説明

信号受信機、信号受信システム、信号受信方法およびプログラム

【課題】信号受信機のアンテナに対する電力供給設定の誤りによる信号の受信断や信号受信機の故障を防ぐ。
【解決手段】信号受信部11は、GPSアンテナからアンプを介して信号を受信する。電力供給部12は、GPSアンテナおよびアンプに電力を供給する。第1判定部13は、信号受信部11が信号を受信しているか否かを判定し、第2判定部14は、GPSアンテナおよびアンプに電力が供給されているか否かを判定する。第1判定部13が信号を受信していないと判定し、かつ、第2判定部14がGPSアンテナおよびアンプに電力が供給されていないと判定した場合、制御部15は、電力供給部12にGPSアンテナおよびアンプへの電力供給を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナから信号を受信する信号受信機、信号受信システム、信号受信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)は、GPS衛星から出力されるGPS信号内の時刻情報などに基づいて、GPS衛星からGPS受信機までの擬似距離を計算し、GPS受信機の測位を行うシステムである。そのため、測位の精度はGPS信号内の時刻情報の精度に大きく依存する。よって、時刻情報はルビジウム発振器やセシウム発振器などの高度な発振器を用いて生成されている。GPSの高精度の時刻情報は、GPS受信機の測位以外にも使用される。携帯電話などの基地局装置では高精度の時刻情報を利用して、遠く離れた基地局装置間の時刻を同期させることに使用している。また、高精度の時刻情報は、基地局装置内の基準となるクロック信号を生成することにも使用されている。このため、1つのGPSアンテナが受信したGPS信号を信号分配器を使用して複数のGPS受信機に分配することが行われている。
【0003】
基地局装置などに実装するGPS受信機は、外付けのGPSアンテナや、受信したGPS信号を増幅するためにLNA(低雑音増幅器:Low Noise Amplifier)などのアンプに信号分配器を介して接続し、GPS信号を受信する。GPSアンテナやアンプの電源については、GPS受信機から電力が供給される。
【0004】
特許文献1には、内蔵アンテナ内のRF回路による電源電力の消費を抑え、より省電力な可搬型GPS受信機が開示されている。この可搬型GPS受信機は、外部アンテナとの接続のためのコネクタに外部アンテナに係るコネクタが接続されたとき、電源からコネクタ間の接続を介し、外部アンテナ内のRF回路に供給される電流を検出し、電源から内蔵アンテナに対する電源電圧の供給を遮断するアンテナ切替回路を設けている。
【0005】
特許文献2には、車載通信機器による動作を、車載バッテリの消耗を抑制しながら必要な時期に確実に行うことができるようになる車載通信システムが開示されている。この車載通信システムでは、車両のメイン電源が遮断された状態では、車載サーバや車載機器の電源が遮断されるが、パケット通信機の電源は確保されている。パケット通信機がデータ管理センタからの動作指令信号を受信したときには、車載サーバへの電源供給が開始される。車載サーバの制御回路は、車載機器のうち動作指令信号による指令内容を実行するのに必要な機器に対する電源供給動作を電源スイッチング回路を通じて行い、その指令内容の実行が済んだ後に当該電源供給動作を終了する。
【0006】
特許文献3には、低コストで、信頼性が高く、保守も容易である地表面変位監視システムが提示されている。この地表面変位監視システムの地表面変位面的検出装置は、GPS機能と外部との送受信を行う通信機能とを有し独立電源を備えた親局装置とこの親局装置を中心にその周りに配設され親局装置から給電されると共に当該親局装置へ位置情報信号を送信する子局群とで構成され、地表面変位面的検出装置の各々がデータ収集サーバに至る無線ネットワークを自律的に構築する機能を有する。
【0007】
特許文献4には、設置配線等の工事を容易にし、初期設定や停電事故等による供給電源停止などに対して、全くのメンテナンスフリーな塔時計装置が開示されている。この塔時計装置は、GPS衛星からの電波を受信し、時刻情報を出力する時刻情報受信機と、時針および分針を駆動させるムーブメントには各々独立して電源を供給する。時刻情報受信機は、GPS衛星からの受信時刻情報を1対のシリアル信号線を経由してムーブメントに伝送する。
【0008】
特許文献5には、電池を電力源として動作させるとき消費電力を低減させたGPS受信装置が開示されている。このGPS受信装置は、電池と外部電源との一方を選択して駆動電源とする電力源切替回路と、GPS衛星からの信号の捕捉および追尾をする複数の信号追尾回路とを備える。GPS受信装置は、電力源切替回路によって電池が選択されたとき、所定の信号追尾回路を選択して動作状態にし、かつ選択されていないその他の信号追尾回路を停止状態にさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−196065号公報
【特許文献2】特開2003−346288号公報
【特許文献3】特開2007−052588号公報
【特許文献4】特開2008−209270号公報
【特許文献5】特開平06−102338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
