説明

修飾されたアシアロインターフェロンおよびその使用

本発明は、肝臓病の治療用の修飾されたアシアロインターフェロンの製法および使用方法を特徴とする。アシアロインターフェロンは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PTG)のようなポリ(アルキレンオキサイド)、およびポリ(オキシエチル化ソルビトール)、ポリ(オキシエチル化グリセロール)、およびポリ(オキシエチル化グルコース)のようなポリ(オキシエチル化ポリオール)を含む水溶性ポリマーの添加によって修飾される。修飾し、肝臓病の治療で用いることができるアシアロインターフェロンは、例えば、アシアロインターフェロン-a、-R、および-yを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、インターフェロンを用いる肝臓障害の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
インターフェロンは、ウイルス複製を妨げるその能力の結果としてまず発見された天然に生じるタンパク質の群である。さらなる研究は、インターフェロンが抗増殖効果を有し、いくつかのタイプの癌細胞と戦うのに有用であると判断した。特に、インターフェロン-α、-βおよび-γファミリーのメンバーを含むインターフェロンは、多数のウイルス、肝炎、毛様細胞白血病、慢性骨髄性白血病、メラノーマ、濾胞性リンパ腫、および慢性肉芽腫病を含む腫瘍学的徴候に対して臨床的に効果的であることが示されている。
【0003】
B型肝炎(HBV)およびC型肝炎(HCV)ウイルス感染は世界的な健康の問題である。3億5千万人を超える人々がHBVに冒されており、それを世界中で最も普通の重症慢性ウイルス感染とする。さらに、HBVは世界的な肝臓癌の主たる原因である。加えて、約1億7千万人の人々が、世界中でHCVに慢性的に感染しており、これは、米国における少なくとも3千9百万人を含む。HCVは末期の肝臓病および肝臓癌の30%を占め、患者が肝臓移植を必要とする主導的病気である。しかしながら、HBVおよびHCV双方の治療オプションは限定的な有効性しか有さず、その有効性を迅速に失いかねず、しばしば、患者によって貧弱にしか許容されない。
【0004】
米国において、一次肝臓癌の発生率は1975年から1995年の間に71%まで増加し、肝臓癌と診断された患者の数は、毎年、継続して上昇している。2002年には、米国癌協会は、一次肝臓癌および胆管癌の16,600の新しい症例が米国で診断され、14,100の米国人が前記病気で死亡するであろうと予想している。
【0005】
インターフェロンは強力な治療化合物であるが、それは患者から迅速に除かれ、化合物の治療上有効レベルを維持するために頻繁な投与を必要とする。さらに、インターフェロンは特定の組織に標的化されておらず、従って、標的部位において治療的に有効な濃度を達成するのに比較的高い全身濃度を必要とする。インターフェロンのこれらの特性は、治療の結果として起こる有害な副作用の確率を増加させる。従って、病気の部位に対して長期間インターフェロンを標的化して、効率を最大化し、副作用を最小化する必要性がある。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
1つの局面において、本発明は、約1,000〜60,000ダルトン、1,000〜5,000、5,001〜10,000、10,001〜20,000、20,001〜35,000、または35,001〜60,000ダルトンの平均分子量を有する水溶性ポリマーに結合された実質的に純粋な修飾された哺乳動物(例えば、ヒト)アシアロインターフェロンを特徴とする。水溶性ポリマーは直鎖状または分岐鎖状であってよく、内部が架橋していてもよい。好ましくは、水溶性ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PTG)のようなポリ(アルキレンオキサイド)、およびポリ(オキシエチル化ソルビトール)、ポリ(オキシエチル化グリセロール)、およびポリ(オキシエチル化グルコース)のようなポリ(オキシエチル化ポリオール)である。本発明のアシアロインターフェロンは1、2、3、またはそれ以上のアミノ酸残基において修飾されていてもよい。1より多くのアミノ酸残基において修飾されたアシアロインターフェロンは、それは、同一または異なる水溶性ポリマーを用いて修飾することができる。望ましい態様においては、アシアロインターフェロンはシステイン、リシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸残基において;C末端カルボキシルにおいて;またはN末端アミンにおいて修飾されている。最も望ましい態様においては、アシアロインターフェロンはシステインまたはリシンにおいて修飾されている。修飾に適したアシアロインターフェロンは、例えば、ヒトアシアロインターフェロン-α、アシアロインターフェロン-βおよびアシアロインターフェロン-γを含む。また、本発明は、修飾された哺乳動物アシアロインターフェロンおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0007】
もう1つの局面において、本発明は、修飾された哺乳動物(例えば、ヒト)アシアロインターフェロンを含有する有効量の薬学的組成物を投与することによって肝臓障害を持つ患者を治療する方法を特徴とする。この方法を用いる治療が可能な肝臓障害は、例えば、ウイルス肝炎(B型肝炎および/またはC型肝炎ウイルスでの感染)、肝臓の線維症、および散在タイプの肝細胞癌腫、発熱タイプの肝細胞癌腫、胆汁鬱滞肝細胞癌腫、肺芽腫、肝様腺癌、および局所結節性過形成のような肝臓癌を含む。本発明のこの局面の望ましい態様においては、修飾されたアシアロインターフェロンは前記の局面に記載されたもののいずれか1つである。治療上有効量の修飾されたアシアロインターフェロンは、例えば、約0.025μg/kg〜10.0μg/kg体重の範囲(例えば、約0.025、0.035、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0または3.5μg/kg体重)であってよい。さらに、治療上有効量は、例えば、毎日、1日おき、1週間に2回、毎週、1週間ごとに、または毎月であり得る。
【0008】
「インターフェロン」とは、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、免疫応答を変調するインターフェロンとして既知の高度に相同な種特異的タンパク質のファミリーを意味し、インターフェロン-α、‐βまたは-γ、またはその生物学的に活性な断片と実質的に同一である。インターフェロンの生物学的活性を評価するための方法は広く知られている(例えばMonkarsh et al.,:Anal.Biochem.247:434-440,1997;Grace et al.,J.Interferon Cytokine Res.21:1103-1115,2001;Bailon et al.,Bioconj.Chem.12:195-202,2001;Pepinsky et al.,J.Parmacol.Exp.Therap.297:1059-66,2001)。ヒトインターフェロンはその細胞起源および分子構造に基づいて3つのクラスに分けられる。インターフェロン-α(白血球)、インターフェロン-β(線維芽細胞)、およびインターフェロン-γ(リンパ腫)。
【0009】
「インターフェロン-α」は、インターフェロン-α2成熟ポリペプチド(アクセッション番号:P01563のアミノ酸24〜188;配列番号:1)またはその生物学的に活性な断片と実質的に同一なアミノ酸配列を含むタンパク質を意味する。従って、インターフェロン-αはインターフェロン-α2前駆体ポリペプチド(アクセッション番号:P01563;配列番号:1)および成熟インターフェロン-αの生物学的活性(例えば、抗増殖活性)を保持する断片を含む。この定義には、例えば、インターフェロン-α2b(配列番号:1のR46K突然変異)およびインターフェロン-α2c(配列番号:1のR57H突然変異)を含むインターフェロン-α2の変種形態も含まれる。インターフェロン-α2bはO-結合糖タンパク質である。インターフェロン-α14cは、Asn-72においてグリコシル化されたN-結合糖タンパク質である。天然インターフェロンは、Wellferon(Glaxo-SmithKline)、Alferon(Interferon)、Sumiferon(Sumitomo)およびMultiferon(Viragen)の名称下で商業的に入手可能である。また、非グリコシル化インターフェロン-αは、例えば、名称Roferon(登録商標)-A(Roche)下の組換えインターフェロン-α2a、名称Intron(登録商標)-A(Schering Plough)下の組換えインターフェロン-α2b、および名称Berofor alpha2(Boehringer Ingelheim)下の組換えインターフェロン-α2cを含めて商業的に入手可能である。組換えコンセンサスインターフェロン-con1は名称Infergen(Amgen)下で入手可能である。もちろん、本発明の組成物および方法で用いるに先立って、いずれの非グリコシル化インターフェロンも、末端ガラクトース残基を有するオリゴ糖でグリコシル化されなければならない。
【0010】
「インターフェロン-β」は、成熟インターフェロン-βポリペプチド(アクセッション番号:P01574のアミノ酸22〜187;配列番号:2)、またはその生物学的に活性な断片と実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質を意味する。従って、インターフェロン-βは、シグナルペプチドを含有しない成熟インターフェロン-βタンパク質に加えて、シグナルペプチドを含有するインターフェロン-β前駆体ポリペプチド(アクセッション番号:P01574;配列番号:2)、およびインターフェロン-βの生物学的活性(例えば、抗増殖活性)を有するその断片を含む。インターフェロン-βは、成熟インターフェロン-βタンパク質のAsn80においてグリコシル化された糖タンパク質である。インターフェロン-βの組換え形態が開発されており、商業的に入手可能である。インターフェロン-β1aは名称Avonex(登録商標)(Biogen)およびRebif(登録商標)(Serono)下で入手可能である。インターフェロン-β1bは名称Betaseron(Berlex)下で入手可能である。
【0011】
「インターフェロン-γ」は、成熟インターフェロン-γポリペプチド(アクセッション番号P01579のアミノ酸21〜166;配列番号:3)、またはその生物学的に活性な断片と実質的に同一なアミノ酸配列を含むタンパク質を意味する。従って、インターフェロン-γタンパク質は、シグナルペプチドを含有しない成熟インターフェロン-γポリペプチドに加えて、シグナルペプチドを含有するインターフェロン-γ前駆体タンパク質(アクセッション番号P01579;配列番号:3)、およびインターフェロン-γの生物学的活性(例えば、抗増殖活性)を有するその断片を含む。インターフェロン-γはAsn48においておよび、ダイマーではAsn120においてグリコシル化されている。インターフェロン-γは名称Actimmune(登録商標)(InterMune)下で商業的に入手可能である。
【0012】
前記したインターフェロンのいずれについても、インターフェロンポリペプチド配列の1つのアミノ酸が、生物学的活性を喪失することなく、もう1つのアミノ酸によって置換された変種形態のその定義に含まれる。1つの例は、セリンまたはスレオニン残基で置き換えられたインターフェロン-α、-βまたは-γであり、前記システイン残基は、後に、他の部位(例えばTEG部位)をインターフェロンに結合するのに用いられる。そのような例において、それが折畳に干渉せず、また、分子の表面に少なくとも部分的に露出するように、システインはインターフェロンに分子中の位置に置換される。
【0013】
