説明

保険料計算システム

【課題】保険料の計算処理を容易に行うことが可能な保険料計算システムを提供する。
【解決手段】保険料計算システムは、バーコードリーダ11と、携帯端末21と、モバイルプリンタ31と、入力用シートとから構成される。入力用シートには、保険に関する複数の入力項目と該入力項目についての入力内容とが視認可能に印刷され、さらに、該入力項目と入力内容とを符号化したバーコードが印刷された入力用シートとから構成される。バーコードリーダ11で、入力用シート上の各入力項目の該当する条件情報のバーコードを読み取って、見積条件を順次入力する。入力用シート上の、「保険料の計算」に対応するバーコードを読み取ると、携帯端末21は、入力された見積条件に基づいて保険料を計算し、表示部に表示する。一方、「見積書印刷」に対応するバーコードを読み取ると、携帯端末21は見積を作成し、モバイルプリンタ31から印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近来、保険の内容は多様化・複雑化の傾向にある。このため、保険料の算定に必要な事項は増加し複雑化している。
このような複雑な保険料を正確かつ迅速に計算できるようにするため、特許文献1には、保険契約に必要な契約データを入力するためのフォームを携帯端末に送信し、端末で、このフォームに必要事項を入力して、この端末からサーバに情報を送信して、保険料を計算し、端末に送信し、表示するというシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−24551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
このようなシステムでは、携帯端末はサーバに接続されていなければ、保険料を計算することができない。また、通信時間がかかるため、計算に時間がかかってしまう。
さらに、携帯端末の画面は小さく、保険の契約データ(条件データ)を入力する作業が面倒である。また、クライアントの面前で保険料を計算(見積もる)際に、クライアントの確認を取りながら、データを入力するのが困難であり、クライアントの安心感を高めることができない。
【0003】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、保険料の計算処理を容易に行うことが可能な保険料計算システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明の保険料計算システムは、
保険の料金計算に係る情報を予め記憶する記憶手段と、
保険に関する複数の入力項目と該入力項目についての入力内容とが視認可能に印刷されると共に該入力項目と入力内容とを符号化した情報が配置された入力用シートを読み取る読み取り装置と、
前記読み取り装置で読み取った情報を復号化する復号化手段と、
前記復号化手段で復号化した情報に基づいて、保険料を計算する計算手段と、
前記計算手段で計算した保険料を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0005】
例えば、入力用シートには、保険に関する複数の入力項目と該入力項目についての入力内容とが視認可能に印刷されると共に該入力項目と入力内容とを符号化した複数のコード情報が印刷されている。この場合、前記読み取り装置は、例えば、前記入力用シートに印刷されたコード情報を読み取る光学読み取り装置から構成される。
【0006】
例えば、入力用シートには、保険に関する複数の入力項目と該入力項目についての入力内容とが視認可能に印刷されており、該印刷の近傍に該入力項目と入力内容とを符号化した情報を記憶するICタグが配置される。この場合、例えば、前記読み取り装置は、前記ICタグに記憶された情報を読み取るICタグリーダから構成される。
【0007】
過去の契約内容を読み出す手段をさらに備え、前記計算手段は、前記入力用シートを用いて入力された入力項目についてはその入力を内容を用い、他の入力項目については、読み出された過去の契約内容に基づいて、料金を計算する、ように構成してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートに印刷された各入力項目を読み取ってデータを入力するので、携帯端末でも、容易にデータを入力することができる。また、携帯端末の画面とは別に入力用シートが用意されているので、クライアントの確認を取りながら、保険契約の条件を入力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る保険料計算システムについて、自動車保険の保険料を計算し、見積書を発行する計算システムを例に説明する。
【0010】
