説明

信号制御機及び信号システム

【課題】信号機の時刻情報を適切に調整可能とする技術を提供する。
【解決手段】主交通信号機10の時計情報管理部20は、判定部21と、修正指示部22と、記録部23とを備える。判定部21は、光ビーコン50を介して車載措置から取得する時刻情報と時計装置15の時刻情報とを比較して、車載装置の時刻情報が正しいか否かを判定する。判定部21において時刻情報が不正確で修正が必要であると判定されると、修正指示部22は、時計装置15の時刻を修正する。また、修正指示部22は、主交通信号機10で修正された時刻になるように隣接交通信号機30に対して、時刻を修正するように指示する。記録部23には、車載装置時刻情報とカレント時刻情報との誤差である誤差データを格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号制御機及び信号システムに係り、例えば、時刻情報の修正機能を有する信号制御機及びそのような信号制御機を備える信号システムに関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号機は、信号灯の点灯及び消灯を制御するために時計装置を有している。そして、隣接する交通信号機を系統動作させるために、隣接する交通信号機の点灯のタイミングと関連付けられ、交通信号機群全体が同期して動作する。このような制御によって円滑な交通が実現されている。
【0003】
したがって、各交通信号機が保有する時計装置の時刻情報に遅れ又は進みが生じて、各交通信号機の時計装置が示す時刻にばらつきが生じた場合、交通信号機群の間で信号灯の点灯及び消灯を行うタイミングの同期を取ることができないため、円滑な交通が妨げられてしまう。
【0004】
一般には、交通信号機は、電源周波数(50Hz又は60Hz)を用いて時間をカウントしている。しかし、この電源周波数は、厳密に一定ではなく、一定の誤差を有しており、平均して所望の周波数になるように出力されている。さらに、送電経路中に配置されるトランスによっても誤差が発生することがある。そこで、従来では、交通信号機の保安員が手動で時刻の調整を行ったり、ラジオ放送や電波時計を元に時刻を修正したりしている。系統制御されている信号制御機にあっては、1時間毎に時刻修正が行われるケースが多い。
【0005】
また、交通信号機にGPS装置を搭載し、GPS信号に基づいて時刻を修正する技術もある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−39399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、山の奥やビルに囲まれた街中では、ラジオの電波や電波時計の信号が届かないことがある。そのような場合、系統制御におけるタイミング(同期)が狂ってしまうと、保安員が手動で時刻の調整をするまで、狂った状態が継続することになる。上述の特許文献1に開示の技術でも、GPS信号を受信できない環境に配置された信号制御機では同様の課題があり、いずれの信号も利用できない場合もあった。交差点の制御機では、配置スペースの関係上、必ずしも上空が開放しているわけでなく、歩道橋等の下に配置され、GPS信号を受信できないケースも多い。さらに、積雪量の多い地域では、冬期の積雪によって、GPS信号や電波時計の信号等の受信が出来なくなることもある。積雪地域では、信号制御の同期動作がずれると、停止及び発進が多くなり、スリップ等の事故が増えかねない。したがって、除雪作業を含めた保守管理が必須の業務ともいえ、その作業は、重労働であり、またコストがかかることから、そのような課題を解消する技術が求められていた。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みなされたもので、上記課題を解決し、信号機の時刻情報を適切に調整可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る装置は、時計装置を備えた信号制御機であって、車両と通信可能な通信装置による通信によって前記車両から時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、車両から取得した前記時刻情報をもとに前記時計装置の時刻情報を修正する時刻情報修正手段と、を備える。
また、前記時刻情報修正手段は、車両から取得した前記時刻情報と前記時計装置の時刻情報との誤差を算出するとともに算出した前記誤差を記録し、次回に車両から取得した時刻情報と前記時計装置の時刻情報との誤差とを比較し、小さな方の誤差を前記時計装置の時刻情報に反映してもよい。
また、前記通信装置は、光ビーコン装置であってもよい。
