保護リレー協調判定装置、保護リレー協調判定方法、および保護リレー協調判定プログラム
【課題】各保護リレー間の協調の良否をより適切に判定する。
【解決手段】協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーR1〜R3を特定し、保護リレーR1〜R3毎に、協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定し、協調対象経路毎に、協調対象経路に設置された保護リレーR1〜R3の下限値および上限値から定まるリレー動作範囲S1〜S3の重複部分を協調対象範囲S4として、協調対象範囲S4内での保護リレーR1〜R3の動作特性から特定される各保護リレーR1〜R3の動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレーR1〜R3間の協調が良好であるか否かを判定する。
【解決手段】協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーR1〜R3を特定し、保護リレーR1〜R3毎に、協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定し、協調対象経路毎に、協調対象経路に設置された保護リレーR1〜R3の下限値および上限値から定まるリレー動作範囲S1〜S3の重複部分を協調対象範囲S4として、協調対象範囲S4内での保護リレーR1〜R3の動作特性から特定される各保護リレーR1〜R3の動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレーR1〜R3間の協調が良好であるか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護リレー協調判定装置、保護リレー協調判定方法、および保護リレー協調判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
将来、電力系統では、太陽光発電などの分散形電源の大量導入による潮流状態の変化や系統構成の変更に伴って系統に設置された保護リレー間の協調崩れの発生が懸念される。そこで、事故地点、事故条件が与えた場合、事故地点からの保護リレーの接続順と、リレー応動解析結果から特定される保護リレーの動作順が一致する否かにより、保護リレーシステム間の協調の良否を判定する保護リレー協調支援装置が提案されている(例えば、特許文献1。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−254211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、典型的な条件で事故地点や事故条件を与えて協調の良否について判定を行っていた。このため、従来技術は、典型的な条件でしか各保護リレー間の協調の良否を判定できなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各保護リレー間の協調の良否をより適切に判定できる保護リレー協調判定装置、保護リレー協調判定方法、および保護リレー協調判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保護リレー協調判定装置は、保護リレーを含む電力系統の接続関係を表す接続データ、前記保護リレーの動作責務を表す動作責務データ、前記保護リレーの動作特性を表す動作特性データを記憶する記憶部と、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示す事故情報の入力を受け付ける受付部と、前記記憶部に記憶された接続データに基づき、前記事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する第1特定部と、前記第1特定部により特定された各保護リレー毎に、前記動作責務データに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する第2特定部と、前記協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置され、前記第2特定部により特定された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、前記動作特性データに基づいて前記協調対象範囲内での前記保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する判定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各保護リレー間の協調の良否をより適切に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、保護リレー協調判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、対称分等価回路の一例を示す図である。
【図3】図3は、零相回路の一例を示す図である。
【図4】図4は、保護リレーが設けられた経路の一例を示す図である。
【図5】図5は、最小動作感度の特定を説明するための図である。
【図6】図6は、経路に分散型電源が設けられた場合の一例を示す図である。
【図7】図7は、保護リレーの動作順の特定を説明するための図である。
【図8】図8は、保護リレー協調判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、電力系統の一例を示す図である。
【図10】図10は、電力系統の等価回路図の一例を示す図である。
【図11】図11は、事故点から終端までの各経路の一例を示す図である。
【図12】図12は、抽出された経路の一例を示す図である。
【図13】図13は、協調対象経路と特定された経路の一例を示す図である。
【図14】図14は、保護リレーの感度特性と協調対象範囲を示す図である。
【図15】図15は、判定結果の一例を示す図である。
【図16】図16は、保護リレー協調判定プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる保護リレー協調判定装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
[保護リレー協調判定装置1の構成]
実施例1に係る保護リレー協調判定装置ついて説明する。図1は、保護リレー協調判定装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す例では、保護リレー協調判定装置1は、記憶部10と、受付部11と、第1特定部12と、第2特定部13と、判定部14と、を備えている。
【0011】
受付部11は、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示す事故情報の入力を受け付ける。受付部11は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどの各種入力デバイスや、ネットワークなどから情報が入力される入力端子などが該当する。かかるネットワークの一態様としては、有線または無線を問わず、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の通信網が挙げられる。
【0012】
記憶部10には、協調判定に用いる各種情報が記憶されている。例えば、記憶部10には、協調判定を行う電力系統の接続関係を表す接続データ10aが記憶されている。この接続データ10aは、電力系統をノードで表現した際のノードの接続関係を示すデータを含んでいる。また、接続データ10aには、電力系統に設けられた保護リレーや遮断器、分散形電源など各種機器の接続関係を示すデータも含んでいる。また、記憶部10には、電力系統に設けられた各保護リレーの動作責務を表す動作責務データ10b、および各保護リレーの動作時間に関する動作特性を表す動作特性データ10cが記憶されている。
【0013】
第1特定部12は、記憶部10に記憶された接続データ10aに基づき、受付部11から入力された事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路を特定する。また、第1特定部12は、協調対象経路に配置された保護リレーも特定する。具体的に、例えば、第1特定部12は、事故情報により示される事故条件および対象系統の接地方式に応じて等価回路を作成する。直接接地系で事故条件が1線地絡の場合は、等価回路として、例えば、正相回路、逆相回路、零相回路からなる対称分等価回路を作成する。図2は対称分等価回路の一例を示す図である。また、非接地系で事故条件が1線地絡の場合は、等価回路として、例えば、零相回路を作成する。図3は零相回路の一例を示す図である。
【0014】
第1特定部12は、作成した等価回路において事故点から出発して終端に電流供給源がある経路を協調対象経路と特定する。電流供給源としては、例えば、短絡事故の場合、正相電源、抵抗接地も該当し、非接地系の1線地絡の場合、零相電源や対地静電容量も該当する。また、第1特定部12は、作成した等価回路において事故点から出発して保護リレーの入力となる計器用変成器がある経路も協調対象経路と特定する。そして、第1特定部12は、特定した協調対象経路に接続された保護リレーを協調対象の保護リレーと特定する。
【0015】
ここで、各保護リレーは、それぞれ検出すべき異常が動作責務として定められている。図4は、保護リレーが設けられた経路の一例を示す図である。図4の例では、経路L1は、保護リレーとして3つの過電流リレーR1〜R3が設けられている。なお、図4〜図6では、過電流リレーR1〜R3を「OC4」、「OCTL」、「OCTH」と記載している。
【0016】
例えば、過電流リレーR1〜R3は、それぞれ最遠端での2線地絡を検出することを動作責務とする。この場合、過電流リレーR1〜R3は、それぞれ経路L1の終端までの範囲が動作責務を満たす保護範囲(以下「動作責務範囲」とも言う。)となる。動作責務データ10bには、保護リレー毎の検出すべき異常を示すデータが動作責務として含まれている。
【0017】
