説明

信号伝送装置及びプリンター

【課題】従来のフラットケーブルを使った方式でネックであった、機械的耐久性、フラットケーブルの移動スペース確保、ケーブルを移動させることによる慣性の課題を排除する。
【解決手段】信号伝送装置は、プリンターの記録ヘッドを制御する制御信号を、プリンターの駆動回路から記録ヘッドへ伝送する信号伝送装置において、プリンターの筐体に設置されかつコイルを有する第1の共振回路5と、筐体に対して可動する記録ヘッドに設置されかつコイルを有する第2の共振回路6と、を有し、制御信号を、第1の共振回路5から第2の共振回路6へ、近傍電磁界によるワイヤレス電力によって伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送装置及びプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターの記録ヘッドにおいては、筐体に対して可動する可動部に設置され、その記録ヘッドに実装されたインクジェットノズル等から被印刷紙面等へインクを吐出し付着させる。この記録ヘッドの制御信号は筐体に固定されたドライバー回路からフレキシブルケーブルによって信号を送っている。
【0003】
しかし、この場合、フレキシブルケーブルの耐久性、機械的抵抗、慣性、フレキシブルケーブルの動くスペースの確保が課題になり、これらを考慮した設計が必要である。
【0004】
この問題を解決するための技術として、例えば特許文献1は記録ヘッドへの信号を無線にて伝送することが書かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−098836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では通常の無線通信を用いること以上に、具体的に無線にてどのような手法で記録ヘッドへの信号を伝送するかは開示されていない。特に記録ヘッドの駆動には大きなエネルギーが必要であり、通常の無線通信ではこのような大きなエネルギーを伝送するのに困難がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]プリンターの記録ヘッドを制御する制御信号を、該プリンターの駆動回路から前記記録ヘッドへ伝送する信号伝送装置において、前記プリンターの筐体に設置されかつコイルを有する第1の共振回路と、前記筐体に対して可動する前記記録ヘッドに設置されかつコイルを有する第2の共振回路と、を有し、前記制御信号を、前記第1の共振回路から前記第2の共振回路へ、近傍電磁界によるワイヤレス電力によって伝送することを特徴とする信号伝送装置。
【0009】
これによれば、従来有線で信号を伝えていた、移動する記録ヘッドへの制御信号伝送が無線化できるので、フレキシブルケーブルの機械的耐久性、機械的抵抗、慣性、移動スペース確保の必要性を排除できる。
また、近傍電磁界を用いているため、大電力の電力伝送が可能である。記録ヘッドの駆動には大電力が必要であり、通常の無線通信で使われる遠方電磁界を用いた無線信号伝送ではこれに対応することは困難であったのに対して、近傍電磁界で共振回路同士で電力伝送するとこれが可能になる。
【0010】
[適用例2]上記信号伝送装置であって、前記制御信号のチャンネル数と同数の前記第1の共振回路と、前記制御信号のチャンネル数と同数の前記第2の共振回路と、を有し、前記第1の共振回路及び前記第2の共振回路からなる一対の共振回路組が1チャンネルの前記制御信号を伝送することを特徴とする信号伝送装置。
【0011】
これによれば、記録ヘッドの制御信号は数10〜数100チャンネルあり、これらをいかにして個別にプリンター本体に固定された記録ヘッド制御回路から記録ヘッドに伝送するかが重要になる。本適用例はそのための基本的な方策であり、一組の送受信の共振回路のペアで1チャンネルの信号を伝送するものである。
【0012】
[適用例3]上記信号伝送装置であって、前記第1の共振回路及び前記第2の共振回路のうち少なくともいずれか一方において、一つのコイルに対して複数の異なった容量のコンデンサーが並列に接続され、該コンデンサーの個数と同じ数の周波数に共振することで複数チャンネルの信号を伝送する共振回路であることを特徴とする信号伝送装置。
【0013】
これによれば、一つの共振回路を複数の周波数で共振可能とし、これにより共振回路の送受信ペアの数を減らすものである。
【0014】
[適用例4]上記信号伝送装置であって、前記第1の共振回路及び前記第2の共振回路のうち少なくともいずれか一方において、一つのコンデンサーに対して複数のコイルが接続され、該コイルの個数と同じ数の周波数に共振することで複数チャンネルの信号を伝送する共振回路であることを特徴とする信号伝送装置。
