説明

修飾されたアネキシン蛋白質および血栓症を防ぐための方法

【課題】修飾されたアネキシン蛋白質、好ましくはアネキシンVを用いることにより出血を増加させることなしに血栓症を防ぐ。
【解決手段】血栓症を変調させる修飾アネキシン蛋白質をスクリーニングする方法であって、a)血栓症試験システムを、血栓症を許容する条件下で、少なくとも一つの修飾されたアネキシン蛋白質に接触させ;b)上記試験修飾アネキシン蛋白質の存在下で抗血栓活性を評価し;そしてc)試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での抗血栓活性を、試験修飾アネキシン蛋白質の不在下での抗血栓活性と比較し、試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での抗血栓活性の変化が血栓症を変調させる修飾アネキシン蛋白質の指標である、上記方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、血栓症を治療するための方法及び組成物に関する。特定すれば、本発明は、修飾されたアネキシン蛋白質およびそれらの使用方法に関する。
【0002】
発明の背景
血栓症は、血管の中の血液クロット(血栓)の形成、成長又は存在であり、最も共通の重度の医学上の障害である。動脈の血栓症の最も頻繁な例は冠動脈の血栓症であり、冠動脈の閉塞を導いて、しばしば心筋梗塞(心臓発作)を導く。130万人より多い患者が北米において毎年心筋梗塞のために病院に入院する。標準の治療は点滴による血栓溶解蛋白質はの投与である。急性の心筋梗塞の血栓溶解治療は治療された1000人の患者あたり30人の生命を救うと見積もられる;にもかかわらず、この障害の30日の死亡率が実在したままである(Mehta et al.,Lancet 356:449−454(2000)、引用により本明細書に編入される)。全量一回投与(bolus)の注射による抗血栓剤及び血栓溶解剤の投与が便利なのは、付加的な利益を伴う病院への入院の前に使用されるかもしれないからである(Rawles,J.Am.Coll.Cardiol.30:1181−1186(1997)、引用により本明細書に編入される)。しかしながら、全量一回投与(bolus)は(より漸次の静脈内点滴とは対照的に)、大脳の出血の危険を顕著に増加させる(Mehta et al.,2000)。出血なしに血栓症を防ぐか及び/又は血栓溶解を増加させることができる薬剤の開発が望まれる。
【0003】
冠動脈の閉塞による心臓への不十分な酸素の到達により引き起こされる不安定なアンギナは、病院への入院の最もありふれた原因であり、合衆国のみで1年に150万ケースである。冠動脈の閉塞の患者を血管形成術及びステント術により治療する場合、血小板gp IIb/IIIaに対する抗体の使用が再狭窄の可能性を低下させる。しかしながら、同じ抗体は血管形成術なしに不安定なアンギナにおいて利益を示さなかったし、これらの患者において冠動脈の閉塞を防ぐための良好な方法が要求される。
【0004】
動脈の血栓症の別の重要な例は大脳の血栓症である。静脈内の組換え組織プラスミノーゲンアクティベーター(rtPA)は食品医薬品局により認定される急性の貧血性の脈拍のための唯一の治療である。投与が早いほど良好である(Ernst et al.,Stroke 31:2552−2557(2000),引用により本明細書に編入される)。しかしながら、静脈内のrtPAの投与は大脳内の出血の危険の増加を付随する。成熟期の(full-blown)脈拍はしばしば一過性の貧血性の発作(TIA)が先に来て、合衆国において毎年約300,000人がTIAを患うと見積もられる。全量一回投与として投与できる安全で有効な薬剤を有することが望まれて、且つ、数日間大脳の出血の危険を増加させることなしに大脳の血栓症の再発を防ぐはずである。血栓症は糖尿病及び他の患者の末梢動脈の閉塞の一因ともなり、そのような患者のための有効で安全な抗血栓剤が要求される。
【0005】
静脈の血栓症は、臀部及び膝の関節形成術のような外科的処置の頻繁な合併症である。手術の分野においては出血を増加させることなく血栓症を防ぐことが望まれている。妊娠及び分娩に付随する静脈の血栓症にも類似の考察があてはまる。何人かは繰返しの静脈の血栓症になりがちであり、クマリンタイプの薬剤のような抗血栓剤により現在治療されている。そのような薬剤の用量は各患者において定量(titrated)されなければならず、有効な抗血栓剤の用量と出血を増加させる用量の間の余裕は小さい。出血の危険を増加させることからの抗血栓活性の良好な分離による治療法を有することが望まれる。血小板gp IIb/IIIaのリガンド、低分子量ヘパリン、及び因子Xaのペンタサッカライド阻害剤を含む、最近導入された抗血栓治療の全ては、出血の危険を増加させ得る(Levine et al.,Chest 119:108S−121S(2001),引用により本明細書に編入される)。よって、出血の危険を増加させることなしに動脈及び静脈の血栓症を防ぐための別の戦略を探索する要求が存在する。
【0006】
出血を増加させることなしに動脈又は静脈の血栓の拡大を阻害するためには、造血に関与する機構と大血管内の血栓症に関与する機構の間の潜在的な違いを探索することが必要である。主要な造血機構は血小板のマイクロ凝集物の形成を含み、毛細血管を塞いで、小血管内の損傷したか又は活性化された内皮細胞にわたり蓄積する。血小板の凝集物の阻害剤は、トロンボキサンA2の形成又は作用を抑圧する剤、gp IIb/IIIaのリガンド、及びADP受容体上に作用する薬剤、例えばクロピドグレル(clopidogrel)(Hallopeter,Nature 409:202−207(2001),引用により本明細書に編入される)を含み、このプロセスを干渉し、よって、出血の危険を増加させる(Levine et al.,2001)。マイクロ凝集物の形成に加えて、動脈又は静脈の血栓による閉塞は、血小板の血栓への連続する補充と取り込みを必要とする。大血管内の剪断力による脱離に打ち勝つために、血小板は互いに、そしてそれらを取り巻いて被覆するフィブリンのネットワークに、強固に結合していなければならない。
【0007】
血小板の密なマクロ凝集物の形成が細胞及び体液の増幅機構により促進されて、互いを補強しあうという証拠が蓄積してきた。細胞の機構においては、適度な濃度のアゴニスト、例えばADP,トロンボキサン、A2、又はコラーゲンにより誘導される、血小板の相対的にルーズなマイクロ凝集が、85−kD蛋白質Gas6の血小板α顆粒からの放出により達成される(Angelillo−Scherrer et al.,Nature Medicine 7:215−221(2001),引用により本明細書に編入される)。放出されたGas6の、血小板表面上に発現される受容体チロシンキナーゼ(Axl,Sky,Mer)への結合は、完全な脱顆粒化及びこれらの細胞の強固なマクロ凝集の形成を誘導する。体液の増幅機構においては、プロトロンビナーゼ複合体が活性化された血小板及び微小胞の表面上に形成される。これによりトロンビンとフィブリンが生じる。トロンビンはそれ自体有力な血小板アクティベーター並びにGas6の放出の誘導因子である(Ishimoto and Nakano,FEBS Lett.446:197−199(2999)、引用により本明細書に編入される)。完全に活性化された血小板はその周囲に付着したフィブリンの新たなネットワークに強く結合する。細胞組織学上の観察は、血小板とフィブリンの両方がヒトにおける安定な冠動脈の血栓の形成に必要であることを示す(Falk et al.Interrelationship between atherosclerosis and thrombosis.In Vanstraete et al.(編纂)、Cardiovascular Thrombosis:Thrombocardiology and Thromboneurology.Philadelphia:Lipincott−Raven Publishers(1998),pp.45−58,引用により本明細書に編入される)。別の血小板接着分子であるアンフォテリンは活性化の間に血小板表面に位置を変え、そしてアニオン性ホスホリピッドを結合する(Rouhainen et al.,Thromb.Hemost.84:1087−1094(2000)、引用により本明細書に編入される)。Gas6のように、アンフォテリンは血小板の凝集の間にブリッジを形成できた。
【0008】
これらの増幅機構を阻害するが初期血小板凝集を阻害せず、それにより出血を増加させることなく血栓症を防ぐことができるか否かという疑問が生じる。細胞の増幅の重要性は、Gas6の標的化不活性化によるマウスの研究により最近確立されてきた(Angelillo−Scherrer et al.,2001)。Gas6−/−マウスはコラーゲンとエピネフィリンにより誘導された血栓症と塞栓症に対して保護されることがわかった。しかしながら、Gas6−/−マウスは自発的な出血を患うことがなく、尾部のクリッピング後に通常の出血があった。さらに、Gas6に対する抗体は、インビトロにて血小板の凝集を、並びにコラーゲン及びエピネフィリンによりインビボにて誘導された血栓症を阻害した。原則として、そのような抗体、又は受容体チロシンキナーゼに結合するGas6に関して競合するリガンドは、血栓症を阻害するのに使用されるかもしれない。しかしながら、体液の増幅の能力に照らすと、その工程を阻害することは好ましいかもしれない。理想的には、そのような阻害剤はGas6−媒介性細胞増幅機構に対して、付加的な抑圧活性も有するはずである。
【0009】
血小板凝集の細胞性増幅及び体液性増幅の両方を防ぐ戦略は、アネキシンにより提供され、その10の高相同性の抗血栓蛋白質のファミリーがいくつかのヒト組織内で発現される(Benz and Hofmann,Biol.Chem.378:177−183(1997)、引用により本明細書に編入される)。アネキシンは、共に血液の凝固に必要なカルシウムと陰性荷電ホスホリピッドの結合特性を共有する。生理学上の条件下では、陰性荷電ホスホリピッドは、主に、活性化されたか又は損傷した細胞膜中でホスファチジルセリン(PS)により供給される。完全な細胞においては、PSはプラズマ膜の二層の内部のリーフレットに閉じ込められて、表面上には接近できない。血小板が活性化されたら、それらの表面上に接近可能なPSの量、即ちアネキシン結合の程度が大いに増大する(Sun et al.,Thrombosis Res.69:289−296(1993)、引用により本明細書に編入される)。血小板の活性化の間、微小胞がそれらの表面から放出されて、前凝血活性を有するアニオン性ホスホリピッドを発現する表面積を大いに増大させる(Merten et al.,Circulation 99:2577−2582(1999);Chow et al.,J.Clin.Med.135:66−72(2000)、共に引用により本明細書に編入される)。これらは、血小板媒介性の動脈の血栓の拡大において重要な役割を担うかもしれない。
【0010】
血液の凝血カスケードに関与する蛋白質(因子X,Xa,及びVa)は、それらの表面上の膜生産(bearing)PSに、及び互いに、結合して、安定で強固に結合したプロトロンビナーゼ複合体を形成する。II,V,及びVIIを含むいくつかのアネキシンは高い親和性でPSを結合して、それによりプロトロンビナーゼ複合体の形成を防いで、抗血栓活性を及ぼす。アネキシンVはPSを極めて高い親和性(Kd=1.7mmol/L)にて結合するが、陰性荷電ホスホリピッドに関する因子X,Xa,及びVaの親和性よりも高い(Thiagarajan and Tait,J.Biol.Chem.265:17420−17423)1990)、引用により本明細書に編入される)。活性化されたか又は損傷を受けた内皮細胞上の組織因子依存性の血液凝固も、PSの表面発現を必要とし、そしてアネキシンVはこのプロセスを阻害することができる(van Heerde et al.,Arterioscl.Thromb.14:824−830(1994),引用により本明細書に編入される)が、アネキシンはプロトロンビナーゼ生成の阻害におけるよりも、この活性において有効性が劣る(Rao et al.,Thromb.Res.62:517−531(1992)、引用により本明細書に編入される)。
