説明

保護板および保護板を備えた表示装置

【課題】透明基板が強固に支持された保護板を提供する。
【解決手段】保護板10は、透明基板11と、透明基板11の一方の側に設けられたタッチパネルセンサ層50と、を備えている。透明基板11は、可撓性を有する合成樹脂から構成されている。またタッチパネルセンサ層50の一方の側には、複数のスペーサー30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCDや有機ELなどの表示部の観察者側に配置される保護板に関する。また本発明は、表示部と保護板とを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶ディスプレイ(以下、LCDとも言う。)や有機ELディスプレイ(以下、有機ELとも言う)などの表示部の観察者側に、表示部を保護するための透明基板を備えた保護板を設けることが知られている。また近年、タッチパネル機能が搭載された表示装置が数多く提案されている。タッチパネル機能は、一般に、基板と、基板上に設けられ、接触位置を検出するための導電パターンなどを含むタッチパネルセンサ層と、を有するタッチパネルセンサを、表示部の観察者側に設けることにより実現される。
【0003】
一般に表示装置においては、薄型化が常に求められている。ここで特許文献1においては、表示装置の薄型化を実現するため、接触位置を検出するための導電パターンなどのタッチパネル層を保護板の透明基板上に設けることが提案されている。特許文献1においては、このように保護板とタッチパネルセンサとを一体に構成することにより、保護板とタッチパネルセンサとが別体で設けられる場合に比べて、タッチパネルセンサの基板の分の厚みを低減することが実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−164929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、保護板の透明基板の材料としては、所望の強度を確保するために一般にガラスが用いられている。ところで、取り扱いや製造工程の容易さを考慮すると、保護板の透明基板の材料として、可撓性を有する合成樹脂(プラスチック)が用いられることが好ましい。具体的には、保護板の透明基板の材料として合成樹脂を用いることの利点として、軽量である点や、割れにくいという点が挙げられる。
【0006】
一方、上述のように保護板とタッチパネルセンサとが一体に構成される場合、保護板の透明基板は、使用者から頻繁に接触され押圧される部材となる。従って、保護板の透明基板が可撓性を有する合成樹脂から構成されている場合、使用者からの接触および押圧によって透明基板が広範囲にわたってたわんでしまうことが考えられる。このようなたわみの発生は、電気的な動作の不安定さの原因となり得るとともに、意匠性を低下させるため、好ましくない。
【0007】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る保護板を提供することを目的とする。また本発明は、当該保護板を備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、合成樹脂から構成され、可撓性を有する透明基板と、前記透明基板の一方の側に設けられたタッチパネルセンサ層と、前記タッチパネルセンサ層の一方の側に設けられた複数のスペーサーと、を備えたことを特徴とする保護板である。
【0009】
本発明による保護板において、前記スペーサーは、前記透明基板の法線方向に沿って外方に延び、感光性樹脂を含むフォトスペーサーからなっていてもよい。
【0010】
本発明による保護板において、前記タッチパネルセンサ層は、所定の配列ピッチで並べられた複数の透明導電パターンを有し、各フォトスペーサーは、前記タッチパネルセンサ層の前記配列ピッチに対応するよう前記タッチパネルセンサ層の一方の側に均一に配置されていてもよい。
【0011】
本発明による保護板は、前記タッチパネルセンサ層の一方の側に設けられ、透明性を有する接着層を備えていてもよい。この場合、前記スペーサーは、前記接着層に含有されたビーズスペーサーからなっていてもよい。
【0012】
本発明は、映像を表示するための光を観察者側に放射する表示部と、前記表示部に対して観察者側に配置された保護板と、を備え、前記保護板は、上記記載の保護板からなることを特徴とする表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保護板は、合成樹脂から構成され、可撓性を有する透明基板と、透明基板の一方の側に設けられたタッチパネルセンサ層と、タッチパネルセンサ層の一方の側に設けられた複数のスペーサーと、を備えている。このため、透明基板が他方の側から接触され押圧される場合に、スペーサーによって透明基板を一方の側から支持することができる。これによって、透明基板が広範囲にわたってたわんでしまうことを防ぐことができ、このことにより、タッチパネルセンサ層の良好な電気的特性や、透明基板の良好な意匠性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における表示装置を示す縦断面図。
