説明

修正液

【課題】 塗膜の乾燥が速く、経時的安定性(再分散性)が良好な修正液を提供すること。
【解決手段】 酸化チタンと液媒体と該液媒体に可溶なアクリル樹脂とから少なくともなる修正液において、前記液媒体が前記アクリル樹脂が可溶な炭化水素溶剤として、共に20℃における蒸発速度指数が700以上である、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤と溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素溶剤とを少なくとも含み、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤の方が溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素系溶剤よりも蒸発速度指数が小さいものである修正液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤字などを隠蔽消去する修正液に関し、特に塗膜乾燥性に優れた修正液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化チタンなどの隠蔽材と、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤と、該溶剤に可溶なアクリルなどの樹脂とより少なくともなる修正液が知られている(特許文献1参照)。
また、修正液は誤字などを修正して、その塗膜上に再筆記することがあり、その再筆記までの時間は短い方が好ましい。しかし、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤と該溶剤に可溶な樹脂を使用した修正液では、溶剤の蒸発速度が遅く、溶剤の蒸発に時間が掛かるために、塗膜上に再筆記できるまでに長時間待たなければならなかった。そこで、シクロヘキサンなどの蒸発速度の速い溶剤を使用する方法も提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭57−24765号公報
【特許文献2】特開平1−292074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
蒸発速度の速い溶剤を使用すると塗膜の乾燥途中に塗膜表面に薄い被膜が出来、この被膜の下の溶剤が蒸発しにくくなる。
ところで、樹脂とこれを溶解する溶剤とによる樹脂溶液からの溶剤の蒸発は、乾燥し始めには、溶剤が単独のときとほぼ同じ乾燥速度を示すが、溶剤の蒸発に伴い、蒸発速度は遅くなる。この傾向は溶剤と樹脂の溶解パラメーターが近いほど、より早い段階で起こり、更に溶剤が少なくなるほど、より蒸発速度は遅くなる。
有機溶剤と、これに可溶な樹脂との関係は、溶解パラメータが近いものということになるが、樹脂を溶解する有機溶剤として、溶解パラメーターが樹脂に近い溶剤を使用した修正液は、初期の乾燥速度は樹脂を溶解していない時と同等であるが、溶剤の蒸発とともに溶剤が樹脂に保持され、乾燥速度が遅くなる。また、この樹脂と溶剤の組み合わせは、樹脂の溶解性が良く樹脂分子が十分に広がり、酸化チタン表面に平らに吸着する。そのため分散性は良いが、液媒体中で酸化チタンを支えるものがないので、経時的に沈降し、ハードケーキを生成する。
一方、溶解パラメーターが樹脂から遠い溶剤を使用した修正液は、初期の乾燥速度は樹脂を溶解していない時と同等であり、この溶剤は樹脂に保持され難く、蒸発に伴う乾燥速度の低下が小さいので、蒸発後期の乾燥性低下も小さい。また、この樹脂と溶剤の組み合わせは、樹脂の溶解性が悪く、樹脂分子が十分に広がらない。そのため、酸化チタンの分散性が低下し、沈降し易くなるため、これもハードケーキを生成する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この改善策として、本発明は、酸化チタンと液媒体と該液媒体に可溶なアクリル樹脂とから少なくともなる修正液において、前記液媒体が前記アクリル樹脂が可溶な炭化水素溶剤として、共に20℃における蒸発速度指数が700以上である、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤と溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素溶剤とを少なくとも含み、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤の方が溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素系溶剤よりも蒸発速度指数が小さいものである修正液を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
解決しようとする問題点は、修正塗膜に再筆記出来るまで、長時間かかってしまうこと、及び経時的に酸化チタンが沈降し、ハードケーキを生成し、再分散できなくなることであるである。
ところで、本発明に使用するアクリル樹脂の溶解パラメーターは、おおよそ8.0から10.0であり、20℃における蒸発速度指数が700以上である、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤と溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素溶剤とを少なくとも含み、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤の方が溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素系溶剤よりも蒸発速度指数が小さいものとすることにより、乾燥のし始めでは、蒸発速度指数の大きい溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素系溶剤がより多く蒸発する。よって、蒸発が進むにつれて、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤の比率が高くなるため、溶解パラメーターが8.08以上8.1以下の炭化水素溶剤を単独で使用した時のような後期の蒸発速度の低下が小さく、乾燥初期から後期まで蒸発速度が速い修正液が得られる。