【0011】
アネキシンVの活性化された血小板への結合及び損傷を受けた細胞への結合は、血栓における蛋白質の選択的な停留をおそらくは説明する。これは、静脈及び動脈の血栓症の実験動物モデルにおいて示されており(Stratton et al.,Circulation 92:3113−3121(1995);Thiagarajan and Benedict,Circulation 96:2339−2347(1997)、共に引用により本明細書に編入される)、そして標識されたアネキシンは、ノイズの減少と安全性の増加をもって、ヒトにおける血管の血栓の医療用イメージングに関して提案されてきた(Reno and Kasina,国際特許出願PCT/US95/07599(WO 95/34315)(1995年12月21日公開)、引用により本明細書に編入される)。血栓への有力な抗血栓剤、例えばアネキシンVの結合は、血栓症の拡大又は再発を防ぐ戦略を提供する。一過性の心筋の貧血もアネキシンVの結合を増加させる(Dumont et al.,Circulation 102:1564−1568(2000),引用により本明細書に編入される)。ヒトにおけるアネキシンVイメージングは、心内膜心筋の生検が血管の拒絶を示したときに、移植された心臓において蛋白質の結合の増加を示した(Acio et al.,J.Nuclear Med.41(補遺5):127P(2000),引用により本明細書に編入される)。この結合は、おそらく、損傷を受けた内皮細胞並びに拒絶されつつある心臓内のアポトーシス性筋細胞の表面上に外面化されたPSのためである。当然の結果として、心筋梗塞の後のアネキシンの投与は血小板細胞及び内皮細胞の両方の上の前血栓症複合体の形成を妨害して、それにより、血栓症の拡大と再発を防ぐ。アネキシンVの結合もヒトにおける大脳の低酸素症後に増加し(D’Arceuil et al.,Stroke 2000:2692−2700(2000),引用により本明細書に編入される)、TIA後のアネキシンの投与が成熟期の(full-blown)脈拍を生じさせる見込みを低下させるかもしれないという仮説を支持する。
【0012】
アネキシンは、いくつかのインビトロトロンビン依存性アッセイにおいて、並びに静脈血栓症(Romisch et al.,Thrombosis Res.61:93−104(1991);Van Ryn−McKenna et al.,Thrombosis Hemostasis 69:227−230(1993),共に引用により本明細書に編入される)及び動脈血栓症(Thiagarajan and Benedict,1997)の実験動物モデルにおいて、抗凝血活性を示した。注目すべきは、抗血栓症用量中のアネキシンは治療されたウサギにおいて伝統的なエクスビボのクロット形成試験に対して証明可能な効果を有さず(Thiagarajan and Benedict,1997)、そして治療されたラットの出血時間を顕著に延長させなかった(Van Ryn−McKenna et al.,1993)。治療されたウサギにおいて、アネキシンは外科手術の切開部への出血を増加させなかった(Thiagarajan and Benedict,1997)。これまでに調査された全ての薬剤の間で唯一、アネキシンは出血を増加させることなしに、抗血栓症活性を発揮する。アネキシンは、トロンビン以外のアゴニストにより引き起こされる血小板の凝集を阻害しなかった(van Heerde et al.,1994)が、血小板の凝集は主要な止血機構である。損傷した血管の壁及び血管外組織においては、組織因子/VIIa複合体も止血作用を発揮し、そしてこのシステムはプロトロンビナーゼ複合体よりもアネキシンVによる阻害に対する感受性が劣る(Rao et al.,1992)。これは、可能な限りの血管区画への投与されたアネキシンVの閉じ込めに関する一つの議論である;出血の危険は低下しそうである。
【0013】
血栓症の防御に関するそのような有望な結果にも拘わらず、アネキシンの治療上の使用に付随する主要な問題は、循環におけるそれらの短い半減期であり、実験動物においては5から15分であると計算される(Romisch et al.,1991;Stratton et al.,1995;Thiagarajan and Benedict,1997);アネキシンVもヒトの循環において短い半減期を有する(Strauss et al.,J.Nuclear Med.41(補遺5):149P(2000),引用により本明細書に編入される)。アネキシンのほとんどは尿中へ失われ、36kDa蛋白質と予測される(Thiagarajan and Benedict,1997)。よって、血管区画から血管外の区画及び尿へのアネキシンの損失を防ぎ、それにより一回の注射後に抗血栓症活性を延長させる方法に関する要求が存在する。
発明の概要
本発明は、出血を増加させることなく動脈又は静脈の血栓症を防ぐための組成物及び方法を提供する。組換えヒトアネキシン、好ましくはアネキシンVを、血管区画内でのその半減期を延長させるように修飾する。これは様々な様式により達成できる;3つの好ましい態様は、ポリエチレングリコールにカップリングさせたアネキシン、アネキシンのヘテロポリマー又はホモポリマー、及びアネキシンと別の蛋白質(例えば、イムノグロブリンのFc部分)との融合蛋白質である。修飾されたアネキシンは高い親和性をもって、活性化された血小板又は損傷した細胞の表面上のホスファチジルセリンに結合し、それにより、Gas6並びに前凝血蛋白質の結合及びプロトロンビナーゼ複合体の形成を防ぐ。修飾されたアネキシンは、よって、血小板の凝固が増幅される細胞機構及び体液機構の両方を阻害して、それにより血栓症を防ぐ。
【0014】
一つの態様において、本発明は、ポリエチレングリコール(PEG)にカップリングしたアネキシン蛋白質、好ましくはアネキシンVを含む、単離された、修飾されたアネキシン蛋白質を提供する。好ましくは、少なくとも2つのPEG鎖を単一のアネキシン分子にカップリングするが、各PEG鎖は少なくとも約5kDa、好ましくは約10kDa、そしてもっとも好ましくは少なくとも15kDaの分子量を有する。別の態様において、単離された修飾アネキシン蛋白質は、少なくとも一つの別の蛋白質、例えば別のアネキシン蛋白質(ホモダイマーを形成する)又はイムノグロブリンのFc部分にカップリングされたアネキシン蛋白質を含む。別の蛋白質は、好ましくは、少なくとも30kDaの分子量を有する。本発明により提供されるのは、発明の修飾されたアネキシン蛋白質のいずれかを抗血栓に有効な量で含む薬剤組成物でもある。
【0015】
発明の方法において、修飾されたアネキシンは、本発明の修飾されたアネキシン蛋白質のいずれか一つを抗血栓に有効な量で含む薬剤組成物中にて、血栓症の危険性のある被験者に投与される。例えば、上記薬剤組成物は、動脈の血栓症、例えば冠動脈の血栓症、大脳の血栓症、又は一過性の大脳性貧血の発作の後に投与することができる。それは、静脈の血栓症に付随した外科手術後に投与することもできる。付加的に、それは、動脈血栓症又は静脈血栓症を有する患者、例えば糖尿病、妊婦又は分娩の被験者に投与することもできる。
【0016】
また、アネキシンのホモダイマーをコードする単離された核酸分子、当該核酸の少なくとも一部を含む組換え分子、及び当該核酸分子の少なくとも一部を含む組換え細胞も、本発明により提供される。上記組換え細胞は、アネキシンホモダイマーを生産するために本発明の方法において適切な条件下で培養する。
【0017】
本発明は、血栓症試験システムを用いて血栓症を変調させる修飾アネキシン蛋白質をスクリーニングする方法も提供する。上記試験システムを試験修飾アネキシン蛋白質と接触させ、その後、血栓溶解活性を評価して、試験修飾アネキシン蛋白質の不在下で上記システムの活性と比較する。好ましくは、活性化された部分的なトロンボプラスチン時間を測定する。また、活性化された血小板を試験修飾アネキシン蛋白質に接触させて、血小板結合と蛋白質S−結合活性を評価することにより修飾アネキシン蛋白質を同定する方法も提供される。
【0018】
また、修飾されたアネキシン蛋白質をインビボにてスクリーニングする方法も本発明により提供される。この方法においては、血栓症動物モデルを試験修飾アネキシン蛋白質に接触させて、その後、試験修飾アネキシン蛋白質のインビボ抗凝血活性及び出血における増加を評価する。抗凝血の活性と時間をアネキシンの抗凝血の活性と時間と比較して、出血量を試験修飾アネキシン蛋白質の不在下での動物モデルにおける出血と比較する。
発明の詳細な説明
本発明は、出血を増加させることなく哺乳類において血栓症を防ぐための化合物及び方法を提供する。発明は、血小板凝集の主要な機構が動脈と静脈の血栓の形成に必要な血小板凝集を増幅させる機構とは異なるという認識に一部基づく。血栓の形成は阻害するが主要な血小板の凝集は阻害しないことにより、血栓症が出血の増加なしに防ぐことができる。
【0019】
発明の化合物は、ヒト又は他の動物において生成物の半減期を増加させるように修飾されたアネキシンアミノ酸配列を含む如何なる生成物も含む。「アミノ酸配列」と本明細書にて詳説して天然に生じる蛋白質分子のアミノ酸配列に言及する場合、「アミノ酸配列」及び類似の用語、例えば「ポリペプチド」又は「蛋白質」は、詳説された蛋白質に関連した、完全な、天然アミノ酸配列に対するアミノ酸配列に限定されることを意図しない。アネキシンは相同なホスホリピッド結合膜蛋白質のファミリーであり、そのうちの10個は哺乳類において発現される別々の遺伝子を表す(Benz and Hofmann,1997)。結晶解析は、アネキシンVに代表される、これまでに研究されたファミリーメンバーの全てに関する共通の三次構造を明らかにした(Huber et al.,EMBO Journal 9:3867(1990),引用により本明細書に編入される)。コアのドメインは、ホスホリピッド膜に密に向かい合うことができる凹型の円盤状の構造である。それは4つのサブドメインを含み、各々が5つのαヘリックスからなる70アミノ酸のアネキシンリピートからなる。アネキシンは、異なるアネキシンの間では、長さ及びアミノ酸配列が変化する、より親水性の尾部ドメインも有する。アネキシンをコードする遺伝子の配列はよく知られている(例えば、Funakoshi et al.,Biochemistry 26:8087−8092(1987)(アネキシンV),引用により本明細書に編入される)。
【0020】
本発明においては、アネキシン蛋白質を修飾することにより、ヒト又は他の動物においてそれらの半減期を増加させる。好ましい態様において、アネキシン蛋白質はアネキシンVである。他の適切なアネキシン修飾はその有効なサイズの増加であり、血管の区画からの血管外の区画及び尿への損失を防ぎ、それにより1回の注射の後の抗血栓活性を延長させる。ホスファチジルセリンとの十分な結合親和性を保持する有効サイズの如何なる増加も本発明の範囲内である。
【0021】
発明の一つの態様においては、修飾されたアネキシンがホスファチジルセリン(PS)−結合アッセイにおいてアネキシンの機能を実行することが可能なように、ポリエチレングリコール(PEG)にカップリングされた組換えヒトアネキシンを修飾アネキシンが含む。静脈内投与されたアネキシンPEGコンジュゲートの抗血栓作用が遊離のアネキシンの作用に比較して延長される。PEGにカップリングされた組換えアネキシン蛋白質は、アネキシンV蛋白質又は別のアネキシン蛋白質であり得る。
【0022】
PEGは、直鎖又は幾つかの場合には分枝鎖の何れかの末端上のヒドロキシル基で終わるエチレンオキシドの繰返しユニットからなる。カップリングしたPEGのサイズと分子量は、それが含むエチレンオキシドのユニットの数に依存し、選択することができる。本発明に関しては、アネキシン分子あたり、何れのサイズのPEGも何れの数のPEG鎖も、アネキシンに比較して、修飾されたアネキシンの半減期が増加するが、修飾分子のPSへの結合機能を保持するように使用することができる。上記のとおり、十分な結合は、未修飾アネキシンの結合からは低下した結合を含むが、Gas6とプロトロンビナーゼ複合体の因子の結合とは競合し、よって、血栓症を防ぐことができる。コンジュゲートしたPEGの最適な分子量はPEG鎖の数と共に変化する。もっとも好ましい態様において、各々少なくとも約15kDaの分子量の2つのPEG分子を各アネキシン分子とカップリングさせる。上記PEG分子は直鎖又は分枝であり得る。アネキシンのPSへのカルシウム依存性結合は、カップリングしたPEG分子のサイズばかりでなく、PEGが結合する蛋白質の位置にも影響される。最適な選択は、所望の特性が保持されることを確実にする。PEG結合部位の選択は、当該分子の3次元構造の知見及び当該分子のホスホリピッド膜との相互作用の変異分析及び結晶学分析により促進される(Campos et al.,Biochemistry 37:8004−8008(1998),引用により本明細書に編入される)。