【図2A】図2Aは、図1に示す保護板のタッチパネルセンサ層を示す平面図。
【図2B】図2Bは、スペーサーの配置の変形例を示す図。
【図3】図3(a)〜(f)は、本発明の第1の実施の形態において、保護板および表示装置の製造方法を示す図。
【図4】図4は、比較の形態における表示装置を示す縦断面図。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例における表示装置を示す縦断面図。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例における表示装置を示す平面図。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例における表示装置を示す縦断面図。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態における表示装置を示す縦断面図。
【図9】図9(a)〜(e)は、本発明の第2の実施の形態において、保護板および表示装置の製造方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の実施の形態
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。まず図1により、本実施の形態における表示装置60および保護板10全体について説明する。
【0016】
表示装置
図1は、表示装置60を示す縦断面図である。図1に示すように、表示装置60は、LCD、PDP、有機ELなどの表示部20と、表示部20に対して観察者側に配置された保護板10と、を備えている。
【0017】
保護板
次に保護板10について詳細に説明する。保護板10は、表示部20を保護するために設けられるものである。この保護板10は、図1に示すように、透明基板11と、透明基板11の一方の側(表示部20側)に設けられたタッチパネルセンサ層50と、タッチパネルセンサ層50の一方の側(表示部20側)に設けられた複数のスペーサー30と、を備えている。
【0018】
(透明基板)
透明基板11の材料としては、表示部20からの光を外部に取り出すことができるとともに、可撓性を有する材料が用いられ、例えば合成樹脂(プラスチック)が用いられる。合成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネートやPETなどの可撓性及び透明性を有する樹脂が用いられる。また、アクリル樹脂とポリカーボネートとを組み合わせることによって透明基板11が構成されてもよい。例えば、ポリカーボネートからなる基板をアクリル樹脂からなる基板によって挟むことにより透明基板11が構成されていてもよい。また、透明基板11の表面には、擦り傷を防止するためのハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層は、例えば、アクリル系の多価モノマーと、モノマー間の重合反応を開始させるための重合開始剤とを含んでいる。
【0019】
透明基板11の厚みは、表示部20からの光を外部に適切に取り出すとともに、表示部20を適切に保護することができるよう、用いられる合成樹脂の透過率や強度に応じて設定される。例えば、透明基板11の厚みは0.4mm〜1.1mmの範囲内となっている。
【0020】
(タッチパネルセンサ層)
次にタッチパネルセンサ層50について説明する。タッチパネルセンサ層50は、接触位置を検出するための導電パターンなどを含む層である。タッチパネルセンサ層50のタイプが特に限られることはなく、様々なタイプのタッチパネルセンサ層50が適宜用いられ得る。ここでは、タッチパネルセンサ層50が、人体などの被検出体からの静電気に基づいてタッチ箇所を検出する静電容量方式のタッチパネルセンサ層である場合について、図2Aを参照して説明する。図2Aは、透明基板11上に設けられたタッチパネルセンサ層50を示す平面図である。
【0021】
図2Aに示すように、タッチパネルセンサ層50は、透明基板11上に所定のパターンで設けられた複数の第1透明導電パターン51および第2透明導電パターン52を有している。図2Aに示すように、各第1透明導電パターン51は、図2Aにおける横方向に延びており、また第2透明導電パターン52は、横方向に直交する縦方向に延びている。また各第1透明導電パターン51は、図2Aにおいて符号Pによって表される配列ピッチで縦方向に並べられており、また各第2透明導電パターン52は、図2Aにおいて符号Pによって表される配列ピッチで横方向に並べられている。なお図2Aにおいては、配列ピッチPおよびPで並べられた透明導電パターン51および52がそれぞれ3つずつ示されているが、さらに多数の透明導電パターン51および52が設けられていてもよい。
【0022】
