保護膜溶液組成物、薄膜トランジスター表示板及び薄膜トランジスター表示板の製造方法
【課題】保護膜溶液組成物を提供すること。
【解決手段】下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜溶液組成物:
・・・化学式1
(式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す)。
【解決手段】下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜溶液組成物:
・・・化学式1
(式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護膜溶液組成物、薄膜トランジスター表示板及び薄膜トランジスター表示板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄膜トランジスター表示板(Thin film transistor array panel)は、液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)表示装置などにおいて各画素を独立的に駆動するための回路基板として用いられる。薄膜トランジスター表示板には、走査信号を送信するゲート配線と、画像信号を送信するデータ配線とが形成されており、ゲート配線及びデータ配線と接続されている薄膜トランジスターと、薄膜トランジスターと接続されている画素電極などを備える。
【0003】
薄膜トランジスターは、ゲート配線の一部であるゲート電極と、チャネルを形成する半導体層と、データ配線の一部であるソース電極及びドレイン電極を備える。薄膜トランジスターは、ゲート配線を介して送信される走査信号に基づいてデータ配線を介して送信される画像信号を画素電極に送信または遮断するスイッチング素子である。
【0004】
半導体層として酸化物半導体を用い、且つ、低抵抗配線として銅などを用いる場合に、従来の酸化ケイ素または酸化窒素から形成された保護膜を用いる場合に薄膜トランジスター特性が得られなかったり配線表面が酸化したりするという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、半導体層を酸化物半導体から形成し、且つ、銅などの低抵抗配線を用いる場合に上述した問題を改善することのできる保護膜溶液組成物、薄膜トランジスター表示板、薄膜トランジスター表示板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る保護膜溶液組成物は、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む。
【0007】
・・・化学式1
式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す。
【0008】
好ましくは、前記有機シロキサン樹脂は1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素及び不飽和炭化水素よりなる群から選ばれた少なくとも一つの置換基を含み、200乃至400個のシリコン原子を含む。
【0009】
上記の化学式1中、R置換基はメチル基、ビニル基及びフェニル基よりなる群から選ばれる。
【0010】
また、好ましくは、前記保護膜溶液組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールモノエチルアセテートを有する溶媒をさらに含む。
【0011】
さらに、好ましくは、前記保護膜溶液組成物は、前記有機シロキサン樹脂が4wt%乃至25wt%の含量にて含まれている。
【0012】
さらに、好ましくは、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含む。
【0013】
さらに、好ましくは、前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である。
【0014】
本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板は、基板と、前記基板の上に位置するゲート線、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有するデータ線と、前記ゲート線、前記半導体層、前記データ線の上に位置し、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜と、を備える。
【0015】
・・・化学式1
式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す。
【0016】
好ましくは、前記半導体層は、酸化物半導体から形成される。
【0017】
また、好ましくは、前記ゲート線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成される。
【0018】
さらに、好ましくは、前記データ線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成される。
【0019】
さらに、好ましくは、前記薄膜トランジスター表示板は、前記保護膜の上に位置する画素電極をさらに備え、前記保護膜は接触孔を有し、前記接触孔を介して前記画素電極と前記ドレイン電極とが接続される。
【0020】
さらに、好ましくは、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基よりなる群から選ばれた置換基である。
【0021】
さらに、好ましくは、前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である。
【0022】
さらに、好ましくは、前記薄膜トランジスター表示板は、前記基板の上に位置するゲート絶縁膜をさらに備える。
【0023】
さらに、好ましくは、前記ゲート絶縁膜は、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含む。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法は、基板の上にゲート線、半導体層、ソース電極及びデータ線を有する薄膜トランジスターを形成するステップと、前記基板の上に前記薄膜トランジスターを覆うように下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液をコーティングして予備保護膜を形成するステップと、前記予備保護膜にマスクを用いて光を照射するステップと、前記予備保護膜を現像して接触孔を有する保護膜を形成するステップと、を含む。
【0025】
・・・化学式1
式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す。
【0026】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液は、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノエチルアセテートを含む。
【0027】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液には、前記有機シロキサン樹脂が4wt%乃至25wt%含有される。
【0028】
上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含む。
【0029】
前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である。
【0030】
前記半導体層は、酸化物半導体から形成する。
【0031】
前記ゲート線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成される。
【0032】
前記データ線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成される。
【発明の効果】
【0033】
このように、本発明の一実施形態によれば、有機シロキサン樹脂を含む保護膜を用いると、銅などの低抵抗配線を用いながらも、配線の上部に別途のキャッピング膜を形成する必要がなく、半導体層として酸化物半導体を用いた場合にも優れた薄膜トランジスター特性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の1画素を示す配置図である。
【図2】図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタの特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳述する。しかしながら、本発明はここで説明される実施形態に限定されるものではなく、他の形態に具体化可能である。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容が徹底且つ完全たるものになるように、そして当業者に本発明の思想を十分に伝えるために提供されるものである。
【0036】
図中、層及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張されている。また、層が他の層または基板の「上」にあると言及される場合に、それは他の層または基板の上に直接的に形成されてもいてもよく、これらの間に第3の層が介在されていてもよい。明細書全般に亘って同じ参照番号が付されている部分は、同じ構成要素であることを意味する。
【0037】
本発明の実施形態に係る保護膜溶液組成物は、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む。
【0038】
・・・化学式1
