説明

保護対象追跡システム

【課題】保護対象が危険な場所に入ってしまうのを未然に防止するための保護対象追跡システムを提供する。
【解決手段】保護者Yが保護者端末8から保護対象追跡システム1に公衆網7を介してアクセスして、電力線通信網2内を移動する携帯型通信装置3を保護対象追跡システム1に探索させる。そして、保護対象追跡システム1が、携帯型通信装置3の現在位置等の情報を保護者端末8に公衆網7を介して送信し、保護者端末8でその情報を提示して、保護者Yが保護対象Xの危険度を判定できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護対象を追跡する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の保護対象追跡システムとしては、GPS(Global Positioning System)機能を搭載した携帯電話を利用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−330885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載の技術では、GPS機能を利用して携帯電話の現在位置を測位して保護者の端末に通知し、その端末画面上の地図イメージに現在位置を表示するだけなので、保護者は、保護対象が危険な場所にいる否かをその都度判断しなければならない。そのため、保護対象が危険な場所に移動してしまうのを未然に防止することができない。
【0004】
そこで、本発明は、保護対象が危険な場所に進入してしまうのを未然に防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、保護対象が付帯する携帯型通信装置からの信号に基づいて前記携帯型通信装置の現在位置を推定し、推定した前記携帯型通信装置を付帯する前記保護対象を追跡する保護対象追跡システムであって、前記携帯型通信装置から送信される信号に基づいて当該携帯型通信装置の現在位置を推定する現在位置推定手段と、前記現在位置推定手段によって推定された現在位置にいる前記保護対象が、前記危険エリアに向かっているか否かを判定する危険エリア判定手段とを備えるようにしたことを特徴とする。
【0006】
そのため、この保護対象追跡システムによれば、現在位置にいる保護対象が危険エリアに向かっているか否かを判定することが可能になるため、保護対象が危険エリアに入ってしまうのを未然に防止することも可能になる。
【0007】
また、本発明は、ディスプレイ画面に地図イメージを表示し、前記保護対象を追跡する範囲としての保護エリア内に、前記保護対象にとって危険な場所としての危険エリアを前記地図イメージ上に指示する入力を支援するエリア入力支援手段を備えるようにしたことを特徴とする。
【0008】
そのため、この保護対象追跡システムでは、エリア入力支援手段によって、危険エリアをユーザに定義させることができる。したがって、この保護対象追跡システムによれば、保護対象にとっての危険エリア(危険な場所)を、保護対象の属性(年齢・性別等)や周辺の状況に合わせて細かく適宜設定できるようになる。
【0009】
また、本発明は、前記危険エリアの危険度を設定する危険度設定画面を表示し、前記危険度の設定入力を支援する危険度設定入力支援手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0010】
そのため、この保護対象追跡システムでは、危険度設定入力支援手段によって、危険度をユーザに定義させることができる。
【0011】
本発明は、前記危険度設定入力支援手段は、前記携帯型通信装置の移動に従って前記危険度が高くなるときに、危険エリアに近づいていると判定するようにしたことを特徴とする。
【0012】
そのため、この保護対象追跡システムでは、保護対象が危険エリアに向かっているか否かを判定できる。
【0013】
また、本発明は、危険エリア判定手段は、前記現在位置推定手段によって推定された現在位置と過去に推定された履歴位置とから、現在の進行方向を推定し、現在位置にいる保護対象が危険エリアに向かっているか否かを判定するようにしたことを特徴とする。
【0014】
そのため、この保護対象追跡システムでは、危険エリア判定手段によって、現在の進行方向を推定し、危険エリアに向かっているか否かを判定することができる。
【0015】
また、本発明は、前記危険エリアにおいて前記保護対象が危険な状況になる可能性のある危険時間を設定する危険時間設定画面を表示し、危険時間の設定入力を支援する危険時間設定入力支援手段と、前記携帯型通信装置から送信される信号に基づいて、前記現在位置における現在時刻を特定する現在時刻特定手段とをさらに備え、前記危険エリア判定手段が、前記現在位置における現在時刻と前記危険時間とを比較して、前記保護対象が危険な状況になる可能性のある時間か否かを判定するようにしたことを特徴とする。
【0016】
そのため、この保護対象追跡システムでは、危険時間設定入力支援手段によって、危険時間をユーザに定義させることができ、現在時刻特定手段によって、推定された現在位置の現在時刻が特定され、危険エリア判定手段によって、現在時刻と危険時間とを比較して、保護対象が危険な状況になる可能性のある時間か否かを判定することができる。
【0017】
また、本発明は、前記危険時間設定入力支援手段は、日付、曜日、時刻及び時間帯の中のいずれかによって表される前記危険時間を入力するようにしたことを特徴とする。
【0018】
そのため、この保護対象追跡システムでは、危険時間設定入力支援手段によって、日付、曜日、時刻及び時間帯の中のいずれかによって危険エリアの危険な時間を定義することができる。
【0019】
また、本発明は、前記危険エリアにおいて前記保護対象が危険な状況になる可能性のある危険速度を設定する危険速度設定画面を表示し、危険速度の設定入力を支援する危険速度設定入力支援手段と、前記携帯型通信装置から送信される信号に基づいて、前記現在位置における現在時刻を特定し、特定した現在時刻を基準にした単位時間当たりに移動した距離を算出して、前記現在位置における現在速度を算出する速度算出手段とをさらに備え、前記危険エリア判定手段が、前記速度算出手段によって算出された前記現在速度と前記危険速度とを比較して、前記保護対象が危険な状況になる可能性のある速度か否かを判定するようにしたことを特徴とする。
