説明

修飾RNAiポリヌクレオチドおよびその使用

本発明は、改良RNAiコンストラクトおよびその使用に関する。コンストラクトは、19〜49ヌクレオチド、好ましくは25、26、または27ヌクレオチド、の二本鎖領域および好ましくは平滑末端を有する。コンストラクトは、生物学的活性、毒性、安定性、および標的遺伝子特異性の至適バランスをもたらすために、選択的な最小限の修飾を有する。例えば、コンストラクトがダイサーまたは他のRNAseIIIによって切断されないように、およびアンチセンス鎖の全長がRISCへと組み込まれるように、センス鎖を修飾し得る(例としては、センス鎖の一または両末端を4つの2’−O−メチル基によって修飾する)。加えて、アンチセンス鎖をまた、オフターゲットなサイレンシングを大幅に低減させるために、5’−末端から2番目のヌクレオチドにおいて2’−O−メチル基によって修飾し得る。本発明のコンストラクトは、哺乳類細胞中のインターフェロン応答および配列非依存性アポトーシスを大幅に回避し、より良い血清安定性および増強された標的特異性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
相補的なオリゴヌクレオチド配列は、有望な治療剤であり、遺伝子の機能を解明するのに有用な研究ツールである。しかしながら、従来技術のオリゴヌクレオチド分子は、それらの臨床開発を妨げ得、かかる組成物を用いた遺伝子発現(タンパク質合成を含む)の意図された効果的な阻害の達成を頻繁に難しくさせる幾つかの問題に悩まされる。
【0002】
例えば、古典的なsiRNAは、それらの剤がヒトの治療剤として中程度な有用性しかもたらし得ない制限および欠点を有する。具体的には、古典的なsiRNAは二本鎖である。各分子について、二本の鎖が合成されて対にされる必要がある。古典的なsiRNAは天然に存在するリボヌクレオチドから作製され、ヌクレアーゼおよび自発的な加水分解に脆弱である。古典的なsiRNA鎖は、一つの鎖の各末端におけるオーバーハングを除き、互いに対となり、およそ19から23ヌクレオチド長である。この構成は、化合物の多様性および活性を制限する。例えば、より長いオリゴヌクレオチドは、標的RNAへのより高い結合活性を有し得、これはしばしばより高い活性と相関する。古典的なsiRNAのオーバーハングは不安定さ(なぜならば一本鎖は、大抵の場合、二本鎖よりもヌクレアーゼ抵抗性であるからである)および分解の原因となり、分子が互いにまたは他のヌクレオチドに「付着する」原因となり得る。
【0003】
加えて、21merより長い二本鎖RNAは、哺乳類細胞中のダイサーまたはダイサー様RNAseIIIによって切断され、その結果古典的なsiRNA産物となると広く信じられている。ダイサー切断産物の一本鎖は次にRISC複合体に取り込まれ、そして取り込まれたRISC複合体はRNA干渉(RNAi)をもたらすように導かれる。しかしながら、ダイサーは配列特異的ではないため、非修飾の長いdsRNAのダイサー切断産物は、21merの不均質な混合物であり、各々が異なる生物学的活性および/または薬理学的性質を有し得る。加えて、各21merは明確なオフターゲット効果(例として、ダイサー切断産物と標的mRNA間での擬似的な配列相同性に例えば起因して、意図されない標的の機能を阻害すること)を有し得る。言い換えると、活性剤(例として、21mer)は、比較的予測不可能な標的特異性、生物学的活性および/または薬理学的性質を有する複数の種になり得る。また、ダイサー産物は親鎖よりも短く、低親和性のガイド鎖となる。
【0004】
その他の問題として含まれるものは、生物システムへ適用されたときの、非特異的なヌクレアーゼ分解に対するsiRNAの感受性である。したがって、上記の問題点のないまたは程度が軽減された改良オリゴヌクレオチドを設計することで従来技術のオリゴヌクレオチドを改良することは、非常に有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの側面は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49(好ましくは19〜49)ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれにおける1または2以上のヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を有する、および(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、該アンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドにおいて、2’−修飾リボース糖を含む、を含み、ここで(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトに関する。
【0006】
本発明の別の側面は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49(好ましくは19〜49)ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれにおける1または2以上のヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を有する、および(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、該アンチセンス鎖の3’−末端において、(i)非加水分解性のヌクレオチド間結合を有する少なくとも4つの連続した2’−修飾リボース糖(ii)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個の2’−修飾リボース糖、好ましくは2’−O−メチル修飾リボース糖、または(iii)保護基を含む、を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトを提供する。
【0007】
本発明の別の側面は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49(好ましくは19〜49)ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれにおける1または2以上のヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を有し、該センス鎖が、該センス鎖の3’−末端から2番目のヌクレオチドにおいてミスマッチヌクレオチドを含む、および(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトを提供する。
【0008】
本発明の別の側面は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49(好ましくは19〜49)ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで、該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれに4つの連続した2’−O−メチルヌクレオチドが存在し、(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、(a)ホスホチオエート結合を有する4つの連続した2’−O−メチル修飾3’−末端ヌクレオチドを含む、または(b)5’−末端から2番目のヌクレオチドに2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを含み、他の修飾ヌクレオチドを含まない、を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトを提供する。
【0009】
本発明の別の側面は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49(好ましくは19〜49)ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで、12および10の連続した2’−O−メチルヌクレオチドをそれぞれ5’−末端および3’−末端に含む、および、(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、(a)非修飾である、(b)ホスホチオエート結合を有する4つの連続した2’−O−メチル修飾3’−末端ヌクレオチドを含む、または(c)5’−末端から2番目のヌクレオチドに2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを含み、他の修飾ヌクレオチドを含まない、を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトを提供する。
【0010】
ある態様において、アンチセンス鎖が、アンチセンス鎖の5’−末端から10番目および11番目のヌクレオチドの間の単一部位における、標的遺伝子のmRNAの一様な切断を導く。
ある態様において、dsRNAのセンス鎖が、該センス鎖の3’−末端から10番目および11番目のヌクレオチドの間の単一部位において、RISCによって切断可能である。
ある態様において、dsRNAコンストラクトが、平滑末端である。
【0011】
ある態様において、センス鎖の5’−末端の12ヌクレオチドおよび3’−末端の10ヌクレオチドが2’−修飾リボース糖である。
ある態様において、センス鎖の各末端が、一続き(continuous stretch)の2’−修飾リボース糖を含む。
ある態様において、センス鎖の各末端が、4つ一続きの2’−修飾リボース糖を含む。
ある態様において、アンチセンス鎖が、非連続的な2’−修飾リボース糖を含み、10番目および11番目のアンチセンスヌクレオチドが修飾されていない。
ある態様において、アンチセンス鎖が、2’−修飾リボース糖を、2、3、4、5、6、7、8または9ヌクレオチドごとに含む。
【0012】
ある態様において、アンチセンス鎖の最も5’−末端側の2’−修飾リボース糖が、2番目のヌクレオチドである。
ある態様において、dsRNAコンストラクトが、12〜35ヌクレオチドの長さ、25〜30ヌクレオチドの長さ、25、26、27、28、29または30ヌクレオチドの長さ、22ヌクレオチドより長い長さ、25ヌクレオチドより長い長さ、または31〜49ヌクレオチドの長さである。
ある態様において、センス鎖の各末端が、独立して、4〜16個の2’−修飾リボース糖および/または非加水分解性ヌクレオチド間結合を含む。
【0013】
ある態様において、センス鎖の各末端が、対称的なまたは非対称的な数の2’−修飾リボース糖を含む。
ある態様において、2’−修飾リボース糖が、2’−O−アルキルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシヌクレオチド、2’−H−(デオキシリボヌクレオチド)またはそれらの組み合わせである。
ある態様において、2’−O−アルキルヌクレオチドが、2’−O−メチルヌクレオチドである。
ある態様において、2’−O−アルキルヌクレオチドが、2’−O−アリルヌクレオチドである。
【0014】
ある態様において、アンチセンス鎖が、アンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドに2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを含み、他の修飾ヌクレオチドを含まない。
ある態様において、dsRNAが、2’−修飾を前記の位置に含まない類似のコンストラクトと比較して、増強された標的特異性または減少したオフターゲットサイレンシングを有する。
ある態様において、アンチセンス鎖が、ホスホチオエート結合を有する少なくとも4つの連続した2’−O−メチル修飾3’−末端ヌクレオチドを含む。
ある態様において、dsRNAのセンス鎖が、センス鎖の3’−末端から2番目のヌクレオチドにおいて、ミスマッチヌクレオチドを含む。
【0015】
ある態様において、dsRNAが、同一の配列を有する非修飾のdsRNAと比較して、血清および/または脳脊髄液中での改善された安定性を有する。
ある態様において、センス鎖の3’−末端における最後から2〜8番目のヌクレオチドが、それらの対応するアンチセンス鎖ヌクレオチドとミスマッチである。
ある態様において、dsRNAが、初代細胞(primary cells)においてインターフェロン応答を誘導しない。
ある態様において、センス鎖のいずれかの末端および/またはアンチセンス鎖の3’−末端が、保護基によってブロックされている。
【0016】
ある態様において、保護基が、反転ヌクレオチド、反転脱塩基部分、またはアミノ末端修飾ヌクレオチドである。
ある態様において、反転ヌクレオチドが、反転デオキシヌクレオチドを含む。
ある態様において、反転脱塩基部分が、反転デオキシ脱塩基部分を含む。
ある態様において、反転デオキシ脱塩基部分が、3’,3’−連結または5’,5’−連結デオキシ脱塩基部分である。
ある態様において、センスおよび/またはアンチセンス鎖の末端の交互(alternating)ヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を含み、各2’−修飾リボース糖が、逆鎖上の非修飾ヌクレオチドと向き合う。
【0017】
ある態様において、最初の2’−修飾アンチセンスヌクレオチドが、最も5’−末端のアンチセンスヌクレオチドであるか、またはアンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドである。
ある態様において、標的遺伝子が、SOD1、PPIB、RIP140、PCSK9、TNFα、AP2(脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質)またはMAP4K4である。
ある態様において、2’−修飾リボースヌクレオチドの間のセンス鎖ヌクレオチドが、2’−F修飾である。
ある態様において、2’−修飾リボースヌクレオチドの間のセンス鎖ヌクレオチドが、プリンヌクレオチドであり、任意に2’−F修飾修飾および/またはホスホロチオエート結合を有する。
【0018】
ある態様において、2’−修飾リボースヌクレオチドの間のセンス鎖ヌクレオチドが、1または2以上の、各1〜5ヌクレオチドのバルジを形成する。
ある態様において、各一続きの2’−修飾リボース糖が、末端ヌクレオチド、末端ヌクレオチドから二番目のヌクレオチド、または末端ヌクレオチドから三番目のヌクレオチドから独立して開始される。
ある態様において、アンチセンス鎖のピリミジンヌクレオチドの50〜100%が、独立して2’−F修飾または2’−O−メチル修飾である。
ある態様において、アンチセンス鎖の5’−末端が、リン酸化されている。
【0019】
関連する側面において、本発明はまた、標的遺伝子の発現を阻害するためのRNAコンストラクトであって、該コンストラクトが、センス鎖上の単一ニック以外は主題のdsRNAと同一である、前記RNAコンストラクトを提供する。例えば、ニックは、アンチセンス鎖の5’末端から約10塩基のヌクレオチドの逆位置を占めてよい。ニックはまた、アンチセンス鎖の5’末端から約5〜15塩基のヌクレオチドの逆位置を占めてよい。ある態様において、各デュプレックス領域のΔGが、約−13kcal/モル未満である。
【0020】
本発明の別の側面は、主題のdsRNAの少なくとも1本の鎖(例として、非修飾のセンス鎖など)発現するベクターを提供する。
本発明の別の側面は、主題のベクターまたは主題のdsRNAを含む細胞を提供する。
ある態様において、細胞が、培養哺乳類細胞である。
ある態様において、細胞が、ヒト細胞である。
本発明の別の側面は、主題のdsRNA、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む組成物を提供する。
【0021】
