信号伝送装置
【課題】
テレビジョンカメラと映像装置間の、信号線の数を減らした信号伝送装置を提供する。また、信号伝送と電源供給を、直径が比較的小さく、よって比較的柔軟な1つのケーブルで行うことができるようにする。
【解決手段】
カメラ側1からパラレルの映像信号3を時分割多重化してシリアル信号として映像装置側18に伝送する際、カメラから映像装置側への制御信号20も併せて時分割多重化する。そして、カメラ側から映像装置側へ映像信号と制御信号を伝送する信号線と、映像装置側からカメラ側へ制御信号を伝送する信号線と、映像装置側からカメラへの電源供給線を有し、各信号線と電源供給線は1本の伝送ケーブルで構成する。
テレビジョンカメラと映像装置間の、信号線の数を減らした信号伝送装置を提供する。また、信号伝送と電源供給を、直径が比較的小さく、よって比較的柔軟な1つのケーブルで行うことができるようにする。
【解決手段】
カメラ側1からパラレルの映像信号3を時分割多重化してシリアル信号として映像装置側18に伝送する際、カメラから映像装置側への制御信号20も併せて時分割多重化する。そして、カメラ側から映像装置側へ映像信号と制御信号を伝送する信号線と、映像装置側からカメラ側へ制御信号を伝送する信号線と、映像装置側からカメラへの電源供給線を有し、各信号線と電源供給線は1本の伝送ケーブルで構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、信号の伝送技術に関し、特に、映像を撮像するテレビジョンカメラ、特に、FA(Factory Automation)の分野に用いられるテレビジョンカメラと、そのテレビジョンカメラで撮像された映像信号を処理する映像装置との間の、映像信号やトリガ信号、制御信号などを送受信する接続方式における信号伝送方法と信号伝送装置の改良に関する。
【0003】
例えば製造工場において、製造中の或る部品の寸法誤差等をその場で監視する為にこの部品の移動経路に沿った所定監視位置にテレビジョンカメラ(以下、カメラ)を可動に設置しておき、部品がカメラの前を通過するたびに映像装置から指示されたタイミングでカメラを所定時間露光して、得られた画像データを離れた場所に設置された映像装置で画像処理して該部品の加工寸法を測定したり表示装置上に表示したりする場合がある。
【0004】
図8はそのような場合の映像システムの構成例を示す概念図である。カメラ側では、インターフェースにおいて、カメラからのアナログ映像信号をまず例えば10ビットのデジタル信号にA/D変換し、次いでこのデジタル信号を、伝送用ケーブル内の4対(8本)の信号線上に時分割多重してシリアル信号として映像装置側に伝送する。このとき、カメラからの図示無きクロック信号(伝送ケーブル内の1対の信号線を用いてカメラ側から映像装置側に伝送される)の周期の例えば1/7の周期でデジタルデータを4対の信号線上に時分割多重する。クロック信号は例えば30MHzであり、1画素(pixel)分の画像データは1/30MHzで伝送される。映像装置側からは露光タイミングを指示する信号等のカメラへの様々な制御信号が伝送ケーブル内の4対或いは5対の信号線を介してカメラ側に伝送される。なお、ケーブル内における信号伝送はノイズ耐性を高めるため、低電圧差動信号方式(Low Voltage Differential Signaling:LVDS)と呼ばれる信号方式を用いて、非反転信号と反転信号とを対で伝送する。
【0005】
上記のような映像システムにおけるインターフェース方式としては、非特許文献1に記載されたCamera Linkと呼ばれるテレビジョンカメラ接続方式が知られている。
【0006】
このカメラリンクインターフェース(Camera Link Inter face)は、“Camera Link”の規格(specifications)によれば、カメラの画像データ量等からBase configuration,Medium configuration,Full configurationの3種類の構成が存在する。即ち、1つのChannel Link chip が28ビットに制限されているため、カメラによってはデータを効率的に伝送するために幾つかのチップが必要となる場合があるので、これらの3種類の構成が以下のように用意されている。
【0007】
Base:Channel Link chip 1つ、ケーブルコネクタ1つ。
【0008】
Medium:Channel Link chip 2つ、ケーブルコネクタ2つ。
【0009】
Full:Channel Link chip 3つ、ケーブルコネクタ2つ。
【0010】
上述のBase configuration について、図5〜図7を用いて説明する。なお、カメラで撮像されて得られた画像データが、1画素当たりモノクローム10ビット(D0〜D9)構成とした場合について説明する。
【0011】
図5は、従来のBase configurationによる伝送装置の概要を示した図である。この伝送装置は、カメラ側CAMERA LINK処理回路62、映像装置側CAMERA LINK処理回路 78、および両処理回路62と78間を接続する信号伝送ケーブル69からなる。また、カメラへの電源供給ケーブルが信号伝送ケーブル69とは別に設けられている。カメラ用の電源(例えば直流+12ボルト電源)は映像装置から供給してもよい。または、独立して設けられた直流電源から供給してもよい。
【0012】
処理回路62、78は、画像データ送信部(データ信号ドライバ)61と画像データ受信部(データ信号レシーバ)76、カメラ制御信号送信部(カメラ制御信号ドライバ)75とカメラ制御信号受信部(カメラ制御信号レシーバ)64、外部制御信号送信部(外部制御信号ドライバ)72と外部制御信号受信部(外部制御信号レシーバ)66、外部制御信号送信部(外部制御信号ドライバ)72′と外部制御信号受信部(外部制御信号レシーバ)66′を有する。
【0013】
画像データ送信部61は、パラレル信号であるカメラからの映像信号60とCAMERA LINK規格に規定されたLVAL,FVAL,DVAL信号80を、CAMERA LINK用の外部クロック63の周期(T)を7分割した、1/7周期(T/7)を有するシリアル信号(4対)になるように時分割多重し、信号伝送ケーブル69により映像装置側の画像データ受信部76へ伝送する。また、CAMERA LINK用外部クロック63も、画像データ送信部61から信号伝送ケーブル69を介して画像データ受信部76へ伝送され、CAMERA LINK用外部クロック74として受信される。
【0014】
映像装置側では、伝送されてきた4対の画像信号(シリアル信号)とLVAL,FVAL,DVAL信号79をデータ信号レシーバ76により、元の10ビットの画像信号(パラレル信号)77とLVAL,FVAL,DVAL82に戻した後、CAMERA LINK用外部クロック74を用いて、その画像信号に対して画像処理を行う。
【0015】
LVAL,FVAL,DVALはCAMERA LINK規格で定義されたimage enable信号であり、image dataと共に信号伝送ケーブル69上で伝送される。4つのenable signalsが以下のように定義されている。
FVAL:Frame Valid(FVAL)is defined HIGH for valid lines.
LVAL:Line Valid(LVAL)is defined HIGH for valid pixels.
DVAL:Data valid(DVAL)is defined HIGH when data is valid.
