説明

修正液

【目的】 水性インキによる再筆記した筆跡の乾燥性や、用紙への接着性が良好な修正塗膜を得ることができる修正液を得ることを目的とする。
【構成】 30〜60重量%の酸化チタンと、30〜60重量%の有機溶剤と、固形分で3〜15重量%のポリマーとから少なくともなり、ポリマーは上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上と、上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造とを少なくとも有するポリマーであることを特徴とする修正液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色顔料を隠蔽剤として使用し、文字や描線の上から塗って、それを隠蔽し、再筆記可能な膜を形成する修正液に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、修正液は、有機溶剤などの液媒体と、塗布面への定着性や隠蔽膜を形成する樹脂、酸化チタンなどの白色顔料である隠蔽材等を含む組成物であり、液媒体として水を使用し、水溶性のアクリル樹脂(アンモニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩など)や、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合体系樹脂エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン等を用いて、主に水に溶解しにくい油性筆跡を隠蔽するのに用いられる水性修正液と呼ばれているもの、液媒体に芳香族系炭化水素を使用し、アクリル樹脂やビニル樹脂等を用いて水性筆跡を隠蔽する油性修正液とよばれているもの、液媒体にナフテン系炭化水素や脂肪族系炭化水素を使用し、アクリル樹脂やビニル樹脂を用いて油性筆跡や水性筆跡を隠蔽する両用修正液と呼ばれているものとが知られている。
この両用修正液にて使用されているアクリル樹脂やビニル樹脂は、造膜性が良好で紙面への定着性も良く、塗膜表面に筆記する必要がある修正液に適した樹脂としてよく用いられている。
しかしながら、アクリル樹脂やビニル樹脂を用いた修正液の塗膜は硬い為に、修正箇所で折り目を付けると塗膜がひび割れるという問題を有していた。
【0003】
特許文献1には、このようなアクリル樹脂を用いた修正液の塗膜がひび割れることを防止する目的で、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェートなどを可塑剤として添加することが開示されている。
また、特許文献2には、アクリル樹脂に代わり、塗膜が柔軟性に富むスチレン系熱可塑性エラストマーを用いる修正液が開示されている。
【特許文献1】特開昭54−072122号公報
【特許文献2】特開平07−041711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェートなど油性物質が可塑剤として例示されているため、油性物質が疎水性を呈し、塗膜が疎水性を呈することとなり、水性インキ使用の万年筆やサインペン等により塗膜上に再筆記した場合にはインキがはじかれてしまい、塗膜中に浸透し難く再筆記文字の乾燥性が遅いという問題を有していた。
また、特許文献2に記載の発明では、熱可塑性エラストマーを用いた修正液の塗膜は、柔軟性に富むために塗膜がひび割れ難いが、塗膜上をボールペン等の硬質のペン先で筆記した時に、筆記圧により柔らかい塗膜が伸びるために紙面との間にズレが生じて塗膜が剥離してしまうという問題を有していた。
本発明は、造膜性が良好で紙面への定着性も良く、水性インキ使用の万年筆やサインペン等により塗膜上に再筆記してもはじきのない筆跡が得られ、再筆記文字の乾燥性が良好であり、修正箇所で折り目を付けたり、ボールペン等の硬質のペン先で塗膜上に再筆記しても塗膜に剥離が生じることのない修正液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、有機溶剤と、白色顔料と、下記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上と、下記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造とを少なくとも有するポリマーとから少なくともなる修正液を要旨とする。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【数6】

【発明の効果】
【0006】