【0023】
薬剤送達のエリアにおいては、PEG誘導体が蛋白質への共有結合に広く使用されることにより、可溶性を増強し、並びに免疫原性、蛋白質溶解、及び腎臓浄化値を低下させてきた。PEGにカップリングさせた組換え生成物の優秀な臨床上の効果は、よく確立されている。例えば、PEG−インターフェロンアルファ−2aを1週に一度投与すると、C型肝炎ウイルスに対して遊離インターフェロンの3週用量よりも顕著に有効である(Heathcote et al.,N.Engl.J.Med.343:1673−1680(2000),引用により本明細書に編入される)。PEGへのカップリングはインビボにおいて組換え蛋白質の半減期を延長させるため(Knauf et al.,J.Biol.Chem.266:2796−2804(1988),引用により本明細書に編入される)並びに組換え蛋白質の酵素分解を防いで相同な生成物においてときどき観察された免疫原性を低下させるため(Hermanson,Bioconjugate techniques.New York,Academic Press(1996),pp.173−176,引用により本明細書に編入される)に、使用されてきた。
【0024】
発明の別の態様において、修飾されたアネキシン蛋白質は、増加した有効サイズを有するアネキシン蛋白質のポリマーである。有効なサイズの増加は血管区画内での延長された半減期及び延長された抗血栓活性をもたらすと信じられる。一つのそのような修飾アネキシンは、アネキシンVのダイマーである。別のそのようなポリマーは、アネキシンIIと、カルシウム結合蛋白質のS100ファミリーのメンバーであるp11とのヘテロテトラマーである。S100のアネキシンへの結合は、アネキシンのCa2+への親和性を増加させる。アネキシンのホモポリマー又はヘテロポリマーは、バイオコンジュゲート法又は組換え法により生成することができて、それ自身又はPEGコンジュゲート形態において投与することができる。
【0025】
発明の別の態様において、組換えアネキシンは、別の蛋白質、例えばイムノグロブリンのFc部分と共に発現されるか、又は化学的にカップリングされる。そのような発現又はカップリングは分子の有効サイズを増加させ、血管区画からのアネキシンの損失を防いで、その抗凝血作用を延長させる。
【0026】
好ましくは、発明の修飾されたアネキシン蛋白質は、アネキシンII,アネキシンV、又はアネキシンVIIIを含む。好ましい態様において、上記蛋白質は修飾されたヒトアネキシンである。特に好ましい態様において、上記の修飾されたアネキシンは組換えヒトアネキシンを含む。本発明によれば、単離されたか又は生物学上純粋な蛋白質は、その天然の環境から取り出された蛋白質である。そういうものとして、「単離された」及び「生物学上純粋な」は、蛋白質が精製された程度を必ずしも反映はしない。本発明の単離された修飾アネキシン蛋白質は、その天然源から得ることができるか、組換えDNA技術を用いて生成できるか、又は化学合成により生成できる。本明細書にて使用されるとおり、単離された修飾アネキシン蛋白質は完全長の修飾蛋白質であるか又はそのような蛋白質のあらゆる相同体であり得る。それは、(例えば、ペギル化された(pegylated)蛋白質に関して)修飾された完全長の蛋白質であるか又はそのような蛋白質の修飾された相同体でもあり得る。
【0027】
本発明の蛋白質相同体の最小のサイズは、相当する天然蛋白質をコードする核酸分子の相補配列を有する、安定なハイブリッドを形成できる核酸分子によりコードされるのに十分なサイズである。そういうものとして、そのような蛋白質相同体をコードする核酸分子のサイズは、上記核酸分子と相補配列の間の核酸の組成及びパーセント相同性並びにハイブリダイゼーション条件それ自体に依存する(例えば、温度、塩濃度、及びホルムアミド濃度)。そのような核酸分子の最小サイズは、典型的には、上記核酸がGCリッチであれば少なくとも約12から約15ヌクレオチドの長さであり、上記核酸がATリッチであれば少なくとも約15から約17ヌクレオチドの長さである。そいうものとして、本発明の蛋白質相同体をコードするのに使用される核酸分子の最小サイズは、約12から約18のヌクレオチドの長さである。上記核酸分子が遺伝子の一部、遺伝子全体又は複数の遺伝子又はその一部を含むことにおいて、そのような核酸分子の最大サイズに制限はない。同様に、本発明のアネキシン蛋白質相同体又は修飾されたアネキシン蛋白質相同体の最小サイズは約4から約6アミノ酸の長さであり、好ましいサイズは完全長、多価(即ち、一つより多いドメインを有する融合蛋白質であって、各々が機能を有する)蛋白質、そのような蛋白質の機能部分が望まれるか否かに依存する。本発明のアネキシン及び修飾されたアネキシン相同体は、好ましくは、天然蛋白質に相当する活性を有し、血栓の形成を防ぐことにおいてアネキシン蛋白質の活性を担うことが可能なようなものである。
【0028】
アネキシン蛋白質及び修飾されたアネキシン相同体は、天然の対立遺伝子又は天然変異の結果であり得る。本発明の蛋白質相同体は当業界公知の技術を用いて生産することもでき、限定ではないが、例えば古典的なDNA技術又は組換えDNA技術を用いてランダム又は標的化変異導入を作用させる、蛋白質に対する直接の修飾又は蛋白質をコードする核酸に対する修飾を含む。
【0029】
アミノ酸配列の配列番号:3、配列番号:6、又はこれらの配列の何れかを含む蛋白質をコードする核酸分子のあらゆるバリアントによりコードされた蛋白質に、少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、そしてもっとも好ましくは少なくとも約98%同一のアミノ酸配列を含む修飾アネキシン蛋白質も好ましい。アミノ酸配列間及び核酸配列間のパーセント同一性を決定する方法は、当業者に知られている。配列間のパーセント同一性を決定するための好ましい方法は、コンピュータープログラム、例えば、GCG(登録商標)ウイスコンシンパッケージ(商標名)(Accelrys社より利用可能)、DNAsis(登録商標)プログラム(ヒタチソフトウエア、San Bruno,CAより利用可能)、ベクターNTI Suite(インフォマックス社、North Bethesda,MDより利用可能)、又はNCBIウエブサイト上で利用可能なBLASTソフトウエアを含む。
【0030】
一つの態様において、好ましい修飾アネキシン蛋白質は、少なくとも約5アミノ酸、好ましくは少なくとも約50アミノ酸、より好ましくは少なくとも約100アミノ酸、より好ましくは少なくとも約200アミノ酸、より好ましくは少なくとも約250アミノ酸、より好ましくは少なくとも約275アミノ酸、より好ましくは少なくとも約300アミノ酸、そしてもっとも好ましくは少なくとも約319アミノ酸又は完全長のアネキシン蛋白質のアミノ酸を含み、どれでも短いものである。別の態様において、好ましいアネキシン蛋白質は、完全長の蛋白質、即ち、完全長のコード領域によりコードされる蛋白質、又はその翻訳後修飾された蛋白質、例えば開始メチオニン及び/又はシグナル配列又は「プロ」配列が除去された成熟蛋白質を含む。
【0031】
本発明の修飾されたアネキシン蛋白質の断片は、好ましくは、少なくとも約5アミノ酸、より好ましくは少なくとも約10アミノ酸、より好ましくは少なくとも約15アミノ酸、より好ましくは少なくとも約20アミノ酸、より好ましくは少なくとも約25アミノ酸、より好ましくは少なくとも約30アミノ酸、より好ましくは少なくとも約35アミノ酸、より好ましくは少なくとも約40アミノ酸、より好ましくは少なくとも約45アミノ酸、より好ましくは少なくとも約50アミノ酸、より好ましくは少なくとも約55アミノ酸、より好ましくは少なくとも約60アミノ酸、より好ましくは少なくとも約65アミノ酸、より好ましくは少なくとも約70アミノ酸、より好ましくは少なくとも約75アミノ酸、より好ましくは少なくとも約80アミノ酸、より好ましくは少なくとも約85アミノ酸、より好ましくは少なくとも約90アミノ酸、より好ましくは少なくとも約95アミノ酸、そしてさらにより好ましくは少なくとも約100アミノ酸の長さを含む。
【0032】
一つの態様において、本発明の好ましい単離された修飾アネキシン蛋白質は、核酸配列の配列番号:4を有する核酸分子又はこの配列を有する核酸分子の対立遺伝子バリアントによりコードされた修飾蛋白質である。あるいは、修飾されたアネキシン蛋白質は、核酸配列の配列番号:1を有する核酸分子又はこの配列を有する核酸分子の対立遺伝子バリアントによりコードされた蛋白質を含む。
【0033】
本発明の一つの態様は、アネキシン遺伝子とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸分子によりコードされた非天然修飾アネキシン蛋白質を含む。本明細書にて使用されるとおり、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、オリゴヌクレオチドを含む核酸分子が類似の核酸配列を有する分子を同定するために使用される標準のハイブリダイゼーション条件を意味する。そのような標準条件は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Labs Press(1989)に開示されており、引用により本明細書に編入される。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、典型的には、ハイブリダイゼーション反応において釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約70%核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を許容する。30%又はそれ未満のヌクレオチドのミスマッチを許容するハイブリダイゼーションを達成するために適切なハイブリダイゼーション及び洗浄の条件を計算するための式は、例えば、Meinkoth et al.,Anal.Biochem.138:267−284(1984)に開示されており、引用により本明細書に編入される。好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約80%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を許容することになる。より好ましい態様においては、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約90%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を許容することになる。より好ましい態様においては、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約95%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を許容することになる。
【0034】
好ましい修飾アネキシン蛋白質は、少なくとも約50ヌクレオチドであり、そして好ましくは約20%の塩基対のミスマッチを許容する条件下、より好ましくは約15%の塩基対のミスマッチを許容する条件下、より好ましくは約10%の塩基対のミスマッチを許容する条件下、より好ましくは約5%の塩基対のミスマッチを許容する条件下、そしてさらにより好ましくは約2%の塩基対のミスマッチを許容する条件下にて、配列番号:1、配列番号:4からなる群から選択される核酸分子、又はこれらの分子の何れかの相補体とハイブリダイズする核酸分子である。
【0035】
