保護ブーツ
【課題】着用者の足を保護する。
【解決手段】履物製品はアッパーおよびソール構造を有している。アッパーは、足を受け入れる足部、および、脚の少なくとも一部を受け入れる脚部を含んでおり、ソール構造は足部の下側区域に固定されている。履物は、プレートシステム、ヒンジシステム、および、異なる硬さ、剛性または密度の材料で形成されたソール構造の少なくとも1つを含んでいる。プレートシステムは、履物の内側側部にわたって延びたプレートを含み、プレートは、(a)異なる硬さの材料で形成されていても、または、(b)ソール構造へと、かつ、ソール構造の窪み内へと延びていてもよい。ヒンジシステムは、足部に固定されたシャシー220、および、脚部に固定されたビーム230を含み、ヒンジ240は、シャシー220およびビーム230と回転可能に接合されている。
【解決手段】履物製品はアッパーおよびソール構造を有している。アッパーは、足を受け入れる足部、および、脚の少なくとも一部を受け入れる脚部を含んでおり、ソール構造は足部の下側区域に固定されている。履物は、プレートシステム、ヒンジシステム、および、異なる硬さ、剛性または密度の材料で形成されたソール構造の少なくとも1つを含んでいる。プレートシステムは、履物の内側側部にわたって延びたプレートを含み、プレートは、(a)異なる硬さの材料で形成されていても、または、(b)ソール構造へと、かつ、ソール構造の窪み内へと延びていてもよい。ヒンジシステムは、足部に固定されたシャシー220、および、脚部に固定されたビーム230を含み、ヒンジ240は、シャシー220およびビーム230と回転可能に接合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着用者の足を保護する履物製品に関する。
【背景技術】
【0002】
オートバイ競技者は、トラックレーシング、ロードラリーレーシング、ランドスピードトライアル、耐久レース、フリースタイルモトクロスおよびオブザーブドトライアルなどを含むさまざまなオートバイ競技に参加する場合がある。これらのオートバイ競技のいずれかの最中、および、練習またはトレーニング中に、乗り手は、障害物および地面からの衝撃、ならびに、乗り手のオートバイおよび他のオートバイまたは乗り物との接触から生じるさまざまな危害に直面する。競技者でないオートバイの乗り手であっても、通勤、旅行または観光中に類似した危険に直面する場合がある。これらの危害または危険から身を守るため、オートバイの乗り手はしばしば、ヘルメット、ブレース(手甲)、パッドまたはプレートを組み込んだシャツおよびズボン、グローブならびにブーツを含む保護衣類を着用する。
【0003】
上述したさまざまな種類の保護衣類はそれぞれ、乗り手に保護を与える特徴を組み込むよう設計されている。一例として、オートバイ競技中に着用されるブーツはしばしば、さまざまなパッドならびに剛性の構造体(例えばブレースおよびプレート)を含んでおり、これらは、足および脚の下部を衝撃またはねじり力から保護する。このようなブーツはまた、地面またはオートバイの部分との接触から来る磨耗に耐える耐久性のソール(履物の底)を組み込んでいてもよい。さらに、これらのブーツは、ブーツの足先区域での破れ、および、変形または潰れを防ぐ鋼製の足指ガードと一体にされていてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,076,891号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ブーツの構成を有する履物製品を以下に開示する。この履物はアッパーおよびソール(履物の底)構造を含んでいる。アッパーは、着用者の足を受け入れるための足部と、着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部とを有しており、ソール構造は、足部の下側区域に固定されている。履物の構成は大きく変化してもよいが、履物は、プレートシステム、ヒンジシステム、および、異なる硬さ、剛性または密度の材料で形成されたソール構造の少なくとも1つを含んでいる。
【0006】
プレートシステムは、アッパーの脚部の内側側部および足部の内側側部にわたって延びたプレートを含んでいてもよく、ソール構造の窪み内へと延びて、それによりソール構造の一部を覆っていてもよい。いくつかの構成では、プレートシステムは、プレートの材料よりも柔らかいゴムまたは別の材料で形成された覆いを含んでおり、覆いは、プレートの区域でアッパーの外面を形成している。
【0007】
ヒンジシステムは、シャシー、ビーム(梁)およびヒンジを含んでいてもよい。シャシーは、足部に固定されており、アッパーの外側側部に配置されている。いくつかの構成では、シャシーはまた、足部の下側区域の下方を、または足部の下側区域に隣接して、延びている。ビームは、脚部の外側側部に隣接して延びており、ヒンジがシャシーをビームに接合している。ヒンジは、ビームとシャシーとの間で、前方−後方方向の回転運動を可能にしていてもよいが、ビームとシャシーとの間で、内側側部−外側側部方向の回転運動(すなわち、内転および外転(回外))を規制していてもよい。
【0008】
ソール構造は第1および第2ソール部分を含んでいてもよい。第1ソール部分は、履物のかかと領域から少なくとも履物の中間領域まで延びており、第1硬さの材料で形成されている。第2ソール部分は、履物の少なくとも足先領域に配置されており、第2硬さの材料で形成されている。第1硬さは第2硬さよりも小さい。いくつかの構成では、第2ソール部分は、少なくとも足先領域で、アッパーの外側側部および内側側部へと延びたフランジを含んでいる。
【0009】
履物製品は、着用者の足を受け入れるための足部、および、前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部を有するアッパーと、前記アッパーの前記足部に固定されたソール構造であって、当該ソール構造の内側側部が窪みを区画しているソール構造と、前記アッパーの前記脚部および前記足部にわたって延び、前記ソール構造の前記窪み内へと延びているプレートとを備えていてもよい。
【0010】
前記ソール構造の前記窪みは、当該履物製品のかかと領域から中間領域へと延びていてもよい。
前記プレートは、バックプレートと、前記バックプレートの表面にわたって延びていて前記プレートの外面を形成する覆いとを含んでいてもよい。
前記覆いは、前記バックプレートよりも柔らかい材料で形成されていてもよい。
【0011】
前記覆いは、ゴム材料で形成されていていてもよい。
前記プレートは、当該履物製品の高さの少なくとも90パーセントにわたって延びていてもよい。
前記プレートは、前記足部と前記脚部との間の境界に位置する窪んだ区域を区画していてもよい。
【0012】
当該履物製品は、前記足部に隣接して配置されたシャシーと、前記シャシーから上方に延び、前記脚部に隣接して配置されたビームと、前記シャシーを前記ビームに接合しているヒンジとをさらに含んでいてもよい。
前記ヒンジは、前記ビームと前記シャシーとの間で前方−後方方向に回転運動を可能にしていてもよく、この場合、前記シャシーの一部は、前記足部の下面と前記ソール構造の上面との間に延びていてもよい。
【0013】
前記ソール構造は、(a)当該履物のかかと領域から当該履物の少なくとも中間領域へと延びた第1ソール部分と、(b)当該履物の少なくとも足先領域に配置され、前記第1ソール部分よりも硬い材料で形成された第2ソール部分とを含んでいてもよい。
履物製品は、着用者の足を受け入れるための足部、および、前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部を有するアッパーと、前記アッパーの前記足部に固定されたソール構造と、前記アッパーの前記脚部および前記足部にわたって延び、前記アッパーの内側側部の少なくとも50パーセントを覆っているプレートであって、バックプレート、および、前記バックプレートの表面にわたって延びていて当該プレートの外面を形成する覆いとを含み、前記覆いは前記バックプレートよりも柔らかい材料で形成されているプレートとを備えていてもよい。
【0014】
前記覆いは、ゴム材料で形成されていてもよい。
前記ソール構造の内側側部は、窪みを区画していてもよく、この場合、前記プレートは、前記窪み内へと延びていてもよい。
前記ソール構造の前記窪みは、当該履物製品のかかと領域から中間領域へと延びていてもよい。
【0015】
前記プレートは、当該履物製品の高さの少なくとも90パーセントにわたって延びていてもよい。
履物製品は、アッパーおよび前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であってもよく、この場合、前記ソール構造は、当該履物のかかと領域から、当該履物の少なくとも中間領域まで延びており、当該履物の地面と係止する表面の少なくとも一部を形成し、第1硬さを有する材料で形成されている第1ソール部分と、当該履物の少なくとも足先領域に配置されており、当該履物の地面と係止する前記表面の少なくとも別の部分を形成する第2ソール部分であって、少なくとも前記足先領域において、前記アッパーの外側側部および内側側部へと延びて前記外側側部および前記内側側部に接合されたフランジを含み、第2硬さを有する材料で形成されており、前記第1硬さが前記第2硬さよりも小さい、第2ソール部分とを備えていてもよい。
【0016】
前記第1ソール部分の材料および前記第2ソール部分の材料は、ゴム材料であってもよい。
前記ゴム材料は、異なる密度を有していてもよい。
前記第1ソール部分の上面は、少なくとも前記かかと領域に配置された凹部を区画していてもよく、この場合、ポリマー発泡部材が前記凹部内に配置されていてもよい。
【0017】
前記アッパーは、着用者の足を受け入れる足部、および前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れる脚部を含んでもよく、この場合、前記第1ソール部分の内側側部は、前記かかと領域から少なくとも前記中間領域へと延びる窪みを区画していてもよく、この場合、プレートが、前記アッパーの前記内側側部に配置され、前記アッパーの前記脚部および前記足部にわたって延びているとともに、前記第1ソール部分の前記窪み内へと延びていてもよい。
【0018】
前記プレートは、前記アッパーの前記脚部から前記ソール構造の前記窪みへと、当該履物製品の外面を連続的に形成する覆いを含んでいてもよい。
前記アッパーは、着用者の足を受け入れる足部、および前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れる脚部を含んでもよく、この場合、当該履物製品は、前記足部に隣接して配置されたシャシーと、前記シャシーから上方に延びて前記脚部に隣接して配置されたビームと、前記シャシーを前記ビームに接合するヒンジとをさらに含んでいてもよい。
【0019】
前記ヒンジは、前記外側側部と前記内側側部との間に延びた軸の周りを回転してもよい。
前記シャシーの一部は、前記足部の下面と前記第1ソール部分の上面との間を延びていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ブーツの斜視図である。
【図2】ブーツの斜視図である。
【図3】ブーツの外側側部立面図である。
【図4】ブーツの内側側部立面図である。
【図5】ブーツの前方立面図である。
【図6】ブーツの後方立面図である。
【図7】図3および図4の切断線7により区画した、ブーツの断面図である。
【図8】ブーツのプレートの斜視図である。
【図9】プレートの立面図である。
【図10】図9の切断線10により区画した、プレートの断面図である。
【図11】ブーツの分解斜視図である。
【図12】ブーツのヒンジシステムの斜視図である。
【図13】ブーツのヒンジシステムの斜視図である。
【図14】ヒンジシステムの側方立面図である。
【図15】ヒンジシステムの後方立面図である。
【図16A】図14の切断線16Aにより区画した、ヒンジシステムの断面図である。
【図16B】図14の切断線16Bにより区画した、ヒンジシステムの断面図である。
【図17】ヒンジシステムのシャシーの斜視図である。
【図18】ヒンジシステムのビームの立面図である。
【図19A】ヒンジシステムのヒンジの斜視図である。
【図19B】ヒンジシステムの分解斜視図である。
【図20】ブーツのソール構造の斜視図である。
【図21】ブーツのソール構造の斜視図である。
