説明

信号灯制御装置、信号灯制御用データ作成装置およびそれらのプログラム

【課題】複数のセルにより構成される信号灯を、同じ制御信号により異なる発光色で発光させたり、異なる制御信号に応じた発光色で発光させたりする。
【解決手段】異なる点灯色の複数のLEDを各セルに有する信号灯に対して設定した設定ファイルFLをフラッシュROM14に記憶させる。設定ファイルFLは、セルを発光させるために外部から与えられる複数の制御信号のそれぞれにセルおよび発光色を個々に対応付ける。変換テーブル作成部411により、設定ファイルFLにおける発光色をその発光色に対応するLEDの組み合わせと置き替えることにより、制御信号に対応するセルにおいて点灯させるLEDを特定する変換テーブルTBLを作成してメモリ13に記憶させる。外部からの制御信号に対し、I/O制御部412により、変換テーブルTBLを参照して、制御信号に対応するセルにおいて特定されたLEDを点灯させるように内部I/Oを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光色を容易に変更することができる積層型の信号灯の制御装置、信号灯制御用のデータを作成する装置およびそれらのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、装置の稼働状況を報知する手段として、信号灯がよく知られている。信号灯としては、異なる発光色の発光部が複数積層された積層型の信号灯が普及している。
【0003】
このような信号灯は、装置を制御するプログラマブルロジックコントローラ(PLC)などの制御装置から供給された制御信号によって点灯が制御される。通常、制御信号は複数用意されており、それぞれの制御信号に対応する発光部をその発光部の発光色で発光させる。ユーザは、発光部の発光色に独自の意味を持たせることから、それに応じて発光部が配置された信号灯を利用したい。例えば、装置に異常が発生したときに最上段の発光部を赤で発光させる場合、装置の異常発生時に出力される制御信号を当該発光部に与えるように、制御装置と信号灯との間の制御信号用の配線を接続する。
【0004】
しかしながら、上記のような積層型の信号灯は、発光部の配置が、上段に赤の発光部、中段に黄の発光部、下段に緑の発光部というように固定されているので、ユーザの要望に応じて発光部(発光色)の位置を変更することができない。また、発光色そのものを全く異なる発光色に変更することもできない。
【0005】
したがって、このようなユーザの要望に応じるため、信号灯の製造者は、発光部の配置が異なる信号灯を製造して、在庫として保持しておく必要がある。また、このような信号灯は、導入後に制御装置を交換することによって制御信号が交換前と異なる場合、新たな制御信号に対応しないことがある。
【0006】
上記のような不都合を解消する信号灯として、異なる点灯色の複数のLEDを1つのユニットに内蔵した信号灯がある(特許文献1)。このような信号灯は、ユニットを単独で使用することを前提としているが、1つのユニットが異なる色で発光するので、積層する接続構造を設けることにより、積層型の信号灯として構成することができる。このような信号灯では、ユニットの配置を変えることなく、各層のユニットの発光色を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−353401号公報(2000年12月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された信号灯は、1つのユニットを単独で利用するため、点灯色を変更するときには各LEDの点灯状態を制御すればよい。しかしながら、このようなユニットを複数組み合わせて積層型の信号灯として構成しようとすると、個別に各ユニットのLEDの点灯を制御する必要がある。
【0009】
このため、任意に各ユニットの発光状態を変更させる場合、LEDの点灯制御が複雑になる。例えば、同じ装置の稼働状況を報知させるために、状況に応じて同じ制御信号によっても各ユニットの発光状態を異ならせる場合、上記の制御信号用の配線の各ユニットへの接続を変更する必要がある。また、上記のように制御信号が変わると、制御信号に応じた所望の発光状態を得ることができない。このような不都合を解消するには、やはり、各ユニットへの上記の配線の接続を変更する必要がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のセルにより構成される信号灯を、同じ制御信号により異なる発光色で発光させたり、異なる制御信号に応じた発光色で発光させたりすることができる信号灯制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る信号灯制御装置は、異なる点灯色のLEDを複数有し、点灯する前記LEDの組み合わせによって定まる発光色で発光する発光層が複数積層されてなる信号灯における前記LEDの点灯を制御する信号灯制御装置であって、前記LEDを通電する通電手段と、前記発光層を発光させるために外部から与えられる複数の制御信号のそれぞれに前記発光層および前記発光色を個々に対応付けた設定情報を記憶する記憶手段と、前記設定情報における前記発光色を当該発光色に対応する前記組み合わせと置き替えることにより、前記制御信号に対応する前記発光層において点灯させる前記LEDを特定する点灯情報を作成する点灯情報作成手段と、前記点灯情報に基づいて、入力される前記制御信号に対応する点灯すべき前記LEDを通電するように前記通電手段を制御する通電制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成では、点灯情報作成手段により、記憶手段に記憶された設定情報に基づいて、設定情報における発光色が対応するLEDの組み合わせと置き替えられることで、点灯情報が作成される。点灯情報により、制御信号に対応する発光層において点灯させるLEDが特定される。
【0013】
例えば、制御信号が0番,1番,2番で特定される3つの信号であり、発光層が3層(第1〜第3発光層)であるとする。また、第1〜第3発光層をそれぞれ「赤」,「黄」,「緑」の発光色で発光させるものとする。この場合、設定情報では、0番,1番,2番の制御信号に、それぞれ第1〜第3発光層と、「赤」,「黄」,「緑」の発光色とが個々に対応付けられるように設定されているとする。また、各発光層は、R,G,Bの3色のLEDを有しているとする。この場合、点灯情報作成手段により、上記の発光色「赤」,「黄」,「緑」が、それぞれR,RおよびG,GのLEDの組み合わせ(図7(b)参照)に置き替えられる。
【0014】
点灯情報が作成された状態で、制御信号が入力されると、通電制御手段により、点灯情報に基づいて、その制御信号に対応する点灯すべきLEDを点灯するように通電手段が制御される。すると、点灯すべきLEDが、通電手段により通電されて点灯する。