本明細書にて使用されるとおり、アネキシン遺伝子は、天然のアネキシン遺伝子に関連する全ての核酸配列、例えば、その遺伝子によりコードされるアネキシン蛋白質の生産を調節する制御領域(例えば、限定ではないが、翻訳、転写又は翻訳後調節領域)並びにコーディング領域それ自体を含む。一つの態様において、アネキシン遺伝子は核酸配列、配列番号:1を含む。核酸配列決定技術は完全にエラーがないわけではないので、配列番号:1(並びに本明細書に提示される他の配列)は、せいぜい、本発明のアネキシン蛋白質をコードする核酸分子の見かけ上の核酸配列を代表することに注意するべきである。
別の態様において、アネキシン遺伝子は、配列番号:1に類似であるが同一ではない配列を含む全ての対立遺伝子バリアントであり得る。配列番号:1を含むアネキシン遺伝子の全ての対立遺伝子バリアントは、配列番号:1を含むが、例えば変異又は組換えにより引き起こされる天然の変化により類似ではあるが同一ではない配列を有する遺伝子として、ゲノム内の同じ位置(又は座)にて本質的に生じる遺伝子である。対立遺伝子バリアントは、典型的には、それらが比較される遺伝子によりコードされる蛋白質と類似の活性を有する蛋白質をコードする。蛋白質バリアントは、遺伝子の5’又は3’未翻訳領域内の変化も含み得る(例えば、制御調節領域中)。対立遺伝子バリアントは、当業者にはよく知られており、既知の(given)ヒトにおいて見いだされることが予測されるはずであるが、ゲノムが二倍体であり、及び又は、2人又はそれ以上のヒトを含む集団の間の中にあるからである。
【0036】
本発明の単離された修飾アネキシン蛋白質は、その天然源から得ることができるか、組換えDNA技術を用いて生産できるか、又は化学合成により生産できる。本明細書にて使用されるとおり、単離された修飾アネキシン蛋白質は、完全長の蛋白質又はそのような蛋白質のあらゆる相同体を含み得る。アネキシン及び修飾されたアネキシン相同体の例は、アミノ酸が欠失するか(例えば、蛋白質の末端削除バージョン、例えばペプチド又はインテインが除去されたか又は2つのエクステインが連結した場合の蛋白質スプライシング反応による)、挿入されるか、転位するか、置換されるか、及び/又は誘導された(例えば、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、メチル化、ミリスチル化、プレニル化、パルミトイル化、アミド化、及び/又はグリセロホスファチジルイノシトールの追加による)アネキシン及び修飾されたアネキシン蛋白質を含み、当該相同体がアネキシン蛋白質に対する免疫応答性を引き出すことが可能な少なくとも一つのエピトープを含むようなものである。即ち、当該相同体を動物に対して免疫源として当業者に知られた技術を用いて投与する場合、動物は、アネキシン蛋白質の少なくとも一つのエピトープに対して体液性及び/又は細胞性の免疫応答を生じることになる。アネキシン及び修飾されたアネキシン相同体は、免疫血清に選択的に結合するそれらの能力により選択することもできる。そのような活性を測定する方法は、本明細書に開示される。アネキシン及び修飾されたアネキシン相同体、機能アッセイにおいて天然アネキシンの機能を果たすことができる蛋白質も含む;即ち、ホスファチジルセリン又は活性化された血小板に結合できるか又は抗血栓活性を呈することができる蛋白質である。そのようなアッセイの方法は、実施例のセクション及び本明細書のどこかに記載される。
【0037】
本発明の修飾されたアネキシン蛋白質は、機能アッセイにおいてアネキシン蛋白質の機能を果たすその能力により同定してよい。「機能アッセイにおいてその蛋白質の機能を果たすことができる」なる句は、機能アッセイにおいて天然蛋白質の活性の少なくとも約10%を蛋白質又は修飾蛋白質が有することを意味する。別の好ましい態様において、それは、機能アッセイにおいて天然蛋白質の活性の少なくとも約20%を蛋白質又は修飾蛋白質が有することを意味する。別の好ましい態様において、それは、機能アッセイにおいて天然蛋白質の活性の少なくとも約30%を蛋白質又は修飾蛋白質が有することを意味する。別の好ましい態様において、それは、機能アッセイにおいて天然蛋白質の活性の少なくとも約40%を蛋白質又は修飾蛋白質が有することを意味する。別の好ましい態様において、それは、機能アッセイにおいて天然蛋白質の活性の少なくとも約50%を蛋白質又は修飾蛋白質が有することを意味する。別の好ましい態様において、機能アッセイにおいて天然蛋白質の活性の少なくとも約60%を蛋白質又は修飾蛋白質が有する。より好ましい態様において、機能アッセイにおいて天然蛋白質の活性の少なくとも約70%を蛋白質又は修飾蛋白質が有する。より好ましい態様において、機能アッセイにおいて天然蛋白質の活性の少なくとも約80%を蛋白質又は修飾蛋白質が有する。より好ましい態様において、機能アッセイにおいて天然蛋白質の活性の少なくとも約90%を蛋白質又は修飾蛋白質が有する。機能アッセイの例は本明細書に記載される。
【0038】
本発明の単離された蛋白質は様々な方法により生産することができ、細菌からそのような蛋白質を回収し、そしてそのような蛋白質を組換えにより生産することを含む。本発明の一つの態様は、組換えDNA技術を用いた本発明の単離修飾アネキシン蛋白質を生産する方法である。そのような方法は、(a)本発明の修飾されたアネキシン蛋白質をコードする核酸分子を含む組換え細胞を培養し、そして(b)蛋白質をそれから回収する工程を含む。組換え細胞を生産すること及びそれの培養についての詳細は、以下に提示される。「蛋白質を回収する」なる句は、蛋白質を含む全発酵培地を回収することを単に意味し、そして分離又は精製の追加工程を含意する必要はない。本発明の蛋白質は、様々な標準の蛋白質精製技術を用いて精製することができる。
【0039】
本発明の単離された蛋白質は、好ましくは、「実質上精製された」形態にて復活させる(retrieved)。本明細書にて使用されるとおり、「実質上精製された」なる句は、機能アッセイにおいて蛋白質の有効な使用を可能にさせる精製度を意味する。
修飾されたアネキシン核酸分子又は遺伝子
本発明の別の態様は、アネキシンVのホモダイマーのような修飾されたアネキシン蛋白質をコードする遺伝子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる、単離された核酸分子である。そのような核酸分子は、修飾されたアネキシン核酸分子とも呼ばれる。特に好ましいのは、ストリンジェント条件下で修飾されたアネキシン遺伝子とハイブリダイズする単離された核酸分子である。そのような遺伝子の特性は、本明細書に開示される。本発明によれば、単離された核酸分子は、その天然環境から取り出された核酸分子である(即ち、人の操作に供された)。そいうものとして、「単離された」は、上記核酸分子が精製された程度を反映しない。単離された核酸分子は、DNA、RNA,又はDNA又はRNAの何れかの誘導体を含み得る。
【0040】
上記のとおり、修飾されたアネキシン遺伝子は、天然アネキシン遺伝子に関連する全ての核酸配列、例えばその遺伝子によりコードされるアネキシン蛋白質の生産を調節する制御領域(例えば、限定ではないが、翻訳、転写又は翻訳後調節領域)並びにコーディング領域それ自体を含む。本発明の核酸分子は、単離された修飾アネキシン核酸分子又はその相同体であり得る。本発明の核酸分子は、一つ又はそれ以上の制御領域、完全長又は部分的なコーディング領域、またそれらの組み合わせを含み得る。本発明の修飾されたアネキシン核酸分子の最小サイズは、対応する天然遺伝子とストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で安定なハイブリッドを形成することができる最小のサイズである。アネキシン核酸分子は、ハイブリッド蛋白質、融合蛋白質、多価蛋白質又は末端削除された断片をコードする核酸分子も含み得る。
【0041】
本発明の単離された核酸分子は、全部の(即ち、完全な)遺伝子又はその遺伝子と安定なハイブリッドを形成できる一部の何れかとしてその天然源から得ることができる。本明細書にて使用されるとおり、実在物の「少なくとも一部(portion)」なる句は、その実在物の機能的な側面を有するのに少なくとも十分なかなりの量の(an amount of)実在物を意味する。例えば、本明細書にて使用される、核酸配列の少なくとも一部とは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で相当する遺伝子と安定なハイブリッドを形成することができる、かなりの量の核酸配列である。
【0042】
本発明の単離された核酸分子は、組換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)、増幅、クローン化等)又は化学合成を用いて生産することもできる。単離された修飾アネキシン核酸分子は、天然の核酸分子及びその相同体を含み、限定ではないが、ヌクレオチドが挿入されるか、欠失するか、置換されるか及び/又は転位した天然対立遺伝子バリアント及び修飾された核酸分子を含み、そのような修飾が、本発明の修飾アネキシン蛋白質をコードするか又は天然核酸分子単離物とストリンジェントな条件下で安定なハイブリッドを形成する、核酸分子の能力を実質上干渉しないようなものである。
【0043】
修飾されたアネキシン核酸分子相同体は、当業者に知られた多数の方法を用いて生産できる(例えば、Sambrook et al.,1989を参照)。例えば、核酸分子は、様々な技術を用いて修飾することができ、限定ではないが、古典的な変異導入技術及び組換えDNA技術、例えば、部位特異的変異導入、核酸分子の化学処理による変異の導入、核酸断片の制限酵素分割、核酸断片の連結、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅及び/又は核酸配列の選択された領域の変異導入、オリゴヌクレオチド混合物の合成、及び混合群の連結による核酸分子の混合物及びその組み合わせの「構築(build)」を含む。核酸分子相同体は、核酸によりコードされる蛋白質の機能に関してのスクリーニング(例えば、アネキシン蛋白質に対する免疫応答を引き出すか及び/又はクロット形成アッセイにおいて機能する相同体の能力)及び/又はストリンジェント条件下での単離されたアネキシンコード核酸とのハイブリダイゼーションにより、修飾された核酸の混合物から選択することができる。
【0044】
本発明の単離された修飾アネキシン核酸分子は、本発明の少なくとも一つの修飾されたアネキシン蛋白質をコードする核酸配列を含むことができ、そのような蛋白質の例は本明細書に開示される。「核酸分子」なる句は主として物質の核酸分子を意味し、そして「核酸配列」なる句は主として核酸分子上の配列を意味するが、2つの句は、特に核酸分子又は核酸配列であって修飾アネキシン蛋白質をコードできるものに関しては、交換可能に使用することができる。
【0045】
本発明の一つの態様は、修飾されたアネキシン蛋白質の少なくとも一部をコードする核酸鎖又はその相同体又はそのような核酸鎖に対する相補体に対してストリンジェント条件下でハイブリダイズできる修飾アネキシン核酸分子である。本発明の何れかの核酸配列の核酸配列相補体は、配列が引用される鎖に相補な(即ち、完全な二重鎖を形成できる)核酸鎖の核酸配列を意味する。配列番号により表される、一方の鎖に関して核酸配列を決定する、本発明の二重鎖核酸分子は、配列番号の相補体である配列を有する相補鎖も含む。そいうものとして、本発明の核酸分子は、二重鎖又は一本鎖の何れかであり得て、本明細書にて記載された所定の配列番号及び/又は本明細書にて示されていてもいなくてもよいその配列の相補体の何れかとストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で安定なハイブリッドを形成する核酸分子を含む。相補配列を演繹する方法は、当業者には知られている。好ましいのは、修飾されたアネキシン蛋白質の少なくとも一部をコードする核酸配列の対応する一つ又は複数の領域と、少なくとも約65パーセント、好ましくは少なくとも約70パーセント、より好ましくは約75パーセント、より好ましくは少なくとも約80パーセント、より好ましくは少なくとも約85パーセント、より好ましくは少なくとも約90パーセント、そしてよりさらに好ましくは少なくとも約95パーセント相同性を有する核酸配列を含む修飾されたアネキシン核酸分子を含む。特に好ましいのは、アネキシン蛋白質又はその相同体のホモダイマーをコードすることができる修飾されたアネキシン核酸分子である好ましいアネキシン核酸分子は、配列番号:4及び配列番号:4の対立遺伝子バリアントを含む。