ここで、上記の化学式1中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれたいずれか一つの置換基であってもよく、x、yはそれぞれ1乃至200であってもよい。前記有機シロキサン樹脂の個別的なx単位及びy単位は混合されていてもよく、隣り合う鎖のyシロキサン単位に共有結合された隣り合う鎖のxシロキサン単位の組み合わせが採用可能であるが、これに制限されない。なお、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含んでいてもよい。上記の化学式1の波線は有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子が水素原子、他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位との結合を示す。有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子が他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位に結合されている場合、上記の化学式1中、有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子は他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位のシリコン(Si)原子に結合される。このため、上記の化学式1は複数のx単位または複数のy単位またはこれらの組み合わせが上下左右方向に発生するパターンを有していてもよい。
【0039】
本実施形態に係る保護膜溶液組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルアセテートを有する溶媒を含んでいてもよい。また、保護膜溶液組成物に含まれる溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよく、100℃以下の沸点を有する溶媒を120℃乃至160℃の沸点を有する溶媒(高沸騰溶媒)と混合して用いてもよい。前記高沸騰溶媒は、膜構造物の形成に際して塗布、乾燥及び硬化が行われる温度よりも低い温度において揮発してボイド(Void)を防ぎ、フィルムを低速乾燥させることにより膜構造物の平坦性を向上させる役割を果たす。このような溶媒の組み合わせとして、エタノール、2−プロパノール及び2−ブタノールよりなる群から選ばれる溶媒と、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、メチルイソブチルケトン及びn−プロピルアセテートよりなる群から選ばれる溶媒とを混合して用いてもよい。
【0040】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂は、保護膜溶液組成物に約4wt%乃至約25wt%の含量にて含まれてもよい。なお、有機シロキサン樹脂は、分子量が約100乃至約10000であってもよい。
【0041】
本実施形態に係る保護膜溶液組成物は、約1wt%乃至約5wt%の含量を有する熱硬化剤をさらに含んでいてもよい。しかしながら、熱硬化剤は省略してもよい。
【0042】
上記の化学式1は、下記の化学式2及び下記の化学式3で表わされる化合物A及び化合物Bが加水分解反応によって重合されて形成される。化合物Aは、メチルシロキサン(methylsiloxane)、ビニルシロキサン(vinylsiloxane)、テトラヒドロキシシロキサン(tetrahydroxysiloxane)がランダムに所定の割合にて存在する構造であり、化合物Bは、フェニルシロキサン(phenylsiloxane)、ビニルシロキサン(vinylsiloxane)、テトラヒドロキシシロキサン(tetrahydroxysiloxane)がランダムに所定の割合にて存在する構造である。
【0043】
化学式2 化学式3
以下、本発明の実施形態に係る保護膜溶液組成物を用いて形成した保護膜を備える薄膜トランジスター表示板について説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の1画素を示す配置図であり、図2は、図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【0045】
図1及び図2を参照すると、透明なガラスまたはプラスチックなどから作製された絶縁基板110の上に複数のゲート線121が形成されている。
【0046】
ゲート線121はゲート信号を送信し、主として横方向に延びている。各ゲート線121はゲート線121から突き出た複数のゲート電極124を備える。
【0047】
ゲート線121及びゲート電極124は、下部膜121p、124p及び上部膜121r、124rを備える二重膜構造を有していてもよい。下部膜121p、124pは、モリブデン(Mo)とモリブデン合金などモリブデン系の金属、クロム(Cr)、クロム合金、チタン(Ti)、チタン合金、タンタル(Ta)、タンタル合金、マンガン(Mn)、マンガン合金のうちから選ばれた一つから形成されてもよい。上部膜121r、124rは、アルミニウム(Al)とアルミニウム合金などアルミニウム系の金属、銀(Ag)と銀合金など銀系の金属、銅(Cu)と銅合金など銅系の金属のうちから選ばれた一つから形成されてもよい。本実施形態においては、ゲート線121及びゲート電極124が二重膜構造に形成されるものと説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単一膜または三重膜の構造に形成されてもよい。三重膜構造の場合、互いに物理的な性質が異なる膜が組み合わせられて形成されてもよい。
【0048】
ゲート線121の上には、酸化ケイ素、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素などの絶縁物質から作製されたゲート絶縁膜140が形成されている。
【0049】
ゲート絶縁膜140の上には、酸化物半導体から作製された複数の半導体層151が形成されている。半導体層151は、主として縦方向に延び、ゲート電極124に向かって延出した複数の突出部154を備える。
【0050】
半導体層151の上には、複数のソース電極173に接続された複数のデータ線171と複数のドレイン電極175とが形成されている。
【0051】
データ線171はデータ信号を送信し、主として縦方向に延びてゲート線121と交差する。各データ線171はゲート電極124に向かって延びてU字状を有する複数のソース電極173と接続されている。
【0052】
ドレイン電極175はデータ線171と分離されており、U字状のソース電極173の中央に向かって延びている。このようなソース電極173及びドレイン電極175の形状は単なる例示に過ぎず、種々に変形可能である。
【0053】
データ線171、ソース電極173及びドレイン電極175を備えるデータ配線層171、173、175もまた、下部膜171p、173p、175p及び上部膜171r、173r、175rの二重膜構造を有する。下部膜171p、173p、175pは、モリブデン(Mo)とモリブデン合金などモリブデン系の金属、クロム(Cr)、クロム合金、チタン(Ti)、チタン合金、タンタル(Ta)、タンタル合金、マンガン(Mn)、マンガン合金のうちから選ばれた一つから形成されてもよく、上部膜171r、173r、175rは、アルミニウム(Al)とアルミニウム合金などアルミニウム系の金属、銀(Ag)と銀合金など銀系の金属、銅(Cu)と銅合金など銅系の金属のうちから選ばれた一つから形成されてもよい。
【0054】
半導体層151の突出部154には、ソース電極173とドレイン電極175との間をはじめとして、データ線171及びドレイン電極175によって遮られずに露出された部分がある。半導体層151は、突出部154の露出された部分を除いて、データ線171、ソース電極173及びドレイン電極175と実質的に同じ平面パターンを有する。
【0055】
一つのゲート電極124、一つのソース電極173及び一つのドレイン電極175は半導体層151の突出部154と共に一つの薄膜トランジスター(thin−film−transistor;TFT)を形成し、薄膜トランジスタのチャネルはソース電極173とドレイン電極175との間の突出部154に形成される。
【0056】
データ線171、ドレイン電極175及び露出された半導体層の突出部154部分の上には保護膜(passivation layer)180が形成されている。保護膜180は、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む。
【0057】
・・・化学式1
ここで、上記の化学式1中、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位またはyシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す。Rは、1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であってもよく、x、yはそれぞれ1乃至200であってもよい。なお、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含んでいてもよい。
【0058】
保護膜180には、ドレイン電極175の一部をそれぞれ露出させる複数の接触孔(contact hole)185が形成されている。
【0059】
本実施形態に係る薄膜トランジスター表示板においては、保護膜180とデータ配線層171、173、175との間に別途のキャッピング膜が形成されない。
【0060】
保護膜180の上には、複数の画素電極(pixel electrode)191が形成されている。画素電極191は、接触孔185を介してドレイン電極175と物理的・電気的に接続されており、ドレイン電極175からデータ電圧が印加される。データ電圧の印加された画素電極191は、共通電圧(common voltage)が印加される共通電極(common electrode)(図示せず)(対向表示板若しくは薄膜トランジスター表示板に形成されてもよい)と共に電場を生成することにより、両電極間の液晶層(図示せず)の液晶分子の方向を決める。画素電極191及び共通電極はキャパシタ[以下、「液晶キャパシタ(liquid crystal capacitor)」と称する。]を形成し、薄膜トランジスタがターンオフ(turn−off)された後にも印加された電圧を維持する。
