説明

信号結合及び直流阻止のための方法及びシステム

他の電子部品と組み合わされた複数の対称2重層キャパシタを用いることで、電子機器の1の段から他の段に、外部世界からそのような段に、又は、そのような段から外部世界に、低周波信号を結合させるための回路構成の方法及びクラス。キャパシタはエネルギーの貯蔵ではなく、直流電流を阻止しつつ信号の伝送に用いられる。より在来的なキャパシタの代わりに2重層キャパシタを用いることで、非常に少ない歪みをもって非常に広い範囲の信号の伝送が可能になる。この技術は、在来的な部品が使用されたときに起こり得る許容できないレベルの歪みが生じうるところ、単一の部品の故障の場合の安全のために冗長デバイスが必要とされる生体電子刺激を含む医療装置での使用に特に適合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号結合方法及び回路構成のクラスに関する。特に、本発明は、従来の結合回路における従来のフィルムタイプ又はセラミックスモノリシック結合キャパシタを対称型カーボン2重層キャパシタにより置換した信号結合の方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタの現象は数世紀に渡って知られている。最も古い電気貯留装置であるライデンビンは単純なキャパシタであった。
【0003】
最も単純な概念の形態では、図1に示されるキャパシタ10は、電気的非伝導の空間14を間に挟んで平行に置かれた2つの導電プレート12a,12bとして考えられる。各プレートの面積16がSでそれらの距離18がdであり、dがSの平方根より十分小さければ、キャパシタ10の静電容量値Cは、Cを印加された電圧当たりに蓄えられるクーロンに等しいファラドの単位とし、εを空間14を埋める何らかの材料の誘電率として、C=εS/dで表される。空の空間(又は殆どすべてのガス)については、誘電率は、ε=8.849×10−12ファラド/mである。他の物質については、εは、εを物質の無次元量としてεとεの積で表現される。εは典型的には、テフロン(登録商標)などの過フッ素化炭化水素での約2から、殆どのプラスチックや鉱物に典型的な3〜6の値、酸化アルミの8.8、酸化タンタルの30、蒸留水の80を経て、特別に処理されたチタン酸バリウムの1200にまで多岐に渡る。
【0004】
キャパシタ10と外界との電気的通信は、図1aに示されるプレート12a,12bにそれぞれ接続された2つの導体20a,20bを介して行われる。その結果、電気概略図では、2つのプレート、その間の空間及び外に繋がる導体を示す図1bの符号22で表される。殆ど常に、実際のキャパシタは、これらに加えて、図1aの破線24で示されるような不要な電流の流れ又は漏れを防ぐための外部絶縁ジャケット又は被覆を含む。
【0005】
上記の等式から判るように、静電容量はSの増大、eの増大又はdの減少により増大する。図2aの30で示されるプレート間に空の空間(又はより実際的には、空気)を用いた初期のキャパシタは数ピコファラド(10−12ファラド)から数百ピコファラドの極めて小さい値のCを有していた。このようなキャパシタは、非常に高い周波数や数千ボルトの電圧では有用だが、他の現代の低電圧電子機器では用途は殆ど見いだせない。
【0006】
図2bに示される次の世代のキャパシタは、マイカ、ワックスを掛けた紙又はプラスチックの薄い(典型的には、約10−4メートル)フィルム32でより近い間隔で隔てられた導電プレートを使用した。典型的にはこのプレートは金属フォイルから成り、フィルムとフォイルは小型化のために一緒にロール状に巻かれた。結果としてのSの増大、dの減少及びεの増大が組み合わさって、通常は数百ボルトの低い動作電圧ではあるが、実用値を2〜3桁大きい大きさに、約1ナノファラド(10−9ファラド)から数百ファラドにした。
【0007】
その殆どが特別に処理されたチタン酸バリウムに基づくが、強誘電体セラミックスの開発がモノリシックと呼ばれるキャパシタの更なる世代を可能にした。このような「チップ」キャパシタは、図2cに示されるように、セラミックス34の薄い(約10−4メートル)層とパラジウムなどの金属を交番させて単一のセラミックス片に焼成することで作られる。実際のデバイスは小さいが、これらはフィルムキャパシタよりも製造が容易ではるかに丈夫である。典型的には約1200であるセラミックス34の極めて高いε値は必要な低減されたSを相殺し、典型的には10〜30ボルトの動作電圧で1ナノファラドから約1マイクロファラド(10−6ファラド)の実際値を達成する。強誘電体セラミックスはディスクキャパシタで使用することも可能であり、その場合は上記の例の物質32がセラミックスで置換され、より小さい静電容量を達成するが、より高い電圧で動作が可能である。
【0008】
大きいSと非常に小さいdによる小体積で大きい静電容量を許容する更なる発展は、図2dに示される電解質キャパシタであった。この場合、少なくとも1のプレートがアルミやタンタルなどの金属で形成され、表面積を最大化するためにエッチングされ、或いは他の方法で処理され、その後、電解質36と接触して配置される。制御された電流及び電圧を印加することで、表面に薄い(10−6メートル程度)酸化物38の層が成長して誘電体を形成する。εが適度に高く(強誘電体セラミックスほど高くはないが)、dは機械的に作られる構造で可能な厚みよりも薄いため、1マイクロファラド(10−6ファラド)から数千マイクロファラドの容量値が数ボルトから数百ボルトの範囲の動作電圧で容易に達成できる。
【0009】
電解質キャパシタの開発は比較的大きい容量値を経済的に可能にすることで電子機器を急激に変革した。しかし、電解質は、これらが本来的に1方向性又は極性である欠点がある。これは、製造プロセスと、金属及び電解質の化学的性質の結果である。印加電圧が最初に酸化層を形成するために使用したのと同じ極性を有する限り、キャパシタは意図した通りに機能する。しかし、電圧を逆にすると、酸化層が破壊してキャパシタは極端に漏れやすくなり、本質的な短絡を生じる。このことは電解質キャパシタの使用に特別の注意を要求し、その有用性を印加電圧が常に同じ正しい極性である電力貯蔵などの用途に限定する。
【0010】
