説明

保護フィルム付光硬化性プリプレグシート

【課題】 加熱によりプリプレグ化され、酸素が劣化抑制剤として作用する光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1と、補強繊維または金属網2とで構成された光硬化性プリプレグシート3を表裏2枚の保護フィルム4,5間に挟み込んだ保護フィルム付プリプレグシートについて、高温領域での加熱で迅速なプリプレグ化を行っても長期保管に耐えられるようにする。
【解決手段】 少なくとも一方の保護フィルム4または5を、厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムとし、酸素透過性と、モノマーの揮散防止性と、湿度遮断性のバランスをとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンクリート構造物などに巻き付けたり貼り付けて光硬化させ、当該コンクリート構造物などを補強することができる光硬化性プリプレグシートであって、特に取り扱い性を向上させると共に、保管時の樹脂成分の蒸発や吸湿を防止する保護フィルム付の光硬化性プリプレグシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保護フィルム付光硬化性プリプレグシートとしては、補強繊維と光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物で構成したプリプレグシートを、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコールなどの2枚のフィルムで挟み込んだものが知られている(特許文献1の段落0029参照)。また、液状(プレポリマー状態)の光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物を、80℃以下の温度に加熱し、液状分のない増粘状態としてプリプレグ化することも知られている(特許文献1の段落0031参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−88176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物は、保管時に、光重合開始剤の分解や、樹脂、反応性単量体の二重結合の開裂反応などにより、ラジカルが発生し、そのラジカルにより連鎖的に反応を起こすため、変質劣化を生じる。特に加熱によってプリプレグ化した場合、このラジカルの発生および連鎖的な反応が著しく生じやすくなり、光硬化性プリプレグシートの長期保管ができなくなる問題がある。
【0005】
特許文献1に記載されている80℃以下の温度であれば、その場では目立った劣化を発生させずにプリプレグ化できるが、プリプレグ化時の加熱温度が高くなるほど上記ラジカルの発生とそれによる連鎖反応を生じやすくなり、長期保存に支障をきたしやすくなる。このため、現実には50℃を超える加熱は行われていない。特許文献1においても、プリプレグ化するための加熱は、50℃以下、さらには45℃以下とすることが好ましいことを明らかにしていると共に、その実施例での加熱は45℃でしかない(特許文献1の段落0039参照)。
【0006】
しかしながら、低温領域での加熱では、プリプレグ化に時間がかかり、製造効率が悪い問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、高温領域での加熱で迅速なプリプレグ化を行っても長期保管に耐える製造効率の高い保護フィルム付光硬化性プリプレグシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般に、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物の劣化抑制剤として酸素が機能しており、劣化の主な原因として、この酸素との接触不足、モノマーの揮散および吸湿を想定し、特定の厚さのポリエステルフィルムがこれらのバランスに優れていることを見出したことによってなされたものである。
【0009】
すなわち、本発明の第1は、加熱によりプリプレグ化され、酸素が劣化抑制剤として作用する光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物と、補強繊維または金属網とで構成された光硬化性プリプレグシートを表裏2枚の保護フィルム間に挟み込んだ保護フィルム付光硬化性プリプレグシートにおいて、少なくとも一方の保護フィルムが、厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムであることを特徴とする保護フィルム付光硬化性プリプレグシートを提供するものである。
【0010】
また、上記本発明の第1は、少なくとも前記一方の保護フィルムの内面に離型処理が施されていること、および、前記他方の保護フィルムの外面に剥離可能な遮光層が設けられていることをその好ましい態様として含み、上記本発明の第1と第2は、それぞれ、ポリエステルフィルムの保護フィルムが、酸素透過度が5cc/m2・24hr・atm以上、透湿度が50cc/m2・24hr・atm以下であること、前記光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物が、50℃を超える温度の加熱でプリプレグ化されていること、および、前記ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを好ましい態様として含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保護フィルムが、劣化抑制剤として機能する酸素を適度に透過させると共に、モノマーの揮散や湿気との接触を抑制することができることから、変質劣化を生じにくくなり、例えば50℃を超える加熱によるプリプレグ化、さらには80℃またはこれに近い加熱によるプリプレグ化を行って製造効率を上げても、長期保管に耐える保護フィルム付光硬化性プリプレグシートとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明に係る保護シート付光硬化性プリプレグシートの第1の例を示す模式的断面図である。
【0013】
