説明

保護粘着領域を有する歯科用漂白装置

デンタルトレイという形、ストリップ、即ち、パッチという形をした歯科用漂白装置(10)は、障壁層(18)、歯科用漂白組成物(28)、および、人の歯肉を歯の漂白組成物から使用時保護する保護用粘着性組成物(24、26)を含む。障壁層(18)は、漂白用組成物および保護用粘着性組成物(24、26、28)を、使用時、唾液または水分から保護する。歯科用漂白組成物(28)は、漂白装置(10)の使用時、人の歯面に接触するように位置付けられる。保護用粘着性組成物(24、26)は、漂白装置の使用時、人の歯肉を漂白組成物から守るように位置付けられる。歯科用漂白組成物(28)および保護用粘着性組成物(24、26)は、ゲルの形とすることができ、またはそれらは、実質的に固形とすることができる。それらは、好ましくは、親水性重合体を含む組織接着剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の歯を漂白するために使用される歯科用漂白組成物および装置の分野に関する。さらに詳細には、本発明は、歯科用漂白組成物、耐湿性障壁層、および口腔軟組織を漂白組成物から遮蔽する保護粘着領域を含む漂白組成物および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんど全ての人が、白いまたはより白い歯を望む。この目的を達成するために人は、歯に被覆層(veneer)を有し、または、化学的に漂白された歯を有している。一般的な漂白方法は、人の歯にぴったり合うように作られ、従って、着用が快適なデンタルトレイ(dental tray)の使用を伴う。1つのタイプの特注トレイは、人の歯のストーンキャスト(stone cast)から製造される。他のものは、人の歯を鋳型として使用して直接的に、特別に製造される(たとえば、「ボイルアンドバイトトレイ(boil−and−bite)tray」)。様々な使用者の歯列弓の形状およびサイズに近似する非特注トレイもまた使用されてきた。歯科用漂白組成物が、トレイの中に配置され、そのトレイが所望の期間、人の歯を覆って配置される。
【0003】
他の漂白方法は、漂白組成物を人の歯に直接塗ることを伴う。塗付け漂白の認識されている利点は、それによってデンタルトレイが不要となることである。塗付け漂白の主な欠点は、漂白組成物が人の唾液、および人の口の中でみられる破壊的な力に直接曝されたままとなることである。その結果として、漂白組成物の大部分は、漂白することが望ましい歯の上に留まらない。一部または全ての組成物が、人の唾液中に溶解し、かつ/または隣接する口腔組織に移動して、潜在的に口腔軟組織を刺激する可能性がある。
【0004】
他の歯科用漂白方法は、使用者の歯の表面を覆って可撓性の漂白用ストリップを配置することを伴う。従来の漂白用ストリップは、使用者の歯に面するストリップの面が適度な粘性および比較的低い粘着性を有する歯科用漂白ゲルによって被覆された可撓性の可塑性ストリップを含む。漂白用ストリップを設置するために使用者の歯の前面を覆って漂白用ストリップの一部が配置され、その残部が、歯の咬合縁の回りおよび舌側面の一部に接触させて折り曲げられる。塗付け漂白組成物と同様、この手順ではデンタルトレイの使用が必要とされない。塗付け漂白組成物と異なり、漂白用ストリップは、少なくとも理論的に歯科用漂白ゲルを使用者の口の中に拡散させないよう維持する可塑性の障壁を備える。
【0005】
実際は、使用者の歯に対する漂白用ストリップの粘着性が一般的に乏しいのでその一般的に薄い性質を加味すると、使用者が漂白用ストリップをその適切な位置に推奨される時間維持することは、困難であることが多い。従来の漂白用ストリップは、使用者の口、顎、または舌の最小限の運動によってすら、歯から滑り落ちる傾向がある。実際、使用者は、漂白用ストリップを着用している間、飲食、喫煙、または睡眠をしないことが推奨される。実際は、漂白用ストリップを正しい位置に適切に維持しながら話しまたは笑うことは難しい。
【0006】
使用者が、従来の漂白用ストリップを適切な位置に推奨される時間中、維持することに成功しても、漂白ゲルが人の唾液中に拡散することが多く、使用者の口中の味覚を乏しくする可能性があり、場合によっては口腔および咽喉軟組織に不快感をもたらす。漂白用ゲルは、使用者の口内に拡散する傾向は、使用者の歯を覆う漂白用ストリップの最小限の移動によってすら促進される可能性があり、移動するごとに、使用者の歯に粘着したままであるが可塑性ストリップによって被覆されていない漂白用ゲルが、使用者の口中の唾液に曝される可能性がある。場合によっては、漂白用ストリップは、押しのけられまたは押しつぶされる可能性があるため、使用者はそれを除去し、推奨される漂白時間を完了するために新しい漂白用ストリップに取り替えなければならない。これによって、従来の漂白用ストリップを使用するコストおよび手間が増大する。
【0007】
実用面では、従来の漂白用ストリップの使用が、話す、笑う、その他の表情をする、または飲み込む(これは通常、1日中無意識に生じる)など、使用者の口または舌の運動を伴う最も単純な活動すら非常に妨げとなる。従来の漂白用ストリップの使用は、著しく妨げられる。実際、人の口および舌が最も動きにくいのは、人が眠っている夜間である。残念ながら、従来の漂白用ストリップは、察するに、漂白用ストリップが不注意に押しのけられる際の偶発的な窒息を防ぐために、睡眠中、使用されないことが推奨される。これは、従来の漂白用ストリップが使用者の歯から容易に取り外せる傾向にあることを裏付けるものである。
【0008】
最終的には、漂白の成功への主な障害は、使用者が所定の漂白療法の完了に失敗することである。漂白装置を人の歯を覆って設置することが困難であり、観察可能な成果を達成するために何度も繰返しが必要とされ、または装置の着用が不快である場合、使用者は所定の漂白療法を単にあきらめ、時期尚早に中止する可能性がある。こうして、特定の漂白装置または方法を用いた歯科用漂白が可能ではあるが、漂白装置または方法の不備によって使用者が所望の成果を達成する前に失望する場合、歯科用漂白が行われない可能性が高い。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,376,006号明細書
【特許文献2】米国特許第5,785,527号明細書
【特許文献3】米国特許第5,851,512号明細書
【特許文献4】米国特許第5,858,332号明細書
【特許文献5】米国特許第5,985,249号明細書
【特許文献6】米国特許第6,306,370号明細書
【特許文献7】米国特許第6,309,625号明細書
【特許文献8】米国特許第6,312,671号明細書
【特許文献9】米国特許第6,322,774号明細書
【特許文献10】米国特許第6,368,576号明細書
【特許文献11】米国特許第6,387,353号明細書
【特許文献12】米国特許第6,500,408号明細書
【特許文献13】米国特許第6,503,485号明細書
【特許文献14】米国特許出願第10/446,235号明細書
【特許文献15】米国特許出願第10/446,471号明細書
【特許文献16】米国特許出願第10/646,443号明細書
【特許文献17】米国特許出願第10/637,237号明細書
【特許文献18】米国特許出願第10/646,484号明細書
【特許文献19】米国特許出願第10/646,443号明細書
【特許文献20】米国特許第5,770,182号明細書
【特許文献21】米国特許第5,855,870号明細書
【特許文献22】米国特許第5,851,512号明細書
【特許文献23】米国特許第5,985,249号明細書
【特許文献24】米国特許第6,036,943号明細書
【特許文献25】米国特許第6,485,709号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述を考慮し、使用が単純かつ容易であり、使用者の口腔内への漂白組成物の拡散を低減させるように使用者の歯を覆って確実に所定位置にとどまる改善された漂白装置および方法が現在必要とされている。そのような改善によって、使用者による順守を向上または促進させることが期待されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、人の歯を漂白するために使用される歯科用漂白装置に関し、この装置は、障壁層と、人の歯面に接触するように配置される歯科用漂白組成物と、使用中、人の歯肉を漂白組成物から保護する保護粘着性組成物とを備える。その障壁層は、漂白および保護粘着性組成物を使用中、唾液および水分から保護し、それによって、それらを人の歯および/または周囲の軟組織と接触させて維持し、使用者の口中へのそれらの拡散を防止し、最低限にし、または低減させることを助ける。
【0012】
障壁層は、ポリオレフィン、ポリエステル、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン、その他の重合体、およびそれらの混合物を例として含む、耐湿性の高分子材料製であることが有利である。障壁層は、デンタルトレイ、ストリップ、パッチの形態、またはその他所望の形状とすることができる。障壁層は、漂白組成物および保護粘着性組成物の粘着する性質によって、人の歯の形状とぴったり密着するように薄く、可撓性を有することが有利である。障壁層は、使用前、特定の形状となるよう十分に頑丈にすることができ、代替的に、内部支持体(たとえば実質的に固形である漂白組成物および/または保護粘着組成物の形状)、および/または外部支持体(たとえば、外部支持トレイなど外殻)の形状にのみすることができるように、薄く、かつ可撓性を有するものであってもよい。一実施形態では、その障壁層は、漂白組成物および/または保護粘着性組成物の粘着作用によって、所望の期間中、使用者の歯を覆って所定位置に確実に保持される。
【0013】
歯科用漂白組成物は、ビード、連続的な層、または複数の非連続的な領域、即ち島を含むことができる。歯科用漂白組成物は、流動可能な漂白ゲルの形態とすることができ、または実質的に固形とすることができる。本発明による歯科用漂白装置の製造に使用される流動可能な歯科用漂白組成物は、所望のいかなる粘度および/または粘着度を有することもできるが、漂白ゲルは、好ましくは、漂白組成物および障壁層の両方を漂白される人の歯面に接触させて確実に維持することを助ける高粘度の接着剤または粘着剤として作用するように、粘性および粘着性を有する。「実質的に固形である」漂白組成物の一例は、最初から固形であり、または使用前、高粘度のパテの粘稠度を有するものである。特に実質的に固形である、歯科用漂白組成物は、使用時、唾液または水で加湿される場合、歯に対する粘着性がより高くなるように配合することができるものである。
【0014】
本発明による歯科用漂白組成物は一般に、歯科用漂白剤、組織接着剤、液体またはゲルの溶剤または担体、およびその他所望の活性剤、不活性成分、または補助剤を含む。歯科用漂白組成物がゲル形態であるか実質的に固形であるかは、主に組織接着剤、および溶剤または担体の相対的な濃度によって決まる。組織接着剤に対する溶剤または担体の比率を増大させることによって、一般に組成物の粘度が低下し、一方、組織接着剤に対する溶剤または担体の比率を低減させることによって、より高い粘度を有する漂白組成物が得られる。溶剤または担体の濃度を低減させることによって、ある時点で「実質的に固形」であるとみなされるほど、粘度の高い組成物が得られる。一実施形態では、まず、相当量の溶剤を有する漂白ゲルを形成し、次いで、溶剤の一部または全てを蒸発によって除去し、実質的に固形である組成物を得ることによって、実質的に固形である漂白組成物が製造される。蒸発による溶剤の除去後、水または溶剤がいくらか残存していてもよい。
【0015】
本発明による保護粘着性組成物は、ゲルまたは実質的に固形である組成物を含むことができる。それらは、ビード、連続的な層、または複数の非連続的な領域、即ち島を含むことができる。保護粘着性組成物は、歯科用漂白組成物よりも高粘度または低粘度となるように配合することができる。歯科用漂白組成物と同様、これをゲルとすることができ、またはこれを実質的に固形(たとえば真の固形、または高粘度のパテ)とすることができる。一実施形態では、これは、唾液または水で加湿される場合、歯および口腔軟組織に対する粘着性がますます高まる。保護粘着性組成物は、1つ以上の所望の活性剤、不活性成分、および補助剤を含んでもよい。
【0016】
保護粘着性組成物を歯科用漂白組成物から区別する主な特徴は、それが歯科用漂白剤を含まないか、または漂白組成物に比べて量が低減された漂白剤を含む点にある。漂白剤を含まない、または量が低減された漂白剤を含むことによって、歯科用漂白組成物に比べて軟組織上でより穏やかな保護粘着組成物がもたらされる。これによって、本発明による歯科用漂白装置は、過度に強力になる可能性がある漂白剤の作用から周囲の軟組織を保護しながら、漂白される歯面に接触するいかなる所望の濃度の漂白剤をもたらすことも可能になる。
【0017】
本発明による歯科用漂白装置のサイズまたは形状は、人の上歯列弓または下歯列弓に、より容易に嵌まるように調整可能とされる。それらはまた、異なるサイズまたは形状の歯列弓を有する人に嵌まるように調整可能とされる。一実施形態では、歯科用漂白装置は、漂白される歯の前面および舌側表面を実質的に覆うように設計される。両面を漂白することは、より美的に魅力的な歯をもたらし、隣接する歯の間の隣接空間の漂白を助ける。歯科用漂白装置は、様々な異なる歯および歯列弓と容易に共形となるように、可撓性および粘着性を有することが有利である。
【0018】
一実施形態では、本発明による歯科用漂白装置は、前方側壁、後方側壁、ならびに前方および後方側壁の間にある通路を有するデンタルトレイの形状である。これによって、漂白装置と人の歯の間の良好な嵌合いを得るために必要な操作量を最低限にすることにより、人の歯に歯科用漂白組成物または装置を装着することが容易になる。他の実施形態では、歯科用漂白装置は、使用前に実質的に平坦なストリップ即ち、パッチの形状である。それらの初期形状とは無関係に、本発明の歯科用漂白組成物および装置は、従来の漂白用ストリップに比べて、人の歯を覆って定位置に確実により維持されるように設計される。その結果、歯科用漂白がより効果的になり、患者の順守がより良好になる。
【0019】