本発明の実施の形態に係る保険料計算システム1は、図1に示すように、バーコードリーダ11と、携帯端末21と、モバイルプリンタ31とから構成される。
【0011】
バーコードリーダ11は、例えば、ペン型の外形を有し、バーコードを読み取るものであり、図2に示すように、光学読取部111と通信部113とから構成される。
光学読取部111は、バーコードの濃淡を読み取って、これを二値化して、さらにこれをデコードして出力する。通信部113は、光学読取部111から提供された情報をBluetooth(登録商標)、赤外線通信等の短距離無線通信により送信する。
【0012】
携帯端末21は、バーコードリーダ11で読み取った情報に基づいて、保険料を計算する。
携帯端末21は、保険料計算用のプログラムがインストールされた、Bluetooth(登録商標)等による短距離通信機能を備えた携帯電話などから構成される。
【0013】
図2に示すように、携帯端末21は、プロセッサ211、メモリ213、通信部215、表示部217、入力部219等を備える。
メモリ213には、バーコードを復号化するプログラムや、保険の加入条件の組み合わせ別に予め計算された保険料のセット及びバーコードリーダ11から入力された条件に応じて、保険料を抽出するプログラムから構成される。
通信部215は、Bluetooth等の短距離無線通信装置から構成される。
表示部217は、プロセッサ211の制御に従って、様々な情報を表示する。
入力部219は、キーボード等から構成され、任意のデータを入力する。
プロセッサ211は、メモリ213に格納された動作プログラムに従って動作し、バーコードリーダ11から通信部215を介して提供されたデータを復号化して処理する。また、入力されたデータに基づいて、保険料を計算し、モバイルプリンタ31から、見積書を印刷する。
【0014】
モバイルプリンタ31は、携帯端末21からの指示に従って、見積書を印刷する。モバイルプリンタ31は、図2に示すように、通信部311とプリンタ313とから構成される。
【0015】
また、保険契約の見積用に、図3と図4に例示するような、入力用シートが用意されている。図3に示す入力用シート(見積計算シート)は、自動車保険に新規に加入する人用の入力シートであり、図4に示す入力用シート(型式チェックシート)は、自動車の車種・型式を選択するための入力シートである。
【0016】
図3に示す入力用シート(見積計算シート)には、保険料を計算し、見積書を作成するために携帯端末21に入力すべきコマンドと見積条件との一覧が印刷されている。さらに、その近傍には、コマンド及び見積条件をコード化したバーコードが印刷されている。
【0017】
例えば、図3の入力用シート(見積計算シート)の最上部P1には、見積作業の開始を指示するスタートコマンドを表す「スタート」が印刷され、その近傍に、スタートコマンドをコード化したバーコードが配置されている。
【0018】
また、その右横の領域P2には、車両の型式を別紙で選択すべきことが指示されている。
続いて、領域P3には、自動車保険の保険料計算の条件である運転者制限を表す「問わず」、「20歳以上」、「30歳以上」、が印刷され、その近傍に、各情報をコード化したバーコードが配置されている。
以下、同様に、自動車保険の保険料計算の条件情報が文字とバーコードで印刷されている。
【0019】
最後に、見積計算シート下端の領域P4に、入力した条件で保険料を計算するコマンドを「保険料計算」とさらに保険料を計算して見積を印刷するコマンドを示す「見積印刷」が文字とバーコードで印刷されている。
【0020】
図4に示す型式チェックシートには、車種とその型式が、文字及びバーコードで印刷されている。
【0021】
次に、上記構成の保険料計算システム1による保険料計算動作について図5のフローチャートを参照しつつ説明する。
見積作成担当者は、クライアントの面前で、図3、図4に示すシートを広げ、見積の作成を開始する。
【0022】
ここで、領域P1の「スタート」のバーコードをバーコードリーダ11で読み取ると、この情報が、通信部113から携帯端末21の通信部215に送信する。通信部215は、送信されたコードを受信し、プロセッサ211に伝達する。プロセッサ211は、供給された信号をデコードし、「スタート」のコマンドであることを判別する。
【0023】
この判別に応答して、プロセッサ211は、図5のフローチャートに示す処理を開始する。
【0024】
まず、プロセッサ211は、何らかの入力を待機する(ステップS11)。
何らかの入力があると、ステップS11で、Yesと判別される。
【0025】
続いて、プロセッサ211は、入力された情報が、料金計算コマンド或いは見積印刷コマンドであるか否かを判別し(ステップS12)、これらでなければ(ステップS12;No)、入力された内容を項目と対応付けて記憶する。このとき、同一項目について、すでに入力データがあれば、変更或いは入力し直しとして、上書きする(ステップS13)。
