溝形成時に排除された砂を、前記保護ネットが押し込まれた溝内に戻して前記保護ネットの敷設方向両端部を溝中に埋め込む。
【0020】
これにより、敷設する保護ネットを、特に加工する必要がなく、敷設装置が移動するときの敷設方向両端部を砂地に深く埋め込むことで確実に固定して敷設することができる。
【0021】
また本発明によれば、すくい板で、耕運された砂をすくいあげながら、前方板で敷設方向に対して側方側に砂を押しのけ、側方板によってさらに外側に、溝の側壁を押し固めながら砂を排除する。底板は、溝の底に溜まる砂を排除する。
【0022】
これにより、広幅で深い溝を崩れることなく形成することができ、保護ネットをより強固に固定することができる。
【0023】
また本発明によれば、巻芯に巻かれた状態の保護ネットが、ずれ防止板を越えることなく、敷設中に敷設方向に対して発生する横ずれを防止するとともに、巻芯およびこれを水平方向に固定する芯材によって、保護ネットのよれや偏りがなく十分に横方向に広がった状態で敷設することが可能になる。
【0024】
また本発明によれば、ロータリーカッターによって主となる溝部分を耕運し、前記ロータリーカッターよりも直径が小さな小径ロータリーカッターによって外側に浅めの溝を形成する。
【0025】
これにより、敷設方向外側が2段の溝となり、排除された砂が崩れても浅い方の溝で一旦止まるので、深い方の溝が埋まらないようにすることができる。
【0026】
本発明によれば、被保護領域である砂地を覆うように保護ネットを固定して敷設する保護ネット敷設方法である。
【0027】
ロータによって砂地を耕運し、耕運された砂地部分に溝を形成する。
巻芯に巻かれた状態の保護ネットを前記被保護領域上に被覆すると、形成された溝に、前記保護ネットの敷設方向両端部を押し込む。溝形成時に排除された砂が、前記保護ネットが押し込まれた溝内に戻され前記保護ネットの敷設方向両端部が溝中に埋め込まれる。
【0028】
これにより、敷設する保護ネットを、特に加工する必要がなく、敷設装置が移動するときの敷設方向両端部を砂地に深く埋め込むことで確実に固定して敷設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の実施の一形態である保護ネット敷設装置1の概略を示す斜視図である。
【0030】
保護ネット敷設装置(以下では、「敷設装置」と略称する。)1は、たとえばトラクターなどの牽引車に接続され、砂地上を移動することで、被保護領域である砂地を覆うように保護ネットを固定して敷設することができる。
【0031】
敷設することができる保護ネットは、特に加工する必要がなく、敷設装置が移動するときの敷設方向両端部を砂地に深く埋め込むことで固定して敷設することができる。
【0032】
図1に示すように、敷設装置1は、溝切り板2、押し込み部材3、ロータ4、砂戻し板5、ネットずれ防止板6、駆動接続部7を備える。
【0033】
溝切り板2、押し込み部材3、ロータ4、砂戻し板5、ネットずれ防止板6はそれぞれ所定の間隔を空けて設けられる一対の部材からなる。また、敷設方向、すなわち敷設装置1の移動方向に沿って、先頭からロータ4、溝切り板2、押し込み部材3、砂戻し板5の順にほぼ直列状態に設けられる。ネットずれ防止板6は、保護ネット10の幅に合わせてこれらの並びよりも外側に設けられ、敷設方向に対しては溝切り板2と押し込み部材3との間に設けられる。
【0034】
これによって、ロータ4で被保護領域の両端を耕運し、溝切り板2で溝を形成し、保護ネット10で被保護領域を被覆し、押し込み部材3で保護ネット10を押し込み、砂戻し板5で溝内に保護ネット10の端部を埋め込んで固定する。
【0035】
ロータ4は、耕運用ロータからなり、保護ネットの端部を埋め込む砂地部分を耕運し、砂地を柔らかくするとともに、余分な砂を除去する。ロータ4によって、被保護領域の両側に、敷設方向に平行な2本の耕運部分が形成される。
【0036】
敷設装置1は、駆動接続部7を備え、駆動接続部7を介してトラクターに接続される。駆動接続部7は、トラクターのPTO(パワーテイクオフ)シャフトなどと接続し、トラクターの搭載エンジンによる回転駆動力をロータ4に伝達する。駆動接続部7によってトラクターから伝達される駆動力が、ロータ4を回転させるので、敷設装置1自体は駆動源を備える必要がない。
