説明

信号を測定する方法、端末装置、及び基地局装置

【課題】干渉を受けずに信号を測定する。
【解決手段】端末装置2が信号を測定する方法であって、端末装置2は、端末装置2が接続しているサービング基地局装置である第1の基地局装置1aが通信に使用していないブランクキャリアを識別可能な情報を、第1の基地局装置1aから受信し、端末装置2は、受信した前記情報に基づいて識別されたブランクキャリアの周波数を対象周波数として、第2の基地局装置1bから送信された信号を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を測定する方法、端末装置、及び基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムでは、半径数百メートルから数十キロメートルのセル(マクロセル)を形成する基地局装置(マクロ基地局装置)による無線通信サービスが提供されてきた。
近年、LTE(Long Term Evolution)の導入に伴い、データ通信トラヒックが劇的に増加することが予想されている。そこで、マクロセルと比較してセル半径の小さいセル(ピコセルなど)を形成する小型基地局装置を、マクロセル圏内に配置することが検討されている(非特許文献1参照)。
多量のデータ通信を行う端末装置をマクロセルからピコセルへ移動させて、ピコセルから通信させることで、増加するトラフィックに対応することができる。
【0003】
また、より多くの端末装置をピコセル内に収容するために、ピコセルを形成する基地局装置(ピコ基地局装置)が、ピコセルを拡張する処理(セル範囲拡張;Cell Range Expansion;CRE)を行うことが検討されている。セル範囲拡張の処理が行われると、ピコ基地局装置からの電波が多少弱くても、端末装置は、ピコ基地局装置に接続することが可能となる。
【0004】
しかし、ピコセルのセルエッジに存在する端末装置は、ピコセルを形成する基地局装置に接続していても、マクロセルを形成する基地局装置から送信される信号の電力の方が大きくなり、干渉を受け易い。
【0005】
そこで、干渉回避のため、マクロ基地局装置は、使用可能な周波数範囲のうち、一部の周波数ブロックを、マクロセルにおいて使用しないブランクキャリアとしておくことが検討されている。
ピコ基地局装置が、マクロ基地局装置におけるブランクキャリアに対応する周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を、ピコセルにおける通信に使用することで、ピコ基地局装置に接続した端末装置は、マクロ基地局装置からの干渉を回避することができる。
【0006】
ここで、ブランクキャリアは、前述のように、基地局装置が通信に使用可能なコンポーネントキャリア(周波数ブロック)のうち、通信に使用しないコンポーネントキャリアである。
【0007】
基地局装置は、基地局装置が通信に使用可能な複数のコンポーネントキャリア(周波数ブロック)のうち、一つのプライマリーコンポーネントキャリア(Primary Component Carrier)を選択するとともに、必要に応じて付加的に通信に使用する1又は複数のコンポーネントキャリアであるセカンダリーコンポーネントキャリア(Secondary Component Carrier)を使用する。
基地局装置と端末装置との間の通信は、基本的には、プライマリーコンポーネントキャリアを用いて行われる。ただし、端末装置がセカンダリーコンポーネントキャリアを使用可能であれば、付加的にセカンダリーコンポーネントキャリアを用いた通信も行われる。
【0008】
複数のコンポーネントキャリアのうち、プライマリーコンポーネントキャリア及びセカンダリーコンポーネントキャリアのいずれとしても選択されなかった1又は複数のコンポーネントキャリアが、ブランクキャリアとなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP, "TS36.104 V10.0.0 Base Station(BS) radio transmission and reception", 2010-09
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
端末装置は、マクロセル内に在圏している間において、マクロ基地局装置以外の他の基地局装置から送信された信号の通信品質を測定する。端末装置は、測定結果に基づき、接続対象である基地局装置(サービング基地局装置)を、マクロ基地局装置から他の基地局装置に変更する処理であるハンドオーバを行うことがある。
【0011】
しかし、端末装置による信号の測定の際に、前述のようなブランクキャリアを考慮することは、未だ提案されていない。
そこで、本発明は、端末装置による信号測定に関して、ブランクキャリアを考慮した新規な技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)一の観点からみた本発明は、端末装置が信号を測定する方法であって、前記端末装置は、前記端末装置が接続しているサービング基地局装置である第1の基地局装置が通信に使用していないブランクキャリアを識別可能な情報を、前記第1の基地局装置から受信し、前記端末装置は、受信した前記情報に基づいて識別されたブランクキャリアの周波数を対象周波数として、第2の基地局装置から送信された信号を測定する方法である。
【0013】
上記本発明によれば、第2の基地局装置から送信された信号の測定は、第1の基地局装置のブランクキャリアの周波数を対象周波数として行われる。ブランクキャリアは、干渉を与えないため、干渉を回避しつつ、信号を測定することができる。
【0014】
(2)前記端末装置は、ハンドオーバによって前記第2の基地局装置が新たなサービング基地局装置になった後は、前記第2の基地局装置が使用可能なキャリアのうち、前記第1の基地局装置が通信に使用していない前記ブランクキャリア以外のキャリアの周波数を対象周波数として、前記第1の基地局装置から送信された信号を測定することができる。ハンドオーバ後は、第1の基地局装置が通信に使用していないブランクキャリア以外のキャリアの周波数を対象周波数とすることで、第1の基地局装置が通信に使用している周波数での測定を行える。
【0015】