【0020】
そのため、この保護対象追跡システムでは、危険速度設定入力支援手段によって、危険速度をユーザに定義させることができ、速度算出手段によって、現在位置における現在速度を算出し、危険エリア判定手段によって、現在時刻と危険速度とを比較して、保護対象が危険な状況になる可能性ある速度か否かを判定することができる。
【発明の効果】
【0021】
したがって、本発明によれば、保護対象が危険な場所に進入してしまうのを未然に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の保護対象追跡システムが接続する保護対象追跡ネットワークの概念を示す説明図である。保護対象追跡ネットワーク100は、保護対象追跡システム1と、携帯型通信装置3と、保護対象追跡システム1及び携帯型通信装置3の間を通信可能に接続する電力線通信網2と、保護者端末8と、保護対象追跡システム1及び保護者端末8の間を通信可能に接続する公衆網7とを主に含むネットワークとして構築されている。
【0023】
なお、携帯型通信装置3を付帯する保護対象Xとしては、児童、障害者、高齢者等の社会的弱者と呼ばれている者を対象とする。また、保護者端末8を操作する保護者Yとしては、親、家族、教師、医師、介護福祉士等のように保護対象Xを監督する立場にある者を対象とする。なお、保護対象Xは、犬等の動物や自動車自体等の移動体であってもよい。
【0024】
保護対象追跡システム1は、携帯型通信装置3からの信号に基づいて携帯型通信装置3の現在位置を推定し、推定した携帯型通信装置3を付帯する保護対象Xを追跡し、保護者端末8に追跡結果を送信することによって、保護者Yに保護対象Xの位置等の追跡情報を提供し、保護対象Xが危険エリアに進入するのを未然に防ぐようにするものである。この保護対象追跡システム1は、一般的なコンピュータでよく、CPU、記憶装置、インタフェース等(いずれも不図示)を備え、呼出処理や位置推定処理等のアプリケーションプログラムを実行する機能を備えている。なお、この保護対象追跡システム1の機能構成については、図3を用いて後述するものとし、図1の説明を続ける。
【0025】
電力線通信網2は、街中等に設置されている電柱に架設された電力線を利用して、保護対象追跡システム1と携帯型通信装置3との間で通信可能にしたものである。その原理については、図2を用いて説明することとし、図1の説明を続ける。
【0026】
携帯型通信装置3は、電力線通信網2を構成する電力線との間で電波の送受信を行って、電力線通信網2に接続する保護対象追跡システム1との間で通信を行うものである。この携帯型通信装置3は、電力線通信網2の電力線から発信される電波を受信し、電力線に向けて電波を送信可能なものであればどのようなものでもよい。例えば、携帯電話、RFID(Radio Frequency IDentification)タグ(以下「RFタグ」と称す。)であってもよい。
【0027】
また、この携帯型通信装置3には、個別に付与された個体識別可能な識別情報が保持されている。例えば、RFタグの場合、電波受信後、その電波自体を電力とするとともに、受信信号を識別情報で変調して、発信する。また、携帯型通信装置3は、図示しない、全体の処理を司る処理部と、通信を制御する通信部と、自身を識別する固有の識別情報(タグID等)を記憶した記憶部と、コイン型電池等の電源と、設定周波数の信号としての電波(例えば950MHz帯域)を送受信するアンテナとを備えている。
【0028】
公衆網7は、保護対象追跡システム1と保護者端末8とが通信可能なネットワークであれば、どのようなものでもよく、一般に敷設されている固定電話回線網、ケーブルテレビ網等の有線網であっても、携帯電話回線網や無線LAN(Local Area Network)のような無線網であってもよい。なお、公衆網7は、電力線通信網2と同様に、電力線通信網としてもよい。
【0029】
保護者端末8は、公衆網7を介して保護者追跡システム1にアクセス可能であれば、どのようなものであってもよく、例えば、パーソナルコンピュータや携帯電話等の各種情報通信端末である。なお、この保護者端末8は、記憶部に記憶されたブラウザやRAS暗号等のアプリケーションを処理部(不図示)が実行して、保護対象追跡システム1にアクセスし、種々の入力・出力・表示処理を実行する機能を備えている。
【0030】
ところで、図1中、符号9は、乗り物であり、保護対象Xが乗車するためのものである。この乗り物9は、自転車、乗用車、バス、電車等のいずれでもよい。なお、この乗り物9が移動中であっても、この乗り物9に乗車した保護対象Xが所持する携帯型通信装置3と電力線通信網2(電力線(不図示))との間で電波の送受信が可能である。
【0031】
以上の保護対象追跡ネットワーク100では、保護者Yが保護者端末8から保護対象追跡システム1に公衆網7を介してアクセスして、電力線通信網2内を移動する携帯型通信装置3を保護対象追跡システム1に探索させる。そして、保護対象追跡システム1が、携帯型通信装置3の現在位置等の情報を保護者端末8に公衆網7を介して送信し、保護者端末8でその情報を提示して、保護者Yが保護対象Xの危険度を判定できるようになっている。
【0032】
さらに、この保護対象追跡システム1は、保護者端末8からの危険エリア等の入力を支援している。また、保護対象追跡システム1は、保護対象Xが危険エリアへ進入するのを未然に判定して、その判定結果を保護者Yに提供するようになっている。そのため、保護者Yが、電話等の通信手段を用いて保護対象Xを呼び出し、危険を回避させることが可能になっている。以下、保護対象追跡ネットワーク100を構成する各部の機能構成について説明する。まず、図2に示す概念図に従って、電力線通信網2の構成を簡単に説明する。
【0033】
この電力線通信網2では、保護対象Xに付帯される携帯型通信装置3(n)が、電力線5からの電波に含まれる設定周波数成分を受信し、設定周波数の電波を送信して、送信した設定周波数の電波を電力線5に受信させるようになっている。電力線5は、電柱4(1)、4(2)、…、4(11)にそれぞれ掛け渡されている。なお、実施形態では、任意の電柱4(n)と表すこととする。
【0034】