本発明の上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上と、上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造とを少なくとも有するポリマー中には、上記一般式(数5)及び(数6)で示される構造を有するアクリル樹脂部分が存在することで、修正液の造膜性や紙面への定着性が良好なものとなり、上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の何れかの1種又は2種以上を有するポリマーの存在が可塑剤の如き働きをして、本発明のポリマーは柔軟性を付与され可塑剤を添加しなくても修正箇所で折り目を付けたり、油性ボールペン等で塗膜上に再筆記しても塗膜がひび割れたり、剥離が生じることのないものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の組成について説明する。
白色顔料は、筆跡、印字、複写像を隠蔽するために使用するものであり、酸化チタン、亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、酸化アンチモンなどが挙げられる。修正液として大きな隠蔽力を得るにはその全部又は少なくとも主成分が酸化チタンであることが好ましい。酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型何れの酸化チタンも使用できる。市販のものとしてはタイトーンSR−1、同R−650、同R−3L、同A−110、同A−150、同R−5N(以上、堺化学工業(株)製)、タイペークR−580、同R−550、同R−930、同A−100、同A−220、同CR−58(以上、石原産業(株)製)、クロノスKR−310、同KR−380、同KR−480、同KA−10、同KA−20、同KA−30(以上、チタン工業(株)製)、タイピュアR−900、同R−931(以上、デュポン・ジャパン・リミテッド社製)などが挙げられる。その使用量は修正液全体に対して30〜60重量%が好ましく、顔料容積濃度(P.V.C)が50%以上となることが望ましい。
【0008】
液媒体である有機溶剤は、樹脂の溶解、修正液の乾燥性や粘度調整などの目的で1種又は2種以上の混合物として使用される。有機溶剤の沸点は、修正液塗膜の乾燥性を考慮すれば40〜150℃程度であることが好ましく、その使用量は修正液全量に対して30〜60重量%程度が好ましい。
本発明の修正液に使用し得る有機溶剤の例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、n−へキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等のナフテン系炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が上げられる。
特に、安全性に優れ、万年筆、水性サインペンなどの水性インキによる筆跡、油性ボールペン、油性マーカーなどの油性インキによる筆跡、タイプライター、ワープロによる印字、乾式複写機による複写像などを隠蔽修正するための所謂両用修正液としては、水性及び油性の筆跡、文字、複写像などを溶解し難いナフテン系炭化水素溶剤を用いるのが好適である。
【0009】
本発明において使用される上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上と、上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造とを少なくとも有するポリマーは、上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上を有するポリマーを、上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造を有するモノマー等に溶解させたり、上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造を有するモノマーと、上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上を有するポリマーとを、同一系内に存在させて、修正液の溶剤として使用する溶剤、例えばナフテン系炭化水素を溶剤とする溶液重合にて得ることができる。
【0010】
この場合、上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造を有するポリマーの使用量は、上記一般式(数5)(数6)で示される構造を有するモノマーと、上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造を有するポリマーとの総量100重量部に対し、2〜30重量部程度が望ましい。2重量部に満たない場合には重合して得られるポリマーに十分な柔軟性が付与できず、30重量部を越える場合には得られたポリマーの有機溶剤に対する溶解性が低下し、経時的にポリマーが析出するという不具合が生ずるからである。
【0011】