【図22】ソール構造の分解斜視図である。
【図23】ソール構造の外側側部立面図である。
【図24】ソール構造の内側側部立面図である。
【図25】図24の切断線25により区画した、ソール構造の断面図である。
【図26】図24の切断線26により区画した、ソール構造の断面図である。
【図27】ブーツのラスティングボードの斜視図である。
【図28】ブーツのラスティングボードの斜視図である。
【図29】ラスティングボードの分解斜視図である。
【図30】図27の切断線30により区画した、ラスティングボードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の局面を特徴付ける新規な利点および特徴を、添付の特許請求の範囲で特に指摘する。しかし、新規な利点および特徴を、よりよく理解できるよう、本発明に関連したさまざまな構成および概念を説明および図示する、以下の説明事項および添付図面を参照する場合がある。
添付図面を併せて見ることで、上記説明および下記詳細な説明が、よりよく理解されるであろう。
【0022】
以下の説明および添付図面により、履物製品、特に保護ブーツが開示される。保護ブーツに関連した概念を、トラックレーシング、ロードラリーレーシング、ランドスピードトライアル、耐久レース、フリースタイルモトクロスおよびオブザーブドトライアルなどを含むオートバイ競技を参照して説明する。しかし、保護ブーツに関連した概念は、オートバイ競技用に使用されるブーツ構成に限定されるものではなく、競技者でないオートバイの乗り手用(すなわち、通勤、旅行または観光用)の広い範囲のブーツ構成に組み込まれていてもよく、他の活動(例えば、乗馬、スノーボード、ウェイクボード、サイクリング)用に使用されるブーツ構成に組み込まれていてもよい。ゆえに、本明細書中に開示する概念は、多様なオートバイ活動および他の活動のために使用される履物製品に適合する。全体的な履物構成
保護ブーツ100を、アッパー200およびソール(履物底)構造300を含むものとして、図1〜図7に示している。参照を目的として、保護ブーツ100を、足先領域101、中間領域102およびかかと領域103の3つの一般的な領域に分けることができる。ブーツ100は、外側側部104および内側側部105をも含んでいる。足先領域101は一般に、足指と中足骨を指骨に接続する関節とを含む、足の前方区域に相当するブーツ100の部分を含んでいる。中間領域102は一般に、足のアーチ区域に対応するブーツ100の部分と、くるぶしおよび脚の下部の前方区域とを含んでいる。かかと領域103は、踵骨を含む脚の後部と、くるぶしおよび脚の下部の後方区域とに対応している。外側側部104および内側側部105は、各領域101〜103を貫通しており、ブーツ100の両側に対応している。領域101〜103ならびに側部104および105は、ブーツ100の厳密な区域を区切るためのものではない。むしろ、領域101〜103ならびに側部104および105は、以下の説明における助けとして、ブーツ100の一般的な区域を示すためのものである。ブーツ100に加えて、領域101〜103ならびに側部104および105を、アッパー200、ソール構造300およびそれらの個々の要素に適用してもよい。
【0023】
アッパー200は一般に、着用者の足および脚の一部(すなわち脚の下部)を受け入れる、安定して、心地よく、かつ、保護を与える構造体を形成する構造とされている。アッパー200の大部分は、複数の材料要素(例えば、織物、発泡体、ポリマーシートおよびプレート、革または合成皮革)で形成されており、それらは互いに縫製または接着されて足および脚が配置される内部空洞を区画し、それにより、足および脚の周りに延びる構造体を形成する。アッパー200の特定の区域に、例えば、耐久性、通気性、耐摩耗性、柔軟性および快適性といった特性を付与するために、アッパー200を形成するさまざまな材料要素を選択および配置してもよい。さらに、例えば、材料要素は、足および脚に対する衝撃力を緩和してもよく、足および脚を(たとえば、オートバイエンジンまたは排気システムから)断熱してもよく、かつ、足および脚のねじれを防いでもよい。
【0024】
アッパー200の一般的な区域は、足部201および脚部202を含んでいる。足部201は、足を受け入れるための空洞の区域を形成しており、脚部202は、脚を受け入れるための空洞の区域を形成している。足および脚を安定して配置するために、アッパー200は、内側側部105から外側側部104へと脚部202の前側区域の周りを包んでいる2つの前方フラップ203を含んでおり、アッパー200は、内側側部105から外側側部104へと脚部202の後側区域の周りを包んでいる2つの後方フラップ204を含んでいる。1対のバックル205が、フラップ203および204に固定されており、アッパー200を足および脚の周りに締め付けるのに使用され、それにより足および脚をアッパー200中の空洞内に固定する。別の前方フラップ203が、部201と部202との間の境界の周りを包んでおり、外側側部104で足部201に固定されたバックル205に連結されている。バックル205はまた、緩められて、脚および足をアッパー200の空洞に入れること、ならびに、脚および足をアッパー200の空洞から出すことを可能にしてもよい。上述したように、2つの前方フラップ203は、脚部202の前側区域の周りを包んですねガードを効率よく形成する単一の要素として接合されていてもよい。同様に、後方フラップ204は、脚部202の後側区域の周りを包んでふくらはぎガードを効率よく形成する単一の要素として接合されていてもよい。脚にさらなる保護を与えるために、詰め物、プレートまたは他の保護を与える特徴を、前方フラップ203および後方フラップ204により形成された、すねガードおよびふくらはぎガードに組み込んでもよい。くわえて、かかとの動きを制限するために、ヒールカウンタ(かかと革)206を、かかと領域103において足部201に固定してもよい。
【0025】
以下に、より詳しく説明するように、アッパー200には、ブーツ100にさらなる利点を付与するプレートシステムおよびヒンジシステムが組み込まれている。プレートシステムは足および脚を保護し、また、オートバイ競技中にオートバイをしっかり押えられるようにする。より詳しくは、プレート210が、内側側部105に配置されて、ブーツ100の高さの大部分にわたって延びている。バックプレート211が、アッパー200に固定されていて、保護を与えるために比較的剛性または半剛性の材料で形成されているのに対し、覆い212は、プレート210の外面を形成しており、オートバイをしっかり押えることを支援する、より柔らかい材料で形成されている。ヒンジシステムは、足元支持、直線および横方向の支持、ならびに、衝撃からの保護を与える。さらに、ヒンジシステムは、くるぶし関節周りの足および脚の動きを規制して、ねじれを防ぐ。ヒンジシステムでは、シャシー220が足部201に隣接して配置されており、ビーム(梁)230が、外側側部104で脚部202に隣接して配置されている。ヒンジ240が、シャシー220をビーム230に接合しており、他の方向への動き(すなわち内転および外転)を規制しながら、脚部202が足部201に対して前方−後方方向に回転できるようにしている。
【0026】
ソール構造300は、アッパー200に固定されており、アッパー200と地面との間で延びる構成を有している。一般に、ソール構造300のさまざまな要素は、力を緩和し(すなわち、緩衝を与え)、歩いているおよび走っている間に、ならびにオートバイのさまざまな区域(すなわち、足置き、ブレーキ、ギヤシフタ)に牽引力を与え、かつ、足に保護を与えることができる。以下に、より詳しく説明するように、ソール構造300は、後側ソール部分310および前側ソール部分320を含んでいる。後側ソール部分310は、かかと領域103から少なくとも中間領域102まで延びており、前側ソール部分320は、少なくとも足先領域101に配置されている。ソール部分310および320は、異なる硬さを有する材料で形成されている。より詳しくは、前側ソール部分320は、後側ソール部分310よりも、より硬い、より密度が大きい、または、より柔軟性が低い材料で形成されて、足先領域101中の足に保護を与えてもよい。くわえて、前側ソール部分320はフランジ321を含んでいる。フランジ321は、足先領域101においてアッパー200に向かって延びて、鋼製の足指ガードを必要とせずに足へのさらなる保護を提供する。いくつかの構成では、ソール部分310および320は、機械式のインターロックおよび接着式のインターロックの両方に接合されていてもよい。
プレートシステム構成
プレート210は、個別に図8〜図10に示されており、乗り手とオートバイの側との間に、接触の区域を提供する。オートバイをさまざまに操作しながら、脚の下部および足でオートバイの側部を押えることにより、乗り手は利点を得ることができる。例えば、フリースタイルモトクロス競技中に行われる空中の操作(フリップなど)では、(a)オートバイを適切な位置に保つ、ならびに、(b)空中でオートバイの動きおよび方位を制御するのを助ける点で、乗り手がオートバイの側部に脚の下部を押し付けることから、恩恵を受けることができる。このように、乗り手とオートバイとの間に生じ得る接触の区域を最大にするために、プレート210は、内側側部105に配置され、ブーツ100の高さの大部分にわた
って延びている。さらに、プレート210は、一般に滑らかで連続した構成を有していて、乗り手とオートバイとの間の接触の区域を増し、乗り手のオートバイの感覚を高める。
【0027】
プレート210はさまざまな形状を有していてもよいが、プレート210は、脚部202を垂直に延びる第1長尺区域と、足部201の内側側部105に沿って延びる第2長尺区域とを有するものとして示されている。さらに、プレート210の後方部は、アッパー200およびソール構造300の後方区域の周りを包んで、ブーツ100の後面の一部を形成している。かかと領域103において、プレート210は、比較的幅が狭い1対の窪んだ区域213を含んでおり、これらは、足部201と脚部202との間の境界に配置されている。以下に、より詳しく説明するように、ヒンジシステムは、脚部202が足部201に対して前方−後方方向に(すなわち、足先領域101とかかと領域103との間で)回転できるようにしており、窪んだ区域213はこの動きを促進する。
【0028】
バックプレート211用としてふさわしい材料は、耐久性があり、かつオートバイまたは他の物体とのたび重なる衝撃に耐えることのできる、剛性および半剛性のさまざまなポリマーを含んでいる。バックプレート211用に使用してもよい材料の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン、および、これらの材料の混合物が含まれる。複合材料はまた、プレート210の全体的な強度を高めるために、ガラス繊維または炭素繊維を、上述したポリマー材料に混ぜることにより形成されてもよい。ブーツ100とオートバイの側部との間の摩擦特性を向上させるために、覆い212が、バックプレート211にわたって延びており、プレート210の区域でブーツ100の外面を形成している。剛性および保護を与えるために、バックプレート211が比較的剛性または半剛性の材料で形成されているのに対し、覆い212は、より柔らかい材料で形成されて、オートバイを押えることを支援している。覆い212用としてふさわしい材料は、耐熱性のゴムまたは熱可塑性ゴムである。これは、オートバイと接触する区域で、高い温度にさらされる可能性がある。他のふさわしい材料には、可塑剤とともに使用する場合、上述したポリマーの多くが含まれる。
【0029】
ブーツ100に組み込まれたとき、プレート210は、ブーツ100の高さの大部分にわたって延び、図2に示すように脚部202の幅の大部分をも覆い、それにより、プレート210の区域およびプレート210とオートバイとの間の接触の可能性のある区域を最大にする。より詳しくは、プレート210は、ブーツ100の多くの構成において、ブーツ100の高さの少なくとも50パーセントにわたって延び、内側側部105の少なくとも50パーセントを覆っている。ブーツ100のさらなる構成では、プレート210は、ブーツ100の高さの50〜100パーセントにわたって延びていてもよく、プレート210は、内側側部105の少なくとも20〜70パーセントを覆っていてもよい。しかし、さまざまな図に示すように、プレート210は、ブーツ100の高さの少なくとも90パーセントにわたって延び、内側側部105の少なくとも50パーセントを覆っている。