各第1透明導電パターン51は、横方向に沿って並べられ、各々が略正方形の形状を有する複数の第1電極単位51aを有しており、各第1電極単位51a間は、第1接続部51bによって接続されている。このような第1透明導電パターン51により、被検出体のタッチ箇所の縦方向における位置が検出される。同様に、各第2透明導電パターン52は、縦方向に沿って並べられ、各々が略正方形の形状を有する複数の第2電極単位52aを有しており、各第2電極単位52a間は、第2接続部52bによって接続されている。このような第2透明導電パターン52により、被検出体のタッチ箇所の横方向における位置が検出される。なお、タッチパネルセンサ50の法線方向から見た場合に第1接続部51bと第2接続部52bとが重なっている部分において第1透明導電パターン51と第2透明導電パターン52との間が電気的に接続されることを防ぐため、第1接続部51bと第2接続部52bとの間に絶縁層(図示せず)が介在されていてもよい。
【0023】
また透明基板11上には、第1透明導電パターン51および第2透明導電パターン52にそれぞれ電気的に接続された第1取出配線53および第2取出配線54と、第1取出配線53および第2取出配線54に接続され、第1透明導電パターン51および第2透明導電パターン52からの信号を外部へ取り出すための端子部55と、が設けられている。
【0024】
次に、タッチパネルセンサ層50の各構成要素の材料について説明する。各第1透明導電パターン51および第2透明導電パターン52は、映像を表示させるための表示領域に配置される。このため各第1透明導電パターン51および第2透明導電パターン52は、導電性および透明性を有する材料、例えばITOなどから構成される。一方、第1取出配線53、第2取出配線54および端子部55は、表示領域の周辺に位置する非表示領域に配置される。このため、第1取出配線53、第2取出配線54および端子部55を構成する材料が透明性を有する必要はない。従って第1取出配線53、第2取出配線54および端子部55は一般に、第1透明導電パターン51および第2透明導電パターン52の材料よりも高い電気伝導率を有する金属材料から構成される。
【0025】
このようなタッチパネルセンサ層50を形成する方法が特に限られることはなく、様々な方法が適宜用いられ得る。例えば、初めに透明基板11上に第1電極単位51a、第1接続部51bおよび第2電極単位52aを形成し、次に第1接続部51b上に絶縁層を形成し、その後、絶縁層上に第2接続部52bを形成し、次に、第1取出配線53、第2取出配線54および端子部55を形成してもよい。若しくは、初めに透明基板11上に第1電極単位51aおよび第1接続部51bを形成し、次に第1接続部51b上に絶縁層を形成し、その後、透明基板11上および絶縁層上に第2電極単位52aおよび第2接続部52bを形成し、次に、第1取出配線53、第2取出配線54および端子部55を形成してもよい。また、各透明導電パターン51,52および各取出配線53,54を保護するオーバーコート層(図示せず)がさらに設けられてもよい。
【0026】
(スペーサー)
次にスペーサー30について説明する。図1に示すように、各スペーサー30は、透明基板11の法線方向に沿って外方に、すなわち表示部20に向かって延びるよう構成されている。このようなスペーサー30を設けることにより、保護板10の透明基板11が他方の側(観察者側)から接触され押圧される場合に、透明基板11を表示部20側から支持することができる。このことにより、透明基板11が広範囲にわたってたわんでしまうことを防ぐことができる。
【0027】
一般に、タッチパネルセンサ層50の各構成要素は、初期状態、すなわち透明基板11にたわみが発生していない状態を想定して設計されている。従って、透明基板11に広範囲にわたるたわみが発生する場合、タッチパネルセンサ層50の電気的な特性が局所的に不安定になり、この結果、位置検出にエラーが発生する可能性がある。例えば、透明基板11が表示部20側に向かって大きくたわむことにより、タッチパネルセンサ層50と表示部20との間の距離が想定よりも小さくなり、この結果、表示部20のノイズがタッチパネルセンサ層50で生成される信号に重畳されることが考えられる。また、保護板10と表示部20との間のエアギャップの量によっては、透明基板11のたわみに起因してニュートンリングなどの干渉縞が発生することも考えられる。
【0028】
これに対して本実施の形態によれば、タッチパネルセンサ層50の表示部20側に複数のスペーサー30が設けられている。このため、保護板10の透明基板11が他方の側(観察者側)から接触され押圧される場合であっても、透明基板11が広範囲にわたって大きくたわんでしまうことを防ぐことができる。このことにより、タッチパネルセンサ層の良好な電気的特性を維持することができ、また、ニュートンリングなどの干渉縞が発生することを防ぐことができる。また、透明基板11の良好な意匠性を維持することもできる。
【0029】
スペーサー30を構成する材料は、透光性を有するとともに、透明基板11を表示部20側から支持することができる程度の強度を有する限りにおいて特に限られることはなく、例えばアクリル樹脂などが用いられる。各スペーサー30の高さ(透明基板11の法線方向における長さ)は、表示装置60の仕様などに応じて適宜設定されるが、例えば25〜175μmの範囲内に設定される。
【0030】