(3)他の観点からみた本発明は、端末装置が信号を測定する方法であって、前記端末装置が接続しているサービング基地局装置である第1の基地局装置は、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複するか否かを判定する判定処理と、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しない場合には、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複する状態を得るための状態変更処理と、を実行し、前記端末装置は、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複する状態の下で、第2の基地局装置から送信された信号を測定する方法である。
【0016】
上記本発明によれば、端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しない場合であっても、状態変更処理によって、重複した状態が得られる。ブランクキャリアは、干渉を与えないため、干渉を回避しつつ、信号を測定することができる。
【0017】
(4)前記判定処理は、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しているか否かを判定することで実行され、前記状態変更処理は、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しない場合に実行されるのが好ましい。
この場合、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複するか否かの前記判定処理は、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しているか否かを判定することで実行される。つまり、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数が、前記端末装置が信号を測定する対象周波数となっている。
【0018】
(5)前記状態変更処理は、前記端末装置が信号を測定する対象周波数を、前記第2の基地局装置における1又は複数のセカンダリーコンポーネントキャリアの周波数にさせるための指令を前記端末装置に送信する処理を含むことができる。
【0019】
(6)前記端末装置は、前記指令に基づいて、複数のセカンダリーコンポーネントキャリアの周波数を対象周波数として、前記第2の基地局装置から送信された信号の測定を行う際に、前記対象周波数のうち、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数を優先して測定するのが好ましい。
【0020】
(7)前記状態変更処理は、前記第2の基地局装置に対して、プライマリーコンポーネントキャリアの周波数の変更要求を、前記第2の基地局装置に送信する処理を含むことができる。
【0021】
(8)前記第2の基地局装置は、前記変更要求に従ってプライマリーコンポーネントキャリアの周波数を変更することができない場合には、変更不可通知を、前記第1の基地局装置に送信するのが好ましい。
【0022】
(9)前記第2の基地局装置は、前記変更要求に従ってプライマリーコンポーネントキャリアの周波数を変更することができるか否かの判定を、第3の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数に基づいて行い、前記変更要求に従ってプライマリーコンポーネントキャリアの周波数を変更することができないと判定された場合に、前記変更不可通知を、前記第1の基地局装置に送信するのが好ましい。
【0023】
(10)前記状態変更処理は、前記第1の基地局装置が前記変更不可通知を受信した場合には、前記端末装置が信号を測定する対象周波数を、前記第2の基地局装置における1又は複数のセカンダリーコンポーネントキャリアの周波数にさせるための指令を前記端末装置に送信する処理を含むことができる。
【0024】
(11)前記状態変更処理は、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複するように、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数を変更する処理を含むことができる。
【0025】
(12)前記状態変更処理は、前記第1の基地局装置が前記変更不可通知を受信した場合には、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複するように、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数を変更する処理を含むことができる。
【0026】
(13)前記第2の基地局装置は、前記第1の基地局装置が形成するセルよりも小さいセルを形成する小型基地局装置であるのが好ましい。
【0027】
(14)他の観点からみた本発明は、基地局装置との間で通信を行う端末装置であって、サービング基地局装置である第1の基地局装置が通信に使用していないブランクキャリアを識別可能な情報を、前記第1の基地局装置から受信する手段と、受信した前記情報に基づいて識別されたブランクキャリアの周波数を対象周波数として、第2の基地局装置から送信された信号を測定する手段と、を備えた端末装置である。
【0028】
(15)端末装置との間で通信を行う基地局装置であって、端末装置が信号を測定する対象周波数と、自装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複するか否かを判定する判定処理部と、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、自装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しない場合には、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、自装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複する状態を得るための状態変更処理部と、を備えた基地局装置である。
【0029】
(16)他の観点からみた本発明は、前記(14)に記載の端末装置と、前記(15)に記載の基地局装置と、を含む通信システムである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、端末装置は、サービング基地局装置のブランクキャリアにて信号を測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】通信システムの構成図である。
