説明

保護フィルムを含むフィルム積層体

【課題】ユーザが保護フィルムの貼り付け作業を行う際、電子機器の外面におけるフィルム積層体の位置ずれを抑え、保護フィルムの貼り付け作業を容易化する。
【解決手段】
フィルム積層体1はベースフィルム10と保護フィルム2とを有している。ベースフィルム10には、電子機器90の操作ボタン91A〜91Cが嵌ることができ電子機器90の前面におけるフィルム積層体1の位置を規定するための穴又は切り欠きである位置決め部11a〜11cが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器の外面を保護するための保護フィルムを含むフィルム積層体に関し、特に保護フィルムの貼り付け作業を容易化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム装置やデジタルカメラ、携帯端末などの電子機器では、表示エリアの周囲に、ボタンや操作スティックなどの操作部材が配置されている(例えば、下記特許文献1)。従来、表示エリアに汚れや傷が付くのを防ぐための保護フィルムが利用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開2007/0202956号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが保護フィルムの貼り付け作業を行う際、表示エリアから少しずれた位置に保護フィルムを貼り付けてしまう場合がある。特に、表示エリアとその周囲との間に段差がない電子機器に保護フィルムを貼り付ける際には、表示エリアに対する保護フィルムの位置が安定し難いので、そういった問題が生じ易い。
【0005】
本発明の目的はユーザによる保護フィルムの貼り付け作業を容易化できるフィルム積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフィルム積層体は、外面から突出する凸部材を有する電子機器の前記外面を保護するための保護フィルムを含む。前記保護フィルムの一方の面は前記電子機器の前記外面に貼り付けるための粘着面である。前記フィルム積層体は、前記保護フィルムの前記一方の面から剥離可能に前記一方の面に貼り付けられている剥離フィルムを含む。また、前記フィルム積層体は、前記保護フィルムの他方の面から剥離可能に当該他方の面に貼り付けられているベースフィルムを含む。前記ベースフィルムには、前記電子機器の前記凸部材が嵌ることができ前記電子機器の前記外面における前記フィルム積層体の位置を規定するための穴又は切り欠きである位置決め部が形成されている。
【0007】
本発明によれば、ユーザが保護フィルムの貼り付け作業を行う際、電子機器の外面におけるフィルム積層体の位置ずれを抑えることができる。その結果、保護フィルムの貼り付け作業を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るフィルム積層体及び当該フィルム積層体が適用される電子機器の斜視図である。
【図2】上記フィルム積層体の平面図である。
【図3】図2に示すIII−III線での断面図である。
【図4】保護フィルムを貼り付ける方法を説明するための断面図であり、その切断面は図3と同様である。
【図5】フィルム積層体の他の例を示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るフィルム積層体の平面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るフィルム積層体の平面図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係るフィルム積層体1及びフィルム積層体1が適用される電子機器90の斜視図である。図2はフィルム積層体1の平面図である。図3は図2に示すIII−III線での断面図である。図4は後述する保護フィルム2を貼り付ける方法を説明するための断面図である。なお、以下の説明では、図1に示すX1,X2の示す方向をそれぞれ右方向,左方向とし、Z1,Z2の示す方向をそれぞれ上方,下方とする。
【0010】
電子機器90について説明する。この例の電子機器90は、図1に示すように、その前面(請求項における外面)に表示エリアAを有している。また、電子機器90は前面から突出する複数の操作部材(請求項における凸部材)を有している。この例の電子機器90は、表示エリアAの左右方向における一方側(この例では右側)に、複数(この例では4つ)の操作ボタン91A,91B,91C,91Dを含むボタン群91を有している。4つの操作ボタン91A〜91Dは十字の端部に位置し、互いに間隔を空けて配置されている。操作ボタン91A〜91Dは同じ形状及び大きさを有している。この例では、操作ボタン91A〜91Dは円柱状である。
【0011】
また、電子機器90は、表示エリアAを挟んで4つの操作ボタン91A〜91Dの反対側に、十字キー92を有している。また、この例の電子機器90は、4つの操作ボタン91A〜91Dの下側に操作スティック93Rを有し、十字キー92の下側に操作スティック93Lを有している。この例の電子機器90はゲーム装置や、音楽再生装置、動画像再生装置として機能し得る携帯型電子機器である。ユーザは電子機器90の右側部分と左側部分とを保持しながら、操作部材91,92,93R,93Lを操作できる。また、この例の電子機器90は、その上面の最右部及び最左部に、上部ボタン94R,94Lをそれぞれ有している。
【0012】
電子機器90は、その前面を形成するフロントパネル95を有している。フロントパネル95の表面は、その全域において平らとなっている。電子機器90はハウジング96を有している。フロントパネル95はハウジング96の前面に貼り付けられている。
【0013】
電子機器90は液晶表示パネルや有機ELパネルなどの表示パネルによって構成される表示パネルユニットを内蔵している。表示パネルユニットはフロントパネル95の裏面側に配置され、表示エリアAを形成している。フロントパネル95は光透過性を有するパネルであり、ユーザはフロントパネル95を通して表示パネルの動画像を見ることができる。また、この例の表示パネルユニットはタッチパネルを含んでいる。タッチパネルは、フロントパネル95上でのユーザの指の位置及び動きを検知する。なお、電子機器90は必ずしもタッチパネルを備えていなくてもよい。