【0015】
例えば、上記の1番の制御信号に対して、点灯情報により、第2発光層を「黄」で発光させるためにRおよびGのLEDが特定されると、第2発光層におけるRおよびGのLEDが点灯する。
【0016】
本発明の信号灯制御プログラムは、前記信号灯制御装置における前記点灯情報作成手段および前記通電制御手段としてコンピュータを機能させるための信号灯制御プログラムである。
【0017】
このように、信号灯制御プログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより、信号灯の制御をソフトウェアにより行うことができる。これにより、設定情報を適宜変更することで、信号灯の制御を容易に変更することができる。
【0018】
本発明の信号灯制御用データ作成装置は、前記信号灯制御装置で用いられる前記設定情報を作成する信号灯制御用データ作成装置であって、複数の前記制御信号のそれぞれに前記発光層および前記発光色を個々に対応付けるユーザインターフェースを提供するユーザインターフェース提供手段を備えていることを特徴としている。
【0019】
上記の構成では、ユーザインターフェース提供手段により提供されるユーザインターフェースを用いて、制御信号に発光層および発光色を対応付けることができる。これにより、信号灯制御用データ作成装置を用いて、ユーザによる設定情報の作成を容易に行うことができる。
【0020】
本発明の信号灯制御用データ作成プログラムは、前記信号灯制御用データ作成装置における前記ユーザインターフェース提供手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0021】
このように、信号灯制御用データ作成プログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより、設定情報の作成をソフトウェアにより行うことができる。これにより、ユーザによる設定情報の作成を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る信号灯制御装置は、以上のように構成されているので、複数のセルにより構成される信号灯を、同じ制御信号により異なる発光色で発光させたり、異なる制御信号に応じた発光色で発光させたりすることができる。したがって、特別な制御信号を発生するための制御システムをユーザにより構築する必要がなく、既存のPLCのような制御装置から提供される制御信号を用いて信号灯の発光を容易に制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る信号灯の構造を示す斜視図である。
【図2】上記信号灯の一部の構造を示す分解斜視図である。
【図3】上記信号灯に取り付けられるLED基板の構造を示す正面図である。
【図4】上記信号灯に取り付けられる他のLED基板の構造の一部を拡大して示す正面図である。
【図5】上記信号灯を制御する制御回路の構成を示すブロック図である。
【図6】上記信号灯で発光可能な色とLEDの点灯色(R,G,B)との関係を表したカラーコードを示す図である。
【図7】(a)は上記制御回路におけるフラッシュROMに記憶される発光例1の設定ファイルの構成を示す図であり、(b)は上記制御回路におけるメモリに展開される、上記設定ファイルに対応する変換テーブルの構成を示す図である。
【図8】上記制御回路において実現される制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】上記制御回路で利用される設定ファイルを作成するPCの構成を示すブロック図である。
【図10】上記PCが有する設定ファイル作成部がユーザインターフェースとして提供する設定ファイル作成ウインドウの構成を示す図である。
【図11】(a)は発光例2の上記設定ファイルの構成を示す図であり、(b)は当該設定ファイルに対応する変換テーブルの構成を示す図である。
【図12】(a)は発光例3の上記設定ファイルの構成を示す図であり、(b)は当該設定ファイルに対応する変換テーブルの構成を示す図である。
【図13】(a)は発光例4の上記設定ファイルの構成を示す図であり、(b)は当該設定ファイルに対応する変換テーブルの構成を示す図である。
【図14】(a)は発光例5の上記設定ファイルの構成を示す図であり、(b)は当該設定ファイルに対応する変換テーブルの構成を示す図である。
【図15】(a)は発光例6の上記設定ファイルの構成を示す図であり、(b)は当該設定ファイルに対応する変換テーブルの構成を示す図である。
【図16】(a)は発光例7の上記設定ファイルの構成を示す図であり、(b)は当該設定ファイルに対応する変換テーブルの構成を示す図である。
【図17】(a)〜(g)は上記信号灯における各セルの発光例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態について図1〜図17に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0025】
〔1.信号灯の構成〕
図1および図2に示すように、信号灯1は、外観をグローブ2およびベースハウジング3により構成されている。
【0026】
〔1−1.グローブの構造〕
図1および図2に示すように、グローブ2は、円筒状に形成されたカバーであり、分割体21,22が接合されることにより構成されている。分割体21,22は、樹脂等により形成されている。
【0027】
なお、グローブ2は、円筒状に限らず方形の筒状などであってもよい。
【0028】
また、グローブ2の内部は、遮光板23によって所定の間隔で区切られている。グローブ2において、遮光板23で区画される空間が信号灯1におけるセルCL1〜CL12(発光層)を形成している。これにより、信号灯1は、セルCL1〜CL12が複数積層された構造を有する。
【0029】
なお、セルCL1〜CL12については、共通する事項を説明する場合、「CL」の符号を用いる。また、以降の説明では、セルCLの数が12である場合について説明する。
【0030】
遮光板23は、各セルCLに配置されるLED7からの出射光が隣接するセルCLに進入しないように遮光するために、グローブ2に嵌め込みにより組み付けられている。この遮光板23は、表面が反射性の素材で形成されることにより、LED7からの出射光を反射して外部に拡散させることができる。また、遮光板23は、半円板24,25が接合されることにより構成される。
【0031】
半円板24,25は、それぞれの接合側となる端縁部分に、切り欠かれた凹部24a,25aを有している。凹部24a,25aは、半円板24,25が接合された状態で遮光板23の中央部に矩形状の穴を形成する。この穴は、LED基板4を配置かつ保持するために利用される。
