説明

信号処理装置、赤外線検知装置、信号処理方法、および信号処理プログラム

【課題】被写体に対する出力信号の精度の向上を図ること。
【解決手段】第1の取得部601によって受光素子群から暗電流の値を取得し、特定部602によって、受光感度特性に基づいて、第1の取得部601で取得された各受光素子からの暗電流の値に対応する受光感度を特定する。つぎに、比率算出部603によって、特定部602で特定された受光感度と補正目標である所定の受光感度との比率を受光素子毎に補正係数として算出し、この補正係数を記憶部604に記憶する。そして、補正部606は、記憶部604に記憶されている補正係数を用いて、第2の取得部605で取得した出力信号を補正する。出力部607は補正された出力信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号を処理する信号処理装置、赤外線検知装置、信号処理方法、および信号処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線検知装置は、被写体から放射される赤外線を検出して画像を表示する検知器であり、被写体の温度分布や形状の検出等の各種の分野に適用されている。赤外線検知装置としては、受光素子(以下、「素子」という)を1次元や2次元配列した多素子構成のアレイがある。
【0003】
この赤外線検知装置の素子は、入射光量に依存せずに流れる暗電流の値(入射光量が0の状態(以下、「暗状態」という)において流れる電流の値)にばらつきが発生する。また、この赤外線検知装置の素子の中には、各素子の受光感度に上記暗電流のばらつきに応じた形でばらつきが発生する場合がある。そして、運用時に経年劣化等により素子に受光感度異常が発生することがある。このように素子の暗電流の値と受光感度がばらついた状態では被写体に対して精度のよい出力信号が出せない。
【0004】
従来、アレイの分野では、暗電流分を取り除いた後、各素子の出力信号に対して素子毎の補正係数を乗じる等の補正処理を行い、同じ光量の被写体を撮像した場合にどの素子からも同じ出力信号が得られるよう補正して、映像品質を向上させている。
【0005】
かかる補正処理には、2点補正が採用されることが一般的である。2点補正では、低温の基準温度と高温の基準温度に対して各々の素子が検知した計測結果から補正係数を算出し、同一入射光量に対する各素子からの出力信号が同一となるように補正する(例えば、下記特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−180264号公報
【特許文献2】特開2009−231364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では、素子間の暗電流のばらつき、従って受光感度のばらつきが大きい素子は、補正前の出力信号のばらつきが非常に大きいため、2点補正を採用した場合、補正係数に誤差が多く含まれる。したがって、被写体に対する出力信号の精度が低下するという問題があった。
【0008】
具体的には、2点補正では、各素子における2点間の出力信号の差(以下、「素子毎差」という)を用いて補正係数を算出する。また、通常は、補正係数やA/D変換部のオーダを考慮し、プロセッサは、16ビット程度で演算を行う。
【0009】
ここで、ばらつきに起因して、素子毎差の大小には大きなばらつきが存在するため、16ビットをオーバーフローしたり、16ビットの精度が得られなかったりする素子がある。よって、それらの素子の補正係数は誤差を含むことになる。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑み、被写体に対する出力信号の精度の向上を図ることができる信号処理装置、赤外線検知装置、信号処理方法、および信号処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決し、目的を達成するため、赤外光を受光する受光素子群から暗電流の値を取得し、暗電流の増加に伴って受光感度が増加する受光感度特性に基づいて、取得された各受光素子からの暗電流の値に対応する受光感度を特定し、特定された受光感度と所定の受光感度との比率を受光素子毎に算出し、前記各受光素子からの暗電流の値と算出された前記受光素子毎の比率を記憶し、前記受光素子群で被写体からの赤外線を受光したときの前記各受光素子の電流値を取得し、記憶されている前記受光素子毎の前記暗電流の値と前記比率に基づいて、取得された前記各受光素子の電流値を補正し、前記受光素子毎の補正結果を出力する信号処理装置、赤外線検知装置、信号処理方法、および信号処理プログラムが、一例として提案される。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる信号処理装置、赤外線検知装置、信号処理方法、および信号処理プログラムによれば、被写体に対する出力信号の精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】信号処理装置による出力信号の補正の内容を示す説明図である。
【図2】素子の受光感度特性を示す説明図である。
【図3】信号処理装置を含む赤外線検知装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】受光感度補正データベースの構成を示す説明図である。
【図5】2次元アレイの一例を示す概略図である。
【図6】信号処理装置の機能ブロック図である。
【図7】信号処理装置による出力信号の補正に用いる受光感度補正データ取得の流れを示すフローチャートである。
