説明

修正された応力プロファイルを示す衣類

衣類が衣類着用中に示す応力プロファイルを修正する重合体フィルム組成物を含有する衣類の如き製品を包含。そのような重合体フィルムを布に結合させることで布/フィルム積層物を生じさせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2008年1月15日付けで出願した米国出願番号61/021,241の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、修正された応力プロファイルを包含する衣類の如き製品に関し、そのような衣類には体形成形用衣類および運動能力向上用衣類が含まれる。そのような製品または衣類は、1層以上の材料、例えば布および/またはポリウレタンフォームなどをポリウレタン尿素組成物と組み合わせて含有する。
【背景技術】
【0003】
衣類は多種多様な機能を与え、そのような機能には、これらに限定するものでないが、暖かさ、ファッションおよび心地よさが含まれる。体形成形用衣類の2つの目的には支持および心地よさが含まれ、それらのいずれにももう一方が理由で妥協が生じ得る。心地よさが低下する1つの理由は、体形成形または支持の目的で考案された衣類がしばしば当該衣類の着用者に高い圧力を及ぼす領域を有することにある。例えば、ある材料の帯がある人の回りに巻かれていて前記帯が幅広い部分と狭い部分を有すると仮定した場合、その帯の力は帯の長さ方向の範囲内で同じではあるが、しかしながら、その力は帯の幅広い部分の方が狭い部分に比べてむらなく分布する。その結果として、狭い部分が体に接触している地点にかかる圧力の方が高くなる。
【0004】
そのように圧力が高い領域が生じる結果として着用者が不快になる可能性がある。従って、当該衣類が示す応力プロファイルを修正して圧力を再分配することでそのような欠点を克服する衣類が求められており、それには、必要に応じて追加的支持を与えることおよび着用者の心地よさを高くすることが含まれる。
【0005】
体形成形用衣類、例えば発泡体を積層させた衣類などを用いた時に経験する別の問題は、布の伸びである。これは特に発泡体を積層させたワンピースブラジャーの場合に問題になる。布の伸びが防止されるように衣類の中の応力を再分配または制御する方法を提供する必要性が存在する。
【発明の要約】
【0006】
いくつかの態様における製品は、衣類を包含する製品であり、これは、
(a)布の各部分がある応力プロファイルを有する1つ以上の布部分、および
(b)修正された応力プロファイルを有する布積層物を形成するように1つ以上の布部分に結合している1つ以上の重合体フィルム、
を含有する。そのような衣類は、着用者の心地よさが高くなることに加えて布の伸びが低下するようにデザインすることが可能である。
【0007】
ウイング部分を有するブラジャーを包含する衣類であって、前記ウイング部分が狭い片の形状もしくは形態、三角形の形状または前記ウイング部分と幾何学的に逆の形状の重合体フィルムを含有する衣類。
【0008】
1対の乳房カップを限定している材料の層と前記カップの間に位置するブリッジのアセンブリを含有していて、前記アセンブリが少なくとも前記乳房カップの形状を限定するように鋳込みされた材料の1番目および2番目の層を含有して成り、前記乳房カップの各々が前記ブリッジから側周囲に向かって伸びる下方周囲を含有しかつ前記側周囲が前記下方
周囲から前記乳房カップの各々の上部に伸びておりかつ場合により前記乳房カップにストラップが付いていてもよいブラジャーであって、ポリウレタン尿素分散体の鋳込みに続く乾燥で得られたポリウレタン尿素を含有する重合体フィルムが前記乳房カップの前記下方および側周囲の各々のいずれかまたは両方に隣接した状態で前記アセンブリの材料の前記層の中に埋め込まれているか或はそれらに接着しているブラジャー。
【0009】
また、修正された応力プロファイルを包含する衣類を製造する方法も包含させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1に、幾何学的に逆の重合体フィルムを含有する布部分を示す。
【図2】図2に、幾何学的に逆の重合体フィルムを含有する布部分を示す。
【図3】図3に、重合体フィルムの狭い片を含有する布部分を示す。
【図4】図4に、重合体フィルム領域を下方および側周囲に沿って含有するブラジャーを示す。
【図5】図5に、重合体フィルム領域を含有するブラジャーを示す。
【図6】図6に、重合体フィルム領域を含有するブラジャーを示す。
【図7】図7に、重合体フィルム領域を含有するブラジャーを示す。
【図8】図8に、三角形の重合体フィルム領域を含有する布部分を示す。
【図9】図9に、三角形の重合体フィルム領域を含有する布部分を示す。
【図10】図10に、重合体フィルム領域を含有するパンティーを示す。
【図11】図11に、重合体フィルム領域を含有するパンティーを示す。
【図12】図12に、基質上の重合体フィルムを示す。
【図13】図13に、2個の基質の間に位置する重合体フィルムを示す。
【図14】図14に、重合体フィルム領域を含有する布部分を示す。
【図14A】図14Aに、重合体フィルム領域を含有する多層布部分を示す。
【図15】図15に、重合体フィルム領域を含有する布部分を示す。
【図15A】図15Aに、重合体フィルム領域を含有する多層布部分を示す。
【図16】図16に、図14Aの線X−Xに沿った多層布断面図を示す。
【図17】図17は、重合体組成物と積層させた衣類が示したゆがみ%のグラフ図である。
【図18】図18は、対照布を重合体フィルムと比較したグラフ図である。
【図19】図19は、応力/歪み分析のグラフ図である。
【図20】図20は、応力/歪み分析のグラフ図である。
【発明の詳細な説明】
【0011】
本発明の目的で、布に関する用語“応力プロファイル”は、布にかかる物理的圧力、引張り力または他の力であると定義し、それは、衣類全体に渡るいろいろな地点で測定可能な多種多様な力に相当する。そのような応力プロファイルは如何なる布にも観察され、例えば衣類で用いられている布などに観察され得る。ある布が示す応力プロファイルの一例は、体形成形用衣類に関して知られる例であり、その場合、その衣類にかかる応力または圧力は衣類を着用している時の着用者の動きが理由で変化するであろう。別の例は、支持用衣類、例えばブラジャーなどに関する例であり、その場合、カップ部分の下部にかかる応力の方がカップ部分の上部にかかるそれよりも高い可能性がある。
【0012】
本発明の目的で、用語“幾何学的に逆”に布と積層させたフィルムが有する幾何学的形状がその布に関して回転させた形状と同じである態様を包含させることを意味する。そのフィルムの大きさは前記布部分より大きいか、小さいか或は同じであってもよい。それに、また、これらに限定するものでないが、フィルムと布の大きさおよび寸法がそれぞれ当該フィルムおよび布が示すモジュラスと逆比例するように考案した場合も包含させる。
【0013】
本明細書で用いる如き用語“非線形”は直線以外の形を包含する。それには、これらに限定するものでないが、湾曲形、弧形および波形が含まれる。
【0014】
本明細書で用いる如き用語“狭い片”は、長さが少なくとも幅の2倍である長さと幅を有する形状を指す。その長さは多様であり、それを取り付ける衣類の大きさに依存する。
【0015】
本明細書で用いる如き用語“多孔質”は、当該基質の表面または厚みの中または厚みを貫くいずれかの地点に空隙または穴を含有する基質または本発明の製品を接触させることができる材料のいずれかを指す。
【0016】
本明細書で用いる如き用語“プレス”または“プレスされた”は、ある製品が実質的に平らな構造物をもたらすように熱および/または圧力を受けたことを指す。
【0017】
本明細書で用いる如き用語“発泡体”は、布構造物で用いることができる適切な発泡体のいずれか、例えばポリウレタンフォームなどを指す。
【0018】
本明細書で用いる如き用語“分散体”は、分散相が微細な粒子で構成されておりかつ連続相が液体、固体または気体であってもよい系を指す。
【0019】
本明細書で用いる如き用“水性ポリウレタン分散体”は、水性媒体、例えば水(脱イオン水を包含)などの中に分散している少なくともポリウレタンもしくはポリウレタン尿素重合体もしくはプレポリマー(例えば本明細書に記述するポリウレタンプレポリマー)を含有しかつ場合により溶媒を含有していてもよい組成物を指す。
【0020】
本明細書で用いる如き用語“溶媒”は、特に明記しない限り、非水性媒体を指し、そのような非水性媒体には有機溶媒が含まれ、それには揮発性有機溶媒(例えばアセトン)およびいくらか低揮発性の有機溶媒(例えばMEKまたはNMP)が含まれる。
【0021】
本明細書で用いる如き用語“無溶媒”または“無溶媒系”は、当該組成物または分散している成分の大半が溶媒の中に溶解も分散もしていない組成物もしくは分散体を指す。
【0022】
本明細書で用いる如き用語“製品”は、分散体もしくは成形品と基質、例えば織布などを含有して成る製品を指し、それはある程度ではあるが本明細書に記述する如き分散体または成形品が付着していることが理由で少なくとも1種の弾性を示し得るか或は示さない可能性もある。そのような製品の形態は適切な如何なる形態であってもよく、例えば一次元、二次元および/または三次元であってもよい。
【0023】
本明細書で用いる如き用語“布”は、編み、織りもしくは不織材料を指す。編布は横編み、丸編み、縦編み、ナローエラスティック(narrow elastic)およびレースであってもよい。織布は如何なる構造の布であってもよく、例えば朱子織り、あや織り、平織り、オックスフォード織り、バスケット織りまたはナローエラスティックなどであってもよい。不織材料は、メルトブローン、スパンボンデッド、ウエットレイド、梳いた繊維が基になったステープルウエブなどであってもよい。
【0024】
本明細書で用いる如き用語“ハードヤーン”は、実質的に非弾性のヤーンを指す。
【0025】
本明細書で用いる如き用語“鋳込み”品は、製品もしくは成形品の形状がかけた熱および/または圧力に反応して変化する結果としてもたらされた製品を指す。
【0026】
本明細書で用いる如き用語“から生じさせた”は、ある物質を別の物から生じさせることを指す。例えば、分散体を乾燥させることでフィルムを生じさせることができる。
【0027】