【0032】
〔1−2.ベースハウジングの構造〕
図1に示すように、ベースハウジング3は、グローブ2を支持する基礎部分であり、樹脂等により円筒状に形成されている。ベースハウジング3内の底面には、制御基板5が配置されている。制御基板5は、後述する制御回路11(図5参照)が実装されている基板である。
【0033】
〔1−3.LED基板の構造および配置〕
図3に示すように、LED基板4は、プリント配線基板6および複数のLED7により構成されている。プリント配線基板6は、長尺の方形状に形成されており、両面にLED7が実装されている。
【0034】
LED7は、表面実装型(チップ型)のLEDである。このLED7は、グローブ2の各セルCL内に位置するように、分散してLED基板4に実装されている。具体的には、異なる点灯色のLED7は、LED基板4において、各セルCLに対応する位置に配置されている。これにより、各セルCLはLED7を複数有することになる。
【0035】
なお、以降の説明では、LED7としてR(赤)、G(緑)、B(青)の各色のLEDが設けられる場合について説明する。
【0036】
また、図4に示すように、LED基板4は、表面実装型のLED7の代わりに、砲弾型のLED8が実装されていてもよい。LED8は、プリント配線基板6に形成されたスルーホール6aに配置されるように、それぞれのリード線がプリント配線基板6に半田付けされている。以降では、LED7を用いた例について説明するが、LED8を用いても、同様に本実施形態の信号灯1が機能することはもちろんである。
【0037】
図1および図2に示すように、LED基板4は、半円板24,25により凹部24a,25aで狭持されることにより各遮光板23に保持されている。このようにして、LED基板4はグローブ2内に配置される。
【0038】
なお、LED基板4のグローブ2における配置構造については、上記の例に限定されることはない。
【0039】
〔1−4.制御回路の構成〕
図5に示すように、制御回路11(信号灯制御装置)は、上記のセルCL1〜CL12を、予め設定されたグループに分割し、外部からの制御信号に基づいて、グループ毎に指定された点灯色のLED7の点灯を制御する。制御回路11は、この制御機能を実現するために、CPU12、メモリ13、フラッシュROM14、内部I/O15、メモリカードインターフェース(図中「メモリカードI/F」)16、USB−UARTコンバータ17および外部I/O18を備えている。また、制御回路11は、PLC(Programmable Logic Controller)31からの制御信号に基づいてセルCL内のLED7の点灯を制御する。
【0040】
〔1−4−1.PLCの構成〕
PLC31は、信号灯1が稼働状況を表示する対象としている装置34を制御する制御装置であり、装置34の稼働状況に応じて上記の制御信号の値を変化させる。制御信号は、複数用意されており、それぞれ、セルCLを発光させるための“1”(アクティブ)と、セルCLを発光させないための“0”(非アクティブ)との2値をとる。PLC31と信号灯1(制御回路11)との間には、各制御信号を伝送するための複数の信号線と、グランド用の1本の信号線とが個別に配線されている。
【0041】
上記の制御信号用の信号線は、PLC31が出力可能な最大の制御信号に応じて設けられている。後述する0番,1番,2番の3つの制御信号を用いる場合、制御信号用の信号線は少なくとも3つ必要となる。
【0042】
〔1−4−2.設定ファイルおよび変換テーブルの構成〕
続いて、CPU12で扱われる設定ファイルFLおよび変換テーブルTBLについて説明する。
【0043】
まず、R,G,BのLED7の発光により表現できる色は、図6に示すカラーコードからわかるように、赤、緑、青、黄、紫、水色および白の7色(点灯)と、無色(非点灯)とからなる8色である。カラーコードにおいては、“0”がLED7の消灯状態を表し、“1”がLED7の点灯状態を表している。
【0044】
なお、上記のカラーコードは、例えば後述するCPU12に内蔵される前述の記憶領域に記憶されている。
【0045】
〈設定ファイル〉
設定ファイルFL(設定情報)は、上記の制御信号のそれぞれにと各セルCLおよび発光色を個々に対応付けている。この設定ファイルFLにより、対応する制御信号の値が“1”となるときに、制御信号に対応するセルCLおよび発光色が特定される。例えば、図7(a)に示す設定ファイルFLでは、制御信号として0番,1番,2番の3つの制御信号が用意されている。この設定ファイルFLでは、0番の制御信号にセルCL1〜CL4および「赤」の発光色が設定され、1番の制御信号にセルCL5〜CL8および「黄」の発光色が設定され、2番の制御信号にセルCL9〜CL12および「緑」の発光色が設定されている。
【0046】
〈変換テーブル〉
変換テーブルTBLは、上記の設定ファイルFLに基づいて作成され、PLC31からの上記の制御信号と、当該制御信号に対応するセルCLにおいて点灯させるLED7とを対応付けるテーブルである。換言すれば、この変換テーブルTBLは、制御信号の“1”の値を対応するセルCLにおけるLED7の点灯状態(点灯の有無)に変換する。したがって、変換テーブルTBLは、制御信号が入力されると、その値が“1”であるときに、当該制御信号に対応するセルCLについて点灯状態を出力する。
【0047】
図7(b)に示すように、変換テーブルTBLでは、“1”がLED7の点灯を示し、“0”がLED7の非点灯を示している。この変換テーブルTBLは、図7(a)に示す設定ファイルFLに基づいて作成されている。また、変換テーブルTBLにおいては、0番,1番,2番の制御信号(“1”)が、それぞれ、セルCL1〜CL4のRのLED7の点灯と、セルCL5〜CL8のR,GのLED7の点灯と、セルCL9〜CL12のGのLED7の点灯と対応付けられている。
【0048】
〔1−4−3.CPUの構成〕
CPU12は、下記の(1)〜(4)の機能を備えている。
(1)メモリ制御
図5に示すように、CPU12は、メモリ13およびフラッシュROM14の書き込みおよび読み出しの制御を行う。特に、CPU12は、前述の設定ファイルFLを、メモリカードインターフェース16を介してメモリカード32から読み込んでフラッシュROM14に書き込む。あるいは、CPU12は、設定ファイルFLを、USB−UARTコンバータ17を介してPC(パーソナルコンピュータ)33から取得して、フラッシュROM14に書き込む。また、CPU12は、後述のように作成した変換テーブルTBLをメモリ13に書き込む。
(2)通信制御
CPU12は、外部機器との通信の制御を行う。具体的には、CPU12は、USB−UARTコンバータ17を介したPC33との通信、および外部I/O18を介したPLC31との通信を制御する。