映像装置側からカメラ側へは、CAMERA LINKで規定された4種類のカメラ制御信号(CC1,CC2,CC3,CC4)73を伝送することができる。映像装置内のカメラ制御信号ドライバ75から差動信号として出力され、伝送ケーブル69で伝送され、カメラ側のカメラ制御信号レシーバ64でカメラ制御信号を受信して、受信されたカメラ制御信号の内容に対応する処理を行う。このときの制御信号は時分割多重されていないリアルタイムの差動信号として伝送される。カメラ制御信号73は例えばカメラの撮像タイミングや露光時間をカメラに指示するトリガ信号として使うことができる。
【0016】
外部制御信号68と71も同様に、外部制御信号ドライバ72′と72により時分割多重されないリアルタイムの差動信号としてそれぞれ伝送され、それぞれ外部制御信号レシーバ66′と66で外部制御信号70と67として受信されることにより、外部制御信号の送受信を行う。なお、外部制御信号68,70はCAMERA LINK規格ではSerTFGと命名され、“Differential pair with serial communications to the frame grabber”と定義されている。また、外部制御信号71,67はCAMERA LINK規格ではSerTCと命名され、“Differential pair with serial communications to the camera”と定義されている。
【0017】
図6に、画像信号(パラレル信号)をシリアル信号に変換し、時分割多重化したときのデータ配列を示す。カメラの10ビットパラレル信号(D0〜D9)(図5の画像信号60)と LVAL、FVAL、DVAL(この場合N.C)とを4対のシリアル信号(X0、X1、X2、X3)91〜94に時分割多重した信号に変換する。このシリアル信号に変換したときのデータ配列は、CAMERA LINK規格による。また、シリアル信号に変換したときの1ビットの周期(データ周期96)は、CAMERA LINK外部クロック(XCLK)63のクロック周期(T)95の1/7周期96にされる。なお、図6において、N.Cは信号が割当てられていないことを示す。
【0018】
次に、図7にCAMERA LINK規格における伝送ケーブルのカメラ側および映像装置側接続コネクタピン配置(connector pin assignments)を示す。CAMERA LINK規格におけるBase Configurationでは、伝送ケーブルの両端に26ピンコネクタを用いることおよびそれらのピンに対する信号割当てが決められており、26芯のケーブルが必要になる。なお、図7のピン番号1と14はケーブルの内側シールド(inner shield)に接続される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】“Camera Link, Specifications of the Camera Link Interface Standard for Digital Cameras and Frame Grabbers”, October 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述したように、上記の構成では、カメラへの電源供給と信号伝送とが別々のケーブルを用いて行なわれる。図9はカメラに電源ケーブルと信号伝送用ケーブルとを接続した状況を示す。
【0021】
図9からも理解できるように、ケーブルを2本用いる構成は、ケーブルを1本用いる場合に比較すると装置全体の扱いが厄介である。また、信号伝送用のケーブルの有する信号本数が多いためにケーブルの直径も例えば9mm程度と太く堅くなり、ケーブルの柔軟性が損なわれる。そのため、省スペース性と可動性を要求する応用には向かないと言う問題もある。
【0022】
本発明の目的は、テレビジョンカメラと映像装置間の、信号線の数を減らした信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、ケーブルの直径を細くして、より柔軟なケーブルを用いることができるテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することにある。
【0024】
本発明の更に別の目的は、信号伝送と電源供給を、直径が比較的小さく、よって比較的柔軟な1つのケーブルで行うことができるテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することにある。
【0025】
本発明の更に別の目的は、コンピュータネットワーク等の標準的な通信プロトコルであるインターネットプロトコル(IP:Internet Protocol)に従う通信信号であるIP信号を用いた、ネットワークを介した制御を可能とするテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一側面による、伝送ケーブルを介して接続されたテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法は、テレビジョンカメラからの映像信号と第1の制御信号とを第1の時分割多重化回路で多重化して第1のシリアル信号を生成し、第1のシリアル信号をケーブル内の所定の第1の信号線を用いて伝送し、テレビジョンカメラからの第2の制御信号をケーブル内の所定の第2の信号線を用いて映像装置へ伝送し、第1の信号線からの第1のシリアル信号を映像装置の第1の多重分離回路で映像信号と第1の制御信号に分離し、映像装置からの第3の制御信号をケーブル内の第3と第4の信号線を用いてテレビジョンカメラヘ伝送する。
【0027】
本発明の一側面による信号伝送方法は、更に、第1のシリアル信号は、テレビジョンカメラの各画素の映像信号と第1の制御信号を、クロック信号の周期をn分周(nは正整数)した周期のシリアルデータに変換した信号である。
【0028】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、第1の制御信号は IP信号を含む。
【0029】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、第3の制御信号はテレビジョンカメラを制御するトリガ信号および制御信号を含む。
【0030】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、テレビジョンカメラを制御する制御信号はIP信号を含む。
【0031】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、映像装置からの第3の制御信号は非多重で伝送される。
【0032】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、映像装置からの第3の制御信号はテレビジョンカメラで用いるトリガ信号を含み、トリガ信号を伝送するステップは以下のステップを有する。
【0033】
トリガ信号を第2の時分割多重化回路で多重化して第2のシリアル信号(単数)を生成するステップ、第2 のシリアル信号をケーブル内の第3の信号線を用いて伝送するステップ、第3の信号線からの第2のシリアル信号を第2の多重分離回路で第3の制御信号に分離するステップ。
【0034】
即ち、本発明の一実施例において、カメラからのパラレル映像信号だけでなく、カメラからの制御信号も併せて時分割多重化してシリアル信号を生成することにより信号線の数を全体として減らしている。この映像信号と制御信号とを併せて時分割多重化できる理由は、両信号とも同方向に伝送される信号だからである。
【0035】
同じ理由で、本発明の一実施例において、映像装置からの4つのトリガ信号(カメラ制御信号)と外部制御信号(SerTC)を併せて時分割多重している。
【0036】
また、本発明の一実施例において、信号伝送とカメラへの電源供給を1つのケーブルで行っている。
【0037】
また、本発明の一実施例において、外部制御信号(SerTC,SerTFG)としてIP信号を伝送し、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークからカメラを制御出来るようにした。その際のIP信号は、IPv4に基づく信号とするだけでなく、IPv6に基づく信号としても良い。
【0038】
また、本発明の一実施例において、時分割多重して生成したシリアル信号中のN.C部分に外部制御信号を配置した。
【0039】
また、本発明の一実施例において、外部制御信号としてRS−232C、RS−422、IEEE1394、或いはUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースの規格に応じた信号等を使用した。
【0040】
また、本発明の一側面による信号伝送装置は、テレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送装置において、テレビジョンカメラに接続される第1の接続回路と、映像装置に接続される第2の接続回路と、第1接続回路と第2接続回路とを電気的に接続する伝送ケーブルを備え、第1の接続回路は、テレビジョンカメラからの映像信号と第1の制御信号とを多重化して第1のシリアル信号に変換する第1の時分割多重化回路を有し、第2の接続回路は、多重化された第1のシリアル信号を映像信号と第1の制御信号に分離する第1の多重分離回路を有し、伝送ケーブルは、第1のシリアル信号を伝送する第1の信号線とテレビジョンカメラからの第2の制御信号を映像装置に伝送する第2の信号線を有することを特徴とする信号伝送装置である。
