説明

保護帽子

【課題】簡単に様々なデザインを実現することができる保護帽子を提供すること。
【解決手段】本発明は、頂天部3と側面部4とに分割された帽子本体2と、帽子本体2に内蔵される衝撃吸収構造体10と、を備えた保護帽子1において、頂天部3が、衝撃吸収構造体10の内蔵形態が異なる複数の頂天部モジュール3A,3B,3Cを有する。側面部4が、衝撃吸収構造体10の内蔵形態が異なる複数の側面部モジュール4A,4B,4Cを有する。軟結合構造12を介して複数の弾性球状体11を平面状又は線状に集合させた衝撃吸収構造体10が、軟結合構造12の形態が異なる複数の衝撃吸収モジュール10A,10B,10Cを有する。そして、前記頂天部3と、前記側面部4と、前記衝撃吸収構造体10との各モジュールを、任意に選択されて組み合わせられる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帽子本体と、軟結合構造を介して複数の弾性球状体を結合した衝撃吸収構造体とを備えた保護帽子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頭頂部を覆う頂天部と、この頂天部の周囲を取り囲んで頭側部を覆う側面部と、に分割された帽子本体と、帽子本体に内蔵された衝撃吸収構造体と、を備えた保護帽子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-224465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の保護帽子にあっては、まずデザインを設定し、このデザインに合わせて頂天部等の形状を決めている。そのため、衝撃吸収構造体も頂天部等の形状に合わせて形成する必要があった。
【0005】
つまり、デザインに合わせて帽子本体及び衝撃吸収構造体を設計する必要があり、手間がかかってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、簡単に様々なデザインを実現することができる保護帽子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、頭頂部を覆う頂天部と、前記頂天部の周囲を取り囲んで頭側部を覆う側面部と、に分割された帽子本体と、前記帽子本体に内蔵される衝撃吸収構造体と、を備えた保護帽子において、
前記頂天部は、前記衝撃吸収構造体の内蔵形態が異なる複数の頂天部モジュールを有し、
前記側面部は、前記衝撃吸収構造体の内蔵形態が異なる複数の側面部モジュールを有し、
前記衝撃吸収構造体は、外形形状が球状であり、外部から加わる外力の大きさと方向に応じて弾性変形する複数の弾性球状体を、互いに乖離する対向球面間に貫通空隙を確保した状態で、前記外力に従って変形可能なように剛性を低く抑えた軟結合構造を介して平面状又は線状に集合させると共に、前記軟結合構造の形態が異なる複数の衝撃吸収モジュールを有し、
複数の前記頂天部モジュールと、複数の前記側面部モジュールと、複数の前記衝撃吸収モジュールとは、任意に選択されて組み合わせられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
よって、本発明の保護帽子にあっては、頂点部が複数の頂天部モジュールを有し、側面部が複数の側面部モジュールを有し、衝撃吸収構造体が複数の衝撃吸収モジュールを有しており、これらが任意に選択されて組み合わせられる。
このため、各モジュールの組み合わせ方によって異なるデザインの保護帽子となる。つまり、帽子本体及び衝撃吸収構造体を、それぞれ汎用性を持ったパーツに分割し、それぞれを任意に選択して組み合わせることで簡単に様々なデザインを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の保護帽子の一デザインを示す外観斜視図である。
【図2】実施例1の保護帽子の衝撃吸収構造体を示す斜視図であり、(a)はトップ用モジュールを示し、(b)は取り外し用モジュールを示し、(c)は編込み用モジュールを示す。
【図3】弾性球状体を示す図であり、(a)は外観を示す斜視図であり、(b)は縦断面図である。
【図4】トップ用モジュール及び取り外し用モジュールの一部を破断した斜視図である。
【図5】編込み用モジュールを示す斜視図である。