第2特定部13は、第1特定部12により特定された各保護リレー毎に、動作責務データ10bに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求める。そして、第2特定部13は、第1特定部12により特定された各保護リレー毎に、動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する。例えば、第2特定部13は、各保護リレー毎に、協調対象経路の動作責務範囲内の各経路のインピーダンスを求め、インピーダンスの最も大きい経路の端部で発生した動作責務とされた事故を検出するための最小動作感度を求め、当該最小動作感度をリレー動作範囲の下限値と特定する。また、第2特定部13は、保護リレーの近傍で動作責務とされた事故が発生した場合の事故電流の最大値を求め、当該電流の最大値をリレー動作範囲の上限値と特定する。
【0018】
図5は、最小動作感度の特定を説明するための図である。ここでは、過電流リレーR1の最小動作感度を特定する場合を例にして説明する。図5の例では、経路L1は、経路L2〜L4が分岐している。経路L1は、過電流リレーR1から経路L4の分岐点までのインピーダンスをZ1とし、経路L4の分岐点から経路L3の分岐点までのインピーダンスをZ2とし、経路L3の分岐点から経路L2の分岐点までのインピーダンスをZ3とし、経路L3の分岐点から端部までのインピーダンスをZ4する。また、経路L2はインピーダンスをZ7とし、経路L3はインピーダンスをZ6とし、経路L4はインピーダンスをZ5とする。
【0019】
この場合、過電流リレーR1から経路L1の終端までのインピーダンスをaとし、過電流リレーR1から経路L2の終端までのインピーダンスをbとし、過電流リレーR1から経路L3の終端までのインピーダンスをcとし、過電流リレーR1から経路L4の終端までのインピーダンスをdとした場合、インピーダンスa〜dは以下のようになる。
a=Z1+Z2+Z3+Z4
b=Z1+Z2+Z3+Z7
c=Z1+Z2+Z6
d=Z1+Z5
【0020】
第2特定部13は、インピーダンスの最も大きい経路の終端部分で発生した動作責務とされた事故を検出するための感度を求める。例えば、a>b、c、dである場合、第2特定部13は、経路L1の端部で動作責務とされた事故F1が発生した場合の感度を求める。なお、ここでは、保護リレーを過電流リレーとしているため、電流値を感度として求める場合について説明したが、電圧や電気的インピーダンスで判断する保護リレーの場合、電圧や電気的インピーダンスを最小動作感度として求める。
【0021】
ところで、電力系統には、太陽光発電装置など比較的小規模な分散型電源Gが設けられる場合がある。この分散型電源Gは、稼働状態に応じて供給される電力が変化する。また、特に回転機型である場合、分散型電源Gが稼働状態の場合は、分散型電源Gからも事故地点に電流が流れる。このため、分散型電源Gの稼働状態に応じて保護リレーに流れる電流が変化する。
【0022】
図6は、経路に分散型電源が設けられた場合の一例を示す図である。図6の例では、経路L1の事故点F1と過電流リレーR1の間から分岐して回転機型分散型電源Gが接続されている。
【0023】
この場合、分散型電源Gが停止している場合、過電流リレーR1には事故F1による事故電流I1が流れる。一方、分散型電源Gが稼働している場合、分散型電源Gから事故電流I2が供給されるため、過電流リレーR1を通過する事故電流I3は事故電流I1よりも低下する。
【0024】
そこで、第2特定部13は、協調対象経路に分散型電源が設けられていた場合、当該分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する。例えば、第2特定部13は、分散型電源が並列状態の場合のリレー動作範囲の下限値および上限値を求める。また、第2特定部13は、分散型電源が解列状態の場合のリレー動作範囲の下限値および上限値を求める。そして、第2特定部13は、並列状態の場合と解列状態の場合の下限値同士、上限値同士をそれぞれ比較し、より小さい下限値をリレー動作範囲の下限値と特定し、より大きい上限値をリレー動作範囲の上限値と特定する。このように、分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定することにより、分散型電源の稼働状態に変化による変化を含めて各保護リレー間の協調の良否を適切に判定できる。
【0025】
判定部14は、協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置され、第2特定部13により特定された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として求める。そして、判定部14は、動作特性データ10cに基づいて協調対象範囲内での保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定する。
【0026】
図7は、保護リレーの動作順の特定を説明するための図である。図7の例では、図4〜図6に示した過電流リレーR1〜R3のリレー動作範囲S1〜S3として示し、リレー動作範囲S1〜S3の重複部分を協調対象範囲S4として示す。また、図7の例では、動作特性データ10cに基づいて過電流リレーR1〜R3の電流に対する動作特性が示されている。過電流リレーR1〜R3は、協調対象範囲S4で、過電流リレーR1、過電流リレーR2、過電流リレーR3の順に動作する。
【0027】
判定部14は、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する。判定部14による判定結果は、不図示の出力部により、他の装置や利用者に情報を出力される。この出力部は、例えば、モニタやスピーカ、各種の出力端子などが該当する。
【0028】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1の処理の流れを説明する。図8は、保護リレー協調判定処理の手順を示すフローチャートである。この保護リレー協調判定処理は、受付部11で事故情報の入力を受け付けた場合に実行される。
【0029】
図8に示すように、第1特定部12は、記憶部10に記憶された接続データ10aに基づき、受付部11で受け付けた事故情報により示される事故条件および対象系統の接地方式に応じて等価回路を作成する(ステップS10)。そして、第1特定部12は、作成した等価回路から協調対象経路を特定する(ステップS11)。また、第1特定部12は、特定した協調対象経路に接続された保護リレーを協調対象の保護リレーと特定する(ステップS12)。
【0030】
第2特定部13は、特定された各保護リレー毎に、動作責務データ10bに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求める(ステップS13)。そして、第2特定部13は、各保護リレー毎に、動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する(ステップS14)。なお、協調対象経路に分散型電源が設けられていた場合は、分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する。
【0031】
判定部14は、協調が未判定の協調対象経路について、協調対象経路に設置された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として求める(ステップS15)。そして、判定部14は、協調対象範囲内での保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定する(ステップS16)。そして、判定部14は、特定した各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じか否かを判定する(ステップS17)。判定部21は、保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じ場合(ステップS17肯定)、協調判定を行った協調対象経路に対する協調が良好であることを記憶する(ステップS18)。一方、判定部21は、保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と異なる場合(ステップS17否定)、協調判定を行った協調対象経路に対して協調が不良であることを記憶する(ステップS19)。
【0032】
判定部14は、全ての協調対象経路についての協調判定が完了したか否かを判定する(ステップS20)。協調が未判定の協調対象経路がある場合(ステップS20否定)、判定部14は、上記ステップS15へ移行して、協調が未判定の協調対象経路について協調の判定を行う。全ての協調対象経路についての協調判定が完了した場合(ステップS20肯定)、判定部14は、各協調対象経路の協調判定の結果を出力し(ステップS21)、終了となる。
【0033】
次に、本実施例に係る保護リレー協調判定装置を用いて電力系統に設けられた保護リレーの協調判定を行った一例を説明する。図9は電力系統の一例を示す図である。図9では電力系統をノード100〜104、301〜304、313、401〜406、411〜413、421の接続関係により示している。電力系統には、上位系統や需要家との間の電力を変圧する変圧器591〜594と、地絡事故時に流れる零相電流を検出する零相変流器(ZCT、Zero-phase-sequence Current Transformer)511〜513と、地絡故障時に発生する零相電圧を検出する接地形計器用変圧器(GPT(Grounding Potential Transformer)、GVTとも称される)521〜524と、変流器(CT、Current Transformer)531〜539と、が設けられている。
【0034】
零相変流器511〜513は、特定方向に流れた零相電流を検出する。具体的には、零相変流器511は、ノード403からノード421に向かって流れる零相電流を検出する。言い換えると、図9において、零相変流器511は、自身から見て上部方向に零相電源があり、上部から下部へと零相電流が流れた場合に零相電流を検出する。また、零相変流器512は、ノード401からノード104に向かって流れる零相電流を検出する。零相変流器513は、ノード301からノード104に向かって流れる零相電流を検出する。
