説明

信号制御装置及びジレンマ感応制御方法

【課題】 車両5ごとに正確なジレンマ判定を実行して、隣接交差点との系統制御に及ぶ悪影響を低減する。
【解決手段】 本発明は、交差点Jへの流入道路を走行する車両5が、現サイクルの黄信号開始時において危険ゾーンの走行区間Z1,Z2に存在する場合に、流入道路に通行権を与えている現サイクルの青信号を継続し、存在しない場合に、当該青信号を打ち切るジレンマ感応制御を行う信号制御装置2である。この装置2は、車両5の速度及び位置を取得し、車両5に対応する危険ゾーンを当該車両5ごとに設定し、取得された車両5の速度及び位置と設定された危険ゾーンとに基づいて、車両5がこれに対応する危険ゾーンの走行区間Z1,Z2に存在するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジレンマ感応制御を行う信号制御装置とその制御方法に関する。
より具体的には、ジレンマ感応制御を実行する場合における、危険ゾーンの設定方式の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
系統制御や広域制御による交通信号の制御方式を、信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセット等)の設定方式で大別すると、時間帯に応じて信号制御パラメータを設定する定周期制御と、交通状況に応じて信号制御パラメータを設定する交通感応制御の2種類がある。
このうち、後者の交通感応制御は、端末の交通信号制御機ごとに行う端末感応制御と、複数の交差点を対象に系統制御(面制御を含む。)することで信号制御パラメータを変化させる中央感応制御に分類される。
【0003】
一方、主として交通閑散時における信号現示の切り替えの際に、黄信号の開始直後の追突事故や、全赤表示で交差点に進入することによる出合い頭事故が発生し易い。
すなわち、信号現示の切り替え時において、運転者が交差点の手前で停止するか交差点を通過するかの判断に迷うジレンマ状態に陥ることがあり、この状態は、黄信号開始時において車両が普通に停止も通過もできないジレンマゾーンや、停止も通過もできるオプションゾーンに存在する場合に発生し易いことが知られている。特にジレンマゾーンでは、無理に交差点に進入する車両による出合い頭事故が発生し易い。
【0004】
そこで、前記端末感応制御の一種として、ジレンマ感応制御が実施されている。
かかるジレンマ感応制御は、交差点への流入道路を走行する車両が、現サイクルの黄信号開始時にジレンマゾーン或いはオプションゾーン(本明細書では、これらを総称する場合には「危険ゾーン」という。)にあるか否かを判定し、その領域に車両が存在すれば、流入道路に通行権を与えている現サイクルの青信号を継続し、存在しなければ、当該青信号を打ち切る制御方式である(特許文献1及び非特許文献1参照)。
【0005】
図7は、従来のジレンマ感応制御の原理を示す説明図である。
図7に示すように、従来のジレンマ感応制御では、停止線から所定距離だけ離れた定位置に設置された速度感知器により、交差点に接近する車両Aの通過速度を計測している。
また、この制御では、車両Aが等速で下流側に向かうと仮定して、その計測速度Voと速度感知器の通過時刻とから、黄信号開始時における車両Aの走行位置(停止線からの距離)を予測し、その位置が危険ゾーンの走行区間Zに存在するか否かを判定する(以下、「ジレンマ判定」ということがある。)。
【0006】
そして、上記走行位置が危険ゾーンの走行区間Zに存在する場合には、現サイクルにおいて黄信号を開始せずに青信号が継続され、存在しない場合には、現サイクルの青信号を打ち切って黄信号が開始される。なお、予め設定された最大青時間に既に達している場合は、無条件で黄信号が開始される。
かかるジレンマ感応制御に必要な危険ゾーンは、例えば、図8のグラフに示す曲線Lcと直線Lsで囲まれる領域になっている。
【0007】
すなわち、2種類の危険ゾーンのうち、ジレンマゾーンはLs>Lcとなる領域であり、オプションゾーンはLc>Lsとなる領域である。また、曲線Lcと直線Lsは、次式によって定義される。
Lc=τ×V+(1/2d)×V
Ls=Y×V
【0008】
なお、上記式において、変数及び係数の意味は次の通りである。
τ:運転者の反応時間(黄信号開始時から、ブレーキが効き始めるまでの時間)〔秒〕
V:黄信号開始時における車両の接近速度〔m/秒〕
d:ブレーキが効き始めてから停止するまでの平均減速度〔m/秒
Y:黄信号の時間長〔秒〕
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−163700号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「改訂 交通信号の手引」 編集・発行 社団法人 交通工学研究会(43〜44頁、73〜74頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の通り、ジレンマ感応制御に用いる危険ゾーンを特定する曲線Lcは、反応時間τ及び減速度dがそれぞれ速度V及びその2乗の係数になっているので、これらの係数が変化すると曲線Lcの形状が変化し、これに伴って各ゾーンの大きさも変化する。