保護対象追跡システム1は、携帯型通信装置3(n)の呼出処理や位置推定処理等のアプリケーションプログラムを実行する。呼出処理では、保護対象追跡システム1が、そのアプリケーションプログラムの実行によって、第1信号及び逆位相の第2信号を電力線5に伝送させて、電力線5からの電波に乗せた設定周波数の第1信号及び第2信号によって携帯型通信装置3(n)を呼び出す。また、位置推定処理では、保護対象追跡システム1が、そのアプリケーションプログラムの実行によって、第1信号及び第2信号のいずれも送信した時刻と呼出対象の携帯型通信装置3(n)の識別情報を含む応答信号を受信した最短の時刻とから伝送時間を求め、求めた伝送時間と電力線5に固有の伝送速度とに応じて、携帯型通信装置3(n)の位置までの距離を求め、保護対象Xの位置を推定する。
【0035】
また、この保護対象追跡システム1は、携帯型通信装置3(n)から送信された識別情報(及び時刻情報(受信時刻))を含む応答信号を受信し、保護者端末8(図1参照)に転送する。また、この保護対象追跡システム1は、呼出情報の送信時刻と携帯型通信装置3(n)の呼出情報の受信時刻とに基づく伝送時間と、電力線5に固有の信号の伝送速度とから伝送距離、すなわち、保護対象追跡システム1から携帯型通信装置3(n)までの距離を求めて、携帯型通信装置3(n)の位置を推定する。
【0036】
そのため、保護対象追跡システム1は、携帯型通信装置3(n)の受信結果を保護者端末8のディスプレイ画面上に提示させて、携帯型通信装置3(n)を呼び出し、保護者Yに携帯型通信装置3(n)の位置を推定させるようにするだけでなく、携帯型通信装置3(n)の位置の推定処理を実行する。以下、この実施形態では、保護対象追跡システム1が、第1信号及び第2信号を送信して携帯型通信装置3(n)を呼び出し、その位置の推定処理を実行し、その推定処理結果、さらに、危険エリアか否か等のエリア情報を保護者端末8に送信するものとして説明する。
【0037】
なお、系統A、系統Bは、高圧配電線が2系統ある場合に、これらを区別する標識であり、図2を参照すると、保護対象追跡システム1から変圧器6(1)に接続する側を系統A、保護対象追跡システム1から変圧器6(2)に接続する側を系統Bとしている。また、送信時刻は、保護対象追跡システム1が第2信号を電力線(高圧配電線)5に伝送した時刻を示している。また、受信時刻は、携帯型通信装置3(n)が応答信号を電力線(高圧配電線)5から受信した時刻を示している。なお、受信時刻は、携帯型通信装置3(n)が同一の呼出情報を最初に受信した時刻とする。このとき、伝送距離が最短経路となる。
【0038】
次に、保護対象追跡システム1の構成について説明する。図3は、図1に示す実施形態の保護対象追跡システムの機能構成を示すブロック図である。この保護対象追跡システム1は、現在位置推定手段10と、選択指示手段11と、危険エリア判定手段12と、エリア入力支援手段13と、危険度設定入力支援手段14と、危険時間設定入力支援手段15と、現在時刻特定手段16と、危険速度設定入力支援手段17と、速度算出手段18と、記憶手段19と、報知指示手段20と、通信手段21と、周辺情報取得手段22とを主に備えている。
【0039】
現在位置推定手段10は、携帯型通信装置3から送信される信号に基づいて携帯型通信装置3の現在位置を推定するものである。この現在位置推定手段10は、前記呼出処理及び前記推定処理を実行することで機能を実現する。
【0040】
選択指示手段11は、保護者Yが保護者端末8から保護対象追跡システム1にアクセスしたときに、保護者端末8のディスプレイ画面上に初期選択画面を表示させ、その初期選択画面上で表示された指示やIDやパスワード(PASS)等の情報を認証し、「エリア,条件入力」又は「追跡開始」のいずれかに処理を移す機能を備えている。
【0041】
なお、初期選択画面には、例えば、図7A(a)に示すように、「選択してください。」等の指示メッセージ、「エリア,条件入力」選択ボタン、「追跡開始」ボタン、保護者Y等の契約者を示すIDのID入力フィールドF、及び、パスワードのPASS入力フィールドF等が表示される。
【0042】
危険エリア判定手段12は、現在位置推定手段10によって推定された現在位置にいる保護対象Xが、危険エリアに向かっているか否かを判定するものである。つまり、危険エリア判定手段12は、危険エリアの周辺を次第に危険度が低くなるようにランク分けされている場合には、携帯型通信装置3の移動に従って危険エリアごとに次第に危険度が高くなるときに、危険エリアに近づいていると判定する。
【0043】
また、危険エリア判定手段12は、現在位置推定手段10によって推定された現在位置と過去に推定された履歴位置とから、現在の進行方向を推定し、現在位置にいる保護対象Xが危険エリアに向かっているか否かを判定するようにしてもよい。また、危険エリア判定手段12は、現在位置における現在時刻と危険時間とを比較して、保護対象Xが危険な状況になる可能性のある時間か否かを判定する。さらに、危険エリア判定手段12は、速度算出手段18によって算出された現在速度と危険速度とを比較して、保護対象Xが危険な状況になる可能性のある速度か否かを判定する。
【0044】
エリア入力支援手段13は、図7A(b)に示すように、保護者端末8のディスプレイ画面上にエリア入力画面を表示させる。そして、エリア入力支援手段13は、保護者端末8からの指示に基づいて、保護対象Xを通常追跡する範囲の地図イメージを記憶手段19の地図DBを参照して生成して、エリア入力画面内のウィンドウに地図イメージを表示させる。その後、エリア入力支援手段13は、保護者端末8からの指示に基づいて保護エリアを設定する。この実施形態では、保護対象Xを追跡する範囲としての保護エリアは、エリア入力画面内のウィンドウ内に表示されている地図イメージ全体とする。
【0045】
エリア入力支援手段13は、保護者端末8からの指示に基づいて、その保護エリア内に、保護対象Xにとって危険な場所としての危険エリアを設定する。なお、この危険エリアの設定方法は、後に述べる。そして、エリア入力支援手段13は、保護者端末8から送信された地図イメージ上に対応する危険エリアを設定し、記憶手段19に登録する。
【0046】
