説明

信頼性に優れたスルーホールを有する高密度多層プリント配線板

【課題】 孔径25〜200μmを有するプリント配線板において、各層の接続を全てスルーホール導体で行なったプリント配線板とする。
【解決手段】 少なくとも3層以上の銅の層を有する銅張多層板の銅箔の上に、金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉3〜97vol%を含む樹脂層或いはその樹脂をフィルムに塗布したシートを接着させ、好適には、20〜60mJ/パルスより選ばれた高出力の炭酸ガスレーザーを直接照射して外層及び内層銅箔を加工除去して貫通孔を形成した後、銅箔表層の一部及び発生した内外層銅箔バリをエッチング液で除去して主に80〜180μmの貫通孔を形成して得られる銅張多層板を用いてプリント配線板を作成する。
【効果】 簡単に高密度のプリント配線板が作成でき、得られたプリント配線板はスルーホールの接続信頼性に優れたものを得ることができた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、孔径が25〜200μmの孔を有する、少なくとも3層以上の銅箔層を有する多層プリント配線板において、銅箔各層の接続をすべて銅箔各層を貫通するスルーホールで行った高密度の多層プリント配線板に関する。さらに詳しくは、表裏層及び内層銅箔にスルーホール用貫通孔を形成した後に、孔内部及び表裏層に残存する銅箔バリをエッチング除去し、次いで全体を銅メッキして作成された銅張多層板を用いて得られる高密度の多層プリント配線板に関する。得られた多層プリント配線板は、小径の孔を有し、高密度の小型プリント配線板として、新規な半導体プラスチックパッケージ用等に主に使用される。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体プラスチックパッケージ等に用いられる高密度のプリント配線板は、スルーホール用の貫通孔をドリルであけていた。近年、ますますドリルの径は小径となり、孔径が180μm以下となってきており、このような小径の孔をあける場合、ドリル径が細いため、孔あけ時にドリルが曲がる、折れる、加工速度が遅い等の欠点があり、生産性、信頼性等に問題のあるものであった。また、表裏の銅箔にあらかじめネガフィルムを使用して所定の方法で同じ大きさの孔をあけておき、更には内層の銅箔にも同様の孔を予めエッチングで形成したものを配置しておき、炭酸ガスレーザーで表裏を貫通するスルーホール用孔を形成しようとすると、内層銅箔の位置ズレ、上下の孔の位置のズレを生じ、接続不良、及び表裏のランドが形成できない等の欠点があった。更に、高密度のプリント配線板とする場合、一般に知られている方式は、フォトビア方式、レーザービア方式等であり、これらは各層をブラインドビア孔で接続して積み上げていくビルドアップ方式である。この方式は1段ずつ上下の層を積み上げていくため、工程が煩雑であり、作業性が悪く、価格も高いものとなっていた。またメカニカルドリルだけ孔壁間を100〜150μmとして高密度のプリント配線板を作成した場合、ドリルによるガラス繊維のクラックが生じ、メッキしみこみがあるために、耐マイグレーション性等に劣るものとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題点を解決した、少なくとも3層以上の銅箔層を有する両面銅張多層板に全銅箔層を貫通する小径のスルーホール用貫通孔を形成し、炭酸ガスレーザーで孔あけした場合に生ずる内層銅箔、表裏銅箔の張り出したバリをエッチング除去し、銅メッキしてスルーホールの接合性を向上した高密度のプリント配線板に関する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、小径の貫通孔で銅箔層全ての導通を取る、高密度のプリント配線板を提供する。本発明のプリント配線板はワイヤボンディング搭載も可能であるが、特にフリップチップの搭載に適している。
【0005】
【発明の実施の形態】まず、3層以上の銅箔層を有する多層の銅張積層板を作成する。この積層板の所定の位置に、孔あけを行う。孔径に応じ、適宜孔あけ方法を選択するのが好ましい。孔径25〜70μmの場合にはエキシマレーザー、YAGレーザーで孔あけを行う。孔径80〜180μmの場合には、融点900℃以上で、且つ結合エネルギーが300kJ/mol 以上の金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉の1種或いは2種以上を3〜97vol%を含む有機物の補助材料を、好適には30〜100μmの厚さに銅箔表面に塗布して塗膜とするか、或いはこの樹脂を熱可塑性フィルムに付着させ、好適には、総厚み30〜200μmの厚みとしたものを銅箔表面上に樹脂が銅箔側を向くようにして配置し、好適にはラミネートして接着した後、又は銅箔表面に酸化金属処理を施した後、好ましくは20〜60mJ/パルスから選ばれたエネルギーの炭酸ガスレーザーを直接照射してスルーホール用貫通孔を形成する。孔径200μmの場合には、メカニカルドリルによる孔あけが好ましい。