【図2】信号測定のための処理手順を示すフローチャートである。
【図3】ハンドオーバ後の信号測定対象を示す図である。
【図4】第2実施形態に係る通信システムの構成図である。
【図5】信号測定のための処理手順を示すフローチャート(前半)である。
【図6】信号測定のための処理手順を示すフローチャート(後半)である。
【図7】ネイバーセルリストを示す図である。
【図8】信号測定のための処理手順を示すフローチャート(後半)の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[1.第1実施形態]
図1〜図3は、第1実施形態に係る通信システムを示している。この通信システムは、複数の基地局装置(BS;Base Station)1(1a,1b)を備えたセル方式のシステムである。本実施形態の無線通信システムは、例えば、LTEが適用される携帯電話用のシステムであり、各基地局装置1と、端末装置(UE;User Equipment)2との間において、LTEに準拠した通信が行われる。ただし、通信方式は、LTEに限られるものではない。
【0033】
通信システムを構成する複数の基地局装置1には、例えば、数キロメートルの大きさの通信エリア(マクロセル)MCを形成するマクロ基地局装置(Macro Base Station; MBS)1aのほか、マクロセルMCよりも小さいピコセルPCを形成するピコ基地局装置(Pico Base Station; PBS)1bが、含まれている。
以下では、マクロ基地局装置をマクロBS、ピコ基地局装置をピコBSというものとする。
【0034】
図1に示すように、ピコBS1bは、マクロセル内に1又は複数設置される。マクロセルMC内の端末装置を、マクロBS1aではなく、ピコBS1bに優先的に接続させることで、マクロBS1aの通信負荷を軽減させることができ、システム全体のスループットを向上させることができる。また、ピコBS1bは、セル範囲拡張(CRE)を行うことで、より多くの端末装置を、ピコBS1bに接続させることができる。すなわち、端末装置は、ピコBS1bから送信された信号の電力については、実際の受信電力の大きさに、所定値を加えることで、実際の受信電力の大きさよりも大きいものとみなす。これにより、端末装置は、優先度の高いピコBS1bの方に優先的に接続することになる。
【0035】
なお、マクロBS1a及びピコBS1bなどの基地局装置は、基地局間ネットワーク(有線ネットワーク)によって接続されている。基地局間ネットワークは、X2インターフェースと呼ばれる通信インターフェースによる回線によって構成され、基地局装置間での情報交換に利用される。
【0036】
図1に示すように、本実施形態では、基地局装置1が使用可能な周波数範囲は、複数(5つ)のコンポーネントキャリア(周波数ブロック)#0〜#4に分けられている。
マクロBS1aは、#0及び#2〜#4の4つのコンポーネントキャリアを、マクロBS1aに接続した端末装置2との間の通信に使用する。つまり、マクロBS1aは、#1のコンポーネントキャリアを、ブランクキャリアとし、信号の送信に使用しない。
【0037】
マクロセルMC内のピコBS1bは、マクロBS1aにおけるブランクキャリアであるコンポーネントキャリア#1を、ピコセルPC内の端末装置(特に、ピコセルPCのセルエッジ付近の端末装置)との間の通信に使用する。これにより、ピコBS1bに接続している端末装置(図示省略)が、ピコセルPCのセルエッジ付近など、マクロBS1aからの電波干渉を受け易い場所に位置していても、使用周波数が異なるため、マクロBS1aからの電波干渉を回避することができる。
【0038】
ピコBS1bは、基地局間ネットワーク又は無線通信を用いて、マクロBS1aのブランクキャリア#1を識別可能な情報(以下、「ブランクキャリア情報」という)を、マクロBS1aから受信する。ピコBS1bは、受信したマクロBS1aのブランクキャリア情報に基づいて、コンポーネントキャリア#1を、自装置1bが端末装置との間の通信に使用するコンポーネントキャリア(プライマリーコンポーネントキャリア)として決定する。
【0039】
なお、ピコBS1bは、マクロBS1aのブランクキャリア情報を、当該ブランクキャリア情報を有している他の装置(マクロBS1aに接続している端末装置、又は基地局間ネットワーク上の管理サーバなど)から受信してもよい。
【0040】
ブランクキャリア情報は、使用可能なコンポーネントキャリア#0〜#4のうち、ブランクキャリアとなっているコンポーネントキャリアを直接的に示すものであってもよいし、使用可能なコンポーネントキャリア#0〜#4のうち、通信に使用されるコンポーネントキャリアを示すことで、ブランクキャリアとなっているコンポーネントキャリアを間接的に示すものであってもよい。
【0041】
図1において、端末装置2は、マクロBS1aに接続しているものとする。つまり、マクロBS1aは、端末装置2にとって、サービング基地局装置(第1の基地局装置)となっている。
端末装置(信号測定装置)2は、ハンドオーバの要否の判断等のため、サービング基地局装置以外の1又は複数の他の基地局装置(第2の基地局装置)から送信された信号の測定(通信品質の測定)を行う。
【0042】
サービング基地局装置との間の通信品質と、他の基地局装置との間の通信品質とに基づき、端末装置2の接続先他の基地局装置接続の方に切り替えたほうが良いと判断された場合、ハンドオーバ処理が行われる。
【0043】
例えば、図1に示すように、マクロBS1aに接続している端末装置(信号測定装置)2は、ピコBS1bを測定対象の基地局装置(第2の基地局装置)とし、ピコBS1bから送信された信号の測定を行う。
【0044】
端末装置2がピコBS1bから送信された信号の測定を行おうとしても、端末装置2にとって、ピコBS1bが、どのコンポーネントキャリアを使用しているかは不明である。
したがって、端末装置2は、ピコBS1bから送信された信号を測定する場合、例えば、ピコBS1bが使用可能な周波数範囲全体(#0〜#4)を測定することが考えられる。しかし、この場合、端末装置2の負担が大きくなるおそれがある。例えば、各コンポーネントキャリア#0〜#4を一つずつ測定しようとすると、コンポーネントキャリア毎に、測定の対象周波数を切り替える必要があり、端末装置2の処理負荷が大きくなり、測定に要する時間も長くなる。
【0045】
また、ピコBS1bが使用可能な周波数範囲全体(#0〜#4)を一括して測定すると、マクロBS1aが通信に使用するコンポーネントキャリアについては、マクロBS1aからの干渉を受けるため、適切な測定が行えない。