【図6】実施例1の保護帽子の頂天部を示す斜視図であり、(a)は挟み込み用頂天部を示し、(b)は取り外し用頂天部を示し、(c)は編込み用頂天部を示す。
【図7】実施例1の保護帽子の側面部を示す斜視図であり、(a)は前方側面部を示し、(b)は取り外し用後方側面部を示し、(c)は編込み用後方側面部を示す。
【図8】実施例1の保護帽子の鍔部を示す斜視図であり、(a)は小キャップタイプを示し、(b)は大キャップタイプを示し、(c)は小ハットタイプを示し、(d)は大ハットタイプを示す。
【図9】実施例1の保護帽子の他のデザインを示す外観斜視図である。
【図10】(a)は本発明の保護帽子における側面部の他の例を示す斜視図であり、(b)は図10(a)に示す側面部を用いた保護帽子を示す外観斜視図である。
【図11】(a)は本発明の保護帽子における側面部のさらに他の例を示す斜視図であり、(b)は図11(a)に示す側面部を用いた保護帽子を示す外観斜視図である。
【図12】(a)は本発明の保護帽子における頂天部の他の例を示す斜視図であり、(b)は図12(a)に示す頂天部を用いた保護帽子を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の保護帽子を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、実施例1の保護帽子における構成を、「保護帽子の全体構成」、「衝撃吸収構造体の構成」、「弾性球状体の構成」、「第1衝撃モジュールの構成」、「第2衝撃モジュールの構成」、「頂天部の構成」、「側面部の構成」、「鍔部の構成」に分けて説明する。
【0012】
[保護帽子の全体構成]
図1は、実施例1の保護帽子の一デザインを示す外観斜視図である。
【0013】
図1に示す保護帽子1は、頭部に被ることで外部から加わる外力から頭部を保護するものである。この保護帽子1は、帽子本体2と、この帽子本体2に内蔵される衝撃吸収構造体10と、を備えている。
【0014】
前記帽子本体2は、通気性が良い布素材により形成され、頭頂部を覆う頂天部3と、頂天部3の周囲を取り囲んで頭側部を覆う側面部4と、側面部4の下端部4aから突出した鍔部5と、有している。この頂天部3と側面部4と鍔部5とは、それぞれ個別に形成されており、縫い合わされて一体の帽子本体2を形成している。
【0015】
そして、この頂天部3と側面部4と鍔部5及び衝撃吸収構造体10は、それぞれ複数のデザインを有しており、これらの中から任意に選択されて組み合わされている。つまり、実施例1の保護帽子1のデザインは、図1に示すものに限らない。
【0016】
[衝撃吸収構造体の構成]
図2は、実施例1の保護帽子の衝撃吸収構造体を示す斜視図であり、(a)はトップ用モジュールを示し、(b)は取り外し用モジュールを示し、(c)は編込み用モジュールを示す。
【0017】
前記衝撃吸収構造体10は、外部から加わる外力の衝撃を吸収して頭部を保護するものである。この衝撃吸収構造体10は、帽子本体2への内蔵状態に応じた外径形状となっており、複数の弾性球状体11と、これらの弾性球状体11を平面状又は線状に集合させる軟結合構造12と、を備えている。そして、この衝撃吸収構造体10は、外径形状に応じて、ここでは図2(a)に示すトップ用モジュール10Aと、図2(b)に示す取り外し用モジュール10Bと、図2(c)に示す編込み用モジュール10Cと、に分類される。
【0018】
前記トップ用モジュール10Aは、頂天部3の形状に合わせた外径形状を呈しており、複数の弾性球状体11は平面状に集合されている。
【0019】
前記取り外し用モジュール10Bは、頂天部3や側面部4に設けた後述するポケット22a,24a,25aの形状に合わせた矩形状の外径形状を呈しており、複数の弾性球状体11は平面状に集合されている。
【0020】
前記編込み用モジュール10Cは、頂天部3や側面部4の形状に拘らず、複数の弾性球状体11が線状に集合されている。
【0021】
ここで、前記弾性球状体11は、外径形状がほぼ球状の中空球体状に形成され、各モジュール10A〜10Cにおいて共通なものとなっている。