1つのGPSアンテナに対して複数のGPS受信機に信号分配器を使用してGPS信号を分配する場合は、信号分配器がDCカット(直流カット)されている必要がある。なぜなら、複数のGPS受信機から出力されるアンテナ電源の電圧に差がある場合、信号分配器を介して電圧が低いほうに電流が流れ込んでしまい、GPS受信機が故障する可能性があるからである。このため、従来、信号分配器がDCカットされていない場合は複数のGPS受信機はいずれか1つがGPSアンテナへ電力を供給する設定にする必要があった。
【0011】
しかし、設定を誤って複数のGPS受信機がGPSアンテナへ電力を供給する設定にしてしまった場合、GPS受信機が故障する可能性がある。また、設定を誤っていずれのGPS受信機もGPSアンテナへ電力を供給しない設定にしてしまった場合、GPS信号が受信できない。これは、GPSに限らず、その他の信号受信システムにおいても同様である。
【0012】
特許文献1〜5に記載の技術は、信号受信機のアンテナに対する電力供給設定の誤りによる信号の受信断や信号受信機の故障を防ぐものではない。
【0013】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、1つのアンテナに対して複数の信号受信機が信号分配器を介して電力供給が可能な場合、信号分配器がDCカットされていなくても、信号受信機のアンテナに対する電力供給設定の誤りによる信号の受信断や信号受信機の故障を防ぐことができる信号受信機、信号受信システム、信号受信方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の観点に係る信号受信機は、
アンテナ装置が受信する信号を、前記アンテナ装置が接続される信号分配器を経由して受信する信号受信手段と、
前記アンテナ装置に前記信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段と、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定手段と、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定手段と、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の観点に係る信号受信システムは、
信号を受信するアンテナ装置と、
前記アンテナ装置が受信する前記信号を複数の経路に分配する信号分配器と、
前記アンテナ装置が受信する前記信号を前記信号分配器を経由して受信する複数の信号受信機と、から構成され、
前記信号受信機はそれぞれ、
前記信号を前記信号分配器から受信する信号受信手段と、
前記アンテナ装置に前記信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段と、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定手段と、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定手段と、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の観点に係る信号受信方法は、
アンテナ装置に信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段を備える信号受信機が実行する
前記アンテナ装置が受信する信号を、前記アンテナ装置が接続される前記信号分配器を経由して受信する信号受信ステップと、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、アンテナ装置に信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段を備える信号受信機を制御するコンピュータに
前記アンテナ装置が受信する信号を、前記アンテナ装置が接続される前記信号分配器を経由して受信する信号受信ステップと、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の信号受信機、信号受信システム、信号受信方法およびプログラムによれば、1つのアンテナに対して複数の信号受信機が信号分配器を介して電力供給が可能な場合、信号分配器がDCカットされていなくても、信号受信機のアンテナに対する電力供給設定の誤りによる信号の受信断や信号受信機の故障を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係るGPS受信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係るGPS受信機の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係るGPS受信機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】実施の形態に係るGPS受信機の起動時の電力供給の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態に係るGPS受信機のGPS信号の受信断時の電力供給の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態では、信号受信システムを代表してGPSに本発明を適用した例を説明する。本実施の形態において、信号受信機はGPS受信機であり、信号受信システムはGPS受信システムである。また、アンテナ装置は、GPS衛星から出力されるGPS信号を受信するGPSアンテナとGPSアンテナが受信したGPS信号を増幅するアンプを含む装置である。