つまり、ピコBS1bが使用可能な周波数範囲全体(#0〜#4)の通信品質を一括して測定すると、マクロBS1aが使用しているコンポーネントキャリア#0及び#2〜#4については、マクロBS1aからの干渉を受ける。したがって、コンポーネントキャリア#1では、干渉が少なくても、周波数範囲全体(#0〜#4)でみると、品質が悪くなる。
【0046】
このため、干渉のないコンポーネントキャリア#1だけを測定すれば、ピコBS1bから送信される信号の品質が良く、その結果、端末装置2はピコBS1bにハンドオーバすべきという状況であっても、端末装置2は、周波数範囲全体(#0〜#4)でみると、品質が悪いため、ハンドオーバすることができない。
すると、端末装置2は、ピコBS1bに接続しにくくなり、ピコBS1bへ優先的に接続させるという方針に反することになる。
【0047】
そこで、本実施形態の端末装置2は、マクロBS(サービング基地局装置;第1の基地局装置)1aのブランクキャリアを、ピコBS1b(第2の基地局装置)が通信に使用することになるという前提の下、マクロBS1aのブランクキャリアの周波数を、測定の対象周波数とする。
図1に示すように、マクロBS1aに接続している端末装置2は、マクロBS1aのブランクキャリアに対応するコンポーネントキャリア#1を、測定の対象とすることで、マクロBS1aからの干渉のない状態で、ピコBS1bの信号を測定することができる。
【0048】
図2は、図1に示す通信システムにおいて、端末装置(信号測定装置)2による信号測定のために行われる処理手順を示している。
まず、マクロBS1aは、自装置1aにおけるブランクキャリアとなる周波数を決定すると、そのブランクキャリアを識別するためのブランクキャリア情報を、マクロBS1aの近傍にあるピコBS1bに送信する(ステップS1−1)。
【0049】
ピコBS1bは、ブランクキャリア情報を受信すると(ステップS2−1)、受信したブランクキャリア情報に基づいて、自装置1bにおいて使用するコンポーネントキャリア(プライマリーコンポーネントキャリア)#1を決定する(ステップS2−2)。その後、ピコBS1bは、プライマリーコンポーネントキャリア#1を使用して、端末装置との間の通信を行う。
【0050】
マクロBS1aは、ブランクキャリア情報を、自装置1aに接続する端末装置2へも送信する(ステップS1−2)なお、ステップS1−1とステップS1−2とは、実行される順番が逆でもよい。
【0051】
マクロBS1aから端末装置2へのブランクキャリア情報の送信は、例えば、RRC Connection Reconfigrationなどの、端末装置2へ送信されるメッセージに含めて送信することができる。
【0052】
端末装置2は、通信中のマクロBS1aから送信されたブランクキャリア情報を受信する(ステップS3−1)。そして、端末装置(信号測定装置)2は、受信したブランクキャリア情報に基づいて識別されたブランクキャリア#1の周波数を対象周波数として、信号の測定を行う(ステップS3−2)。
つまり、端末装置2は、受信したブランクキャリア情報に基づいて識別されたブランクキャリア#1が、他の基地局装置(ピコBS1b)において使用されているものとみなして、ブランクキャリア#1の周波数に限定して測定する。
【0053】
したがって、端末装置2は、他の基地局装置(ピコBS1b)において使用されているコンポーネントキャリアを示す情報を取得しなくても、他の基地局装置(ピコBS1b)において使用されているコンポーネントキャリア#1を測定することができる。
また、端末装置2は、他の基地局装置(ピコBS1b)が使用する可能性のある周波数範囲全体(#0〜#4)を測定する必要がなく、特定の周波数(コンポーネントキャリア#1)だけを測定すればよいため、測定負担が少ない。
【0054】
しかも、端末装置2は、他の基地局装置(ピコBS1b)が使用しているが、サービング基地局装置(マクロBS1a)が使用していない周波数を測定するため、マクロセルからの干渉を受けずに測定することができる。
【0055】
端末装置2は、ブランクキャリア#1の周波数における信号測定を完了すると、その測定結果を示すメジャメントレポートを生成し、マクロBS1aへ送信する(ステップS3−3)。マクロBS1aは、端末装置2から送信されたメジャメントレポートを受信する(ステップs1−3)。
【0056】
通信システムは、マクロBS1aが受信したメジャメントレポートに基づき、端末装置2を、ピコBS1bにハンドオーバさせる必要があると判断した場合、端末装置2を、サービング基地局装置(マクロBS1a)から、ターゲット基地局装置(ピコBS1b)へハンドオーバさせる処理を行う。
【0057】
ハンドオーバ処理によって、端末装置2にとって、ピコBS1bがサービング基地局装置になると、ピコBS1bは、ピコBS1bのブランクキャリア#0及び#2〜#4を識別可能な情報(ブランクキャリア情報)を、端末装置2へ送信する(ステップS2−3)。
ピコBS1bから端末装置2へのブランクキャリア情報の送信も、RRC Connection Reconfigrationなどの、端末装置2へ送信されるメッセージに含めて送信することができる。
【0058】
端末装置2は、通信中のピコBS1bから送信されたブランクキャリア情報を受信する(ステップS3−4)。そして、端末装置(信号測定装置)2は、図3に示すように、受信したブランクキャリア情報に基づいて識別されたブランクキャリア#0及び#2〜#4の周波数を対象周波数として、信号の測定を行う(ステップS3−5)。
つまり、端末装置2は、受信したブランクキャリア情報に基づいて識別されたブランクキャリア#0及び#2〜#4が、他の基地局装置(マクロBS1a)において使用されているものとみなして、ブランクキャリア#0及び#2〜#4の周波数において測定を行う。
【0059】
なお、端末装置2は、ハンドオーバ前に、マクロBS1aのブランクキャリア#1を示すブランクキャリア情報を取得している。そこで、端末装置2は、ハンドオーバ前のサービング基地局装置(マクロBS1a)のブランクキャリア情報を、ハンドオーバ後においても用いて、ハンドオーバ前のサービング基地局装置(マクロBS1a)のブランクキャリア情報が示すブランクキャリア#1以外のコンポーネントキャリア#0及び#2〜#4の測定を行うこともできる。この場合、端末装置2は、ピコBS1bから、ブランクキャリア情報を取得することなく、コンポーネントキャリア#0及び#2〜#4の測定を行うことができる。
【0060】