【0061】
画素電極191は維持電極線(図示せず)と重なり合ってストレージキャパシター(storage capacitor)を形成してもよく、これにより液晶キャパシタの電圧維持能力を強化させることができる。
【0062】
画素電極191は、ITOまたはIZOなどの透明導電体から作製されてもよい。
【0063】
以上、液晶表示装置の薄膜トランジスター表示板を例にとって説明したが、本実施形態は有機発光表示装置にも適用可能である。
【0064】
図3乃至図11は、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II線に沿って切り取って示す断面図である。
【0065】
図3を参照すると、透明なガラスまたはプラスチックなどから作製された絶縁基板110の上にモリブデン(Mo)とモリブデン合金などモリブデン系の金属、クロム(Cr)、クロム合金、チタン(Ti)、チタン合金、タンタル(Ta)、タンタル合金、マンガン(Mn)、マンガン合金のうちの少なくとも一つを積層し、その上にアルミニウム(Al)とアルミニウム合金などアルミニウム系の金属、銀(Ag)と銀合金など銀系の金属、銅(Cu)と銅合金など銅系の金属のうちから選ばれた一つを積層して二重膜を形成した後にパターニングしてゲート電極124付きゲート線121を形成する。
【0066】
その後、感光膜(図示せず)を積層してパターニングした後、パターニングされた感光膜(図示せず)をマスクとして下部膜121p、124p及び上部膜121r、124rを一緒にエッチングする。このとき、エッチング液としては、下部膜121p、124p及び上部膜121r、124rをいずれもエッチングできるものを用いることができる。
【0067】
図4を参照すると、ゲート線121及びゲート電極124の上にゲート絶縁膜140、酸化物膜150、第1金属膜170p及び第2金属膜170rを積層する。
【0068】
酸化物膜150は、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、錫(Sn)、ガリウム(Ga)及びハフニウム(Hf)のうちの少なくとも一つを含み、第1の金属膜170pは、モリブデン(Mo)とモリブデン合金などモリブデン系の金属、クロム(Cr)、クロム合金、チタン(Ti)、チタン合金、タンタル(Ta)、タンタル合金、マンガン(Mn)、マンガン合金のうちから選ばれた一つから形成し、第2の金属膜170rは、アルミニウム(Al)とアルミニウム合金などアルミニウム系の金属、銀(Ag)と銀合金など銀系の金属、銅(Cu)と銅合金など銅系の金属のうちから選ばれた一つから形成することができる。
【0069】
その上に感光膜(photoresist)を形成した後にパターニングして第1の感光膜パターン50を形成する。第1の感光膜パターン50は、厚肉の第1の領域50aと、相対的に薄肉の第2の領域50bと、を有する。第1の感光膜パターン50の厚さ差は、マスクを用いて照射する光の量を調節したりリフロー方法を用いたりして形成することができる。光の量を調節する場合には、マスクにスリットパターンまたは格子パターンや半透明層が形成されていてもよい。薄肉の第2の領域50bは、薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される位置に対応する。
【0070】
図5を参照すると、第1の感光膜パターン50をマスクとして、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rを両方ともエッチングできるエッチング液を用いて、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rをエッチングする。ここで用いるエッチング液は、ゲート線121の下部膜121p、124p及び上部膜121r、124rをエッチングするときに用いたエッチング液と同じエッチング液であってもよい。
【0071】
図5に示すように、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rをエッチングすると、第1の感光膜パターン50によって覆われた第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rの側面もエッチング液によってエッチングされ、その結果、図5に示すように、第1の感光膜パターン50が形成された領域A、B、Cの内側に第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rの境界線が位置することになる。
【0072】
このとき、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rをエッチングするエッチング液は、ゲート絶縁膜140、酸化物膜150をエッチングしない。
【0073】
加えて、第1の感光膜パターン50をマスクとして酸化物膜150をエッチングする。
【0074】
図6を参照すると、エッチバックにより、図5に示す薄肉の第2の部分50bを除去する。このとき、第1の部分50aも一緒にエッチングされて幅及び高さが減り、図6の第2の感光膜パターン51となる。第2の感光膜パターン51は、図5に示す第1の感光膜パターン50が形成されていた領域A、B、Cに比べて狭い領域A'、B'、C'に形成されている。
【0075】
図7を参照すると、第2の感光膜パターン51をマスクとして、エッチング液を用いて、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rをエッチングする。ここで、第2の金属膜170rをウェットエッチングした後に、第1の金属膜170pはドライエッチングしてもよい。
【0076】
このとき、第1の金属膜170pが分離されて二重膜のデータ線171p、171r、ソース電極173p、173r及びドレイン電極175p、175rが形成される。また、酸化物膜150の上部面が露出されながら、薄膜トランジスタのチャネルを形成する突出部154を有する酸化物半導体層151が形成される。
【0077】
このように厚さの異なる感光膜パターンを用いると、データ線171、ソース電極173及びドレイン電極175の下部膜171p、173p、175pと同じ平面パターンを有する酸化物半導体層151、154が形成される。一方、酸化物半導体層151、154は、ドレイン電極175とソース電極173との間の露出された部分を除いて、データ線171、ソース電極173及びドレイン電極175と実質的に同じ平面パターンを有する。
【0078】
その後、図8を参照すると、アッシングにより感光膜パターンを除去する。
【0079】
その後、図9を参照すると、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂、プロピレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールモノエチルアセテートなどの溶媒、熱硬化剤を含む保護膜用溶液をゲート絶縁膜140、ソース電極173、ドレイン電極175、酸化物半導体層151の突出部154の上にコーティングして予備保護膜180pを形成する。
【0080】
・・・化学式1
ここで、上記の化学式1中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であってもよく、x、yはそれぞれ1乃至200であってもよい。また、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含んでいてもよい。上記の化学式1の波線は、有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子が水素原子、他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位と結合されている場合を含む。有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子が他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位に結合されている場合に、化学式1における有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子は、他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位のシリコン(Si)原子に結合する。このため、化学式1は、複数のx単位または複数のy単位またはこれらの組み合わせが上下左右方向に発生するパターンを有していてもよい。
【0081】
前記保護膜用溶液のコーティングは、スピンコーティング(spin coating)、ディップコーティング(dip coating)、バーコーティング(bar coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)、スライドコーティング(slide coating)、ロールコーティング(roll coating)、スプレーコーティング(spray coating)、スロットコーティング(slot coating)、ディップ−ペン(dip−pen nanolithography)、インクジェット(ink jet printing)、ナノディスペンシング(nano dispensing)のうちの一つの方法を用いて行うことができる。
【0082】
図10及び図11を参照すると、予備保護膜180pの上に露出領域E及び遮断領域Bを有するマスクMを配置し、紫外線などの光照射を行う。予備保護膜180pのうち接触孔185が形成される部分は光が遮断されて以降の現像過程において除去される。このため、接触孔185を有する保護膜180が形成される。次いで、熱処理により保護膜180を硬化させる。