本発明による歯科用漂白組成物および装置は、所望のいかなる期間でも装着されるように設計することもできる。一般に、漂白組成物中の歯科用漂白剤の濃度を上昇させることによって、歯科用漂白の実施に必要とされる時間が短縮される。それにもかかわらず、本発明の歯科用漂白装置と人の歯との間の嵌合いが快適であり、粘着が確実であるので、一様で徹底的な漂白を保証するためにそのような装置を長期間装着することができる。本発明による歯科用漂白装置は、話し、眠り、食べ、飲み、眉をひそめ、顔をしかめ、あくびをし、咳をし、喫煙し、または基本的にあらゆる表情をし、または口をゆがませながら装着されるように設計することができる。これにより、歯に確実に接着しない従来の漂白用ストリップ、または大きく嵩張る漂白用歯科用器具など邪魔になる漂白装置に比べて装置の日常活動への支障が非常に軽減される。
【0020】
歯科用漂白装置は、数分間ほどの短期間、または数時間ほどの長期間着用されるように設計することができる。限定ではなく一例として、早期の漂白治療は、約10から約30分まで続く。中期の漂白治療は、約30分から約2時間まで続く。専門的な漂白、または人の睡眠中の終夜の漂白を含めて、長期の漂白治療は、約2時間から約12時間まで続く。本発明による漂白治療は、所望の程度のホワイトニングを得るための必要に応じて、何度でも繰り返すことができる。いくつかの例では、わずか1〜3回のホワイトニングセッション後、臨床的なホワイトニング効果が認められている。典型的な漂白療法は、好ましくは、1〜20回の漂白治療、より好ましくは、2〜15回の漂白治療、最も好ましくは、3〜10回の漂白治療を含むであろう。
【0021】
使用の便宜上、多数の歯科用漂白装置が、キットとしてまとめて包装し販売されてもよい。一実施形態では、各キットに設けられる歯科用漂白装置の数は、所定の漂白療法に相当する治療の回数と等しくすることができる。キット包装内の空間を効率的に利用するために、複数の歯科用漂白装置は、包装容器内で、積み重ねられ、入れ子式に、またはまとめて置かれ得る。歯科用漂白装置は、所望のとおり、まとめてまたは個別に封止可能とされる。それらは、いずれもいくつかの漂白剤の分解を生じる可能性がある汚染または水分から漂白組成物を保護するための取外し可能な保護層をその内面上に含み得る。
【0022】
本発明のこれらおよびその他の利点および特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになり、または以下に示すような本発明の実施によって学び得る。
【0023】
本発明の上述およびその他の利点および特徴をさらに明らかにするために、本発明のより詳細な説明を、添付の図面に示すその特定の実施形態を参照することによって行う。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態を示すに過ぎず、したがって本発明の範囲を限定しているとみなされるべきではないことを理解されたい。本発明は、添付の図面の使用により、さらに特定的かつ詳細に記載されおよび説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
I.導入および定義
本発明は、人の歯を漂白するために使用される改善された歯科用漂白装置に関する。本発明の歯科用漂白装置は、耐湿性障壁層、人の歯面に接触するように配置された歯科用漂白組成物、および使用中、漂白組成物から人の歯肉を保護するように配置された保護粘着性組成物を含む。その障壁層は、漂白組成物および保護粘着性組成物を使用中、人の口中の唾液または水分から保護し、それによって、それらを人の歯および/または周囲の軟組織と接触させて維持し、それらが使用者の口腔内へと拡散することを妨げまたは最小限にすることを助ける。
【0025】
本発明の漂白装置は、従来の歯科用漂白用ストリップよりも歯への粘着性がより高く、また、嵩張る、店頭販売の、非特注の、またはボイルアンドバイトのデンタルトレイより邪魔にならない。場合によってはそれらは、歯科用漂白組成物を人の歯に接触させて維持することにおいて、信頼性が特注デンタルトレイと同様にまたはより一層高くなり得る。人によっては、それらは、特注トレイと少なくとも同様に快適となり得る。
【0026】
本明細書で使用する「障壁層」という用語は、歯科用漂白装置を人の歯を覆って配置したとき、人の口中に見られる周囲の水分および唾液から漂白組成物および保護粘着性組成物を保護する1つ以上の物質層を指す。また、その障壁層は、保護および粘着性組成物を保管中および使用前、水分および汚染物質から保護する働きをすることもできる。その障壁層は、これらに限定されないが、デンタルトレイ、トレイのような形状、ストリップ、即ち、パッチを含めていかなる所望の形態とすることもできる。「ストリップ」および「パッチ」という用語は基本的に同義であり、人の歯を覆って漂白装置を配置する前は基本的に平坦即ちはっきりした形のない障壁層および漂白装置を指す。
【0027】
「ゲル」という用語は、重力によって(すなわち降伏応力なしで)流動可能に配合または処理された、あるいは重力によっては流動しないがそれらを形状付けしまたは操作することができる(たとえば、それらをシリンジ孔または当技術分野で知られたその他の分配手段から圧出させることができる)ように粘性および可塑性を有する漂白組成物および/または粘着性組成物を指す。本発明による漂白ゲルおよび保護粘着ゲルは、好ましくは、重力のみではデンタルトレイ、トレイ様装置またはその他の障壁層から漏れずまたは流出しないほど十分に濃厚でありまたは粘性を有するけれど、「ゲル」という用語は、粘度が大きく変わる広範囲の組成物を広く包含する。一実施形態では、漂白ゲルおよび/または粘着ゲルは、弾性を有し、または高度に粘性を有するものでもよい。実質的に固形(たとえば剛性または高粘度であるパテ)である組成物が得られるほどに粘度が大きくなるある時点で、その組成物は、「実質的に固形」であると考えられ得る。
【0028】
本明細書で使用する「実質的に固形」という用語は、固体または半固体状態である、漂白組成物あるいは保護粘着性組成物、即ち領域を示す。一形態では、「実質的に固形」である組成物、即ち、領域は、重力を受けたときに容易に流動または分離しない凝集性の塊として特徴付けられ、シリンジ出口、あるいはその他同様のサイズの開口または孔部から容易に圧出させることができない。従って、「実質的に固形」という用語は、流動しやすい粘着液体、粘性の粘着液体、ならびに、重力を受けたときに流動することができ、かつ/またはシリンジ出口またはその他同様のサイズの開口または孔部から容易に圧出させることができるさらに濃い粘着ゲルを除外する。「実質的に固形」という用語は、漂白組成物または保護粘着性組成物の文脈で使用される場合、乾燥粒子および粉体は、重力を受けたとき容易に流動し、容易に分離される(すなわち、粒子は、全体としては内部凝集性をほとんどまたは全くもたない)ので乾燥粒子組成物または粉体も除外する。さらに、粉体または粒子は、全体としてみると互いに密着しておらず、即ち、固形でもない。
【0029】
一実施形態では、「実質的に固形」である組成物、即ち、領域は、唾液または水で加湿されると、より粘着性が高くなる。加湿される場合、実質的に固形である組成物即ち、領域の表面は、加湿されていなかった実質的に固形である組成物即ち、領域よりも強力に歯に粘着することができる、粘着性材料に変わる。実質的に固形である組成物は、「実質的に固形」の組成物即ち、領域の表面に加えられる水分の量に応じて、少なくとも表面上を少なくとも一時的に、粘性の液体、ペースト、またはゲルとすることができる。加湿された表面の粘稠度は、初期の加湿の程度に応じて「実質的に固形」のままであり、または、初期量の表面水分が時間を経て「実質的に固形」の組成物、即ち、領域の残部に拡散するとき(例えば、組成物が耐湿性障壁層によって、人の口中の唾液および周囲の水分から保護されている漂白手順中に)、それを剛性化し、「実質的に固形」に戻すことすら可能である。
【0030】
本明細書で使用する「デンタルトレイ」という用語は、人の歯列弓の少なくとも一部を覆って装置を配置することを容易にするためのトレイのような形状を有する漂白装置を指す。「デンタルトレイ」または「トレイのような」装置は、使用時、人の歯の前面に係合するように構成された前方側壁と、1つ以上の異なる角度で急激にまたは、湾曲した移行位置によって急激にではなく前方側壁から横方向に延び、人の歯の舌側面に係合するように構成された後方側壁と、前記前方および後方側壁の間の通路とを含む。「デンタルトレイ」は、前方側壁、後方側壁、またはその移行部分(たとえば底部壁)の一部が、使用時、人の歯の切歯即ち咬合縁に係合するように構成され得る。デンタルトレイは、縦寸法が湾曲していても直線的でもよい。
【0031】
本明細書で使用する「通路」という用語は、前方側壁、後方側壁、ならびに前方側壁の上縁部および後方側壁の上縁部から延びる平面または想像上の湾曲したドームによって、少なくとも部分的に仕切られた領域を指す。したがって、「通路」は理論的には、前方側壁および後方側壁が相互間に空間を有し、180°未満の角度で横方向にずれる場合、いつでも存在する。実際は、前方および後方側壁は、好ましくは、約150°未満、より好ましくは、120°未満、最も好ましくは、90°未満の角度でずれる。
【0032】
前方側壁および後方側壁が移行部分(たとえばU字形または矩形断面を有する通路)によって結合される場合、前方側壁および後方側壁の少なくとも一部が、実質的に平行であり(すなわち、約0°の角度ずれる)、または非常に小さい角度でずらされてもよい。V字形または台形断面を有する通路の場合、前方側壁および後方側壁の少なくとも一部は、鋭角に(すなわち、0〜90°の角度に)ずらすことができる。L字形断面を有する通路の場合、前方および後方側壁の少なくとも一部を、約90°を中心とした角度に(たとえば、約70°から約110°の範囲の角度に)ずらすことができる。すなわち、L字形断面を有する通路は、V字形断面を有する通路の一部、即ち、わずかな変形例とすることができる。
【0033】
デンタルトレイ、即ち、治療装置について言及する場合、本明細書で使用する「縦」、「縦寸法」、および「縦断面」という用語は、トレイまたは装置の長手方向の寸法を指す。トレイまたは装置は、「縦寸法」で直線状とすることができ、代替的に、人の歯列弓の曲率に近似し、または歯列弓を覆うトレイまたは装置の配置を少なくとも容易にするように、縦寸法で馬蹄形状にし、または別のやり方で「縦方向に湾曲」させることができる。
【0034】
「ストリップ」または「パッチ」という用語は、区別なく使用され、この用語が当技術分野で理解されているように、実質的に平坦な、あるいは、わずかな曲率または曲げを有するけれど、「デンタルトレイ」を構成しない、いかなる障壁層または漂白装置をも指す。「ストリップ」即ち「パッチ」は、使用時、全体として人の歯の前面および/または後面、および/または歯肉に向かって向けられる内面即ち領域と、使用時、全体として人の歯および/または歯肉から背けて向けられる外面とを含む。「ストリップ」即ち「パッチ」は、内面の一部が、使用時、人の歯の切歯または咬合縁の方へと向けられるように構成され得る。そのストリップ即ちパッチは、所望のやり方で使用者の歯および/または歯肉を覆って装着するために長さ方向および幅方向の一方または両方を湾曲させ、または直線状にすることができる。
【0035】
本明細書で使用する「分子量」という用語は、別に指定されなければ、ダルトンで表される数平均分子量を指す。
【0036】
II.歯科用漂白装置
本発明による歯科用漂白装置は、使用時、歯科用漂白組成物および保護粘着性組成物を人の口中の周囲の水分から保護する障壁層を含む。一実施形態では、歯科用漂白組成物は、漂白される歯の表面の片面または両面に接触するように障壁層に隣接して配置され、保護粘着性組成物は、人の歯肉を漂白組成物から守る障壁即ち領域を形成するように漂白トレイまたはストリップの周縁または縁部に最も近い障壁層に隣接して配置される。漂白組成物および保護組成物の一方または両方は、ゲル形態代替的に、実質的に固形とすることができる。以下は、本発明による障壁層、漂白組成物、および保護粘着性組成物における好ましい実施例、ならびに、それらから製造される漂白装置の特徴である。
【0037】
A.障壁層
その障壁層は、いかなる所望の形状または厚さを有することもできる。それは、漂白および保護粘着性組成物を人の口中に見られる周囲水分から保護するために好ましくは、耐湿性である。一実施形態によれば、障壁層は、耐湿性高分子材料製の薄い可撓性膜を含む。障壁層は、特注のまたは特注でないデンタルトレイを含む例、従来のデンタルトレイを含むことができ、あるいは、最初、ストリップ即ち、パッチとすることができ、またはその他の構成を有するものでもよい。
【0038】
障壁層の形成に使用することができる物質の一例は、これらに限定されないが、ポリオレフィン、蝋、金属箔、パラフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、またはポリエステルアミドを含む。障壁層の製造に使用することができる適当なポリオレフィンの例は、これらに限定されないが、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、ポリプロピレン(PP)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(たとえばTEFLON)を含む。障壁層の製造に使用するために適したポリエステルの一例は、これに限定されないが、テレフタル酸ポリエチレン(PET)を含む。デュポン社によって販売されるMYLARはその例である。適当なポリウレタン障壁材料の一例は、マサチューセッツ州グリーンフィールドのアルゴテック社によって製造されるポリウレタンフィルムである。障壁層は、上述材料を2つ以上含む物質からなる重合体混合物および/または多重層を含むことができる。障壁層を形成するために使用される上述のいずれかの重合体の特性を修飾するために当技術分野で知られた可塑剤、流動添加剤、および充填剤を、所望のとおりに使用することができる。
【0039】
一実施形態によれば、障壁層は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)およびポリプロピレン(PP)の混合物から形成され、好ましくは約5%から約35%までのPP、好ましくは、約10%から約30%までのPP、特により好ましくは約15%から約25%までのPP、かつ最も好ましくは、約20%のPPを含み、残余が、エチレン酢酸ビニル(EVA)ならびにその他の重合体および/または可塑剤など少量の添加剤を任意で含む。
【0040】
障壁層として作用することができるその他の物質は、セルロースエステル、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、セラック(shellac)、および化学または光硬化材料(例えば、メタクリル酸またはアクリル酸樹脂)を含む。障壁層の形成に使用することができる有用なセルロースエステルの例は、これらに限定されないが、エチルセルロース、プロピルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロース、t−ブチルセルロースなどを含む。