本発明に係る別の装置は、時計装置を備えた信号制御機と、車両に搭載され前記信号制御機と通信可能な車載装置とを備える信号システムであって、前記信号制御機は、前記車両と通信可能な通信装置による通信によって前記車両から時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、車両から取得した前記時刻情報をもとに前記時計装置の時刻情報を修正する時刻情報修正手段と、を備え、前記車載装置は、GPS信号または電波時計の信号を取得し、前記信号制御機に送信する前記時刻情報を生成する時刻情報生成手段と、前記時刻情報生成手段で生成された前記時刻情報を前記信号制御機に送信する時刻情報送信手段と、を備える。
また、前記時刻情報送信手段は、前記時刻情報を生成する際に参照した信号が前記GPS信号または前記電波時計の信号のいずれかであるかを判別可能に前記時刻情報を前記信号制御機に対して送信してもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明によると、信号機の時刻情報を適切に調整可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る、時刻情報修正システムを示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る、主交通信号機の構成を模式的に示す機能ブロックである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る、時刻修正処理のフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る、時刻情報修正システムを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。以下に説明する実施形態では、信号制御機がカーナビゲーションを搭載した車両から時刻情報を取得する。車両から取得する時刻情報は、GPS信号を元に生成された情報である。つまり、信号機(信号制御機)が存在する場所は、必ず車両が通過する。したがって、受信環境が良好な場所で受信したGPS信号や電波時計の信号(標準電波)をもとにした時刻情報、つまり車両が運んでくれる正確な時刻情報を利用するシステムを実現するものである。以下、具体的に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る時刻情報修正システム(信号システム)101を模式的に示した図である。時刻情報修正システム101は、親交差点の主交通信号機10と、子交差点の隣接交通信号機30と、光ビーコン50と、車両102の車載装置160と、によって構成されている。主交通信号機10と隣接交通信号機30は、系統制御で運用されており、点灯及び消灯を行うタイミングの同期が図られている。なお、ここで、車両102として、公共機関の車両、より具体的には、バスや警察車両、道路保守管理者の車両等を想定するが、これに限る趣旨ではない。なお、一般車両にナビゲーションと連動可能に搭載される装置については第2の実施形態で説明する。
【0014】
車両102の車載装置160は、光ビーコン50を介して主交通信号機10と通信を行う機能を備えている。より具体的には、車載装置160は、装置制御部161と、時計装置162と、電波受信部163と、GPS信号処理部164と、管理テーブル165と、車載送受信部166とを備える。
【0015】
装置制御部161は、車載装置160の各構成要素を統括的に制御する。電波受信部163は、標準電波を受信する。GPS信号処理部164は、GPSアンテナが受信した信号をから時刻情報を抽出する。時計装置162は、水晶発振器及び電源周波数をもとに、計時動作を行い、時刻を特定する。さらに、時計装置162は、電波受信部163が受信した標準電波をもとに時刻を調整する電波時計としての機能と、GPS信号処理部164の信号をもとに時刻を調整する機能とを有する。なお、電波受信部163またはGPS信号処理部164のいずれか一方のみの構成であってもよい。
【0016】
管理テーブル165は、時計装置162の電波受信部163又はGPS信号処理部164の信号をもとに調整されたときにその旨を記録するとともに、車載装置160(車両102)を特定する車両認証情報を保持する。また、後述するように、光ビーコン50を介して主交通信号機10と通信した際に、その旨を記録する。
【0017】
車載送受信部166は、光ビーコン50と赤外線通信(又は近赤外線通信)による双方向通信可能な送受信装置である。なお、光ビーコン50との赤外線通信による双方向通信については、新交通管理システム(UTMS)の一態様である公共車両優先システムや車両運行管理システムで採用されている技術を用いることで実現できるので、ここでは説明を省略する。また、通信方式として、光ビーコン50を用いる構成に限らず、所望の期間内に双方向通信可能な各種無線方式を適用することができる。
【0018】
