説明

修飾された第IX因子ポリペプチドおよびそれらの使用

修飾された第IX因子ポリペプチド、例えば、1つ以上の導入されたグリコシル化部位を有する第IX因子ポリペプチドを記載している。修飾された第IX因子ポリペプチドは、インビトロまたはインビボ安定性の増加、例えば、血漿中の半減期の延長を示し得る。また、修飾された第IX因子ポリペプチドを製造する方法、および、例えば、血友病Bに罹患している患者を処置するための、修飾された第IX因子ポリペプチドを使用する方法を記載している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年4月16日に提出された米国仮出願第61/124,567号および2008年4月17日に出願された米国仮出願第61/045,961号(これらの内容は、その全体において出典明示により本明細書に包含させる)の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、修飾された第IX因子ポリペプチド、例えば、1つ以上の導入されたグリコシル化部位を有する第IX因子ポリペプチドに関する。修飾された第IX因子ポリペプチドは、インビトロまたはインビボの安定性の増加、例えば、血漿中の半減期の延長を示し得る。本発明は、また、修飾された第IX因子ポリペプチドを製造する方法、および、例えば、血友病Bに罹患している患者を処置するための、修飾された第IX因子ポリペプチドを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
血友病Bは、男性34,500人に一人であり、凝固第IX因子(FIX)をコードする遺伝子における種々の遺伝子異常により引き起こされ、FIXタンパク質が血液中で少ない、または検出できないものとなる(Kurachi, et al., Hematol. Oncol. Clin. North Am. 6:991-997, 1992; Lillicrap, Haemophilia 4:350-357, 1998)。不十分なレベルのFIXは、凝血障害および出血が止まらなくなる症状を引き起こす。血友病Bは、すでに起こっている出血を止めるため、または出血が起こることを防止するため(予防)に、血漿由来または組換えFIXタンパク質のいずれかの静脈内注入により、有効に処置される(Dargaud, et al., Expert Opin. Biol. Ther. 7:651-663; Giangrande, Expert Opin. Pharmacother. 6:1517-1524, 2005)。有効な予防は、正常レベルの約1%のFIXの最小トラフレベルを維持することが必要である(Giangrande, Expert Opin. Pharmacother. 6:1517-1524, 2005)。天然のFIX(血漿由来または組換え)の半減期は約18から24時間であるため、FIXレベルは、ボーラス注射後3から4日以内に正常レベルの1%未満に落ち、これは有効な予防を達成するために平均3日ごとの反復注射を必要とする(Giangrande, Expert Opin. Pharmacother. 6:1517-1524, 2005)。このような頻繁な静脈内注射は、患者、とりわけ子供にとって問題であり、有効な予防を達成するための障害である(Petrini, Haemophilia 13 Suppl 2:16-22, 2007)。長い半減期を有するFIXタンパク質は頻繁な投与をより少なくすることが可能であり、したがって、医学的な利点から重要である。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本出願は、1つ以上のグリコシル化部位を導入することにより修飾されているアミノ酸配列を含むFIXポリペプチド(修飾されたFIXポリペプチド、FIX変異タンパク質またはFIX変異体としても称される)を提供する。いくつかの態様において、1つ以上のグリコシル化部位はN結合型グリコシル化部位であり得る。いくつかの態様において、ポリペプチドは凝固活性を有する。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、少なくとも1つの置換、例えば、限定はしないがR338AおよびV86Aを含み得る。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドはR338AおよびV86A置換の両方を含み得る。
【0005】
本出願は、また、1つ以上のグリコシル化部位を導入することにより修飾されているアミノ酸配列を含むFIXポリペプチドを提供する。FIXポリペプチドは、1つ以上の導入されたグリコシル化部位に結合した炭水化物鎖を更に含み得る。いくつかの態様において、炭水化物鎖はN結合型炭水化物鎖であり得る。いくつかの態様において、炭水化物鎖は哺乳動物の炭水化物鎖構造を有し得る。いくつかの態様において、炭水化物鎖はヒトの炭水化物鎖構造を有し得る。いくつかの態様において、1つ以上の導入されたグリコシル化部位での炭水化物鎖の結合は、例えば、導入されたグリコシル化部位を欠いているポリペプチドと比較して、ポリペプチドの血清半減期を少なくとも30%増加させ得る。いくつかの態様において、1つ以上の導入されたグリコシル化部位での炭水化物鎖の結合は、例えば、導入されたグリコシル化部位を欠いている分泌されるポリペプチドの量と比較して、分泌されるポリペプチドの量を50%以上減少させない。いくつかの態様において、1つ以上の導入されたグリコシル化部位での炭水化物鎖の結合は、例えば、導入されたグリコシル化部位での炭水化物鎖を欠いているポリペプチドとFVIII、FXIまたはFXとの相互作用と比較して、ポリペプチドと少なくとも1つの第VIII因子(FVIII)、第XI因子(FXI)または第X因子(FX)との相互作用を50%以上阻害しない。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、例えば、ポリペプチドのmgあたり少なくとも100単位の比活性を有し得る。
【0006】
1つ以上のグリコシル化部位は、1つ以上のアミノ酸置換を介して導入され得る。置換は、表面に暴露された残基であり得、そして/または、血友病Bと関連することが知られている変異を導入しない置換に限定され得る。典型的な態様は、1つ以上の置換、例えば、限定はしないが以下のものを含むFIXポリペプチドを含む:
(a)G4T;E33N;E36T;E36N;R37N;F75N;F77T;E83T;D85N;V86A;K91T;A103T;V107T;K122N;K122T;S138N;A146N;T148N;F150T;P151N;T159N;A161T;A161N;T169N;Q170N;T172N;D177N;D177E;F178T;K201N;K201T;K214T;V223N;G226N;Y226T;K228N;K228T;E239N;E242N;I251T;A262T;E294N;R338A;R338N;K341N;F353N;H354V;H354I;E355T;V370N;T371V;T371I;E372T;E374N;M391N;K392V;G393T;E410N;K413N;L414I;
【0007】
(b)Y1NおよびS3T;S3NおよびK5T;G4NおよびL6T;K5NおよびE7T;L6NおよびE8T;E7NおよびF9T;F9NおよびQ11T;V10NおよびG12T;Q11NおよびN13T;G12NおよびL14T;N13およびE15T;L14NおよびR16T;E15NおよびE17T;M19NおよびE21T;E20NおよびK22T;S24NおよびE26T;F25NおよびE27T;E26NおよびA28T;E27NおよびR29T;A28NおよびE30T;R29NおよびV31T;E30NおよびF32T;V31NおよびE33T;F32NおよびN34T;T35NおよびR37T;T38NおよびE40T;T39NおよびF41T;E40NおよびW42T;F41NおよびK43T;W42NおよびQ44T;K43NおよびY45T;Q44NおよびV46T;Y45NおよびD47T;V46NおよびG48T;E52NおよびN54T;S53NおよびP55T;G59NおよびS61T;K63NおよびD65T;I66NおよびS68T;S68NおよびE70T;G76NおよびE78T;E78NおよびK80T;E83NおよびD85T;L84NおよびV86T;I90NおよびN92T;K100NおよびS102T;S102NおよびD104T;A103NおよびN105T;D104NおよびK106T;K106NおよびV108T;R116NおよびA118T;E119NおよびQ121T;Q121NおよびS123T;A127NおよびP129T;V135NおよびV137T;S136NおよびS138T;V137NおよびQ139T;Q139NおよびS141T;T140NおよびK142T;S141NおよびL143T;E147NおよびV149T;T148NおよびF150T;V149NおよびP151T;P151NおよびV153T;D152NおよびD154T;V153NおよびY155T;D154NおよびV156T;Y155NおよびN157T;V156NおよびS158T;S158NおよびE160T;T159NおよびA161T;E160NおよびE162T;E162NおよびI164T;T163NおよびL165T;I164NおよびD166T;L165NおよびN167T;D166NおよびI168T;I168NおよびQ170T;T169NおよびS171T;S171NおよびQ173T;T172NおよびS174T;Q173NおよびF175T;S174NおよびN176T;G184NおよびD186T;E185NおよびA187T;D186NおよびK188T;A187NおよびP189T;P189NおよびQ191T;G200NおよびV202T;K201NおよびD203T;V202NおよびA204T;E224NおよびG226T;T225NおよびV227T;G226NおよびK228T;V227NおよびI229T;H236NおよびI238T;I238NおよびE240T;E240NおよびE242T;T241NおよびH243T;H243NおよびE245T;K247NおよびN249T;V250NおよびR252T;I251NおよびI253T;I253NおよびP255T;A261NおよびI263T;A262NおよびN264T;D276NおよびP278T;V280NおよびN282T;F302NおよびS304T;S304NおよびY306T;R312NおよびF314T;V313NおよびH315T;F314NおよびK316T;H315NおよびG317T;K316NおよびR318T;G317NおよびS319T;S319NおよびL321T;A320NおよびV322T;R327NおよびP329T;P329NおよびV331T;D332NおよびA334T;L337NおよびS339T;S339NおよびK341T;T340NおよびF342T;T343NおよびY345T;G352NおよびH354T;F353NおよびE355T;H354NおよびG356T;E355NおよびG357T;G356NおよびR358T;G357NおよびD359T;E372NおよびE374T;W385NおよびE387T;G386NおよびE388T;A390NおよびK392T;
【0008】
(c)D85N、K122TおよびI251T;D85N、K122TおよびE242N;E125N、P126AおよびA127T;P126N、V128TおよびP129A;T148N、F150TおよびP151A;F150N、P151AおよびD152T;P151N、V153TおよびA161N;P151N、V153TおよびT172N;V153N、Y155TおよびE294N;T172N、G226NおよびK228T;F353N、H354VおよびE355T;F353N、H354IおよびE355T;V370N、T371VおよびE372T;V370N、T371IおよびE372T;M391N、K392VおよびG393T;D85N、P151N、V153TおよびK228N;D85N、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびK228N;K122T、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびI251T;T148N、F150T、G226NおよびK228T;P151N、V153T、T172NおよびR338A;P151N、V153T、D177EおよびF178T;P151N、V153T、G226NおよびK228T;T172N、G226N、K228TおよびR338A;D85N、K122T、P151N、V153TおよびE242N;D85N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;K122T、P151N、V153T、G226NおよびK228T;S138N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;T148N、F150T、G226N、K228TおよびR338A;P151N、V153T、T172N、G226NおよびK228T;P151N、V153T、D177E、F178TおよびR338A;P151N、V153T、G226N、K228TおよびR338A;ならびにP151N、V153T、T172N、G226N、K228TおよびR338A;ならびにそれらの任意の組合せ。
【0009】
1つ以上のグリコシル化部位は、FIXの触媒ドメインまたは活性化ペプチドに導入され得る。典型的な態様は、1つ以上の置換、例えば、限定はしないが以下のものを含むFIXポリペプチドを含む:R37N;D85N;K122T;S138N;A146N;A161N;Q170N;T172N;D177N;F178T;K201N;K228N;E239N;E242N;I251T;A262T;E294N;E374N;およびE410N。他の態様は、1つ以上の置換、例えば、以下のものを含むFIXポリペプチドを含み得る:G59NおよびS61T;K63NおよびD65T;G76NおよびE78T;S102NおよびD104T;A103NおよびN105T;D104NおよびK106T;E119NおよびQ121T;Q121NおよびS123T;S136NおよびS138T;Q139NおよびS141T;T140NおよびK142T;T148NおよびF150T;V149NおよびP151T;P151NおよびV153T;D152NおよびD154T;V153NおよびY155T;D154NおよびV156T;V156NおよびS158T;S158NおよびE160T;E160NおよびE162T;E162NおよびI164T;T163NおよびL165T;I164NおよびD166T;D166NおよびI168T;I168NおよびQ170T;S171NおよびQ173T;T172NおよびS174T;Q173NおよびF175T;S174NおよびN176T;K201NおよびD203T;V202NおよびA204T;E224NおよびG226T;T225NおよびV227T;G226NおよびK228T;T241NおよびH243T;I251NおよびI253T;I253NおよびP255T;A262NおよびN264T;V280NおよびN282T;T343NおよびY345T;ならびにE372NおよびE374T;F150N、P151AおよびD152T。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、少なくとも1つの置換、例えば、R338AおよびV86Aをさらに含み得る。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、R338AおよびV86Aの両方の置換をさらに含み得る。
【0010】
1つ以上のグリコシル化部位は、O結合型グリコシル化部位をN結合型グリコシル化部位に変換することにより導入され得る。典型的な態様は、置換、例えば、限定はしないがT169N;T172N;T148NおよびF150T;ならびにT159NおよびA161Tを含む。いくつかの態様において、置換はT172N;T148NおよびF150T;ならびにT159NおよびA161Tであり得る。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、少なくとも1つの置換、例えば、限定はしないがR338AおよびV86Aをさらに含み得る。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、R338AおよびV86Aの両方の置換をさらに含み得る。
【0011】
1つ以上のグリコシル化部位は、1から12アミノ酸残基をアミノ酸残基160−164間に挿入することにより導入され得る。グリコシル化部位は、アミノ酸残基160−161間、アミノ酸残基161−162間、アミノ酸残基162−163間またはアミノ酸残基163−164間に導入され得る。いくつかの態様において、配列番号:2は、アミノ酸残基160−161間、アミノ酸残基161−162間、アミノ酸残基162−163間またはアミノ酸残基163−164間に導入され得る。他の態様において、グリコシル化部位は、1から12個のアミノ酸残基をFIXポリペプチドのC末端に付加することにより導入され得る。いくつかの態様において、配列番号:4、5、6または7は、FIXポリペプチドのC末端に導入され得る。いくつかの態様において、ポリペプチドはアミノ酸置換D177EおよびF178Tをさらに含み得る。いくつかの態様において、ポリペプチドはアミノ酸置換P151NおよびV153Tをさらに含み得る。いくつかの態様において、ポリペプチドはアミノ酸置換T172Nをさらに含み得る。いくつかの態様において、ポリペプチドはアミノ酸置換P151N、V153TおよびT172Nをさらに含み得る。いくつかの態様において、ポリペプチドはアミノ酸置換T148NおよびF150Tをさらに含み得る。いくつかの態様において、ポリペプチドはアミノ酸置換G226NおよびK228Tをさらに含み得る。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは少なくとも1つの置換、例えば、R338AおよびV86Aをさらに含み得る。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドはR338AおよびV86Aの両方の置換をさらに含み得る。
【0012】
典型的な態様において、修飾されたFIXポリペプチドは、1つ以上の置換、例えば以下のものを含むものを提供する:D85N;K122T;S138N;T172N;K201N;K228N;E239N;E242N;I251T;A262T;E294N;G59NおよびS61T;G76NおよびE78T;S102NおよびD104T;A103NおよびN105T;D104NおよびK106T;E119NおよびQ121T;Q121NおよびS123T;S136NおよびS138T;Q139NおよびS141T;T140NおよびK142T;T148NおよびF150T;V149NおよびP151T;P151NおよびV153T;D152NおよびD154T;S158NおよびE160T;E162NおよびI164T;T163NおよびL165T;T172NおよびS174T;Q173NおよびF175T;K201NおよびD203T;T225NおよびV227T;G226NおよびK228T;I253NおよびP255T;A262NおよびN264T;V280NおよびN282T;E372NおよびE374T;F150N、P151AおよびD152T;A161およびE162間への配列番号:2の挿入;ならびにG226N、K228T、および、A161およびE162間への配列番号:2の挿入。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、少なくとも1つの置換、例えば、R338AおよびV86Aをさらに含み得る。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、R338AおよびV86Aの両方の置換をさらに含み得る。
【0013】
本出願は、また、R338A置換およびV86A置換を含むFIXポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、ポリペプチドは、ポリペプチドのmgあたり少なくとも700単位の比活性を有し得る。
【0014】
本出願は、また、修飾されたFIXポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬品を提供する。
【0015】
本出願は、また、治療有効量の本明細書に記載されている医薬品を必要とする対象に投与することを含む、血友病Bを処置するための方法を提供する。
【0016】
本出願は、また、修飾されたポリペプチドをコードするDNA配列ならびに該DNA配列をトランスフェクトされた真核生物宿主細胞を提供する。
【0017】
本出願は、また、(i)1つ以上のグリコシル化部位を導入することによりポリペプチドのアミノ酸配列を修飾し;(ii)1つ以上のグリコシル化部位でグリコシル化することが可能である様式におけるポリペプチドを発現し;そして(iii)該ポリペプチドを精製することを含む、修飾されたFIXポリペプチドを生産する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、8つの種由来の活性化ペプチド内のFIX配列の多数の配列アラインメントを記載している
【図2】図2は、FIXのグリコシル化部位変異タンパク質をトランスフェクトされたHKB11細胞由来の培地のウエスタンブロット分析を記載している。FIXタンパク質は抗−FIX−HRP抗体を使用して検出された。
【図3】図3は、HKB11細胞におけるFIXグリコシル化部位変異タンパク質の発現および活性の表を記載している。発現はELISAにより、活性はaPTTアッセイにより測定した。比活性を国際単位としてFIXタンパク質のmgあたりで計算する。値は同じトランスフェクション実験において駆動させたFIX−R338Aのパーセントに変換させた。(none):移動度の変化無し、(+):+の数が示す程度で移動度の減少、(−):移動度の増加。
【図4】図4は、HKB11細胞におけるFIXグリコシル化部位変異タンパク質の発現レベル、凝固活性および比活性を記載している。値はFIX−R338A変異タンパク質のパーセントとして表した。構築物は図3に記載されている。
【図5】図5は、FIXのG226N、K228Tグリコシル化部位変異タンパク質をトランスフェクトされたHKB11細胞由来の培地のウエスタンブロット分析を記載している。FIXタンパク質は、抗−FIX−HRP抗体を使用して検出した。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の説明
本出願は、1つ以上のOまたはN結合型グリコシル化部位を含むFIXポリペプチドを提供する。治療用タンパク質のグリコシル化の増加は、1)免疫原性の減少;2)タンパク質の投与の頻度の減少;3)タンパク質安定性の増加、例えば、血清半減期の増加;および4)有害な副作用、例えば、炎症の減少を達成するために使用され得る。