本発明の別の側面は、哺乳類細胞において標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、哺乳類細胞と主題のdsRNAコンストラクトとを接触させることを含む、前記方法を提供する。
ある態様において、哺乳類細胞が、培養されている。
ある態様において、哺乳類細胞が、ヒト細胞である。
ある態様において、哺乳類細胞を、送達試薬の存在下で接触させる。
ある態様において、送達試薬が、脂質である。
ある態様において、脂質が、カチオン性脂質である。
ある態様において、送達試薬が、リポソームである。
【0022】
本発明の別の側面は、哺乳類細胞において標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、哺乳類細胞と、主題のdsRNAコンストラクトの鎖の少なくとも1つを発現するベクターとを接触させることを含む、前記方法を提供する。
本発明の別の側面は、短鎖干渉RNA(siRNA)の遺伝子サイレンシング効果を改善するための方法であって、siRNAのセンスおよび/またはアンチセンスヌクレオチドを修飾して、主題のdsRNAコンストラクトとすることを含む、前記方法を提供する。
本発明の別の側面は、siRNAコンストラクトの標的部位へのin vivo送達を評価する方法であって、siRNAコンストラクトとともにPPIBを標的とする主題のdsRNAコンストラクトを共送達し、標的部位におけるPPIB機能の阻害をアッセイすることを含み、ここでPPIB機能の標的部位における阻害の成功が、標的部位へのsiRNAコンストラクトのin vivo送達成功の指標となる、前記方法を提供する。
【0023】
本発明の別の側面は、表中に開示されたものおよび/またはSOD1もしくは他の特定の標的遺伝子に対するものなど、本明細書に開示されたあらゆるdsRNAに関する。
さらに、ここでおよび本明細書中のどこかで記載されたあらゆる態様は、適用可能な場合には他のあらゆる態様と組み合わせることができるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明のある修飾RNAiコンストラクト(簡潔化のために、代替RNAi化合物と称す)を示す。
【0025】
【図2】図2は、R1のsiRNAまたは代替RNAi化合物でトランスフェクションした24時間後のSOD1発現を図示する。
【0026】
【図3】図3は、SOD1のmRNAレベルを低減させる活性のある代替RNAi化合物の配列を示す。
【0027】
【図4】図4は、選択した標的部位についてのある代表的な代替RNAi化合物(例として、平滑末端を有し、センス鎖の各末端上に4つの2’OMeを有する25−mer)がマウスおよびヒトSOD1に対して有効であることを示す。
【0028】
【図5A】図5Aは、SOD1の代替RNAi化合物についての用量反応分析および50pM未満のEC50値を有する活性デュプレックスの同定を図示する。
【0029】
【図5B】図5Bは、ヒトHEK293細胞中のSOD1の代替RNAi化合物についての用量反応分析、および約50pMのEC50値を有する活性デュプレックスの同定を示す。
【0030】
【図5C】図5Cは、ネズミNIH3T3細胞中のSOD1の代替RNAi化合物についての用量反応分析、および約50pMのEC50値を有する活性デュプレックスの同定を示す。
【0031】
【図6A】図6Aは、siRNAまたは代替RNAi化合物でトランスフェクションした後の、ユビキタスタンパク質であるPPIB(シクロフィリンB)の発現量を示す。
【0032】
【図6B】図6Bは、ヒトHEK293細胞中のPPIBの代替RNAi化合物についての用量反応分析、ならびに25−merおよび27−merのEC50値がそれぞれ約25または約72pMである活性デュプレックスの同定を示す。
【0033】
【図6C】図6Cは、マウスNIH3T3細胞中のPPIBの代替RNAi化合物についての用量反応分析、ならびに25−merおよび27−merのEC50値がそれぞれ約200または約500pMである活性デュプレックスの同定を示す。
【0034】
【図7】図7は、センス鎖修飾を有する代替RNAi化合物の25−merがダイサー酵素によって切断されないことを実証する。
【0035】
【図8A】図8Aは、25−merのデュプレックスがRNAiサイレンシングAgo2複合体と会合することが見出されることを実証する。
【0036】
【図8B−8C】図8Bは、SOD1を標的とするRNAデュプレックスのガイド鎖についてのノーザンブロットを示す。図8Cは、c−myc Ago2を発現する293細胞のトランスフェクション後のSOD1発現量を示す。
【0037】
【図9A−9B】図9Aおよび9Bは、ダイサープロセシングされない21ntより長いデュプレックスのための、アンチセンス鎖の5’−末端から10ntにある一律(uniform)の切断箇所を示す。合成基質を、試験されたRNAデュプレックスについての標的配列を含むSOD1遺伝子の50nt領域に相当するように、化学的に合成した。図9Aは、合成基質ならびに予想切断箇所および産物の概略図である。図9B中では、SOD1を標的とするRNAデュプレックスを、c−myc Ago2を発現する293細胞へと、方法欄に記載のようにトランスフェクトした。細胞を採取、溶解し、c−myc Ago2を免疫沈降し、緩衝液中で再構成した。免疫沈降物を50ntの32−P−標識化合成基質とともに30℃で2時間、方法欄に記載のように、インキュベートした。2時間のインキュベート後、サンプルをサイズマーカー(下線で表示される)と並べて変性ポリアクリルアミドゲルにロードした。サンプルのアルファベット表記は、パネルAの概略に示される以下のデュプレックスに相当する。A=非修飾19−bp+2ntのsiRNA、B=非修飾25−bpデュプレックス、C=4/4 2’OMeを有する25−bpデュプレックス、D=4/4 2’OMeを有する25−bpデュプレックス、E=ルシフェラーゼ対照デュプレックス。
【0038】
【図10A】図10Aは、広範な化学的修飾分析のために用いた二つの代表的な配列、ID番号10015および10023を示す。
【0039】
【図10B】図10Bは、それぞれセンス鎖についての修飾化学構造ID(001、002、003等)およびアンチセンス鎖についての修飾化学構造ID(011、012、013等)を列挙し、設計されたおよび/または試験された全ての25−merについての各ヌクレオチド位置における修飾の詳細な概要をID毎に示している。
【0040】
【図11】図11は、センス鎖およびアンチセンス鎖上の修飾タイプに依存するSOD1のmRNAレベル低減の変動度合いを図示する。
【0041】
【図12A】図12Aは、センス鎖のみにおける2’OMe位置の変動の関数として、SOD1発現の抑制についてのデュプレックスの相対活性を示す。各デュプレックスはID番号10015または10023の配列に基づく。
【0042】
【図12B−12C】図12BおよびCは、センス鎖のみにおける2’OMe位置の変動の関数として、SOD1発現の抑制についてのデュプレックスの相対活性を示す。各デュプレックスはID番号10015または10023の配列に基づく。
【0043】
【図13A】図13Aは、示される多様なアンチセンス鎖化学構造(011、013、042等。図11Bを参照のこと)との組合せにおいて、センス鎖における2’OMe位置の変動に応じた、SOD1発現の抑制についてのデュプレックスの相対活性を示す。
【0044】
【図13B】図13Bは、示される多様なアンチセンス鎖化学構造(011、013、042等。図11Bを参照のこと)との組合せにおいて、センス鎖における2’OMe位置の変動に応じた、SOD1発現の抑制についてのデュプレックスの相対活性を示す。
【0045】
【図13C】図13Cは、示される多様なアンチセンス鎖化学構造(011、013、042等。図11Bを参照のこと)との組合せにおいて、センス鎖における2’OMe位置の変動に応じた、SOD1発現の抑制についてのデュプレックスの相対活性を示す。
【0046】
【図13D】図13Dは、示される多様なアンチセンス鎖化学構造(011、013、042等。図11Bを参照のこと)との組合せにおいて、センス鎖における2’OMe位置の変動に応じた、SOD1発現の抑制についてのデュプレックスの相対活性を示す。
【0047】
【図14A】図14Aは、示されるような各デュプレックス上の修飾の結果としての、血清および/または脳脊髄液におけるデュプレックスの安定性の改善を実証する。
【0048】
【図14B】図14Bは、示されるような各デュプレックス上の修飾の結果としての、血清および/または脳脊髄液におけるデュプレックスの安定性の改善を実証する。
【0049】
【図15A】図15Aは、21−bp以上のデュプレックスでのRNAi活性にダイサーは必要とされないことを実証する。バーは、bDNAハイブリダイゼーションアッセイによって測定されたトランスフェクション48時間後のSOD1のmRNAレベルを表す。3つのデュプレックスについてのSOD1のmRNA低減データが示されている;19−bp+2ntのsiRNA(白いバー)、非修飾(0/0)25−bpデュプレックス(黒いバー)、および「4/4」2’OMe25−bpデュプレックス(縞のバー)。
【図15B】図15Bは、本研究で用いた配列を示す。
【0050】
【図16A】図16Aは、図15Aの観察と類似して、27bpデュプレックスでのRNAi活性にダイサーは必要とされないことを示す。バーは、bDNAハイブリダイゼーションアッセイによって測定した、トランスフェクション48時間後のPPIBのmRNAレベルを表す。白いバーは19−bp+2ntのsiRNA、点状のバーは非修飾25−bpデュプレックス、黒いバーは2’OMe化学構造を有する25−bpデュプレックス、そして縞のバーは2’OMe化学構造を有する27−bpデュプレックスである。
【図16B】図16Bは配列を示す。
【0051】
【図17A−17B】図17AおよびBは、2’−O−Me修飾が、siRNAへの21ntより大きなRNAデュプレックスのダイサー酵素プロセシングを、抑制および阻害することを示す。図17Aは、SOD1を標的とするRNAデュプレックスへ適用した化学的修飾の概略図である。デュプレックス中の「R」は、通常のまたは2’位置修飾を有しない非修飾のRNAヌクレオチドを表す。「M」は、RNAのヌクレオチドの2’位置へのO−メチル修飾を表す。特に記さない限り、ほとんどのヌクレオチド修飾をパッセンジャー鎖に配置する。 図17Bは、本明細書中に記載のように組換ヒトダイサー酵素とともに一晩インキュベーションした後の、RNAデュプレックスのTBE−ポリアクリルアミドゲルである。レーンMは、サイズ(上から下)が25−bp、21−bp、17−bpであるsiRNAマーカーを指す。
【0052】
【図17C】図17Cは、2’−O−Me修飾が、siRNAへの21nt以上のRNAデュプレックスのダイサー酵素プロセシングを、抑制および阻害することを示す。図17Cは、「2/2」2’−O−Me化学構造を有する25−bpRNAデュプレックスのプロセシングの定量を示す。部分的にプロセシングされたバンドの密度をLabWorks softwareを用いて定量した。
【0053】
【図17D−17E】図17DおよびEは、2’−O−Me修飾が、siRNAへの21nt以上のRNAデュプレックスのダイサー酵素プロセシングを、抑制および阻害することを示す。図17Dは、本明細書中に記載のように組換ヒトダイサー酵素とともに一晩インキュベーションした後の、デュプレックスの各末端上に異なる組合せの(4)2’−O−Meを有するRNAデュプレックスのTBE−ポリアクリルアミドゲルである。図17Eは、SOD1遺伝子中の異なる配列を標的とする2’−O−Me修飾された25−bpデュプレックスにより得られた類似の結果を示す。
【0054】
表1は、SOD1およびPPIBに対する代替RNAi化合物の配列を提供する。全配列名を、遺伝子名−開始部位―長さ―代替RNAi化合物ID番号で表す。「P」は5’リン酸塩を表す一方、「m」は2’O−メチル塩基修飾を表す。「F」は2’フルオロ基塩修飾を表す。「*」はホスホチオエート骨格結合を意味する一方、「.」は通常のRNA骨格結合を表す。
【0055】
表2は、SOD1に対する追加の代替RNAi化合物の配列を提供する。表1中で用いた表記法は表2へ適用する。
【0056】
表3は、RNAデュプレックスのリストである。一本鎖RNAまたはデュプレックスRNAを化学的に合成して、方法欄に記載のようにアニールした。「G」=グアニン、「U」=ウラシル、「C」=シトシン、「A」=アデニン、「m」=2’Oメチル塩基修飾、「.」=通常のRNA骨格結合。方向性は、PS=パッセンジャーまたはセンス鎖、GS=ガイドまたはアンチセンス鎖、として表す。括弧内の数字は、デュプレックス追跡のための内部配列データベース番号に対応する。
【0057】
表4は、上記の一部の図におけるRNAデュプレックスのリストである。一本鎖RNAまたはデュプレックスRNAを化学的に合成して、方法欄に記載のようにアニールした。「G」=グアニン、「U」=ウラシル、「C」=シトシン、「A」=アデニン、「m」=2’Oメチル塩基修飾されたもの、「.」=通常のRNA結合。方向性は、PS=パッセンジャーまたはセンス鎖、GS=ガイドまたはアンチセンス鎖、として表す。括弧内の数字は、デュプレックス追跡のための内部配列データベース番号に対応する。
【0058】
表5は、RNAサイズマーカーおよび切断アッセイで用いた合成基質のリストである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
1.概説
本発明は、あるより長いdsRNA(例として、21塩基対を超える二本鎖領域を有するもの)が、センス鎖が修飾された(例として、センス鎖の両末端が例えば2’−O−メチル基によって)場合に、ダイサーまたは他のダイサー様RNAseIIIによって切断されず、かかるdsRNAのアンチセンス鎖が、該アンチセンス鎖の5’−末端が21マー(すなわちダイサー切断産物)の5’末端と並んだ状態でRISC複合体に取り込まれ得るという驚くべき発見に部分的に基づいている。先行技術が、化合物がダイサーの基質を形成する場合、RNAi化合物活性は(siRNAと比較して)増大すると教示しているにもかかわらず、本出願人らは実際に、ダイサーの基質ではない非常に活性なRNAi化合物を見出した。本発明はまた、かかるより長いアンチセンス(ガイド)鎖を取り込んだRISC複合体が、標的mRNAを、アンチセンス(ガイド)配列の5’−末端から10番目および11番目のヌクレオチドの間の位置に対応する単一位置で切断するものであるという発見に部分的に基づいている。
【0060】
本出願人らの発見が直接的に意味することは、かかるより長いdsRNAのアンチセンス鎖は単一種の活性RNAi試薬となり、したがってより高い標的特異性、より明確な生物学的活性および/または薬理学的特性を有したRNAi試薬または治療薬の開発を促進することである。
さらに、より長いdsRNAがダイサー切断に対して抵抗性であるように操作することができるという知識、およびダイサー抵抗性アンチセンス鎖が定義された場所でRISC複合体に取り込まれて単一種の活性RNAi試薬を創造することができるという知識により、人はセンスおよび/またはアンチセンス鎖に付加的な特徴または修飾を施し、RNAi試薬または治療薬の特性を改善することができる。特に、5’−末端に関するガイド鎖中の修飾位置を今や定義することができ、この位置がかかる修飾RNAi化合物の特異性および活性の定義に重要である。
【0061】
代表的な標的遺伝子スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)を用いて、本出願人らは幾多のセンスおよびアンチセンス修飾およびその組み合わせを設計および試験して、長いdsRNAをダイサー抵抗性にし、その上効果的な標的遺伝子サイレンシングおよび/または多くの他の付随する利益を提供する複数の特異的修飾を同定した。
【0062】