【図8】信号処理装置による出力信号の補正の流れを示すフローチャートである。
【図9】受光感度特性生成の流れを示すフローチャートである。
【図10】信号処理装置による出力信号の補正処理の具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる信号処理装置、赤外線検知装置、信号処理方法、および信号処理プログラムの実施の形態を詳細に説明する。まず、図1,図2を用いて信号処理装置による出力信号の補正内容について説明する。
【0015】
(出力信号の補正の内容)
図1は、信号処理装置による出力信号の補正の内容を示す説明図である。図1に示す各出力特性において、横軸は素子への入射光量であり、縦軸は入射光量に対する出力信号である。各素子は、入射光量に応じて発生する光電流の値(入射光量に受光感度を乗じた値)と入射光量に依存せずに流れる暗電流の値(入射光量が0の状態(以下、「暗状態」という)において流れる電流の値)とを重畳した値を出力信号として出力している。即ち、受光感度は入射光量と光電流の比であり、出力特性の傾きである。なお、以下では、例えば、n行n列の2次元アレイを用いて説明を行う。また、iは行番号であり、jは列番号である。
【0016】
図1に示すように、素子B(i,j)は素子毎の出力特性にばらつきがある。そのため、信号処理装置は、それぞれの素子B(i,j)の出力特性を、補正目標となる一の出力特性(以下、「所定の特性」という)と一致するように補正し、均一化する。具体的には、この出力特性のばらつきは、暗電流Ia(i,j)のばらつきと受光感度Ra(i,j)のばらつきに起因しているため、暗電流のばらつきの影響を排し、受光感度のばらつきを統一することで、全素子の出力特性を所定の特性に均一化できる。
【0017】
ここでは、ユークリッド幾何学において直線を一義的に決定する条件である「所定の1点を通って、所定の傾きを持つこと」を用いて、所定の特性を決定している。例えば、所定の特性は、暗状態において暗電流がIa0の点(0,Ia0)を通って、暗状態において暗電流Ia0が流れている場合での受光感度R0を傾きとする直線である。なお、2点補正では、ユークリッド幾何学において直線を一義的に決定する条件である「所定の2点を通ること」を用いて、所定の特性を決定している。
【0018】
即ち、信号処理装置は、素子B(i,j)の出力特性を、点(0,Ia0)を通過する特性となるようにバイアスし、出力特性の受光感度がR0となるように補正係数を乗ずることによって、素子B(i,j)の出力特性が所定の特性と一致するように補正する。このようにして、全ての素子の特性を所定の特性へと均一化し、出力信号の精度をよくし、映像品質を向上させることができる。なお、実際の処理では、素子B(i,j)の実際の出力信号の値を、もし素子B(i,j)の出力特性が所定の特性と同一だったとした場合に素子B(i,j)が出力すべき出力信号の値へ補正することで、見かけ上、全素子の特性を所定の特性に均一化している。
【0019】
なお、上記所定の特性は、別途定めた基準としての特性であってもよいし、また、実際の被補正対象である2次元アレイ中で適宜決めた特定の1素子B(h,k)の特性などであってもかまわない。また、信号処理装置が使用される状態における入射光量に対して、その入射光量に対する光電流が暗電流に比して十分に小さい場合等には、上記「所定の1点」として、暗状態ではなく、既知温度の熱源から既知光量が入射している状態に対する点を用いてもよい。次に、図2を用いて、被補正対象である素子B(i,j)の出力特性の算出と、その受光感度の補正係数の算出について説明する。
【0020】
図2は、素子の受光感度特性を示す説明図である。図2に示す受光感度特性において、横軸は暗状態で素子に流れる暗電流の値であり、縦軸は暗電流に対する受光感度である。図2に示すように、素子B(i,j)は、受光感度が暗電流に対して大きく変化してしまうような依存性を示している。上述のように、暗電流は素子毎にばらついた値をとるため、受光感度の値も素子毎にばらつきを持つことになる。
【0021】
しかし、この受光感度特性R(i,j)=f(Ia(i,j))は、それぞれの素子動作における物理機構に起因する特性であると考えられるから、少なくとも素子毎に一定であり、予め知ることができる特性である。したがって、信号処理装置は、予め素子B(i,j)の受光感度特性R(i,j)=f(Ia(i,j))を計測・記憶しておき、さらに、素子B(i,j)の暗電流Ia(i,j)を計測すれば、各素子の出力特性の通過点(0,Ia(i,j))と傾きRa(i,j)を算出することができる。
【0022】
このようにして、信号処理装置は、被補正対象である素子B(i,j)の出力特性を算出・記憶しておき、そして、算出したRa(i,j)と予め設定されたR0の比を、各素子に対する受光感度の補正係数R0/Ra(i,j)として算出・記憶する。
【0023】
ここで用いた受光感度特性は、各素子に印加されるバイアス電圧Vを適当な範囲で順次変化させて、それぞれのバイアス電圧Vにおける暗電流の値と受光感度の計測を行うことで得られる。また、受光感度を計測するには、既知温度の熱源からの赤外線を、いわゆるチョッパーでオン・オフして入射光量変化Δφを作り、それに対する出力信号変化ΔIを計測し、その比を求めればよい。なお、ここでは、暗電流に対する受光感度特性を用いたが、発生する光電流が暗電流に比して十分に小さい既知温度の熱源等から既知光量を入射させた状態における電流に対する受光感度特性を用いてもよい。
【0024】