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0022】
図1は、本実施の形態に係るGPS受信システムの構成例を示すブロック図である。GPS受信システム100は、複数のGPS受信機1と、信号分配器2と、アンプ3と、GPSアンテナ4とから構成される。
【0023】
GPSアンテナ4は、GPS衛星から出力されるGPS信号を受信する。アンプ3は、GPSアンテナ4が受信したGPS信号を増幅して信号分配器2に送信する。信号分配器2は、アンプ3から受信したGPS信号を各GPS受信機1に送信する。各GPS受信機1は信号分配器2からGPS信号を受信する。また、GPS受信機1は、信号分配器2を介して、GPSアンテナ4およびアンプ3に電力を供給する。
【0024】
図2は、実施の形態に係るGPS受信機の機能構成の一例を示すブロック図である。GPS受信機1は、信号受信部11、電力供給部12、第1判定部13、第2判定部14、および制御部15を備える。
【0025】
信号受信部11は、信号分配器2からGPS信号を受信する。信号受信部11は、第1判定部13を介して制御部15に受信したGPS信号を送る。
【0026】
電力供給部12は、信号分配器2を介して、GPSアンテナ4およびアンプ3に電力を供給する。
【0027】
第1判定部13は、信号受信部11がGPS信号を受信しているか否かを判定する。第1判定部13は、判定結果を制御部15に送る。
【0028】
第2判定部14は、信号分配器2を介して、GPSアンテナ4およびアンプ3に電力が供給されているか否かを判定する。第2判定部14は、判定結果を制御部15に送る。
【0029】
制御部15は、信号受信部11から受信したGPS信号に基づいて測位計算を行う。制御部15は、測位計算の結果を示す測位情報を記憶しておいてもよいし、外部に送信してもよい。また、制御部15は、電力供給部12のGPSアンテナ4およびアンプ3への電力供給を制御する。具体的には、第1判定部がGPS信号を受信していないと判定し、第2判定部14がGPSアンテナ4およびアンプ3に電力が供給されていないと判定した場合、電力供給部12に電力供給を開始させる。
【0030】
なお、GPS受信機1が携帯電話などの基地局装置に実装されており、GPS信号に含まれる時刻情報を利用して、基地局装置間の時刻を同期させることに使用する場合には、制御部15は、信号受信部11から受信したGPS信号内の時刻情報に基づいて、基地局装置間の時刻を同期させる。また、GPS信号に含まれる時刻情報に基づいて基地局装置内の基準となるクロック信号を生成する場合には、制御部15は、信号受信部11から受信したGPS信号に基づいて、クロック信号を生成する。
【0031】
図3は、実施の形態に係るGPS受信機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。GPS受信機1は、図3に示すように、RF部111、ベースバンド部112、電源113、電源切り替え用FET114、電源制御部115および電源電圧監視部116を備える。
【0032】
RF部111は、ノイズを除去してGPS衛星からの高周波信号を取り出すRFフィルタや、取り出した高周波信号を中間周波数に変換するダウンコンバータ、その中間周波数のアナログ信号をデジタル信号に変換するA−Dコンバータなどで構成される。RF部111は、変換したデジタル信号をベースバンド部112に送る。RF部111は、信号受信部11として機能する。
【0033】
ベースバンド部112は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random-Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、リアルタイムクロック等から構成され、ROMに記憶されている制御プログラムに従って、RF部111から受け取ったデジタル信号を変換してベースバンド信号を生成する。ベースバンド部112は、ベースバンド信号に基づいて、GPS衛星との擬似距離を求めたり、ドップラ周波数からドップラ速度を求めたりすることにより、GPS受信機1の位置を求める測位計算を実行する。また、ベースバンド部112は、RF部111からデジタル信号を受け取るか否かで、GPS信号を受信しているか否かを判定する。
【0034】
なお、前述のように、GPS信号をGPS受信機1の測位以外に使用する場合には、ベースバンド部112は、生成したベースバンド信号から時刻情報を抽出し、基地局装置間の時刻を同期させたり、クロック信号を生成したりする各処理を行う。ベースバンド部112は、判定部13および制御部15として機能する。
【0035】
電源113は、GPS受信機1の電源であり、GPSアンテナ4およびアンプ3に電力を供給するための電源である。
【0036】
電源制御部115はCPUやRAM、ROM等から構成され、ROMに記憶されている制御プログラムに従って、電源切り替え用FET114を制御し、制御部15の電源制御処理を実行する。
【0037】
電源電圧監視部116はCPUやRAM、ROM等から構成され、ROMに記憶されている制御プログラム2に従って、信号分配器2を介してGPSアンテナ4およびアンプ3にかかる電圧を監視し、第2判定部14の処理を実行する。なお、電源制御部115および電源電圧監視部116の処理は、ベースバンド部112のCPUが実行してもよい。
【0038】
図2に示すGPS受信機1の信号受信部11、電力供給部12、第1判定部13、第2判定部14および制御部15の処理は、各制御プログラムが、RF部111、ベースバンド部112、電源113、電源切り替え用FET114、電源制御部115および電源電圧監視部116などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0039】