「アシアロインターフェロン」は、天然グリコシル化インターフェロンに存在する末端シアル基を欠くグリコシル化インターフェロンを意味する。末端シアル酸残基の除去は、下にあるガラクトース部分を露出させる。それは、アシアロ糖タンパク質受容体によって認識される末端ガラクトースである。好ましくは、アシアロインターフェロンは、天然インターフェロンに存在する炭水化物部分の少なくとも50%、70%、80%、90%または95%でさえ含有する。より好ましくは、アシアロインターフェロンは末端シアル酸残基のみを欠く。アシアロインターフェロンは、インターフェロン-α、-βまたは-γのようなグリコシル化インターフェロンから一つまたは複数のシアル酸基を除去することによって生産できる。この除去は、例えば、温和な酸加水分解、または精製されたノイロアミニダーゼとのインターフェロン-α、-βまたは-γのような天然グリコシル化インターフェロンの処理によって達成することができる。1より多くの糖鎖を含有するインターフェロンでは、選択的脱シアル化は特異的ノイロアミニダーゼ(シアリダーゼ)酵素を用いて達成することができる。この定義によって具体的に排除させるのは、典型的には、原核生物細胞によって生産されるインターフェロン、および真核生物細胞によって生産され、酵素的にまたは化学的に脱グリコシル化されるインターフェロンを含む、完全に脱グリコシル化されたインターフェロンである。もちろん、シアル酸残基を除去する目標は、オリゴ糖鎖上に少なくとも1つの末端ガラクトース残基を有するグリコシル化インターフェロンを作り出すことにあるので、末端ガラクトース残基は、例えば、脱グリコシル化インターフェロンへのオリゴ糖の共有結合を含むいずれかの他の適当な手段によって作成することができる。
【0014】
「修飾アシアロインターフェロン」とは、少なくとも1つの水溶性ポリマーに結合し、天然インターフェロンの生物学的活性(例えば抗増殖または抗ウイルス活性)の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%を保持するアシアロインターフェロンを意味する。アシアロインターフェロンに結合することができる水溶性ポリマーの例はポリエチレングリコール(PEG)のようなポリアルキルグリコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PTG)のようなポリ(アルキレンオキサイド)、およびポリ(オキシエチル化ソルビトール)、ポリ(オキシエチル化グリセロール)およびポリ(オキシエチル化グルコース)のようなポリ(オキシエチル化ポリオール)を含む。望ましくは、水溶性ポリマーは約100ダルトン〜200,000ダルトン、例えば、100〜999、1,000〜5,000、5,001〜10,000、10,001〜20,000、20,001〜35,000、35,001〜60,000、60,001〜100,000、または100,001〜200,000ダルトンの平均分子量を有する。より望ましい態様においては、水溶性ポリマーは約1,000〜5,000、5,001〜10,000、10,001〜20,000、20,001〜35,000、35,001〜60,000、または60,001〜100,000ダルトンの平均分子量を有する。加えて、この定義には、本明細書に記載の方法を用いて活性化されたこれらのポリマーの形態も含まれる。
【0015】
修飾されたアシアロインターフェロンは、例えば、インターフェロンのシステイン、リシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、またはグルタミン酸残基に;C末端カルボキシルに;またはN末端アミンにポリマーを共有結合させることによって修飾することができる。他の望ましい態様においては、修飾されたアシアロインターフェロンは、水溶性ポリマーの1より多くのアミノ酸残基への結合によって修飾されている。当業者であれば、例えば、修飾されたアシアロインターフェロンの各位置異性体の相対的抗ウイルス活性、抗増殖活性または体内分布/薬物動態学を測定し比較することによって水溶性ポリマーをアシアロインターフェロンに結合させるための最も望ましい残基およびポリマーの平均分子量を有することを容易に決定することができよう。加えて、いくつかの異性体の組合せを用いて、複合薬物動態学プロフィールを与えることができる。例えば、これらの活性は本明細書に記載の抗ウイルスまたは抗増殖アッセイを用いることによって測定することができる。
【0016】
「PEG化(pegylated)アシアロインターフェロン」とは、少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)ポリマーに結合し、天然インターフェロンの生物学的活性(例えば抗増殖または抗ウイルス活性)の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%を保持するアシアロインターフェロンを意味する。例えば、前記PEGはモノメトキシPEG(mPEG)であってよく、それはアシアロインターフェロンに共有結合していてもよい。望ましくは、前記PEGは、例えば、約1,000〜5,000、5,001〜10,000、10,001〜20,000、20,001〜35,000、または35,001〜60,000ダルトン(例えば、1,000、1,450、3,350、5,000、6,000、8,000、10,000、12,000、20,000、30,000、35,000、40,000または60,000ダルトン)の平均分子量を有するmPEGポリマーである。より望ましい態様においては、前記mPEGポリマーは、例えば、約5,000、12,000、20,000〜40,000ダルトンの平均分子量を有する。PEG化アシアロインターフェロンは、例えば、インターフェロンのシステイン、リシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸残基において;C末端カルボキシルにおいて;またはN末端アミンにおいてPEG化させていてよい。他の望ましい態様においては、PEG化アシアロインターフェロンは1より多くのアミノ酸残基においてPEG化されている。当業者であれば、例えば、PEG化アシアロインターフェロンの各位置異性体の相対的抗ウイルス活性、抗増殖活性、または体内分布/薬物動態学を測定しそれを比較することによってアシアロインターフェロンにおいてPEG化するための最も望ましい残基およびそれに関するPEGの平均分子量を容易に決定することができよう。加えて、いくつかの異性体の組合せを用いて、複合薬物動態学プロフィールを与えることができる。例えば、これらの活性は、本明細書に記載された抗ウイルスまたは抗増殖アッセイを用いることによって測定することができる。
【0017】
「PVP化(pvpylated)アシアロインターフェロン」とは、少なくとも1つのポリビニルピロリドン(PVP)分子に結合し、天然インターフェロンの生物学的活性(例えば、抗増殖または抗ウイルス活性)の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%を保持するアシアロインターフェロンを意味する。前記PVP化アシアロインターフェロンは、例えば、インターフェロンのシステイン、リシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸残基において;C末端カルボキシルにおいて;またはN末端アミンにおいてPVP化させていてもよい。他の望ましい態様において、PVP化アシアロインターフェロンは1より多くのアミノ酸残基においてPVP化されている。特に有用な態様においては、PVPポリマーは約17,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0018】
当業者であれば、例えば、PVP化アシアロインターフェロンの各位置異性体の相対的抗ウイルス活性、抗増殖活性、または体内分布/薬物動態学を測定しそれを比較することによって、アシアロインターフェロンにおいてPVP化するための最も望ましい残基およびどれくらい多くのPVP分子を容易に決定することができよう。加えて、いくつかの異性体の組合せを用いて複合薬物動態学プロフィールを与えることができる。例えば、これらの活性は、本明細書に記載の抗ウイルスまたは抗増殖アッセイを用いることによって測定することができる。
【0019】
「肝臓障害」とは、肝臓の組織または細胞に影響するいずれの病気をも意味する。「肝臓障害」の例はウイルス性肝炎、肝臓癌、および肝臓の線維症を含む。肝炎は、例えば、B型肝炎またはC型肝炎ウイルスによる肝臓の感染によって引き起こされ得る。B型肝炎またはC型肝炎ウイルスによる感染は、例えば、患者が肝炎ウイルスに対する抗体を有するかを測定することによって、あるいはウイルスRNA存在によって、標準的な方法を用いて当業者が診断することができる。
【0020】
「肝臓癌」とは、肝臓の組織または肝臓の細胞が異常な増殖を受けるいずれの障害も意味する。肝臓癌を生起させることができる肝細胞は胆管、門静脈のような血管の細胞、樹状細胞または肝細胞を含む。肝臓癌は、限定されるものではないが、散在タイプの肝細胞癌腫、発熱タイプの肝細胞癌腫、および胆汁鬱滞肝細胞癌腫のような肝細胞癌腫、胚芽腫、肝様腺癌、および局所結節性過形成を含む。加えて、肝臓癌は肝炎ウイルスによる慢性感染の結果であり得る。
【0021】
その肝臓癌がアシアロ糖タンパク質受容体を発現する患者は修飾アシアロインターフェロンでの処置を受けることができる;これらの患者は当技術分野において標準的な診断方法を用いて同定することができる(例えば、Burgess et al.,Hepatology 15:702-706,1992;Hirose et al.,Biochem.and Biophys.Research Comm.287:675-681,2001;Hyodo et al.,Liver 13:80-5,1993;Trere et al.,Br.J.Cancer 81:404-8,1999)。
【0022】
「抗新形成療法」とは、新生物の増殖を部分的にまたは完全に阻害するのに用いられるいずれの医学的手法または処置も意味する。典型的には、抗新形成療法は患者からの新形成細胞のいくらかはまたは全てを除去する外科的手法(例えば、肝切除)、放射線療法および化学療法を含む。本発明によってアシアロインターフェロンと組み合わせて投与することができる特に有用なクラスの抗新形成化学療法は、例えば、アルキル化剤、抗代謝産物、ニトロソ尿素、および植物アルカロイドを含む。望ましくは、「抗新形成療法」の結果、例えば、新生物の増殖は25%、50%または75%低下する。より望ましい態様においては、「抗新形成療法」の結果例えば、新生物の増殖が80%、90%、95%または99%さえ低下する。修飾されたアシアロインターフェロンと組み合わせて用いることができる抗新形成剤の例は、例えば、Wadler and Schwartz(Cancer)Res.50:3473-3486,1990)に記載されている。
【0023】
「抗ウイルス剤」とは、ウイルスを破壊するか、あるいはインビボで複製するまたは広まるウイルスの能力を低下させるいずれの化合物も意味する。抗ウイルス剤の例はインターフェロン-α、-β、-γ、リバビリン(1β-Dリボフラノシル-1H-1,2,4トリアゾール3-カルボキシアミド)およびその誘導体、および合成ヌクレオチドアナログラミブジン((シス-1-[2’-ヒドロキシメチル-5’-(1,3-オキサチオラニル)]シトシン)およびそのアナログを含む。加えて、当業者であれば、標準的方法(例えば、Monkarsh et al.,Analytical Biochemistry 247:434-440,1997;Bailon et al.,Bioconjugate Chem.12:195-202,2001;and Grace et al.,J.of Interferon and Citokine Research 21:1103-1115、2001に開示された方法)および本明細書に記載された方法を用いて、剤の抗ウイルス活性をどのようにしてアッセイするかを知るであろう。望ましくは、「抗ウイルス剤」の結果、例えば、少なくとも10%、20%、30%または50%のウイルスの複製または広がりの低下がもたらされる。より望ましい態様においては、抗ウイルス剤は、例えば、70%、80%、90%、95%または99%ものウイルスの複製または広がりを低下させる。
【0024】