図中1はプリプレグ化された光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物、2は補強繊維または金属網、3は光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1と補強繊維または金属網2とから構成された光硬化性プリプレグシート、4,5は保護フィルムである。
【0014】
本発明は、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1が、50℃を超え80℃以下の温度でプリプレグ化したものである場合に特に有効である。本発明によれば、このような高温領域でのプリプレグ化を行った光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1であっても、長期保存性に優れた保護シート付光硬化性プリプレグシートとすることができる。
【0015】
本発明における光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1は、酸素が劣化抑制剤として作用する一般的なもので、紫外線、可視光線、近赤外線などによって重合を行う一般の光硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、主剤樹脂と、液状重合性単量体と、光重合開始剤と、増粘剤とを含有する組成物を用いることができる。
【0016】
上記主剤樹脂は、紫外線、可視光線、近赤外線などによってラジカルを発生するもので、例えば不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、アリルエステル樹脂、キシレン樹脂などを挙げることができる。
【0017】
液状重合性単量体は、主剤樹脂成分の溶剤として用いられるもので、例えばアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物であるスチレンを用いることができる。
【0018】
光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、アセトフェノン、これらの誘導体を挙げることができる。
【0019】
プリプレグ状態での保管時の樹脂だれを起こさせないため、樹脂を補強繊維に含浸させた後、増粘処理を行う。この増粘方法としては、一般的に加熱や光照射により、樹脂を半硬化させる方法や、酸化マグネシウムのような架橋剤をあらかじめ樹脂に混入しておき、加熱架橋させる方法、また、増粘剤の粉末をあらかじめ樹脂に混合しておき、加熱膨潤させる方法などがある。増粘剤は、加熱によって膨潤して、プレポリマー状態の光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物を、液状分のない増粘状態としてプリプレグ化させる、熱可塑性樹脂粉末を有効成分とするもので、例えばアクリル系重合体微粉末を用いることができる。
【0020】
補強繊維または金属網2は、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1の層中に介在されており、光硬化性プリプレグシート3をコンクリート構造物などに巻き付けたり貼り付けて光硬化させた時に補強効果をもたらすものである。
【0021】
補強繊維としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、フェノール繊維、ポリビニルアルコール繊維、芳香族ポリアミド繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、金属繊維などを挙げることができる。補強繊維の形態は、チョップドストランドやロービングの他、織布状、不織布状、編み物状などの布帛状のものでもよいが、ガラス繊維以外の補強繊維は光を透過しやすいメッシュ状であることが好ましい。
【0022】
金属網の材質としては、例えばステンレス鋼、チタン合金、タングステン、鉄、銅、黄銅、アルミ合金などを挙げることができる。これらの中で、ステンレス鋼は光を良く反射し、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1の露光硬化を妨げにくく、化学的耐久性が高く、ヤング率が大きいので好ましい。鉄は錆を生じていないものであれば、光の反射性が良く、安価でヤング率も大きいので好ましい。新しいピアノ線(錆がなく、光沢のあるピアノ線)などの鋼線は、反射性、価格、強度の点で最適である。
【0023】
上記光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1と補強繊維または金属網2とから構成された光硬化性プリプレグ3の表裏面は、保護フィルム4,5で覆われている。この保護フィルム4,5は、光硬化性プリプレグ3の取り扱い性を向上させ、樹脂成分の蒸発や吸湿を防止すると共に、保管時の光硬化性プリプレグ3の変質劣化を防止するためのもので、少なくとも一方の保護フィルム4または5は、厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムとなっている。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、保護フィルム5が厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムで構成されたものとする。
【0024】
厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムは、酸素透過性と、モノマーの揮散防止性と、湿度遮断性のバランスが、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1の劣化防止にきわめて適している。具体的には、酸素透過性が良い反面、モノマーの揮散防止性および防湿性を有することから、50℃を超え80℃以下の温度でプリプレグ化した光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1による光硬化性プリプレグ3であっても、長期保管を可能にすることができる。
【0025】
上記ポリエステルフィルムは、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1の劣化抑制剤として機能する酸素を取り入れやすくする上で、酸素透過度が5cc/m2・24hr・atm以上であることが好ましく、モノマーの揮散と湿気の侵入による劣化を防止しやすくする上で、透湿度が50cc/m2・24hr・atm以下であることが好ましい。ポリエステルフィルムは、特に酸素透過性に優れる反面透湿性が低いことから、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0026】