ここで、受光感度特性は、受光素子群の全素子でほぼ一定の特性であるから、受光素子群の内の任意の1素子の受光感度特性を取得すればよい。なお、事実上、受光素子群の素子と同一なテスト素子の受光感度特性を取得してもよい。
【0025】
この受光感度特性は、受光素子群を赤外線検知装置内に組み込む前に取得してもよい。また、既知温度の熱源とチョッパーあるいはそれらと同等なものを用い、あるいは赤外線検知装置内に受光素子群とともに組み込み、実動作前ないしは実動作中の適当な時期に、適宜上記既知温度熱源とチョッパー等を稼働させて取得してもよい。
【0026】
(赤外線検知装置のハードウェア構成)
以下に、図3〜5を用いて信号処理装置を含む赤外線検知装置の構成について説明する。
【0027】
図3は、信号処理装置を含む赤外線検知装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、赤外線検知装置300は、2次元アレイ310と、信号処理装置320と、を備えている。
【0028】
2次元アレイ310は、受光素子群311と、信号読出し回路312と、行選択スイッチ313と、シフトレジスタ314と、を備える。受光素子群311は、入射光量を光電流に変換する素子が2次元行列状に配された構成となっている。周知技術のため、詳細な説明を省略するが、信号読出し回路312と行選択スイッチ313とは、受光素子群311からの出力を素子毎の個別の出力信号として読出す。そして、シフトレジスタ314は、選択された行での一定バイアス電圧下での列出力信号を時系列の出力信号として取り出し、プロセッサ321へ出力する。
【0029】
信号処理装置320は、プロセッサ321と、メモリ322と、入力装置323と、ディスプレイ324と、を備えている。また、メモリ322には受光感度補正データベース322aが記憶されている。
【0030】
ここで、プロセッサ321は、信号処理装置320の全体の制御を司る。メモリ322は受光感度補正データベース322aを保存する。入力装置323は、ユーザによる信号処理装置320の操作内容の入力を受け付ける。
【0031】
ディスプレイ324は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文章、画像、機能情報等のデータを表示する。このディスプレイ324は、例えば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を採用することができる。
【0032】
(受光感度補正データベースの構成)
次に、図3に示した受光感度補正データベース322aの構成について説明する。
【0033】
図4は、受光感度補正データベースの構成を示す説明図である。図4に示すように、受光感度補正データベース322aは、素子B(i,j)401のそれぞれに対応付けて、受光感度特性項目402と、暗電流項目403aと受光感度項目403bと、所定の特性の暗電流項目404aと受光感度項目404bと、補正係数項目405とを有し、素子B(i,j)毎にレコードを有する。
【0034】
上述したように、受光感度特性項目402と、所定の特性の暗電流項目404aおよび受光感度項目404bとについては、予め計測・設定されたデータが記憶されている。一方、暗電流項目403aと受光感度項目403bと補正係数項目405とについては、補正処理によって取得されるデータが記憶される。次に、図3に示した2次元アレイ310について説明する。
【0035】
図5は、2次元アレイの一例を示す概略図である。図5に示したように、2次元アレイ310は、2次元行列状に配置された受光素子群311と信号読出し集積回路315(信号読出し回路312、行選択スイッチ313、シフトレジスタ314)を、Inバンプ501を介してハイブリッド接続して一体化した2次元アレイである。
【0036】
(信号処理装置320の機能的構成)
次に、図6を用いて信号処理装置320の機能的構成について説明する。
【0037】
図6は、信号処理装置320の機能ブロック図である。図6に示すように、信号処理装置320は、第1の取得部601と、特定部602と、比率算出部603と、記憶部604と、第2の取得部605と、補正部606と、出力部607と、第3の取得部608と、受光感度算出部609と、生成部610と、を備える。
【0038】
第1の取得部601は、受光素子群311からの暗電流の値を取得する機能を有する。具体的には、例えば、第1の取得部601は、シフトレジスタ314からの出力信号である暗電流の値を取り込む。そして、第1の取得部601は、取り込んだ暗電流の値を記憶部604に保持する。ここで、受光素子群311とは2次元アレイ310を構成する複数の素子をいう。
【0039】
第1の取得部601は、具体的には、受光素子群311を暗状態、かつ、各素子に一定バイアス電圧Vを印加した状態で、シフトレジスタ314から出力される各素子での暗電流の値Ia(i,j)を取得する。第1の取得部601は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ322に記憶されたプログラムをプロセッサ321に実行させることにより、その機能を実現する。
【0040】
特定部602は、暗電流の増加に伴って受光感度が増加する受光感度特性に基づいて、第1の取得部601によって取得された各素子からの暗電流の値に対応する受光感度を特定する機能を有する。ここで、受光感度とは単位入射光量をどれだけの電流量に変換できるか(通常用いられる単位系では、1Wの入射光を何Aの電流に変換できるか)を示す比率である。また、受光感度特性とは図2に示した暗電流に対する受光感度の依存性である。
【0041】