【0041】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の第2の接続回路は、映像装置からテレビジョンカメラを制御する第3の制御信号の伝送手段を含み、第1の接続回路は第3の制御信号を受信する手段を含み、伝送ケーブルは更に、第3の制御信号を伝送する第3の信号線を有する。
【0042】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の伝送用ケーブルは、更に、映像装置からテレビジョンカメラヘの電源供給線を含む。
【0043】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の多重化回路は、テレビジョンカメラの各画素の映像信号と第1の制御信号を、クロック信号の周期をn分周(nは正整数)した周期のシリアルデータに変換する。
【0044】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の第2の接続回路は、映像装置からのトリガ信号を第3の信号線上に時分割多重化する第2の多重化回路を有し、第1の接続回路は第3の信号線からの多重化されたトリガ信号を多重分離する第2の多重分離回路を有する。
【0045】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の第3の制御信号は、テレビジョンカメラの露光時間および/または露光開始時間を制御する信号を含む。
【0046】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の第3の制御信号は、テレビジョンカメラの撮影画像の画像の抜取期間を制御する信号を含む。
【発明の効果】
【0047】
以上のように本発明によれば、テレビジョンカメラと映像装置間の、信号線の数を減らした信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することができる。また本発明によれば、ケーブルの直径を細くして、より柔軟なケーブルを用いることができるテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供できる。
【0048】
本発明の更に別の効果によれば、信号伝送と電源供給を、直径が比較的小さく、よって比較的柔軟な1つのケーブルで行うことができるテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することができる。
【0049】
本発明の更に別の効果によれば、コンピュータネットワーク等の標準的な通信プロトコルであるインターネットプロトコルに従う通信信号であるIP信号を用いた、ネットワークを介した制御を可能とするテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することができる。
【0050】
即ち、以上のように本発明によれば、カメラと映像装置間でケーブル本数と共にケーブルの信号線本数を減らすことができ、それによってそのケーブルの径をより細くすることができるため、マシンビジョンに用いられるカメラが取り付けられることが多い可動部分と、映像装置が設置される非可動部分との間が開いたり狭まったりして間隔が変化しても、その可動部分のカメラと非可動部分の映像装置との間でケーブルの引き回しが従来より容易になることで、問題が生じることが減り、より適切な撮像条件で撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の信号伝送方法の一実施例によるテレビジョンカメラ接続システムを示すブロック図。
【図2】図1のテレビジョンカメラ接続システムにおけるパラレル信号をシリアル信号に時分割多重したときのデータ配列を示す図。
【図3】図1のテレビジョンカメラ接続システムにおけるコネクタピン配列の一例を示す図。
【図4】図1のテレビジョンカメラ接続システムで使用するケーブルの構成例を示す図。
【図5】従来のCAMERA LINKテレビジョンカメラ接続システムの一実施例の概要を示したブロック図。
【図6】図5のテレビジョンカメラ接続システムにおける、パラレル信号をシリアル信号に時分割多重したときのデータ配列を示す図。
【図7】図5のテレビジョンカメラ接続システムにおけるケーブルの接続コネクタピン配置を示す図。
【図8】本発明に関連する映像システムの構成の一例を示す概念図。
【図9】カメラに電源ケーブルと信号伝送用ケーブルとを接続した状況の一例を示す図。
【図10】本発明の別の実施例によるテレビジョンカメラ接続システムを示すブロック図。
【図11】図10のテレビジョンカメラ接続システムにおけるパラレル信号をシリアル信号に時分割多重したときのデータ配列を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の実施例を図面に言及して説明する。なお、同様な部材には同様な参照符号を付す。
【0053】
図1は本発明の一実施例によるテレビジョンカメラ接続システムを示すブロック図である。
【0054】
このカメラ接続システムは、カメラ側接続回路1と、映像装置側接続回路18と、カメラ側接続回路1と映像装置側接続回路18を接続する伝送ケーブル11を有する。参照番号2はカメラ側接続回路1内の画像データ送信部(データ信号ドライバ)を表し、19、14、12はそれぞれ映像装置側接続回路18内の画像データ受信部、トリガ信号送信部、外部制御信号送信部を表し、6と8はそれぞれカメラ側接続回路1内のトリガ信号受信部と外部制御信号受信部を表す。参照番号9と10はそれぞれ電源とグランド(GND)を表す。
【0055】
画像データ送信部2は、時分割多重化回路200と2つのドライバ201を備え、カメラ側からのパラレル信号である画像信号3とLVAL及びFVAL信号(DVAL信号も伝送可能だが本実施例ではN.Cとする)と、更に外部制御信号(SerTFG)20とを各々が外部クロック(XCLK)4のクロック周期(T)の1/7周期(T/7)のデータ信号から成る2つの画像信号(シリアル信号)22上のいずれかのデータ信号に割当てられるよう時分割多重し、伝送ケーブル11により映像装置側へ伝送する。
【0056】
画像データ送信部2は更にドライバ202を備え、外部クロックを伝送ケーブル11を用いて非多重で映像装置側のレシーバ192へ伝送する。ドライバ201、202は差動信号(2つの画像信号(シリアル信号)22)を生成するよう構成されており、各ドライバへの入力信号は1対の信号線を用いて非反転信号と反転信号の形式で伝送される。時分割多重回路200とドライバは当該技術分野において良く知られているのでその詳細説明は無用であろう。
【0057】
映像装置側接続回路18内の画像データ受信部19は、2つのデータ信号レシーバ190と多重分離回路191を備え、伝送されてきた2対の差動信号(シリアル信号)22から元の10ビットの画像信号(パラレル信号)17とLVAL信号及びFVAL信号に戻した後、戻した画像信号に対して画像処理を行う。
【0058】
また、本実施例では映像装置側からカメラ側へ1種類のカメラ制御信号15を伝送するよう構成されており、例えば1種類のトリガ信号15を伝送できる。トリガ信号送信部14はドライバ140を備え、トリガ信号15を受信しドライバ140から差動信号を出力する。この差動信号は伝送ケーブル11でカメラ側へ伝送される。
【0059】
カメラ側のトリガ信号受信部6はレシーバ600を備え、受信したトリガ信号5をカメラ側に供給する。カメラ側はこのトリガ信号5に応じた処理、例えばカメラの露光時間、露光開始時間、撮像画像の画像抜取期間等の制御を行う。
【0060】
画像抜取期間とは、撮像画像の内の必要な画像部分の走査期間である。トリガ信号5は本実施例においては1つのトリガ信号であり、非時分割多重のリアルタイムの信号として伝送される。しかしながら2種類以上のトリガ信号を時分割多重して送ることも可能であり、その場合、1対の信号線を使うにもかかわらず、複数種類の信号を伝送することができると言う利点がある。この点は後で別の実施例に言及して説明する。
【0061】
また、映像装置側からカメラ側に送信する外部制御信号13は、トリガ信号と同様に、映像装置側のドライバ120を有する外部制御信号受信部12とカメラ側のレシーバ80を有する外部制御信号受信部8により、非時間多重の差動信号として伝送され、そうすることにより外部制御信号7がカメラ側で受信される。
【0062】
更に、上述のように、カメラ側から映像装置側に送信する外部制御信号(SerTFG)20も、カメラで撮像して得られた画像信号及びLVAL信号及びFVAL信号と一緒に時分割多重される。そして、その時分割多重された信号が、外部制御信号を含む画像信号(シリアル信号)22として送信される。
【0063】
なお、外部制御信号7、13、20、21はRS−232C、RS−422、IEEE1394、或いはUSB等のインターフェースに応じた信号とすることができるが、それに限定されるものではなく、IP信号としての送受信も行うことができ、そうすることで、カメラや映像装置が接続されたLANやインターネット等のネットワーク側から、IPプロトコルを用いてカメラを遠隔操作することができる。IP信号は、IPv4だけでなくIPv6のIP信号も送信可能である。