「アシアロ糖タンパク質受容体発現肝臓癌」とは、検出可能なレベルのアシアロ-糖タンパク質受容体タンパク質(アクセッション番号:NP 001662またはP07307)もしくはアシアロ糖タンパク質受容体に実質的に同等なタンパク質または核酸を発現する細胞を含有するいずれの肝臓癌も意味する。前記細胞は、いずれかの適当なインビボ、エキソビボまたはインビトロ技術を用いてアシアロ糖タンパク質受容体発現につき評価することができる。例えば、生検または外科的切除の間に患者から抽出された細胞を、標準免疫組織化学、ノーザン、またはウェスタンブロッティング技術、またはELISAを用いてアシアロ糖タンパク質受容体発現につき特徴付けすることができる。さらに、アシアロ糖タンパク質受容体は当業者に知られており、例えばSpiessら(Proc.Natl.Acad.Sci. USA 82:6465-6469,1985)およびSpiessら(J.Biol.Chem.260:1979-1982,1985)の文献において報告されている。
【0025】
「実質的に同一」とは、参照アミノ酸または核酸配列に対して少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%、または99%でさえ同一性を呈するポリペプチドまたは核酸を意味する。ポリペプチドでは、比較配列の長さは、一般に、少なくとも20アミノ酸、好ましくは少なくとも30アミノ酸、より好ましくは少なくとも40アミノ酸、最も好ましくは50アミノ酸である。核酸では、比較配列の長さは、一般に、少なくとも60ヌクレオチド、好ましくは少なくとも90ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも120ヌクレオチドである。
【0026】
配列同一性は、典型的には配列分析ソフトウエア(例えば、Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,WI 53705のSequence Analysis Software Package,BLAST,BESTFIT,GAPまたはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を用いて測定される。そのようなソフトウエアは、種々の置換、欠失、および/または他の修飾に相同性の程度を割り当てることによって同一または同様な配列にマッチする。保存的置換は、典型的には、以下の基、グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシンでの置換を含む。
【0027】
「有効量」とは、新生物の増殖を阻害するのに、あるいはインビボでウイルスの複製または広がりを妨げるのに必要な、本発明による単独または組み合わせた化合物の量を意味する。新生物(すなわち、癌)およびウイルス感染の治療的処置のために本発明を実施するのに用いる活性化合物の治療上有効量は、投与、対象の年齢、体重および一般的健康に応じて変化する。最終的には、主治医が適当な量および投与方法を決定する。このような量を「治療上有効」量という。
【0028】
修飾アシアロインターフェロンの「有効量」は、例えば、約0.0035μg〜20μg/kg体重/日または0.010μg〜140μg/kg体重/週の範囲であり得る。望ましくは、「治療上有効量」は毎日、一日おきに、一週間に2回、または毎週投与される約0.025μg〜10.0μg/kgの範囲、例えば、約0.025、0.035、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0または9.0μg/kg体重である。さらに、修飾アシアロインターフェロンの「治療上有効量」は、例えば、毎日、一日おきに、一週間に2回、毎週、一週間おきに、一ヶ月に1回投与される約100μg/m2〜100,000μg/m2の範囲であり得る。望ましい態様においては、治療上有効量は、毎日、一日おきに、一週間に2回、毎週、一週間おきに、または一ヶ月に1回投与される修飾アシアロインターフェロンの約1,000μg/m2〜20,000μg/m2の範囲、例えば、約1,000、1,500、4,000または14,000μg/m2である。
【0029】
「断片」とは、参照タンパク質または核酸と実質的に同一であって、本明細書に記載する抗ウイルスまたは抗新形成アッセイによって測定できるように、参照タンパク質または核酸の生物学的活性(例えば、抗新形成または抗ウイルス活性)の少なくとも50%または75%、より好ましくは80%、90%または95%または99%さえ保持するタンパク質または核酸の部分を意味する。
【0030】
本発明の修飾されたアシアロインターフェロンは、病気を治療するためのインターフェロンの天然に生じる形態よりも多数の利点を提供する。修飾(例えば、PEG化およびPVP化)の利点は、増大した溶解性、低下した腎臓および免疫クリアランス、低下したタンパク質分解感受性、および低下した免疫原性を含む。本明細書に記載するように、アシアロインターフェロンの修飾は、前記化合物が身体から排出され、それにより、化合物の治療的有効性を増加させる速度を低下させるのを援助する。修飾された化合物はその非修飾対応物よりも長時間体内に存在するので、同一の治療結果を達成しつつ、より少量の修飾された化合物を患者に投与することができる。さらに、修飾されたアシアロインターフェロンは肝臓を標的とし、その結果、修飾されていないインターフェロンの投与に関係し得、治療に有益でない二次効果の発生の低下をもたらし得る。
【0031】
加えて、インターフェロンからシアル酸基を除去すると、その末端ガラクトース残基を露出させ、それにより、アシアロインターフェロンはアシアロ糖タンパク質受容体を発現するいずれの細胞にも標的化される。肝臓における受容体部位の合計数は正常肝臓における細胞当たりの140,000(+/-65,000)部位から、線維症、肝硬変または肝癌腫に罹った肝臓における細胞当たりの300,000(+/-125,000)部位まで増加することが示されている(Eisenberg et al.,J.Hepatol.13:305-309,1991)。これらの知見を考慮し、修飾されたアシアロインターフェロンは優先的に肝臓に標的化されるであろう。そのような標的化は治療部位における治療化合物の局所濃度を増加させ、さらに、障害を効果的に治療するのに必要な用量の低下を可能とする。従って、本発明の化合物は、治療化合物の増大した滞留および特定の組織の標的化による増大した治療有効性を有する。
【0032】
詳細な説明
本発明は、修飾アシアロインターフェロン、例えば、PEG化アシアロインターフェロンおよびPVP化アシアロインターフェロン、ならびに新形成障害およびウイルス感染を治療するためにそのような化合物を用いる方法を特徴とする。修飾されたアシアロインターフェロンは、アシアロ糖タンパク質受容体およびインターフェロン受容体を発現する細胞を標的とする。従って、そのような化合物を用いて、これらの受容体のいずれかを発現する細胞の新生物またはウイルス感染を治療することができ、さもなければ、最適活性は双方の受容体を発現する細胞に対して発揮されるであろう。
【0033】
インターフェロンからシアル酸基を除去すると、その末端ガラクトース残基が露出され、それにより、アシアロインターフェロンはアシアロ糖タンパク質受容体を発現するいずれの細胞にも標的化される。肝臓における受容体部位の合計数は正常肝臓における細胞当たり140,000(+/-65,000)部位から線維症、肝硬変または肝癌腫に罹った肝臓における細胞当たり300,000(+/-125,000)部位まで増加する(Eisenberg et al.,J.Hepatol.13,305-309,1991)。これらの知見を考慮し、修飾されたアシアロインターフェロンは優先的に肝臓に標的化されるであろう。そのような標的化は、治療部位における治療化合物の局所濃度を増加させ、さらに、障害を効果的に治療するのに必要な用量の低下を可能とする。従って、本発明の化合物は、治療化合物の増大した滞留および特定の組織の標的化による増大した治療有効性を有する。
【0034】
本発明の修飾アシアロインターフェロンは、病気を治療するためのインターフェロンの天然に生じる形態よりも多数の利点を提供する。修飾(例えば、PEG化およびPVP化)の利点は、増大した溶解性、低下した腎臓および免疫クリアランス、低下したタンパク質分解感受性、および低下した免疫原性を含む。本明細書中に記載するように、アシアロインターフェロンの修飾は、前記化合物が身体から排除され、それにより、化合物の治療有効性を増加させる速度を低下するのを助ける。修飾された化合物はその非修飾対応物よりも長時間身体に存在するので、修飾された化合物をより少量患者に投与することができる。用量を低下させることによって、化合物の投与に関連し得、治療に有益でない二次効果の潜在的発生も低下される。
【0035】
修飾アシアロインターフェロン療法
天然インターフェロンのように、修飾されたアシアロインターフェロンを用いて、肝炎およびいくらかの癌を含む肝臓病を治療することができる。例えば、B型およびC型肝炎、およびアシアロ糖タンパク質発現肝臓癌は、本明細書中に記載する方法を用いて、治療上有効量の修飾されたアシアロインターフェロン(例えば、修飾されたアシアロインターフェロン-α、修飾されたアシアロインターフェロン-β、または修飾されたアシアロインターフェロン-γ)を含む薬学的組成物を哺乳動物に投与することによって哺乳動物(例えば、ヒト)において治療することができる。
【0036】
加えて、修飾アシアロインターフェロンは、化学療法、放射性療法、外科的介入、およびさらなる抗ウイルス化合物の投与のような他の治療アプローチと組み合わせて用いることができる(そのような組み合わせは当技術分野において標準的であって、例えば、Wadler et al.(Cancer Res.50:3473-86,1990)に記載されている。例えば、修飾されたアシアロインターフェロンは治療上有効量のリバビリン(1β-Dリボフラノシル-1H-1,2,4トリアゾール3-カルボキシアミド)またはその誘導体と共に投与して、ウイルス感染を治療することができる。または、修飾されたアシアロインターフェロンを治療上有効量のラミブジン((シス-1-[2’-ヒドロキシメチル-5’-(1,3-オキサチオラニル)]シトシン)、またはラミブジンアナログと共に投与して、ウイルス感染を治療することができる。
【0037】
アシアロ糖タンパク質受容体
アシアロ糖タンパク質受容体は肝細胞に高密度(50,000〜50,000部位/細胞)で存在し、露出した末端ガラクトース残基を有する細胞外糖タンパク質の結合および内部化を媒介する膜貫通タンパク質である。アシアロ糖タンパク質受容体は低アフィニティー受容体であって、リガンドに対するその親和性はリガンドに存在するガラクトースクラスターの数に従って変化する(Lee et al.,J.Biol.Chem.258:199-202、1983)。受容体は、3つのガラクトース残基のクラスターを有するリガンド、トリアンテナリーに対する(KD〜10-8〜10-9)よりも2つのガラクトース残基のクラスターを有するリガンド、バイアンテナリーに対してより低い親和性(KD〜10-6)を有する。
【0038】
インターフェロンの送達
いずれかの天然インターフェロンからシアル酸基を除去すると、末端ガラクトース残基が露出し(図1)、アシアロ糖タンパク質受容体に対する認識部位が作り出される。この修飾は、アシアロインターフェロンが肝臓のようなアシアロ糖タンパク質受容体を発現する組織に対して選択的に標的化されるという利点を付与する。加えて、アシアロ糖タンパク質受容体への結合および受容体複合体の内部化は、細胞内インターフェロン-α/β受容体プールを活性化させるアシアローインターフェロンの能力を増加させるようである。さらに、アシアロ糖タンパク質受容体へのアシアロインターフェロンの標的化は、細胞表面のアシアロインターフェロンの局所濃度を増加させるようであり、従って、アシアロインターフェロンが、肝臓に低密度(100〜5,000部位/細胞)で存在する高親和性インターフェロン-α/β受容体に結合する確率を増加させる。
【0039】
細胞表面インターフェロン受容体結合
加えて、アシアロ糖タンパク質受容体への結合を介して、肝細胞表面のアシアロインターフェロンの局所濃度を増加させることは、アシアロインターフェロン-α、-βまたは-γがインターフェロン-α/β受容体またはインターフェロン-γ受容体と相互作用をよりするであろうようにする。アシアロ糖タンパク質受容体からのアシアローインターフェロンのインターフェロン-α/β受容体またはインターフェロン-γ受容体への移動は、アシアロ糖タンパク質受容体に対する低下した親和性を有するアシアロインターフェロン組成物でより起こるようである。リガンドに対するアシアロ糖タンパク質受容体の親和性は、そのリガンドに存在するガラクトースクラスターの数と共に変化する(Lee et al.,J.Biol.Chem.258:199-202、1983)。アシアロ糖タンパク質受容体はトリアンテナリーリガンドに対する(KD〜10-8〜10-9)よりもバイアンテナリーリガンドに対してより低い親和性(KD〜10-6)を有する。
