説明

保護層転写フィルム、及び印画物

【課題】熱転写画像等に各種の耐久性を付与でき、特に、耐光性については長期間効果を維持できる保護層転写フィルム及びこれにより耐久性を高めた印画物を提供する。
【解決手段】基材フィルム1上に転写により保護層となる熱転写性樹脂層2を設けた保護層転写フィルムにおいて、熱転写性樹脂層2に反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有させて構成したものである。尚、熱転写性樹脂層2は、単層でもよいが、透明性樹脂層4、紫外線遮断層5、熱接着性樹脂層6のように多層で構成してもよい。また、必要に応じて、基材フィルム1と熱転写性樹脂層2の間には離型層3を設け、その反対側の面に背面層7を設けても良く、更に、表面には1色〜4色の熱転写インキ層(図示せず)と熱転写性樹脂層2とを所定のピッチで面順次に繰り返し設けた一体型の転写フィルムとしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写フィルム、特に、保護層を熱転写する保護層転写フィルムに関し、更に詳しくは熱転写画像等に優れた耐光性、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性、耐溶剤性等の耐久性を与えることができる保護層転写フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便な印刷方法として、種々の熱転写方法が広く使用されるようになっている。これらの熱転写方法では、各種の画像が簡便に形成されるので、印刷枚数が比較的少ない印刷物、例えば、身分証明書等のIDカードの作成等に利用されるようになっている。また、顔写真等のようにカラー画像が好ましい場合には、連続した基材フィルム上に、例えば、イエロー、マゼンタ、および、シアン、更に必要に応じてブラックの着色熱転写層を面順次に、繰り返し多数設けた熱転写フィルムを用いる熱転写方法が行われている。
【0003】
このような熱転写フィルムは大別すると、それらの熱転写層が画像情報に応じた加熱によって軟化し、画像が被転写材上に熱転写により記録される、所謂溶融転写タイプの熱転写フィルムと、加熱によって熱転写層中の染料が昇華(熱移行)して染料のみが被転写材上に熱転写して画像が形成される、所謂昇華転写タイプの熱転写フィルムとに分けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような熱転写フィルムで、身分証明書等のIDカードを作成する場合、例えば、溶融転写タイプの熱転写フィルムを用いると、文字や数字等のような画像の形成は容易であるが、これらの画像は、耐久性、特に耐摩擦性に劣るという欠点がある。一方、昇華転写タイプの熱転写フィルムを用いた場合には、顔写真等のような階調のある画像を精密に形成することができるが、形成された画像は、通常の印刷インキによるものとは異なり、ビヒクルが無いため、耐光性、耐候性、耐摩擦性等の耐久性に劣るという欠点がある。
【0005】
上記の欠点を解決する手段として、例えば、紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加する方法がある。このような方法によっても耐光性等ある程度は改善されるが、紫外線吸収剤を単に保護層構成樹脂中に添加するという方法では、紫外線吸収剤が熱によって揮散、或いは分解してしまい、紫外線吸収剤の効果が経時的に減少するという問題がある。上記欠点を解決する方法として、特許文献1には、熱転写受像シートの染料受容層樹脂中に反応性紫外線吸収剤を反応結合させることが開示されている。しかし、昇華転写方式により熱で移行して画像を形成する染料は、受容層樹脂の比較的表面近傍に存在するため、受容層樹脂全体に紫外線吸収能を付与することは効果的ではなく、更に、紫外線吸収剤の量を増加させると受容層樹脂本来の性能を損ない、画像のにじみ等、他の性能を損なうという問題があった。従って、本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、熱転写画像の各種耐久性、特に、耐光性等を長期間維持できるという性能に優れた保護層転写フィルム及びこれを用いて耐久性を高めた印画物を提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】特開平5−212974号公報
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、紫外線吸収剤を樹脂に反応結合させることにより、その紫外線吸収効果を長期に継続維持できることを見出し、これを保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層に応用することにより本発明の完成に至った。
【0008】
即ち、本請求項1の発明は、基材フィルム上に熱転写性樹脂層を設けてなる保護層転写フィルムにおいて、前記熱転写性樹脂層が基材フィルム側から透明性樹脂層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成され、該熱接着性樹脂層が、下記の一般式で表される反応性紫外線吸収剤と、アクリル系モノマー、オリゴマー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共重合体、及び該共重合体とは異なる樹脂を含有してなり、且つ、前記反応性紫外線吸収剤の含有量は熱接着性樹脂層中に20重量%以上であることを特徴とする保護層転写フィルムからなる。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
また、本請求項2の発明は、前記共重合体が、下記式で表される共重合体を含有することを特徴とする、請求項1に記載の保護層転写フィルムからなる。
【0012】
【化3】

【0013】
そして、本請求項3の発明は、少なくとも1色、乃至2色以上の昇華性染料インキ層及び/又は熱溶融性インキ層からなる熱転写インキ層の領域と前記熱転写性樹脂層の領域とを面順次に基材フィルム上に設けてなるインキ層と保護層の一体型転写フィルムであって、前記熱転写性樹脂層が基材フィルム側から透明性樹脂層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成され、該熱接着性樹脂層が、下記の一般式で表される反応性紫外線吸収剤と、アクリル系モノマー、オリゴマー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共重合体、及び該共重合体とは異なる樹脂を含有してなり、且つ、前記反応性紫外線吸収剤の含有量は熱接着性樹脂層中に20重量%以上であることを特徴とする、インキ層と保護層の一体型転写フィルムからなる。
【0014】
【化4】