特定部602は、具体的には、受光感度特性R(i,j)=f(Ia(i,j))に、第1の取得部601により記憶部604に書き込まれた各素子からの暗電流の値Ia(i,j)を代入し、各素子の受光感度Ra(i,j)を特定する。これにより、被補正対象である各素子の受光感度を特定することができる。特定された各素子の受光感度Ra(i,j)は、記憶部604に保持される。
【0042】
ここで用いる受光感度特性R(i,j)は、各素子に印加されるバイアス電圧Vを適当な範囲で順次変化させて、それぞれのバイアス電圧Vにおける暗電流の値と受光感度の計測を行うことで得られる。また、受光感度Ra(i,j)を計測するには、既知温度の熱源からの赤外線を、いわゆるチョッパーでオン・オフして入射光量変化Δφを作り、それに対する出力信号変化ΔIを計測し、その比を求めればよい。
【0043】
なお、特定部602で用いた受光感度特性R(i,j)=f(Ia(i,j))は、2次元アレイ310を赤外線検知装置300に組み込む前に取得しておき、記憶部604に記憶しておいてもよい。このように記憶する場合、赤外線検知装置300の大型化を防げる。また、受光感度特性R(i,j)=f(Ia(i,j))は、既知温度の熱源とチョッパーを赤外線検知装置300内に組み込み、実動作前や実動作中の適当な時期に、生成部610によって生成し、記憶部604に記憶してもよい。このように記憶する場合、素子の受光感度が経年劣化等によって変化した場合にも対応できる。この特定部602は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ322に記憶されたプログラムをプロセッサ321に実行させることにより、その機能を実現する。
【0044】
比率算出部603は、特定部602によって特定された受光感度と所定の受光感度との比率を素子毎に算出する機能を有する。そして、比率算出部603は、算出した比率を記憶部604に記憶する。ここで、所定の受光感度とは、補正目標とする所定の特性の受光感度である。
【0045】
比率算出部603は、具体的には、特定部602によって特定された受光感度Ra(i,j)と所定の受光感度R0との比率R0/Ra(i,j)を素子毎に算出する。これにより、出力信号の補正に用いる比率を算出できる。なお、補正目標とする出力特性は、別途任意に定めた出力特性であってもよいし、実際の被補正対象である受光素子群311の内の1素子の出力特性であってもよいし、受光素子群311の出力特性の平均の出力特性であってもよい。この比率算出部603は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ322に記憶されたプログラムをプロセッサ321に実行させることにより、その機能を実現する。
【0046】
記憶部604は、特定部602で用いる受光感度特性と特定部602で特定された受光感度と第1の取得部601で取得された各素子からの暗電流の値と比率算出部603によって算出された前記素子毎の比率とを記憶する機能を有する。この記憶部604は、具体的には、例えば、図3に示した受光感度補正データベース322aにより、その機能を実現する。これにより、記憶部604は、出力信号の補正に必要なデータを記憶できる。
【0047】
第2の取得部605は、実際の撮像時において、受光素子群311で被写体からの赤外線を受光したときの各素子の電流値を取得する機能を有する。具体的には、例えば、第2の取得部605は、受光素子群311で被写体からの赤外線を受光したときの各素子の電流値I(i,j)を、シフトレジスタ314から取り込む。第2の取得部605は、取り込まれた電流値I(i,j)をメモリ322に保持する。
【0048】
これにより、補正対象である素子の出力を得られる。第2の取得部605は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ322に記憶されたプログラムをプロセッサ321に実行させることにより、その機能を実現する。
【0049】
補正部606は、記憶部604に記憶されている素子毎の暗電流の値と比率とに基づいて、第2の取得部605によって取得された各素子の電流値を補正する機能を有する。そして、補正部606は、補正結果をメモリ322に保持する。
【0050】
補正部606は、具体的には、第2の取得部605によって取得された各素子の電流値I(i,j)から、素子毎の暗電流の値Ia(i,j)を減算し、さらに、比率R0/Ra(i,j)を乗じて、暗電流Ia0を加算する。このようにして、各素子の電流値I(i,j)を補正する。これにより、被写体に対しての受光感度が統一されるため精度のよい出力が得られる。この補正部606は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ322に記憶されたプログラムをプロセッサ321に実行させることにより、その機能を実現する。
【0051】
出力部607は、補正部606によって補正された素子毎の補正結果を出力する。具体的には、例えば、出力部607は、メモリ322に保持された補正結果を読み込んで、補正結果をディスプレイ324に送る。これにより、補正結果がディスプレイ324で表示されることとなる。なお、出力部607は、補正結果を印刷出力してもよく、信号処理装置320と通信可能な通信先装置に送信してもよい。出力部607は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ322に記憶されたプログラムをプロセッサ321に実行させることにより、その機能を実現する。
【0052】