一方、前記軟結合構造12は、複数の弾性球状体11を連結し、隣接する弾性球状体11との間に間隙を確保した状態で、外力に従って変形可能なように剛性を低く抑えた状態で集合させるものであり、トップ用モジュール10A及び取り外し用モジュール10Bと、編込み用モジュール10Cで異なる形態となっている。そのため、各モジュール10A〜10Cは、軟結合構造12の形態に応じて、第1衝撃吸収モジュールと、第2衝撃吸収モジュールと、に分類される。
【0022】
[弾性球状体の構成]
図3は、弾性球状体を示す図であり、(a)は外観を示す斜視図であり、(b)は縦断面図である。
【0023】
前記弾性球状体11は、外部から加わる外力の大きさと方向に応じて弾性変形し、ここでは所定の温度(例えば140℃)に加熱すると溶融するポリプロピレン製の弾性素材により形成されている。また、この弾性球状体11は、下端11aに弾性球状体11の内部と外側を連通させる下側通気孔13aが形成され、上端11bに弾性球状体11の内部と外側を連通させる上側通気孔13bが形成されている。
この下側通気孔13aと上側通気孔13bとは互いに対向する位置に形成され、弾性球状体11の下端11aと上端11bとの間を貫通した貫通孔を形成している。
なお、この弾性球状体11は、この実施例1では、外殻の肉厚が約0.3mm、直径が約11mm、通気孔13a,13bの開口径がそれぞれ約6mmとなっている。
【0024】
[第1衝撃吸収モジュール]
図4は、トップ用モジュール及び取り外し用モジュールの一部を破断した斜視図である。
【0025】
前記トップ用モジュール10A及び前記取り外し用モジュール10Bは、前記第1衝撃吸収モジュールに分類される。この第1衝撃吸収モジュールでは、軟結合構造12が、下側布部材14と、上側布部材15と、連結手段16と、を備えている。
【0026】
前記下側布部材14は、通気性が良いポリエステル製の布素材により形成され、弾性球状体11の下端11aに接触する一面に熱溶着層14aが設けられている。ここで「熱溶着層」とは、所定の温度(例えば140℃)に加熱することで溶融する熱可塑性樹脂層である。
そして、熱溶着層14aと下側通気孔13aの開口周縁が互いに溶解して一体化することで、下側布部材14に対して弾性球状体11が溶着固定される。
【0027】
前記上側布部材15は、通気性が良いポリエステル製の布素材により形成され、弾性球状体11の上端11bに接触する一面に熱溶着層15aが設けられている。ここで「熱溶着層」とは、所定の温度(例えば140℃)に加熱することで溶融する熱可塑性樹脂層である。なお、下側布部材14と上側布部材15は同じ素材により形成される。
そして、熱溶着層15aと上側通気孔13bの開口周縁が互いに溶解して一体化することで、上側布部材15に対して弾性球状体11が溶着固定される。
【0028】
前記連結手段16は、下側布部材14と上側布部材15のそれぞれに固定された状態で集合した複数の弾性球状体11の周囲位置において、下側布部材14と上側布部材15を連結するものである。ここでは、この連結手段16は、下側布部材14の熱溶着層14aと上側布部材15の熱溶着層15aとが互いに溶着した溶着部16aと、この溶着部16a上において下側布部材14と上側布部材15を縫い合わせる縫合部16bと、を有している。
【0029】
[第2衝撃吸収モジュール]
図5は、編込み用モジュールを示す斜視図である。
【0030】
前記編込み用モジュール10Cは、前記第2衝撃吸収モジュールに分類される。この第2衝撃吸収モジュールでは、軟結合構造12が、第1紐状部材17と、第2紐状部材18と、を備えている。
【0031】
前記第1紐状部材17は、長さ方向に伸縮しにくいナイロン等の合成繊維から形成されている。この第1紐状部材17は、線状に並んだ複数の弾性球状体11の下側通気孔13a及び上側通気孔13bに挿通されて、弾性球状体11を貫通すると共に、隣接する弾性球状体11間において、各通気孔13a,13bへの挿通方向が逆にされる。
【0032】
つまり、この第1紐状部材17は、図5において最右側に位置する弾性球状体11(図5において11A)では、上側通気孔13bから下側通気孔13aへと挿通される。続いて隣接する弾性球状体11(図5において11B)では、下側通気孔13aから上側通気孔13bへと挿通される。このように、第1紐状部材17は、順に最右側から最左側までの各弾性球状体11に、挿通方向を交互に変えながら挿通される。
【0033】