したがって1つの側面において、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49(好ましくは19〜49)ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれにおける1または2以上のヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を有する、および(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、該アンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドにおいて、2’−修飾リボース糖を含む、を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトを提供する。
【0063】
ある態様において、アンチセンス鎖が非修飾である。他の態様において、アンチセンス鎖が、該アンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドに2’−修飾リボース糖を含む。
本明細書で用いられる場合、「2’−修飾リボース糖」は、2’−OH基を有さないリボース糖を含む。例えば、2’−修飾リボース糖は2’−O−アルキルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシヌクレオチド、2’−H(デオキシリボヌクレオチド)、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0064】
ある態様において、上述のアンチセンス修飾を有する本発明のdsRNAは、特定のアンチセンス修飾を有さない類似のコンストラクトと比較して、顕著に(例として、少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%またはそれ以上)低い「オフターゲット」遺伝子サイレンシングを示し、したがって全体的にRNAi試薬または治療薬の特異性を大きく改善する。
【0065】
本明細書で用いられる場合、「オフターゲット」遺伝子サイレンシングは、例えばアンチセンス(ガイド)配列と意図しない標的mRNA配列との間の誤った(spurious)配列ホモロジーに起因する、意図しない遺伝子サイレンシングをいう。
【0066】
別の側面において、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49(好ましくは19〜49)ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれにおける1または2以上のヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を有する、および(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、該アンチセンス鎖の3’−末端において、(i)非加水分解性のヌクレオチド間結合を有する少なくとも4つの連続した2’−修飾リボース糖(ii)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個の2’−修飾リボース糖、好ましくは2’−O−メチル修飾リボース糖、または(iii)保護基を含む、を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトを提供する。
【0067】
本発明のこの側面によれば、あるアンチセンス修飾は、顕著にRNAi活性を低減することなく(またはRNAi活性を全く低減させずに)、さらにヌクレアーゼ安定性を増大し、および/またはインターフェロン誘導をより低める。
【0068】
別の側面において、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれにおける1または2以上のヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を有し、該センス鎖が、該センス鎖の3’−末端から2番目のヌクレオチドにおいてミスマッチヌクレオチドを含む、および(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトを提供する。
【0069】
本発明のこの側面によれば、センス鎖の3’−末端におけるあるミスマッチが、該アンチセンス鎖のRISC複合体へのより効果的な取り込みを可能にし、したがって、より強力なRNAi活性を導く。好ましいかかるセンス鎖ミスマッチは、センス鎖の最後から2番目のヌクレオチド(RISC複合体中のダイサー抵抗性アンチセンス鎖の2番目のヌクレオチドと塩基対を形成するもの)、およびセンス鎖の最も3’−末端側のヌクレオチドを除く最も3’−末端側の9ヌクレオチドを含む。
【0070】
異なるセンスおよび/またはアンチセンス鎖修飾など、本発明の異なる特徴は、他に示された場合を除いて、従来のsiRNAコンストラクトに対する複数の利点または特徴を有するRNAiコンストラクトを創造するために組み合わされてよい。
例えば、本発明の全ての適用可能な側面について、アンチセンス鎖は、2’−O−メチル修飾ヌクレオチドなどの2’−修飾リボース糖を、該アンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドに含んでよく、好ましくは他の修飾ヌクレオチドを含まない。かかる修飾を有するdsRNAは、前記位置に2’−O−メチル修飾を有さない類似のコンストラクトと比較して、増強された標的特異性または減少したオフターゲットサイレンシングを有する。
【0071】
本発明の全ての適用可能な側面について、アンチセンス鎖は少なくとも4つ一続きの、2’−O−メチル修飾などの2’−修飾リボース糖、ホスホチオエート結合などの非加水分解性ヌクレオチド間結合を有する3’−末端ヌクレオチドを含んでよい。
本発明の全ての適用可能な側面について、dsRNAは、センス鎖の3’−末端の10番目と11番目のヌクレオチドの間の単一部位において、RISCによって切断されてよい。
【0072】
本発明の全ての適用可能な側面について、25マーの5’−末端の12ヌクレオチドおよび3’−末端の10ヌクレオチドは2’−修飾リボース糖であってよい。修飾塩基の数は、コンストラクトの全体的な長さに依存して調整してよい。例えば、27マーについて、5’−末端の12〜14ヌクレオチドおよび3’−末端の10〜12ヌクレオチドは2’−修飾ヌクレオチドであってもよい、などである。
【0073】
本発明の全ての適用可能な側面について、dsRNAは、センス鎖の3’−末端から2番目のヌクレオチドにおいてミスマッチヌクレオチドを含んでよい。
特定のアンチセンスおよびセンス鎖修飾のある組み合わせは、標的遺伝子発現を阻害する増強された能力、増強された血清安定性、および/または増大した標的特異性などによって部分的に明らかにされたように、予測できない利点となり得る。
【0074】
したがって、別の側面において、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49(好ましくは19〜49)ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで、該センス鎖の前記5’−および3’−末端に4つの連続した2’−O−メチルヌクレオチドが存在し、(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、(a)ホスホチオエート結合を有する4つの連続した2’−O−メチル修飾3’−末端ヌクレオチドを含む、または(b)5’−末端から2番目のヌクレオチドに2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを含み、他の修飾ヌクレオチドを含まない、を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトを提供する。
【0075】
別の側面において、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49(好ましくは19〜49)ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで、12および10の連続した2’−O−メチルヌクレオチドをそれぞれ5’−末端および3’−末端に含む、および、(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、(a)非修飾である、(b)ホスホチオエート結合を有する4つの連続した2’−O−メチル修飾3’−末端ヌクレオチドを含む、または(c)5’−末端から2番目のヌクレオチドに2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを含み、他の修飾ヌクレオチドを含まない、を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクトを提供する。
【0076】
ある態様において、主題のdsRNAのアンチセンス鎖が、アンチセンス鎖の5’−末端から10番目および11番目のヌクレオチドの間の単一部位における、標的遺伝子の転写産物の一様な切断を導く。
ある態様において、dsRNAのセンス鎖が、該センス鎖の3’−末端から10番目および11番目のヌクレオチドの間の単一部位において、RISCによって切断可能である。
【0077】
本発明のこの態様によれば、あるセンス鎖配列は、等価なmRNAが切断される部位において、ダイサー抵抗性ガイド配列を取り込んだRISC複合体によって切断され得る。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、これは1つにはセンス鎖が標的mRNAと同一のまたは類似の配列を共有することが理由である。したがって、主題のdsRNAコンストラクトは、10番目および11番目の3’−末端ヌクレオチドの間で切断され得るセンス鎖を有するものを含む。
【0078】
本発明のコンストラクトは異なる長さを有していてもよい。ある態様において、好ましい長さのコンストラクトは12〜35、または12〜49、好ましくは19〜49ヌクレオチドの長さである。ある態様において、コンストラクトの長さは、22ヌクレオチドの長さより長いかまたは同じである。ある態様において、コンストラクトの長さは、25ヌクレオチドの長さより長いかまたは同じである。ある態様において、コンストラクトの長さは、26、27、28、29、30、または31〜49ヌクレオチドの長さである。長さの下限がダイサー基質にとっての最短の長さであり、上限が一般的に標的細胞においてPKR応答を惹起しない長さである限り、他の長さもまた可能である。ある態様において、修飾は、より長い長さ(50、60、70、80、90、100bpなど)が許容され得るように、上限を変化させ得る。
【0079】
ある態様において、dsRNAコンストラクトは平滑末端である。他の態様において、1〜4ヌクレオチドの5’−および/または3’−末端オーバーハングが1つのまたは両方の鎖に存在する。
25マーコンストラクトについて、センス鎖の各末端が、独立して、4〜16個の2’−修飾ヌクレオチドおよび/または非加水分解性結合(例として、ホスホチオエート結合)を含んでよい。修飾塩基の数はコンストラクトの全体的な長さに依存して調整されてよい。例えば27マーについて、センス鎖の各末端が、独立して、4〜18個の2’−修飾ヌクレオチドおよび/またはホスホチオエート結合を含んでよい、などである。
【0080】
ある態様において、センス鎖の5’−末端の12ヌクレオチドおよび3’−末端の10ヌクレオチドが2’−修飾リボース糖である。
ある態様において、センス鎖の各末端は同じ数または異なる数の2’−修飾リボース糖を有してよいが、各末端が一続きの2’−修飾リボース糖を含む。
ある態様において、センス鎖の各末端が4つ一続きの2’−修飾リボース糖を含む。
【0081】
ある態様において、アンチセンス鎖が、非連続的な2’−修飾リボース糖を含み、ここで10番目および11番目のアンチセンスヌクレオチドが修飾されていない。例えば、アンチセンス鎖は、各2、3、4、5、6、7、8または9ヌクレオチドの2’−修飾リボース糖を含んでよい。アンチセンス鎖上の最も5’−末端側の2’−修飾リボース糖は、2番目のヌクレオチド、または最初のヌクレオチドであってよい。
【0082】
ある態様において、2’−修飾ヌクレオチドが、2’−O−アルキルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシヌクレオチド、2’−H−(デオキシリボヌクレオチド)またはそれらの組み合わせである。
ある態様において、2’−修飾ヌクレオチドが、ピリミジンヌクレオチド(例として、C/U)である。
例えば、2’−O−メチルヌクレオチド、または2’−O−アリルヌクレオチドであってよい。
【0083】
ある態様において、アンチセンス鎖が、該アンチセンス鎖の5’−末端の2番目に2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを含み、他の修飾ヌクレオチドを含まない。
ある態様において、修飾dsRNAが、同一の配列を有する非修飾のdsRNAと比較して、血清および/または脳脊髄液中での改善された安定性を有し得る。
ある態様において、dsRNAが、2’−修飾を前記の位置に含まない類似のコンストラクトと比較して、増強された標的特異性または減少したオフターゲットサイレンシングを有する。
【0084】
ある態様において、アンチセンス鎖が、ホスホチオエート結合を有する少なくとも4つの連続した2’−O−メチル修飾3’−末端ヌクレオチドを含む。
ある態様において、dsRNAのセンス鎖が、センス鎖の3’−末端から2番目のヌクレオチドにおいて、ミスマッチヌクレオチドを含む。
ある態様において、センス鎖の3’−末端における最後から2〜8番目のヌクレオチドが、それらの対応するアンチセンス鎖ヌクレオチドとミスマッチである。
【0085】
ある態様において、dsRNAが、ヒト、マウスおよび他の齧歯類、ならびに他の非ヒト哺乳類からの初代細胞を含む、哺乳類初代細胞などの初代細胞において、インターフェロン応答を誘導しない。
ある態様において、dsRNAが、無脊椎動物中の標的遺伝子の発現を阻害するために用いられてもよい。
ある態様において、5’−末端から10番目および11番目のアンチセンスヌクレオチドが修飾されていない。
【0086】
in vivoでの主題のコンストラクトの安定性をさらに増大させるため、センス鎖のいずれかの末端および/またはアンチセンス鎖の3’−末端が、保護基によってブロックされていてよい。例えば、反転ヌクレオチド(inverted nucleotide)、反転脱塩基部分(inverted abasic moieties)、またはアミノ末端修飾ヌクレオチドなどの保護基を用いてよい。反転ヌクレオチドは、反転デオキシヌクレオチドを含んでよい。反転脱塩基部分は、3’,3’−連結または5’,5’−連結デオキシ脱塩基部分などの反転デオキシ脱塩基部分を含んでよい。
【0087】
ある態様において、センスおよび/またはアンチセンス鎖の末端の交互ヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を含み、各2’−修飾リボース糖が、逆鎖上の非修飾のヌクレオチドと向き合う。ある態様において、最初の2’−修飾アンチセンスヌクレオチドが、最も5’−末端のアンチセンスヌクレオチドであるか、またはアンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドである。
【0088】
ある態様において、本明細書に記載されたあらゆる代替的RNAi化合物と同一のまたは類似の構造を有するが、ダイサー切断に対して抵抗性でない点で異なるRNAiコンストラクトもまた、それぞれの意図された標的(例として、mRNA)に対して高い活性を示す限り、望ましい。
【0089】