第3の取得部608は、一の素子からの暗電流の値と一の素子で熱源からの既知の入射光量Δφの赤外線を受光したときの電流値との組み合わせについて、バイアス電圧Vを変化させて複数個を取得する機能を有する。ここで、一の素子とは、受光素子群311の内の任意の1素子である。なお、事実上、受光素子群311の素子と同一なテスト素子でもよい。また、既知の入射光量Δφはメモリ322に保持されている。そして、第3の取得部608は、取得した暗電流の値Ia(x)と電流値I(x)をメモリ322に保持する。この第3の取得部608は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ322に記憶されたプログラムをプロセッサ321に実行させることにより、その機能を実現する。
【0053】
受光感度算出部609は、受光感度を算出する機能を有する。受光感度算出部609は、具体的には、第3の取得部608が取得した電流値I(x)と暗電流の値Ia(x)の組み合わせから、出力信号変化ΔI(x)=I(x)−Ia(x)を算出する。そして、メモリ322に保持されている入射光量Δφと算出した出力信号変化ΔI(x)から、受光感度R(x)=出力信号変化ΔI(x)/入射光量Δφをさらに算出する。これにより、受光感度算出部609は、暗電流の値Ia(x)に対する受光感度R(x)を算出できる。この受光感度算出部609は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ322に記憶されたプログラムをプロセッサ321に実行させることにより、その機能を実現する。
【0054】
生成部610は、第3の取得部608が取得した電流値I(x)と暗電流の値Ia(x)の組み合わせと受光感度算出部609によって算出された各受光感度R(x)とに基づく受光感度特性を生成する機能を有する。そして、生成部610は、生成した受光感度特性を記憶部604に記憶する。生成部610は、具体的には、第3の取得部608によって取得された暗電流の値Ia(x)と受光感度算出部609によって算出された各受光感度R(x)との組み合わせの点を受光感度特性の点として用い、区分線形近似した受光感度特性を生成する。これにより、生成部610は、補正対象である素子の受光感度特性を生成できる。この生成部610は、具体的には、例えば、図3に示したメモリ322に記憶されたプログラムをプロセッサ321に実行させることにより、その機能を実現する。
【0055】
ここで、信号処理装置320による出力信号の補正に用いる受光感度補正データ取得の流れを説明する。なお、赤外線検知装置300が起動された状態では、電源回路(不図示)によってバイアス電圧Vが受光素子群311に印加されている。また、赤外線検知装置300が起動された状態では、信号読出し回路312と行選択スイッチ313とシフトレジスタ314が稼働されており、プロセッサ321が各素子の出力を取得できるようになっている。そして、ここでは、受光素子群311は暗状態にされている。例えば、受光素子群311を暗状態にする場合、実用上放射赤外線が無視できる程度の極低温の熱源からの赤外線を受光素子群311に対して均一に入射させる。また、暗状態ではなく、既知温度の熱源から既知光量が入射している状態であってもよい。
【0056】
図7は、信号処理装置による出力信号の補正に用いる受光感度補正データ取得の流れを示すフローチャートである。まず、プロセッサ321は、行番号iをi=1にセットし、列番号jをj=1にセットする(ステップS701)。次に、プロセッサ321は、シフトレジスタ314から出力された素子B(i,j)に流れる暗電流の値Ia(i,j)を受光感度補正データベース322aの暗電流項目403aに書き込む(ステップS702)。
【0057】
プロセッサ321は、受光感度補正データベース322aに保存されている受光感度特性R(i,j)=f(Ia(i,j))と素子B(i,j)に流れる暗電流の値Ia(i,j)から、素子B(i,j)の受光感度の値Ra(i,j)を算出し、受光感度補正データベース322aの受光感度項目403bに書き込む(ステップS703)。
【0058】
プロセッサ321は、素子B(i,j)の補正係数として、素子B(i,j)の受光感度の値Ra(i,j)と所定の特性の受光感度R0の値との比R0/Ra(i,j)を算出し、受光感度補正データベース322aの補正係数項目405に書き込む(ステップS704)。ここで、プロセッサ321は、列番号jがj<nであるかを判定する(ステップS705)。j<nである場合(ステップS705:Yes)、jをインクリメントして(ステップS706)、ステップS702に戻る。
【0059】
プロセッサ321は、j<nでない場合(ステップS705:No)、ステップS707に進む。ここで、プロセッサ321は、行番号iがi<nであるかを判定する(ステップS707)。i<nである場合(ステップS707:Yes)、列番号jをj=1にセットし行番号iをインクリメントして(ステップS708)、ステップS702に戻る。プロセッサ321は、i<nでない場合(ステップS707:No)、受光感度補正データ取得処理を終了する。この処理によって、プロセッサ321は、実際の撮像時における出力信号の補正に用いる受光感度補正データを取得することができる。
【0060】
次に、実際の撮像時における信号処理装置による出力信号の補正の流れを説明する。なお、赤外線検知装置300が起動された状態では、電源回路(不図示)によってバイアス電圧Vが受光素子群311に印加されている。また、赤外線検知装置300が起動された状態では、信号読出し回路312と行選択スイッチ313とシフトレジスタ314が稼働されており、プロセッサ321が各素子の出力を取得できるようになっている。
【0061】