【0035】
また、電力系統には保護リレー541〜542、551〜555、561〜562、571〜574と、保護リレーと連携して事故電流を遮断する遮断器501〜505と、ヒューズ581と、が設けられている。具体的には、保護リレー541〜542は、地絡方向リレー(DGR、Ground Directional Relay)であり、保護リレー551〜555は、過電流リレー(OCR、Over Current Relay)であり、保護リレー561〜562は、地絡過電圧リレー(OVGR、Ground Over Voltage Relay)であり、保護リレー571は、地絡過電流リレー(OCGR、Ground Over Current Relay)である。なお、図9では保護リレー541〜542を「OG4」、「OG3」と記載し、保護リレー551〜555を「OC4」、「OC3」、「OCTL」、「OCTH」、「OCJ」と記載し、保護リレー561〜562を「OVG」、「OVGJ」と記載し、保護リレー571を「CGJ」と記載している。
【0036】
記憶部10には、図9に示すような電力系統の接続関係を表す接続データ10a、電力系統に設けられた各保護リレー541〜542、551〜555、561〜562、571〜574の動作責務を表す動作責務データ10b、および保護リレー541〜542、551〜555、561〜562、571〜574の動作特性を表す動作特性データ10cが記憶されている。
【0037】
受付部11は、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示す事故情報の入力を受け付ける。ここでは、例えば、事故情報として、図9に示す電力系統のF4−2の地点に3線地絡が指定された場合について説明する。
【0038】
受付部11に事故情報が入力されると、第1特定部12は、記憶部10に記憶された接続データ10aに基づき、事故情報により示される事故条件および対象系統の接地方式に応じて等価回路を作成する。図10は、事故情報としてF4−2の地点が3線地絡が指定された場合の電力系統の等価回路である。
【0039】
そして、第1特定部12は、事故点から出発して終端までの各経路を求め、経路に配置された保護リレーも求める。図11は、事故点から終端までの各経路の一例を示す図である。図11の例では、保護リレーが設けられたノードの下部に〈〉として保護リレーが存在することを示している。図11〜図13において、6桁の数字は、2つのノード間を結ぶブランチを示す。例えば、「402403」は、402から403までの間を示す。
【0040】
図11に示す例では、第1特定部12は、「1」〜「6」までの6通りの経路を求める。例えば、図11の「1」に示す経路は、「402」〜「403」「402」「402」〜「404」「404」「404」〜「405」「405」「405」〜「406」「406」を結ぶ経路であることを示す。つまり、図11の「1」は、事故地点である「402」から終端の1つである「406」までの経路となる。同様に、図11の「2」に示す経路は事故地点である「402」から「304」までの経路であり、「3」に示す経路は事故地点である「402」から「313」までの経路であり、「4」に示す経路は事故地点である「402」から「100」までの経路であり、「5」に示す経路は事故地点である「402」から「412」までの経路であり、「6」に示す経路は事故地点である「402」から「413」までの経路である。
【0041】
そして、第1特定部12は、求められた全経路の中から、終端が電源(短絡事故であれば正相電源、抵抗接地系あるいは非接地系の1線地絡では零相電源や対地静電容量)あるいは保護リレーに接続された計器用変成器である経路を抽出する。図12は、抽出された経路の一例を示す図である。図12に示す例では、「2」〜「6」までの経路が抽出されている。
【0042】
そして、第1特定部12は、抽出された全経路の中から、保護リレーの協調が必要な協調対象経路を特定する。具体的には、保護リレーや遮断器を含まない経路や事故点での事故に対して動作しない保護リレーのみが設けられた経路を除外する。また、保護リレーが設けられたノードまで同一であり、保護リレーが設けられたノードより後で分岐して終端が異なる経路を保護リレーの協調において同一と見なせる経路として1つの経路に整理する。
【0043】
また、第1特定部12は、各協調対象経路に儲けられた保護リレーのうち、事故点での事故で動作する可能性のある保護リレーを特定すると共に、そこからトリップ指示が出力される遮断器も特定する。図13は、協調対象経路と特定された経路の一例を示す図である。図13に示す例では、「4」、「6」が協調対象経路と特定されている。また、図13の例では、保護リレーが設けられたノードの下部に動作する可能性のある保護リレーおよび遮断器を示している。
【0044】
そして、第2特定部13は、動作する可能性がある保護リレー毎に、動作責務データ10bに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する。例えば、保護リレーが過電流リレーである場合、動作責務範囲内でリアクタンスが最も大きくなる点を探し、その点で2線地絡事故を発生させた場合の事故電流をリレー動作範囲の下限値と特定する。また、過電流リレーの至近端で短絡事故が発生した場合、事故電流が最大となるため、至近端で短絡事故が発生した場合の事故電流をリレー動作範囲の上限と特定する。
【0045】
なお、第2特定部13は、同一地点に、動作する可能性がある保護リレーとして、電流駆動型と電圧駆動型の保護リレーがある場合、電流駆動型の保護リレーについての感度の最小値および最大値を特定する。これは電流駆動型の方が先に動作するためである。また、第2特定部13は、同一地点に、動作する可能性がある保護リレーとして、短絡リレーと地絡リレーがある場合、短絡リレーについての感度の最小値および最大値を特定する。図9の例では、ノード104〜401に電流駆動型の保護リレー551(過電流リレーOC4)と電圧駆動型の保護リレー541(地絡方向リレーDG4)が設けられているが、保護リレー551(過電流リレーOC4)についてのリレー動作範囲の下限値および上限値を特定する。
【0046】
また、第2特定部13は、電力系統に分散形電源が設けられ、協調対象経路に分散形電源が並列している場合は、分散形電源が系統に並列している場合と解列されている状態とでのリレー動作範囲の下限値および上限値を求める。そして、第2特定部13は、並列状態の場合と解列状態の場合の下限値、上限値をそれぞれ比較し、より小さい下限値をリレー動作範囲の下限値と特定し、より大きい上限値をリレー動作範囲の上限値と特定する。
【0047】
判定部14は、協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置された各保護リレーの感度の最小値および最大値から定まる感度範囲の重複部分を協調対象範囲として求め、動作特性データ10cに基づいて協調対象範囲内での保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定する。
【0048】
図14は、保護リレーの感度特性と協調対象範囲を示す図である。図14は、図13の「4」の経路を例としており、過電流リレーである保護リレー551(OC4)、保護リレー553(OCTL)、保護リレー554(OCTH)の感度特性と協調対象範囲が示されている。
【0049】
保護リレー551(OC4)は、点線の電流に対して、T1のタイミングで動作し、遮断器402を動作させて遮断するため、電流が0になる。保護リレー551(OC4)、保護リレー553(OCTL)、保護リレー554(OCTH)の動作順序は協調対象範囲全体に対して事故地点からの順番になっている。このため、協調判定は良好と判定される。判定部14は、各協調対象経路の判定結果を、例えばディスプレイなどの出力部に出力する。
【0050】
図15は、判定結果の一例を示す図である。図15の例では、「判定」として、協調対象経路毎に、協調の良否が示されている。また、図15の例では、事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に各保護リレーの動作タイミングが示されている。さらに、図15の例では、隣接する保護リレー間の協調の良否についても協調の良否が判定されており、協調が良好な場合は“○”、協調が不良の場合は“×”で示されている。
【0051】
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1は、接続データに基づき、入力された事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲電力系統の各経路のうち協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する。そして、保護リレー協調判定装置1は、特定された各保護リレー毎の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する。そして、保護リレー協調判定装置1は、協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、協調対象範囲内での保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する。よって、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1によれば、各保護リレー間の協調の良否をより適切に判定できる。
【0052】
また、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1は、協調対象経路に分散型電源が設けられていた場合、当該分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても前記動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する。よって、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1によれば、分散型電源が設けられた経路についても、分散型電源の稼働状態に変化による系統条件の変更に対しても、見落としなく各保護リレー間の協調判定を行うことができる。