【0083】
従来の化学気相蒸着方法(Chemical‐Vapor‐Depositionition;CVD)を用いて保護膜180を形成する場合には、技術的な限界により、厚膜を形成することが困難であった。このため、膜を平坦化させるために別途の平坦化膜を形成することを余儀なくされていた。しかしながら、本実施形態のように保護膜180をコーティング方法を用いて溶液工程により形成すれば、一回の工程により厚肉で且つ平坦な保護膜180を形成することができる。このため、膜の平坦化のための別途の平坦化膜を形成する必要がない。
【0084】
また、溶液工程により保護膜180を形成するので、既存のCVD方法によって酸化ケイ素を形成する過程で発生する酸素ガスが銅などを酸化させることを防ぐことができる。したがって、主配線層となるデータ線171、ソース電極173及びドレイン電極175の上部膜171q、173q、175qと保護膜180との間に別途のキャッピング膜を形成する必要がなくて工程が単純になる。
【0085】
さらに、本発明の実施形態によれば、従来とは異なる保護膜物質を用いることにより、窒化ケイ素(SiNx)から保護膜を形成するときに発生する水素(H2)が薄膜トランジスター特性に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0086】
次いで、インジウム−錫酸化物(Indium−Tin Oxide;ITO)またはインジウム−亜鉛酸化物(Indium−Zinc oxide;IZO)などの透明導電体を積層し且つエッチングして、図2に示すように、ドレイン電極175と電気的に接触する画素電極191を形成する。
【0087】
図12は、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタの特性を示すグラフである。具体的に、図12は、上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜を有する薄膜トランジスターにおけるゲート電圧Vgsによるドレイン電流値Idsを示す。
【0088】
図12を参照すると、ゲート電圧Vgsによるドレイン電流値Idsの変化により薄膜トランジスタの特性が現れることを確認することができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに何ら限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の種々の変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0090】
50…第1の感光膜パターン
51…第2の感光膜パターン
110…基板
121…ゲート線
151…半導体層
154…半導体層の突出部
171…データ線
173…ソース電極
175…ドレイン電極
180…保護膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護膜溶液組成物、薄膜トランジスター表示板及び薄膜トランジスター表示板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄膜トランジスター表示板(Thin film transistor array panel)は、液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)表示装置などにおいて各画素を独立的に駆動するための回路基板として用いられる。薄膜トランジスター表示板には、走査信号を送信するゲート配線と、画像信号を送信するデータ配線とが形成されており、ゲート配線及びデータ配線と接続されている薄膜トランジスターと、薄膜トランジスターと接続されている画素電極などを備える。
【0003】
薄膜トランジスターは、ゲート配線の一部であるゲート電極と、チャネルを形成する半導体層と、データ配線の一部であるソース電極及びドレイン電極を備える。薄膜トランジスターは、ゲート配線を介して送信される走査信号に基づいてデータ配線を介して送信される画像信号を画素電極に送信または遮断するスイッチング素子である。
【0004】
半導体層として酸化物半導体を用い、且つ、低抵抗配線として銅などを用いる場合に、従来の酸化ケイ素または酸化窒素から形成された保護膜を用いる場合に薄膜トランジスター特性が得られなかったり配線表面が酸化したりするという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、半導体層を酸化物半導体から形成し、且つ、銅などの低抵抗配線を用いる場合に上述した問題を改善することのできる保護膜溶液組成物、薄膜トランジスター表示板、薄膜トランジスター表示板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る保護膜溶液組成物は、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む。
【0007】
・・・化学式1
式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す。
【0008】
好ましくは、前記有機シロキサン樹脂は1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素及び不飽和炭化水素よりなる群から選ばれた少なくとも一つの置換基を含み、200乃至400個のシリコン原子を含む。
【0009】
上記の化学式1中、R置換基はメチル基、ビニル基及びフェニル基よりなる群から選ばれる。
【0010】
また、好ましくは、前記保護膜溶液組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールモノエチルアセテートを有する溶媒をさらに含む。
【0011】
さらに、好ましくは、前記保護膜溶液組成物は、前記有機シロキサン樹脂が4wt%乃至25wt%の含量にて含まれている。
【0012】
さらに、好ましくは、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含む。
【0013】
さらに、好ましくは、前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である。
【0014】
本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板は、基板と、前記基板の上に位置するゲート線、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有するデータ線と、前記ゲート線、前記半導体層、前記データ線の上に位置し、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜と、を備える。
【0015】
・・・化学式1
式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す。
【0016】
好ましくは、前記半導体層は、酸化物半導体から形成される。
【0017】
また、好ましくは、前記ゲート線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成される。
【0018】
さらに、好ましくは、前記データ線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成される。
【0019】
さらに、好ましくは、前記薄膜トランジスター表示板は、前記保護膜の上に位置する画素電極をさらに備え、前記保護膜は接触孔を有し、前記接触孔を介して前記画素電極と前記ドレイン電極とが接続される。
【0020】
さらに、好ましくは、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基よりなる群から選ばれた置換基である。
【0021】
さらに、好ましくは、前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である。
【0022】
さらに、好ましくは、前記薄膜トランジスター表示板は、前記基板の上に位置するゲート絶縁膜をさらに備える。
【0023】
さらに、好ましくは、前記ゲート絶縁膜は、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含む。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法は、基板の上にゲート線、半導体層、ソース電極及びデータ線を有する薄膜トランジスターを形成するステップと、前記基板の上に前記薄膜トランジスターを覆うように下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液をコーティングして予備保護膜を形成するステップと、前記予備保護膜にマスクを用いて光を照射するステップと、前記予備保護膜を現像して接触孔を有する保護膜を形成するステップと、を含む。
【0025】
・・・化学式1
式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す。
【0026】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液は、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノエチルアセテートを含む。
【0027】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液には、前記有機シロキサン樹脂が4wt%乃至25wt%含有される。
【0028】
上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含む。
【0029】
前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である。