【0037】
溝切り板2は、ロータ4で耕運された砂地の耕運部分の砂をさらに除去し、保護ネットの端部を埋め込むための溝を形成する。溝切り板2の詳細については後述する。溝切り板2によって、被保護領域の両側に、敷設方向に平行な2本の溝が形成される。
【0038】
溝切り板2によって形成される溝は、幅が10cm以上、深さが20cm以上であることが好ましい。幅が10cm未満だと、形成すると同時に溝が崩れて保護ネット10を押しこむ前に溝が埋まってしまう。深さが20cm未満だと、保護ネット10の両端部が十分に固定されず波浪などによって剥がれが発生してしまう。
【0039】
保護ネット10は、たとえば3m幅のラッセルネットなどが用いられる。保護ネット10は、紙管を巻芯として巻いた状態で、紙管に鉄芯を挿通して巻芯の中心軸が略水平状態となるように、かつ敷設装置1の進行方向に直交するようにセットされる。鉄芯は、たとえば直径2.2cmで長さ4m程度のものを用いることができる。
【0040】
ネットずれ防止板6は、金属製の一対の円板状部材で、その中心を鉄芯が貫通して、保護ネット10を両端部側から抑えるように設けられ、所定の位置からずれないようにボルトなどで固定する。ネットずれ防止板6の円板径は、保護ネット10の巻径よりも大きくなるように設けられる。たとえば敷設方向長さが50mの保護ネット10の場合、直径32cmの円板状部材で実現される。
【0041】
以上のような構成により、保護ネット10が、ネットずれ防止板6を越えることなく、敷設中に敷設方向に対して発生する横ずれを防止するとともに、紙管による巻芯およびこれを水平方向に固定する鉄芯によってよって、保護ネット10のよれや偏りがなく十分に横方向に広がった状態で敷設することが可能になる。
【0042】
溝切り板2によって溝が形成されると、形成された溝に対して保護ネット10の両端部が覆った状態か、または端部が溝内に落ち込んだ状態で砂面上を被覆する。上記のように保護ネット10は、敷設方向に対して横ずれすることなく、また十分に横方向に広がった状態で砂面上を被覆するので、溝切り板2によって形成された2本の溝に対してほぼ均等に保護ネット10の両端部が覆った状態か、または端部が溝内に落ち込んだ状態になるので、両端部のうち一方側だけが埋め込まれ、他方側が埋め込まれずに十分に固定されないなどの不具合を防止することができる。
【0043】
このようにしてほぼ均等に、砂地の被保護領域および被保護領域の両側に形成された溝が、保護ネット10によって覆われた状態で、押し込み部材3が、保護ネット10の両端部を溝の底部に押し込み、両端部を溝深く埋め込む。
【0044】
押し込み部材3は、一対のタイヤ状の部材で、敷設方向に平行な方向に回転可能に設けられ、溝を覆った状態または溝に落ち込んだ状態の保護ネット10の両端部を、回転しながら下方に押し込み溝底部に両端部を溝深く埋め込むことができる。
【0045】
深さ20cmの溝に対して保護ネット10の両端部を十分に押し込むために、押し込み部材3は、直径が45cm以上であることが好ましい。直径が45cm未満だと深さが20cm以上の溝に保護ネット10を十分に押し込むことができない。また、溝幅が10cm以上と広いので、押し込み部材3のタイヤ幅も7cm以上とすることが好ましい。
【0046】
押し込み部材3は、保護ネット10に直接接触し、さらに上から荷重をかけて溝底部に保護ネット10を押し込むので、ゴム製のタイヤ部材が好ましい。金属製などでは、押し込んだ際に保護ネット10を切断してしまうことが考えられる。また、ネットの目に引っ掛かりやすく、一度押し込んだものを引き揚げてしまうことがある。ゴム製のタイヤ部材であれば、保護ネット10を傷つけることもなく、引っ掛かることもないので、溝への押し込み部材としては好適である。
【0047】
保護ネット10の両端部が十分に溝内に押し込まれた状態で、砂戻し板5によって、溝外部に押し出されていた砂を溝内に戻す。これによって、溝底部にまで十分押し込まれた状態の保護ネット10の両端部が、砂戻し板5によって押し戻された砂で埋められ、固定される。
【0048】