【0015】
【化5】

【0016】
そして、本請求項4の発明は、少なくとも染料で着色された画像を有する印画物の印画面の少なくとも一部に、請求項1又は2に記載の保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層が積層されている印画物からなっている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の保護層転写フィルムおよびこれを用いた印画物では、熱転写性樹脂層の中の少なくとも一部の層に紫外線吸収剤と反応結合した樹脂を含有させているため、従来のベンゾトリアゾール系或いはベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤を熱転写性樹脂層中に含有させたものと比較して、紫外線吸収剤の熱による気化・発散や分解、或いは、溶剤による溶出等も少なく、熱転写画像上に保護層として熱転写性樹脂層を転写した場合、耐摩擦性、耐スクラッチ性、耐薬品性、耐保存性等の各種の耐性に優れると共に、特に、耐光性に優れた印画物を提供できる効果を奏する。また、保護層転写フィルムの構成を、転写フィルム基材の一方の面に、熱転写インキ層の領域と保護層用の熱転写性樹脂層の領域とを面順次に設けた構成とすることにより、画像形成と保護層の積層とをインラインで効率よく実施できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の好ましい実施態様を図面を用いて詳細に説明する。図1、図2、図3、図4は、それぞれ本発明の保護層転写フィルムの一実施例を説明する模式断面図である。図1は、最も単純な層構成の例であり、基材フィルム1の一方の面に反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有する熱転写性樹脂層2を単一層として設けた構成である。図2は、基材フィルム1の一方の面に熱転写性樹脂層2を、基材フィルム側から順に、透明性樹脂層4、熱接着性樹脂層6の2層に分けて積層した構成であり、反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂は、透明性樹脂層4、または、熱接着性樹脂層6のいずれかに含有させるものである。図3は、基材フィルム1の一方の面に、熱転写性樹脂層2を、基材フィルム側から順に、透明性樹脂層4、紫外線遮断層5、熱接着性樹脂層6の3層に分けて積層した構成である。この場合、反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂は、勿論、紫外線遮断層5に用いる。図4は、基材フィルム1の一方の面に、基材フィルム側から順に、離型層3、透明性樹脂層4、紫外線遮断層5、熱接着性樹脂層6を積層し、もう一方の面には耐熱性、スリップ性を付与する背面層7を設けた構成である。背面層7は、プリンターのサーマルヘッドの粘着を防止する作用を有しており、図1〜図3の構成の場合、図示はしていないが、必要に応じて設けることができ、また、基材フィルムの耐熱性やスリップ性が良好である場合には不要である。また、離型層3は、基材フィルム1と透明性樹脂層4の間の剥離性が適当でない場合に、透明性樹脂層4と基材フィルム1との接着性を低下させ、透明性樹脂層4の剥離を容易にするために設けるもので、この層も図1〜図3の場合、図示していないが、必要に応じて設けることができる。勿論、基材フィルム1と透明性樹脂層4との剥離性が良好な場合には、離型層3は不要である。尚、離型層3を設ける場合は、透明性樹脂層4を含む熱転写性樹脂層2は、転写により離型層3から剥離され、離型層3自体は基材フィルム側に残るように構成する。以下に、本発明の保護層転写フィルムおよびこれを転写して得られる印画物の構成材料と製造方法について説明する。
【0019】
先ず、本発明の保護層転写フィルムにおいて、熱転写性樹脂層中に用いる反応性紫外線吸収剤を反応結合させた樹脂について説明する。本発明に用いる反応性紫外線吸収剤は、従来公知の有機系紫外線吸収剤であるサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、或いは、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものである。例えば、好適に使用できる幾つかの具体例を挙げると、下記の構造式で示されるものがあるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
【化6】

【0021】
【化7】

【0022】
上記の反応性紫外線吸収剤を反応固定する方法としては、種々の方法が利用可能であり、例えば従来公知の、モノマー、オリゴマー或いは反応性重合体等の樹脂成分と前記反応性紫外線吸収剤とをラジカル重合することにより本発明の共重合体を得ることができる。この場合の反応性紫外線吸収剤としては、前記化6および化7の如き付加重合性二重結合を有する反応性紫外線吸収剤を使用することが好ましい。また、反応性紫外線吸収剤が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を有する場合には、上記の反応性基と反応性のある官能基を有する熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて触媒を用いて、熱等によって反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に反応固定することもできる。本発明では、前記のような反応性紫外線吸収剤を、モノマー、オリゴマー、或いは、反応性重合体等の樹脂成分と共重合させて、紫外線吸収性を有する重合体を得て、これを熱転写性樹脂層中に添加、若しくは、層として積層して熱転写性樹脂層を構成するものである。前記の反応性紫外線吸収剤と共重合させるモノマー成分としては、以下のようなものが挙げられる。メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタアクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタアクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタアクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ターシャリーブチルメタアクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタアクリレート、ラウリルトリデシルアクリレート、ラウリルトリデシルメタアクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタアクリレート、セリルステアリルアクリレート、セリルステアリルメタアクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタアクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタアクリレート、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタアクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルアクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタアクリレート。
【0023】
そして、エチレンジアクリレート、エチレンジメタアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレート、デカエチレングリコールジアクリレート、デカエチレングリコールジメタアクリレート、ペンタデカエチレングリコールジアクリレート、ペンタデカエチレングリコールジメタアクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジアクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジメタアクリレート、ブチレンジアクリレート、ブチレンジメタアクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート、ネオペンチルグリコールペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールペンタメタアクリレート、ホスファゼンヘキサアクリレート、ホスファゼンヘキサメタアクリレート等である。
【0024】
また、上記の物質は、モノマーに限らずオリゴマーとして使用してもよく、更に、上記物質の重合体、または、その誘導体からなるポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系等のアクリル系反応性重合体も使用可能である。これらのモノマー、オリゴマー、アクリル系反応性重合体は、単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
【0025】
以上のような熱可塑性樹脂のモノマー、オリゴマー、或いは、アクリル系反応性重合体と反応性紫外線吸収剤とを共重合することにより、反応性紫外線吸収剤を反応結合した熱可塑性の共重合樹脂が得られるが、この共重合樹脂に含有される反応性紫外線吸収剤の量は、10〜90重量%の範囲が適当であり、特に好ましくは30〜70重量%である。含有量が10重量%未満では、満足できる耐光性が得難く、一方、90重量%を超えると塗布時のべとつきや染料画像への転写時の画像のにじみ等の問題を生じるため好ましくない。また、この共重合樹脂の分子量は、5,000〜250,000程度が好ましく、9,000〜30,000程度が特に好ましい。分子量が5,000未満では、塗膜が弱く、保護層としての耐久性が十分得られない。また、250,000を超えると、保護層をサーマルヘッド等で転写した場合に膜切れ等が悪くなり好ましくない。前記反応性紫外線吸収剤を共重合した熱可塑性の共重合樹脂の構造式の一例を示すと下記のようになるが、勿論、これに限定されるものではない。
【0026】
【化8】