【0041】
概ね、障壁層の厚さは、所望のレベルの強度、剛度、弾性、および可撓性を有する歯科用漂白装置がもたらされるように選択され得る。漂白組成物および/または保護粘着性組成物による粘着作用の結果として、障壁層を人の歯とぴったり密着するように十分に可撓性とするために障壁層は、好ましくは、約0.025mmから約1.5mmまでの範囲、より好ましくは、約0.05mmから約1mmまでの範囲、最も好ましくは、約0.1mmから約0.75mmまでの範囲の厚さを有する。
【0042】
B.歯科用漂白組成物
本発明による漂白装置内の漂白組成物は、当技術分野で知られたいかなる漂白組成物を含むこともできる。それらは、ゲル(粘着性または非粘着性)を含むことができ、代替的に、それらは実質的に固形とすることができる。好ましい漂白ゲルは、使用時、保護粘着性組成物が漂白装置を人の歯に接触させて保持するのを助けるために実質的に粘性および粘着性を有するものである。実質的に固形である好ましい漂白組成物は、水または唾液によって加湿されるとき、歯に対する粘着性がますます高くなる。漂白組成物は、人の歯の前面、歯の後面または両方を覆うように配置される、連続的な層即ち、ビードを含むことができ、代替的に別々のビード、層、即ち島(island)を含むことができる。それらを、障壁層に直接隣接させて配置することができ、または、漂白組成物の少なくとも一部を、保護粘着性組成物に隣接させて配置することができる。
【0043】
一般に、歯科用漂白ゲルは、少なくとも1つの歯科用漂白剤、少なくとも1つの組織接着(または増粘)剤、ならびに、その中に歯科用漂白剤および組織接着剤を分散させることができる液体もしくはゲル、溶剤、担体、またはビヒクルを含む。漂白ゲルは、任意でその他の活性剤(たとえば鈍麻剤、再石化剤、抗菌剤など)、ならびに不活性成分(たとえば、可塑剤、湿潤剤、中和剤、増粘剤、香味剤、甘味料など)を含むことができる。
【0044】
「漂白ゲル」である、または「実質的に固形」である漂白組成物の主な違いは、組成物中の溶剤または担体の量である。一般に、組織接着剤に対する溶剤または担体の濃度が高いほど、ゲルの粘性が低い。組織接着剤に対する溶剤または担体の濃度が低いほど、ゲルの粘性が高い。ある時点で、組織接着剤に対する溶剤または担体の比率は、組成物が「実質的に固形」であるとして特徴付けられ得る堅く即ち高粘度のパテであり、または堅く即ち高粘度のパテとなるように、十分に低くなる。堅いパテは、好ましくは、水または唾液で加湿される場合、歯への粘着性がますます高まる。実質的に固形である漂白組成物は、触ると乾燥していると感じるほど非常にわずかな溶剤または担体を有することができ、初めは非粘着性であるが、水または唾液で加湿される場合、歯に対して粘着性を有することができる。実質的に固形である漂白組成物は、最初に非常に少量の溶剤または担体を含むことによって、および/または、溶剤もしくは担体のかなりの部分を除去するために後に乾燥される漂白ゲルをまず形成することによって、製造することができる。
【0045】
例示的な歯科用漂白ゲル、ならびに、本発明による漂白組成物および装置の製造に使用されるそのようなゲルを製造方法が、たとえば、特許文献1〜13に開示されている。歯科用漂白ゲル、およびそのようなゲルの製造方法を開示するために、上述特許は、本明細書の一部を構成する。上述特許で開示される漂白ゲルは、溶剤または担体の量をかなり減少させることによって、実質的に固形である漂白組成物に変換される。
【0046】
実質的に固形である歯科用漂白組成物、およびそのような組成物の製造方法の一例が、2003年5月27日出願の特許文献14、2003年5月27日出願の特許文献15、および、2003年8月22日出願の特許文献16に開示されている。実質的に固形である歯科用漂白組成物、およびそのような組成物の製造方法を開示するために、上述米国特許出願は、本明細書の一部を構成する。
【0047】
実質的に固形である粘着性組成物が得られるように水またはその他の溶剤を除去するために漂白ゲルを加熱することによって、漂白剤が不安定化され、効果が低下する可能性がある。したがって、蒸発によって溶剤を除去するとき、歯科用漂白剤の効果および安定性を維持することを助ける1つ以上の漂白剤安定化剤を含むことが望ましい場合がある。
【0048】
以下は、本発明による歯科用漂白装置の製造に使用される好ましい漂白組成物中における好ましい漂白剤、組織接着剤、溶剤もしくは担体、およびその他の成分である。
【0049】
1.漂白剤
歯を漂白することができるいかなる漂白剤を使用することもできる。歯の漂白で知られ、口腔使用に安全なことが見出されている一般的な歯科用漂白剤は、過酸化水素である。ただし、過酸化水素自体は、そのまま自然状態では存在せず、水溶液または錯体として存在する。過酸化水素水は、無水漂白組成物が望ましくない範囲内で許容可能な歯科用漂白剤である。過酸化水素錯体の非限定的な例は、過酸化尿素および過ホウ酸金属塩(たとえば過ホウ酸ナトリウム)を含む。歯の漂白に使用することができるその他の漂白剤は、これらに限定されないが、過炭酸金属塩(たとえば過炭酸ナトリウム)、過酸化金属塩(たとえば過酸化カルシウム)、亜塩素酸および次亜塩素酸金属塩、ペルオキシ酸(たとえばペルオキシ酢酸)、ペルオキシ酸塩を含む。
【0050】
本発明による歯科用漂白組成物中の漂白剤は、たとえば歯科用漂白組成物の重量の1〜90%までの間におけるいかなる所望の濃度とすることもできる。歯科用漂白剤の濃度は、各漂白治療の意図された処置時間に応じて調整することができる。一般に、処置時間が短いほど、短い時間内で漂白が実施されるよう歯科用漂白を促進するために漂白剤がより多く加えられる。1つ以上の漂白剤は、好ましくは、歯科用漂白組成物の約1重量%から約60重量%までの範囲、より好ましくは、約5重量%から約40重量%までの範囲、最も好ましくは、約10重量%から約30重量%までの範囲の量で含まれる。
【0051】
2.組織接着剤
歯科用漂白組成物の粘度を増大させる増粘剤として作用することもできる、有用な組織接着材(または粘着付与剤)は、広く様々な親水性重合体を含む。親水性重合体の組織接着剤の例は、これらに限定されないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVP−酢酸ビニル共重合体、カルボキシポリメチレン(たとえば、Novean,inc社販売のCARBOPOL)、ポリエチレンオキシド(たとえば、Union Carbide社製のPOLYOX)ポリアクリル酸重合体または共重合体(たとえば、Novean,Inc社販売のPEMULEN)、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびポリアクリルアミドの共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、セルロースエステル、多糖類樹脂、タンパク質などを含む。
【0052】
本発明による歯科用漂白組成物の配合に使用されてきたポリビニルピロリドン重合体の非限定的な一例は、Kollidon 30(BASF社販売)、分子量50,000を有するポリビニルピロリドン重合体、Kollidon VA 60、分子量60,000を有するポリビニルピロリドン重合体、およびKollidon 90F、分子量130万を有するポリビニルピロリドン重合体を含む。
【0053】
歯科用漂白組成物がゲルである場合、1つ以上の組織接着剤は、好ましくは、歯科用漂白ゲルの約1重量%から約50%までの範囲、より好ましくは、約3重量%から約30重量%までの範囲、および、最も好ましくは、約5%から約20%までの範囲の量で含まれる。
【0054】
歯科用漂白組成物が実質的に固形である場合、1つ以上の組織接着材は、好ましくは、実質的に固形である歯科用漂白ゲルの約10重量%から約90%までの範囲、より好ましくは、約20重量%から約80重量%までの範囲、および最も好ましくは、約40%から約75%までの範囲の量で含まれる。
【0055】
3.担体およびビヒクル
本発明による歯科用漂白装置の製造に使用するための歯科用漂白ゲルは通常、歯科用漂白剤、組織接着剤、およびその他の成分がその中に溶解または分散される1つ以上の液体もしくはゲル、溶剤、担体、またはビヒクルを含む。溶剤、担体またはビヒクルは、通常、漂白剤、組織接着剤、およびその他の成分に加えて、歯科用漂白ゲル中における成分残余を含む。
【0056】
液体もしくはゲルの溶剤、担体、またはビヒクルの一例は、これらに限定されないが、水、アルコール、(例えば、エチルアルコール)、および多価アルコール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、その他の糖アルコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、およびポリプロピレングリコール)などを含む。
【0057】
実質的に固形である漂白組成物の場合、溶剤、担体、またはビヒクルの濃度は、通常、漂白ゲルに比べて希釈される。後に実質的に固形である漂白組成物へと変換される漂白ゲルを形成することが望ましい場合、蒸発によって除去することができる1つ以上の揮発性溶剤(たとえば、水、アルコール、アセトン、およびその他の有機溶剤)を含むことが有利なことがある。親水性重合体は、水への親和性を有するので固形にみえる漂白組成物でも、かなりの量の結合水(たとえば、漂白組成物の重量の最大約10%以上)を含むことができる。漂白組成物が高粘度または剛性のパテの粘稠度を有する場合、組成物は、一般に、可塑剤もしくは柔軟剤として作用する溶剤、担体、またはビヒクルを含む。
【0058】
4.その他の成分
歯科用漂白組成物は、任意で、所望の特性を有する漂白組成物を得るために望ましいその他の所望の活性または不活性成分を含むことができる。一例として、漂白剤安定化剤(たとえばEDTA、EDTAの塩、クエン酸およびその塩、リン酸およびその塩、フェノールホスホン酸(phenolphosphonic acid)およびその塩、グルコン酸およびその塩、ピロリン酸アルカリ金属塩、ピロリン酸アルカリ金属塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどアルキル硫酸エステル、錫酸ナトリウムなど塩化第1スズ、または酒石酸塩)、中和剤(たとえば、水酸化ナトリウムおよびトリエタノールアミン)、無機増粘剤(たとえばヒュームドシリカ)、鈍麻剤(たとえば硝酸カリウム、その他のカリウム塩、クエン酸、クエン酸塩、およびフッ化ナトリウム)、再石化剤(たとえばフッ化ナトリウム、フッ化スズ、モノフルオロリン酸ナトリウム、およびその他のフッ化物塩)、抗菌剤(たとえばクロルヘキシジン、トロクロサン(troclosan)、およびテトラサイクリン)、抗プラーク剤、抗歯石剤(たとえばピロリン酸塩)その他の医薬品、香味剤、甘味料などが挙げられる。
【0059】
B.保護粘着性組成物
本発明による歯科用漂白装置の製造に使用される保護粘着性組成物は、漂白剤を含有しない、または歯科用漂白組成物よりかなり少量の漂白剤を含有するものとして特徴付けられる。それ以外に、それらは、歯科用漂白組成物に関して上述で示したいかなる成分を含むこともできる。保護粘着性組成物は、使用中、人の歯肉または歯周組織を漂白組成物から守るように漂白組成物に対して相対的に配置され、それによって漂白組成物中の漂白剤を、漂白される人の歯の表面に隣接する領域に閉じ込める。
【0060】
漂白組成物と同様、保護粘着性組成物は、ゲルとすることができ、または、ほぼ固形とすることができる。それは、1つ以上の連続的なビード即ち層とすることができ、代替的に、複数の非連続的な島即ち領域を含むことができる。保護粘着性組成物は、漂白装置の使用時、人の歯肉に最も近い障壁層における1つ以上の周縁または1つ以上の縁部付近の限定された領域に位置付けられ、代替的に、一部が漂白組成物の下に延び得る。代替的に、保護粘着性組成物のビードが、漂白組成物の一部の頂部上に位置付けられ得る。
【0061】
人の歯肉および歯周組織を漂白組成物から守るための保護層として使用可能とされる実質的に固形である粘着性組成物の一例は、2003年8月8日出願の特許文献17、2003年8月22日出願の特許文献18、および2003年8月22日出願の特許文献19に開示されている。実質的に固形である組成物を開示するために、上述出願は、本明細書の一部を構成する。粘着ゲル組成物の一例は、例えば、特許文献20〜24に開示されている(を参照)。粘着ゲル組成物を開示するために、上述特許は、本明細書の一部を構成する。
【0062】
通常、保護粘着性組成物は、少なくとも1つの組織接着剤(または粘着付与)、および、少なくともゲルの場合、および/または実質的に固形である接着組成物の製造時、組織接着剤がその中に分散される、液体もしくはゲルの溶剤、担体、またはビヒクルを含むだろう。組織接着剤は、好ましくは、親水性重合体(例えば、歯科用漂白組成物に関して上述したように1つ以上の親水性重合体)を含む。液体の溶剤、担体、またはビヒクルに対する組織接着剤の相対量は、上述で議論したようなゲルまたは実質的に固形である粘着性組成物のいずれかが得られるように変えることができる。
【0063】
溶剤、担体、またはビヒクルは、漂白組成物に関して上述したいかなる溶剤、担体、ビヒクルを含んでもよい。その量は、ゲルまたは実質的に固形である粘着性組成物のいずれかが得られるように変えることができる。実質的に固形である粘着性組成物が得られるようにかなりの量の溶剤または担体を除去するために、粘着ゲルが、加熱されまたはその他の方法で処理され得る。一実施形態では、ほぼ固形の保護粘着性組成物は、最初は非粘着性でありまたは粘着性が低いが、唾液または水で加湿されると、歯および口腔軟組織に対する粘着性がますます高まる。
【0064】
一実施形態では、保護粘着性組成物は、歯科用漂白組成物中より少ない量の歯科用漂白剤を含んでもよい。そのようにして、漂白組成物ではなく保護粘着性組成物に接触する歯の部分があるとすれば、その部分を依然、歯科用漂白をすることができる。さらに、過酸化漂白剤は、抗菌効果を有することが知られており、したがって、過酸化漂白剤が、歯肉および歯周組織に損傷または火傷を生じない量だけ含まれる場合、そのような組織に対して潜在的に消毒およびフレッシュニング剤として作用する。保護粘着性組成物は、粘着性組成物の重量の約0%から約10%までの範囲、好ましくは、約1%から約10%までの範囲、より好ましくは、約5%から約10%までの範囲の歯科用漂白剤を含むことができる。
【0065】