【0015】
これによれば、一つの共振回路を複数の周波数で共振可能とし、これにより共振回路の送受信ペアの数を減らすものである。
【0016】
適用例3ではコンデンサーの数を増やしたが、適用例4ではコイルの数を増やしている。小型のコイルをプリント基板上に配線パターンを用いて多数並べる場合に有効な手法である。
【0017】
[適用例5]上記信号伝送装置であって、前記伝送される制御信号は、高周波による搬送波に前記制御信号を変調信号として振幅変調、周波数変調、若しくは位相変調をかけた被変調信号を含むことを特徴とする信号伝送装置。
【0018】
これによれば、記録ヘッドの制御信号のような高周波信号をそのまま伝送すると波形劣化が激しい。各制御信号を振幅変調、周波数変調、あるいは位相変調をかけ、この被変調信号を伝送することにより、伝送による波形やS/N比の劣化を防ぐことができる。
【0019】
[適用例6]上記信号伝送装置であって、前記伝送される制御信号は、第1の共振周波数で前記制御信号のチャンネル番号を伝送し、第2の共振周波数で前記被変調信号を時分割で伝送することを特徴とする信号伝送装置。
【0020】
これによれば、伝送による波形やS/N比の劣化を防ぐ信号伝送が可能となる。
【0021】
[適用例7]上記に記載の信号伝送装置を備えたプリンター。
【0022】
これによれば、記録ヘッドの制御信号を送るためのフレキシブルケーブルを必要としないので、フレキシブルケーブルに起因する耐久性、機械的抵抗、慣性、スペースの確保等の課題のうち少なくとも一つを抑制したプリンターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係るプリンター筐体側の送信用共振回路と、記録ヘッド側の受信用共振回路とを示した図。
【図2】本実施形態に係る送受信の共振回路の等価回路構成を示す図。
【図3】本実施形態に係る電磁界シミュレーションによる共振回路を用いた電力伝送能力説明図。
【図4】本実施形態に係るワイヤレス信号電力伝送装置の回路ブロック図。
【図5】本実施例に係る50チャンネルの記録ヘッド制御信号をワイヤレス伝送するための装置の構成を示すブロック図。
【図6】本実施例に係る多チャンネルの信号電力伝送における伝送波形の例を示す図。
【図7】本変形例に係る送受信の共振回路の等価回路構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態では、共振回路を一つとし、これを2つの周波数で共振させ、またそのうち一つの周波数(チャンネル)を制御信号伝送に、残りの一つの周波数を時分割で伝送する場合について説明する。
【0025】
1.原理
図1は、本実施形態に係るプリンター筐体部側の送信用共振回路と、記録ヘッド側の受信用共振回路とを示した図である。本実施形態に係るプリンター100は、筐体部102と、送信用共振回路(第1の共振回路)5と、受信用共振回路(第2の共振回路)6と、を備えている。送信用共振回路5は、送信用コイル2を備えている。受信用共振回路6は、受信用コイル1を備えている。プリンター100の筐体部102には送信用コイル2が固定される。この送信用コイル2はこれに並列又は直列に接続されたC(コンデンサー)と共に送信用共振回路5を構成する。また、送信用コイル2は細長い形状として、受信用コイル1の移動範囲全域にかかるように配置すると、受信用コイル1の位置による受信信号レベルの変動が少なくなり有利である。受信用コイル1は移動するノズルユニット3に固定され、送信用コイル2同様受信用コイル1に並列又は直列に接続されたCと共に受信用共振回路6を構成する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る送受信の共振回路の等価回路構成を示す図である。送受信のそれぞれの第1及び第2共振回路5,6は同じ共振周波数となるようにL(コイル)23及びC24の値を調整する。第1及び第2共振回路5,6は、前述のように送信側と受信側とでサイズを変えることはあるが、基本回路構成は同じである。図1で、送信用コイル2として記されたのが送信用共振回路5であり、プリンター100の筐体部102に固定される。これに対して受信用コイル1と記されたのが筐体部102に対して移動する記録ヘッド3に固定された受信用共振回路6である。入出力端子4は、送信用共振回路5においては、伝送するための送信信号を入力する端子であり、受信用共振回路6においては、伝送された受信信号を出力する端子である。
【0027】
図1に示された送信用コイル2から受信用コイル1へは近傍電磁界を主としたワイヤレス電力によって記録ヘッド制御信号を伝送する。