例えば図8に仮想線で示すように、想定される減速度dが小さくなると、曲線Lcが下方に変位してジレンマゾーンが広くなり、逆に、減速度dが大きくなると、ジレンマゾーンが狭くなる。
【0012】
このため、ジレンマ感応制御において、減速度dを小さ目に設定すると、ジレンマゾーンが広がって青信号が継続される可能性が高くなり、減速度dを大き目に設定すると、ジレンマゾーンが狭まって青信号が打ち切られる可能性が高くなる。
従って、ジレンマ感応制御の実効性をより有効に担保するためには、比較的減速し難い大型車でもなるべく青信号が継続されるように、曲線Lcの減速度dを、大型車の場合の想定減速度(=約1.8m/s)に設定することが好ましい。
【0013】
しかし、大型車の想定減速度は、普通車の想定減速度(=約3.0m/s)に比べてかなり小さいので、曲線Lcの減速度dを、一律に大型車の想定減速度に設定すると、普通車を想定した場合よりもジレンマゾーンが非常に広くなる(図8の仮想線参照)。
従って、一律に大型車の想定減速度を採用すると、ジレンマ感応制御において必要以上の頻度で青信号が継続されてしまい、隣接交差点とのオフセットがずれる可能性が高まるという不都合が生じる。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、車両ごとに正確なジレンマ判定を実行することにより、隣接交差点との系統制御に及ぶ悪影響を低減することができる信号制御装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1) 本発明の信号制御装置は、交差点への流入道路を走行する車両が、現サイクルの黄信号開始時において危険ゾーンの走行区間に存在する場合に、前記流入道路に通行権を与えている現サイクルの青信号を継続し、存在しない場合に、当該青信号を打ち切るジレンマ感応制御を行う信号制御装置であって、前記車両の速度及び位置を取得する取得部と、前記車両に対応する前記危険ゾーンを当該車両ごとに設定するゾーン設定部と、取得された前記車両の速度及び位置と設定された前記危険ゾーンとに基づいて、前記車両がこれに対応する前記危険ゾーンの走行区間に存在するか否かを判定する判定部と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明の信号制御装置によれば、上記ゾーン設定部が、車両に対応する危険ゾーンを当該車両ごとに設定し、上記判定部が、取得された車両の速度及び位置と設定された危険ゾーンとに基づいて、車両がこれに対応する危険ゾーンの走行区間に存在するか否かを判定するので、各車両に対応する危険ゾーンを用いて、車両ごとに正確なジレンマ判定を実行することができる。
このため、危険ゾーンを一律に広めに設定する場合に比べて、隣接交差点との系統制御に及ぶ悪影響を低減することができる。
【0017】
(2) 本発明の信号制御装置は、車両の速度を速度感知器によって定位置で1台ずつ観測する、単一観測タイプの交通信号制御システム(図6)に採用することもできるが、この場合、1回の制御周期において、1車線に1台ずつしかジレンマ判定を実行することができない。
そこで、本発明の信号制御装置は、1回の制御周期において、流入道路の延長方向に延びる所定の観測範囲で複数の車両の速度及び位置を一括して観測する、空間観測タイプのシステム(図1及び図5)に採用することが好ましい。
【0018】
上記空間観測タイプの交通信号制御システムとしては、複数の車両が無線送信した送信情報をほぼリアルタイムに受信する路側通信機を用いた無線通信タイプ(図1)と、複数の車両を同時に撮影できる画像感知器を用いた画像認識タイプ(図5)とが考えられる。
本発明の信号制御装置を、上記空間観測タイプの交通信号制御システムに採用する場合には、前記取得部は、所定の制御周期ごとに、複数の前記車両の速度及び位置を取得可能であり、前記ゾーン設定部は、前記制御周期ごとに、前記車両に対応する前記危険ゾーンを当該車両ごとに設定可能であることが好ましい。
【0019】
(3) この場合、前記判定部において、1回の前記制御周期内に速度及び位置が取得された1又は複数の前記車両のうち、少なくとも1つの前記車両がこれに対応する前記危険ゾーンの走行区間に存在するか否かを判定するようにすればよい。
これにより、1回の制御周期において1車線に1台ずつしかジレンマ判定を実行できない単一観測タイプに比べて、ジレンマ判定をより正確に行うことができる。
【0020】
もっとも、この場合には、1回の制御周期において、複数の車両についてのジレンマ判定が行われるので、例えば大型車を想定して危険ゾーンを一律に広めに設定すると、必要以上の頻度で青信号が継続される可能性が、単一観測タイプの場合に比べてより一層大きくなる。
この点、本発明の信号制御装置では、ゾーン設定部が、制御周期ごとに、車両に対応する危険ゾーンを当該車両ごとに設定するので、1回の制御周期内で複数の車両のジレンマ判定を行う場合でも、当該ジレンマ判定を正確に行うことができる。
【0021】
(4)(5) 本発明の信号制御装置において、前記ゾーン設定部は、前記車両の減速度に基づいて、前記車両に対応する前記危険ゾーンを当該車両ごとに設定することができ、また、前記減速度については、例えば前記車両の車種から決定することができる。