図4は、実施の形態に係るGPS受信機の起動時の電力供給の動作の一例を示すフローチャートである。GPS受信機1が起動すると、まず、第1判定部13は、信号受信部11がGPS信号を受信しているか否かを判定する(ステップS11)。GPS信号を受信している場合(ステップS11;YES)、処理を終了する。
【0040】
GPS信号を受信してない場合(ステップS11;NO)、第2判定部14は、GPSアンテナ4およびアンプ3に電源電圧が印加されているか否かを判定する(ステップS12)。GPSアンテナ4およびアンプ3に電源電圧が印加されている場合(ステップS12;YES)、制御部15は、GPSアンテナ4またはアンプ3の異常と判定し(ステップS16)、処理を終了する。
【0041】
GPSアンテナ4およびアンプ3に電源電圧が印加されていない場合(ステップS12;NO)、制御部15は、電力供給部12にGPSアンテナ4およびアンプ3への電力の供給を開始させる(ステップS13)。次に、第1判定部13は、信号受信部11がGPS信号を受信しているか否かを判定する(ステップS14)。GPS信号を受信している場合(ステップS14;YES)、処理を終了する。
【0042】
GPS信号を受信してない場合(ステップS14;NO)、制御部15は、電力供給部12にGPSアンテナ4およびアンプ3への電力の供給を停止させる(ステップS15)。そして、制御部15は、GPSアンテナ4またはアンプ3の異常と判定し(ステップS16)、処理を終了する。
【0043】
図5は、実施の形態に係るGPS受信機のGPS信号の受信断時の電力供給の動作の一例を示すフローチャートである。図4に示したフローチャートにおいて、ステップS11またはステップS14でGPS信号を受信し、GPS受信装置1が動作状態になると、第1判定部13は、信号受信部11がGPS信号を受信しているか否かを判定する(ステップS21)。GPS信号を受信している場合(ステップS21;YES)、第1判定部13は、ステップS21を繰り返し、GPS信号の受信断を監視する。
【0044】
GPS信号を受信してない場合(ステップS21;NO)、第2判定部14は、GPSアンテナ4およびアンプ3に電源電圧が印加されているか否かを判定する(ステップS22)。GPSアンテナ4およびアンプ3に電源電圧が印加されている場合(ステップS22;YES)、制御部15は、GPSアンテナ4またはアンプ3の異常と判定し(ステップS26)、処理を終了する。
【0045】
GPSアンテナ4およびアンプ3に電源電圧が印加されていない場合(ステップS22;NO)、制御部15は、電力供給部12にGPSアンテナ4およびアンプ3への電力の供給を開始させる(ステップS23)。次に、第1判定部13は、信号受信部11がGPS信号を受信しているか否かを判定する(ステップS24)。GPS信号を受信している場合(ステップS24;YES)、処理を終了する。
【0046】
GPS信号を受信してない場合(ステップS24;NO)、制御部15は、電力供給部12にGPSアンテナ4およびアンプ3への電力の供給を停止させる(ステップS25)。そして、制御部15は、GPSアンテナ4またはアンプ3の異常と判定し(ステップS26)、処理を終了する。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態のGPS受信機1によれば、GPS受信機1からGPSアンテナ4およびアンプ3への電力供給を自律的に行うことによって、信号分配器2がDCカットされていなくても、GPS受信機1のGPSアンテナ4およびアンプ3に対する電力供給設定の誤りによるGPS信号の受信断やGPS受信機1の故障を防ぐことができる。これにより、信号分配器がDCカットされている必要がなくなる。
【0048】
上述の実施の形態では、制御部15は、GPSアンテナ4またはアンプ3の異常と判定する。さらに、制御部15は、GPSアンテナ4またはアンプ3の異常と判定したときに、ユーザに対して報知してもよい。たとえば、あらかじめ記憶するユーザのメールアドレスにGPSアンテナ4またはアンプ3の異常を示すメールを送信したり、GPS受信機1は表示部および/または音声出力部を備え、GPSアンテナ4またはアンプ3の異常を示す画面を表示したり、音声を出力したりする。
【0049】
また、GPS受信機1は、電源電圧監視部116を内部に有するが、外部に備えてもよい。この場合、GPS受信機1の第2判定部14は、外部からGPSアンテナ4およびアンプ3に電力が供給されているか否かを示す情報を取得する。
【0050】
さらに、本発明の適用は、GPS信号を受信するGPSアンテナやアンプ、GPS受信機に限らず、信号を受信するアンテナ装置および該信号を受信する受信機に適用することができる。
【0051】
その他、前記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0052】
ベースバンド部112、電源制御部115および電源電圧監視部116などから構成される電源供給処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行するGPS受信機1を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することでGPS受信機1を構成してもよい。
【0053】