【0053】
また、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1は、同一地点に電流駆動型と電圧駆動型の保護リレーがある場合、電流駆動型の保護リレーについてのリレー動作範囲の下限値および上限値を特定し、同一地点に短絡リレーと地絡リレーがある場合、短絡リレーについてのリレー動作範囲の下限値および上限値を特定する。よって、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1によれば、同一地点に電流駆動型と電圧駆動型の保護リレーがある場合や同一地点に短絡リレーと地絡リレーがある場合でも、協調判定に影響するリレー動作範囲を適切に求めることができる。
【0054】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0055】
例えば、上記の実施例では、過電流リレーの至近端で事故を発生した場合、事故電流等からリレー動作範囲の上限と特定する場合について例示したが開示の装置はこれに限定されない。例えば、リレー動作範囲の上限とみなせる所定値を予め記憶しておき、記憶した所定値をリレー動作範囲の上限としてもよい。この所定値は保護リレーや保護リレーの種類毎に定めてもよい。また、各保護リレーのリレー動作範囲の上限を1つの値としてもよい。
【0056】
また、上記の実施例では、協調対象範囲内での各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調の良否を判定する場合について例示したが開示の装置はこれに限定されない。例えば、さらに協調対象経路毎に、リレー応動解析により保護リレーの動作順を特定し、リレー応動解析結果から特定される保護リレーの動作順が事故地点からの保護リレーの接続順と一致する否を判定し、判定結果が共に良好な場合に協調が良好であると判定するようにしてもよい。
【0057】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的状態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図1に示す第1特定部12と第2特定部13と判定部14とが統合されてもよい。また、第1特定部12と第2特定部13と判定部14をさらに細かい処理部に分けてもよい。
【実施例2】
【0058】
[保護リレー協調判定プログラム]
また、上記の実施例で説明した保護リレー協調判定装置1の各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。そこで、以下では、図16を用いて、上記の実施例で説明した保護リレー協調判定装置1と同様の機能を有する保護リレー協調判定プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図16は、保護リレー協調判定プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0059】
図16に示すように、実施例2におけるコンピュータ700は、CPU(Central Processing Unit)710、ROM(Read Only Memory)720、HDD(Hard Disk Drive)730、RAM(Random Access Memory)740を有する。これら710〜740の各部は、バス800を介して接続される。
【0060】
ROM720には、上記の実施例1で示す第1特定部12と、第2特定部13と、判定部14と、と同様の機能を発揮する保護リレー協調判定プログラムが予め記憶される。すなわち、ROM720には、図16に示すように、保護リレー協調判定プログラム720aが記憶される。なお、保護リレー協調判定プログラム720aについては、適宜分離しても良い。
【0061】
そして、CPU710が、保護リレー協調判定プログラム720aをROM720から読み出して実行する。
【0062】
そして、HDD730には、接続データ730a、動作責務データ730b、動作特性データ730cが設けられる。接続データ730a、動作責務データ730b、動作特性データ730cは、図2に示した記憶部10に記憶された接続データ10a、動作責務データ10b、動作特性データ10cに対応する。
【0063】
そして、CPU710は、接続データ730a、動作責務データ730b、動作特性データ730cを読み出してRAM740に格納する。CPU710は、RAM740に格納された接続データ730a、動作責務データ730b、動作特性データ730cを用いて、保護リレー協調判定プログラム720aを実行する。なお、RAM740に格納される各データは、常に全てのデータがRAM740に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがRAM740に格納されれば良い。
【0064】
なお、上記した保護リレー協調判定プログラムについては、必ずしも最初からHDD730に記憶させておく必要はない。
【0065】
例えば、コンピュータ700に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ700がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0066】
さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ700に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ700がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 アクセス制御装置
10 記憶部
10a 接続データ
10b 動作責務データ
10c 動作特性データ
11 受付部
12 第1特定部
13 第2特定部
14 判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護リレー協調判定装置、保護リレー協調判定方法、および保護リレー協調判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
将来、電力系統では、太陽光発電などの分散形電源の大量導入による潮流状態の変化や系統構成の変更に伴って系統に設置された保護リレー間の協調崩れの発生が懸念される。そこで、事故地点、事故条件が与えた場合、事故地点からの保護リレーの接続順と、リレー応動解析結果から特定される保護リレーの動作順が一致する否かにより、保護リレーシステム間の協調の良否を判定する保護リレー協調支援装置が提案されている(例えば、特許文献1。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−254211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、典型的な条件で事故地点や事故条件を与えて協調の良否について判定を行っていた。このため、従来技術は、典型的な条件でしか各保護リレー間の協調の良否を判定できなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各保護リレー間の協調の良否をより適切に判定できる保護リレー協調判定装置、保護リレー協調判定方法、および保護リレー協調判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保護リレー協調判定装置は、保護リレーを含む電力系統の接続関係を表す接続データ、前記保護リレーの動作責務を表す動作責務データ、前記保護リレーの動作特性を表す動作特性データを記憶する記憶部と、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示す事故情報の入力を受け付ける受付部と、前記記憶部に記憶された接続データに基づき、前記事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する第1特定部と、前記第1特定部により特定された各保護リレー毎に、前記動作責務データに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する第2特定部と、前記協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置され、前記第2特定部により特定された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、前記動作特性データに基づいて前記協調対象範囲内での前記保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する判定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各保護リレー間の協調の良否をより適切に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、保護リレー協調判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、対称分等価回路の一例を示す図である。
【図3】図3は、零相回路の一例を示す図である。
【図4】図4は、保護リレーが設けられた経路の一例を示す図である。
【図5】図5は、最小動作感度の特定を説明するための図である。
【図6】図6は、経路に分散型電源が設けられた場合の一例を示す図である。
【図7】図7は、保護リレーの動作順の特定を説明するための図である。
【図8】図8は、保護リレー協調判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、電力系統の一例を示す図である。
【図10】図10は、電力系統の等価回路図の一例を示す図である。
【図11】図11は、事故点から終端までの各経路の一例を示す図である。
【図12】図12は、抽出された経路の一例を示す図である。