(6) この場合、前記取得部が、前記車両が無線送信した当該車両の車種を含む送信情報を取得可能である場合には、前記ゾーン設定部において、取得された前記送信情報から前記車両の車種を決定すればよい。
【0022】
(7) また、前記取得部が、前記流入道路に設けられた路側感知器で計測された車種を特定可能な計測情報を取得可能である場合には、前記ゾーン設定部において、取得された前記計測情報から前記車両の車種を決定すればよい。
【0023】
(8) 更に、前記取得部が、前記車両が無線送信した当該車両の減速度を含む送信情報を取得可能である場合には、前記ゾーン設定部は、取得された前記送信情報から前記車両の減速度を決定することもできる。
この場合、車両自身が提示する精度の良い減速度が得られるので、車種に基づいて減速度を決定する場合に比べて、危険ゾーンを車両ごとにより細かく設定することができる。
【0024】
(9) 本発明のジレンマ感応制御方法は、交差点への流入道路を走行する車両の速度及び位置を取得する第1のステップと、前記車両に対応する危険ゾーンを当該車両ごとに設定する第2のステップと、取得された前記車両の速度及び位置と設定された前記危険ゾーンとに基づいて、現サイクルの黄信号開始時において、前記車両がこれに対応する前記危険ゾーンの走行区間に存在するか否かを判定する第3のステップと、その判定結果が肯定的である場合に、前記流入道路に通行権を与えている現サイクルの青信号を継続し、否定的である場合に、当該青信号を打ち切る第4のステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の制御方法によれば、第2ステップにおいて、車両に対応する危険ゾーンを当該車両ごとに設定し、第3ステップにおいて、取得された車両の速度及び位置と設定された危険ゾーンとに基づいて、車両がこれに対応する危険ゾーンの走行区間に存在するか否かを判定するので、各車両に対応する危険ゾーンを用いて、車両ごとに正確なジレンマ判定を実行することができる。
このため、危険ゾーンを一律に広めに設定する場合に比べて、隣接交差点との系統制御に及ぶ悪影響を低減することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の通り、本発明によれば、車両ごとに正確なジレンマ判定を実行できるので、隣接交差点との系統制御に及ぶ悪影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る交通信号制御システムを示す道路平面図である。
【図2】情報中継装置の機能ブロック図である。
【図3】情報中継装置の制御部が1サイクルごとに実行するジレンマ感応制御のフローチャートである。
【図4】ジレンマ感応制御におけるジレンマ判定の原理を示す説明図である。
【図5】第2実施形態に係る交通信号制御システムを示す道路平面図である。
【図6】第3実施形態に係る交通信号制御システムを示す道路平面図である。
【図7】ジレンマ感応制御におけるジレンマ判定の原理を示す説明図である。
【図8】黄信号開始時の走行位置と車両速度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る交通信号制御システムを示す道路平面図である。
図1に示すように、本実施形態の交通信号制御システムは、交通信号制御機1、情報中継装置2、路側通信機3、中央装置4、車両5に搭載された車載装置6などを含む。
【0029】
交差点Jに向かう流入道路を走行する各車両5は、後述するジレンマ感応制御の対象となるものであり、この車両5には、例えば、小型乗用車や中型乗用車等よりなる普通車5Aと、バスやトラック等の大型自動車に属する大型車5Bとが含まれている。
なお、図1に示す交差点Jでは、比較的交通量の多い主道路RM1,RM2と、比較的交通量の少ない従道路RS1,RS2とが合流している。
【0030】
中央装置4は、交通管制センター内に設置されており、自身が管轄する制御エリア内に含まれる複数の交差点Jのそれぞれに設置された交通信号制御機1及び情報中継装置2と、電話回線等の通信回線を介して接続されている。
もっとも、情報中継装置2を有しない交差点Jもあるが、本実施形態では、制御エリア内のすべての交差点Jに情報中継装置2が設置されているものとする。
また、情報中継装置2は、通信回線を介して交通信号制御機1及び路側通信機3とも接続されており、中央装置4と路側通信機3との間の通信データの中継する機能を有する。
【0031】
〔中央装置〕
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)を含んでおり、情報中継装置2や図示しない車両感知器からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
また、中央装置4は、自身のネットワークに属する交通信号制御機1について、同一道路上の交通信号機群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
【0032】