一方だけでなく、図2eに示されるように電解質キャパシタ40の両方のプレートを処理することで概ね対称な特性のデバイスを生成できることは指摘の価値がある。このような対称な電解質キャパシタは、フィルターや画像イコライザーなどの例えば低インピーダンスオーディオ用途での信号処理に使用される場合がある。しかし、製造の複雑さの増大及びその結果の高い相対コストのために、対称電解質キャパシタ40は、多くの場合、他に使用できるものが無いときの最後の手段である。より通常の手法は、単純に2つの同じ値の通常の極性電解質キャパシタを背中合わせに直列に配置することである。各キャパシタを通るその逆方向のリークはこれらの共通点を更なるバイアスを防ぐに十分に高い電圧に充電し、この1対は、その後、各要素の半分の定格値を有する単一の対称キャパシタとほぼ同様に機能する。
【0011】
キャパシタの最も新しい発展であり、以下に述べる発明の一部を成すものは、いわゆる「ウルトラキャパシタ」、「スーパーキャパシタ」、「2重層」又は「電気科学」(「EC」)キャパシタである。これは、図2eの電解質キャパシタに広く類似するが、その「誘電性」のために、金属酸化物の代わりに、カーボンなどの半導体と他の物質の間の任意の接合に生じる表面障壁電位に依存する。図2fに示されるように、第2の物質が電解質36の場合、この障壁は、1つの層がカーボン42中の可動電子により形成され、他の層が電解質36中の可動イオンにより形成されるいわゆる「2重層」の自発的形成により生じる。この2重層に印加された電圧は反対電荷を引き離して誘電体を形成する薄い空乏ゾーンを生成する。
【0012】
この2重層は非常に薄く、しばしば1ナノメーター(10−9メーター)未満であり、活性炭又はカーボンアエロゲルの本体の表面積は非常に大きいため、この種のデバイスの実際の容量値は、約0.05ファラド(50,000マイクロファラド)の最小値から数ファラドまでの範囲となる。この同じ厚さから欠点が生じ、このタイプの単一のキャパシタは、その構成と誘電体を形成する液体に依存して、2又は3ボルト以下の最大動作電圧に限定される。より高い電圧の為には、複数のユニットが直列に接続される必要がある。
【0013】
初期の2重層キャパシタでは、多孔質カーボン42のボディがただ1つだけ使用され、カーボンの背面の金属プレートを通してこれに1本のワイヤーが接続され、金属への他方のワイヤーは、電解質に直接接触する特別に処理されたニッケル44で引かれていた。図2fに示されるこのようなデバイスは、(図2eに示される)電解質キャパシタと同様の特性を有し、1つの極性でだけ動作し、電圧が誤った方向に印加されると損傷又は破壊を生じ易い。そのニッケル含有量44は値段を高価にし、起こりうる毒の放出により廃棄における特別の取扱が必要となる。
【0014】
しかし、20世紀に入ってから、技術の進歩により、一方だけでなく対称2重層キャパシタの両方のプレートにカーボンをつけることが簡単でより安価となった。このようなキャパシタが図2gに示されている。結果としてのキャパシタは、大量生産に適し、価格は急速に低下している。セル当たりの動作電圧は典型的には2〜3ボルトであり、図2hに示すように2以上のセルを直列の積層48に接続することでより高電圧が達成し得る。印刷回路基板への搭載に適したユニットが現在では1つ約1.00ドルの低い価格で商業的に入手可能である。そのようなデバイスの1つがいずれも定格が5.5ボルトの0.047,0.1,0.22,0.33,1.0ファラドを含むELNAの「Dynacap」DXシリーズである。
【0015】
しかし、この新しいカーボン−カーボン2重層キャパシタ48の対称の特性がエネルギー貯蔵用途を遙かに超える用途を可能にすることは一般には認識されていない。考えられる原因は、前の世代の電解質キャパシタなどの高い値のキャパシタは殆どもっぱら1方向性であり、極性の反転で容易に損傷することである。電気2重層はカーボン−電解質の接合で可能になるため、そのような損傷を受けない。それが何らかの方法で破壊されると、ほとんど瞬間的に再形成される。多孔質カーボンで被覆された2つのプレートを有する現代の対称2重層キャパシタ48では、1の極性では、1のプレートがアクティブとなって高い静電容量を提供する一方、他方が実質的に短絡として作用し、逆の極性ではこれらの役割が逆転する。
【0016】
例えば、図3は、指示された「正方向」及び指示された「逆方向」の両方において典型的なELNA DX-5R5V473「Dynacap」(0.047ファラド、5.5ボルト)キャパシタ48について測定された自己放電曲線を示す。それぞれのケースにおいて、キャパシタ48は、接続された電圧計の読みが図3aの線60で示されるDynacapの定格最大動作電圧5.5Vよりも十分高い8.50Vになるまで、9ボルトアルカリラジオ電池から100オームの抵抗を通して充電された。その後、電池の接続は切られた。キャパシタの電圧は間隔を大きくしつつ測定され、時間の対数に対してプロットされた。図3aに示すように、スムーズな曲線62、64が公称の「正方向」及び「逆方向」のデータ点のそれぞれにフィットされた。
【0017】
連続するデータ点間の電圧変化から次の関係
ikg=CΔV/Δt=0.047ΔV/Δt
に従って内部リーク電流が特定され、電圧の関数として対数的にプロットされた。図3bに見られるように、リークは(定格電流の線60よりも高い)ポイント70の近くの比較的高い値から、定格電圧での約40マイクロアンペアまで低下し、その後、4〜5ボルトの範囲での約20マイクロアンペアで(ポイント72の近くで)高原状に至る。4ボルト未満では、リーク電流は再びより低い値に(ポイント74の辺りで)低下する。「正方向」でのリーク値75と「逆方向」での値78の間で違いは有るが、この違いは、定格動作電流範囲を横切る2つの要因よりは決して大きくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開WO2007/041115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