砂戻し板5は、覆土ディスクとも呼ばれ、直径25〜40cmの金属製の円板状部材で構成され、その平面が敷設方向に対して傾くように設けられる。具体的には敷設方向前方が外側に、敷設方向後方が内側に向くように設けられる。溝から押し出された砂は、溝の近傍に積まれた状態となっているので、砂戻し板5の平面部分が、溝の外側に積まれた状態の砂に対して斜めに接触し、接触した砂は敷設方向に対して傾斜した砂戻し板5に沿って内側に移動する。内側には、保護ネット10の端部が押し込まれた溝があり、溝内に砂が押し戻され溝内が砂で埋められることになる。
【0049】
押し込み部材3および砂戻し板5は、その高さや、砂戻し板5の傾斜角度などは、変動可能に構成されている。保護ネット10を埋め込む砂地は、干潟ごとに砂の質が異なるため、敷設を開始する前に事前に高さや傾斜角度を調整することで、より確実に保護ネット10を固定することができる。
【0050】
図2は、溝切り板2の構成を示す図である。図2(a)は、敷設方向に対して側方から見た側面図であり、図2(b)は、敷設方向に対して上から見た平面図であり、図2(c)は、敷設方向に対して後方から見た背面図であり、図2(d)は斜視図である。
【0051】
溝切り板2は、敷設方向に対して垂直な前方板20と、前方板20の両側辺に一辺が接するように設けられる2枚の側方板21と、前方板20の下端辺に一辺が接し、略水平方向に設けられる底板22と、前方板20の下方で前方板よりも前方に突出し、下方から上方にかけて敷設方向後方に傾斜したすくい板23とで構成される。
【0052】
側方板21は、下方から上方にかけて、かつ前方から後方にかけてその間隔が広がるように設けられており、溝切り板2全体としては、角錘台を逆さにしたような構造である。
【0053】
干潟はぬかるんだ場所があることや、砂以外にも泥質の場所もあるため、従来のようなタイヤ型や円板型の溝切り部材によって細い溝を掘っただけでは、すぐに崩れて溝がふさがってしまうことがある。そのため、溝幅10cm以上の広幅の溝を掘るために、このような構成の溝切り板2を用いた。
【0054】
すくい板23で、耕運された砂をすくいあげながら、前方板20で敷設方向に対して側方側に砂を押しのけ、側方板21によってさらに外側に、溝の側壁を押し固めながら砂を排除する。底板22は、溝の底に溜まる砂を排除する。
【0055】
前方板20の幅、底板22の前部の辺長を、たとえば50mm以上とし、底板22の後部の延長を100mm以上とする。側方板21の後部かつ上部の間隔は150mm以上とする。底板22の敷設方向長さは400mm以上とする。
【0056】
このような構成とすることで、幅が10cm以上の広幅の溝が、崩れることなく形成できる。
【0057】
図3は、ロータ4の構成を示す概略図である。
ロータ4は、直径が同じ2枚のロータリーカッター40を、支持板41を横方向に貫通する回転軸に、支持板41を挟むように設け、さらにロータリーカッター40の外側に、ロータリーカッター40よりも直径が小さな小径ロータリーカッター42を、ロータリーカッター40と同軸に設けることが好ましい。
【0058】
ロータリーカッター40および小径ロータリーカッター42は、既存のものを使用することができ、それぞれの直径、刃の枚数などは、保護ネット10を敷設する砂地の砂質などによって適宜選択すればよい。ロータリーカッター40の直径に対する小径ロータリーカッター42の直径の比率は、たとえば、小径ロータリーカッター42の直径/ロータリーカッター40の直径が0.5〜0.9程度とすることが好ましい。一例としては、図1に示したように、3枚刃で直径45cmのロータリーカッター40と、同じく3枚刃で直径36cm(直径比率が0.8)の小径ロータリーカッター42を用いることができる。
【0059】
図4は、ロータ4で耕運されて形成される溝の例を示す図である。
直径が異なる2種類のロータリーカッターを用いることで、径の大きなロータリーカッター40で溝となる主要な部分を耕運するとともに、径の小さな小径ロータリーカッター42で、溝の外側に浅めの溝を形成することができる。これにより、図4(b)に示すように、敷設方向外側が2段の溝となり、排除された砂が崩れても浅い方の溝で一旦止まるので、深い方の溝が埋まらないようにすることができる。小径ロータリーカッター42を用いない場合は、図4(a)に示すように、排除された砂が崩れて、溝が埋まりやすくなってしまう。