上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造を有するモノマーは、上記一般式(数5)と(数6)で示される構造を有するモノマーと、上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造を有するポリマーの総量100重量部に対し60〜98重量部が好ましい。60重量部より少量では得られたポリマーの紙面に対する定着性が低下する傾向に有るからである。
尚、上記一般式(数6)で示される構造を有するモノマーは、その構造内に第3アミノ基を有しており白色顔料に対する吸着性を良好となし、修正液中の酸化チタンの分散を安定に保持することができる。
【0012】
更に、上記一般式(数1)〜(数6)の構造と共重合可能なビニルモノマー、水酸基やカルボキシル基などの官能基を有するアクリル酸系及びメタクリル酸系のモノマーや、アクリル酸エステルや、酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエンなどを構造内に取り込むこともできる。
【0013】
重合の開始方法は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリル過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の熱重合開始剤によるもの、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノンといった光重合開始剤と紫外線照射によるもの、また電子線照射による方法、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩と三級アミン、チオ尿素などとの組み合わせによるレドックス開始系等任意に選択することができる。
【0014】
上述の方法で得られるものは、上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上と、上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造とを少なくとも有するポリマーの他に、重合に利用されなかった、上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上、又は、上記一般式(数5)又は(数6)で示される構造のいずれかを有さないポリマー等を含む可能性があるが、修正液としての品質に問題が無ければ混合物のまま使用することが経済的であり生産性に見合うものと言える。上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上と、上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造とを少なくとも有するポリマーを単離したい場合には、その混合物から、高速液体クロマトグラフィ等の分離装置を用いればよい。
上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の何れかの1種又は2種以上と、上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造とを少なくとも有するポリマーの使用量は、修正液全量に対してポリマーの固形分量で3〜15重量%が好ましい。3重量%より少ないと修正液塗膜の用紙への接着性が不十分となり剥離を起こし、15重量%を超えると修正液塗膜に空隙や細孔が形成できず水性インキの塗膜中への浸透が困難となり、水性インキの再筆記文字の乾燥性が著しく遅くなってしまうからでる。
【0015】
上記一般式(数1)で示される構造のポリマーとしては、タフプレンA、同125、同126、同315、アサプレンT−411、同T−420、同T−430、同T−432、同T−436、同T−438(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)、セプトン8004、同8006、同8007、同8104(以上、(株)クラレ製)、カリフレックスTR1101、同TR1116、同TR1150、同TR1184、クレイトンG1650、同G1652、同G1657X(以上、クレイトンポリマージャパン(株)製)、ラバロンSJ4400、同SJ5400、同SJ6400、同SE5400、同SE6400、同MJ4300、MJ6300(以上、三菱化学(株)製)、住友TPE SB2400、同SB2610、同SB2710、同SB7505、同SB7615、同SB7735(以上、住友化学(株)製)、JSR TR1086、同TR1600、同TR2000(以上、JSR(株)製)などが挙げられる。
上記一般式(数2)で示される構造のポリマーとしては、JSR RB805、同RB810、同RB820、同RB830(以上、JSR(株)製)などが挙げられる。