保護粘着性組成物は、着色剤(例えば、カロチン)、歯肉無痛化剤(例えば、アロエベラ、弱い硝酸カリウム、等張液を形成する塩(例えば、約0.9重量%量の塩化ナトリウム)、および麻酔薬(例えば、ベンゾカイン、リドカインなど)、酸化防止剤(たとえば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、その他のビタミン、クロロフィル、およびカロチン)、香味剤、抗菌剤、および防腐剤(たとえば、安息香酸ナトリウム、パラベン、トリクロサン、フェノール、クロルヘキシジン、および塩化セチルピリジニウム)、マウスフレッシュニング(mouth freshening)剤(たとえば樟脳およびウィンターグリーン)、無機増粘剤(たとえばヒュームドシリカおよびヒュームドアルミナ)、再石化剤(たとえばフッ化ナトリウムまたはその他のフッ化物塩)、漂白剤安定化剤、抗プラーク剤、抗歯石剤、およびその他所望の補助剤などのその他所望の成分を含むことができる。
【0066】
保護粘着性組成物の少なくとも一部は、また、漂白装置が唾液で加湿される場合、放出され、かつ/または人の歯に漂白装置を配置するとき、歯科用漂白組成物と混合される1つ以上の漂白剤活性化剤を含んでもよい。粘着性組成物は、漂白を促進するために歯科用漂白剤を不安定化させることができるいかなる知られた漂白剤を含んでもよい。過酸化物は、不安定化される場合、より急速に酸素ラジカルを放出し、それによって歯科用漂白を生じる。その漂白剤活性化剤は、使用前、実質的に固形である粘着性組成物中に保持されるので有利であるが(例えば、実質的に固形またはゲルマトリックス中に固定される)、それは、漂白および/または粘着性組成物が唾液または水で加湿されるとき、拡散し、浸出し、代替的にその他の方法で漂白組成物と接触し、混合し、または反応する。一実施形態では、使用前、その漂白剤活性化剤が漂白組成物中に拡散または浸出するのを防ぐために漂白組成物は、最初は実質的に無水物であり、および/または、漂白組成物は、最初、保護粘着性組成物に接触しない。
【0067】
一分類の漂白剤活性化剤は、塩基(すなわち、水溶液系中のpHを上昇させる物質)を含む。漂白剤を不安定化させ、それによって漂白を促進することができる有用な塩基の一例は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の重炭酸塩、ならびにアミンを含む。非限定的な一例は、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、第3リン酸ナトリウム、およびエタノールアミンを含む。塩基は、漂白剤活性化剤として使用される場合、好ましくは、粘着性組成物の約0.1重量%から約20重量%までの範囲、より好ましくは、約1重量%から約10重量%までの範囲、最も好ましくは、約7重量%含まれる。
【0068】
他の分類の漂白剤活性化剤は、金属および金属化合物を含む。金属および金属化合物の例は、遷移金属(たとえば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マンガン、クロムなどの、粉体または微粒子)、代替的に金属化合物(たとえば、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マンガン、クロムなどの、ハロゲン化物または硫酸塩)を含む。より具体的な一例は、鉄およびマンガン金属、塩化マンガン、クエン酸マンガン、硫化第1鉄、および硫酸マンガンを含む。
【0069】
漂白剤活性化剤の他の分類は、酵素、特に、鉄などの遷移金属からなる有機金属酵素を含む。1つの例が、Banerjeeらの特許文献25においてさらに詳細に説明されている「カタラーゼ(catalase)」である。
【0070】
金属、金属化合物、および有機金属酵素は、漂白剤活性化剤として使用される場合、好ましくは,粘着性組成物の約0.01重量%から約20重量%までの範囲、より好ましくは、約0.05重量%から約10重量%までの範囲、最も好ましくは、約0.1重量%から約5重量%までの範囲で含まれる。
【0071】
一実施形態では、保護粘着性組成物は、漂白剤活性化剤および漂白剤安定化剤の両方を含む。漂白組成物が保護粘着性組成物に直接接触する場合、保護粘着性組成物および漂白組成物を水または唾液で加湿する前に、漂白剤安定化剤の効果が、支配的である。その後、保護粘着性組成物および/または漂白組成物を水または唾液で加湿するとき、漂白剤活性化剤の効果が、支配的である。水酸化物漂白剤の活性化を含めた多くの化学反応は、閾値活性化必要エネルギーを有する。その漂白剤安定化剤は、保護粘着性組成物または漂白組成物を水または唾液で加湿する前、漂白剤の活性化を防ぎまたは妨害するのに十分であるが、加湿が行われた後の活性化を防がないまたは妨害しない程度に、活性化必要エネルギーを上昇させるように作用する。この正確なバランスは、様々な濃度の漂白剤活性化剤および漂白剤安定化剤を有する保護粘着性組成物を試験することによって、決定および最適化することができる。代替的に、漂白剤活性化剤を、保護粘着性組成物の内側に集中させることができ、かつ/または、漂白剤安定化剤を、保護粘着性組成物の表面に集中させることができる。
【0072】
D.歯科用漂白装置の特徴
一実施形態では、本発明による歯科用漂白装置は、前方側壁、後方側壁、およびその前方および後方側壁相互間の通路を有するデンタルトレイという形である。デンタルトレイという形を有することによって、その装置と人の歯との間の良好な嵌合を得るために必要な操作量を減らすことにより、人の歯を覆って歯科用漂白装置を装着することが容易となる。他の実施形態では、漂白装置は、パッチ即ちストリップという形である。漂白装置が、いかなる所望の形状または構成を有することも、本発明の範囲内に包含される。人が飲食、喫煙、または睡眠している間の使用が推奨されない従来の漂白用ストリップとは対照的に、本発明による歯科用漂白装置は、話し、睡眠し、食べ、飲み、笑い、眉をひそめ、顔をしかめ、あくびし、咳をし、喫煙し、代替的に実質的にいかなる顔の表情または口のゆがみを作りながらも着用することができるように設計することができる。
【0073】
一実施形態によれば、歯科用漂白装置は、従来の漂白用トレイと酷似した馬蹄形状の縦断面、および、U字形断面の通路を有する。デンタルトレイ形の例示的な1つの歯科用漂白装置が、図1および図2Aに示されている。図1は、前方側壁12および後方側壁14を有する歯科用漂白装置10の斜視図であり、前方および後方側壁は、ともに、縦寸法でほぼ馬蹄形状を有し、ほぼU字形の断面を有する通路16を画定する。通路16のU字形断面は、図2Aにおいてより明確に見られる。
【0074】
歯科用漂白装置10は、さらに、前縁20および後縁22を有する障壁層18を含み、好ましくは、耐湿性材料で構成される。第1の保護粘着性組成物、即ちその領域24は、障壁層18の前縁20に隣接して位置付けられ、第2の保護粘着性組成物即ちその領域26は、障壁層18の後縁22に隣接して位置付けられている。歯科用漂白組成物28は、第1および第2の保護粘着性組成物24と保護粘着性組成物26との間に位置付けられる。このようにして、人の歯を覆って漂白装置10が配置される場合、第1の保護粘着性組成物24は、唇側歯肉を漂白組成物28から保護し、第2の保護粘着性組成物26は、舌側歯肉を漂白組成物28から保護する。このようにして、漂白組成物28は、主に、即ちもっぱら漂白される歯における唇側および舌側の歯面に接触するように閉じ込められる。
【0075】
一実施形態では、障壁層における前縁20および後縁22の一方または両方が、歯科用漂白装置10が使用時の場合、歯肉縁のところで、または直前で終端するように設計される。他の実施形態では、障壁層の前縁20、および後縁22の一方または両方が、歯科用漂白装置10が使用中の場合、歯肉縁を越えて延び、かつ、部分的に人の歯肉に重なるように設計される。
【0076】
図2Bは、歯科用漂白装置10’を代替的に示す。装置10’は、障壁層18、第1の保護粘着性組成物24’の複数の領域即ちスポット、第2の保護粘着性組成物26’の複数の領域即ちスポット、および第1の粘着性組成物24’、および第2の粘着性組成物26’相互間にある歯科用漂白組成物28’の複数の領域即ちスポットを含む。保護粘着性組成物24’、26’、および歯科用漂白組成物28’は、いずれも障壁層に隣接して配置される。このようにして、保護粘着性組成物24’、26’と、歯科用漂白組成物28’とは、最初に、使用前には接触せず、それにより、保護粘着性組成物24’、26’における1個以上の領域即ち、スポット内に任意で含まれ得る漂白剤活性化剤と、漂白組成物28’内の漂白剤との使用前の接触を、防ぎ即ち妨害する。
【0077】
本発明による歯科用漂白装置を、保管中または使用前に汚染物質から保護するために、封止された容器即ち包装容器の中に漂白装置を包装することができる。図3に示されるように、本発明による漂白装置10は、剛性の支持層32および剥取り可能なカバー34を含む保護包装30内に封止可能とされる。漂白装置10の使用が望まれる場合、剥取り可能なカバー34が除去され、漂白装置10が、支持層32から取り外され、即ち分離される。
【0078】
一実施形態では、支持層32は、使用前に漂白装置10を、デンタルトレイという形で、またはトレイ形状構成内に保持即ち維持するための外殻として働く定形部分を含む。使用に際しては、最初に、漂白装置が、人の歯の上に位置決めされるように漂白装置10および支持層32の両方が人の口の中に配される。その後、支持層32が取り外され、漂白装置10のみを人の口の中に残す。これによって、障壁層18のさらなる操作は、漂白装置10を人の歯の形状およびふぞろいに、より一致させることが、可能になる。
【0079】
保護用包装容器30に加えて、またはその代わりに、漂白装置は、代替的に、歯科用漂白組成物および保護粘着性組成物に隣接する通路の内部に一時的に配置される取り外し可能な保護層(不図示)を含んでもよい。漂白装置の使用が望まれる場合、漂白組成物および保護粘着性組成物が露出されるようにその取り外し可能な保護層が、取り外される。
【0080】
図4は、図1および図2AのU字形歯科用漂白装置10の変形例である歯科用漂白装置40を示す。主な差異は、歯科用漂白装置40における各長手方向の端部42が、漂白装置40が使用時、人の歯列弓の両側の最後の歯を少なくとも部分的に取り囲むように立ち上がっている点である。
【0081】
図5は、本発明によるL字形断面を有する歯科用漂白装置50の代替的な実施形態を示す。さらに詳細には、歯科用漂白装置50は、前方側壁52と、ほぼL字形断面を有する通路56を形成するように前方側壁52から横方向に延びる後方側壁54とを含む。図5におけるL字形漂白装置50は、図1〜図4のU字型漂白組成物または装置と比べて、最初に人の歯列弓を覆って配置することが、幾分容易である。これは、歯科用漂白装置50の前方側壁52が初めに配され、人の歯の前面に接着される場合、後方側壁54が、人の歯の咬合即ち切縁に対してほぼ平坦な向きであることによる。
一方、L字形漂白装置50のさらなる操作が、前方側壁52と後方側壁54との間の最初のオフセット角がより大きい結果として、後方側壁54を形成し、人の歯の舌側表面に接着するために一般に必要とされる。しかしながら、本発明による歯科用漂白装置における人の歯を覆って配置した直後の歯面への接着能力が、前方側壁52および後方側壁54を人の歯面とぴったり密着させる工程を容易とする。
【0082】
歯科用漂白装置50がL字形断面を有する場合、前方側壁52から横方向に延びる後方側壁54が後方側壁ではなく実は下部壁であるという方がより正しいことがある。それにもかかわらず、L字形漂白装置におけるこのかつての「下部壁」は、使用時、舌側の歯面に対し折り返されるので、L字形通路を有する漂白装置は、V字形通路を有する漂白装置の単なる変形例に過ぎないことを容易に理解することができる。したがって、本開示および添付の特許請求の範囲の目的で、側壁54は、「後方側壁」を構成し、その定義内に含まれる。
【0083】
複数の歯列弓の間の様々な形状およびサイズにぴったりと密着させる歯科用漂白装置の能力を助長するために、その歯科用漂白装置は、前方または後方側壁内に1つ以上の切欠のような機械的特徴を含み得る。図5に示されるように、歯科用漂白装置50は、前方側壁52周縁の中央付近に切欠58を、後方側壁54周縁の中央付近に切欠59を含む。切欠58および59によって、異なるサイズの歯列弓にぴったり密着される場合、トレイ状の漂白するもの即ち装置が、より容易に開きまたは圧縮することが可能になる。このようにして、歯科用漂白装置50は、より容易に「1つのサイズで全てに適合する」構成即ち装置とすることができる。
【0084】
図6は、本発明による歯科用漂白装置60の代替的な実施形態を示し、その装置は、漂白ゲル28のビードがその中に配置されるU字形の通路66を画定する前方側壁62および後方側壁64を含む。図1〜図5の湾曲した縦断面を有する馬蹄形状の歯科用漂白装置の代わりに、図6の歯科用漂白装置60は、実質的にまっすぐな即ち直線的な縦断面を有する。
【0085】
図7は、本発明による歯科用漂白装置70のさらに他の代替的な実施形態を示す。歯科用漂白装置70は、V字形の通路76および湾曲した縦断面を画定する前方側壁72および後方側壁74を含む。図7のV字形の漂白装置70と図5のL字形の漂白装置50との間の主な差異は、前方および後方側壁が互いに相手から横方向にずれた角度である。
【0086】
ストリップ即ちパッチという形で歯科用漂白組成物および装置の代替実施形態が、図8〜図11に示されている。図8は、好ましくは、耐湿性物質からなる障壁層112、第1の保護粘着性組成物、即ち、領域114、第2の保護粘着性組成物、即ち領域116、および、歯科用漂白組成物118を含む漂白用ストリップ即ち、パッチ110の斜視図である。図9Aは、図8の切断線9A−9Aに沿った漂白用ストリップ即ち、パッチ110の断面図である。
【0087】
漂白組成物118が保護粘着性組成物即ち、領域114、116に対してどこに配置されるかによって、漂白ゲル118が、保護粘着性組成物114、116、障壁層112、またはそれら両方に直接的に接触させることは、本発明の範囲内に包含される。また、保護粘着性組成物即ち領域114、116の一方または両方のいくつかまたは全てが、漂白組成物118の一部分の上方に配置されることも範囲に包含される。
【0088】
漂白用ストリップ110の第1の端部120は、使用時、人の歯列弓の唇側歯肉縁、または直前で終端するように設計され得る。第2の端部122は、使用時、人の歯列弓の舌側歯肉縁、または直前で終端するように設計され得る。代替的に、第1および第2の端部120、122は、唇側および舌側歯肉縁の一方または両方を越えて延び、唇側または舌側歯肉の一方または両方に重なるように設計され得る。第2の端部122は、代替的に、第2の粘着性組成物即ち、領域116を含む必要性がなくなるように舌側歯肉縁のかなり直前で、またさらには使用者の歯の咬合縁またはその付近で終端するために第1の端部120から離隔されてもよい。