ある態様において、主題の二本鎖RNAが、1または2以上の点において化学的に相互連結されていてよく、あるいは1または両方の末端においてヌクレオチドループ構造によって連結(例として、一本鎖ヘアピン構造または環状構造)されていてよい。1つの態様において、化学的な相互連結またはヘアピン構造のループが、アンチセンス鎖の3’−末端にある(例として、アンチセンス鎖の3’−末端をセンス鎖の5’−末端に連結する)。別の態様において、化学的な相互連結またはヘアピン構造のループが、アンチセンス鎖の5’−末端にある(例として、センス鎖の3’−末端をアンチセンス鎖の5’−末端に連結する)。これらの態様において、センス鎖上の5’−末端および3’−末端修飾および/またはアンチセンス鎖上の他の修飾などの、相互連結またはループしたコンストラクトの他の構造的特長は、本明細書に記載されたdsRNAのものと本質的に同一である。
【0090】
本発明の二本鎖および/またはデュプレックス(duplex)オリゴヌクレオチドコンストラクトは、標的遺伝子によってコードされるあらゆる標的タンパク質の合成を阻害することができる。本発明は、in vitroまたはin vivoいずれかで標的遺伝子の発現を阻害する方法を含む。標的遺伝子は、細胞に対して内因性のものでも外因性のもの(例として、ウィルスによりまたは組換えDNA技術を用いて細胞に導入される)でもあり得る。かかる方法は、標的遺伝子の発現を阻害するために十分な量の、RNAの細胞内への導入を含んでよく、ここでRNAは二本鎖デュプレックスである。例示の目的で、かかるRNA分子は標的遺伝子のヌクレオチド配列に対応するリボヌクレオチド配列を有する第一の鎖、および標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的なリボヌクレオチド配列を有する第二の鎖を有してよく、ここで、第一および第二の鎖は別々の相補的な鎖であり、デュプレックス組成物が標的遺伝子の発現を阻害するように、それらが互いにハイブリダイズして前記二本鎖分子を形成する。本発明の一般的な原則を解説するために本出願において広く用いられている代表的な(しかし限定するものではない)標的遺伝子は、ごく一部を挙げると、SOD1、PPIB、RIP140、PCSK9、TNFα、AP2(脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質、またはMAP4K4を含む。
【0091】
いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、RNAiの実体の「センス」鎖上の2’−O−メチルブロック領域(センス鎖の末端部分における領域など)の存在は、かかる修飾のないコンストラクトと比較して、安定性、特異性を顕著に増大し、免疫応答を最小化する。いくつかの場合において、アンチセンス鎖に対して修飾を適用することによってRNAiデュプレックスの安定性をさらに増大することは、より有益であり得る。特に、いくつかの好ましい化学修飾パターンは、含有するCおよびUの大部分が2’−O−メチルによって修飾されているか、または含有するCおよびUの大部分が2’Fによって修飾されているアンチセンス鎖を含んでよい。いくつかの場合において、アンチセンス鎖は数個の化学修飾の混合によって修飾されてもよい。
【0092】
ある態様において、重度に修飾されたアンチセンス鎖は、キナーゼにとってよい基質ではない可能性がある。したがって、この問題を緩和するためにアンチセンス鎖の化学的リン酸化を用いてよい。加えて、いくつかの好ましい配列は、センス鎖の非修飾領域にプリンヌクレオチド(すなわちAおよびG)のみを含んでよく、または/および2’−Fもしくはホスホロチオエート(PS)を含んでいてよい。いくつかの場合において、2’−O−メチルおよび2’Fと組み合わせたPS修飾の追加の導入が好ましいだろう。
【0093】
いくつかの場合において、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方の修飾が、コンストラクトの最大の安定性を達成するのに好ましい。重度に修飾されたデュプレックスは時としてRISC会合体にとって粗悪な基質であるので、いくつかの好ましい態様において、1つまたは複数のバルジ(例として、サイズにして約1〜5つのヌクレオチド)が、RISC移行(entry)および効力に必要であるかまたは少なくとも有用であり得る。
【0094】
いくつかの他の態様において、重度に修飾されたデュプレックスは、センス鎖に単一ニックを含んでよい。好ましいニック位置は、アンチセンス鎖の5’末端から10bpの逆鎖上であってよい。いくつかの態様において、ニックは上述の好ましい位置(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端から10bpの逆鎖上)から5bp以内に位置することができる。いくつかの態様において、デュプレックス安定性を提供する追加の化学的修飾が、主題のコンストラクトに適用されてよい。いくつかの態様において、配列は、例として各デュプレックス領域のΔGが−13kcal/モルとなるなどの、熱力学的特徴を有するように選択されてよい。
【0095】
したがって、ある態様において、本発明のコンストラクトは、ある修飾をセンス/パッセンジャー鎖またはアンチセンス/ガイド鎖のいずれか、あるいは両方に含んでよく、ある利点をコンストラクトに付与してよい。
例えば、ある態様において、2’−修飾ヌクレオチドの間のセンス鎖ヌクレオチド(例として、センス鎖の中央部分または一続きの部分)が2’−F修飾である。代替的にまたはそれに加えて、センス鎖の同一の部分が、それぞれ約1〜5ヌクレオチドのバルジなど、1または2以上のバルジを形成してもよい。
【0096】
本明細書で用いられる場合、一続きの2’−修飾リボースヌクレオチドは、かかる一続きの部分が好ましくは末端ヌクレオチドから開始されても、5’−末端または3’−末端から開始される必要はない。したがって、ある態様において、一続きの2’−修飾リボースヌクレオチドは、独立して、末端ヌクレオチド、末端ヌクレオチドから二番目のヌクレオチド、末端ヌクレオチドから三番目のヌクレオチドなどから開始される。
【0097】
ある態様においてアンチセンス鎖の5’−末端はリン酸化されていてよい。
ある関連した態様において、本発明はまた、標的遺伝子の発現を阻害するためのRNAコンストラクト、ここで該コンストラクトのセンス鎖上の単一ニック以外は上述の任意のdsRNAと同一である、を提供する。したがって、これらの態様において、RNAコンストラクトは実際のところ、ハイブリダイゼーションによって、二本鎖構造を形成する3つのポリヌクレオチドを含む。アンチセンス鎖は一本鎖ポリヌクレオチドであり、一方で他の2つのポリヌクレオチドは両方ともアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズし、本明細書に記載された他の任意のdsRNAコンストラクトに対応する「センス鎖」を形成する。
【0098】
ニックの場所は、この態様において異なってよい。例えば、ニックが、アンチセンス鎖の5’末端から約10塩基のヌクレオチドの逆位置を占めてもよい。代替的に、ニックはこの位置から5ヌクレオチド以内(例として、アンチセンス鎖の5’末端から約5〜15塩基のヌクレオチドの逆位置を占める)であってよい。このタイプのコンストラクト中の二本鎖領域の配列は、各デュプレックス領域のΔGが約−13kcal/モル未満となるように選択されてもよい。
【0099】
本発明はまた、主題のdsRNAコンストラクトの少なくとも1本の鎖を発現するベクター、およびかかるベクターまたは主題のdsRNAコンストラクトを含む細胞に関する。細胞は、ヒト細胞などの、培養哺乳類細胞であってよい。
本発明はさらに、主題のdsRNA、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む組成物に関する。
【0100】
本発明の別の側面は、哺乳類細胞において標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、哺乳類細胞と、任意の主題のdsRNAコンストラクトとを接触させることを含む、前記方法を提供する。
本方法は、例えば培養ヒト細胞などの培養哺乳類細胞において、in vitroまたはin vivoで行われてよい。
標的細胞(例として、哺乳類細胞)は、脂質(例としてカチオン性脂質)またはリポソームなどの送達試薬の存在下で接触させてよい。
【0101】
本発明の別の側面は、哺乳類細胞において標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、哺乳類細胞と主題のdsRNAコンストラクトの少なくとも1つの鎖を発現するベクターとを接触させることを含む、前記方法を提供する。
本発明の別の側面は、短鎖干渉RNA(siRNA)の遺伝子サイレンシング効果を改良するための方法であって、siRNAのセンスおよび/またはアンチセンスヌクレオチドを修飾して、主題のdsRNAコンストラクトとすることを含む、前記方法を提供する。
【0102】
本発明の別の側面は、siRNAコンストラクトの標的部位へのin vivo送達を評価する方法であって、siRNAコンストラクトとともに、ほとんど全ての組織において普遍的に発現するユビキタス遺伝子であるPPIBを標的とする主題のdsRNAコンストラクトを共送達し、標的部位におけるPPIB機能の阻害をアッセイすることを含み、ここでPPIB機能の標的部位における成功裡の阻害が、標的部位へのsiRNAコンストラクトのin vivo送達成功の指標となる、前記方法を提供する。
本発明のより詳細な側面は、以下のセクションにおいて記載される。
【0103】
II.デュプレックス構造
デュプレックスの特徴
本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、2つの別々の相補的核酸鎖によって形成されてよい。デュプレックス形成は標的遺伝子を含む細胞の内側または外側で起こり得る。
本明細書で使用される場合、「二本鎖」という語は、少なくともヌクレオモノマーの一部が相補的であり、水素結合してデュプレックスを形成する分子の領域を含む1または2以上の核酸分子を含む。
【0104】
本明細書で使用される場合、「デュプレックス(duplex)」という語は、相補的配列と水素結合する二本鎖の核酸分子の領域を含む。本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子に対してセンスであるヌクレオチド配列および標的遺伝子に対してアンチセンスである相補配列を含んでよい。センスおよびアンチセンスヌクレオチド配列は、標的遺伝子配列に相当し、例として、同一または標的遺伝子に対して標的遺伝子阻害をもたらすのに十分に同一(例として、少なくとも約98%同一、96%同一、94%、90%同一、85%同一または80%同一)である。
【0105】
ある態様において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、その全長にわたって二本鎖である、すなわちオーバーハングする一本鎖配列をどちらの両端にも有さず、すなわち平滑末端である。他の態様において、個々の核酸分子が異なる長さであり得る。言い換えれば、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、その全長にわたって二本鎖ではない。例えば、二つの別々の核酸分子が用いられる場合、1つの核酸分子、例としてアンチセンス鎖を含む第一の分子、はそれにハイブリダイズする第二の分子よりも長いものであり得る(分子の一部分が一本鎖のまま)。同様に、単一の核酸分子が用いられる場合、いずれかの末端における分子の一部分が一本鎖のままであり得る。
【0106】
1つの態様において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドはミスマッチおよび/またはループもしくはバルジを含むが、オリゴヌクレオチドの長さの少なくとも約70%にわたって二本鎖となっている。別の態様において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの長さの少なくとも約80%にわたって二本鎖となっている。別の態様において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの長さの少なくとも約90%〜95%にわたって二本鎖となっている。別の態様において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの長さの少なくとも約96%〜98%にわたって二本鎖となっている。ある態様において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくともまたは最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15のミスマッチを含む。
【0107】
修飾
本発明のヌクレオチドは、糖部分、ホスホジエステル結合および/または塩基を含む様々な場所で修飾されていてよい。
糖部分は、例としてモノサッカライド(ペントース、例としてリボース、デオキシリボース、など)、天然の非修飾糖、修飾糖および糖アナログを含む。一般的に、ヌクレオモノマー、特に糖部分、の可能な修飾は、例えば1または2以上のヒドロキシル基のハロゲン、ヘテロ原子、脂肪族基との置き換え、またはヒドロキシル基のエーテル、アミン、チオールなどとしての官能化を含む。
【0108】
1つの特に有用な修飾ヌクレオモノマーのグループは、2’−O−メチルヌクレオチドである。かかる2’−O−メチルヌクレオチドは、「メチル化」と呼ぶこともでき、対応するヌクレオチドは、非メチル化ヌクレオチドからアルキル化により、またはメチル化されたヌクレオチド試薬から直接作られてよい。修飾ヌクレオチドを非修飾ヌクレオチドと組み合わせて用いてもよい。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドはメチル化および非メチル化ヌクレオモノマーを両方含んでよい。
【0109】
いくつかの代表的な修飾ヌクレオモノマーは、糖または主骨格修飾リボヌクレオチドを含む。修飾リボヌクレオチドは、5’−位で修飾されたウラジンまたはシチジン、例として5’−(2−アミノ)プロピルウラジンおよび5’−ブロモウラジン;8−位で修飾されたアデノシンおよびグアノシン、例として8−ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例として7−デアザ−アデノシン;およびN−アルキル化ヌクレオチド、例としてN6−メチルアデノシンなどの非天然の塩基(天然塩基の代わりに)を含んでよい。また、糖修飾リボヌクレオチドは、H、アルコキシ(またはOR)、Rまたはアルキル、ハロゲン、SH、SR、アミノ(NH、NHR、NRなど)またはCN基、ここでRは低級アルキル、アルケニル、またはアルキニルである、で置き換えられた2’−OH基を有してよい。
【0110】
修飾リボヌクレオチドはまた、修飾基によって置換された隣接リボヌクレオチドと接続するリン酸エステル基、例としてホスホチオエート基、を有していてもよい。より一般的には、様々なヌクレオチド修飾が組み合わされてよい。
【0111】
1つの態様において、センスオリゴマーは、2’−修飾を末端に有してもよい(例として、各末端に2つ、各末端に3つ、および各末端に4つなど;同様に1つの末端に1つ、1つの末端に2つ、1つの末端に3つ、および1つの末端に4つ;ならびにさらに、1つの末端に12個および他の末端に10個などの、アンバランスな組み合わせ)。同様に、アンチセンス鎖は2’−修飾を末端に有してもよい(例として、各末端に2つ、各末端に3つ、および各末端に4つなど;同様に1つの末端に1つ、1つの末端に2つ、1つの末端に3つ、および1つの末端に4つ;ならびにさらに、1つの末端に1個および他の末端に2個などの、アンバランスな組み合わせ)。好ましい側面において、2’−修飾は、センスRNA鎖および/またはアンチセンス鎖における2’−O−メチル修飾である。