【0027】
以下に、基材フィルムおよび各層について順次説明する。
1)基材フィルム
本発明の保護層転写フィルムに用いられる基材フィルム1としては、従来の熱転写フィルムに使用されているものと同じ基材フィルムを、そのまま用いることができると共に、フィルムの表面に易接着処理のしてあるものやその他のものも使用することができ、特に制限はされない。好ましい基材フィルムの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを始めとするポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー等のプラスチックフィルム、および、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、セロファン等があり、また、これらの2種以上を積層した複合フィルムなども挙げられる。これらの基材フィルム1の厚さは、その強度および耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜変更しているが、通常は、3〜100μm程度が好ましい。
【0028】
2)離型層
通常、基材フィルム1の一方の面に熱転写性樹脂層2を設けて転写フィルムを作成するが、基材フィルム1と熱転写性樹脂層2の材質の組合せによっては熱転写の際の離型性が十分でない場合がある。このような場合、基材フィルム1面に予め離型層3を設けることができる(図4)。離型層3は、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ウレタン樹脂、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂等の樹脂から1種乃至、2種以上を選択して用いることができ、2種以上を混合する場合は、適宜水溶性の樹脂を用いてもよい。そして、これらの樹脂を主成分とする塗布液を、従来公知のグラビアコート、グラビアリバースコート等の方法で塗布、乾燥することにより形成でき、塗膜の厚さは0.1〜2μm程度で充分である。尚、離型層に使用する材料を選択する際に、注意しなければならない点としては、熱転写性樹脂層と適切な離型性を有することは勿論のことであるが、更に、熱転写性樹脂層との接着力よりも基材フィルムとの接着力を高くすることが大切であり、もし、基材フィルムとの接着力が十分でない場合には、離型層ごと保護層が転写される等の異常転写の原因となる。また、転写後の印画物において艶消し保護層が望ましい場合には、離型層中に各種の粒子を包含させるか、或いは、離型層側表面をマット処理した基材フィルムを使用することにより、保護層を転写した印画物の表面をマット状にすることもできる。
【0029】
3)熱転写性樹脂層
本発明の保護層転写フィルムにおいて、熱転写性樹脂層2は、熱転写により被転写体の印画面に転写されて保護層を形成するものである。従って、熱転写性樹脂層2が具備すべき機能としては、熱転写の際、基材フィルム1またはその上に設けられた離型層3から確実に、膜切れ性よく剥がれること、被転写体に対する熱接着性が良いこと、印画面の保護層として耐摩擦性、耐スクラッチ性等の各種耐性、特に本発明では優れた耐光性を付与できること、また、透明性が良く転写面の画像の鮮明さを損なわないことなどが挙げられる。この点から、図1に示したように熱転写性樹脂層2を単層で設けることもできるが、図2〜図4のように基材フィルム1側から透明性樹脂層4、熱接着性樹脂層6の順、或いは、透明性樹脂層4、紫外線遮断層5、熱接着性樹脂層6の順のように2層または3層の多層構成で設けることも好ましい。このような場合の各層について以下に説明する。
【0030】
3−1)透明性樹脂層
前記基材フィルム1または離型層3の上に設ける透明性樹脂層4、即ち、熱転写性樹脂層2の基材フィルム側の層は、耐摩擦性、透明性、硬さなどに優れた樹脂、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン樹脂、および、これらの樹脂のシリコーン変性樹脂、そして、これらの樹脂の混合物のほか、前述の如き重合性モノマー、オリゴマー、反応性重合体等の少なくとも一種を電離放射線照射により架橋、硬化した樹脂等を用いることができる。また、前述の硬化性樹脂層には、可撓性および接着性を向上させるために、相溶性のよい熱可塑性樹脂を混合して用いてもよい。尚、電離放射線により架橋、硬化させる場合には、紫外線遮断層との接着性をより向上させるために、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリスチレン、アクリルウレタン樹脂などからなる中間層(プライマー層)を設けてもよい。これらの樹脂は、透明性に優れているが、比較的強靱な皮膜を形成する傾向があるので、転写時における膜切れが充分ではない。そこで、これらの透明樹脂の膜切れ性や、転写によって被覆される印画面の耐摩擦性、耐スクラッチ性などを向上させるために、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチックピグメント等の透明性の高い微粒子やワックス等を樹脂の透明性を損なわない程度に添加することができる。添加量は樹脂固形分100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましい。また、耐摩擦性、耐スクラッチ性を更に向上させるために、シリコーン変性樹脂、滑剤等の添加剤を含有させてもよい。
【0031】
このような透明性樹脂層4を形成する方法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、その他多くの手段が利用でき、上記の樹脂を含む塗布液を塗布、乾燥することによって形成される。この透明性樹脂層4の厚さは、乾燥時の皮膜で0.1〜50μm程度であり、好ましくは1〜10μm程度である。
【0032】
3−2)紫外線遮断層
本発明において反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂は、熱転写性樹脂層2を多層で構成する場合には、透明性樹脂層4及び/又は熱接着性樹脂層6に含有させてもよいが、紫外線遮断層5として別に設けてもよい。この場合、透明性樹脂層4と熱接着性樹脂層6の間に設けるか、基材フィルム1または離型層3と透明性樹脂層4の間に設けるかは限定しないが、通常、透明性樹脂層4と熱接着性樹脂層6の間に設けることが好ましい。紫外線遮断層5の形成方法は、前記透明性樹脂層の形成方法と同じ方法でよく、その厚さは、0.1〜5μm程度で十分である。
【0033】
3−3)熱接着性樹脂層
次に、以上の各層を接着性よく印画面に転写するために、最上層として熱接着性樹脂層6を設けることができる。この熱接着性樹脂層6には、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等のような熱時接着性の良好な樹脂を用いることができる。これらの樹脂の1種または2種以上を溶液、或いはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、前記透明性樹脂層で挙げた塗布方法の中から適した方法をそれぞれ選択して、塗布、乾燥することにより形成できる。熱接着性樹脂層6の厚さは、0.1〜5μm程度の範囲が好ましい。
【0034】
4)背面層
また、本発明の保護層転写フィルムにおいて、熱転写性樹脂層2を設けた反対側の面には、必要に応じてプリンターのサーマルヘッドや転写用熱板等との粘着を防止し、且つ、滑り性を良くする目的で背面層7(耐熱性スリップ層)を設けることができる(図4参照)。背面層7の材質は、ブチラール樹脂等をイソシアネート化合物で硬化した樹脂、シリコーン樹脂等従来公知のものがそのまま使用でき、その厚さは0.1〜5μm程度で十分である。また、背面層は必要に応じてプライマー層を介して設けてもよい。
【0035】
(保護層転写フィルムの製造および転写方法等)
以上、本発明の保護層転写フィルムを構成する各層について説明したが、これらの中、熱転写性樹脂層2の全体の厚さは、0.5〜50μm程度の範囲が好ましい。そして、このような熱転写性樹脂層2は、基材フィルム上に単独で設けて保護層のみの転写フィルムとしてもよいが、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンの昇華性染料インキ層やブラックの溶融型転写インキ層(カーボンブラック含有)と面順次に配列して設け、インキ層と保護層とが一体型の転写フィルムとしてもよい。一体型の転写フィルムとする場合、版のパターンは、特に限定されないが、例えば下記のような層パターンを面順次に繰り返し設けた転写フィルムが挙げられる。(以下、色の表示について、イエローはYe、マゼンタはMg、シアンはCy、ブラックはBkと略記する。)
(1)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、保護層
(2)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk染料層、保護層
(3)Ye染料層、Mg染料層、Cy染料層、Bk溶融インキ層、保護層
(4)Bk染料層、保護層
(5)Bk溶融インキ層、保護層
これらの版パターンにおいて、Bk染料層、Bk溶融インキ層、保護層の大きさは、他の層に比べて大きく形成されていてもよい。また、各層を検出する検知マークは、各層の何処に設けてもよく、例えば、各層領域の頭、或いは先頭色の頭に設けることができる。また、上記のようなインキ層と保護層とが一体型の転写フィルムにおいては、熱転写性樹脂層などを構成する各層は、透明な樹脂層であり、これらを所定のパターンで位置を合わせて刷り重ねる必要があるため、これらの各層には蛍光増白剤などの添加剤を加えておき、紫外線照射などにより、目視、或いは機械検知による位置合わせを容易にすることができる。また、上記の熱転写インキ層に関して、使用するインキの材質および基材フィルム面に設ける方法などについては、従来公知の熱転写(インキ)フィルムに用いたインキや方法をそのまま使用することができる。以上のような保護層転写フィルムを用いて保護する画像は、通常は、昇華型熱転写方法及び/又は溶融型熱転写方法により形成された画像であるが、これに限定するものではなく広く利用できるものである。特に、昇華型熱転写による画像に適用する場合には、該画像に保護層が形成されると共に、転写時の熱によって画像を形成している染料が再発色処理されるので、画像が一層鮮明になるという効果がある。