【0046】
本発明の修飾されたアネキシン蛋白質の核酸分子を知ることは、当業者が、その核酸分子のコピーを作成すること並びにアネキシン蛋白質コーディング遺伝子(例えば、翻訳開始部位及び/又は転写及び/又は翻訳調節領域を含む核酸分子)及び/又はアネキシン核酸分子相同体の追加の部分を含む核酸分子を得ることを可能にさせる。本発明のアネキシン蛋白質のアミノ酸配列の一部を知ることは、当業者が、そのようなアネキシン蛋白質をコードする核酸配列をクローン化することを可能にさせる。さらに、所望の修飾されたアネキシン核酸分子は、本発明のアネキシン蛋白質に結合する抗体により適当な発現ライブラリーをスクリーニングすること;本発明のオリゴヌクレオチドプローブを用いた慣用クローン化技術により適当なライブラリー又はDNAをスクリーニング;及び本発明のオリゴヌクレオチドプライマーを用いた適当なライブラリー、又はRNA又はDNAのPCR増幅(ゲノミック及び/又はcDNAライブラリーを用いることができる)を含む様々な方法において得ることができる。
【0047】
本発明は、修飾されたアネキシン蛋白質の少なくとも一部をコードする本発明の他の好ましくはより長い核酸分子の相補領域とストリンジェント条件下でハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドである核酸分子も含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、RNA、DNA、又は何れかの誘導体であり得る。そのようなオリゴヌクレオチドの最小サイズは、与えられたオリゴヌクレオチドと、本発明の別の核酸分子上の相補配列の間で安定なハイブリッドを形成するために必要なサイズである。
【0048】
最小サイズの特徴は、本明細書に開示される。オリゴヌクレオチドのサイズは、本発明に従ったオリゴヌクレオチドの使用にも十分でなければならない。本発明のオリゴヌクレオチドは、様々な応用、例えば限定ではないが、追加の核酸分子を同定するためのプローブとして、核酸分子を増幅又は伸長合成するためのプライマーとして、又は修飾されたアネキシンの生産を変調するための治療上の応用において使用することができる。そのような治療上の応用は、例えば、アンチセンス−、3重鎖形成−、リボザイム−、及び/又はRNA薬剤−に基づく技術におけるそのようなオリゴヌクレオチドの使用を含む。本発明は、よって、そのような技術の一つ又は複数の使用による修飾アネキシン蛋白質の生産を変調するための、そのようなオリゴヌクレオチド及び方法を含む。
天然野生型細菌細胞及び組換え分子及び細胞
本発明は、上記核酸分子を宿主細胞へ送達することができるあらゆるベクターに挿入された本発明の修飾されたアネキシン核酸分子を含む、組換えベクターも含む。そのようなベクターは、異種核酸配列、即ち本発明の修飾されたアネキシン核酸分子に隣接した、天然では見いだされない核酸配列を含む。当該ベクターは、RNA又はDNAの何れか、原核又は真核の何れか、そして典型的にはウイルス又はプラスミドであり得る。組換えベクターは、本発明の修飾されたアネキシン核酸分子のクローン化、配列決定、及び/又は他の操作において使用することができる。本明細書において組換え分子と呼ばれて以下に詳細に説明される一つの種類の組換えベクターを、本発明の核酸分子の発現において使用することができる。好ましい組換えベクターは、形質転換された細胞中で複製することができる。本発明の組換えベクター中に含まれる好ましい核酸分子は、本明細書に開示される。
【0049】
これまで開示されたとおり、本発明の一つの態様は、本発明の修飾されたアネキシン蛋白質を生産する方法であって、当該蛋白質を生産するのに有効な条件下で当該蛋白質を発現する細胞を培養し、そして当該蛋白質を回収することによる。別の態様において、上記方法は、アネキシン蛋白質を生産するのに有効な条件下で蛋白質を発現できる細胞を培養し、当該蛋白質を回収し、そしてその有効なサイズを増加させるための因子(agent)にそれをカップリングさせることによりアネキシン蛋白質を生産することを含む。
【0050】
好ましい態様において、培養する細胞は天然の細菌細胞であり、そして修飾されたアネキシン蛋白質をこれらの細胞から単離する。別の態様において、培養される好ましい細胞は、修飾されたアネキシン蛋白質を発現できる組換え細胞であり、そして当該組換え細胞は本発明の核酸分子一つ又は複数により宿主細胞を形質転換することにより製造される。細胞の核酸分子による形質転換は、核酸分子が細胞に挿入できるあらゆる方法により達成できる。形質転換技術は、限定ではないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、吸着、及びプロトプラスト融合を含む。組換え細胞は、単細胞のままでよく、あるいは組織、器官又は多細胞生物中で成育させてよい。本発明の形質転換された核酸分子は、染色体外のままであることができるか、又はそれらが発現される能力を保持する様式にて形質転換(即ち、組換え)細胞の染色体内の一つ又は複数の部位に組込まれることができる。宿主細胞を形質転換する好ましい核酸分子は、本明細書に開示される。
【0051】
形質転換する適当な宿主細胞は、形質転換されることができて、且つ導入された修飾アネキシン蛋白質を発現することができるあらゆる細胞を含む。そのような細胞は、よって、本発明の少なくとも一つの核酸分子により形質転換された後に、本発明の修飾されたアネキシン蛋白質を生産できる。宿主細胞は、未形質転換細胞か又は少なくとも一つの核酸分子により既に形質転換された細胞の何れかであり得る。本発明の適当な宿主細胞は、細菌、真菌(酵母を含む)、昆虫、動物及び植物細胞を含み得る。好ましい宿主細胞は細菌細胞を含み、E.coli細胞は特に好ましい。別の好ましい宿主細胞は、同起源の修飾されたアネキシン蛋白質を生産する未形質転換(野生型)細菌細胞であり、適宜、病原性を低下させた弱毒化の株を含む。
【0052】
組換え細胞は、一つ又は複数の組換え分子により宿主細胞を形質転換することにより生産することが好ましく、各々が、一つ又は複数の転写調節配列を含む発現ベクターに作動可能なように連結した本発明の一つ又は複数の核酸分子を含む。「作動可能なように連結した」なる句は、宿主細胞したときに核酸分子が発現され得るような、発現ベクターへの核酸分子の挿入を意味する。本明細書にて使用されるとおり、発現ベクターは、宿主細胞を形質転換することができて、特定の核酸分子の発現を果たすことができるDNA又はRNAベクターである。好ましくは、上記発現ベクターは、宿主細胞内で複製することもできる。発現ベクターは、原核又は真核の何れかであり得て、そして典型的にはウイルス又はプラスミドであり得る。本発明の発現ベクターは、細菌、真菌、昆虫、動物、及び植物細胞を含む、本発明の組換え細胞内で機能する(即ち、遺伝子発現を指令する)あらゆるベクターを含む。そういうものとして、本発明の核酸分子は、プロモーター、オペレーター、リプレッサー、エンハンサー、終結配列、複製起点、及び組換え細胞と和合性の他の制御配列のような制御配列を含むベクターを発現するため及び本発明の核酸分子の発現を調節するために作動可能なように連結することができる。本明細書にて使用されるとおり、転写調節配列は、転写の開始、伸長及び終結を調節することができる配列を含む。特に重要な転写調節配列は、転写開始を調節する配列、例えばプロモーター、エンハンサー、オペレーター、及びリプレッサー配列である。適切な転写調節配列は、本発明の組換え細胞の少なくとも一つにおいて機能し得るあらゆる転写調節配列を含む。そのような転写調節配列の様々なものが、当業界で公知である。好ましい転写調節配列は、細菌、酵母、昆虫及び哺乳類細胞において機能するものを含み、限定ではないが、tac,lac,tzp,trc,oxy−pro,omp/lpp,rrnB,バクテリオファージラムダ(λ)(例えば、λpL及びλpR及びそのようなプロモーターの融合物)、バクテリオファージT7,T7lac,バクテリオファージT3,バクテリオファージSP6,バクテリオファージSP01,メタロチオネイン、アルファ交配因子、ピキアアルコールオキシダーゼ、アルファウイルスサブゲノミックプロモーター(例えば、Sindbisウイルスサブゲノミックプロモーター)、バキュロウイルス、Heliothisトウモロコシ属昆虫ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、シミアンウイルス40、レトロウイルスアクチン、レトロウイルスロングターミナルリピート、Rous肉腫ウイルス、ヒートショック、リン酸塩及び硝酸塩転写調節配列並びに原核細胞又は真核細胞において遺伝子発現を調節できる他の配列を含む。追加の適切な転写調節配列は、組織特異的プロモーター及びエンハンサー並びにリンホカイン−誘導性プロモーター(例えば、インターフェロン又はインターロイキンにより誘導可能なプロモーター)を含む。本発明の転写調節配列は、アネキシン蛋白質をコードするDNA配列に天然において結合している天然の転写調節配列も含み得る。好ましい転写調節配列は、Kozak強力プロモーターと開始配列である。
【0053】
本発明の発現ベクターは、発現されたアネキシン蛋白質が、当該蛋白質を生産する細胞から分泌されることを可能にさせる分泌シグナル(即ち、シグナルセグメント核酸配列)も含んでよい。適切なシグナルセグメントは、アネキシン蛋白質シグナルセグメント又は融合蛋白質を含む本発明のアネキシン蛋白質の分泌を指令することができるあらゆる異種シグナルセグメントを含む。好ましいシグナルセグメントは、限定ではないが、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)、インターフェロン、インターロイキン、成長ホルモン、組織適合性及びウイルスエンベロープ糖蛋白質シグナルセグメントを含む。
【0054】
本発明の発現ベクターは、本発明の挿入された核酸分子を融合蛋白質として発現させることを導く融合配列を含んでもよい。本発明の修飾されたアネキシン核酸分子の一部としての融合配列の包含は、当該核酸分子によりコードされた蛋白質の生産、保存及び使用の間の安定性を増強することができる。さらに、融合セグメントは、親和性クロマトグラフィーを用いた、結果の融合蛋白質の精製を可能にさせるような、修飾アネキシン蛋白質の精製を単純化させる手段として機能し得る。蛋白質の精製に使用できる好ましい融合セグメントは、8−アミノ酸ペプチド配列asp−tyr−lys−asp−asp−asp−asp−lys(配列番号:9)である。
【0055】
適切な融合セグメントは、所望の機能を有するあらゆるサイズのドメインであり得る(例えば、増加した安定性及び/又は精製手段)。一つ又は複数の融合セグメントを使用することは本発明の範囲内である。融合セグメントは、アネキシン蛋白質のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端に連結することができる。別の種類の好ましい融合蛋白質は、融合セグメントを、2つ又はそれより多いアネキシン蛋白質又は修飾されたアネキシン蛋白質に接続した融合蛋白質である。融合セグメントとアネキシン蛋白質の間の結合は、アネキシン又は修飾アネキシン蛋白質の直接の回収を可能にさせるように、分割に感受性なように構築することができる。融合蛋白質は、アネキシン蛋白質のカルボキシル末端及び/又はアミノ末端の何れかに結合した融合セグメントを含む蛋白質をコードする融合核酸配列により形質転換された組換え細胞を培養することにより生産することが好ましい。
【0056】
本発明の組換え分子は、形質転換される細胞において核酸分子の発現を有効に制御できるあらゆる転写調節配列の少なくとも一つに作動可能なように連結した、前記のあらゆる核酸少なくとも一つを含むことができる分子である。好ましい組換え分子は、本発明の一つ又は複数の核酸分子を含み、一つ又は複数の修飾されたアネキシン蛋白質をコードするものが特に好ましい。本発明の好ましい組換え分子及びそれらの生産は実施例のセクションに記載される。同様に、好ましい組換え細胞は本発明の一つ又は複数の核酸分子を含み、それらは一つ又は複数の修飾されたアネキシン蛋白質をコードする。本発明の好ましい組換え細胞は、実施例のセクションに開示されたものを含む。
【0057】