【0064】
また、本実施例では、電源9とグランド(GND)10を伝送ケーブル11を用いて映像装置側からカメラ側へ供給している。これにより電源供給のためだけのケーブルを用意する必要がない。なお、電源は映像装置内から供給しても良いし、独立した電源を映像装置側に設けるようにしてもよい。
【0065】
図2に、画像信号(パラレル信号)、FVAL,LVAL,(DVAL)、外部制御信号(SerTFG)をシリアル信号に時分割多重したときのデータ割当てを示す。カメラの10ビットパラレル信号(D0〜D9)(図1の画像信号)を2対のシリアル信号(X0,X1)32,31に時分割多重する。シリアル信号X1には更に、FVAL,LVAL,外部制御信号(SerTFG)も割当てられている。なお、本実施例においては DVALは使われていない。
【0066】
本実施例では、図6におけるN.C(データ割当てなし)となっているデータ割当て箇所にカメラ出力データを配置し、シリアル信号2つで伝送できるようにした。具体的には、図6でのシリアル信号(X0,X2)91,93を用い、そのうちのN.Cの部分に、信号 D6、D7、D9を配置する(図2参照)。
【0067】
ところで、この図2のシリアル信号(X0,X1)32,31は、カメラ側から映像装置側への伝送方向にデータを伝送する信号である。よって、本実施例では、同じくカメラ側から映像装置側へ送信する外部制御信号(SerTFG)20もシリアル信号 X 2 上に併せて時分割多重して割当てている。
【0068】
このように、データ伝送を行うシリアル信号内に外部制御信号20を含めることで、外部制御用の信号線を別途必要とすることなくなり、よってケーブル内の信号線の本数を減らすことができる。
【0069】
なお、外部制御信号7、13はカメラ側へ入力される信号であるため、特定の応用においてはよりリアルタイムにカメラを制御する必要がある。そのため、本実施例ではこれらの外部制御信号7、13は非多重で伝送している。しかしながら、それほど厳密なリアルタイム性を要求されない応用においてはこれらのカメラへの外部制御信号同士を別途時分割多重して伝送することが可能であり、そのような実施例は後述する。
【0070】
図2は、本発明の一実施例におけるデータ割当ての一例を示す。しかし、データ割当てはこれに限定されるものではなく、この外、種々のデータ割当てとしてもよいことは言うまでもない。また、カメラ側からの出力信号(図1の映像信号3)の10ビットパラレル信号を、2つのシリアル信号に時分割多重するときには、その周期をCAMERA LINK外部クロック(XCLK)4の周期(T)33の1/7の周期(T/7)34にして伝送する。
【0071】
図3に本発明の一実施例におけるコネクタのピン配置の一例を示す。画像信号(シリアル信号)の数や、トリガ信号及び外部制御信号の信号線の数を減らしたことで、この実施例では14ピンコネクタとすることができる。なお、ここに示すコネクタの配置は一例であり、この外、種々のピン配置としてよいことは言うまでもない。また、図3では、カメラ側及び映像装置側共に同じピン配置としたが、異なるピン配置としても良い。
【0072】
図4に本実施例で使用するケーブルの構成例を示す。ここで、電源線対51の電源52とGND53については、他のデータ信号線対50より太い線を使用しても良い。また、外部制御信号としてIP信号を使う場合は、外部制御信号線対55は、カテゴリ5の仕様を満足するケーブル(例えば、100 base−T)とすることができる。
【0073】
図10は、本発明の別の実施例によるテレビジョンカメラ接続システムのブロック図を示す。図1の実施例と同じ1対の信号線を用いて4種類のトリガ信号を伝送できるように構成されている。
【0074】
図10のカメラ接続システムはカメラ側から映像装置側への信号伝送に関しては図1と同様なのでその説明を省略することとし、映像装置側からカメラ側への信号伝送についてのみ説明する。
【0075】
図10において、14′はトリガ信号送信部を、6′はトリガ信号受信部を表す。トリガ信号送信部14′とトリガ信号受信部6′は、取り扱う信号の種類と数の違いを除けばとその機能と構成は画像信号送信(画像データ送信)部2と画像信号受信(画像データ受信)部19と同様である。トリガ信号送信部14′は時分割多重化回路141′とドライバ140′を備え、4種類のトリガ信号(CC1〜CC4)と外部制御信号SerTFG15′を映像装置側から受信し、各々が外部クロック(XCLK)4′のクロック周期(T)の1/7周期(T/7)のデータ信号から成る1つの信号(シリアル信号)上のいずれかのデータ部に割当てられるよう時分割多重し、伝送ケーブル11によりカメラ側へ伝送する。
【0076】
トリガ送信部14′のドライバ142′は、外部クロック4′をケーブル11を用いて非多重で映像装置側のレシーバ 602′へ伝送する。ドライバ140′、142′はそれぞれ差動信号33,44を生成するよう構成されており、これらのドライバへの入力信号はそれぞれ1対の信号線を用いて非反転信号と反転信号の形式で伝送される。
【0077】
トリガ信号受信部61′は、トリガ信号レシーバ601′と多重分離回路600′を備え、伝送されてきた1対の差動信号(シリアル信号)33から元の4種類のトリガ信号(パラレル信号)と外部制御信号に戻した後、カメラ側に供給する。また、受信部 6′はレシーバ602′を有し、レシーバ602′は受け取った差動信号44から外部クロック16′を再生しカメラ側に供給する。
【0078】
図11は、本実施例におけるデータ割当ての一例を示す。しかし、データ割当てはこれに限定されるものではなく、この外、種々のデータ割当てとしてもよいことは言うまでもない。
【0079】
本実施例では、図1の実施例に比しトリガ信号のリアルタイム伝送特性は若干劣るものの、図1の実施例と同等のケーブルを用いて図1で伝送可能なトリガ信号数より多くのトリガ信号を伝送できると言う利点を有する。
【0080】
以上説明したように、上記実施例によれば、カメラと映像装置間でケーブル本数と共にケーブルの信号線の本数を減らすことができ、それによって当該ケーブルの径をより細くすることができるという利点がある。この利点は特にFAへの応用において有用である。即ち、FAにおいてはカメラは可動に取り付けられることが多く、一方映像装置は非可動部分に取り付けられる。上記実施例のケーブルを用いた場合、カメラの運転中にこの可動部分と非可動部分との間が開いたり狭まったりしても、可動部分のカメラと非可動部分との間でケーブルの引き回しがより容易になるため、太いケーブルや複数のケーブルを用いた場合に生ずる様々な問題の発生の可能性を低減することができ、より柔軟な撮像条件で撮像することが可能となる。
【0081】
上記記載は実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の精神と添付の請求の範囲内で種々の変更及び修正をすることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0082】
1:カメラ側接続回路、2:画像データ送信部、3:画像信号、4:外部クロック、5:トリガ信号、6,6′:トリガ信号受信部、7:外部制御信号、8:外部制御信号受信部、 9:電源、10:GND、11:伝送ケーブル、12:外部制御信号送信部、13:外部制御信号、 14,14′:トリガ信号送信部、15:カメラ制御信号、18:映像装置側接続回路、19:画像データ受信部、20,21:外部制御信号、22:画像信号、31,32:シリアル信号、38:外部制御信号、51:電源線対、52:電源、53:GND、55:外部制御信号線対、60:映像信号、61:画像データ送信部、62:カメラ側CAMERA LINK処理回路、63:CAMERA LINK用外部クロック、64:カメラ制御信号受信部、66,66′:外部制御信号受信部、67,68,70,71: 外部制御信号、69:信号伝送ケーブル、72,72′:外部制御信号送信部、73:カメラ制御信号、74:CAMERA LINK用外部クロック、75:カメラ制御信号送信部、76:画像データ受信部、77:画像信号(パラレル信号)、78:映像装置側CAMERA LINK処理回路、80:LVAL,FVAL,DVAL信号、91〜94:シリアル信号、96:データ周期、140:ドライバ、190:レシーバ、191:多重分離回路、192:レシーバ、200:時分割多重回路、201,202:ドライバ、600:レシーバ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、信号の伝送技術に関し、特に、映像を撮像するテレビジョンカメラ、特に、FA(Factory Automation)の分野に用いられるテレビジョンカメラと、そのテレビジョンカメラで撮像された映像信号を処理する映像装置との間の、映像信号やトリガ信号、制御信号などを送受信する接続方式における信号伝送方法と信号伝送装置の改良に関する。
【0003】
例えば製造工場において、製造中の或る部品の寸法誤差等をその場で監視する為にこの部品の移動経路に沿った所定監視位置にテレビジョンカメラ(以下、カメラ)を可動に設置しておき、部品がカメラの前を通過するたびに映像装置から指示されたタイミングでカメラを所定時間露光して、得られた画像データを離れた場所に設置された映像装置で画像処理して該部品の加工寸法を測定したり表示装置上に表示したりする場合がある。
【0004】