保護フィルム5を厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムとした場合、このポリエステルフィルムで覆われた側光硬化性プリプレグ3の表面は、被補強構造物への当接面(付設面)として使用される。付設面側の保護フィルム5を上記ポリエステルフィルムとしておくと、長期保管後でも、当該保護フィルム5で覆われた光硬化性プリプレグ3の表面が粘着性を維持しやすく、被補強構造物への高い接着強度が得やすくなる。
【0027】
両保護フィルム4,5共に厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムとすることもできるが、保護フィルム5を厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムとした場合、他方の保護フィルム4は他の合成樹脂フィルムで構成することもできる。他の合成樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールなどの各フィルムを挙げることができる。
【0028】
本発明に係る保護フィルム付光硬化性プリプレグは、例えば一方の保護フィルム4または5上に補強繊維または金属網2を敷設し、その上からプレポリマー状の光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1を流して平坦に展延し、さらにその上に他方の保護フィルム5または4を被せて挟み込み、抱き込んだ空気をローラーなどで抜いて密着させた後、加熱して、上記プレポリマー状の光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1をプリプレグ化することで製造することができる。
【0029】
本発明に係る保護フィルム付光硬化性プリプレグは、厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムで構成した保護フィルム5を剥がし、被補強構造物にこの剥離面側を押し当てて巻き付けまたは貼り付け、他方の保護フィルム4を残したまま露光硬化させることで使用される。この時、残された保護フィルム4は、光硬化性プリプレグ3を構成している光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1が硬化するまでの間の保護材として機能する。被補強構造物への非当接面(露光面)を覆っている保護フィルム4は、厚さ20〜60μmのポリエステルフィルム以外の酸素透過性の低いフィルムとしたり、60μmを超える厚さのポリエステルフィルムとすることもできる。
【0030】
上記残された他方の保護フィルム4は、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1の硬化完了後もそのまま残留させることもできるが、硬化完了後剥離除去するのが一般的である。また、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1は、片面側からの露光で硬化される光硬化性プリプレグ3が、露光面と反対側まで容易に硬化されるよう、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1を硬化させる活性波長の光の透過度が80%以上であることが好ましい。
【0031】
次に、本発明に係る保護シート付光硬化性プリプレグシートの第2の例を説明する。
【0032】
図2は、本発明に係る保護シート付光硬化性プリプレグシートの第2の例を示す模式的断面図で、図1と同じ符号は同じ部材を示すものである。
【0033】
基本的には図1で説明した第1の例と同じであるが、遮光層6と離型処理面7を有する点が相違している。
【0034】
遮光層6は、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1を硬化させる活性波長の光を遮る層で、露光面を覆っている保護フィルム4の外面に剥離可能に設けられている。
【0035】
遮光層6は、遮光性フィルムを剥離可能に積層することなどで形成することができる。この遮光層6は、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物1を硬化させる活性波長の光の透過度が20%以下であることが好ましい。
【0036】
遮光層6は、光硬化性プリプレグシート3を被補強構造物に付設した後に剥離されるもので、これを設けておくことにより、付設途中での硬化の進行を抑制して、付設作業を行いやすくすることができる。
【0037】
離型処理面7は、厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムで構成された付設面側の保護フィルム5の内面(光硬化性プリプレグシート3側の面)に形成されている。この離型処理面7を形成しておくことにより、光硬化性プリプレグシート3が粘着状態を維持している間に剥離される保護フィルム5の剥離作業を容易にすることができる。また、剥離処理面7は、例えばシリコーン処理などの離型剤塗布などで形成されるもので、保護フィルム5の内面だけでなく、保護フィルム4の内面にも形成することができる。
【実施例】
【0038】
実施例1
スチレンモノマーを30重量%含むビニルエステル樹脂に、光重合開始剤としてイソブチリルメチルホスフィン酸メチルエステル(活性波長380nm)を、モノマーを含む樹脂分100重量部に対して0.5重量部添加し、この混合物100重量部に対して増粘剤として平均粒径1μmのメタクリル酸メチルポリマーを21重量部添加し、プレポリマー状の光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物を得た。
【0039】
次に、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(380nmの波長の光の透過度85%、酸素透過度15cc/m2・24hr・atm)上にガラス繊維のチョップドストランドマット(目付け600g/m2)を乗せ、さらにその上から上記光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物を注いで均し、チョップドストランドが包み込まれるように調整した。