すなわち、中央装置4は、交通状況に応じて信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセット等)を設定する中央感応制御を行うことができ、この中央感応制御には、例えば、MODERATO制御やプロファイル制御等の複数種類のものが含まれる。
従って、中央装置4は、所定時間ごと(例えば、2.5分ごと)に上記系統制御(面制御を含む。)を行って、各交差点Jの信号灯器1aの灯色切り替えタイミングに関する信号制御指令S1を生成する。
【0033】
また、中央装置4は、各交差点Jで実施する信号制御の種別(端末感応制御や定周期制御の種別:ジレンマ感応制御は端末感応制御の一種である。)を示す制御種別情報S2を所定時間ごと(例えば、5分ごと)に生成する。中央装置4は、上記信号制御指令S1及び制御種別情報S2を、それぞれ所定時間ごとに交通信号制御機1に送信する。
なお、中央装置4は、VICS(Vehicle Information and Communication System:「VICS」は登録商標)センターから取得したVICS情報を定期的に取得しており、これに含まれる渋滞、事故及び交通規制等に関する交通情報を、情報中継装置2に送信する。
【0034】
〔交通信号制御機〕
図1に示すように、交差点Jに配置された複数(図例では4つ)の信号灯器1aは交通信号制御機1と電源線で繋がっており、この制御機1は、中央装置4から受信した信号制御指令S1に基づいて、各信号灯器1bの青、黄、赤及び右折矢等の各信号灯の点灯、消灯及び点滅を制御する。
【0035】
また、交通信号制御機1は、情報中継装置2が後述するジレンマ感応制御を行い、その判定結果が青信号の継続であった場合には、情報中継装置2からの決定指令に基づき、制御対象となった道路(図1の場合には、主道路RM1,RM2)の信号灯器1bについて、その道路に通行権を与えている現サイクルの青信号を所定時間だけ継続する。
なお、上記ジレンマ感応制御の判定結果が青信号の打ち切り(黄に歩進)であった場合には、信号制御指令S1通りのタイミングで信号灯器1bの灯色が切り替えられる。
【0036】
〔路側通信機〕
図1に示すように、路側通信機3は、車載装置6との間でダウンリンク情報S3とアップリンク情報S4との送受信を行う無線通信装置である。
この路側通信機3は、例えば、無線LANやWiMAX(World Interoperability for Microwave Access)等に準拠した中・広域の通信装置であり、図1の例では、交差点Jに流入する各道路のうち、ジレンマ感応制御の対象となる主道路RM1,RM2を走行する車両5と通信可能となっている。
【0037】
路側通信機3の通信領域の延長(交差点Jからの走行方向長さ)は、ジレンマ感応制御が実行可能な距離(例えば、150〜200m程度)となるように設定されている。
路側通信機3が送信するダウンリンク情報S3には、中央装置4が配信した前記交通情報が含まれており、車載装置6はこの情報を受信できる。また、車載装置6が送信するアップリンク情報S4には、車両5の位置、速度及び方向等を含むプローブ情報と、当該車両5の車種(普通車5Aか大型車5Bの識別情報)と、車両IDとが含まれている。
【0038】
〔車載装置〕
車載装置6は、一部又は全部の車両5に搭載されており、路側通信機3との間でアップリンク情報S4とダウンリンク情報S3を無線で送受信する通信機能と、搭乗者が設定した目的地に案内するナビゲーション機能とを有する。
この車載装置6は、車両5が主道路R1,R2を交差点Jに向かって走行中に路側通信機3の通信領域に入ると、その通信機3から交通情報を受信し、プローブ情報を含むアップリンク情報S4を路側通信機3に送信する。
【0039】
車載装置6は、GPS処理部、方位センサ、車速取得部及び無線通信機等を含む。GPS処理部は、GPS衛星からのGPS信号を受信して、そのGPS信号に含まれる時刻情報、GPS衛星の軌道、測位補正情報等に基づいて、車両5の位置(緯度、経度及び高度)を計測することができる。
また、方位センサは、光ファイバジャイロなどで構成されており、車両5の方位及び角速度を計測する。車速取得部は、車速センサが車輪の角速度を検出することにより計測した車両5の速度データを取得する。
【0040】
〔無線通信の方式〕
本実施形態の路側通信機3は、所定の通信周期(例えば、100m秒)ごとに、自身が無線送信するタイムスロットを時分割多重方式で割り当ており、そのタイムスロット以外の時間帯は無線送信を行わない。
一方、車載装置6の無線通信機は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行う。
【0041】
このため、車載装置6の無線通信機は、路側通信機3のタイムスロット以外の時間帯に、キャリアセンス方式による無線通信によって車車間通信を行うことができ、路側通信機3は、1回の通信周期における自身のタイムスロット以外の時間帯に、自装置の通信領域に含まれる1又は複数の車両5から、プローブ情報を含むアップリンク情報S4を受信することができる。
【0042】
〔情報中継装置〕
図2は、情報中継装置2の機能ブロック図である。