【0040】
異なる割合のバイアンテナリー複合体を有するインターフェロンを作り出すための種々の方法が当技術分野において知られている。例えば、線維芽細胞によって生産されるインターフェロンは、CHO細胞によって生産されるインターフェロンよりも高い割合のバイアンテナリー複合体を有する。特に、ヒト線維芽細胞で生産されたヒトアシアロインターフェロン-βは、約82%のバイアンテナリーガラクトース末端オリゴ糖および約18%のトリアンテナリーガラクトース末端オリゴ糖を含有する。
【0041】
インターフェロン-βの炭水化物鎖の伸びた立体配座(「Karpusas et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA 94:11813-11818,1997)を仮定すれば、インターフェロン-βはアシアロ糖タンパク質受容体およびインターフェロン-α/β受容体双方と同時に相互作用するようである。従って、豊富なアシアロ糖タンパク質受容体は細胞表面にアシアロインターフェロン-βを濃縮させることができ、そこで、それはあまり豊富ではないインターフェロン-α/βと同時に相互作用するようである。
【0042】
細胞内インターフェロン受容体結合
細胞内インターフェロン受容体へのインターフェロン-α、-βまたは-γの結合は、インターフェロンシグナリングをトリガーするようである。リポソームに一体化させたインターフェロン-αは、遊離インターフェロン-αよりも有意に大きな活性を生じさせることができ、これは、インターフェロンが細胞表面に到達して活性を発揮する必要がないという仮説を支持する。さらに、アシアロ糖タンパク質受容体へのリガンド結合は受容体-リガンド複合体の内部化をトリガーし、アシアロインターフェロンに細胞内インターフェロン受容体への接近を提供する。
【0043】
インターフェロンの生産
一般に、インターフェロン-α(図2A)、-β(図3A)または-γ(図4A)のような本発明のポリペプチドは、適当な宿主細胞、例えば、真核生物細胞の、図2Bに示す核酸をコードするインターフェロン-α、図3Bに示す核酸をコードするインターフェロン-β、図4Bに示す核酸をコードするインターフェロン-γ、または適当な発現伝達体中のその断片のようなポリペプチドをコードする核酸分子の全てまたは部分での形質転換によって生産することができる。
【0044】
分子生物学の分野の当業者であれば、広く種々の発現系のいずれを用いて組換えタンパク質を提供することもできるのも理解するであろう。インターフェロンペプチド遺伝子配列がプラスミドまたは他のベクターに導入され、次いで、これを用いて生きた細胞を形質転換する真核生物インターフェロンペプチド発現系を作り出すことができる。インターフェロンぺプチドcDNAが、発現プラスミドに正しい向きで挿入された全オープンリーディングフレームを含む構築体が、タンパク質発現で用いることができる。真核生物発現系は、インターフェロンペプチドが、同定および/または精製を容易とするタグ分子に共有結合したインターフェロンペプチド融合タンパク質の発現および回収を可能とする。酵素または化学的切断部位を、タグが精製に続いて除去することができるように、インターフェロンペプチドおよびタグ分子の間に作成することができる。
【0045】
典型的には発現ベクターは、プラスミド担持細胞における挿入されたインターフェロンペプチド核酸に対応する多量のmRNAの合成を指令するプロモーターを含む。それは、宿主生物内でその自律複製を可能とする原核生物または真核生物の複製起点配列、ベクター含有細胞が毒性インターフェロンの存在下で選択されるのを可能とする遺伝的特性をコードする配列、および合成されたmRNAが翻訳される効率を増加させる配列を含むこともできる。適当な長期ベクターは、例えば、ウイルスの調節エレメント(例えば、エプスタインバーウイルスのゲノムからのOriP配列)を用いることによって、自由に複製する存在として維持することができる。ベクターをゲノムDNAに組み込んだ細胞系を生産することもでき、このようにして、遺伝子産物は連続ベースで生産される。
【0046】
用いる正確な宿主細胞は本発明によって臨界的ではない。本発明のポリペプチドは真核生物宿主(例えば、サッカロマイセス・セレヴィシエ、Sf21細胞のような昆虫細胞、またはNIH 3T3、HeLa、CHO、COS細胞、または望ましくは線維芽細胞のような哺乳動物細胞)でも生産することができる。そのような細胞は広い範囲の源(例えば、the American Type Culture Collection, Manassas, VA;例えば、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,2001も参照)から入手可能である。形質転換またはトランスフェクションの方法および発現伝達体の選択は、選択された宿主系に依存するであろう。形質転換およびトランスフェクション方法は、例えば、Ausubelら(前記)に記載されており;発現伝達体は、例えば、Cloning Vectors:A Laboratory Manual (P.H.Pouwels et al.,1985,Supp.1987)に提供されているものから選択することができる。
【0047】
本発明のポリペプチドの生産のための種々の発現系が存在する。例えば、哺乳動物細胞を用いてインターフェロンポリペプチドを発現させることができる。可溶性(切形された、およびタグド)形態でインターフェロンポリペプチドを生産するために、インターフェロンペプチド発現ベクターを用いて、安定なまたは一過性の細胞系クローンを作成することができる。適当な細胞系は、例えば、COS、HEK293T、CHOまたはNIH 3T3細胞系を含む。適当なベクターは、限定されるものではないが、染色体、エピソーム、ウイルス由来ベクター、例えば、細菌プラスミドに、バクテリオファージに、トランスポゾンに、酵母エピソームに、挿入エレメントに、酵母染色体エレメントに、バキュロウイルス、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、偽狂犬病ウイルス、およびレトロウイルスのようなウイルスに由来するベクター、およびその組合せに由来するベクターを含む。
【0048】
一旦適当な発現ベクターが構築されれば、それらは、限定されるものではないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラントランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、プロトプラスト融合、またはリポソーム媒介トランスフェクションのような形質転換技術によって適当な宿主細胞に導入される。本発明のベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は(限定されるものではないが)酵母、真菌、昆虫細胞(例えば、SF9昆虫細胞における発現用のバキュロウイルスベクターを用いる)、またはマウス、ヒトまたは他の動物に由来する細胞を含むことができる。インターフェロンポリペプチドのインビトロ発現、融合、またはクローン化DNAによってコードされるポリペプチド断片を用いることもできる。分子生物学の分野における当業者であれば、広く種々の発現系および精製系を用いて、組換えインターフェロンポリペプチドおよびその断片を生産することができることも理解するであろう。これらの系のいくつかは、例えば、Ausubel et al.(参照として本明細書に組み入れられるCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,NY(2000))に記載されている。
【0049】
天然グリコシル化インターフェロンは、それを天然で生産するヒト細胞から、あるいは組換えインターフェロン遺伝子を発現するように作成されているトランスジェニック真核生物細胞から単離することができる。インターフェロンの天然または組換え生産の方法は、一般に、米国特許第4,124,702号、第4,130,641号、第4,680,261号、第4,758,510号、第5,376,567号、第5,795,779号、および第5,827,694号に記載されている。または、単離され、精製されたヒトインターフェロンは商業的に入手可能である(例えば、Sigma Chemical Co.カタログ番号I2396、I2271、I1640、およびI6507)。
【0050】
一旦本発明の組換えポリペプチドが発現されれば、例えば、アフィニティークロマトグラフィーを用いてそれを単離する。1つの例において、本発明のポリペプチドに対して生起された抗体(例えば、当業者に公知の標準的な方法により生産された)をカラムに付着させ、それを用いて組換えポリペプチドを単離することができる。アフィニティークロマトグラフィーに先立ってのポリペプチド担持細胞の溶解および分別は、標準的な方法によって行うことができる(例えば、Ausubel et al.,前記)。
【0051】
一旦単離されたら、必要に応じて組換えタンパク質は、例えば、高速液体クロマトグラフィーまたは他のクロマトグラフィーによって、さらに精製することができる(例えば、Fisher,Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular Biology,eds.,Work and Burdon,Elsevier,1980参照)。
【0052】
本発明のポリペプチド、特に短いペプチド断片は、化学合成によって(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis,第2版, The Pierce Chemical Co.,Rockford,ILに記載された方法によって)生産することもできる。
【0053】
ポリペプチド発現および精製のこれらの一般的技術を用いて、本明細書に記載のインターフェロンの生物活性を有する有用なペプチド断片またはアナログを生産し、単離することもできる。
【0054】
アシアロインターフェロン生産
異なる割合のバイアンテナリー複合体を有するインターフェロンを作り出すための種々の方法が知られている。線維芽細胞によって生産されるインターフェロンは、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞によって生産されたインターフェロンよりも高い割合のバイアンテナリー複合体を有する。具体的には、ヒト線維芽細胞で生産されたヒトアシアロインターフェロン-βは約82%のバイアンテナリーガラクトース末端オリゴ糖および約18%のトリアンテナリーガラクトース末端オリゴ糖を含む。
【0055】
アシアロインターフェロンは、真核生物細胞において生産されたことによってグリコシル化され末端シアル残基を通常有するインターフェロンから末端シアル残基を除去することによって生産することができる。例えば、米国特許4,184,917号および本明細書で引用された文献、およびKasama et al.,J.Interfer.Cyto.Res.15:407-415,1995参照)。末端シアル残基は、例えば、温和な酸加水分解、またはDrzenieckらの文献(Microbiol.Immunol.59:35,1972)に記載された単離され精製された細菌またはウイルスノイラミニダーゼとの天然グリコシル化インターフェロンの処理によって除去することができる。クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、アルスロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)、およびビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)に由来するノイラミニダーゼを含む精製ノイラミニダーゼはSigma Chemical Co.(St.Louis,Mo.)から容易に入手できる(カタログ番号N3642、N5146、N7771、N5271、N6514、N7885、N2876、N2904、N3001、N5631、N2133、N6021、N5254、およびN4883)。
【0056】