【0020】
本出願は、1つ以上のさらなるグリコシル化部位を有するヒトFIXの変異体を提供する。修飾されたFIXポリペプチドは、また、例えば、血友病B患者における出血に対する長時間の保護を提供する、血漿中の半減期の増加を有し得る。修飾されたFIXポリペプチドは、血友病B患者が、野生型FIXタンパク質の現在利用されている治療で可能である注射よりも、より少ないFIXの注射で出血に対する保護を達成することを可能にする。
【0021】
本出願は、機能性グリコシル化部位が触媒ドメインおよび活性化ペプチドの両方において創造された、多くの典型的なFIXの変異体を提供する。さらに、本出願は、これらの変異体が哺乳動物細胞において発現され得、グリコシル化の増加を示す見かけの分子量を増加させ、凝固アッセイにおいて50%から100%の活性を維持することを証明する。最後に、これらの修飾部位は、FIXの比活性を増強する変化(限定はしないがR338A置換および/またはV86A置換を含む)と組み合わされ得る(Chang, et al., J. Biol. Chem. 273:12089-12094, 1998 and Chang, et al., J. Biol. Chem. 277:25393-25399, 2002)。R338AおよびV86A置換の1つまたはその両方が、修飾されたポリペプチドの比活性が野生型FIXと同等または野生型FIXより高くなり得るように、グリコシル化部位の付加による活性の何らかの減少を補う。
【0022】
発現すると、野生型FIXは約55,000ダルトンの一本鎖糖タンパク質である。それは、構造的に、4つのドメイン:Glaまたはガンマカルボキシグルタミン酸−リッチドメイン;EGF様領域;活性化ペプチド;および活性部位を含む触媒ドメインを有すると考えられ得る(Thomson, Blood 67:565-572, 1986)。FIXは、461アミノ酸の一本鎖ポリペプチドとして肝臓で合成され、ゴルジ体および小胞体を介する輸送中の大規模な翻訳後修飾を受ける(Nemerson, et al., CRC Crit. Rev. Biochem. 9:45-48, 1980; Stenflo, et al., Annu. Rev. Biochem. 46:157-172, 1977)。シグナル配列およびプロペプチドの両方が除去され、415アミノ酸(配列番号:1)の成熟タンパク質となる(Choo, et al., Nature 299:178-180, 1982; Kurachi, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:6461-6464, 1982)。効率的なガンマカルボキシル化がFIXの凝固活性のために必須であり、ヒトにおいて12のGla残基がN末端Glaドメイン内に生成されるが、Gla36およびGla40におけるガンマカルボキシル化は機能に必要ではない(DiScipio, et al., Biochemistry 18:899-904, 1979; Gillis, et al., Protein Sci. 6:185-196, 1997)。加えて、FIXは、2つのN結合型グリコシル化部位(N157、N167)、6つのO結合型グリコシル化部位(S53、S61、T159、T169、T172、T179)ならびにSerリン酸化(S158)、チロシン硫酸化(Y155)およびβ−ヒドロキシル化(D64)のためのそれぞれ1つの部位を含む(McMullen, et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 115:8-14, 1983)。
【0023】
活性化因子VII(FVII)は、血管壁損傷の結果として暴露されたとき、組織因子(TF)と複合体を形成することにより通常の止血プロセスを開始する。次に複合体はFIXを活性化する;活性型はFIXaと称される。FIXの活性化ペプチドは、第XIa因子(FXIa)または組織因子(TF)/第VIIa因子複合体のいずれかによる2つの部位でのタンパク質分解により除去され、触媒活性分子の第IXa因子(FIXa)を生産する。FIXaおよび第VIIIa因子(FVIIIa)は、FXを第Xa因子(FXa)に変換し、同様にプロトロンビンをトロンビンに変換する。次にトロンビンはフィブリノゲンをフィブリンに変換し、フィブリン塊の形成をもたらす。
【0024】
野生型FIXは多数の翻訳後修飾を有し、これらのいくつかはインビボ薬物動態学プロファイルにおいて役割を果たすと示唆されているため、異所性グリコシル化部位はこれらの他の修飾に影響しない位置に導入され得る。生産されると、FIXは、血友病Bの処置に有効であるために、酵素的活性を保持し、FVIII、FXIおよびFXと相互作用するべきである。導入されるグリコシル化部位は、これらの相互作用および機能を乱すべきでない。本出願は、1つにおいて、機能の最小の摂動にてグリコシル化部位の数の増加をもたらす可能性があり、したがってFIXのバイオアベイラビリティに対する有用性の増加を有するFIXの修飾を提供する。最後に、これらの修飾部位は、FIXの比活性を増強する変化(限定はしないがR338A置換および/またはV86A置換を含む)と組み合わされ得る。FIXの比活性を増強する変化は、凝固活性を失う可能性を補い得、また、低いレベルのタンパク質で有効性を与えることにより修飾された分子の有効性を延長する可能性がある。
【0025】
修飾されたFIXポリペプチド
本出願は、1つ以上の導入されたグリコシル化部位を含むFIXポリペプチド、すなわち、修飾されたFIXポリペプチドを提供する。本明細書において使用される“第IX因子”は、内因性凝固経路のメンバーであり、血液凝固に必須であるヒト血漿FIX糖タンパク質を意味する。この定義はヒト血漿FIX糖タンパク質の天然ならびに組換え形態を含むと理解されるべきである。特記されない限り、本明細書において使用されるFIXは、フラグメント、類似物、変異体および誘導体を含む、凝固において通常の役割のあらゆる機能性ヒトFIXタンパク質分子を意味する。本出願のポリペプチドにおいて言及するとき、“フラグメント”、“誘導体”、“類似物”、“変異タンパク質”および“変異体”なる用語は、実質的に同じ生物学的機能または活性を維持するポリペプチドのフラグメント、誘導体、類似物、変異タンパク質および変異体を意味する。
【0026】
FIXポリペプチドの非限定的な例は、FIX、FIXaおよびFIX活性を有するFIXの不完全バージョンを含む。少なくともある程度のFIX活性を維持する、前記いずれかの生物学的に活性なフラグメント、欠失変異体、置換変異体または付加変異体も、FIXポリペプチドとして働くことができる。いくつかの態様において、FIXポリペプチドは、配列番号:1と少なくとも約70、80、90または95%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドは、生物学的に活性である。生物学的活性は、例えば、本明細書に記載されている凝固アッセイにより、決定することができる。
【0027】
修飾されたFIXポリペプチドは、また、アミノ酸の保存的置換を含み得る。保存的置換は、同様の特性を有し、例えば以下のものを含む1つのアミノ酸の別のアミノ酸への置換として、当分野で認識されている:アラニンからセリン;アルギニンからリシン;アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジン;アスパラギン酸からグルタミン酸;システインからセリン;グルタミンからアスパラギン;グルタミン酸からアスパラギン酸;グリシンからプロリン;ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミン;イソロイシンからロイシンまたはバリン;ロイシンからバリンまたはイソロイシン;リシンからアルギニン;メチオニンからロイシンまたはイソロイシン;フェニルアラニンからチロシン、ロイシンまたはメチオニン;セリンからスレオニン;スレオニンからセリン;トリプトファンからチロシン;チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニン;およびバリンからイソロイシンまたはロイシンの変化。いくつかの態様において、配列番号:1のFIXポリペプチドは、1つ以上のグリコシル化部位の導入に加えて、1−30、1−20または1−10の保存的アミノ酸置換を含む。
【0028】
特定のアミノ酸に対する1文字略語、その対応するアミノ酸および3文字略語は、以下のとおりである:A、アラニン(Ala);C、システイン(Cys);D、アスパラギン酸(Asp);E、グルタミン酸(Glu);F、フェニルアラニン(Phe);G、グリシン(Gly);H、ヒスチジン(His);I、イソロイシン(Ile);K、リシン(Lys);L、ロイシン(Leu);M、メチオニン(Met);N、アスパラギン(Asn);P、プロリン(Pro);Q、グルタミン(Gln);R、アルギニン(Arg);S、セリン(Ser);T、スレオニン(Thr);V、バリン(Val);W、トリプトファン(Trp);Y、チロシン(Tyr);およびノルロイシン(Nle)。
【0029】
ポリペプチドのグリコシル化は、一般的にN結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を意味する。トリペプチド配列Asn−X−SerおよびAsn−X−Thr(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は、Asn側鎖への炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、N結合型グリコシル化部位の可能性を生み出す。本発明のために有用な典型的なN結合型グリコシル化部位は、また、X1−Asn−X2−X3−X4;(X1は所望によりAsp、Val、Glu、GlyまたはIleであり;X2はPro以外の任意のアミノ酸であり;X3はSerまたはThrであり;そしてX4は所望によりVal、Glu、Gly、GlnまたはIleである)として示され得る。いくつかの態様において、X1は所望によりAspであり;X2はSerであり;X3はThrであり;そしてX4はGlnである。いくつかの態様において、X1はAspであり;X2はIleであり;X3はThrであり;そしてX4はGlnである。FIXポリペプチドへのN結合型グリコシル化部位の付加は、1つ以上の上記トリペプチド配列が導入されるように、アミノ酸配列を変化させることにより達成される。
【0030】
O結合型グリコシル化は、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンへの結合も可能であるが、ヒドロキシアミノ酸、通常セリンまたはスレオニンへの糖の1つ、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースの結合を意味する。FIXポリペプチドへのO結合型グリコシル化部位の付加は、1つ以上のSerまたはThr残基が導入されるように、アミノ酸配列を変化させることにより達成され得る。
【0031】
グリコシル化部位は、例えば、1つ以上のアミノ酸残基を欠失するか、1つ以上の内因性FIXのアミノ酸残基を別のアミノ酸で置換するか、または1つ以上のアミノ酸残基を付加することにより、導入され得る。アミノ酸残基の付加は、天然のFIX分子の存在する2つのアミノ酸残基間またはNまたはC末端のいずれかであり得る。
【0032】
使用されるアミノ酸置換に関する専門用語は以下のとおりである。第1の文字は、ヒトFIXの位置に天然に存在するアミノ酸残基を示す。次の数は、成熟ヒトFIXアミノ酸配列(配列番号:1)における位置を示す。第2の文字は、(置き換わる/置換する)天然のアミノ酸に置き換わる異なるアミノ酸を示す。1つの例として、R338Aは、配列番号:1の位置338のArg残基がAla残基で置換されていることを示す。ヒトFIXポリペプチドのさらなる5’アミノ酸配列(46アミノ酸)を含む配列番号:26に対して、配列番号:1の位置338は配列番号:26の位置384に対応する。
【0033】
本明細書で使用されるFIX残基の番号方式は、成熟ヒトFIXタンパク質の番号を示し、残基1が、シグナル配列およびプロペプチドの両方の除去後の成熟FIXポリペプチドの第1のアミノ酸を示す。天然または野生型FIXは、配列番号:1に示されるとおりの全長成熟ヒトFIX分子である。
【0034】
いくつかの態様において、グリコシル化部位は、FIXにおいて、細胞におけるタンパク質の機能またはその発現を破壊されない位置で加工される。1つ以上の導入されたグリコシル化部位を含むFIXポリペプチドを設計するために、いくつかの基準が適用され得る。いくつかの態様において、導入されるグリコシル化部位は表面暴露である。表面暴露は、Autin, et al., (J. Thromb. Haemost. 3:2044-56, 2005)において決定されているとおりの溶媒接触可能表面積に基づいて決定することができる。いくつかの態様において、導入されるグリコシル化部位は、血友病Bと関連することが知られている変異を導入しない。既知の変異は、ワールドワイドウェブ kcl.ac.uk/ip/petergreen/haemBdatabase.htmlおよび表1で見出すことができる。
表1
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
1つ以上の導入されたグリコシル化部位を有する修飾されたFIXポリペプチドの特性を対照ポリペプチドと比較することが望ましいこともある。比較のための特性は、例えば、溶解性、活性、血漿中の半減期、グリコシル化状態および結合特性を含む。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドはグリコシル化され得る。比較のための最も適当な対照ポリペプチドを選択することは、当業者の範囲内である。いくつかの態様において、対照ポリペプチドは、1つ以上の導入されたグリコシル化部位を除けば、修飾されたポリペプチドと同一であり得る。典型的なポリペプチドは、野生型FIXポリペプチドおよび1つ以上の活性化置換、例えば、R338Aおよび/またはV86Aを含むFIXポリペプチドを含む。
【0039】
本出願の1つの局面は、対照ポリペプチドを越える増加したインビトロまたはインビボ安定性を有する修飾されたFIXポリペプチドを提供する。増強した血清半減期およびインビボ安定性は、治療有効性を達成するために必要な投与の頻度を減少するために望ましい。したがって、1つの態様において、グリコシル化されたFIXポリペプチドは、対照タンパク質と比較して約20、30、40、60、80、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900または1000%増加した血清半減期を有する。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10または少なくとも20日またはそれ以上の血清半減期を有し得る。
【0040】
ポリペプチド薬物を患者に投与する文脈において、本明細書において使用される“半減期”なる用語は、患者における薬物の血漿濃度に関して1/2に減少するために必要とされる時間として定義される。薬物動態学分析ならびに半減期およびインビボ安定性の測定のための方法は、当業者によく知られている。詳細はKenneth, et al., Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists and in Peters, et al., Pharmacokinetc analysis: A Practical Approach (1996)において見出される。“Pharmacokinetics” M Gibaldi & D Perron, published by Marcel Dekker, 2nd Rev. edition (1982)も参照のこと、これは薬物動態パラメータ、例えば、t−アルファおよびt−ベータの半減期および濃度曲線下面積(AUC)を記載している。
【0041】
修飾されたFIXポリペプチドの活性は、例えば、単位における絶対値、または対照ポリペプチドの活性のパーセントとしてのいずれかとして記載され得る。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドは、対照タンパク質と比較して約10、20、30、40、50、60、70または80%以上で減少しない比活性を有し得る。例えば、修飾されたポリペプチドが対照の比活性と比較して少なくとも約20%の比活性を維持するとき、修飾されたFIXポリペプチドは、対照FIXポリペプチドと比較して約80%以上で減少しない比活性を有し得る。FIXの比活性は、凝固カスケードにおいて機能するか、活性化血小板におけるFVIIIaとの相互作用を介してFXaの形成を誘導するか、または血塊の形成を支持する能力として定義され得る。活性は、例えば、McCarthy, et al., (Thromb. Haemost. 87:824-830,2002)に記載されている技術、例えば、塊分析、および当業者に既知の他の技術により、インビトロで評価され得る。活性は、また、生産された動物がFIXを欠乏しているように、血友病Bに関する遺伝子変異を有するように意図的に交配させた、いくつかの動物系の1つを使用してインビボで評価され得る。このような系は、種々の源、例えば、限定はしないが、the Division of Laboratories and Research, New York Department of Public Health, Albany, N.Y.およびthe Department of Pathology, University of North Carolina, Chapel Hill, N.Cから入手できる。これらの源の両方は、例えば、イヌ血友病Bに罹患しているイヌを提供する。あるいは、FIX欠損マウスも利用することができる(Sabatino, et al., Blood 104:2767-2774, 2005)。FIX活性に関して試験するために、試験ポリペプチドを罹患している動物に注射し、小さい傷を作り、出血時間を健常対照と比較した。
【0042】
ヒト野生型FIXは、mgあたり約200単位の比活性を有する。FIXの1単位は、通常(プール)ヒト血漿の1ミリリットルにおいて存在するFIXの量として定義されている(100%のFIXレベルに対応する)。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドは、FIXポリペプチドのmgあたり少なくとも約100単位の比活性を有し得る。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドは、FIXポリペプチドのmgあたり少なくとも約120、140、160、180、200、220、240、260単位またはそれ以上の比活性を有し得る。いくつかの態様において、FIXの比活性は、APTTまたは活性化部分トロンボプラスチン時間アッセイ(例えば、Proctor, et al., Am. J. Clin. Pathol. 36:212, 1961に記載されている、および実施例参照)を使用して測定され得る。
【0043】
細胞、例えば、肝臓または腎臓細胞において発現されるとき、FIXポリペプチドは、細胞機構により合成され得、翻訳後修飾を受け、次に細胞外環境に細胞により分泌される。細胞から分泌されるFIXポリペプチドの量は、したがってタンパク質翻訳および細胞外分泌の両方のプロセスに依存している。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドは、対照タンパク質の分泌される量と比較して、約10、20、30、40、50、60、70または80%以上で減少しない量で分泌され得る。例えば、修飾されたポリペプチドが対照と比較して少なくとも約20%の量で分泌されるとき、修飾されたFIXポリペプチドは、対照FIXポリペプチドと比較して約80%以上で減少しない量で分泌され得る。分泌されるFIXポリペプチドの量は、例えば、当分野で既知の何らかの方法を使用して細胞外培地中のタンパク質レベルを決定することにより、測定され得る。タンパク質定量化のための慣用の方法論は、2Dゲル電気泳動法、質量分析および抗体結合を含む。生物学的サンプルにおけるタンパク質レベルをアッセイするための典型的な方法は、抗体ベース技術、例えば、免疫ブロット法(ウエスタンブロット法)、免疫組織学的アッセイ、酵素免疫吸着測定法(ELISA)またはラジオイムノアッセイ(RIA)を含む。
【0044】
いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドは、対照タンパク質と少なくとも1つのFVIII、FXIまたはFXとの相互作用と比較して、約40、50、60、70または80%以上減少しないレベルで、少なくとも1つのFVIII、FXIまたはFXと相互作用する。例えば、修飾されたポリペプチドが対照と比較して少なくとも約20%のレベルで少なくとも1つのFVIII、FXIまたはFXと相互作用するとき、修飾されたFIXポリペプチドは、対照FIXポリペプチドと比較して約80%以上減少しないレベルで少なくとも1つのFVIII、FXIまたはFXと相互作用し得る。凝固カスケードの他のメンバーへのFIXの結合は、例えば、Chang, et al., (J. Biol. Chem. 273:12089-12094, 1998)に記載されている方法を含む、当業者に既知の任意の方法により決定することができる。
【0045】
上記のとおり、FIXは、異なる生物学的機能を有する4つの構造ドメインを含む。本発明の1つの局面は、特定のドメイン、例えば、活性化ペプチドおよび触媒ドメインにおいて修飾されているFIXポリペプチドを提供することである。本出願は、1つにおいて、FIXの活性化ペプチドに導入された1つ以上のグリコシル化部位を含むFIXポリペプチドを提供する。FIXにおける天然グリコシル化部位は、EGF1ドメイン(2つのO結合型部位 Ser53およびSer61)および活性化ペプチド(4つのO結合型部位 Thr159、Thr169、Thr172およびThr179ならびに2つのN結合型部位 Asn157およびAsn167)に位置する。したがって、8つの天然グリコシル化部位の6つは活性化ペプチドに位置する。導入されたグリコシル化部位は、天然グリコシル化部位を有するFIXの領域、例えば、活性化ペプチドに導入したとき、活性または発現における悪影響は小さいであろう。加えて、FIXが活性化されるとき、活性化ペプチドは開裂されるため、FIXaの触媒活性のために必要でない。しかしながら、活性化ペプチドは酵素前駆体に存在するため、活性化ペプチドは酵素前駆体の循環半減期を改善するためのグリコシル化部位を導入するために注目される領域である。
【0046】