図2に示すように、情報中継装置2は、第1インタフェース部21、第2インタフェース部22、中継部23、制御部24及び記憶部25を含む。
第1インタフェース部21は、中央装置4との間の通信と、交通信号制御機1との間の通信を行うための通信インタフェースであり、第2インタフェース部22は、路側通信機3との間の通信を行うための通信インタフェースである。
【0043】
制御部24は、1又は複数のマイクロコンピュータから構成されており、内部バスを介して中継部23と記憶部25に接続されている。制御部24はこれら各部の動作を制御する。中継部23は、制御部24の制御指令に従い、各インタフェース部21,22で送受される各種情報を中継して、情報の送信先を決定する。
例えば、中継部23は、路側通信機3からのアップリンク情報S4を、中央装置4と自装置の制御部24に送信する。
【0044】
更に、中継部23は、自装置の制御部24がジレンマ感応制御によって青信号を継続する決定を行った場合には、その決定指令を交通信号制御機1に送信する。
記憶部25は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成されており、各インタフェース部21,22が受信した各種情報(信号制御指令S1、制御種別情報S2及びアップリンク情報S4等)を一時的に記憶する。
また、記憶部21は、上記制御部24が行う中継処理のための制御プログラムと、制御部24が行うジレンマ感応制御のための制御プログラムとを記憶している。
【0045】
本実施形態では、情報中継装置2の制御部24が、上記制御プログラムを読み出して、交差点Jの主道路RM1,RM2を制御対象道路としたジレンマ感応制御を行う。
なお、制御部24は、中央装置4から取得した制御種別情報S2に含まれるジレンマ感応制御の許否情報が許可になっている場合に限り、後述のジレンマ感応制御を行う。
従って、上記許否情報が不許可であれば、制御部24はジレンマ感応制御を実行せず、この場合、交通信号制御機1によって信号制御指令S1に基づく灯色切り替えが行われることになる。
【0046】
〔ジレンマ感応制御の内容〕
図3は、情報中継装置2の制御部24が1サイクルごとに実行するジレンマ感応制御のフローチャートである。また、図4は、ジレンマ感応制御におけるジレンマ判定の原理を示す説明図である。以下、これらの図を参照しつつ、本実施形態のジレンマ感応制御の内容を説明する。
【0047】
図3に示すように、制御部24は、まず現在時刻が監視対象時間になっているか否かを判定し(図3のステップST1)、その時間になっている場合に限り、感応制御モード(図3のステップST2)を開始する。
上記監視対象時間とは、現状の信号サイクルにおける黄信号開始時点から所定時間だけ遡った制御の実行時間のことであり、その所定時間は、例えば10秒程度に設定される。また、制御部24が実行する当該ジレンマ感応制御の制御周期は、例えば100msに設定されている。
【0048】
次に、情報中継装置2の制御部24は、各車両5から路側通信機3が受信したアップリンク情報S4を当該路側通信機3から取得しているか否かを判定し(図3のステップST3)、取得していなければ現サイクルの青信号を打ち切る決定(図3のステップST8)を行う。この決定が行われた場合には感応制御モードが終了する。
なお、上記打ち切り決定を行った場合には、制御部24は、交通信号制御機1に青信号継続の決定指令を送信しないので、現サイクルでの階梯が黄信号に歩進する。
【0049】
一方、アップリンク情報S4を路側通信機3から取得している場合(図3のステップST3でYes)には、制御部24は、取得したアップリンク情報S4に基づいて、以下に述べる制御対象車両の特定処理と、車両5ごとの危険ゾーンの設定処理とを実行する。
【0050】
(1) 制御対象車両の特定処理
すなわち、制御部24は、取得した1又は複数のアップリンク情報S4から、まず、車両5の方向を抽出し、その方向が交差点Jへの流入方向(交差点Jに接近する方向)である車両IDだけを制御対象とし、それ以外のものは制御対象から除外する。
これにより、交差点Jへの流入道路を主道路RM1,RM2に向かって接近する車両5がけが、制御対象として抽出される。
【0051】
(2)危険ゾーンの設定処理
次に、制御部24は、残ったアップリンク情報S4から、車両IDと車種とを抽出して車両IDごとに車種を特定するとともに、その車種に基づいて、危険ゾーンを特定する曲線Lcを決定するのに必要な係数である減速度dを決定する。
より具体的には、制御部24は、車種が「普通車」である場合には、減速度dを、予め設定された大きい方の想定減速度d1(=約3.0m/s)に設定し、車種が「大型車」である場合には、減速度dを、予め設定された小さい方の想定減速度d2(=約1.8m/s)に設定する。
【0052】
図4には、普通車と大型車の場合の危険ゾーンのグラフが上下2段に分けて示されている。これらのグラフを対比すれば明らかなように、d1>d2であることから、大型車5Bの曲線Lc2は普通車5Aの曲線Lc1よりも下方に下がっており、その分だけ、大型車5Bの場合のジレンマゾーンが広くなる。
【0053】
次に、情報中継装置2の制御部24は、アップリンク情報S4から、車両5の位置と速度を車両IDごとに抽出して、ジレンマ判定(図3のステップST5)を行う。