【0006】炭酸ガスレーザーで貫通孔形成後、表裏層銅箔は機械的研磨でバリをとることもできるが、内層の銅箔のバリをも除去するためには、薬液によるエッチングを、好ましくは表裏両面から行う。表裏層の銅箔が厚い場合には、孔あけ後に、補助材料を除去し、表裏層及び内層の銅箔バリをエッチング除去すると同時に、表裏層の銅箔の厚さ方向に一部を溶解除去して、好ましくは厚さ3〜7μmとする。表裏層銅箔に薄い銅箔を用いた場合には、孔あけ後、補助材料即ち樹脂塗膜或いはシートをそのまま残し、エッチング液を高速で吹き付けるか、吸引して、表裏層及び内層の銅箔バリを溶解除去する。その後、表裏の補助材料を、その樹脂が可溶な溶液で溶解除去する。この場合、補助材料の樹脂はエッチング液に溶解しないものを使用する。使用する銅箔については、好ましくは平均粒子径が1μm以下のものを使用することにより、炭酸ガスレーザーでの孔あけが良好となる。ついで銅メッキによりメッキアップして得られた両面銅張多層板の表裏に回路形成を行い、定法にてプリント配線板を形成する。表裏の回路を細密にするためには、表裏層の銅箔は3〜7μmであることが好ましい。表裏層の銅箔を薄くすることにより、ショートやパターン切れ等の不良の発生もなく、高密度のプリント配線板を作成することができる。
【0007】また、貫通孔あけ前に銅箔表面に酸化金属処理を施し、同様に炭酸ガスレーザーで同様に孔あけ、薬液による銅箔バリ除去、銅箔の一部を溶解除去することも可能である。
【0008】炭酸ガスレーザーによる孔あけ加工速度は、ドリルであける場合に比べて格段に速く、生産性も良好で、経済性にも優れている。もちろん全ての貫通孔を、エキシマレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、メカニカルドリルで孔あけすることも可能であるが、加工速度の格段に速い炭酸ガスレーザーを有効に使用するのが好ましく、それぞれの孔径により孔あけ用機械を選択するのが好ましい。
【0009】少なくとも3層以上の銅箔層を有する銅張多層板にスルーホール用貫通孔、特に小径の孔をあけた本発明の多層プリント配線板は、主に半導体チップの搭載用として使用される。本発明で使用する多層板は、各層に回路を形成し、必要により銅箔表面処理を行い、一体積層成形して、少なくとも3層以上の銅箔層を有する多層板である。この多層板の所定位置に、少なくとも1孔以上をレーザーで所定の径の貫通孔だけをあけて各層の導通を取り、プリント配線板とする。本発明のプリント配線板は200μmの孔だけで多層板を作成するものではなく、少なくとも2種以上の孔径の貫通孔の組み合わせで作成される。本発明の少なくとも3層以上の銅箔層が存在する多層板であり、銅箔層を有する基板としては、基材補強されたもの、フィルム基材のもの、補強基材の無い樹脂単独のもの等が使用可能である。しかしながら、寸法収縮等の点からガラス布基材銅張多層板が好ましい。又、高密度の回路を作成する場合、表層の銅箔は、3〜7μmのものを最初から使用するか、9〜18μmの厚い銅箔を積層成形しておいて、その後表層の銅箔をエッチング液で3〜7μmとしたものを使用する。最初から薄い銅箔を使用する場合には、銅、アルミニウム等のキャリア付き銅箔が主に使用される。
【0010】本発明の炭酸ガスレーザー孔あけ用補助材料は、孔あけ時に銅張多層板の上に接着させて使用するのが好ましい。一般には、補助材料溶液を銅箔表面に塗布、乾燥して塗膜とするか、熱可塑性フィルムにワニスを塗布して乾燥し、シート状として使用する。銅張多層板の上にシートを、樹脂付着した面を銅箔側に向け、加熱、加圧下にラミネートするか、或いは樹脂表面を表面から3μm以下を水分で事前に湿らした後、室温にて加圧下に表裏にラミネートすることにより、銅箔表面との密着性が良好となり、孔形状の良好なものが得られる。
【0011】銅張板の基材としては、一般に公知の、有機、無機の織布、不織布が使用できる。具体的には、無機の繊維としては、E、S、D、Mガラス等の繊維等が挙げられる。又、有機繊維としては、全芳香族ポリアミド、液晶ポリエステル、ポリベンザゾールの繊維等が挙げられる。これらは、混抄でも良い。好適には、ガラス繊維織布が使用される。
【0012】本発明で使用される銅張多層板の熱硬化性樹脂組成物の樹脂としては、一般に公知の熱硬化性樹脂が使用される。具体的には、エポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、 多官能性マレイミドーシアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、1種或いは2種類以上が組み合わせて使用される。出力の高い炭酸ガスレーザー照射による加工でのスルーホール形状の点からは、ガラス転移温度が150℃以上の熱硬化性樹脂組成物が好ましく、耐湿性、耐マイグレーション性、吸湿後の電気的特性等の点から多官能性シアン酸エステル樹脂組成物が好適である。また、孔形状を良くするためには、一般に公知の無機フィラーを添加し、更には黒色の染料、顔料を添加するのが好ましい。