【図13】図13は、協調対象経路と特定された経路の一例を示す図である。
【図14】図14は、保護リレーの感度特性と協調対象範囲を示す図である。
【図15】図15は、判定結果の一例を示す図である。
【図16】図16は、保護リレー協調判定プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる保護リレー協調判定装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
[保護リレー協調判定装置1の構成]
実施例1に係る保護リレー協調判定装置ついて説明する。図1は、保護リレー協調判定装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す例では、保護リレー協調判定装置1は、記憶部10と、受付部11と、第1特定部12と、第2特定部13と、判定部14と、を備えている。
【0011】
受付部11は、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示す事故情報の入力を受け付ける。受付部11は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどの各種入力デバイスや、ネットワークなどから情報が入力される入力端子などが該当する。かかるネットワークの一態様としては、有線または無線を問わず、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の通信網が挙げられる。
【0012】
記憶部10には、協調判定に用いる各種情報が記憶されている。例えば、記憶部10には、協調判定を行う電力系統の接続関係を表す接続データ10aが記憶されている。この接続データ10aは、電力系統をノードで表現した際のノードの接続関係を示すデータを含んでいる。また、接続データ10aには、電力系統に設けられた保護リレーや遮断器、分散形電源など各種機器の接続関係を示すデータも含んでいる。また、記憶部10には、電力系統に設けられた各保護リレーの動作責務を表す動作責務データ10b、および各保護リレーの動作時間に関する動作特性を表す動作特性データ10cが記憶されている。
【0013】
第1特定部12は、記憶部10に記憶された接続データ10aに基づき、受付部11から入力された事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路を特定する。また、第1特定部12は、協調対象経路に配置された保護リレーも特定する。具体的に、例えば、第1特定部12は、事故情報により示される事故条件および対象系統の接地方式に応じて等価回路を作成する。直接接地系で事故条件が1線地絡の場合は、等価回路として、例えば、正相回路、逆相回路、零相回路からなる対称分等価回路を作成する。図2は対称分等価回路の一例を示す図である。また、非接地系で事故条件が1線地絡の場合は、等価回路として、例えば、零相回路を作成する。図3は零相回路の一例を示す図である。
【0014】
第1特定部12は、作成した等価回路において事故点から出発して終端に電流供給源がある経路を協調対象経路と特定する。電流供給源としては、例えば、短絡事故の場合、正相電源、抵抗接地も該当し、非接地系の1線地絡の場合、零相電源や対地静電容量も該当する。また、第1特定部12は、作成した等価回路において事故点から出発して保護リレーの入力となる計器用変成器がある経路も協調対象経路と特定する。そして、第1特定部12は、特定した協調対象経路に接続された保護リレーを協調対象の保護リレーと特定する。
【0015】
ここで、各保護リレーは、それぞれ検出すべき異常が動作責務として定められている。図4は、保護リレーが設けられた経路の一例を示す図である。図4の例では、経路L1は、保護リレーとして3つの過電流リレーR1〜R3が設けられている。なお、図4〜図6では、過電流リレーR1〜R3を「OC4」、「OCTL」、「OCTH」と記載している。
【0016】
例えば、過電流リレーR1〜R3は、それぞれ最遠端での2線地絡を検出することを動作責務とする。この場合、過電流リレーR1〜R3は、それぞれ経路L1の終端までの範囲が動作責務を満たす保護範囲(以下「動作責務範囲」とも言う。)となる。動作責務データ10bには、保護リレー毎の検出すべき異常を示すデータが動作責務として含まれている。
【0017】
第2特定部13は、第1特定部12により特定された各保護リレー毎に、動作責務データ10bに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求める。そして、第2特定部13は、第1特定部12により特定された各保護リレー毎に、動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する。例えば、第2特定部13は、各保護リレー毎に、協調対象経路の動作責務範囲内の各経路のインピーダンスを求め、インピーダンスの最も大きい経路の端部で発生した動作責務とされた事故を検出するための最小動作感度を求め、当該最小動作感度をリレー動作範囲の下限値と特定する。また、第2特定部13は、保護リレーの近傍で動作責務とされた事故が発生した場合の事故電流の最大値を求め、当該電流の最大値をリレー動作範囲の上限値と特定する。
【0018】
図5は、最小動作感度の特定を説明するための図である。ここでは、過電流リレーR1の最小動作感度を特定する場合を例にして説明する。図5の例では、経路L1は、経路L2〜L4が分岐している。経路L1は、過電流リレーR1から経路L4の分岐点までのインピーダンスをZ1とし、経路L4の分岐点から経路L3の分岐点までのインピーダンスをZ2とし、経路L3の分岐点から経路L2の分岐点までのインピーダンスをZ3とし、経路L3の分岐点から端部までのインピーダンスをZ4する。また、経路L2はインピーダンスをZ7とし、経路L3はインピーダンスをZ6とし、経路L4はインピーダンスをZ5とする。
【0019】
この場合、過電流リレーR1から経路L1の終端までのインピーダンスをaとし、過電流リレーR1から経路L2の終端までのインピーダンスをbとし、過電流リレーR1から経路L3の終端までのインピーダンスをcとし、過電流リレーR1から経路L4の終端までのインピーダンスをdとした場合、インピーダンスa〜dは以下のようになる。
a=Z1+Z2+Z3+Z4
b=Z1+Z2+Z3+Z7
c=Z1+Z2+Z6
d=Z1+Z5
【0020】
第2特定部13は、インピーダンスの最も大きい経路の終端部分で発生した動作責務とされた事故を検出するための感度を求める。例えば、a>b、c、dである場合、第2特定部13は、経路L1の端部で動作責務とされた事故F1が発生した場合の感度を求める。なお、ここでは、保護リレーを過電流リレーとしているため、電流値を感度として求める場合について説明したが、電圧や電気的インピーダンスで判断する保護リレーの場合、電圧や電気的インピーダンスを最小動作感度として求める。
【0021】
ところで、電力系統には、太陽光発電装置など比較的小規模な分散型電源Gが設けられる場合がある。この分散型電源Gは、稼働状態に応じて供給される電力が変化する。また、特に回転機型である場合、分散型電源Gが稼働状態の場合は、分散型電源Gからも事故地点に電流が流れる。このため、分散型電源Gの稼働状態に応じて保護リレーに流れる電流が変化する。
【0022】
図6は、経路に分散型電源が設けられた場合の一例を示す図である。図6の例では、経路L1の事故点F1と過電流リレーR1の間から分岐して回転機型分散型電源Gが接続されている。
【0023】
この場合、分散型電源Gが停止している場合、過電流リレーR1には事故F1による事故電流I1が流れる。一方、分散型電源Gが稼働している場合、分散型電源Gから事故電流I2が供給されるため、過電流リレーR1を通過する事故電流I3は事故電流I1よりも低下する。
【0024】
そこで、第2特定部13は、協調対象経路に分散型電源が設けられていた場合、当該分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する。例えば、第2特定部13は、分散型電源が並列状態の場合のリレー動作範囲の下限値および上限値を求める。また、第2特定部13は、分散型電源が解列状態の場合のリレー動作範囲の下限値および上限値を求める。そして、第2特定部13は、並列状態の場合と解列状態の場合の下限値同士、上限値同士をそれぞれ比較し、より小さい下限値をリレー動作範囲の下限値と特定し、より大きい上限値をリレー動作範囲の上限値と特定する。このように、分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定することにより、分散型電源の稼働状態に変化による変化を含めて各保護リレー間の協調の良否を適切に判定できる。
【0025】
判定部14は、協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置され、第2特定部13により特定された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として求める。そして、判定部14は、動作特性データ10cに基づいて協調対象範囲内での保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定する。
【0026】
図7は、保護リレーの動作順の特定を説明するための図である。図7の例では、図4〜図6に示した過電流リレーR1〜R3のリレー動作範囲S1〜S3として示し、リレー動作範囲S1〜S3の重複部分を協調対象範囲S4として示す。また、図7の例では、動作特性データ10cに基づいて過電流リレーR1〜R3の電流に対する動作特性が示されている。過電流リレーR1〜R3は、協調対象範囲S4で、過電流リレーR1、過電流リレーR2、過電流リレーR3の順に動作する。
【0027】
判定部14は、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する。判定部14による判定結果は、不図示の出力部により、他の装置や利用者に情報を出力される。この出力部は、例えば、モニタやスピーカ、各種の出力端子などが該当する。
【0028】
[処理の流れ]