図8は、信号処理装置による出力信号の補正の流れを示すフローチャートである。まず、プロセッサ321は、行番号iをi=1にセットし、列番号jをj=1にセットする(ステップS801)。次に、プロセッサ321は、シフトレジスタ314から出力される素子B(i,j)に流れる出力信号の電流値I(i,j)から、受光感度補正データベース322aに保存されている素子B(i,j)の暗電流の値Ia(i,j)を減算し、暗電流の影響を排する。
【0062】
そして、プロセッサ321は、減算した値に、補正係数R0/R(i,j)を乗じて、受光感度を補正する。最後に所定の特性の暗電流の値Ia0を加算することで、出力信号の電流値I(i,j)を電流値I0(i,j)に補正する(ステップS802)。即ち、プロセッサ321は、I0(i,j)=R0/R(i,j)*(I(i,j)−Ia(i,j))+Ia0の式に各値を代入して、出力信号の電流値I(i,j)を電流値I0(i,j)に補正する。
【0063】
そして、プロセッサ321は、補正した電流値I0(i,j)を、補正した出力信号としてディスプレイ324に出力する(ステップS803)。ここで、プロセッサ321は、列番号jがj<nであるかを判定する(ステップS804)。j<nである場合(ステップS804:Yes)、jをインクリメントして(ステップS805)、ステップS802に戻る。
【0064】
プロセッサ321は、j<nでない場合(ステップS804:No)、ステップS806に進む。ここで、プロセッサ321は、行番号iがi<nであるかを判定する(ステップS806)。i<nである場合(ステップS806:Yes)、列番号jをj=1にセットし行番号iをインクリメントして(ステップS807)、ステップS802に戻る。プロセッサ321は、i<nでない場合(ステップS806:No)、実際の撮像時における出力信号の補正処理を終了する。この処理によって、プロセッサ321は、被写体に対して精度のよい出力信号を出力することができる。
【0065】
図9を用いて、既知温度の熱源とチョッパーを赤外線検知装置300内に組み込み、実動作前や実動作中の適当な時期に、生成部610によって受光感度特性を生成する場合の具体例について説明する。
【0066】
図9は、受光感度特性生成の流れを示すフローチャートである。ここで、受光感度特性は、受光素子群311の全素子でほぼ一定の特性であるから、受光素子群311の内の任意の1素子の受光感度特性を生成すればよい。なお、事実上、受光素子群311の素子と同一なテスト素子の受光感度特性を生成してもよい。受光感度特性の生成においては、プロセッサ321により電源回路(不図示)を制御し、素子にかかるバイアス電圧VをΔVずつ増加させる。そして、それぞれのバイアス電圧Vに応じた素子の暗電流の値とその暗電流での受光感度の値を取得することで、受光感度特性の点を複数取得し、区分線形近似された受光感度特性を生成する。なお、ここでは、d個の点を取得するものとする。
【0067】
具体的には、例えば、バイアス電圧Vと暗電流の値とは、バイアス電圧が±10mVの範囲では、ほぼ比例関係となるため、この範囲でバイアス電圧Vを一定値ずつ増加させると暗電流もほぼ一定値ずつ増加することになる。ここで、赤外線が入射すると、暗電流の値と暗電流の値に対応する感度を入射光量に乗じた電流の値とを重畳した値が得られる。よって、この出力信号変化と入射光量から感度を算出することができ、一定値毎の暗電流の値に対応する複数個の受光感度特性の点を得ることができる。
【0068】
まず、プロセッサ321は、取得データ番号xをx=1にセットする(ステップS901)。そして、プロセッサ321は、電源回路(不図示)を制御し、バイアス電圧Vを素子に印加させる(ステップS902)。このバイアス電圧Vの値はメモリ322に保持されている。
【0069】
次に、プロセッサ321は、暗状態における素子に流れる暗電流の値Ia(x)を計測する(ステップS903)。次に、プロセッサ321は、既知温度の熱源から既知の入射光量Δφが入射している状態における素子に流れる電流値I(x)を計測する(ステップS904)。この入射光量Δφはメモリ322に保持されている。そして、プロセッサ321は、出力信号の変化ΔI(x)=I(x)−Ia(x)を算出する(ステップS905)。
【0070】
プロセッサ321は、メモリ322に保持されている入射光量Δφと算出した出力信号変化ΔI(x)から、受光感度R(x)=出力信号変化ΔI(x)/入射光量Δφを算出する(ステップS906)。そして、プロセッサ321は、暗電流の値Ia(x)と受光感度R(x)をメモリ322に保存する(ステップS907)。
【0071】
ここで、プロセッサ321は、取得データ番号xがx<dであるかを判定する(ステップS908)。x<dである場合(ステップS908:Yes)、プロセッサ321は、メモリ322に保持されているバイアス電圧Vの値をΔVインクリメントし(ステップS909)、xをインクリメントして(ステップS910)、ステップS902に戻る。即ち、プロセッサ321が電源回路(不図示)を制御して増加させたバイアス電圧Vに応じて増加した素子に流れる暗電流Ia(x)の値と電流値I(x)の値を計測する処理に移る。
【0072】
プロセッサ321は、x<dでない場合(ステップS908:No)、受光感度特性生成の処理を終了する。この処理によって、プロセッサ321は、複数点のデータを用いて区分線形近似された受光感度特性を生成することができる。
【0073】
次に、信号処理装置による出力信号の補正処理の具体例について説明する。
【0074】