図3は、本実施形態に係る電磁界シミュレーションによる共振回路を用いた電力伝送能力説明図である。図3(B)に電磁界シミュレーションによって実際に共振回路間で電力伝送を行った場合の伝送能力(S12)を示す。図3(A)ではL(コイル 図中でL1、L2と記載)とC(コンデンサー 図中でC1、C2と記載)は直列に接続され、その片側はGND、その反対側の端子は変調信号出力端子に接続される。また、コイルの中心間の距離は150mm、コイルの巻面同士の距離は50mmである。共振周波数0.2GHz付近にて伝送量(S12)が0dB以上となっており、シミュレーション上、送信と受信との共振回路間で効率100%以上で20cmの距離を電力伝送可能である。
【0028】
図3(B)にて電力伝送能力について電磁界シミュレーションの結果を示した。ここで示されたのは高周波信号に関する電力伝送能力であるのに対して、実際に記録ヘッド制御にて伝送が必要なのは、10MHz程度の周波数成分を主体としたデジタル信号である。そこで、このデジタル信号を、前述のワイヤレス電力伝送を用いて伝送する方法を説明する。
【0029】
図4にその記録ヘッド制御信号をワイヤレス電力伝送するための回路ブロック図を示す。
図4は、本実施形態に係るワイヤレス信号電力伝送装置(信号伝送装置)104の回路ブロック図である。高周波発生装置10は搬送波(高周波)を発生させる。記録ヘッド制御信号は変調信号としてAM変調回路7のブロックにて搬送波(高周波)をAM変調する。このAM変調された高周波が送信用共振回路5に入力され、近傍電磁界を主とした電磁波に変換される。この電磁波は受信用共振回路6にて電圧と電流とから成る電気エネルギーに変換される。この信号をダイオード等とコンデンサーとで構成された検波回路8を通すことで、元の記録ヘッド制御信号を復元する。検波回路8で復元された記録ヘッド制御信号は、インクジェットノズルのアクチュエーター9を駆動する。
【0030】
ここで記録ヘッド制御信号によって搬送波(高周波)をAM変調しこれを検波することによって元の記録ヘッド制御信号を取り出すことによる信号伝送効率を示す。
AM変調回路7の記録ヘッド制御信号(変調波)に対する入力インピーダンスは高く設定し、電流はほとんど流れない。このため送信側における記録ヘッド制御信号の電力はほぼ0となる。
これに対して、搬送波(高周波)の電力が受信側に伝送されることになる。
共振回路間のワイヤレス電力伝送の効率については前述の電磁界シミュレーションによる値のとおりなので、ここではこのロス以外の、AM変調回路7から出力された高周波信号と、検波回路出力との間のロスを示す。
交流の電力は次の式で示される。
交流の有効電力P=|E|×|I|×cosφ
ここで|E|、|I|はそれぞれ電圧、電流の実効値、φは電圧と電流との位相差。この式に示されるように交流(高周波を含む)の周波数は交流の有効電力に無関係であり、電圧と電流との位相差が関与する。φは本シミュレーション例では30度以下となっている。このため伝送効率cosφは√3/2以上となる。電磁界シミュレーションの結果より共振回路間の伝送効率を100%と考えると、制御信号伝送装置全体の伝送効率も√3/2以上となる。
【0031】
2.実施例
次に、プリンターにおける記録ヘッド制御信号のチャンネル数を仮に50とし、ここに本発明を適用した場合の実施例について説明する。ただし、本発明を適用可能な実施例がこれに限定されるものではない。
【0032】
2−1.構成・動作
図5は、本実施例に係る50チャンネルの記録ヘッド制御信号をワイヤレス伝送するための装置の構成を示すブロック図である。記録ヘッド制御装置(信号伝送装置)106は、第1及び第2送信用共振回路12,19と第1及び第2受信用共振回路13,20と、AM変調回路11,18と、高周波発生装置25と、検波回路14,21とを備えて構成される。尚、AM変調回路11,18と、高周波発生装置25、あるいは検波回路14,21はそれぞれ別のICとして製造することも、1チップとして製造することも可能である。
【0033】
第1及び第2送信用共振回路12,19と第1及び第2受信用共振回路13,20との共振周波数は様々な値に設定可能である。最も基本的な設定としてはこの共振周波数を50個設け、その共振周波数に記録ヘッド制御信号の50チャンネルそれぞれを割り当てる。しかしこの方法によると通信に必要な周波数が広帯域に渡って必要なため、使用周波数削減と共振回路規模削減とのため次のような方法を用いることも可能である。
【0034】