【0089】
図9Bは、代替的に、歯科用漂白装置110’を示し、装置110’は、障壁層112と、第1の保護粘着性組成物114’の複数の領域即ちスポットと、第2の保護粘着性組成物116’の複数の領域即ちスポットと、第1および第2の保護粘着性組成物即ち領域114’、116’相互間の歯科用漂白組成物118’の複数の領域即ちスポットとを含む。保護粘着性組成物即ち領域114’、116’と、歯科用漂白組成物118’との双方は、障壁層112に隣接して配置される。このようにして、保護粘着性組成物114’、116’および歯科用漂白組成物118’は、使用前、最初、接触せず、それにより、保護粘着性組成物114’、116’うちの一方または両方の1つ以上のスポット即ち領域内の任意の漂白剤活性化剤と、漂白組成物118’中の漂白剤との間において使用前の接触を防ぎまたは妨害する。
【0090】
本発明による漂白用ストリップ即ちパッチを保管中および使用前、汚染物質から保護するために、漂白用ストリップが、それらを封止された容器即ち包装容器内に包装可能とされる。図10に示されるように、1つ以上の漂白用ストリップ即ちパッチ110は、剛性の支持層132および剥取り可能なカバー134を含む保護用包装容器130内に封止可能とされる。漂白用ストリップ即ちパッチ110を使用することが望まれる場合、剥取り可能なカバー134が除去され、漂白用ストリップ110が支持層132から取り外され即ち、分離される。保護用包装容器130に加えて、またはその代わりに、漂白用ストリップ110は、代替的に、漂白組成物および保護粘着性組成物に隣接して一時的に配置され取り外し可能な保護層(不図示)を含んでも良い。その漂白用ストリップを使用することが望まれる場合、漂白組成物および粘着性組成物を露出させるようにその取り外し可能な保護層が取り外される。
【0091】
図11は、漂白用ストリップ即ち、パッチ142を示し、パッチ142は、人の歯および/または歯肉上への漂白用ストリップ即ちパッチ142の装着を容易にするためにほぼV字形断面となるように、随意に(曲げる、湾曲させる、または折り重ねるなど)操作される。 上述の例にもかかわらず、本発明による歯科用漂白装置は、いかなる断面および縦形状を有することもできる(例えば、それらは、平板、または3次元形状を有することができ、それらは、一端から他端まで直線状または湾曲された縦断面を有することができる)ことが理解されるであろう。トレイの前方および後方側壁は、いかなる所望の断面形状の通路を画定し得る(例えば、その通路は、台形、矩形、またはその他いかなる所望の幾何学形状とすることもできる)。
【0092】
本発明による歯科用漂白装置のサイズおよび形状は、人の上歯列弓または下歯列弓のいずれかに、より容易に嵌まり合うように作られ得る。それらは、人の歯の全てまたはその一部のみを漂白するような大きさに作られ得る。その歯科用漂白装置は、幅広い異なるサイズの歯および歯列弓と容易にぴったりと密着するように十分な粘着性および柔軟性があるものでもよい。その歯科用漂白装置は、漂白される歯の前面および舌側表面を実質的に覆うように設計され得る。1つの表面を他の表面よりもっと漂白することは本発明の範囲内に包含されることは勿論であるが、前面および舌側表面を漂白することは、人の歯の相互間の隣接空間を漂白することを助け、より美しく魅力的な歯をもたらす。
【0093】
III.歯科用漂白組成物およびそのような組成物を組み込む漂白装置の製造方法
本発明による発明の歯科用漂白装置を構成する様々な構成要素は、いかなる所望の順番で組立てられ、即ち、まとめられ得る。歯科用漂白組成物および保護粘着性組成物がゲルである場合、最終的な歯科用漂白装置が得られるようにデンタルトレイ、ストリップ即ち、パッチという形で、または、その他何らかの構成の形であろうと、その障壁層に、一方または両方の組成物を接して配置可能とされる。漂白物および粘着性組成物は、同時または順次、その障壁層上に配置可能とされる。保護粘着性組成物の一部または全てが、すでに障壁層に配された漂白組成物の一部分上方に配置されてもよく、および/または、漂白組成物の一部または全てが、すでに障壁層に配された保護粘着性組成物の一部分上方に配置されてもよい。その結果もたらされるゲルフォーム(gel form)の漂白物および保護粘着性組成物からなる漂白装置は、そのままで使用することができ、または、加熱され、実質的に固形である漂白組成物および/または保護粘着性組成物を得るために溶剤または担体の少なくとも一部が除去するように、その他の方法で処理されてもよい。
【0094】
代替的に、漂白組成物または保護粘着性組成物の一方または両方の少なくとも一部分が、ゲルフォームで障壁層に対し配置可能とされ、それから、溶剤または担体の少なくとも一部を除去するように処理可能とされる。その後、漂白組成物および/または保護粘着性組成物の残部が、その障壁、および/または、予め配置された組成物(1つ以上の)に隣接して、ゲルフォームで配置される。その結果もたらされる漂白装置は、そのままで使用することができ、または、続いて配置された組成物(1つ以上の)から付加的な溶剤または担体を除去するようにさらに処理可能とされる。
【0095】
他の実施形態では、例えば、1つ以上のゲル組成物を形成し、次いでゲル組成物(1つ以上の)を加熱し、またはその他の方法で処理して、所望の形状を有する実質的に固形組成物を得ることによって、歯科用漂白組成物、および/または、保護粘着性組成物の一部または全てが、例えば、実質的に固形であるシート、デンタルトレイ、または障壁層なしでその他の所望の形状で、形成可能とされる。その後、障壁層が、漂白装置を得るように、実質的に固形である組成物に対し配置される。
【0096】
その障壁層は、漂白組成物および保護粘着性組成物を所望のとおりに配置する前、完成した漂白装置を得るように望ましい所望の形状を有することができる。代替的に、その障壁は、シートの形とすることができ、漂白組成物および保護粘着性組成物が所望のとおりに配置され、その結果もたらされる中間生成物が、所望の形状の歯科用漂白装置に切断され、形作られ、またはその他の方法で再構成される。
【0097】
IV.歯科用漂白組成物およびそのような組成物を組み込む漂白装置の使用方法
本発明による歯科用漂白装置は、希望通りいかなる期間でも、装着されるように設計可能である。歯科用漂白剤の濃度を高めることによって、一般に、漂白をもたらすために必要とされる時間が、減少される。それにもかかわらず、本発明の歯科用漂白装置と人の歯との間の極めて快適な嵌合い、および、確実な接着により、より均一な漂白を確実にするためにそのような装置を長期間着用することができる。それらは、話す、食べる、飲む、喫煙する、咳をする、笑う、眉をひそめる、顔をしかめるような通常の日常活動中、または睡眠中に着用されるように設計され得る。これは、歯に確実に接着しない従来の漂白用ストリップ、または大きく嵩張る漂白用歯科用器具のような邪魔になる漂白装置に比べて、装置の日常活動への支障を大いに軽減する。
【0098】
本発明による歯科用漂白装置は、人の上歯列弓、下歯列弓、または、それら両方を同時に覆って着用され得る。上歯列弓および下歯列弓上に歯科用漂白装置を同時に確実かつ快適に装着する機能は、上歯列弓および下歯列弓を同時に漂白することにおいて使用することが推奨されない漂白用ストリップからの新たな脱却である。
【0099】
図12は、その人の上歯列弓を覆って歯科用漂白装置82を取り付けている人80を示す。歯科用漂白装置82は、デンタルトレイ、ストリップ、パッチ、またはその他の所望の形とすることができる。図13は、人の下歯列弓を覆う歯科用漂白装置92、および上歯列弓を覆う歯科用漂白装置82双方を有する人80を示す。歯科用漂白装置82および92は、人の上歯列弓および下歯列弓にいかなる所望の順番でも配され得ることもできることが理解されるであろう。
【0100】
図14A〜図14Cに示されるように、その歯科用漂白装置は、人の歯の両面、一方の面のすべてと、他方の面の一部との双方、または、一方の面のみを覆うことができる。図14Aは、歯106の唇側表面および舌側表面の両方を覆うとともに唇側歯肉縁および舌側歯肉縁108、109を越えて延びるように設計される歯科用漂白装置100を示す。患者の歯106の唇側表面および舌側表面にのみ接触する領域内に閉じ込められた漂白組成物104から歯肉を保護するように、第1の保護粘着性組成物即ち、領域102は、唇側歯肉縁108で唇側歯肉に接触および密着し、第2の保護粘着性組成物即ち、領域103は、舌側歯肉縁109で舌側歯肉に接触および密着する。
【0101】
図14Bは、他の実施形態を示し、歯科用漂白装置100’は、歯106の唇側表面を全て覆い唇側歯肉縁108に重なり、歯106の舌側表面の一部しか覆わないように設計されている。保護粘着性組成物即ち、領域102’は、唇側歯面および舌側歯面の一部にのみ接触する領域内に閉じ込められた漂白組成物104’から唇側歯肉を保護するように唇側歯肉に接触し密着する。漂白装置100’は、舌側歯肉縁109のかなり直前で終端するので第2の保護粘着性組成物即ち、領域は、設けられていない。
【0102】
図14Cは、他の実施形態を示し、歯科用漂白装置100”は、歯106の唇側表面のみを覆い、唇側歯肉縁108に重なるように設計されている。保護粘着性組成物即ち、領域102”は、唇側歯面にのみ接触する領域内に閉じ込められた漂白組成物104”から唇側歯肉を保護するようにその唇側歯肉に接触し密着する。
【0103】
保護粘着性組成物が、漂白剤活性化剤を含む場合、漂白組成物および/または保護粘着性組成物を水または唾液と接触させることによって、漂白剤活性化剤が、保護粘着性組成物から浸出し即ち拡散され、またはそうでなければ、漂白を促進するために歯科用漂白組成物中の漂白剤と反応しまたは不安定化させるように、使用可能となる。使用前の歯科漂白剤の時期尚早な活性化を防ぎまたは阻害するために、その漂白組成物は、保護粘着性組成物から漂白組成物へと漂白剤活性化剤が拡散または浸出するのを防ぎまたは阻害するために最初は実質的に無水であることが得策であり得る。代替的には、その漂白組成物は、使用前の漂白剤の早過ぎる活性化を防ぐのに十分であるが使用中の活性化を完全には妨げさえしない程度の量でEDTAのような安定化剤を含んでもよい。他の実施形態では、その漂白組成物は、使用前に保護粘着性組成物に接触しないように位置付けられ、それにより、漂白組成物と保護粘着性組成物との間の使用前の接触を防ぎまたは阻害する。
【0104】
歯科用漂白装置を取り外すために、使用者は、指の爪または剛性のある道具を用いて障壁層の隅部をこじ開け、次いで残部を引っ張って取ることができる。人の歯に密着したままのいかなる残りの漂白組成物および/または保護粘着性組成物も、人の歯を洗浄しまたはそこに水をどっと流し、および/または、ブラッシングすることによって除去可能である。本発明の漂白組成物および保護粘着性組成物は、過多の水分から保護される場合、歯に対して非常に高い粘着性を有することができるが、過多の水によって、および/または緩やかな機械的作用(例えば、ブラッシング)によって洗浄される場合、急速に破壊され溶解するように、配合可能である。
【0105】
その歯科用漂白装置は、わずか数分間、または数時間の期間も着用可能とされる。一例として、限定するものではない、典型的な早期の漂白期間は、約10分から約30分まで続き得る。中期の漂白期間は、約30分から約2時間まで続き得る。専門家による漂白、または人の睡眠中の終夜の漂白などの長期の漂白期間は、約2時間から約12時間まで続き得る。
【0106】
本発明による漂白治療は、所望の程度の歯科用漂白を得るための必要に応じて何度でも繰り返されてもよい。いくつかの例では、わずか1〜3回の歯を白くさせる治療の後、臨床上、歯を白くさせる効果が観察されている。典型的な漂白療法は、好ましくは、1〜20回の漂白治療、より好ましくは、2〜15回の漂白治療、最も好ましくは、3〜10回の漂白治療などであろう。
【0107】
V.歯科用漂白キット
使用の便宜を図って、多数の歯科用漂白装置がまとめて包装され、キットとして販売され得る。一実施形態では、各キットにもたらされる歯科用漂白装置の数は、所定の漂白療法に相当する治療の数と等しくしてもよい。漂白装置が歯に密着するという信頼性と結び付けられる本発明の歯科用漂白装置における、人の歯への着用の容易さのせいで、、特定の漂白装置が機能しない、またはそうでなければ意図されたように働かない可能性が、従来の漂白用ストリップに比べて大幅に少なくされる。
【0108】
キットの包装容器内の空間を効率的に利用するために複数の歯科用漂白装置が、積み重ねられ、即ち、一緒に関係づけられることができる。その歯科用漂白装置は、所望のとおりに、まとめて、または個別に封止可能とされる。保護包装容器30が、図3に示されており、保護用包装容器130が、図10に示されている。その漂白装置は、内面に取外し可能な保護層を随意に含み得るものであり、漂白組成物および保護粘着性組成物を汚染物質または水分から保護している。
【0109】
最初は分離されており、そして最終使用者によってひとつとされる、障壁層、漂白組成物、および保護粘着性組成物をもたらすことは、本発明の範囲内に包含される。例えば、流動性を有する漂白組成物および保護粘着性組成物を、障壁層上にしみ出され得る。結果的にもたらされる漂白装置は、そのままで使用可能とされ、代替的に、漂白組成物および/または粘着性組成物が乾燥可能とされる。
【0110】
VI.好ましい実施形態における実施例
以下は、歯科用漂白組成物、および漂白組成物の製造において使用可能とされる保護粘着性組成物、ならびにそれらから製造される歯科用漂白装置の、いくつかの実施例である。例示的な配合および製造条件は、人の歯を漂白するのに有用であることがわかった歯科用漂白装置を示すために限定ではなく一例として与えられる。特別に指示されなければ、全ての比率は、重量パーセントである。
【0111】
実施例1〜21は、そのままで使用することができ、または実質的に固形である漂白組成物を得るためにさらに処理される歯科用漂白組成物の製造を目的とするものであり、ともに本発明による歯科用漂白装置の製造のために使用可能とされる。実施例22〜26は、そのままで保護粘着性組成物として使用することができ、または実質的に固形である組成物を得るためにさらに処理される歯科用鈍麻組成物の製造を目的とするものであり、ともに本発明による漂白装置の製造に使用可能とされる。実施例27〜29は、そのままで保護粘着性組成物として使用することができ、または実質的に固形である組成物を得るためにさらに処理される医薬組成物の製造を目的とするものであり、ともに本発明による漂白装置を製造するために使用される。実施例30〜37は、いかなる活性剤も含有しない粘着性組成物の製造を目的とする。実施例38〜43は、本発明による歯科用漂白装置の製造において、使用に適した例示的な歯科用漂白ゲルを対象とする。実施例44〜49は、本発明による例示的な歯科用漂白組成物のさらなる変形例を説明する。