なお、保護者端末8のディスプレイ画面上には、例えば、図7A(b)に示すように、エリア入力画面が表示される。このエリア入力画面には、「地図上で,エリアを指定してください。」等の指示メッセージ、及び、地図イメージの表示ウィンドウW等が表示される。この実施形態では、表示ウィンドウWには、家(自宅)m、工事中の敷地m、学校m、塾m、及び、それらに導く道が示されている。
【0047】
なお、この実施形態では、図7A(b)に示す表示ウィンドウW自体を保護エリアとする。つまり、表示ウィンドウW内の全域が保護エリアである。この保護エリアは、保護対象Xを追跡して監視する領域である。また、この保護エリアは、表示ウィンドウW内に表示される地図イメージ内の一部の領域を設定するようにしてもよい。例えば、地図イメージ上に表示されている道のみを保護エリアとして設定するようにしてもよい。
【0048】
なお、危険エリアの設定は、例えば、図7A(c)に示すように、家m、敷地m、学校m、塾m等の敷地や建物ごとに行える。例えば、保護者端末8のディスプレイ画面上において、敷地mの領域にポインタを移動させ、左クリックすることによって、保護者端末8では敷地mが選択される。その後、その位置情報が保護者端末8から保護対象追跡システム1に送信され、エリア入力支援手段13によって、記憶手段19に記憶される。ところで、図7A(c)では、工事中のmと道mとが危険エリアとして指定されている様子を示している(ハッチング参照)。ハッチングの他には、色を変化させることによっても、また、点滅表示させることによって行うことも可能である。
【0049】
また、矢印で示す道mは、保護対象Xとしての子供が家(自宅)m及び学校mの間を移動する予定経路、つまり通学路を表している。この道mは、道mの一端側(学校m側)にポインタを位置させ、ポインティングデバイスの選択ボタン(マウスならば左クリックボタン)を押下したまま道mに沿ってポインタを移動させ、道mの他端側(家m側)に移動させて、押下を解除することによって、指定することが可能である。なお、通学路としての道mは、その危険度を通常を表すCに設定することで、危険エリアの一つとして設定することが可能である。その危険度は保護者端末8から保護対象追跡システム1に転送され、エリア入力支援手段13によって、記憶手段19に記憶される。
【0050】
ところで、図7A(c)中に、他の予定経路を設定する場合にも、道mと同じようにして、図7B(h)に示すように、予定経路である道mを設定することができる。この道mは、道mとの分岐点から塾mまでの間を表している。
【0051】
また、図7A(d)に示すように、工事中の敷地mは、四つのポインタ「○」印の囲む領域として指定されている。また、通学路の道m上にある交差点に位置する「○」印を中心にした設定半径内の領域(破線円)が、危険エリアを示す交差点mとして指定されている。図3に戻って、説明を続ける。
【0052】
危険度設定入力支援手段14は、危険エリアの危険度を設定する危険度設定画面を保護者端末8に表示させ、危険度の設定入力を支援するアプリケーションを保護者端末8に送信する。そして、危険度設定入力支援手段14は、保護者端末8から送信された危険エリアに対応する危険度を、先に設定された危険エリアに対応付けて記憶手段19に登録する。ランク分けは、危険エリアの周辺を次第に危険度が低くなるように設定されることが望ましい。なお、保護者Y自身が、危険エリアの周辺を次第に危険度が低くなるように危険度を指定した場合には、危険度設定入力支援手段14は、その指定通りに、記憶手段19に登録する。
【0053】
ここで、条件(ランク)の設定方法について説明する。この場合、図7A(c)や図7A(d)のエリア指定例を示す画面中で、危険エリアとして指定されている部分をクリックして選択することで、ランクを設定するエリアを指定することができる。なお、エリアの指定後、ランクを設定する指令を入力するようにしてもよい。また、指定エリアの他の条件設定後、ランクを設定する指令を入力するようにしてもよい。エリアの指定後、保護者端末8のディスプレイ画面は、図7A(e)の条件(ランク)設定画面に遷移する。
【0054】
図7A(e)には、条件(ランク)設定画面の一例が示されている。この条件(ランク)設定画面には、「指定したエリアの危険度を設定してください」等の指示メッセージ、「指定エリア」の名称等の個別識別名を表示する名称フィールドF、指定されたエリアのランクを設定するランク設定フィールドF、及び、交差点mを提示した地図イメージを示した表示ウィンドウWが表示されている。図7A(e)の場合、名称フィールドFには「m」のように個別識別名が提示されている。つまり、ランク設定フィールドFでは、交差点mにおける危険なランクの入力が支援されている。ここでは、「A」のランクが設定されている。設定の確定は、例えば、エンタキーの押下によって行えばよい。
【0055】
なお、危険度は、例えば、A>B>Cの順にランクが低くなり、さらに、A>A1>A2>…の順にランクが低くなるように定義しておく。ここで、Cは、通常危険度を示すランク(つまり、通常ならば安全であることを示すランク)であることを意味するものとする。このように設定されているときに、例えば、危険度がCからBに移ったときには、危険度がAの危険エリアに進行している。そのため、危険エリア判定手段12は、危険度がCからBに移ったときに、保護者端末8に危険度が高くなったことを通知する。したがって、保護者Yは、保護対象XがAの危険度の危険エリア(危険な場所)に進入してしまう前に知ることができるため、その進入を未然に防止することができる。
【0056】
ところで、図7B(i)に示すように、表示ウィンドウW内に表示されている地図イメージ上の指定エリアに、C、B、A、A1、A2、A3等のランクを表す記号を対応付けて、各ランクを表示すればよい。この場合、危険エリア判定手段12は、例えば、保護対象Xが、通学路としての道mを通行中に、工事中の敷地mに近づいている場合、危険度はCからB(領域m)に変化するため、その変化を判定して、保護者端末8に通知する。そのため、保護者Yは、保護対象Xの所持する携帯電話等に電話やメールして、注意を促すことができる。
【0057】
なお、エリア入力支援手段13は、任意の危険エリアが高い危険度に指定された場合、その危険エリアを中心にして、同心円状に危険度が低くなるように、自動的に設定するようにしてもよい。もちろん、保護者Yの操作に基づいて、高い危険度の危険エリアから同心円状に危険度が低くなるように設定してもよい。ところで、危険度の表示は、ディスプレイ画面上で、区別できるように異なる色で表すようにしてもよい。