キャパシタの典型的な用途の1つは容量結合である。特に、容量結合は、回路要素間の静電容量を用いた1の回路要素から他の回路要素への電気エネルギーの移送である。容量結合は、典型的には、結合されるべき信号に直列にキャパシタを配置することで行われる。このようなキャパシタはカップリングキャパシタと呼び得る。カップリングキャパシタは、直流電流(DC)を阻止しつつ、第1の回路からの交流電流(AC)信号のみが次の回路に通過するように2つの回路を接続するために使用される。この技術はそれぞれの回路が相互接続されるときに、それぞれの回路のDCバイアス設定が変化することを防ぐために使用し得る。このように、容量結合はAC結合としても知られる。
【0020】
カップリングキャパシタは、DC阻止キャパシタとしても知られ得る。各カップリングキャパシタは、次段の入力インピーダンスとともにハイパスフィルタを形成し、連続するフィルタはフィルタの累積の結果を生じるため、容量結合は容量的に結合されるユニットを含むシステムの低周波性能を悪化させる欠点を有する。このように、適切な低周波応答のためには、カップリングキャパシタは、(対象となる最も低い周波数での)リアクタンスが次段の入力インピーダンスよりもずっと大きくなるように、通常は十分に高い静電容量を有さなければならない。カップリングキャパシタの低周波性能が劣ると、長い時定数を有するA/C電気信号の伝送が複雑化し得る。
【0021】
従来の装置、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許番号5,217,009号、第5,413,596号、第6,011,994号、第6,321,119号、6,535,767号、第7,117,034号、米国公開番号第20040267333号に記載される生体電気スティミュレーターは、出力直流電流の阻止のために背中合わせの電解質キャパシタの使用を必要とした。しかし、実際的なサイズのキャパシタでは、結合がうまくいくのは、任意の時間で不均衡な(アンバランスな)電荷量が小さい信号に限られていた。たとえ比較的短い時間であっても有意の不均衡を有する信号は歪まされる場合があった。
【0022】
このように、本技術分野では、低周波性能が極めて優れる容量結合回路の必要性が存在する。そのような低周波数性能は、信号が長い時定数成分を有し得る場合に効率の良い信号伝送を可能にし得る。許容できる低周波性能を維持しつつ、直流信号成分の伝送を実質的に阻止する容量結合への必要性も存在する。更に、いくつか場合には、特に医療用途では、安全性への配慮のための直列冗長要素を含む容量結合回路への必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
電子機器の1の段から他の段に、外部世界からそのような段に、又は、そのような段から外部世界に1以上の2重層キャパシタを用いて低周波信号を結合させるための回路構成の方法及びクラスが記載される。2重層キャパシタは、他の電子回路デザインにおいて使用される抵抗器などの入手容易で低コストの電子部品と組み合わせることができる。
【0024】
本発明の重要な特徴の1つは、エネルギー貯蔵とは区別される信号伝送のための小型で経済的な対称型2重層キャパシタの使用である。この方法は、電子機器から生体物質、例えば、生きている人や動物の体、他の生き物、又は、培地の細胞や組織への信号の導入に有益であり得る。特に小型で低価格の装置でより高い静電容量値を提供する2重層キャパシタの使用は、有意の直流を阻止しつつ、非常により少ない歪みを以て潜在的により広い範囲の信号の伝送を可能にし得る。
【0025】
他の重要な特徴は、少なくとも1の端子をグランドや低電圧の他のポイントに接続した通常の2重層キャパシタとは異なり、2重層キャパシタをキャパシタの両端子を浮かせた状態で信号の伝達経路に接続できる点である。これにより、任意の直流成分を阻止しつつ、電子機器の1の段から他の段へ、外部世界からそのような段へ、又は、そのような段から外部世界へのキャパシタを介する信号の交流電流要素の通過が可能になる。この特徴は、生体への正味直流電流の印加が害のある電解質反応を生じさせ得る生体電子刺激及び同様の医療装置において特に重要であり得る。
【0026】
本発明の他の重要な特徴は、うまく結合するための適切な静電容量を維持しつつ、直列に接続された複数のディスクリート2重層キャパシタ装置の使用にあり、そのようなデバイスのそれぞれが1のセル又は2以上の積層を有するかどうかに関係はない。例えば、そのようなデバイスは直列に接続することができる。
【0027】
2重層キャパシタの新しい対称性は、その新しい用途を開き、そこでは、2重層キャパシタ、特に、1ファラド以下の値のものは、その何桁も高い値による特別に延長されたタイミング特性を有して他の非極性キャパシタと同様に使用され得る。例えば、このようなキャパシタは、通常、低インピーダンスが使用され、又は、いくつかの医療用途のために歪みを最小化する必要があるときの100Hz範囲の低音域周波数(low audio frequencies)、又は、通常のインピーダンスレベルでの20Hz以下のオーダーなどの特別に低周波数の交流電流(A/C)の結合に使用され得る。他の低周波数は、これらに限定されないが、5−15Hz帯、及び、(その信号生成技術がしばしば神経再成長のためのBorgens用途と呼ばれる15分毎に反転する全サイクルが各30分の)0.00056Hz、及び、0.0001Hz程度に低い周波数を含み得る。追加の 低周波数は、これらに限定されないが、1ヘルツ(Hz),1ヘルツの1/10,1/30,1/100,1/300,1/1000、1/3000,1/10000,1/30000を含み得る。
【0028】
このキャパシタは、これらの低周波数A/C信号を、電子機器の1の段から他の段に、外部世界からそのような段に、又は、そのような段から外部世界に、その信号の直流成分を阻止しつつ、更に、特定の変化しない極性がキャパシタを横断して存在することを確かにする必要無しに、結合させることができる。
【0029】
特に、この応用分野は、電子機器と、診断、治療、成長又は治癒の促進の目的、又は、いくらかの直流電流成分を意図せずに含み得る信号への延長された曝露による電解効果の危険を伴わない電気刺激及び電気生物学の分野での他の目的のための培養組織中の完全な生物(organism)、組織、細胞、人又は動物の体との間での低周波数信号の結合を含む。