上記一般式(数3)で示される構造のポリマーとしては、カリフレックスTR1107、同TR1111、同TR1112、同TR1117、JSR SIS5000、同SIS5002、同SIS5405(以上、JSR(株)製)、クインタック3421、同3620、同3433N、同3520、同3450、同3460(以上、日本ゼオン(株)製)などが挙げられる。
上記一般式(数4)で示される構造のポリマーとしては、セプトン2002、同2004、同2007、同2063、同2104、同4033、同HG252、同(以上、(株)クラレ製)などが挙げられる。
【0016】
上記一般式(数5)で示される構造を有するモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、オレイルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルモノマーが挙げられる。
上記一般式(数6)で示される構造を有するモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−ターシャリブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジシクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸系カチオン性モノマー等が挙げられる。
【0017】
上述した成分以外に、紙などの筆記面と色調を合わせるために着色顔料を、塗膜表面をマット調にするためにシリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料を、顔料の分散安定性を更に向上させるために分散剤や沈降防止剤を、塗膜表面状態を良好にならしめるためにフロー向上剤やレベリング剤を適宜添加できる。
【0018】
本発明の修正液は、上述した成分をボールミル、アトライター、サンドミルなどの分散機にて分散処理することにより得られる。
【実施例】
【0019】
以下、実施例に従い、本発明を詳細に説明する。
<上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の何れかの1種又は2種以上と、上記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造とを少なくとも有するポリマーの製造例>
<ポリマー混合液1の製造例>
撹拌機、チツ素ガス導入口、滴下ロート、温度計、還流コンデンサーを備えた500mlの反応容器にメチルシクロヘキサン100重量部、エチルシクロヘキサン40重量部を入れた後、チツ素ガス気流下にて系内温度が約90℃となるまで昇温する。次いで、プロピルメタクリレート50重量部、ブチルメタクリレート30重量部、ステアリルメタクリレート10重量部(以上、上記一般式(数5)で示される構造を有するモノマー)、スチレン5重量部(共重合可能なモノマー)、タフプレン125(上記一般式(数1)で示される構造を有するポリマー、旭化成ケミカルズ(株)製)5重量部を混合溶解し、この溶液を入れた滴下ロートと、重合開始剤のアゾビスイソブチルニトリル0.3重量部をエチルシクロヘキサン10重量部に溶解させた溶液を入れた滴下ロートにて約2時間をかけてそれぞれの溶液を滴下し、更に6時間同温度に維持して重合反応を行った。
無色透明で粘稠性を有する、上記一般式(数1)で示される構造と上記一般式(数5)で示される構造とを有するポリマー1を含む混合溶液を得た(固形分40重量%)。
【0020】
<ポリマー1の単離>
上記の製造例で得たポリマー混合液1をエチルシクロヘキサンにて5倍に希釈し、高速液体クロマトグラフィを用いてメチルシクロヘキサンとエチルシクロヘキサンに溶解したポリマー1の溶液を分離した。次にこの溶液を100℃に加温してメチルシクロヘキサンとエチルシクロヘキサンを蒸発させ、ポリマー1を得た。
【0021】
<ポリマー混合液2〜45の製造例>
ポリマー混合液1の製造方法と同様の操作で、上記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示されるポリマーと、上記一般式(数5)、(数6)で示される構造を有するモノマー、及び共重合可能なモノマーを用いてそれぞれ重合し、ポリマー混合液2〜45を得た。各材料の組み合わせは表1に示すとおりである。尚、重合開始始剤はアゾビスイソブチルニトリルを用い、その使用量は0.3重量部とした。
【0022】
【表1】

【0023】
<修正液の配合>
実施例1
クロノスKR−480(ルチル型酸化チタン、チタン工業(株)製、) 40重量部
メチルシクロヘキサン(有機溶剤、丸善石油化学(株)製) 35重量部
エチルシクロヘキサン(有機溶剤、丸善石油化学(株)製) 14重量部
ポリマー1 10重量部
ミズカシルP−801(シリカ、水沢化学工業(株)製) 1重量部
上記成分をボールミルにて24時間分散処理して修正液を得た。
【0024】
実施例2
クロノスKR−480 40重量部
メチルシクロヘキサン 30重量部
エチルシクロヘキサン 5重量部
ポリマー混合液1 25重量部