【0112】
本発明によれば、センス鎖は、中央の連結が非修飾である限り、多くの2’−修飾(2’−O−メチル修飾など)を許容し得る。本明細書で用いられる場合、「中央」は、センス鎖の幾何学的な中央点を意味するとは限定されない。むしろ、センス鎖の5’−末端部および3’−末端部の間の任意の場所を含み得る。センス鎖の5’−末端部および3’−末端部は、対称的である必要はない。
【0113】
したがって、ある態様において、センス鎖は完全には修飾されていない(すなわち、少なくとも1または2以上のセンス鎖ヌクレオチドが非修飾である)。ある態様において、非修飾のセンス鎖ヌクレオチドがセンス鎖の中央部にあり、または5’−末端上の一続きの修飾センス鎖ヌクレオチドおよび3’−末端上の一続きの修飾センス鎖ヌクレオチドの間にある。
【0114】
また本発明によれば、センス鎖の2’−修飾についての許容性は、必ずしも対称的でなくてよい。むしろ、非対称の形状は、例えば25または26ヌクレオチドのセンス鎖を使用する場合に望ましいことがある。2’−修飾はヌクレアーゼ安定性を付与し、およびインターフェロン誘導を低減し、および合成が容易である。したがって、本発明の教示がRNAi活性を保存する限り、より多くのかかる2’−修飾リボース糖(特に2’−O−メチル修飾)をセンス鎖上に含むことが望ましいことがある。
【0115】
本発明のいくつかの態様において、最大のガイド鎖活性を可能にするために、主題の高度に修飾されたセンス鎖は、非修飾であるかまたは軽度に修飾されたアンチセンス鎖と組み合わされてよい。
エンド−およびエクソ−ヌクレアーゼ抵抗性をさらに最大化するために、2’−修飾ヌクレオモノマーを末端に使用するのに加えて、ホスホジエステル以外のヌクレオモノマー間結合を用いてよい。例えば、かかる末端ブロックは単独でまたは2’−O−メチル連結の間のホスホチオエート結合と組み合わせて用いてよい。好ましい2’−修飾ヌクレオモノマーは2’−修飾末端ヌクレオチドである。
【0116】
アンチセンス鎖は、標的遺伝子(または遺伝子群)の少なくとも一部と、少なくとも塩基対合特性に関して、実質的に同一であり得るけれども、例として標的遺伝子のフェノタイプの発現を阻害するのに、有用であるためには配列が完全に同一である必要はない。一般的に、高いホモロジーは、より短いアンチセンス遺伝子の利用を代償するために用いることができる。いくつかの場合において、アンチセンス鎖は一般的に、標的遺伝子と実質的に同一(アンチセンス方向ではあるけれども)であろう。
【0117】
本発明の組成物の1つの好ましい例は、センスオリゴヌクレオチドの両末端およびアンチセンスオリゴヌクレオチドの3’−末端のみに末端ブロックを有する。理論に束縛されるものではないが、おそらく効果的にほどけないために、2’−O−修飾センス鎖は、その非修飾版よりも良好に機能し得ない。したがって、ある態様において、RISC複合体への容易な取り込みを促進するために、ミスマッチがセンス鎖(修飾された2’−O−メチルセンス鎖、または非修飾のセンス鎖であっても)の特定の位置に導入されてよい。
【0118】
いくつかの態様において、センス鎖の長さは、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19または18ヌクレオチドであり得る。同様に、アンチセンス鎖の長さは、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19または18ヌクレオチドであり得る。さらに、かかるセンスおよびアンチセンス分子から二本鎖核酸分子が形成された場合、得られるデュプレックスは、平滑末端または0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14ヌクレオチドのオーバーハングを、1つの末端または独立してそれぞれの末端に有していてよい。さらに、本発明の二本鎖核酸分子は、センス鎖およびアンチセンス鎖から構成されてよく、ここでこれらの鎖は上述の長さであり、これらは同一または異なる長さであり、しかし10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20ヌクレオチドの配列相補性のみを共有する。例として、センス鎖が20ヌクレオチドの長さであり、アンチセンスが25ヌクレオチドの長さであり、2つの鎖が15ヌクレオチドの配列相補性のみを共有する状況において、二本鎖核酸分子を、10ヌクレオチドのオーバーハングを1つの末端に有し、5ヌクレオチドのオーバーハングを他方の末端に有して形成し得る。
【0119】
2’−O−メチルRNAはまた、細胞のストレス応答を最小化することが望ましいという状況においても有益である。2’−O−メチルヌクレオモノマーを有するRNAは、非修飾のRNAを認識すると考えられている細胞機構に認識され得ない。2’−O−メチル化された、または部分的に2’−O−メチル化されたRNAは、標的RNA阻害を維持する一方で、二本鎖核酸に対するインターフェロン応答を回避し得る。このことは、例えば、インターフェロン応答を誘発する短鎖RNAi(siRNA)配列、およびインターフェロン応答を誘発し得る長鎖RNAi配列の両方において、インターフェロンまたは他の細胞性ストレス応答を回避するのに有用であり得る。
【0120】
概して、修飾糖は、D−リボース、2’−O−アルキル(2’−O−メチルおよび2’−O−エチルを含む)すなわち2’−O−アルコキシ、2’−アミノ、2’−S−アルキル、2’−ハロ(2’−フルオロを含む)、2’−メトキシエトキシ、2’−アリルオキシ(−OCHCH=CH)、2’−プロパルギル、2’−プロピル、エチニル、エテニル、プロペニル、およびシアノなどを含んでよい。1つの態様において、糖部分はヘキソースであり得、記載されたようにオリゴヌクレオチドに組込まれ得る(Augustyns, K., et al., Nucl. Acids. Res. 18:471 1 (1992))。代表的なヌクレオモノマーは、例としてUS特許第5,849,902号に見出すことができ、本明細書に参照として組込まれる。
【0121】
「アルキル」という語は、直鎖アルキル基(例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、分枝鎖アルキル基(イソプロピル、tert−ブチル、イソブチルなど)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を含む。ある態様において、直鎖または分枝鎖のアルキルは、6またはそれより少ない炭素原子をその骨格に有し(例として、直鎖についてC〜C、分枝鎖についてC〜C)、より好ましくは4またはそれより少ない。同様に、好ましいシクロアルキルは、3〜8個の炭素原子をその環構造中に有し、より好ましくは5または6の炭素を環構造中に有する。C〜Cという語は1から6個の炭素原子を含むアルキル基を含む。
【0122】
さらに、特別の定めのない限り、アルキルという後は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1または2以上の炭素原子上の水素原子を置き換えている独立して選択される置換基を有するアルキル部分をいう。かかる置換基は、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族またはヘテロ芳香族部分を含むことができる。シクロアルキルは、例として上記の置換基でさらに置換され得る。「アルキルアリール」または「アリールアルキル」部分は、アリールで置換されたアルキル(例としてフェニルメチル(ベンジル))である。「アルキル」という語はまた、天然および非天然アミノ酸の側鎖を含む。「n−アルキル」という語は、直鎖(すなわち分岐していない)非置換アルキル基を意味する。
【0123】
「アルケニル」という語は、長さおよび可能な置換において上記アルキルと同様であるが、少なくとも1つの二重結合を含む、不飽和の脂肪族基を含む。例えば「アルケニル」という語は、直鎖アルケニル基(例として、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなど)、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルまたはアルケニル置換シクロアルケニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基を含む。ある態様において、直鎖または分枝鎖アルケニル基は、6またはそれより少ない炭素原子をその骨格に有する(例として、直鎖についてC〜C、分枝鎖についてC〜C)。同様に、好ましいシクロアルケニルは、3〜8個の炭素原子をその環構造中に有してよく、より好ましくは5または6の炭素を環構造中に有する。C〜Cという語は2から6個の炭素原子を含むアルケニル基を含む。
【0124】
さらに、特別の定めのない限り、アルケニルという後は、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1または2以上の炭素原子上の水素原子を置き換えている独立して選択される置換基を有するアルケニル部分をいう。かかる置換基は、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族またはヘテロ芳香族部分を含むことができる。
【0125】
「アルキニル」という語は、長さおよび可能な置換において上記アルキルと同様であるが、少なくとも1つの三重結合を含む、不飽和の脂肪族基を含む。例えば「アルキニル」という語は、直鎖アルキニル基(例として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなど)、分枝鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基を含む。ある態様において、直鎖または分枝鎖アルキニル基は、6またはそれより少ない炭素原子をその骨格に有する(例として、直鎖についてC〜C、分枝鎖についてC〜C)。C〜Cという語は2から6個の炭素原子を含むアルキニル基を含む。
【0126】
さらに、特別の定めのない限り、アルキニルという後は、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1または2以上の炭素原子上の水素原子を置き換えている独立して選択される置換基を有するアルキニル部分をいう。かかる置換基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族またはヘテロ芳香族部分を含むことができる。
【0127】
炭素数が他に特別の定めのない限り、本明細書で用いられる場合「低級アルキル」は上記で定義された通りであるが1から5個の炭素原子をその主骨格構造に有するアルキル基を意味する。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば2〜5個の炭素原子の鎖長を有する。
【0128】
「アルコキシ」という語は、酸素原子に共有結合する置換および非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシおよびペントキシ基を含む。置換アルコキシ基の例は、ハロゲン化アルコキシ基を含む。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、 アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族またはヘテロ芳香族部分などの独立して選択される基で置換され得る。ハロゲン置換アルコキシ基の例は、これに限定するものではないが、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシなどを含む。
【0129】
「ヘテロ原子」という語は、炭素または水素以外の任意の要素の原子を含む。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、硫黄およびリンである。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という語は、−OHまたは−O(適切な対イオンを伴って)を含む。
「ハロゲン」という語は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを含む。「パーハロゲン化」は一般的に、全ての水素原子がハロゲン原子で置き換えられた基をいう。
【0130】
「置換(された)」という語は、部分上に置かれ得、分子が意図された機能を実行できるようにすることができる、独立して選択される置換基を含む。置換基の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、(CR’R’’)0〜3NR’R’’、(CR’R’’)0〜3CN、NO、ハロゲン、(CR’R’’)0〜3C(ハロゲン)、(CR’R’’)0〜3CH(ハロゲン)、(CR’R’’)0〜3CH(ハロゲン)、(CR’R’’)0〜3CONR’R’’、(CR’R’’)0〜3S(O)1〜2NR’R’’、(CR’R’’)0〜3CHO、(CR’R’’)0〜3O(CR’R’’)0〜3H、(CR’R’’)0〜3S(O)0〜2R’、(CR’R’’)0〜3O(CR’R’’)0〜3H、(CR’R’’)0〜3COR’、(CR’R’’)0〜3COR’、または(CR’R’’)0〜3OR’基、ここで各R’およびR’’はそれぞれ独立して水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、またはアリール基、あるいはR’およびR’’が一緒になってベンジリデン基または−(CHO(CH−基となる、を含む。
【0131】
「アミン」または「アミノ」という語は、窒素原子が少なくとも1つの炭素またはヘテロ原子と共有結合している化合物または部分を含む。「アルキルアミノ」という語は、窒素原子が少なくとも1つの追加のアルキル基と結合している基または化合物を含む。「ジアルキルアミノ」という語は、窒素原子が少なくとも2つの追加のアルキル基と結合している基または化合物を含む。
【0132】
「エーテル」という語は、2つの異なる炭素原子またはヘテロ原子と結合する酸素を含む化合物または部分を含む。例えば、この語は、別のアルキル基と共有結合している酸素原子と共有結合しているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基をいう「アルコキシアルキル」を含む。
【0133】
「塩基」という語は、既知のプリンおよびピリミジン複素環塩基、デアザプリン、およびそのアナログ(複素環置換アナログ、例としてアミノエチオキシフェノキサジン、を含む)、誘導体(例として、l−アルキル−、l−アルケニル−、ヘテロ芳香族−およびl−アルキニル誘導体)、および互変異性体を含む。プリンの例は、アデニン、グアニン、イノシン、ジアミノプリンおよびキサンチン、およびそのアナログ(例として、8−オキソ−N−メチルアデニンまたは7−ジアザキサンチン)および誘導体を含む。ピリミジンは、例えばチミン、ウラシルおよびシトシン、およびそのアナログ(例として5−メチルシトシン、5−メチルウラシル、5−(1−プロピニル)ウラシル、5−(1−プロピニル)シトシンおよび4,4−エタノシトシン)を含む。他の好適な塩基の例は、2−アミノピリジンおよびトリアジンなどの非プリニルおよび非ピリミジニル塩基を含む。
【0134】
好ましい態様において、本発明のオリゴヌクレオチドのヌクレオモノマーは、RNAヌクレオチドである。別の好ましい態様において、本発明のオリゴヌクレオチドのヌクレオモノマーは、修飾RNAヌクレオチドである。したがって、オリゴヌクレオチドは修飾RNAヌクレオチドを含む。