【0014】
フィルム積層体1について説明する。図3に示すように、フィルム積層体1は、電子機器90の前面、この例ではフロントパネル95の表面を保護するための保護フィルム2を備えている。この例の保護フィルム2は表示エリアAに対応したサイズを有している。保護フィルム2の一方の面には粘着剤が塗布されており、当該一方の面は電子機器90の前面に貼り付けるための粘着面となっている。
【0015】
図3に示すように、フィルム積層体1は保護フィルム2の粘着面に貼り付けられた剥離フィルム3を有している。剥離フィルム3は保護フィルム2の粘着面から剥離可能となっている(図4参照)。剥離フィルム3は、保護フィルム2の粘着面に塵が付着したり、粘着面が意図しないところに貼り付くことを防ぐ。剥離フィルム3は保護フィルム2に対応するサイズ、より具体的には保護フィルム2と同じサイズを有している。なお、剥離フィルム3は保護フィルム2よりも大きくてもよい。
【0016】
図3に示すように、フィルム積層体1は保護フィルム2の粘着面とは反対側の面に貼り付けられたベースフィルム10を含んでいる。ベースフィルム10の保護フィルム2に対応する領域には、粘着剤が塗布されており、この粘着剤を通してベースフィルム10と保護フィルム2とは互いに接着されている。ベースフィルム10も保護フィルム2から剥離可能となっている。ベースフィルム10は保護フィルム2よりも高い剛性を有している。例えばベースフィルム10は保護フィルム2よりも大きな厚さを有し、これにより保護フィルム2よりも高い剛性を有する。この場合、ベースフィルム10と保護フィルム2は同じ材料(例えばポリエチレンテレフタラートなどのプラスチック)でもよい。また、ベースフィルム10は、保護フィルム2よりも高い剛性を有するように、保護フィルム2とは異なる材料で形成されてもよい。
【0017】
図1及び図2に示すように、ベースフィルム10には電子機器90の前面におけるフィルム積層体1の位置を規定するための位置決め部11a,11b,11cが形成されている。この例のベースフィルム10には、操作ボタン91Aが嵌ることのできる穴である位置決め部11aが形成されている。また、ベースフィルム10の外縁(この例では右縁)には、操作ボタン91B,91Cがそれぞれ嵌ることのできる切り欠きである位置決め部11b,11cが形成されている(この説明で切り欠きとはベースフィルム10の縁に形成される凹部である)。保護フィルム2と剥離フィルム3はこれら位置決め部11a〜11cの位置を避けた形状である。換言すると、位置決め部11a〜11cは保護フィルム2を避けた位置に形成されている。さらに換言すると、位置決め部11a〜11cは保護フィルム2と重なっていない。すなわち、位置決め部11a〜11cは保護フィルム2が存在していない領域に形成されている。この例では、後において詳説するように、ベースフィルム10は保護フィルム2と剥離フィルム3よりも右方向に張り出した部分11を有し、当該張り出した部分11に位置決め部11a〜11cは形成されている。位置決め部11a,11b,11cに操作ボタン91A,91B,19Cが嵌ることで、電子機器90の前面におけるフィルム積層体1が規定される。
【0018】
詳細には、位置決め部11aの縁は、位置決め部11aに操作ボタン91Aが嵌っているときに左右方向において操作ボタン91Aに当る部分と、位置決め部11aに操作ボタン91Aが嵌っているときに上下方向において操作ボタン91Aに当る部分とを有している。この例の位置決め部11aは穴であり、その縁は操作ボタン91の全周を囲んでいる。そのため、位置決め部11aの縁は、左右方向において操作ボタン91Aに当る部分として、操作ボタン91Aを挟んで互いに反対側に位置する2つの部分、すなわち、操作ボタン91Aの右側に当る部分と操作ボタン91Aの左側に当る部分とを有している。また、位置決め部11aの縁は、上下方向において操作ボタン91Aに当る部分として、操作ボタン91Aを挟んで互いに反対側に位置する2つの部分、すなわち、操作ボタン91Aの上側に当る部分と操作ボタン91Aの下側に当る部分とを有している。そのため、位置決め部11aに操作ボタン91Aが嵌ることで、電子機器90の前面におけるフィルム積層体1の上下方向及び左右方向の位置が規定される。つまり、位置決め部11aに操作ボタン91Aが嵌っているときにフィルム積層体1が上下方向及び左右方向に動かないように、位置決め部11aである穴の大きさが設定されている。この例の位置決め部11aは操作ボタン91Aに対応した形状の穴である。そのため、位置決め部11aの縁は、その全周に亘って、操作ボタン91Aの外周に当ることができる。この例の操作ボタン91Aは円柱状であるため、位置決め部11aは操作ボタン91Aに対応した大きさの円形の穴である。
【0019】
また、位置決め部11bの縁も、位置決め部11bに操作ボタン91Bが嵌っているときに上下方向において操作ボタン91Bに当る部分を有している。位置決め部11bは、ベースフィルム10の右縁に形成された、操作ボタン91Bの半周を囲む切り欠きである。そのため、位置決め部11bの縁は、上下方向において操作ボタン91Bに当る部分として、操作ボタン91Bを挟んで互いに反対側に位置する2つの部分、すなわち操作ボタン91Bの上側に当る部分と操作ボタン91Bの下側に当る部分とを有している。また、位置決め部11bの縁は、位置決め部11bに操作ボタン91Bが嵌っているときに操作ボタン91Bの左側に当る部分を有している。そのため、位置決め部11bに操作ボタン91Bが嵌ることで、電子機器90の前面におけるフィルム積層体1の上下方向及び左右方向の位置が規定され得る。つまり、位置決め部11bに操作ボタン91Bが嵌っているときにフィルム積層体1が上下方向及び右方向に動かないように、位置決め部11bである切り欠きの大きさが設定されている。
【0020】
同様に、位置決め部11cは、ベースフィルム10の右縁に形成された、操作ボタン91Cの半周を囲む切り欠きである。そのため、位置決め部11cの縁は、上下方向において操作ボタン91Cに当る部分として、操作ボタン91Cを挟んで互いに反対側に位置する2つの部分を有している。また、位置決め部11cの縁は、操作ボタン91Cの左側に当る部分を有している。そのため、位置決め部11cに操作ボタン91Cが嵌ることで、電子機器90の前面におけるフィルム積層体1の上下方向及び左右方向の位置が規定される。
