説明

信号処理装置

【課題】通常のレコードによるような音調及び音響効果をデジタルサウンドで実現し、デジタル式にレコーディングされた曲を迅速に選曲させるシステムを提供する。
【解決手段】デジタルオーディオソースと、ターンテーブル1.5とピックアップ要素1.8を具えたアーム1.7とを有し、普通のレコードが演奏できるレコードプレーヤ1.6を含んでいる。ディスク1.1は使用時にターンテーブルに載置される。ディスクには溝が提供されており、ピックアップ要素が辿る。溝はタイムコード信号を含んでおり、ディスクの使用時にタイムコード信号はデジタルオーディオソースを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
WO97/01168はディスクジョッキーやスクラッチアーチストに対して特に適したオーディオ信号のデジタル処理システムを紹介している。例えば、CDプレーヤからのデジタルオーディオ信号の速度や方向は回転要素の手動制御によって制御できる。
【0003】
この回転要素は、例えば、従来のレコードプレーヤのターンテーブル上に置かれ、光センサー手段によってターンテーブルの回転速度や回転方向が読み取られる。読み取られたデータはCDプレーヤの再生速度と再生方向の制御に利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来装置は問題を抱えている。ディスクジョッキーやスクラッチアーチストにとって利用が困難である。なぜなら、CDプレーヤの読み取りヘッドの所定位置からは回転要素の制御に依存する継続的な相対運動のみが可能だからである。この従来装置では、例えば、CDの様々な曲を迅速に再生制御できない。また、通常のレコードでは実現可能な本物のスクラッチサウンドは実現できない。
【0005】
よって、本願発明の主目的は、前述の問題を解消させ、通常のレコードで提供されるような音調及び音響効果をデジタルサウンドで提供し、デジタル式にレコーディングされた曲を迅速に選曲させるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の特徴によれば、信号処理装置等にて使用されるように設計されたディスクが提供される。このディスクはターンテーブル上に載置され、ピックアップ要素が辿る溝を有しており、タイムコード信号を含んでいる。このディスクの使用中にタイムコード信号はデジタルオーディオソースを制御する。
【0007】
このディスクの1実施例においては、タイムコード信号は絶対タイムコード信号(absolute timecode)であり、溝内において所定数の連続配置された離散ステップに含まれる。意図する効果を実現するようにレゾリューションを充分に高くなるように離散ステップ数を選択することが望ましい。実際にはその離散ステップ数は毎秒5を意味する。
【0008】
経費面及び通常レコードでの知られたスクラッチ技術への自然な接続のために、タイムコード信号を20Hzから20000Hzの可聴範囲内のキャリヤ周波数上に変化させる(modulate)ことが望ましい。このように、ディスク用の通常オーディオ機器の使用が可能である。
【0009】
本願発明の別な特徴では、この信号処理装置は、ピックアップ要素がキャリヤ周波数を検出して追跡するように位相ロックされたループ回路と、そのキャリヤ周波数上に変化したタイムコード信号を復調させる復調回路とを有したデジタルフィルターを供給するように装備される。このディスクと信号処理装置は協調し、ディスクに存在する絶対タイムコード信号にデジタルオーディオソースの制御を実行させる。
【0010】
ディスクの溝が、相互に位相がシフトされた左右両方のチャンネルにタイムコード信号を含んでいることが望ましい。このように、ディスクの回転方向の迅速な決定が可能になる。
【0011】
好適には、装置にはそれぞれ左右の信号から復調されたタイムコード信号間の位相差を決定する検出装置が装備される。このように、デジタルオーディオ装置の望むプレー方向を、針がディスク上に降下されたときにほとんど遅れを発生させることなく決定することができ、通常のアナログオーディオ設備で再生されている印象を完全なものとすることができる。
【0012】
その装置の1好適実施例は、タイムコード信号の制御下であるデジタルオーディオバッファを含んでいることを特徴としている。そのデジタルオーディオバッファはデジタル出力フィルターに接続されている。そのデジタル出力フィルターはデジタル電気出力ソケット、デジタル光信号出力及びD/Aコンバータで成る群から選択された信号出力を供給する。
【0013】
スクラッチ効果は、タイムコード信号の速度変化の測定値である速度信号を決定するためにタイムコード信号によって供給されるコントロールロジックを含んでいる場合に特に好適である装置によって提供される。デジタル出力フィルターはこのコントロールロジックで制御される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本願発明の信号処理装置と使用ディスクの概略図である。
【図2】図2は本願発明の装置に適用される信号処理ステップをブロック図で示している。
【図3】図3は本願発明の装置に適用される信号処理ステップをブロック図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は従来のレコード製造技術で製造されたディスク1.1を図示している。ディスク1.1には、モジュレータ1.3をコントロールするタイムコード発生器1.2を利用して絶対タイムコード信号が提供される。このモジュレータ1.3はタイムコード発生器1.2で変調されたキャリヤ周波数を供給する。これは唯一の信号としてディスク1.1に適用される。
【0016】
ブロック1.4は従来のレコード製造法、マスターディスク製造法及び最終ビニールディスク1.1のプレス法を含んでいる。ディスク1.1はレコードプレーヤ1.6のターンテーブル1.5上に置かれる。
【0017】
レコードプレーヤ1.6はアーム1.7とピックアップ要素1.8を有している。このピックアップ要素1.8は絶対タイムコード信号を含んだディスク1.1の溝に沿う。ピックアップ要素1.8はキャリヤ信号を復調するための装置部分1.9に連結されて(デジタル)タイムコード信号を提供する。CDプレーヤ、DVDプレーヤ、MP3再生装置等々のデジタルオーディオソース1.10が制御される。
【0018】