【0030】
プレート210の大部分は、アッパー200に固定されてアッパー200を覆っており、プレート210の一部は、ソール構造300にわたって延びている。例えば図7および図11を参照して、後側ソール部分310は、プレート210を受け入れる窪み311を区画している。すなわち、プレート210は窪み311内へと延びて、ソール構造300とプレート210との間に面一の外面を形成している。さらに、窪み311は、ソール構造300の高さの大部分にわたって延びており、ソール構造300の高さの少なくとも80パーセントにわたって延びていてもよい。この構成では、プレート210の区域およびプレート210とオートバイとの間の接触の可能性のある区域をさらに最大化するために、プレート310は、ソール構造300の下面(すなわち、地面に係止する表面)に隣接した区域へと延びている。
【0031】
覆い212は、脚部202から窪み311へと、アッパー200の外面を連続的に形成している。すなわち、覆いは、脚部202とソール構造300との間の区域で、実質的に中断されずに、または連続的に存在している。さらに、覆い212は、バックプレート211の全部を覆って、または、バックプレート211の実質的に全部を覆って、プレート210とオートバイとの間の接触の区域を形成する連続した比較的滑らかな表面を形成している。
【0032】
製造に関し、プレート210は、さまざまな鋳造処理を介して形成されてもよい。例えば、バックプレート211を形成する熱可塑性ポリウレタンのシートを加熱して、鋳型内に配置し、プレート210の全体的な外形を形成してもよい。バックプレート211の成形に続いて、覆い212を別の鋳造処理を介して追加してもよい。別の例として、バックプレート211を射出成形してもよく、続く鋳造工程で覆い212を形成してもよい。バックプレート211が熱可塑性ポリマー材料で形成されているブーツ100のいくつかの構成では、バックプレート211は、プレート210をブーツ100の残りに固定するのに先立って加熱されて、それにより、プレート210を軟化し、かつ、アッパー200およびソール構造300の外形に一致するようにプレート210をさらに成形することができてもよい。
【0033】
ブーツ100のさらなる構成では、プレート210は、他のさまざまな構成であってもよい。一例として、覆い212を織って作り、ブーツ100とオートバイの側部との間に、より大きな滑り抵抗を付与してもよい。プレート210はブーツ100の高さにわたって連続して延びているが、複数のプレートまたは区分けしたプレートを使用してもよい。いくつかの構成では、覆い212がなく、プレート210全体がバッキングプレート211で形成されていてもよく、または、バッキングプレート211がなくてもよい。プレート210はブーツ100の高さを90パーセントよりも多くにわたって連続して延びており、内側側部105の50パーセントよりも多くを覆っているが、いくつかの構成では、プレート210は高さまたは幅が、より少なくてもよい。さらに、プレート210は、ソール構造300を越えて延びない、またはソール構造300と連続しない構成を有していてもよい。ゆえに、プレート210のさまざまな特徴は変化してもよい。
ヒンジシステム構成
図12〜図16に示すシャシー220、ビーム230およびヒンジ240の組み合わせにより、ヒンジシステムが形成され、足元支持、直線および横方向の支持、ならびに衝撃保護が与えられる。さらに、シャシー220、ビーム230およびヒンジ240は協働して、くるぶし関節周りの足および脚の動きを規制し、ねじれを防止する。さまざまなオートバイ競技に参加している際に、乗り手は、ブーツ100を地面と接触させて、方向転換を行うのを支援したり、バランスを取ったりする場合があり、それにより、足および脚をかなりの衝撃力またはねじれ力にさらす場合がある。フリースタイルモトクロス中に行われる空中操作に続く着地の際に、足および脚は衝撃力にさらされる場合がある。くわえて、激突、衝突または他の危険な出来事の際に、足および脚にかなりの衝撃力またはねじれ力が生じる場合がある。シャシー220に支持されたビーム230が脚部202に沿って延びているので、衝撃力は、くるぶし関節または足に集中されずに、脚の下部の長さに沿って分散される。また、ヒンジ240がビーム230を前方−後方方向に主に回転できるようにしているため、ねじれまたは横方向運動(すなわち外転および内転)が規制される。したがって、ヒンジシステムは、足および脚に前方−後方方向の比較的自然な運動の範囲を与えながら、足および脚を保護する。
【0034】
図17に単独で示されたシャシー220は、足部201に隣接して配置されており、足元部分221および足側方部分222を含んでいる。足元部分221は大略的に水平に向けられており、足部201の下面とソール構造300の上面との間を延びている。足元部分221は、足輪郭の大略的な形状を有しており、ソール構造300の上面の大部分を覆っているが、足元部分221は、ブーツ100の特定の区域に制限(すなわち、中間領域102または領域102および103の両方に制限)されていてもよい。足輪郭の大略的な形状を足元部分221に与えること、および、ソール構造300の上面の大部分を覆うことの利点は、足元部分221が足に支持を与え、それにより、足のねじれ、曲げおよび変形に抵抗することにある。足側方部分222は大略的に垂直に向けられており、足部201の外側側部104に沿って延びている。足側方部分222はブーツ100の外部で露出するものとして示されているが、足側方部分222はまた、アッパー200を形成する材料要素に組み込まれていてもよい。足側方部分222の上側区域は開口223を区画しており、開口223はヒンジ240を受け入れて、それにより、ビーム230とシャシー220とを互いに結合している。追加の事項として、シャシー220は一体の(すなわち単品の)構造体で形成されていてもよい。すなわち、部分221および222は、力が部分221および222の間で効率的に移動することができるように、単独の要素で形成されている。
【0035】
図18に単独で示されたビーム230は、外側側部104で脚部202に隣接して配置されている。シャシー220の開口223と同様に、ビーム230は、ヒンジ240を受け入れる開口231を区画している。一般に、ビーム230は、ヒンジ240から脚部202の上側区域に延びた長さを有する長尺の構成を有している。より詳しくは、ビーム230は、前方フラップ203の下方を延びており、前方フラップ203に固定されていてもよい。いくつかの構成では、ビーム230はまた、バックル205の一方または両方の一部を形成していてもよい。ビーム230は、直線的で輪郭に沿わない構成を有していてもよいが、ビーム230は、脚部202の大略的な外形に一致した輪郭を有するものとして示されており、それにより、ビーム230は、脚部202の外面に沿うことができる。しかし、シャシー220と同様に、ビーム230は、アッパー200を形成する材料要素に組み込まれていてもよい。
【0036】
上述したように、ビーム230は、脚部202の上側区域へと延びた長さを有している。図に示すように、ビーム230は、脚部202の高さの約80パーセントにわたって延びているが、脚部202の高さ全部または脚部202の高さの少なくとも50パーセントにわたって延びていてもよい。ビーム230が脚部202の高さの少なくとも50パーセントにわたって延びるようにすることの利点は、(a)脚部202の圧縮力が、シャシー220を介してソール構造300に効率よく伝わること、および、(b)ビーム230が脚部202の大半を通じて、ねじれまたは横方向の
力に効率的に抵抗できることにある。
【0037】
シャシー220およびビーム230はそれぞれ、さまざまなポリマー材料、複合材料および金属を含むさまざまな材料で形成されていてもよい。より詳しくは、シャシー220およびビーム230は、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン、および、これらの材料の混合物で形成されていてもよい。複合材料はまた、シャシー220およびビーム230を含むヒンジシステムの全体的な強度を高めるために、ガラス繊維または炭素繊維を、上述したポリマー材料に混ぜることにより形成されてもよい。ブーツ100のいくつかの構成では、シャシー220およびビーム230はまた、アルミニウム、チタンまたは鋼で形成されていてもよい。シャシー220およびビーム230は同じ材料(例えば、ポリウレタンと炭素繊維との複合物)で形成されていてもよいが、シャシー220およびビーム230は異なる材料(例えば、複合物およびアルミニウム)で形成されていてもよい。
【0038】
ヒンジ240は、図19Aおよび図19Bに単独で示されており、シャシー220をビーム230と結合している。一般に、ヒンジ240は、アッパー200と接触するように配置された内側部分241と、アッパー200の外部で露出され、ブーツ100の反対側を向いた外側部分242と、部分241と部分242との間に配置された中間部分とを含む3部構成を有している。組み合わされて、部分241〜243は、周方向の窪み244を有する円筒形状をヒンジ240に付与する。すなわち、窪み244は、ヒンジ240の外周を巡って延びており、部分241〜243のそれぞれで部分的に形成されていてもよい。シャシー220およびビーム230と組み合わされる際、開口223および231はそれぞれ、窪み244の周りおよび窪み244内に配置され、ネジ、ナットまたは他のコネクタ245が、部分241および242を互いにしっかりと接合するために使用されてもよい。いくつかの構成には存在しないが、1対のワッシャ246も、窪み244の周りおよび中間部分243の反対側に配置されていてもよい。部分241〜243およびワッシャ246にふさわしい材料には、さまざまなポリマー(例えばナイロン、ポリウレタン)および金属(例えば、アルミニウム、チタンまたは鋼)が含まれる。
【0039】
ヒンジ240は、ビーム230が前方−後方方向に主に回転するのを可能にするが、ヒンジ240の構造はまた、前方−後方方向の過度の回転を制限してもよい。例えば図19Bを参照して、外側部分242は突起247を含んでおり、中間部分243は凹み248を形成している。また、シャシー220は、開口223内に凹み225を形成しており、ビーム230は、開口231内に凹み232を形成している。結合されたときに、この構成により、ビーム230がシャシー220に対して前方−後方方向に回転できる程度が制限される。回転を制限することは有益であり得るが、前方−後方方向への規制されない回転を可能にするために、ブーツ100のいくつかの構成では、この構造は存在していなくてもよい。
【0040】
上述したヒンジシステムの構造に基づき、シャシー220、ビーム230およびヒンジ240は、ブーツ100に重要な構造上の支持を与える。シャシー220の足元部分221は、足の下方を延びて、足を支持する比較的剛性の構造体を形成する。ビーム230は、脚部202に沿って延び、くるぶし関節または足に衝撃力を集中させる代わりに、足の下部の長さに沿って衝撃力を分散する。さらに、ビーム230はシャシー220に対してヒンジ240を中心に回転してもよく、それにより、脚部202が、足部201に対して前方−後方方向に(すなわち、足先領域101とかかと領域103との間で、または、側部104と側部105との間に延びる軸周りに)回転できるようにしながら、内側側部−外側側部方向への(すなわち、側部104と側部105との間に延びる方向への)ねじれた動きおよび運動を規制する。したがって、ヒンジシステムは、足元支持、直線および横方向への支持、ならびに衝撃保護を提供する。
【0041】
上述し、図に示すヒンジシステムの全体的な構成は、ブーツ100に適した構成の一例を示している。しかし、シャシー220、ビーム230およびヒンジ240のさまざまな特徴は大きく変化してもよい。例えば、シャシー220はまた、ソール構造300に組み込まれて、その結果、足元部分221が、ソール部分310および320内へと延びていても、または、成形されていてもよい。ビーム230はまた、脚部220の、より大きな表面区域にわたって延びて、それにより、脚の下部の側部に追加の衝撃保護を与えるプレートを形成していてもよい。くわえて、ヒンジ240は、シャシー220とビーム230との間の回転運動を可能にするさまざまな他の構成を有していてもよい。