【0021】
位置決め部11b,11cは操作ボタン91B,91Cにそれぞれ対応した形状の切り欠きである。この例の操作ボタン91B,91Cは、操作ボタン91Aと同様に、円柱状であるため、位置決め部11b,11cは半円弧状の切り欠きである。位置決め部11b,11cは操作ボタン91B,91Cの半周に当っている。
【0022】
この例の操作ボタン91A〜91Dは円柱状であるため、位置決め部11aだけでは、操作ボタン91Aを中心とするフィルム積層体1の回転は許容される。図2に示すように、操作ボタン91Bは操作ボタン91Aを中心とする右回り方向D1に位置し、操作ボタン91Cは操作ボタン91Aを中心とする左回り方向D2に位置している。位置決め部11b,11cは、このようにレイアウトされた操作ボタン91B,91Cが嵌る切り欠きである。そのため、位置決め部11b,11cによって、フィルム積層体1の右回りの回転及び左回りの回転が規制される。すなわち、位置決め部11bが操作ボタン91Bの左側に当るので、フィルム積層体1の右回りの回転が規制される。また、位置決め部11cは操作ボタン91Cの左側に当るので、フィルム積層体1の左回りの回転が規制される。
【0023】
このように、ベースフィルム10は複数(この例では3つ)の操作ボタン91A,91B,91Cがそれぞれ嵌ることのできる複数(この例では3つ)の位置決め部11a,11b,11cを有している。このため、電子機器90の前面におけるフィルム積層体1の位置を安定させることができる。
【0024】
上述したように、ボタン群91は4つの操作ボタン91A〜91Dを含んでいる。図1及び図2に示すように、操作ボタン91Dは、4つの操作ボタン91A〜91Dのうち、表示エリアAから最も離れて位置する、すなわち最も右方向に位置するボタンである。ベースフィルム10の右縁10cは操作ボタン91Dよりも表示エリアA寄りに位置し、操作ボタン91Dに対応する位置決め部はベースフィルム10に形成されていない。これにより、ベースフィルム10の左右方向の幅を小さくできている。
【0025】
また、3つの位置決め部11a,11b,11cのうち2つの位置決め部11b,11cは、上述したように、ベースフィルム10の外縁(この例では右縁10c)に形成された切り欠き(凹部)である。この例の位置決め部11b,11cは、位置決め部11aに嵌る操作ボタン91Aよりも左右方向の外方、具体的には操作ボタン91Aよりも右方向に位置する操作ボタン91B,91Cが嵌る切り欠きである。この構造によれば、位置決め部11b,11cを、位置決め部11aと同様に、穴にする場合に比べて、ベースフィルム10の左右方向の幅を小さくできる。
【0026】
なお、電子機器90には、表示エリアAを挟んでボタン群91とは反対側に、上述した十字キー92を有している。図1及び図2に示すように、ベースフィルム10は、この十字キー92が嵌る穴や切り欠きを有していない。すなわち、電子機器90は表示エリアAの両側に操作部材を有しているものの、ベースフィルム10は、表示エリアAの一方側の操作部材に対応する位置にのみ、位置決め部11a〜11cを有している。この構造も、ベースフィルム10の左右方向の幅の低減に寄与している。
【0027】
位置決め部11a,11b,11cに操作ボタン91A,91B,91Cが嵌っているとき、位置決め部11a,11b,11cの縁は、上述したように、操作ボタン91A,91B,91Cに当る。一方、保護フィルム2の外縁は、図2に示すように、位置決め部11a,11b,11cから離れて位置している。保護フィルム2の形状及びサイズをこのように設定することで、保護フィルム2が操作ボタン91A〜91Cに誤って引っ付くことを防ぐことができる。その結果、保護フィルムが操作ボタン91A〜91Cの円滑な動きの障害となることを防ぐことができる。この例の保護フィルム2は電子機器90の表示エリアAに対応したサイズを有している。図1及び図2に示すように、ベースフィルム10は保護フィルム2の外縁から右方向に張り出した部分11を有している(以下において、部分11を張り出し部とする)。位置決め部11a〜11cはこの張り出し部11に形成されている。張り出し部11によれば、保護フィルム2で保護したいエリア(この例では表示エリアA)から操作ボタン91A〜91Cが離れて位置する場合でも、操作ボタン91A〜91Cを利用しながらフィルム積層体1の位置を規定できる。
【0028】
なお、上述したように、表示エリアAの右側には、ボタン群91に加えて操作スティック93Rが設けられている。張り出し部11には、操作スティック93Rとベースフィルム10との干渉を避けるための切り欠き(凹部)11dが形成されている。
【0029】
図2に示すように、位置決め部11a〜11cによってフィルム積層体1が電子機器90に対して位置決めされているときに、ベースフィルム10の上縁10aは電子機器90の前面の上縁90a(図1参照)の位置に一致し、電子機器90の前面の上縁90aに沿っている。そのため、位置決め部11a〜11cだけでなく、上縁10aを利用することで、フィルム積層体1の位置のずれを抑えることができる。
【0030】
この例では、ベースフィルム10は左右方向に細長い略矩形である。位置決め部11a〜11cはベースフィルム10の左右方向における端部、この例では右端部に形成されている。そのため、ベースフィルム10の左端部の位置は定まりにくい。電子機器90の上縁90aの位置に一致する上縁10aを有するベースフィルム10によれば、電子機器90の前面におけるベースフィルム10の位置のずれが、さらに抑えやすくなる。また、上縁10aは表示エリアAや保護フィルム2の上縁に沿った縁である。そのため、上縁10aの位置を電子機器90の上縁90aに一致させることによって、表示エリアAに対する保護フィルム2の位置を容易に適正化できる。
【0031】