【実施例】
【0112】
実施例1
歯科用漂白組成物が、以下の成分を一緒に混合することによって形成された。
過酸化尿素 16%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 38%
水 46%
【0113】
歯科用漂白組成物が、ゲルの形態で、可撓性ポリマーシート上にスパーテルを使用して塗布され、次いで、50〜70℃の温度まで加熱された強制空気炉内で約1時間加熱された。その被覆されたシートが、その炉から取り出され、検査される。漂白用ゲルは、実質的に固形である凝集性の漂白組成物がそのポリマーシートの表面上に形成されるように十分に乾燥された。その被覆されたシートは、終夜、その炉内に戻されて、余分な水分を除去する。
【0114】
被覆されたシートが、再び、その炉から取り出され、より小さいサイズの小片に切断され、ストリップとして使用されるか、または、人の歯に装着するのに適したトレイのような装置に形作られる。
【0115】
本発明による漂白装置が得られるように、保護粘着性組成物が、実質的に固形である漂白組成物の一部を覆って、トレイのような装置の一方または両方の周縁付近、代替的に、ストリップの一方または両方の縁部付近に配される。その装置は、そのままで使用され、または実質的に固形である保護粘着性組成物を得るためにさらに加熱される。
【0116】
代替的に、保護粘着性組成物は、最初に(すなわち強制空気炉内で加熱する前に)、説明した歯科用漂白組成物の一部を覆って配され、そのままで使用され、または粘着性組成物および漂白組成物の少なくとも一部が実質的に固形となるようにさらに加熱される歯科用漂白装置を形成する。
【0117】
実施例2
以下の成分を一緒に混合することによって、歯科用漂白組成物が、形成された。
過酸化尿素 16%
PolyOx WSR101(分子量=100万) 7%
水 77%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0118】
実施例3
以下の成分を一緒に混合して、歯科用漂白組成物が、形成された。
過酸化尿素 16%
Carbopol 974P 5%
水酸化ナトリウム水溶液(50%) 6%
水 73%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0119】
実施例4
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が、形成された。
ポリエチレンオキシド(分子量=100,000) 20%
グリセリン 2.5%
過炭酸ナトリウム 2.4%
水 75.1%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白組成物を製造するために使用される。
【0120】
実施例5
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が、形成された。
過酸化尿素 10%
水 25%
エタノール 25%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 38%
グリセリン 73%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白組成物を製造するために使用される。
【0121】
実施例6
以下の成分を一緒に混合させることによって、歯科用漂白組成物が、形成された。
過酸化尿素 10%
水 21%
エタノール 21%
Kollidon VA 64(分子量=60,000) 40%
カルボキシメチルセルロース 3%
PEG 600 5%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白組成物を製造するために使用される。
【0122】
実施例7
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 11.6%
エタノール 55.8%
Kollidon VA 90F(分子量=130万) 24.4%
カルボキシメチルセルロース 2.3%
PEG 600 5.8%
漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白組成物を製造するために使用される。
【0123】
実施例8
以下の成分を互いに混合させることによって、歯科用漂白組成物を形成した。
過酸化尿素 10%
エタノール 65%
Kollidon VA 90F(分子量=130万) 20%
PEG 600 5%
漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白組成物を製造するために使用される。
【0124】
実施例9
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 10%
エタノール 64%
Kollidon VA 90F(分子量=130万) 25%
PEG 600 1%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白組成物を製造するために使用される。
【0125】
実施例10
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が、形成された。
過酸化尿素 10%
エタノール 64%
Kollidon VA 90F(分子量=130万) 23%
PEG 600 1%
Aerosil 200 2%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0126】
実施例11
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が、形成された。
過酸化尿素 10%
エタノール 66.9%
Kollidon VA 90F(分子量=130万) 20%
PEG 600 0.1%
Aerosil 200 3%
漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0127】
実施例12
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 10%
PolyOx(分子量=100万) 7.5%
水 75.5%
グリセリン 5%
Aerosil 200 2%
漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0128】
実施例13
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が、形成された。
過酸化尿素 10%
Kollidon 90F(分子量=130万) 10%
Kollidon 30(分子量=50,000) 20%
水 53%
グリセリン 5%
Aerosil 200 2%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0129】
実施例14
以下の成分を一緒に混合させることによって、歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 10%
Kollidon 90F(分子量=130万) 27%
水 50%
グリセリン 7%
Aerosil 200 6%
漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0130】
実施例15
以下の成分を一緒に混合させることによって、歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 10%
Kollidon 90F(分子量=130万) 28%
水 50%
グリセリン 7%
Aerosil 200 5%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0131】
実施例16
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 15%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 32%
水 12.8%
エタノール 20%
グリセリン 10%
Aerosil 200 5%
CalciumEDTA 0.2%
ラウリル硫酸ナトリウム 5%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0132】
実施例17
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 15%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 26%
水 16.8%
エタノール 25%
グリセリン 15%
CalciumEDTA 0.2%
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 2%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0133】
実施例18
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 15%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 32%
水 13.8%
エタノール 20%
グリセリン 12%
Aerosil 200 5%
CalciumEDTA 0.2%
Silwet L−7001 2%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0134】
実施例19
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化カルシウム 20%
過酸化尿素 4%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 20%
水 11.8%
エタノール 20%
グリセリン 18%
Aerosil 200 5%
CalciumEDTA 0.2%
ラウリル硫酸ナトリウム 2%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0135】
実施例20
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 10%
Kollidon 90(分子量=130万) 18.7%
水 42.3%
エタノール 13.3%
グリセリン 12%
Aerosil 200 3.3%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.33%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0136】
実施例21
以下の成分を一緒に混合させることによって歯科用漂白組成物が形成された。
過酸化尿素 7.1%
Kollidon 90(分子量=130万) 25%
水 10.7%
エタノール 50.7%
グリセリン 2.9%
Aerosil 200 3.6%
その漂白組成物および保護粘着性組成物は、実施例1において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0137】
実施例22
以下の成分を一緒に混合することによって保護粘着性組成物の製造において使用に適した歯科用鈍麻組成物が形成された。
フッ化ナトリウム 0.25%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 30%
水 69.75%
その鈍麻組成物が、ゲルの形態で可撓性ポリマーシート上にスパーテルを使用して塗布され、次いで、50〜70℃の温度まで加熱された強制空気炉内で約1時間加熱された。その被覆されたシートが、その炉から取り出され、検査された。鈍麻ゲルが、実質的に固形である凝集性の鈍麻組成物がポリマーシートの表面上に形成されるように、十分に乾燥された。その被覆されたシートが、より小さいサイズの小片に切断され、ストリップとして使用されるか、または、人の歯に装着するのに適したトレイのような装置に形作られた。
【0138】
漂白組成物のビードは、本発明による漂白装置を得るために鈍麻組成物の一部がトレイのような装置における一方または両方の周縁付近で、代替的に、ストリップの一方または両方の縁部付近で漂白組成物を越えて延びるように、実質的に固形である鈍麻組成物の一部上に配置される。その漂白組成物を越えて延びる鈍麻組成物は、保護粘着領域を形成する。その漂白装置は、そのまま使用され、または実質的に固形である漂白組成物を得るためにさらに加熱される。
【0139】
代替的に、漂白組成物は、最初に(即ち、強制空気炉内で加熱する前に)説明した鈍麻組成物の一部を覆って配置され、そのままで使用され、または漂白組成物および鈍麻組成物の少なくとも一部が実質的に固形となるようにさらに加熱される歯科用漂白装置を形成する。その漂白組成物を越えて延びる鈍麻組成物は、ゲルの形態にせよ実質的に固形の形態にせよ、保護粘着領域を形成する。
【0140】
実施例23
以下の成分を一緒に混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した歯科用鈍麻組成物が、形成された。
クエン酸ナトリウム 5%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 20%
水 75%
その鈍麻組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0141】
実施例24
以下の成分を一緒に混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した歯科用鈍麻組成物が、形成された。
硝酸カリウム 3%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 15%
エタノール 30%
水 52%
その鈍麻組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0142】
実施例25