【0013】本発明の好適な熱硬化性樹脂分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス(4-ジシアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。
【0014】これらのほかに特公昭41-1928、同43-18468、同44-4791、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類も用いら得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0015】エポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、液状或いは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエポハロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物類等が挙げられる。これらは1種或いは2種類以上が組み合わせて使用され得る。
【0016】ポリイミド樹脂としては、一般に公知のものが使用され得る。具体的には、多官能性マレイミド類とポリアミン類との反応物、特公昭57-005406 に記載の末端三重結合のポリイミド類が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独でも使用されるが、特性のバランスを考え、適宜組み合わせて使用するのが良い。
【0017】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、エポキシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量のelasticなゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、スチレン-イソプレンゴム、ポリエチレン-プロピレン共重合体、4-フッ化エチレン-6-フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー;ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。また、その他、公知の有機、無機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0018】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0019】本発明で使用する補助材料の中の、融点900℃以上で、且つ、結合エネルギー300kJ/mol 以上の金属化合物としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、酸化物としては、酸化チタン等のチタニア類、酸化マグネシウム等のマグネシア類、酸化鉄等の鉄酸化物、酸化ニッケル等のニッケル酸化物、二酸化マンガン、酸化亜鉛等の亜鉛酸化物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、希土類酸化物、酸化コバルト等のコバルト酸化物、酸化錫等のスズ酸化物、酸化タングステン等のタングステン酸化物、等が挙げられる。非酸化物としては、炭化珪素、炭化タングステン、窒化硼素、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、希土類酸硫化物等、一般に公知のものが挙げられる。その他、カーボンも使用できる。更に、その酸化金属粉の混合物である各種ガラス類が挙げられる。又、カーボン粉が挙げられ、更に銀、アルミニウム、ビスマス、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、アンチモン、ケイ素、錫、チタン、バナジウム、タングステン、亜鉛等の単体、或いはそれらの合金の金属粉が使用される。これらは一種或いは二種以上が組み合わせて使用される。平均粒子径は、特に限定しないが、1μm以下が好ましい。
【0020】炭酸ガスレーザーの照射で分子が解離するか、溶融して飛散するために、金属が孔壁等に付着して、半導体チップ、孔壁密着性等に悪影響を及ぼさないようなものが好ましい。Na,K,Clイオン等は、特に半導体の信頼性に悪影響を及ぼすため、これらの成分を含むものは好適でない。配合量は、3〜97vol%、好適には5〜95vol%が使用され、樹脂組成物に配合され、均一に分散される。