好ましくは、スペーサー30を構成する材料は、感光性を有する樹脂材料をさらに含んでいる。これによって、フォトリソグラフィー法を用いてスペーサー30を形成することができる。すなわち、スペーサー30としてフォトスペーサー30を用いることができる。このようにスペーサー30の形成方法としてフォトリソグラフィー法が用いられる場合、タッチパネルセンサ層50上の所望の位置に精度良くスペーサー30を配置することが可能となる。
【0031】
好ましくは、スペーサー30は、タッチパネルセンサ層50の透明導電パターン51および52の配列ピッチPおよびPに対応するようタッチパネルセンサ層50の表示部20側に均一に配置されている。例えば図2Aに点線で示すように、各スペーサー30は、透明導電パターン51および52の配列ピッチPおよびPの所定倍のピッチで縦方向および横方向に配置されている。図2Aに示す例においては、縦方向および横方向に並べられたスペーサー30の配列ピッチが透明導電パターン51および52の配列ピッチPおよびPよりも大きくなっている。このように配列ピッチPおよびPの所定倍のピッチでスペーサー30を配置することにより、各透明導電パターン51および52とスペーサー30との間の相対的な位置関係を常に一定にすることができる。例えば図2Aに示す例においては、各スペーサー30が第1透明導電パターン51の第1電極単位51aの中心に配置されている。このことにより、スペーサー30を均一に配置するとともに、各透明導電パターン51および52に対してスペーサー30を目立たなくすることができる。なおスペーサー30が配置される位置が電極単位51a,52aの中心に限定されることはなく、タッチパネルセンサ層50と表示部20との間の距離を均一に保つことができる限りにおいて、様々な位置にスペーサー30を配置することができる。また図2Aにおいては、スペーサー30が表示領域にのみ配置される例を示したが、これに限られることはなく、スペーサー30をさらに非表示領域に配置してもよい。
【0032】
タッチパネルセンサ層50上におけるスペーサー30の密度は、想定される使用条件や透明基板11の特性などに応じて適宜定められる。例えば、タッチパネルセンサ層50上の領域1mmにつき少なくとも1個のスペーサー30が存在するよう、スペーサー30の密度が定められている。
【0033】
なお図2Aにおいては、スペーサー30のピッチが透明導電パターン51および52の配列ピッチPおよびPよりも大きくなっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、透明導電パターン51および52の配列ピッチPおよびPが大きい場合、所望のスペーサー30の密度を実現するため、スペーサー30のピッチが透明導電パターン51および52の配列ピッチPおよびPよりも小さくなっていてもよい。そのような変形例を図2Bに示す。また図2Aにおいては、スペーサー30が縦方向および横方向に並べられている例を示したが、これに限られることはなく、スペーサー30を任意の方向に並べることができる。例えば図2Bに示すように、スペーサー30が縦方向および横方向から約45度傾いた方向に沿って並べられていてもよい。
【0034】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、保護板10および表示装置60の製造方法について説明する。
【0035】
保護板の製造方法
はじめに図3(a)に示すように、透明基板11を準備する。次に、透明基板11の一方の側にタッチパネルセンサ層50を形成する(タッチパネルセンサ層形成工程)。タッチパネルセンサ層50の各構成要素を形成する方法が特に限られることはなく、フォトリソグラフィー法や印刷法が適宜用いられる。
【0036】
〔感光性樹脂層の形成工程〕
次に図3(c)に示すように、タッチパネルセンサ層50の一方の側に、アクリル樹脂などの透光性を有する材料と、感光性を有する樹脂材料と、を含む感光性樹脂材料からなる感光性樹脂層31を設ける。感光性樹脂層31を設ける方法が特に限られることはなく、例えば、支持フィルム上に感光性樹脂材料が設けられたテープ状のドライフィルムをタッチパネルセンサ層50上に貼付することにより、感光性樹脂層31が設けられてもよい。若しくは、感光性樹脂材料を含む塗工液をダイコート法、スピンコート法またはディップコート法などのウェット法によってタッチパネルセンサ層50上に塗布することにより、感光性樹脂層31が設けられてもよい。
【0037】
〔感光性樹脂層のパターニング工程〕
次に、紫外線などの露光光を感光性樹脂層31に所定パターンで照射する。例えば図3(d)に示すように、露光光を透過させる開口領域18aと、露光光を遮蔽する遮光領域18bとを有する露光マスク18を介して、露光光を感光性樹脂層31に照射する。ここで露光マスク18の開口領域18aおよび遮光領域18bは、感光性樹脂層31のうち後にフォトスペーサー30となるべき領域に存在している遮光性材料31に露光光が照射されるよう構成されている。その後、感光性樹脂層31に対して現像処理を施す。これによって、感光性樹脂層31のうち露光光が照射された部分のみが残り、その結果、図3(e)に示すように、感光性樹脂を含む複数のフォトスペーサー30がタッチパネルセンサ層50上に形成される。このようにして、透明基板11と、透明基板11の表示部20側に設けられたタッチパネルセンサ層50と、タッチパネルセンサ層50の表示部20側に設けられた複数のフォトスペーサー30と、を備えた保護板10が得られる。