ソール構造構成
ソール構造300は、図20〜図26に単独で示されており、後側ソール部分310および前側ソール部分320を含むカップソールの構成を有している。上述したように、後側ソール部分310は、かかと領域103から少なくとも中間領域102まで延びており、プレート210を受け入れプレート210と接合する窪み311を区画してもいる。少なくともかかと領域103で、後側ソール部分310は、空洞312を含んでもいる。空洞312は、圧縮して力を弱める(すなわち緩衝を与える)ポリマー発泡体(例えばポリウレタンまたはエチルビニルアセテート)インサート(挿入体)313を受け入れるが、空洞312およびインサート313は、ブーツ100のいくつかの構成では存在していなくてもよい。後側ソール部分310の下側表面は、歩いているおよび走っている間に、ならびにオートバイのさまざまな区域(すなわち、足置き、ブレーキ、ギヤシフタ)に牽引力を与えるために、織られていてもよい。これも上述したように、前側ソール部分320は、少なくとも足先領域101に配置されており、フランジ321を形成している。フランジ321は、鋼製の足指ガードを必要とせずに保護を与えるために、足先領域101においてアッパー200へと延びている。
【0042】
ソール部分310および320は、さまざまな材料で形成されていてもよい。一例として、後側ソール部分310はゴムで形成されていてもよく、前側ソール部分320は熱可塑性ポリウレタンで形成されていてもよい。別の例として、ソール部分310および320はそれぞれ、異なる硬さを有するゴム材料で形成されていてもよい。より詳しくは、前側ソール部分320は、足先領域101で(特にフランジ321の区域で)足に保護を与えるために、後側ソール部分310よりも、より硬い、より密度が大きい、または柔軟性のより低いゴム材料で形成されていてもよい。後側ソール部分310を、より柔らかく、より密度が低く、かつ、より柔軟なゴム材料で形成することにより、後側ソール部分310の力減衰特性が高められていてもよい。くわえて、この構成により、振動制動、乗り手のオートバイの感覚、および足置きの引き付け(すなわち、ブーツ100がオートバイの足置きを押える能力)を高めることができる。ふさわしい材料の別の例として、後側ソール部分310はゴムで形成されていてもよく、前側ソール部分320は、ゴムよりも大きな硬さを有する熱可塑性ポリウレタンで形成されていてもよい。ソール部分310および320を形成する材料はまた、ブーツ100の地面に係止する表面を形成していてもよいが、追加のミッドソール要素をソール部分310および320の一方または両方に固定してもよい。
【0043】
ソール構造300を製造するのにさまざまな方法を使用してもよい。一例として、単一の鋳型内でソール部分310および320を同時に形成するために、二重射出技術を使用してもよい。すなわち、異なる材料を鋳型に射出して、ソール部分310および320の両方を形成してもよい。別の例として、ソール部分310および320を別個に形成し、機械的な噛み合わせおよび接着による噛み合わせの両方を介して接合してもよい。図22を参照して、ソール部分310とソール部分320との間の境界は、要素同士の間に機械的な噛み合わせを与える良好な構成を有している。すなわち、後側ソール部分310および前側ソール部分320は、ソール部分310および320を互いに適切に接合するよう噛み合わされる対応する窪み、突起および他の輪郭を有するよう、別個に形成されている。後側ソール部分310は、ソール構造300の中央区域の上側および下側表面の両方を形成しており、前側ソール部分320は、ソール構造300の周辺に沿って、ソール構造300の上側および下側表面の両方を形成している。さらに、後側ソール部分310は、後側ソール部分310の対応する窪みと噛み合わさる突起を、側部104および105のそれぞれに形成している。ゆえに、本明細書で使用される際、「機械的な噛み合わせ」という用語またはその変化形は、ソール部分310および320と同様に、対応する噛み合わせ形状を含むよう別個に形成された要素の接合と定義される。ソール部分310および320をさらに接合するために、接着による噛み合わせも使用される。ゆえに、本明細書で使用される際、「接着による噛み合わせ」という用語またはその変化形は、接着剤、熱接触加熱、または、接着剤と熱接触加熱との組み合わせによる要素の接合と定義される。
【0044】
ソール構造300はアッパー200に固定されており、アッパー200と地面との間で延びた構成を有している。アッパー200はソール構造300の上面に直接固定されていてもよいが、シャシー220の足元部分221は、アッパー200の少なくとも一部とソール構造300との間を延びている。ソール構造300はカップソールの構成を有しているため、ソール構造300は高くなった周辺部を含んでおり、高くなった周辺部はアッパー200と、つなげられて接着されていても、縫製されていても、または、他のやり方で接合されていてもよい。
ブーツの製造
さまざまな靴型にはめる方法または他の製造工程を、ブーツ100を形成する際に使用してもよい。一般に、アッパー200およびソール構造300は、個別に形成され次いで接合されて、ブーツ100の製造を完了してもよい。より詳しくは、アッパー200を形成するさまざまな材料要素は、靴型の周りで互いに縫製または接着されて、足および脚が配置される内部空洞を区画してもよい。この段階で、シャシー220、ビーム230およびヒンジ240を含むヒンジシステムが、アッパー200に接合されてもよい。次いで、ソール構造300が、例えば接着または縫製により、アッパー200に固定されてもよい。次いで、プレート210が、アッパー200およびソール構造300のそれぞれに(すなわち窪み311内で)接合されてもよい。最後に、中敷207(図7参照)または他の快適性を高める素子が、アッパー200内に、および、空洞の下側区域に隣接して配置されてもよい。
【0045】
アッパー200のさらなる特徴は、図27〜図30に示すように、ラスティング(内張り)ボード250に関連している。ラスティングボード250は、アッパー200の組み立ての際に、内張り方法に使用される。一般に、ラスティングボード250は、アッパー200の組み立ての際に、内張りの下面に接触して置かれる。アッパー200内に空洞を形成するために互いに縫製または接着されるさまざまな材料要素(例えば、織物、発泡体、ポリマーシートおよびプレート、革または合成皮革)は、図7の断面図に示されるように、ラスティングボード250の周辺部に接合されてもよい。すなわち、ラスティングボード250は、アッパー200の下側区域を形成してもよく、ブーツ100内にある足を効果的に支持する。
【0046】
ラスティングボード250は、ベース要素251、流体を充填したブラダ252、および、1対のネジ溝を切ったコネクタ253を含んでいる。ベース要素251は、ラスティングボード250の周辺部、ラスティングボード250の上面の一部およびラスティングボード250の下面の大部分を形成する固体のポリマー材料またはポリマー発泡材料(例えば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)で形成されていてもよい。ラスティングボード250の上面は、窪んだ区域を形成しており、窪んだ区域にブラダ252が配置されている。上記特許文献1に開示されているように、ブラダ252は、内部伸張部材を組み込んだ、気体を充填し加圧した構造体であってもよい。一般に、ブラダ252は、ラスティングボード250の長さおよび幅の大部分を貫通して、足の下方を延びる圧縮性の快適な表面を提供してもよい。他の構成では、ブラダ252は、さまざまな他の構成を有していてもよく、加圧されていなくてもよく、液体もしくはゲル状の材料を充填されていてもよく、または、存在していなくてもよい。コネクタ253は、ベース要素251の下面内に固定されて、シャシー220をラスティングボード250に固定するのに使用されている。より詳しくは、ボルトが、足元部分221において1対の開口224を貫通し、コネクタ253とつながっていてもよい。コネクタ253は、大略的に犬の骨形状(すなわち、中央の接続領域を有する端が丸くされた区域)を有する単一の要素として形成されていてもよいが、コネクタ253はまた、ネジ溝を切った別個の要素であってもよい。シャシー220をラスティングボード250に固定したときに、ソール構造300が接合されてもよい。
【0047】
さまざまな構成を参照しながら、上記および添付図面に本発明を開示した。しかし、本開示が果たす目的は、本発明に関連したさまざまな特徴および概念の例を提供することであって、本発明の範囲を限定することではない。添付の特許請求の範囲に定義するように、本発明の範囲を逸脱することなしに、多数の変形および修正を上記構成に対して行うことができることを、当業者は理解するであろう。
【技術分野】
【0001】
この発明は、着用者の足を保護する履物製品に関する。
【背景技術】
【0002】
オートバイ競技者は、トラックレーシング、ロードラリーレーシング、ランドスピードトライアル、耐久レース、フリースタイルモトクロスおよびオブザーブドトライアルなどを含むさまざまなオートバイ競技に参加する場合がある。これらのオートバイ競技のいずれかの最中、および、練習またはトレーニング中に、乗り手は、障害物および地面からの衝撃、ならびに、乗り手のオートバイおよび他のオートバイまたは乗り物との接触から生じるさまざまな危害に直面する。競技者でないオートバイの乗り手であっても、通勤、旅行または観光中に類似した危険に直面する場合がある。これらの危害または危険から身を守るため、オートバイの乗り手はしばしば、ヘルメット、ブレース(手甲)、パッドまたはプレートを組み込んだシャツおよびズボン、グローブならびにブーツを含む保護衣類を着用する。
【0003】
上述したさまざまな種類の保護衣類はそれぞれ、乗り手に保護を与える特徴を組み込むよう設計されている。一例として、オートバイ競技中に着用されるブーツはしばしば、さまざまなパッドならびに剛性の構造体(例えばブレースおよびプレート)を含んでおり、これらは、足および脚の下部を衝撃またはねじり力から保護する。このようなブーツはまた、地面またはオートバイの部分との接触から来る磨耗に耐える耐久性のソール(履物の底)を組み込んでいてもよい。さらに、これらのブーツは、ブーツの足先区域での破れ、および、変形または潰れを防ぐ鋼製の足指ガードと一体にされていてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,076,891号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ブーツの構成を有する履物製品を以下に開示する。この履物はアッパーおよびソール(履物の底)構造を含んでいる。アッパーは、着用者の足を受け入れるための足部と、着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部とを有しており、ソール構造は、足部の下側区域に固定されている。履物の構成は大きく変化してもよいが、履物は、プレートシステム、ヒンジシステム、および、異なる硬さ、剛性または密度の材料で形成されたソール構造の少なくとも1つを含んでいる。
【0006】
プレートシステムは、アッパーの脚部の内側側部および足部の内側側部にわたって延びたプレートを含んでいてもよく、ソール構造の窪み内へと延びて、それによりソール構造の一部を覆っていてもよい。いくつかの構成では、プレートシステムは、プレートの材料よりも柔らかいゴムまたは別の材料で形成された覆いを含んでおり、覆いは、プレートの区域でアッパーの外面を形成している。
【0007】
ヒンジシステムは、シャシー、ビーム(梁)およびヒンジを含んでいてもよい。シャシーは、足部に固定されており、アッパーの外側側部に配置されている。いくつかの構成では、シャシーはまた、足部の下側区域の下方を、または足部の下側区域に隣接して、延びている。ビームは、脚部の外側側部に隣接して延びており、ヒンジがシャシーをビームに接合している。ヒンジは、ビームとシャシーとの間で、前方−後方方向の回転運動を可能にしていてもよいが、ビームとシャシーとの間で、内側側部−外側側部方向の回転運動(すなわち、内転および外転(回外))を規制していてもよい。
【0008】