【0030】
前記半導体層は、酸化物半導体から形成する。
【0031】
前記ゲート線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成される。
【0032】
前記データ線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成される。
【発明の効果】
【0033】
このように、本発明の一実施形態によれば、有機シロキサン樹脂を含む保護膜を用いると、銅などの低抵抗配線を用いながらも、配線の上部に別途のキャッピング膜を形成する必要がなく、半導体層として酸化物半導体を用いた場合にも優れた薄膜トランジスター特性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の1画素を示す配置図である。
【図2】図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタの特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳述する。しかしながら、本発明はここで説明される実施形態に限定されるものではなく、他の形態に具体化可能である。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容が徹底且つ完全たるものになるように、そして当業者に本発明の思想を十分に伝えるために提供されるものである。
【0036】
図中、層及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張されている。また、層が他の層または基板の「上」にあると言及される場合に、それは他の層または基板の上に直接的に形成されてもいてもよく、これらの間に第3の層が介在されていてもよい。明細書全般に亘って同じ参照番号が付されている部分は、同じ構成要素であることを意味する。
【0037】
本発明の実施形態に係る保護膜溶液組成物は、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む。
【0038】
・・・化学式1
ここで、上記の化学式1中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれたいずれか一つの置換基であってもよく、x、yはそれぞれ1乃至200であってもよい。前記有機シロキサン樹脂の個別的なx単位及びy単位は混合されていてもよく、隣り合う鎖のyシロキサン単位に共有結合された隣り合う鎖のxシロキサン単位の組み合わせが採用可能であるが、これに制限されない。なお、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含んでいてもよい。上記の化学式1の波線は有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子が水素原子、他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位との結合を示す。有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子が他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位に結合されている場合、上記の化学式1中、有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子は他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位のシリコン(Si)原子に結合される。このため、上記の化学式1は複数のx単位または複数のy単位またはこれらの組み合わせが上下左右方向に発生するパターンを有していてもよい。
【0039】
本実施形態に係る保護膜溶液組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルアセテートを有する溶媒を含んでいてもよい。また、保護膜溶液組成物に含まれる溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよく、100℃以下の沸点を有する溶媒を120℃乃至160℃の沸点を有する溶媒(高沸騰溶媒)と混合して用いてもよい。前記高沸騰溶媒は、膜構造物の形成に際して塗布、乾燥及び硬化が行われる温度よりも低い温度において揮発してボイド(Void)を防ぎ、フィルムを低速乾燥させることにより膜構造物の平坦性を向上させる役割を果たす。このような溶媒の組み合わせとして、エタノール、2−プロパノール及び2−ブタノールよりなる群から選ばれる溶媒と、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、メチルイソブチルケトン及びn−プロピルアセテートよりなる群から選ばれる溶媒とを混合して用いてもよい。
【0040】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂は、保護膜溶液組成物に約4wt%乃至約25wt%の含量にて含まれてもよい。なお、有機シロキサン樹脂は、分子量が約100乃至約10000であってもよい。
【0041】
本実施形態に係る保護膜溶液組成物は、約1wt%乃至約5wt%の含量を有する熱硬化剤をさらに含んでいてもよい。しかしながら、熱硬化剤は省略してもよい。
【0042】
上記の化学式1は、下記の化学式2及び下記の化学式3で表わされる化合物A及び化合物Bが加水分解反応によって重合されて形成される。化合物Aは、メチルシロキサン(methylsiloxane)、ビニルシロキサン(vinylsiloxane)、テトラヒドロキシシロキサン(tetrahydroxysiloxane)がランダムに所定の割合にて存在する構造であり、化合物Bは、フェニルシロキサン(phenylsiloxane)、ビニルシロキサン(vinylsiloxane)、テトラヒドロキシシロキサン(tetrahydroxysiloxane)がランダムに所定の割合にて存在する構造である。
【0043】
化学式2 化学式3
以下、本発明の実施形態に係る保護膜溶液組成物を用いて形成した保護膜を備える薄膜トランジスター表示板について説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の1画素を示す配置図であり、図2は、図1のII−II’線に沿って切り取って示す断面図である。
【0045】
図1及び図2を参照すると、透明なガラスまたはプラスチックなどから作製された絶縁基板110の上に複数のゲート線121が形成されている。
【0046】
ゲート線121はゲート信号を送信し、主として横方向に延びている。各ゲート線121はゲート線121から突き出た複数のゲート電極124を備える。
【0047】
ゲート線121及びゲート電極124は、下部膜121p、124p及び上部膜121r、124rを備える二重膜構造を有していてもよい。下部膜121p、124pは、モリブデン(Mo)とモリブデン合金などモリブデン系の金属、クロム(Cr)、クロム合金、チタン(Ti)、チタン合金、タンタル(Ta)、タンタル合金、マンガン(Mn)、マンガン合金のうちから選ばれた一つから形成されてもよい。上部膜121r、124rは、アルミニウム(Al)とアルミニウム合金などアルミニウム系の金属、銀(Ag)と銀合金など銀系の金属、銅(Cu)と銅合金など銅系の金属のうちから選ばれた一つから形成されてもよい。本実施形態においては、ゲート線121及びゲート電極124が二重膜構造に形成されるものと説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単一膜または三重膜の構造に形成されてもよい。三重膜構造の場合、互いに物理的な性質が異なる膜が組み合わせられて形成されてもよい。
【0048】
ゲート線121の上には、酸化ケイ素、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素などの絶縁物質から作製されたゲート絶縁膜140が形成されている。
【0049】
ゲート絶縁膜140の上には、酸化物半導体から作製された複数の半導体層151が形成されている。半導体層151は、主として縦方向に延び、ゲート電極124に向かって延出した複数の突出部154を備える。
【0050】
半導体層151の上には、複数のソース電極173に接続された複数のデータ線171と複数のドレイン電極175とが形成されている。
【0051】
データ線171はデータ信号を送信し、主として縦方向に延びてゲート線121と交差する。各データ線171はゲート電極124に向かって延びてU字状を有する複数のソース電極173と接続されている。
【0052】
ドレイン電極175はデータ線171と分離されており、U字状のソース電極173の中央に向かって延びている。このようなソース電極173及びドレイン電極175の形状は単なる例示に過ぎず、種々に変形可能である。
【0053】
データ線171、ソース電極173及びドレイン電極175を備えるデータ配線層171、173、175もまた、下部膜171p、173p、175p及び上部膜171r、173r、175rの二重膜構造を有する。下部膜171p、173p、175pは、モリブデン(Mo)とモリブデン合金などモリブデン系の金属、クロム(Cr)、クロム合金、チタン(Ti)、チタン合金、タンタル(Ta)、タンタル合金、マンガン(Mn)、マンガン合金のうちから選ばれた一つから形成されてもよく、上部膜171r、173r、175rは、アルミニウム(Al)とアルミニウム合金などアルミニウム系の金属、銀(Ag)と銀合金など銀系の金属、銅(Cu)と銅合金など銅系の金属のうちから選ばれた一つから形成されてもよい。
【0054】
半導体層151の突出部154には、ソース電極173とドレイン電極175との間をはじめとして、データ線171及びドレイン電極175によって遮られずに露出された部分がある。半導体層151は、突出部154の露出された部分を除いて、データ線171、ソース電極173及びドレイン電極175と実質的に同じ平面パターンを有する。