【0038】
なお上述のパターニング工程においては、感光性樹脂層31のうち露光光が照射された部分のみが残る例、すなわち、感光性樹脂層31を構成する感光性樹脂材料が、光硬化型の感光性樹脂材料である場合の例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、感光性樹脂層31を構成する感光性樹脂材料として、光溶解型の感光性樹脂材料を用いてもよい。この場合、パターニング工程は、図示はしないが、感光性樹脂層31のうち後にフォトスペーサー30となるべき領域以外の領域に存在している遮光性材料31に露光光が照射されるよう実施される。これによって、感光性樹脂層31のうち露光光が照射されなかった部分のみが残り、その結果、感光性樹脂を含む複数のフォトスペーサー30がタッチパネルセンサ層50上に形成される。
【0039】
表示装置の製造方法
次に、上述のようにして得られた保護板10と表示部20とを組み合わせる。これによって、図3(f)に示すように表示装置60が得られる。
【0040】
このように本実施の形態によれば、タッチパネルセンサ層50の表示部20側に複数のスペーサー30が設けられている。このため、保護板10の透明基板11が観察者側から被検出体によって接触され押圧される場合に、スペーサー30によって透明基板11を表示部20側から支持することができる。これによって、透明基板11が広範囲にわたってたわんでしまうことを防ぐことができ、このことにより、タッチパネルセンサ層50の良好な電気的特性や、透明基板11の良好な意匠性を維持することができる。
【0041】
本実施の形態によれば、上述のようにスペーサー30を設けることにより、保護板10の透明基板11として可撓性を有する合成樹脂を用いることが可能になる。このことにより、保護板10の透明基板11としてガラスなどの硬質な材料が用いられる場合に比べて、透明基板11の取り扱いや製造工程をより容易にすることができる。例えば、透明基板11として強化ガラスが用いられる場合、切断工程や穴あけ工程が困難となり、このため歩留りが低下してしまうことが考えられる。一方、切断工程や穴あけ工程を容易にするために強化ガラスの厚みを低減させてしまうと、得られた保護板の強度が低下してしまう。これに対して、透明基板11として可撓性を有する合成樹脂を用いる場合、加工性が良いため切断工程や穴あけ工程が容易であり、このため歩留りを高めることができる。また合成樹脂は、可撓性を有するためガラスに比べて割れにくい。さらに仮に合成樹脂が割れて飛散するとしても、その程度は小さい。この点においても、取り扱いや製造工程を容易にすることができる。
【0042】
また本実施の形態によれば、スペーサー30は、感光性樹脂を含むフォトスペーサー30からなっている。このため、スペーサー30の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いることができ、このことにより、タッチパネルセンサ層50上の所望の位置に精度良くスペーサー30を配置することが可能となる。この結果、タッチパネルセンサ層50上に均一にスペーサー30を配置することや、タッチパネルセンサ層50のパターンに対して目立たないようにスペーサー30を配置することが可能となる。
【0043】
比較の形態
次に、本実施の形態の効果を、比較の形態と比較して説明する。図4は、比較の形態における表示装置90を示す縦断面図である。
【0044】
図4に示す比較の形態による表示装置90においては、タッチパネルセンサ層50の表示部20側にスペーサーが設けられておらず、その代わりにタッチパネルセンサ層50の表示部20側に接着剤33が設けられている。他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。図4に示す比較の形態において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
比較の形態による保護板80の透明基板11が観察者側から被検出体によって接触され押圧される場合、透明基板11がたわむことを接着剤33によってある程度防ぐことができる。しかしながら、接着剤33の強度や変形のしにくさはスペーサーに比べて小さく、このため、比較の形態においては、上述の本実施の形態に比べて、透明基板11が広範囲にわたってたわんでしまうことが考えられる。このことにより、タッチパネルセンサ層50の電気的な動作が不安定になることや、透明基板11の意匠性が低下することが考えられる。
【0046】
これに対して本実施の形態によれば、保護板10が、タッチパネルセンサ層50の表示部20側に設けられた複数のスペーサー30を備えている。このため、透明基板11を表示部20側からスペーサー30によってより強固に支持することができ、これによって、透明基板11が広範囲にわたってたわんでしまうことを防ぐことができる。
【0047】
(第1の変形例)