この例の電子機器90のハウジング96の上面は、その最右部に、凹部96cを有している(図1参照)。そのため、電子機器90の前面の上縁90aの最右部は凹んでいる。図2に示すように、ベースフィルム10の上縁10aの最右部10b、すなわち張り出し部11の上縁は、電子機器90の上縁90aの最右部に合わせて凹んでいる。これにより、上縁10aは、その全範囲において、上縁90aに沿っている。その結果、上縁10aの最右部10bを上縁90aの最右部の位置に合わせることができ、フィルム積層体1の位置のずれがさらに抑え易くなる。なお、この例では、ハウジング96の上面は、その最左部にも、凹部96cを有している(図1参照)。そのため、電子機器90の前面の上縁90aの最左部も凹んでいる。左右の凹部96cに上部ボタン94R,94Lがそれぞれ配置されている。
【0032】
図1及び図2に示すように、ベースフィルム10は、位置決め部11a〜11cとは反対側に、左縁12aを有している。左縁12aは、位置決め部11a〜11cに操作ボタン91A〜91Cがそれぞれ嵌っているときに、表示エリアAを挟んで操作ボタン91A〜91Dとは反対側の十字キー92に当る。これにより、フィルム積層体1の位置のずれがさらに効果的に抑えられる。この例では、左縁12aは十字キー92の右側に当っている。そのため、左縁12aによれば、左右方向におけるフィルム積層体1の位置のずれが効果的に抑えられる。この例のベースフィルム10は、十字キー92に向かって、すなわち左方向に張り出す張り出し部12を有している。この張り出し部12に左縁12aが設けられている。なお、張り出し部12はベースフィルム10の上部から左方向に張り出し、ベースフィルム10の下部にはこのような張り出し部は設けられていない。これにより、ベースフィルム10と左側の操作スティック93Lとの干渉を防ぐことができている。
【0033】
図1及び図2に示すように、剥離フィルム3にはユーザが摘むためのタブ31が設けられている。この例のタブ31は、剥離フィルム3の保護フィルム2とは反対側の面に接着されたテープである。タブ31は、位置決め部11a〜11cと同様に、位置決め部11a〜11cに操作ボタン91A〜91Cがそれぞれ嵌っているときに、表示エリアAと保護フィルム2とに対して右方向に位置している。すなわち、タブ31は剥離フィルム3から右方向に張り出すように設けられている。これにより、ユーザは保護フィルム2から剥離フィルム3を円滑に剥がすことができる。
【0034】
つまり、ユーザは、図4に示すように、張り出し部11の位置が操作ボタン91A〜91Cに対してずれないように当該張り出し部11を電子機器90の前面に押さえながら、ベースフィルム10を捲りあげてタブ31を摘む。そして、ユーザは、張り出し部11を電子機器90の前面に押さえ付けながら、タブ31を張り出し部11とは反対側に向けて、すなわち左方向に動かす。これにより、剥離フィルム3が保護フィルム2から徐々に剥がれる。その際、ベースフィルム10と保護フィルム2は左方向に引っ張られるので、当該ベースフィルム10と保護フィルム2には撓みが生じない。その結果、ユーザは保護フィルム2から剥離フィルム3を円滑に剥がすことができる。剥離フィルム3が保護フィルム2から完全に剥がれると、保護フィルム2とベースフィルム10はそれらの自重で電子機器90の前面に向けて倒れ、保護フィルム2はその粘着面を通して表示エリアAに接着される。ベースフィルム10は保護フィルム2よりも高い剛性を有する材料であるため、保護フィルム2が電子機器90の前面に向けて倒れる際、保護フィルム2が撓むことを抑えることができる。保護フィルム2を表示エリアAに貼り付けた後、ベースフィルム10を保護フィルム2から剥がすことにより、保護フィルム2のみが電子機器90の前面に残る。なお、タブ31は剥離フィルム3と一体的に形成されてもよい。すなわち、剥離フィルム3が右方向に突出する部分を有し、当該突出する部分がタブ31として機能してもよい。
【0035】
位置決め部11a〜11cは、図1に示すように、張り出し部11の上部、すなわち切り欠き11dよりも上側の部分に形成されている。張り出し部11は位置決め部11a〜11cから下方に離れて位置し且つ剥離フィルム3と保護フィルム2よりも右方向に張り出した部分11eを有している。この例では、部分11eは張り出し部11の下部、すなわち切り欠き11dよりも下側の部分である。ユーザは保護フィルム2から剥離フィルム3を剥がす際、位置決め部11a〜11cが形成された部分だけでなく、部分11eをも電子機器90の前面に押さえ付けることができる。その結果、保護フィルム2から剥離フィルム3を剥がす際に張り出し部11の位置がずれてしまうことを、容易に抑えることができる。
【0036】
なお、この例では、タブ31は剥離フィルム3から右方向に張り出しているが、タブ31の位置はこれに限られない。例えば、タブ31は剥離フィルム3の位置決め部11a〜11c側の端部(この例では右端部)から下方に張り出してもよい。これによれば、張り出し部11の部分11eとタブ31とが重ならなくなる。その結果、ユーザが剥離フィルム3を剥がす際に、張り出し部11を電子機器90の前面に押さえ付けやすくなる。
【0037】
図5はフィルム積層体1の他の例を示す平面図である。この図では以上説明した箇所と同一の箇所には同一符合を付し、以下ではその説明を省略する。
【0038】
図5に示すフィルム積層体1Aはベースフィルム10Aを有している。ベースフィルム10Aは複数(この例では4つ)の位置決め部11f〜11iを有している。位置決め部11f〜11iはいずれもベースフィルム10Aを貫通する穴である。位置決め部11f〜11iはそれぞれ操作ボタン91A〜91Dに対応した形状であり、操作ボタン91A〜91Dは位置決め部11f〜11iにそれぞれ嵌ることができる。このような位置決め部11f〜11iによれば、いずれかの位置決め部を切り欠きにする形態に比べて、電子機器90の前面におけるフィルム積層体の位置を安定させ易くなる。
【0039】
また、複数の位置決め部11f〜11iのうちいずれか1つに比べて、他の位置決め部として機能する穴のサイズは僅かに大きく設定されてよい。例えば、いずれか一つの位置決め部の大きさは操作ボタンの外形に相当する大きさに設定される。すなわち、当該1つの位置決め部の大きさは、操作ボタンの取付位置(例えば回路基板への取付位置)の誤差などを考慮することなく、操作ボタンの外形の寸法公差を考慮して設定される。一方、他の位置決め部は操作ボタンの外形の寸法公差と操作ボタンの取付位置の誤差の双方を考慮して設定される。こうすることにより、いずれの位置決め部にも確実に操作ボタンを嵌めることができる。また、上記1つの位置決め部によってベースフィルム10Aの上下方向及び左右方向の位置が規定される。そして、他の3つの位置決め部によってベースフィルム10の回転が規制される。