図1の装置部分1.9の作動を図2を利用してさらに詳細に解説する。タイムコード信号の制御下であるデジタルオーディオソース1.10の作動は図3を利用して詳述される。
【0019】
まず図2を解説する。図1のピックアップ要素1.8から得られた信号は入力バッファ2.1に供給される。この入力バッファ2.1から信号がミクシングテーブル2.2に送られ、図1のターンテーブル1.5が通常のアナログビニールレコードを回転させるような状況を提供する。入力バッファ2.1はプレアンプ2.3に供給する。プレアンプ2.3には低リジェクター回路が提供され、望むレゾリューションに応じて決定される、例えば、16ビットまたは20ビットコンバータであるアナログ/デジタルコンバータ2.4に供給する。番号2.5、2.6及び2.7はデジタルフィルターを指す。この作動はとりわけピックアップ要素1.8に関する図1のディスク1.1の回転速度に依存する。
【0020】
図2の装置部分2.7は位相ロックされたループ回路を含むことができる。これは、図1のディスク1.1に提供されたキャリヤ周波数を検出し、追跡する。現行の利用法では、ディスク1.1の停止を検出する検出手段が補充された移動式平均フィルターが利用される。さらに、キャリヤ周波数上に変化したタイムコード信号を復調する装置部分2.6の回路で復調が行われる。これらは単チャンネルでの信号として解説されているが、左右両チャンネルの存在が好ましく、デジタルフィルター2.5、2.6、2.7の一部を形成する検出装置は複数で製造され、決定すべき復調されたタイムコード信号を運搬する左右チャンネル間の位相差を許容することが望ましい。このように、図1に示すピックアップ要素1.8に対するディスク1.1の正確な場所と移動方向は高レゾリューションで決定できる。
【0021】
左右チャンネルの位相差は、ピックアップ要素1.8が回転ディスク1.1上に急に降下されたときに非常に素早く方向情報を提供させるのに有効である。キャリヤ周波数から決定される絶対タイムコードは相対タイムコードと共に利用される。これは左右チャンネル間の差に基いており、正確なタイムコード信号2.10を決定する。これは図1に示すディタルオーディオソース1.10の制御に利用される。
【0022】
図2のタイムコード信号2.10はデジタルオーディオソースの装置部分3.1(図3)に読み込まれる。これで、例えばCDディスクの正確な場所から望むデジタル情報を読み取るデジタルオーディオリーダ3.2の直接的なコントロールが提供される。このデジタルオーディオ情報は装置部分3.2からデジタル出力フィルター3.5に伝えられ、コントロールロジック3.4で制御され、装置部分3.1に読み込まれるタイムコード信号からタイムコード信号の速度変動を決定する。タイムコード信号から得られる速度変動信号はデジタル出力フィルター3.5のパラメータを決定する。これでデジタル出力フィルター3.5は、デジタル電気出力ソケット、デジタル光信号出力、またはD/Aコンバータに供給することができる。このことは番号3.6で図面に示されている。
【0023】
本実施形態のディスクは、(a)ターンテーブル、及び、ピックアップ要素を有するアームを備えた通常レコードを再生可能なレコードプレーヤと、(b)前記ピックアップ要素により供給されるデジタルフィルターであって、回転するレコードディスクに提供されるキャリヤ周波数を検知し且つ追跡するための回路、及び、20から20,000Hzの間の可聴範囲内の前記キャリヤ周波数を変調しているタイムコード信号を復調するための復調回路を備えるデジタルフィルターと、を有する装置に使用される、従来のレコード製造技術で製造されたディスクであって、
前記装置の前記ピックアップ要素が辿るレコード溝を備え、前記溝には、20から20,000Hzの間の可聴範囲内のキャリヤ周波数を変調しているタイムコード信号が記録されており、前記タイムコード信号は、前記溝内において所定数の連続配置された離散ステップに含まれる絶対タイムコード信号であり、
前記タイムコード信号は、前記溝の左右のチャンネルの両方に含まれ、前記左右のチャンネルでは、回転する本ディスク上に前記ピックアップ要素が降下されたときに方向を規定するために、前記左右のタイムコード信号の位相が相対的にシフトしており、前記装置が前記タイムコード信号の速度変動を決定してデジタルオーディオソースによる再生速度及び再生方向を制御することを特徴とするディスクである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルオーディオソースに関連して信号処理するための装置であって、
ターンテーブル及びアームを備えたレコードプレーヤと、
前記アーム上に位置する、通常レコードを再生するためのピックアップ要素と、
前記ピックアップ要素によって供給されるデジタルフィルターであって、回転するレコードディスクに提供されるキャリヤ周波数を検知し且つキャリヤ周波数を追跡するための回路、及び、20から20,000Hzの間の可聴範囲内の前記キャリヤ周波数を変調しているタイムコード信号を復調するための復調回路を有するデジタルフィルターと、を備える装置。
【請求項2】
前記ピックアップ要素は、レコード溝の左右のチャンネルに含まれた信号を再生可能であり、
当該装置は、左チャンネル信号からの前記復調回路によって復調されたタイムコード信号と、右チャンネル信号からの前記復調回路によって復調されたタイムコード信号との間の位相差を決定するための検出装置をさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記タイムコード信号の速度変動を決定して前記デジタルオーディオソースを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−248995(P2011−248995A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138205(P2011−138205)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2001−564159(P2001−564159)の分割
【原出願日】平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願人】(503084048)エヌ2アイティー ホールディング ビー.ブイ. (1)
【Fターム(参考)】