なお図1乃至図3に示す上述の第1の実施の形態において、保護板10と表示部20との間にエアギャップが形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図5に示すように、保護板10と表示部20との間の空間のうちスペーサー30が設けられていない空間に接着剤33が充填されていてもよい。これによって、透明基板11を表示部20側からより強固に支持することができる。また、保護板10と表示部20との間のエアギャップを無くすことができ、このことにより、ニュートンリングなどの干渉縞の発生をより確実に防ぐことができる。
【0048】
接着剤33としては、透光性および粘着性を有する材料が適宜用いられ、例えば、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤などが用いられる。このような接着剤33をタッチパネルセンサ層50の表示部20側に設ける方法が特に限られることはなく、様々な方法が用いられ得る。例えば、基材(図示せず)によって支持されたテープ状の接着剤33をタッチパネルセンサ層50に貼付する方法が用いられてもよく、若しくは、接着剤33を含む塗工液をウェット法によってタッチパネルセンサ層50上に塗布する方法が用いられてもよい。
【0049】
(第2の変形例)
また図6および図7に示すように、透明基板11とタッチパネルセンサ層50との間に加飾層12が設けられていてもよい。加飾層12は、図6に示すように表示装置60および保護板10が、映像を表示させるための表示領域Aと、表示領域Aの周辺に位置する非表示領域Aとに区画される場合に、非表示領域Aに設けられるものである。このような加飾層12は、保護板10および表示装置60の意匠性を高めるために設けられる。
【0050】
加飾層12を構成する材料としては、例えば、光を遮蔽することができる遮光性材料が用いられる。遮光性材料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色着色材を含有する樹脂組成物が挙げられる。また遮光性材料は、感光性を有する感光性材料をさらに含んでいてもよい。遮光性材料に含まれる感光性材料としては、例えば、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。
【0051】
また図7に示すように、透明基板11とタッチパネルセンサ層50との間に、加飾層12を覆う保護層40がさらに設けられていてもよい。このような保護層40を設けることにより、図7に示すように、加飾層12を保護するとともに加飾層12に起因する段差を埋めることができる。このような保護層40は、例えばUV硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む透明材料から構成される。
【0052】
なお、上述した本実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【0053】
第2の実施の形態
次に図8および図9を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図8および図9に示す第2の実施の形態は、スペーサーが、タッチパネルセンサ層の表示部側に設けられた接着層に含有されたビーズスペーサーからなる点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図3および図5乃至図7に示す第1の実施の形態およびその変形例と略同一である。図8および図9に示す第2の実施の形態において、図1乃至図3および図5乃至図7に示す第1の実施の形態およびその変形例と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
(スペーサー)
図8に示すように、本実施の形態において、保護板10は、タッチパネルセンサ層50の一方の側(表示部20側)に設けられた接着層37を備えている。この接着層37は、図8に示すように、粘着性を有するバインダー36と、バインダー36内に分散された複数のビーズスペーサー35と、を含んでいる。本実施の形態においては、接着層37に含有された各ビーズスペーサー35が、保護板10の透明基板11を表示部20側から支持するスペーサーとして機能する。
【0055】
ビーズスペーサー35を構成する材料は、透光性を有するとともに、透明基板11を表示部20側から支持することができる程度の強度を有する限りにおいて特に限られることはなく、例えばポリスチレンなどが用いられる。バインダー36を構成する材料は、透光性および粘着性を有する限りにおいて特に限られることはなく、例えば、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤などが用いられる。
【0056】
次に、本実施の形態における保護板10および表示装置60の製造方法の一例について説明する。
【0057】
保護板の製造方法