図10は、信号処理装置による出力信号の補正処理の具体例を示す説明図である。ここで、例1では、面内均一な光量が入射した場合について説明する。また、例2では、中央部の素子に対して多くの光量が入射した場合について説明する。なお、各グラフの横軸は任意の素子列(行)である。また、1段目のグラフでは、縦軸は各素子に入射する光量である。2段目のグラフでは、縦軸は各素子の補正前の出力信号である。3段目のグラフでは、縦軸は暗電流分を取り除いた各素子の出力信号である。4段目のグラフでは、縦軸は受光感度補正後の各素子の出力信号である。
【0075】
どちらの例においても、暗電流ばらつきと受光感度ばらつきの影響によって出力信号にばらつきが生じている。そのため、信号処理装置は、まず暗電流分を取り除き、暗電流ばらつきの影響を排する。そして、信号処理装置が受光感度の補正を行うと、例1では、面内均一な入射光量に正確に応じ、面内均一な出力が得られる。例2では、入射光量に正確に応じ、中央部の素子の出力が大きくなった出力が得られる。
【0076】
このように信号処理装置によれば、被写体に対する出力信号の精度が向上し、受光感度ムラを低減し、画質を向上させることができる。また、2点補正を行うために必要な2つの黒体ならびにその制御装置等の付随装置が不要となり、装置の大型化を抑制することができる。
【0077】
なお、上記説明では、簡単のため、暗状態における暗電流の値を用いて説明したが、発生する光電流が暗電流に比して十分に小さい既知温度の熱源等から既知光量を入射させた状態における電流を用いてもよい。
【0078】
なお、上記説明では、簡単のため、素子からの出力信号を電流として説明したが、実際に用いられる赤外線検知装置では、一定時間tの間、素子からの電流Iを容量Cに蓄積して、その電圧変化ΔVを出力信号として扱う。ここで、周知のように、電荷量Q=容量C×電圧Vの関係があるから、電流Iと電圧変化ΔVとの関係は、下記の式のようになり、信号電流と信号電圧は比例の関係にある。したがって、信号処理装置は、信号電圧に対しても、簡単な変形によって適用できるから、信号が電流であるか電圧であるかは信号処理装置にとって実質的な差異とはならない。
【0079】
【数1】

【0080】
このように、上述した実施の形態では、全素子の出力信号の値を、素子の出力特性が所定の特性と同一だったとした場合に出力すべき出力信号の値へ補正できる。したがって、暗電流ばらつきと受光感度ばらつきの影響がなくなり、被写体に対して精度のよい出力信号が得られることとなる。
【0081】
また、実動作時の素子の出力特性に近い特性を、所定の特性として設定できる。したがって、実際の素子動作に近い出力信号が得られる。
【0082】
さらに、被補正対象である受光素子群から選ばれた任意の受光素子の受光感度特性を用いて出力信号を補正する場合には、実際の素子動作に則した、誤差の少ない補正を行うことができる。また、各受光素子の受光感度特性の平均の受光感度特性を用いて出力信号を補正する場合には、受光素子群全体の素子の受光感度特性と平均の受光感度特性との差異が少ないため、より誤差の少ない補正を行うことができる。
【0083】
さらに、出力信号の補正に用いる受光感度特性を、実動作前や実動作中の適当な時期に生成できるため、素子の受光感度が経年劣化等によって変化した場合にも、被写体に対して精度のよい出力信号が得られる。
【0084】
また、全素子の出力信号の値を、素子の出力特性が所定の特性と同一だったとした場合に出力すべき出力信号の値へ補正できるため、暗電流ばらつきと受光感度ばらつきの影響がなくなり、被写体に対して精度のよい出力信号が得られる。
【0085】
なお、本実施の形態で説明した信号処理方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本信号処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また本信号処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することとしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
300 赤外線検知装置
310 2次元アレイ
311 受光素子群
312 信号読出し回路
313 行選択スイッチ
314 シフトレジスタ
320 信号処理装置
321 プロセッサ
322 メモリ
322a 受光感度補正データベース
601 第1の取得部
602 特定部
603 比率算出部
604 記憶部
605 第2の取得部
606 補正部
607 出力部
608 第3の取得部
609 受光感度算出部
610 生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外光を受光する受光素子群から暗電流の値を取得する第1の取得手段と、
暗電流の増加に伴って受光感度が増加する受光感度特性に基づいて、前記第1の取得手段によって取得された各受光素子からの暗電流の値に対応する受光感度を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された受光感度と所定の受光感度との比率を受光素子毎に算出する比率算出手段と、
前記各受光素子からの暗電流の値と前記比率算出手段によって算出された前記受光素子毎の比率とを記憶する記憶手段と、
前記受光素子群で被写体からの赤外線を受光したときの前記各受光素子の電流値を取得する第2の取得手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記受光素子毎の前記暗電流の値と前記比率とに基づいて、前記第2の取得手段によって取得された前記各受光素子の電流値を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された前記受光素子毎の補正結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記補正手段は、