【0036】
また、昇華型熱転写画像及び/又は溶融型熱転写画像は、ポリエステル樹脂や塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート等のプラスチックシートを基材とする受像シートやカード基材など、どのような被転写材に形成されたものであってもよい。例えば、染料受容性のある樹脂層(受容層)を基材シート上に設けた熱転写受像シートやこれらの樹脂類からなるフィルム、シート、成形物等を用いることができる。染料受容性のある樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、各種ポリアクリレート等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレンまたはその共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、そして、アイオノマー、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネートなどが挙げられ、これらの樹脂層中に、熱転写シートとの融着を防止するためにシリコーンオイル等の離型剤を添加してもよい。
【0037】
上記のような熱転写受像シートに使用するシート状基材としては、(1)合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、(2)上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂溶液若しくはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維紙等の天然繊維紙、(3)ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の各種のプラスチックのフィルム若しくはシートが使用できる。上記の中、(1)の合成紙は、その表面に熱伝導率の低い(換言すれば断熱性の高い)ミクロボイド層を有するものが好ましい。また、上記(1)〜(3)の任意の組合せによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙、或いは、セルロース繊維紙とプラスチックフィルム若しくはシートとの積層体が挙げられる。
【0038】
また、被転写体としてカードを用いる場合の材料について説明する。本発明のカードに使用するカード基材は、その表面に昇華性染料が染着される染料受容層が形成されている限り、従来公知のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等の各種のプラスチックのフィルムまたはシート等が使用でき、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明のフィルム若しくはシート、或いは発泡させた発泡シート等も使用でき、更に、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂溶液またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、その他セルロース繊維紙等も使用でき特に限定されない。また、上記基材フィルム等の任意の組合せによる積層体も使用できる。
【0039】
本発明における好ましいカード基材の一例を示すと、白色顔料を含むポリ塩化ビニル製の中心層の両面に透明なポリ塩化ビニル層が積層された構成を有しており、少なくとも画像形成面である透明塩化ビニル層には適当な量の可塑剤が含有されて染料の染着性が良好にされている。これら可塑剤の量の好ましい範囲は、染料受容面を形成するポリ塩化ビニル100重量部当たり0.1〜10重量部であり、特に好ましい範囲は3〜5重量部である。可塑剤の使用量が少なすぎると昇華性染料に対する染着性が不充分であり、一方、可塑剤の量が多すぎると染料受容面が柔らかくなり、熱転写時に熱転写シートの染料層と密着し易くなるため、染料層が剥離し、そのまま転写するという異常転写が発生し易くなり、また、保存中に印字画像に滲みが生じ、鮮明な画像が得られないので好ましくない。
【0040】
上記の染料受容面には、更に、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等も任意に使用することができる。このようなカード基材には、予めその面に必要な磁気記録層やエンボス模様、他の印刷模様、光メモリー、ICメモリー、バーコード等を形成しておいてもよいし、また、昇華転写方式等により顔写真等の情報を形成後にこれらの磁気記録層等を設けてもよい。上記カード基材上に設けられる顔写真は、本発明の昇華型の熱転写シートを用いて常法に従って形成することができる。また、同時に昇華型の熱転写シートで文字、バーコード等の情報も形成できるが、これらの情報は、高濃度の黒色印字が可能な熱溶融インキ型の熱転写シートを用いて形成することが好ましい。
【0041】
以上のように、受像シートもしくはカード等にサーマルプリンターによってカラー画像及び/又は文字画像を形成し、その上に本発明の保護層転写フィルムを用いて、熱転写性樹脂層を転写して保護層を形成するが、転写に際しては、サーマルプリンターは、昇華転写用、溶融転写用、保護層転写用というように別々に転写条件を設定してもよいし、また、共通のプリンターでそれぞれ印字エネルギーを適切に調整して行ってもよい。尚、本発明の保護層転写フィルムでは、加熱手段としてサーマルプリンターに限定されず、その他熱板、ホットスタンパー、熱ロール、ラインヒーター、アイロン等でも転写できる。また、保護層は、形成された画像の全面に転写してもよいし、特定の部分のみに転写してもよい。更に、転写フィルムとは言えないが、例えば、レストランメニューやカード類等で使用されるラミネートシートによるパウチ材として応用することもできる。この場合、透明な基材フィルム或いは市販のラミネートシートの一方の面に、本発明の紫外線遮断層と熱接着性樹脂層とを設けて本発明のラミネートシートとし、これを昇華型熱転写方法及び/又は溶融型熱転写方法により形成された画像上に熱接着させる使い方も可能である。
【0042】
本発明は、特に好ましい実施態様として以下の各態様を含むものである。
(1)基材フィルム上に熱転写性樹脂層を設けてなる保護層転写フィルムにおいて、該熱転写性樹脂層が反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有することを特徴とする保護層転写フィルム。
(2) 前記熱転写性樹脂層が含有する反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂が、下記の一般式で表される反応性紫外線吸収剤と、熱可塑性樹脂のモノマー、オリゴマー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共重合体であることを特徴とする上記(1)記載の保護層転写フィルム。
【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
(3)前記共重合体が反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマー、オリゴマー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共重合体であることを特徴とする上記(2)記載の保護層転写フィルム。
(4)前記熱転写性樹脂層が、基材フィルム側から透明性樹脂層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成され、少なくとも一方の層に反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)に記載の保護層転写フィルム。
(5)前記熱転写性樹脂層が、基材フィルム側から、透明性樹脂層、紫外線遮断層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成され、該紫外線遮断層が前記反応性紫外線吸収剤を反応結合した樹脂を含有することを特徴とする上記(1)乃至(3)に記載の保護層転写フィルム。
(6)少なくとも1色、乃至2色以上の昇華性染料インキ層及び/又は熱溶融性インキ層からなる熱転写インキ層の領域と前記熱転写性樹脂層の領域とを面順次に基材フィルム上に設けたことを特徴とする上記(1)乃至(5)に記載の保護層転写フィルム。
(7)少なくとも染料で着色された画像を有する印画物の印画面の少なくとも一部に、上記(1)乃至(6)に記載の保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層が積層されていることを特徴とする印画物。
【実施例】
【0046】
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。尚、文中、「部」で表示したものは、重量部を意味する。
(昇華型熱転写フィルムの作成)
下記組成の昇華性染料を含む3色のインキを調整した。
(1)イエローインキの組成
下記構造式で表されるキノフタロン系染料 5.5部
ポリビニルブチラール(エスレックBX−1 積水化学工業製) 4.5部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比 1:1) 90.0部
【0047】
【化11】