(3)I/O制御
CPU12は、LED7の点灯および消灯を制御するために内部I/O15の動作を制御する。このI/O制御の機能については、CPU12が制御プログラムを実行することにより実現される制御機能(後述の制御部41(図8参照))として後に詳しく説明する。
(4)変換テーブル作成
CPU12は、フラッシュROM14に記憶されている設定ファイルFLに基づいて変換テーブルTBLを作成し、当該変換テーブルTBLをメモリ13に記憶させる。この変換テーブルTBL作成の機能については、CPU12が制御プログラムを実行することにより実現される制御機能(後述の制御部41)として後に詳しく説明する。
【0049】
〔1−4−4.メモリおよびフラッシュROMの構成〕
メモリ13は、上記の変換テーブルTBLを展開するために設けられる。また、メモリ13は、CPU12が各種の処理を行うときの作業領域として用いられる。
【0050】
フラッシュROM14(記憶手段)は、上記の設定ファイルFLを記憶するために設けられる。フラッシュROM14に設定ファイルFLを記憶した後には、メモリカード32やPC33を制御回路11から切り離してもよい。
【0051】
なお、設定ファイルFLのデータサイズは小さいので、不揮発性の記憶領域(EPROMの領域やフラッシュROMの小さい領域)を内蔵したCPUをCPU12として用いて、その記憶領域に設定ファイルFLを記憶させてもよい。これにより、別途フラッシュROM14を設ける必要がなく、信号灯1の低コスト化を図ることができる。
【0052】
〔1−4−5.内部I/Oの構成〕
内部I/O15(通電手段)は、CPU12(制御部41)の制御によりLED7への通電と非通電とを切り替える回路である。具体的には、内部I/O15は、各LED7と電源回路(図示せず)との接続および切り離しをするためにLED7と同数のトランジスタを有している。各トランジスタは、CPU12(制御部41)より与えられるON/OFF制御信号によりトランジスタをON/OFFさせる。
【0053】
〔1−4−6.メモリカードインターフェースの構成〕
メモリカードインターフェース16は、メモリカード32からのデータの読み出し、およびメモリカード32へのデータの書き込みを行うリーダ/ライタである。メモリカードインターフェース16で読み書きできるメモリカード32としては、SDカード(登録商標)、CFカード(登録商標)などがある。
【0054】
メモリカード32に記憶された設定ファイルFLをメモリカードインターフェース16によりフラッシュROM14に読み込む場合、メモリカード32毎に異なる設定ファイルFLを記憶させておけばよい。これにより、メモリカード32を交換するだけで設定ファイルFLを変更することができる。
【0055】
また、メモリカード32に設定ファイルFLを記憶させることにより、信号灯1と離れた場所にあるPC33で設定ファイルFLを作成した場合でも、作成した設定ファイルFLを制御回路11に読み込ませることができる。
【0056】
〔1−4−7.USB−UARTコンバータの構成〕
USB−UARTコンバータ17は、PC33からのUSB信号を非同期式のシリアル信号に変換する回路である。このUSB−UARTコンバータ17を用いることにより、信号灯1にUSBポートを設けることができ、一般にUSBポートを備えるPC33との通信が容易になる。それゆえ、USBケーブルを介して、PC33で作成した設定ファイルFLを制御回路11に転送することが可能となる。
【0057】
〔1−4−8.外部I/Oの構成〕
外部I/O18は、PLC31との間の通信を行うI/Oであり、PLC31から入力される前述の制御信号をCPU12に転送する。外部I/O18には、各入力ポートに制御信号が入力されて、CPU12に取り込まれる。外部I/O18とPLC31との間は、複数の制御信号をそれぞれ伝送するための複数の信号線と、グランド用の1本の信号線とで接続されている。
【0058】
〔1−4−9.制御部の構成〕
図8に示すように、制御部41は、前述のCPU12が制御プログラムを実行することにより実現される制御機能をブロックとして表したものである。この制御部41は、変換テーブル作成部411およびI/O制御部412を有している。
【0059】
〔1−4−9(a).変換テーブル作成部の構成〕
変換テーブル作成部411(点灯情報作成手段)は、フラッシュROM14から設定ファイルFLを読み出して、当該設定ファイルFLにおいて設定された、制御信号についてのセルCLおよび発光色の対応付けに基づいて変換テーブルTBLを作成する。具体的には、変換テーブル作成部411は、上記の対応付けにおける発光色を、前述のカラーコードを参照して当該発光色に対応するR,G,Bの各LED7の組み合わせと置き替える。これにより、変換テーブル作成部411は、制御信号に対応するセルCLにおいて点灯させるLEDを特定する変換テーブルTBL(点灯情報)を作成する。また、変換テーブル作成部411は、“1”の制御信号が入力されると、その制御信号に対応するセルCLにおけるLED7の点灯状態を出力し、“0”の制御信号が入力されると、その制御信号に対応するセルCLにおけるLED7の点灯状態を出力しないように変換テーブルTBLを構成する。
【0060】
変換テーブル作成部411は、このようにして作成した変換テーブルTBLをメモリ13に書き込む。
【0061】
〔1−4−9(b).I/O制御部の構成〕
I/O制御部412(通電制御手段)は、次のようにして、PLC31からの制御信号に基づき、変換テーブルTBLを参照して内部I/O15におけるトランジスタのON/OFFを制御する。具体的には、I/O制御部412は、PLC31から外部I/O18に入力される0番,1番,2番の制御信号の値をCPU12のレジスタに取り込む。また、I/O制御部412は、取り込んだ各制御信号の値を、入力値として変換テーブルTBLに与え、当該入力値に対応して出力されるLED7の点灯状態に基づくON/OFF制御信号を出力する。
【0062】
例えば、0番,1番,2番の制御信号がそれぞれ“1”,“0”,“0”である場合、図7(b)に示す変換テーブルTBLにおいて、0番の制御信号に対応するセルCL1〜CL4に対して点灯状態が出力される。一方、1番,2番の制御信号に対応するセルCL5〜CL8,セルCL9〜CL12に対して点灯状態が出力されない。この場合、I/O制御部412は、セルCL1〜CL4のRのLED7のみを点灯させるように、ON/OFF制御信号を内部I/O15に与える。
【0063】
〔1−4−9(c).制御部の実現形態〕