このジレンマ判定は、車両IDごとの位置及び速度と、当該車両IDごとに設定された上記危険ゾーンとに基づいて、車両5がこれに対応する危険ゾーンに存在するか否かを判定するものである。以下、図4を参照して、本実施形態に係るジレンマ判定の内容を説明する。
【0054】
ここで、図4に示すように、あるアップリンク情報S4から抽出された普通車5Aの走行速度がVaであり、他のアップリンク情報S4から抽出された大型車5Bの走行速度がVbであったとする。
この場合、制御部24は、車両5が普通車5Aである場合には、普通車用に設定した危険ゾーン(図4の上段のグラフ)を用いてジレンマ判定を行い、車両5が大型者5Bである場合には、大型車用に設定した危険ゾーン(図4の下段のグラフ)を用いてジレンマ判定を行う。
【0055】
具体的には、制御部24は、普通車5Aが等速で交差点Jに向かうと仮定して、アップリンク情報S4から取得した位置及び速度Vaとその受信時刻(路側通信機3から取得した時刻)とから、現サイクルの黄信号開始時における普通車5Aの走行位置を予測し、その位置が普通車用の危険ゾーンの走行区間Z1に存在するか否かを判定する。
なお、上記走行区間Z1は、速度V=Vaの直線が普通車用の危険ゾーンを横切る区間として求められる。
【0056】
また、制御部24は、大型車5Bについても、これが等速で交差点Jに向かうと仮定して、アップリンク情報S4から取得した位置及び速度Vbとその受信時刻とから、現サイクルの黄信号開始時における大型車5Bの走行位置を予測し、その位置が大型車用の危険ゾーンの走行区間Z2に存在するか否かを判定する。
なお、上記走行区間Z2は、速度V=Vbの直線が大型車用の危険ゾーンを横切る区間として求められる。
【0057】
制御部24は、今回の制御周期で得られた1又は複数の車両IDについて、上記ジレンマ判定(図3のステップST5)を行い、少なくとも1つの車両5が対応する危険ゾーンの走行区間Z1(又はZ2)に存在する場合には、次のステップST6に移行し、すべての車両5が対応する危険ゾーンの走行区間Z1(又はZ2)に存在しない場合には、青信号の打ち切り(図3のステップST8)を決定する。
【0058】
上記ジレンマ判定が肯定的(図3のステップST5で区間内)である場合には、制御部24は、予め設定された最大青時間が未経過か否かを判定し(図3のステップST6)、経過している場合には青信号の打ち切り(図3のステップST8)を決定し、経過していない場合には現サイクルの青信号の継続を決定する(図3のステップST7)。
青信号の継続を決定する場合には、制御部24はその決定指令を直ちに交通信号制御機1に送信し、交通信号制御機1は、その指令に従って主道路RM1,RM2に通行権を与えている現サイクルの青信号を継続する。
【0059】
なお、青信号を継続して青時間を延長する方法としては、次階梯の黄信号時間はそのままにして黄信号の開始タイミングを調整する方法と、次階梯の黄信号時間を短縮する方法がある。
情報中継装置2の制御部24は、青時間の継続決定(図3のステップST7)を行った場合には、感応制御モードの開始(図3のステップST3)に戻り、次回の制御周期において同様のジレンマ感応制御を繰り返す。
【0060】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態の情報中継装置2によれば、制御部24が、車両5に対応する危険ゾーンを当該車両5ごとに設定し(図3のステップST4)、取得された車両3の速度及び位置と設定された危険ゾーンとに基づいて、車両5がこれに対応する危険ゾーンの走行区間Z1,Z2に存在するか否かを判定するので(図3のステップST5)、各車両3に対応する危険ゾーンを用いて、車両5ごとに正確なジレンマ判定を実行することができる。
このため、危険ゾーンを一律に広めに設定する場合に比べて、隣接交差点との系統制御に及ぶ悪影響を低減することができる。
【0061】
また、本実施形態では、1回の制御周期において、流入道路RM1,RM2の延長方向に延びる観測範囲(すなわち、路側通信機3の通信領域)で複数の車両5の速度及び位置を一括して観測する、空間観測タイプの交通信号制御システムを採用しており、情報中継装置2の制御部24が、少なくとも1つの車両5がこれに対応する危険ゾーンの走行区間Z1,Z2に存在するか否かを判定するので、1回の制御周期において1車線に1台ずつしかジレンマ判定を実行できない後述の単一観測タイプ(図6)に比べて、ジレンマ判定をより正確に行うことができる。
【0062】
なお、このように、1回の制御周期において、複数の車両5についてのジレンマ判定を行う場合、大型車5Bを想定して危険ゾーンを一律に広めに設定すると、必要以上の頻度で青信号が継続される可能性が、単一観測タイプの場合に比べてより一層大きくなるが、本実施形態の情報中継装置2では、制御部24が、1回の制御周期内において車両5に対応する危険ゾーンを複数の車両5ごとに設定するので、1回の制御周期内で複数の車両5のジレンマ判定を行う場合でも、当該ジレンマ判定を正確に行うことができる。
【0063】
〔第1実施形態の変形例〕