【0040】
この例では、保護フィルム2に最も近い位置決め部11fは、操作ボタン91Aの取付位置の誤差を考慮することなく、操作ボタン91Aの外形に相当する大きさに設定されている。すなわち、位置決め部11fは残りの位置決め部11g〜11iよりも僅かに小さく設定されている。いずれか1つの位置決め部を小さくして、他の位置決め部を僅かに大きくした場合、ベースフィルム10Aは当該小さな位置決め部の操作ボタンを中心にして僅かに回転できる場合がある。この例では、位置決め部11fは最も保護フィルム2に近い位置決め部であるため、位置決め部11g〜11iのいずれかを小さくする構造に比べて、操作ボタンを中心としたベースフィルム10Aの表示エリアAに対する回転位置のずれを低減できる。
【0041】
上述のベースフィルム10と同様に、ベースフィルム10Aの上縁10aは電子機器90の前面の上縁90a(図1参照)の位置に一致し、電子機器90の前面の上縁90aに沿うよう形成されている。さらに、ベースフィルム10Aの右縁10cは、電子機器90の前面の右縁の位置に一致し、電子機器90の右縁に沿うよう形成されている。ここで説明する例では、電子機器90の右縁は弧状に湾曲しており、ベースフィルム10Aの右縁10cもそれに合わせて湾曲している。位置決め部11f〜11iだけでなく、上縁10a及び右縁10cをも利用することで、フィルム積層体1Aの位置のずれを抑えることができる。なお、上縁10aに替えて又は上縁10aとともに、ベースフィルム10Aの下縁10dは電子機器90の下縁の位置に一致してもよい。また、ベースフィルム10Aに左側の十字キー92が嵌る位置決め部が形成される形態においては、ベースフィルム10Aの左縁が電子機器90の左縁の位置に一致してもよい。
【0042】
ベースフィルム10Aには、操作スティック93Rとベースフィルム10Aとの干渉を避けるための穴11jが形成されている。穴11jは操作スティック93Rに対応した形状を有している。この例の穴11jは円形である。このような穴11jによれば、上述の切り欠き11dを張り出し部11に形成する場合に比して、張り出し部11の面積を大きくできる。その結果、剥離フィルム3を保護フィルム2から剥がす作業を行う際に、張り出し部11を電子機器90の前面に押さえ付け易くなり、作業性の向上を図ることができる。
【0043】
また、この例においても剥離フィルム3にはタブ31Aが貼り付けられている。この例のタブ31Aは剥離フィルム3から下方に突出している。タブ31Aのこのレイアウトによれば、保護フィルム2の貼り付け作業を行う際に、張り出し部11の下部、すなわち操作スティック93Rよりも下側の部分をユーザが押えやすくなる。
【0044】
図6は本発明の第2の実施形態に係るフィルム積層体100を示す図である。この図では以上説明した箇所と同一の箇所には同一符合を付し、以下ではその説明を省略する。
【0045】
フィルム積層体100はベースフィルム110を有している。ベースフィルム110は、複数の操作ボタン91A〜91Dの全体、すなわちボタン群91が嵌ることのできる穴である位置決め部111aを有している。ベースフィルム110は、ベースフィルム10と同様に、保護フィルム2と剥離フィルム3よりも右方向に張り出す張り出し部111を有し、張り出し部111に位置決め部111aは形成されている。位置決め部111aに操作ボタン91A〜91Dが嵌ることで、電子機器90の前面におけるフィルム積層体1の位置が規定される。
【0046】
詳細には、位置決め部111aは操作ボタン91A〜91Dの全体に対応した形状及びサイズの穴である。そのため、位置決め部111aの縁は、左右方向において操作ボタン91A,91Dに当る部分と、上下方向において操作ボタン91B,91Cに当る部分とを有している。すなわち、位置決め部111aの縁は、操作ボタン91Aの左側に当る部分と、操作ボタン91Dの右側に当る部分と、操作ボタン91Bの上側に当る部分と、操作ボタン91Cの下側に当る部分とを有している。そのため、位置決め部111aに操作ボタン91A〜91Dが嵌ることで、電子機器90の前面におけるフィルム積層体1の上下方向及び左右方向の位置が規定される。また、位置決め部111aは略矩形である。そのため、位置決め部111aに操作ボタン91A〜91Dが嵌ることで、フィルム積層体1の回転も規制される。
【0047】
図7及び図8は本発明の第3の実施形態に係るフィルム積層体200を示す図である。図8は図7に示すVIII−VIII線での断面図である。これらの図では、以上説明した箇所と同一の箇所には同一符合を付し、以下ではその説明を省略する。
【0048】
フィルム積層体200は、図8に示すように、保護フィルム202と、剥離フィルム203と、ベースフィルム210とを有している。図7に示すように、この例の保護フィルム202と剥離フィルム203は表示エリアAよりも大きなサイズを有している。具体的には保護フィルム202と剥離フィルム203は、電子機器90の前面、すなわちフロントパネル95に対応するサイズを有している。このような保護フィルム202によれば、電子機器90の前面の全域を保護することができる。保護フィルム202の表示エリアA以外の領域には絵柄が施されてもよい。こうすることにより、電子機器90を装飾できる。
【0049】
ベースフィルム210は保護フィルム202に対応するサイズを有している。図7に示すように、ベースフィルム210には、操作ボタン91A〜91Dがそれぞれ嵌ることのできる穴である複数の位置決め部211a〜211dが形成されている。各位置決め部211a〜211dは、上述した位置決め部11aと同様に、操作ボタン91A〜91Dにそれぞれ対応する形状の穴である。そのため、位置決め部211a〜211dに操作ボタン91A〜91Dが嵌ることで、電子機器90の前面におけるフィルム積層体200の上下方向及び左右方向の位置が規定される。また、フィルム積層体200の回転も規制される。また、ベースフィルム210には、右側の操作スティック93Rとの干渉を避けるための穴211eが形成されている。
【0050】