前記第2紐状部材18は、線状に並んだ複数の弾性球状体11の下側通気孔13a及び上側通気孔13bに挿通されて、弾性球状体11を貫通すると共に、このときの挿通方向が第1紐状部材17の挿通方向と逆方向に設定される。
【0034】
つまり、この第2紐状部材18は、図5において最右側に位置する弾性球状体11(図5において11A)では、下側通気孔13aから上側通気孔13bへと挿通される。続いて隣接する弾性球状体11(図5において11B)では、上側通気孔13bから下側通気孔13aへと挿通される。このように、第2紐状部材18は、順に最右側から最左側までの各弾性球状体11に、挿通方向を第1紐状部材17とは逆方向にしながら挿通される。
【0035】
そして、第1紐状部材17と第2紐状部材18は、各弾性球状体11の内部において、交差する。
【0036】
さらに、この第2紐状部材18の両端部は、線状に並んだ複数の弾性球状体11の両端において、第1紐状部材17と締結される。このとき、第1,第2紐状部材17,18の両端部に形成された締結部19,19の間隔L1は、複数の弾性球状体11を接触させた状態に並べた際の全長Lよりも十分に長くなっている。これにより、複数の弾性球状体11の間隔が任意の範囲で自在に変動可能となる。
【0037】
[頂天部の構成]
図6は、実施例1の保護帽子の頂天部を示す斜視図であり、(a)は挟み込み用頂天部を示し、(b)は取り外し用頂天部を示し、(c)は編込み用頂天部を示す。
【0038】
前記頂天部3は、頭頂部を覆う円盤形状を呈しており、ここでは図6(a)に示す挟み込み用頂天部3Aと、図6(b)に示す取り外し用頂天部3Bと、図6(c)に示す編込み用頂天部3Cと、を有している。さらに、各頂点部3A〜3Cは、衝撃吸収構造体10の内蔵形態に応じて、第1頂天部と第2頂天部とに分類される。
【0039】
前記挟み込み用頂天部3Aは、トップ用モジュール10Aを一対の布材21a,21bで挟み込み、外周端部の全周を縫い合わせて形成されている。このとき、布材21a,21bは綿や化繊、不織布等任意に選択できる。また、頭部に面する内側の布材21aと外側の布材21bとで材質を異ならせてもよい。なお、この挟み込み用頂天部3Aは、衝撃吸収構造体10を一対の布材21a,21bの間に挟んで縫い止めた第2頂天部に分類される。
【0040】
前記取り外し用頂天部3Bは、取り外し用モジュール10Bを着脱可能に収納するポケット22aが頭部に面する内側面に設けられている。ここで、このポケット22aの開口部22bは、ここでは前後方向に直線状に延びている。なお、この取り外し用頂天部3Bは、衝撃吸収構造体10を着脱可能に収納するポケット22aを有する第1頂天部に分類される。
【0041】
前記編込み用頂天部3Cは、複数の編込み用モジュール10Cを一対の布材23a,23bで挟み込み、各編込み用モジュール10Cの側部を縫い合わせると共に、外周端部の全周を縫い合わせて形成されている。このとき、布材23a,23bは綿や化繊、不織布等任意に選択できる。また、頭部に面する内側の布材23aと外側の布材23bとで材質を異ならせてもよい。さらに、各編込み用モジュール10Cは、長さ方向を揃えて配置される。なお、この編込み用頂天部3Cは、衝撃吸収構造体10を一対の布材23a,23bの間に挟んで縫い止めた第2頂天部に分類される。
【0042】
[側面部の構成]
図7は、実施例1の保護帽子の側面部を示す斜視図であり、(a)は前方側面部を示し、(b)は取り外し用後方側面部を示し、(c)は編込み用後方側面部を示す。
【0043】
前記側面部4は、頭側部を覆う円筒形状を呈すると共に、前後に2分割されており、周方向に伸縮可能な縫い合わせ部4bにより一体化されている。この側面部4は、ここでは、図7(a)に示す前方側面部4Aと、図7(b)に示す取り外し用後方側面部4Bと、図7(c)に示す編込み用後方側面部4Cと、を有している。さらに、各側面部4A〜4Cは、衝撃吸収構造体10の内蔵形態に応じて、第1側面部と第2側面部とに分類される。
【0044】
前記前方側面部4Aは、頭側部の前方(前側)を覆うものであり、取り外し用モジュール10Bを着脱可能に収納するポケット24aが頭部に面する内側面に設けられている。ここで、このポケット24aは周方向に沿って複数設けられ、開口部24bは、ここでは周方向に延びている。なお、この前方側面部4Aは、衝撃吸収構造体10を着脱可能に収納するポケット24aを有する第1側面部に分類される。