また、GPS受信機1の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0054】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0055】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0056】
(付記1)
アンテナ装置が受信する信号を、前記アンテナ装置が接続される信号分配器を経由して受信する信号受信手段と、
前記アンテナ装置に前記信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段と、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定手段と、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定手段と、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする信号受信機。
【0057】
(付記2)
前記制御手段は、前記第1判定手段が前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記第2判定手段が前記アンテナ装置に電力が供給されていると判定した場合、前記アンテナ装置が異常であると判定することを特徴とする付記1に記載の信号受信機。
【0058】
(付記3)
前記制御手段は、前記電力供給手段が前記アンテナ装置に電力を供給しているときに、前記第1判定手段が前記信号を受信していないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を停止するよう前記電力供給手段を制御し、前記アンテナ装置が異常であると判定することを特徴とする付記1または2に記載の信号受信機。
【0059】
(付記4)
前記制御手段が、前記アンテナ装置が異常であると判定した場合、ユーザに報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする付記2または3に記載の信号受信機。
【0060】
(付記5)
信号を受信するアンテナ装置と、
前記アンテナ装置が受信する前記信号を複数の経路に分配する信号分配器と、
前記アンテナ装置が受信する前記信号を前記信号分配器を経由して受信する複数の信号受信機と、から構成され、
前記信号受信機はそれぞれ、
前記信号を前記信号分配器から受信する信号受信手段と、
前記アンテナ装置に前記信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段と、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定手段と、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定手段と、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする信号受信システム。
【0061】
(付記6)
アンテナ装置に信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段を備える信号受信機が実行する
前記アンテナ装置が受信する信号を、前記アンテナ装置が接続される前記信号分配器を経由して受信する信号受信ステップと、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御ステップと、
を備えることを特徴とする信号受信方法。
【0062】
(付記7)
前記制御ステップでは、前記第1判定ステップで前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記第2判定ステップで前記アンテナ装置に電力が供給されていると判定した場合、前記アンテナ装置が異常であると判定することを特徴とする付記6に記載の信号受信方法。
【0063】
(付記8)
前記制御ステップでは、前記電力供給手段が前記アンテナ装置に電力を供給しているときに、前記第1判定ステップで前記信号を受信していないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を停止するよう前記電力供給手段を制御し、前記アンテナ装置が異常であると判定することを特徴とする付記6または7に記載の信号受信方法。
【0064】
(付記9)
前記制御ステップで前記アンテナ装置が異常であると判定した場合、ユーザに報知する報知ステップをさらに備えることを特徴とする付記7または8に記載の信号受信方法。
【0065】
(付記10)
アンテナ装置に信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段を備える信号受信機を制御するコンピュータに
前記アンテナ装置が受信する信号を、前記アンテナ装置が接続される前記信号分配器を経由して受信する信号受信ステップと、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0066】
1 GPS受信機
2 信号分配器
3 アンプ
4 GPSアンテナ
11 信号受信部
12 電力供給部
13 第1判定部
14 第2判定部
15 制御部
100 GPS受信システム
111 RF部
112 ベースバンド部
113 電源
114 電源切り替え用FET
115 電源制御部
116 電源電圧監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置が受信する信号を、前記アンテナ装置が接続される信号分配器を経由して受信する信号受信手段と、