図8はそのような場合の映像システムの構成例を示す概念図である。カメラ側では、インターフェースにおいて、カメラからのアナログ映像信号をまず例えば10ビットのデジタル信号にA/D変換し、次いでこのデジタル信号を、伝送用ケーブル内の4対(8本)の信号線上に時分割多重してシリアル信号として映像装置側に伝送する。このとき、カメラからの図示無きクロック信号(伝送ケーブル内の1対の信号線を用いてカメラ側から映像装置側に伝送される)の周期の例えば1/7の周期でデジタルデータを4対の信号線上に時分割多重する。クロック信号は例えば30MHzであり、1画素(pixel)分の画像データは1/30MHzで伝送される。映像装置側からは露光タイミングを指示する信号等のカメラへの様々な制御信号が伝送ケーブル内の4対或いは5対の信号線を介してカメラ側に伝送される。なお、ケーブル内における信号伝送はノイズ耐性を高めるため、低電圧差動信号方式(Low Voltage Differential Signaling:LVDS)と呼ばれる信号方式を用いて、非反転信号と反転信号とを対で伝送する。
【0005】
上記のような映像システムにおけるインターフェース方式としては、非特許文献1に記載されたCamera Linkと呼ばれるテレビジョンカメラ接続方式が知られている。
【0006】
このカメラリンクインターフェース(Camera Link Inter face)は、“Camera Link”の規格(specifications)によれば、カメラの画像データ量等からBase configuration,Medium configuration,Full configurationの3種類の構成が存在する。即ち、1つのChannel Link chip が28ビットに制限されているため、カメラによってはデータを効率的に伝送するために幾つかのチップが必要となる場合があるので、これらの3種類の構成が以下のように用意されている。
【0007】
Base:Channel Link chip 1つ、ケーブルコネクタ1つ。
【0008】
Medium:Channel Link chip 2つ、ケーブルコネクタ2つ。
【0009】
Full:Channel Link chip 3つ、ケーブルコネクタ2つ。
【0010】
上述のBase configuration について、図5〜図7を用いて説明する。なお、カメラで撮像されて得られた画像データが、1画素当たりモノクローム10ビット(D0〜D9)構成とした場合について説明する。
【0011】
図5は、従来のBase configurationによる伝送装置の概要を示した図である。この伝送装置は、カメラ側CAMERA LINK処理回路62、映像装置側CAMERA LINK処理回路 78、および両処理回路62と78間を接続する信号伝送ケーブル69からなる。また、カメラへの電源供給ケーブルが信号伝送ケーブル69とは別に設けられている。カメラ用の電源(例えば直流+12ボルト電源)は映像装置から供給してもよい。または、独立して設けられた直流電源から供給してもよい。
【0012】
処理回路62、78は、画像データ送信部(データ信号ドライバ)61と画像データ受信部(データ信号レシーバ)76、カメラ制御信号送信部(カメラ制御信号ドライバ)75とカメラ制御信号受信部(カメラ制御信号レシーバ)64、外部制御信号送信部(外部制御信号ドライバ)72と外部制御信号受信部(外部制御信号レシーバ)66、外部制御信号送信部(外部制御信号ドライバ)72′と外部制御信号受信部(外部制御信号レシーバ)66′を有する。
【0013】
画像データ送信部61は、パラレル信号であるカメラからの映像信号60とCAMERA LINK規格に規定されたLVAL,FVAL,DVAL信号80を、CAMERA LINK用の外部クロック63の周期(T)を7分割した、1/7周期(T/7)を有するシリアル信号(4対)になるように時分割多重し、信号伝送ケーブル69により映像装置側の画像データ受信部76へ伝送する。また、CAMERA LINK用外部クロック63も、画像データ送信部61から信号伝送ケーブル69を介して画像データ受信部76へ伝送され、CAMERA LINK用外部クロック74として受信される。
【0014】
映像装置側では、伝送されてきた4対の画像信号(シリアル信号)とLVAL,FVAL,DVAL信号79をデータ信号レシーバ76により、元の10ビットの画像信号(パラレル信号)77とLVAL,FVAL,DVAL82に戻した後、CAMERA LINK用外部クロック74を用いて、その画像信号に対して画像処理を行う。
【0015】
LVAL,FVAL,DVALはCAMERA LINK規格で定義されたimage enable信号であり、image dataと共に信号伝送ケーブル69上で伝送される。4つのenable signalsが以下のように定義されている。
FVAL:Frame Valid(FVAL)is defined HIGH for valid lines.
LVAL:Line Valid(LVAL)is defined HIGH for valid pixels.
DVAL:Data valid(DVAL)is defined HIGH when data is valid.
映像装置側からカメラ側へは、CAMERA LINKで規定された4種類のカメラ制御信号(CC1,CC2,CC3,CC4)73を伝送することができる。映像装置内のカメラ制御信号ドライバ75から差動信号として出力され、伝送ケーブル69で伝送され、カメラ側のカメラ制御信号レシーバ64でカメラ制御信号を受信して、受信されたカメラ制御信号の内容に対応する処理を行う。このときの制御信号は時分割多重されていないリアルタイムの差動信号として伝送される。カメラ制御信号73は例えばカメラの撮像タイミングや露光時間をカメラに指示するトリガ信号として使うことができる。
【0016】
外部制御信号68と71も同様に、外部制御信号ドライバ72′と72により時分割多重されないリアルタイムの差動信号としてそれぞれ伝送され、それぞれ外部制御信号レシーバ66′と66で外部制御信号70と67として受信されることにより、外部制御信号の送受信を行う。なお、外部制御信号68,70はCAMERA LINK規格ではSerTFGと命名され、“Differential pair with serial communications to the frame grabber”と定義されている。また、外部制御信号71,67はCAMERA LINK規格ではSerTCと命名され、“Differential pair with serial communications to the camera”と定義されている。
【0017】
図6に、画像信号(パラレル信号)をシリアル信号に変換し、時分割多重化したときのデータ配列を示す。カメラの10ビットパラレル信号(D0〜D9)(図5の画像信号60)と LVAL、FVAL、DVAL(この場合N.C)とを4対のシリアル信号(X0、X1、X2、X3)91〜94に時分割多重した信号に変換する。このシリアル信号に変換したときのデータ配列は、CAMERA LINK規格による。また、シリアル信号に変換したときの1ビットの周期(データ周期96)は、CAMERA LINK外部クロック(XCLK)63のクロック周期(T)95の1/7周期96にされる。なお、図6において、N.Cは信号が割当てられていないことを示す。
【0018】
次に、図7にCAMERA LINK規格における伝送ケーブルのカメラ側および映像装置側接続コネクタピン配置(connector pin assignments)を示す。CAMERA LINK規格におけるBase Configurationでは、伝送ケーブルの両端に26ピンコネクタを用いることおよびそれらのピンに対する信号割当てが決められており、26芯のケーブルが必要になる。なお、図7のピン番号1と14はケーブルの内側シールド(inner shield)に接続される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】“Camera Link, Specifications of the Camera Link Interface Standard for Digital Cameras and Frame Grabbers”, October 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述したように、上記の構成では、カメラへの電源供給と信号伝送とが別々のケーブルを用いて行なわれる。図9はカメラに電源ケーブルと信号伝送用ケーブルとを接続した状況を示す。
【0021】
図9からも理解できるように、ケーブルを2本用いる構成は、ケーブルを1本用いる場合に比較すると装置全体の扱いが厄介である。また、信号伝送用のケーブルの有する信号本数が多いためにケーブルの直径も例えば9mm程度と太く堅くなり、ケーブルの柔軟性が損なわれる。そのため、省スペース性と可動性を要求する応用には向かないと言う問題もある。
【0022】
本発明の目的は、テレビジョンカメラと映像装置間の、信号線の数を減らした信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、ケーブルの直径を細くして、より柔軟なケーブルを用いることができるテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することにある。