端末装置2は、コンポーネントキャリア#0及び#2〜#4の周波数における信号測定を完了すると、その測定結果を示すメジャメントレポートを生成し、ピコBS1bへ送信する(ステップS3−6)。ピコBS1bは、端末装置2から送信されたメジャメントレポートを受信することができる(ステップs2−4)。
【0061】
[2.第2実施形態]
図4〜図6は、第2実施形態に係る通信システムを示している。第2実施形態に係る通信システムに関して、説明を省略する点については、第1実施形態と同様である。
【0062】
図4においては、2つのマクロBS1a,1bが形成する2つのマクロセルのセルエッジ付近にピコBS1b(第2の基地局装置)が配置されている。
端末装置2は、一方のマクロBS1aに接続しているものとする。マクロBS1aは、端末装置2にとって、サービング基地局装置(第1の基地局装置)となっている。
【0063】
図4において、マクロBS(MSB1)1aは、コンポーネントキャリア#0〜#4のうち、#0をプライマリーコンポーネントキャリア(PCC)として用い、#2及び#3をセカンダリーコンポーネントキャリア(SCC)として用いるものとする。したがって、コンポーネントキャリア#1及び#4が、ブランクキャリアである。
また、マクロBS(MSB2)1cは、コンポーネントキャリア#0〜#4のうち、#3をプライマリーコンポーネントキャリア(PCC)として用い、#0、#1及び#4をセカンダリーコンポーネントキャリア(SCC)として用いるものとする。したがって、コンポーネントキャリア#2がブランクキャリアである。
【0064】
図5に示すように、複数のマクロBS(MSB1・・・MSBN)は、各マクロBS1におけるブランクキャリア情報を、ピコBS1bへ送信する(ステップS11−1,S12−2)。
ピコBS1bは、各マクロBS1におけるブランクキャリア情報を受信すると(ステップS13−1)、自装置1bにおけるプライマリーコンポーネントキャリア(PCC)を決定する(ステップS13−2)。また、ピコBS1bは、自装置1bにおけるセカンダリーコンポーネントキャリア(SCC)も決定する(ステップS13−3)。
【0065】
図4においては、ピコBS1bは、#2をプライマリーコンポーネントキャリア(PCC)に設定し、#1をセカンダリーコンポーネントキャリア(SCC)に設定しているものとする。
【0066】
端末装置(信号測定装置)2は、ハンドオーバの要否の判断等のため、1又は複数の他の基地局装置(第2の基地局装置)から送信された信号の測定(通信品質の測定)を行う。端末装置2は、他の基地局装置が使用可能な周波数#0〜#4のうち、プライマリーコンポーネントとして用いる周波数における信号を測定するように設定されている(端末装置2の初期設定)。
【0067】
各基地局装置1a,1b,1cのプライマリーコンポーネントキャリアを示す情報は、各基地局装置1a,1b,1cから基地局間ネットワークへ送信され、基地局間ネットワークにおける管理サーバによって取得される。当該管理サーバは、各基地局装置1a,1b,1cに対し、複数の基地局装置(近傍の基地局装置)のプライマリーコンポーネントキャリアを示す情報を通知する。
基地局装置1a,1b,1cは、基地局装置のプライマリーコンポーネントキャリアを示す情報を、管理サーバから取得すると、当該情報を、ネイバーセルリストとして、端末装置2へ送信する。
【0068】
基地局装置1a,1b,1cは、定期的に、及び、必要に応じて、ネイバーセルリストを端末装置2へ送信する。したがって、端末装置2は、最新のネイバーセルリストを常時有することができる。
【0069】
図7(a)に示すように、ネイバーセルリストは、各コンポーネントキャリア#0〜#4を、プライマリーコンポーネントキャリアとして使用する基地局装置(近傍の基地局装置)を示すように構成されている。
つまり、図7(a)のネイバーセルリストは、コンポーネントキャリア#0はマクロBS(MBS1)1aによってプライマリーコンポーネントキャリアとして使用され、コンポーネントキャリア#2はピコBS1bによってプライマリーコンポーネントキャリアとして使用され、コンポーネントキャリア#3はマクロBS(MBS2)1bによってプライマリーコンポーネントキャリアとして使用されている(図4も参照)。
【0070】
コンポーネントキャリア#1及び#4は、プライマリーコンポーネントキャリアとしては、マクロBS1aの近傍にある基地局装置のいずれにおいても使用されていない。
ネイバーセルリストは、セカンダリーコンポーネントキャリアについての情報を含まない。つまり、コンポーネントキャリア#1及び#4が、セカンダリーコンポーネントキャリアとして、いずれかの基地局装置1a,1b,1cによって使用されていても、そのことを示す情報は、ネイバーセルリストに含まれない。
【0071】
端末装置2は、ネイバーセルリストを受信すると、各基地局装置1a,1b,1cが、どのコンポーネントキャリアを、プライマリーコンポーネントキャリアとして使用しているかを識別することができる。
端末装置2は、ネイバーセルリストに基づき、他の基地局装置1b,1cがプライマリーコンポーネントキャリアとして設定しているコンポーネントキャリアの信号を測定する。例えば、コンポーネントキャリア#2については、ピコBS1bから送信された信号を測定対象信号として、測定が行われる。
【0072】
第2実施形態では、他の基地局装置1b,1cが主として使用するプライマリーコンポーネントキャリアを測定するが、他の基地局装置1b,1cのプライマリーコンポーネントキャリアは、サービング基地局装置(マクロBS1a)において通信に使用されている可能性がある。
例えば、図4では、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2は、サービング基地局装置であるマクロBS1aにおいてセカンダリーコンポーネントキャリアとして使用されている。このため、端末装置2は、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2に対応する周波数の信号を測定しようとすると、マクロセルから電波干渉を受けてしまう。
【0073】
しかし、図4に示すように、ピコBS1bは、コンポーネントキャリア#1もセカンダリーコンポーネントキャリアとして通信に使用する状態にあり、このコンポーネントキャリア#1は、マクロBS1aにおいてブランクキャリアである。
したがって、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2が、マクロセルからの電波干渉を受ける場合であっても、コンポーネントキャリア#1であれば、端末装置2は電波干渉を受けない。