本明細書で用いる如き用語“モジュラス”は、ある品目の単位線形密度もしくは面積当たりにかかる応力(力で表す)の比率を指す。
【0028】
本明細書で用いる如き用語“布の伸び”に布が経時的または着用時に伸びて回復しない(即ち弾性を示さない)自然な傾向を包含させることを意味する。
【0029】
本発明の目的で、用語“重合体フィルム”、“重合体溶体”および“重合体分散体”を重合体の実質的に二次元または比較的平らな層を記述する目的で互換的に用いるが、その重合体は場合により水または溶媒に入っていてもよくかつ支持用基質に付着している必要があるか或は必要はない。
【0030】
本明細書で用いる如き用語“布積層物”は、少なくとも1層の布層と少なくとも1層の重合体層を含有していてそれらが一緒に付着または結合している多層製品を指す。その付着させる方法には、これらに限定するものでないが、糊付け、加熱、加圧およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0031】
衣類を言及する時に本明細書で用いる如き用語“運動能力向上”は、当該衣類の着用者の疲労を低下させるか或は運動能力を維持する衣類を指す。例えば、運動選手は疲労を低下させそして/または競争運動能力を維持する目的で競争中に運動能力向上用衣類を着用する可能性がある。
【0032】
いくつかの態様における衣類は、衣類が示す応力プロファイルを修正する重合体フィルムを含有する衣類である。それには、応力を衣類全体に渡って等しく分布させることばかりでなく追加的支持が必要な場合に“応力勾配”をもたらすことが含まれる。そのような応力勾配によって、衣類の布の中の応力が例えば応力が低い方の領域から応力が高い方の領域に再分配されるように前以て選択しておいた応力を有する領域が生じる。応力勾配の一例はブラジャーで用いるに有用である。当該重合体フィルムをブラジャーのカップの中に含有させることで前記カップの下部の応力が高く(支持の目的)かつ前記カップの上部
の応力が低い応力勾配を生じさせることができる。
【0033】
いくつかの態様の製品は、重合体フィルム、例えばフィルムまたは分散体の形態のポリウレタン尿素組成物などを少なくとも1層含有する。そのような製品は当該重合体フィルムを含有する層を少なくとも2層有する。そのような重合体フィルムは材料の層、例えば布または発泡体などに隣接してか或はそれらの間に位置していてもよくかつまた当該製品に伸びおよび回復、向上した弾性率、接着性、成形性、形状保持および柔軟性も与え得る。そのような製品を布および/または衣類に成形してもよい。
【0034】
多様な重合体がいくつかの態様の製品で用いるに有用であり、フィルム層を2層以上含めてもよい。それらには、ポリウレタン、ポリウレタン尿素、ポリオレフィンおよびこれらの組み合わせの重合体フィルムが含まれる。有用なポリオレフィン樹脂の例は、ExxonMobilから商標名VISTAMAXXの下で商業的に入手可能な樹脂、例えばVISTAMAXX(登録商標)1100およびVISTAMAXX(登録商標)2100などであり、それらを溶融させて成形することでフィルムにするか或は不織布として調製することも可能である。
【0035】
多種多様なポリウレタン尿素組成物がいくつかの態様のフィルムおよび分散体で用いるに有用である。例えば、いくつかの態様のフィルムは溶体、水性分散体または実質的に無溶媒の水性分散体から鋳込み可能である。そのような溶体または分散体は当該技術分野で数多く公知である。例えば、ポリウレタン尿素溶体、例えば商業的スパンデックス生産ラインから得た紡糸用溶体などを用いて本発明のいくつかの態様に従うフィルムの鋳込みを行うことができる。本発明で用いる有用な水性分散体およびそれらから鋳込みしたフィルムの具体例を本明細書の以下に記述する。
【0036】
当該製品が多層製品を包含する態様において、その多層製品は、1つの層がフィルムでありかつ前記フィルムが2つの布層の間、2つの発泡体層の間、布層と発泡体層の間または布層に隣接して位置する発泡体層に隣接して位置する中間層であってもよい3層以上を含有する。また、そのような布/発泡体/フィルム配置の組み合わせも意図する。例えば、そのような製品は順に布層、発泡体層、フィルム層、発泡体層および布層を含有していてもよい。この製品は個別の布層を2層、個別の発泡体層を2層およびフィルム層を含有する。このような態様のいずれにおいても、その重合体フィルムの代わりに重合体の溶体もしくは分散体を用いることも可能である。従って、そのような製品は重合体フィルムを1層以上および重合体分散体層を1層以上含有していてもよい。
【0037】
別の態様では、布もしくは発泡体の単層を折り畳むことで重合体フィルム、溶体もしくは分散体を中間層として有する多層製品の2層以上を生じさせることも可能である(この場合の前記フィルムは当該製品の中に‘埋め込まれている’と見なすことができる)。この態様では、その後、また、前記製品の鋳込みまたはプレスを行って所望形状物、例えば体形成形用衣類などを生じさせることも可能である。重合体フィルムを折り畳み地点に位置させる場合、テープを例えば縁にか或は体形成形用衣類に存在させて追加的伸び回復力を与えることで追加的支持をもたらすことも可能である。このことはまたアンダーバストブラジャーの如き衣類にも有用であり、その場合、前記フィルム/テープを位置させることで壁の強度および剛性を高くすることができかつ衣類が縁の所で丸まることがないようにすることが可能になる。また、本明細書の以下により詳細に記述する図16に示す如き二重層布が形成されるように当該重合体フィルムを単層の縁が合わさる地点に位置させることも可能である。また、折り畳む層の中に必要に応じて追加的布もしくは発泡体層を含有させることも可能である。例えば布層を折り畳むことで、重合体フィルムと発泡体がその折り畳まれた領域の中に含まれている2層を生じさせることも可能である。
【0038】
層を2層以上含有する態様では、当該ポリウレタン尿素組成物が外側層を形成するようにしてもよい。当該ポリウレタン尿素組成物を外側表面に含有させると数多くの有利な機能がもたらされる。例えば、当該ポリウレタン尿素組成物は、当該ポリウレタン尿素組成物を含有する製品と外側基質の間の相対的動きが低下するように摩擦力が向上したアンカーまたは領域を生じさせ得る。このことは、当該製品が皮膚接触面を含有する下着である時に特に有用である(この場合には着用者の皮膚が基質である)。別法として、その基質は、本発明の製品のポリウレタン尿素組成物と接触する外側衣服であってもよい。その基質が着用者の外側衣服でありかつ当該製品が下着として着用される場合、そのような製品は、外側衣類の相対的動きを防止または低下させる。加うるに、外側衣類(例えばドレス)にポリウレタン尿素組成物を含有させることで内側衣類(例えばスリップ)の相対的位置を維持することも可能である。
【0039】
そのように布、発泡体およびフィルムの層を選択した後、次に、それらをプレスもしくは鋳込みで接着させることで平らであるか或は形状を有する製品(三次元を有する製品、例えば鋳込みブラジャーカップなどを包含)を生じさせることができる。いくつかの態様のプレスおよび鋳込み製品を製造する方法は、圧力および熱を必要に応じて用いることを包含する。例えば、約150℃から約200℃または約180℃から約190℃(約185℃を包含)の熱を鋳込み製品が得られるに充分な時間かけてもよい。熱をかける適切な時間には、これらに限定するものでないが、約30秒から約360秒(約45秒から約120秒を包含)が含まれる。公知方法のいずれかを用いて結合を起こさせてもよく、そのような方法には、これらに限定するものでないが、マイクロ波、赤外、伝導、超音波、時間をかけて圧力をかけること(即ち締め付け)およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0040】
フィルムおよび布自身が多孔質材料であることとポリウレタン尿素フィルムもしくは分散体を含有させた製品に熱と圧力をかけることが理由で、そのようなフィルムまたは分散体はある程度または完全に当該製品の布または発泡体に染み込み得ると認識している。例えば、当該ポリウレタン尿素組成物は、取り巻く層からある程度分離した層を形成し得るか或はその取り巻く層1層もしくは2層以上に完全に移行することで、ポリウレタン尿素組成物層を区別することができるほどそれが分離していない一体式製品がもたらされ得る。
【0041】
本発明の多層製品が有する1つの用途は、体形成形用衣類、例えばブラジャー(特にカップまたはウイング)、他の女性用下着および男性用下着である。そのような製品は、体形成形および支持の好ましい特徴を与え得ると同時に更に心地良さ、通気性、空気透過性、水分/蒸気輸送、ウィッキングおよびこれらの組み合わせを与え得る。本発明のいくつかの態様の製品では、鋳込みもしくは成型品、例えばブラジャー構造物のカップなどのデザインに関して、それらの層に前以て決めておいた形状を持たせてもよくかつそれらを互いに関して前以て決めておいた配向に配列させてもよい。そのような布の層は単独でか或は他の材料と組み合わせて使用可能であり、それらを縫い込むか、糊付けするか或は他の様式で前記布に取り付ける。
【0042】
いくつかの態様におけるシステムは、布がもたらす一体型の形状成形能力を持つ衣類を構築するためのシステムである。そのような構築システムは、とりわけ、多種多様な衣類構造物、例えば活動着、スポーツウエア、男性用および女性用の肌に直接触れる衣類、例えばブラジャー、下着、パンティー、成形用衣類、レッグウエアおよび靴下、例えばパンティーストッキングなど、既製衣類、例えばデニムジーンズ、キャミソール、注文仕立てシャツおよびズボンなどで使用可能である。このような構築は形を成し得る体領域のいずれにも適用可能である。そのような布構造物が有する数多くの利点を含めたが、その有用性を衣類に限定するものでなく、また、成形可能もしくは形を成し得る媒体のいずれに関しても適用性を有し、それには、家具用クッション(これらもまた成形可能領域に接触し
た状態で布が移動しかつある程度の滑りを受ける)が含まれると更に認識している。
【0043】
当該製品に追加的支持および他の特徴を加える目的で、当該重合体フィルム組成物をそれのいろいろな領域に添加してもよい。例えば、それを当該製品の領域全体に渡って広げてもよいか或は選択した部分に広げることで異なる利点を得ることも可能である。例えば、ブラジャーのカップ部分にいくつかの態様の層状布を含めてもよい。ブラジャーのカップの場合、それは支持の目的でカップの下方部分に入れるフィルムの一部、しとやかさの目的でカップの中心部分、成形の目的で側部分または飾りまたは装飾の目的で特定の領域に入れるフィルムの一部として用いるに有用であり得る。