【0030】
米国で販売される任意の医療装置について、米国食品医薬品局は、起こりうる任意の単一の要素の故障に拘わらず安全性が維持されることを要求する。この要求を満たす単純な方法は、3つの副要素の任意の2つが安全動作のために十分なように、任意の重要な要素を3重に冗長性を持たせる「3のルール」である。3重に冗長性を持たされた直列の出力キャパシタは、低信号歪みを保ちつつ、任意の医療装置の安全動作を支持するために使用し得る。
【0031】
代替的には、信号の電圧が十分に高いために必要な場合には、すべてがその指定された電圧範囲で動作できるように3を越える個数のディスクリートのデバイスを使用することもできる。
【0032】
本発明の更に他の重要な特徴は、例えばいくつか例を挙げると、7,16,36,120,150,500,1200,1500秒のオーダーなどの長い時定数を維持しつつ典型的な生体物質のインピーダンスを整合(match)させるために、2重層キャパシタを比較的低い値の抵抗器とともに使用することである。長い時定数の他の値には、これらには限られないが、10,30,100,300,1000,3000、或いは、潜在的には、1万秒のオーダーのものが含まれる。
【0033】
抵抗負荷に容量的に結合した印加電圧又は電流の段については、遅延時間、又は、信号が元の値の1/e又は約36.8%に減衰する時間は、R,R,R等及びC,C,C等をすべて直列に接続された抵抗値及び静電容量値として、
T=(R+R+R+・・・)/(1/C+1/C+1/C+・・・)
で与えられる。すべての個々の抵抗値が単一の等しい直列抵抗Rsで、すべての個々の静電容量が単一の等しい直列静電容量Csで置き換えられると、遅延時間は単純に、
T=RsCs
で与えられ、従って、所与の必要な遅延時間を維持するには、Rsが減少すれば比例する量だけCsが増加しなければならない。殆どの生体物質、システムのようにRsが小さい場合には、十分な伝送には大きなCsが必要となる。 2重層キャパシタ、特に、冗長性のある「3のルール」に従う構成は、各キャパシタの値が、複数のキャパシタを直列に接続することによる損失を相殺するために十分に高ければ、この上記の長い時定数の維持を可能にする。
【0034】
例えば、結果としての結合回路は、特別に長い時定数(10,30,100,300,1000,3000又は潜在的には10000秒程度の長さ)と、大きい電荷移動(0.25クーロンのオーダー)と、従って、信号の任意の直流電流成分をなおも阻止しつつ、特別に低い周波数、又は、特に20Hz未満の低周波数要素を含む信号又の、診断、治療又は成長や治癒の促進を目的とする、例えば、生体物質への結合を可能にする。
【0035】
発明の開示に記載した容量結合回路の議論は説明のみを目的とする。本発明の種々の側面は、後述の開示された実施形態の詳細な説明及び図面及びそれに続く請求の範囲を精査することでより明確に理解され、認識され得る。更に、本発明の他の側面、システム、方法、特徴、利点及び目的は、後述の図面及び詳細な説明を精査することで当業者に明らかとなる。すべてのそのような側面、システム、方法、特徴、利点及び目的は、本明細書に含まれることが意図され、本発明の範囲に含まれることが意図され、添付請求の範囲により保護されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1a及び1bは従来技術の一般的なキャパシタの概略図である。
【図2】図2a−2hは、種々の異なる技術を用いて作成された従来技術のキャパシタの一群の概略断面図である。
【図3】図3a及び3bは、従来の商業的に入手可能な2重層キャパシタの自己放電特性及び計算された内部漏れ電流を示す1対のグラフである。
【図4】図4は、冗長電解質キャパシタを用いた従来技術の生体電子刺激装置の出力部分の概略図である。
【図5】図5は、本発明の1例示的実施形態に従う「3のルール」に従う2重層キャパシタを用いて再構成された同様の出力部分の概略図である。
【図6】図6a−6cは、本発明の1例示的実施形態に従う図4,5の結合方法を用いた典型的な生体システムのインピーダンスをシミュレートした標準テスト負荷に結合された波形の比較である。
【図7】図7は、本発明の1例示的実施形態に従う第1回路及び第2回路の間で信号を結合する2重層キャパシタを示す。
【図8】図8は、本発明の1例示的実施形態に従う第1回路及び第2回路の間で信号を結合する直列の3つの2重層キャパシタを示す。
【図9】図9は、本発明の1例示的実施形態に従う2重層キャパシタを用いた2つの回路間でのA/C電気信号の結合のプロセスの論理フローダイアグラムである。 上記図面を参照して本発明の多くの側面をより良く理解できる。図面に示される要素及び特徴は、スケール通りではなく、むしろ本発明の例示的実施形態の原理を明瞭に説明することに力点が置かれている。更に、ある寸法はそのような原理を視覚的に伝えることを助けるために誇張されている場合がある。図面では、参照番号は、いくつかの図を通して必ずしも同一ではないが同様若しくは対応する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に説明される実施形態に限定されると解釈されるべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分で完全であり、本技術分野の当業者に本発明の範囲が完全に理解されるように提供される。更に、本明細書中のすべての「例」、「実施形態」は非限定的であり、特に、本発明の表現により支持されることが意図されている。
【0038】
本発明は、電子機器の1の段から他の段に、外部世界からそのような段に、又は、そのような段から外部世界に、例えば抵抗器などの他の容易に入手できる低価格の電子要素と結合された1以上の2重層キャパシタの使用を介して低周波信号を結合させるための回路構成の方法及びクラスを含む。少なくとも1の端子をグランドや何らかの他の固定電位に接続した通常の2重層キャパシタの従来の用法とは異なり、2重層キャパシタは、キャパシタの両端子を浮かせた状態で信号の伝達経路に接続できる。本発明は、特定の強さと波形の信号が成長や治癒の促進などの所望の反応を引き出すために生体物質に印加される生体電子刺激の分野に応用できる。