次に、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1の処理の流れを説明する。図8は、保護リレー協調判定処理の手順を示すフローチャートである。この保護リレー協調判定処理は、受付部11で事故情報の入力を受け付けた場合に実行される。
【0029】
図8に示すように、第1特定部12は、記憶部10に記憶された接続データ10aに基づき、受付部11で受け付けた事故情報により示される事故条件および対象系統の接地方式に応じて等価回路を作成する(ステップS10)。そして、第1特定部12は、作成した等価回路から協調対象経路を特定する(ステップS11)。また、第1特定部12は、特定した協調対象経路に接続された保護リレーを協調対象の保護リレーと特定する(ステップS12)。
【0030】
第2特定部13は、特定された各保護リレー毎に、動作責務データ10bに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求める(ステップS13)。そして、第2特定部13は、各保護リレー毎に、動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する(ステップS14)。なお、協調対象経路に分散型電源が設けられていた場合は、分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する。
【0031】
判定部14は、協調が未判定の協調対象経路について、協調対象経路に設置された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として求める(ステップS15)。そして、判定部14は、協調対象範囲内での保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定する(ステップS16)。そして、判定部14は、特定した各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じか否かを判定する(ステップS17)。判定部21は、保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じ場合(ステップS17肯定)、協調判定を行った協調対象経路に対する協調が良好であることを記憶する(ステップS18)。一方、判定部21は、保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と異なる場合(ステップS17否定)、協調判定を行った協調対象経路に対して協調が不良であることを記憶する(ステップS19)。
【0032】
判定部14は、全ての協調対象経路についての協調判定が完了したか否かを判定する(ステップS20)。協調が未判定の協調対象経路がある場合(ステップS20否定)、判定部14は、上記ステップS15へ移行して、協調が未判定の協調対象経路について協調の判定を行う。全ての協調対象経路についての協調判定が完了した場合(ステップS20肯定)、判定部14は、各協調対象経路の協調判定の結果を出力し(ステップS21)、終了となる。
【0033】
次に、本実施例に係る保護リレー協調判定装置を用いて電力系統に設けられた保護リレーの協調判定を行った一例を説明する。図9は電力系統の一例を示す図である。図9では電力系統をノード100〜104、301〜304、313、401〜406、411〜413、421の接続関係により示している。電力系統には、上位系統や需要家との間の電力を変圧する変圧器591〜594と、地絡事故時に流れる零相電流を検出する零相変流器(ZCT、Zero-phase-sequence Current Transformer)511〜513と、地絡故障時に発生する零相電圧を検出する接地形計器用変圧器(GPT(Grounding Potential Transformer)、GVTとも称される)521〜524と、変流器(CT、Current Transformer)531〜539と、が設けられている。
【0034】
零相変流器511〜513は、特定方向に流れた零相電流を検出する。具体的には、零相変流器511は、ノード403からノード421に向かって流れる零相電流を検出する。言い換えると、図9において、零相変流器511は、自身から見て上部方向に零相電源があり、上部から下部へと零相電流が流れた場合に零相電流を検出する。また、零相変流器512は、ノード401からノード104に向かって流れる零相電流を検出する。零相変流器513は、ノード301からノード104に向かって流れる零相電流を検出する。
【0035】
また、電力系統には保護リレー541〜542、551〜555、561〜562、571〜574と、保護リレーと連携して事故電流を遮断する遮断器501〜505と、ヒューズ581と、が設けられている。具体的には、保護リレー541〜542は、地絡方向リレー(DGR、Ground Directional Relay)であり、保護リレー551〜555は、過電流リレー(OCR、Over Current Relay)であり、保護リレー561〜562は、地絡過電圧リレー(OVGR、Ground Over Voltage Relay)であり、保護リレー571は、地絡過電流リレー(OCGR、Ground Over Current Relay)である。なお、図9では保護リレー541〜542を「OG4」、「OG3」と記載し、保護リレー551〜555を「OC4」、「OC3」、「OCTL」、「OCTH」、「OCJ」と記載し、保護リレー561〜562を「OVG」、「OVGJ」と記載し、保護リレー571を「CGJ」と記載している。
【0036】
記憶部10には、図9に示すような電力系統の接続関係を表す接続データ10a、電力系統に設けられた各保護リレー541〜542、551〜555、561〜562、571〜574の動作責務を表す動作責務データ10b、および保護リレー541〜542、551〜555、561〜562、571〜574の動作特性を表す動作特性データ10cが記憶されている。
【0037】
受付部11は、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示す事故情報の入力を受け付ける。ここでは、例えば、事故情報として、図9に示す電力系統のF4−2の地点に3線地絡が指定された場合について説明する。
【0038】
受付部11に事故情報が入力されると、第1特定部12は、記憶部10に記憶された接続データ10aに基づき、事故情報により示される事故条件および対象系統の接地方式に応じて等価回路を作成する。図10は、事故情報としてF4−2の地点が3線地絡が指定された場合の電力系統の等価回路である。
【0039】
そして、第1特定部12は、事故点から出発して終端までの各経路を求め、経路に配置された保護リレーも求める。図11は、事故点から終端までの各経路の一例を示す図である。図11の例では、保護リレーが設けられたノードの下部に〈〉として保護リレーが存在することを示している。図11〜図13において、6桁の数字は、2つのノード間を結ぶブランチを示す。例えば、「402403」は、402から403までの間を示す。
【0040】
図11に示す例では、第1特定部12は、「1」〜「6」までの6通りの経路を求める。例えば、図11の「1」に示す経路は、「402」〜「403」「402」「402」〜「404」「404」「404」〜「405」「405」「405」〜「406」「406」を結ぶ経路であることを示す。つまり、図11の「1」は、事故地点である「402」から終端の1つである「406」までの経路となる。同様に、図11の「2」に示す経路は事故地点である「402」から「304」までの経路であり、「3」に示す経路は事故地点である「402」から「313」までの経路であり、「4」に示す経路は事故地点である「402」から「100」までの経路であり、「5」に示す経路は事故地点である「402」から「412」までの経路であり、「6」に示す経路は事故地点である「402」から「413」までの経路である。
【0041】
そして、第1特定部12は、求められた全経路の中から、終端が電源(短絡事故であれば正相電源、抵抗接地系あるいは非接地系の1線地絡では零相電源や対地静電容量)あるいは保護リレーに接続された計器用変成器である経路を抽出する。図12は、抽出された経路の一例を示す図である。図12に示す例では、「2」〜「6」までの経路が抽出されている。
【0042】
そして、第1特定部12は、抽出された全経路の中から、保護リレーの協調が必要な協調対象経路を特定する。具体的には、保護リレーや遮断器を含まない経路や事故点での事故に対して動作しない保護リレーのみが設けられた経路を除外する。また、保護リレーが設けられたノードまで同一であり、保護リレーが設けられたノードより後で分岐して終端が異なる経路を保護リレーの協調において同一と見なせる経路として1つの経路に整理する。
【0043】
また、第1特定部12は、各協調対象経路に儲けられた保護リレーのうち、事故点での事故で動作する可能性のある保護リレーを特定すると共に、そこからトリップ指示が出力される遮断器も特定する。図13は、協調対象経路と特定された経路の一例を示す図である。図13に示す例では、「4」、「6」が協調対象経路と特定されている。また、図13の例では、保護リレーが設けられたノードの下部に動作する可能性のある保護リレーおよび遮断器を示している。
【0044】
そして、第2特定部13は、動作する可能性がある保護リレー毎に、動作責務データ10bに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する。例えば、保護リレーが過電流リレーである場合、動作責務範囲内でリアクタンスが最も大きくなる点を探し、その点で2線地絡事故を発生させた場合の事故電流をリレー動作範囲の下限値と特定する。また、過電流リレーの至近端で短絡事故が発生した場合、事故電流が最大となるため、至近端で短絡事故が発生した場合の事故電流をリレー動作範囲の上限と特定する。
【0045】