【0055】
一つのゲート電極124、一つのソース電極173及び一つのドレイン電極175は半導体層151の突出部154と共に一つの薄膜トランジスター(thin−film−transistor;TFT)を形成し、薄膜トランジスタのチャネルはソース電極173とドレイン電極175との間の突出部154に形成される。
【0056】
データ線171、ドレイン電極175及び露出された半導体層の突出部154部分の上には保護膜(passivation layer)180が形成されている。保護膜180は、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む。
【0057】
・・・化学式1
ここで、上記の化学式1中、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位またはyシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す。Rは、1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であってもよく、x、yはそれぞれ1乃至200であってもよい。なお、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含んでいてもよい。
【0058】
保護膜180には、ドレイン電極175の一部をそれぞれ露出させる複数の接触孔(contact hole)185が形成されている。
【0059】
本実施形態に係る薄膜トランジスター表示板においては、保護膜180とデータ配線層171、173、175との間に別途のキャッピング膜が形成されない。
【0060】
保護膜180の上には、複数の画素電極(pixel electrode)191が形成されている。画素電極191は、接触孔185を介してドレイン電極175と物理的・電気的に接続されており、ドレイン電極175からデータ電圧が印加される。データ電圧の印加された画素電極191は、共通電圧(common voltage)が印加される共通電極(common electrode)(図示せず)(対向表示板若しくは薄膜トランジスター表示板に形成されてもよい)と共に電場を生成することにより、両電極間の液晶層(図示せず)の液晶分子の方向を決める。画素電極191及び共通電極はキャパシタ[以下、「液晶キャパシタ(liquid crystal capacitor)」と称する。]を形成し、薄膜トランジスタがターンオフ(turn−off)された後にも印加された電圧を維持する。
【0061】
画素電極191は維持電極線(図示せず)と重なり合ってストレージキャパシター(storage capacitor)を形成してもよく、これにより液晶キャパシタの電圧維持能力を強化させることができる。
【0062】
画素電極191は、ITOまたはIZOなどの透明導電体から作製されてもよい。
【0063】
以上、液晶表示装置の薄膜トランジスター表示板を例にとって説明したが、本実施形態は有機発光表示装置にも適用可能である。
【0064】
図3乃至図11は、本発明の他の実施形態に係る薄膜トランジスター表示板の製造方法を説明するために図1のII−II線に沿って切り取って示す断面図である。
【0065】
図3を参照すると、透明なガラスまたはプラスチックなどから作製された絶縁基板110の上にモリブデン(Mo)とモリブデン合金などモリブデン系の金属、クロム(Cr)、クロム合金、チタン(Ti)、チタン合金、タンタル(Ta)、タンタル合金、マンガン(Mn)、マンガン合金のうちの少なくとも一つを積層し、その上にアルミニウム(Al)とアルミニウム合金などアルミニウム系の金属、銀(Ag)と銀合金など銀系の金属、銅(Cu)と銅合金など銅系の金属のうちから選ばれた一つを積層して二重膜を形成した後にパターニングしてゲート電極124付きゲート線121を形成する。
【0066】
その後、感光膜(図示せず)を積層してパターニングした後、パターニングされた感光膜(図示せず)をマスクとして下部膜121p、124p及び上部膜121r、124rを一緒にエッチングする。このとき、エッチング液としては、下部膜121p、124p及び上部膜121r、124rをいずれもエッチングできるものを用いることができる。
【0067】
図4を参照すると、ゲート線121及びゲート電極124の上にゲート絶縁膜140、酸化物膜150、第1金属膜170p及び第2金属膜170rを積層する。
【0068】
酸化物膜150は、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、錫(Sn)、ガリウム(Ga)及びハフニウム(Hf)のうちの少なくとも一つを含み、第1の金属膜170pは、モリブデン(Mo)とモリブデン合金などモリブデン系の金属、クロム(Cr)、クロム合金、チタン(Ti)、チタン合金、タンタル(Ta)、タンタル合金、マンガン(Mn)、マンガン合金のうちから選ばれた一つから形成し、第2の金属膜170rは、アルミニウム(Al)とアルミニウム合金などアルミニウム系の金属、銀(Ag)と銀合金など銀系の金属、銅(Cu)と銅合金など銅系の金属のうちから選ばれた一つから形成することができる。
【0069】
その上に感光膜(photoresist)を形成した後にパターニングして第1の感光膜パターン50を形成する。第1の感光膜パターン50は、厚肉の第1の領域50aと、相対的に薄肉の第2の領域50bと、を有する。第1の感光膜パターン50の厚さ差は、マスクを用いて照射する光の量を調節したりリフロー方法を用いたりして形成することができる。光の量を調節する場合には、マスクにスリットパターンまたは格子パターンや半透明層が形成されていてもよい。薄肉の第2の領域50bは、薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される位置に対応する。
【0070】
図5を参照すると、第1の感光膜パターン50をマスクとして、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rを両方ともエッチングできるエッチング液を用いて、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rをエッチングする。ここで用いるエッチング液は、ゲート線121の下部膜121p、124p及び上部膜121r、124rをエッチングするときに用いたエッチング液と同じエッチング液であってもよい。
【0071】
図5に示すように、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rをエッチングすると、第1の感光膜パターン50によって覆われた第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rの側面もエッチング液によってエッチングされ、その結果、図5に示すように、第1の感光膜パターン50が形成された領域A、B、Cの内側に第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rの境界線が位置することになる。
【0072】
このとき、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rをエッチングするエッチング液は、ゲート絶縁膜140、酸化物膜150をエッチングしない。
【0073】
加えて、第1の感光膜パターン50をマスクとして酸化物膜150をエッチングする。
【0074】
図6を参照すると、エッチバックにより、図5に示す薄肉の第2の部分50bを除去する。このとき、第1の部分50aも一緒にエッチングされて幅及び高さが減り、図6の第2の感光膜パターン51となる。第2の感光膜パターン51は、図5に示す第1の感光膜パターン50が形成されていた領域A、B、Cに比べて狭い領域A'、B'、C'に形成されている。
【0075】
図7を参照すると、第2の感光膜パターン51をマスクとして、エッチング液を用いて、第1の金属膜170p及び第2の金属膜170rをエッチングする。ここで、第2の金属膜170rをウェットエッチングした後に、第1の金属膜170pはドライエッチングしてもよい。
【0076】
このとき、第1の金属膜170pが分離されて二重膜のデータ線171p、171r、ソース電極173p、173r及びドレイン電極175p、175rが形成される。また、酸化物膜150の上部面が露出されながら、薄膜トランジスタのチャネルを形成する突出部154を有する酸化物半導体層151が形成される。
【0077】
このように厚さの異なる感光膜パターンを用いると、データ線171、ソース電極173及びドレイン電極175の下部膜171p、173p、175pと同じ平面パターンを有する酸化物半導体層151、154が形成される。一方、酸化物半導体層151、154は、ドレイン電極175とソース電極173との間の露出された部分を除いて、データ線171、ソース電極173及びドレイン電極175と実質的に同じ平面パターンを有する。
【0078】
その後、図8を参照すると、アッシングにより感光膜パターンを除去する。
【0079】
その後、図9を参照すると、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂、プロピレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールモノエチルアセテートなどの溶媒、熱硬化剤を含む保護膜用溶液をゲート絶縁膜140、ソース電極173、ドレイン電極175、酸化物半導体層151の突出部154の上にコーティングして予備保護膜180pを形成する。
【0080】
・・・化学式1