【0045】
前記取り外し用後方側面部4Bは、側頭部の後方(後側)を覆うものであり、取り外し用モジュール10Bを着脱可能に収納するポケット25aが頭部に面する内側面に設けられている。ここで、このポケット25aは周方向に沿って複数設けられ、開口部25bは、ここでは周方向に延びている。なお、この取り外し用後方側面部4Bは、衝撃吸収構造体10を着脱可能に収納するポケット25aを有する第1側面部に分類される。
【0046】
前記編込み用後方側面部4Cは、側頭部の後方(後側)を覆うものであり、複数の編込み用モジュール10Cを一対の布材26a,26bで挟み込み、各編込み用モジュール10Cの側部を縫い合わせると共に、外周端部の全周を縫い合わせて形成されている。このとき、布材26a,26bは綿や化繊、不織布等任意に選択できる。また、頭部に面する内側の布材26aと外側の布材26bとで材質を異ならせてもよい。さらに、各編込み用モジュール10Cは、長さ方向を周方向に揃えて配置される。なお、この編込み用後方側面部4Cは、衝撃吸収構造体10を一対の布材26a,26bの間に挟んで縫い止めた第2側面部に分類される。
【0047】
[鍔部の構造]
図8は、実施例1の保護帽子の鍔部を示す斜視図であり、(a)は小キャップタイプを示し、(b)は大キャップタイプを示し、(c)は小ハットタイプを示し、(d)は大ハットタイプを示す。
【0048】
前記鍔部5は、図示しないプラスチックの芯材を布材によって覆うことで形成されており、側面部4の周方向の沿った長さと、この側面部4からの突出長さに応じて、ここでは図8(a)に示す小キャップタイプ5Aと、図8(b)に示す大キャップタイプ5Bと、図8(c)に示す小ハットタイプ5Cと、図8(d)に示す大ハットタイプ5Dに分類される。
【0049】
前記小キャップタイプ5Aは、側面部4の前部のみに沿って取り付けられ、突出長さが比較的短い。
【0050】
前記大キャップタイプ5Bは、側面部4の前部のみに沿って取り付けられ、突出長さが比較的長い。
【0051】
前記小ハットタイプ5Cは、側面部4の全周にわたって取り付けられ、突出長さが比較的短い。
【0052】
前記大ハットタイプ5Dは、側面部4の全周にわたって取り付けられ、突出長さが比較的長い。
【0053】
次に、実施例1の保護帽子におけるデザイン多様化作用を説明する。
【0054】
[デザイン多様化作用]
図9は、実施例1の保護帽子の他のデザインを示す外観斜視図である。
【0055】
実施例1の保護帽子1では、帽子本体2を頂天部3と側面部4と鍔部5とに分割すると共に、それぞれが予め複数のデザインパターンを有している。また、この帽子本体2に内蔵される衝撃吸収構造体10も、予め複数のデザインパターンを有している。
【0056】
つまり、衝撃吸収構造体1は、図2に示すように、トップ用モジュール10Aと、取り外し用モジュール10Bと、編込み用モジュール10Cとを有している。
また、頂天部3は、図6に示すように、挟み込み用頂天部3Aと、取り外し用頂天部3Bと、編込み用頂天部3Cと、を有している。
また、側面部4は、図7に示すように、前方側面部4Aと、取り外し用後方側面部4Bと、編込み用後方側面部4Cと、を有している。
さらに、鍔部5は、図8に示すように、小キャップタイプ5Aと、大キャップタイプ5Bと、小ハットタイプ5Cと、大ハットタイプ5Dと、を有している。
【0057】
そして、これら複数のデザインパターンを、パーツごとに任意に選択して組み合わせることで、容易に保護帽子1が形成されると共に、組み合わせ方によって異なるデザインとすることができる。
【0058】
例えば、図1に示した保護帽子1において、頂天部3は、挟み込み用頂天部3Aであり、このとき内蔵される衝撃吸収構造体10はトップ用モジュール10Aである。また、側面部4は、前方側面部4Aと編込み用後方側面部4Cである。そして、このとき前方側面部4Aに内蔵される衝撃吸収構造体10は取り外し用モジュール10Bであり、ポケット24aに着脱可能に収納される。また、編込み用後方側面部4Cに内蔵される衝撃吸収構造体10は、編込み用モジュール10Cである。さらに、鍔部5は、大ハットタイプ5Dである。
【0059】