【0044】
本図の各々で当該重合体フィルムを単に明瞭さの目的で個別の層として示す。付着状態の重合体フィルムは当該布または発泡体基質が有する孔をある程度または完全に満たしていてもよい。
【0045】
図1−3、8−9および14−15に、実質的に台形の形状を有する布部分を示す。そのような形状物は考察するようにブラジャーのウイング部分として用いるに有用である。その布部分はブラジャーのウイング部分を指してはいるが、しかしながら、それを衣類の他の領域で用いることも可能であり、これは、当該布が示す応力プロファイルを修正する目的で重合体フィルムを布の形状に関してどのように配向させることができるかを示す一例を実例として示すものである。その布部分と重合体フィルム部分の両方に多様な幾何学的形状を持たせることができることを意図し、その幾何学的形状は、応力プロファイルを所望通り修正することを基にして選択可能である。応力を衣類全体に渡って分布させることで心地よさをもたらすか或は衣類のある部分の応力を高めて追加的制御または支持をもたらす目的でそのような修正を行ってもよい。
【0046】
図1に示すように、重合体フィルム組成物2を衣類の一部、例えばブラジャーのウイング部分1(これの形状は実質的に台形である)などの上に幾何学的に逆に位置させてもよく、そしてそれを台形として示す。ウイング部分の縁を越えて重なり合うように伸びている隅部4を折り畳むか或は重合体フィルムの形状になるように切断してもよい。
【0047】
別法として、また、図2にもウイング部分1の上に幾何学的に逆に位置させた重合体フィルム組成物2を示すが、しかしながら、そのフィルムの形状は実質的にウイング部分の形状と同じであるが、図1に示した重なり合う隅部4がなくても修正された応力プロファイルがもたらされるように大きさを小さくする。
【0048】
図1または図2のいずれに示す布部分1も幅広い末端部とより短い末端部を有する台形を包含するウイングであってもよい。重合体フィルム2もまた幅広い末端部とより短い末端部を有する。その重合体フィルムのより短い末端部が前記布部分の幅広い末端部に対応して位置しそして前記重合体フィルムの幅広い末端部が布部分のより短い末端部に対応して位置する。
【0049】
また、図8および図9にも布部分1と結合している重合体フィルム領域2を有する布部分1を示す。図8および図9の各々に示す重合体フィルム領域の形状は三角形である。
【0050】
図3に示すように、衣類、例えばウイング1などが示す応力プロファイルを修正する別の方法は、重合体フィルムの狭い片2を含める方法である。その示した重合体フィルムは実質的に線形であるように見えるが、それを応力プロファイルが修正されるように選択した様式に応じて非線形の形状に変えることも可能であると理解する。フィルム2は示すようにウイング1の縁にまで伸びていてもよいか或はウイング1の中間部の所で始まりかつ終結していてもよい。フィルム2は斜め方向に沿って配向していてもよい(図3に見られ
るように)か或はウイングの縁に対して垂直に位置していてもよい。
【0051】
言い換えれば、布部分は上部、中間部および下部を有していてもよく、当該重合体フィルムをその布部分が有する2つ以上の部に隣接させて配向させる。その重合体フィルムを布部分の上部から布部分の下部に向かう斜め方向に沿ってか、布の中の別の部分の所の斜め方向に沿って配向させるか或は布部分に対して垂直に位置させてもよい。
【0052】
図4に、衣類の応力プロファイルが修正されるように重合体フィルムを含有させることができる衣類の一例としてブラジャーを示す。このブラジャーはウイング部分1および2個のカップ部分6および10を含有する。そのカップ部分6はカップ6の下部周囲に沿って位置する重合体フィルム8を含有する。もう一方のカップ部分10は、側周囲12に沿って位置する重合体フィルムを含有する。その側周囲フィルム12および下部周囲フィルム8を一緒または個別に用いて衣類が示す応力プロファイルを調整することで成形および支持をもたらすことができる。ブラジャーを例として示したが、これを体の他の成形可能領域、例えば尻などに適用することも可能であると理解する。
【0053】
また、図5にもアンダーワイヤー部分18を含有するブラジャーを示す。そのアンダーワイヤー部分もまたブラジャーの中の潜在的圧力点原因になる。重合体フィルム14および16を加えてアンダーワイヤー部分18に起因する応力プロファイルを修正することで追加的心地よさおよび支持の片方または両方を与えることができる。
【0054】
図4−7に示すブラジャーはストラップが含まれている背中留め型ブラジャーであるように見えるが、そのストラップは任意でありかつ前留め(示していない)をカップとカップの間の領域(14)の所に含めることも可能であると理解する。
【0055】
図6に示すブラジャーは、2個のカップ部分20を含有し、それらの各々がカップの内側部分に重合体フィルム部分22を有する。フィルム部分22を含めることでカップ部分20が示す応力プロファイルを修正するが、フィルム部分22の幅は、フィルム部分22がカップの上部24(ここの幅の方が示すように広い)からカップの内側部分26に向かうにつれて変わり得る。それと逆の構造を図7に示し、この場合には、カップ部分20に含まれるフィルム部分28の幅は、カップの上部30の所の狭い部分からカップの下部内側部分32に向かって変化する。ブラジャーのその領域が示す応力プロファイルを修正することで締め付け点を回避することができると同時に必要に応じて支持または強化を与えることができる。所望効果を達成する目的で、フィルム部分22および28に他の幾何形状または構造配置を持たせることも意図する。
【0056】
図10および図11の各々にパンティー34を示し、これはいろいろなフィルム部分36、37、38および40を含有する。応力プロファイルが低下した衣類がもたらされるようにフィルム領域36を図10に示す如くウエストバンドの所に位置させることでウエストバンドが衣服を通して見える度合を低くすることができる。その衣類の前方または後方の中の重合体フィルム36の幅を変えることで、締め付け点を生じさせている圧力を低下させるか或は支持の度合が高まるように圧力プロファイルを修正することも可能である(例えば腹部制御をもたらすことなどで)。同様に、レッグバンド36および37の所のフィルム部分の幅を変えて応力を後方部分に沿って分布させることで、衣服の下のパンティーラインとして表れ得る締め付け点を低下させることができる(例えば後方部分37に沿ってフィルムの幅を広くすることなどで)。図11には、例えば腹部制御または妊婦用パンティーに有用な支持を与えることなどで追加的制御をもたらし得るいろいろな幾何形状の重合体フィルム領域40を含める。
【0057】
図12に示すように重合体フィルム領域1のいずれも単一の表面2の上に含めてもよく
、その場合の表面2は布、発泡体または衣類に適した他の基質のいずれであってもよい。別法として、図13に示すように重合体フィルム2を2つの表面、例えば布、発泡体などの間に含めることも可能であり、その場合には、上部表面層1および下部表面層3を含める。
【0058】
図14および図15に布を折り畳むことを利用する2つの可能性を示し、前以て選択しておいた折り畳み線42に沿って折り畳むと上部表面層1および下部表面層2が生じる。図14および図15に折り畳み方向を矢印で示す。下部表面層3の縁を合わせることで図14Aおよび図15Aに示す如きバットシーム5を生じさせる。その地点で縁5をフィルム領域2に付着または結合させてもよい。
【0059】
図16は、図14Aに示した如き線X−Xの所のバットシーム断面図である。そのシーム5は、折り畳んだ後に結合または接着させる布もしくは他の基質の縁を示している。重合体フィルム領域2を上部表面1、下部表面3または上部と下部表面の両方に結合させてもよい。その折り畳み部分42が結合前に層の配向を示すように示したが、しかしながら、その布が充分に薄い場合、その断面は実質的に線形に見えるであろう。また、その結合させたフィルム2が布の折り畳み部分42まで伸びていなくてもよいことを示すように空間部44を示したが、しかしながら、結合技術に応じてその空間部44は存在しない可能性がある、と言うのは、当該フィルムを溶融させるとその有効空間部が満たされる可能性があるからである。
【0060】
ポリウレタン尿素組成物を本明細書に記述する如き水性分散体からフィルムまたは分散体として付着させる時に望まれる効果に応じて、そのフィルム中の重合体に持たせる重量平均分子量は約40,000から約150,000に及んで多様であり得るが、それには約100,000から約150,000および約120,000から約140,000が含まれる。
【0061】
いくつかの態様では、当該重合体フィルムを接着剤として作用させることで2層以上の布または発泡体を付着させるか或は布層を発泡体に付着させてもよい。それを達成する適切な1つの方法は、適切ないずれかの方法を用いて分散体を層に付着させる方法である。いくつかの態様の分散体を付着させる方法には、噴霧、キッシング(kissing)、印刷、はけ塗り、浸漬、詰め、分与、計量およびこれらの組み合わせが含まれる。その後に熱および/または圧力をかけてもよい。
【0062】
ポリウレタン尿素分散体を付着させる同じ方法を用いて接着剤を付着させることでフィルムを布または発泡体層に接着させることができる。接着剤の例には、熱硬化性もしくは熱可塑性接着剤、感圧接着剤、ホットメルト接着剤およびこれらの組み合わせが含まれる。そのような接着剤を用いていろいろな層を接着させることができ、そしてそれらを布、発泡体またはポリウレタン尿素フィルムもしくは分散体のいずれかに付着させてもよい。その上、また、いくつかの態様では、水性ポリウレタン尿素分散体を接着剤として用いることでも布、発泡体またはポリウレタン尿素フィルムのいずれかの層の2層以上を記述したようにして接着させることができる。別法として、当該重合体フィルムを衣類の中に縫い付けることも可能である。
【0063】