例えばヒトアシアロインターフェロン-βを生産するには、ビーズ化アガロース(約0.22ユニット)に付着した20mgの不溶性ノイラミニダーゼをミクロ遠心管中の1ml蒸留水に懸濁し、軽く水和させることができる。アガロースを遠心によってペレット化し、154mM NaClおよび9mM塩化カルシウムを含有する1mlの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で3回洗浄し、ゲル(約72μl)を150μlの酢酸ナトリウム緩衝液に再懸濁させることができる。例えば、グリコシル化ヒトインターフェロン-β(3×106IU/バイアル、約0.15mg)を150μlの酢酸ナトリウム緩衝液に懸濁させることができる。次いで、前記ゲルおよびインターフェロン-βを混合し、回転プラットフォーム上で37℃にて3時間インキュベートすることができ、0.2μmフィルターを通す遠心濾過によって混合物をノイラミニダーゼから分離することができる。アシアロインターフェロンは-80℃にて長期間貯蔵することができる。
【0057】
アシアロインターフェロンを調製するさらなる例示的方法は、1mlの5mMギ酸(Ph3.5)中のArthrobacter ureafaciens由来のノイラミニダーゼの1ユニットで天然ヒトインターフェロン-βを37℃で3時間消化することを含む。加水分解に続き、脱シアル化インターフェロン-βは、0.1%トリフルオロ酢酸中のアセトニトリルの直線グラジエントでC18逆相カラム(例えば、Zorbax(登録商標)PR-10)にて単離することができる。アシアロインターフェロンを生産する他の方法は、一般に、米国特許第6,296,844号(参照として本明細書に組み入れられる)に記載されている。
【0058】
PEG化アシアロインターフェロンの調製
ポリエチレングリコール(PEG)は中性の水溶性で非毒性のポリマーである。(種々の平均分子量のPEGがSigma-Aldrich(St.Louis,MO)から商業的に入手可能であり、タンパク質結合に使用できるように修飾されているPEGがShearwater Corporation(Huntsville,AL)またはValentis,Inc.(Burlingame,CA.)から商業的に入手可能である。)毒性の欠如は、PEGがFDAによる国内使用で認可された数少ない合成ポリマーの1つであり、食品、化粧品、個人ケア製品および医薬で見られるという事実に反映されている。水生媒体中では、長い鎖様PEG分子はかなり水和しており、それは迅速に運動している。この迅速な運動はPEGが大きな容量(その「排除容量」)を押し流すのに導き、他の分子のアプローチを妨げる。非常に現実的な意味では、PEGは生物学的系にとってほとんど表に出ず、運動する結合水分子としてのみ明らかにされる。この特性の1つの結果は、PEGが非免疫原性であるということである。
【0059】
ポリマー分子のポリペプチドへの共有結合を行うには、ポリマー分子のヒドロキシル末端基が活性形態で、すなわち、反応性官能基(その例は、第一級アミノ基、ヒドラジド(HZ)、チオール、スクシネート(SUC)、サクシンイミジルスクシネート(SS)、サクシンイミジルサクシンアミド(SSA)、サクシンイミジルプロピオネート(SPA)、サクシンイミジルカルボキシメチレート(SCM)、ベンゾトリアゾールカルボネート(BTC)、N-ヒドロキシサクシンイミド(NHS)、アルデヒド、ニトロフェニルカルボネート(NPC)、およびトレシレート(TRES)を含む)で設けられていなければならない。適当な活性化ポリマー分子は、例えば、Shearwater Polymers,Inc.Huntsville,Ala.USAから商業的に入手可能である。または、ポリマー分子は、例えば、WO 90/13540に開示されているように、当技術分野において既知の慣用的方法によって活性化することができる。本発明で用いられる活性化された直鎖状または分岐鎖状ポリマー分子の具体的な例はShearwater Polymers,Inc.1997 and 2000 Catalogs(参照として本明細書に組み入れられるFunctionalized Biocompatible Polymers for Research and Pharmaceuticals,Polyethylene Glycol and Derivatives)に記載されている。活性化されたPEGポリマーの具体的な例は以下の直鎖状PEG:NHS-PEG(例えば、SPA-PEG、SSPA-PEG、SBA-PEG、SS-PEG、SSA-PEG、SC-PEG、SG-PEGおよびSCM-PEG)、およびNOR-PEG)、BTC-PEG、EPOX-PEG、NCO-PEG、NPC-PEG、CDI-PEG、ALD-PEG、TRES-PEG、VS-PEG、IODO-PEG、およびMAL-PEG、およびPEG2-NHSおよび、共に参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,932,462号および第5,643,575号に開示されたもののような分岐鎖PEGを含む。
【0060】
アシアロインターフェロンに結合させることができるPEG誘導体の例は以下に掲げるものを含む。

【0061】
さらに、参照として本明細書に組み入れられる以下の刊行物は有用なポリマー分子および/またはPEG化化学を開示している。

【0062】
ポリペプチドおよび活性化されたポリマー分子の結合は、例えば、(ポリマー分子の活性化用の適した方法も開示する)以下の文献に記載されているように、いずれの慣用的方法を用いることによっても実行される。

当業者であれば、用いるべき活性化方法および/または結合化学は、インターフェロンポリペプチドの結合基ならびにポリマーの官能基(例えば、スルフヒドリルについてはアミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、アルデヒドである)に依存することを認識するであろう。PEG化は、ポリペプチド上の全ての利用可能な結合基(すなわち、ポリペプチドの表面に露出される結合基)への結合に向けることができるか、あるいは特異的結合基、例えば、N末端アミノ基(米国特許第5,985,265号)に向けることができる。さらに、(例えば、WO 99/55377に記載されているように)結合は、1つの工程で、または段階的に達成することができる。
【0063】
アシアロインターフェロンと結合させることができるPEGは1,000〜5,000、5,001〜10,000、10,001〜20,000、20,001〜35,000、または35,001〜60,000ダルトン(例えば、3,350、5,000、8,000、10,000、12,000、20,000、30,000、35,000、40,000または60,000ダルトン)の平均分子量を有するものを含む。低分子量PEG(例えば、5,000ダルトンの平均分子量を有するもの)は、比較的小さなPEGはタンパク質表面のそうでなければ接近が余りできない領域に浸透することができるので、その標的部位選択において比較的選択できない。または、高分子量PEGを使用することができる。そのような高分子量PEGは、60,000ダルトンまでの分子量を有することができる。高分子量PEGは増大した連結化学安定性を提供し、部位特異的PEG化が必要な場合に有益であり得る。分岐した構造を有するPEG誘導体は比較的大きな分子容量を有する。従って、PEG結合のいくつかの利点が、分岐したPEG誘導体を用いる場合に結合の多くの点としてではなく得ることができる。
【0064】
アシアロインターフェロンは、インターフェロンのシステイン、リシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸残基における;C末端カルボキシルにおける;またはN末端アミンにおけるものを含む、アミノ酸配列内の多数の異なる残基においてPEG化することができる。例えば、N末端リーダー(アミノ酸1〜23)が除去されたアシアロインターフェロン-α-2bは以下の位置:図2Aに示された太文字配列のシステイン1、リシン23、リシン31、リシン49、リシン70、リシン83、リシン112、リシン121、チロシン129、リシン131、リシン133、リシン134、およびリシン164のいずれか1つにおいてPEG化することができる。本発明のアシアロインターフェロンは、PEGポリマーと1つのまたは複数の部位で結合することができる。
【0065】
PEG化反応は、イオン交換クロマトグラフィーによって反応生成物を分離するに先立って、pH6.5の100mMリン酸ナトリウム中で、精製されたアシアロインターフェロンをPEGの親電子性誘導体(SC-PEG)、またはPEGのいずれかの他の活性化形態と共にインキュベートすることによって行うことができる。そのようなイオン交換カラムはSP-5PW強カチオン交換カラム(21.5mm内径、15cm長、13μm粒子サイズ、Toso Haas、Montgomeryville,PA)であってよい。カラムはpH5.8の10mMリン酸ナトリウム緩衝液中で平衡化することができ、PEG化生成物はpH5.8の増大させるパーセンテージの80mMリン酸ナトリウム緩衝液を用いて溶出させることができ、214nmの波長のUV光を用いて検出することができる。単離された生成物を濃縮するには、10kDaの分子質量カットオフを持つCENTRIPLUS-10ミクロ-濃縮器カラム(Amicon,Beverly,MA)を用いることができる。
【0066】
または、アシアロインターフェロンはpH9.0の50mMホウ酸ナトリウム緩衝液中で、1:3モル比のアシアロインターフェロンとPEGの混合物をインキュベートすることによってPEG化することができる。この混合物の最終タンパク質濃度は約5mg/mlとすることができる。次いで、反応混合物を4℃にて2時間攪拌することができ、混合物のpHを氷酢酸で4.5に調整することによって反応を停止させることができる。所望の反応生成物を単離するには、混合物を水中で10倍に希釈し、20mM酢酸ナトリウム(pH4.5)で予め平衡化させたFractogel(登録商標)EMD CM 650(M)メタクリレートベースのポリマー親水性クロマトグラフィー樹脂を充填したカラムに、1.3cm/minの線速度で適用することができる。タンパク質は2mg/mlの濃度でカラムに負荷することができる。カラムを平衡化緩衝液で洗浄して過剰のPEG試薬および反応副産物を除去することができる。所望のPEG化アシアロインターフェロンは、平衡化緩衝液中の200mM塩化ナトリウムでカラムから溶出させることができる。精製されたPEG化生成物はさらに濃縮し、4℃の20mM酢酸ナトリウム(pH5.0)および150mM塩化ナトリウムを含有する滅菌緩衝液中で貯蔵することができる。
【0067】
さらに、カラムに適した流速(例えば、21.5mm内径カラムでは6mL/minおよび7.5mm内径カラムでは1mL/min)にて、SP-5PW強カチオン交換カラム(例えば、Toso Haas,21.5mm内径、15cm長、13μm粒子サイズ、または7.5mm内径、75mm長、10μm粒子サイズ)を備えたWaters Delta Prep 3000分取用HPLCシステム(Analytical Sales and Service,Mahwah,NJ)を用いることによって位置異性体を区別することができる。これらのカラムはリン酸ナトリウム濃度(pH5.8)を増加させる直線グラジエントで、または二塩基性リン酸カリウム(pH6.4)の0%から100%までの直線上昇pHグラジエント(4.3〜6.4)で実行することができる。214nmまたは280nmの波長のUV光を用い、位置異性体を検出することができる。
【0068】
他の修飾アシアロインターフェロンの調製
前記したPEG化アシアロインターフェロンに加え、他の水溶性ポリマーをアシアロインターフェロンに結合することもできる。さらに、1より多くのタイプの水溶性ポリマーによって単一インターフェロンを修飾することができる。例えば、インターフェロンをPEGおよびPVPポリマーと結合させることができる。適当な水溶性ポリマーの例はポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PTG)のようなポリ(アルキレンオキサイド)、およびポリ(オキシエチル化ソルビトール)、ポリ(オキシエチルグリセロール)およびポリ(オキシエチル化グルコース)のようなポリ(オキシエチル化ポリオール)を含む。そのようなポリマーは、例えば、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から商業的に入手可能である。さらに、アシアロインターフェロンへの結合に先立って水溶性ポリマーを活性化させることができる。
【0069】