【0058】
危険時間設定入力支援手段15は、危険エリアにおいて保護対象Xが危険な状況になる可能性のある危険時間を設定する条件(時間)設定画面を保護者端末8のディスプレイ画面上に表示させ、危険時間の設定入力を支援するアプリケーションを保護者端末8に送信するものである。また、この危険時間設定入力支援手段15は、保護者端末8から送信された危険時間を危険エリアに対応付けて記憶手段19に登録する。
【0059】
ここで、条件(時間)設定画面(危険時間設定画面)について説明する。この場合も、図7A(c)や図7A(d)のエリア指定例を示す画面中で、危険エリアとして指定されている部分をクリックして選択させることで、危険時間を設定するエリアを指定することができる。なお、エリアの指定後、危険時間を設定する指令を入力するようにしてもよい。また、指定エリアの他の条件設定後、危険時間を設定する指令を入力するようにしてもよい。エリアの指定後、保護者端末8のディスプレイ画面は、図7A(f)の条件(時間)設定画面に遷移する。
【0060】
図7A(f)には、条件(時間)設定画面の一例が示されている。この条件(時間)設定画面には、「指定したエリアの危険時間を設定してください」等の指示メッセージ、「指定エリア」の名称等の個別識別名を表示する名称フィールドF、指定されたエリアの危険な時刻を設定する時刻設定フィールドF、指定されたエリアの危険な時間帯を設定する時間帯設定フィールドF、及び、交差点mを提示した地図イメージを示した表示ウィンドウWが表示されている。
【0061】
図7A(f)の場合、名称フィールドFには「m」のように個別識別名が提示されている。つまり、時刻設定フィールドFでは、交差点mにおける危険な時刻の入力が支援されている。ここでは、ブランクになっている。また、時間帯設定フィールドFでは、交差点mにおける危険な時間帯の入力が支援されている。ここでは、「pm6」の時間帯が設定されている。
【0062】
なお、時刻設定フィールドF及び時間帯設定フィールドFのいずれか一方に入力された場合に、その入力された方を優先して選択して設定するものとする。この場合も、設定の確定は、例えば、エンタキーの押下によって行えばよい。ところで、危険時間として設定する時刻や時間帯の他に、例えば、日付や曜日によって指定エリアの危険度を定義するようにしてもよい。例えば、道の場合、交通量の多い時刻や時間帯を指定することで、保護対象Xが、その時刻や時間帯に指定エリアとしての道を通らないように電話等の通信手段を利用して指示することが可能になる。また、日付や曜日であれば、指定エリア(危険エリア)内で何らかの催し物があって、保護対象Xとしての子供が立ち寄るのが好ましくないような場合に、その指定エリアに子供が立ち寄らないように電話等の通信手段を利用して指示することが可能になる。
【0063】
現在時刻特定手段16は、携帯型通信装置3から送信される信号に基づいて、現在位置における現在時刻を特定するものである。そのため、現在時刻特定手段16は、時計機能を備えている。この現在時刻特定手段16は、特定した現在時刻情報を危険エリア判定手段12に出力している。このとき、危険エリア判定手段12は、探索している現在のエリアのランクがC以外の場合やランクが次第に悪くなるように遷移する場合などに、危険の到来の可能性が有り、危険であると判定し、保護者端末8に判定結果を送信する。これによって、保護者Yが保護対象Xの危険性を未然に把握できるため、危険の回避を保護対象Xに促すように、そのランクの危険時間が到来したことなどを把握させることが可能になる。
【0064】
危険速度設定入力支援手段17は、危険エリアにおいて保護対象Xが危険な状況になる可能性ある危険速度を設定する条件(速度)設定画面(危険速度設定画面)を保護者端末8のディスプレイ画面上に表示させ、危険速度の設定入力を支援するアプリケーションを保護者端末8に送信するものである。また、この危険速度設定入力支援手段17も、保護者端末8から送信された危険速度を指定エリアに対応付けて記憶手段19に登録する。
【0065】
ここで、条件(速度)設定画面について説明する。この場合も、図7A(c)や図7A(d)のエリア指定例を示す画面中で、危険エリアとして指定されている部分をクリックして選択させることで、危険速度を設定するエリアを指定することができる。なお、エリアの指定後、危険速度を設定する指令を入力するようにしてもよい。また、指定エリアの他の条件設定後、危険速度を設定する指令を入力するようにしてもよい。エリアの指定後、保護者端末8のディスプレイ画面は、図7B(g)の条件(速度)設定画面に遷移する。
【0066】
図7B(g)には、条件(速度)設定画面の一例が示されている。この条件(速度)設定画面には、「指定したエリアの危険速度と移動種別を設定してください」等の指示メッセージ、移動種別を設定する移動種別設定フィールドF、指定されたエリアかつ移動種別の危険な速度を設定する速度設定フィールドF、及び、指定エリア(ここでは、通学路mとする)を提示した地図イメージを示した表示ウィンドウWが表示されている。なお、この図7B(g)に示すように、「指定エリア」の名称等の個別識別名が表示される名称フィールドを表示させなくてもよい。
【0067】
速度算出手段18は、携帯型通信装置3から送信される信号に基づいて、現在時刻特定手段16によって特定される現在時刻を基準にした単位時間当たりに移動した距離を算出して、現在位置における現在速度を算出し、危険エリア判定手段12に算出結果を渡すものである。例えば、図7B(k)に示すように、位置Xから位置Xに移動した場合、速度算出手段18が、その間の距離と要した時間とから速度を算出する。この場合、例えば、保護対象Xが通常歩行を行う道mであれば、危険エリア判定手段12は、現在速度が、記憶手段19に記憶されている明らかに歩行ではない危険速度(例えば10km/h)を超えたとき、乗り物9に乗車した可能性が高いため、保護者端末8に、その旨を通知する。これによって、例えば、保護対象Xとしての子供が、見知らぬ者に拉致された可能性を検出することもできる。
【0068】