【0048】
(2)マゼンタインキの組成
イエローインキの組成において、染料の種類のみをマゼンタ染料(C.I.Disperse Red 60)に換え、その他はイエローインキと同様にしてマゼンタインキを調整した。
(3)シアンインキの組成
イエローインキの組成において、染料の種類のみをシアン染料(C.I.Solvent Blue 63)に換え、その他はイエローインキと同様にしてシアンインキを調整した。一方、基材フィルムとして厚さ6μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETと表示)(商品名ルミラー 東レ製)を用い、その一方の面に背面層としてシリコーン樹脂からなる耐熱性スリップ層をグラビア印刷方式で全面に厚さ1μmで設け、もう一方の面にウレタン系樹脂からなるプライマー層を全面に厚さ0.5μmで設けた。次に、このプライマー層の上に上記のインキ組成物をグラビア印刷方式により、塗布量が略3g/m2 (固形分)になるように、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンの順に面順次にPETフィルムの流れ方向に、各色とも長さ15cmで繰り返しベタ印刷して3色の昇華性染料によるインキ層を形成し、昇華型熱転写フィルムを作成した。
【0049】
(実施例1)
厚さ12μmのPETフィルム(商品名ルミラー 東レ製)を基材フィルムとし、その一方の面に背面層としてシリコーン樹脂による耐熱性スリップ層を乾燥時の厚さが1μmになるようにグラビアコート方式で形成し、もう一方の面に下記の組成の透明性樹脂層用塗布液をグラビアコート方式で乾燥時の塗布量が3g/m2 となるように塗布、乾燥して透明性樹脂層を形成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン製) 20部
メチルエチルケトン/トルエン(重量比1:1) 80部
(以下メチルエチルケトンは、MEKと表示する。)次に、上記透明性樹脂層の上に、下記の組成の紫外線遮断層用塗布液をグラビアコート方式で乾燥時の塗布量が1g/m2 になるように塗布、乾燥して紫外線遮断層を形成した。
【0050】
☆紫外線遮断層用塗布液の組成
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−635L、BASFジャパン製) 20部 酢酸エチル 80部
尚、UVA−635Lは、下記の式で表される共重合樹脂である。
【0051】
【化12】

