説明

保護フィルム、保護フィルム流通体、情報配信サーバ

【課題】 ディスプレイを保護しながらも、楽しさやデザイン性を演出可能にする。
【解決手段】 保護フィルム5は、保護基材層50と、その背面に形成される接着層52とを備えるようにし、端末装置のディスプレイに貼り付けられてその表面を保護する。保護基材層50の背面側又は表面側には、貼り付けられた状態でディスプレイの発光領域内に位置するようなカラー印刷像を印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置のディスプレイに貼り付けられてその表面を保護する保護フィルム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等のディスプレイの表面を保護するために、ディスプレイに貼り付ける保護シートが存在する。また近年、携帯電話で電子メールを作成し、送受信することが一般化してきており、ディスプレイのプライバシーを守るために、偏向特性によって視野角を狭めた保護シートや、光を反射するための光反射処理が施された保護シート等が存在するようになっている。
【特許文献1】特開2003−15531
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような保護シートは、デザイン性、ファッション性に欠けるという問題があった。特に保護シートの中でも、携帯電話のディスプレイの発行領域内は、ディスプレイ保護機能、或いはプライバシー保護能のみに重点が置かれており、この保護シートを用いて楽しさを演出するという視点は全く存在していないのが実情であった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、デザイン性に富み、楽しむことが可能な保護シート等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の手段によって達成されるものである。
【0006】
(1)保護基材層と該保護基材層の背面に形成される接着層とを備え、端末装置のディスプレイに貼り付けられて該ディスプレイ表面を保護する保護フィルムであって、前記保護基材層の背面側又は表面側において、貼り付けられた状態で前記ディスプレイの発光領域内に位置するようなカラー印刷像が印刷されていることを特徴とする保護フィルム。
【0007】
(2)上記(1)において、前記保護基材層は、光反射特性及び光透過特性を有することを特徴とする保護フィルム。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)において、前記保護基材層は、偏向特性を有することを特徴とする保護フィルム。
【0009】
(4)上記(1)、(2)又は(3)において、前記カラー印刷像が最表面に形成されていることを特徴とする保護フィルム。
【0010】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記カラー印刷像は、少なくとも4色カラー印刷によって印刷されていることを特徴とする保護フィルム。
【0011】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかにおいて、前記カラー印刷像は微細ドット像の集合を含んでおり、該微細ドット像以外の空間によって、前記ディスプレイの光が前記カラー印刷像を通過可能となっていることを特徴とする保護フィルム。
【0012】
(7)上記(1)乃至(6)のいずれかにおいて、前記カラー印刷像は平行する線形像の集合を含んでおり、該線形像以外の空間によって、前記ディスプレイの光が前記カラー印刷像を通過可能となっていることを特徴とする保護フィルム。
【0013】
(8)上記(1)乃至(7)のいずれか記載の保護フィルムと、該保護フィルムを内部に収容するパッケージとを備えた保護フィルム流通体であって、前記パッケージには、前記保護フィルムの前記カラー印刷像に対応する壁紙映像を前記端末装置にダウンロード可能なアドレス情報が表示されていることを特徴とする保護フィルム流通体。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯電話等のディスプレイを保護しながらも、楽しさやデザイン性を高めることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する
【0016】
図1には、本発明の実施形態に係る壁紙画像配信システム1が示されている。この壁紙画像配信システム1は、壁紙配信サーバ2、携帯電話3、公衆通信回線4、保護フィルム5、商品パッケージ6を備えている。公衆通信回線4は例えばインターネット網であり、携帯電話3と壁紙配信サーバ2を、有線又は無線環境で接続する。保護フィルム5は携帯電話3のディスプレイ3Aに貼り付けられ、該ディスプレイ3Aを保護する機能を有している。
【0017】
商品パッケージ6は、図2に拡大して示されるように、台紙60とプラスティックカバー62を備えており、これらによって形成される内部空間に保護フィルム5を収容する。商品パッケージ6と保護フィルム5はこの状態で店頭に並べられ、商品として販売されることになる。又、台紙60には壁紙配信サーバ2にアクセス可能なURL情報64が印刷されており、携帯電話3によって公衆通信回線4を介して壁紙配信サーバ2と通信することで、所定の壁紙画像をダウンロード可能になっている。なお、ここではURL情報64が印刷されている場合を示したがバーコード情報としてURL情報を記載してもよい。又、WWWサーバに対するアドレス情報以外にも、Eメールアドレス等によって電子メールを介した通信によってダウンロード可能にすることも好ましい。例えば、特定のメールアドレス宛に携帯電話3からメールが配信された場合には、自動的に携帯電話3に電子メールを返信し、その電子メールに壁紙画像を添付することによる配信も可能である。
【0018】