当業者には認識されるとおり、例えば、宿主細胞内での核酸分子のコピー数、それらの核酸分子が転写される効率、その結果の転写物が翻訳される効率、及び翻訳後の修飾の効率を操作することにより、組換えDNA技術の使用が形質転換された核酸分子の発現を改善することができる。本発明の核酸分子の発現を増加させるのに有用な組換え技術は、限定ではないが、核酸分子の高コピー数のプラスミドへの作動可能な連結、核酸分子の一つ又は複数の宿主細胞染色体への組込み、ベクター安定化配列のプラスミドへの追加、転写調節配列(例えば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換又は修飾、翻訳置換配列(例えば、リボソーム結合部位、シャインダルガノ配列)の置換又は修飾、本発明の核酸分子の修飾による宿主細胞のコドン使用度への対応、転写物を脱安定化する配列の欠失、及び発酵の間の組換え蛋白質生産から組換え細胞の成育を時間的に分離する調節シグナルの使用を含む。本発明の発現された組換え蛋白質の活性は、結果の蛋白質を断片化するか、修飾するか、又は誘導することにより改善してよい。
【0058】
本発明によれば、組換え細胞を用いてアネキシン又は本発明の修飾されたアネキシン蛋白質を生産することができ、そのような蛋白質を生産するのに有効な条件下でそのような細胞を培養して、当該蛋白質を回収することによる。蛋白質を生産するための有効な条件は、限定ではないが、蛋白質の生産を可能にする、適切な培地、バイオリアクター、温度、pH及び酸素条件を含む。適切か又は有効な培地は、培養されたときに本発明の細胞がアネキシン又は修飾アネキシン蛋白質を生産することができるあらゆる培地を意味する。そのような培地は、典型的には、同化可能な炭水化物、窒素及びリン酸源並びに適切な塩、ミネラル、金属及び他の栄養、例えばビタミンを含む水性培地である。当該培地は、複合体、栄養を含んでよいか又は規定された最小培地であってよい。
【0059】
本発明の細胞は、限定ではないが、バッチ、飼育バッチ、細胞リサイクル、及び連続発光器を含む慣用の発酵バイオリアクター中で培養することができる。培養は、振盪フラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュ、及びペトリ皿においても実施することができる。培養は、組換え細胞に適した温度、pH、及び酸素含有量にて実施する。そのような培養条件は、当業者の一人の専門技術の範囲内で容易である。
【0060】
生産に使用されるベクター及び宿主に依存して、結果の修飾アネキシン蛋白質は、組換え細胞中に残るか;発酵培地中に分泌されるか;2つの細胞膜の間、例えばE.coliにおいてはペリプラズミック層に分泌されるか;又は細胞膜又はウイルス膜の外部表面上に残るかの何れかであってよい。そのような蛋白質を精製する方法は実施例のセクションに開示される。
抗体
本発明は、単離された抗−修飾アネキシン蛋白質及びそれらの用途も含む。抗−修飾アネキシン抗体は、修飾されたアネキシン蛋白質に選択的に結合できる抗体である。単離された抗体は、それらの天然の環境から取り出された抗体である。用語「単離された」は、そのような抗体の精製の状態を意味しない。そういうものとして、単離された抗体は、そのような抗体を含む抗体血清、又は程度を変えて精製された抗体を含む。本明細書にて使用されるとおり、用語「選択的に結合する」は、抗体を生じさせた蛋白質に好適に結合するそのような抗体の能力を意味する(即ち、混合物中の無関係の成分からその蛋白質を識別することができる)。結合親和性は、平衡結合定数として共通に表現されるが、典型的には、約103-1から約1012-1の範囲である。結合は、当業者に知られている様々な方法を用いて測定することができ、例えば、イムノブロットアッセイ、免疫沈殿アッセイ、放射免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ(例えば、ELISA)、免疫蛍光抗体アッセイ及び免疫電子顕微鏡を含み;例えば、Sambrook et al.,1989を参照されたい。
【0061】
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の何れかであり得る。本発明の抗体は機能上の均等物、例えば抗体断片及び遺伝子操作された抗体を含み、上記抗体を得るのに使用された蛋白質のエピトープの少なくとも一つに選択的に結合することができる単鎖抗体を含む。本発明の抗体は、一つより多いエピトープに結合できるキメラ抗体も含む。好ましい抗体は、少なくとも一部は本発明の修飾されたアネキシン核酸分子によりコードされる蛋白質に応答して生じる。
【0062】
本発明の抗−修飾アネキシン抗体は、修飾されたアネキシンを投与された動物において生じさせた抗体を含む。本発明の抗修飾アネキシン抗体は、当業者に知られた技術を用いて細胞から次に回収される本発明の一つ又は複数の修飾アネキシン蛋白質に対して動物内で生じさせた抗体も含む。本発明のまた別の抗体は、本発明の修飾されたアネキシン蛋白質に関して前で開示された技術を用いて組換えにより生産される。規定された蛋白質に対して生産された抗体は有利であり得るが、何故ならば、診断アッセイにおいて干渉を、又は治療用組成物中で使用されるならば副作用を別に引き起こすかもしれない他の物質に対する抗体により、そのような抗体が実質上汚染されていないからである。
【0063】
本発明の抗−修飾アネキシン抗体は、本発明の範囲内で様々な用途を有する。抗−修飾アネキシン抗体は、発現ライブラリーをスクリーニングするか、及び/又は、蛋白質と他の汚染物の混合物から本発明の所望の蛋白質を回収するための手段として使用することができる。
【0064】
本発明の好ましい抗−修飾アネキシン抗体は、修飾アネキシン蛋白質に選択的に結合できる。
治療方法
上記の修飾されたアネキシン蛋白質の何れもが、発明の方法において使用することにより、あらゆる医療上の手法又は条件により引き起こされる動脈又は静脈の血栓症を治療する。一般的に、発明において使用され治療剤は、有効量にて動物に投与される。一般的に、有効な量は、(1)治療されることが求められる疾患の兆候を軽減するか又は(2)治療されることが求められる疾患を治療することに関連して薬学上の変化を誘導するかの何れかに有効な量である。
【0065】
血栓症に関して、有効量は、出血の危険を実質上増加させることなしに延長された抗血栓活性を及ぼすか、又は罹患した動物の期待寿命を増加させるのに有効な量を含む。本明細書にて使用されるとおり、延長された抗血栓活性は、同じ量(モル)の未修飾のアネキシン蛋白質の活性の時間に比較した(with respect to)修飾アネキシン蛋白質の活性の時間を意味する。好ましくは、抗血栓活性は、少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも約5倍、そしてもっとも好ましくは少なくとも約10倍に延長される。好ましくは、有効な量は、修飾されたアネキシンを投与されていなかった同じ被験者の出血の危険性に比較して、出血の危険性を実質上増加させない。好ましくは、出血の危険性は極めて小さく、そして、せいぜい当業界にて利用可能な別の抗血栓治療により付与されるのよりも下回る。治療剤の治療上有効な量は、所望の抗血栓効果をもたらすのに十分な何れの量又は用量であることができ、そして一部、血栓の状態、種類及び位置、患者の大きさ及び症状、並びに当業者に知られている別の因子に依存する。用量は、単一用量としてか、又は例えば数週間の期間にわたり分割される複数回の用量として提供され得る。
【0066】
投与は、全量一回投与(bolus)の注射によるか又は静脈内点滴により、血栓症のあとの血栓症を防ぐか又は患者が血栓症に感受性であるか又はその危険のある症状の何れかにおいて生じることが好ましい。
【0067】
本発明の治療剤は、あらゆる適切な手段により投与することができ、例えば、非経口又は局所投与、例えば静脈内又は皮下注射を含み、又はエアロゾルにより投与することができる。治療用組成物は、投与の方法に依存して様々なユニット用量にて投与することができる。本発明の治療用組成物の好ましい送達方法は、例えば注射による静脈内投与及び局所投与を含む。特定の送達様式に関して、本発明の治療用組成物は本発明の賦形剤中に製剤化することができる。本発明の治療剤は、何れの動物にも投与することができ、好ましくは哺乳類、そしてより好ましくはヒトに投与できる。
【0068】
一つの適切な投与時間は、冠動脈の血栓症のあとに起こり、それにより、出血の危険性を実質上増加させることなく、血栓症の再発を防ぐ。修飾されたアネキシンの全量一回投与の注射は、血栓症後間もなく、例えば病院への入院前に実施することが好ましい。修飾されたアネキシンは、血栓溶解剤、例えば組織プラスミノーゲンアクティベーター、ウロキナーゼ、又は細菌酵素と共に投与することができる。
【0069】
本発明の修飾されたアネキシン蛋白質の使用方法は、その必要のある患者に有効量の修飾アネキシン蛋白質を投与することにより、過度な大脳血栓症又は一過性の大脳虚血性発作を含む大脳の血栓症を治療する方法を含む。一過性の大脳の虚血性発作は、成熟期の(full-blown)脈拍よりしばしば勝る。修飾されたアネキシンは、末梢の動脈における血栓症の危険性が増加した糖尿病又は他の患者にも投与することができる。従って、本発明は、その必要のある患者に修飾されたアネキシン蛋白質を有効量投与することを含む、血栓症の危険性が増加した患者における血栓症の危険性を軽減する方法を提供する。成人の患者に関しては、修飾されたアネキシンは、約1から約100mgの範囲で、静脈内又は全量一回投与として投与することができる。
【0070】
本発明は、その必要のある患者に修飾されたアネキシン蛋白質を有効量投与することにより、いくつかの外科手術、例えば臀部及び膝の関節形成術に付随した静脈の血栓症の危険性を低下させる方法も提供する。修飾されたアネキシンの治療は、手術範囲への出血の増加なしに血栓症を防ぐことができる。別の態様において、本発明は、その必要のある患者に修飾されたアネキシン蛋白質を有効量投与することにより、出血を増加させることなしに妊娠及び分娩に付随した血栓症の危険性を低下させる方法も提供する。別の態様において、本発明は、その必要のある患者に修飾されたアネキシン蛋白質を有効量投与することにより、再発性の静脈の血栓症を治療する方法を提供する。成人の患者に関しては、修飾されたアネキシンは、約1から約100mgの範囲で、静脈内又は全量一回投与として投与することができる。
【0071】
本発明は、血栓症を変調させる修飾アネキシン蛋白質のスクリーニング方法も提供し、血栓症試験システムを、血栓症に関して許容される条件下で少なくとも一つの試験修飾アネキシン蛋白質に接触させ、そして試験修飾アネキシン蛋白質の存在下の抗血栓活性を試験修飾アネキシン蛋白質の不在下での抗血栓活性と比較することによるが、その際、試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での抗血栓活性が血栓活性を変調する修飾アネキシン蛋白質の指標である。好ましい態様において、血栓症試験システムは、活性化された部分的なトロンボプラスチン時間を測定するシステムである。この方法により同定された血栓症を変調する修飾アネキシン蛋白質も本発明の範囲内である。
【0072】
本発明は、アネキシン活性に関して修飾アネキシン蛋白質を同定する方法も提供し、結合に関して許容される条件下で、活性化血小板を、少なくとも一つの試験修飾アネキシン蛋白質に接触させ、そして試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での血小板の試験修飾アネキシン−結合活性及び蛋白質S−結合活性を、未修飾のアネキシン蛋白質の存在下での試験修飾アネキシン−結合活性及び蛋白質S−結合活性と比較することを含み、それにより、アネキシン活性を有する修飾アネキシン蛋白質を同定する。上記方法により同定された修飾アネキシン蛋白質も本発明の範囲内である。
【0073】