【0052】
更に、前記紫外線遮断層の上に、下記組成の熱接着性樹脂層用塗布液をグラビアコート方式で、乾燥時の塗布量が1g/m2 となるように塗布、乾燥して熱接着性樹脂層を形成し、実施例1の保護層転写フィルムを作成した。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 (#1000ALK、電気化学工業製) 20部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
【0053】
(実施例2)
実施例1の構成において、紫外線遮断層用塗布液の組成のみを下記のように変更した以外は、総て実施例1と同様に加工して実施例2の保護層転写フィルムを作成した。
☆紫外線遮断層用塗布液の組成
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部
酢酸エチル 80部
尚、UVA−633Lは、下記の式で表される共重合樹脂である。
【0054】
【化13】

【0055】
(実施例3)
実施例1の構成において、紫外線遮断層を除き、透明性樹脂層用塗布液の組成を下記の組成の塗布液に変更した以外は、総て実施例1と同様に加工して実施例3の保護層転写フィルムを作成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部
酢酸エチル 80部
【0056】
(実施例4)
実施例1の構成において、紫外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て実施例1と同様に加工して実施例4の保護層転写フィルムを作成した。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 10部
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部
MEK/トルエン(重量比1:1) 70部
【0057】
(実施例5)
実施例1の構成において、透明性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液(電離放射線硬化型樹脂)に換え、更に、この層とその上に塗布する紫外線遮断層との密着性をよくするため、透明性樹脂層の上に下記組成の中間層用塗布液による中間層を新たに加え、両者を下記の条件で加工した以外は、実施例1と同様に加工して実施例5の保護層転写フィルムを作成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 7.5部
ポリメタクリル酸メチル 15.0部
MEK/トルエン(重量比1:1) 77.5部
☆中間層用塗布液の組成
ポリメタクリル酸メチル 30部
MEK/トルエン(重量比1:1) 70部
上記塗布液の加工条件は、先ず、透明性樹脂層用塗布液をグラビアコート方式で塗布量が3g/m2 (固形分)になるように塗布、乾燥し、続いて中間層用塗布液をグラビアコート方式で塗布量が1g/m2 (固形分)になるように塗布、乾燥した後、コーティング面側から窒素ガス雰囲気中で175KVに加速された電子線を5Mrads照射して硬化、架橋し、透明被膜を形成した。
【0058】
(実施例6)
実施例1の構成において、透明性樹脂層用塗布液の組成のみを下記のように(ワックス成分を追加した組成に)変更した以外は、総て実施例1と同様に加工して実施例6の保護層転写フィルムを作成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−83、三菱レイヨン製) 20部
ポリエチレンワックス(平均粒径 10μm) 1部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
【0059】
(実施例7)
実施例5の構成において、透明性樹脂層用塗布液の組成のみを下記のように(ワックス成分およびコロイダルシリカを追加した組成に)変更した以外は、総て実施例5と同様に加工して実施例7の保護層転写フィルムを作成した。
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 7.5部
ポリメタクリル酸メチル 15.0部
ポリエチレンワックス(平均粒径 10μm) 1.5部
コロイダルシリカ 1.5部
MEK/トルエン(重量比1:1) 77.5部
【0060】
(実施例8)
実施例8の保護層転写フィルムは、保護層単独ではなく熱転写インキ層と保護層とを同一基材フィルム上に面順次に配列し、これを繰り返し設けたインキ層と保護層とが一体型の転写フィルムとし、下記の手順で作成した。基材フィルムとして、厚さ6μmの片面易接着処理PETフィルム(ルミラーF54 東レ製)を用い、その非処理側の面に背面層としてシリコーン樹脂による耐熱性スリップ層を、乾燥時の厚さが1μmとなるように、グラビアコート方式で全面に設けた。そして、易接着処理の施された面には、熱転写インキ層(Ye、Mg、Cy、Bkの4色のインキ層を各15cmの長さで配列)の領域と保護層(15cmの長さ)の領域とを、PETフィルムの流れ方向に面順次に配列したものを1単位とし、これを繰り返し設ける構成で熱転写インキ層と保護層(熱転写性樹脂層)とを設けた。上記において、Ye、Mg、Cyの3色のインキ層については、前記(昇華型熱転写フィルムの作成)の項に示した組成の昇華性染料インキを用いて、PETフィルムの易接着処理面に各々塗布量が3g/m2 (固形分)となるようにYe、Mg、Cyの順に配列させて印刷した。この時、Ye、Mg、Cyの3色が1セットとして繰り返し印刷され、それぞれのセット間にはBkのインキ層と保護層用に30cmの間隔が開けられた状態となっている。
【0061】
また、Bkのインキ層は、熱溶融型とするため、熱転写インキ層の構成をPETフィルムの上に、離型層、剥離保護層、Bk着色層を順に積層した構成とした。具体的には、それぞれ下記組成の離型層用塗布液、剥離保護層用塗布液、Bk着色層用インキを用いて、グラビア印刷により乾燥時の塗布量がいずれも1g/m2 となるように、前記の各Cy染料印刷層に隣接するように刷り重ねてBkの熱転写インキ層を形成した。尚、上記において、離型層だけは、Bkの熱転写インキ層に隣接して次に設ける保護層の最下層に形成する離型層と材質、塗布量とも共通にできるため、Bkの熱転写インキ層を形成する際、各Cy染料印刷層に隣接して離型層用塗布液を前記30cmの間隔全面の寸法で印刷しておくことが合理的であり、本実施例でもこれを実施した。
【0062】
☆離型層用塗布液の組成
ポリウレタン樹脂(ハイドランAP−40 大日本インキ化学工業製)7.5部
ポリビニルアルコール(ゴーセノールC−500 日本合成化学製)15部
蛍光増白剤(Uvitex CF チバガイギー製) 0.1部
水/エチルアルコール(重量比 1:1) 300部
☆剥離保護層用塗布液の組成
アクリル樹脂(BR−83 三菱レイヨン製) 88部
ポリエチレンワックス(平均粒径 10μm) 11.5部
ポリエステル(バイロン200 東洋紡績製) 0.5部
蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.5部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 300部
☆Bk着色層用インキの組成
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 60部
カーボンブラック 40部 MEK/トルエン(重量比 1:1) 200部
【0063】
次に、上記PETフィルムの各セット間に残された長さ15cmのスペースに保護層となる熱転写性樹脂層を設けるが、本実施例では前述した如く、このスペースには熱転写性樹脂層の離型性(転写性)をより良くするための離型層が既に設けられており、その上に設ける熱転写性樹脂層の構成を、離型層に接する側から透明性樹脂層、プライマー層、紫外線遮断層、熱接着性樹脂層を順に積層した構成とし、それぞれ下記の組成の塗布液をグラビア印刷方式で順次、塗布、乾燥して積層した。尚、それぞれの乾燥時の塗布量は、透明性樹脂層が2g/m2 、プライマー層が1g/m2 、紫外線遮断層が1g/m2 、熱接着性樹脂層が1g/m2 となるようにした。また、透明性樹脂層に電離放射線硬化型樹脂を使用したため、上記各層の塗布、乾燥後コーティング面側から窒素ガス雰囲気中で175KVに加速された電子線を5Mrads照射して樹脂の硬化、架橋を行った。以上のように作成した熱転写インキ層と保護層との一体型の転写フィルムを実施例8の保護層転写フィルムとした。
【0064】
☆透明性樹脂層用塗布液の組成
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10部
ポリメチルメタクリレート 20部
シランカップリング剤処理シリカ 3部
ポリエチレンワックス 1部
蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.15部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 70部
☆プライマー層用塗布液の組成
ポリメチルメタクリレート 30部
蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.15部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 70部
☆紫外線遮断層用塗布液の組成
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−635L BASFジャパン製) 20部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 80部
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 (#1000ALK 電気化学工業製) 30部
蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製) 0.15部
MEK/トルエン(重量比 1:1) 70部
【0065】
(実施例9)
実施例9の保護層転写フィルムは、前記実施例8の熱転写インキ層と保護層との一体型の保護層転写フィルムの構成において、基材フィルム、即ち、厚さ6μmの片面易接着処理PETフィルムに、背面層、および熱転写インキ層(4色)を設けるまでは実施例8と同様に加工し、保護層の部分のみを実施例6の構成(但し、透明性樹脂層と熱接着性樹脂層には下記のように蛍光増白剤を追加)に換えて作成した。従って、保護層の部分は、先ず、基材フィルム面に実施例8と同様の離型層を設け、その上に、
(1)透明性樹脂層としてアクリル樹脂(ダイヤナールBR−83)20部とポリエチレンワックス(平均粒径10μm)1部、蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製)0.1部からなる層(塗布量3g/m2
(2)紫外線遮断層として反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂(UVA−635L)の層(塗布量1g/m2
(3)熱接着性樹脂層として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂(#1000ALK)20部と蛍光増白剤(Uvitex OB チバガイギー製)0.1部からなる層(塗布量1g/m2
を順に積層した構成としたものである。また、透明性樹脂層に電離放射線硬化型樹脂を使用していないため、塗布、乾燥後の電子線照射は実施していない。尚、上記実施例6〜9の保護層転写フィルムでは、熱転写性樹脂層の中、転写後最外層となる透明性樹脂層に対して、転写時の膜切れ性、および、転写された画像面の耐擦傷性を更に向上させるために、ポリエチレンワックス、コロイダルシリカ、シランカップリング剤処理シリカなどを添加して構成したものである。この点から後記の耐光性、および、高温保存による画像のにじみ等の総合テストとは別に、前記実施例の最初の(昇華型熱転写フィルムの作成)の項で準備した熱転写フィルムで作成した画像面に、サーマルヘッドプリンターで、各実施例の熱転写性樹脂層をベタパターンで転写し、その膜切れ性と被転写物表面の耐擦傷性をテストしたところ、それぞれが対応するワックス成分や各種シリカを透明性樹脂層中に含有しない構成のものと対比して、即ち、実施例6および9は、実施例1のものと対比して、また、実施例7および8は、実施例5のものと対比して、いずれも膜切れ性および被転写物表面の耐擦傷性が向上していることが確認された。
【0066】
(比較例1)
実施例1の構成において、紫外線遮断層のみを除いた構成とし、その他は実施例1と同様に加工して比較例1の保護層転写フィルムを作成した。
【0067】
(比較例2)
実施例1の構成において、紫外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て実施例1と同様に加工して比較例2の保護層転写フィルムを作成した。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 20部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 (チヌビン328、チバガイギー製) 1部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
【0068】
(比較例3)
実施例1の構成において、紫外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て実施例1と同様に加工して比較例3の保護層転写フィルムを作成した。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 20部
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤 (ケミソーブ112、ケミプロ化成製) 1部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
【0069】
(比較例4)
実施例1の構成において、紫外線遮断層を除き、熱接着性樹脂層用塗布液を下記の組成の塗布液に換えて塗布した以外は、総て実施例1と同様に加工して比較例3の保護層転写フィルムを作成した。
☆熱接着性樹脂層用塗布液の組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−90、三菱レイヨン製) 20部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 (チヌビン328、チバガイギー製) 10部
MEK/トルエン(重量比1:1) 70部
【0070】
(比較例5)
比較例5は、本発明において転写フィルム側に用いている紫外線吸収剤と反応結合した樹脂を、転写フィルム側でなく受像シートの受容層に用いてその効果を比較するものである。従って、被転写材である受像シートの基材シートとして合成紙(ユポFRG−150、厚さ150μm、王子油化合成紙製)を用い、その一方の面に下記の組成の染料受容層用塗布液をバーコーターにより、乾燥時塗布量が、4.0g/m2 になるように塗布、乾燥して染料受容層を形成し、熱転写受像シートを作成した。
☆染料受容層用塗布液の組成
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂 (UVA−633L、BASFジャパン製) 20部
アミノ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業製) 5部
エポキシ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業製) 5部
MEK/トルエン(重量比1:1) 80部
上記で得た熱転写受像シートの染料受容層に後記と同じ方法でカラー画像を転写し、その画像面に比較例1の構成の保護層(紫外線遮断層を除いた保護層)を転写し、後記の耐光性およびにじみの試験を行い評価した。
【0071】
(カード基材、受像シートへの画像及び保護層の転写)
実施例1〜9および比較例1〜4の保護層転写フィルムに対する被転写材として、下記の材料組成からなるポリ塩化ビニル製のカード基材(比較例5の場合は受像シート)を使用し、その一方の面(受像シートでは受容層面)に、先に作成した昇華型熱転写フィルムの染料塗布面(実施例8、9においては保護層転写フィルムの熱転写インキ層の面)を重ね、顔写真を色分解して得た電気信号に連結したプリンターのサーマルヘッドを通して熱エネルギーを付与し、フルカラー画像を形成した。
☆カード基材の材料組成
ポリ塩化ビニルコンパウンド(重合度800)(安定剤等の添加剤を約10%含有) 100.0部
白色顔料(酸化チタン) 10.0部
可塑剤(DOP) 0.5部
続いて、前記カード基材(比較例5は受像シート)のカラー画像形成面に、実施例1〜9および比較例1〜4の保護層転写フィルムを用いて、また、比較例5の受像シートの画像形成面に対しては比較例1の保護層転写フィルムを用いて、同じプリンターのサーマルヘッドで、それぞれの熱転写性樹脂層を転写し、保護層付きのカラー画像を形成した。
【0072】
(転写画像の耐光性試験)
上記で得られたカラー画像および保護層の転写された各カード基材および受像シートを試料として、画像面の耐光性をキセノンフェードメーター(アトラス社製 Ci−35A)で、200KJ/m2 および300KJ/m2 照射し、照射前後の光学濃度の変化を、光学濃度計(マクベス社製 RD−918)により測定し、下記式により光学濃度の残存率を算出した。
残存率(%)=(照射後の光学濃度/照射前の光学濃度)×100
尚、耐光性試験の結果としては、上記残存率を下記の区分の記号に換えて表1に示した。
◎:残存率が80%以上
○:残存率が70%以上80%未満
△:残存率が60%以上70%未満
×:残存率が60%未満
【0073】
(転写画像のにじみ試験)
上記で得られたカラー画像および保護層の転写された各カード基材、受像シートを試料として、画像面のにじみを60℃で100時間保存した後、観察し、下記の基準で判定した結果を記号で表1に示した。
記号の説明
○:ドットのにじみが見られないもの。
×:ドットのにじみが見られるもの。
【0074】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、本発明の保護層転写フィルムの一実施例を説明する模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の保護層転写フィルムの別の一実施例を説明する模式断面図である。
【図3】図3は、本発明の保護層転写フィルムのまた別の一実施例を説明する模式断面図である。
【図4】図4は、本発明の保護層転写フィルムの更に別の一実施例を説明する模式断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 基材フィルム
2 熱転写性樹脂層
3 離型層
4 透明性樹脂層
5 紫外線遮断層
6 熱接着性樹脂層
7 背面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム上に熱転写性樹脂層を設けてなる保護層転写フィルムにおいて、前記熱転写性樹脂層が基材フィルム側から透明性樹脂層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成され、該熱接着性樹脂層が、下記の一般式で表される反応性紫外線吸収剤と、アクリル系モノマー、オリゴマー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共重合体、及び該共重合体とは異なる樹脂を含有してなり、且つ、前記反応性紫外線吸収剤の含有量は熱接着性樹脂層中に20重量%以上であることを特徴とする保護層転写フィルム。
【化1】