【0039】
従来の生体電子信号の生成装置の出力部分の例は、参照によりその全体が本願に組み込まれる米国特許第6,535,767号に開示されており、また、図4に示されている。
【0040】
102,103と、スイッチ106の位置による決定により1群の抵抗器104a、104b,104cから選択される1つを含む直列の3つの冗長抵抗器が存在する。これらの抵抗器の値は、これらの任意の1つが短絡により故障した時に、残りの2つがドライバ108及び回路の他のどこかに分配された他の抵抗と共同して、出力端子110の電流を安全なレベルに制限するのに十分なように計算される。しかし、抵抗器単独では、それ自身直流信号から交流電流を識別できず、従って、安全な使用のために同様に必要とされるように端子110の信号が電荷的に均衡している(すなわち、DC成分を有さない)ことを確かにはできない。
【0041】
ダイオード103,105は、回路動作に本質的ではないが、電流が流れていることを示す視覚的又は電子的指示を提供する。これらのダイオードの少なくとも1つは、図の105で示されるように、発光ダイオード(LED)であり、これは、可視のLED又は例えばマイクロプロセッサへの電子的入力を提供する光学アイソレータの赤外線LEDであり得る。代替的には、両ダイオード103,105がLEDであり得る。図示のように(それぞれのアノードが他方のカソードに接続される)逆平行(非平行)の態様で配列されたダイオードでは、このペアは高周波信号を通過させ、流れる電流に応じた光を出射することができる。これは、バッテリーが適切な動作電圧を提供しており、それが給電するすべての回路ブロックが正しく機能しており、電流が端子110に接続された負荷に適切に流れていることの指示を同時に提供する。
【0042】
同様に図4に示されるのはキャパシタ112a,112b,112c,112dである。これらは、その任意の1つが故障したときに同一極性に接続された他方のユニットが出力からの直流をブロックし、従って、安全動作を確実にするためになおも十分であるように、それぞれ2つの背中合わせのペアを形成している。
【0043】
残念なことに、キャパシタがこの方法で直列に接続されると、全静電容量は、C,C,C等をそのように接続された個々の静電容量として、
Cs=1/(1/C+1/C+1/C+・・・)
で与えられる。すべてのユニットが同じ値であれば、この式は、Nを個々のユニットの数、Cをそれぞれの値として、単純に、
Cs=C/N
となる。例えば、この態様で4つの連なりに接続された10マイクロファラドのユニットでは、結果としての直列の値はわずか2.5マイクロファラドである。500オームの典型的な生体負荷に直列に置かれたこの連なりでは、結果としての遅延時間はわずか1.25ミリ秒であり、印加し得る信号及び周波数の範囲を厳しく制限する。より長い時定数、従って、より広い動作周波数範囲はより大きい値のキャパシタを用いて達成できるが、増大するサイズ、容積、価格及び重さの不利益を伴う。
【0044】
図5には本発明に従う2重層キャパシタを用いて再描画された図4と同じ出力結合部が示されている。少なくとも3つのそのようなキャパシタ114a,114b,114cが使用され、従って、「3のルール」が満たされている。単位動作電圧は、短絡のような任意のキャパシタの故障の際に、残りのユニットが一緒になってその定格電圧を超えることなく、なおも直流電流信号を安全に阻止するように選択される。例えば、最大印加電圧が9ボルトのときは、ELNA DXシリーズのキャパシタなどの3つの5.5ボルト2重層キャパシタを使用することができ、その任意の2つが安全動作を満足する。
【0045】
DXシリーズで最も値の低いデバイスであるその特性が図3に示されるDX5R5V473を用いると、各デバイスは0.047ファラドの静電容量を有し、従って、3つの連なりは約0.0157ファラド:15,700マイクロファラド、又は、図4の対応する連なりの6000倍以上の直列静電容量を有する。再度、信号をこのような連なりを介して500オームの生体負荷に印加すると、結果としての時定数は7.83秒である。更に長い時定数は、同じシリーズ又は表1に示すような標準の10%公差ストック値を有するこれと類似のシリーズの他のデバイスを用いて容易に達成することができる。例えば、より長い時定数には、これらに限定はされないが、いくつか例を挙げれば、(表1に示すように)7,16,36,120,150,500,1200,1500秒のオーダーのものが含まれる。長い時定数の他の値には、これらに限定はされないが、10,30,100,300,1000,3000、或いは、潜在的には10000秒もの長さのオーダーのものが含まれうる。従って、本発明により支持されるいくつかの時定数は、10から10000秒の間と、他の範囲、例えば、100と1000秒の間で変動し得る。
【0046】
これは、例えば20Hzと0.0001Hzの間のオーダーなどの低周波数A/C信号送信(signaling)の広く新しい範囲を開き、これは生体刺激において偉大な値であることが示され得る。追加的な低周波数には、これらには限定されないが、1ヘルツ(Hz)、1ヘルツの1/10,3/10,1/100,3/100,1/1000,3/1000,1/10000及び3/10000が含まれ得る。しかし、他の低周波数は発明の範囲を超えない。
【表1】

【0047】
例えば、麻痺研究のパーデューセンターのディレクターであるリチャードボーゲンなどにより、神経再成長は極性が概ね15分毎に反転する非常に低い周波数の方形波によって刺激されることが示されている。それぞれが10ファラドの値の直列に接続された3つの2重層キャパシタの使用は、受け入れられない信号歪み無しに、また、処置される組織を有害な電解効果に曝すことなく、そのような信号を、500オームの典型的な生体負荷に導入することを可能にし得る。
【0048】
本発明により生成される低周波数には、これらに限定されないが、0.00056Hz(15分毎に反転、全サイクル30分毎、この信号生成技術は、しばしば、神経再成長のためのボーゲン用途と呼ばれる)及び0.0001Hzもの低さの周波数とともに、5−15ヘルツ帯が含まれる。追加的な低周波数には、これらに限定はされないが、1ヘルツ(Hz)、1ヘルツの1/10,3/10,1/100,3/100,1/1000,3/1000,1/10000及び3/10000が含まれ得る。しかし、他の低周波数は発明の範囲を超えない。