前記記憶手段に記憶されている前記受光素子毎の前記暗電流の値と、前記所定の受光感度における暗電流の値と、前記比率とに基づいて、前記第2の取得手段によって取得された前記各受光素子の電流値を補正することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記受光感度特性は、前記受光素子群から選ばれた任意の受光素子の受光感度特性であることを特徴とする請求項1または2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記受光感度特性は、前記各受光素子の受光感度特性の平均の受光感度特性であることを特徴とする請求項1または2に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記受光素子群の中の一の受光素子からの暗電流の値と前記受光素子群で熱源からの赤外線を受光したときの前記一の受光素子の電流値との組み合わせについて、バイアス電圧を変化させて複数個を取得する第3の取得手段と、
前記熱源の入射光量に基づいて、前記第3の取得手段によって取得された組み合わせ毎に前記一の受光素子の受光感度を算出する受光感度算出手段と、
前記各組み合わせと前記受光感度算出手段によって算出された各受光感度とに基づく受光感度特性を生成する生成手段とを備え、
前記特定手段は、
前記生成手段によって生成された受光感度特性に基づいて、前記第1の取得手段によって取得された各受光素子からの暗電流の値に対応する受光感度を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の信号処理装置。
【請求項6】
赤外光を受光する受光素子群と、
前記受光素子群から暗電流の値を取得する第1の取得手段と、
暗電流の増加に伴って受光感度が増加する受光感度特性に基づいて、前記第1の取得手段によって取得された各受光素子からの暗電流の値に対応する受光感度を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された受光感度と所定の受光感度との比率を受光素子毎に算出する比率算出手段と、
前記各受光素子からの暗電流の値と前記比率算出手段によって算出された前記受光素子毎の比率とを記憶する記憶手段と、
前記受光素子群で被写体からの赤外線を受光したときの前記各受光素子の電流値を取得する第2の取得手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記受光素子毎の前記暗電流の値と前記比率とに基づいて、前記第2の取得手段によって取得された前記各受光素子の電流値を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された前記受光素子毎の補正結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする赤外線検知装置。
【請求項7】
コンピュータが、
受光素子群から暗電流の値を取得する第1の取得工程と、
暗電流の増加に伴って受光感度が増加する受光感度特性に基づいて、前記第1の取得工程によって取得された各受光素子からの暗電流の値に対応する受光感度を特定する特定工程と、
前記特定工程によって特定された受光感度と所定の受光感度との比率を受光素子毎に算出する比率算出工程と、
前記各受光素子からの暗電流の値と前記比率算出工程によって算出された前記受光素子毎の比率とを記憶装置に格納する格納工程と、
前記受光素子群で被写体からの赤外線を受光したときの前記各受光素子の電流値を取得する第2の取得工程と、
前記格納工程によって前記記憶装置に格納された前記受光素子毎の前記暗電流の値と前記比率に基づいて、前記第2の取得工程によって取得された前記各受光素子の電流値を補正する補正工程と、
前記補正工程によって補正された前記受光素子毎の補正結果を出力する出力工程と、
を実行することを特徴とする信号処理方法。
【請求項8】
受光素子群から暗電流の値を取得する第1の取得工程と、
暗電流の増加に伴って受光感度が増加する受光感度特性に基づいて、前記第1の取得工程によって取得された各受光素子からの暗電流の値に対応する受光感度を特定する特定工程と、
前記特定工程によって特定された受光感度と所定の受光感度との比率を受光素子毎に算出する比率算出工程と、
前記各受光素子からの暗電流の値と前記比率算出工程によって算出された前記受光素子毎の比率とを記憶装置に格納する格納工程と、
前記受光素子群で被写体からの赤外線を受光したときの前記各受光素子の電流値を取得する第2の取得工程と、
前記格納工程によって前記記憶装置に格納された前記受光素子毎の前記暗電流の値と前記比率とに基づいて、前記第2の取得工程によって取得された前記各受光素子の電流値を補正する補正工程と、
前記補正工程によって補正された前記受光素子毎の補正結果を出力する出力工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−88128(P2012−88128A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234042(P2010−234042)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】