タンパク質結合に先立ってポリマーを活性化させるための技術は当技術分野において知られている。例えば、前記したmPEG誘導体はPEGの活性化された形態である。ヒドロキシル基の活性化はトリクロロ-s-トリアジン(TsT;シアヌル酸)を用いて達成することができる。または、ヒドロキシル基はアミン反応性N-ヒドロキシルサクシンイミジル-またはp-ニトロフェニルカルボネート活性エステルの形成を介して活性化することができる(例えば、Zalipsky et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.15:100-114,1992参照)。加えて、活性化は、ヒドロキシル含有ポリマーがまず環状無水物(例えば、コハク酸無水物またはグルラル酸無水物)と反応し、続いて、カルボジイミドの存在下でこの反応のカルボキシル修飾生成物をN-ヒドロキシルサクシンイミドとカップリングさせる場合に達成させることができる。この反応の結果、サクシンイミジルスクシネートまたはグルタレートタイプの活性エステルが得られる(Abuchowski et al.,Cancer Biochem.Biophys.7:175-186,1984)。また、活性化は、ポリマーをN,N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることによって、イミダゾリルカルバメート中間体の形成を通じて達成することもできる。CDI-活性化ポリマーをタンパク質のアミン基と反応させて、サクシンイミジルカルボネート化学を用いることによって形成されたものと同一の安定なN-アルキルカルバメート結合を形成する(Beauchamp et al.,Anal.Biochem.131:25-33,1983)。
【0070】
本明細書中に記載されたいずれのポリマーもアシアロインターフェロンに結合させることができる。一般に、ポリマーは先に活性化させ、または先に活性化させることなく、アシアロインターフェロンに存在する、または化学的修飾または他の標準的方法を用いてアシアロインターフェロンに付加されているペンダント基を介してタンパク質に共有結合させることができる。そのようなペンダント基の例は第一級アミノ基、カルボキシル基、芳香族環およびチオール基を含む。ポリマーをアシアロインターフェロンにカップリングさせるための望ましい基は、例えば、タンパク質に存在するリシン残基中の遊離アミノ基およびN末端アミノ酸のα-アミノ基を含む。
【0071】
結合反応を行うのに用いられるタンパク質に対するポリマーの比率はポリマーの特徴(例えば、構造、サイズ、電荷および反応性)ならびにポリマーがカップリングすべきサブユニットの特徴に依存する。この比率の決定は、例えば、比率を変化させ、次いで、反応生成物の生物学的活性(例えば、次のセクションに記載する抗増殖または抗ウイルス活性)および結合安定性を決定することによるルーチン的実験の事柄である。
【0072】
修飾アシアロインターフェロンの生物学的活性の解析
当技術分野における多くの標準的な方法を用いて、PEG化アシアロインターフェロンのような修飾されたアシアロインターフェロンの抗ウイルスおよび抗増殖活性をアッセイすることができる(例えば、Monkarsh et al.,Analytical Biochemistry 247:434-440,1997 and Bailon et al.,Bioconjugate Chem.12:195-202,2001に開示された方法)。例えば、種々の修飾されたアシアロインターフェロン異性体の抗ウイルス活性は、Grace et al.(J.of Interferon and Cytokine Research 21:1103-1115,2001)に記載されたマイクロタイタープレートアッセイで測定することができる。そのようなアッセイにおいて、Mardin-Darbyウシ腎臓細胞またはヒト包皮線維芽細胞のようなウイルス感染に罹患性の哺乳動物細胞は、ウイルス、例えば、水疱性口内炎ウイルスまたは脳心筋炎ウイルスで感染させる。次いで、感染した細胞に対するウイルス細胞病理学的効果からの50%保護を供するテスト修飾アアシアロインターフェロンの用量を、対照インターフェロン(例えば、インターフェロン-α2a、アシアロインターフェロンまたは参照PEG化アシアロインターフェロン)の用量と比較することによって、修飾されたアシアロインターフェロンの相対的効力を決定することができる。
【0073】
加えて、動物モデルを用いて、修飾されたアシアロインターフェロンの抗新形成活性をアッセイすることができる。例えば、無胸腺ヌードマウスに、ヒト腎臓A498またはヒト腎臓ACHN細胞のような癌細胞系を移植することができる。特に、2×106細胞を、マウスの後ろわき腹下に皮下移植することができる。次いで、細胞に3〜6週間与えて、0.05〜0.50立方センチメートルのおおよそのサイズを有する腫瘍を確立させた。マウスを修飾されたアシアロインターフェロンのテスト用量で毎週少なくとも1回処理した。治療方法は4〜5週間継続させることができる。処理後、腫瘍サイズの変化を処理群および対照群、例えば、インターフェロン-α2a、またはインターフェロン-β1aを受ける群の間で比較し、修飾されたアシアロインターフェロンの相対的抗新形成活性をこのようにして評価することができる。
【0074】
または、修飾されたアシアロインターフェロンの抗増殖活性は細胞培養アッセイを用いることによってアッセイすることができる。例えば、(全てGrand Island Biologicals,Grand Island,NYから入手可能な)15%胎児ウシ血清および2mMグルタミンを補足したRMPI 1640中の静止懸濁培養に維持されたヒトDaudi細胞(バーキットリンパ腫)をそのようなアッセイで用いることができる。2×104細胞を、100μlの培地中のマイクロタイタープレート(Costar,MA)の各ウェルに添加することができる。次いで、プレートを5%CO2中にて37℃で72時間インキュベートすることができる。収穫の16時間前に、細胞を0.25mCi/ウェルの[3H]チミジン(New England Nuclear,Boston,MA)でパルスすることができる。細胞をガラスフィルター上に収穫し、液体シンチレーションカウンターでカウントすることができる。次いで、修飾されたアシアロインターフェロンで、および対照インターフェロンで処理した細胞から得られた結果を比較して、特定の修飾されたアシアロインターフェロンの相対的抗増殖および、従って、抗新形成活性を決定することができる。2’-5’オリゴアデニル酸シンターゼ活性、血清ネオプテリンレベル、β2-ミクログロブリン発現のような、テスト細胞および対照細胞の間で比較することができる他の生物学的活性、ならびにナチュラルキラー(NK)細胞およびリンホカイン活性化キラー(LAK)細胞アッセイはGrace et al.(J.Interferon Cytokine Res.21:1103-1115,2001 and Bailon et al.(Bioconjugate Chem.12:195-202,001)に開示されている。
【0075】
修飾アシアロインターフェロンの薬物動態学および体内分布
修飾アシアロインターフェロンは、当技術分野において公知の方法によって、その薬物動態学および薬力学特性によって特徴付けすることができる。Cmax、Tmax、t1/2、AUC(0-∞)、およびクリアランス速度のような薬物動態学パラメーターを解析することができる。加えて、ウイルス細胞病理学的効果の薬力学的決定は、血清修飾アシアロインターフェロン濃度と相関させることができる。そのような方法の例は、例えば、Pepinsky et al.(J.Pharmacol.Exp.Ther.297:1059-1066,2001)およびBailon et al.(Bioconjugate Chem.12:195-202,2001)に記載されている。さらに、放射性標識アシアロインターフェロンの組織分布を評価して、肝臓への標的化を確認することができる。
【0076】
投与量
本発明の治療方法に関して、修飾されたアシアロインターフェロンの患者への投与は特定の投与方法、投与量または投与の頻度に限定されることを意図せず;本発明では、筋肉内、静脈内、腹腔内、小胞内、関節内、病巣内、皮下、または新形成細胞の数を減少させるのに、またはウイルスの複製または広がりを妨げるのに適した用量を提供するのに十分ないずれかの他の経路を含む、全ての投与の方法が考えられる。化合物は単一用量にて、または複数用量にて患者に投与することができる。複数用量を投与する場合、前記用量は、例えば、1日、2日、1週間、2週間、または1ヶ月だけ相互から離すことができる。例えば、PEG化アシアロインターフェロンは、例えば、2、3、4、5、6、7、8、10、15、20またはそれ以上の週の間に1週間に1回投与することができる。いずれかの特定の対象では、具体的な投与方法は個々の必要性および組成物の投与を管理しまたは監督する個人の専門的判断に従って時間をかけて調整すべきであると理解されるであろう。例えば、修飾されたアシアロインターフェロンの用量は、もしより低い用量が十分な抗新形成または抗ウイルス活性を提供しないならば増加させることができる。逆に、修飾されたアシアロインターフェロンの投与量は、もし新生物またはウイルス感染が患者からクリアすれば、減少させることができる。
【0077】
主治医が最終的に適当な量および投与方法を決定するが、PEG化またはPVP化アシアロインターフェロンのような修飾されたアシアロインターフェロンの治療上有効量は、例えば、約0.035μg〜20μg/kg体重/日または0.010μg〜140μg/kg体重/週の範囲とすることができる。望ましくは、治療上有効量は毎日、1日おきに、または1週間に2回投与される約0.025μg〜10μg/kgの範囲、例えば、約0.025、0.035、0.05、0.075、0.1、0.25、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、または9.0μg/kg体重である。加えて、治療上有効量は毎週、1週間おきに、または1ヶ月に1回投与される約0.05、0.7、0.15、0.2、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、10.0、12.0、14.0、16.0または18.0μg/kg体重の範囲とすることができる。さらに、修飾されたアシアロインターフェロンの治療上有効量は、例えば、1日おきに、毎週1回、または1週間おきに投与される約100μg/m2〜100,000μg/m2の範囲とすることができる。望ましい態様においては、治療上有効量は毎日、1日おきに、週2回、毎週、1週間おきに投与される修飾されたアシアロインターフェロンの約1000μg/m2〜20,000μg/m2の範囲、例えば、約1000、1500、4000または14,000μg/m2の範囲である。
【0078】
薬学的組成物の処方
修飾アシアロインターフェロン(例えばPEG化またはpvpy化されたアシアロ-インターフェロン)の投与は、他の成分と組み合わせて、標的領域に到達するに対して抗ウイルスまたは抗新形成となる特性を有する修飾アシアロインターフェロンの濃度がもたらされるいずれの適当な手段によってもよい。化合物はいずれかのいずれかの適当な担体物質にいずれかの適当な量で含有させることができ、一般に、組成物の合計重量の1〜95重量%の量で存在させる。組成物は、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内または腹腔内)投与経路に適した投与形態で提供することができる。薬学的組成物は慣用的な薬学的プラクティスに従って処方することができる(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第20版)、ed.A.R.Gennaro,Lippincott Williams and Wilkins,2000 and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,ed.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988-1999,Marcel Dekker,New York参照)。
【0079】