別の態様において、本発明は、血栓症を変調する修飾アネキシン蛋白質のスクリーニング方法を提供し、インビボ血栓症試験システムを、少なくとも一つの修飾アネキシン蛋白質と、血栓症に関して許容された条件下で接触させ、そして試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での抗血栓症活性を、試験修飾アネキシン蛋白質の不在下での抗血栓症活性と比較することによる。試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での抗血栓症活性の変化は、血栓活性を変調する修飾アネキシン蛋白質の指標である。さらに、試験修飾アネキシン蛋白質の存在下で抗血栓症活性が保持される全時間を、未修飾のアネキシンの存在下での抗血栓活性の時間と比較することにより、試験修飾アネキシン蛋白質に付随した抗血栓活性の延長を測定する。試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での出血の程度は、例えば、尾部の出血の時間を測定し、そして試験修飾アネキシン蛋白質の不在下での出血の程度を比較することにより評価される。好ましい態様において、インビボ血栓症試験システムは、精巣挙筋(cremaster)内の光化学誘導性血栓のマウスモデルである。上記方法により同定された修飾アネキシン蛋白質も本発明の範囲内である。
【0074】
別の態様において、本発明の治療剤は、遺伝子治療に有用である。本明細書にて使用されるとおり、「遺伝子治療」なる句は、遺伝によるか又は後天的な疾患又は症状を治療するか又は防ぐために宿主に興味のある遺伝物質(例えば、DNA又はRNA)を移し替えることを意味する。興味のある遺伝物質は、そのインビボの生産が望まれる生成物(例えば、蛋白質ポリペプチド、ペプチド又は機能性RNA)をコードする。例えば、興味のある遺伝物質は、治療上貴重なホルモン、受容体、酵素又は(ポリ)ペプチドをコードし得る。特定の態様において、主題の発明は、引用により本明細書に編入されるHughesらの米国特許第6,169,078号に記載されたように、ジスルフィドリンカーが脂質のヘッドの極性基とテイルの親油性基の間に提供されるように、核酸と複合することができる非ウイルス性遺伝子治療における用途のために脂質分子のクラスを利用する。
【0075】
本発明のこれらの治療化合物は、DNAと有効に複合して、異種DNAにより形質転換されるための細胞の細胞内空間への細胞膜を通したDNA移送を促進する。さらに、これらの脂質分子は、細胞のサイトプラズム内への異種DNAの放出を促進して、それによりヒト又は動物における治療の間、遺伝子のトランスフェクションを増加させる。
【0076】
カチオン性脂質−ポリアニオンマクロ分子の凝集は、当業界において公知の様々な方法により形成してよい。代表的な方法は、Felgner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7413−7417(1987);Eppstein et al.,米国特許第4,897,355号;Behr et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6982−6986(1989);Bangham et al.,J.Mol.Biol.23:238−252(1965);Olson et al.,Biochim.Biophys.Act9(1979);Szoka et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:4194(1978);Mayhew et al.,Biochim.Biophys.Acta 775:169(1984);Kim et al.,Biochim.Biophys.Acta 728:339(1983);及びFukunaga et al.,Rndocrinol.115:757(1984)に開示されており、全て引用により本明細書に編入される。通常、凝集物は、(1)カチオン性脂質か又は(2)コリピッド(colipid)と混合されたカチオン性脂質の何れかからなる脂質粒子を調製し、次にポリアニオン性マクロ分子をほぼ室温(約18から26℃)において上記脂質粒子に添加することにより作成してよい。通常、保護された基の脱保護の助けとならない条件が選択される。一つの態様において、上記混合物を次に約10分から約20時間の期間にわたり凝集物を形成するようにするが、約15から60分がもっとも便利に使用される。他の時間の期間は、特定の脂質種に適切かもしれない。上記複合体は長期間にわたり形成してよいが、トランスフェクション効率の追加の増強は長期間の複合化により通常は得られない。
【0077】
主題の発明の化合物及び方法は、所望の分子、例えばポリヌクレオチドを標的細胞へ細胞内送達するのに使用することができる。所望のポリヌクレオチドは、DNA又はRNAまたはそれらの類似物からなり得る。本発明を用いて送達される所望のポリヌクレオチドは、制御機能、例えばプロモーター配列を有するヌクレオチド、又はポリペプチドをコードするヌクレオチドのような、別の機能又は活性を提供するヌクレオチド配列からなり得る。所望のポリヌクレオチドは、細胞内の他のヌクレオチド配列に対するアンチセンスであるヌクレオチド配列を提供することもできる。例えば、所望のポリヌクレオチドは、細胞内で転写される場合、細胞内の他のヌクレオチド配列に対するアンチセンスの配列を有する。当該アンチセンス配列は、細胞内のセンス鎖配列にハイブリダイズできる。アンチセンス配列を提供するポリヌクレオチドは、当業者により容易に製造することができる。細胞へ送達される所望のポリヌクレオチドは、細胞内で二重鎖DNAと三重複合体を形成できるヌクレオチド配列を含むこともできる。
【0078】
以下の実施例は、発明の修飾されたアネキシン蛋白質の製造と、修飾されたアネキシン蛋白質の抗凝血活性のインビトロ及びインビボのアッセイを例示する。発明が記載された例示の作業又は実施例において記載された特定の詳細に限定されないことは理解されるべきである。
【0079】
実施例
実施例1:修飾されたアネキシンの製造
アネキシンは、ヒトの組織から精製するか又は組換え技術により生産することができる。例えば、アネキシンVは、Funakoshi et al(1987)により記載されたとおりにヒト胎盤から精製することができる。組換え生成物の例は、Escherichia coli中のアネキシンIIとアネキシンVの発現である(Kang,H.−M.,Trends Cardiovasc.Med.9:92−102(1999);Thiagarajan and Benedict,1997,2000)。組換えVの迅速かつ有効な精製方法は、ホスファチジルセリン含有リポソームへのCa2+−増強結合に基づき、EDTAによるBerger,FEBS Lett.329:25−28(1993)に記載された。この手法は、固相支持体にカップリングされたホスファチジルセリンの使用により改善され得る。
【0080】
アネキシンは、ペギレーション(pegylation)と呼ばれるプロセスにおけるいくつかのよく確立された手法(Hermanson,1996により総説)の何れかによりポリエチレングリコール(PEG)へカップリングされ得る。本発明は、モノ−又はポリ−(例えば2−4)PEGモイエティを有する化学誘導性アネキシン分子を含む。ペギル化された(pegylated)アネキシンを製造する方法は、(a)アネキシンが一つ又は複数のPEG群に結合するようになる条件下でポリエチレングリコール(例えば、PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体)にアネキシンを反応させ、そして(b)一つ又は複数の反応生成物を得る工程を含む。通常、上記反応のための最適な反応条件は、公知のパラメーター及び所望の結果に基づいてケースバイケースにて決定されなければならない。さらに、上記の反応は異なる数のPEG鎖を有する異なる生成物を生産してよく、そして所望の生成物を得るためにさらに精製が必要になるかもしれない。
【0081】
PEGのアネキシンVへのコンジュゲートは、EDCプラススルフォNHS手法を用いて実施することができる。EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリド)を用いることにより、スルフォ−NHS(N−ヒドロキシスルフォサクシニミド)を用いて、カルボキシル酸基と活性エステル基を形成する。これは活性な中間体の安定性を増加させ、安定なアミド結合を提供するためにアミンと反応させる。上記コンジュゲーションはHermanson,1996に記載されたとおりに実施することができる。
【0082】
バイオコンジュゲート法を用いることによりアネキシンのホモポリマー又はヘテロポリマーを生成することができる;方法はHermanson,1996に総説される。組換え法を用いることにより、融合蛋白質、例えばイムノグロブリンのFc部分又は他の蛋白質と共に発現されたアネキシンを生成することもできる。アネキシンIIとP11とのヘテロテトラマーもE.coliにおいて生成された(Kang et al.,1999)。これらの手法の全てはアネキシンの分子量を増加させ、そして循環におけるアネキシンの半減期を増加させる能力を有し、そしてその抗凝血作用を延長させる。
【0083】
アネキシンVのホモダイマーは図1に模式的に示され(5’−3’センス鎖)(配列番号:4)、且つ配列番号:6により表されるアミノ酸配列をコードするDNA構築物を用いて生成することができる。この実施例においては、アネキシンV遺伝子をEcoRI及びBglII部位において発現ベクターpCMV FLAG2(シグマアルドリッチから利用可能)にクローン化する。アネキシンV配列の前と後の正確な配列は未知であり、「x」と記す。よって、正確なコドンの整列化を保証するための修飾の前に、上記構築物を配列決定する必要がある。pCMV FLAG2ベクターは、内蔵の(built in)強力なプロモーター及び開始配列(Kozak)及び開始(ATG)を付属する。各アネキシンV遺伝子前の開始コドンは、よって、除去されなければならず、そして厳重な発現のための停止コドンを第2アネキシンV遺伝子の末端に添加するべきである。当該ベクターは、蛋白質の精製のために使用できる8−アミノ酸のペプチド配列も付属する(asp−tyr−lys−asp−asp−asp−asp−lys)(配列番号:9)。グリシン−セリンの回転(swivel)末端を有する14−アミノ酸のスペーサーは、一列に並んだ遺伝子間の最適な回転を可能にする。制限部位PvuIIとScaIの追加は、必要であれば上記リンカーの除去を可能にする。プロテアーゼ部位の追加は発現に続く一列の蛋白質の分割を可能にする。PreScission(商標)プロテアーゼはアマシャムファルマシアバイオテックから利用可能であり、一列に並んだ蛋白質を分割するのに使用できる。
アネキシンVは以下のアミノ酸配列を有する:
MALRGTVTDFSGFDGRADAEVLRKAMKGLGTDEDSILNLLTARSNAQRQQIAEEFKTLFGRDLVNDMKSELTGKFEKLIVALMKPSRLYDAYELKHAKLGAGTDEKVLTEILASRTPEELRAIKQAYEEEYGSNLEDDVVGDTSGYYQRMLVVLLQANRDPDTAIDDAQVELDAQALFQAGELKWGTDEEKFITILGTRSVSHLRRVFDKYMTISGFQIEETIDRETSGNLENLLLAVVKSIRSIPAYLAETLYYAMKGAGTDDHTLIRVIVSRSEIDLFNIRKEFRKNFATSLYSMIKGDTSGDYKKALLLLCGGEDD(*停止)(配列番号:3)。
【0084】
図1に例示されたDNA構築物内に示されるアネキシンVのヌクレオチド配列は以下のとおりである:
ATGGCCCTGCGCGGCACCGTGACCGACTTCTCCGGCTTCGACGGCCGCGCCGACGCCGAGGTGCTGCGCAAGGCCATGAAGGGCCTGGGCACCGACGAGGACTCCATCCTGAACCTGCTGACCGCCCGCTCCAACGCCCAGCGCCAGCAGATCGCCGAGGAGTTCAAGACCCTGTTCGGCCGCGACCTGGTGAACGACATGAAGTCCGAGCTGACCGGCAAGTTCGAGAAGCTGATCGTGGCCCTGATGAAGCCCTCCCGCCTGTACGACGCCTACGAGCTGAAGCACGCCAAGCTGGGCGCCGGCACCGACGAGAAGGTGCTGACCGAGATCATCGCCTCCCGCACCCCCGAGGAGCTGCGCGCCATCAAGCAGGCCTACGAGGAGGAGTACGGCTCCAACCTGGAGGACGACGTGGTGGGCGACACCTCCGGCTACTACCAGCGCATGCTGGTGGTGCTGCTGCAGGCCAACCGCGACCCCGACACCGCCATCGACGACGCCCAGGTGGAGCTGGACGCCCAGGCCCTGTTCCAGGCCGGCGAGCTGAAGTGGGGCACCGACGAGGAGAAGTTCATCACCATCCTGGGCACCCGCTCCGTGTCCCACCTGCGCCGCGTGTTCGACAAGTACATGACCATCTCCGGCTTCCAGATCGAGGAGACCATCGACCGCGAGACCTCCGGCAACCTGGAGAACCTGCTGCTGGCCGTGGTGAAGTCCATCCGCTCCATCCCCGCCTACCTGGCCGAGACCCTGTACTACGCCATGAAGGGCGCCGGCACCGACGACCACACCCTGATCCGCGTGATCGTGTCCCGCTCCGAGATCGACCTGTTCAACATCCGCAAGGAGTTCCGCAAGAACTTCGCCACCTCCCTGTACTCCATGATCAAGGGCGACACCTCCGGCGACTACAAGAAGGCCCTGCTGCTGCTGTGCGGCGGCGAACGACTGA(配列番号:1)。
【0085】
実施例2:インビトロ及びインビボアッセイ
インビトロアッセイは、修飾されたアネキシン蛋白質が活性化された血小板に結合する能力を決定する。アネキシンVは血小板に結合し、この結合は血栓による血小板の活性化によりインビトロにおいて顕著に増加する(Thiagarajan and Tait,1990;Sun et al.,1993)。好ましくは、本発明の修飾されたアネキシン蛋白質は、それらが血小板に結合して蛋白質Sが血小板に結合するのを防ぐことにおいて、アネキシンの機能を果たすような方法で製造される(Sun et al.,1993)。修飾されたアネキシン蛋白質は、未修飾のアネキシン蛋白質が呈するのと同じ抗凝血活性をインビトロにて呈する機能も果たす。クロット形成時間を測定する方法は、活性化された部分的なトロンボプラスチン時間である(Fritsma,in Hemostasis and thrombosis in the clinical laboratory(Corriveau,D.M.and Fritsma,G.A.,編纂)J.P.Lipincott Co.,Philadelphia(1989),pp.92−124,引用により本明細書に編入される)。
【0086】
インビボアッセイはアネキシン蛋白質の抗血栓活性を測定する。アネキシンVは、レーザーによるか又は光化学によりラット内で誘導された静脈の血栓症を軽減することが示された(Romisch et al.,1991)。最大の抗凝血作用は、トロンボエラストグラフィーによる機能測定によれば、アネキシンVの静脈内投与の15分から30分後に観察された。本発明の修飾されたアネキシン蛋白質は、未修飾のアネキシンの活性よりもそのようなモデルの方が、より長い延長された活性を好適に示す。アネキシンVは、頸静脈の血栓症のウサギモデルにおいてフィブリンの累積(accretion)を低下させることもわかった(Van Ryn−McKenna et al.1993)。空気注入を使用することにより内皮を除去し、そしてアネキシンVは処置された静脈に結合するが、対照の反対側の静脈に結合しないことがわかった。損傷した静脈内のフィブリンの蓄積の低下は、全身性の抗凝血とは関連しなかった。ヘパリンは損傷した静脈内でフィブリンの蓄積を阻害しなかった。本発明の修飾されたアネキシン蛋白質は、この静脈血栓症のモデルにおいてアネキシンの機能を好適に果たす。動脈の血栓症のウサギモデルは、Thiagarajan and Benedict,1997により使用された。部分的に閉塞させる血栓を、電流の適用により左の頸動脈に形成させた。アネキシンVの注入が血栓症を強く阻害したことが、血流、血流重量、標識されたフィブリンの堆積及び標識された血小板の蓄積の測定により証明された。最近、精巣挙筋内で光化学誘導された血栓のマウスモデルが導入された(Vollmar et al.Thromb.Haemost.85:160−164(2001),引用により本明細書に編入される)。この技術を用いて、血栓症はあらゆる所望の動脈又は静脈において誘導することができる。本発明の修飾されたアネキシン蛋白質は、全量一回投与の注射により投与された場合でさえも、そのようなモデルにおいてアネキシンの機能を好適に果たす。
【0087】
実施例3
ヒト組換えアネキシンV及びペギル化ヒト組換えアネキシンVの抗凝血能力をインビトロにて比較した。
アネキシンV生産。ポリメラーゼ鎖反応を用いて、ヒト胎盤cDNAライブラリーからの特定のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、イニシエーターメチオニンから停止コドンまでのcDNAを増幅した。フォワードプライマーはACCTGAGTAGTCGCCATGGCACAGGTTCTC(配列番号:7)であり、そしてリバースプライマーはCCCGAATTCACGTTAGTCATCTTCTCCACAGAGCAG(配列番号:8)であった。増幅された1.1kbの断片をNcoIとEcoRIにより消化して、原核発現ベクターpTRC99Aに連結した。連結生成物を用いて、コンピテントなEscherichia coli株JM105を形質転換して、配列決定した。
【0088】
組換えアネキシンVを、Berger et al.,1993により記載されたとおりに、いくらかの修飾を加えて、細菌溶解物から単離した。pTRC 99A−アネキシンVにより形質転換されたE.coli JM105の一晩培養物を、100mg/mLアンピシリンを含む新しいLuria Bertani培地中で50倍に増殖させた。2時間後に、イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシドを最終濃度1mmol/Lまで添加した。誘導16時間後に、細菌を3500gにて15分間で4℃にて沈殿させた。細菌の沈殿物を、1mmol/L PMSF,5mmol/L EDTA,及び6mol/L尿素を含むTBS,pH7.5に懸濁した。上記の細菌の懸濁液を超音波プローブによりセッティング6にて氷上で3分間音波処理した。溶解物を10,000gにて15分間遠心分離して、上清を、1mmol/LのEDTAを含む50容のTBSに対して2回透析して、50容のTBSに対して1回透析した。
【0089】
マルチラメラリポソームを、ホスファチジルセリン、凍結乾燥したウシ脳抽出物、コレステロール及びクロロホルム中のジセチルホスフェートをモル比10:15:1にて溶解することにより作成して、コニカルフラスコ中で窒素流にて乾燥させた。TBS(5mL)を上記フラスコに添加して、1分間激しくボルテックスミキサーにて振動させた。当該リポソームを15分間3500gの遠心分離により洗浄して、次に、上記細菌抽出物と共にインキュベートし、そして塩化カルシウムを最終濃度5mmol/Lまで添加した。37℃における15分間のインキュベーション後に、上記リポソームを10,000gにて10分間の遠心分離により沈降させ、そして結合したアネキシンVIIIを10mmol/LのEDTAにより溶出した。溶出したアネキシンVをアミコン限外濾過により濃縮して、セファクリル200カラム上に負荷した。上記アネキシンVを包含された容量に回収したが、ほとんどのリポソームは空隙容量内であった。アネキシンVを含む画分をプールして、10mmol/L Tris及び2mmol/L EDTA,pH8.1中で透析して、アニオン交換カラム上に負荷して、同じバッファー中の0から200mmol/LのNaClの直線勾配により溶出した。精製された調製物は還元条件下でのSDS−PAGEにおいて単一バンドを示した。
【0090】
上記のとおりに生成されたアネキシンVを、上記のとおり、Hermanson,1996の方法によりペギル化した。
抗−凝血アッセイ
アネキシンV及びペギル化されたアネキシンVにより誘導されたクロット形成時間(活性化された部分的なトロンボプラスチン時間)の延長を比較した。活性化された部分的なトロンボプラスチン時間を、Fritsma,1989において記載されたとおりに、クエン酸化された正常なプールされた血漿とアッセイした。異なる濃度の上記のとおりに生成されたアネキシンV及びペギル化されたアネキシンVを用いて、クロット形成時間の延長に関する用量応答曲線を得た。結果を図2に示すが、クロット形成時間対アネキシンV及びペギル化されたアネキシンVのプロットである。当該図面において示されるとおり、組換えヒトアネキシンVとペギル化組換えヒトアネキシンVの抗凝血能力は実質等価であった。観察された小さな違いは、ペギレーション後の分子量の変化に帰する。この実験は、アネキシンVのペギレーションがその抗凝血作用を実質上減じることなしに達成できるという、本明細書になされた主張を確認する。
【0091】
上記記載は発明の例示に過ぎないことに注意するべきである。様々な変更及び修飾が発明を逸脱することなしに当業者により工夫され得る。従って、本発明は、開示された発明の範囲内に入るそのような変更、修飾及び変動を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、アネキシンVのホモダイマーを作成するためのDNA構築物を示す。
【図2】図2は、組換えヒトアネキシンVとペギル化(pegylated)組換えヒトアネキシンVの抗凝血能力を比較するインビトロアッセイの凝血時間のプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓症を変調させる修飾アネキシン蛋白質をスクリーニングする方法であって、
a)血栓症試験システムを、血栓症を許容する条件下で、少なくとも一つの修飾されたアネキシン蛋白質に接触させ;
b)上記試験修飾アネキシン蛋白質の存在下で抗血栓活性を評価し;そして
c)試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での抗血栓活性を、試験修飾アネキシン蛋白質の不在下での抗血栓活性と比較し、試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での抗血栓活性の変化が血栓症を変調させる修飾アネキシン蛋白質の指標である、上記方法。
【請求項2】
血栓症試験システムが、活性化された部分的なトロンボプラスチン時間を測定するシステムである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法により同定された、血栓症を変調させる、修飾されたアネキシン蛋白質。
【請求項4】
アネキシン活性に関して修飾アネキシン蛋白質を同定する方法であって、
a)活性化された血小板を、結合を許容する条件下で、少なくとも一つの修飾されたアネキシン蛋白質に接触させ;
b)上記血小板の試験修飾アネキシン蛋白質−結合活性を評価し;
c)上記試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での蛋白質S−結合活性を評価し;そして
d)試験修飾アネキシン蛋白質の存在下での試験修飾アネキシン−結合活性と蛋白質−S結合活性を、未修飾のアネキシン蛋白質の存在下での未修飾アネキシン−結合活性と蛋白質S−結合活性と比較し、アネキシン活性を有する修飾されたアネキシン蛋白質を同定する、上記方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法により同定された、修飾されたアネキシン蛋白質。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−263991(P2008−263991A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137728(P2008−137728)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【分割の表示】特願2002−567229(P2002−567229)の分割
【原出願日】平成14年2月21日(2002.2.21)
【出願人】(501072371)サーロメッド・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】