ソール構造は第1および第2ソール部分を含んでいてもよい。第1ソール部分は、履物のかかと領域から少なくとも履物の中間領域まで延びており、第1硬さの材料で形成されている。第2ソール部分は、履物の少なくとも足先領域に配置されており、第2硬さの材料で形成されている。第1硬さは第2硬さよりも小さい。いくつかの構成では、第2ソール部分は、少なくとも足先領域で、アッパーの外側側部および内側側部へと延びたフランジを含んでいる。
【0009】
履物製品は、着用者の足を受け入れるための足部、および、前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部を有するアッパーと、前記アッパーの前記足部に固定されたソール構造であって、当該ソール構造の内側側部が窪みを区画しているソール構造と、前記アッパーの前記脚部および前記足部にわたって延び、前記ソール構造の前記窪み内へと延びているプレートとを備えていてもよい。
【0010】
前記ソール構造の前記窪みは、当該履物製品のかかと領域から中間領域へと延びていてもよい。
前記プレートは、バックプレートと、前記バックプレートの表面にわたって延びていて前記プレートの外面を形成する覆いとを含んでいてもよい。
前記覆いは、前記バックプレートよりも柔らかい材料で形成されていてもよい。
【0011】
前記覆いは、ゴム材料で形成されていていてもよい。
前記プレートは、当該履物製品の高さの少なくとも90パーセントにわたって延びていてもよい。
前記プレートは、前記足部と前記脚部との間の境界に位置する窪んだ区域を区画していてもよい。
【0012】
当該履物製品は、前記足部に隣接して配置されたシャシーと、前記シャシーから上方に延び、前記脚部に隣接して配置されたビームと、前記シャシーを前記ビームに接合しているヒンジとをさらに含んでいてもよい。
前記ヒンジは、前記ビームと前記シャシーとの間で前方−後方方向に回転運動を可能にしていてもよく、この場合、前記シャシーの一部は、前記足部の下面と前記ソール構造の上面との間に延びていてもよい。
【0013】
前記ソール構造は、(a)当該履物のかかと領域から当該履物の少なくとも中間領域へと延びた第1ソール部分と、(b)当該履物の少なくとも足先領域に配置され、前記第1ソール部分よりも硬い材料で形成された第2ソール部分とを含んでいてもよい。
履物製品は、着用者の足を受け入れるための足部、および、前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部を有するアッパーと、前記アッパーの前記足部に固定されたソール構造と、前記アッパーの前記脚部および前記足部にわたって延び、前記アッパーの内側側部の少なくとも50パーセントを覆っているプレートであって、バックプレート、および、前記バックプレートの表面にわたって延びていて当該プレートの外面を形成する覆いとを含み、前記覆いは前記バックプレートよりも柔らかい材料で形成されているプレートとを備えていてもよい。
【0014】
前記覆いは、ゴム材料で形成されていてもよい。
前記ソール構造の内側側部は、窪みを区画していてもよく、この場合、前記プレートは、前記窪み内へと延びていてもよい。
前記ソール構造の前記窪みは、当該履物製品のかかと領域から中間領域へと延びていてもよい。
【0015】
前記プレートは、当該履物製品の高さの少なくとも90パーセントにわたって延びていてもよい。
履物製品は、アッパーおよび前記アッパーに固定されたソール構造を有する履物製品であってもよく、この場合、前記ソール構造は、当該履物のかかと領域から、当該履物の少なくとも中間領域まで延びており、当該履物の地面と係止する表面の少なくとも一部を形成し、第1硬さを有する材料で形成されている第1ソール部分と、当該履物の少なくとも足先領域に配置されており、当該履物の地面と係止する前記表面の少なくとも別の部分を形成する第2ソール部分であって、少なくとも前記足先領域において、前記アッパーの外側側部および内側側部へと延びて前記外側側部および前記内側側部に接合されたフランジを含み、第2硬さを有する材料で形成されており、前記第1硬さが前記第2硬さよりも小さい、第2ソール部分とを備えていてもよい。
【0016】
前記第1ソール部分の材料および前記第2ソール部分の材料は、ゴム材料であってもよい。
前記ゴム材料は、異なる密度を有していてもよい。
前記第1ソール部分の上面は、少なくとも前記かかと領域に配置された凹部を区画していてもよく、この場合、ポリマー発泡部材が前記凹部内に配置されていてもよい。
【0017】
前記アッパーは、着用者の足を受け入れる足部、および前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れる脚部を含んでもよく、この場合、前記第1ソール部分の内側側部は、前記かかと領域から少なくとも前記中間領域へと延びる窪みを区画していてもよく、この場合、プレートが、前記アッパーの前記内側側部に配置され、前記アッパーの前記脚部および前記足部にわたって延びているとともに、前記第1ソール部分の前記窪み内へと延びていてもよい。
【0018】
前記プレートは、前記アッパーの前記脚部から前記ソール構造の前記窪みへと、当該履物製品の外面を連続的に形成する覆いを含んでいてもよい。
前記アッパーは、着用者の足を受け入れる足部、および前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れる脚部を含んでもよく、この場合、当該履物製品は、前記足部に隣接して配置されたシャシーと、前記シャシーから上方に延びて前記脚部に隣接して配置されたビームと、前記シャシーを前記ビームに接合するヒンジとをさらに含んでいてもよい。
【0019】
前記ヒンジは、前記外側側部と前記内側側部との間に延びた軸の周りを回転してもよい。
前記シャシーの一部は、前記足部の下面と前記第1ソール部分の上面との間を延びていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ブーツの斜視図である。
【図2】ブーツの斜視図である。
【図3】ブーツの外側側部立面図である。
【図4】ブーツの内側側部立面図である。
【図5】ブーツの前方立面図である。
【図6】ブーツの後方立面図である。
【図7】図3および図4の切断線7により区画した、ブーツの断面図である。
【図8】ブーツのプレートの斜視図である。
【図9】プレートの立面図である。
【図10】図9の切断線10により区画した、プレートの断面図である。
【図11】ブーツの分解斜視図である。
【図12】ブーツのヒンジシステムの斜視図である。
【図13】ブーツのヒンジシステムの斜視図である。
【図14】ヒンジシステムの側方立面図である。
【図15】ヒンジシステムの後方立面図である。
【図16A】図14の切断線16Aにより区画した、ヒンジシステムの断面図である。
【図16B】図14の切断線16Bにより区画した、ヒンジシステムの断面図である。
【図17】ヒンジシステムのシャシーの斜視図である。
【図18】ヒンジシステムのビームの立面図である。
【図19A】ヒンジシステムのヒンジの斜視図である。
【図19B】ヒンジシステムの分解斜視図である。
【図20】ブーツのソール構造の斜視図である。
【図21】ブーツのソール構造の斜視図である。
【図22】ソール構造の分解斜視図である。
【図23】ソール構造の外側側部立面図である。
【図24】ソール構造の内側側部立面図である。
【図25】図24の切断線25により区画した、ソール構造の断面図である。
【図26】図24の切断線26により区画した、ソール構造の断面図である。
【図27】ブーツのラスティングボードの斜視図である。
【図28】ブーツのラスティングボードの斜視図である。
【図29】ラスティングボードの分解斜視図である。
【図30】図27の切断線30により区画した、ラスティングボードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の局面を特徴付ける新規な利点および特徴を、添付の特許請求の範囲で特に指摘する。しかし、新規な利点および特徴を、よりよく理解できるよう、本発明に関連したさまざまな構成および概念を説明および図示する、以下の説明事項および添付図面を参照する場合がある。
添付図面を併せて見ることで、上記説明および下記詳細な説明が、よりよく理解されるであろう。
【0022】
以下の説明および添付図面により、履物製品、特に保護ブーツが開示される。保護ブーツに関連した概念を、トラックレーシング、ロードラリーレーシング、ランドスピードトライアル、耐久レース、フリースタイルモトクロスおよびオブザーブドトライアルなどを含むオートバイ競技を参照して説明する。しかし、保護ブーツに関連した概念は、オートバイ競技用に使用されるブーツ構成に限定されるものではなく、競技者でないオートバイの乗り手用(すなわち、通勤、旅行または観光用)の広い範囲のブーツ構成に組み込まれていてもよく、他の活動(例えば、乗馬、スノーボード、ウェイクボード、サイクリング)用に使用されるブーツ構成に組み込まれていてもよい。ゆえに、本明細書中に開示する概念は、多様なオートバイ活動および他の活動のために使用される履物製品に適合する。全体的な履物構成
保護ブーツ100を、アッパー200およびソール(履物底)構造300を含むものとして、図1〜図7に示している。参照を目的として、保護ブーツ100を、足先領域101、中間領域102およびかかと領域103の3つの一般的な領域に分けることができる。ブーツ100は、外側側部104および内側側部105をも含んでいる。足先領域101は一般に、足指と中足骨を指骨に接続する関節とを含む、足の前方区域に相当するブーツ100の部分を含んでいる。中間領域102は一般に、足のアーチ区域に対応するブーツ100の部分と、くるぶしおよび脚の下部の前方区域とを含んでいる。かかと領域103は、踵骨を含む脚の後部と、くるぶしおよび脚の下部の後方区域とに対応している。外側側部104および内側側部105は、各領域101〜103を貫通しており、ブーツ100の両側に対応している。領域101〜103ならびに側部104および105は、ブーツ100の厳密な区域を区切るためのものではない。むしろ、領域101〜103ならびに側部104および105は、以下の説明における助けとして、ブーツ100の一般的な区域を示すためのものである。ブーツ100に加えて、領域101〜103ならびに側部104および105を、アッパー200、ソール構造300およびそれらの個々の要素に適用してもよい。
【0023】
アッパー200は一般に、着用者の足および脚の一部(すなわち脚の下部)を受け入れる、安定して、心地よく、かつ、保護を与える構造体を形成する構造とされている。アッパー200の大部分は、複数の材料要素(例えば、織物、発泡体、ポリマーシートおよびプレート、革または合成皮革)で形成されており、それらは互いに縫製または接着されて足および脚が配置される内部空洞を区画し、それにより、足および脚の周りに延びる構造体を形成する。アッパー200の特定の区域に、例えば、耐久性、通気性、耐摩耗性、柔軟性および快適性といった特性を付与するために、アッパー200を形成するさまざまな材料要素を選択および配置してもよい。さらに、例えば、材料要素は、足および脚に対する衝撃力を緩和してもよく、足および脚を(たとえば、オートバイエンジンまたは排気システムから)断熱してもよく、かつ、足および脚のねじれを防いでもよい。
【0024】
アッパー200の一般的な区域は、足部201および脚部202を含んでいる。足部201は、足を受け入れるための空洞の区域を形成しており、脚部202は、脚を受け入れるための空洞の区域を形成している。足および脚を安定して配置するために、アッパー200は、内側側部105から外側側部104へと脚部202の前側区域の周りを包んでいる2つの前方フラップ203を含んでおり、アッパー200は、内側側部105から外側側部104へと脚部202の後側区域の周りを包んでいる2つの後方フラップ204を含んでいる。1対のバックル205が、フラップ203および204に固定されており、アッパー200を足および脚の周りに締め付けるのに使用され、それにより足および脚をアッパー200中の空洞内に固定する。別の前方フラップ203が、部201と部202との間の境界の周りを包んでおり、外側側部104で足部201に固定されたバックル205に連結されている。バックル205はまた、緩められて、脚および足をアッパー200の空洞に入れること、ならびに、脚および足をアッパー200の空洞から出すことを可能にしてもよい。上述したように、2つの前方フラップ203は、脚部202の前側区域の周りを包んですねガードを効率よく形成する単一の要素として接合されていてもよい。同様に、後方フラップ204は、脚部202の後側区域の周りを包んでふくらはぎガードを効率よく形成する単一の要素として接合されていてもよい。脚にさらなる保護を与えるために、詰め物、プレートまたは他の保護を与える特徴を、前方フラップ203および後方フラップ204により形成された、すねガードおよびふくらはぎガードに組み込んでもよい。くわえて、かかとの動きを制限するために、ヒールカウンタ(かかと革)206を、かかと領域103において足部201に固定してもよい。