なお、第2特定部13は、同一地点に、動作する可能性がある保護リレーとして、電流駆動型と電圧駆動型の保護リレーがある場合、電流駆動型の保護リレーについての感度の最小値および最大値を特定する。これは電流駆動型の方が先に動作するためである。また、第2特定部13は、同一地点に、動作する可能性がある保護リレーとして、短絡リレーと地絡リレーがある場合、短絡リレーについての感度の最小値および最大値を特定する。図9の例では、ノード104〜401に電流駆動型の保護リレー551(過電流リレーOC4)と電圧駆動型の保護リレー541(地絡方向リレーDG4)が設けられているが、保護リレー551(過電流リレーOC4)についてのリレー動作範囲の下限値および上限値を特定する。
【0046】
また、第2特定部13は、電力系統に分散形電源が設けられ、協調対象経路に分散形電源が並列している場合は、分散形電源が系統に並列している場合と解列されている状態とでのリレー動作範囲の下限値および上限値を求める。そして、第2特定部13は、並列状態の場合と解列状態の場合の下限値、上限値をそれぞれ比較し、より小さい下限値をリレー動作範囲の下限値と特定し、より大きい上限値をリレー動作範囲の上限値と特定する。
【0047】
判定部14は、協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置された各保護リレーの感度の最小値および最大値から定まる感度範囲の重複部分を協調対象範囲として求め、動作特性データ10cに基づいて協調対象範囲内での保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定する。
【0048】
図14は、保護リレーの感度特性と協調対象範囲を示す図である。図14は、図13の「4」の経路を例としており、過電流リレーである保護リレー551(OC4)、保護リレー553(OCTL)、保護リレー554(OCTH)の感度特性と協調対象範囲が示されている。
【0049】
保護リレー551(OC4)は、点線の電流に対して、T1のタイミングで動作し、遮断器402を動作させて遮断するため、電流が0になる。保護リレー551(OC4)、保護リレー553(OCTL)、保護リレー554(OCTH)の動作順序は協調対象範囲全体に対して事故地点からの順番になっている。このため、協調判定は良好と判定される。判定部14は、各協調対象経路の判定結果を、例えばディスプレイなどの出力部に出力する。
【0050】
図15は、判定結果の一例を示す図である。図15の例では、「判定」として、協調対象経路毎に、協調の良否が示されている。また、図15の例では、事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に各保護リレーの動作タイミングが示されている。さらに、図15の例では、隣接する保護リレー間の協調の良否についても協調の良否が判定されており、協調が良好な場合は“○”、協調が不良の場合は“×”で示されている。
【0051】
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1は、接続データに基づき、入力された事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲電力系統の各経路のうち協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する。そして、保護リレー協調判定装置1は、特定された各保護リレー毎の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する。そして、保護リレー協調判定装置1は、協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、協調対象範囲内での保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する。よって、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1によれば、各保護リレー間の協調の良否をより適切に判定できる。
【0052】
また、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1は、協調対象経路に分散型電源が設けられていた場合、当該分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても前記動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する。よって、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1によれば、分散型電源が設けられた経路についても、分散型電源の稼働状態に変化による系統条件の変更に対しても、見落としなく各保護リレー間の協調判定を行うことができる。
【0053】
また、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1は、同一地点に電流駆動型と電圧駆動型の保護リレーがある場合、電流駆動型の保護リレーについてのリレー動作範囲の下限値および上限値を特定し、同一地点に短絡リレーと地絡リレーがある場合、短絡リレーについてのリレー動作範囲の下限値および上限値を特定する。よって、本実施例に係る保護リレー協調判定装置1によれば、同一地点に電流駆動型と電圧駆動型の保護リレーがある場合や同一地点に短絡リレーと地絡リレーがある場合でも、協調判定に影響するリレー動作範囲を適切に求めることができる。
【0054】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0055】
例えば、上記の実施例では、過電流リレーの至近端で事故を発生した場合、事故電流等からリレー動作範囲の上限と特定する場合について例示したが開示の装置はこれに限定されない。例えば、リレー動作範囲の上限とみなせる所定値を予め記憶しておき、記憶した所定値をリレー動作範囲の上限としてもよい。この所定値は保護リレーや保護リレーの種類毎に定めてもよい。また、各保護リレーのリレー動作範囲の上限を1つの値としてもよい。
【0056】
また、上記の実施例では、協調対象範囲内での各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調の良否を判定する場合について例示したが開示の装置はこれに限定されない。例えば、さらに協調対象経路毎に、リレー応動解析により保護リレーの動作順を特定し、リレー応動解析結果から特定される保護リレーの動作順が事故地点からの保護リレーの接続順と一致する否を判定し、判定結果が共に良好な場合に協調が良好であると判定するようにしてもよい。
【0057】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的状態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図1に示す第1特定部12と第2特定部13と判定部14とが統合されてもよい。また、第1特定部12と第2特定部13と判定部14をさらに細かい処理部に分けてもよい。
【実施例2】
【0058】
[保護リレー協調判定プログラム]
また、上記の実施例で説明した保護リレー協調判定装置1の各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。そこで、以下では、図16を用いて、上記の実施例で説明した保護リレー協調判定装置1と同様の機能を有する保護リレー協調判定プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図16は、保護リレー協調判定プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0059】
図16に示すように、実施例2におけるコンピュータ700は、CPU(Central Processing Unit)710、ROM(Read Only Memory)720、HDD(Hard Disk Drive)730、RAM(Random Access Memory)740を有する。これら710〜740の各部は、バス800を介して接続される。
【0060】
ROM720には、上記の実施例1で示す第1特定部12と、第2特定部13と、判定部14と、と同様の機能を発揮する保護リレー協調判定プログラムが予め記憶される。すなわち、ROM720には、図16に示すように、保護リレー協調判定プログラム720aが記憶される。なお、保護リレー協調判定プログラム720aについては、適宜分離しても良い。
【0061】
そして、CPU710が、保護リレー協調判定プログラム720aをROM720から読み出して実行する。
【0062】
そして、HDD730には、接続データ730a、動作責務データ730b、動作特性データ730cが設けられる。接続データ730a、動作責務データ730b、動作特性データ730cは、図2に示した記憶部10に記憶された接続データ10a、動作責務データ10b、動作特性データ10cに対応する。
【0063】
そして、CPU710は、接続データ730a、動作責務データ730b、動作特性データ730cを読み出してRAM740に格納する。CPU710は、RAM740に格納された接続データ730a、動作責務データ730b、動作特性データ730cを用いて、保護リレー協調判定プログラム720aを実行する。なお、RAM740に格納される各データは、常に全てのデータがRAM740に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがRAM740に格納されれば良い。
【0064】
なお、上記した保護リレー協調判定プログラムについては、必ずしも最初からHDD730に記憶させておく必要はない。
【0065】
例えば、コンピュータ700に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ700がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0066】
さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ700に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などにプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ700がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 アクセス制御装置