「ヌクレオシド」という語は、糖部分、好ましくはリボースまたはデオキシリボース、に共有結合している塩基を含む。好ましいヌクレオシドの例は、リボヌクレオシドおよびデオキシリボヌクレオシドを含む。ヌクレオシドはまた、遊離カルボキシル基、遊離アミノ基、または保護基を含んでもよいアミノ酸またはアミノ酸アナログに連結する塩基を含む。好適な保護基は当該技術分野において周知である(P. G. M. Wuts and T. W. Greene, "Protective Groups in Organic Synthesis", 2nd Ed., Wiley-Interscience, New York, 1999参照)。
【0135】
「ヌクレオチド」という語は、さらにリン酸基またはリン酸アナログを含むヌクレオシドを含む。
本明細書で使用される場合、「連結(linkage)」という語は、隣接するヌクレオモノマーを共有的に結びつける、天然の、非修飾ホスホジエステル部分(−O−(PO2−)−O−)を含む。本明細書で使用される場合、「置換連結」という語は、隣接するヌクレオモノマーを共有的に結びつける、自然のホスホジエステル基の任意のアナログまたは誘導体を含む。置換連結は、ホスホジエステルアナログ、例としてホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、およびP−エチオキシホスホジエステル、P−エトキシホスホジエステル、P−アルキルオキシホスホトリエステル、メチルホスホネート、および非リン含有連結、例としてアセタールおよびアミド、を含む。かかる置換連結は当該技術分野において公知である(例として、Bjergarde et al., 1991, Nucleic Acids Res. 19:5843; Caruthers et al., 1991, Nucleosides Nucleotides, 10:47)。ある態様において、非加水分解性連結は、好ましくは、ホスホロチエート結合などである。
【0136】
ある態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、3’および5’末端を含む(環状オリゴヌクレオチドを除く)。1つの態様において、オリゴヌクレオチドの3’および5’末端は、例として3’または5’連結を修飾することにより(例として米国特許第5,849,902号およびWO98/13526)、ヌクレアーゼから実質的に保護されている。例えば、「ブロッキング基」の包含により、オリゴヌクレオチドを抵抗性にすることができる。本明細書において使用する場合の「ブロッキング基」という語は、合成のための保護基としてまたはカップリング基として(例として、FITC、プロピル(CH−CH−CH)、グリコール(−O−CH−CH−O−)、ホスフェート(PO2−)、亜リン酸(hydrogen phosphonate)、またはホスホロアミダイト)、オリゴヌクレオチドまたはヌクレオモノマーに取り付けることができる置換基(例としてOH基以外)をいう。「ブロッキング基」はまた、オリゴヌクレオチドの5’および3’末端を保護する「末端ブロッキング基」または「エクソヌクレアーゼブロッキング基」を含み、これらは修飾ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドエクソヌクレアーゼ抵抗性構造を含む。
【0137】
代表的な末端ブロッキング基は、キャップ構造(例として、7−メチルグアノシンキャップ)、反転ヌクレオモノマー、例として、3’−3’または5’−5’末端反転(例としてOrtiagao et al. 1992, Antisense Res. Dev. 2:129参照)、メチルホスホネート、ホスホロアミダイト、非ヌクレオチド基(例として非ヌクレオチドリンカー、アミノリンカー、抱合体(conjugate))などを含む。3’末端ヌクレオモノマーは修飾糖部分を含むことができる。3’末端ヌクレオモノマーは、任意に、オリゴヌクレオチドの3’−エクソヌクレアーゼ分解を防ぐブロッキング基によって置換されることができる3’−Oを含む。例えば3’−ヒドロキシルは3’→3’ヌクレオチド間結合を介してヌクレオチドとエステル結合することができる。例えば、アルコキシラジカルはメトキシ、エトキシまたはイソプロポキシであることができ、好ましくはエトキシである。任意に、3’末端における3’→3’連結ヌクレオチドは、置換連結によって連結されることができる。ヌクレアーゼ分解を低減するため、最も5’側の3’→5’連結は修飾連結、例としてホスホロチオエートまたはP−アルキルオキシホスホトリエステル結合、であり得る。好ましくは、2つの最も5’側の3’→5’連結が修飾連結である。任意に、5’末端ヒドロキシ部分はリン含有部分、例としてリン酸、ホスホロチオエート、またはP−エトキシリン酸、とエステル結合していることができる。
【0138】
1つの態様において、オリゴヌクレオチドのセンス鎖は、RNAi活性が可能であるが遺伝子標的に関してセンス鎖を非活性な状態にする5’基を含む。好ましくは、かかる5’修飾基はリン酸基またはリン酸基よりも大きな基である。このタイプのオリゴヌクレオチドは、しばしばアンチセンス鎖のヌクレオチド配列に対応する細胞中の標的遺伝子についての増大した特異性を呈す。これはかかるオリゴヌクレオチド中のセンス鎖が、しばしば非特異的に結合し得る任意のヌクレオチド配列の切断を媒介できなくなり、したがって細胞中の任意の他の遺伝子を不活性化しないであろうからである。したがって、かかるオリゴヌクレオチドでトランスフェクトされた細胞中における遺伝子の発現において観察される減少は、しばしばアンチセンス鎖の直接的または間接的な効果が原因となるであろう。本明細書において用いられる場合の「標的遺伝子についての特異性」という語は、細胞におけるオリゴヌクレオチドの効果がどの程度直接的または間接的に、前記オリゴヌクレオチド中に存在するアンチセンスヌクレオチド配列による標的遺伝子発現の阻害の原因となれるかを意味する。
【0139】
したがって、別の態様によれば、本発明は細胞中における標的遺伝子についてのオリゴヌクレオチドの特異性を増大する方法であって、該オリゴヌクレオチドがセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該センス鎖および該アンチセンス鎖の両方が、前記細胞中に存在した場合、対応するヌクレオチド配列が結合することができ、前記方法が、前記センス鎖が、それが非特異的に結合し得る任意のヌクレオチド配列の切断を媒介することを不可能にするために、前記オリゴヌクレオチドと前記細胞とを接触させる前に、前記センス鎖の5’末端ヒドロキシ部分を、リン酸基またはリン酸基より大きな基で修飾するステップを含み、したがって細胞中の任意の他の遺伝子を不活性化しない、前記方法を提供する。
【0140】
標的遺伝子特異性を増大する、またはオフターゲットサイレンシング効果を低減する別の方法は、ダイサー切断された21マーのヌクレオチドの5’末端から2番目に対応する位置に2’−修飾(2’−Oメチル修飾など)を導入することである。出願人らの発見は、この2’−修飾をダイサー抵抗性dsRNA中に配置することを可能にし、したがってオフターゲットサイレンシングがより少ないか全くない、より優れたsiRNAコンストラクトを設計することができる。
【0141】
1つの態様において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、DNAである1つの核酸分子およびRNAコンストラクトである一つの核酸分子を含むことができる(すなわち、デュプレックスであることができる)。本発明のアンチセンス配列は、RNA様およびDNA様領域を含む「キメラオリゴヌクレオチド」であることができる。
【0142】
「RNaseH活性化領域」という言葉は、オリゴヌクレオチド、例としてキメラオリゴヌクレオチド、の領域を含み、ここで前記オリゴヌクレオチドが結合した標的RNA鎖を切断するのにRNaseHを採用することができる。典型的には、RNase活性化領域は、(少なくとも約3〜5個の、典型的には約3〜12個の間の、より典型的には約5〜12個の間の、およびより好ましくは約5〜10個の間の連続したヌクレオモノマーの)DNAまたはDNA様ヌクレオモノマーの最小限のコアを含む(例として、米国特許第5,849,902号参照)。好ましくは、RNaseH活性化領域は、約9個の連続したデオキシリボース含有ヌクレオモノマーを含む。
【0143】
「非活性化領域」という言葉は、RNaseHをリクルートしないかまたは活性化しない、アンチセンス配列の領域、例としてキメラオリゴヌクレオチド、を含む。好ましくは、非活性化領域はホスホロチオエートDNAを含まない。本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの非活性化領域を含む。1つの態様において、非活性化領域は、ヌクレアーゼに対して安定化されることができるか、または、標的と相補的にし、オリゴヌクレオチドによって結合される標的核酸分子と水素結合を形成することにより、標的についての特異性を提供することができる。
【0144】
1つの態様において、連続的なポリヌクレオチドの少なくとも一部は置換連結、例としてホスホロチオエート結合、によって連結されている。
ある態様において、ほとんどまたは全てのセンス鎖ヌクレオチド(2’−修飾であるかまたはない)は、ホスホロチオエート結合によって連結されている。かかるコンストラクトは、その血清タンパク質との高い親和性に起因して、改善された薬物動態を有する傾向にある。センス鎖におけるホスホチオエート結合は一般的に、一旦ガイド鎖がRISCに取り込まれれば、ガイド鎖活性を妨げない
【0145】
本発明のアンチセンス配列は、「モルホリノオリゴヌクレオチド」を含んでよい。モルホリノオリゴヌクレオチドは非イオン性であり、RNaseH非依存性メカニズムによって機能する。モルホリノオリゴヌクレオチドの各4つの遺伝子塩基(アデニン、シトシン、グアニンおよびチミン/ウラシル)は6員モルホリン環と連結している。モルホリノオリゴヌクレオチドは、例として非イオン性ホスホロジアミデートサブユニット間結合により、4つの異なるサブユニットタイプを結びつけることにより作られる。モルホリノオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼに対する完全な抵抗性(Antisense & Nucl. Acid Drug Dev. 1996. 6:267)、予測可能なターゲティング(Biochemica Biophysica Acta. 1999. 1489:141)、細胞中での信頼できる活性(Antisense & Nucl. Acid Drug Dev. 1997. 7:63)、すばらしい配列特異性(Antisense & Nucl. Acid Drug Dev. 1996. 7:151)、最小限の非アンチセンス活性(Biochemica Biophysica Acta. 1999. 1489:141)、および単純な浸透圧性またはスクレイプ送達(osmotic or scrape delivery)(Antisense & Nucl. Acid Drug Dev. 1997. 7:291)を含む多くの利点を有する。モルホリノオリゴヌクレオチドはまた、高用量におけるその非毒性の点でも好ましい。モルホリノオリゴヌクレオチドの調製についての議論は、Antisense & Nucl. Acid Drug Dev. 1997. 7:187に見出すことができる。
【0146】
III.合成
本発明のオリゴヌクレオチドを、当該技術分野において知られた任意の方法、例として酵素合成および/または化学合成の使用、によって合成することができる。本オリゴヌクレオチドを、in vitroで(例として、酵素合成および化学合成の使用)またはin vivoで(当該技術分野において周知の組換えDNA技術の使用)合成することができる。
【0147】
好ましい態様において、修飾ポリヌクレオチドについて、化学合成を用いる。直鎖オリゴヌクレオチドの化学合成は、当該技術分野において周知であり、溶液または固相技術によって達成することができる。好ましくは、合成は固相法による。オリゴヌクレオチドは、ホスホロアミダイト、亜リン酸トリエステル、H−ホスホネート、およびホスホトリエステル法を含む任意のいくつかの異なる合成手順によって、典型的には自動合成法によって作ることができる。
【0148】
オリゴヌクレオチド合成プロトコルは当該技術分野において周知であり、例として米国特許第5,830,653号、WO98/13526、Stec et al. 1984. J. Am. Chem. Soc. 106:6077、Stec et al. 1985. J. Org. Chem. 50:3908、Stec et al. J. Chromatog. 1985. 326:263、LaPlanche et al 1986. Nucl. Acid. Res. 1986. 14:9081、Fasman G. D., 1989. Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology. 1989. CRC Press, Boca Raton, FIa.、Lamone. 1993. Biochem. Soc. Trans. 21 : 1、米国特許第5,013,830号、米国特許第5,214,135号、米国特許第5,525,719号、Kawasaki et al. 1993. J. Med. Chem. 36:831、WO92/03568、米国特許第5,276,019号および米国特許第5,264,423号に見出すことができる。
【0149】
選択される合成方法は、所望のオリゴヌクレオチドの長さに依存し得、かかる選択は通常の当業者の能力の範囲内である。例えば、ホスホロアミダイトおよび亜リン酸トリエステル法は175またはそれ以上のヌクレオチドを産生することができ、一方H−ホスホネート法は100未満のオリゴヌクレオチドについてよく動作する。修飾塩基がオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、および特に修飾ホスホジエステル結合が用いられる場合、合成手順は既知の手順に従って必要なように改変される。これに関し、Uhlmann et al. (1990, Chemical Reviews 90: 543-584)が、修飾塩基および修飾ホスホジエステル結合を有するオリゴヌクレオチドの作製の参照および手順のアウトラインを提供する。オリゴヌクレオチドの作製の他の代表的な方法はSonveaux. 1994. "Protecting Groups in oligonucleotide Synthesis";Agrawal. Methods in Molecular Biology 26:1に教示されている。代表的な合成方法はまた、"Oligonucleotide Synthesis - A Practical Approach" (Gait, M. J. IRL Press at Oxford University Press. 1984)に教示されている。さらに、定義された配列の直鎖オリゴヌクレオチド、修飾ヌクレオチドを有するいくつかの配列を含む、はいくつかの商業的供給源から容易に入手できる。
【0150】
オリゴヌクレオチドはポリアクリルアミドゲル電気泳動、または任意の多くのクロマトグラフィー法、ゲルクロマトグラフィーおよび高圧液体クロマトグラフィーを含む、によって精製されてよい。ヌクレオチド配列、特に非修飾ヌクレオチド配列、を確認するためオリゴヌクレオチドを任意の既知の手順、マクサムおよびギルバートシークエンシング、サンガーシークエンシング、キャピラリー電気泳動シークエンシング、ワンダリングスポットシークエンシング手順を含む、によってまたはハイボンドペーパーに結合したオリゴヌクレオチドの選択的化学分解によって、DNAシークエンシングにかけてもよい。短鎖オリゴヌクレオチドの配列はまた、レーザー分解質量分析または高速原子衝突によっても分析することができる(McNeal, et al., 1982, J. Am. Chem. Soc. 104:976; Viari, et al., 1987, Biomed. Environ. Mass Spectrom. 14:83; Grotjahn et al., 1982, Nuc. Acid Res. 10:4671)。シークエンシング法はRNAオリゴヌクレオチドにも利用可能である。