【0021】補助材料に使用する樹脂としては、特に限定はないが、表裏層の銅箔の厚さが厚い場合、好適には水溶性樹脂が使用される。具体的には、水溶性ポリエステル樹脂、アクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、澱粉等が使用される。この場合も種々の添加剤が添加可能であり、エッチング中に溶解或いは剥離脱落しないように選択して配合する。銅張板の表裏の銅箔の厚さが薄い場合、樹脂はエッチング液に溶解しないものを選択する。銅張多層板に接着後、紫外線等で硬化させてエッチング液に溶解しないようにすることも可能である。
【0022】金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉と樹脂からなる組成物を作成する方法、及びシート状にする方法は特に限定しないが、ニーダー等で無溶剤にて高温で練り、熱可塑性フィルム上にシート状に押し出して付着する方法、樹脂を溶剤に溶解させ、これに上記粉体を加え、均一に攪拌混合して、これを用い、塗料として銅箔面に塗布、乾燥して塗膜とするか、熱可塑性フィルム上に塗布、乾燥して膜を形成する方法等、一般に公知の方法が使用できる。厚みは、特に限定はしないが、塗布する場合、塗膜の厚みは好適には30〜100μmとし、フィルムに塗布してフィルム付き塗膜とする場合には、好適には総厚み30〜200μmとなるようにする。
【0023】銅箔面に加熱、加圧下にラミネートする場合、塗布樹脂層を銅箔面に向け、ロールにて、温度は一般に40〜150℃、好ましくは60〜120℃で、線圧は一般に0.5〜20kgf、好ましくは1〜5kgfの圧力でラミネートし、樹脂層を溶融させて銅箔面と密着させる。温度の選択は使用する水溶性樹脂の融点で異なり、又、線圧、ラミネート速度によっても異なるが、一般には、樹脂の融点より5〜20℃高い温度でラミネートする。
【0024】酸化金属処理としては、一般に公知のものが使用可能である。また、薬液による処理、例えばメック(株)のCZ8000等のメック処理等も使用可能である。
【0025】基材補強銅張多層板は、まず上記補強基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸、乾燥させてBステージとし、プリプレグを作成する。次に、このプリプレグを所定枚数重ね、少なくとも片面に銅箔を配置して、加熱、加圧下に積層成形し、3層以上の銅層を有する銅張多層板とする。外層の銅箔の厚みは、好適には3〜12μm、内層は9〜18μmである。銅箔の種類は特に限定しないが、平均粒子径1μm以下の粒子で構成される電解銅箔が接着力等の点からも好ましい。多層板は、好ましくは基材補強した銅張積層板に回路を形成し、銅箔表面処理後、少なくとも片面に、Bステージの基材補強プリプレグ、或いは基材補強していない樹脂シート、樹脂付き銅箔、塗料塗布による樹脂層等を配置し、必要により、その外側に銅箔を置き、加熱、加圧、好ましくは真空下に積層成形した銅張多層板を使用する。
【0026】補助材料の塗膜又はシートを設けた面側から、目的とする径まで絞った、好適には20〜60mJ/パルスから選ばれた高出力のエネルギーの炭酸ガスレーザー光を直接照射することにより、銅箔に孔あけを行う。もちろん、最初に40mJ/パルスで照射して銅箔に孔をあけた後、樹脂層を、より低エネルギーの15mJ/パルス で照射して孔を形成することも可能であり、エネルギーは限定されるものではなく、使用する樹脂、基材などにより適宜選択する。
【0027】本発明の孔部に発生した銅のバリをエッチング除去する方法としては、特に限定しないが、例えば、特開平02-22887、同02-22896、同02-25089、同02-25090、同02-59337、同02-60189、同02-166789、同03-25995、同03-60183、同03-94491、同04-199592、同04-263488で開示された、薬品で金属表面を溶解除去する方法(SUEP法と呼ぶ)による。エッチング速度は、一般には0.02〜1.0μm/秒 で行う。内層の銅箔バリをエッチング除去する場合、エッチング液の吹き付け角度、圧力を適宜選択する。また、吸引により貫通孔に液を通して銅箔バリを溶解する方法も使用できる。
【0028】炭酸ガスレーザーは、赤外線波長域にある9.3〜10.6μmの波長が一般に使用される。出力 は特に限定しないが、好適には20〜60mJ/パルス にてパルス発振で、必要パルス(ショット)照射して銅箔及び絶縁層を加工し、孔をあける。貫通孔をあける場合、最初から最後まで20〜60mJ/パルス から選ばれるエネルギーを照射する方法、銅箔に孔あけした後、エネルギーを下げて絶縁層を加工する方法等、いずれの方法でもよい。