【0025】
以下に、より詳しく説明するように、アッパー200には、ブーツ100にさらなる利点を付与するプレートシステムおよびヒンジシステムが組み込まれている。プレートシステムは足および脚を保護し、また、オートバイ競技中にオートバイをしっかり押えられるようにする。より詳しくは、プレート210が、内側側部105に配置されて、ブーツ100の高さの大部分にわたって延びている。バックプレート211が、アッパー200に固定されていて、保護を与えるために比較的剛性または半剛性の材料で形成されているのに対し、覆い212は、プレート210の外面を形成しており、オートバイをしっかり押えることを支援する、より柔らかい材料で形成されている。ヒンジシステムは、足元支持、直線および横方向の支持、ならびに、衝撃からの保護を与える。さらに、ヒンジシステムは、くるぶし関節周りの足および脚の動きを規制して、ねじれを防ぐ。ヒンジシステムでは、シャシー220が足部201に隣接して配置されており、ビーム(梁)230が、外側側部104で脚部202に隣接して配置されている。ヒンジ240が、シャシー220をビーム230に接合しており、他の方向への動き(すなわち内転および外転)を規制しながら、脚部202が足部201に対して前方−後方方向に回転できるようにしている。
【0026】
ソール構造300は、アッパー200に固定されており、アッパー200と地面との間で延びる構成を有している。一般に、ソール構造300のさまざまな要素は、力を緩和し(すなわち、緩衝を与え)、歩いているおよび走っている間に、ならびにオートバイのさまざまな区域(すなわち、足置き、ブレーキ、ギヤシフタ)に牽引力を与え、かつ、足に保護を与えることができる。以下に、より詳しく説明するように、ソール構造300は、後側ソール部分310および前側ソール部分320を含んでいる。後側ソール部分310は、かかと領域103から少なくとも中間領域102まで延びており、前側ソール部分320は、少なくとも足先領域101に配置されている。ソール部分310および320は、異なる硬さを有する材料で形成されている。より詳しくは、前側ソール部分320は、後側ソール部分310よりも、より硬い、より密度が大きい、または、より柔軟性が低い材料で形成されて、足先領域101中の足に保護を与えてもよい。くわえて、前側ソール部分320はフランジ321を含んでいる。フランジ321は、足先領域101においてアッパー200に向かって延びて、鋼製の足指ガードを必要とせずに足へのさらなる保護を提供する。いくつかの構成では、ソール部分310および320は、機械式のインターロックおよび接着式のインターロックの両方に接合されていてもよい。
プレートシステム構成
プレート210は、個別に図8〜図10に示されており、乗り手とオートバイの側との間に、接触の区域を提供する。オートバイをさまざまに操作しながら、脚の下部および足でオートバイの側部を押えることにより、乗り手は利点を得ることができる。例えば、フリースタイルモトクロス競技中に行われる空中の操作(フリップなど)では、(a)オートバイを適切な位置に保つ、ならびに、(b)空中でオートバイの動きおよび方位を制御するのを助ける点で、乗り手がオートバイの側部に脚の下部を押し付けることから、恩恵を受けることができる。このように、乗り手とオートバイとの間に生じ得る接触の区域を最大にするために、プレート210は、内側側部105に配置され、ブーツ100の高さの大部分にわた
って延びている。さらに、プレート210は、一般に滑らかで連続した構成を有していて、乗り手とオートバイとの間の接触の区域を増し、乗り手のオートバイの感覚を高める。
【0027】
プレート210はさまざまな形状を有していてもよいが、プレート210は、脚部202を垂直に延びる第1長尺区域と、足部201の内側側部105に沿って延びる第2長尺区域とを有するものとして示されている。さらに、プレート210の後方部は、アッパー200およびソール構造300の後方区域の周りを包んで、ブーツ100の後面の一部を形成している。かかと領域103において、プレート210は、比較的幅が狭い1対の窪んだ区域213を含んでおり、これらは、足部201と脚部202との間の境界に配置されている。以下に、より詳しく説明するように、ヒンジシステムは、脚部202が足部201に対して前方−後方方向に(すなわち、足先領域101とかかと領域103との間で)回転できるようにしており、窪んだ区域213はこの動きを促進する。
【0028】
バックプレート211用としてふさわしい材料は、耐久性があり、かつオートバイまたは他の物体とのたび重なる衝撃に耐えることのできる、剛性および半剛性のさまざまなポリマーを含んでいる。バックプレート211用に使用してもよい材料の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン、および、これらの材料の混合物が含まれる。複合材料はまた、プレート210の全体的な強度を高めるために、ガラス繊維または炭素繊維を、上述したポリマー材料に混ぜることにより形成されてもよい。ブーツ100とオートバイの側部との間の摩擦特性を向上させるために、覆い212が、バックプレート211にわたって延びており、プレート210の区域でブーツ100の外面を形成している。剛性および保護を与えるために、バックプレート211が比較的剛性または半剛性の材料で形成されているのに対し、覆い212は、より柔らかい材料で形成されて、オートバイを押えることを支援している。覆い212用としてふさわしい材料は、耐熱性のゴムまたは熱可塑性ゴムである。これは、オートバイと接触する区域で、高い温度にさらされる可能性がある。他のふさわしい材料には、可塑剤とともに使用する場合、上述したポリマーの多くが含まれる。
【0029】
ブーツ100に組み込まれたとき、プレート210は、ブーツ100の高さの大部分にわたって延び、図2に示すように脚部202の幅の大部分をも覆い、それにより、プレート210の区域およびプレート210とオートバイとの間の接触の可能性のある区域を最大にする。より詳しくは、プレート210は、ブーツ100の多くの構成において、ブーツ100の高さの少なくとも50パーセントにわたって延び、内側側部105の少なくとも50パーセントを覆っている。ブーツ100のさらなる構成では、プレート210は、ブーツ100の高さの50〜100パーセントにわたって延びていてもよく、プレート210は、内側側部105の少なくとも20〜70パーセントを覆っていてもよい。しかし、さまざまな図に示すように、プレート210は、ブーツ100の高さの少なくとも90パーセントにわたって延び、内側側部105の少なくとも50パーセントを覆っている。
【0030】
プレート210の大部分は、アッパー200に固定されてアッパー200を覆っており、プレート210の一部は、ソール構造300にわたって延びている。例えば図7および図11を参照して、後側ソール部分310は、プレート210を受け入れる窪み311を区画している。すなわち、プレート210は窪み311内へと延びて、ソール構造300とプレート210との間に面一の外面を形成している。さらに、窪み311は、ソール構造300の高さの大部分にわたって延びており、ソール構造300の高さの少なくとも80パーセントにわたって延びていてもよい。この構成では、プレート210の区域およびプレート210とオートバイとの間の接触の可能性のある区域をさらに最大化するために、プレート310は、ソール構造300の下面(すなわち、地面に係止する表面)に隣接した区域へと延びている。
【0031】
覆い212は、脚部202から窪み311へと、アッパー200の外面を連続的に形成している。すなわち、覆いは、脚部202とソール構造300との間の区域で、実質的に中断されずに、または連続的に存在している。さらに、覆い212は、バックプレート211の全部を覆って、または、バックプレート211の実質的に全部を覆って、プレート210とオートバイとの間の接触の区域を形成する連続した比較的滑らかな表面を形成している。
【0032】
製造に関し、プレート210は、さまざまな鋳造処理を介して形成されてもよい。例えば、バックプレート211を形成する熱可塑性ポリウレタンのシートを加熱して、鋳型内に配置し、プレート210の全体的な外形を形成してもよい。バックプレート211の成形に続いて、覆い212を別の鋳造処理を介して追加してもよい。別の例として、バックプレート211を射出成形してもよく、続く鋳造工程で覆い212を形成してもよい。バックプレート211が熱可塑性ポリマー材料で形成されているブーツ100のいくつかの構成では、バックプレート211は、プレート210をブーツ100の残りに固定するのに先立って加熱されて、それにより、プレート210を軟化し、かつ、アッパー200およびソール構造300の外形に一致するようにプレート210をさらに成形することができてもよい。
【0033】
ブーツ100のさらなる構成では、プレート210は、他のさまざまな構成であってもよい。一例として、覆い212を織って作り、ブーツ100とオートバイの側部との間に、より大きな滑り抵抗を付与してもよい。プレート210はブーツ100の高さにわたって連続して延びているが、複数のプレートまたは区分けしたプレートを使用してもよい。いくつかの構成では、覆い212がなく、プレート210全体がバッキングプレート211で形成されていてもよく、または、バッキングプレート211がなくてもよい。プレート210はブーツ100の高さを90パーセントよりも多くにわたって連続して延びており、内側側部105の50パーセントよりも多くを覆っているが、いくつかの構成では、プレート210は高さまたは幅が、より少なくてもよい。さらに、プレート210は、ソール構造300を越えて延びない、またはソール構造300と連続しない構成を有していてもよい。ゆえに、プレート210のさまざまな特徴は変化してもよい。
ヒンジシステム構成
図12〜図16に示すシャシー220、ビーム230およびヒンジ240の組み合わせにより、ヒンジシステムが形成され、足元支持、直線および横方向の支持、ならびに衝撃保護が与えられる。さらに、シャシー220、ビーム230およびヒンジ240は協働して、くるぶし関節周りの足および脚の動きを規制し、ねじれを防止する。さまざまなオートバイ競技に参加している際に、乗り手は、ブーツ100を地面と接触させて、方向転換を行うのを支援したり、バランスを取ったりする場合があり、それにより、足および脚をかなりの衝撃力またはねじれ力にさらす場合がある。フリースタイルモトクロス中に行われる空中操作に続く着地の際に、足および脚は衝撃力にさらされる場合がある。くわえて、激突、衝突または他の危険な出来事の際に、足および脚にかなりの衝撃力またはねじれ力が生じる場合がある。シャシー220に支持されたビーム230が脚部202に沿って延びているので、衝撃力は、くるぶし関節または足に集中されずに、脚の下部の長さに沿って分散される。また、ヒンジ240がビーム230を前方−後方方向に主に回転できるようにしているため、ねじれまたは横方向運動(すなわち外転および内転)が規制される。したがって、ヒンジシステムは、足および脚に前方−後方方向の比較的自然な運動の範囲を与えながら、足および脚を保護する。
【0034】