上述したように、本発明の製品に関して用いるに有用な布構造物は多様である。その上、そのような態様のいずれにおいても、当該ポリウレタン組成物はフィルムまたは分散体のいずれであってもよい。加うるに、当該ポリウレタン尿素組成物は構造的特性、柔軟性、接着性またはそれらの任意組み合わせを示し得る。層配置の順は(1)布層、発泡層、ポリウレタン尿素組成物層、(2)布層、発泡層、ポリウレタン尿素組成物層、発泡層、布層、(3)布層、ポリウレタン尿素組成物層、布層、(4)発泡層、ポリウレタン尿素
層、発泡層、(5)発泡層、ポリウレタン尿素層、(6)布層、ポリウレタン尿素層であってもよいか、或は布構造物の中により多くの層を達成する目的で組み合わせてもよいそれらの任意組み合わせであってもよい。それらの層のいずれかを接着させる目的で接着剤を含めることも可能であり、それには、当該ポリウレタン尿素組成物が接着剤である場合が含まれる。
【0064】
いくつかの態様の布に関して多種多様な繊維およびヤーンを用いることができる。それらには、綿、羊毛、アクリル樹脂、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、スパンデックス、再生セルロース、ゴム(天然もしくは合成)、竹、絹、大豆またはこれらの組み合わせが含まれる。
【0065】
本発明のいくつかの態様で用いるに有用な水性ポリウレタン分散体を以下により詳細に記述する個々のウレタンプレポリマーから生じさせる。
【0066】
ウレタンプレポリマー、即ちキャップドグリコールは一般にポリオールとポリイソシアネートと中和時に塩を形成する能力を有する化合物の反応生成物であると見なすことができ、その後、そのプレポリマーを水に分散させて鎖延長を起こさせる。そのようなプレポリマーの製造は典型的に溶媒の有り無しで1段階以上の段階で実施可能である。そのプレポリマーを揮発性が低い方の溶媒(例えばMEKまたはNMP)(これは分散体中に残存したままになる)に溶解させるか、揮発性溶媒、例えばアセトンなど(これは後で除去可能である)に溶解させるか、或は溶媒を全く用いないで水に分散させるかに応じて、その分散工程は実際上溶媒工程、アセトン工程またはプレポリマー混合工程として分類分け可能である。プレポリマー混合工程は環境的および経済的に有利であり、従って、また、本発明に示す水性分散体を生じさせるための基本的工程として用いるにも有用である。
【0067】
プレポリマー混合工程では、そのプレポリマーの粘度が溶媒による希釈無しに輸送および水中への分散に充分なほど低いことが重要である。1つの態様における本発明は、プレポリマー中にも分散体中にも全く有機溶媒を存在させないでそのような粘度要求に合致するプレポリマーから生じさせたポリウレタン分散体に関する。本発明に従うそのようなプレポリマーは、ポリオール(a)とジイソシアネート(b)とジオール化合物(c)の反応生成物である。しかしながら、また、有機溶媒を含有するプレポリマーも意図する。
【0068】
本発明では安定な水性ポリウタン分散体を生じさせることができ、それを通常技術で加工して被覆、接着および基質に積層させるための接着性材料として直接(即ち追加的接着性材料を全く用いる必要なく)付着させることができる。本発明の範囲内に入る水性ポリウレタン分散体を揮発性有機材料の使用有り無しで生産に受け入れられる硬化時間で最終製品が実際上の用途で良好な接着強度、耐熱性および伸び/回復特性を示すように生じさせることができる。
【0069】
接着剤であるか或は接着剤でなくてもよいポリウレタン尿素重合体フィルムを剥離紙で覆ってもよく、それによって、それの水性分散体を基質(織布を包含)への接着および積層で用いることができる。熱および/または圧力を基質と接着性フィルムに保持時間が1分以内、例えば約15秒から約60秒になるようにかけることで接着を活性化させることができる。そのようにして接着させた製品は良好な伸び/回復特性を示しかつ通常の着用および洗濯サイクルに耐久性を示すと予測する。
【0070】
本発明に従うウレタンプレポリマーを生じさせる時に出発材料として用いるに適したポリオール成分は、数平均分子量が約600から約3,500のポリエーテルグリコール、ポリカーボネートグリコールおよびポリエステルグリコールである。
【0071】
使用可能なポリエーテルポリオールの例には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフランおよび3−メチルテトラヒドロフランの開環重合および/または共重合または各分子中の炭素原子数が12未満の多価アルコール、好適にはジオールもしくはジオール混合物、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールなどの重縮合で生じたヒドロキシ基数が2以上のグリコールが含まれる。線状の二官能ポリエーテルポリオールが好適であり、本発明では特に分子量が約1,700から約2,100のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、例えば官能性が2のTerathane(登録商標)1800(Invista)などが好適である。
【0072】
使用可能なポリエステルポリオールの例には、脂肪族ポリカルボン酸と各分子中の炭素原子数が12以下の低分子量のポリオールもしくはこれらの混合物の重縮合で生じたヒドロキシ基数が2以上のエステルグリコールが含まれる。適切なポリカルボン酸の例は、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸である。ポリエステルポリオールの製造で用いるに適したポリオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。溶融温度が約5℃から約50℃の線状二官能ポリエステルポリオールが好適である。
【0073】
使用可能なポリカーボネートポリオールの例には、ホスゲン、クロロ蟻酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリルカーボネートと各分子中の炭素原子数が12以下の低分子量の脂肪族ポリオールもしくはこれらの混合物の重縮合で生じたヒドロキシ基数が2以上のカーボネートグリコールが含まれる。ポリカーボネートポリオールの製造で用いるに適したポリオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。溶融温度が約5℃から約50℃の線状二官能ポリカーボネートポリオールが好適である。
【0074】
本発明に従うウレタンプレポリマーを製造する時に別の出発材料として用いるに適したポリイソシアネート成分(b)は、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)と2,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を4,4’−MDIと2,4’−MDI異性体の比率が約65:35から約35:65の範囲、好適には約55:45から約45:55の範囲、より好適には約50:50であるように含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)異性体混合物であり得る。適切なポリイソシアネート成分の例には、Mondur(登録商標)ML(Bayer)、Lupranate(登録商標)MI(BASF)およびIsonate(登録商標)50 O,P’(Dow Chemical)が含まれる。
【0075】
本発明に従うウレタンプレポリマーを生じさせる時にさらなる出発材料として用いるに適したジオール化合物(c)には、(i)ポリイソシアネートb)と反応し得るヒドロキシ基を2個および(ii)中和時に塩を形成する能力を有しかつ前記ポリイソシアネート(b)と反応する能力を持たない少なくとも1種のカルボン酸基を有する少なくとも1種
のジオール化合物が含まれる。カルボン酸基を有するジオール化合物(c)の典型的な例には、2,2−ジメチロプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロブタン酸、2,2−ジメチロ吉草酸およびDMPA開始カプロラクトン、例えばCAPA(登録商標)HC 1060(Solvay)などが含まれる。本発明ではDMPAが好適である。
【0076】
そのようなプレポリマーの調製は、出発材料(a)、(b)および(c)を1段階で一緒に混合して約50℃から約100℃の温度であらゆるヒドロキシ基が本質的に消費されかつイソシアネート基の所望NCO%が達成されるに充分な時間反応させることで実施可能である。別法として、そのようなプレポリマーの調製を最初に出発材料(a)を過剰量の(b)と反応させた後に成分(c)とプレポリマーの最終的所望NCO%が達成されるまで反応させることによる2段階で実施することも可能である。例えば、NCO%の範囲は約1.3から約6.5、例えば約1.8から約2.6などであってもよい。反応前にも反応中にも反応後にも有機溶媒を出発材料に添加することも混合することも行わないことが重要である。場合により、触媒を用いることでプレポリマーの生成を助長してもよい。
【0077】
本発明の1つの態様のプレポリマーは成分(a)、(b)および(c)を含有して成り、それらをプレポリマーの総重量を基準にして下記の範囲の重量パーセントで一緒にすることで準備する:
成分(a)を約34%から約89%、
成分(b)を約59%から約10%、そして
成分(c)を約7.0%から約1.0%。
【0078】
本発明の別の態様におけるプレポリマーは、Terathane(商標)1800ポリエーテルグリコールを成分(a)として含有し、Mondur(商標)MLジイソシアネートを成分(b)として含有しかつ2,2−ジメチロプロピオン酸(DMPA)を成分(c)として含有する。そのような態様の範囲内で前記成分を例えばプレポリマーの総重量を基準にして下記の範囲の重量パーセントで存在させてもよい:
a)Terathane(登録商標)1800ポリエーテルグリコール:約61%から約80%、
b)Mondur(登録商標)MLジイソシアネート:約35%から約18%、および
c)2,2−ジメチロプロピオン酸(DMPA):約4.0%から約2.0%。
【0079】