本出願は、また、1つにおいて、1つ以上のグリコシル化部位を含むFIXポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、FIXポリペプチドは、以下のものから選択される1つ以上の置換を含むものを提供する:G4T;E33N;E36T;E36N;R37N;F75N;F77T;E83T;D85N;V86A;K91T;A103T;V107T;K122N;K122T;S138N;A146N;T148N;F150T;P151N;T159N;A161T;A161N;T169N;Q170N;T172N;D177N;D177E;F178T;K201N;K201T;K214T;V223N;G226N;Y226T;K228N;K228T;E239N;E242N;I251T;A262T;E294N;R338A;R338N;K341N;F353N;H354V;H354I;E355T;V370N;T371V;T371I;E372T;E374N;M391N;K392V;G393T;E410N;K413N;L414I;またはそれらの任意の組合せ。
【0047】
いくつかの態様において、FIXポリペプチドは、以下のものから選択される1つ以上の置換を含むものを提供する:Y1NおよびS3T;S3NおよびK5T;G4NおよびL6T;K5NおよびE7T;L6NおよびE8T;E7NおよびF9T;F9NおよびQ11T;V10NおよびG12T;Q11NおよびN13T;G12NおよびL14T;N13およびE15T;L14NおよびR16T;E15NおよびE17T;M19NおよびE21T;E20NおよびK22T;S24NおよびE26T;F25NおよびE27T;E26NおよびA28T;E27NおよびR29T;A28NおよびE30T;R29NおよびV31T;E30NおよびF32T;V31NおよびE33T;F32NおよびN34T;T35NおよびR37T;T38NおよびE40T;T39NおよびF41T;E40NおよびW42T;F41NおよびK43T;W42NおよびQ44T;K43NおよびY45T;Q44NおよびV46T;Y45NおよびD47T;V46NおよびG48T;E52NおよびN54T;S53NおよびP55T;G59NおよびS61T;K63NおよびD65T;I66NおよびS68T;S68NおよびE70T;G76NおよびE78T;E78NおよびK80T;E83NおよびD85T;L84NおよびV86T;I90NおよびN92T;K100NおよびS102T;S102NおよびD104T;A103NおよびN105T;D104NおよびK106T;K106NおよびV108T;R116NおよびA118T;E119NおよびQ121T;Q121NおよびS123T;A127NおよびP129T;V135NおよびV137T;S136NおよびS138T;V137NおよびQ139T;Q139NおよびS141T;T140NおよびK142T;S141NおよびL143T;E147NおよびV149T;T148NおよびF150T;V149NおよびP151T;P151NおよびV153T;D152NおよびD154T;V153NおよびY155T;D154NおよびV156T;Y155NおよびN157T;V156NおよびS158T;S158NおよびE160T;T159NおよびA161T;E160NおよびE162T;E162NおよびI164T;T163NおよびL165T;I164NおよびD166T;L165NおよびN167T;D166NおよびI168T;I168NおよびQ170T;T169NおよびS171T;S171NおよびQ173T;T172NおよびS174T;Q173NおよびF175T;S174NおよびN176T;G184NおよびD186T;E185NおよびA187T;D186NおよびK188T;A187NおよびP189T;P189NおよびQ191T;G200NおよびV202T;K201NおよびD203T;V202NおよびA204T;E224NおよびG226T;T225NおよびV227T;G226NおよびK228T;V227NおよびI229T;H236NおよびI238T;I238NおよびE240T;E240NおよびE242T;T241NおよびH243T;H243NおよびE245T;K247NおよびN249T;V250NおよびR252T;I251NおよびI253T;I253NおよびP255T;A261NおよびI263T;A262NおよびN264T;D276NおよびP278T;V280NおよびN282T;F302NおよびS304T;S304NおよびY306T;R312NおよびF314T;V313NおよびH315T;F314NおよびK316T;H315NおよびG317T;K316NおよびR318T;G317NおよびS319T;S319NおよびL321T;A320NおよびV322T;R327NおよびP329T;P329NおよびV331T;D332NおよびA334T;L337NおよびS339T;S339NおよびK341T;T340NおよびF342T;T343NおよびY345T;G352NおよびH354T;F353NおよびE355T;H354NおよびG356T;E355NおよびG357T;G356NおよびR358T;G357NおよびD359T;E372NおよびE374T;W385NおよびE387T;G386NおよびE388T;A390NおよびK392T;またはそれらの任意の組合せ。
【0048】
いくつかの態様において、FIXポリペプチドは、以下のものから選択される1つ以上の置換を含むものを提供する:D85N、K122TおよびI251T;D85N、K122TおよびE242N;E125N、P126AおよびA127T;P126N、V128TおよびP129A;T148N、F150TおよびP151A;F150N、P151AおよびD152T;P151N、V153TおよびA161N;P151N、V153TおよびT172N;V153N、Y155TおよびE294N;T172N、G226NおよびK228T;F353N、H354VおよびE355T;F353N、H354IおよびE355T;V370N、T371VおよびE372T;V370N、T371IおよびE372T;M391N、K392VおよびG393T;D85N、P151N、V153TおよびK228N;D85N、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびK228N;K122T、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびI251T;T148N、F150T、G226NおよびK228T;P151N、V153T、T172NおよびR338A;P151N、V153T、D177EおよびF178T;P151N、V153T、G226NおよびK228T;T172N、G226N、K228TおよびR338A;D85N、K122T、P151N、V153TおよびE242N;D85N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;K122T、P151N、V153T、G226NおよびK228T;S138N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;T148N、F150T、G226N、K228TおよびR338A;P151N、V153T、T172N、G226NおよびK228T;P151N、V153T、D177E、F178TおよびR338A;P151N、V153T、G226N、K228TおよびR338A;およびP151N、V153T、T172N、G226N、K228TおよびR338A;またはそれらの任意の組合せ。
【0049】
いくつかの態様において、FIXポリペプチドは、以下のものから選択される1つ以上の置換を含むものを提供する:
(a)G4T;E33N;E36T;E36N;R37N;F75N;F77T;E83T;D85N;V86A;K91T;A103T;V107T;K122N;K122T;S138N;A146N;T148N;F150T;P151N;T159N;A161T;A161N;T169N;Q170N;T172N;D177N;D177E;F178T;K201N;K201T;K214T;V223N;G226N;Y226T;K228N;K228T;E239N;E242N;I251T;A262T;E294N;R338A;R338N;K341N;F353N;H354V;H354I;E355T;V370N;T371V;T371I;E372T;E374N;M391N;K392V;G393T;E410N;K413N;L414I;
【0050】
(b)Y1NおよびS3T;S3NおよびK5T;G4NおよびL6T;K5NおよびE7T;L6NおよびE8T;E7NおよびF9T;F9NおよびQ11T;V10NおよびG12T;Q11NおよびN13T;G12NおよびL14T;N13およびE15T;L14NおよびR16T;E15NおよびE17T;M19NおよびE21T;E20NおよびK22T;S24NおよびE26T;F25NおよびE27T;E26NおよびA28T;E27NおよびR29T;A28NおよびE30T;R29NおよびV31T;E30NおよびF32T;V31NおよびE33T;F32NおよびN34T;T35NおよびR37T;T38NおよびE40T;T39NおよびF41T;E40NおよびW42T;F41NおよびK43T;W42NおよびQ44T;K43NおよびY45T;Q44NおよびV46T;Y45NおよびD47T;V46NおよびG48T;E52NおよびN54T;S53NおよびP55T;G59NおよびS61T;K63NおよびD65T;I66NおよびS68T;S68NおよびE70T;G76NおよびE78T;E78NおよびK80T;E83NおよびD85T;L84NおよびV86T;I90NおよびN92T;K100NおよびS102T;S102NおよびD104T;A103NおよびN105T;D104NおよびK106T;K106NおよびV108T;R116NおよびA118T;E119NおよびQ121T;Q121NおよびS123T;A127NおよびP129T;V135NおよびV137T;S136NおよびS138T;V137NおよびQ139T;Q139NおよびS141T;T140NおよびK142T;S141NおよびL143T;E147NおよびV149T;T148NおよびF150T;V149NおよびP151T;P151NおよびV153T;D152NおよびD154T;V153NおよびY155T;D154NおよびV156T;Y155NおよびN157T;V156NおよびS158T;S158NおよびE160T;T159NおよびA161T;E160NおよびE162T;E162NおよびI164T;T163NおよびL165T;I164NおよびD166T;L165NおよびN167T;D166NおよびI168T;I168NおよびQ170T;T169NおよびS171T;S171NおよびQ173T;T172NおよびS174T;Q173NおよびF175T;S174NおよびN176T;G184NおよびD186T;E185NおよびA187T;D186NおよびK188T;A187NおよびP189T;P189NおよびQ191T;G200NおよびV202T;K201NおよびD203T;V202NおよびA204T;E224NおよびG226T;T225NおよびV227T;G226NおよびK228T;V227NおよびI229T;H236NおよびI238T;I238NおよびE240T;E240NおよびE242T;T241NおよびH243T;H243NおよびE245T;K247NおよびN249T;V250NおよびR252T;I251NおよびI253T;I253NおよびP255T;A261NおよびI263T;A262NおよびN264T;D276NおよびP278T;V280NおよびN282T;F302NおよびS304T;S304NおよびY306T;R312NおよびF314T;V313NおよびH315T;F314NおよびK316T;H315NおよびG317T;K316NおよびR318T;G317NおよびS319T;S319NおよびL321T;A320NおよびV322T;R327NおよびP329T;P329NおよびV331T;D332NおよびA334T;L337NおよびS339T;S339NおよびK341T;T340NおよびF342T;T343NおよびY345T;G352NおよびH354T;F353NおよびE355T;H354NおよびG356T;E355NおよびG357T;G356NおよびR358T;G357NおよびD359T;E372NおよびE374T;W385NおよびE387T;G386NおよびE388T;A390NおよびK392T;
【0051】
(c)D85N、K122TおよびI251T;D85N、K122TおよびE242N;E125N、P126AおよびA127T;P126N、V128TおよびP129A;T148N、F150TおよびP151A;F150N、P151AおよびD152T;P151N、V153TおよびA161N;P151N、V153TおよびT172N;V153N、Y155TおよびE294N;T172N、G226NおよびK228T;F353N、H354VおよびE355T;F353N、H354IおよびE355T;V370N、T371VおよびE372T;V370N、T371IおよびE372T;M391N、K392VおよびG393T;D85N、P151N、V153TおよびK228N;D85N、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびK228N;K122T、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびI251T;T148N、F150T、G226NおよびK228T;P151N、V153T、T172NおよびR338A;P151N、V153T、D177EおよびF178T;P151N、V153T、G226NおよびK228T;T172N、G226N、K228TおよびR338A;D85N、K122T、P151N、V153TおよびE242N;D85N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;K122T、P151N、V153T、G226NおよびK228T;S138N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;T148N、F150T、G226N、K228TおよびR338A;P151N、V153T、T172N、G226NおよびK228T;P151N、V153T、D177E、F178TおよびR338A;P151N、V153T、G226N、K228TおよびR338A;およびP151N、V153T、T172N、G226N、K228TおよびR338A;ならびにそれらの任意の組合せ。
【0052】
本出願は、一部において、内因性O結合型グリコシル化部位をN結合型グリコシル化部位に変換することにより導入された1つ以上のグリコシル化部位を含むFIXポリペプチドを提供する。N結合型グリコシル化部位はO結合型グリコシル化部位よりもよりシアル化されやすい傾向があることが報告されており、高いシアル酸含有量がタンパク質半減期の延長を与えることが証明されている。付加的なN結合型グリコシル化により提供されるシアル酸含有量の増加が、血液中の半減期の延長に関与し得ると一般的に考えられる(White, et al., Thromb. Haemost. 78:261-265, 1997)。このような修飾されたFIXポリペプチドの典型的な態様は、以下のとおりである。いくつかの態様において、FIXポリペプチドはT169N置換を含むものを提供する。いくつかの態様において、FIXポリペプチドはT172N置換を含むものを提供する。いくつかの態様において、FIXポリペプチドはT148N置換およびF150T置換を含むものを提供する。いくつかの態様において、FIXポリペプチドはT159N置換およびA161T置換を含むものを提供する。
【0053】
本発明の他の局面は、1つ以上のグリコシル化部位を生産するための、活性化ペプチドへのアミノ酸の挿入を提供する。本出願は、一部において、ヒトFIXのアミノ酸残基160から164間に導入された1つ以上のグリコシル化部位を含むFIXポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、導入されたアミノ酸残基はグリコシル化部位を含む。いくつかの態様において、導入されたアミノ酸残基は、野生型FIXアミノ酸残基と組み合わさってグリコシル化部位を形成する。8つの種由来のFIX配列の多数の配列アラインメントは、マウス、ラットおよびテンジクネズミ配列の全てが、活性化ペプチドにおいて、他の種(ヒト、アカゲザル、イヌ、ウサギ、ブタ)(図1)において見出されない、さらなるアミノ酸(7から10残基間)を有することが証明された。これらのさらなる配列は、ヒトFIXのE160からE162間に位置する。これは、この部位での少なくとも10個のアミノ酸残基の挿入がFIX構造において許容されることを示唆する。活性が有意に減少しなかったため、この領域はさらなるアミノ酸の導入のために標的とされ、良い位置であることが見出された。いくつかの態様において、最大30、25、20、18、16、14または12個のアミノ酸残基が、ヒトFIXのアミノ酸残基160から164の間に挿入され得る。いくつかの態様において、最大10個のアミノ酸が挿入され得る。いくつかの態様において、最大9個のアミノ酸が挿入され得る。
【0054】
8つの種由来のFIX間の多数の配列アラインメントを行うために使用される基準によって、ラット、マウスおよびテンジクネズミにおけるさらなるアミノ酸が見出される見かけの部位は、該部位がヒトFIXのE160からA161間、A161からE162間、E162からT163間またはT163からI164間のいずれかであり得るように変化することができる。いくつかの態様において、E160からA161間に挿入されるアミノ酸配列は配列番号:2であり得る。いくつかの態様において、A161からE162間に挿入されるアミノ酸配列は配列番号:2であり得る。いくつかの態様において、E162からT163間に挿入されるアミノ酸配列は配列番号:2であり得る。いくつかの態様において、T163からI164間に挿入されるアミノ酸配列は配列番号:2であり得る。いくつかの態様において、1つ以上のアミノ酸がE160からA161間に挿入され、1つ以上のアミノ酸がA161からE162間に挿入され得る。いくつかの態様において、1つ以上のアミノ酸がE160からA161間に挿入され、1つ以上のアミノ酸がE162からT163間に挿入され得る。いくつかの態様において、1つ以上のアミノ酸がA161からE162間に挿入され、1つ以上のアミノ酸がE162からT163間に挿入され得る。いくつかの上記態様において、1つ以上のアミノ酸がT163からI164間に挿入され得る。いくつかの態様において、最大全約30、25、20、18、16、14または12個のアミノ酸残基が、ヒトFIXのアミノ酸残基160から164間に挿入され得る。いくつかの態様において、最大全約10個のアミノ酸が、ヒトFIXのアミノ酸残基160から164間に挿入され得る。いくつかの態様において、最大全約9個のアミノ酸がヒトFIXのアミノ酸残基160から164間に挿入され得る。いくつかの態様において、1つ、2つ、3つまたは4つのグリコシル化部位が導入され得る。
【0055】
本出願はさらに、本明細書に記載されている1つ以上の導入されたグリコシル化部位を含む修飾されたFIXポリペプチドを提供する。FIXポリペプチドは、触媒ドメインにおいて少なくとも1つの導入されるグリコシル化部位および活性化ペプチドにおいて少なくとも1つの導入されるグリコシル化部位を含むものを提供する。FIXポリペプチドは、触媒ドメインにおいて少なくとも2つの導入されたグリコシル化部位を含むものを提供する。FIXポリペプチドは、活性化ペプチドにおいて少なくとも2つの導入されたグリコシル化部位を含むものを提供する。いくつかの態様において、FIXポリペプチドは1つ以上の以下の置換を含み得る:R37N;D85N;K122T;S138N;A146N;A161N;Q170N;T172N;D177N;F178T;K201N;K228N;E239N;E242N;I251T;A262T;E294N;E374N;およびE410N。他の態様は1つ以上の以下の置換を含み得る:G59NおよびS61T;K63NおよびD65T;G76NおよびE78T;S102NおよびD104T;A103NおよびN105T;D104NおよびK106T;E119NおよびQ121T;Q121NおよびS123T;S136NおよびS138T;Q139NおよびS141T;T140NおよびK142T;T148NおよびF150T;V149NおよびP151T;P151NおよびV153T;D152NおよびD154T;V153NおよびY155T;D154NおよびV156T;V156NおよびS158T;S158NおよびE160T;E160NおよびE162T;E162NおよびI164T;T163NおよびL165T;I164NおよびD166T;D166NおよびI168T;I168NおよびQ170T;S171NおよびQ173T;T172NおよびS174T;Q173NおよびF175T;S174NおよびN176T;K201NおよびD203T;V202NおよびA204T;E224NおよびG226T;T225NおよびV227T;G226NおよびK228T;T241NおよびH243T;I251NおよびI253T;I253NおよびP255T;A262NおよびN264T;V280NおよびN282T;T343NおよびY345T;E372NおよびE374T;F150N、P151AおよびD152T;ならびにA161およびE162間への配列番号:2の挿入。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは少なくとも1つの置換、例えば、R338AおよびV86Aをさらに含み得る。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドはR338AおよびV86Aの両方の置換をさらに含み得る。
【0056】
本出願は、さらにFIXポリペプチドのC末端(すなわち、FIXポリペプチドのアミノ酸残基415の後)に少なくとも1つの導入されたグリコシル化部位を含む修飾されたFIXポリペプチドを提供する。FIXポリペプチドは、FIXポリペプチドのC末端に少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたはそれ以上のグリコシル化部位を含むものを提供する。いくつかの態様において、FIXポリペプチドは、FIXポリペプチドのC末端に配列番号:4のアミノ酸配列の付加を含み得る。いくつかの態様において、FIXポリペプチドは、FIXポリペプチドのC末端に配列番号:5のアミノ酸配列の付加を含み得る。いくつかの態様において、FIXポリペプチドは、FIXポリペプチドのC末端に配列番号:6のアミノ酸配列の付加を含み得る。いくつかの態様において、FIXポリペプチドは、FIXポリペプチドのC末端に配列番号:7のアミノ酸配列の付加を含み得る。
【0057】