はじめに図9(a)に示すように透明基板11を準備し、次に図9(b)に示すように、透明基板11の表示部20側にタッチパネルセンサ層50を形成する。その後、図9(c)に示すように、基材38によって支持されたテープ状の接着層37を準備し、次にローラーなどを用いることにより、タッチパネルセンサ層50に対してテープ状の接着層37を矢印Tで示される方向へ相対的に動かしながら、タッチパネルセンサ層50に接着層37を貼付する。ここで、基材38によって支持されたテープ状の接着層37は、粘着性を有するバインダー36と、バインダー36内に分散された複数のビーズスペーサー35と、を含んでいる。その後、接着層37から基材38を剥離する。これによって、図9(d)に示すように、ビーズスペーサー35とバインダー36とを含む接着層37がタッチパネルセンサ層50の一方の側に設けられる。このようにして保護板10が得られる。接着層37の厚みは特には限られないが、例えば25〜175μmの範囲内となっている。その後、保護板10と表示部20とを組み合わせることによって、図9(e)に示すように表示装置60が得られる。
【0058】
なお、保護板10と表示部20とを組み合わせる工程が、保護板10が製造される場所とは異なる場所で実施される場合、保護板10は、接着層37に基材38が取り付けられた状態で出荷されてもよい。
【0059】
このように本実施の形態によれば、タッチパネルセンサ層50の表示部20側に複数のビーズスペーサー35が設けられている。このため、保護板10の透明基板11が観察者側から被検出体によって接触され押圧される場合に、ビーズスペーサー35によって透明基板11を表示部20側から支持することができる。これによって、透明基板11が広範囲にわたってたわんでしまうことを防ぐことができ、このことにより、タッチパネルセンサ層50の良好な電気的特性や、透明基板11の良好な意匠性を維持することができる。
【0060】
また本実施の形態によれば、タッチパネルセンサ層50の表示部20側にさらにバインダー36が設けられている。このため、透明基板11を表示部20側からより強固に支持することができる。また、保護板10と表示部20との間のエアギャップを無くすことができ、このことにより、ニュートンリングなどの干渉縞の発生をより確実に防ぐことができる。
【0061】
なお本実施の形態において、基材38によって支持されたテープ状の接着層37をタッチパネルセンサ層50に貼付することにより接着層37が設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、ビーズスペーサー35およびバインダー36を含む塗工液をウェット法によってタッチパネルセンサ層50上に塗布することにより、接着層37が設けられてもよい。この場合、はじめに、塗工液をタッチパネルセンサ層50上に塗布し、次に、保護板10と表示部20とを組み合わせ、その後、塗工液中のバインダー36が硬化するよう塗工液に対して光を照射することにより、保護板10および表示装置60が形成され得る。なお、ウェット法によって設けられる接着層37の厚みは特には限られないが、例えば5〜50μmの範囲内となっている。
【0062】
また、上述した第1の実施の形態に対するいくつかの変形例は、当然に、本実施の形態においても単独でまたは組み合わせで適用され得る。
【符号の説明】
【0063】
10 保護板
11 透明基板
12 加飾層
18 露光マスク
18a 開口領域
18b 遮光領域
20 表示部
30 スペーサー
31 感光性樹脂層
33 接着剤
35 ビーズスペーサー
36 バインダー
37 接着層
38 基材
50 タッチパネルセンサ層
51 第1透明導電パターン
52 第2透明導電パターン
53 第1取出配線
54 第2取出配線
55 端子部
60 表示装置
表示領域
非表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂から構成され、可撓性を有する透明基板と、
前記透明基板の一方の側に設けられたタッチパネルセンサ層と、
前記タッチパネルセンサ層の一方の側に設けられた複数のスペーサーと、を備えたことを特徴とする保護板。
【請求項2】
前記スペーサーは、前記透明基板の法線方向に沿って外方に延び、感光性樹脂を含むフォトスペーサーからなることを特徴とする請求項1に記載の保護板。
【請求項3】
前記タッチパネルセンサ層は、所定の配列ピッチで並べられた複数の透明導電パターンを有し、
各フォトスペーサーは、前記タッチパネルセンサ層の前記配列ピッチに対応するよう前記タッチパネルセンサ層の一方の側に均一に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の保護板。
【請求項4】
前記タッチパネルセンサ層の一方の側に設けられ、透明性を有する接着層を備え、
前記スペーサーは、前記接着層に含有されたビーズスペーサーからなることを特徴とする請求項1に記載の保護板。
【請求項5】
映像を表示するための光を観察者側に放射する表示部と、
前記表示部に対して観察者側に配置された保護板と、を備え、
前記保護板は、請求項1に記載の保護板からなることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−105453(P2013−105453A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250931(P2011−250931)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】