本発明による薬学的組成物は、投与に際して直ちに、あるいは投与後にいずれかの所定の時刻または時間に活性化合物を放出するように処方することができる。後者のタイプの組成物は、一般に、徐放性処方として知られており、これは(i)長期間にわたって体内の修飾アシアロインターフェロンの実質的に一定な濃度を作り出す処方;(ii)長期間にわたって体内の修飾アシアロインターフェロンの実質的に一定な濃度を、所定のラグ時間後に作り出す処方;(iii)活性な修飾アシアロインターフェロン物質の血漿レベルの変動を伴う望ましくない副作用を同時に最小化して、体内の比較的一定な有効な修飾アシアロインターフェロンレベルを維持することによって所定の時間にわたって活性な修飾アシアロインターフェロンの作用を維持する処方(鋸歯動的パターン);(iv)例えば、病気の組織または器官に隣接した、またはその中の徐放性組成物の空間的設置によって、修飾アシアロインターフェロンの作用を局所化する処方;(v)例えば、1週間または2週間ごとに1回、用量が投与されるように、便宜な投与を達成する処方;および(vi)秋暑kじゅアシアロインターフェロンを特定の標的細胞型に送達するために担体または化学誘導体を用いることによって、修飾アシアロインターフェロン作用を標的化する処方を含む。徐放性処方の形態での修飾アシアロインターフェロン化合物の投与は、胃腸管中で狭い吸収ウインドーまたは比較的短い生物学的半減期を有する修飾アシアロインターフェロンで特に好ましい。
【0080】
多数の戦略のうちいずれかを追求して、放出の速度が問題の化合物の代謝速度よりも大きい徐放性を得ることができる。1つの例において、徐放性は、例えば、種々のタイプの徐放性組成物およびコーティングを含む、種々の処方パラメーターおよび成分の適当な選択によって得られる。従って、修飾アシアロインターフェロンは、適当な賦形剤で、投与に際して、修飾アシアロインターフェロンを制御して放出する薬学的組成物に処方される。その例は単一または複数ユニットの錠剤またはカプセル組成物、油溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロカプセル、分子複合体、マイクロスフェア、ナノ粒子、パッチおよびリポソームを含む。
【0081】
非経口組成物
薬学的組成物は、投与形態、処方にて、あるいは慣用的な非毒性薬学的に許容される担体およびアジュバントを含有する適当な送達デバイスまたはインプラントを介して、注射、注入または移植(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内など)によって非経口投与することができる。そのような組成物の処方および調製は、薬学的処方の分野の当業者に周知である。処方はRemington:The Science and Practice of Pharmacy、前記に見出すことができる。
【0082】
非経口使用の組成物は、単位投与形態にて(例えば、単一用量アンプルにて)、あるいはいくつかの用量を含み、適当な保存剤を添加することができるバイアルにて(後記参照)提供することができる。組成物は溶液、懸濁液、エマルジョン、注入デバイス、または移植用の送達デバイスの形態とすることができるか、あるいは使用前に水またはもう1つの適当な伝達体で復元される乾燥粉末として呈することができる。活性な修飾アシアロインターフェロンとは別に、組成物は適当な非経口的に許容される担体および/または賦形剤を含むことができる。活性アシアロインターフェロンは、制御された放出のため、マイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム等に取り込むことができる。さらに、組成物は懸濁化剤、可溶化剤、安定化剤、pH-調整剤、張性調整剤および/または分散剤を含むことができる。
【0083】
前記したように、本発明による薬学的組成物は、滅菌注射に適した形態とすることができる。そのような組成物を調製するには、適当な活性な修飾アシアロインターフェロンを非経口的に許容される液体伝達体に溶解または懸濁させる。使用できる許容される伝達体および溶媒の中には、水、適量の塩酸、水酸化ナトリウムまたは適当な緩衝液の添加によって適当なpHに調整された水、1,3-ブタンジオール、リンゲル液、デキストロース溶液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。また、水性処方は一つまたは複数の保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、エチルまたはn-プロピル)を含有することもできる。化合物の1つが水にわずかに溶けるか、ほとんど溶けないに過ぎない場合には、溶解増強剤または可溶化剤を添加することができるか、あるいは溶媒は10〜60%w/wのプロピレングリコールなどを含むことができる。
【0084】
徐放性非経口組成物
徐放性非経口組成物は水性懸濁液、マイクロスフェア、マイクロカプセル、磁性マイクロスフェア、油溶液、油懸濁液またはエマルジョンの形態とすることができる。または、活性な修飾アシアロインターフェロンを生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、または注入デバイスに取り込むことができる。
【0085】
マイクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製で用いられる物質は、例えば、ポリガラクチン、ポリ-(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-L-グルタミン)、ポリ(乳酸)、ポリグリコール酸、およびそれらの混合物のような生分解性/生腐食性ポリマーである。徐放性非経口処方を処方する場合に用いることができる生体適合性担体は炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質または抗体である。インプラントで用いられる物質は非生分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)または生分解性(例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)またはポリ(オルトエステル))またはその組合わせであり得る。
【0086】
経口使用のための固体投与形態
経口使用のための処方は、非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合した有効成分を含有する錠剤を含み、そのような処方は当業者に知られている(例えば、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,817,307号、第5,824,300号、第5,830,456号、第5,846,526号、第5,882,640号、第5,910,304号、第6,036,949号、第6,036,949号、第6,372,218号)。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤または充填剤(例えば、スクロース、ソルビトース、糖、マンニトール、マイクロクリスタリンセルロース、ジャガイモ澱粉を含む澱粉、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);造粒および崩壊剤(例えば、マイクロクリスタリンセルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモ澱粉を含む澱粉、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、澱粉、α化澱粉、マイクロクリスタリンセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);および滑沢剤、グライダント、および抗接着剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカス、水添植物油、またはタルク)とすることができる。他の薬学的に許容される賦形剤は着色剤、フレーバー剤、可塑剤、保湿剤、緩衝化剤などであり得る。
【0087】
錠剤はコーティングしなくてもよく、あるいは、胃腸管での崩壊および吸収を遅らせてもよく、それにより、長時間にわたって保持された作用を提供するために、既知の技術によってコーティングすることができる。コーティングは所定のパターンにて(例えば、徐放性処方を達成するために、活性な修飾アシアロインターフェロン物質を放出するように適合させることができるか、あるいは胃を通過した後まで活性修飾アシアロインターフェロン物質を放出しないように適合させることができる(腸溶コーティング)。コーティングは糖コーティング、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンに基づく)、または腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロール、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、シェラック/またはエチルセルロースに基づく)であり得る。さらに、例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質を使用することができる。
【0088】
固体錠剤組成物は、望まない化学的変化(例えば、活性修飾アシアロインターフェロン物質の放出に先立つ化学的分解)から組成物を保護するように適合したコーティングを含むことができる。コーティングは、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、前記に記載されたのと同様に固体投与形態に適用することができる。
【0089】
2つの修飾アシアロインターフェロンを錠剤中で一緒に混合することができ、あるいは分配することができる。1つの例において、第2の修飾アシアロインターフェロンの物質的な部分が第1の1の修飾アシアロインターフェロンの放出に先立って放出されるように、第1の修飾アシアロインターフェロンを錠剤の内部に含ませ、第2の修飾アシアロインターフェロンを外側に含ませる。
【0090】
また、経口使用の処方は、咀嚼錠、または有効成分を不活性固体希釈剤(例えば、ジャガイモ澱粉、ラクトース、マイクロクリスタリンセルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合するハードゼラチンカプセル、または有効成分を水または油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合するソフトゼラチンカプセルとして呈することもできる。粉末および顆粒は、例えば、ミキサー、流動床装置またはスプレー乾燥器具を用い、慣用的方法にて錠剤およびカプセルにつき前記した成分を用いて調製することができる。
【0091】
徐放性経口投与形態
経口使用の徐放性組成物は、例えば、活性な修飾アシアロインターフェロン物質の溶解および/または拡散を制御することによって、活性な修飾アシアロインターフェロンを放出するように構築することができる。
【0092】
溶解または拡散徐放性は、化合物の錠剤、カプセル、ペレットまたは顆粒処方の適当なコーティングによってまたは化合物を適当なマトリックスに取り込むことによって達成することができる。徐放性コーティングは前記したコーティング物質および/または、例えば、シェラック、ミツロウ、グリコワックス、カストールワックス、カルナウバワックス、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl-ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシ、メタクリレートヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、および/またはポリエチレングリコールの一つまたは複数を含むことができる。徐放性マトリックス処方においては、マトリックス物質は、例えば、水和メチルセルロース、カウナウバワックスおよびステアリルアルコール、カルボポル934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよび/またはハロゲン化フルオロカーボンを含むこともできる。
【0093】