【0151】
合成されたオリゴヌクレオチドの質は、例としてBergot and Egan. 1992. J. Chrom. 599:35を用いた、キャピラリー電気泳動および変性強アニオンHPLC(SAX−HPLC)によってオリゴヌクレオチドを試験することによって検証することができる。
【0152】
他の代表的な合成技術は当該技術分野に周知である(例として、Sambrook et al., Molecular Cloning: a Laboratory Manual第2版 (1989); DNA Cloning, Volumes IおよびII (DN Glover Ed. 1985); Oligonucleotide Synthesis (M J Gait Ed, 1984; Nucleic Acid Hybridisation (B D Hames and S J Higgins eds. 1984); A Practical Guide to Molecular Cloning (1984);またはMethods in Enzymologyシリーズ (Academic Press, Inc.)参照)。
【0153】
ある態様において、主題のRNAiコンストラクトまたは少なくともその一部分は主題のコンストラクトをコードする発現ベクターから転写される。任意の当該技術分野で認識されたベクターをこの目的に用いてよい。転写されたRNAiコンストラクトは、所望の修飾(非修飾のセンス鎖と修飾センス鎖とを置き換えるなど)がなされる前に単離および精製されてよい。
【0154】
IV.送達/担体
細胞によるオリゴヌクレオチドの取り込み
オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド組成物は、1または2以上の細胞または細胞溶解物に接触され(すなわち、接触に至らされる、また本明細書において投与されるまたは送達されるともいわれる)、および取り込まれる。「細胞」という語は、原核および真核細胞を含み、好ましくは脊椎動物細胞であり、およびより好ましくは哺乳類細胞である。好ましい態様において、本発明のオリゴヌクレオチド組成物は、ヒト細胞と接触される。
【0155】
本発明のオリゴヌクレオチド組成物in vitroで、例として試験管または培養皿内で、(および対象に導入されてもされなくてもよく)、またはin vivoで、例として哺乳類対象などの対象内で、細胞と接触させることができる。オリゴヌクレオチドはエンドサイトーシスによって低速で細胞に取り込まれるが、エンドサイトーシスされたオリゴヌクレオチドは一般的に隔離され、例として標的核酸分子へのハイブリダイゼーションには利用できない。1つの態様において、細胞への取り込みは、エレクトロポレーションまたはリン酸カルシウム沈殿によって促進することができる。しかしながら、これらの手順は、in vitroまたはex vivoの態様においてのみ有用であり、便利ではなく、およびいくつかの場合において細胞毒性を伴う。
【0156】
別の態様において、オリゴヌクレオチドの細胞内への送達は、リン酸カルシウム、DMSO、グリセロールまたはデキストラン、エレクトロポレーションを含む好適な当該技術分野に認識された方法またはトランスフェクション、例として当該技術分野において既知の、カチオン性、アニオン性または中性脂質組成物またはリポソームを用いた方法によって増強され得る(例として、WO 90/14074; WO 91/16024; WO 91/17424; U.S. Pat. No. 4,897,355; Bergan et al. 1993. Nucleic Acids Research. 21 :3567参照)。オリゴヌクレオチドの増強された送達はまた、ベクター(例として、Shi, Y. 2003. Trends Genet 2003 Jan. 19:9; Reichhart J M et al. Genesis. 2002. 34( 1 -2): 1604, Yu et al. 2002. Proc. Natl. Acad Sci. USA 99:6047; Sui et al. 2002. Proc. Natl. Acad Sci. USA 99:5515参照)、ウィルス、ポリアミンまたはポリリジン、プロタミンまたはNi,N12−ビス(エチル)スペルミンなどのポリカチオン抱合体を用いた化合物の使用によって媒介することができる(例として、Bartzatt, R. et al.1989. Biotechnol. Appl. Biochem. 1 1 :133; Wagner E. et al. 1992. Proc. Natl. Acad. Sci. 88:4255参照)。
【0157】
オリゴヌクレオチドの取り込みについての最適なプロトコルは多数の因子に依存し、最も重要なものは用いられた細胞のタイプであろう。取り込みに重要な他の因子は、これに限定するものではないが、オリゴヌクレオチドの性質および濃度、細胞の集密度、細胞培養のタイプ(例として、懸濁培養または平板培養)および細胞が成育している培地のタイプを含む。
【0158】
抱合剤
抱合剤はオリゴヌクレオチドと共有的に結合している。1つの態様において、オリゴヌクレオチドは、抱合体と結合して細胞取り込みを促進するために、誘導体化するか、または化学的に修飾してもよい。例えば、コレステロール部分とオリゴヌクレオチドとの共有結合は、細胞取り込みを5〜10倍改善することができ、そしてその結果DNA結合を約10倍改善することができる(Boutorin et al., 1989, FEBS Letters 254:129-132)。オクチル、ドデシルおよびオクタデシル残基の抱合は、非修飾のオリゴヌクレオチドと比較して、細胞取り込みを3、4および10倍増強する(Valassov et al., 1994, Biochimica et Biophysica Acta 1197:95-108)。同様に、ポリ−L−リジンによるオリゴヌクレオチドの誘導体化は、細胞によるオリゴヌクレオチドの取り込みを助けることができる(Schell, 1974, Biochem. Biophys. Acta 340:323,およびLemaitre et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci USA 84:648)。
【0159】
あるタンパク質担体もまた、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを促進することができ、例えば血清アルブミン、核内へ移行するシグナルを保有する核タンパク質、および細胞膜透過可能なウィルス性または細菌性タンパク質を含む。ゆえにタンパク質担体は、オリゴヌクレオチドと会合したまたは連結した場合に有用である。したがって本発明は、炭化水素および非極性基、コレステロール、長鎖アルコール(すなわちヘキサノール)、ポリ−L−リジンおよびタンパク質、ならびにフェニルまたはナフチル基、キノリン、アントラセン、またはフェナントラセン基、脂肪酸、脂肪族アルコールおよびセスキテルペン、ジテルペンおよびステロイド類などの、類似の有用な効果を有する他のアリールまたはステロイド基およびポリカチオン、を含むオリゴヌクレオチドの細胞取り込みを促進することができる基での誘導体化を提供する。抱合体を用いることの主要な利点は、オリゴヌクレオチドのより多くの細胞内蓄積を導く、最初の膜相互作用を増大することである。
【0160】
他の抱合剤は、RNAiコンストラクトを脂肪組織−ビタミンが貯蔵されている主要な場所−に特異的に送達するために用いられ得る脂溶性ビタミンなどの様々なビタミンを含む。これらのビタミンベース抱合剤は、糖尿病/肥満症などのある代謝性障害標的を標的とするのに特に有用である。ビタミンA、D、E、Kなど脂溶性ビタミンについて、ビタミンKが、上限摂取レベルが知られていないため(高い用量は、赤血球の溶解およびおそらく肝臓病に導くものであっても)、いくつかの態様において好ましい。これに対し、ビタミンAおよびDは、より定義された毒性および確立された上限摂取レベルを有する。
【0161】
ある態様において、ガンマカルボキシグルタミン酸残基は、主題のRNAiコンストラクトに抱合され、その膜粘性を増大し、かつ/またはクリアランスを遅くし、一般的な取り込みを改善する(以下)。
【0162】
本発明のコンストラクトと一緒に用いられ得るある抱合剤は、Tatペプチド、WO04048545A2およびUS20040204377A1の配列番号12の配列、ホメオボックス(hox)ペプチドと実質的に類似の配列、MTS、VP22、MPG、少なくとも1つのデンドリマー(PAMAMなど)などの、WO04048545A2およびUS20040204377A1(全てその全体が本明細書に組込まれる)に記載されている。
【0163】
本発明のコンストラクトと一緒に用いられ得る他の抱合剤は、様々なナノトランスポーターおよび核酸分子(主題のdsRNAコンストラクトなど)および/または他の薬剤のin vivoおよびin vitroでの送達に用いるための送達複合体を記載したWO07089607A2(本明細書に組込まれる)に記載されているものを含む。かかる送達複合体を用いて、主題のdsRNAは、少なくとも1の機能性表面基(functional surface group)と抱合されたコアを有するナノトランスポーターと抱合したりまたは会合したりしながら、送達され得る。コアは、デンドリマー(例としてポリリジンデンドリマー)などのナノ粒子であってよい。コアはまた、単層ナノチューブまたは多層ナノチューブなどのナノチューブであってもよい。機能性表面基は、少なくとも1つの脂質、細胞タイプ特異的ターゲティング部分、蛍光分子および電荷コントロール分子である。例えば、ターゲティング部分は組織選択的ペプチドであってもよい。脂質はオレオイル脂質またはその誘導体であってよい。代表的なナノトランスポーターは、NOP−7またはHBOLDを含む。
【0164】
封入剤
封入剤は、オリゴヌクレオチドをベシクル内に閉じ込める。本発明の別の態様において、オリゴヌクレオチドは担体またはビヒクル、例としてリポソームまたはミセルであるが、当業者に十分理解されるように他の担体も用いることができる、と会合していてよい。リポソームは、生体膜と類似の構造を有する、脂質二重膜で作られるベシクルである。かかる担体は、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みまたはターゲティングを促進するために用いられ、またはオリゴヌクレオチドの薬物動態学的または毒物学的特性を改善するために用いられる。
【0165】
例えば、本発明のオリゴヌクレオチドはリポソームに封入されて、活性成分が分散しているかまたは脂質層に付着した水性の同心円層からなる微粒子として様々に存在している医薬組成物として投与されてもよい。溶解性に依存して、オリゴヌクレオチドは水性相および脂質層両方に存在し得、または一般的にリポソーム性懸濁液(liposomic suspension)と言われる状態である。疎水性層は、一般的にだが排他的ではなく、レシチンおよびスフィンゴミエリンなどのリン脂質、コレステロールなどのステロイド、ジアセチルホスフェート、ステアリルアミン、またはホスファチジン酸などの多かれ少なかれイオン性の界面活性剤、または疎水性の性質である他の材料を含む。リポソームの直径は一般的に約15nmから約5ミクロンである。
【0166】
薬物送達ビヒクルとしてのリポソームの利用は、いくつかの利点を提示する。リポソームは細胞間安定性を増大し、取り込み効率を増大し、生物活性を改善する。リポソームは、細胞膜を形成する脂質と類似のあり方で配列される脂質で構成される中空の球状ビヒクルである。それらは水溶性化合物を閉じ込める内在性の水性空間を有し、直径で0.05から数ミクロンのサイズの範囲である。いくつかの研究が、リポソームが核酸を細胞に送達することができることおよび核酸が依然として生物学的に活性であることを示してきた。例えば、最初は研究ツールとして設計された脂質送達ビヒクル、リポフェクタミンまたはLIPOFECTAMINETM2000などは、完全な核酸分子を細胞に送達することができる。
【0167】
リポソームを用いることの具体的な利点は、以下を含む:それらは組成物中で非毒性かつ生分解性である;それらは長い循環半減期を示す;そして認識分子はすぐに組織ターゲティングのためにその表面に取り付く。最後に、液体懸濁物または凍結乾燥製品いずれでも費用効果の高い製品であるリポソームベースの医薬品は、許容可能な薬物送達システムとしてのこの技術の実行可能性を実証してきた。
【0168】
錯化剤(complexing agent)
錯化剤は、本発明のオリゴヌクレオチドと、強いが非共有結合性の引力(例として、静電気的、ファンデルワールス、パイスタッキングなどの相互作用)によって結合する。1つの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは錯化剤と複合し、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを増大する。錯化剤の例は、カチオン性脂質を含む。カチオン性脂質はオリゴヌクレオチドの細胞への送達に使用可能である。
【0169】
「カチオン性脂質」という語は、極性および非極性ドメインの両方を有し、生理学的pHまたはその近傍において正に帯電する能力があり、核酸などのポリアニオンと結合し、核酸の細胞内への送達を促進する脂質および合成脂質を含む。一般に、カチオン性脂質は、飽和および不飽和のアルキルおよび脂環式エーテルおよびアミン、アミド、またはその誘導体のエステルを含む。カチオン性脂質の直鎖および分枝鎖アルキルおよびアルケニル基は、例として1から約25の炭素原子を含有する。好ましい直鎖または分枝鎖アルキルまたはアルケン基は6またはそれ以上の炭素原子を有する。脂環式基はコレステロールおよび他のステロイド基を含む。カチオン性脂質は、例としてCl−、Br−、I−、F−、アセテート、トリフルオロアセテート、スルフェート、ニトライト、およびニトレートを含む様々な対イオン(アニオン)で調製することができる。
【0170】
カチオン性脂質の例は、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン(PAMAM)、星型デンドリマー、リポフェクチン(DOTMAおよびDOPEの組み合わせ)、リポフェクターゼ、LIPOFECTAMINETM(例として、LIPOFECTAMINETM2000)、DOPE、サイトフェクチン(Gilead Sciences, Foster City, Calif.)、およびEufectins(JBL, San Luis Obispo, Calif.)を含む。代表的なカチオン性リポソームは、N−[1−(2,3−ジオレオロキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)、N−[1−(2,3−ジオレオロキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルスルフェート(DOTAP)、3β−[N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)、2,3,−ジオレオロキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロマイド;およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDAB)から作ることができる。カチオン性脂質N−[1−(2,3−ジオレオロキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)は、例えば、ホスホチオエートオリゴヌクレオチドのアンチセンス効果を1000倍増大することが見出された(Vlassov et al., 1994, Biochimica et Biophysica Acta 1197:95-108)。オリゴヌクレオチドはまた、例としてポリ(L−リジン)またはアビジンと複合することができ、脂質はこの混合物中に含まれていても含まれていなくてもよく、例としてステリル−ポリ(L−リジン)である。