また、図9(a)に示した保護帽子1Aでは、頂天部3は、取り外し用頂天部3Bであり、このとき内蔵される衝撃吸収構造体10は取り外し用モジュール10Bであり、ポケット22aに着脱可能に収納される。また、側面部4は、前方側面部4Aと取り外し用後方側面部4Bである。そして、このとき前方側面部4A及び取り外し用後方側面部4Bに内蔵される衝撃吸収構造体10は取り外し用モジュール10Bであり、ポケット24a及びポケット25aに着脱可能に収納される。さらに、鍔部5は、小ハットタイプ5Cである。
【0060】
さらに、図9(b)に示した保護帽子1Bでは、頂天部3は、取り外し用頂天部3Bであり、このとき内蔵される衝撃吸収構造体10は取り外し用モジュール10Bであり、ポケット22aに着脱可能に収納される。また、側面部4は、前方側面部4Aと取り外し用後方側面部4Bである。そして、このとき前方側面部4A及び取り外し用後方側面部4Bに内蔵される衝撃吸収構造体10は取り外し用モジュール10Bであり、ポケット24a及びポケット25aに着脱可能に収納される。さらに、鍔部5は、大キャップタイプ5Bである。
【0061】
そして、図9(c)に示した保護帽子1Cでは、頂天部3は、挟み込み用頂天部3Aであり、このとき内蔵される衝撃吸収構造体10はトップ用モジュール10Aである。また、側面部4は、前方側面部4Aと編込み用後方側面部4Cである。そして、このとき前方側面部4Aに内蔵される衝撃吸収構造体10は取り外し用モジュール10Bであり、ポケット24aに着脱可能に収納される。また、編込み用後方側面部4Cに内蔵される衝撃吸収構造体10は、編込み用モジュール10Cである。さらに、鍔部5は、大キャップタイプ5Bである。
【0062】
このように、頂天部3と側面部4と鍔部5をそれぞれ任意のパーツを選ぶと共に、選択したパーツに応じた衝撃緩衝構造体10を選ぶことで、簡単に様々なデザインの保護帽子を実現することができる。
【0063】
さらに、図1及び図9に示した各保護帽子1〜1Cでは、いずれも鍔部5が取り付けられているが、この鍔部5を取り付けないタイプの保護帽子であってもよい。その場合には、頂天部3及び側面部4のデザインパターンを任意に選択して組み合わせる。
【0064】
次に、効果を説明する。
実施例1の保護帽子1にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0065】
(1) 頭頂部を覆う頂天部3と、前記頂天部3の周囲を取り囲んで頭側部を覆う側面部4と、に分割された帽子本体2と、前記帽子本体2に内蔵される衝撃吸収構造体10と、を備えた保護帽子1において、
前記頂天部3は、前記衝撃吸収構造体10の内蔵形態が異なる複数の頂天部モジュールを有し、
前記側面部4は、前記衝撃吸収構造体10の内蔵形態が異なる複数の側面部モジュールを有し、
前記衝撃吸収構造体10は、外形形状が球状であり、外部から加わる外力の大きさと方向に応じて弾性変形する複数の弾性球状体11を、隣接する弾性球状体11との間に間隙を確保した状態で、前記外力に従って変形可能なように剛性を低く抑えた軟結合構造12を介して平面状又は線状に集合させると共に、前記軟結合構造12の形態が異なる複数の衝撃吸収モジュールを有し、
前記頂天部モジュールと、前記側面部モジュールと、前記衝撃吸収モジュールとは、任意に選択されて組み合わせられる構成とした。
これにより、頂天部3と、側面部4と、衝撃吸収構造体10との組み合わせに応じて異なるデザインになり、簡単に様々なデザインの保護帽子を実現することができる。
【0066】
(2) 前記頂天部モジュールは、前記衝撃吸収構造体10を着脱可能に収納するポケット3Baを有する第1頂天部(取り外し用頂天部)3Bと、前記衝撃吸収構造体10を一対の布材の間に挟んで縫い止めた第2頂天部(挟み込み用頂天部,編込み用頂天部)3A,3Cと、を有し、
前記側面部モジュールは、前記衝撃吸収構造体10を着脱可能に収納するポケット4Aa,4Baを有すると共に少なくとも前記頭部の一部を覆う第1側面部(前方側面部,取り外し用後方側面部)4A,4Bと、前記衝撃吸収構造体10を一対の布材の間に挟んで縫い止めると共に少なくとも前記頭部の一部を覆う第2側面部(編込み用後方側面部)4Cと、を有し、