【0029】銅張多層板の裏面には、孔が貫通した場合のレーザーによるレーザーマシーンのテーブルの損傷を防ぐために、単に金属板を配置することも可能であるが、表裏層の銅箔が薄い場合、好ましくは、樹脂層を銅張多層板の裏面銅箔と接着させ、その外側に、好適には金属板を一部樹脂と接着させて配置し、スル−ホール用貫通孔あけ後に金属板を剥離し、表裏の樹脂層はそのままにして表裏の孔周辺部及び内部の銅箔バリをエッチング除去してから樹脂層を溶解除去する。表裏層の銅箔が厚い場合には、孔あけ後に表裏の補助材料、又は酸化金属処理を除去し、エッチングを行う。
【0030】エキシマレーザーは、波長248 〜308μm 、YAGレーザーは、波長351〜355μmが一般に使用される。もちろん、最初に例えば、YAGレーザー或いはメカニカルドリルで銅箔に孔をあけておき、その後炭酸ガスレーザーで樹脂層を孔加工することも可能であり、孔加工方法については限定されるものではない。また、波長も必ずしも限定されるものではない。
【0031】加工された孔内部の表裏層の内側、内層銅箔表面には1μm程度の樹脂層が残存する場合が殆どである。この樹脂層を、エッチング前にデスミア処理等の一般に公知の処理で事前に除去が可能であるが、液が小径の孔内部に到達しない場合、内層の銅箔表面に残存する樹脂層の除去残が発生し、銅メッキとの接続不良になる場合がある。従って、より好適には、まず気相で孔内部を処理して樹脂の残存層を完全に除去し、次いで孔内部及び表裏の銅箔バリをエッチング除去する。
【0032】気相処理としては一般に公知の処理が使用可能であるが、例えばプラズマ処理、低圧紫外線処理等が挙げられる。プラズマは、高周波電源により分子を部分的に励起し、電離させた低温プラズマを用いる。これは、イオンの衝撃を利用した高速の処理、ラジカル種による穏やかな処理が一般には使用され、処理ガスとして、反応性ガス、不活性ガスが使用される。反応性ガスとしては、主に酸素が使用され、化学的に表面処理される。不活性ガスとしては、主にアルゴンガスを使用する。このアルゴンガス等を使用し、物理的な表面処理を行う。物理的な処理は、イオンの衝撃を利用して表面をクリーニングする。低紫外線は、波長が短い領域の紫外線であり、波長として、184.9nm、253.7nm がピークの短波長域の波長を照射し、樹脂層を分解除去する。孔内部は、通常の銅メッキを施すことも可能であるが、また銅メッキで孔内部を一部、好適には80%以上充填することもできる。
【0033】
【実施例】以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
【0034】実施例12,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン900部、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン100部を150℃で溶融させ、撹拌しながら4時間反応させ、プレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解した。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、油化シェルエポキシ<株>製)400部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN-220F、住友化学工業<株>製)600部を加え、均一に溶解混合した。更に触媒としてオクチル酸亜鉛0.4部を加え、溶解混合し、これに無機充填剤(商品名:焼成タルク、日本タルク<株>製)500部、及び黒色顔料8部を加え、均一撹拌混合してワニスAを得た。このワニスを厚さ100μmのガラス織布に含浸し150℃で乾燥して、ゲル化時間(at170℃)120秒、ガラス布の含有量が56重量%のプリプレグ(プリプレグB)を作成した。また、ガラス含有量44重量%のプリプレグCを作成した。
【0035】厚さ12μm、銅粒子の平均粒子径が0.5μmの電解銅箔を、上記プリプレグBを2枚重ねたものの上下に配置し、200℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形し、絶縁層厚み200μmの両面銅張積層板Dを得た(図1(1))。これの上下に回路を形成し、銅箔表面に黒色酸化銅処理を施して、上下に上記プリプレグCを各1枚配置し、その外側に平均粒子径3μm、厚さ12μmの電解銅箔を置き、同様に積層成形して4層の多層板Eを得た(図1(2)、(3))。