成分(a)、(b)および(c)から生じさせたプレポリマーが示す体積粘度(全く溶媒の存在無し)は、落球法を用いて40℃で測定して、約6,000ポイズ未満、例えば約4,500ポイズ未満などである。そのようなプレポリマーはカルボン酸基を重合体鎖に沿って含有し、高速分散装置を用いてそれを脱イオン水媒体[酸と一緒にイオン性塩を形成する少なくとも1種の中和剤(d)、少なくとも1種の表面活性剤(イオン性および/または非イオン性分散剤もしくは界面活性剤)および場合により少なくとも1種のジアミン系鎖延長成分(f)を入れておいた]の中に分散させてもよい。別法として、そのような中和剤を前記プレポリマーと混合した後に前記水媒体の中に分散させることも可能である。そのプレポリマーを分散させる前、分散中または分散後の水性媒体に少なくとも1種の消泡剤および/または脱泡剤および好適には少なくとも1種の流動調整剤を添加してもよい。
【0080】
酸基を塩基に変化させるに適した中和剤(d)の例には、第三級アミン(例えばトリエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびトリエタノールアミン)およびアルカリ金属の水酸化物(例えば水酸化リチウム、ナトリウムおよびカリウム)が含まれる。また、第一級および/または第二級アミンを酸基用中和剤として用いることも可能である。中和の度合を一般に酸基
の約60%から約140%、例えば約80%から約120%などの範囲にする。
【0081】
適切なジアミン系鎖延長剤(f)の例には、1,2−エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,2−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、メタ−テトラメチルキシレンジアミンおよび分子量が500未満のJeffamine(登録商標)(Texaco)が含まれる。
【0082】
適切な表面活性剤の例には、アニオン性、カチオン性または非イオン性分散剤もしくは界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エトキシル化ノニルフェノールおよび臭化ラウリルピリジニウムが含まれる。
【0083】
適切な消泡もしくは脱泡または泡制御剤の例には、Additive 65およびAdditive 62(Dow Corningのシリコーンが基になった添加剤)、FoamStar(登録商標)I 300[Cognisの鉱油が基になった脱泡剤(シリコーンを含有しない)]およびSurfynol(商標)DF 110L(Air Products & Chemicalsの非イオン性界面活性剤である高分子量のアセチレン系グリコール)が含まれる。
【0084】
適切な流動調整剤の例には、疎水修飾エトキシレートウレタン(HEUR)、疎水修飾アルカリ膨潤性乳液(HASE)および疎水修飾ヒドロキシ−エチルセルロース(HMHEC)が含まれる。
【0085】
ポリウレタン尿素重合体の重量平均分子量を調節する目的で少なくとも1種の単官能ジアルキルアミン化合物または単官能アルコールをイソシアネート基用ブロッキング剤(e)として当該プレポリマーを分散させている間または後の水媒体に加えてもよい。例えば、そのようなブロッキング剤を当該プレポリマーを分散させた直後の水混合物に添加してもよい。場合により、重合体1モル当たり少なくとも3個以上の第一級および/または第二級アミノ基を有する少なくとも1種の重合体成分(g)(MW > 約500)を当該プレポリマーを分散させそして当該ブロッキング剤を添加した後の水媒体に加える。
【0086】
適切な単官能ジアルキルアミンであるブロッキング剤(e)の例には、N,N−ジエチルアミン、N−エチル−N−プロピルアミン、N,N−ジイソプロピルアミン、N−t−ブチル−N−メチルアミン、N−t−ブチル−N−ベンジルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−エチル−N−イソプロピルアミン、N−t−ブチル−N−イソプロピルアミン、N−イソプロピル−N−シクロヘキシルアミン、N−エチル−N−シクロヘキシルアミン、N,N−ジエタノールアミンおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが含まれる。当該プレポリマーを水に分散させる前のそれが有するイソシアネート基に対するアミン系ブロッキング剤のモル比が一般に約0.05から約0.50、例えば約0.20から約0.40の範囲になるようにすべきである。脱ブロッキング反応で触媒を用いることも可能である。
【0087】
単官能アルコール系ブロッキング剤(e)の例には、炭素数が1から18の脂肪族および脂環式第一および第二アルコール、フェノール、置換フェノール、分子量が約750未満(分子量が500未満を包含)のエトキシル化アルキルフェノールおよびエトキシル化脂肪アルコール、ヒドロキシアミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルで置換されている第三級アミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルで置換されている複素環式化合物およびこれらの組み合わせが含まれ、それにはフルフリルアルコール、テトラ
ヒドロフルフリルアルコール、N−(2−ヒドロキシエチル)スクシニミド、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、メタノール、エタノール、ブタノール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、ベンジルアルコール、オクタノール、オクタデカノール、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−ジメチルアミノエタノールおよび4−ピペリジンエタノールおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0088】
適切な重合体成分(g)の例には、ポリエチレンイミン、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アリルアミン)およびポリ(アミドアミン)デンドリマーが含まれる。
【0089】
いくつかのポリウレタン尿素分散体で用いるに有用な抗黄色化合物には、脂肪族または芳香族のイソシアネート(単官能)、脂肪族ジイソシアネートまたはこれらの組み合わせが含まれる。
【0090】
抗黄色モノイソシアネートの例には、脂肪族モノイソシアネート、脂環式イソシアネートが含まれる。具体的には式R−N=C=O[式中、Rは脂肪族または脂環式、例えばエチル−、プロピル−、ブチル−、ペンチル−、ヘキシル、シクロヘキシル−などである]で表される化合物ばかりでなく芳香族モノイソシアネートが含まれる。脂肪族ポリイソシアネートをポリウレタン用途で用いると芳香基が存在しないことが理由で黄色化の度合が低下した。本発明では、モノイソシアネートを芳香族ポリイソシアネートを用いて調製したポリウレタン尿素分散体に添加するが、その結果として、驚くべきことに、その分散体の鋳込みに続く乾燥で得られるフィルムが示す黄色化の度合が有意に低い組成物がもたらされる。黄色化は環境もしくは工程条件、例えばとりわけ熱、NO2およびUVなどにさらされる結果として起こる可能性がある。
【0091】
適切なモノイソシアネートの非限定リストには、1−メチル−デシルイソシアネート、2−クロロエチルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、2−メチルシクロヘキシルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、3−クロロプロピルイソシアネート、3−イソプロペニル−a,a−ジメチルベンジルイソシアネート、3−メチルシクロヘキシルイソシアネート、4−メチルシクロヘキシルイソシアネート、6−クロロヘキシルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、シクロヘプチルイソシアネート、シクロヘプチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、シクロヘキサンメチルイソシアネート、シクロオクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、イソシアナト酢酸n−ブチルエステル、イソプロピルイソシアネート、n−ヘプチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、ノニルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ペンチルイソシアネート、フェネチルイソシアネート、トランス−4−メチルシクロヘキシルイソシアネート、α−メチルベンジルイソシアネート、(3−イソシアナトプロピル)トリエトキシシラン、6−イソシアナトヘキサン酸エチル、3−イソシアナトプロピオン酸エチル、1−テトラデシルイソシアネートおよびこれらの組み合わせが含まれる。適切な芳香族モノイソシアネートの例には、フェニルイソシアネートが含まれ、これは単独または他の芳香族または脂肪族イソシアネートと組み合わせて使用可能である。
【0092】
また、多種多様な脂肪族ジイソシアネートも抗黄色化合物として用いるに有用であり、単独または他の脂肪族ジイソシアネートまたはモノイソシアネートと組み合わせて使用可能である。
【0093】
場合により当該水性分散体もしくはプレポリマーに含有させてもよい他の添加剤には、抗酸化剤、紫外線安定剤、着色剤、顔料、架橋剤、相変化物質[即ち、Outlast Technologies(Boulder、コロラド)から商業的に入手可能なOut
last(商標)]、抗菌剤、鉱物(即ち銅)、ミクロカプセル封じされた安心な添加剤(即ち、アロエ、ビタミンEゲル、アロエ、昆布、ニコチン、カフェイン、香水または芳香剤)、ナノ粒子(即ちシリカまたは炭素)、炭酸カルシウム、難燃剤、抗粘着添加剤、耐塩素分解添加剤、ビタミン、薬品、香料、導電性添加剤および/または染色補助剤[即ち、E.I.DuPont de Nemours(Wilmington、Delaware)から商業的に入手可能なMethacrol(商標)]が含まれる。当該プレポリマーもしくは水性分散体に添加可能な他の添加剤には、接着促進剤、帯電防止剤、抗クレーター形成剤、抗クローリング剤、光学的光沢剤、合体剤、導電性添加剤、発光添加剤、流動および平滑化剤、凍結解凍安定剤、滑剤、有機および無機充填剤、防腐剤、テクスチャリング剤、サーモクロミック添加剤、昆虫忌避剤および湿潤剤が含まれる。