【0026】
例えば、担当者が、領域P2のガイドに従って、図4の型式チェックシートに印刷されている、保険対象の車種・型式のバーコードを、バーコードリーダ11で読み取ると、その型式が、Bluetoothを介してプロセッサ211に伝達され、ステップS11で、Yesと判別され、ステップS12で、Noと判別され、伝達された車両の型式が記憶部213に記憶される(ステップS13)。
【0027】
以後、同様に、担当者は、領域P3の年齢条件から順に見積条件に該当するバーコードを読み取る。そして、読み取られた、データは、メモリ213に順次項目と共に格納される(ステップS13)。なお、入力を誤った場合には、同一項目について、正しい条件のバーコードを読み直す。すると、ステップS13で上書きされて、入力内容が訂正される。
【0028】
担当者は、必要事項についての入力が完了すると、領域P4の終了の欄の「保険料計算」か「見積印刷」のバーコードを読み取る。
【0029】
プロセッサ211は、供給された信号をデコードし、「保険料計算」のコマンド或いは「見積印刷」のコマンドであることを判別する(ステップS11,S12;Yes)、この場合、プロセッサ211は、計算に必要な条件情報が全て記憶部213に記憶されているか否かを判別する(ステップS14)。記憶されていれば、プロセッサ211は、入力された条件の組み合わせに対応する保険料を求め、表示部217に表示する(ステップS15)。また、見積印刷が指示されている場合には(ステップS16;Yes)、通信部215から、見積書の印刷に必要なデータをモバイルプリンタ31の通信部311に送信する(ステップS17)。モバイルプリンタ31は、受信した印刷データに基づいて、見積書を印刷する。
【0030】
一方、ステップS14でNoと判別された場合、即ち、保険料の計算に必要な条件情報の一部が未入力であると判別した場合には、表示部217に不足している項目の情報を表示して(ステップS18)、ステップS11の入力待機ステップに戻る。
【0031】
このようにして、この実施の形態の保険料計算システム1によれば、クライアントの面前で、わかり易い形態で保険料を計算することができる。
【0032】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、入力用シートを使用して入力する事項は、上記の例に限定されず、任意である。また、保険の種類も任意である。例えば、作成した見積に関して、見積条件を変更するための見積条件変更専用の入力用シートを用意したり、業務用と家庭用の入力用シートを使用する等してもよい。
【0033】
さらに、入力用シートに記載する記号としてバーコードを例示したが、例えば、図6に示すように、所謂二次元バーコードやQRコードなどでもよい。この場合、バーコードリーダ11として、二次元バーコードを読み取ることができるものを使用する。
また、光学式のバーコードリーダに限らず、磁気式のバーコードリーダでもよい。
【0034】
さらに、上記実施の形態においては、データの入力形態として操作し易いバーコードリーダ11を使用したが、例えば、図7に示すように携帯端末21としてカメラ221や無線電話通信部223を備える携帯電話端末を使用し、カメラ221で入力したバーコードを解釈して入力データとすることも可能である。
【0035】
また、図8に示すように、バーコードに代えて、情報を格納したICタグを用紙に埋め込んでおき、バーコードリーダ11ではなく、ICタグリーダで適当なICタグに格納されている識別情報を読み取って、携帯端末21に伝達するようにしてもよい。
【0036】
上記実施の形態においては、保険料計算のための条件情報を全て携帯端末21に入力したが、入力する情報量が大量となると入力操作が煩雑である。この場合、例えば、図9に示すように、保険会社の本社(代理店の本店などでもよい)に配置され、契約内容を記憶している契約サーバ301から保険の契約データをダウンロードして携帯端末21に予め入力しておき、変更のある事項のみをバーコードリーダを用いて入力するようにしてもよい。なお、携帯端末21に契約情報を入力する手法は、図9に示すように、店舗端末131を介する手法でも、電話通信部223を使用する手法でも、任意である。
【0037】
また、見積用データ入力シートに限らず、例えば、保険商品のパンフレットや案内にバーコードを印刷したりICタグを埋め込んだりして、保険料の計算や営業活動に活用することも可能である。
【0038】