保護フィルム202には、位置決め部211a〜211dに対応する位置に、穴202aが形成されている。同様に、剥離フィルム203には、位置決め部211a〜211dに対応する位置に、穴203aが形成されている(図8参照)。この穴202a,203aは、当該穴202a,203aに操作ボタン91A〜91Dの全体と右側の操作スティック93Rとが嵌ることのできる形状を有している。この例の穴202a,203aは、操作ボタン91A〜91Dの全体が嵌ることのできる円形の穴と操作スティック93Rが嵌ることのできる円形の穴とが合体した形状である。
【0051】
図8に示すように、位置決め部211a〜211dに操作ボタン91A〜91Dがそれぞれ嵌っているときに、位置決め部211a〜211dの縁は操作ボタン91A〜91Dに当る。位置決め部211a〜211dは保護フィルム202を避けた位置に形成されている。すなわち、穴202aの縁202bは位置決め部211a〜211dから離れて位置し、縁202bと各位置決め部211a〜211dの縁との間にはクリアランスBが設けられている。そのため、保護フィルム202が操作ボタン91A〜91Cに誤って引っ付くことを防ぐことができる。その結果、保護フィルム202が操作ボタン91A〜91Dの円滑な動きの障害となることを防ぐことができる。
【0052】
図1に示すように、この例の電子機器90のフロントパネル95の右側部分には開口95aが形成されている。4つの操作ボタン91A〜91Dと操作スティック93Rは開口95aの内側に位置している。図7に示すように、保護フィルム202の穴202aはフロントパネル95の開口95aに対応した形状となっている。ハウジング96は開口95aに嵌る部分96aを有している。操作ボタン91A〜91Dと操作スティック93Rは部分96aに形成された複数の穴からそれぞれ前方に突出している。フロントパネル95の開口95aの縁と部分96aは面一となっている。保護フィルム202の穴202aはフロントパネル95の開口95aに対応した形状となっているため、保護フィルム202はフロントパネル95にのみ貼り付けられ、部分96aには貼り付けられない。
【0053】
また、フロントパネル95の左側部分には、図1に示すように、開口95bが形成されている。十字キー92と操作スティック93Lは開口95bの内側に位置している。ハウジング96は開口95bに嵌る部分96bを有している。十字キー92と操作スティック93Lは、部分96bに形成された複数の穴からそれぞれ前方に突出している。開口95bの縁と部分96bも面一となっている。
【0054】
ベースフィルム210の左側部分には、図7に示すように、十字キー92と左側の操作スティック93Lとが嵌ることのできる穴210dが形成されている。この例の穴210dはフロントパネル95の開口95bに対応した形状を有し、穴210dの縁は十字キー92に当っていない。そのため、上述の位置決め部211a〜211dと穴210dとの相対位置に要求される精度、すなわちベースフィルム210の形状に必要とされる精度を低減できている。また、保護フィルム202にも、十字キー92と左側の操作スティック93Lとが嵌ることのできる穴202dが形成されている。この202dもフロントパネル95の開口95bに対応した形状を有している。この例では、穴210d,202dは、十字キー92が嵌ることのできる円形の穴と操作スティック93Lが嵌ることのできる円形の穴とが合体した形状である。なお、剥離フィルム203にも穴202dと同じ形状の穴が形成されている。
【0055】
この例の剥離フィルム203は穴203aが形成された右側部分Rと、左側部分Lとに分かれている。すなわち、剥離フィルム203には上下方向の切れ目CLが形成されている。剥離フィルム203にはタブ31が貼り付けられている。この例では、タブ31は左側部分Lに貼り付けられている。特にタブ31は切れ目CLに近接している。これによれば、ユーザによる保護フィルム202の貼り付け作業が容易になる。つまり、位置決め部211a〜211dと操作ボタン91A〜91Dとを利用して、電子機器90の前面におけるフィルム積層体200の位置を確定する。そして、タブ31を利用して、剥離フィルム203の左側部分Lを保護フィルム202から剥がし、保護フィルム202を電子機器90の前面に貼り付ける。その後、剥離フィルム203の右側部分Rを保護フィルム202から剥がし、保護フィルム202の右側部分を電子機器90の前面に貼り付ける。これによれば、剥離フィルム203の右側部分Rと左側部分Lとが繋がっている場合、すなわち、剥離フィルム203に切れ目CLが形成されていない場合に比べて、位置決め部211a〜211dと操作ボタン91A〜91Dとを利用しながら剥離フィルム203を剥がすことが容易となる。この例では、切れ目CLは保護フィルム202と剥離フィルム203の左右方向の中心に対して位置決め部211a〜211d側に形成されている。これによれば、剥離フィルム203の左側部分Lを保護フィルム202から剥がした時に、電子機器90の前面に貼り付けられる保護フィルム202の左側部分の面積が大きくなる。その結果、保護フィルム202の右側部分を電子機器90の前面に貼り付ける作業を行う際に、保護フィルム202の位置ずれが生じ難くなる。なお、保護フィルム202には切れ目CLは形成されていない。
【0056】
以上説明したように、ベースフィルム10には、電子機器90の操作ボタン91A〜91Cが嵌ることができ電子機器90の前面におけるフィルム積層体1の位置を規定するための穴又は切り欠きである位置決め部11a〜11cが形成されている。また、ベースフィルム110,210には操作ボタン91A〜91Dが嵌ることのできる穴である位置決め部111a,211a〜211dが形成されている。この構造によれば、ユーザが保護フィルム2,202を電子機器90に貼る作業を行う際に、電子機器90の前面における保護フィルム2,202の位置を安定させることができ、保護フィルム2の貼り付け作業を容易化できる。
【0057】
また、ベースフィルム10,110,210は保護フィルム2,202よりも高い剛性を有している。これによれば、電子機器90の前面における保護フィルム2,202の位置をさらに安定させることができる。
【0058】