上記のように構成される制御部41を実現する制御プログラム(信号灯制御プログラム)のプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)は、予めCPU12におけるプログラム記憶領域などの所定の領域に記憶されている。あるいは、当該プログラムコードは、制御回路11がネットワークと通信可能に構成されていれば、ネットワークを介してダウンロードされてもよい。
【0064】
このネットワークとしては、インターネットやLANに限定されず、イントラネットやエキストラネットが利用可能である。また、ネットワークとして、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等も利用可能である。また、ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線でもよい。あるいは、当該伝送媒体としては、IrDAやリモコンのような赤外線であってもよい。また、無線の伝統媒体としては、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、衛星回線、地上波デジタル網等も利用可能である。
【0065】
ただし、このようにネットワークから制御プログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予め制御回路11に格納されるか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0066】
〔2.PCの構成〕
PC33は、汎用のパーソナルコンピュータであり、設定ファイルFLを作成する機能を有することができる。設定ファイルFLの作成機能は、アプリケーションプログラムとして提供され、PC33にインストールされることにより、PC33を信号灯制御用データ作成装置として動作させることができる。以下に、PC33の構成について詳細に説明する。
【0067】
図9に示すように、PC33は、設定ファイル作成部331と、メモリ332と、記憶装置333と、USBインターフェース(図中「USB I/F」にて示す)334と、メモリカードインターフェース(図中「メモリカードI/F」にて示す)335とを備えている。
【0068】
〔2−1.設定ファイル作成部の構成〕
設定ファイル作成部331(ユーザインターフェース提供手段)は、ユーザにより与えられる情報に基づいて、前述の制御信号にセルCLおよび発光色を対応付けて設定ファイルFLを作成する。設定ファイル作成部331は、ユーザによる情報の入力を支援するために、例えば、図10に示すような設定ファイル作成ウインドウ101をユーザインターフェースとして提供する。
【0069】
なお、ユーザインターフェースとしては、下記の設定ファイル作成ウインドウ101に限らず、他のユーザインターフェースを用いてもよい。
【0070】
〔2−1−1.設定ファイル作成ウインドウの構成〕
設定ファイル作成ウインドウ101は、設定マトリクス103を有している。
【0071】
設定マトリクス103は、各セルCL1〜CL12に対応する行と、各制御信号に対応する列とからなるマトリクス状の入力欄103aを有している。入力欄103aには、上記の行と列とが交差する部分に設定ボックス103bが設けられている。設定マトリクス103は、例えば、制御信号として、0番,1番,2番,3番,4番,5番の6つの制御信号に対する設定を可能にしているが、制御信号の数はこれに限定されない。
【0072】
なお、制御信号の数は、PLC31が出力可能な制御信号の最大数である。したがって、いずれの制御信号を用いるかはユーザによって任意に決定される。図10は、0番,1番,2番の制御信号を用いた例を示している。
【0073】
また、設定マトリクス103は、上記の各設定ボックス103bにセルCLの発光色を設定するように構成されている。具体的には、各設定ボックス103bは、予め規定されているセルCLの発光色(前述の8色)から1つが選択可能となるように、リストボックスにより構成されている。これにより、制御信号にセルCLおよび発光色を対応付けることができる。
【0074】
なお、図示はしないが、例えば、設定ファイル作成ウインドウ101に制御信号の何れかを指定するためのボタン等を用意しておいてもよい。これにより、ユーザに指定された制御信号に対してのみ、設定マトリクス103における設定を受け付けるようにすることができる。
【0075】
このように、設定ファイル作成ウインドウ101は、予め用意されている複数の制御信号のそれぞれに各セルCLおよび発光色を個々に対応付けて設定できるように構成されている。しかも、設定マトリクス103は、設定ファイルFLにおける対応付けをユーザに分かりやすく視覚化したものといえる。これにより、ユーザは、制御信号およびセルCLに対して容易に発光色を設定することができる。
【0076】
設定ファイル作成部331は、設定ファイルを保存する操作がユーザにより行われると、設定ファイル作成ウインドウ101によって設定された制御信号と発光色との対応付けを確定し、これらを含む設定ファイルFLを記憶装置333に保存する。さらに、設定ファイル作成部331は、必要に応じて、記憶装置333から読み出した設定ファイルFLを、USBインターフェース334を介して制御回路11に送信したり、メモリカードインターフェース335によりメモリカード32に書き込んだりする。
【0077】
〔2−1−2.設定ファイル作成部の実現形態〕
上記のように構成される設定ファイル作成部331は、前述のようにアプリケーションプログラム(信号灯制御用データ作成プログラム)がCPUに実行されることにより実現される。このアプリケーションプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)は、予め記憶装置333などの所定の領域に記憶されている。あるいは、当該プログラムコードは、PC33と分離可能に構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体にも記録可能である。当該プログラムコードは、その記録媒体からPC33にインストールされてもよい。
【0078】
上記の記録媒体としては、例えば、テープ系、ディスク系、半導体メモリ系の媒体を用いることができる。テープ系の媒体としては、磁気テープやカセットテープ等が用いられる。磁気ディスク系の媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクを含む。また、光ディスク系の媒体は、CD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital versatile disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含む。半導体メモリ系の媒体は、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系の媒体を含む。また、半導体メモリ系の媒体は、マスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等を含む。