上記第1実施形態では、曲線Lcを特定する減速度dを、普通車5Aと大型車5Bに対応して2種類に設定しているが、3種類以上に設定することにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、車両5ごとの曲線Lcの減速度dを、アップリンク情報S4から抽出した車種に基づいて決定しているが、車種の代わりに、自車両5で実行可能な減速度dを車載装置6がアップリンク情報S4に含めることにしてもよい。
【0064】
この場合、情報中継装置2の制御部24は、取得したアップリンク情報S4から、車両5自身が提示する精度の良い減速度dを抽出することができるので、車種に基づいて路側で車両5の減速度dを決定する場合に比べて、危険ゾーンを車両5ごとにより細かく設定することができ、これにより、ジレンマ判定をより正確に行えるという利点がある。
【0065】
〔第2実施形態〕
図5は、第2実施形態に係る交通信号制御システムを示す道路平面図である。
本実施形態のシステムは、流入道路RM1,RM2を走行する複数の車両5の速度及び位置を一括して観測する空間観測タイプである点で、第1実施形態(図1)のシステムと同様であるが、その空間観測を行うデバイスが、複数の車両5を同時に撮影できる画像感知器7を用いた画像認識タイプである点で、第1実施形態のシステムと相違する。
【0066】
この画像感知器7は、主道路RM1,RM2の交差点J近傍に設置された動画撮影が可能なデジタルカメラ等よりなり、この感知器7は、主道路RM1,RM2を走行する各車両5の画像データをほぼリアルタイムで情報中継装置2に送信する。
この場合、情報中継装置2の制御部24において、取得した画像データを画像処理して車両5の位置と車種を特定し、時系列の画像データから車両5の速度を算出する機能を付加すれば、第1実施形態と同様のジレンマ感応制御を実行できるようになる。
【0067】
また、本実施形態によれば、画像感知器7の画像データから車両5の位置、速度及び車種を求めるので、車両5が車載装置6を搭載していない場合でも、本発明のジレンマ感応制御を行うことができるという利点がある。
なお、第2実施形態の場合も、情報中継装置2の制御部24が1サイクルごとに実行するジレンマ感応制御の基本的なフローは図3と同様であるが、ステップST3及びステップST4の処理内容に変更を加える必要がある。
【0068】
すなわち、第2実施形態では、図3のステップST3の処理は、情報中継装置2の制御部24が、画像感知器7が車両5の画像データを取得したか否かを判定する処理となる。
また、第2実施形態では、図3のステップST4の処理は、取得した画像データに含まれる車両5が普通車5Aか大型車5Bかを判定して、それぞれに危険ゾーンを設定する処理となる。
【0069】
〔第3実施形態〕
図6は、第3実施形態に係る交通信号制御システムを示す道路平面図である。
本実施形態のシステムは、車両5の速度を感知センサ8の設置位置で1台ずつ観測する単一観測タイプである点で、空間観測によって複数の車両5の速度を一括して観測する第1実施形態(図1)及び第2実施形態(図5)のシステムと相違する。
【0070】
この感知センサ8は、例えば、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器や、インダクタンス変化で車両5を感知するループコイル等よりなり、主道路RM1,RM2を走行する車両5の存在を定位置で1台ずつ感知することができる。
このうち、車両感知器は、超音波を路面に向けて間欠的に発射して、車両5からの反射波と路面からの反射波を比較することで主道路RM1,RM2を走行する車両5の存在を感知する。
【0071】
一方、ループコイルは、車両通過時にコイルに生じるインダクタンス変化によって主道路RM1,RM2を走行する車両5の存在を感知する。
このため、これらのセンサを所定距離だけ離れた場所に1対設置すれば、両感知信号の時間差によって車両5の速度を算出することができる。もっとも、マイクロ波式速度感知器や超音波ドップラー方式の速度感知器を用いて、車両5の速度を直接的に計測することにしてもよい。
【0072】
この場合、情報中継装置2の制御部24において、感知センサ8から取得した感知信号S6に基づいて車両5の速度を算出し、その路側計測情報S6の信号立ち上がり時間の長さに基づいて車両5の車種を特定する機能を付加すれば、車両5の車種に対応して減速度dを切り替えることで車種に適した危険ゾーンを車両5ごとに設定して行う、本発明のジレンマ判定を実行できるようになる。
【0073】
なお、車両5の速度を感知センサ8の設置位置において1台ずつ観測する本実施形態の場合には、車両5の走行位置が感知センサ8の設置位置のみで特定されるので、情報中継装置2の制御部24は、当該感知センサ8の設置位置を記憶部25から取得し、感知信号S6を取得した時点に、車両5の走行位置が感知センサ8の設置位置であると見なしてジレンマ判定を行うことになる。
【0074】
なお、第3実施形態の場合も、情報中継装置2の制御部24が1サイクルごとに実行するジレンマ感応制御の基本的なフローは図3と同様であるが、ステップST3及びステップST4の処理に変更を加える必要がある。
【0075】