本出願の1つの局面は、少なくとも1つ以上のグリコシル化部位およびFIXの活性を増加する1つ以上の置換を含む修飾されたFIXポリペプチドを提供する。活性化置換の例はR338AおよびV86A置換を含む。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドはR338A置換を含み得る。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドはV86A置換を含み得る。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドはR338AおよびV86A置換の両方を含み得る。
【0058】
本出願のさらなる局面は、増加した比活性を有するFIXポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、FIXポリペプチドはR338A置換およびV86A置換を含み得る。いくつかの態様において、ポリペプチドは、ポリペプチドのmgあたり少なくとも約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1400、1600、1800または2000単位の比活性を有し得る。比活性は、例えば、APTTアッセイを使用して、前記のとおりに測定することができる。これらのポリペプチドは、特に血友病Bに罹患している患者における、治療剤として有用である。これらのポリペプチドは、さらなる置換または修飾(例えば、本明細書に記載されているグリコシル化部位)を含み得る。
【0059】
本出願の1つの局面は、以下のアミノ酸配列を含む修飾された第IX因子ポリペプチドを提供する:
YNSGKLEEFVQGNLERECMEEKCSFEEAREVFENTERTTEFWKQYVDGDQCESNPCLNGGSCKDDINSYECWCPFGFEGKNCELX8586TCNIKNGRCEQFCKNSAX104NKVVCSCTEGYRLAENX121KSCEPAVPFPCGRVSVX138QTSKLTRAEX148VX150151152153DYVNSX159EZ161EZTZILDNIX169QSX172QX174FNX177178TRVVGGEDAKPGQFPWQVVLNGKVDAFCGGSIVNEKWIVTAAHCVETX226VX228ITVVAGEHNIEETEHTEQKRNVIRIIPHHNYNAAINKYNHDIALLELDEPLVLNSYVTPICIADKEYTNIFLKFGSGYVSGWGRVFHKGRSALVLQYLRVPLVDRATCLX338STKFTIYNNMFCAGX353354355GGRDSCQGDSGGPHX370371372VEGTSFLTGIISWGEECAX391392393KYGIYTKVSRYVNWIKE KTX413414T(配列番号:3);
ここで、X85はDおよびEから選択され;
ここで、X86はA、E、P、SおよびVから選択され;
ここで、X104はD、NおよびTから選択され;
ここで、X121はN、QおよびTから選択され;
ここで、X138はN、SおよびTから選択され;
ここで、X148およびX150は以下から選択され:
(i)X148はTであり、そしてX150はFである;
(ii)X148はNであり、そしてX150はTである;および
(iii)X148はNであり、そしてX150はSである;
ここで、X151はA、PおよびTから選択され;
ここで、X151およびX153は以下から選択され:
(i)X151はPであり、そしてX153はVである;
(ii)X151はNであり、そしてX153はTである;および
(iii)X151はNであり、そしてX153はSである;
ここで、Z、Z、ZおよびZは、独立して以下から選択され
(i)0から12のアミノ酸残基、および
(ii)配列番号:2;
ここで、X152はD、NおよびTから選択され;
ここで、X159およびX161は以下から選択され:
(i)X159はTであり、そしてX161はAである;
(ii)X159はNであり、そしてX161はTである;および
(iii)X159はNであり、そしてX161はSである;
ここで、X169はTおよびNから選択され;
ここで、X172はTおよびNから選択され;
ここで、X174はSおよびTから選択され;
ここで、X177およびX178は以下から選択され:
(i)X177はDであり、そしてX178はFである;
(ii)X177はEであり、そしてX178はTである;および
(iii)X177はEまたはDであり、そしてX178はSである;
ここで、X226およびX228は以下から選択され:
(i)X226はGであり、そしてX228はKである;
(ii)X226はNであり、そしてX228はTである;および
(iii)X226はNであり、そしてX228はSである;
ここで、X338はRおよびAから選択され;
ここで、X353、X354およびX355は以下から選択され:
(i)X353はFであり、X354はHであり、X355はEである;
(ii)X353はNであり、X354はVであり、X355はTである;
(iii)X353はNであり、X354はIであり、X355はTである;および
(iv)X353はNであり、X354はH、VまたはIであり、X355はSである;
ここで、X370、X371およびX372は以下から選択され:
(i)X370はVであり、X371はTであり、X372はEである;
(ii)X370はNであり、X371はVであり、X372はTである;
(iii)X370はNであり、X371はIであり、X372はTである;および
(iv)X370はNであり、X371はT、VまたはIであり、X372はSである;
ここで、X391、X392およびX393は以下から選択され:
(i)X391はMであり、X392はKであり、X393はGである;
(ii)X391はNであり、X392はKであり、X393はTである;
(iii)X391はNであり、X392はVであり、X393はTである;および
(iv)X391はNであり、X392はVまたはKであり、X393はSである;
ここで、X413およびX414は以下から選択される:
(i)X413はKであり、そしてX414はLである;
(ii)X413はNであり、そしてX414はLである;および
(iii)X413はNであり、そしてX414はIである;(そして
ここで、該FIXポリペプチドは、配列番号:1を有するFIXポリペプチドと比較して、少なくとも1つの導入されるグリコシル化部位を含む)。
【0060】
少なくとも1つのグリコシル化部位の導入は、少なくとも1つのX位置における置換または少なくとも1つのZ位置における挿入の結果である。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、約1−30、1−20または1−10個の保存的アミノ酸変化をさらに含み、そしてFIX活性を維持している。いくつかの態様において、修飾されたポリペプチドは、配列番号:1と少なくとも約80、85、90、95または99%同一であり、そしてFIX活性を維持している。
【0061】
修飾されたFIXポリペプチドの生産
アミノ酸残基は、非天然グリコシル化部位を導入するために導入、欠失または置換され得る。例えば、グリコシル化部位はFIXのアミノ酸配列を変化することにより導入され得る。アミノ酸配列変化は、種々の技術により、例えば、部位特異的突然変異により対応する核酸配列を修飾することにより成し遂げられ得る。部位特異的突然変異のための技術は当分野で知られており、例えば、Zoller et al., (DNA 3:479-488, 1984)またはHorton, et al., (Gene 77:61-68, 1989, pp. 61-68)に記載されている。したがって、FIXのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を使用して、1つに選択された変化が導入され得る。同様に、特定のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応を使用してDNA構築物を製造するための方法は当業者に知られている(例えば、PCR Protocols, 1990, Academic Press, San Diego, California, USA、参照)。
【0062】
FIXポリペプチドをコードする核酸構築物は、また、確立された標準方法、例えば、Beaucage, et al., によるホスホラミダイト法(Gene Amplif. Anal. 3:1-26, 1983)により合成的に製造され得る。ホスホアミダイト法にしたがって、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成器において合成され、精製され、アニールされ、結合され、そして適当なベクターにおいてクローン化される。ヒトFIXポリペプチドをコードするDNA配列は、また、例えば、米国特許第4,683,202号;またはSaiki, et al., (Science 239:487-491, 1988)に記載されているとおりに、特定のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応により製造され得る。さらに、核酸構築物は、合成およびゲノム由来の混合物、合成およびcDNA由来の混合物またはゲノムおよびcDNA由来の混合物(標準技術にしたがって、全体の核酸構築物の種々の部分に対応する、合成、ゲノムまたはcDNA由来(適当なとき)のフラグメントを結合することにより製造される)であり得る。
【0063】
FIXポリペプチドをコードするDNA配列は、組換えDNA方法を使用して、組換えベクターに挿入され得る。ベクターの選択は、しばしば、ベクターが導入される宿主細胞に依存する。ベクターは自律的に複製するベクターまたは組込みベクターであり得る。自律的に複製するベクターは染色体外の存在物として存在し、その複製は染色体複製、例えば、プラスミドと独立している。組込みベクターは、宿主細胞ゲノムに組込まれ、組込まれている染色体と共に複製するベクターである。
【0064】
ベクターは、修飾されたFIXをコードするDNA配列が、DNAの転写、翻訳またはプロセシングのために必要とされるさらなる断片、例えば、プロモーター、ターミネーターおよびポリアデニル化部位に作動可能に連結した発現ベクターであり得る。一般的に、発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスDNA由来であるか、または両方の成分を含み得る。“作動可能に連結した”なる用語は、断片が意図される目的のために機能する、例えば、転写がプロモーターで開始し、ポリペプチドをコードするDNA配列を通過するように配置されていることを示す。
【0065】
FIXポリペプチドの発現において使用される発現ベクターは、クローン化した遺伝子またはcDNAの転写を指向することができるプロモーターを含み得る。プロモーターは、宿主細胞において転写活性を示すあらゆる好ましいDNA配列であり得、宿主細胞と同種または異種のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子由来であり得る。
【0066】
哺乳動物細胞におけるFIXポリペプチドをコードするDNAの転写を指向するための適当なプロモーターの例は、例えば、SV40プロモーター(Subramani, et al., Mol. Cell Biol. 1:854-864, 1981)、MT−I(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター(Palmiter, et al., Science 222:809-814, 1983)、CMVプロモーター(Boshart, et al., Cell 41:521-530, 1985)またはアデノウイルス2主要後期プロモーター(Kaufman et al.,, Mol. Cell Biol, 2:1304-1319, 1982)である。
【0067】
FIXポリペプチドをコードするDNA配列は、また、必要なとき、適当なターミネーター、例えば、ヒト成長ホルモンターミネーター(Palmiter, et al., Science 222:809-814, 1983)またはTPIl(Alber et al., J. MoI. Appl. Gen. 1:419-434, 1982)またはADH3(McKnight, et al., EMBO J. 4:2093-2099, 1985)ターミネーターと作動可能に結合していてもよい。発現ベクターは、また、挿入部位の下流の位置にポリアデニル化シグナルを含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40由来の前期または後期ポリアデニル化シグナル、アデノウイルス5EIb領域由来のポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーター(DeNoto, et al., Nucl. Acids Res. 9:3719-3730, 1981)またはヒトFIX遺伝子由来のポリアデニル化シグナルを含む。発現ベクターは、また、エンハンサー配列、例えば、SV40エンハンサーを含み得る。
【0068】
宿主細胞の分泌経路に本発明のFIXポリペプチドを指向するために、天然FIX分泌シグナル配列が使用され得る。あるいは、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列またはプレ配列としても知られている)は組換えベクターにおいて提供され得る。分泌シグナル配列は正しいリーディング・フレームにおいてFIX類似物をコードするDNA配列に結合され得る。分泌シグナル配列は、一般的にペプチドをコードするDNA配列に対して5’に位置する。典型的なシグナル配列は、例えば、MPIF−1シグナル配列およびスタニオカルシンシグナル配列を含む。
【0069】
FIXポリペプチドをコードするDNA配列、プロモーターならびに所望によりターミネーターおよび/または分泌シグナル配列を結合するため、ならびに、複製のために必要な情報を含む適当なベクターにそれらを挿入するために使用される方法は、当業者に既知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989、参照)。
【0070】
哺乳動物細胞にトランスフェクトし、細胞に導入されたDNA配列を発現する方法は、例えば、Kaufman, et al., (J. Mol. Biol. 159:601-621, 1982); Southern, et al., (J. Mol. Appl. Genet. 1:327-341, 1982); Loyter, et al., (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:422-426, 1982); Wigler, et al., (Cell 14:725-731, 1978); Corsaro, et al., (Somatic Cell Genetics 7:603-616, 1981), Graham, et al., (Virology 52:456-467, 1973);およびNeumann, et al., (EMBO J. 1:841-845, 1982)に記載されている。クローン化されたDNA配列は、例えば、リポフェクション、DEAE−デキストラン−介在トランスフェクション、微量注入、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈殿、レトロウイルス送達、エレクトロポレーション、ソノポレーション、レーザー照射、マグネトフェクション、自然変換およびバイオリスティック形質転換(例えば、Mehier-Humbert, et al., Adv. Drug Deliv. Rev. 57:733-753, 2005、参照)により培養哺乳動物細胞に導入され得る。外因性DNAを発現する細胞を同定および選択するために、選択可能な表現型(選択可能なマーカー)を与える遺伝子を、一般的に興味ある遺伝子またはcDNAと共に細胞に導入する。選択可能なマーカーは、例えば、薬物、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシンおよびメトトレキサートに対する耐性を与える遺伝子を含む。選択可能なマーカーは、配列が結合されているとき、マーカーおよび外因性DNAの増幅が可能である増幅可能な選択可能なマーカーであり得る。典型的な増幅可能な選択可能なマーカーは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)およびアデノシン・デアミナーゼを含む。適当な選択可能なマーカーを選択することは当業者の範囲内である(例えば、米国特許第5,238,820号、参照)。
【0071】
細胞がDNAをトランスフェクトされた後、細胞は興味ある遺伝子を発現するために適当な培養培地で培養される。本明細書において使用される“適当な培養培地”なる用語は、細胞の増殖および活性なFIXポリペプチドの発現のために必要とされる栄養物および他の成分を含む培地を意味する。
【0072】
培地は、一般的に、例えば、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、必須の糖、ビタミン、塩、リン脂質、タンパク質および増殖因子を含み、ビタミンK依存性タンパク質、例えば、FIXの場合、ビタミンKも提供され得る。次に薬物選択は、安定な様式において選択可能なマーカーを発現する細胞の増殖に対して選択するために適用される。増幅可能な選択可能なマーカーをトランスフェクトされている細胞において、薬物濃度は、クローン配列のコピー数の増加、それによる発現レベルの増加に関して選択するために増加され得る。次に安定にトランスフェクトされた細胞のクローンをFIXポリペプチドの発現に関してスクリーニングする。
【0073】
本発明において使用するための哺乳動物細胞系の例は、COS−1(ATCC CRL 1650)、ベビーハムスター腎臓(BHK)、HKB11細胞(Cho, et al., J. Biomed. Sci, 9:631-638, 2002)およびHEK−293(ATCC CRL 1573;Graham, et al., J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)細胞系である。加えて、多くの他の細胞系が本発明の範囲内で使用され、ラットHepI(ラット肝細胞癌;ATCC CRL 1600)、ラットHepII(ラット肝細胞癌;ATCC CRL 1548)、TCMK−1(ATCC CCL 139)、Hep−G2(ATCC HB 8065)、NCTC 1469(ATCC CCL 9.1)、CHO−K1(ATCC CCL 61)およびCHO−DUKX細胞(Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)を含む。
【0074】
FIXポリペプチドは、細胞培養培地から回収され得、次に、限定はしないが、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水、クロマト分画およびサイズ排除)、電気泳動法(例えば、分取分画電気泳動(IEF)、溶解度差(例えば、硫安分画))、抽出(例えば、Protein Purification, Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989、参照)またはそれらの種々の組合せを含む当分野で既知の種々の方法により精製され得る。典型的な態様において、ポリペプチドは抗FIX抗体カラム上のアフィニティークロマトグラフィーにより精製され得る。さらなる精製は、慣用の化学精製方法、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより達成され得る。精製の他の方法は当分野で既知であり、修飾されたFIXポリペプチドの精製に適用され得る(例えば、Scopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y., 1982、参照)。
【0075】
一般的に、“精製された”は、種々の他の成分を除去するために分別に付され、その示される生物学的活性を実質的に維持している、タンパク質またはペプチド組成物を示す。“実質的に精製された”なる用語が使用されるとき、この意味は、タンパク質またはペプチドが組成物の主な成分を形成する、例えば、組成物においてタンパク質が約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%またはそれ以上を占める組成物を示す。
【0076】
ポリペプチドの精製の程度を定量するための種々の方法は当業者に既知である。これらは、例えば、活性画分の比活性を測定するか、またはSDS/PAGE分析により画分内のポリペプチドの量を評価することを含む。画分の純度を評価するための典型的な方法は、最初の抽出物の比活性に対する活性と比較して画分の比活性を計算し、したがって本明細書において“−倍の精製”により評価される純度の程度を計算することである。活性の量を示すために使用される実際の単位は、もちろん、特定のアッセイ技術に依存する。
【0077】
いくつかの態様において、FIXポリペプチドは組織培養細胞において組換え的に発現され、グリコシル化は宿主細胞、例えば、哺乳動物細胞の通常の翻訳後細胞機能の結果である。
【0078】
あるいは、グリコシル化は化学的または酵素的修飾を介して達成され得る。FIXポリペプチドは、例えば、タンパク質へアルファ−(2,6)−結合型シアル酸を加える酵素を使用することにより、グリコシル化され得る。例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠失CHO細胞は、組換え糖タンパク質生産のために一般的に使用される宿主細胞である。CHO細胞は、マンノースアルファ−1,3分岐上のガラクトースへ2,6結合においてシアル酸を加えるために使用される、酵素ベータ−ガラクトシドアルファ−2,6シアリルトランスフェラーゼを内因的に発現しない。CHO細胞において生産されたタンパク質にこの結合にてシアル酸を加えるために、CHO細胞は、所望のガラクトースへの2,6結合におけるシアル酸の取り込みを可能にするために、機能性ベータ−ガラクトシダーゼアルファ−2,6シアリルトランスフェラーゼ遺伝子をトランスフェクトされ得る(例えば、Lee, et al., J. Biol. Chem. 264:13848-13855, 1989、参照)。
【0079】
同様に、分岐しているN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)は、このオリゴ糖結合を内因的に生産しない宿主細胞に分岐しているGlcNAc構造の形成を触媒することが報告されている、酵素N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼに関する機能性遺伝子をトランスフェクトすることにより、FIXに結合され得る。系は、また、哺乳動物グリコシル化パターンでタンパク質を生産する植物細胞においてタンパク質を発現することが確立されている(例えば、コケ植物細胞、WO2004/057002、参照)。