また、位置決め部11a〜11c,111a,211a〜211dである穴又は切り欠きの縁は、これら位置決め部に操作ボタン91A〜91Dが嵌っているときに操作ボタン91Aに左右方向で当る部分を有している。また、位置決め部11a〜11c,111a,211a〜211dである穴又は切り欠きの縁は、これら位置決め部に操作ボタン91A〜91Dが嵌っているときに上下方向で操作ボタン91A〜91Dに当る部分を含んでいる。これにより、フィルム積層体1,100,200の左右方向及び上下方向の位置を規定できる。
【0059】
また、位置決め部11a〜11c,211a〜211dは操作ボタン91A〜91Dに対応した形状を有している。これにより、フィルム積層体1,200の位置のずれをさらに効果的に抑えることができる。
【0060】
また、位置決め部11a〜11c,111a,211a〜211dは保護フィルム2,202を避けている。これによれば、操作ボタン91A〜91Dと保護フィルム2,202との干渉を抑えることができる。
【0061】
また、ベースフィルム10,110は、保護フィルム2の右縁から張り出した部分11,111をそれぞれ有し、位置決め部11a〜11c、111aは張り出した部分11,111にそれぞれ形成されている。このようなベースフィルム10,110によれば、保護フィルム2が操作ボタン91A〜91Dに引っ付くこと、すなわち、保護フィルム2が操作ボタン91A〜91Dの障害となることを、確実に防ぐことができる。また、保護フィルム2で保護したいエリア(この例では表示エリアA)から操作ボタン91A〜91Dが離れて位置する場合でも、操作ボタン91A〜91Dを利用しながらフィルム積層体1,100の位置を規定できる。
【0062】
また、保護フィルム202には操作ボタン91A〜91Dが嵌る穴202aが形成され、保護フィルム202の穴202aの縁は、位置決め部211a〜211dである穴の縁から離れている。
【0063】
また、ベースフィルム10は、複数の操作ボタン91A〜91Cがそれぞれ嵌ることのできる複数の位置決め部11a〜11cを有し、ベースフィルム210は複数の操作ボタン91A〜91Dがそれぞれ嵌ることのできる複数の位置決め部11a〜11dを有している。このようなベースフィルム10,210によれば、フィルム積層体1,200の位置ずれを効果的に抑えることができる。
【0064】
また、位置決め部11b,11cはベースフィルム10の縁に形成された切り欠きである。このようなベースフィルム10によれば、さらにそのサイズを小さくできる。
【0065】
また、ベースフィルム110にはボタン群91を構成する複数の操作ボタン91A〜91Dの全体が嵌ることのできる位置決め部111aが形成されている。このようなベースフィルム110によれば、操作ボタン91A〜91Dとベースフィルム110とが当る箇所が少なくなるので、ベースフィルム110の形状について高い精度が要求される箇所を減らすことができる。
【0066】
また、フィルム積層体1,100では、位置決め部11a〜11c,111aは表示エリアAに対して右方向に位置している。また、剥離フィルム3にはユーザが摘むためのタブ31が設けられている。そして、タブ31も表示エリアAに対して右方向に位置している。タブ31のこのようなレイアウトによれば、ユーザが剥離フィルム3を円滑に剥がすことができる。
【0067】
また、ベースフィルム10,110は、位置決め部11a〜11c,111aから下方に離れて位置し且つ保護フィルム2よりも右方向に張り出した部分11eを有している。このようなベースフィルム10,110によれば、剥離フィルム3を剥がす作業がさらに容易になる。
【0068】
ベースフィルム10は位置決め部11a〜11cに操作ボタン91A〜91Cが嵌っているときに、電子機器90の上縁90aの位置に一致する上縁10aを有している。この構造によれば、電子機器90の前面に対するフィルム積層体1の位置をさらに容易に適正化できる。
【0069】
また、ベースフィルム10は左右方向に細長い形状であり、位置決め部11a〜11cはベースフィルム10の右端部寄りに位置している。上縁10aは左右方向に沿った縁である。この構造によれば、電子機器90の前面に対するフィルム積層体1の位置をさらに容易に適正化できる。
【0070】
また、フィルム積層体200では、保護フィルム202は電子機器90の前面に対応したサイズを有している。このような保護フィルム202によれば、電子機器90の前面の全域を保護できる。
【0071】
また、ベースフィルム10,110は十字キー92に当る左縁12aを有している。このようなベースフィルム10,110によれば、電子機器90の前面に対するフィルム積層体1の位置をさらに容易に適正化できる。
【0072】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限られず、種々の変更が可能である。
【0073】
例えば、保護フィルム2とベースフィルム10との間にはさらに他のフィルムが配置され、ベースフィルム10はこのフィルムを通して保護フィルム2に貼り付けられてもよい。
【0074】
また、複数の位置決め部11a〜11c,111a,211a〜211dに替えて、十字キー92が嵌る穴又は切り欠きが位置決め部としてベースフィルム10,110,210に形成されてもよい。
【0075】
また、ベースフィルム10には、切り欠きである位置決め部11b,11cに替えて、位置決め部11aと同様の穴が形成されてもよい。この場合、操作ボタン91Dが嵌る穴も位置決め部として形成されてもよい。
【0076】
また、フィルム積層体200の保護フィルム202は表示エリアA以外の領域の形状に対応した形状を有してもよい。つまり、保護フィルム202には表示エリアAに対応する位置に穴が形成されてもよい。
【0077】
また、ベースフィルム10には必ずしも張り出し部12は形成されていなくてもよい。
【0078】
また、フィルム積層体1,100において、保護フィルム2は表示エリアAよりも僅かに大きくてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 フィルム積層体、2 保護フィルム、3 剥離フィルム、10,10A ベースフィルム、10a 上縁、11 張り出し部、11a,11b,11c,11f〜11i 位置決め部、12a 左縁、31 タブ、90 電子機器、91A〜91D 操作ボタン、92 十字キー、95 フロントパネル、96 ハウジング、100 フィルム積層体、110 ベースフィルム、111a 位置決め部、200 フィルム積層体、202 保護フィルム、202a 穴、203 剥離フィルム、210 ベースフィルム、211a 位置決め部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面から突出する凸部材を有する電子機器の前記外面を保護するための保護フィルムを含むフィルム積層体において、