特許請求する組合せの化合物の一つまたは複数を含有する徐放性組成物は、浮遊錠剤カプセル(すなわち、経口投与に際して、胃内容物の頂部に長時間浮かぶ錠剤またはカプセル)の形態とすることもできる。化合物の浮遊錠剤処方は、修飾アシアロインターフェロンと賦形剤および20〜75%w/wのヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなヒドロコロイドとの混合物を顆粒化することによって調製することができる。次いで、得られた顆粒を圧縮して錠剤とすることができる。胃液との接触に際し前記錠剤はその表面の周りに実質的に水非浸透性ゲルバリアーを形成する。このゲルバリアーは、1未満の密度を維持するのに働き、それにより錠剤を胃液に浮かんだままとする。
【0094】
他の態様
本明細書中で引用した全ての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が参照として具体的かつ個々に一体化させることを示すように参照として組み入れられる。前記発明は理解の明瞭性を目的として例示および例によって幾分詳細に記載したが、ある種の変形および修飾は添付の特許請求の範囲または精神の範囲から逸脱することなく成すことができるのは本発明の開示に鑑みて当業者には容易に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】天然ヒトインターフェロン-βの構造の模式図である。また、天然ヒトインターフェロン-βの典型的なバイアンテナリー複合体型の糖鎖のノイラミニダーゼによる切断部位も示される。略語:Fuc、フコース;GlcNAc、N-アセチルグルコサミン;Man、マンノース;Gal、ガラクトース;NeuAc、N-アセチルノイラミン酸(シアル酸)。
【図2A】シグナルペプチド(アミノ酸1〜23;太文字)を含むヒトインターフェロン-α-2前駆体ポリペプチド(アクセッション番号:P01563)のアミノ酸配列(配列番号:1)である。成熟インターフェロン-α-2ポリペプチド(平活字)はアミノ酸24〜188から伸びる。アミノ酸129における下線を施したスレオニンはO-結合グリコシル化の部位である。
【図2B】ヒトインターフェロン-α-2前駆体ポリペプチドをコードするmRNAの核酸配列(アクセッション番号:NM 000605)(配列番号:4)である。コーディング配列は核酸69から核酸635まで伸びる。開始および停止コドンは下線を施す。この核酸配列のいくつかの変種形態が存在し、これは、以下の核酸の変化を含む。核酸位置205におけるAからG;核酸位置667におけるAからG;核酸位置909におけるCからT;および/または核酸位置949におけるAからG。
【図3A】シグナルペプチド(アミノ酸1〜21;太文字)を含むヒトインターフェロン-β前駆体ポリペプチド(アクセッション番号:P01574)のアミノ酸配列(配列番号:2)である。成熟ヒトインターフェロン-βポリペプチド(平活字)はアミノ酸22〜187から伸びる。アミノ酸位置101における下線を施したアスパラギンはN-結合グリコシル化の部位である。ヒトインターフェロン-β変種ポリペプチドはアミノ酸位置162においてチロシンを含有する(CからY)。
【図3B】ヒトインターフェロン-β前駆体ポリペプチドをコードするmRNAの核酸配列(アクセッション番号:NM 002176)(配列番号:5)である。コーディング配列は核酸1〜564から伸びる。開始および停止コドンには下線を施す。この核酸配列のいくつかの変種形態が存在し、これは以下の核酸変化を含む。核酸位置153におけるCからTおよび核酸位置228におけるCからT。
【図4A】シグナルペプチド(アミノ酸1〜20;太文字)を含むヒトインターフェロ-γ前駆体タンパク質(アクセッション番号:P01579)のアミノ酸配列(配列番号:3)である。成熟ヒトインターフェロン-γポリペプチド(平活字)はアミノ酸21〜166から伸びる。インターフェロン-γ前駆体タンパク質のアミノ酸位置48および120の下線を施したアスパラギンはN-結合グリコシル化の部位である(が、Asn120はダイマーにおいてグリコシル化されているにすぎない)。
【図4B】ヒトインターフェロン-γ前駆体タンパク質をコードするmRNA(NM 000619)の核酸配列(配列番号:6)である。コーディング配列は核酸109〜609から伸びる。開始および停止コドンは下線を施す。この核酸配列のいくつかの変種形態が存在し、これは以下の核酸の変化を含む。核酸624におけるAからG;核酸705におけるAからG;核酸732におけるAからT;核酸789におけるCからT;核酸986におけるCからT;および核酸1148におけるAからG。
【配列表】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1,000〜60,000ダルトンの平均分子量を有する水溶性ポリマーに結合されたアシアロインターフェロンを含む、修飾されたアシアロインターフェロン。
【請求項2】
水溶性ポリマーが約10,000〜20,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項1記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項3】
修飾アシアロインターフェロンがPEG化(pegylated)アシアロインターフェロンである、請求項1または2記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項4】
PEG化アシアロインターフェロンがシステイン、リシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸残基において;C末端カルボキシルにおいて;またはN末端アミンにおいてPEG化されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項5】
PEG化アシアロインターフェロンがシステイン残基においてPEG化された、請求項1〜3のいずれか一項記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項6】
PEG化アシアロインターフェロンがリシン残基においてPEG化された、請求項1〜3のいずれか一項記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項7】
修飾されたアシアロインターフェロンがPVP化された(pvpylated)アシアロインターフェロンである、請求項1または2記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項8】
PVP化アシアロインターフェロンがシステイン、リシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸またはグルタミン酸残基において;C末端カルボキシルにおいて;またはN末端アミンにおいてPVP化されている、請求項7記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項9】
PVP化アシアロインターフェロンがシステイン残基においてPVP化されている、請求項7または8記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項10】
PVP化アシアロインターフェロンがリシン残基においてPVP化されている、請求項7または8記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項11】
修飾アシアロインターフェロンがアシアロインターフェロン-α、アシアロインターフェロン-βまたはアシアロインターフェロン-γを含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の修飾されたアシアロインターフェロン。
【請求項12】
アシアロインターフェロンがヒトアシアロインターフェロンである、請求項11記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項13】
アシアロインターフェロンのポリペプチド配列が、成熟インターフェロンポリペプチドの配列と比較してさらなるシステイン残基を含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項14】
システインが成熟インターフェロンポリペプチドのスレオニンまたはセリン残基を置き換える、請求項13記載の修飾アシアロインターフェロン。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項記載の修飾アシアロインターフェロン、および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項16】
水溶性ポリマーが約1,000〜60,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項15記載の薬学的組成物。
【請求項17】
水溶性ポリマーが約10,000〜20,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項15記載の薬学的組成物。
【請求項18】
修飾アシアロインターフェロンがPEG化アシアロインターフェロンである、請求項15〜17のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項19】
修飾アシアロインターフェロンがPVP化アシアロインターフェロンである、請求項15〜17のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項20】
修飾アシアロインターフェロンがアシアロインターフェロン-α、アシアロインターフェロン-β、またはアシアロインターフェロン-γを含む、請求項15〜19のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項21】
修飾アシアロインターフェロンが修飾されたヒトアシアロインターフェロンである、請求項15〜20のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項22】
約1,000〜60,000ダルトンの平均分子量を有する水溶性ポリマーに結合された哺乳動物アシアロインターフェロンを含む治療上有効量の薬学的組成物を肝臓障害を持つ患者に投与することを含む該患者を治療する方法。
【請求項23】
修飾アシアロインターフェロンがPEG化アシアロインターフェロンである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
修飾アシアロインターフェロンがPVP化アシアロインターフェロンである、請求項22記載の方法。
【請求項25】
肝臓障害がウイルス性肝炎、肝臓癌、または肝臓の線維症である、請求項22〜24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
患者がB型肝炎ウイルスまたはC型ウイルス肝炎に感染した、請求項22〜24のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
肝臓障害が散在タイプの肝細胞癌腫、発熱タイプの肝細胞癌腫、胆汁鬱滞肝細胞癌腫、胚芽腫、肝様腺癌、および局所結節性過形成である、請求項22〜24のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
修飾アシアロインターフェロンがアシアロインターフェロン-α、アシアロインターフェロン-βまたはアシアロインターフェロン-γを含む、請求項22〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
アシアロインターフェロンがヒトアシアロインターフェロンである、請求項22〜28のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−508918(P2006−508918A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−534635(P2004−534635)
【出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/027835
【国際公開番号】WO2004/021993
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(399037243)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレーション (5)
【出願人】(505082785)ザ ジーアイ カンパニー インコーポレーティッド (3)
【Fターム(参考)】