光ビーコン50は、ビーコン制御部51と、ビーコンヘッド52と、ビーコン通信部53とを備えている。ビーコン制御部51は、光信号の出力(ダウンリンク)と受信(アップリンク)を制御する。ビーコンヘッド52は、双方向通信を行う光出力部及び受信部である。ビーコン通信部53は、無線又は有線にて主交通信号機10と通信を行う。
【0019】
図2は、主交通信号機10の構成を模式的に示す機能ブロックである。なお、隣接交通信号機30の構成も同様の構成であるので説明を省略する。主交通信号機10は、信号制御部11と、信号通信部12と、灯器部(信号灯)13と、時計情報管理部20と、水晶発振器14と、時計装置15とを備える。時計装置15は、水晶発振器14及び電源周波数をもとに、計時動作を行い、時刻を特定する。
【0020】
信号制御部11は、主交通信号機10の各構成要素を統括的に制御する。具体的には、信号制御部11は、一般的な信号制御として、灯器部13の点灯等を制御し、また、信号通信部12を介した光ビーコン50や隣接交通信号機30との通信を行う。さらに、信号制御部11は、本実施形態において特徴的な機能として、時計情報管理部20を制御して、時刻情報を修正する。ここでは、時刻情報とは、時刻だけでなく日付も含む情報である。
【0021】
時計情報管理部20は、判定部21と、修正指示部22と、記録部23とを備える。判定部21は、光ビーコン50を介して車両102の車載装置160から取得する時刻情報と時計装置15の時刻情報とを比較して、車載装置160の時刻情報が正しいか否かを判定する。判定手法の詳細については後述する。判定部21において時刻情報が正しくなく修正が必要であると判定されると、修正指示部22は、時計装置15の時刻を修正する。記録部23には、後述するように、車載装置時刻情報とカレント時刻情報との誤差である誤差データを格納する。
【0022】
また、主交通信号機10と隣接交通信号機30は、同じ時刻情報で同期されていることを前提とするので、修正指示部22は、主交通信号機10で修正された時刻になるように隣接交通信号機30に対して、時刻を修正するように指示する。具体的には、隣接交通信号機30では、誤差が所定以内(例えば、1秒以内)の時には、修正しない処理を行ってもよい。
【0023】
以上の構成による日付修正処理について説明する。図3は、日付修正処理のフローチャートである。まず、光ビーコン50のビーコン制御部51は、車両2が通信圏内に入るとビーコンヘッド52を制御して、車載装置160と双方向通信を開始し、車載装置160から日付及び時刻情報を含む車載装置時刻情報を取得し、主交通信号機10に送信する。主交通信号機10では、時計情報管理部20が車載装置時刻情報を光ビーコン50から取得する(S10)。
【0024】
ここで、光ビーコン50は、車載装置160から取得した信号に対して特に処理を施すことなく、主交通信号機10へ転送するものとして説明するが、時刻修正に必要とされる情報のみを抽出して主交通信号機10に送信してもよい。
【0025】
つづいて、判定部21は、車載装置時刻情報と現在設定されている時刻であるカレント時刻情報との誤差を誤差データとして算出する(S12)。つぎに、判定部21は、記録部23を参照して以前に格納された古い格納誤差データが存在するか否かを確認する(S14)。
【0026】
古い格納誤差データが存在しない場合(S14のN)、判定部21は、算出した誤差データを格納誤差データとして記録部23に格納して(S16)、一旦処理は終了する。なお、記録部23に格納誤差データとして誤差データが格納されるときには、格納される日時もあわせて記録されてもよい。
【0027】
古い格納誤差データが存在する場合(S14のY)、判定部21は、まず古い格納誤差データが使用可能時間内であるか否かを確認する(S18)。つまり、格納誤差データの誤差の大きさが所定範囲内であるか否かを判断する。
【0028】
使用可能時間内である場合(S18のY)、判定部21は、格納誤差データの範囲内に誤差データが入っているか否かを判断する(S20)。格納誤差データの範囲内に誤差データが入っていない場合(S20のN)、格納誤差データをそのままとし誤差データを破棄して処理が終了する。
【0029】
格納誤差データの範囲内に誤差データが入っている場合(S20のY)、修正指示部22は誤差データをもとに時計装置15の時刻を修正し(S22)、格納誤差データを消去する(S24)。
【0030】
使用可能時間内にない場合(S18のN)、判定部21は、格納されていた格納誤差データより新たに算出された誤差データの方が誤差が小さいか否かを判定する(S26)。
【0031】
誤差が小さい場合(S26のY)、S20のYの処理と同様に、修正指示部22は誤差データをもとに時計装置15の時刻を修正し(S22)、格納誤差データを消去する(S24)。
【0032】