前記アンテナ装置に前記信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段と、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定手段と、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定手段と、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする信号受信機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1判定手段が前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記第2判定手段が前記アンテナ装置に電力が供給されていると判定した場合、前記アンテナ装置が異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の信号受信機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記電力供給手段が前記アンテナ装置に電力を供給しているときに、前記第1判定手段が前記信号を受信していないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を停止するよう前記電力供給手段を制御し、前記アンテナ装置が異常であると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の信号受信機。
【請求項4】
前記制御手段が、前記アンテナ装置が異常であると判定した場合、ユーザに報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の信号受信機。
【請求項5】
信号を受信するアンテナ装置と、
前記アンテナ装置が受信する前記信号を複数の経路に分配する信号分配器と、
前記アンテナ装置が受信する前記信号を前記信号分配器を経由して受信する複数の信号受信機と、から構成され、
前記信号受信機はそれぞれ、
前記信号を前記信号分配器から受信する信号受信手段と、
前記アンテナ装置に前記信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段と、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定手段と、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定手段と、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする信号受信システム。
【請求項6】
アンテナ装置に信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段を備える信号受信機が実行する
前記アンテナ装置が受信する信号を、前記アンテナ装置が接続される前記信号分配器を経由して受信する信号受信ステップと、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御ステップと、
を備えることを特徴とする信号受信方法。
【請求項7】
前記制御ステップでは、前記第1判定ステップで前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記第2判定ステップで前記アンテナ装置に電力が供給されていると判定した場合、前記アンテナ装置が異常であると判定することを特徴とする請求項6に記載の信号受信方法。
【請求項8】
前記制御ステップでは、前記電力供給手段が前記アンテナ装置に電力を供給しているときに、前記第1判定ステップで前記信号を受信していないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を停止するよう前記電力供給手段を制御し、前記アンテナ装置が異常であると判定することを特徴とする請求項6または7に記載の信号受信方法。
【請求項9】
前記制御ステップで前記アンテナ装置が異常であると判定した場合、ユーザに報知する報知ステップをさらに備えることを特徴とする請求項7または8に記載の信号受信方法。
【請求項10】
アンテナ装置に信号分配器を介して電力を供給する電力供給手段を備える信号受信機を制御するコンピュータに
前記アンテナ装置が受信する信号を、前記アンテナ装置が接続される前記信号分配器を経由して受信する信号受信ステップと、
前記信号を受信しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記アンテナ装置に電力が供給されているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記信号を受信していないと判定し、かつ、前記アンテナ装置に電力が供給されていないと判定した場合、前記アンテナ装置への電力の供給を開始するよう前記電力供給手段を制御する制御ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−48393(P2013−48393A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186599(P2011−186599)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】