すなわち、第3実施形態では、図3のステップST3の処理は、情報中継装置2の制御部24が、車両感知器8からの感知信号S6を取得したか否かを判定する処理となる。
また、第3実施形態では、図3のステップST4の処理は、取得した感知信号6の時間長さから車両5が普通車5Aか大型車5Bかを判定して、それぞれに危険ゾーンを設定する処理となる。
【0076】
〔その他の変形例〕
上記実施形態は本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲及びその構成と均等な全ての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、本発明のジレンマ感応制御を情報中継装置2の制御部24が実行しているが、そのジレンマ感応制御を行う制御部24を交通信号制御機1に搭載することにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 交通信号制御機
1a 信号灯器
2 情報中継装置(信号制御装置)
24 制御部(取得部、ゾーン設定部、判定部)
25 記憶部
3 路側通信機
4 中央装置
5 車両
6 車載装置
7 画像感知器(路側感知器)
8 感知センサ(路側感知器)
S1 信号制御指令
S2 制御種別情報
S3 ダウンリンク情報
S4 アップリンク情報(送信情報)
S5 画像データ(計測情報)
S6 感知信号(計測情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点への流入道路を走行する車両が、現サイクルの黄信号開始時において危険ゾーンの走行区間に存在する場合に、前記流入道路に通行権を与えている現サイクルの青信号を継続し、存在しない場合に、当該青信号を打ち切るジレンマ感応制御を行う信号制御装置であって、
前記車両の速度及び位置を取得する取得部と、
前記車両に対応する前記危険ゾーンを当該車両ごとに設定するゾーン設定部と、
取得された前記車両の速度及び位置と設定された前記危険ゾーンとに基づいて、前記車両がこれに対応する前記危険ゾーンの走行区間に存在するか否かを判定する判定部と、
を備えていることを特徴とする信号制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、所定の制御周期ごとに、複数の前記車両の速度及び位置を取得可能であり、前記ゾーン設定部は、前記制御周期ごとに、前記車両に対応する前記危険ゾーンを当該車両ごとに設定可能である請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、1回の前記制御周期内に速度及び位置が取得された1又は複数の前記車両のうち、少なくとも1つの前記車両がこれに対応する前記危険ゾーンの走行区間に存在するか否かを判定する請求項2に記載の信号制御装置。
【請求項4】
前記ゾーン設定部は、前記車両の減速度に基づいて、前記車両に対応する前記危険ゾーンを当該車両ごとに設定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号制御装置。
【請求項5】
前記ゾーン設定部は、前記減速度を前記車両の車種から決定する請求項4に記載の信号制御装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記車両が無線送信した当該車両の車種を含む送信情報を取得可能であり、前記ゾーン設定部は、取得された前記送信情報から前記車両の車種を決定する請求項5に記載の信号制御装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記流入道路に設けられた路側感知器で計測された車種を特定可能な計測情報を取得可能であり、前記ゾーン設定部は、取得された前記計測情報から前記車両の車種を決定する請求項5に記載に記載の信号制御装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記車両が無線送信した当該車両の減速度を含む送信情報を取得可能であり、前記ゾーン設定部は、取得された前記送信情報から前記車両の減速度を決定する請求項4に記載の信号制御装置。
【請求項9】
交差点への流入道路を走行する車両の速度及び位置を取得する第1のステップと、
前記車両に対応する危険ゾーンを当該車両ごとに設定する第2のステップと、
取得された前記車両の速度及び位置と設定された前記危険ゾーンとに基づいて、現サイクルの黄信号開始時において、前記車両がこれに対応する前記危険ゾーンの走行区間に存在するか否かを判定する第3のステップと、
その判定結果が肯定的である場合に、前記流入道路に通行権を与えている現サイクルの青信号を継続し、否定的である場合に、当該青信号を打ち切る第4のステップと、
を含むことを特徴とするジレンマ感応制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−186697(P2011−186697A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50139(P2010−50139)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】