誤差が大きい場合(S26のN)、修正指示部22は、格納誤差データをもとに時計装置15の時刻を修正し(S28)、格納誤差データを消去する(S24)。
【0033】
このような処理によって時刻修正をすることで、GPS信号や電波時計の信号等が取得できない環境に設置されている主交通信号機10や隣接交通信号機30であっても、適切に時刻修正を行うことができる。また、車両102から取得した時刻情報をすぐに反映せずに、一旦、誤差データを記録し、つぎに車両102から時刻情報を取得したタイミングで、時刻情報を修正するか否かの判断をするので、車両102の時刻情報(車載装置時刻情報)が不正確な場合に、不正確な時刻情報に修正されることを回避できる。
【0034】
<第2の実施形態>
本実施形態では、車載装置160としてカーナビゲーション70を用いる時刻情報修正システム1について例示する。なお、主交通信号機10は、図2に示した構成と同様であり、車載装置時刻情報に相当する情報をナビゲーション時刻情報としてカーナビゲーション70から取得する。
【0035】
具体的な時刻情報修正システム1の構成としては、図4に示すように、車両2には、カーナビゲーション70と、車載送受信部77と、カーナビゲーション70と車載送受信部77とを通信可能に接続するI/F部75とを備えている。車載送受信部77は、光ビーコン50と赤外線通信による双方向通信可能な送受信装置である。
【0036】
カーナビゲーション70は、ナビゲーション制御部71と、GPSアンテナ72と、時計装置73とを備えている。ナビゲーション制御部71は、一般的なナビゲーション機能を実現する部位であって、GPSアンテナ72が取得したGPS信号をもとに、現在地を特定すると共に、GPS信号に含まれている時刻情報をもとに、必要に応じて日付及び時刻を修正する。
【0037】
そして、本実施形態の時刻情報修正システム1では、以上の構成のカーナビゲーション70を用いて、図3に示したフローチャートの処理と同様の処理を行う。具体的には車載装置160からの時刻情報取得(車載装置時刻情報)の代わりにカーナビゲーション70からのナビゲーション時刻情報を用いた処理がなされる。その結果、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、一般車両に搭載されるカーナビゲーション70を用いる場合、時刻情報の修正タイミングを増やすことができる。また、特別の車両や担当員を用意する必要がなく、一旦設置された後は低コストで運用することが可能となる。特に、積雪が多い地域では、保守管理において主交通信号機10等を直接操作する必要が無く、保守管理に付随する雪かき等の作業を回避することができる。その結果、積雪による保守作業困難性といった問題を解消することができる。
【0038】
<第3の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図1及び2に示した交通情報システム101の構成で実現できるものである。異なる点は、時刻修正処理にあるので、主にその処理について説明する。ここでは、車両102の車載装置160から取得する時刻情報は、比較的正確な情報であると想定し、簡易的な処理で主交通信号機10における時刻修正処理がなされる。
【0039】
まず、車両102側の動作では、車載装置160の装置制御部161は、所定のタイミングで電波受信部163又はGPS信号処理部164の信号を参照して、時計装置162の時刻を適正に調整する。調整結果は、管理テーブル165に修正後の時刻(更新時刻)と、参照先である電波受信部163又はGPS信号処理部164を示す所定のフラグとを関連づけて記録される。
【0040】
つぎに、車両102が光ビーコン50と通信可能な範囲に位置したときの動作を説明する。光ビーコン50のビーコン制御部51は、車両102が通信圏内に入るとビーコンヘッド52を制御して、車載送受信部166との通信を確立して車載装置160と双方向通信を開始する。つづいて、装置制御部161は、車両認証情報、日付、時刻情報、更新時刻及び更新時の参照先(フラグ)を含む車載装置時刻を車載送受信部166を介して光ビーコン50に送信する。
【0041】
光ビーコン50は、車載装置時刻情報を取得し、主交通信号機10に送信する。主交通信号機10では、時計情報管理部20が車載装置時刻情報を光ビーコン50から取得する。つぎに、主交通信号機10の判定部21は、車載時刻情報に含まれる車両認証情報を参照し、時刻を調整する信号を送信してくる対象であるか否かを判断する。つまり、判定部21は、取得した車載時刻情報が時刻を調整する情報として適正であるか否かの判断を行う。判定部21は、適正でないと判断すると、時刻調整に関する処理を停止する。このとき、その旨が、車両102に対して通知されてもよい。
【0042】