【0094】
当該工程の許容性に応じて、そのような任意の添加剤を当該プレポリマーを分散させる前、間または後の水性分散体に添加してもよい。その水性分散体に有機溶媒を如何なる時点にも添加しない。
【0095】
本発明の範囲内に入る水性ポリウレタン分散体の固体含有量は約10から約50重量%、例えば約30から約45重量%であると予測すべきである。本発明の範囲内に入る水性ポリウレタン分散体が示す粘度は、工程および用途の要求に応じて、約10センチポイズから約100,000センチポイズに及ぶ幅広い範囲に渡って多様であり得る。例えば、1つの態様における粘度は約500センチポイズから約30,000センチポイズの範囲内である。増粘剤を適切な量、例えば水性分散体の総重量を基準にして約0から約2.0重量%用いることで粘度を変えることも可能である。
【0096】
また、いくつかの態様のフィルムおよび分散体を生じさせる時に有機溶媒を用いることも可能である。そのような有機溶媒を用いてプレポリマーを溶解させて希釈することでそれの粘度を低くしそして/またはカルボン酸基を有するジオール化合物、例えば2,2−ジメチロプロピオン酸(DMPA)などの固体状粒子の分散を補助して分散体の品質を向上させることも可能である。それはまたフィルムの均一性を向上させる目的、例えば被覆工程における筋および亀裂を減少させる目的などでも使用可能である。
【0097】
そのような目的で選択する溶媒は、イソシアネート基と実質的にまたは全く反応せず、水の中で安定でありかつDMPA、DMPAとトリエチルアミンから生じた塩およびプレポリマーを良好に溶かす能力を有する。適切な溶媒の例には、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールN−ブチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−プロパノン(アセトン)および2−ブタノン(メチルエチルケトンまたはMEK)が含まれる。
【0098】
いくつかの態様のフィルム/分散体に添加する溶媒の量は多様であり得る。溶媒を含める場合、溶媒の適切な範囲には当該分散体の50重量%未満の量が含まれる。また、使用量をより少なくすることも可能であり、例えば当該分散体の20重量%未満、当該分散体の10重量%未満、当該分散体の5重量%未満、当該分散体の3重量%未満などにすることも可能である。
【0099】
有機溶媒を当該分散体の中に製造工程のいろいろな段階で取り込ませる方法は数多く存在し、例えば下記である。
1)重合が完了した後であるがプレポリマーを移送して分散させる前のプレポリマーに溶媒を添加して混合してもよく、その希釈されたプレポリマーはバックボーン中にカルボン酸基および鎖末端にイソシアネート基を含有し、それを中和した後、それを水に分散させながら鎖延長を起こさせる。
2)溶媒を他の材料、例えばTerathane(商標)1800、DMPAおよびLupranate(商標)MIなどと一緒に添加して混合することでプレポリマーを溶液中で生じさせた後、そのようにバックボーン中にカルボン酸基を含有しかつ鎖末端にイソシアネート基を含有するプレポリマーを溶液の状態で水に分散させると同時にそれの中和および鎖延長を起こさせる。
3)溶媒をDMPAとトリエチルアミン(TEA)の中和された塩と一緒に添加した後にTerathane(商標)1800およびLupranate(商標)MIと混合することでプレポリマーを生じさせた後、分散を起こさせてもよい。
4)溶媒をTEAと混合しそして次に生成プレポリマーに添加した後、分散を起こさせてもよい。
5)溶媒をグリコールと一緒に添加して混合し、続いて、溶液の状態の中和されたプレポリマーにDMPA、TEAそしてLupranate(商標)MIを順に添加した後、分散を起こさせてもよい。
【0100】
いくつかの態様の水性ポリウレタン分散体は特に接着性重合体フィルムで用いるに適し、そのような製品は、これに熱および圧力を比較的短時間かけることで布の結合、積層および接着の目的で使用可能である。圧力の範囲は、使用する結合方法に応じて、例えばほぼ大気圧から約60psiの範囲であり得、時間は約1秒未満から約30分の範囲であり得る。
【0101】
そのような重合体フィルムの作成は、当該分散体で剥離紙を被覆した後に乾燥を商業的に利用可能な方法で約100℃未満の温度で行って水を除去して前記剥離紙の上にフィルムを生じさせることで実施可能である。その生じさせたフィルムシートを細長く切ることで所望幅の片を生じさせそして後で伸縮製品、例えば織布などを成形する用途で使用する目的でスプールに巻き上げてもよい。そのような用途の例には、縫い目無しもしくは継ぎ目無し衣類構造物、継ぎ目の密封および補強、衣類に接着させるラベルおよびパッチ、および局所的伸び/回復の強化が含まれる。接着による結合を約100℃から約200℃、例えば約130℃から約200℃、例えば約140℃から約180℃の範囲の温度で0.1秒から数分、例えば約1分以内の時間で生じさせることができる。典型的な結合用機械はSew Free[SewSystems(Leicester、英国)から商業的に入手可能]、Macpi裾縫い機[Macpi Group(Brescia、イタリア)から商業的に入手可能]、Framis熱風溶着機[Framis Italy,sp.a.(ミラノ、イタリア)から商業的に入手可能]である。そのような結合部は織布衣類が繰り返し着用、洗濯および引き伸ばされた時でも強くかつ耐久性があると期待する。
【0102】
被膜、分散体または成形品に着色または色づけすることも可能であり、かつまたそれに関してデザイン要素として用いることも可能である。
【0103】
加うるに、フィルムもしくは分散体を積層させた製品に鋳込みを受けさせることも可能である。例えば、布に鋳込みを布中のハードヤーンに適した条件下で受けさせてもよい。鋳込みをまた成形品もしくは分散体が鋳込みを受ける温度であるがハードヤーンの鋳込みに適した温度より低い温度で実施することも可能である。
【0104】
重合体フィルムの層を基質に取り付けるに適した1つの方法は、熱またはエネルギーを積層物の表面にかけるいずれかの方法を用いる積層である。熱をかける方法には、例えば超音波、直接的加熱、間接的加熱およびマイクロ波が含まれる。そのような直接的積層は、成形品と基質の結合が物理的相互作用によるものばかりでなく化学結合によるものでもある点で、当該技術分野で用いられる他の方法を考慮すると利点を与えるものであり得る。例えば、基質が反応性水素官能基をいくらか有する場合、そのような基は当該分散体もしくは成形品が有するイソシアネートおよびヒドロキシル基と反応する可能性があり、そ
れによって前記基質と分散体もしくは成形品の間に化学結合が生じ得る。そのように当該分散体もしくは成形品が当該基質と化学結合を起こすことで結合がより強力になり得る。そのような結合を乾燥重合体フィルムを基質上で硬化させている時にか或は湿った状態の分散体の乾燥および硬化を1段階で起こさせている時に生じさせることができる。活性水素を持たない材料には、ポリプロピレン製布およびフルオロポリマーもしくはシリコーンが基になった表面を有するいずれも含まれる。活性水素を有する材料には、例えばナイロン、綿、ポリエステル、羊毛、絹、セルロース、アセテート、金属およびアクリル樹脂が含まれる。加うるに、酸、プラズマまたは別の形態のエッチングで処理された製品は接着で活性を示す水素を持ち得る。また、染料分子も結合で活性を示す水素を持ち得る。
【0105】
いくつかの態様の重合体フィルムを付着させる方法および手段には、これらに限定するものでないが、ロールコーティング(逆ロールコーティングを包含)、金属器具またはナイフの刃の使用(例えば分散体を基質の上に流し込んだ後に前記分散体を金属製道具、例えばナイフの刃などを用いて前記基質を横切るように広げることでそれの一体成型を均一な厚みになるように行う)、噴霧(例えばポンプスプレーボトルを使用)、浸漬、塗装、印刷、スタンピングおよび製品への含浸が含まれる。そのような方法を用いて分散体を基質にさらなる接着剤材料を用いる必要なく直接付着させることができ、そして追加的/より重質な層が要求される場合にはそれを繰り返してもよい。当該分散体を被覆、結合、積層および接着の目的で合成、天然または合成/天然混合材料で出来ている編み、織りもしくは不織布のいずれかに付着させることができる。当該分散体を加工中に乾燥(例えば空気乾燥またはオーブンの使用による)させることでそれに入っている水を除去して、沈澱して合体したポリウレタン層を布上に残存させることで接着結合を形成させることができる。
【0106】
本発明に従う分散体が布または他の製品に染み込む度合を制御するか或は最小限にする目的で場合により少なくとも1種の凝固剤を用いることも可能である。使用可能な凝固剤の例には、硝酸カルシウム(硝酸カルシウムの四水化物を包含)、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム(水和)、酢酸マグネシウム、塩化亜鉛(水和)および硝酸亜鉛が含まれる。
【0107】
分散体を付着させる時に使用可能な道具の例はナイフの刃である。そのナイフの刃は金属または他の適切な材料のいずれかで出来ていてもよい。そのナイフの刃に前以て決めておいた幅および厚みの溝を持たせてもよい。その溝の厚みは例えば0.2ミルから50ミル、例えば5ミル、10ミル、15ミル、25ミル、30ミルまたは45ミルなどの厚みの範囲であってもよい。
【0108】
当該フィルム、溶体および分散体に持たせる厚みは用途に応じて多様であり得る。乾燥重合体フィルムの場合の最終厚みは、例えば約0.1ミルから約250ミル、例えば約0.5ミルから約25ミル(約1から約6ミルを包含)の範囲であってもよい(1ミル=1インチの千分の1)。
【0109】
適切な厚みには、約0.5ミルから約12ミル、約0.5から約10ミルおよび約1.5ミルから約9ミルが含まれる。水性分散体の場合の使用量は、例えば約2.5g/mから約6.40kg/m、例えば約12.7から約635g/m(約25.4から約152.4g/mを包含)の範囲であってもよい。
【0110】
本発明の範囲内に入る分散体および重合体フィルムを用いて被覆可能な平らなシートおよびテープの種類には、これらに限定するものでないが、織布(織布および編布を包含)、不織布、レザー(実際または合成)、紙、金属、プラスチックおよびスクリムが含まれる。