【0080】
N結合型グリコシル化に関して、N−グリカンの最終構築物は、一般的にポリペプチドが生産される生物体に依存している。一般的に、細菌において生産されるポリペプチドは完全にグリコシル化されない。昆虫細胞において発現されるポリペプチドは、特に高マンノースおよび少(pauci)−マンノースN結合型オリゴ糖鎖を含む。哺乳動物細胞培養において生産されるポリペプチドは、通常、例えば、種および細胞培養条件に依存して異なってグリコシル化される。さらに、植物細胞において生産されるポリペプチドは、動物細胞において生産されるものと非常に異なっているグリカン構造を含む。組換えポリペプチドの生産の当分野の目的は、特にポリペプチドが治療剤として使用されるとき、正確にグリコシル化されるポリペプチドを生産することができること、すなわち、天然形態のポリペプチドに存在するものと似ているか、または同一であるグリカン構造を有するポリペプチドを生産することができることである。
【0081】
種々の方法が当分野でポリペプチドのグリコシル化パターンをカスタマイズするために提案されている(例えば、WO99/22764;WO98/58964;WO99/54342;US公報第2008/0050772号;および米国特許第5,047,335号、参照)。本質的に、ポリペプチドのインビトロのグリコシル化のために必要とされる酵素の多くがクローニングされ、シーケンシングされている。場合によっては、これらの酵素は、ポリペプチド上の不完全なグリカン分子に特定の糖を加えるためにインビトロで使用されている。他の例では、細胞は、発現されるポリペプチドへの所望の糖部分の付加が細胞内で起こるように、酵素および所望のポリペプチドの組合せを発現するように遺伝的に加工されている。
【0082】
O結合型グリコシル化に関して、O−グリカンは主にセリンおよびスレオニン残基に結合し、ヌクレオチド糖から糖の段階的付加により形成される(Tanner, et al., Biochim. Biophys. Acta. 906:81-99, 1987); Hounsell, et al., Glycoconj. J. 13:19-26, 1996)。ポリペプチド機能は存在しているO結合型グリカンの構造に影響され得る。O結合型グリカン構造の概説のために、例えば、Schachter and Brockhausen, The Biosynthesis of Branched O-Linked Glycans, 1989, Society for Experimental Biology, pp. 1-26 (Great Britain)、参照。
【0083】
FIXポリペプチドがN結合型および/またはO結合型グリコシル化を有するか否かは、標準技術を使用して決定され得る(例えば、Techniques in Glycobiology, R. Townsend and A. Hotchkiss, eds. (1997) Marcel Dekker; and Glycoanalysis Protocols (Methods in Molecular Biology, Vol. 76), E. Hounsell, ed. (1998) Humana Press、参照)。化学的または酵素的脱グリコシル化(例えば、エンドグリコシダーゼおよび/またはエキソグリコシダーゼを使用して)での処置前後におけるタンパク質の電気泳動移動度の変化は、日常的にタンパク質のグリコシル化状態を決定するために使用される。酵素的脱グリコシル化は、限定はしないが、ペプチド−N4−(N−アセチル−ベータ−D−グルコサミニル)アスパラギンアミダーゼ(PNGaseF)、エンドグリコシダーゼF1、エンドグリコシダーゼF2、エンドグリコシダーゼF3などを含む任意の種々の酵素を使用して実施され得る。例えば、タンパク質のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)分析を、PNGaseFで前処理またはPNGaseFで未処理のいずれかで、実施され得る。PNGaseFでの処置後のバンド幅の著しい減少および移動位置の変化がN結合型グリコシル化の診断に考えられ得る。グリコシル化されるタンパク質の炭水化物含有量も、タンパク質ブロットのレクチン分析を使用して検出することができる(例えば、タンパク質は、SDS−PAGEにより分離され、支持体、例えば、ナイロン膜に移される)。種々の植物組織由来の炭水化物結合タンパク質であるレクチンは、糖タンパク質グリカン上に見られる広範囲の定義される糖エピトープに対する高親和性および狭い特異性の両方を有する(Cummings, Methods Enzymol. 230:66-86, 1994)。レクチンは、グリコシル化されるタンパク質上の炭水化物へのレクチンの結合を検出することを可能にするために(直接的または間接的にのいずれかで)標識化され得る。例えば、ビオチンまたはジゴキシゲニンと結合したとき、グリコシル化されるタンパク質へ結合したレクチンは、アビジンまたは抗ジゴキシゲニン抗体を酵素、例えば、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させ、検出可能な生成物を得ることを利用する反応を介して膜ブロットで容易に同定することができる。明確に定義された特異性を有するレクチンの一団でのスクリーニングは、糖タンパク質の炭水化物補体についての多数の情報を提供する。修飾されたFIXポリペプチドの電気泳動移動度は、また、参照タンパク質の移動度と比較され得る。
【0084】
本出願は、1つにおいて、グリコシル化部位に結合した炭水化物鎖が哺乳動物の炭水化物鎖構造、すなわち、哺乳動物のグリコシル化パターンを有し得る、導入されたグリコシル化部位を有するFIXポリペプチドを提供する。いくつかの態様において、炭水化物鎖はヒトグリコシル化パターンを有する。本明細書において使用されるグリコシル化のパターンは、FIXポリペプチドの得られる群内の特定のオリゴ糖構造の代表を示す。このようなパターンの非限定的な例は、(i)少なくとも1つのシアル酸残基を有するか;(ii)いずれかのシアル酸残基を欠いているか(すなわち、中性である);(iii)少なくとも1つの末端ガラクトース残基を有するか;(iv)少なくとも1つの末端N−アセチルガラクトサミン残基を有するか;(v)少なくとも1つの“キャップされていない”アンテナを有するか、すなわち、少なくとも1つの末端ガラクトースまたはN−アセチルガラクトサミン残基を有するか;または(vi)アンテナN−アセチルグルコサミン残基に少なくとも1つのアルファ1−>3結合フコースを有する、オリゴ糖鎖の相対的比率を含む。
【0085】
グリコシル化のパターンは、限定はしないが:高速液体クロマトグラフィー(HPLC);キャピラリー電気泳動法(CE);核磁気共鳴(NMR);イオン化技術を使用する質量分析(MS)、例えば、高速原子衝撃、エレクトロスプレーまたはマトリックス支援レーザー脱離(MALDI);ガスクロマトグラフィー(GC);およびエキソグリコシダーゼでの処理と陰イオン交換(AIE)−HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)またはMSとの組合せを含む当分野で既知の任意の方法を使用して決定され得る(例えば、Weber, et al., Anal. Biochem. 225:135-142, 1995; Klausen, et al., J. Chromatog. 718:195-202, 1995; Morris, et al., in Mass Spectrometry of Biological Materials, McEwen et al., eds., Marcel Dekker, (1990), pp 137-167; Conboy et al., Biol. Mass Spectrom. 21:397-407, 1992; Hellerqvist, Meth. Enzymol. 193:554-573, 1990; Sutton, et al., Anal. Biochem. 218:34-46, 1994; Harvey, et al., Organic Mass Spectrometry 29:753-766, 1994、参照)。
【0086】
医薬組成物
哺乳動物において上記同定された状態の処置のための有効性を決定するために使用される既知のアッセイに基づいて、および、これらの結果をこれらの状態を処置するために使用される既知の薬物の結果と共に比較することにより、本発明のポリペプチドの有効量は、それぞれの所望の適応の処置のために容易に決定され得る。これらの状態の1つの処置において投与される活性成分の量は、使用される特定のポリペプチドおよび投与単位、投与経路、処置期間、処置される患者の年齢および性別ならびに処置される状態の性質および程度にしたがって広範に変化することができる。
【0087】
本出願は、一部において、本明細書に記載されているとおりの1つ以上の導入されたグリコシル化部位を有するFIXポリペプチドを含む組成物を提供する。該組成物はインビボ投与のために適当であり得、パイロジェンフリーである。該組成物は薬学的に許容される担体も含み得る。“薬学的または薬理学的に許容される”なるフレーズは、動物またはヒトに投与されるとき、有害な、アレルギー性の、または他の都合の悪い反応を引き起こさない化合物および組成物を示す。本明細書において使用される“薬学的に許容される担体”は、あらゆるおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのこのような溶媒および剤の使用は当分野で既知である。補足的活性成分も該組成物に包含され得る。
【0088】
本発明の組成物は古典的な医薬品を含む。本発明のこれらの組成物の投与は、任意の一般的な経路を介してであり得る。該医薬組成物は、任意の慣用の方法により、例えば、静脈内、皮内、筋肉内、皮下、乳房内、腹腔内、髄腔内、球後、肺内、経口、舌下、経鼻、肛門、膣または経皮送達により、または特定の部位への外科的移植により対照に導入され得る。該処置は単回投与または期間にわたって複数回投与からなり得る。
【0089】
活性な化合物は、適当なとき界面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースと組み合わせられた遊離塩基または薬理学的に許容される塩の水溶液として投与のために製造され得る。分散媒も、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物ならびに油中で製造され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの製造物は微生物の増殖を防止するために保存剤を含む。
【0090】
注射用使用のために適当な医薬形態は、滅菌水溶液または分散媒および滅菌注射可能溶液または分散媒の即時調整のための滅菌粉末を含む。該形態は滅菌されるべきであり、容易にシリンジ可能な存在の流体であるべきである。それは、製造および保存の条件下で安定であるべきであり、微生物、例えば、細菌および真菌の汚染作用に対して保存されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、スクロース、L−ヒスチジン、ポリソルベート80または適当なそれらの混合物および植物油を含む溶媒または分散媒であり得る。適当な流動性は、例えば、コーティング剤、例えば、レシチンの使用により、分散媒の場合において必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらされ得る。注射可能組成物は等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含み得る。注射可能組成物の長期吸収は、吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物における使用によりもたらされ得る。
【0091】
滅菌注射可能溶液は、上記種々の他の成分を有する適当な溶媒中に必要量の活性な化合物(例えば、FIXポリペプチド)を混合し、必要なとき、次にフィルター滅菌することにより製造され得る。
【0092】
一般的に、分散媒は、種々の滅菌された活性成分を基本的な分散媒および上記のものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに混合することにより製造され得る。滅菌注射可能溶液の製造のための滅菌粉末の場合、製造方法は、例えば、あらかじめ滅菌フィルターを通した溶液から活性成分プラス任意のさらなる所望の成分の粉末を得る真空乾燥および凍結乾燥技術を含む。
【0093】
製剤において、溶液は、投与製剤と適合する様式および治療的に有効である量において投与され得る。“治療有効量”は、血流または標的組織における所望のレベルのポリペプチドを提供するために必要とされるポリペプチドの量を示すように本明細書で使用される。正確な量は、多数の因子、例えば、特定のFIXポリペプチド、治療組成物の成分および物理的特性、意図される患者集団、送達様式、個々の患者の検討などに依存し、本明細書で提供される情報に基づいて当業者により容易に決定することができる。
【0094】
製剤は種々の投与形態、例えば、注射可能溶液などで容易に投与され得る。水溶液における非経口投与のために、例えば、溶液は適当に緩衝されているべきであり、必要なとき、最初に十分な塩水またはグルコースで等張にされた液体希釈剤である。これらの特定の水溶液は、とりわけ静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に適当である。
【0095】
FIXの用量は通常、単位で表される。1単位のFIX/体重kgは血漿レベルを0.01U/ml、すなわち1%上げ得る。他の点では、健常患者は1単位のFIX/血漿ml、すなわち100%を有する。血友病Bの軽度の場合はFIX血漿濃度が6−60%、中程度の場合は1−5%、そして血友病Bの場合の約半分の割合である重度の場合はFIX1%未満と定義する。軽度の出血の予防処置または処置は、通常、FIXレベルを15−30%に上げる必要がある。軽度の出血の処置は、通常、レベルを30−50%に上げる必要があるが、重度の外傷の処置はレベルを50から100%に上げる必要があり得る。患者の血中濃度を上げるために必要とされる総単位数は、以下のとおりに決定することができる:1.0単位/kg×体重(kg)×所望の増加パーセント(正常の%)。薬物の治療循環レベルを維持するために、非経口投与は最初のボーラス後に連続的な注入を実施され得る。いくつかの態様において、15から150単位/kgのFIXポリペプチドを投与され得る。当業者は、個々の患者の良い医療習慣および臨床状態による決定により有効量および投与レジメンを容易に最適化することができる。
【0096】
投与の頻度は薬物の薬物動態パラメーターおよび投与経路に依存する。最適な医薬処方は投与経路および所望の用量に依存して当業者により決定され得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 20th edition, 2000(出典明示により本明細書に包含される)、参照)。このような処方は、物理的状態、安定性、インビボ放出の速度および投与される薬物のインビボクリアランスの速度に影響され得る。投与経路に依存して、適当な用量は体重、体表面積または臓器サイズにしたがって計算され得る。適当な処置用量を決定するために必要な計算のさらなる改善が、日常的に、過度の実験なしに、とりわけ本明細書に記載されている投与情報およびアッセイ、ならびに動物またはヒト臨床試験において観察される薬物動態学データに照らして当業者により行われる。典型的な投与スケジュールは、1日に5回、1日に4回、1日に3回、1日に2回、1日に1回、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、1月に2回、1月に1回の投与ならびにそれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0097】
適当な用量は、凝固レベルを決定するための確立されたアッセイを関連の用量応答データと共に使用することにより確認され得る。最終投与レジメンは、主治医が薬物の作用を修飾する因子、例えば、薬物の比活性、損傷の重症度および患者の応答性、患者の年齢、状態、体重、性別および食事、あらゆる感染の重症度、投与時間、ならびに他の臨床学的因子を考慮することにより決定され得る。
【0098】
組成物は、また、微生物増殖を防止または阻止するための抗菌剤を含み得る。本発明に適当な抗菌剤の非限定的な例は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサールおよびそれらの組合せを含む。
【0099】
同様に、抗酸化剤は組成物において存在し得る。抗酸化剤は酸化を防止するために使用され得、それにより製造物の悪化を防止する。本発明において使用するための適当な抗酸化剤は、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、二亜硫酸ナトリウムおよびそれらの組合せを含む。
【0100】
界面活性剤は賦形剤において存在し得る。典型的な界面活性剤は:ポリソルベート、例えば、Tween(登録商標)−20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)およびTween(登録商標)−80(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)およびプルロニック、例えば、F68およびF88(これら両方はBASF, Mount Olive, N.J.から入手できる);ソルビタンエステル;脂質、例えば、リン脂質、例えば、レシチンおよび他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸および脂肪酸エステル;ステロイド、例えば、コレステロール;ならびにキレート剤、例えば、EDTA、亜鉛および他のこのような適当なカチオンを含む。
【0101】
酸または塩基は組成物において賦形剤として存在し得る。使用され得る酸の非限定的な例は、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸およびそれらの組合せを含む。適当な塩基の例は、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0102】
組成物におけるあらゆる個々の賦形剤の量は、賦形剤の活性および組成物の特定の必要性に依存して変化し得る。一般的に、あらゆる個々の賦形剤の最適量は、日常の実験から、すなわち、種々の量の賦形剤(低いものから高いもの)を含む組成物を製造し、安定性および他のパラメーターを試験し、そして有意な有害な効果を有さず所望の能力が達成される範囲を測定することにより決定され得る。一般的に、賦形剤は、約1%から約99重量%、約5%から約98重量%、約15から約95重量%の量の賦形剤、30重量%未満の濃度で、組成物において存在し得る。これらの前記医薬賦形剤は他の賦形剤と共に“Remington: The Science & Practice of Pharmacy,” 19 ed., Williams & Williams, (1995); the “Physician’s Desk Reference,” 52 ed., Medical Economics, Montvale, N.J. (1998);およびKibbe, A. H., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3 Edition, American Pharmaceutical Association, Washington, D.C., 2000に記載されている。
【0103】
典型的な使用
本明細書に記載されている組成物は、FIXの機能的欠陥またはFIXの欠失、例えば、FIXのインビボ半減期の短縮、FIXの結合特性の変化、FIXの遺伝子異常およびFIXの血漿濃度の減少と関連するあらゆる出血障害を処置するために使用され得る。FIXの遺伝子異常は、例えば、FIXをコードする核酸配列における塩基の欠失、付加および/または置換を含む。1つの態様において、出血障害は血友病Bであり得る。このような出血障害の症状は、例えば、重度の鼻出血、経口粘膜出血、関節血症、血腫、持続性血尿、消化器出血、後腹膜出血、舌/咽頭後出血、頭蓋内出血および外傷関連出血を含む。
【0104】
本発明の組成物は予防適用のために使用され得る。いくつかの態様において、修飾されたFIXポリペプチドは、対象自身の凝固性能力を増強するために、該疾患状態または損傷を起こしやすい、または他の点では、それらの危険性がある対象に投与され得る。このような量は“予防有効量”と定義され得る。予防のための修飾されたFIXポリペプチドの投与は、血友病Bに罹患している患者がまさに手術を受ける状況を含み、ポリペプチドが手術の1から4時間前に投与される。加えて、ポリペプチドは、所望により血友病に罹患していない患者における制御されていない出血に対する予防としての使用に適用である。したがって、例えば、ポリペプチドは手術前に制御されていない出血の危険性がある患者に投与され得る。
【0105】
本明細書に記載されているポリペプチド、原料、組成物および方法は本発明の代表的な例であることを意図し、本発明の範囲が実施例の範囲に限定されないと理解する。本発明が記載されているポリペプチド、原料、組成物および方法を変化させて実施され得ることが当業者は理解でき、このような変化させたものは本発明の範囲内と見なされる。
【0106】
以下の実施例は本明細書に記載されている本発明を説明するために存在するが、多少なりとも本発明の範囲を限定するために解釈してはならない。
【実施例】
【0107】
実施例
本発明をより理解するために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は説明の目的のみであり、どのような形であれ本発明の範囲を限定すると解釈すべきでない。本明細書に記載されているすべての文献は出典明示によりそれら全体を包含させる。
【0108】
実施例1:コンピュータ分析
溶媒の接近可能性、既知の二次構造、既知の血友病B変異の位置、FVIIIおよびFX両方との相互作用の予測される部位への近接、ならびにFIXタンパク質安定性における与えられる変異の予測される効果に関するFIX配列のコンピュータ分析を、新しいN−グリコシル化部位コンセンサス配列の付加のための可能性のある部位を同定するために実施した。
【0109】
この分析に基づいて、5つの部位が新しいN結合型グリコシル化部位の創造に関して触媒ドメイン内で同定された。選択された部位および設計された変化したアミノ酸配列は、表2に示されている。
表2
【表5】