ここで、上記の化学式1中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であってもよく、x、yはそれぞれ1乃至200であってもよい。また、上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含んでいてもよい。上記の化学式1の波線は、有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子が水素原子、他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位と結合されている場合を含む。有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子が他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位に結合されている場合に、化学式1における有機シロキサン樹脂のx単位またはy単位の酸素原子は、他のxシロキサン単位または他のyシロキサン単位のシリコン(Si)原子に結合する。このため、化学式1は、複数のx単位または複数のy単位またはこれらの組み合わせが上下左右方向に発生するパターンを有していてもよい。
【0081】
前記保護膜用溶液のコーティングは、スピンコーティング(spin coating)、ディップコーティング(dip coating)、バーコーティング(bar coating)、スクリーンプリンティング(screen printing)、スライドコーティング(slide coating)、ロールコーティング(roll coating)、スプレーコーティング(spray coating)、スロットコーティング(slot coating)、ディップ−ペン(dip−pen nanolithography)、インクジェット(ink jet printing)、ナノディスペンシング(nano dispensing)のうちの一つの方法を用いて行うことができる。
【0082】
図10及び図11を参照すると、予備保護膜180pの上に露出領域E及び遮断領域Bを有するマスクMを配置し、紫外線などの光照射を行う。予備保護膜180pのうち接触孔185が形成される部分は光が遮断されて以降の現像過程において除去される。このため、接触孔185を有する保護膜180が形成される。次いで、熱処理により保護膜180を硬化させる。
【0083】
従来の化学気相蒸着方法(Chemical‐Vapor‐Depositionition;CVD)を用いて保護膜180を形成する場合には、技術的な限界により、厚膜を形成することが困難であった。このため、膜を平坦化させるために別途の平坦化膜を形成することを余儀なくされていた。しかしながら、本実施形態のように保護膜180をコーティング方法を用いて溶液工程により形成すれば、一回の工程により厚肉で且つ平坦な保護膜180を形成することができる。このため、膜の平坦化のための別途の平坦化膜を形成する必要がない。
【0084】
また、溶液工程により保護膜180を形成するので、既存のCVD方法によって酸化ケイ素を形成する過程で発生する酸素ガスが銅などを酸化させることを防ぐことができる。したがって、主配線層となるデータ線171、ソース電極173及びドレイン電極175の上部膜171q、173q、175qと保護膜180との間に別途のキャッピング膜を形成する必要がなくて工程が単純になる。
【0085】
さらに、本発明の実施形態によれば、従来とは異なる保護膜物質を用いることにより、窒化ケイ素(SiNx)から保護膜を形成するときに発生する水素(H2)が薄膜トランジスター特性に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0086】
次いで、インジウム−錫酸化物(Indium−Tin Oxide;ITO)またはインジウム−亜鉛酸化物(Indium−Zinc oxide;IZO)などの透明導電体を積層し且つエッチングして、図2に示すように、ドレイン電極175と電気的に接触する画素電極191を形成する。
【0087】
図12は、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタの特性を示すグラフである。具体的に、図12は、上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜を有する薄膜トランジスターにおけるゲート電圧Vgsによるドレイン電流値Idsを示す。
【0088】
図12を参照すると、ゲート電圧Vgsによるドレイン電流値Idsの変化により薄膜トランジスタの特性が現れることを確認することができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに何ら限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の種々の変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0090】
50…第1の感光膜パターン
51…第2の感光膜パターン
110…基板
121…ゲート線
151…半導体層
154…半導体層の突出部
171…データ線
173…ソース電極
175…ドレイン電極
180…保護膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜溶液組成物:
・・・化学式1
(式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す)。
【請求項2】
プロピレングリコールモノメチルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノエチルアセテートを有する溶媒をさらに含む請求項1に記載の保護膜溶液組成物。
【請求項3】
前記有機シロキサン樹脂が4wt%乃至25wt%の含量にて含まれている請求項2に記載の保護膜溶液組成物。
【請求項4】
上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの少なくとも一つの置換基を含む請求項3に記載の保護膜溶液組成物。
【請求項5】
前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である請求項4に記載の保護膜溶液組成物。
【請求項6】
基板と、
前記基板の上に位置するゲート線、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有するデータ線と、
前記ゲート線、前記半導体層、前記データ線の上に位置し、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜と、
を備える薄膜トランジスター表示板:
・・・化学式1
(式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す)。
【請求項7】
前記半導体層は、酸化物半導体から形成されている請求項6に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項8】
前記ゲート線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成されている請求項7に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項9】
前記データ線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成されている請求項8に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項10】
前記保護膜の上に位置する画素電極をさらに備え、
前記保護膜は接触孔を有し、前記接触孔を介して前記画素電極と前記ドレイン電極とが接続される請求項9に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項11】
上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの少なくとも一つを含む請求項10に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項12】
前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である請求項11に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項13】
前記基板の上に位置するゲート絶縁膜をさらに備える請求項6に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項14】
前記ゲート絶縁膜は、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含む請求項13に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項15】
基板の上にゲート線、半導体層、ソース電極及びデータ線を有する薄膜トランジスターを形成するステップと、
前記基板の上に前記薄膜トランジスターを覆うように下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液をコーティングして予備保護膜を形成するステップと、
前記予備保護膜にマスクを用いて光を照射するステップと、
前記予備保護膜を現像して接触孔を有する保護膜を形成するステップと、
を含む薄膜トランジスター表示板の製造方法:
・・・化学式1
(式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す)。
【請求項16】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液は、プロピレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールモノエチルアセテートの少なくとも1つを含む請求項15に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項17】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液には、前記有機シロキサン樹脂が4wt%乃至25wt%含まれている請求項16に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項18】