【0079】
あるいは、当該プログラムコードは、PC33がネットワークと通信可能に構成されていれば、ネットワークを介してダウンロードされてもよい。このネットワークとしては、制御部41を実現する制御プログラムのプログラムコードをダウンロードするための前述の各種のネットワークが利用できる。
【0080】
〔3.信号灯の動作〕
続いて、上記のように構成される信号灯1の点灯動作について説明する。
【0081】
〔3−1.変換テーブルの作成〕
まず、メモリカード32またはPC33から読み込まれた設定ファイルFLが、制御回路11のフラッシュROM14に書き込まれる。この状態で、変換テーブル作成部411により、フラッシュROM14に記憶された設定ファイルFLに設定されている各情報を参照して、図7(b)に示すような変換テーブルTBLが作成される。この変換テーブルTBLは、変換テーブル作成部411によりメモリ13に書き込まれる。
【0082】
例えば、セルCL1〜CL4と、セルCL5〜CL8と、セルCL9〜CL12について、それぞれ、0番,1番,2番の制御信号と、「赤」,「黄」,「緑」の発光色との対応付けが設定ファイルFLで規定されているとする。この場合、図7(b)に示す変換テーブルTBLには、その対応付けに基づいて、制御信号に対する各セルCLにおけるLED7の点灯状態が規定される。
【0083】
〔3−2.外部I/Oの制御〕
PLC31から外部I/O18を介して制御回路11に制御信号が入力されると、I/O制御部412により、0番,1番,2番の制御信号の値がCPU12のレジスタに取り込まれる。この状態で、I/O制御部412により、メモリ13における変換テーブルTBLに“1”となる制御信号が入力されると、当該制御信号に対応するセルCLの点灯状態が変換テーブルTBLから出力される。すると、I/O制御部412により、点灯状態の出力対象となるセルCLにおいて、その点灯状態に応じたLED7が点灯するように、ON/OFF制御信号が内部I/O15に出力される。内部I/O15では、ON/OFF制御信号を受けて、点灯させるLED7に対応するトランジスタがONする。これにより、変換テーブルTBLにより制御信号と対応付けられたLED7が点灯する。
【0084】
〔3−3.セルの発光例〕
上記のように構成されて動作する信号灯1の発光例についていくつか説明する。
【0085】
〈発光例1〉
発光例1では、図7(a)に示す設定ファイルFLが用いられる。この設定ファイルFLでは、0番の制御信号にセルCL1〜CL4および発光色「赤」を対応付け、1番の制御信号にセルCL5〜CL8および発光色「黄」を対応付け、2番の制御信号にセルCL9〜CL12および発光色「緑」とを対応付けている。
【0086】
図7(b)に示す変換テーブルTBLは、上記の設定ファイルFLに基づいて作成されている。この変換テーブルTBLや後述する他の変換テーブルTBLでは、制御信号と点灯させるLED7の組み合わせとがセルCL毎に対応付けられている。したがって、このような変換テーブルTBLを用いることにより、図17(a)に示すように、セルCL1〜CL12を点灯させることができる。具体的には、0番の制御信号が“1”となるときにセルCL1〜CL4が「赤」で発光し、1番の制御信号が“1”となるときにセルCL5〜CL8が「黄」で発光し、2番の制御信号が“1”となるときにセルCL9〜CL12が「緑」で発光する。
【0087】
この発光例では、隣り合う複数のセルCLが4つずつまとまって同色で発光する。これにより、信号灯1を3層(3色)の信号灯として利用することができる。
〈発光例2〉
発光例2では、図11(a)に示す設定ファイルFLが用いられる。この設定ファイルFLでは、0番の制御信号にセルCL9〜CL12および発光色「赤」を対応付け、1番の制御信号にセルCL5〜CL8および発光色「黄」を対応付け、2番の制御信号にセルCL1〜CL4および発光色「緑」を対応付けている。
【0088】
図11(b)に示す変換テーブルTBLは、上記の設定ファイルFLに基づいて作成されている。このような変換テーブルTBLを用いることにより、図17(b)に示すように、セルCL1〜CL12を点灯させることができる。具体的には、0番の制御信号が“1”となるときにセルCL9〜CL12が「赤」で発光し、1番の制御信号が“1”となるときにセルCL5〜CL8が「黄」で発光し、2番の制御信号が“1”となるときにセルCL1〜CL4が「緑」で発光する。
【0089】
この発光例では、発光例1と同様に、信号灯1を3層(3色)の信号灯として利用することができる。ただし、この発光例では、同じ発光色を用いていても、セルCL1〜CL4およびセルCL9〜CL12の間で制御信号との対応付けが異なるため、発光色(色の位置)が発光例1と異なる。
〈発光例3〉
発光例3では、図12(a)に示す設定ファイルFLが用いられる。この設定ファイルFLでは、0番の制御信号にセルCL1〜CL4および発光色「緑」を対応付け、1番の制御信号にセルCL5〜CL8および発光色「黄」を対応付け、2番の制御信号にセルCL9〜CL12および発光色「赤」を対応付けている。
【0090】
図12(b)に示す変換テーブルTBLは、上記の設定ファイルFLに基づいて作成されている。このような変換テーブルTBLを用いることにより、図17(c)に示すように、セルCL1〜CL12を点灯させることができる。具体的には、0番の制御信号が“1”となるときにセルCL1〜CL4が「緑」で発光し、1番の制御信号が“1”となるときにセルCL5〜CL8が「黄」で発光し、2番の制御信号が“1”となるときにセルCL9〜CL12が「赤」で発光する。
【0091】
この発光例では、発光例2と同様の発光パターンでセルCL1〜C12が発光するが、セルCL1〜CL4およびセルCL9〜CL12の間で制御信号との対応付けが発光例2と異なる。また、この発光例では、セルCL1〜CL4およびセルCL9〜CL12の間で制御信号との対応付けが発光例1と同じであるが、制御信号と対応付けられた発光色が発光例1と異なる。
〈発光例4〉
発光例4では、図13(a)に示す設定ファイルFLが用いられる。この設定ファイルFLでは、0番の制御信号にセルCL1〜CL4および発光色「青」を対応付け、1番の制御信号にセルCL5〜CL8および発光色「白」を対応付け、2番の制御信号にセルCL9〜CL12および発光色「紫」を対応付けている。
【0092】