第1及び第2送信用共振回路12,19と第1及び第2受信用共振回路13,20とは、図2に示した共振周波数として第1の周波数と第2の周波数と第3の周波数との3つの周波数を持つ。50チャンネルの信号は第1の周波数で送られる信号にて同期通信方式で時分割で伝送される。第2の周波数では第1の周波数の同期通信のための同期信号及び時分割で送られる各チャンネルのチャンネル番号を伝送する。第3の周波数は同期回路等の電源電力伝送用に用いる。
パラレル→シリアル変換回路15は、入力された50チャンネルの記録ヘッド制御信号を、同期クロック&チャンネル選択回路17からの同期信号にしたがって時分割信号に切替する回路である。シリアル信号に変換された記録ヘッド制御信号は、高周波発生装置25で発生された第1の周波数の高周波を搬送波として、AM変調回路11でAM変調され、第1送信用共振回路12に入力される。第1送信用共振回路12から第1受信用共振回路13の間でワイヤレス伝送が行われ、受信された変調信号は検波回路14に送られる。検波回路14で復調された時分割信号は、シリアル→パラレル変換回路16で元の50チャンネルの信号に変換され、ヘッドを駆動する回路に出力される。
また、同期信号及び時分割で送られる各チャンネルのチャンネル番号は、同期クロック&チャンネル選択回路17からAM変調回路18で第2の周波数を搬送波としてAM変調されて第2送信用共振回路19へ送られ、第2受信用共振回路20へワイヤレス伝送が行われ、検波回路21で復調された後に、同期クロック&チャンネル復調回路22へ入力される。
尚、同期回路等の電源電力伝送用には第3の周波数を用いて同様にワイヤレス伝送が行われるが、図示を省略してある。
【0035】
図6に第1の周波数と第2の周波数とで送る信号の例を示す。
図6は、本実施例に係る多チャンネルの信号電力伝送における伝送波形の例を示す図である。第1の周波数で送られる信号は、第2の周波数のチャンネル番号と同期している指定されたチャンネルの時分割されたその瞬間の値を伝送する。つまり時分割された各チャンネル信号のうち第nチャンネルの信号が送信される時に、同期&選択チャンネル信号は「n」をチャンネル番号信号として同時に送信される。
1チャンネルあたり1ms、つまり50チャンネルの信号を50msに時分割して信号伝送した場合、一つのチャンネルの信号は50ms間隔で送られてくることになる。この場合信号が抜ける49msについて出力を補間する必要がある。このために検波回路の後に対GND間に設置されたCが働く。信号が伝送される1msの間にCは電力をチャージし、補間期間の49msの間、そのチャージによって出力を保持する。
第2の周波数においては、同期信号とチャンネル番号信号とを伝送する。同期信号は大振幅A(例えば5V)で一定のタイミングで送られ、その後に続く小振幅Bの64ビットで構成されるチャンネル番号指定ビットで伝送される。
このようにチャンネル切替え回路を用い、一つの周波数で伝送できるチャンネル数を増やすことにより共振周波数の数を減らすことができ、占有周波数の削減及び共振回路の簡素化を行うことができる。
【0036】
3.変形例
3−1.プリンター
本発明は、制御信号を必要とする移動部と固定された制御部とを持つ電子機器であればいずれの電子機器にも適用可能である。例えば、インクジェットブリンターのみならず、バブルジェット(登録商標)プリンターなど様々なプリンターやプロッターに応用できる。
【0037】
3−2.スキャナー
上述した実施例では、制御信号を固定部から移動部へ信号を伝送することとし、プリンターについて説明したが、移動部へワイヤレス電力で電源を供給することで、移動部から固定部へ信号を伝送することもできる。これによりイメージスキャナーにおいても移動する光センサー部から筐体に固定された信号処理部へワイヤレス電力伝送にて信号を伝送することもできる。
【0038】
3−3.ロボットアーム
工業用などの自由に回転する関節部を持ったロボットにおいて、その関節部における信号の伝送にも本発明は用いることができる。ロボットのアームには多数のモーターが搭載され、その制御信号はロボット制御回路から従来有線伝送されている。ここで関節部にてもその配線が関節の動きに合わせてねじられる構造になっており、このねじれに対する電線の耐久性や機械的抵抗が課題である。このためこの関節部に対する両側のアームにそれぞれ送信と受信との共振回路を設け、本発明により制御信号を伝送できる。アームの先に付いたセンサーの出力信号を制御信号とは逆向方向で伝送することも可能である。
【0039】
3−4.ワイヤレス電力伝送の種類
上述した実施例では、送受信に共振回路を使い、主に近傍電磁界にてワイヤレス電力伝送するとした。しかしワイヤレス電力伝送の方法としては、次のような方法を用いることもできる。
・誘導起電力を用いた方法