前記衝撃吸収モジュールは、前記弾性球状体11の下端11aに、一面に設けた熱溶着層14aが熱溶着固定される下側布部材14と、前記弾性球状体11の上端11bに、一面に設けた熱溶着層15aが熱溶着固定される上側布部材15と、を備えた軟結合構造12を有する第1衝撃吸収モジュール(トップ用モジュール,取り外し用モジュール)10A,10Bと、
前記弾性球状体11に中心を通って貫通する貫通孔(下側通気孔,上側通気孔)13a,13bを形成し、前記弾性球状体11の前記貫通孔13a,13bに挿通されると共に、隣接する弾性球状体11間において、挿通方向が逆方向にされる第1紐状部材17と、前記弾性球状体11の前記貫通孔13a,13bに挿通されると共に、挿通方向が前記第1紐状部材17の挿通方向と逆方向に設定され、且つ、線状に並んだ複数の前記弾性球状体11の両端部のそれぞれで前記第1紐状部材17と結合される第2紐状部材18と、を備えた軟結合構造12を有する第2衝撃吸収モジュール(編込み用モジュール)10Cと、
を有する構成とした。
これにより、頂天部3と、側面部4と、衝撃吸収構造体10との組み合わせに応じて異なるデザインになり、簡単に様々なデザインの保護帽子を実現することができる。
【0067】
(3) 前記帽子本体2は、前記側面部4の下側前部(前額部)4aに取り付けられると共に、周方向の長さと、前記側面部4からの突出長さがそれぞれ異なる複数の鍔部5を有し、前記複数の鍔部5は、任意に選択されて前記側面部4に取り付けられる構成とした。
【0068】
このため、保護帽子1のデザインバリエーションを簡単に増加することができる。
【0069】
以上、本発明の保護帽子1を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0070】
実施例1の側面部4では、前後に2分割され、前方側面部4Aと取り外し用後方側面部4Bとの組み合わせ、又は、前方側面部4Aと編込み用後方側面部4Cとの組み合わせのいずれかにより形成されている。しかしながら、側面部4はこれに限らない。例えば、図10(a)に示す側面部4Dのように、複数の編込み用モジュール10Cを一対の布材27a,27bで挟み込み、各編込み用モジュール10Cの側部を縫い合わせると共に、外周端部の全周を縫い合わせて形成されると共に、各編込み用モジュール10Cの長さ方向を周方向に対して傾斜させた状態で揃えて配置したものであってもよい。そして、このような側面部4Dを複数連結して円筒形状にする。
これにより、図10(b)に示すように、編込み用モジュール10Cの形状を生かしたデザインの保護帽子1Dとすることができる。さらに、複数の側面部4Dの連結部分を当て布28により覆うことで、さらにデザイン性を高めることができる。
【0071】
さらに、実施例1の前方側面部4Aに加え、図11(a)に示すように、衝撃吸収構造体10の編込み用モジュール10Cを一対の布材29a,29bの間に挟んで縫い止めると共に少なくとも頭部の一部を覆う第2側面部に分類される編込み用側面部4Eを用いてもよい。
そして、複数の編込み用側面部4Eと編込み用後方側面部4Cとを組み合わせれば、図11(b)に示すように、頭側部の全周を編込み用モジュール10Cによって取り囲むデザインの保護帽子1Eとすることができる。
【0072】
そして、実施例1の頂天部3は円盤形状を呈しているが、これに限らない。例えば、図12(a)に示すように、側面部4の一部と一体的に連続していてもよい。この図12(a)に示す頂天部3Dでは、衝撃吸収構造体10の編込み用モジュール10Cを一対の布材30a,30bの間に挟んで縫い止める第2頂天部に分類されると共に、後頭部を覆う側面部4と一部が一体となって側面部4の下端部まで連続している。ここで、後頭部を覆う部分では、頭部の形状に合わせて湾曲する。
これにより、図12(b)に示すように、編込み用モジュール10Cの形状を生かしたデザインとすると共に、頂天部3と側面部4の一部が連続しているため、各パーツの組立も容易に行うことができる保護帽子1Fとすることができる。
【0073】
さらに、頂天部3及び側面部4は、それぞれの外径形状は上述のものに限らない。第1衝撃吸収モジュール又は第2衝撃吸収モジュールのいずれかを、ポケットに着脱可能に収納することで内蔵するか、一対の布材の間に挟んで縫い止めることで内蔵することができればよい。
【0074】
また、衝撃吸収構造体10の内蔵形態についても、上記のものに限らない。例えば面ファスナーやスナップ等を用いて頂天部3や側面部4の内側に衝撃吸収構造体10一体固定する場合であっても、帽子本体2に衝撃吸収構造体10を内蔵することとする。