【化2】

【請求項2】
前記共重合体が、下記式で表される共重合体を含有することを特徴とする、請求項1に記載の保護層転写フィルム。
【化3】

【請求項3】
少なくとも1色、乃至2色以上の昇華性染料インキ層及び/又は熱溶融性インキ層からなる熱転写インキ層の領域と前記熱転写性樹脂層の領域とを面順次に基材フィルム上に設けてなるインキ層と保護層の一体型転写フィルムであって、前記熱転写性樹脂層が基材フィルム側から透明性樹脂層、熱接着性樹脂層の順に積層した積層体で構成され、該熱接着性樹脂層が、下記の一般式で表される反応性紫外線吸収剤と、アクリル系モノマー、オリゴマー、反応性重合体の中の少なくとも一種との共重合体、及び該共重合体とは異なる樹脂を含有してなり、且つ、前記反応性紫外線吸収剤の含有量は熱接着性樹脂層中に20重量%以上であることを特徴とする、インキ層と保護層の一体型転写フィルム。
【化4】

【化5】

【請求項4】
少なくとも染料で着色された画像を有する印画物の印画面の少なくとも一部に、請求項1又は2に記載の保護層転写フィルムの熱転写性樹脂層が積層されていることを特徴とする印画物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−327193(P2006−327193A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135869(P2006−135869)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【分割の表示】特願平7−52046の分割
【原出願日】平成7年2月17日(1995.2.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】