【0060】
(実施例)
本発明の敷設装置を実際に用いて、深さ20cmの溝に保護ネット10の敷設を行った。
【0061】
敷設場所は、千葉県盤州干潟で、鉄杭、プラスチック杭、異形棒鋼錘、補強無し(深さ10cmの埋設のみ)の4つの方法で、深さ10cmの溝に保護ネットを埋め込み固定した例を比較例とした。比較例は人力により敷設した。
【0062】
比較例では、いずれの固定方法でも2ヶ月〜5ヶ月の間で敷設した保護ネットの剥がれが生じたが、実施例では、6ヶ月以上経過しても剥がれが全く生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の一形態である保護ネット敷設装置1の概略を示す斜視図である。
【図2】溝切り板2の構成を示す図である。
【図3】ロータ4の構成を示す概略図である。
【図4】ロータ4で耕運されて形成される溝の例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 敷設装置
2 溝切り板
3 押し込み部材
4 ロータ
5 砂戻し板
6 ネットずれ防止板
7 駆動接続部
10 保護ネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保護領域である砂地を覆うように保護ネットを固定して敷設する保護ネット敷設装置であって、
砂地を耕運するロータと、
耕運された砂地部分に溝を形成する溝切り板と、
保護ネットを支持し、前記被保護領域上に保護ネットを被覆する支持部材と、
形成された溝に、前記保護ネットの敷設方向両端部を押し込む押し込み部材と、
溝形成時に排除された砂を、前記保護ネットが押し込まれた溝内に戻して前記保護ネットの敷設方向両端部を溝中に埋め込む砂戻し板とを備えることを特徴とする保護ネット敷設装置。
【請求項2】
前記溝切り板は、敷設方向に対して垂直な前方板と、前方板の両側辺に一辺が接するように設けられる2枚の側方板と、前方板の下端辺に一辺が接し、略水平方向に設けられる底板と、前方板の下方で前方板よりも前方に突出し、下方から上方にかけて敷設方向後方に傾斜したすくい板とで構成されることを特徴とする請求項1記載の保護ネット敷設装置。
【請求項3】
前記支持部材は、巻芯に巻かれた状態で保護ネットを支持し、
保護ネットの巻芯を挿通する固定用の芯材と、円板状部材からなり、その中心を芯材が貫通して、巻かれた状態の保護ネットを両端部側から抑えるように設けられるずれ防止板とで構成されることを特徴とする請求項1または2記載の保護ネット敷設装置。
【請求項4】
前記ロータは、ロータリーカッターと、前記ロータリーカッターの外側に、前記ロータリーカッターよりも直径が小さな小径ロータリーカッターを、前記ロータリーカッターとを同軸に設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の保護ネット敷設装置。
【請求項5】
被保護領域である砂地を覆うように保護ネットを固定して敷設する保護ネット敷設方法であって、
ロータで砂地を耕運する工程と、
耕運された砂地部分に溝を形成する工程と、
保護ネットを前記被保護領域上に被覆させる工程と、
形成された溝に、前記保護ネットの敷設方向両端部を押し込む工程と、
溝形成時に排除された砂を、前記保護ネットが押し込まれた溝内に戻して前記保護ネットの敷設方向両端部を溝中に埋め込む工程とを備えることを特徴とする保護ネット敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−195215(P2009−195215A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43639(P2008−43639)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000182247)サカイオーベックス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】