以下の成分を一緒に混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した歯科用鈍麻組成物が形成された。
硝酸カリウム 0.5%
フッ化ナトリウム 0.25%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 32%
エタノール 30%
水 37.25%
その鈍麻組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0143】
実施例26
以下の成分を一緒に混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した歯科用鈍麻組成物が形成された。
硝酸カリウム 0.5%
フッ化ナトリウム 0.25%
過酸化尿素 15%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 33%
水 51.25%
鈍麻組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0144】
実施例27
以下の成分を一緒に混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した医薬組成物が形成された。
グルコン酸クロルヘキシジン 2%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 30%
エタノール 33%
水 35%
その医薬組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0145】
実施例28
以下の成分を一緒に混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した医薬組成物が形成された。
塩化セチルピリジニウム 2%
エタノール 28%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 35%
水 35%
その医薬組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0146】
実施例29
以下の成分を一緒に混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した医薬組成物が形成された。
フェノール 3%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 35%
エタノール 62%
その医薬組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22において説明された手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0147】
実施例30
以下の成分を混合することによって、保護粘着性組成物の製造における使用に適した粘着性組成物が形成された。
水 25%
エタノール 30%
グリセリン 10%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 30%
Aerosil 200 5%
その粘着性組成物および歯科用漂白装置は、実施例22に記載される手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0148】
実施例31
以下の成分を混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した粘着性組成物が形成された。
水 20%
エタノール 30%
グリセリン 15%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 30%
Aerosil 200 5%
その粘着性組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22に記載される手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0149】
実施例32
以下の成分を混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した粘着性組成物が形成された。
水 20%
エタノール 40%
グリセリン 10%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 30%
その粘着性組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22に記載される手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0150】
実施例33
以下の成分を混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した粘着性組成物が、形成された。
エタノール 60.6%
グリセリン 5.1%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 30%
Aerosil 200 4.3%
その医薬組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22に記載される手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0151】
実施例34
以下の成分を混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した粘着性組成物が形成された。
エタノール 61.9%
グリセリン 9.5%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 23.8%
Aerosil 200 4.8%
その粘着性組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22に記載される手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0152】
実施例35
以下の成分を混合することによって、保護粘着性組成物の製造における使用に適した粘着性組成物が、形成された。
エタノール 63.6%
グリセリン 9.1%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 27.3%
その粘着性組成物および歯科用漂白装置は、実施例22に記載される手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0153】
実施例36
以下の成分を混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した粘着性組成物が、形成された。
エタノール 44%
ポリビニルピロリドン(分子量=130万) 34%
グリセリン 14%
ラウリル硫酸ナトリウム 3%
スクラロース 1%
桃味人工香味料 4%
その粘着性組成物および歯科用漂白装置は、実施例22に記載される手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0154】
実施例37
以下の成分を一緒に混合することによって、保護粘着性組成物の製造において使用に適した鈍麻および再石灰化組成物が、形成された。
エタノール 31.95%
水 10%
ポリビニルピロリドン(分子量>100万) 27%
ポリビニルピロリドン(分子量 =60,000) 10%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5%
グリセリン 15%
スクラロース(25%溶液) 0.5%
桃味香味料 4%
硝酸カリウム 0.8%
フッ化ナトリウム 0.25%
その鈍麻および再石灰化組成物および歯科用漂白組成物は、実施例22に記載される手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0155】
実施例38
以下の成分を一緒に混合することによって、本発明による歯科用漂白装置の製造において使用に適した歯科用漂白ゲルを形成した。
カルボキシメチルセルロース(ナトリウム塩) 2%
過酸化尿素 22.5%
グリセリン 28%
水 16.4%
サッカリンナトリウムパウダー 2%
Sodium EDTA 0.1%
Cabosil M−5(二酸化ケイ素) 7%
桃味香味料 2%
ポリエチレングリコール(分子量=20,000) 20%
その歯科用漂白ゲルは、可撓性の薄肉デンタルトレイ内に配置された。本発明による歯科用漂白装置を得るために保護粘着性組成物が、トレイの少なくとも1つの前縁および後縁の付近に配置される。その漂白装置は、そのままで使用され、または漂白ゲルおよび保護粘着性組成物中の溶剤の一部を除去するように処理される。
【0156】
代替的に、歯科用漂白ゲルおよび保護粘着性組成物は、本発明による歯科用漂白装置が得られるようにストリップ即ち、パッチの形態で障壁層上に配置される。代替的に、漂白ゲルおよび保護粘着性組成物は、実施例1および22において説明された1つ以上のプロセスに従って、歯科用漂白装置内に形成される。
【0157】
実施例39
以下の成分を一緒に混合させることによって、本発明による歯科用漂白装置の製造において使用に適した歯科漂白ゲルが、形成された。
水 19.2%
エデト酸2ナトリウム 0.1%
過酸化尿素 18.5%
キシリトールC 7%
グリセリン 25.4%
CARBOPOL 974 5.3%
水酸化ナトリウム(50%水溶液) 4.5%
カルボキシメチルセルロース 4%
Kollidon 90F 10%
桃味香味料 3%
スクラロース(25%水溶液) 3%
その漂白ゲルおよび保護粘着性組成物は、実施例1、22、および38に記載される1つ以上の手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0158】
実施例40
以下の成分を一緒に混合することによって、本発明による歯科用漂白装置の製造において使用に適した歯科用漂白ゲルが、形成された。
水 18%
エデト酸2ナトリウム 0.1%
過酸化尿素 18.5%
スクラロース(25%水溶液) 3%
グリセリン 41.6%
CARBOPOL 974 5.3%
水酸化ナトリウム(50%水溶液) 4.5%
Kollidon 90F 2%
カルボキシメチルセルロース 4%
桃味香味料 3%
その漂白ゲルおよび保護粘着性組成物は、実施例1、22、および38に記載される1つ以上の手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0159】
実施例41
以下の成分を一緒に混合することによって、本発明による歯科用漂白装置の製造において使用に適した歯科用漂白ゲルが、形成された。
水 18%
EDTA 0.1%
過酸化尿素 22%
スクラロース(25%水溶液) 2%
グリセリン 37.1%
CARBOPOL 974 5.3%
水酸化ナトリウム (50%水溶液) 4.5%
Kollidon 90F 2%
カルボキシメチルセルロース 5%
桃味香味料 4%
その漂白ゲルおよび保護粘着性組成物は、実施例1、22、および38に記載される1つ以上の手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。

実施例42
以下の成分を一緒に混合することによって、本発明による歯科用漂白装置の製造において使用に適した歯科用漂白ゲルが、形成された。
【0160】
水 18%
EDTA 0.1%
過酸化尿素 22%
スクラロース(25%水溶液) 2%
グリセリン 40.1%
CARBOPOL 974 5.3%
水酸化ナトリウム(50%水溶液) 4.5%
Kollidon 90F 2%
カルボキシメチルセルロース 5%
ハッカ油 1%
その漂白ゲルおよび保護粘着性組成物は、実施例1、22、および38に記載される1つ以上の手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0161】
実施例43
以下の成分を一緒に混合することによって、本発明による歯科用漂白装置の製造において使用に適した歯科用漂白ゲルが、形成された。
水 22.5%
EDTA 0.1%
過酸化尿素 18.5%
スクラロース(25%水溶液) 0.75%
グリセリン 41.6%
CARBOPOL 974 5.3%
水酸化ナトリウム(50%水溶液) 2.25%
ポリビニルピロリドン(分子量>100万) 2%
カルボキシメチルセルロース 4%
香味料(モモ、スイカ、またはハッカ) 3%
その漂白ゲルおよび保護粘着性組成物は、実施例1、22、および38に記載される1つ以上の手順に従って歯科用漂白装置を製造するために使用される。
【0162】
実施例44
本発明による歯科用漂白装置を形成するために実施例1〜21および実施例38〜43におけるいずれかの歯科用漂白組成物が、実施例22〜37におけるいずれかの保護粘着性組成物とともに使用される。
【0163】
実施例45
実施例44に従って漂白装置を製造するのに使用される実施例22〜37におけるいかなる保護粘着性組成物も、実施例1〜21および実施例38〜43のうちの1つ以上に従って製造された漂白組成物中の漂白剤の量未満の漂白剤を加えることによって修飾される。
【0164】
実施例46
実施例1〜21、および、実施例38〜44に従って漂白装置を製造するために使用される実施例1〜21、および38〜43におけるいかなる歯科用漂白組成物も、鈍麻剤、再石化剤、抗菌剤、抗プラーク剤、抗歯石剤、またはその他の医薬品のうちの1つ以上を加えることによって修飾される。
【0165】
実施例47
実施例22〜37および44に従って製造される漂白装置を製造するために使用される、実施例22〜37におけるいかなる保護粘着性組成物も、着色剤、歯肉無痛化剤、等張液を形成する塩、麻酔薬、酸化防止剤、着香剤、防腐剤、マウスフレッシュニング剤(mouth freshening agent)、界面活性剤、無機増粘剤、再石化剤、抗プラーク剤、抗歯石剤、フレッシュニング剤(freshning agent)、または酸化防止剤のうちの1つ以上のものを加えることによって修飾される。
【0166】
実施例48
実施例1〜46に従って製造されるいかなる歯科用漂白装置も、エチルビニルアセテート(80%)およびポリプロピレン(20%)の混合物からなるトレイ、ストリップ、即ち、パッチという形態の障壁層を設けることによって修飾される。
【0167】
実施例49
実施例22〜37によるいずれかの保護粘着性組成物も、有効量の1つ以上の漂白剤活性化剤(例えば、5%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、および/または1%の金属、金属化合物または有機金属酵素)を加えることによって修飾される。