さらに、図9に示すように、携帯端末21と保険料決済用の端末133或いはサーバとを無線通信或いは有線通信で接続し、例えば、携帯端末21で見積書を作成してクライアントに提示して、クライアントがOKしたら(既知の手法で認証を求めるようにしてもよい)、この見積内容で、保険料の引き落としや支払いを行ってもよい。さらに、保険証の発行端末135と連動して、保険証を自動的に発行するようにしてもよい。また、モバイルプリンタ31で保険証を印刷・発行するようにしてもよい。
【0039】
例えば、他のネットワーク、例えば、自動車ディーラーのシステム(メーカーのシステム)のデータとのマッチングを可能にし、自動車ディーラーなどが保有するデータとのマッチングを取って、データの入力を容易化したり、保険申込書作成機能を持たせたりしてもよい。
【0040】
同様に、携帯端末21で入力したデータを伝送して、それ自体を保険の申し込みデータとすることも可能である。
この場合、申込者本人の申し込み意思確認は本人認証方式か、電子サインもしくは音声による確認を行うことが望ましい。例えば、「本契約申し込みます。鍬本 晴一」と吹き込むことにより本人の意思確認とする等してもよい。
【0041】
上記実施の形態においては、保険条件の組み合わせに合わせて予め保険料を計算しておいたが、保険料計算プログラムをメモリ213に記憶させておき、入力条件に従って、保険料を計算するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る保険料計算システムの構成図である。
【図2】図1に示す保険料計算システムの回路ブロック図である。
【図3】入力用シートの一例を示す図である。
【図4】入力用シートの一例を示す図である。
【図5】保険料計算及び見積書を印刷する処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】入力用シートに印刷する他の符号の例を示す図である。
【図7】携帯端末の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】入力用シートにICタグを配置してデータの入力を可能とする例を示す図である。
【図9】保険料計算システムを含む保険システムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1 保険料計算システム
11 バーコードリーダ
21 携帯端末
31 モバイルプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保険の料金計算に係る情報を予め記憶する記憶手段と、
保険に関する複数の入力項目と該入力項目についての入力内容とが視認可能に印刷されると共に該入力項目と入力内容とを符号化した情報が配置された入力用シートを読み取る読み取り装置と、
前記読み取り装置で読み取った情報を復号化する復号化手段と、
前記復号化手段で復号化した情報に基づいて、保険料を計算する計算手段と、
前記計算手段で計算した保険料を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする保険料計算システム。
【請求項2】
入力用シートには、保険に関する複数の入力項目と該入力項目についての入力内容とが視認可能に印刷されると共に該入力項目と入力内容とを符号化した複数のコード情報が印刷されており、
前記読み取り装置は、前記入力用シートに印刷されたコード情報を読み取る光学読み取り装置から構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の保険料計算システム。
【請求項3】
入力用シートには、保険に関する複数の入力項目と該入力項目についての入力内容とが視認可能に印刷されており、該印刷の近傍に該入力項目と入力内容とを符号化した情報を記憶するICタグが配置されており、
前記読み取り装置は、前記ICタグに記憶された情報を読み取るICタグリーダから構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の保険料計算システム。
【請求項4】
過去の契約内容を読み出す手段をさらに備え、
前記計算手段は、前記入力用シートを用いて入力された入力項目についてはその入力を内容を用い、他の入力項目については、読み出された過去の契約内容に基づいて、料金を計算する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の保険料計算システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−233501(P2007−233501A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51509(P2006−51509)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(595140170)東京海上日動火災保険株式会社 (13)