したがって、端末装置2は、上記の状況下では、初期設定とおり、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2の信号を測定するのではなく、マクロBS1aのブランクキャリアであるコンポーネントキャリア#1の信号を測定することが望まれる。
【0074】
図5のS13−4以降の処理は、上記の状況に対応するための処理である。
まず、プライマリーコンポーネントキャリア及びセカンダリーコンポーネントキャリアを決定したピコBS1bは、決定したライマリーコンポーネントキャリア及びセカンダリーコンポーネントキャリアを示す情報(PCC位置情報及びSCC位置情報)を、他の各基地局装置1a,1cに通知する(ステップS13−4)。
【0075】
マクロBS1aは、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア及びセカンダリーコンポーネントキャリアを示す情報(PCC位置情報及びSCC位置情報)を取得する(ステップステップS11−2)。
マクロBS1aは、受信したPCC位置情報が示すプライマリーコンポーネントキャリア#2の周波数(初期設定に従った対象周波数)と、自装置1aのブランクキャリア#1及び#4の周波数とが、一致するか(重複するか)否かを判定する(ステップS11−3)。
【0076】
仮に、受信したPCC位置情報が示すプライマリーコンポーネントキャリアの周波数(端末装置2が、初期設定に従って、信号を測定する対象周波数)と、自装置1aのブランクキャリアの周波数とが、一致している場合、端末装置2は、マクロセルからの干渉を受けない状態で、ピコBS1bの信号を測定することになる。したがって、マクロBS1aとしては、それ以降、特段の処理をする必要がない。つまり、端末装置2は、初期設定とおり、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリアの信号を測定すれば、マクロBS1aのブランクキャリアにおいて信号を測定していることになる。
【0077】
一方、受信したPCC位置情報が示すプライマリーコンポーネントキャリア#2の周波数(初期設定に従った対象周波数)と、自装置1aのブランクキャリア#1及び#4の周波数とが、一致していない(重複していない)と判定された場合、マクロBS1aは、ピコBS1bに対し、プライマリーコンポーネントキャリアの変更要求を送信する処理(状態変更処理)を実行する(ステップS11−4)。当該変更要求には、マクロBS1aが希望する変更先(例えばコンポーネントキャリア#1及び#4)を含めるのが好ましいが、含めなくても良い。
【0078】
ピコBS1bは、変更要求を受信すると(ステップS13−5)、プライマリーコンポーネントキャリアの変更の可否を判定する(ステップS13−6)。ピコBS1bは、マクロBS1aが希望する変更先、及び/又は、他の基地局装置1cにおけるプライマリーコンポーネントキャリアの設定状況などを考慮して、変更の可否を判定する。
【0079】
ピコBS1bは、プライマリーコンポーネントキャリアの変更が可能であると判定された場合、ピコBS1bは、マクロBS1aが希望する変更先、又は、他の適当な変更先を決定する(ステップS13−7)。ピコBS1bは、決定した変更先を含む変更応答を、マクロBS1aに送信する(ステップS13−8)。
【0080】
例えば、図4に示すように、変更後においては、プライマリーコンポーネントキャリア(PCC)は、#1に設定されている。なお、セカンダリーコンポーネントキャリア(SCC)も変更され、#2に設定されている。
【0081】
ピコBS1bが送信する変更応答には、ピコBS1bが決定した変更先(#1)を示す情報を含めても良い。この場合、マクロBS1aは、変更先(#1)を、直ちに、端末装置2に通知することができる。なお、ピコBS1bが送信する変更応答に、ピコBS1bが決定した変更先(#1)を含めなくても、管理サーバ経由で、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#1の位置は、マクロBS1aに通知される。図7(b)は、変更後のネイバーセルリストを示している。図7(b)のネイバーセルリストは、ピコBS1bが、コンポーネントキャリア#1をプライマリーコンポーネントキャリアとして使用することを示している。
【0082】
ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリアが#1に変更されると端末装置2は、初期設定とおり、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#1の信号を測定すれば、マクロBS1aのブランクキャリア#1において信号を測定していることになる。
【0083】
このように、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2が、マクロBS1aのブランクキャリア#1,#4と一致していなくても、ピコBS1bがプライマリーコンポーネントキャリアを#1に変更する処理を実行することで、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#1(測定の対象周波数)が、マクロBS1aのブランクキャリア#1,#4と重複する状態が得られる。
【0084】
ステップS13−6において、ピコB1bは、プライマリーコンポーネントキャリアの変更を不可と判定することもある。例えば、マクロBS1aが希望する変更先を、マクロBS1cなどの他の基地局装置(第3の基地局装置)が(プライマリーコンポーネントキャリアとして)既に使用している場合など、適切な変更先が無い場合には、変更不可と判定される。
【0085】
変更不可となった場合、図6に示すように、ピコBS1bは、変更不可通知を、マクロBS1aに送信する(ステップS13−9)。
マクロBS1aは、変更不可通知を受信すると(ステップS11−5)、端末装置2に対し、信号測定の対象周波数を変更させる指令を送信する処理(状態変更処理)を実行する(ステップS11−6)。当該指令は、信号を測定する対象である基地局装置(ピコBS1b)の1又は複数のセカンダリーコンポーネントキャリアを端末装置2に測定させるためのものである。
当該指令には、ピコBS1bの1又は複数のセカンダリーコンポーネントキャリア#1を示す情報も含まれる。
【0086】