判定部21は、取得した車載時刻情報が適切な情報であると判断した場合、車載時刻情報のフラグ及び更新時刻を参照して、その車載時刻情報を反映させるか否かを判断する。例えば、別の車両102が、すでに更新時刻が新しい時刻情報を主交通信号機10に送信していることも想定でき、その場合、更新時刻が古い時刻情報に変更することは望ましくないためである。また、時刻情報を更新した際の参照先が電波受信部163かGPS信号処理部164かで更新可否の判断がなされてもよい。予め標準電波を優先するかGPS信号を優先するかを設定しておくことで、より好ましい時刻情報を反映させることができる。
【0043】
判定部21は、時刻の調整が終了すると、発生していた誤差時間、現在の日時及び主交通信号機10の識別情報を、更新履歴情報として車載装置160に通知する。そして車載装置160では、装置制御部161が、その更新履歴情報を管理テーブル165に記録する。例えば管理者がこの更新履歴情報を検証することで、主交通信号機10の時計装置15等に不具合が発生しているか否かを解析することができる。
【0044】
なお、第2の実施形態と本実施形態とを組み合わせ、カーナビゲーション70から時刻情報を取得した場合には、図3の処理を行い、管理者や保守員等の車両102に搭載されている車載装置160から時刻情報を取得した場合には、精度の高い情報と判断して、直ちに時刻情報を反映させる処理を行う。このような処理をすることで、主交通信号機10の時刻を、より適切に調整・維持することができる。
【0045】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0046】
例えば、格納誤差データとして、複数のデータの平均や一定時間のデータの平均を用いてもよい。このようなデータの取り扱いによって、より適切な精度の修正を実現できる。
【符号の説明】
【0047】
1、101 時刻情報修正システム
10 主交通信号機
11 信号制御部
12 信号通信部
15 時計装置
20 時計情報管理部
21 判定部
22 修正指示部
23 記録部
30 隣接交通信号機
50 光ビーコン
51 ビーコン制御部
52 ビーコンヘッド
53 ビーコン通信部
70 カーナビゲーション
160 車載装置
161 装置制御部
162 時計装置
163 電波受信部
164 GPS信号処理部
165 管理テーブル
166 車載送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計装置を備えた信号制御機であって、
車両と通信可能な通信装置による通信によって前記車両から時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
車両から取得した前記時刻情報をもとに前記時計装置の時刻情報を修正する時刻情報修正手段と、
を備えることを特徴とする信号制御機。
【請求項2】
前記時刻情報修正手段は、車両から取得した前記時刻情報と前記時計装置の時刻情報との誤差を算出するとともに算出した前記誤差を記録し、次回に車両から取得した時刻情報と前記時計装置の時刻情報との誤差とを比較し、小さな方の誤差を前記時計装置の時刻情報に反映することを特徴とする請求項1に記載の信号制御機。
【請求項3】
前記通信装置は、光ビーコン装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の信号制御機。
【請求項4】
時計装置を備えた信号制御機と、車両に搭載され前記信号制御機と通信可能な車載装置とを備える信号システムであって、
前記信号制御機は、
前記車両と通信可能な通信装置による通信によって前記車両から時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
車両から取得した前記時刻情報をもとに前記時計装置の時刻情報を修正する時刻情報修正手段と、
を備え、
前記車載装置は、
GPS信号または電波時計の信号を取得し、前記信号制御機に送信する前記時刻情報を生成する時刻情報生成手段と、
前記時刻情報生成手段で生成された前記時刻情報を前記信号制御機に送信する時刻情報送信手段と、
を備えることを特徴とする信号システム。
【請求項5】
前記時刻情報送信手段は、前記時刻情報を生成する際に参照した信号が前記GPS信号または前記電波時計の信号のいずれかであるかを判別可能に前記時刻情報を前記信号制御機に対して送信することを特徴とする請求項4に記載の信号システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−113479(P2012−113479A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261221(P2010−261221)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】