【0006】
また、顔料容積濃度を上げることにより、被膜中の樹脂の比率を下げることができ、皮膜に空隙をより多く形成することができるので、蒸発速度指数の高い溶剤を使用による乾燥途中に薄い皮膜が出来きて蒸発とともに乾燥速度が低下しやすいことを極力抑制できる。
更に、針状粒子を添加することにより、針状粒子が塗膜中で複雑に絡み合い、隠蔽材が密に重なるのを阻止し、被膜に開口する微細な多数の空隙を作る。その結果、更に塗膜の乾燥速度が速くなる。
【0007】
経時安定性においては、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤と溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素溶剤とを併用することにより、溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素溶剤を単独で使用した時より、樹脂の広がりは低下するが、酸化チタンは十分に分散することができる。しかし、樹脂が十分に広がらないため、酸化チタン表面に平らに吸着することはなく、酸化チタン表面には樹脂が吸着していない部分が多く存在し、その樹脂が吸着していない部分同士が接触する。
【0008】
炭化水素溶剤では、酸化チタン間の強い極性同士の力を壊すことが出来ないためその接触した状態が保たれる。その結果、酸化チタン粒子は凝集による弱いネットワークを形成するため、ハードケーキを生成することはなく、再分散良好な修正液が得られるものと推察される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、詳細に説明する。
修正液は、万年筆やボールペンなどの消しゴムで消去し難い筆跡や図形を隠蔽ために使用するもので、誤字などを覆い、必要であればその上に再筆記するものである。基本的な配合は、隠蔽材となる着色成分と、これの被筆記面に対する定着成分と、これらを溶解及び/又は分散する液媒体とよりなるものである。
【0010】
酸化チタンは、紙面として最も多い白色を考慮し、また、修正液として下地を覆い隠すために最も隠蔽力の高い白色顔料である。商品の具体例としては、TITONE SR−1(比重4.1)、同R−650(比重4.1)、同R−62N(比重3.9)、同R−42(比重4.1)、同R−7E(比重3.9)、同R−21(比重4.0)(以上、堺化学工業(株)製)、クロノスKR−310(比重4.2)、同KR−380(比重4.2)、同480(比重4.2)(以上、チタン工業(株)製)、タイピュアR−900(比重4.0)、同R−902(比重4.0)、同R−960(比重3.9)、同R−931(比重3.6)(以上、デュポン・ジャパン・リミテッド製)、TITANIX JR−301(比重4.1)、同JR−805(比重3.9)、同JR−603(比重4.0)、同JR800(比重3.9)、同JR−403(比重4.0)、JR701(比重4.1)(以上、テイカ(株)製)などが挙げられる。酸化チタンの添加量はインキ全量に対し30〜60重量%が好ましい。
【0011】
その他に、修正液塗膜の色調の調整や光沢の調整のために、カーボンブラック、酸化鉄、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、マイカ、ケイ酸アルミなどの顔料や使用する溶剤に不溶な樹脂粒子なども併用することもできる。その使用量は酸化チタンに対し0.01〜20重量%が好ましい。
【0012】
本発明において、溶剤はA群から選ばれた溶剤と、B群から選ばれた溶剤との少なくとも2種類の溶剤を併用し、且つA群から選ばれた溶剤の20℃おける蒸発速度指数が、B群から選ばれた溶剤の20℃における蒸発速度指数より低いことが必要である。
A群から選ばれた溶剤は溶解パラメーターが6.8〜7.4もので、その具体例としては、n−ヘキサン(20℃における蒸発速度指数1150、溶解パラメーター7.26)、2−メチルペンタン(20℃における蒸発速度指数1626、溶解パラメーター7.06)、3−メチルペンタン(20℃における蒸発速度指数1455、溶解パラメーター7.18)、2,2−ジブチルブタン(20℃における蒸発速度指数2486、溶解パラメーター6.83)、2,3−ジメチルブタン(20℃における蒸発速度指数1812、溶解パラメーター7.04)、2,2−ジメチルヘキサン(20℃における蒸発速度指数924、溶解パラメーター6.92)、2,4−ジメチルペンタン(20℃における蒸発速度指数861、溶解パラメーター7.02)、3,3−ジメチルペンタン(20℃における蒸発速度指数725,溶解パラメーター7.22)、2,2,3−トリメチルブタン(20℃における蒸発速度指数902、溶解パラメーター7.10)などが挙げられ、B群から選ばれた溶剤は溶解パラメーターが8.0〜8.1もので、その具体例としては、シクロペンタン(20℃における蒸発速度指数2003、溶解パラメーター8.08)、メチルシクロペンタン(20℃における蒸発速度指数1021、溶解パラメーター8.05)、シクロヘキサン(20℃における蒸発速度指数718、溶解パラメーター8.05)などが挙げられる。その使用量インキ全量に対し35〜60重量%が好ましい。また、A群から選ばれた溶剤とB群から選ばれた溶剤の比率はA群/B群=1/3〜3/1が好ましい。
【0013】
蒸発速度指数は溶剤の蒸発し易さを示す値で、酢酸ブチル(蒸発速度100)に対する蒸発速度の比で、下記式(数1)により算出される。
【0014】
【数1】