端末装置2は、当該指令を受信すると(ステップS14−1)、プライマリーコンポーネントキャリア#2の信号を測定するという端末装置2における初期設定にかかわらず、ピコBS1bのセカンダリーコンポーネントキャリア#1の信号を測定する(ステップS14−2)。
【0087】
プライマリーコンポーネントキャリア#2がマクロセルから干渉を受ける状況であっても、セカンダリーコンポーネントキャリアは、マクロセルから干渉を受けない可能性もあるため、セカンダリーコンポーネントキャリアの信号を測定することで、干渉を回避しつつ測定を行える可能性が生まれる。
【0088】
図4では、ピコBS1bのセカンダリーコンポーネントキャリアは、#1であり、マクロBS1aのブランクキャリア#1と一致している。したがって、端末装置2は、セカンダリーコンポーネントキャリア#1を測定することで、マクロBS1aのブランクキャリア#1において信号を測定していることになる。
【0089】
このように、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2が、マクロBS1aのブランクキャリア#1と一致していなくても、端末装置2が、測定の対象周波数を、ピコBS1bがセカンダリーコンポーネントキャリア#1の周波数に変更することで、測定の対象周波数#1が、マクロBS1aのブランクキャリア#1と重複する状態が得られる。
【0090】
ピコBS1bのセカンダリーコンポーネントキャリアが複数存在する場合、端末装置2は、それぞれのセカンダリーコンポーネントキャリアを、一つずつ測定する。その際、端末装置2は、複数のセカンダリーコンポーネントキャリアのうち、マクロBS1aにおけるブランクキャリアとなっているコンポーネントキャリアを優先して、先に測定を行う。例えば、ピコBS1bのセカンダリーコンポーネントキャリアが、#0,#1の2つであれば、マクロBS1aのブランクキャリアである#1を先に測定し、その後、#0の測定を行う。
【0091】
マクロBS1aにおけるブランクキャリアを優先して測定することで、先に測定し終えたコンポーネントキャリア#1のメジャメントレポートを、コンポーネントキャリア#0の測定完了前に、マクロBS1aに対して送信することができる(ステップS14−3)。したがって、マクロBS1aは、干渉の回避されたコンポーネントキャリア#1のメジャメントレポートを、早い時点で得られる。干渉の回避されたコンポーネントキャリア#1のメジャメントレポートを、早い時点で得ることで、端末装置2を、早い時点で、ピコB1bにハンドオーバさせることが可能となる。
【0092】
図8は、図5に示す処理に後続する処理(図6)の変形例を示している(図8に示す処理も図5に示す処理に後続する)。
図5のステップS13−6において、ピコB1bが、プライマリーコンポーネントキャリアの変更を不可と判定すると、図8に示す処理においても、ピコBS1bは、変更不可通知を、マクロBS1aに送信する(ステップS13−9)。
【0093】
マクロBS1aは、変更不可通知を受信すると(ステップS11−5)、自装置1aのブランクキャリアの周波数位置を、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2に変更する処理(状態変更処理)を実行する(ステップS11−8)。
【0094】
マクロBS1aのブランクキャリアが、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2の周波数位置に変更されると、端末装置2は、初期設定とおり、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2の信号を測定すれば(ステップS14−4)、マクロBS1aのブランクキャリア#2において信号を測定していることになる。
【0095】
端末装置2は、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2の測定結果であるメジャメントレポートをマクロBS1aに送信し(ステップS14−5)、マクロBS1aはそのメジャメントレポートを受信する(ステップS11−9)。
【0096】
このように、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2が、マクロBS1aのブランクキャリア#1,#4と一致していなくても、マクロBS1aがブランクキャリアを#2に変更する処理を実行することで、ピコBS1bのプライマリーコンポーネントキャリア#2(測定の対象周波数)が、マクロBS1aのブランクキャリア#2と重複する状態が得られる。
【0097】
以上のように、第1実施形態では、端末装置は、サービング基地局装置におけるブランクキャリアにおいて信号を測定することで、サービング基地局装置からの干渉を回避しつつ、他の基地局装置からの信号の測定を行える。
また、第2実施形態では、端末装置が、基地局装置のプライマリーコンポーネントキャリアを測定するように構成されていても、状態変更処理によって、測定の対象周波数が、サービング基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と重複するようになるため、サービング基地局装置からの干渉を回避しつつ、他の基地局装置からの信号の測定を行える。
このように、第1及び第2実施形態では、いずれも、ブランクキャリアを考慮した信号測定が行われる。
【0098】
本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、実施形態におけるマクロBS及びピコBSは、ピコBS及びピコBSよりも小さいセルを形成するフェムトBSであってもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 基地局装置
1a マクロ基地局装置
1b ピコ基地局装置
1c マクロ基地局装置
2 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置が信号を測定する方法であって、
前記端末装置は、前記端末装置が接続しているサービング基地局装置である第1の基地局装置が通信に使用していないブランクキャリアを識別可能な情報を、前記第1の基地局装置から受信し、
前記端末装置は、受信した前記情報に基づいて識別されたブランクキャリアの周波数を対象周波数として、第2の基地局装置から送信された信号を測定する
方法。
【請求項2】