記憶手段19は、保護対象追跡システム1が蓄積する各種データ等を保存するものである。各種データとしては、保護対象DB(DataBase)、エリアDB、条件DB、行動記録DB、地図DB、周辺情報DB等がある。保護対象DBには、保護対象Xに関する基礎的情報が含まれている。この基礎的情報には、保護対象Xの氏名、年齢等、及び、保護対象Xが所持する携帯型通信装置3の識別情報(タグID)が含まれている。危険エリア判定手段12が、速度算出手段18によって算出された現在速度と危険速度とを比較して、保護対象Xが危険な状況になる可能性のある速度か否かを判定する。さらに、この基礎的情報には、識別情報(ID)、パスワード(PASS)等の保護者Yに関する情報も含まれている。
【0069】
エリアDBには、エリア入力支援手段13の処理によって保護者端末8から入力された危険エリアに関する情報が、保護対象DBの対応する項目に対応付けてられている。例えば、保護者Yの氏名、保護対象Xの氏名、保護対象Xに所持される携帯型通信装置3の識別情報の3つの項目をキーとして、危険エリアに関する情報が対応付けられている。なお、危険エリアに関する情報としては、例えば、危険エリアを囲む座標値群、危険エリアを示す住所、危険エリアを示す建物名、危険エリアを示す
【0070】
条件DBには、危険度設定入力支援手段14によって入力されたランク、危険時間設定入力支援手段15によって入力された危険時間、及び、危険速度設定入力支援手段17によって入力された危険速度が、指定された危険エリア(指定エリア)に対応付けられている。なお、ランクと指定エリアとが対応付けられ、危険時間と指定エリアとが対応付けられ、危険速度と指定エリアとが対応付けられるように、それぞれが独立して登録されていてもよい。
【0071】
行動記録DBは、保護対象追跡システム1が保護対象Xを追跡した履歴であり、現在追跡中のデータも逐次記録される。地図DBは、日本全国や地域ごとの住宅地図を格納したものである。周辺情報DBは、交通情報、工事情報、犯罪情報、天気情報等の種々の機関が発表する情報を蓄積したものである。
【0072】
なお、記憶手段19には、電力線通信のために、携帯型通信装置3の識別情報(タグ情報)、緯度・経度等の電柱4の位置情報、電柱4同士の間の距離情報、監視対象履歴情報等がさらに記憶されているものとする。
【0073】
報知指示手段20は、危険エリア判定手段12から判定結果を受け取り、判定結果を受けて保護者Yに指示を促す指示メッセージとその判定結果とを含む報知指示情報を生成し、通信手段21を介して、保護者端末8に報知するものである。通信手段21は、外部との通信を制御するものである。周辺情報取得手段22は、通信手段21を介し、又は、キーボードやOCR(Optical Character Reader)等の入力装置(不図示)を介して周辺情報を取得し、記憶手段19に蓄積する。
【0074】
ここで、周辺情報について説明する。周辺情報としては、前記したように、交通情報、工事情報、犯罪情報、天気情報等が挙げられる。交通情報は、道路交通情報センターや警察等の機関から直接提供される渋滞や事故等に関する情報である。工事情報は、市役所等の機関から直接提供される道路工事や建築等に関する情報である。犯罪情報は、警察や町内会等から直接提供される誘拐・拉致やそれらの未遂等の発生現場や発生時間等に関する情報である。天気情報は、例えば、降水量が多いと予想される雨に関する情報を上げられる。この場合、川の洪水が予想されれば、その川の近辺を指定エリアとして保護対象Xが近づかないようにすることが考えられる。
【0075】
なお、各機関のコンピュータ(不図示)と保護対象追跡システム1とが通信可能に接続し、各機関のコンピュータが保護対象追跡システム1に自動的に配信させるようにすることが好ましい。しかし、保護対象追跡システム1のオペレータが、各機関に電話等で問い合わせを行って、定期的に更新するようにしてもよい。
【0076】
それでは、図4から図6までのフローチャートに基づいて、選択指示処理、入力支援処理、追跡処理の流れを説明する。なお、保護者Yが保護者端末8から保護対象追跡システム1にアクセスすると、保護対象追跡システム1では、選択指示手段11が選択指示処理を実行する。
【0077】
図4は、実施形態の選択指示処理を示すフローチャートである。まず、選択指示手段11は、初期選択画面の表示指令(SA1)を生成し、初期画面と表示指令とを通信手段21によって、アクセス先の保護者端末8に応答する。選択指示手段11は、保護者端末8からの指示入力が有るか否かを判定し(SA2)、その指示入力が無ければその指示入力を待ち続け(SA2、No)、指示入力が有れば(SA2、Yes)、その指示が入力支援処理であれば(SA3、Yes)、エリア入力支援手段13に処理の開始を指示し、図5に示す入力支援処理に移行させる。また、その指示が入力支援処理ではなく(SA3、No)、追跡処理であれば(SA4、Yes)、危険エリア判定手段12に処理の開始を指示し、図6に示す追跡処理に移行させる。なお、もし、追跡処理でもなければ(SA4、No)、他の処理へ移行する。
【0078】
図5は、実施形態の入力支援処理を示すフローチャートである。
エリア入力支援手段13は、前記したように、エリア入力画面(図7A(b)参照)を保護者端末8のディスプレイ画面に表示させる。つまり、エリア入力支援手段13は、保護者端末8に向けて、エリア入力画面の表示指令を送信する(SB1)。そして、エリア入力支援手段13は、前記したように、保護者端末8での保護エリアと危険エリアとの入力を支援し、保護者端末8から入力情報を受け取って、保護エリアと危険エリアとを記憶手段19のエリアDBに登録する(SB2)。
【0079】
次に、エリア入力支援手段13は、保護者端末8のディスプレイ画面に条件設定画面を表示させる(SB3)。ここでは、危険度、危険時間、危険速度の順に条件設定することとして説明するが、これらの処理の順番は、これに限らず任意である。なお、図7A(e)に示した条件(ランク)設定画面、図7A(f)に示した条件(時間)設定画面、及び、図7B(g)に示した条件(速度)設定画面は、一画面中に表示されていてもよいので、この実施形態では、一画面中にすべての設定画面に関する情報が表示されていることとして説明する。
【0080】