【0110】
実施例2:活性化ペプチドの配列アラインメント
活性化ペプチドにおける保存された、および保存されていない残基は、図1において示されているとおり多数の種の配列アラインメントにより同定された。
【0111】
N結合型グリコシル化部位のコンセンサス配列は、Asn−X−Ser/Thr(Xはプロリンを除く任意のアミノ酸であり、また、アスパラギン酸は恐らく望ましくない)である。FIXの活性化ペプチドにおいて新しいN結合型グリコシル化部位を設計するために、これらはFIXの薬物動態学のために重要であるため、これらの翻訳後修飾を崩壊させないように、種間で保存されている活性化ペプチド内のアミノ酸ならびに他のN結合型部位に関するコンセンサス配列およびチロシン硫酸化に関するコンセンサス配列は避けた。これらの基準を使用して、活性化ペプチド内に新しいN結合型グリコシル化部位を加えるための3つの部位が表3において示されるとおりに同定された。
表3
【表6】

【0112】
実施例3:N結合型グリコシル化部位を生産するためのアミノ酸の挿入
多数の配列アラインメント(図1)は、また、ヒト、アカゲザル、ブタ、イヌおよびウサギのFIXと比較して、マウス、ラットおよびテンジクネズミは残基A161からE162にさらなるアミノ酸を有することを示した。これらのさらなるアミノ酸は3つの種間で7から10のサイズで変化し、ほとんどAspおよびある程度Ile残基を含む。この観察は、7から10のさらなる残基がFIX活性において有意な効果なしにラット、マウスおよびテンジクネズミにおいてこの部位で許容されていることを証明する。8つの種由来のFIX間の多数の配列アラインメントを成し遂げるために使用される基準に依存して、ラット、マウスおよびテンジクネズミにおけるさらなるアミノ酸が見られる見かけの部位は、部位がヒトFIXのE160からA161間、A161からE162間、E162からT163間またはT163からI164間のいずれかで変化させることができる。
【0113】
配列N−S−T−Q−D−N−I−T−Q(配列番号:2)を有する9つの特別なアミノ酸を、活性化ペプチドにおけるA161からE162間に挿入した。配列“N−S−T”および“N−I−T”は、天然FIX活性化ペプチド由来のN結合型コンセンサス配列である。両方の場合において、これらは、天然FIX配列における、続いてグルタミン(Q)があり、先行してアスパラギン酸(D)である。したがって、グルタミンならびにアスパラギン酸は天然部位を真似る試みで包含させた。N−グリコシル化部位に関する1から3のコンセンサス配列を含むさらなる配列(N−X−S/T)も、A161からE162間に挿入され得ることも想定される。
【0114】
修飾されたFIXポリペプチドのさらなる実施例は、表4a、4bおよび4cにおいて記載されている。
表4a
【表7】