【0024】
本発明の更に別の目的は、信号伝送と電源供給を、直径が比較的小さく、よって比較的柔軟な1つのケーブルで行うことができるテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することにある。
【0025】
本発明の更に別の目的は、コンピュータネットワーク等の標準的な通信プロトコルであるインターネットプロトコル(IP:Internet Protocol)に従う通信信号であるIP信号を用いた、ネットワークを介した制御を可能とするテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一側面による、伝送ケーブルを介して接続されたテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法は、テレビジョンカメラからの映像信号と第1の制御信号とを第1の時分割多重化回路で多重化して第1のシリアル信号を生成し、第1のシリアル信号をケーブル内の所定の第1の信号線を用いて伝送し、テレビジョンカメラからの第2の制御信号をケーブル内の所定の第2の信号線を用いて映像装置へ伝送し、第1の信号線からの第1のシリアル信号を映像装置の第1の多重分離回路で映像信号と第1の制御信号に分離し、映像装置からの第3の制御信号をケーブル内の第3と第4の信号線を用いてテレビジョンカメラヘ伝送する。
【0027】
本発明の一側面による信号伝送方法は、更に、第1のシリアル信号は、テレビジョンカメラの各画素の映像信号と第1の制御信号を、クロック信号の周期をn分周(nは正整数)した周期のシリアルデータに変換した信号である。
【0028】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、第1の制御信号は IP信号を含む。
【0029】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、第3の制御信号はテレビジョンカメラを制御するトリガ信号および制御信号を含む。
【0030】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、テレビジョンカメラを制御する制御信号はIP信号を含む。
【0031】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、映像装置からの第3の制御信号は非多重で伝送される。
【0032】
また、本発明の一側面による信号伝送方法は、映像装置からの第3の制御信号はテレビジョンカメラで用いるトリガ信号を含み、トリガ信号を伝送するステップは以下のステップを有する。
【0033】
トリガ信号を第2の時分割多重化回路で多重化して第2のシリアル信号(単数)を生成するステップ、第2 のシリアル信号をケーブル内の第3の信号線を用いて伝送するステップ、第3の信号線からの第2のシリアル信号を第2の多重分離回路で第3の制御信号に分離するステップ。
【0034】
即ち、本発明の一実施例において、カメラからのパラレル映像信号だけでなく、カメラからの制御信号も併せて時分割多重化してシリアル信号を生成することにより信号線の数を全体として減らしている。この映像信号と制御信号とを併せて時分割多重化できる理由は、両信号とも同方向に伝送される信号だからである。
【0035】
同じ理由で、本発明の一実施例において、映像装置からの4つのトリガ信号(カメラ制御信号)と外部制御信号(SerTC)を併せて時分割多重している。
【0036】
また、本発明の一実施例において、信号伝送とカメラへの電源供給を1つのケーブルで行っている。
【0037】
また、本発明の一実施例において、外部制御信号(SerTC,SerTFG)としてIP信号を伝送し、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークからカメラを制御出来るようにした。その際のIP信号は、IPv4に基づく信号とするだけでなく、IPv6に基づく信号としても良い。
【0038】
また、本発明の一実施例において、時分割多重して生成したシリアル信号中のN.C部分に外部制御信号を配置した。
【0039】
また、本発明の一実施例において、外部制御信号としてRS−232C、RS−422、IEEE1394、或いはUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースの規格に応じた信号等を使用した。
【0040】
また、本発明の一側面による信号伝送装置は、テレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送装置において、テレビジョンカメラに接続される第1の接続回路と、映像装置に接続される第2の接続回路と、第1接続回路と第2接続回路とを電気的に接続する伝送ケーブルを備え、第1の接続回路は、テレビジョンカメラからの映像信号と第1の制御信号とを多重化して第1のシリアル信号に変換する第1の時分割多重化回路を有し、第2の接続回路は、多重化された第1のシリアル信号を映像信号と第1の制御信号に分離する第1の多重分離回路を有し、伝送ケーブルは、第1のシリアル信号を伝送する第1の信号線とテレビジョンカメラからの第2の制御信号を映像装置に伝送する第2の信号線を有することを特徴とする信号伝送装置である。
【0041】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の第2の接続回路は、映像装置からテレビジョンカメラを制御する第3の制御信号の伝送手段を含み、第1の接続回路は第3の制御信号を受信する手段を含み、伝送ケーブルは更に、第3の制御信号を伝送する第3の信号線を有する。
【0042】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の伝送用ケーブルは、更に、映像装置からテレビジョンカメラヘの電源供給線を含む。
【0043】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の多重化回路は、テレビジョンカメラの各画素の映像信号と第1の制御信号を、クロック信号の周期をn分周(nは正整数)した周期のシリアルデータに変換する。
【0044】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の第2の接続回路は、映像装置からのトリガ信号を第3の信号線上に時分割多重化する第2の多重化回路を有し、第1の接続回路は第3の信号線からの多重化されたトリガ信号を多重分離する第2の多重分離回路を有する。
【0045】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の第3の制御信号は、テレビジョンカメラの露光時間および/または露光開始時間を制御する信号を含む。
【0046】
また、本発明の一側面による信号伝送装置の第3の制御信号は、テレビジョンカメラの撮影画像の画像の抜取期間を制御する信号を含む。
【発明の効果】
【0047】
以上のように本発明によれば、テレビジョンカメラと映像装置間の、信号線の数を減らした信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することができる。また本発明によれば、ケーブルの直径を細くして、より柔軟なケーブルを用いることができるテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供できる。
【0048】
本発明の更に別の効果によれば、信号伝送と電源供給を、直径が比較的小さく、よって比較的柔軟な1つのケーブルで行うことができるテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することができる。
【0049】
本発明の更に別の効果によれば、コンピュータネットワーク等の標準的な通信プロトコルであるインターネットプロトコルに従う通信信号であるIP信号を用いた、ネットワークを介した制御を可能とするテレビジョンカメラと映像装置間の信号伝送方法およびその方法を用いた装置を提供することができる。
【0050】
即ち、以上のように本発明によれば、カメラと映像装置間でケーブル本数と共にケーブルの信号線本数を減らすことができ、それによってそのケーブルの径をより細くすることができるため、マシンビジョンに用いられるカメラが取り付けられることが多い可動部分と、映像装置が設置される非可動部分との間が開いたり狭まったりして間隔が変化しても、その可動部分のカメラと非可動部分の映像装置との間でケーブルの引き回しが従来より容易になることで、問題が生じることが減り、より適切な撮像条件で撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の信号伝送方法の一実施例によるテレビジョンカメラ接続システムを示すブロック図。
【図2】図1のテレビジョンカメラ接続システムにおけるパラレル信号をシリアル信号に時分割多重したときのデータ配列を示す図。
【図3】図1のテレビジョンカメラ接続システムにおけるコネクタピン配列の一例を示す図。
【図4】図1のテレビジョンカメラ接続システムで使用するケーブルの構成例を示す図。
【図5】従来のCAMERA LINKテレビジョンカメラ接続システムの一実施例の概要を示したブロック図。
【図6】図5のテレビジョンカメラ接続システムにおける、パラレル信号をシリアル信号に時分割多重したときのデータ配列を示す図。