上記成分をボールミルにて24時間分散処理して修正液を得た。
【0025】
実施例3〜47
実施例2と同様にして、ポリマーを含む共重合物のポリマー混合液を用いて、表2に示す組成にて修正液を得た。
【0026】
【表2】

【0027】
比較例1
クロノスKR−480 40重量部
メチルシクロヘキサン 35重量部
エチルシクロヘキサン 12重量部
アクリロイドB−67(アクリル樹脂、ロームアンドハース社製) 10重量部
ミズカシルP−801 1重量部
ホモゲノールL−18(分散剤、花王(株)製) 2重量部
上記成分をボールミルにて24時間分散処理して修正液を得た。
【0028】
比較例2
クロノスKR−480 40重量部
メチルシクロヘキサン 32重量部
エチルシクロヘキサン 12重量部
アクリロイドB−67 10重量部
ミズカシルP−801 1重量部
ホモゲノールL−18 2重量部
DBP(可塑剤、フタル酸ジブチル、大八化学工業(株)製) 3重量部
上記成分をボールミルにて24時間分散処理して修正液を得た。
【0029】
比較例3
クロノスKR−480 40重量部
メチルシクロヘキサン 32重量部
エチルシクロヘキサン 15重量部
アサプレンT431(スチレン系エラストマー、旭化成工業(株)製) 10重量部
ミズカシルP−801 2重量部
ホモゲノールL−18 1重量部
上記成分をボールミルにて24時間分散処理して修正液を得た。
【0030】
比較例4
クロノスKR−480 40重量部
メチルシクロヘキサン 33重量部
マルカゾール8 15重量部
アクリロイドB−67 7重量部
アサプレンT431 3重量部
ホモゲノールL−18 2重量部
上記成分をボールミルにて24時間分散処理して修正液を得た。
【0031】
以下、実施例1〜46、比較例1〜4で得られた修正液を使用し、再筆跡乾燥性、クラック等発生有無、ボールペン再筆記性、分散安定性について試験を行った。
試験結果を表3に示す。
【0032】
【表3】

【0033】
再筆跡乾燥性
上質紙(JIS P3201筆記用紙A)に3ミルのアプリケーターで修正液を塗布し、室温にて5分間乾燥させて修正塗膜を得た。
この修正塗膜に、水性ボールペン(ボールぺんてるB100−A、ぺんてる(株)製)で筆記し、筆跡上に上質紙を載せて指で押圧し、インキが上質紙に付着しなくなるまでの時間を測定した。数値が小さいほうが、再筆跡の乾燥が速いことを示す。
【0034】
折り曲げ性
上質紙(JIS P3201筆記用紙A)に、塗布厚3ミル、塗布幅60mmのアプリケーターを用いて塗布長さが100mmになる様に修正液を塗布した。
室温にて5分間乾燥後に横50mm、縦80mmの大きさで修正液の塗布部分を切り出し、塗布皮膜を紙ごと塗布幅50mmの部分が谷折りに塗布面同士が接触するまで折り曲げる。折り曲げた箇所の紙面上重さ1kgの錘を載せて1分間放置する。
錘を取り除いて折り曲げた箇所を伸ばし、紙を逆さにして軽く振る。その後、折り曲げた箇所50mmの内、修正液塗膜に亀裂が生じている部分と、塗膜が脱離している部分の長さを定規で測定する。折り曲げた箇所50mmの内、修正液塗膜に亀裂が生じている部分の長さの和と、塗膜が脱離している部分の長さの和を求める。それぞれの長さが短い方が塗膜は柔軟性であり、紙面への接着性が良いことを示す。又、亀裂の生じる塗膜の方が、脱離が生じる塗膜よりも良い傾向にあることを示す。
【0035】
ボールペン再筆記性
上質紙(JIS P3201筆記用紙A)に3ミルのアプリケーターで修正液を塗布、室温で5分間乾燥後、油性ボールペン(BK70黒、ぺんてる(株)製)を用いて筆記加重500gにて縦横1mm間隔の直線を11本引き、1mm角の升目100個を作成した。100個の升目のうち、塗膜と紙面とのズレにより生じた塗膜の浮きや、紙面から塗膜の脱離が生じた升目を数えた。数値が大きい方が、塗膜が脆いことを示す。
【0036】
分散安定性
修正液を密栓付瓶(30ml)に取り、3ヶ月間室温に放置後、ミクロスパーテルにて瓶底部を観察し、殆ど沈降生成物が認められなかったものを「○」、沈降生成物は認められたが撹拌により容易に再分散したものを「△」、沈降生成物が認められ撹拌しても再分散が困難であったものを「×」とした。
以上、詳細に説明したように、本発明の修正液は分散安定性に優れ、修正箇所の水性インキによる再筆記と筆跡の乾燥性が良好で、しかも油性ボールペン等による再筆記時に修正塗膜にクラックが生じることのない密着性に優れ柔軟性の有る修正塗膜が得られる修正液である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤と、白色顔料と、下記一般式(数1)、(数2)、(数3)、(数4)で示される構造の1種又は2種以上と、下記一般式(数5)及び/又は(数6)で示される構造とを少なくとも有するポリマーとから少なくともなる修正液。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【数6】