まず、危険度設定入力支援手段14は、保護者端末8において危険度が設定入力されているか否かを判定する(SB4)。つまり、危険度設定入力支援手段14は、ランクが設定されていれば(SB4、Yes)、前記したように、条件(ランク)設定画面を保護者端末8のディスプレイ画面に表示させる。これによって、危険度設定入力支援手段14は、保護者端末8でのランクの入力を支援し、そのランクの入力情報を保護者端末8から受け取ると、指定エリアに対応付けて記憶手段19に、その入力情報(危険度)を設定・登録する(SB5)。なお、危険度設定入力支援手段14は、ランクが設定されていない場合(SB4、No)、及び、SB5の処理完了した場合には、危険時間設定入力支援手段15の処理であるSB6に移行する。
【0081】
次に、危険時間設定入力支援手段15は、保護者端末8において危険時間が設定入力されているか否かを判定する(SB6)。つまり、危険時間設定入力支援手段14は、危険時間が設定されていれば(SB6、Yes)、前記したように、条件(時間)設定画面を保護者端末8のディスプレイ画面に表示させる。これによって、危険時間設定入力支援手段15は、保護者端末8での危険時間の入力を支援し、その危険時間の入力情報を保護者端末8から受け取ると、指定エリアに対応付けて記憶手段19に、その入力情報(危険時間)を設定・登録する(SB7)。なお、危険時間設定入力支援手段14は、危険時間が設定されていない場合(SB6、No)、及び、SB7の処理を完了した場合には、危険速度設定入力支援手段17の処理であるSB8の処理に移行する。
【0082】
次に、危険速度設定入力支援手段17は、保護者端末8において危険速度が設定入力されているか否かを判定する(SB8)。つまり、危険速度設定入力支援手段17は、危険速度が設定されていれば(SB8、Yes)、前記したように、条件(速度)設定画面を保護者端末8のディスプレイ画面に表示させる。これによって、危険速度設定入力支援手段17は、保護者端末8での危険速度の入力を支援し、その危険速度の入力情報を保護者端末8から受け取ると、指定エリアに対応付けて記憶手段19に、その入力情報(危険速度)を設定・登録する(SB9)。なお、危険速度設定入力支援手段17は、危険速度が設定されていない場合(SB8、No)、及び、SB9の処理完了した場合には、処理を最初に戻し、他の指定エリアの条件設定に移行する。
【0083】
図6は、実施形態の追跡処理を示すフローチャートである。保護対象追跡システム1は、保護者端末8から開始指令を受け付けると(SC1)、記憶手段19から追跡に必要な情報を取得する(SC2)。なお、開始指令には、IDやパスワードなども付随しているものとする。そのため、IDやパスワードをキーとして、保護対象DB、エリアDB、条件DB等から保護対象Xを追跡するのに必要な情報を取得する。なお、周辺情報DBが更新されているような場合、新たな周辺情報、例えば、火災情報を取得して、火災発生現場をランクAの危険度として設定して、エリアDBに自動的に反映させるようにしてもよい。
【0084】
現在位置推定手段10は、携帯型通信装置3からの信号の受信を待機し、その信号を受信すると(SC3)、前記のように現在位置を推定し(SC4)、地図イメージ上の座標値を生成する(SC5)。危険エリア判定手段12は、生成された地図イメージを受け取り、先に取得されている追跡に必要な情報を参照して、危険度の判定(SC6)、危険時間の判定(SC7)、危険速度の判定(SC8)を行う。危険エリア判定手段12は、各判定結果を受けて保護対象Xが危険な状態か否かを判定し(SC9)、追跡情報表示画面を生成する。
【0085】
追跡情報表示画面には、例えば、図7B(j)に示すように、「危険です。注意してください」等のメッセージと、表示ウィンドウWとが描かれる。この表示ウィンドウWには、学校mから道mを通り、道mを通って、塾mに向かっている様子が提示されている。図7B(j)中、「●」印が、推定位置の履歴である。つまり、図7B(j)の場合、保護対象Xが領域mの中にいて、塾mに向かっている途中であることが分かる。ところで、領域mは、Bのランクであって、Aのランクの工事中の敷地mに近いことが分かる。そのため、保護者Yは保護対象Xを敷地mに近づけないように誘導する必要がある。
【0086】
そのため、報知指示手段20は、危険エリア判定手段12から各判定結果を受け取り、危険な状態のときには(SC9、Yes)危険報知指令を生成し(SC10)、危険な状態でないときには(SC9、No)安全報知指令を生成する(SC11)。そして、報知指示手段20は、更新された地図イメージに、危険報知指令又は安全報知指令を対応付け、報知情報として生成し、保護者端末8に報知情報を送信し(SC12)、最初の処理に戻る。
【0087】
ところで、図7B(k)に示すように、工事中の敷地mが道mに隣接している場合に、道m内での位置を細かく推定できるとき、保護対象Xが、図7B(k)中、左から右に移動して、塾mに行く途中であるとする。つまり、保護対象Xは、位置XからE方向に移動して位置Xまで移動した履歴がある場合、位置XからE方向に移動して位置Xにいる可能性が高い。ところが、保護対象Xが、E方向に移動して、位置Xではなく、位置Xにいた場合、位置Xから位置Xに移動したことになる。そのため、保護対象Xが敷地mに向かって近づいていると推定できる。
【0088】
そして、もし、保護対象Xが、位置XからE方向に移動したとしたら、Aランクの危険エリアである敷地m内に進入してしまうことになる。そこで、位置XからE方向に移動して位置Xにいたときには、保護対象XがAランクの危険エリアに進入しないように、保護対象追跡システム1が保護者端末8にその旨の報知情報として通知するため、保護者Yが電話等の通信手段で保護対象Xに注意を促すことが可能になる。そのため、保護対象Xが危険な場所に入ってしまうのを未然に防止することができるようになる。
【0089】
以上説明したように、この実施形態では、保護対象Xが危険な場所である危険エリアに進入してしまうのを未然に防止することができるようになる。また、保護者Yが危険エリアを自由に設定することが可能になる。
【0090】