【図7】図5のテレビジョンカメラ接続システムにおけるケーブルの接続コネクタピン配置を示す図。
【図8】本発明に関連する映像システムの構成の一例を示す概念図。
【図9】カメラに電源ケーブルと信号伝送用ケーブルとを接続した状況の一例を示す図。
【図10】本発明の別の実施例によるテレビジョンカメラ接続システムを示すブロック図。
【図11】図10のテレビジョンカメラ接続システムにおけるパラレル信号をシリアル信号に時分割多重したときのデータ配列を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の実施例を図面に言及して説明する。なお、同様な部材には同様な参照符号を付す。
【0053】
図1は本発明の一実施例によるテレビジョンカメラ接続システムを示すブロック図である。
【0054】
このカメラ接続システムは、カメラ側接続回路1と、映像装置側接続回路18と、カメラ側接続回路1と映像装置側接続回路18を接続する伝送ケーブル11を有する。参照番号2はカメラ側接続回路1内の画像データ送信部(データ信号ドライバ)を表し、19、14、12はそれぞれ映像装置側接続回路18内の画像データ受信部、トリガ信号送信部、外部制御信号送信部を表し、6と8はそれぞれカメラ側接続回路1内のトリガ信号受信部と外部制御信号受信部を表す。参照番号9と10はそれぞれ電源とグランド(GND)を表す。
【0055】
画像データ送信部2は、時分割多重化回路200と2つのドライバ201を備え、カメラ側からのパラレル信号である画像信号3とLVAL及びFVAL信号(DVAL信号も伝送可能だが本実施例ではN.Cとする)と、更に外部制御信号(SerTFG)20とを各々が外部クロック(XCLK)4のクロック周期(T)の1/7周期(T/7)のデータ信号から成る2つの画像信号(シリアル信号)22上のいずれかのデータ信号に割当てられるよう時分割多重し、伝送ケーブル11により映像装置側へ伝送する。
【0056】
画像データ送信部2は更にドライバ202を備え、外部クロックを伝送ケーブル11を用いて非多重で映像装置側のレシーバ192へ伝送する。ドライバ201、202は差動信号(2つの画像信号(シリアル信号)22)を生成するよう構成されており、各ドライバへの入力信号は1対の信号線を用いて非反転信号と反転信号の形式で伝送される。時分割多重回路200とドライバは当該技術分野において良く知られているのでその詳細説明は無用であろう。
【0057】
映像装置側接続回路18内の画像データ受信部19は、2つのデータ信号レシーバ190と多重分離回路191を備え、伝送されてきた2対の差動信号(シリアル信号)22から元の10ビットの画像信号(パラレル信号)17とLVAL信号及びFVAL信号に戻した後、戻した画像信号に対して画像処理を行う。
【0058】
また、本実施例では映像装置側からカメラ側へ1種類のカメラ制御信号15を伝送するよう構成されており、例えば1種類のトリガ信号15を伝送できる。トリガ信号送信部14はドライバ140を備え、トリガ信号15を受信しドライバ140から差動信号を出力する。この差動信号は伝送ケーブル11でカメラ側へ伝送される。
【0059】
カメラ側のトリガ信号受信部6はレシーバ600を備え、受信したトリガ信号5をカメラ側に供給する。カメラ側はこのトリガ信号5に応じた処理、例えばカメラの露光時間、露光開始時間、撮像画像の画像抜取期間等の制御を行う。
【0060】
画像抜取期間とは、撮像画像の内の必要な画像部分の走査期間である。トリガ信号5は本実施例においては1つのトリガ信号であり、非時分割多重のリアルタイムの信号として伝送される。しかしながら2種類以上のトリガ信号を時分割多重して送ることも可能であり、その場合、1対の信号線を使うにもかかわらず、複数種類の信号を伝送することができると言う利点がある。この点は後で別の実施例に言及して説明する。
【0061】
また、映像装置側からカメラ側に送信する外部制御信号13は、トリガ信号と同様に、映像装置側のドライバ120を有する外部制御信号受信部12とカメラ側のレシーバ80を有する外部制御信号受信部8により、非時間多重の差動信号として伝送され、そうすることにより外部制御信号7がカメラ側で受信される。
【0062】
更に、上述のように、カメラ側から映像装置側に送信する外部制御信号(SerTFG)20も、カメラで撮像して得られた画像信号及びLVAL信号及びFVAL信号と一緒に時分割多重される。そして、その時分割多重された信号が、外部制御信号を含む画像信号(シリアル信号)22として送信される。
【0063】
なお、外部制御信号7、13、20、21はRS−232C、RS−422、IEEE1394、或いはUSB等のインターフェースに応じた信号とすることができるが、それに限定されるものではなく、IP信号としての送受信も行うことができ、そうすることで、カメラや映像装置が接続されたLANやインターネット等のネットワーク側から、IPプロトコルを用いてカメラを遠隔操作することができる。IP信号は、IPv4だけでなくIPv6のIP信号も送信可能である。
【0064】
また、本実施例では、電源9とグランド(GND)10を伝送ケーブル11を用いて映像装置側からカメラ側へ供給している。これにより電源供給のためだけのケーブルを用意する必要がない。なお、電源は映像装置内から供給しても良いし、独立した電源を映像装置側に設けるようにしてもよい。
【0065】
図2に、画像信号(パラレル信号)、FVAL,LVAL,(DVAL)、外部制御信号(SerTFG)をシリアル信号に時分割多重したときのデータ割当てを示す。カメラの10ビットパラレル信号(D0〜D9)(図1の画像信号)を2対のシリアル信号(X0,X1)32,31に時分割多重する。シリアル信号X1には更に、FVAL,LVAL,外部制御信号(SerTFG)も割当てられている。なお、本実施例においては DVALは使われていない。
【0066】
本実施例では、図6におけるN.C(データ割当てなし)となっているデータ割当て箇所にカメラ出力データを配置し、シリアル信号2つで伝送できるようにした。具体的には、図6でのシリアル信号(X0,X2)91,93を用い、そのうちのN.Cの部分に、信号 D6、D7、D9を配置する(図2参照)。
【0067】
ところで、この図2のシリアル信号(X0,X1)32,31は、カメラ側から映像装置側への伝送方向にデータを伝送する信号である。よって、本実施例では、同じくカメラ側から映像装置側へ送信する外部制御信号(SerTFG)20もシリアル信号 X 2 上に併せて時分割多重して割当てている。
【0068】
このように、データ伝送を行うシリアル信号内に外部制御信号20を含めることで、外部制御用の信号線を別途必要とすることなくなり、よってケーブル内の信号線の本数を減らすことができる。
【0069】
なお、外部制御信号7、13はカメラ側へ入力される信号であるため、特定の応用においてはよりリアルタイムにカメラを制御する必要がある。そのため、本実施例ではこれらの外部制御信号7、13は非多重で伝送している。しかしながら、それほど厳密なリアルタイム性を要求されない応用においてはこれらのカメラへの外部制御信号同士を別途時分割多重して伝送することが可能であり、そのような実施例は後述する。
【0070】
図2は、本発明の一実施例におけるデータ割当ての一例を示す。しかし、データ割当てはこれに限定されるものではなく、この外、種々のデータ割当てとしてもよいことは言うまでもない。また、カメラ側からの出力信号(図1の映像信号3)の10ビットパラレル信号を、2つのシリアル信号に時分割多重するときには、その周期をCAMERA LINK外部クロック(XCLK)4の周期(T)33の1/7の周期(T/7)34にして伝送する。
【0071】
図3に本発明の一実施例におけるコネクタのピン配置の一例を示す。画像信号(シリアル信号)の数や、トリガ信号及び外部制御信号の信号線の数を減らしたことで、この実施例では14ピンコネクタとすることができる。なお、ここに示すコネクタの配置は一例であり、この外、種々のピン配置としてよいことは言うまでもない。また、図3では、カメラ側及び映像装置側共に同じピン配置としたが、異なるピン配置としても良い。
【0072】
図4に本実施例で使用するケーブルの構成例を示す。ここで、電源線対51の電源52とGND53については、他のデータ信号線対50より太い線を使用しても良い。また、外部制御信号としてIP信号を使う場合は、外部制御信号線対55は、カテゴリ5の仕様を満足するケーブル(例えば、100 base−T)とすることができる。
【0073】
図10は、本発明の別の実施例によるテレビジョンカメラ接続システムのブロック図を示す。図1の実施例と同じ1対の信号線を用いて4種類のトリガ信号を伝送できるように構成されている。
【0074】
図10のカメラ接続システムはカメラ側から映像装置側への信号伝送に関しては図1と同様なのでその説明を省略することとし、映像装置側からカメラ側への信号伝送についてのみ説明する。
【0075】
図10において、14′はトリガ信号送信部を、6′はトリガ信号受信部を表す。トリガ信号送信部14′とトリガ信号受信部6′は、取り扱う信号の種類と数の違いを除けばとその機能と構成は画像信号送信(画像データ送信)部2と画像信号受信(画像データ受信)部19と同様である。トリガ信号送信部14′は時分割多重化回路141′とドライバ140′を備え、4種類のトリガ信号(CC1〜CC4)と外部制御信号SerTFG15′を映像装置側から受信し、各々が外部クロック(XCLK)4′のクロック周期(T)の1/7周期(T/7)のデータ信号から成る1つの信号(シリアル信号)上のいずれかのデータ部に割当てられるよう時分割多重し、伝送ケーブル11によりカメラ側へ伝送する。
