説明

信号発生装置

【目的】 機械プレスのクランク軸の回転角度を検出するときなどに用いられる検出装置をフェイルセ−フな検出信号で検出できるようにする。
【構成】 被検出体の駆動に対応して移動する遮蔽手段と、その遮蔽手段の移動にともなって発射された光線が透過または遮蔽される位置関係を有して設けられ、その信号の透過時には2値化信号の「1」の出力ありを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「0」の出力なしを出力する透過型検出器と、前記遮蔽板との位置関係を前記透過型検出手段と同じくし、前記信号の透過時には2値化信号の「0」の出力なしを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「1」の出力ありを出力する反射型検出器とを有し、両検出器の双対信号によりフェイルセ−フな検出信号を得る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセンサを用いた信号発生装置に係り、特にフェイルセ−フな検出信号を得ることのできるものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、機械プレスのストロ−ク制御用信号としては、図5に示されるように、機械プレスのクランクシャフト又はそのクランクシャフトの回転と連動する回転軸1に複数(図5の例では2個)のロ−タリカムスイッチ10a,10bを設けて構成されている。すなわち、ロ−タリスイッチ10a,10bは、同一形状のカム11,11を回転軸1に対して取付角度を異ならせて固定されていると共に、そのカム11,11にレバ−12の先端にロ−ラ13を備えたマイクロスイッチ(図示せず)をそれぞれ対設させて構成されている。
【0003】したがって、回転軸1が回転するとそれに伴って各カム11,11も回転し、その回転角度に応じてレバ−12が上下動してマイクロスイッチをON・OFFすることができる。そして、どのマイクロスイッチがON又はOFFしたかによって、回転軸1の回転角度を検出することができる。
【0004】なお、ロ−タリスイッチ10a,10bは、図5に示される2個以外に、さらに増加すれば、その分だけ検出する回転角度の巾を小さくすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のマイクロスイッチを用いた信号発生装置は、マイクロスイッチの接点溶着等により故障したときには、正確な検出信号が得られなくなって、機械プレス等の機器本体の制御に不都合が生じることがあった。
【0006】さらに、近年、機械プレスや工業用ロボット等の産業用機械においても、フェイルセ−フな検出信号により、機器本体を安全側に導くようにすることが要望されるようになってきている。
【0007】このような要望に応えるために、上述のロ−タリマイクロスイッチの検出信号を基に、図6に示すような否定演算回路を用いてもフェイルセ−フな検出信号とすることはできない。
【0008】図6を用いてさらに説明すると、A1 は非反転増幅器、A2 は反転増幅器及びVccは電源であって、x1,y1,y2 は2値化信号でHレベルを論理値「1」,Lレベルを論理値「0」とする。
【0009】この場合、出力信号y1 及びy2 がフェイルセ−フであるためには、回路が故障したときに出力y1 =1、あるいはy2 =1に誤らないということである。
【0010】ここで、入力信号xがx=1には誤らない信号であるとすれば、非反転増幅器A1 が故障で出力y1 =1の誤り出力を生じなければ、すなわち、非反転増幅器A1 がフェイルセ−フ構成であれば、y1 =1の誤りは生じない。
【0011】しかし、反転増幅器A2 の出力信号y2 は、たとえ増幅器A2 をフェイルセ−フに構成したとしても、すなわち出力y2 =1に誤らない構成としたとしても、非反転増幅器A1 が故障してy1=0を生じたとき、出力y2 はy2 =1に誤ってしまう。このため、フェイルセ−フな信号処理には本質的に否定演算を含めることができない。
【0012】出力信号y2 に相当する信号、すなわち入力信号xの否定信号を得るには、直接x=0の信号をx=0には誤らない信号の抽出手段を用いて抽出するより外にない。図7はこのような抽出手段を実現するための回路図である。
【0013】すなわち、図7は、入力信号xを否定を含まない抽出手段(非反転増幅器)A1 を用いて抽出すると同時に、別の否定を含まない抽出手段A′1 を用いて入力信号xの否定信号y2 =バ−x(記号バ−は否定演算を表す。)を抽出し、出力信号y1 =xとy1 の否定信号y2 =バ−xを抽出する2線系手段を意味し、y1 ,y2 は双対信号である。
【0014】そこで、本発明は、上述の図7に示す抽出手段に好適な信号発生装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明装置は、上記目的を達成するために、被検出体の駆動に対応して移動する遮蔽手段と、その遮蔽手段の移動にともなって発射された信号が透過または遮蔽される位置関係を有して設けられ、その信号の透過時には2値化信号の「1」の出力ありを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「0」の出力なしを出力する透過型検出手段と、前記遮蔽板との位置関係を前記透過型検出手段と同じくし、前記信号の透過時には2値化信号の「0」の出力なしを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「1」の出力ありを出力する反射型検出手段とを有することを特徴としている。また、前記発射される信号は光線であって、前記透過型検出手段及び前記反射型検出手段は光電素子からなることを特徴としている。
【0016】
【作用】上記構成において、透過型検出手段は、信号の透過時には2値化信号に「1」の出力ありを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「0」の出力なしを出力する。そして、透過時には、「0」に誤ることがあっても「1」に誤ることはない。また、反射型検出手段は、信号の透過時には2値化信号の「0」の出力なしを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「1」の出力ありを出力する。そして、遮蔽時には、「0」に誤るとことがあっても「1」に誤ることはない。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は第1の実施例装置の斜視図であって、回転軸1は上記図4と同様に、機械プレス等の被検出体(図示せず)の駆動に対応して時計方向に回転するように構成されている。