【0111】
本発明の範囲内に入る分散体および重合体フィルムを用いて製造可能な最終製品には、これらに限定するものでないが、衣服(如何なる種類の衣類も衣服製品も包含)、編み手袋、室内装飾品、髪アクセサリー、ベッドシーツ、カーペットおよびカーペット裏地、コンベアベルト、医学用途、例えば伸縮性包帯など、パーソナルケア品目(失禁および女性衛生品を包含)および履物が含まれる。分散体で被覆された製品またはフィルムもしくはテープで覆われた製品は騒音防止製品として使用可能である。
【0112】
重合体フィルムに積層させた非弾性布は向上した伸びおよび回復および向上した鋳込み特性を示し得る。
【0113】
重合体フィルム、フィルム、テープまたは水性ポリウレタン分散体を含有する製品に鋳込みを受けさせることができる。基質と成形品、フィルム、テープまたは分散体の複数の層を用いてそのような製品を製造することができる。また、多層製品に鋳込みを受けさせることも可能である。鋳込みおよび非鋳込み製品が示す伸びおよび回復の度合は様々であり得る。鋳込み品には体形成形または体形支持用衣類、例えばブラジャーなどが含まれ得る。
【0114】
分散体および重合体フィルムを用いて製造可能な衣服もしくは衣類の例には、これらに限定するものでないが、下着、ブラジャー、パンティー、ランジェリー、水着、シェイパー(shapers)、キャミソール、靴下、寝間着、エプロン、ウエットスーツ、ネクタイ、手術着、宇宙服、ユニフォーム、帽子、ガーター、汗止めバンド、ベルト、活動着、上着、雨具、寒冷用ジャケット、ズボン、シャツ地、ドレス、ブラウス、男性および女性が上半身に着る服、セーター、コルセット、ベスト、ニッカーボッカー、ソックス、ハイソックス、ドレス、ブラウス、エプロン、タキシード、ビシュト、アバーヤ、ヒジャーブ、ジルバブ(jilbab)、トーブ(thoub)、ブルカ、ケープ、コスチューム、ダイビングスーツ、キルト、キモノ、ジャージ、ガウン、保護着、サリー、サロン、スカート、スパッツ、ストーラ(stola)、スーツ、ストレートジャケット、トーガ、タイツ、タオル、ユニフォーム、ベール、ウエットスーツ、医学用圧迫帯、包帯、スーツの芯地、ウエストバンドおよびそれらのあらゆる構成要素が含まれる。
【0115】
以下の実施例は実例を意味し、本明細書に記述する態様を限定するものでない。
【0116】
以下に、いくつかの態様の製品で用いるに有用な重合体フィルムの例を含める。また、本発明および比較実施例を包含する試験も含める。
【実施例】
【0117】
Terathane(登録商標)1800は、数平均分子量が1,800の線状ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)(INVISTA S.a.r.L.(Wichita、KS)から商業的に入手可能)であり、
Pluracol(登録商標)HP4000Dは、数平均分子量が400の線状第一ヒドロキシル末端ポリプロピレンエーテルグリコール(BASF(Bruxelles、ベルギー)から商業的に入手可能)であり、
Mondur(登録商標)MLは、2,4’−MDI異性体含有量が50−60%で4,4’−MDI異性体含有量が50−40%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)異性体混合物(Bayer(Baytown、TX)から商業的に入手可能)であり、
Lupranate(登録商標)MIは、2,4’−MDI異性体含有量が45−55%で4,4’−MDI異性体含有量が55−45%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)異性体混合物(BASF(Wyandotte、ミシガン)から商業的に入手
可能)であり、
Isonate(登録商標)125MDRは、4,4’−MDI異性体含有量が98%で2,4’−MDI異性体含有量が2%の高純度ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)混合物(Dow Company(Midland、ミシガン)から商業的に入手可能)であり、そして
DMPAは2,2−ジメチロプロピオン酸である。
【0118】
下記のプレポリマーサンプルは、2,4’−MDI含有量が高いMDI異性体混合物、例えばLupranate(登録商標)MIおよびMondur(登録商標)MLなどを用いて調製したサンプルであった。
【実施例1】
【0119】
プレポリマーの調製を窒素雰囲気のグローブボックス内で実施した。2000mlのPyrex(登録商標)ガラス製反応槽に空気圧駆動撹拌機、加熱用マントルおよび温度測定用熱電対を取り付けて、それにTerathane(登録商標)1800グリコールを約382.5グラムおよびDMPAを約12.5グラム仕込んだ。その混合物を撹拌しながら約50℃に加熱した後、Lupranate(登録商標)MIジイソシアネートを約105グラム添加した。次に、その反応混合物を連続撹拌しながら約90℃に加熱して約90℃に約120分間保持すると、その時間が経過した後の混合物のNCO%がイソシアネート末端基を有するプレポリマーの計算値(目標のNCO%は1.914)に合致する安定な値になるまで降下したことで反応が完了した。そのプレポリマーが示す粘度の測定をASTM D1343−69の一般的方法に従ってModel DV−8の落球粘度計[Duratech Corp.(Waynesboro、VA)が販売]を用いてそれを約40℃で操作することで実施した。そのキャップドグリコールプレポリマーが有するNCO基の重量パーセントに換算した総イソシアネート部分含有量の測定をS.Siggia、「Quantitative Organic Analysis via Functional Group」、第3版、Wiley & Sons、New York、559−561頁(1963)(これの開示は全体が引用することによって本明細書に組み入れられる)の方法を用いて実施した。
【実施例2】
【0120】
実施例1に記述した手順および組成に従って調製した如き無溶媒プレポリマーを用いて水性ポリウレタン尿素分散体を製造した。
【0121】
2,000mlのステンレス鋼製ビーカーに脱イオン水を約700グラム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を約15グラムおよびトリエチルアミン(TEA)を約10グラム仕込んだ。次に、その混合物を氷/水で約5℃に冷却した後、ローター/ステーター混合ヘッドが備わっている実験室の高せん断混合装置(Ross、Model 100LC)を用いて約5,000rpmで約30秒間混合した。実施例1と同様な様式で調製して金属製管状シリンダーに入れておいた粘性のあるプレポリマーを水溶液の状態で軟質配管に通して空気圧をかけることで前記混合ヘッドの下部に添加した。そのプレポリマーの温度を約50℃から約70℃の範囲に維持した。その押出されたプレポリマーの流れを水に約5,000rpmの連続混合下で分散させかつ鎖延長を起こさせた。約50分の間に全体で約540グラムの量のプレポリマーを水の中に導入して分散させた。そのプレポリマーを添加して分散させた直後、その分散させた混合物にAdditive 65[Dow Corning(登録商標)(Midland、ミシガン)から商業的に入手可能]を約2グラムおよびジエチルアミン(DEA)を約6グラム仕込んだ。次に、その反応混合物の混合を更に約30分間実施した。その結果として生じた無溶媒の水性分散体は乳白色で安定であった。その分散体にHauthane HA増粘剤剤900[Hauthway(Lynn、マサチューセッツ)から商業的に入手可能]を水性分散
体の約2.0重量%の濃度で添加して混合することでそれの粘度を調整した。次に、その粘性のある分散体を40ミクロンのBendix金属メッシュフィルターに通して濾過した後、フィルムの一体成型または積層で用いる目的で室温で貯蔵した。その分散体の固体量は43%で粘度は約25,000センチポイズであった。この分散体から一体成型したフィルムは柔らかで粘着性がありかつゴム弾性を示した。
【実施例3】
【0122】
製造手順は、DEAをプレポリマー混合後の分散体に添加しない以外は実施例2と同じであった。最初に、その分散体は実施例2で得たそれとは異ならないように見えた。
【実施例4】
【0123】
いろいろな積層フィルムを含有させた布に応力/歪み試験を受けさせた。
【0124】
試験方法 − 伸び、じん性およびゆがみ
フィルムが示す伸びおよびじん性特性の測定を動的引張り試験機Instronを用いて実施した。サンプルの大きさは以下に示す如くであった。サンプルをクランプの中に置いて、1分当たり200%の伸びから成る歪み速度で最大伸びに到達するまで引き伸ばした。フィルムが破れる直前のじん性および伸びを測定した。同様に、積層サンプルを1分当たり200%の歪み速度で0から50%伸びまで引き伸ばすことを5サイクル行うことでゆがみ%を測定した。4番目のサイクルの後にゆがみ%を測定した。
【0125】
サンプルAおよびBのフィルムは、実施例3の分散体の鋳込みで得たポリウレタン尿素フィルムである。サンプルD、K、LおよびMのフィルムは、実施例2の分散体の鋳込みで得たポリウレタン尿素フィルムであった。サンプルC、G、H、IおよびJのフィルムは、実施例2の分散体から得たフィルムの各側面に実施例3の分散体を鋳込むことで得た3層ポリウレタン尿素“サンドイッチ型”フィルムであった。サンプルEのフィルムおよびサンプルFの不織布の調製をExxonMobilから商標名VISTAMAXXの下で商業的に入手可能なポリプロピレンが基になった重合体を用いて行った。サンプルNはホットメルト糊をドットマトリックス配置で用いた比較実施例であった。
【0126】
Pacific Fabricを用いてある範囲のテープ(狭い片)およびフィルム改良品を布に結合させた。サンプル調製条件を以下の表1に記述する。布/重合体組成物サンプル各々の幅を63.5mmにした。
【0127】
【表1】

【0128】