保護フィルム5は、図3に拡大して示されるように、透明の樹脂フィルムからなる保護基材層50と、保護基材層50の背面側(ディスプレイ側)に形成される接着層52と、保護基材層50の表面側に形成される光反射層54と、この光反射層54の更に表面側に形成される印刷層56とを備えている。保護基材層50は、ディスプレイ3Aを保護する機能を有しているが、素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート等のポリエステル系、アクリル系、ナイロン、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン等のホモポリマーまたはコポリマー等の合成樹脂素材のほか、硝子、金属箔等の各種素材を用いることが可能である。なお、ここでは光透過性を有する透明樹脂を用いることが望ましい。
【0019】
接着層52は、保護フィルム5をディスプレイ3Aに接着する機能を有する。接着層52の素材としては、例えば、ウレタン、シリコン、アクリル等のゴム系接着剤を用いることが出来る。特に、保護フィルム5をいつでも容易にはく離可能な接着剤が好ましく、剥がした後でも接着剤がディスプレイ3Aに残存しないように考慮する。
【0020】
光反射層54は、保護フィルム5の光反射特性を高めることを目的としており、アルミニウム、銀等の金属薄膜によって形成されている。薄膜形成技術としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等を用いることが出来る。また、薄膜処理することによって、光反射層54は光透過特性も備えることになり、ディスプレイ3Aからの光が透過するようになっている。この結果、ディスプレイ3Aの表示がOFFの場合は、保護フィルム5が外来光を反射し、その反射光のみが利用者の目に進入するので、保護フィルム5が鏡のように機能する。
【0021】
また、視線Xのようにディスプレイ3Aをほぼ垂直方向から眺めた場合であって、ディスプレイ3AをONにした場合は、反射光(矢印P)と比較して、保護フィルム3Aを透過するディスプレイ3Aの光(矢印Q)が強いので、利用者は違和感無くディスプレイ3Aの表示を視認できる。更に、視線Yのようにディスプレイ3Aを斜めから眺める人に対しては、その角度に応じてディスプレイ3Aの光(矢印Q)が弱まる一方、視線方向の金属薄膜の膜圧増加によって反射光(矢印P)は強まるので、ディスプレイ3Aの光(矢印P)を視認することが難しくなる。従って、他人がディスプレイ3Aを横から覗き込む場合であっても、表示内容を把握することが出来ないので、利用者のプライバシーを保護することが可能になる。
【0022】
最表面に形成される印刷層56には、図4に示されるようにカラー印刷像100が印刷されている。特にこのカラー印刷像100は4色原料の合成(組み合わせ)による4色印刷であり、更に、貼り付けられた状態でディスプレイ3Aの発光領域H内に位置するように考慮されている。図4内の部分拡大円Kに示されているように、このカラー印刷像100は、微細ドット(点)像Dが密に並べられて形成されており、それらの集合群を全体的に眺めると、結果としてカラー印刷像100が構成されるようになっている。
【0023】
従って、図5に示されるように、1つ1つの微細ドット像Dは極めて小さく、利用者が殆ど認識できないサイズに設定されているが、視線Xに示されるように、微細ドット像D以外(周囲)の空間からは、ディスプレイ3Aの透過光(矢印Q)が通過することが可能になっている。従って、このカラー印刷像100の背後にあるディスプレイ3Aの映像も視認可能である。また、ディスプレイ3AがOFF状態の場合は、カラー印刷像100のみが利用者に視認可能になっている。既に説明したように、ディスプレイ3AがOFFの状態では光反射層54が鏡のように機能して高輝度を維持できるので、その影響でカラー印刷像100が鮮やかに表示されることになる。
【0024】
また、この微細ドット像Dはインクの塗布厚によって立体的(3次元的)に形成されていることから、視線Yのように保護フィルム5を斜めから眺める人は、このディスプレイ3Aの光(矢印Q)が微細ドット像Dによって遮断されるので、その光を視認することが難しくなる。この結果、印刷層56自体もプライバシーを保護する機能を備えている。従って、ディスプレイ3Aの発光領域H内に印刷層56を形成し、デザイン性を高めながらも積極的にプライバシー保護に活用することが望ましいといえる。
【0025】
壁紙配信サーバ2は、図6に示されるように、携帯電話3用の壁紙画像データ24が蓄積されている壁紙画像データベース部20と、携帯電話3からのリクエストに応じて、壁紙画像データ24を携帯電話3に配信可能なWWWサーバ部22を備える。なお、電子メールの添付ファイルによって携帯電話3に壁紙画像データ24を配信する場合は、SMTP機能を有するメール配信サーバアプリケーションをインストールしておくことが望ましい。
【0026】
パッケージ6に表示されているURL情報64を携帯電話3のネットブラウザに入力し、インターネット等の公衆通信回線4を経由して壁紙配信サーバ2にアクセスすると、壁紙配信サーバ2におけるWWWサーバ部22は、利用者が購入した保護フィルム4のデザイン種別を把握する。デザイン種別の把握は、保護フィルム4のカラー印刷像100のデザイン毎にIDを振り、そのIDをURL情報64に含めることによって実現する。WWWサーバ部22は、アクセスされたURL情報64に含められたIDに対応する壁紙画像データ24を壁紙画像データベース部20から抽出し、携帯電話3に対して配信する。利用者は、受信した壁紙画像データ24をディスプレイ3Aの壁紙に設定し、作業は完了する。
【0027】
この結果、図7に示されるように、携帯電話3のディスプレイ3A上で、保護フィルム4のデザインAと、壁紙画像データ24のデザインBを組み合わせることが可能になり、アナログ的なカラー印刷像100とデジタルデータの壁紙画像データ24を融合させて、利用者を楽しませることができる。
【0028】