図17に単独で示されたシャシー220は、足部201に隣接して配置されており、足元部分221および足側方部分222を含んでいる。足元部分221は大略的に水平に向けられており、足部201の下面とソール構造300の上面との間を延びている。足元部分221は、足輪郭の大略的な形状を有しており、ソール構造300の上面の大部分を覆っているが、足元部分221は、ブーツ100の特定の区域に制限(すなわち、中間領域102または領域102および103の両方に制限)されていてもよい。足輪郭の大略的な形状を足元部分221に与えること、および、ソール構造300の上面の大部分を覆うことの利点は、足元部分221が足に支持を与え、それにより、足のねじれ、曲げおよび変形に抵抗することにある。足側方部分222は大略的に垂直に向けられており、足部201の外側側部104に沿って延びている。足側方部分222はブーツ100の外部で露出するものとして示されているが、足側方部分222はまた、アッパー200を形成する材料要素に組み込まれていてもよい。足側方部分222の上側区域は開口223を区画しており、開口223はヒンジ240を受け入れて、それにより、ビーム230とシャシー220とを互いに結合している。追加の事項として、シャシー220は一体の(すなわち単品の)構造体で形成されていてもよい。すなわち、部分221および222は、力が部分221および222の間で効率的に移動することができるように、単独の要素で形成されている。
【0035】
図18に単独で示されたビーム230は、外側側部104で脚部202に隣接して配置されている。シャシー220の開口223と同様に、ビーム230は、ヒンジ240を受け入れる開口231を区画している。一般に、ビーム230は、ヒンジ240から脚部202の上側区域に延びた長さを有する長尺の構成を有している。より詳しくは、ビーム230は、前方フラップ203の下方を延びており、前方フラップ203に固定されていてもよい。いくつかの構成では、ビーム230はまた、バックル205の一方または両方の一部を形成していてもよい。ビーム230は、直線的で輪郭に沿わない構成を有していてもよいが、ビーム230は、脚部202の大略的な外形に一致した輪郭を有するものとして示されており、それにより、ビーム230は、脚部202の外面に沿うことができる。しかし、シャシー220と同様に、ビーム230は、アッパー200を形成する材料要素に組み込まれていてもよい。
【0036】
上述したように、ビーム230は、脚部202の上側区域へと延びた長さを有している。図に示すように、ビーム230は、脚部202の高さの約80パーセントにわたって延びているが、脚部202の高さ全部または脚部202の高さの少なくとも50パーセントにわたって延びていてもよい。ビーム230が脚部202の高さの少なくとも50パーセントにわたって延びるようにすることの利点は、(a)脚部202の圧縮力が、シャシー220を介してソール構造300に効率よく伝わること、および、(b)ビーム230が脚部202の大半を通じて、ねじれまたは横方向の
力に効率的に抵抗できることにある。
【0037】
シャシー220およびビーム230はそれぞれ、さまざまなポリマー材料、複合材料および金属を含むさまざまな材料で形成されていてもよい。より詳しくは、シャシー220およびビーム230は、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ナイロン、および、これらの材料の混合物で形成されていてもよい。複合材料はまた、シャシー220およびビーム230を含むヒンジシステムの全体的な強度を高めるために、ガラス繊維または炭素繊維を、上述したポリマー材料に混ぜることにより形成されてもよい。ブーツ100のいくつかの構成では、シャシー220およびビーム230はまた、アルミニウム、チタンまたは鋼で形成されていてもよい。シャシー220およびビーム230は同じ材料(例えば、ポリウレタンと炭素繊維との複合物)で形成されていてもよいが、シャシー220およびビーム230は異なる材料(例えば、複合物およびアルミニウム)で形成されていてもよい。
【0038】
ヒンジ240は、図19Aおよび図19Bに単独で示されており、シャシー220をビーム230と結合している。一般に、ヒンジ240は、アッパー200と接触するように配置された内側部分241と、アッパー200の外部で露出され、ブーツ100の反対側を向いた外側部分242と、部分241と部分242との間に配置された中間部分とを含む3部構成を有している。組み合わされて、部分241〜243は、周方向の窪み244を有する円筒形状をヒンジ240に付与する。すなわち、窪み244は、ヒンジ240の外周を巡って延びており、部分241〜243のそれぞれで部分的に形成されていてもよい。シャシー220およびビーム230と組み合わされる際、開口223および231はそれぞれ、窪み244の周りおよび窪み244内に配置され、ネジ、ナットまたは他のコネクタ245が、部分241および242を互いにしっかりと接合するために使用されてもよい。いくつかの構成には存在しないが、1対のワッシャ246も、窪み244の周りおよび中間部分243の反対側に配置されていてもよい。部分241〜243およびワッシャ246にふさわしい材料には、さまざまなポリマー(例えばナイロン、ポリウレタン)および金属(例えば、アルミニウム、チタンまたは鋼)が含まれる。
【0039】
ヒンジ240は、ビーム230が前方−後方方向に主に回転するのを可能にするが、ヒンジ240の構造はまた、前方−後方方向の過度の回転を制限してもよい。例えば図19Bを参照して、外側部分242は突起247を含んでおり、中間部分243は凹み248を形成している。また、シャシー220は、開口223内に凹み225を形成しており、ビーム230は、開口231内に凹み232を形成している。結合されたときに、この構成により、ビーム230がシャシー220に対して前方−後方方向に回転できる程度が制限される。回転を制限することは有益であり得るが、前方−後方方向への規制されない回転を可能にするために、ブーツ100のいくつかの構成では、この構造は存在していなくてもよい。
【0040】
上述したヒンジシステムの構造に基づき、シャシー220、ビーム230およびヒンジ240は、ブーツ100に重要な構造上の支持を与える。シャシー220の足元部分221は、足の下方を延びて、足を支持する比較的剛性の構造体を形成する。ビーム230は、脚部202に沿って延び、くるぶし関節または足に衝撃力を集中させる代わりに、足の下部の長さに沿って衝撃力を分散する。さらに、ビーム230はシャシー220に対してヒンジ240を中心に回転してもよく、それにより、脚部202が、足部201に対して前方−後方方向に(すなわち、足先領域101とかかと領域103との間で、または、側部104と側部105との間に延びる軸周りに)回転できるようにしながら、内側側部−外側側部方向への(すなわち、側部104と側部105との間に延びる方向への)ねじれた動きおよび運動を規制する。したがって、ヒンジシステムは、足元支持、直線および横方向への支持、ならびに衝撃保護を提供する。
【0041】
上述し、図に示すヒンジシステムの全体的な構成は、ブーツ100に適した構成の一例を示している。しかし、シャシー220、ビーム230およびヒンジ240のさまざまな特徴は大きく変化してもよい。例えば、シャシー220はまた、ソール構造300に組み込まれて、その結果、足元部分221が、ソール部分310および320内へと延びていても、または、成形されていてもよい。ビーム230はまた、脚部220の、より大きな表面区域にわたって延びて、それにより、脚の下部の側部に追加の衝撃保護を与えるプレートを形成していてもよい。くわえて、ヒンジ240は、シャシー220とビーム230との間の回転運動を可能にするさまざまな他の構成を有していてもよい。
ソール構造構成
ソール構造300は、図20〜図26に単独で示されており、後側ソール部分310および前側ソール部分320を含むカップソールの構成を有している。上述したように、後側ソール部分310は、かかと領域103から少なくとも中間領域102まで延びており、プレート210を受け入れプレート210と接合する窪み311を区画してもいる。少なくともかかと領域103で、後側ソール部分310は、空洞312を含んでもいる。空洞312は、圧縮して力を弱める(すなわち緩衝を与える)ポリマー発泡体(例えばポリウレタンまたはエチルビニルアセテート)インサート(挿入体)313を受け入れるが、空洞312およびインサート313は、ブーツ100のいくつかの構成では存在していなくてもよい。後側ソール部分310の下側表面は、歩いているおよび走っている間に、ならびにオートバイのさまざまな区域(すなわち、足置き、ブレーキ、ギヤシフタ)に牽引力を与えるために、織られていてもよい。これも上述したように、前側ソール部分320は、少なくとも足先領域101に配置されており、フランジ321を形成している。フランジ321は、鋼製の足指ガードを必要とせずに保護を与えるために、足先領域101においてアッパー200へと延びている。
【0042】
ソール部分310および320は、さまざまな材料で形成されていてもよい。一例として、後側ソール部分310はゴムで形成されていてもよく、前側ソール部分320は熱可塑性ポリウレタンで形成されていてもよい。別の例として、ソール部分310および320はそれぞれ、異なる硬さを有するゴム材料で形成されていてもよい。より詳しくは、前側ソール部分320は、足先領域101で(特にフランジ321の区域で)足に保護を与えるために、後側ソール部分310よりも、より硬い、より密度が大きい、または柔軟性のより低いゴム材料で形成されていてもよい。後側ソール部分310を、より柔らかく、より密度が低く、かつ、より柔軟なゴム材料で形成することにより、後側ソール部分310の力減衰特性が高められていてもよい。くわえて、この構成により、振動制動、乗り手のオートバイの感覚、および足置きの引き付け(すなわち、ブーツ100がオートバイの足置きを押える能力)を高めることができる。ふさわしい材料の別の例として、後側ソール部分310はゴムで形成されていてもよく、前側ソール部分320は、ゴムよりも大きな硬さを有する熱可塑性ポリウレタンで形成されていてもよい。ソール部分310および320を形成する材料はまた、ブーツ100の地面に係止する表面を形成していてもよいが、追加のミッドソール要素をソール部分310および320の一方または両方に固定してもよい。
【0043】
ソール構造300を製造するのにさまざまな方法を使用してもよい。一例として、単一の鋳型内でソール部分310および320を同時に形成するために、二重射出技術を使用してもよい。すなわち、異なる材料を鋳型に射出して、ソール部分310および320の両方を形成してもよい。別の例として、ソール部分310および320を別個に形成し、機械的な噛み合わせおよび接着による噛み合わせの両方を介して接合してもよい。図22を参照して、ソール部分310とソール部分320との間の境界は、要素同士の間に機械的な噛み合わせを与える良好な構成を有している。すなわち、後側ソール部分310および前側ソール部分320は、ソール部分310および320を互いに適切に接合するよう噛み合わされる対応する窪み、突起および他の輪郭を有するよう、別個に形成されている。後側ソール部分310は、ソール構造300の中央区域の上側および下側表面の両方を形成しており、前側ソール部分320は、ソール構造300の周辺に沿って、ソール構造300の上側および下側表面の両方を形成している。さらに、後側ソール部分310は、後側ソール部分310の対応する窪みと噛み合わさる突起を、側部104および105のそれぞれに形成している。ゆえに、本明細書で使用される際、「機械的な噛み合わせ」という用語またはその変化形は、ソール部分310および320と同様に、対応する噛み合わせ形状を含むよう別個に形成された要素の接合と定義される。ソール部分310および320をさらに接合するために、接着による噛み合わせも使用される。ゆえに、本明細書で使用される際、「接着による噛み合わせ」という用語またはその変化形は、接着剤、熱接触加熱、または、接着剤と熱接触加熱との組み合わせによる要素の接合と定義される。
【0044】
ソール構造300はアッパー200に固定されており、アッパー200と地面との間で延びた構成を有している。アッパー200はソール構造300の上面に直接固定されていてもよいが、シャシー220の足元部分221は、アッパー200の少なくとも一部とソール構造300との間を延びている。ソール構造300はカップソールの構成を有しているため、ソール構造300は高くなった周辺部を含んでおり、高くなった周辺部はアッパー200と、つなげられて接着されていても、縫製されていても、または、他のやり方で接合されていてもよい。
ブーツの製造