【0049】
図6は、図4の従来技術の出力部の信号結合特性を本発明を採用した図5のそれとを比較し、示す。図6aの軌跡120はドライバ108からの差動出力電圧を示す。この信号は、等化パルス124が後続する短い非対称のパルスの列122の形態を取り、この等化パルス124は、列122において正及び負の極性で経過した時間差にほぼ等しくされているために、電気的バランスを正味電荷ゼロ(DC電流なし)に回復させる。しかし、実際の装置では、故障や値変化がこのバランスに影響を与えないことを保証はできないため、容量的DC阻止がなおも安全性のために必要とされる。望ましくは、列120と同じ電圧パターンが、処置される生体物質に渡って、殆ど変化せずに再現される。
【0050】
従来技術の図6bの軌跡126は、端末110の間に配置された典型的な生体負荷に対応する500オーム抵抗の両端に現れる出力部からの信号形状を示す。キャパシタ112aから112dの組み合わせにより導入された歪みは、列122の長さに沿った電圧の衰えの形態で明瞭に見ることができ、その結果、時間とともに正のパルスの強さが減少し、一方で、負のパルスの強さが増加している。等化パルス124が劇的にそうであるが、すべてのパルスが形状においても顕著に歪んでいる。
【0051】
本発明の1実施形態の図6cの軌跡128は、キャパシタ122a〜122dを上記のような3つの2重層キャパシタ124a〜124cに置換したときの同じ信号を示す。示されるように、印加電圧と負荷の両端に現れる電圧の間に認めうる歪みは見られない。
【0052】
ここで図7,8を参照すると、図7は本発明の1例示的実施形態に従う第1回路700aと第2回路700bの間で信号710を結合する2重層キャパシタ46を示す。導体20a,20bは、第1回路700aを結合キャパシタ46に、結合キャパシタを第2回路700bに相互接続するように機能する。この相互接続は、交流電流(A/C)電気信号710の1の回路から他方への2重層キャパシタ46を介する導電経路を提供する。
【0053】
キャパシタ46は、キャパシタ46が第1回路700aと第2回路700bの間で結合させるすべての信号710の直流電流(DC)成分を実質的に阻止し得る。しかし、キャパシタ46は、キャパシタ46が第1回路700aと第2回路700bの間で結合させるように機能するA/C信号に含まれる他の低周波エネルギーの実質的な部分を結合させ得る。
【0054】
この2重層キャパシタは、例えば上記のような2面のカーボンスーパーキャパシタ46などの、対称2重層特性を示す任意のキャパシタを含み得る。代替的には、望ましさは低いが、示された各キャパシタは、図4に示されたキャパシタペアと同様の背中合わせの構成の2つの等価な非対称のスーパーキャパシタで置換し得る。図2gについて上記したように、そのようなキャパシタは、1の層がカーボン42の可動電子により、他の層が電解質36の可動イオンにより形成されるときに、所望の2重層を形成し得る。この2重層の両端に印加された正しい極性の電圧は、反対電荷を引き離し、キャパシタの誘電体を形成する薄い空乏層が残される。より一般的には、誘電体は、カーボンなどの半導体と他の物質の間の任意の接合に生じる表面障壁電位に基づく。
【0055】
2重層キャパシタは、図2hに関して述べた積層キャパシタ48をも含み得る。直列に配置された多重キャパシタも図8aに示されるように使用し得る。図8aのキャパシタは、図示のようにそれぞれが2重層キャパシタユニット46、或いは、それぞれが積層キャパシタ48(図2h参照)毎に2,3又はそれ以上のセルを有する積層2重層キャパシタセル48であり得る。直列及び/又は積層キャパシタは、信号経路に冗長性を提供し、負荷を1以上の個々のキャパシタ46の故障から保護し得る。そのような冗長性の例は上記した「3のルール」である。
【0056】
例示的な実施形態(不図示)では、回路700aは生体物質に結合した2重層キャパシタユニット46に結合し得る。生体物質は、生きている生物を含み得る。例えば、生きている生物は培養組織、細胞、生きている人、生きている人以外の動物及び他の同様の生きている生物を含み得る。
【0057】
図7,8に示されるキャパシタは、平行プレート12a,12bキャパシタとして示されているが、これらは、2重層、スーパーキャパシタ、又は、ウルトラキャパシタ効果を達成する本技術分野で知られた他の任意の形状又は電気化学的構造を有し得る。他の形状の例は、ラップされたコイル、同心プレート、積層されたプレート、放射状に重ね合わされたプレート、表面積を増大させるように処理され又は粗された(textured)表面を有するプレートであり得る。キャパシタ46内の物質は、例えば、カーボン、シリコン、ゼラニウム、ガリウムヒ素、ドープされた半導体、これらの組み合わせ、又は、任意の他の半導体、電解液、ガス、電解質ゲル、電解質ペースト、固体電解質、電解質マトリクス、又は、任意のそのような電解質物質の組み合わせ;及び、銅、ニッケル、アルミ、任意の他の導体、金属酸化物、酸化ケイ素、又は、任意の合金、又は、その組み合わせなどの金属や酸化物層を含み得る。
【0058】
ここで図9を参照すると、この図は、本発明の1例示的実施形態に従う2重層キャパシタを用いてA/C電気信号を1の回路と1の要素の間で結合する方法の論理流れ図を示す。この要素は、他の回路又は生体物質を含みうる。以下のすべての論理流れ図に示されるプロセス又はプロセスフローのあるステップは、本発明が記述のように動作するためには、自然に他に先行する必要がある。しかし、記述のステップの順序又は連続が本発明の機能を変更しないのであれば、本発明はそのような順序には限定されない。すなわち、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、いくつかのステップは他のステップの前に、後に、又は、平行して実施され得る。
【0059】
A/C電気信号を1の回路と1の要素の間で結合するために2重層キャパシタを使用する方法900はステップ910で開始することができ、ステップ910では、第1回路700aからのA/C電気信号710が第1導体20aに供給される。