【0018】回転軸1には、円周の一部に切欠部2aを有する円板からなる光線を透過させないが、照射された光線を反射させることのできる遮光板(本発明の遮蔽手段に該当する)2が固定されている。したがって、回転軸1が回転されるとそれに伴って遮光板2も回転することができる。
【0019】遮光板2を中間に位置させ、かつ、切欠部2aに対向する位置には、発光素子3a及び受光素子3bからなる透過型光電素子(本発明の透過型検出手段に該当する)3が図示しないフレ−ムに設けられているとともに、受光素子3bの上方で、かつ切欠部2aに対向する位置には、発光素子4aとその発光素子4aから発射された光線が遮光板2に反射したときの光を受光する位置に設けられた受光素子4bからなる反射型光電素子(本発明の反射型検出手段に該当する)4が設けられている。
【0020】上述の実施例装置においての検出動作を図2R>2のタイムチャ−トを参照しながら説明する。回転軸1が回転して遮光板2の切欠部2aが透過型光電素子3に位置すると、発光素子3aからの光線は受光素子3bに受光される。そして、受光素子3bの出力は、それまでの出力「0」から「1」に変化する。
【0021】他方、反射型光電素子4において、発光素子4aからの光線を遮光板2に反射させて受光していた受光素子4bの出力は、それまでの「1」から「0」に変化する。したがって、透過型光電素子3と反射型光電素子4の出力は、上述の図7の入力信号のxとバ−xの関係となり、出力信号y1 とその否定信号y2 を抽出することのできる2光線系抽出手段を実現することができ、フェイルセ−フな信号発生装置になる。
【0022】次に、両光電素子3,4の誤り状態についての具体例に就いて考察すると、先ず、透過型光電素子3が切欠部2aに位置して透過状態にあるときは、発光素子3aが消灯の故障か遮光板2以外の障害物により受光素子3bの出力信号が「1」から「0」に誤るが、「1」に誤るという事態はない。
【0023】他方、反射型光電素子4の遮光状態においては、発光素子4aが消灯の故障又は遮光板2と受光素子4b間に障害物が存在して、受光素子4bの出力が「1」から「0」に誤るが「1」に誤るという事態はない。したがって、両光電素子3,4の出力の双対信号からフェイルセ−フな検出信号を得ることが可能となる。
【0024】図3は、反射型光電素子4の発光素子4aを透過型光電素子3の発光素子3aと兼用させて、装置をより簡単にした例である。
【0025】図4は、被検出体の駆動が左右方向に移動される場合であって、シャフト1′は被検出体の駆動に対応して左右方向に移動し、そのシャフト1′の先端に設けられた遮光板2′がそのシャフト1′に伴って移動する。このように、本発明装置は、被検出体は回転する場合だけでなく、左右方向に移動する場合の位置検出にも応用することができる。
【0026】なお、上述の実施例では、透過型光電素子3と反射型光電素子4とをそれぞれ1個ずつ設けた例を示したが、遮光板2,2′に沿って複数設けることによって、検出巾を小さくすることができる。
【0027】また、透過型検出手段及び反射型検出手段は、光電素子の代わりに超音波素子を用いるようにしてもよい。この場合、遮蔽手段は光線の反射を考慮する必要がない。しかし、上述の実施例のように光電素子で実施したときは構造が簡単になる利益がある。
【0028】
【発明の効果】本発明装置は、被検出体の駆動に対応して移動する遮蔽手段と、その遮蔽手段の移動にともなって発射された信号が透過または遮蔽される位置関係を有して設けられ、その信号の透過時には2値化信号の「1」の出力ありを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「0」の出力なしを出力する透過型検出手段と、前記遮蔽板との位置関係を前記透過型検出手段と同じくし、前記信号の透過時には2値化信号の「0」の出力なしを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「1」の出力ありを出力する反射型検出手段とからなるので、双対信号によりフェイルセ−フな検出信号を得ることができる。また、透過型検出手段及び反射型検出手段を光電素子で構成したときは、簡単な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例装置の斜視図である。
【図2】検出動作を示すタイムチャ−トである。
【図3】本発明の第2の実施例装置の斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施例装置の斜視図である。
【図5】従来装置の斜視図である。
【図6】フェイルセ−フ回路の説明図である。
【図7】フェイルセ−フ回路の説明図である。
【符号の説明】
2,2′ 遮光板(遮蔽手段)
3 透過型光電素子(透過型検出手段)
4 反射型光電素子(反射型検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検出体の駆動に対応して移動する遮蔽手段と、前記遮蔽手段の移動にともなって発射された信号が透過または遮蔽される位置関係を有して設けられ、その信号の透過時には2値化信号の「1」の出力ありを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「0」の出力なしを出力する透過型検出手段と、前記遮蔽板との位置関係を前記透過型検出手段と同じくし、前記信号の透過時には2値化信号の「0」の出力なしを出力し、その信号の遮蔽時には2値化信号の「1」の出力ありを出力する反射型検出手段と、を有することを特徴とする信号発生装置。
【請求項2】 発射される信号は光線であって、透過型検出手段及び反射型検出手段は光電素子からなることを特徴とする請求項1記載の信号発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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