【表8】

比活性は、細胞培養上清中で測定された活性を同じ上清中のFIX抗原濃度で割ることにより計算され、新しいグリコシル化部位を欠いている対照FIX分子のパーセントとして表されている。NT:試験していない。
【0115】
表4b
【表9】

【0116】
表4c
【表10】

【0117】
【表11】

【0118】
【表12】

【0119】
【表13】

【0120】
【表14】

【0121】
【表15】

【0122】
【表16】

【0123】
【表17】

【0124】
【表18】

野生型対照と比較して発現および活性は、1から5(1=<10%;2=10−50%;3=50−100%;4=100−200%;5=>200%)の尺度(スケール)で表される。
【0125】
実施例4:O結合型をN結合型グリコシル化部位へ変換するための置換
表5はO結合型グリコシル化部位をN結合型グリコシル化部位へ変換するために設計された置換を示す。
表5
【表19】

【0126】
実施例5:HKB11細胞におけるFIX変異体の発現
変化したタンパク質配列を有するFIX遺伝子が哺乳動物細胞から発現され、分泌されるか否かを決定し、そしてFIX凝固活性におけるこれらの置換の効果を決定するために、これらのFIX変異体をコードする発現プラスミドをHKB11細胞にトランスフェクトした。HKB11はHEK293細胞およびB細胞リンパ腫の融合により生産されたヒト細胞株である。この実施例において、それぞれのグリコシル化部位の置換を、図3におけるHG1からHG8において見られるとおり第2の置換R338Aと組み合わせた。R338A置換は、aPTTアッセイにより測定されるとおりFIXの比活性を3から4倍に増加させる。2つのグリコシル化部位変異タンパク質およびR338Aのさらなる組合せも創造し、試験した(図3)。
【0127】
トランスフェクション3日後、細胞培地を回収し、FIXに特異的な抗体を使用するウエスタンブロットによりFIX発現に関して分析した。結果は、試験されたFIX変異タンパク質が野生型FIXまたはR338A置換のみを有するFIXと同様のレベルで発現し、培地に分泌されたことを証明した(図2)。
【0128】
FIX変異タンパク質の活性もaPPTアッセイを使用して試験した。結果は、第IX因子変異タンパク質が野生型FIXと比較して同様の、または増加した活性を有することを証明した(図3および4)。R338Aと比較して、変異タンパク質の活性は14%から109%の間で変化した。特に、変異タンパク質HG1、HG3、HG4、HG5、HG6、HG7、HG8およびHG3プラスHG8は、R338Aの少なくとも55%および野生型FIXの少なくとも300%である凝固活性を有した。
【0129】
実施例6:HKB11細胞における第IX因子変異体のグリコシル化
変異タンパク質HG1からHG8(図3)およびHG9(図5)の初期分析は、HG2、HG3、HG5、HG6、HG8およびHG9がSDS−PAGEゲルにおける見かけの分子量の増加により証明されるとおりグリコシル化が増加したことを証明した。HG2、HG3、HG5、HG6およびHG8に存在する置換の種々の組合せを含むさらなるFIXポリペプチドを生産した。例えば、以下の組合せを生産した:HG2/HG3、HG8/HG2、HG8/HG3、HG8/HG2/HG3。他の可能な組合せは、例えば、HG3/HG5、HG5/HG8、HG3/HG5/HG8、HG3/HG6、HG5/HG6、HG8/HG6、HG3/HG5/HG6、HG3/HG6/HG8、HG5/HG6/HG8およびHG3/HG5/HG6/HG8を含む。HG9との組合せもまた生産され得る。
【0130】
グリコシル化はタンパク質の分子量を増加させ、これはSDS−PAGEゲルにおける移動度の減少として視覚化することができる。図2および3において証明されるとおり、HG2、HG3、HG5、HG6、HG8およびHG9における置換は、SDS−PAGEゲルの移動度の減少を起こした。これらの8つの単一変異タンパク質中、A161およびE162間に挿入された2つのさらなるN結合型コンセンサス配列を有するHG8は、両方のN結合型部位が機能性であることを提案する見かけの分子量における最も大きな増加を示した。O結合型部位がN結合型部位に変異した4つの変異タンパク質(HG4からHG7)の中で、HG4は、この置換がO結合型部位を破壊し(したがってFIXタンパク質の分子量を減少させる)、機能性N結合型部位を創造することに失敗したことを証明するゲルにおける移動度の増加を示した。対照的に、HG5およびHG6は、これらのクローンにおける置換が機能性N結合型グリコシル化部位を創造したことを証明するゲルにおける移動度の減少を示した。また、O結合型部位がN結合型部位に変異した変異タンパク質HG7は、野生型FIXまたはFIX−R338Aと比較してゲルにおける移動度の変化がなかったことを示した。HG7における置換はO結合型部位が除去され、ゲルにおける移動度の増加を期待される事実を考えると、移動度の変化がない発見は、導入されたN結合型部位が機能性であり得ることを提案する。
【0131】
HG2/HG3、HG8/HG2、HG8/HG3およびHG8/HG2/HG3に存在する置換の組合せは、個々の変異タンパク質と比較して移動度においてより顕著な減少を起こし、単一FIX分子で組み合わさっているとき、これらの組合せにおいて存在する種々の新しいグリコシル化部位が機能性であることを示した。全4つの新しいN結合型部位を含むHG8/HG2/HG3変異タンパク質は、移動度において最大の減少を示した。
【0132】
実施例7:R338AおよびV86A置換の組合せ
FIXのアミノ酸V86は、野生型FIX(WT−FIX)またはFIX−R338Aのいずれかの文脈の中では部位特異的突然変異によりアラニンに変化していた。これらの構築物を含む発現ベクターをHKB11細胞にトランスフェクトし、培地を3日後に回収し、ELISAによりFIXタンパク質レベルおよびaPTTアッセイによりFIX凝固活性をアッセイした。両方の変異タンパク質は、WT−FIXおよびFIX−R338Aと同様のレベルで発現した。単一実験のデータは表6aに要約している。表6bは3つの実験の平均を要約している。
表6a
【表20】

表6b
【表21】

【0133】
結果は、V86A置換のみで比活性において約1.8倍の増加をもたらすが、R338Aのみでは比活性において4.5倍の増加をもたらすことを証明する。R338AおよびV86Aの組合せは、野生型FIXと比較して比活性において8.1倍の増加をもたらした。これらの結果は、R338AおよびV86A置換の陽性効果が相加され、WT−FIXと比較して比活性において8倍の増加を有する第IX因子変異タンパク質をもたらすことを示す。R338A−V86A変異タンパク質は、8倍低い用量のタンパク質で現在利用できる組換えWT−IXと同じ治療効果を達成することが可能であるため、血友病B患者に対して改善された治療的有用性を与える。加えて、活性における減少がグリコシル化に由来し得るグリコシル化形態のFIXを創造するとき、R338A−V86Aの比活性の増加は有益である。
【0134】
実施例8:ヒトFIXcDNAのクローニング
ヒトFIXcDNAのコード領域の5’および3’末端の配列に相補的なPCRプライマー対を、公開されたcDNA配列(NM_000133)から設計した。5’プライマー(FIXF1;
【表22】

(配列番号:8)、FIXの開始コドンは太字である)は、コンセンサスKozak配列(下線)の次にATG開始コドンを含むFIXコード領域の最初の18のヌクレオチドおよびHindIII制限部位を含んだ。3’プライマー(FIXR3、ATCATAAGCTTGATTAGTTAGTGAGA GGCCCTG)(配列番号:9)は、HindIII部位の次のFIXコード領域の末端の45ヌクレオチド3’側に位置するFIX配列の22のヌクレオチドを含んだ。これらのプライマーおよび高い忠実性の校正ポリメラーゼ(Invitrogen, Carlsbad, CA)を使用する正常ヒト肝臓(Stratagene, San Diego CA)からの第1の鎖のcDNAの増幅は、ヒトFIXcDNAに対して予期されるサイズ(1464bp)の単一のバンドをもたらした。HindIIIで消化後、PCR産物をゲル精製し、次にプラスミドpAGE16のHindIII部位にクローニングした。FIXcDNAがベクターにおけるCMVプロモーターに対してフォワード方向に挿入されたクローンを制限酵素消化により同定した。二本鎖DNAシーケンシングをいくつかのクローンの挿入物に対して実施し、公開されたFIX配列への得られた配列のアラインメントはcDNAが成熟タンパク質のアミノ酸148にスレオニンを有するヒトFIXをコードすることを証明した。このプラスミドをpAGE16−第IX因子(pAGE16−FIX)と表した。
【0135】
実施例9:修飾されたFIXポリペプチドの生産
ヒトFIX配列内の種々のアミノ酸を変化させるために、一対のプライマーをStratageneから利用できるQuickchangeTMプライマー設計プログラムを使用して設計した。これらのプライマーは、製造業者の指示にしたがってQuickchangeTM II XL 部位特異的突然変異キット(Stratagene, San Diego, CA)を使用して、pAGE16−FIXプラスミドにおける変異を構築するために使用した。所望の置換を含むクローンは、全体のFIXコード領域のDNAシーケンシングにより同定した。以下の表7は置換を構築するために使用したセンス鎖オリゴヌクレオチドの配列を示す。
表7
【表23】

【表24】

下線の残基は、N結合型グリコシル化に関するコンセンサス配列を創造するために、野生型FIXと比較して、変化した残基である。
【0136】
上記置換に加えて、N−グリコシル化に関する2つのコンセンサス配列を含む9つのアミノ酸配列を活性化ペプチド残基A161からE162間に挿入した。このFIXの変異体を生産するために、Y155およびI164にSnaB1およびXbaIに関する唯一の制限部位を、プライマーt8216c_g8218aおよびt8188c(表8)で部位特異的突然変異によるアミノ酸配列の変化なしに生産した。得られたプラスミドをSnaB1およびXbaIで消化し、残基V156からI164に対応する27bpのフラグメントを除去し、次にオリゴヌクレオチド2プライマーFおよび2プライマーR(表8)のアニーリングにより生産された二本鎖フラグメントに結合させた。得られたプラスミドの配列が、N結合型グリコシル化に関する2つのコンセンサス配列(NXT)を含む配列NSTQDNITQ(配列番号:2)を有する9つのアミノ酸をコードする27bpの挿入を有することを、二本鎖DNAシーケンシングにより決定した。
表8
【表25】