前記端末装置は、ハンドオーバによって前記第2の基地局装置が新たなサービング基地局装置になった後は、前記第2の基地局装置が使用可能なキャリアのうち、前記第1の基地局装置が通信に使用していない前記ブランクキャリア以外のキャリアの周波数を対象周波数として、前記第1の基地局装置から送信された信号を測定する
請求項1記載の方法。
【請求項3】
端末装置が信号を測定する方法であって、
前記端末装置が接続しているサービング基地局装置である第1の基地局装置は、
前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複するか否かを判定する判定処理と、
前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しない場合には、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複する状態を得るための状態変更処理と、
を実行し、
前記端末装置は、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複する状態の下で、第2の基地局装置から送信された信号を測定する
方法。
【請求項4】
前記判定処理は、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しているか否かを判定することで実行され、
前記状態変更処理は、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しない場合に実行される
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記状態変更処理は、前記端末装置が信号を測定する対象周波数を、前記第2の基地局装置における1又は複数のセカンダリーコンポーネントキャリアの周波数にさせるための指令を前記端末装置に送信する処理を含む
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記端末装置は、前記指令に基づいて、複数のセカンダリーコンポーネントキャリアの周波数を対象周波数として、前記第2の基地局装置から送信された信号の測定を行う際に、前記対象周波数のうち、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数を優先して測定する
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記状態変更処理は、前記第2の基地局装置に対して、プライマリーコンポーネントキャリアの周波数の変更要求を、前記第2の基地局装置に送信する処理を含む
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の基地局装置は、前記変更要求に従ってプライマリーコンポーネントキャリアの周波数を変更することができない場合には、変更不可通知を、前記第1の基地局装置に送信する
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第2の基地局装置は、前記変更要求に従ってプライマリーコンポーネントキャリアの周波数を変更することができるか否かの判定を、第3の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数に基づいて行い、前記変更要求に従ってプライマリーコンポーネントキャリアの周波数を変更することができないと判定された場合に、前記変更不可通知を、前記第1の基地局装置に送信する
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記状態変更処理は、前記第1の基地局装置が前記変更不可通知を受信した場合には、前記端末装置が信号を測定する対象周波数を、前記第2の基地局装置における1又は複数のセカンダリーコンポーネントキャリアの周波数にさせるための指令を前記端末装置に送信する処理を含む
請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記状態変更処理は、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複するように、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数を変更する処理を含む
請求項4記載の方法。
【請求項12】
前記状態変更処理は、前記第1の基地局装置が前記変更不可通知を受信した場合には、前記第2の基地局装置におけるプライマリーコンポーネントキャリアの周波数と、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複するように、前記第1の基地局装置におけるブランクキャリアの周波数を変更する処理を含む
請求項8又は9記載の方法。
【請求項13】
前記第2の基地局装置は、前記第1の基地局装置が形成するセルよりも小さいセルを形成する小型基地局装置である
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
基地局装置との間で通信を行う端末装置であって、
サービング基地局装置である第1の基地局装置が通信に使用していないブランクキャリアを識別可能な情報を、前記第1の基地局装置から受信する手段と、
受信した前記情報に基づいて識別されたブランクキャリアの周波数を対象周波数として、第2の基地局装置から送信された信号を測定する手段と、
を備えた端末装置。
【請求項15】
端末装置との間で通信を行う基地局装置であって、
端末装置が信号を測定する対象周波数と、自装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複するか否かを判定する判定処理部と、
前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、自装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複しない場合には、前記端末装置が信号を測定する対象周波数と、自装置におけるブランクキャリアの周波数と、が重複する状態を得るための状態変更処理部と、
を備えた基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−110673(P2013−110673A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256063(P2011−256063)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】