【0015】
上記溶解パラメーターは溶剤や樹脂などの溶解を特徴づける値で、下記式(数2)より算出される。
【0016】
【数2】

【0017】
この他に、乾燥速度の調整や乾燥途中の塗膜表面に薄い被膜が張るのを防止するためにメチルシクロヘキサン、ノルマルオクタン、エチルシクロヘキサン等を使用しても良い。これらは、単独もしくは混合して使用可能である。これらの溶剤使用量はインキ全量に対して20重量%以下が好ましい。
【0018】
上記炭化水素系溶剤に可溶なアクリル樹脂は、顔料の分散や修正液の紙面等への定着をもたらすものである。使用可能なモノマーはアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ノルマルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2メチル−2プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、オレイルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどが挙げられる。カチオン性のモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−2メチル−2プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジシクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,Nジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらのモノマー以外にも酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジルメタクリレートなどの共重合可能なビニルモノマーを含有することもできる。
【0019】
ここで、重量平均分子量とはGPC(Gel Permeation Chromatography)分析法による測定値であり、充填カラムとしてポリスチレン系ゲル系カラムを使用して、重量平均分子量を測定した値である。
【0020】
尚、塗膜の紙への密着性を考慮するとガラス転移点は−70℃〜50℃が好ましい。ガラス転移点とは高分子物質がガラス状からゴム状に変化する温度である。ガラス転移点は構成される樹脂モノマーのホモポリマーのガラス転移点とその重量分率から下式(数3)により算出される。
【0021】
【数3】

【0022】
本発明でいう顔料容積濃度は下記式(数4)で求められる。
【0023】
【数4】

【0024】
修正液の溶剤の蒸発速度を上げるためには、溶剤を保持しやすい樹脂は極力少ない方がよい。しかし、樹脂が少なくなると隠蔽材の紙面への定着性が低下し、更に、隠蔽材の経時的な沈降も大きくなる。そこで、樹脂の重量平均分子量を200000以上にし、顔料容積濃度を70%以上にすることにより、塗膜乾燥性、紙面への定着性、顔料の沈降防止の性能を併せ持つ修正液が出来る。
【0025】
針状粒子は乾燥塗膜中で複雑に絡み合うことで、塗膜中の空隙を大きくし、乾燥途中に塗膜表面に薄く乾燥被膜が出来ても溶剤の抜けを良くするため、及び塗膜強度を上げるために使用するものである。
具体的には、窒化ケイ素ウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ウィスカー状炭酸カルシウム、ウィスカー状酸化チタン、アルミナ径ウィスカー、マグネシアウィスカー、ムライトウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、ホウ化チタンウィスカー、アルミナ及びアルミナシリカ短繊維、シリカ短繊維、ジルコニアファイバー(短繊維)、カオリン系セラミックス短繊維などがあり、その添加量は、粒子の比重、長さにより異なるが、インキ全量に対し概ね2〜20重量%が好ましい。また、針状粒子の好ましい粒径(長径)は、3〜40μmである。
【0026】
また、顔料分散安定性の為に、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリカルボン酸高分子などの陰イオン性界面活性剤、ポリエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩などの分散剤を添加することが出来る。
【0027】
インキは上記各成分をボールミル、アトライター、サンドグラインダー、インペラー等の攪拌分散機を使用して分散混合することによって得られる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
樹脂(アクリル樹脂)の製造例
下記表1に記載の物質を、攪拌機、窒素ガス導入口、温度計、還流コンデンサーを設備した500mlの反応容器に仕込み、窒素ガス気流中、80℃にて7時間撹拌しながら重合させ、透明で粘ちょう性を有するポリマー成分を得た。
【0029】
【表1】