【符号の説明】
【0075】
1 保護帽子
2 帽子本体
3 頂天部
3A 挟み込み用頂天部(第2頂天部)
3B 取り外し用頂天部(第1頂天部)
3C 編込み用頂天部(第2頂天部)
4 側面部
4A 前方側面部(第1側面部)
4B 取り外し用後方側面部(第1側面部)
4C 編込み用後方側面部(第2側面部)
5 鍔部
5A 小キャップタイプ
5B 大キャップタイプ
5C 小ハットタイプ
5D 大ハットタイプ
10 衝撃吸収構造体
10A トップ用モジュール(第1衝撃モジュール)
10B 取り外し用モジュール(第1衝撃モジュール)
10C 編込み用モジュール(第2衝撃モジュール)
11 弾性球状体
12 軟結合構造
13a 下側通気孔(貫通孔)
13b 上側通気孔(貫通孔)
14 下側布部材
14a 熱溶着層
15 上側布部材
15a 熱溶着層
16 連結手段
17 第1紐部材
18 第2紐部材
19 締結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭頂部を覆う頂天部と、前記頂天部の周囲を取り囲んで頭側部を覆う側面部と、に分割された帽子本体と、前記帽子本体に内蔵される衝撃吸収構造体と、を備えた保護帽子において、
前記頂天部は、前記衝撃吸収構造体の内蔵形態が異なる複数の頂天部モジュールを有し、
前記側面部は、前記衝撃吸収構造体の内蔵形態が異なる複数の側面部モジュールを有し、
前記衝撃吸収構造体は、外形形状が球状であり、外部から加わる外力の大きさと方向に応じて弾性変形する複数の弾性球状体を、互いに乖離する対向球面間に貫通空隙を確保した状態で、前記外力に従って変形可能なように剛性を低く抑えた軟結合構造を介して平面状又は線状に集合させると共に、前記軟結合構造の形態が異なる複数の衝撃吸収モジュールを有し、
複数の前記頂天部モジュールと、複数の前記側面部モジュールと、複数の前記衝撃吸収モジュールとは、任意に選択されて組み合わせられることを特徴とする保護帽子。
【請求項2】
請求項1に記載された保護帽子において、
前記頂天部モジュールは、前記衝撃吸収構造体を着脱可能に収納するポケットを有する第1頂天部と、前記衝撃吸収構造体を一対の布材の間に挟んで縫い止めた第2頂天部と、を有し、
前記側面部モジュールは、前記衝撃吸収構造体を着脱可能に収納するポケットを有すると共に少なくとも前記頭部の一部を覆う第1側面部と、前記衝撃吸収構造体を一対の布材の間に挟んで縫い止めると共に少なくとも前記頭部の一部を覆う第2側面部と、を有し、
前記衝撃吸収モジュールは、前記弾性球状体の下端に、一面に設けた熱溶着層が熱溶着固定される下側布部材と、前記弾性球状体の上端に、一面に設けた熱溶着層が熱溶着固定される上側布部材と、を備えた軟結合構造を有する第1衝撃吸収モジュールと、
前記弾性球状体に中心を通って貫通する貫通孔を形成し、前記弾性球状体の前記貫通孔に挿通されると共に、隣接する弾性球状体間において、挿通方向が逆方向にされる第1紐状部材と、前記弾性球状体の前記貫通孔に挿通されると共に、挿通方向が前記第1紐状部材の挿通方向と逆方向に設定され、且つ、線状に並んだ複数の前記弾性球状体の両端部のそれぞれで前記第1紐状部材と結合される第2紐状部材と、を備えた軟結合構造を有する第2衝撃吸収モジュールと、を有することを特徴とする保護帽子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された保護帽子において、
前記帽子本体は、前記側面部の下端部に取り付けられると共に、周方向の長さと、前記側面部からの突出長さがそれぞれ異なる複数の鍔部を有し、
前記複数の鍔部は、任意に選択されて前記側面部に取り付けられることを特徴とする保護帽子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−57138(P2013−57138A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195649(P2011−195649)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(500125593)株式会社特殊衣料 (5)