【0076】
トリガ送信部14′のドライバ142′は、外部クロック4′をケーブル11を用いて非多重で映像装置側のレシーバ 602′へ伝送する。ドライバ140′、142′はそれぞれ差動信号33,44を生成するよう構成されており、これらのドライバへの入力信号はそれぞれ1対の信号線を用いて非反転信号と反転信号の形式で伝送される。
【0077】
トリガ信号受信部61′は、トリガ信号レシーバ601′と多重分離回路600′を備え、伝送されてきた1対の差動信号(シリアル信号)33から元の4種類のトリガ信号(パラレル信号)と外部制御信号に戻した後、カメラ側に供給する。また、受信部 6′はレシーバ602′を有し、レシーバ602′は受け取った差動信号44から外部クロック16′を再生しカメラ側に供給する。
【0078】
図11は、本実施例におけるデータ割当ての一例を示す。しかし、データ割当てはこれに限定されるものではなく、この外、種々のデータ割当てとしてもよいことは言うまでもない。
【0079】
本実施例では、図1の実施例に比しトリガ信号のリアルタイム伝送特性は若干劣るものの、図1の実施例と同等のケーブルを用いて図1で伝送可能なトリガ信号数より多くのトリガ信号を伝送できると言う利点を有する。
【0080】
以上説明したように、上記実施例によれば、カメラと映像装置間でケーブル本数と共にケーブルの信号線の本数を減らすことができ、それによって当該ケーブルの径をより細くすることができるという利点がある。この利点は特にFAへの応用において有用である。即ち、FAにおいてはカメラは可動に取り付けられることが多く、一方映像装置は非可動部分に取り付けられる。上記実施例のケーブルを用いた場合、カメラの運転中にこの可動部分と非可動部分との間が開いたり狭まったりしても、可動部分のカメラと非可動部分との間でケーブルの引き回しがより容易になるため、太いケーブルや複数のケーブルを用いた場合に生ずる様々な問題の発生の可能性を低減することができ、より柔軟な撮像条件で撮像することが可能となる。
【0081】
上記記載は実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の精神と添付の請求の範囲内で種々の変更及び修正をすることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0082】
1:カメラ側接続回路、2:画像データ送信部、3:画像信号、4:外部クロック、5:トリガ信号、6,6′:トリガ信号受信部、7:外部制御信号、8:外部制御信号受信部、 9:電源、10:GND、11:伝送ケーブル、12:外部制御信号送信部、13:外部制御信号、 14,14′:トリガ信号送信部、15:カメラ制御信号、18:映像装置側接続回路、19:画像データ受信部、20,21:外部制御信号、22:画像信号、31,32:シリアル信号、38:外部制御信号、51:電源線対、52:電源、53:GND、55:外部制御信号線対、60:映像信号、61:画像データ送信部、62:カメラ側CAMERA LINK処理回路、63:CAMERA LINK用外部クロック、64:カメラ制御信号受信部、66,66′:外部制御信号受信部、67,68,70,71: 外部制御信号、69:信号伝送ケーブル、72,72′:外部制御信号送信部、73:カメラ制御信号、74:CAMERA LINK用外部クロック、75:カメラ制御信号送信部、76:画像データ受信部、77:画像信号(パラレル信号)、78:映像装置側CAMERA LINK処理回路、80:LVAL,FVAL,DVAL信号、91〜94:シリアル信号、96:データ周期、140:ドライバ、190:レシーバ、191:多重分離回路、192:レシーバ、200:時分割多重回路、201,202:ドライバ、600:レシーバ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョンカメラと映像装置間のCAMERA LINK規格の信号の信号伝送装置において、
上記テレビジョンカメラに接続される第1の接続回路と、上記映像装置に接続される第2の接続回路と、上記第1接続回路と上記第2接続回路とを電気的に接続する伝送ケーブルを備え、上記第1の接続回路は、上記テレビジョンカメラからの映像信号と第1の制御信号とを第1のクロック信号の1/7の周期で多重化して第1のシリアル信号に変換する第1の時分割多重化回路と、上記第1のシリアル信号の差動信号を生成する第1の差動信号回路と、上記第1のクロック信号の差動信号を生成する第2の差動信号回路とを有し、上記第2の接続回路は、多重化された上記第1のシリアル信号を上記第1のクロック信号で上記映像信号と上記第1の制御信号に分離する第1の多重分離回路と、上記テレビジョンカメラを制御する第2の制御信号の差動信号を生成する第3の差動信号回路とを有し、上記第1の接続回路は、更に、上記第2の制御信号の受信部を有し、上記伝送ケーブルは、上記第1のシリアル信号を上記映像装置へ伝送する第1の対の信号線と、上記第1のクロック信号を上記映像装置へ伝送する第2の対の信号線と、上記テレビジョンカメラを制御する第2の制御信号を上記テレビジョンカメラへ伝送する第3の対の信号線と、上記映像装置から上記テレビジョンカメラへの電源供給線を有し、上記各信号線と上記電源供給線は1本の伝送ケーブルで構成されていることを特徴とする信号伝送装置。
【請求項2】
請求項1記載の信号伝送装置において、
上記第2の接続回路は、カメラ制御信号と外部制御信号とを多重化して第2のシリアル信号に変換する第2の時分割多重化回路と、上記第2のシリアル信号の差動信号を生成する第3の差動信号回路と、第2のクロック信号の差動信号を生成する第4の差動信号回路とを有し、上記第1の接続回路は、多重化された上記第2のシリアル信号を上記第2のクロック信号で上記カメラ制御信号と上記外部制御信号に分離する第2の多重分離回路を有し、上記伝送ケーブルは、更に、上記第2のクロック信号を上記テレビジョンカメラへ伝送する第4の対の信号線を有することを特徴とする信号伝送装置。
【請求項1】
テレビジョンカメラと映像装置間のCAMERA LINK規格の信号の信号伝送装置において、
上記テレビジョンカメラに接続される第1の接続回路と、上記映像装置に接続される第2の接続回路と、上記第1接続回路と上記第2接続回路とを電気的に接続する伝送ケーブルを備え、上記第1の接続回路は、上記テレビジョンカメラからの映像信号と第1の制御信号とを第1のクロック信号の1/7の周期で多重化して第1のシリアル信号に変換する第1の時分割多重化回路と、上記第1のシリアル信号の差動信号を生成する第1の差動信号回路と、上記第1のクロック信号の差動信号を生成する第2の差動信号回路とを有し、上記第2の接続回路は、多重化された上記第1のシリアル信号を上記第1のクロック信号で上記映像信号と上記第1の制御信号に分離する第1の多重分離回路と、上記テレビジョンカメラを制御する第2の制御信号の差動信号を生成する第3の差動信号回路とを有し、上記第1の接続回路は、更に、上記第2の制御信号の受信部を有し、上記伝送ケーブルは、上記第1のシリアル信号を上記映像装置へ伝送する第1の対の信号線と、上記第1のクロック信号を上記映像装置へ伝送する第2の対の信号線と、上記テレビジョンカメラを制御する第2の制御信号を上記テレビジョンカメラへ伝送する第3の対の信号線と、上記映像装置から上記テレビジョンカメラへの電源供給線を有し、上記各信号線と上記電源供給線は1本の伝送ケーブルで構成されていることを特徴とする信号伝送装置。
【請求項2】
請求項1記載の信号伝送装置において、
上記第2の接続回路は、カメラ制御信号と外部制御信号とを多重化して第2のシリアル信号に変換する第2の時分割多重化回路と、上記第2のシリアル信号の差動信号を生成する第3の差動信号回路と、第2のクロック信号の差動信号を生成する第4の差動信号回路とを有し、上記第1の接続回路は、多重化された上記第2のシリアル信号を上記第2のクロック信号で上記カメラ制御信号と上記外部制御信号に分離する第2の多重分離回路を有し、上記伝送ケーブルは、更に、上記第2のクロック信号を上記テレビジョンカメラへ伝送する第4の対の信号線を有することを特徴とする信号伝送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−41310(P2011−41310A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225372(P2010−225372)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【分割の表示】特願2006−343759(P2006−343759)の分割
【原出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【分割の表示】特願2006−343759(P2006−343759)の分割
【原出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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