【0036】一方、金属化合物粉として酸化銅粉(平均粒子径:0.9μm)800部を、ポリビニルアルコールを水に溶解したワニスに加え、均一に攪拌混合してワニスFを得た。これを厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに厚さ25μmとなるように塗布、乾燥して、金属化合物含有量35vol%の補助材料Gを得た。また、裏面には上記ワニスFを厚み50μmのアルミニウムに厚さ25μmとなるように塗布、乾燥してバックアップシートHを得た。これらを多層板Eの上下に配置し、100℃、2kgfの圧力でラミネートし、この上から径100μmの孔を50mm角内の中央のフリップチップ搭載部6mm角内に144個直接炭酸ガスレーザーで、出力40mJ/パルス でまず1ショット、次に出力を28mJ/パルス にして6ショット照射して、70ブロックのスルーホール用貫通孔をあけた。一方、炭酸ガスレーザーで同じくフリップチップ搭載部の周囲に、孔径150μmの貫通孔を100個あけた(図1(4))。表層の補助材料樹脂層を剥離後、プラズマ装置の中に入れて処理した後、SUEP液を高速で吸引して、表裏銅箔の厚みを4μmとすると同時に内外層のバリを溶解除去した。デスミア処理後、銅メッキを15μm付着させ、同時に孔内部を93%充填した(図2(5))後、既存の方法にて回路(ライン/スペース=70/70μmを144個)、ボンディングパッド、ハンダボール用パッド等を形成し、少なくともボンディングパッド、ハンダボールパッド以外をメッキレジストで被覆し、ニッケル、金メッキを施し、プリント配線板を作成した。このプリント配線板の上にフリップチップを搭載し、裏面にはハンダボールを接合し、半導体プラスチックパッケージとした(図2(6))。評価結果を表1及び表2に示す。
【0037】実施例2融点67℃で酸価71mgKOH/g のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂をn-ブタノールに溶解した溶液の中に、金属化合物粉(SiO257wt%、MgO 43wt%、平均量子径:0.4μm)を加え、均一に攪拌混合してワニスIを得た。一方、実施例1のプリプレグCを1枚使用し、上下に厚さ12μm、平均粒子径1μmの電解銅箔を置き、同様に積層成形し、両面銅張積層板を得た。この板の表裏に回路を形成後、黒色酸化銅処理を施した後、上下に上記プリプレグCを各1枚配置し、その外側に7μの電解銅箔を重ね、同様に積層成形して4層板Jを作成した。このフリップチップを搭載する中央部の6mm角の外周部に孔径200μmの孔をメカニカルドリルであけ、この中に孔埋め樹脂(商品名;BT-S730B、三菱ガス化学<株>製)を充填し、110℃・1時間、更に160℃・3時間硬化してから、表層に残存した樹脂を研磨して除去した。
【0038】一方、上記ワニスIを4層板の表裏面に塗布乾燥して厚さ50μmとし、裏面の外側に離型剤付きのアルミニウムを配置し、この上から、炭酸ガスレーザーの出力35mJ/パルス にて5ショット照射して100μm貫通孔を、実施例1と同様に内層銅箔を貫通する形態であけた。裏面の樹脂層をそのままにしてアルミニウムを剥離除去し、表層の補助シートもそのままにして、酸性エッチング液を高速で孔あけした孔部に吹きつけ、表層及び内層の銅箔バリをエッチング除去し、その後表裏の酸性ポリエステル樹脂を水酸化ナトリウム水溶液で溶解除去してから、過マンガン酸カリ水溶液にて処理を行なって、全体に銅メッキを行い、上記200μm孔上のメッキ部にボールパッドを作成するようにして同様にプリント配線板とし、フリップチップ搭載、ハンダボールを接続し、半導体プラスチックパッケージを作成した。評価結果を表1及び表2に示す。
【0039】実施例3実施例2の4層板Jを用い、外周部は実施例2と同様に操作して孔あけ、樹脂埋めし、中央の6mm角内にYAGレーザーで孔径45μmの貫通孔を144個あけ、プラズマ処理を行い、デスミア処理後、実施例2と同様に銅メッキしてプリント配線板を作成し、半導体プラスチックパッケージとした。評価結果を表1及び表2に示す。
【0040】比較例1実施例2の銅張板を用い、表面に何も付着せずに炭酸ガスレーザーで同様に孔あけを行なったが、孔はあかなかった。
【0041】比較例2実施例1の多層板を用い、表面の銅箔上をマジックで黒く塗り、その上から孔径100μmの孔を炭酸ガスレーザーのエネルギー40mJ/パルス にて同様のショット数で孔あけを行なったが、銅箔に孔は形成できなかった。
【0042】比較例3エポキシ樹脂(商品名:エピコート5045)2,000部、ジシアンジアミド70部、2ーエチルイミダゾール2部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解し、更に実施例1の絶縁性無機充填剤を800部加え、攪拌混合して均一分散してワニスKを得た。これを厚さ100μmのガラス織布に含浸、乾燥して、ゲル化時間140秒(at170℃),ガラス含有量55重量%のプリプレグL、ゲル化間180秒、ガラス含有量43重量%のプリプレグMを得た。このプリプレグLを2枚使用し、両面に厚さ12μm、平均粒子径3μmの電解銅箔を置き、190℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形して両面銅張積層板Nを得た(図3(1))。この積層板Nに孔径250μmの貫通孔をドリル径250μmのメカニカルドリルであけ、デスミア処理後に銅メッキを15μm付着させ、その両面に回路を形成し、黒色酸化銅処理後、その両面にプリプレグMを各1枚置き、その外側に厚さ12μm、平均粒子径3μmの銅箔を配置し、同様に積層成形した。この表裏の半導体チップ搭載範囲6mm角内に孔径150μmでビア孔形成用の孔を144個銅箔をエッチング除去してあけ、炭酸ガスレーザーのエネルギー15mJ/パルス で3ショット照射し、フリップチップ搭載部の外周部にも同様に同一の孔径のビア孔を100個あけた。その後SUEP処理を行わず、また気相処理も行わずデスミア処理を施し、通常の銅メッキを施して、同様にプリント配線板を作成し、フリップチップを搭載して半導体プラスチックパッケージとした。評価結果を表1及び表2に示す。