以上、本実施形態では、印刷層56が最表面に形成されている場合を示したが、印刷層56の微細ドット像Dの剥離を防止するために、更に上層に保護層を形成しても構わない。また、保護基材層50の背面側に印刷層56を形成し、その更に背面側に接着層を形成するようにしてもよい。また、光反射層54は、ここでは保護基材層50の表面側に形成する場合を示したが、本発明はそれに限定されず、背面側に形成しても構わない。なお、この光反射層54は保護基材層50に対して光反射機能を付与するために形成したものであり、保護基材層50の一部として考えることもできる。本発明の要旨としては、光反射特性と光透過特性を保護基材層50に持たせることが出来れば十分であり、それは、保護基材層50の内部・外部にあるかは問わない。
【0029】
また、本実施形態では図4に示したように、微細ドット像Dの集合によってカラー印刷像100を構成する場合を示したが本発明はそれに限定されない。例えば図8に示されるように、平行する極細の線形像Sの集合を印刷することでカラー印刷像100を形成するようにしても良い。このようにすれば、この線形像S以外の空間によって、ディスプレイの光が印刷画像を透過可能となり、一方、保護フィルム5を斜めから見た場合、線形像Sのインク厚によってディスプレイの映像が視認しにくくなり、プライバシーを守ることも可能になる。
【0030】
又更に、保護基材層として偏向特性を有するようにしても良い。プライバシーを守る点では、ディスプレイの視野角を狭める偏向特性を有するフィルムを使用する。また、ここでは携帯端末として携帯電話機を示したが、本発明はそれに限定されない。例えば、電話機能は有していないが、電子メールやスケジュール管理機能等を備えるPDA等においても本発明を適用することが可能である。
【0031】
また、上記実施の形態では端末装置として携帯端末を中心に説明したが、パーソナルコンピュータのディスプレイなどにも用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、携帯端末等の各種ディスプレイを保護する産業に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像配信システムを示す全体構成図
【図2】同実施の形態における保護フィルムの流通状態を示した図
【図3】同保護フィルムの拡大断面図
【図4】同保護フィルムの全体斜視図
【図5】同保護フィルムの拡大断面図
【図6】同実施の形態における壁紙配信サーバの概略構成を示すブロック図
【図7】同保護フィルムがディスプレイに貼り付けられた状態を示す部分斜視図
【図8】同実施の形態の他の保護フィルムの構成を示す斜視図
【符号の説明】
【0034】
1 画像配信システム
2 壁紙配信サーバ
3 携帯電話
4 公衆通信回線
5 保護フィルム
6 商品パッケージ
50 保護基材層
52 接着層
54 光反射層
56 印刷層
100 カラー印刷像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護基材層と該保護基材層の背面に形成される接着層とを備え、端末装置のディスプレイに貼り付けられて該ディスプレイ表面を保護する保護フィルムであって、前記保護基材層の背面側又は表面側において、貼り付けられた状態で前記ディスプレイの発光領域内に位置するようなカラー印刷像が印刷されていることを特徴とする保護フィルム。
【請求項2】
請求項1において、前記保護基材層は、光反射特性及び光透過特性を有することを特徴とする保護フィルム。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記保護基材層は、偏向特性を有することを特徴とする保護フィルム。
【請求項4】
請求項1、2又は3において、前記カラー印刷像が最表面に形成されていることを特徴とする保護フィルム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記カラー印刷像は、少なくとも4色カラー印刷によって印刷されていることを特徴とする保護フィルム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、前記カラー印刷像は微細ドット像の集合を含んでおり、該微細ドット像以外の空間によって、前記ディスプレイの光が前記カラー印刷像を通過可能となっていることを特徴とする保護フィルム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、前記カラー印刷像は平行する線形像の集合を含んでおり、該線形像以外の空間によって、前記ディスプレイの光が前記カラー印刷像を通過可能となっていることを特徴とする保護フィルム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか記載の保護フィルムと、該保護フィルムを内部に収容するパッケージとを備えた保護フィルム流通体であって、前記パッケージには、前記保護フィルムの前記カラー印刷像に対応する壁紙映像を前記端末装置にダウンロード可能なアドレス情報が表示されていることを特徴とする保護フィルム流通体。
【請求項9】
壁紙映像を端末装置に配信可能な情報配信サーバであって、請求項8記載の前記保護フィルム流通体に表示されている前記アドレス情報に基づいて、前記端末装置から通信回線を経由してアクセスを許容すると共に、該アドレス情報に対応して所定の前記壁紙映像を配信可能となっていることを特徴とする情報配信サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−91353(P2006−91353A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275918(P2004−275918)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(504358300)有限会社VOX POP (1)
【Fターム(参考)】