図13(b)に示す変換テーブルTBLは、上記の設定ファイルFLに基づいて作成されている。このような変換テーブルTBLを用いることにより、図17(d)に示すように、セルCL1〜CL12を点灯させることができる。具体的には、0番の制御信号が“1”となるときにセルCL1〜CL4が「青」で発光し、1番の制御信号が“1”となるときにセルCL5〜CL8が「白」で発光し、2番の制御信号が“1”となるときにセルCL9〜CL12が「紫」で発光する。
【0093】
この発光例では、発光例1と同様に、信号灯1を3層(3色)の信号灯として利用することができる。ただし、この発光例では、各層を構成するセルCLに同じ制御信号が対応付けられていても、使用する発光色が発光例1と異なる。
〈発光例5〉
発光例5では、図14(a)に示す設定ファイルFLが用いられる。この設定ファイルFLでは、0番の制御信号にセルCL1,CL4,CL7,CL10および発光色「赤」を対応付け、1番の制御信号にセルCL2,CL5,CL8,CL11および発光色「黄」を対応付け、2番の制御信号にセルCL3,CL6,CL9,CL12および発光色「緑」を対応付けている。
【0094】
図14(b)に示す変換テーブルTBLは、上記の設定ファイルFLに基づいて作成されている。このような変換テーブルTBLを用いることにより、図17(e)に示すように、セルCL1〜CL12を点灯させることができる。具体的には、0番の制御信号が“1”となるときにセルCL1,CL4,CL7,CL10が「赤」で発光し、1番の制御信号が“1”となるときにセルCL2,CL5,CL8,CL11が「黄」で発光し、2番の制御信号が“1”となるときにセルCL3,CL6,CL9,CL12が「緑」で発光する。
【0095】
この発光例では、発光例1〜4と異なり、隣り合うセルCLが互いに異なる色で発光する。
〈発光例6〉
発光例6では、図15(a)に示す設定ファイルFLが用いられる。この設定ファイルFLでは、0番の制御信号にセルCL1〜CL3および発光色「赤」を対応付け、1番の制御信号にセルCL4〜CL6および発光色「黄」を対応付け、2番の制御信号にセルCL7〜CL9および発光色「緑」を対応付け、3番の制御信号にセルCL10〜CL12および発光色「青」を対応付けている。
【0096】
図15(b)に示す変換テーブルTBLは、上記の設定ファイルFLに基づいて作成されている。このような変換テーブルTBLを用いることにより、図17(f)に示すように、セルCL1〜CL12を点灯させることができる。具体的には、0番〜3番の制御信号が“1”となるときに、それぞれ、セルCL1〜CL3が「赤」で発光し、セルCL4〜CL6が「黄」で発光し、セルCL7〜CL9が「緑」で発光し、セルCL10〜CL12が「青」で発光する。
【0097】
この発光例では、発光例1〜5と異なり、4つの制御信号を用いることにより、4色で発光させている。
〈発光例7〉
発光例7では、図16(a)に示す設定ファイルFLが用いられる。この設定ファイルFLでは、0番の制御信号にセルCL1,CL2および発光色「赤」を対応付け、1番の制御信号にセルCL3,CL4および発光色「黄」を対応付け、2番の制御信号にセルCL5,CL6および発光色「緑」を対応付けている。また、この設定ファイルFLでは、3番の制御信号にセルCL7,CL8および発光色「青」を対応付け、4番の制御信号にセルCL9,CL10および発光色「白」を対応付け、5番の制御信号にセルCL11,CL12および発光色「紫」を対応付けている。
【0098】
図16(b)に示す変換テーブルTBLは、上記の設定ファイルFLに基づいて作成されている。このような変換テーブルTBLを用いることにより、図17(g)に示すように、セルCL1〜CL12を点灯させることができる。具体的には、0番〜2番の制御信号が“1”となるときに、それぞれ、セルCL1,CL2が「赤」で発光し、セルCL3,CL4が「黄」で発光し、セルCL5,CL6が「緑」で発光する。また、3番〜5番の制御信号が“1”となるときに、それぞれ、セルCL7,CL8が「青」で発光し、セルCL9,CL10が「白」で発光し、セルCL11,CL12が「紫」で発光する。
【0099】
この発光例では、発光例1〜6と異なり、6つの制御信号を用いることにより、6色で発光させている。
【0100】
〔4.実施形態の総括〕
本実施形態に係る信号灯1は、上記のように構成されて動作することにより、下記のように特筆すべき効果を奏する。
【0101】
〔4−1.信号灯の制御〕
信号灯1は、制御部41により、設定ファイルFLに規定された情報に基づいて作成した変換テーブルTBLの対応付けにしたがって、各セルCLにおいて点灯させるLED7を入力される制御信号に応じて特定し、特定したLED7を点灯させる。これにより、設定ファイルFLを用いて、制御信号にセルCLおよび発光色を任意に対応付けて、信号灯1の発光パターンを所望に設定することができる。
【0102】
それゆえ、1つの信号灯1において図17(a)〜(g)に示すように様々な発光パターンで各セルCLを発光させることができる。
【0103】
〈発光色の位置の変更〉
これにより、同じ制御信号を用いていても、同じ発光色で発光するセルCL(発光色の位置)を異ならせることができる。これは、制御信号に対応付けるセルCLと発光色とを任意に選択することにより各種の発光パターンが得られることによる。例えば、図17(a),(c)に示す発光パターンは、ともに制御信号が同じであるが、この制御信号に対応付けられるセルCLが同じである一方、この制御信号に対応付けられる発光色が一部で異なる。このため、図17(a),(c)に示す発光パターンセルにおけるセルCL1〜CL4およびセルCL9〜CL12のように、同じ0番,2番の制御信号に対して、「赤」と「緑」とが入れ替わっており、それぞれ発光色の位置が異なる。
【0104】
〈発光色の変更〉
同じ制御信号に対して発光色を異ならせる場合も、同様のことがいえる。例えば、図17(a),(d)に示す発光パターンは、ともに制御信号が同じであるが、この制御信号に対応付けられるセルCLが同じである一方、この制御信号に対応付けられる発光色が全て異なる。このため、図17(a),(d)に示す発光パターンのように、同じ0番〜2番の制御信号に対して、各セルCL1〜CL12の発光色が全く異なる。
【0105】
〈制御信号の対応付けの変更〉
同じ制御信号を用いていても、同じ発光色で発光するセルCL(発光色の位置)を変えずに、制御信号に対するセルCLの対応付けを異ならせることもできる。例えば、図17(b),(c)に示す発光パターンは同じであるが、この制御信号に対応付けられるセルCLおよび発光色が一部で異なる。このため、例えば、0番の制御信号により、図17(b)に示す発光パターンではセルCL9〜CL12が「赤」で発光する一方、図17(c)に示す発光パターンではセルCL1〜CL4が「緑」で発光する。したがって、異なる制御信号を用いても、同じセルCLを同じ発光色で発光させることができる。