【0043】比較例4実施例1の多層板を用い、ドリル径250μmのメカニカルドリルにて、回転数10万rpm にて同様に貫通孔をあけた。SUEP処理を行わず、デスミア処理を1回施し、その後、通常の方法で銅メッキを行い、プリント配線板を作成した。評価結果を表1及び表2に示す。
【0044】比較例5実施例1において、両面銅張板Dを用い、内層のスルーホールとなる箇所の銅箔を孔径100μmとなるように上下銅箔をエッチング除去し、回路を形成した後、銅箔表面を黒色酸化銅処理して、その外側にプリプレグCを置き、その外側に厚さ12μm、平均粒子径3μmの電解銅箔を配置し、同様に積層成形して4層板を作成した(図4R>4(1))。この多層板を用い、貫通孔を形成する表面の位置に孔径100μmの孔を、銅箔をエッチングしてあけた。同様に裏面にも同じ位置に孔径100μmの貫通孔をあけ、表面から炭酸ガスレーザーで、出力15mJ/パルスにて6ショットかけ、スルーホール用貫通孔をあけた(図4(2))。後は比較例4と同様にして、SUEP処理を行わずに、デスミア処理を1回行い、銅メッキを15μm施し(図4(3))、表裏に回路を形成し、同様にプリント配線板を作成した。評価結果を表1及び表2に示す。
【0045】
【表1】


【0046】
【表2】


【0047】<測定方法>1)表裏孔位置のズレ及び孔あけ時間各実施例、比較例において、244孔/ブロックとして258ブロック(62、952孔)をレーザー及びメカニカルドリルで孔あけを行ない、1枚の銅張板に 孔をあけるに要した時間、及び表裏ランド用銅箔と孔とのズレ、及び内層銅箔のズレの最大値を示した。
2)回路パターン切れ、及びショート実施例、比較例で、孔のあいていない板を同様に作成し、ライン/スペース=70/70μm の櫛形パターンを作成した後、拡大鏡でエッチング後の200パターンを目視にて観察し、パターン切れ、及びショートしているパターンの合計を分子に示した。
3)ガラス転移温度DMA法にて測定した。
4)スルーホール・ビア孔・ヒートサイクル試験各スルーホール孔にランド径250μmを作成し、900孔を表裏又はビア孔上下を交互につなぎ、1サイクルが、260℃・ハンダ・浸せき30秒→室温・5分 で、200サイクルまで実施し、抵抗値の変化率の最大値を示した。
5)ランド周辺銅箔切れ孔周辺に径150μmのランドを形成した時の、ランド部分の銅箔欠けを観察した。
6)耐マイグレーション性(HAST)孔壁間150μm、孔径100μm以下のスルーホールをそれぞれ独立して1個ずつつなぎ、これを平行に50個つないで、100セット作成し、130℃、85%RH、1.8VDCにて所定時間処理後に、取り出し、スルーホール間の絶縁抵抗値を測定した。
7)プレッシャークッカー処理後の電気絶縁性L/S=70/70μmで回路を形成し、銅箔表面を黒色酸化銅処理を行い、その上にそれぞれの積層で使用したプリプレグを置き、積層成形した後、これを121℃・203kPaで処理後、取り出してから25℃・60%RHで2時間処理してから、500VDC印加60秒後に抵抗値を測定した。
【0048】
【発明の効果】孔径25〜200μmを有する、少なくとも3層以上の銅箔層を有する多層プリント配線板において、少なくとも1孔以上レーザーで孔あけし、各銅箔層を全てスルーホール導体で接続した形態の高密度のプリント配線板に関する。特に孔径80〜180μmの孔あけにおいて、多層板の銅表面に直接、好適には20〜60mJ/パルスから選ばれた高出力のエネルギーの炭酸ガスレーザーを照射して銅箔を孔あけする際に、炭酸ガスレーザーが照射される銅張板の銅箔表面に、孔あけ補助材料として、少なくとも、融点900℃で、且つ結合エネルギー300kJ/mol以上の金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉を3〜97vol%含む樹脂組成物よりなる樹脂塗膜或いは熱可塑性フィルム片面に樹脂層を付着させたシートを配置して銅箔面と接着させるか、或いは銅箔表面に酸化金属処理を施して、この上から炭酸ガスレーザーを直接照射して貫通孔あけを行ない、銅箔の厚みが厚い場合、次いで貫通孔部に張り出している内外層銅箔バリをエッチング除去すると同時に、表層の銅箔の厚みを3〜7μmにしてから、補助材料を除去し、デスミア処理を行い、更に銅メッキを施して得られる銅張多層板を用いてプリント配線板を製造することにより、スルーホール貫通孔において、銅張板の表裏の孔とランド銅箔とのズレもなく、ビルドアップ法に比較して簡単に、経済性よく高密度のプリント配線板を製造することができ、さらに厚み3〜7μmの薄い銅箔を使うことにより、その後の銅メッキでメッキアップして得られた表裏銅箔の回路形成においても、ショートやパターン切れ等の不良発生もなく高密度のプリント配線板を作成でき、信頼性に優れたものを得ることができた。