10 記憶部
10a 接続データ
10b 動作責務データ
10c 動作特性データ
11 受付部
12 第1特定部
13 第2特定部
14 判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護リレーを含む電力系統の接続関係を表す接続データ、前記保護リレーの動作責務を表す動作責務データ、前記保護リレーの動作特性を表す動作特性データを記憶する記憶部と、
検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示す事故情報の入力を受け付ける受付部と、
前記記憶部に記憶された接続データに基づき、前記事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する第1特定部と、
前記第1特定部により特定された保護リレー毎に、前記動作責務データに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する第2特定部と、
前記協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置され、前記第2特定部により特定された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、前記動作特性データに基づいて前記協調対象範囲内での前記保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する判定部と、
を備えたことを特徴とする保護リレー協調判定装置。
【請求項2】
前記接続データは、電力系統に設けられた分散型電源の接続関係を表すデータをさらに含み、
前記第2特定部は、前記協調対象経路に分散型電源が設けられていた場合、当該分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても前記動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する
ことを特徴とする請求項1記載の保護リレー協調判定装置。
【請求項3】
前記第2特定部は、同一地点に電流駆動型と電圧駆動型の保護リレーがある場合、電流駆動型の保護リレーについての前記リレー動作範囲の下限値および上限値を特定し、同一地点に短絡リレーと地絡リレーがある場合、短絡リレーについての前記リレー動作範囲の下限値および上限値を特定する
ことを特徴とする請求項1または2記載の保護リレー協調判定装置。
【請求項4】
保護リレーを含む電力系統の接続関係を表す接続データ、前記保護リレーの動作責務を表す動作責務データ、前記保護リレーの動作特性を表す動作特性データを記憶する記憶部に記憶された接続データに基づき、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示し、入力された事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する第1特定工程と、
特定された各保護リレー毎に、前記動作責務データに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する第2特定工程、
前記協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、前記動作特性データに基づいて前記協調対象範囲内での前記保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする保護リレー協調判定方法。
【請求項5】
保護リレーを含む電力系統の接続関係を表す接続データ、前記保護リレーの動作責務を表す動作責務データ、前記保護リレーの動作特性を表す動作特性データを記憶する記憶部に記憶された接続データに基づき、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示し、入力された事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する第1特定手順と、
特定された各保護リレー毎に、前記動作責務データに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する第2特定手順と、
前記協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、前記動作特性データに基づいて前記協調対象範囲内での前記保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する判定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする保護リレー協調判定プログラム。
【請求項1】
保護リレーを含む電力系統の接続関係を表す接続データ、前記保護リレーの動作責務を表す動作責務データ、前記保護リレーの動作特性を表す動作特性データを記憶する記憶部と、
検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示す事故情報の入力を受け付ける受付部と、
前記記憶部に記憶された接続データに基づき、前記事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する第1特定部と、
前記第1特定部により特定された保護リレー毎に、前記動作責務データに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する第2特定部と、
前記協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置され、前記第2特定部により特定された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、前記動作特性データに基づいて前記協調対象範囲内での前記保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する判定部と、
を備えたことを特徴とする保護リレー協調判定装置。
【請求項2】
前記接続データは、電力系統に設けられた分散型電源の接続関係を表すデータをさらに含み、
前記第2特定部は、前記協調対象経路に分散型電源が設けられていた場合、当該分散型電源が並列状態および解列状態の何れにおいても前記動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内で発生し得るリレー動作範囲の上限値を特定する
ことを特徴とする請求項1記載の保護リレー協調判定装置。
【請求項3】
前記第2特定部は、同一地点に電流駆動型と電圧駆動型の保護リレーがある場合、電流駆動型の保護リレーについての前記リレー動作範囲の下限値および上限値を特定し、同一地点に短絡リレーと地絡リレーがある場合、短絡リレーについての前記リレー動作範囲の下限値および上限値を特定する
ことを特徴とする請求項1または2記載の保護リレー協調判定装置。
【請求項4】
保護リレーを含む電力系統の接続関係を表す接続データ、前記保護リレーの動作責務を表す動作責務データ、前記保護リレーの動作特性を表す動作特性データを記憶する記憶部に記憶された接続データに基づき、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示し、入力された事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する第1特定工程と、
特定された各保護リレー毎に、前記動作責務データに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する第2特定工程、
前記協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、前記動作特性データに基づいて前記協調対象範囲内での前記保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする保護リレー協調判定方法。
【請求項5】
保護リレーを含む電力系統の接続関係を表す接続データ、前記保護リレーの動作責務を表す動作責務データ、前記保護リレーの動作特性を表す動作特性データを記憶する記憶部に記憶された接続データに基づき、検証対象とする事故の発生地点及び事故条件を示し、入力された事故情報により示される発生地点に事故条件の事故が発生した場合に電力系統の各経路のうち保護リレーの協調が必要な協調対象経路および当該協調対象経路に配置された保護リレーを特定する第1特定手順と、
特定された各保護リレー毎に、前記動作責務データに基づいて当該保護リレーが設置された協調対象経路での動作責務範囲を求め、当該動作責務範囲内の何れかで発生する動作責務とされた事故を検出するためのリレー動作範囲の下限値および動作責務範囲内でのリレー動作範囲の上限値を特定する第2特定手順と、
前記協調対象経路毎に、当該協調対象経路に設置された各保護リレーの下限値および上限値から定まるリレー動作範囲の重複部分を協調対象範囲として、前記動作特性データに基づいて前記協調対象範囲内での前記保護リレーの動作特性から各保護リレーの動作順を特定し、特定された各保護リレーの動作順が事故の発生地点からの接続順と同じであるか否かに基づいて保護リレー間の協調が良好であるか否かを判定する判定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする保護リレー協調判定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−239304(P2012−239304A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106595(P2011−106595)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】
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