前記サンプルにInstronを用いた試験を120%の伸びを3回受けさせるサイクル後に4回目の負荷を25グラムの力にして伸び(ゆがみ)の測定を行うことで受けさせた(図17に示す如く)。図17に示した如き1番目のサイクルのデータをサンプルA−Gに関しては図19に示しそしてサンプルH−Nに関しては図20に示す。このデータを評価することで、実施例2および3の分散体から調製したポリウレタン尿素フィルムを基礎布に取り付けるとそれが示す応力/歪み挙動が向上し得ることが分かるであろう。そのフィルムは力強さを増加させ、特に実施例3のフィルムを含有させたサンプル(A、B、C、G、H、IおよびJ)の場合に増加させる。このゆがみデータは、実施例3の組成物を含有させたフィルムを用いて積層させたウイングに引き伸ばしを受けさせた時にもたらされた回復(ゆがみ)および力強さ(負荷/負荷解放)は狭いブラジャーウイングを引き伸ばした時のそれに匹敵し得ることを示唆している。実施例3の組成物を含有させた積層ウイングが示す性能の方が積層布/発泡体構造を有する商業的ブラジャーウイングに比べて向上している可能性がある。
【実施例5】
【0129】
衣類が示す応力プロファイルを修飾した時の効果を立証する目的で、商業的に入手可能なブラジャーに表2に示す如きある範囲のフィルムおよび狭いフィルム/テープ改良品を用いた改良を受けさせた。そのようなフィルム/テープ改良品を形状が実質的に台形のブラジャーウイングに取り付けた。その商業的に入手可能なブラジャーはVictoria’s Secret:Secret Embrace Style6505、サイズ36Cであった。その衣類に適合性および着用性の試験を受けさせた。
【0130】
試験品12の重合体組成物は、実施例2の分散体の鋳込みに続く乾燥で得たポリウレタン尿素フィルムであった。試験品2、3、7、9−11、13および21の重合体組成物は、実施例3の分散体の鋳込みに続く乾燥で得たポリウレタン尿素フィルムであった。試験品1、4−7、15、18および19に、実施例2の分散体から得たフィルムの各側面に実施例3の分散体を鋳込むことで得た3層ポリウレタン尿素“サンドイッチ型”フィルムを含める。試験品8は、改良重合体組成物を含有しない対照である。試験品14および20に、Bemisから商業的に入手可能なポリウレタンフィルム(Bemis3410)を含める。試験品16のフィルムおよび試験品17の不織布は、ExxonMobilから商標名VISTAMAXXの下で商業的に入手可能なポリプロピレンが基になった重合体を用いて調製したそれらであった。
【0131】
【表2】

【0132】
試験品3と試験品8(対照)のフィルムをGebiom Dynamic Force
Sensorを用いて測定した圧縮力に関して比較した。測定をフィルムを衣類に結合させておいたブラジャーウイング中心部の所で行った。結果を図18に示す。対照衣類が示した力を試験品3に示すフィルムと結合させておいた衣類が示したそれと対比させて比較することで、前記フィルムを加えると衣類単独が示す圧縮力の約3倍の圧縮力がもたらされると結論付けた。このことから、厚みが半分の同様な組成を有するフィルムを用いると結果としてもたらされる圧縮力は当該衣類単独が示すそれにほぼ相当するであろうと推定した。その上、前記フィルムを用いると結果として当該衣類単独が示す圧縮力のほぼ2倍に相当する圧縮力がもたらされるであろうと期待することができるであろう。
【0133】
この情報を用いて、ブラジャーウイングの長さ方向に沿って体にかかる圧縮力が結果として等しくなるであろう衣類を構築する試みを行った。そのブラジャーウイングの形状は図1から3に示すように本質的に台形である。
【0134】
そのブラジャーウイングの幅は前部(ブラジャーを取り付ける場所)の方が背部(フックまたはかぎ留めを取り付ける場所)よりも広いことから、それを等しい伸びで着用した場合、そのブラジャーウイングの前部の力の方が高いであろう。心地よさを向上させる目的で、厚みが1.5ミルの逆台形ポリウレタン尿素フィルム(試験品10)を図1に示す如き台形のブラジャーウイングに結合させることで取り付けた。
【0135】
同様に、実施例3に示した厚みが3ミルの逆台形ポリウレタン尿素フィルムを用いてこれを台形のブラジャーウイングに結合させることで試験品11を作成したが、但しその台形を長さ方向に沿って半分に切断した、と言うのは、厚みが3ミルのフィルムが示す圧縮力はブラジャーウイングが示すそれの2倍であるからである。
【0136】
試験品18の調製を幅が10mmのフィルムであるテープを用いて行った。それを図3に示すようにカップの下部からフック/かぎ留めの上部に向かって斜め方向に結合させた。それによって持ち上げ手段がもたらされ、工学デザインおよび向上した力および回復力の配置によってブラジャーの心地よさおよび適合性が向上した。
【0137】
その結果としてもたらされたブラジャーに適合性と着用性の試験を受けさせた。試験品10、11および18の改良ブラジャーに関する適合性モデルによって心地よさと適合性が向上したことが立証された。
【0138】
本発明を例示様式で記述してきたが、用いた用語は限定ではなくむしろ本質的に言葉または説明の範疇であることを意図すると理解されるべきである。その上、本発明をいくつかの例示態様に関して説明してきたが、当業者はそのような教示を本発明の他の可能な変形に容易に適用するであろうと理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を含んで成る製品であって、
(a)布の各部分がある応力プロファイルを有する1つ以上の布部分、および
(b)修正された応力プロファイルを有する布積層物を形成するように1つ以上の布部分に結合している1つ以上の重合体フィルム、
を含有して成る製品。
【請求項2】
前記衣類が体形成形用衣類または運動能力向上用衣類である請求項1記載の製品。
【請求項3】
前記修正された応力プロファイルに応力および/または圧力の均一な分布が含まれる請求項1記載の製品。
【請求項4】
前記修正された応力プロファイルによって応力および/または圧力の勾配が生じたことで前記布積層物内の1つ以上の領域に支持が与えられている請求項1記載の製品。
【請求項5】
前記修正された応力プロファイルによって運動能力向上特性が与えられている請求項4記載の製品。
【請求項6】
前記布が単および多層から成る群より選択される構造を有する請求項1記載の製品。
【請求項7】
前記布が1層以上の布層および場合により1層以上の発泡体層を含有する多層構造を有する請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記布積層物が1層以上の布層、1層以上の発泡体層および1層以上の重合体フィルム層を含有する請求項1記載の製品。
【請求項9】
前記重合体フィルムがポリウレタン尿素フィルム、ポリウレタンフィルム、ポリオレフィンフィルムおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載の製品。
【請求項10】
前記重合体フィルムがポリウレタン尿素分散体の鋳込みに続く乾燥で得られたポリウレタン尿素フィルムである請求項1記載の製品。
【請求項11】
前記重合体フィルムがフィルム層を1層以上含有する請求項1記載の製品。
【請求項12】
前記重合体フィルムが前記布部分と同じ形状を有しかつ幾何学的に逆である請求項1記載の製品。
【請求項13】
前記布部分が幅広い末端部とより短い末端部を有する台形を含んで成り、
前記重合体フィルムもまた幅広い末端部とより短い末端部を有し、そして
前記重合体フィルムの前記より短い末端部が前記布部分の前記幅広い末端部に対応して位置しかつ前記重合体フィルムの前記幅広い末端部が前記布部分の前記より短い末端部に対応して位置する、
請求項1記載の製品。
【請求項14】
前記重合体フィルムが狭い片を含んで成り、
前記布部分が上部、中間部および下部を有し、そして
前記重合体フィルムが前記布部分が有する2つ以上の部に隣接して配向している、
請求項1記載の製品。
【請求項15】
前記重合体フィルムが狭い片を含んで成り、
前記布部分が上部、中間部および下部を有し、そして
前記重合体フィルムが前記布部分上で布部分の上部から布部分の下部に向かう斜め方向に沿って配向している、
請求項14記載の製品。
【請求項16】
前記重合体フィルムが斜め方向に沿って配向しているか或は前記上部または下部に対して垂直に位置する請求項14記載の製品。
【請求項17】
前記重合体フィルムが非線形片を含んで成る請求項14記載の製品。
【請求項18】
ウイング部分を有するブラジャーを含んで成る衣類であって、前記ウイング部分が狭い片の形態または前記ウイング部分と幾何学的に逆の形態の重合体フィルムを含有する衣類。
【請求項19】
前記狭い片が前記ウイング部分の中またはそれの縁に対して斜め方向に沿って配向している請求項18記載の衣類。
【請求項20】
1対の乳房カップを限定している材料の層と前記カップの間に位置するブリッジのアセンブリを含んで成っていて、前記アセンブリが少なくとも前記乳房カップの形状を限定するように鋳込みされた材料の1番目および2番目の層を含有して成り、前記乳房カップの各々が前記ブリッジから側周囲に向かって伸びる下方周囲を含有しかつ前記側周囲が前記下方周囲から前記乳房カップの各々の上部に伸びておりかつ場合により前記乳房カップにストラップが付いていてもよいブラジャーであって、ポリウレタン尿素分散体の鋳込みに続く乾燥で得られたポリウレタン尿素を含有する重合体フィルムが前記乳房カップの前記下方および側周囲の各々のいずれかまたは両方に隣接した状態で前記アセンブリの材料の前記層の中に埋め込まれているか或はそれらに接着しているブラジャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図14A】
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【図15】
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【図15A】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−510181(P2011−510181A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542435(P2010−542435)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/031042
【国際公開番号】WO2009/091853
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】