更には熱硬化性樹脂として、多官能性シアン酸エステル樹脂組成物を使用することにより、得られた多層プリント配線板は、プレッシャークッカー処理後の電気絶縁性、耐マイグレーション性、耐熱性等に優れたものが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の多層板の炭酸ガスレーザーによるスルーホール用貫通孔あけの(1)〜(4)の工程図である。
【図2】実施例1の両面銅張多層板の炭酸ガスレ−ザーによる貫通孔あけ後の SUEPによるバリ除去とパルス銅メッキ(5)、及びフリップチップを搭載した半導体プラスチックパッケージの製造工程図である。
【図3】比較例3の両面銅張多層板の内層板のドリルによる貫通孔あけ、銅メッキ、回路形成(2)、及び炭酸ガスレーザーによるビア孔あけ、通常の 銅メッキ、回路形成したプリント配線板の工程図である。(SUEP処理なし)。
【図4】比較例5の両面銅張多層板の炭酸ガスレーザーによる孔あけ及び銅メッキの工程図である。(SUEP無し)。
【符号の説明】
a 両面銅張積層板
b 銅箔
c プリプレグC
d 回路
e 4層板
f 炭酸ガスレーザーによって形成した孔径100μmの貫通孔
g 炭酸ガスレーザーによって形成した孔径150μmの貫通孔
h 発生した銅箔のバリ
i パルス銅メッキ
j フリップチップ
k バンプ
l メッキレジスト
m ハンダボール
n スルーホール
o 銅メッキされたブラインド孔
p 位置ズレした内層銅箔
q SUEP処理を行わずに銅メッキされた貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 孔径が25〜200μmの孔を有し、かつ少なくとも3層以上の銅箔層を有する多層銅張板において、少なくとも1孔以上をレーザーで孔あけし、銅箔各層の接続がすべて銅箔各層を貫通するスルーホールで行われていることを特徴とする高密度多層プリント配線板。
【請求項2】 銅箔を炭酸ガスレーザーで除去できるに十分なエネルギーを用いて、炭酸ガスレーザーのパルス発振により、直接炭酸ガスレーザーを照射し、少なくとも3層以上の銅箔層を有する多層板の銅箔に孔径80〜180μmの貫通孔を形成するために、銅箔表面に酸化金属処理を施すか、あるいは孔あけ用補助材料として、少なくとも、融点900℃以上で、且つ結合エネルギー300kJ/mol以上の金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉の1種或いは2種以上の成分を3〜97vol%含む有機物層を配置し、炭酸ガスレーザーを直接照射して、表裏層及び内層の銅箔に貫通孔をあけ、次いで表裏層銅箔及び内層銅箔の貫通孔部に張り出した部分を薬液にて溶解除去してから、銅箔表面の酸化金属処理、あるいは補助材料を除去し、銅メッキを施して得られる銅張多層板を用いることを特徴とする請求項1記載の高密度多層プリント配線板。
【請求項3】 炭酸ガスレーザーのエネルギーが、20〜60mJ/パルス から選ばれるエネルギーである請求項2記載の高密度多層プリント配線板。
【請求項4】 貫通部に張り出した表裏層及び内層の銅箔バリを薬液にて溶解除去すると同時に表裏層銅箔を厚さ方向に一部溶解除去することを特徴とする請求項2記載の高密度多層プリント配線板。
【請求項5】 少なくとも内層の銅箔が、該銅箔を構成する粒子の平均粒子径が1μm以下である請求項1、2、3又は4記載の高密度多層プリント配線板。
【請求項6】 多層銅張板の銅箔層を支える基材が熱硬化性樹脂を含み、該熱硬化性樹脂が、多官能性シアン酸エステル化合物、該シアン酸エステルプレポリマーを必須成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1記載の高密度多層プリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2001−7478(P2001−7478A)
【公開日】平成13年1月12日(2001.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−171645
【出願日】平成11年6月17日(1999.6.17)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】