【0168】
本発明は、その精神または基本的な特徴から逸脱することなくその他の特定な形態で具現化され得る。その説明されたた実施形態は、あらゆる点で例示に過ぎず限定されるものではない。従って、本発明の範囲は、上述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって表される。本特許請求の範囲における均等物の意味および範囲内にある全ての変更は、その範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】障壁層、歯科用漂白組成物、ならびに前縁および後縁により近い保護粘着性組成物を含むデンタルトレイという形で本発明による例示的な歯科用漂白装置の斜視図である。
【図2A】図1における歯科用漂白装置の断面図である。
【図2B】障壁層、歯科用漂白組成物における複数のスポット即ち領域、および、トレイ周縁により近い保護用粘着性組成物の複数のスポット即ち領域を含む本発明による例示的な漂白装置の断面図である。
【図3】剥取り可能なカバーを有する封止された保護包装内に収容された、本発明による歯科用漂白装置を示す。
【図4】図1に示される漂白装置と同様であるが各長手方向の端部に終端側壁をさらに含む、例示的な歯科用漂白装置を示す斜視図である。
【図5】L字形通路、湾曲した縦断面、および周縁に切欠を有する例示的な歯科用漂白装置を示す斜視図である。
【図6】U字形通路、および、実質的に直線状の縦断面を有する例示的な歯科用漂白装置を示す斜視図である。
【図7】V字形通路および湾曲した縦断面を有する例示的な歯科用漂白装置を示す斜視図である。
【図8】障壁層、歯科用漂白組成物、ならびに前縁および後縁により近い保護粘着性組成物を含むストリップ即ちパッチという形である本発明による例示的な歯科用漂白装置を示す斜視図である。
【図9A】図8の歯科用漂白装置の断面図である。
【図9B】障壁層、歯科用漂白組成物の多数のスポット即ち領域、ならびに前縁および後縁により近い保護粘着性組成物の多数のスポット即ち領域を含む本発明による例示的な漂白装置を示す斜視図である。
【図10】剥取り可能なカバーを有する封止された保護包装内に収容される本発明による多数の漂白用ストリップ即ち、パッチを示す図である。
【図11】人の歯を覆って配置する前にほぼV字形断面を有するように操作される、本発明による漂白用ストリップ即ちパッチを示す。
【図12】本発明の一実施形態による歯科用漂白装置を、上歯列弓を覆って配置する人を示す図である。
【図13】すでに上歯列弓を覆って歯科用漂白装置が配置された状態で、本発明の一実施例による歯科用漂白装置を、下歯列弓を覆って配置後の人を示す。
【図14A】漂白用ゲルが両面に接触し、保護粘着性組成物が歯肉縁で唇側および舌側歯肉双方に接触しそれを保護する状態で歯の唇側および舌側表面を覆う本発明による歯科用漂白装置を示す断面図である。
【図14B】漂白用ゲルが両面に接触し、保護粘着性組成物が歯肉縁で唇側歯肉に接触しそれを保護する状態で歯の唇側表面、および舌側表面の一部を覆う本発明による歯科用漂白装置を示す断面図である。
【図14C】漂白用ゲルが歯の唇側表面に接触し、保護粘着性組成物が歯肉縁で唇側歯肉に接触しそれを保護する状態で歯の唇側表面のみを覆う本発明による歯科用漂白装置を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障壁層と、
使用中、人の歯に接触するように前記障壁層に対して位置付けられ、少なくとも1つの歯科用漂白剤を含む歯科用漂白組成物と、
使用中、使用者の歯肉を前記漂白組成物から守るように前記障壁層に対して位置付けられ、少なくとも1つの親水性重合体を含む少なくとも1つの組織接着剤を含む保護粘着性組成物と、
を含む歯科用漂白装置。
【請求項2】
前記障壁層が、使用中、人の歯の形状に容易にぴったりと密着するように可撓性である請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項3】
前記障壁層が、蝋、金属箔、パラフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリカプロラクトン、ポリオレフィン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、またはポリエステルアミドのうちの少なくとも1つからなる請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項4】
前記障壁層が、約0.025mmから約1.5mmまでの範囲の断面厚さを有する請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項5】
前記障壁層が、約0.05mmから約1mmまでの範囲の断面厚さを有する請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項6】
トレイのような構成を有する前記障壁層が、使用前、前記歯科用漂白組成物および保護粘着性組成物が備わっている通路を画定する少なくとも2つの側壁を含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項7】
前記障壁層が、人の歯列弓の曲率に近づけるように使用前、馬蹄形を有する請求項6に記載の歯科用漂白装置。
【請求項8】
前記通路の少なくとも一部が、ほぼU字形、V字形、L字形、矩形、または台形の断面を有する請求項6に記載の歯科用漂白装置。
【請求項9】
前記障壁層が、外部支持を有しない前記トレイのような構成を維持できないように十分に薄く可撓性であり、前記歯科用漂白装置が、前記障壁層を使用前、前記トレイのような構成で維持する取外し可能な外殻をさらに含む請求項6に記載の歯科用漂白装置。
【請求項10】
前記障壁層が、使用前にストリップ即ち、パッチを含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項11】
前記障壁層が、使用中、人の歯肉縁でまたはその付近でほぼ終端するように設計される請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項12】
前記障壁層が、使用中、人の歯肉縁に重なるように設計される請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項13】
前記歯科用漂白組成物が、粘着性および粘性を有する漂白組成物が得られるように液体またはゲルの担体をさらに含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項14】
前記歯科用漂白組成物が、使用前、実質的に固形であり、唾液または水で加湿される場合、歯または歯肉に対し粘着性がますます高まる請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項15】
前記歯科用漂白組成物が、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシポリメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸の共重合体、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびポリアクリルアミドの共重合体、PVP−酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、多糖類樹脂、またはタンパク質のうちの少なくとも1つである組織接着剤を含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項16】
前記歯科用漂白組成物が、歯科用鈍麻剤、安定化剤、再石化剤、抗菌物質、抗プラーク剤、および抗歯石剤からなる群から選択される少なくとも1つの要素をさらに含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項17】
前記保護粘着性組成物は、粘着性および粘性のある保護粘着組成物を得るように液体またはゲルの担体を含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項18】
前記保護粘着性組成物は、使用前、実質的に固形であり、唾液または水で加湿される場合、歯に対し粘着性がますます高まる請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項19】
前記保護粘着性組成物中の前記親水性重合体が、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシポリメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸の共重合体、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびポリアクリルアミドの共重合体、PVP−酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、多糖類樹脂、またはタンパク質のうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項20】
前記保護粘着性組成物が、歯科用鈍麻剤、再石化剤、防腐剤、抗菌物質、抗プラーク剤、抗歯石剤、歯肉無痛化剤、麻酔剤、抗酸化物質、香味剤、マウスフレッシュニング剤、洗浄剤、および着色剤からなる群から選択される少なくとも1つの要素をさらに含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項21】
前記保護粘着性組成物が、前記歯科用漂白ゲルより低濃度の歯科用漂白剤をさらに含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項22】
前記保護粘着性組成物が、10重量%未満の前記歯科用漂白剤を含み、前記漂白組成物が、少なくとも10重量%の前記歯科用漂白剤を含む請求項20に記載の歯科用漂白装置。
【請求項23】
前記歯科用漂白装置が使用前、その内部に封止される密封包装容器をさらに含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項24】
前記障壁層を使用前、所望の形状で維持する取外し可能な外殻をさらに含む請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項25】
前記取外し可能な外殻が、デンタルトレイの所望の形状で使用前、前記障壁層を維持する請求項1に記載の歯科用漂白装置。
【請求項26】
請求項1に記載の複数の前記歯科用漂白装置を含む人の歯の漂白に使用するためのキット。
【請求項27】
請求項1に記載の歯科用漂白装置を得ることと、それを前記人の歯の少なくとも一部上に所望の期間、装着することを含む、人の歯を漂白するための方法。
【請求項28】
使用中、人の歯と容易にぴったり密着するように可撓性を有するデンタルトレイと、
使用中、人の歯に接触するように前記デンタルトレイに対して位置付けられ、少なくとも1つの歯科用漂白剤、少なくとも1つの増粘剤、および、液体またはゲルの担体を含む歯科用漂白ゲルと、
使用中、人の軟組織を前記漂白ゲルから守るように前記デンタルトレイに対して位置付けられ、少なくとも1つの組織接着剤を含む保護粘着性組成物と、
を含む歯科用漂白装置。
【請求項29】
前記デンタルトレイが、外部支持なしのデンタルトレイとしての形状を維持することができないほど十分に薄く可撓性である前記障壁層物質からなり、前記歯科用漂白装置が、さらに、使用前、前記デンタルトレイの形状で前記障壁層物質を維持する取外し可能な外殻を含む請求項28に記載の歯科用漂白装置。
【請求項30】
前記歯科用漂白ゲルが、粘着性および粘性を有する請求項28に記載の歯科用漂白装置。
【請求項31】
前記保護粘着性組成物中の前記組織接着剤が、少なくとも1つの親水性重合体を含む請求項28に記載の歯科用漂白装置。
【請求項32】
前記保護粘着性組成物が、粘着性および粘性を有するゲルを含む請求項28に記載の歯科用漂白装置。
【請求項33】
前記保護粘着性組成物が、使用前、実質的に固形であり、唾液または水で加湿される場合、歯または歯肉に対する粘着性がますます高まる請求項28に記載の歯科用漂白装置。
【請求項34】
前記保護粘着性組成物が、前記歯科用漂白ゲル中の歯科用漂白剤の量未満で歯科用漂白剤をさらに含む請求項28に記載の歯科用漂白装置。
【請求項35】
使用中、人の歯に容易にぴったり密着するように可撓性を有するストリップ即ち、パッチ形態の障壁層と、
使用中、人の歯と接触するように前記障壁層に対して位置付けられ、少なくとも1つの歯科用漂白剤、少なくとも1つの増粘剤、および、液体またはゲルの担体を含む歯科用漂白ゲルと、
使用中、人の軟組織を前記漂白ゲルから守るように前記障壁層に対して位置付けられ、少なくとも1つの組織接着剤を含む保護粘着性組成物と、
を含む歯科用漂白装置。
【請求項36】
前記歯科用漂白ゲルが、粘着性および粘性を有する請求項35に記載の歯科用漂白装置。
【請求項37】
前記保護粘着性組成物中の前記組織接着剤が、少なくとも1つの親水性重合体を含む請求項35に記載の歯科用漂白装置。
【請求項38】
前記保護粘着性組成物が、粘着性および粘性を有するゲルを含む請求項35に記載の歯科用漂白装置。
【請求項39】
前記保護粘着性組成物が、使用前、実質的に固形であり、唾液または水で加湿される場合、歯または歯肉に対する粘着性がますます高まる請求項35に記載の歯科用漂白装置。
【請求項40】
前記保護粘着性組成物が、前記歯科用漂白ゲル中の歯科用漂白剤の量未満で歯科用漂白剤をさらに含む請求項35に記載の歯科用漂白装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【公表番号】特表2007−523161(P2007−523161A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554075(P2006−554075)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/014331
【国際公開番号】WO2005/081656
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(399128493)ウルトラデント プロダクツ インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】