【0106】
〈制御信号の変更〉
制御信号を異ならせても、その制御信号に応じた発光パターンを得ることができる。例えば、図17(a),(f)に示す発光パターンは、制御信号の数が異なっている。図17(a)に示す発光パターンでは、3つの制御信号を用いて「赤」,「黄」,「緑」を発光させている。これに対し、図17(f)に示す発光パターンでは、さらに3番の制御信号に基づいてセルCL10〜CL12に「青」を発光させることにより、4色で発光させることができる。また、図17(g)に示す発光パターンでは、6つの制御信号を用いることにより、さらに「白」,「紫」を発光させて、6色の発光を可能としている。
【0107】
これにより、装置34によって製造される製品に応じて信号灯1の発光色の数を変更する必要が生じた場合、制御信号を変更し、それに合わせて設定ファイルFLを変更することにより、利用可能な制御信号の数の範囲で所望の発光数に変更することができる。例えば、図17(a)に示すように3つの発光色を発光させていた状態から、制御信号を変更することにより、図17(f)に示すように発光色を4色に増加させたり、図17(g)に示すように発光色を6色に増加させたりすることができる。
【0108】
〔4−2.信号灯の構造〕
特許文献1に記載された複数のユニットを組み合わせて信号灯を構成する場合、各ユニットを機構的および電気的に接続する構造が必要となる。このような接続構造は、機構的な精度が要求されるだけでなく、装置の振動などの環境による影響や経年変化により、接続機構の緩みだけでなく、電気接点の接続不良や融着も生じやすいという不都合がある。
【0109】
これに対し、信号灯1は、グローブ2が遮光板23により所定の間隔で区画されることでセルCLが形成され、各セルCLには同一構成のLED7が配置されている。また、グローブ2が一体に形成され、LED7が各セルCL内に位置するように単一のLED基板4に実装されている。このような構造により、上記の複数のユニットを接続する信号灯のように、ユニット間の構造的および電気的な接続構造を必要とすることがない。したがって、信号灯1を容易に製造することができる。
【0110】
しかも、上記のようにセルCLの発光パターンを任意に変更することができる。これにより、単一構成の信号灯1により、多数の発光パターンで発光することが可能となる。したがって、固定的な発光パターンを有する構成の信号灯を製作して在庫として保持しておく必要がない。
【0111】
また、各セルCLを比較的薄く形成することにより、信号灯1の全長を抑えることができるだけでなく、複数のセルCLでグループを形成した場合でも、グループの長さを抑えることができる。
【0112】
〔4−3.設定ファイル作成〕
PC33は、設定ファイル作成部331を備えることにより、所望の設定ファイルをユーザにより作成することができる。これにより、PC33からUSBケーブルを介して直接設定ファイルを信号灯1に転送したり、メモリカード32を介して信号灯1に読み込んだりすることができる。
【0113】
〔5.付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の信号灯制御装置は、異なる点灯色のLEDを各層で有する積層型の信号灯に対して、設定された各層の分割数および発光パターンで発光するように各層のLEDの点灯を制御する。これにより、本発明の信号灯制御装置は、単一のハードウェア構成を有する信号灯に、発光形態を自由に変更できる機能を追加することに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0115】
1 信号灯
2 グローブ
4 LED基板
6 プリント配線基板
7 LED
8 LED
11 制御回路(信号灯制御装置)
12 CPU
13 メモリ
14 フラッシュROM(記憶手段)
15 内部I/O(通電手段)
16 メモリカードインターフェース
17 USB−UARTコンバータ
18 外部I/O
31 PLC
32 メモリカード
33 PC
41 制御部
101 設定ファイル作成ウインドウ(ユーザインターフェース)
103 設定マトリクス
331 設定ファイル作成部(ユーザインターフェース提供手段)
334 USBインターフェース
335 メモリカードインターフェース
411 変換テーブル作成部(点灯情報作成手段)
412 I/O制御部(通電制御手段)
CL セル(発光層)
FL 設定ファイル(設定情報)
TBL 変換テーブル(点灯情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる点灯色のLEDを複数有し、点灯する前記LEDの組み合わせによって定まる発光色で発光する発光層が複数積層されてなる信号灯における前記LEDの点灯を制御する信号灯制御装置であって、
前記LEDを通電する通電手段と、
前記発光層を発光させるために外部から与えられる複数の制御信号のそれぞれに前記発光層および前記発光色を個々に対応付けた設定情報を記憶する記憶手段と、
前記設定情報における前記発光色を当該発光色に対応する前記組み合わせと置き替えることにより、前記制御信号に対応する前記発光層において点灯させる前記LEDを特定する点灯情報を作成する点灯情報作成手段と、
前記点灯情報に基づいて、入力される前記制御信号に対応する点灯すべき前記LEDを通電するように前記通電手段を制御する通電制御手段とを備えていることを特徴とする信号灯制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号灯制御装置における前記点灯情報作成手段および前記通電制御手段としてコンピュータを機能させるための信号灯制御プログラム。
【請求項3】
請求項1に記載の信号灯制御装置で用いられる前記設定情報を作成する信号灯制御用データ作成装置であって、
複数の前記制御信号のそれぞれに前記発光層および前記発光色を個々に対応付けるユーザインターフェースを提供するユーザインターフェース提供手段を備えていることを特徴とする信号灯制御用データ作成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の信号灯制御用データ作成装置における前記ユーザインターフェース提供手段としてコンピュータを機能させるための信号灯制御用データ作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−221793(P2012−221793A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87334(P2011−87334)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】