なお、この実施形態では、携帯型通信装置3を追跡するために、電力線通信網2を用いた場合を示したが、これに限らない。例えば、電柱、信号機、街灯、交通標識、建物などにアクセスポイントとなるアンテナを設置して、携帯型通信装置3から発信される電波の電界強度がいずれのアンテナで最大値を示すかによって、携帯型通信装置3がいずれのアンテナの近くに存在するのかを判定して、携帯型通信装置3を所持する保護対象Xを追跡するようにしてもよい。この場合、保護対象追跡サービスを提供する地域ごとにアンテナを電柱等に設置しておく必要がある。また、電力線通信網2や前記アンテナを利用せずに、GPS機能を利用して携帯型通信装置3の位置を追跡してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施形態の保護対象追跡システムが接続する保護対象追跡ネットワークの概念を示す説明図である。
【図2】図1に示した電力線通信網の概念図である。
【図3】図1に示した保護対象追跡システムの機能構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態の選択指示処理を示すフローチャートである。
【図5】実施形態の入力支援処理を示すフローチャートである。
【図6】実施形態の追跡処理を示すフローチャートである。
【図7A】保護者端末に表示するディスプレイ画面の一例を示す図である。(a)は初期選択画面の一例を示す図である。(b)はエリア入力画面の一例を示す図である。(c)はエリア指定例を示す図である。(d)はエリア指定例を示す図である。(e)は条件(ランク)設定画面の一例を示す図である。(f)は条件(時間)設定画面の一例を示す図である。
【図7B】保護者端末に表示するディスプレイ画面の一例を示す図である。(g)は条件(速度)設定画面の一例を示す図である。(h)は他の予定経路追加例の画面を示す図である。(i)ランク表示例を示す図である。(j)追跡情報表示画面の一例を示す図である。(k)は追跡情報拡大表示例の画面を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1 保護対象追跡システム
2 電力線通信網
3 携帯型通信装置
4 電柱
5 電力線
6 変圧器
7 公衆網
8 保護者端末
9 乗り物
10 現在位置推定手段
11 選択指示手段
12 危険エリア判定手段
13 エリア入力支援手段
14 危険度設定入力支援手段
15 危険時間設定入力支援手段
16 現在位置特定手段
17 危険速度設定入力支援手段
18 速度算出手段
19 記憶手段
20 報知指示手段
21 通信手段
22 周辺情報取得手段
X 保護対象
Y 保護者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象が付帯する携帯型通信装置からの信号に基づいて前記携帯型通信装置の現在位置を推定し、推定した前記携帯型通信装置を付帯する前記保護対象を追跡する保護対象追跡システムであって、
前記携帯型通信装置から送信される信号に基づいて当該携帯型通信装置の現在位置を推定する現在位置推定手段と、
前記現在位置推定手段によって推定された現在位置にいる前記保護対象が、前記危険エリアに向かっているか否かを判定する危険エリア判定手段とを備えたことを特徴とする保護対象追跡システム。
【請求項2】
ディスプレイ画面に地図イメージを表示し、前記保護対象を追跡する範囲としての保護エリア内に、前記保護対象にとって危険な場所としての危険エリアを前記地図イメージ上に指示する入力を支援するエリア入力支援手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の保護対象追跡システム。
【請求項3】
前記危険エリアの危険度を設定する危険度設定画面を表示し、前記危険度の設定入力を支援する危険度設定入力支援手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の保護対象追跡システム。
【請求項4】
前記危険エリア判定手段は、前記携帯型通信装置の移動に従って前記危険度が高くなるときに、危険エリアに近づいていると判定することを特徴とする請求項3に記載の保護対象追跡システム。
【請求項5】
前記危険エリア判定手段は、前記現在位置推定手段によって推定された現在位置と過去に推定された履歴位置とから、現在の進行方向を推定し、現在位置にいる保護対象が危険エリアに向かっているか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の保護対象追跡システム。
【請求項6】
前記危険エリアにおいて前記保護対象が危険な状況になる可能性のある危険時間を設定する危険時間設定画面を表示し、危険時間の設定入力を支援する危険時間設定入力支援手段と、
前記携帯型通信装置から送信される信号に基づいて、前記現在位置における現在時刻を特定する現在時刻特定手段とをさらに備え、
前記危険エリア判定手段が、前記現在位置における現在時刻と前記危険時間とを比較して、前記保護対象が危険な状況になる可能性のある時間か否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の保護対象追跡システム。
【請求項7】
前記危険時間設定入力支援手段は、日付、曜日、時刻及び時間帯の中のいずれかによって表される前記危険時間を入力することを特徴とする請求項6に記載の保護対象追跡システム。
【請求項8】
前記危険エリアにおいて前記保護対象が危険な状況になる可能性のある危険速度を設定する危険速度設定画面を表示し、危険速度の設定入力を支援する危険速度設定入力支援手段と、
前記携帯型通信装置から送信される信号に基づいて、前記現在位置における現在時刻を特定し、特定した現在時刻を基準にした単位時間当たりに移動した距離を算出して、前記現在位置における現在速度を算出する速度算出手段とをさらに備え、
前記危険エリア判定手段が、前記速度算出手段によって算出された前記現在速度と前記危険速度とを比較して、前記保護対象が危険な状況になる可能性のある速度か否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の保護対象追跡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2009−64222(P2009−64222A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231277(P2007−231277)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】