【0030】
実施例1
TITANIX JR701(酸化チタン、テイカ(株)製) 45.0重量部
ダイヤナールBR1122(アクリル樹脂、重量平均分子量180000、三菱レイヨン(株)製) 7.1重量部
2,4−ジメチルペンタン(20℃蒸発速度指数861、溶解パラメーター7.02)
13.0重量部
メチルシクロペンタン(20℃蒸発速度指数1021、溶解パラメーター8.05)
33.9重量部
BYK−108(界面活性剤、BYK−Chemie(独国)製) 1.0重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散処理し、顔料容積濃度65%の修正液を得た。
【0031】
実施例2
TITANIX JR301(酸化チタン、テイカ(株)製) 35.0重量部
ダイヤナールBR102(アクリル樹脂、重量平均分子量360000,三菱レイヨン(株)製) 4.7重量部
2−メチルペンタン(20℃蒸発速度指数1626、溶解パラメーター7.06)
12.5重量部
3−メチルペンタン(20℃蒸発速度指数1454、溶解パラメーター7.18)
12.5重量部
シクロペンタン(20℃蒸発速度指数2003、溶解パラメーター8.08)
25.0重量部
ウィスカルA(針状炭酸カルシウム、丸尾カルシウム(株)製) 9.0重量部
アンチゲル(界面活性剤、Bernd Schwegmann(独国)製)
1.3重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散処理し、顔料容積濃度75%の修正液を得た。
【0032】
実施例3
TITONE R62N(酸化チタン 堺化学工業(株)製) 50.0重量部
樹脂1(表1参照) 12.0重量部
2−メチルペンタン(20℃蒸発速度指数1626、溶解パラメーター7.06)
14.0重量部
3−メチルペンタン(20℃蒸発速度指数1454、溶解パラメーター7.18)
14.0重量部
シクロペンタン(20℃蒸発速度指数2003、溶解パラメーター8.08)
9.0重量部
デイスパロンPW36(界面活性剤、楠本化成(株)製) 1.0重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散処理し、顔料容積濃度80%の修正液を得た。
【0033】
実施例4
TITANIX JR701(酸化チタン、テイカ(株)製) 40.0重量部
樹脂2 7.7重量部
2−メチルペンタン(20℃蒸発速度指数1626、溶解パラメーター7.06)
12.0重量部
3−メチルペンタン(20℃蒸発速度指数1454、溶解パラメーター7.18)
11.9重量部
シクロペンタン(20℃蒸発速度指数2003、溶解パラメーター8.08)
23.9重量部
Anti−Terra−P(界面活性剤、BYK−Chemie(独国)製)
1.0重量部
ウィスカルA(前述) 3.5重量部
上記各成分をボールミルで24時間分散処理し、顔料容積濃度85%の修正液を得た。
【0034】
比較例1
実施例1より2,4−ジメチルペンタンを除き、メチルシクロペンタンを46.9重量部にした他は、実施例1と同様に成し修正液を得た。
【0035】
比較例2
実施例1より2,4−ジメチルペンタンを除き、n−ヘキサン(20℃蒸発速度指数1150、溶解パラメーター7.26)を13.0重量部にした他は、実施例1と同様に成し修正液を得た。
【0036】
比較例3
実施例1より2,4−ジメチルペンタン、メチルシクロペンタンを除き、n−ヘキサンを46.9重量部にした他は、実施例1と同様に成し修正液を得た。
【0037】
塗膜乾燥性試験
各実施例、比較例で得た修正液を250μアプリケーターで上質紙に塗布し、塗膜上にボールペンで筆記できた時間を塗膜乾燥時間とした。

【0038】
再分散性試験
各実施例、比較例で得た修正液を、ネジ口瓶(S−5、日電理化硝子(株)製)に10ml採取し、8mmφのステンレス製ボールを1個入れ、密栓をしたまま80℃にて1ヶ月放置する。その後、ネジ口瓶を振り、ボールが動くまでの回数を測定した。
【0039】
【表2】

【0040】
以上、詳細に説明したように、本発明の修正液は塗膜乾燥性が良く、再分散性も良い良好なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタンと液媒体と該液媒体に可溶なアクリル樹脂とから少なくともなる修正液において、前記液媒体が前記アクリル樹脂が可溶な炭化水素溶剤として、共に20℃における蒸発速度指数が700以上である、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤と溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素溶剤とを少なくとも含み、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤の方が溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素系溶剤よりも蒸発速度指数が小さいものである修正液。
【請求項2】
前記20℃における蒸発速度指数が700以上である、溶解パラメーターが6.8以上7.4以下の炭化水素溶剤と溶解パラメーターが8.0以上8.1以下の炭化水素溶剤の合計量が全溶剤中の75%以上である請求項1に記載の修正液。
【請求項3】
前記アクリル樹脂の重量平均分子量が200000以上で、顔料容積濃度が70%以上である請求項1又は請求項2に記載の修正液。
【請求項4】
更に、針状粒子を含む請求項1又は請求項2記載の修正液。

【公開番号】特開2007−231141(P2007−231141A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54216(P2006−54216)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】