さまざまな靴型にはめる方法または他の製造工程を、ブーツ100を形成する際に使用してもよい。一般に、アッパー200およびソール構造300は、個別に形成され次いで接合されて、ブーツ100の製造を完了してもよい。より詳しくは、アッパー200を形成するさまざまな材料要素は、靴型の周りで互いに縫製または接着されて、足および脚が配置される内部空洞を区画してもよい。この段階で、シャシー220、ビーム230およびヒンジ240を含むヒンジシステムが、アッパー200に接合されてもよい。次いで、ソール構造300が、例えば接着または縫製により、アッパー200に固定されてもよい。次いで、プレート210が、アッパー200およびソール構造300のそれぞれに(すなわち窪み311内で)接合されてもよい。最後に、中敷207(図7参照)または他の快適性を高める素子が、アッパー200内に、および、空洞の下側区域に隣接して配置されてもよい。
【0045】
アッパー200のさらなる特徴は、図27〜図30に示すように、ラスティング(内張り)ボード250に関連している。ラスティングボード250は、アッパー200の組み立ての際に、内張り方法に使用される。一般に、ラスティングボード250は、アッパー200の組み立ての際に、内張りの下面に接触して置かれる。アッパー200内に空洞を形成するために互いに縫製または接着されるさまざまな材料要素(例えば、織物、発泡体、ポリマーシートおよびプレート、革または合成皮革)は、図7の断面図に示されるように、ラスティングボード250の周辺部に接合されてもよい。すなわち、ラスティングボード250は、アッパー200の下側区域を形成してもよく、ブーツ100内にある足を効果的に支持する。
【0046】
ラスティングボード250は、ベース要素251、流体を充填したブラダ252、および、1対のネジ溝を切ったコネクタ253を含んでいる。ベース要素251は、ラスティングボード250の周辺部、ラスティングボード250の上面の一部およびラスティングボード250の下面の大部分を形成する固体のポリマー材料またはポリマー発泡材料(例えば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)で形成されていてもよい。ラスティングボード250の上面は、窪んだ区域を形成しており、窪んだ区域にブラダ252が配置されている。上記特許文献1に開示されているように、ブラダ252は、内部伸張部材を組み込んだ、気体を充填し加圧した構造体であってもよい。一般に、ブラダ252は、ラスティングボード250の長さおよび幅の大部分を貫通して、足の下方を延びる圧縮性の快適な表面を提供してもよい。他の構成では、ブラダ252は、さまざまな他の構成を有していてもよく、加圧されていなくてもよく、液体もしくはゲル状の材料を充填されていてもよく、または、存在していなくてもよい。コネクタ253は、ベース要素251の下面内に固定されて、シャシー220をラスティングボード250に固定するのに使用されている。より詳しくは、ボルトが、足元部分221において1対の開口224を貫通し、コネクタ253とつながっていてもよい。コネクタ253は、大略的に犬の骨形状(すなわち、中央の接続領域を有する端が丸くされた区域)を有する単一の要素として形成されていてもよいが、コネクタ253はまた、ネジ溝を切った別個の要素であってもよい。シャシー220をラスティングボード250に固定したときに、ソール構造300が接合されてもよい。
【0047】
さまざまな構成を参照しながら、上記および添付図面に本発明を開示した。しかし、本開示が果たす目的は、本発明に関連したさまざまな特徴および概念の例を提供することであって、本発明の範囲を限定することではない。添付の特許請求の範囲に定義するように、本発明の範囲を逸脱することなしに、多数の変形および修正を上記構成に対して行うことができることを、当業者は理解するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足を受け入れるための足部、および、前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部を有するアッパーと、
前記足部に固定されたシャシーであって、当該シャシーの第1部分が、前記足部の下側区域に隣接して延び、当該シャシーの第2部分が、前記足部の外側側部に隣接して延びているシャシー、前記脚部の外側側部に隣接し、前記脚部の高さの少なくとも70パーセントにわたって延びているビーム、および、前記ビームを前記シャシーに固定し、前記ビームと前記シャシーとの間で前方−後方方向に回転運動を可能にし、前記ビームと前記シャシーとの間で内側側部−外側側部方向に回転運動を規制するヒンジを含む、ヒンジシステムと、
前記アッパーの下側区域に固定され、当該履物の地面に係止する表面を形成する下面を含み、前記下面の反対側に位置する上面を含むソール構造であって、前記シャシーの前記第1部分が前記上面に隣接して配置されているソール構造とを備えた履物製品。
【請求項2】
前記シャシーが第1開口を区画し、前記ビームが第2開口を区画し、前記ヒンジが前記第1開口および前記第2開口のそれぞれを貫通している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項3】
前記ヒンジが、少なくとも1つのワッシャを貫通している、請求項2に記載の履物製品。
【請求項4】
前記ヒンジが、前記シャシーおよび前記ビームを受け入れる周方向の窪みを有する円筒形の構成を有している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項5】
前記シャシーの前記第1部分が、(a)前記アッパーの前記足部と、(b)前記ソール構造の前記上面との間を延びている、請求項1に記載の履物製品。
【請求項6】
前記第1部分および前記第2部分が、一体の構成で形成されている、請求項1に記載の履物製品。
【請求項7】
プレートが、前記アッパーの内側側部に配置され、前記脚部および前記足部にわたって延びており、前記プレートは、前記ソール構造の前記内側側部の窪み内へと延びている、請求項1に記載の履物製品。
【請求項8】
前記プレートが、前記アッパーの前記脚部から前記ソール構造の前記窪みへと、当該履物製品の外面を連続的に形成する覆いを含んでいる、請求項7に記載の履物製品。
【請求項9】
前記ソール構造が、(a)当該履物のかかと領域から当該履物の少なくとも中間領域へと延びた第1ソール部分と、(b)当該履物の少なくとも足先領域に配置され、前記第1ソール部分よりも硬い材料で形成された第2ソール部分とを含んでいる、請求項1に記載の履物製品。
【請求項10】
着用者の足を受け入れるための足部、および、前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部を有するアッパーと、
前記足部に固定され、前記足部と前記脚部との間の境界に第1開口を区画するシャシー、前記脚部に固定され、前記足部と前記脚部との間の境界に第2開口を区画するビームであって、前記第2開口は前記第1開口と整列されているビーム、および、前記第1開口および前記第2開口を貫通して延びるヒンジを含む、ヒンジシステムと、
前記アッパーの下側区域に固定されたソール構造とを備えた、履物製品。
【請求項11】
前記シャシーが、一体の構造で形成された足元部分および足側方部分を含んでおり、前記足元部分は、前記ソール構造と前記アッパーの前記下側区域との間を延びている、請求項10に記載の履物製品。
【請求項12】
前記足元部分が、前記ソール構造の上面の大部分を覆っている、請求項11に記載の履物製品。
【請求項13】
前記ヒンジが周方向の窪みを有する円筒状の構成を有し、前記シャシーの前記第1開口を区画する部分および前記ビームの前記第2開口を区画する部分が、前記周方向の窪みの周りに延びている、請求項10に記載の履物製品。
【請求項14】
前記ビームが、前記脚部の高さの少なくとも50パーセントにわたって延びている、請求項10に記載の履物製品。
【請求項1】
着用者の足を受け入れるための足部、および、前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部を有するアッパーと、
前記足部に固定されたシャシーであって、当該シャシーの第1部分が、前記足部の下側区域に隣接して延び、当該シャシーの第2部分が、前記足部の外側側部に隣接して延びているシャシー、前記脚部の外側側部に隣接し、前記脚部の高さの少なくとも70パーセントにわたって延びているビーム、および、前記ビームを前記シャシーに固定し、前記ビームと前記シャシーとの間で前方−後方方向に回転運動を可能にし、前記ビームと前記シャシーとの間で内側側部−外側側部方向に回転運動を規制するヒンジを含む、ヒンジシステムと、
前記アッパーの下側区域に固定され、当該履物の地面に係止する表面を形成する下面を含み、前記下面の反対側に位置する上面を含むソール構造であって、前記シャシーの前記第1部分が前記上面に隣接して配置されているソール構造とを備えた履物製品。
【請求項2】
前記シャシーが第1開口を区画し、前記ビームが第2開口を区画し、前記ヒンジが前記第1開口および前記第2開口のそれぞれを貫通している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項3】
前記ヒンジが、少なくとも1つのワッシャを貫通している、請求項2に記載の履物製品。
【請求項4】
前記ヒンジが、前記シャシーおよび前記ビームを受け入れる周方向の窪みを有する円筒形の構成を有している、請求項1に記載の履物製品。
【請求項5】
前記シャシーの前記第1部分が、(a)前記アッパーの前記足部と、(b)前記ソール構造の前記上面との間を延びている、請求項1に記載の履物製品。
【請求項6】
前記第1部分および前記第2部分が、一体の構成で形成されている、請求項1に記載の履物製品。
【請求項7】
プレートが、前記アッパーの内側側部に配置され、前記脚部および前記足部にわたって延びており、前記プレートは、前記ソール構造の前記内側側部の窪み内へと延びている、請求項1に記載の履物製品。
【請求項8】
前記プレートが、前記アッパーの前記脚部から前記ソール構造の前記窪みへと、当該履物製品の外面を連続的に形成する覆いを含んでいる、請求項7に記載の履物製品。
【請求項9】
前記ソール構造が、(a)当該履物のかかと領域から当該履物の少なくとも中間領域へと延びた第1ソール部分と、(b)当該履物の少なくとも足先領域に配置され、前記第1ソール部分よりも硬い材料で形成された第2ソール部分とを含んでいる、請求項1に記載の履物製品。
【請求項10】
着用者の足を受け入れるための足部、および、前記着用者の脚の少なくとも一部を受け入れるための脚部を有するアッパーと、
前記足部に固定され、前記足部と前記脚部との間の境界に第1開口を区画するシャシー、前記脚部に固定され、前記足部と前記脚部との間の境界に第2開口を区画するビームであって、前記第2開口は前記第1開口と整列されているビーム、および、前記第1開口および前記第2開口を貫通して延びるヒンジを含む、ヒンジシステムと、
前記アッパーの下側区域に固定されたソール構造とを備えた、履物製品。
【請求項11】
前記シャシーが、一体の構造で形成された足元部分および足側方部分を含んでおり、前記足元部分は、前記ソール構造と前記アッパーの前記下側区域との間を延びている、請求項10に記載の履物製品。
【請求項12】
前記足元部分が、前記ソール構造の上面の大部分を覆っている、請求項11に記載の履物製品。
【請求項13】
前記ヒンジが周方向の窪みを有する円筒状の構成を有し、前記シャシーの前記第1開口を区画する部分および前記ビームの前記第2開口を区画する部分が、前記周方向の窪みの周りに延びている、請求項10に記載の履物製品。
【請求項14】
前記ビームが、前記脚部の高さの少なくとも50パーセントにわたって延びている、請求項10に記載の履物製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−213647(P2012−213647A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140941(P2012−140941)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2012−529961(P2012−529961)の分割
【原出願日】平成22年9月20日(2010.9.20)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2012−529961(P2012−529961)の分割
【原出願日】平成22年9月20日(2010.9.20)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]