太字/下線残基は、新しい制限部位またはN−リンカーグリコシル化に関する2つのコンセンサス配列をコードする9つのさらなるアミノ酸の挿入のいずれかを創造するために、野生型第IX因子と比較して変化したものである。
【0137】
実施例10:細胞培養および一過性トランスフェクション
HKB11細胞(HEK293およびBurkitt B細胞リンパ腫系のハイブリッド、2B8)を、CO(5%)インキュベーター中で37℃で10ng/mLの水溶性ビタミンK(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を補った無血清培地(RF#277)中で、オービタルシェーカー(100−125rpm)上で懸濁液培地を培養し、0.25から1.5×10細胞/mL密度で維持した。
【0138】
トランスフェクションのための細胞を1000rpmで5分遠心分離により回収し、次にFreeStyleTM293発現培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)中で1.1×10細胞/mLで懸濁した。細胞を6ウェルプレート(4.6mL/ウェル)に播種し、37℃のCOインキュベーター中でオービタルローター(125rpm)上でインキュベートした。それぞれのウェルにおいて、5μgのプラスミドDNAを0.2mLのOpti−MEM(登録商標)I培地(Invitrogen)と混合した。それぞれのウェルにおいて、7μLの293fectinTM試薬(Invitrogen)を0.2mLのOpti−MEM(登録商標)I培地と穏やかに混合し、室温で5分インキュベートした。希釈した293fectinTMを希釈したDNA溶液に加え、穏やかに混合し、室温で20−30分インキュベートし、次に5×10(4.6mL)のHKB11細胞で播種されたそれぞれのウェルに加えた。次に細胞をCOインキュベーター中で37℃で3日間オービタルローター(125rpm)上でインキュベートし、その後に細胞を1000rpmで5分遠心分離によりペレット状にし、上清を回収し4℃で保存した。
【0139】
場合によっては、HEK293細胞に標準リポフェクションプロトコールおよび市販の試薬を使用して、384ウェルプレート中でFIX変異体のための発現構築物をトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞をさらなる分析のために上清を回収できる72時間培養した。
【0140】
実施例11:FIXのウエスタンブロット
細胞培養上清(50μL)を20μLの4×SDS−PAGE ローディング色素と混合し、95℃で5分加熱し、NuPAGE(登録商標) 4−12% SDS PAGEゲルに付し、次にニトロセルロース膜に移した。5%ミルク粉末で30分ブロッキング後、膜をヒトFIXに対するHRP−標識ヤギポリクローナル抗体(US Biological, Swampscott, Massachusetts, Catalog No. F0017-07B)と60分室温でインキュベートした。0.1%のTween(登録商標)−20バッファーを有するリン酸緩衝食塩水で洗浄後、HRP由来のシグナルをSuperシグナル(登録商標)Pico(Pierce, Rockford, IL)およびx線フィルムへの暴露を使用して検出した。
【0141】
実施例12:FIX ELISA
細胞培養上清におけるFIX抗原レベルは、FIX ELISAキット(Hyphen Biomed/Aniara, Mason, OH)を使用して測定した。細胞培養上清をサンプル希釈剤バッファー(キットにて提供される)で希釈し、標準曲線の範囲内でシグナルを達成させる。サンプル希釈剤で希釈されたヒト血漿(Hyphen Biomed/Aniara, Catalog No. RK032A、比活性196U/mg)から精製されたFIXタンパク質を、100ng/mLから0.2ng/mLの標準曲線を作成するために使用した。希釈されたサンプルおよび標準を、ポリクローナル抗−FIX捕捉抗体であらかじめ被覆されているELISAプレートに加えた。ポリクローナル検出抗体を加えた後、プレートを室温で1時間インキュベートし、大規模に洗浄し、次にキット製造業者により記載されているとおりTMB基質(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)を使用して現像し、SpectraMax(登録商標)プレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を使用して450nMでシグナルを測定した。標準曲線を2成分プロットに合わせ、未知の値を曲線から推定した。
【0142】
FIX発現レベルも市販されているFIX ELISA試薬(Haemochrom Diagnostica GmbH, Essen, Germany)を製造業者の指示にしたがって使用して定量した。小麦胚芽凝集素(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)で384ウェルMaxiSorpTMプレート(NuncTM, Rochester, NY)上を被覆した。ウェルをブロックし、洗浄し、次に上清を加えた。さらなる洗浄後、検出をHRP−結合ポリクローナル抗FIX抗体(Haemochrom Diagnostica GmbH, Essen, Germany)を使用して行った。
【0143】
実施例13:FIX凝固アッセイ
FIX凝固活性は、ElectraTM 1800C 自動凝固分析器(Beckman Coulter, Fullerton, CA)を使用して、FIX欠損ヒト血漿におけるaPTTアッセイを使用して測定した。簡潔には、凝固希釈剤における上清サンプルの3つの希釈物を装置により製造し、次に100μLを100μLのFIX欠損血漿(Aniara, Mason, OH)および100μLの自動aPTT試薬(ウサギ脳リン脂質および微粉化シリカ(bioMerieux, Inc., Durham, NC)と混合した。100μLの25mMのCaCl溶液の添加後、血塊形成のための時間を記録した。標準曲線を、ELISAアッセイにおいて標準として使用される同じ精製されたヒトFIX(Hyphen Biomed/Aniara)の連続希釈物を使用してそれぞれのに対して作成した。標準曲線は、日常的に0.95またはそれより良い相関係数を有する直線であり、未知のサンプルのFIX活性を測定するために使用された。
【0144】
実施例14:循環FIXの測定
FIXポリペプチドの循環半減期はインビトロアッセイを使用して測定される。このアッセイは、肝細胞におけるアデノウイルス(Ad)の蓄積を介在するインビボおよびインビトロでのFIXの能力に基づく。簡潔には、FIXはAd線維ノブドメインに結合し、細胞表面ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)を介してウイルス摂取への橋渡しを提供することができることが示されている(Shayakhmetov, et al., J. Virol 79:7478-7491, 2005)。線維ノブドメインにおいて変異を含むアデノウイルスベクター変異体のAd5mutは、FIXに結合しない。Ad5mutはインビボでの肝細胞に感染する能力および肝臓毒性を有意に減少させ、FIXが肝細胞へのAdベクターの標的化において主な役割を果たすことを示す(Shayakhmetov, et al., 2005)。肝細胞へAdベクターを標的化するFIXの能力は、タンパク質−HSPG相互作用の阻害剤によりブロックすることができる(Shayakhmetov, et al., 2005)。
【0145】
さらに、FIXのHSPG介在摂取はFIXクリアランスに非常に寄与し、結果として、HSPG相互作用との干渉がFIXの半減期を増加させると期待される。したがって、肝細胞におけるFIXおよび/またはFIX変異体のインビトロ摂取を測定し、摂取が減少した変異体は、インビボ半減期の増加を有することが期待される。
【0146】
FIXのインビトロ半減期を測定するために、哺乳動物細胞をFIXまたはFIX変異体の存在または非存在下でアデノウイルスとインキュベートする。ウイルス摂取は、野生型FIXにより介在され、ウイルスゲノムにコードされるレポーター遺伝子、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはルシフェラーゼ発現の発現により測定される。FIX変異体の存在下でのアデノウイルスの摂取の減少は、野生型FIXと比較して、レポーター遺伝子発現の減少、例えば、GFP蛍光の減少またはルシフェラーゼ酵素活性の減少として測定される。
【0147】
FIX循環半減期は当業者によく知られている標準技術を使用してインビボで測定される。簡潔には、FIXまたはFIX変異体のそれぞれの投与は静脈内注射により対象に投与される。血液サンプルは注射後の多くの時点で得られ、FIX濃度は適当なアッセイ(例えば、ELISA)により検出される。半減期、すなわち投与直後にFIXの濃度がFIXの濃度の半分になる時間を測定するために、種々の時点でのFIX濃度をFIXの投与直後に予期される、または測定されるFIX濃度と比較する。インビトロアッセイにおける細胞取り込みの減少とインビボアッセイにおける半減期の増加の相関関係が予期される。
【0148】
本明細書に挙げられている全ての文献および特許は出典明示により本明細書に包含される。本発明の記載されている方法の種々の修飾または変化が本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明らかである。
【0149】
本発明が特定の態様と関連して記載されているが、本発明このような特定の態様に不都合に限定されるべきでないと理解されるべきである。実際に、生化学または関連分野の当業者に明らかである本発明を実施するための上記様式の種々の修飾は、特許請求の範囲内であることを意図する。当業者は、ほんの日常の実験を使用して、本明細書に記載されている本発明の特定の態様の多数の均等を認識するか、または確かめることができる。このような均等は特許請求の範囲により包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のアミノ酸置換または挿入を導入することにより修飾されているアミノ酸配列を含む、第IX因子ポリペプチド。
【請求項2】
アミノ酸配列が1つ以上のグリコシル化部位を導入することにより修飾されている、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
1つ以上のグリコシル化部位がN結合型グリコシル化部位およびO結合型グリコシル化部位から選択される、請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
1つ以上の導入されたグリコシル化部位に結合した炭水化物鎖をさらに含む、請求項2または3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
1つ以上のアミノ酸置換が以下のものから選択される、請求項1から4のいずれかに記載のポリペプチド:G4T;E33N;E36T;E36N;R37N;F75N;F77T;E83T;D85N;V86A;K91T;A103T;V107T;K122N;K122T;S138N;A146N;T148N;F150T;P151N;T159N;A161T;A161N;T169N;Q170N;T172N;D177N;D177E;F178T;K201N;K201T;K214T;V223N;G226N;Y226T;K228N;K228T;E239N;E242N;I251T;A262T;E294N;R338A;R338N;K341N;F353N;H354V;H354I;E355T;V370N;T371V;T371I;E372T;E374N;M391N;K392V;G393T;E410N;K413N;L414I;Y1NおよびS3T;S3NおよびK5T;G4NおよびL6T;K5NおよびE7T;L6NおよびE8T;E7NおよびF9T;F9NおよびQ11T;V10NおよびG12T;Q11NおよびN13T;G12NおよびL14T;N13およびE15T;L14NおよびR16T;E15NおよびE17T;M19NおよびE21T;E20NおよびK22T;S24NおよびE26T;F25NおよびE27T;E26NおよびA28T;E27NおよびR29T;A28NおよびE30T;R29NおよびV31T;E30NおよびF32T;V31NおよびE33T;F32NおよびN34T;T35NおよびR37T;T38NおよびE40T;T39NおよびF41T;E40NおよびW42T;F41NおよびK43T;W42NおよびQ44T;K43NおよびY45T;Q44NおよびV46T;Y45NおよびD47T;V46NおよびG48T;E52NおよびN54T;S53NおよびP55T;G59NおよびS61T;K63NおよびD65T;I66NおよびS68T;S68NおよびE70T;G76NおよびE78T;E78NおよびK80T;E83NおよびD85T;L84NおよびV86T;I90NおよびN92T;K100NおよびS102T;S102NおよびD104T;A103NおよびN105T;D104NおよびK106T;K106NおよびV108T;R116NおよびA118T;E119NおよびQ121T;Q121NおよびS123T;A127NおよびP129T;V135NおよびV137T;S136NおよびS138T;V137NおよびQ139T;Q139NおよびS141T;T140NおよびK142T;S141NおよびL143T;E147NおよびV149T;T148NおよびF150T;V149NおよびP151T;P151NおよびV153T;D152NおよびD154T;V153NおよびY155T;D154NおよびV156T;Y155NおよびN157T;V156NおよびS158T;S158NおよびE160T;T159NおよびA161T;E160NおよびE162T;E162NおよびI164T;T163NおよびL165T;I164NおよびD166T;L165NおよびN167T;D166NおよびI168T;I168NおよびQ170T;T169NおよびS171T;S171NおよびQ173T;T172NおよびS174T;Q173NおよびF175T;S174NおよびN176T;G184NおよびD186T;E185NおよびA187T;D186NおよびK188T;A187NおよびP189T;P189NおよびQ191T;G200NおよびV202T;K201NおよびD203T;V202NおよびA204T;E224NおよびG226T;T225NおよびV227T;G226NおよびK228T;V227NおよびI229T;H236NおよびI238T;I238NおよびE240T;E240NおよびE242T;T241NおよびH243T;H243NおよびE245T;K247NおよびN249T;V250NおよびR252T;I251NおよびI253T;I253NおよびP255T;A261NおよびI263T;A262NおよびN264T;D276NおよびP278T;V280NおよびN282T;F302NおよびS304T;S304NおよびY306T;R312NおよびF314T;V313NおよびH315T;F314NおよびK316T;H315NおよびG317T;K316NおよびR318T;G317NおよびS319T;S319NおよびL321T;A320NおよびV322T;R327NおよびP329T;P329NおよびV331T;D332NおよびA334T;L337NおよびS339T;S339NおよびK341T;T340NおよびF342T;T343NおよびY345T;G352NおよびH354T;F353NおよびE355T;H354NおよびG356T;E355NおよびG357T;G356NおよびR358T;G357NおよびD359T;E372NおよびE374T;W385NおよびE387T;G386NおよびE388T;A390NおよびK392T;D85N、K122TおよびI251T;D85N、K122TおよびE242N;E125N、P126AおよびA127T;P126N、V128TおよびP129A;T148N、F150TおよびP151A;F150N、P151AおよびD152T;P151N、V153TおよびA161N;P151N、V153TおよびT172N;V153N、Y155TおよびE294N;T172N、G226NおよびK228T;F353N、H354VおよびE355T;F353N、H354IおよびE355T;V370N、T371VおよびE372T;V370N、T371IおよびE372T;M391N、K392VおよびG393T;D85N、P151N、V153TおよびK228N;D85N、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびK228N;K122T、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびI251T;T148N、F150T、G226NおよびK228T;P151N、V153T、T172NおよびR338A;P151N、V153T、D177EおよびF178T;P151N、V153T、G226NおよびK228T;T172N、G226N、K228TおよびR338A;D85N、K122T、P151N、V153TおよびE242N;D85N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;K122T、P151N、V153T、G226NおよびK228T;S138N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;T148N、F150T、G226N、K228TおよびR338A;P151N、V153T、T172N、G226NおよびK228T;P151N、V153T、D177E、F178TおよびR338A;P151N、V153T、G226N、K228TおよびR338A;およびP151N、V153T、T172N、G226N、K228TおよびR338A;ならびにそれらの任意の組合せ。
【請求項6】
1つ以上のアミノ酸置換が以下のものから選択される、請求項1から4のいずれかに記載のポリペプチド:R37N;D85N;K122T;S138N;A146N;A161N;Q170N;T172N;D177N;F178T;K201N;K228N;E239N;E242N;I251T;A262T;E294N;E374N;E410N;G59NおよびS61T;K63NおよびD65T;G76NおよびE78T;S102NおよびD104T;A103NおよびN105T;D104NおよびK106T;E119NおよびQ121T;Q121NおよびS123T;S136NおよびS138T;Q139NおよびS141T;T140NおよびK142T;T148NおよびF150T;V149NおよびP151T;P151NおよびV153T;D152NおよびD154T;V153NおよびY155T;D154NおよびV156T;V156NおよびS158T;S158NおよびE160T;E160NおよびE162T;E162NおよびI164T;T163NおよびL165T;I164NおよびD166T;D166NおよびI168T;I168NおよびQ170T;S171NおよびQ173T;T172NおよびS174T;Q173NおよびF175T;S174NおよびN176T;K201NおよびD203T;V202NおよびA204T;E224NおよびG226T;T225NおよびV227T;G226NおよびK228T;T241NおよびH243T;I251NおよびI253T;I253NおよびP255T;A262NおよびN264T;V280NおよびN282T;T343NおよびY345T;E372NおよびE374T;D85N、K122TおよびE242N;D85N、K122TおよびI251T;F150N、P151AおよびD152T;T172N、G226NおよびK228T;D85N、P151N、V153TおよびK228N;D85N、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびK228N;K122T、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびI251T;P151、V153T、G226NおよびK228T;D85N、K122T、P151N、V153TおよびE242N;D85N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;S138N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;P151N、V153T、T172N、G226NおよびK228T。
【請求項7】
1つ以上のアミノ酸置換が以下のものから選択される、請求項1から4のいずれかに記載のポリペプチド:D85N;K122T;S138N;T172N;K201N;K228N;E239N;E242N;I251T;A262T;E294N;G59NおよびS61T;G76NおよびE78T;S102NおよびD104T;A103NおよびN105T;D104NおよびK106T;E119NおよびQ121T;Q121NおよびS123T;S136NおよびS138T;Q139NおよびS141T;T140NおよびK142T;T148NおよびF150T;V149NおよびP151T;P151NおよびV153T;D152NおよびD154T;S158NおよびE160T;E162NおよびI164T;T163NおよびL165T;T172NおよびS174T;Q173NおよびF175T;K201NおよびD203T;T225NおよびV227T;G226NおよびK228T;I253NおよびP255T;A262NおよびN264T;V280NおよびN282T;E372NおよびE374T;およびD85N、K122TおよびE242N;D85N、K122TおよびI251T;F150N、P151AおよびD152T;T172N、G226NおよびK228T;D85N、P151N、V153TおよびK228N;D85N、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびK228N;K122T、P151N、V153TおよびE242N;K122T、P151N、V153TおよびI251T;P151、V153T、G226NおよびK228T;D85N、K122T、P151N、V153TおよびE242N;D85N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;S138N、P151N、V153T、G226NおよびK228T;P151N、V153T、T172N、G226NおよびK228T。
【請求項8】
以下のアミノ酸配列を含む第IX因子ポリペプチド:
YNSGKLEEFVQGNLERECMEEKCSFEEAREVFENTERTTEFWKQYVDGDQCESNPCLNGGSCKDDINSYECWCPFGFEGKNCELX8586TCNIKNGRCEQFCKNSAX104NKVVCSCTEGYRLAENX121KSCEPAVPFPCGRVSVX138QTSKLTRAEX148VX150151152153DYVNSX159EZ161EZTZILDNIX169QSX172QX174FNX177178TRVVGGEDAKPGQFPWQVVLNGKVDAFCGGSIVNEKWIVTAAHCVETX226VX228ITVVAGEHNIEETEHTEQKRNVIRIIPHHNYNAAINKYNHDIALLELDEPLVLNSYVTPICIADKEYTNIFLKFGSGYVSGWGRVFHKGRSALVLQYLRVPLVDRATCLX338STKFTIYNNMFCAGX353354355GGRDSCQGDSGGPHX370371372VEGTSFLTGIISWGEECAX391392393KYGIYTKVSRYVNWIKEKTX413414T(配列番号:3);
ここで、X85はDおよびEから選択され;
ここで、X86はA、E、P、SおよびVから選択され;
ここで、X104はD、NおよびTから選択され;
ここで、X121はN、QおよびTから選択され;
ここで、X138はN、SおよびTから選択され;
ここで、X148およびX150は以下から選択され:
(i)X148はTであり、そしてX150はFである;
(ii)X148はNであり、そしてX150はTである;および
(iii)X148はNであり、そしてX150はSである;
ここで、X151はA、PおよびTから選択され;
ここで、X151およびX153は以下から選択され:
(i)X151はPであり、そしてX153はVである;
(ii)X151はNであり、そしてX153はTである;および
(iii)X151はNであり、そしてX153はSである;
ここで、Z、Z、ZおよびZは、独立して以下から選択され
(i)0から12のアミノ酸残基、および
(ii)配列番号:2;
ここで、X152はD、NおよびTから選択され;
ここで、X159およびX161は以下から選択され:
(i)X159はTであり、そしてX161はAである;
(ii)X159はNであり、そしてX161はTである;および
(iii)X159はNであり、そしてX161はSである;
ここで、X169はTおよびNから選択され;
ここで、X172はTおよびNから選択され;
ここで、X174はSおよびTから選択され;
ここで、X177およびX178は以下から選択され:
(i)X177はDであり、そしてX178はFである;
(ii)X177はEであり、そしてX178はTである;および
(iii)X177はEまたはDであり、そしてX178はSである;
ここで、X226およびX228は以下から選択され:
(i)X226はGであり、そしてX228はKである;
(ii)X226はNであり、そしてX228はTである;および
(iii)X226はNであり、そしてX228はSである;
ここで、X338はRおよびAから選択され;
ここで、X353、X354およびX355は以下から選択され:
(i)X353はFであり、X354はHであり、X355はEである;
(ii)X353はNであり、X354はVであり、X355はTである;
(iii)X353はNであり、X354はIであり、X355はTである;および
(iv)X353はNであり、X354はH、VまたはIであり、X355はSである;
ここで、X370、X371およびX372は以下から選択され:
(i)X370はVであり、X371はTであり、X372はEである;
(ii)X370はNであり、X371はVであり、X372はTである;
(iii)X370はNであり、X371はIであり、X372はTである;および
(iv)X370はNであり、X371はT、VまたはIであり、X372はSである;
ここで、X391、X392およびX393は以下から選択され:
(i)X391はMであり、X392はKであり、X393はGである;
(ii)X391はNであり、X392はKであり、X393はTである;
(iii)X391はNであり、X392はVであり、X393はTである;および
(iv)X391はNであり、X392はVまたはKであり、X393はSである;
ここで、X413およびX414は以下から選択される:
(i)X413はKであり、そしてX414はLである;
(ii)X413はNであり、そしてX414はLである;および
(iii)X413はNであり、そしてX414はIである;(そして
ここで、該FIXポリペプチドは、配列番号:1を有するFIXポリペプチドと比較して、少なくとも1つの導入されたグリコシル化部位を含む)。
【請求項9】
R338AおよびV86Aから選択されるアミノ酸置換をさらに含む、請求項6または7に記載のポリペプチド。
【請求項10】
アミノ酸配列が、1から10個のアミノ酸残基をヒト第IX因子のアミノ酸残基160−164間に導入することにより修飾されることにより、1つ以上のグリコシル化部位が導入されたものである、請求項1−9のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項11】
アミノ酸残基が、アミノ酸残基160−161間、アミノ酸残基161−162間、アミノ酸残基162−163間またはアミノ酸残基163−164間に挿入されている、請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項12】
配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドがアミノ酸残基160−161間、アミノ酸残基161−162間、アミノ酸残基162−163間またはアミノ酸残基163−164間に導入されている、請求項11に記載のポリペプチド。
【請求項13】
以下のものから選択されるアミノ酸置換をさらに含む、請求項11または12に記載のポリペプチド:V86A;R338A;V86AおよびR338A;T148NおよびF150T;D177EおよびF178T;P151NおよびV153T;P151N、V153TおよびT172N;G226NおよびK228T。
【請求項14】
アミノ酸配列が、1から10個のアミノ酸残基を第IX因子ポリペプチドのC末端に導入することにより、1つ以上のグリコシル化部位の導入をもたらされるように修飾された、請求項1−7のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項15】
配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6および配列番号:7から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドが第IX因子ポリペプチドのC末端に導入されている、請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
R338A置換およびV86A置換を含む第IX因子ポリペプチド。
【請求項17】
1つ以上の導入されたグリコシル化部位での炭水化物鎖の結合が、導入されたグリコシル化部位を欠いているポリペプチドと比較して、ポリペプチドの血清半減期を少なくとも30%増加させる、請求項1から15のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項18】
ポリペプチドがポリペプチドのmgあたり少なくとも100単位の比活性を有する、請求項1から17のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項19】
請求項1−18のいずれかに記載の第IX因子ポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬品。
【請求項20】
治療有効量の請求項19に記載の医薬品を必要とする対象に投与することを含む、血友病Bを処置する方法。
【請求項21】
請求項1−18のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA配列。
【請求項22】
宿主細胞が第IX因子ポリペプチドを発現することを可能とする様式における、請求項20に記載のDNA配列をトランスフェクトされた真核生物宿主細胞。
【請求項23】
(i)1つ以上のグリコシル化部位を導入することによりポリペプチドのアミノ酸配列を修飾し;(ii)1つ以上のグリコシル化部位でグリコシル化することを可能とする様式においてポリペプチドを発現させ;そして(iii)該ポリペプチドを精製することを含む、第IX因子ポリペプチドを生産する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−517951(P2011−517951A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505204(P2011−505204)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/040813
【国際公開番号】WO2009/137254
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】