【0060】
続いて、ステップ920では、A/C電気信号710は第1導体20aに沿って伝搬する。この導体は第1回路700aと2重層結合キャパシタ46の間で電気導通状態であり得る。
【0061】
続いて、ステップ930では、A/C電気信号710は第1回路700aから2重層キャパシタに導通する。このキャパシタ46はここでは結合キャパシタとして使用される。2重層キャパシタ46は、2重層キャパシタ特性を示す単一のキャパシタセルであり得、又は、1以上のそのようなキャパシタの直列接続であり得、又は、1以上の積層キャパシタ48であり得る。そのような2重層キャパシタは、スーパーキャパシタ又はウルトラキャパシタとしても知られる。
【0062】
続いて、ステップ940では、A/C電気信号710は2重層キャパシタ46を介して結合する。2重層キャパシタ46を介するA/C電気信号の結合は、A/C電気信号710の交流成分の伝搬と考え得る。
【0063】
ステップ950では、A/C電気信号710の任意の直流電流(DC)成分がキャパシタ46を介して結合することが阻止される。ステップ960では、A/C電気信号は、2重層キャパシタ46から第2導体20bに伝導する。第2導体20bは、キャパシタ46の第2プレート12bと電気伝達状態であり得る。
【0064】
続いて、ステップ970では、A/C電気信号710は第2導体20bに沿って伝搬する。最後に、ステップ980でA/C電気信号は第2導体20bから図8の第2回路700bのような要素や生体物質などの要素に伝達される。伝達された信号は、ステップ910で元々供給された信号と実質的に類似するが、すべての直流電流(DC)成分は2重層キャパシタによって実質的に阻止される。A/C信号の伝達は、優れた低周波特性を示し、長い時定数を有する信号710の伝導に好適であり得る。
【0065】
例えば、本発明による長い時定数は、これらには限定されないが、幾つか例を挙げれば、7,16,36,120,150,500,1200,1500秒のオーダーのものを含み得る。従って、本発明に支持される時定数は、5〜7200秒の間、又は、150と1200秒の間などの範囲で変動し得る。本発明により支持される低周波A/C信号は、これらには限定されないが、20Hzと0.0001Hzの間のオーダーなどの周波数の信号を含み得る。
【0066】
2重層キャパシタ46を介してA/C電気信号を結合させるステップは、単一層キャパシタ30がA/C電気信号710の低周波成分を結合させるよりも効率的にA/C電気信号710の低周波信号を結合させ得る。
【0067】
上記説明は、本発明の原理を説明したものとのみ理解される。当業者は多数の改変や変更が容易に相当できるため、記述され、示されたそのままの構成及び動作に本発明を限定することは希望されず、従って、すべての適切な改変及び等価物は本発明の範囲内に入るものと解釈され得る。このように、添付請求の範囲により規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本明細書に記載した好ましい実施形態に対する多くの変更及び代替が可能であることが当業者に明らかである。更に、本発明の範囲は、後述の請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外部回路と電気伝達状態にある第1導体と、
第2外部回路と電気伝達状態にある第2導体と、
前記第1外部回路と前記第2外部回路の間でA/C電気信号を結合し、更に、前記A/C電気信号の直流電流成分を実質的に阻止するように動作可能な前記第1導体と前記第2導体の間の2重層キャパシタ要素とを有する結合回路。
【請求項2】
前記2重層キャパシタ要素が電解物質と接触する半導体を含む請求項1に記載の結合回路。
【請求項3】
前記2重層キャパシタ要素が電解物質と接触する第1半導体と、前記電解物質に接触する第2半導体を含む請求項1に記載の結合回路。
【請求項4】
前記2重層キャパシタ要素が直列に接続された複数の2重層キャパシタを含む請求項1に記載の結合回路。
【請求項5】
前記2重層キャパシタ要素が1以上のウルトラキャパシタを含む請求項1に記載の結合回路。
【請求項6】
A/C電気信号が不均衡な電荷を含む請求項1に記載の結合回路。
【請求項7】
前記2重層キャパシタ要素と接続された抵抗器を更に有し、
前記抵抗器が前記第1外部回路と前記第2外部回路の間のインピーダンス整合を改善するように動作可能な請求項1に記載の結合回路。
【請求項8】
更に抵抗器を有し、
前記抵抗器及び前記2重層キャパシタ要素が時定数を形成するように動作可能である請求項1に記載の結合回路。
【請求項9】
更に抵抗器を有し、
前記抵抗器及び前記2重層キャパシタ要素が10秒を超える時定数を生成する請求項1に記載の結合回路。
【請求項10】
更に抵抗器を有し、
前記抵抗器及び前記2重層キャパシタ要素が30秒を超える時定数を生成する請求項1に記載の結合回路。
【請求項11】
更に抵抗器を有し、
前記抵抗器及び前記2重層キャパシタ要素が100秒を超える時定数を生成する請求項1に記載の結合回路。
【請求項12】
更に抵抗器を有し、
前記抵抗器及び前記2重層キャパシタ要素が1000秒を超える時定数を生成する請求項1に記載の結合回路。
【請求項13】
更に抵抗器を有し、
前記抵抗器及び前記2重層キャパシタ要素が約20Hz、又は、20Hz未満の周波数を生成する請求項1に記載の結合回路。
【請求項14】
更に抵抗器を有し、
前記抵抗器及び前記2重層キャパシタ要素が概ね5と15Hzの間の周波数を生成する請求項1に記載の結合回路。
【請求項15】
更に抵抗器を有し、
前記抵抗器及び前記2重層キャパシタ要素が概ね1と3/1000Hzの間の周波数を生成する請求項1に記載の結合回路。
【請求項16】
2重層キャパシタ要素を用いて回路と負荷の間で信号を結合させる方法であって、
交流電流(AC)及び直流電流(DC)成分の双方を含む信号を第1導体に供給するステップと、
前記信号を第1導体に沿って2重層キャパシタ要素に伝搬させるステップと、
前記信号の前記AC成分を前記2重層キャパシタ要素を介して結合させるステップと、