【0040】
片面にシリコーン処理を施した厚み39μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物上に、シリコーン処理面を内側にして被せ、ローラーにて気泡を除去しで密着させた後、60℃に加熱して30分保持してプリプレグ化し、保護フィルム付光硬化性プリプレグシートを得た。
【0041】
上記保護フィルム付光硬化性プリプレグシートを、温度60度、湿度60%の恒温恒湿槽内に7日間保管した後、恒温恒湿槽から取りだして、ピール試験とゲル化状態の確認を行った。また、恒温恒湿槽での保管後のピール試験結果と比較のために、恒温恒湿槽に入れる前に、保護フィルム付光硬化性プリプレグシートの一部を切り取った試験片を用いてピール試験を行った(初期状態)。各結果を表1に示す。
【0042】
(1)ピール試験
シリコーン処理を施していないポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離強度を測定することで行った。剥離強度が高いほどゲル化が進んでおらず、劣化が抑えられていることが分かる。
【0043】
(2)ゲル化状態
手で触って柔らかさを確認することで行った。評価は、十分な柔らかさが残っている場合を○、明らかに硬くなっている場合を×とした。
【0044】
実施例2
保護フィルムとして厚み36μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(380nmの波長の光の透過度90%、酸素透過度20cc/m2・24hr・atm)を用いた他は実施例1と同様にして保護フィルム付光硬化性プリプレグシートを得、実施例1と同様のピール試験とゲル化状態の確認を行った。
【0045】
結果を表1に示す。
【0046】
比較例1
保護フィルムとして厚み40μmのポリビニルアルコールフィルム(380nmの波長の光の透過度80%、酸素透過度0.2cc/m2・24hr・atm)を用いた他は実施例1と同様にして保護フィルム付光硬化性プリプレグシートを得、実施例1と同様のピール試験とゲル化状態の確認を行った。
【0047】
結果を表1に示す。
【0048】
比較例2
保護フィルムとして比較例1と同じポリビニルアルコールフィルムを用い、プリプレグ化時の加熱温度を45℃とした他は実施例1と同様にして保護フィルム付光硬化性プリプレグシートを製造したところ、プリプレグ化に3時間を要した。また、得られた保護フィルム付光硬化性プリプレグシートについて、実施例1と同様のピール試験とゲル化状態の確認を行った。
【0049】
結果を表1に示す。
【0050】
比較例3
保護フィルムとして厚み80μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(380nmの波長の光の透過度80%、酸素透過度8cc/m2・24hr・atm)を用いた他は実施例1と同様にして保護フィルム付光硬化性プリプレグシートを得、実施例1と同様のピール試験とゲル化状態の確認を行った。
【0051】
結果を表1に示す。
【0052】
比較例4
保護フィルムとして厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(380nmの波長の光の透過度95%、酸素透過度50cc/m2・24hr・atm)を用いた他は実施例1と同様にして保護フィルム付光硬化性プリプレグシートを得、実施例1と同様のピール試験とゲル化状態の確認を行った。
【0053】
結果を表1に示す。
【0054】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る保護シート付光硬化性プリプレグシートの第1の例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明に係る保護シート付光硬化性プリプレグシートの第2の例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物
2 補強繊維または金属網
3 光硬化性プリプレグシート
4 保護フィルム
5 保護フィルム
6 遮光層
7 離型処理面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱によりプリプレグ化され、酸素が劣化抑制剤として作用する光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物と、補強繊維または金属網とで構成された光硬化性プリプレグシートを表裏2枚の保護フィルム間に挟み込んだ保護フィルム付プリプレグシートにおいて、少なくとも一方の保護フィルムが、厚さ20〜60μmのポリエステルフィルムであることを特徴とする保護フィルム付光硬化性プリプレグシート。
【請求項2】
前記一方の保護フィルムの内面に離型処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム付光硬化性プリプレグシート。
【請求項3】
前記他方の保護フィルムの外面に剥離可能な遮光層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護フィルム付光硬化性プリプレグシート。
【請求項4】
ポリエステルフィルムの保護フィルムが、酸素透過度が5cc/m2・24hr・atm以上、透湿度が50cc/m2・24hr・atm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護フィルム付光硬化性プリプレグシート。
【請求項5】
前記光硬化性ラジカル重合型樹脂組成物が、50℃を超える温度の加熱でプリプレグ化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の保護フィルム付光硬化性プリプレグシート。
【請求項6】
前記ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の保護フィルム付光硬化性プリプレグシート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−104394(P2006−104394A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295508(P2004−295508)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】