上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含む請求項17に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項19】
前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である請求項18に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項20】
前記半導体層は、酸化物半導体から形成する請求項15に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項21】
前記ゲート線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成されている請求項20に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項22】
前記データ線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成されている請求項21に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項1】
下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜溶液組成物:
・・・化学式1
(式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す)。
【請求項2】
プロピレングリコールモノメチルエーテル及び/またはプロピレングリコールモノエチルアセテートを有する溶媒をさらに含む請求項1に記載の保護膜溶液組成物。
【請求項3】
前記有機シロキサン樹脂が4wt%乃至25wt%の含量にて含まれている請求項2に記載の保護膜溶液組成物。
【請求項4】
上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの少なくとも一つの置換基を含む請求項3に記載の保護膜溶液組成物。
【請求項5】
前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である請求項4に記載の保護膜溶液組成物。
【請求項6】
基板と、
前記基板の上に位置するゲート線、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有するデータ線と、
前記ゲート線、前記半導体層、前記データ線の上に位置し、下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む保護膜と、
を備える薄膜トランジスター表示板:
・・・化学式1
(式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す)。
【請求項7】
前記半導体層は、酸化物半導体から形成されている請求項6に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項8】
前記ゲート線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成されている請求項7に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項9】
前記データ線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成されている請求項8に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項10】
前記保護膜の上に位置する画素電極をさらに備え、
前記保護膜は接触孔を有し、前記接触孔を介して前記画素電極と前記ドレイン電極とが接続される請求項9に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項11】
上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの少なくとも一つを含む請求項10に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項12】
前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である請求項11に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項13】
前記基板の上に位置するゲート絶縁膜をさらに備える請求項6に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項14】
前記ゲート絶縁膜は、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素のうちの少なくとも一つを含む請求項13に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項15】
基板の上にゲート線、半導体層、ソース電極及びデータ線を有する薄膜トランジスターを形成するステップと、
前記基板の上に前記薄膜トランジスターを覆うように下記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液をコーティングして予備保護膜を形成するステップと、
前記予備保護膜にマスクを用いて光を照射するステップと、
前記予備保護膜を現像して接触孔を有する保護膜を形成するステップと、
を含む薄膜トランジスター表示板の製造方法:
・・・化学式1
(式中、Rは1乃至25個の炭素を有する飽和炭化水素または不飽和炭化水素から選ばれた少なくとも一つの置換基であり、x、yはそれぞれ1乃至200であり、各波線は水素原子、xシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示すか、あるいは、xシロキサン単位、yシロキサン単位またはこれらの組み合わせを含む他の有機シロキサン鎖のxシロキサン単位またはyシロキサン単位との結合を示す)。
【請求項16】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液は、プロピレングリコールモノメチルエーテルまたはプロピレングリコールモノエチルアセテートの少なくとも1つを含む請求項15に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項17】
上記の化学式1で表わされる有機シロキサン樹脂を含む溶液には、前記有機シロキサン樹脂が4wt%乃至25wt%含まれている請求項16に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項18】
上記の化学式1中、Rは、メチル基、ビニル基及びフェニル基のうちの一つを含む請求項17に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項19】
前記有機シロキサン樹脂は、分子量が100乃至10000である請求項18に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項20】
前記半導体層は、酸化物半導体から形成する請求項15に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項21】
前記ゲート線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成されている請求項20に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項22】
前記データ線は、チタン、タンタル及びモリブデンのうちの少なくとも一つを含む下部膜と、銅または銅合金を含む上部膜と、から形成されている請求項21に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−89971(P2013−89971A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−231351(P2012−231351)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【出願人】(500323513)三星精密化学株式会社 (22)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG FINE CHEMICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】190 YEOCHEON−DONG, NAM−GU, ULSAN−CITY 680−090, REPUBLIC OF KOREA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231351(P2012−231351)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【出願人】(500323513)三星精密化学株式会社 (22)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG FINE CHEMICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】190 YEOCHEON−DONG, NAM−GU, ULSAN−CITY 680−090, REPUBLIC OF KOREA
【Fターム(参考)】
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