前記保護フィルムの一方の面は前記電子機器の前記外面に貼り付けるための粘着面であり、
前記フィルム積層体は、
前記保護フィルムの前記一方の面から剥離可能に前記一方の面に貼り付けられている剥離フィルムと、
前記保護フィルムの他方の面から剥離可能に当該他方の面に貼り付けられているベースフィルムと、を有し、
前記ベースフィルムには、前記電子機器の前記凸部材が嵌ることができ前記電子機器の前記外面における前記フィルム積層体の位置を規定するための穴又は切り欠きである位置決め部が形成されている、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム積層体において、
前記保護フィルムは、ユーザが動かすことのできる操作部材を前記凸部材として有する電子機器の前記外面を保護するためのフィルムであり、
前記位置決め部は前記操作部材が嵌るように形成されている、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフィルム積層体において、
前記ベースフィルムは前記保護フィルムよりも高い剛性を有する
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のフィルム積層体において、
前記保護フィルムは、表示エリアが設けられた面を前記外面として有し且つ前記凸部材が前記表示エリアに対して第1の方向に位置する電子機器の前記表示エリアを保護するためのフィルムであり、
前記位置決め部である前記穴又は切り欠きの縁は、前記位置決め部に前記凸部材が嵌っているときに前記第1の方向で前記凸部材に当る部分と、前記位置決め部に前記凸部材が嵌っているときに前記第1の方向に直交する第2の方向で前記凸部材に当る部分とを含む、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルム積層体において、
前記位置決め部は前記凸部材に対応した形状を有している、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項6】
請求項2に記載のフィルム積層体において、
前記位置決め部は前記保護フィルムを避けた位置に形成されている、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項7】
請求項6に記載のフィルム積層体において、
前記ベースフィルムは前記保護フィルムの縁から張り出した部分を有し、
前記位置決め部は前記張り出した部分に形成されている、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項8】
請求項6に記載のフィルム積層体において、
前記保護フィルムには前記操作部材が嵌る穴が形成され、
前記保護フィルムの前記穴の縁は、前記位置決め部である穴の縁から離れて位置している、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のフィルム積層体において、
前記保護フィルムは、表示エリアが設けられた面を前記外面として有し且つ前記凸部材が前記表示エリアに対して第1の方向に位置する電子機器の前記表示エリアを保護するためのフィルムであり、
前記位置決め部は前記表示エリアに対して第1の方向に位置し、
前記剥離フィルムにはユーザが摘むためのタブが設けられ、
前記タブは前記表示エリアに対して前記第1の方向に位置している、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項10】
請求項7に記載のフィルム積層体において、
前記ゲースフィルムの前記張り出した部分は前記保護フィルムの縁から第1の方向に張り出しており、
前記電子機器は前記操作部材として機能する第1の操作部材と、前記第1の方向に対して直交する第2の方向に前記第1の操作部材から離れて位置する第2の操作部材とを有し、
前記ベースフィルムの前記張り出した部分には、前記第1の操作部材が嵌る穴又は切り欠きである前記位置決め部と、前記第2の操作部材を避けるための穴又は切り欠きが形成されている、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のフィルム積層体において、
前記ベースフィルムの外周縁は、前記位置決め部に前記凸部材が嵌っているときに前記電子機器の前記外面の縁の位置に一致する縁を含む、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項12】
請求項11に記載のフィルム積層体において、
前記ベースフィルムは第1の方向に細長い形状であり、前記位置決め部は前記ベースフィルムの前記第1の方向における端部寄りに位置し、
前記ベースフィルムの外周縁は、前記電子機器の前記外面の縁の位置に一致する前記縁として、前記第1の方向に沿った縁を有している、
ことを特徴とするフィルム積層体。
【請求項13】
請求項1又は2に記載のフィルム積層体において、
前記保護フィルムは、表示エリアが設けられた面を前記外面として有する電子機器の前記外面を保護するためのフィルムであり、
前記保護フィルムは前記電子機器の前記外面に対応したサイズを有している、
ことを特徴とするフィルム積層体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−57919(P2013−57919A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199862(P2011−199862)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【特許番号】特許第4964347号(P4964347)
【特許公報発行日】平成24年6月27日(2012.6.27)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】