送信用コイルと受信用コイルとを用い、それらコイルの相互インダクタンスにより、送信側コイルから受信側コイルに誘導される電力を用いる。
・アンテナを用いる方法
ダイポールアンテナなどを用い、通常の長距離信号伝送を行う方法も使用できる。しかし実施例に示した共振回路を使用する方法と比較して、電力の伝送効率は劣化する。また、電磁波の筐体の外への不要輻射も多くなり余り実用的ではない。
【0040】
3−5.共振回路
図7は、本変形例に係る送受信の共振回路の等価回路構成を示す図である。上述した実施例では、送信用共振回路及び受信用共振回路のうち少なくともいずれか一方において、一つのLに対して複数の異なった容量のCが並列に接続され、Cの個数と同じ数の周波数に共振することで複数チャンネルの信号を伝送する共振回路とすることとし、信号伝送装置について説明したが、図7に示すように、送信用共振回路及び受信用共振回路のうち少なくともいずれか一方において、一つのC24に対して複数のL23が接続され、L23の個数と同じ数の周波数に共振することで複数チャンネルの信号を伝送する共振回路とすることもできる。これにより一つの共振回路を複数の周波数で共振可能とし、これにより共振回路の送受信ペアの数を減らすこともできる。
【符号の説明】
【0041】
1…受信用コイル 2…送信用コイル 3…ノズルユニット(記録ヘッド) 4…入出力端子 5…送信用共振回路(第1の共振回路) 6…受信用共振回路(第2の共振回路) 7…AM変調回路 8…検波回路 9…アクチュエーター 10…高周波発生装置 11…AM変調回路 12…第1送信用共振回路 13…第1受信用共振回路 14…検波回路 15…パラレル→シリアル変換回路(チャンネル切替回路) 16…シリアル→パラレル変換回路(チャンネル切替回路) 17…同調クロック&チャンネル選択回路 18…AM変調回路 19…第2送信用共振回路 20…第2受信用共振回路 21…検波回路 22…同期クロック&チャンネル復調回路 23…コイル(L) 24…コンデンサー(C) 25…高周波発生装置 100…プリンター 102…筐体部 104…ワイヤレス信号電力伝送装置(信号伝送装置) 106…記録ヘッド制御装置(信号伝送装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンターの記録ヘッドを制御する制御信号を、該プリンターの駆動回路から前記記録ヘッドへ伝送する信号伝送装置において、
前記プリンターの筐体に設置されかつコイルを有する第1の共振回路と、
前記筐体に対して可動する前記記録ヘッドに設置されかつコイルを有する第2の共振回路と、
を有し、
前記制御信号を、前記第1の共振回路から前記第2の共振回路へ、近傍電磁界によるワイヤレス電力によって伝送することを特徴とする信号伝送装置。
【請求項2】
前記制御信号のチャンネル数と同数の前記第1の共振回路と、
前記制御信号のチャンネル数と同数の前記第2の共振回路と、
を有し、
前記第1の共振回路及び前記第2の共振回路からなる一対の共振回路組が1チャンネルの前記制御信号を伝送することを特徴とする請求項1に記載の信号伝送装置。
【請求項3】
前記第1の共振回路及び前記第2の共振回路のうち少なくともいずれか一方において、
一つのコイルに対して複数の異なった容量のコンデンサーが並列に接続され、該コンデンサーの個数と同じ数の周波数に共振することで複数チャンネルの信号を伝送する共振回路であることを特徴とする請求項1に記載の信号伝送装置。
【請求項4】
前記第1の共振回路及び前記第2の共振回路のうち少なくともいずれか一方において、
一つのコンデンサーに対して複数のコイルが接続され、該コイルの個数と同じ数の周波数に共振することで複数チャンネルの信号を伝送する共振回路であることを特徴とする請求項1に記載の信号伝送装置。
【請求項5】
前記伝送される制御信号は、高周波による搬送波に前記制御信号を変調信号として振幅変調、周波数変調、若しくは位相変調をかけた被変調信号を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の信号伝送装置。
【請求項6】
前記伝送される制御信号は、
第1の共振周波数で前記制御信号のチャンネル番号を伝送し、
第2の共振周波数で前記被変調信号を時分割で伝送することを特徴とする請求項5に記載の信号伝送装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の信号伝送装置を備えたプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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