前記信号の前記DC成分を前記2重層キャパシタによって阻止するステップと、
前記AC成分のみを含む前記信号を前記2重層キャパシタから第2導体に伝搬させるステップと、
前記第2導体からの前記信号を前記負荷に伝達するステップとを含む方法。
【請求項17】
前記信号を前記第1導体に沿って2重層キャパシタ要素に伝搬させるステップが、更に、前記信号を単一の2重層キャパシタを介して結合させるステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記信号を前記第1導体に沿って2重層キャパシタ要素に伝搬させるステップが、更に、前記信号を複数の2重層キャパシタを介して結合させるステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第2導体からの前記信号を前記負荷に伝達するステップが、前記第2導体からの信号を生体物質に伝達させるステップを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第2導体からの前記信号を前記負荷に伝達するステップが、前記第2導体からの信号を他の回路に伝達させるステップを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項21】
2つの要素間でA/C信号を伝搬させる結合回路であって、
前記2つの要素の間の信号伝送経路に接続された1以上の2重層キャパシタ要素を有し、
それぞれのキャパシタが端子を有し、
それぞれのキャパシタのそれぞれの端子がグランドと固定電圧のうちの1つに対してフローティング状態で動作することを特徴とする結合回路。
【請求項22】
前記2つの要素が電子装置の部分であり、前記信号伝達経路が前記電子装置の1の段から他の段への経路である請求項21に記載の結合回路。
【請求項23】
前記信号伝達経路の方向が外部環境から電子装置である請求項21に記載の結合回路。
【請求項24】
前記信号伝達経路の方向が電子装置から外部環境である請求項21に記載の結合回路。
【請求項25】
前記信号伝達経路の方向が電子装置から生体物質である請求項21に記載の結合回路。
【請求項26】
前記生体物質が生きている人の体を含む請求項25に記載の結合回路。
【請求項27】
前記生体物質が生きている動物の体を含む請求項25に記載の結合回路。
【請求項28】
前記生体物質が人又は動物以外の生きている生物を含む請求項25に記載の結合回路。
【請求項29】
前記生体物質が培地の生体細胞を含む請求項25に記載の結合回路。
【請求項30】
前記生体物質が培地の組織を含む請求項25に記載の結合回路。
【請求項31】
前記2重層キャパシタ要素が直列に接続された複数のセルを含む請求項21に記載の結合回路。
【請求項32】
複数の2重層キャパシタ要素を更に有し、
そのそれぞれが、直列に接続された複数のセルを含む請求項21に記載の結合回路。
【請求項33】
前記複数の2重層キャパシタ要素が3つの2重層キャパシタを含む請求項29に記載の結合回路。
【請求項34】
前記複数の2重層キャパシタ要素が特定の電圧範囲で動作する2重層キャパシタを含む請求項33に記載の結合回路。
【請求項35】
前記AC信号が不均衡な電荷量を含むDC信号成分を伴う請求項21に記載の結合回路。
【請求項36】
前記不均衡な電荷量がある期間に渡って存在する請求項35に記載の結合回路。
【請求項37】
前記2重層キャパシタ要素が6秒以上の大きさを有する時定数を維持しつつ生体物質のインピーダンスを整合させるために抵抗器とともに使用される請求項21に記載の結合回路。
【請求項38】
前記時定数が30秒以上の大きさを有する請求項37に記載の結合回路。
【請求項39】
前記時定数が100秒以上の大きさを有する請求項37に記載の結合回路。
【請求項40】
前記時定数が300秒以上の大きさを有する請求項37に記載の結合回路。
【請求項41】
前記時定数が1000秒以上の大きさを有する請求項37に記載の結合回路。
【請求項42】
前記時定数が3000秒以上の大きさを有する請求項37に記載の結合回路。
【請求項43】
前記時定数が10000秒以上の大きさを有する請求項37に記載の結合回路。
【請求項44】
前記2重層キャパシタ要素が約20Hz又は20Hz未満の周波数を生成するために抵抗器とともに使用される請求項21に記載の結合回路。
【請求項45】
前記2重層キャパシタ要素が20Hz未満の周波数を生成するために抵抗器とともに使用される請求項21に記載の結合回路。
【請求項46】
前記2重層キャパシタ要素が概ね5Hzと15Hzの間の周波数を生成するために抵抗器とともに使用される請求項21に記載の結合回路。
【請求項47】
前記2重層キャパシタ要素が概ね1Hzと3/10000Hzの間の周波数を生成するために抵抗器とともに使用される請求項21に記載の結合回路。

【図1】
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【図2a−d】
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【図2e−h】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−532644(P2010−532644A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515134(P2010−515134)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/068400
【国際公開番号】WO2009/003123
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509338846)メドレリーフ インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MedRelief Inc.
【住所又は居所原語表記】6825 Jimmy Carter Boulevard, Suite 1303, Norcross, GA 30071 United States of America
【Fターム(参考)】