【0171】
カチオン性脂質は、当該技術分野において、オリゴヌクレオチドを細胞に送達するために使用されている(例として、米国特許5,855,910;5,851,548;5,830,430;5,780,053;5,767,099;Lewis et al. 1996. Proc. Natl. Acad. Sci USA 93:3176; Hope et al. 1998. Molecular Membrane Biology 15:1参照)。本発明のオリゴヌクレオチドの取り込みを促進するのに使用することができる他の脂質組成物は、請求された方法に関連して使用することができる。これら上記の列挙されたものに加えて、他の脂質組成物がまた当該技術分野において既知であり、例として、米国特許4,235,871;米国特許4,501,728;4,837,028;4,737,323に教示されるもの、を含む。
【0172】
1つの態様において、脂質組成物はさらに、オリゴヌクレオチドの脂質媒介性トランスフェクションのための剤、例としてウィルス性タンパク質を含むことができる(Kamata, et al., 1994. Nucl. Acids. Res. 22:536)。別の態様において、オリゴヌクレオチドを、例として米国特許5,736,392に教示されているように、オリゴヌクレオチド、ペプチド、および脂質を含む組成物の一部として細胞と接触させる。血清抵抗性である改良された脂質もまた開示されている(Lewis et al. 1996. Proc. Natl. Acad. Sci USA 93:3176)。カチオン性脂質および他の錯化剤は、エンドサイトーシスを介して細胞中に運ばれるオリゴヌクレオチドの数を増大するように作用する。
【0173】
別の態様において、オリゴヌクレオチドの取り込みの至適化のためにN−置換グリシンオリゴヌクレオチド(ペプトイド)を用いることができる。ペプトイドは、トランスフェクションのためのカチオン性脂質様の化合物を作出するために用いられている(Murphy, et al., 1998. Proc. Natl. Acad. Sci. 95: 1517)。ペプトイドは、標準的な方法を用いて合成することができる(例として、Zuckermann, R. N., et al. 1992. J. Am. Chem. Soc. 114:10646; Zuckermann, R. N., et al. 1992. Int. J. Peptide Protein Res. 40:497)。カチオン性脂質およびペプトイド、リプトイド(liptoid)の組み合わせもまた、主題のオリゴヌクレオチドの取り込みの至適化に用いることができる(Hunag, et al., 1998. Chemistry and Biology. 5:345)。リプトイドは、ペプトイドオリゴヌクレオチドを合成し、アミノ末端サブモノマーを脂質に、そのアミノ基を介してカップリングすることによって合成できる(Hunag, et al., 1998. Chemistry and Biology. 5:345)。
【0174】
正に帯電したアミノ酸が高度に活性なカチオン性脂質の作出に用いることができることは、当該技術分野において既知である(Lewis et al. 1996. Proc. Natl. Acad. Sci USA 93:3176)。1つの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドを送達するための組成物は、親油性部分に連結した多くのアルギニン、リジン、ヒスチジンまたはオルニチン残基を含む(例として、米国特許第5,777,153号参照)。
【0175】
別の態様において、本発明のオリゴヌクレオチドを送達するための組成物は、約1から約4の間の塩基残基を有するペプチドを含む。これらの塩基残基は、例としてアミノ末端、C末端またはペプチドの内部領域に位置することができる。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例として、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例としてアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例としてグリシン(非極性と考えられることもあり得る)、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例として、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ−分枝側鎖(例として、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例として、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。塩基性アミノ酸とは別に、ペプチドの大部分または全ての他の残基は非塩基性アミノ酸、例として、リジン、アルギニン、またはヒスチジン以外のアミノ酸、から選択することができる。好ましくは、長い中性側鎖を有する中性アミノ酸が優位に用いられる。
【0176】
1つの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドを送達するための組成物は、ガンマカルボキシグルタミン酸残基またはγ−Gla残基を1または2以上有する天然または合成のポリペプチドを含む。これらのガンマカルボキシグルタミン酸残基は、ポリペプチドがお互いに、および膜表面に結合することを可能にする。言い換えれば、一連のγ−Glaを有するポリペプチドは、RNAiコンストラクトが接触したあらゆる膜に付着するのを助ける一般的な送達様式として用いられ得る。これは、RNAiコンストラクトが血流から一掃されるのを少なくとも遅らせ得、および標的をホーミングする機会を増強し得る。
【0177】
ガンマカルボキシグルタミン酸残基は、天然のタンパク質中に存在し得る(例えばプロトロンビンは10個のγ−Gla残基を有する)。代替的に、これらは生成された、組換え技術で産生された、または化学的に合成されたポリペプチドに、例えばビタミンK依存性カルボキシラーゼを用いたカルボキシル化によって導入することができる。ガンマカルボキシグルタミン酸残基は連続的であっても非連続的であってもよく、ポリペプチド中のかかるガンマカルボキシグルタミン酸残基の総数および所在は、異なるレベルのポリペプチドの「粘着性」を達成するために制御/微調整することができる。
【0178】
1つの態様において、本発明のオリゴヌクレオチド組成物と接触する細胞は、オリゴヌクレオチドを含む混合物および脂質を含む混合物、例として上記の脂質または脂質組成物、と約12時間から約24時間の間接触する。別の態様において、オリゴヌクレオチド組成物と接触する細胞は、オリゴヌクレオチドを含む混合物および脂質を含む混合物、例として上記の脂質または脂質組成物、と約1日から約5日の間接触する。1つの態様において、細胞は脂質およびオリゴヌクレオチドを含む混合物と、約3日から約30日もの間接触する。別の態様において、脂質を含む混合物と細胞とを少なくとも約5日から約20日の間接触したままにしておく。別の態様において、脂質を含む混合物と細胞とを少なくとも約7日から約15日の間接触したままにしておく。
【0179】
例えば、1つの態様において、オリゴヌクレオチド組成物と細胞とを、本明細書に記載されたような長期のインキュベーション期間のために、サイトフェクチンCSまたはGSV(Glen Reserch; Sterling, Vaから入手可能)、GS3815、GS2888などの脂質の存在下で接触させることができる。
【0180】
1つの態様において、脂質およびオリゴヌクレオチドを含む混合物と細胞との組成物のインキュベーションは、細胞のバイアビリティを低減させない。好ましくは、トランスフェクション期間の後、細胞は実質的に生存能力がある。1つの態様において、トランスフェクション後、細胞は少なくとも約70%から少なくとも約100%の間で生存能力がある。別の態様において、細胞は少なくとも約80%から少なくとも約95%の間で生存能力がある。さらに別の態様において、細胞は少なくとも約85%から少なくとも約90%の間で生存能力がある。
【0181】
1つの態様において、オリゴヌクレオチドを、本明細書において「輸送ペプチド」という、オリゴヌクレオチドを細胞内に輸送するペプチド配列を取り付けることにより修飾する。1つの態様において、組成物は、タンパク質をコードする標的核酸分子と相補的であり、輸送ペプチドを共有結合的に取り付けられているオリゴヌクレオチドを含む。
【0182】
「輸送ペプチド」という言葉は、オリゴヌクレオチドの細胞内への輸送を促進するアミノ酸配列を含む。それらが連結する部分の細胞内への輸送を促進する代表的なペプチドは当該技術分野において知られており、例としてHIV TAT転写因子、ラクトフェリン、ヘルペスVP22タンパク質、およびフィブロブラスト成長因子2(Pooga et al. 1998. Nature biotechnology. 16:857;およびDerossi et al. 1998. Trends in Cell Biology. 8:84; Elliott and O'Hare. 1997. Cell 88:223)を含む。
【0183】
既知の技術を用いて、オリゴヌクレオチドに輸送ペプチドを取り付けることができる(例として、Prochiantz, A. 1996. Curr. Opin. Neurobiol. 6:629; Derossi et al. 1998. Trends Cell Biol. 8:84; Troy et al. 1996. J. Neurosci. 16:253, Vives et al. 1997. J. Biol. Chem. 272:16010)。例えば、1つの態様において、活性型チオール基を有しているオリゴヌクレオチドは、そのチオール基を介して輸送タンパク質中に存在するシステインと(例として、アンテナペディアホメオドメイン、例としてDerossi et al. 1998. Trends Cell Biol. 8:84; Prochiantz. 1996. Current Opinion in Neurobiol. 6:629; Allinquant et al. 1995. J Cell Biol. 128:919に教示される、の2番目と3番目のへリックスの間のβターンに存在するシステインと)連結する。別の態様において、Boc−Cys−(Npys)OH基は、輸送タンパク質と、最後のN−末端アミノ酸としてカップリングすることができ、SH基を有しているオリゴヌクレオチドは該ペプチドにカップリングすることができる(Troy et al. 1996. J. Neurosci. 16:253)。
【0184】
1つの態様において、連結基をヌクレオモノマーに取り付けることができ、輸送ペプチドをそのリンカーに共有結合的に取り付けることができる。1つの態様において、リンカーは、輸送ペプチドの取付部位として機能することができ、かつヌクレアーゼに対する安定性を提供することができる。好適なリンカーの例は、置換または非置換のC〜C20アルキル鎖、C〜C20アルケニル鎖、C〜C20アルキニル鎖、ペプチド、およびヘテロ原子(例として、S、O、NHなど)を含む。他の代表的なリンカーは、スルホスクシンイミジル−4−(マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)(例として、Smith et al. Biochem J 1991. 276:417-2参照)などの二官能性の架橋剤を含む。
【0185】
1つの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、遺伝子を細胞内に送達するためのレセプター媒介性エンドサイトーシスメカニズムに利用する分子抱合体として合成される(例として、Bunnell et al. 1992. Somatic Cell and Molecular Genetics. 18:559,およびこれらに参照されている文献参照)。
【0186】
ターゲティング剤
オリゴヌクレオチドの送達はまた、オリゴヌクレオチドを細胞のレセプターにターゲティングすることによっても改善することができる。ターゲティング部分は、オリゴヌクレオチドと抱合することができ、またはオリゴヌクレオチドに連結した担体基(すなわちポリ(L−リジン)またはリポソーム)に取り付けることができる。この方法は、特異的レセプター媒介性エンドサイトーシスを呈する細胞に良く適している。
【0187】
例えば、6−ホスホマンノシル化タンパク質とのオリゴヌクレオチド抱合体は、遊離オリゴヌクレオチドよりも、マンノース6−ホスフェート特異的レセプターを発現する細胞によって20倍もより効果的に内在化される。オリゴヌクレオチドはまた、細胞性レセプターのリガンドと、生分解性リンカーを用いてカップリングされてもよい。別の例において、送達コンストラクトは、ビオチン化オリゴヌクレオチドと強い複合体を形成するマンノシル化ストレプトアビジンである。マンノシル化ストレプトアビジンはビオチン化オリゴヌクレオチドの内在化を20倍増大させることが見出された(Vlassov et al. 1994. Biochimica et Biophysica Acta 1197:95-108)。
【0188】
加えて、特異的リガンドは、ポリリジンベース送達システムのポリリジンコンポーネントに抱合され得る。例えば、トランスフェリン−ポリリジン、アデノウィルス−ポリリジン、およびインフルエンザウィルスヘマグルチニンHA−2 N−末端融合ペプチド−ポリリジン抱合体は、真核細胞におけるレセプター媒介性DNA送達を大幅に増強する。肺胞マクロファージ中のポリ(L−リジン)に抱合されたマンノシル化糖タンパク質は、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを増強するために採用されてきた(Liang et al. 1999. Pharmazie 54:559-566)。
【0189】
悪性細胞は、葉酸およびトランスフェリンなどの必須栄養素の増大した必要性を有するため、これらの栄養素を癌性細胞に対するオリゴヌクレオチドの標的として使うことができる。例えば、葉酸がポリ(L−リジン)と連結した場合、オリゴヌクレオチド取り込みの増強が前骨髄性白血球(HL−60)細胞およびヒトメラノーマ(M−14)細胞においてみられた。Ginobbi et al. 1997. Anticancer Res. 17:29。別の例において、マレイル化ウシ血清アルブミンでコートされたリポソーム、葉酸またはプロトポルフィリンIX鉄は、ネズミマクロファージ、KB細胞、および2.2.15ヒトヘパトーマ細胞において増大したオリゴヌクレオチドの細胞取り込みを示した。Liang et al l 999. Pharmazie 54:559-566
【0190】
リポソームは自然に肝臓、脾臓および細網内皮細胞に蓄積する(受動的ターゲティングと呼ばれる)。リポソームと抗体やプロテインAなどの様々なリガンドをカップリングすることにより、特定の細胞集団を能動的にターゲティングすることができる。例えば、プロテインAを有するリポソームは、L細胞上に発現するマウス主要組織適合性複合体H−2Kを標的とするH−2K特異的抗体で前処理してよい(Vlassov et al. 1994. Biochimica et Biophysica Acta 1197:95-108)。
【0191】
投与
最適なオリゴヌクレオチドの投与または送達は所望の結果および/または処置される対象に依存して変化してよい。本明細書で使用される場合、「投与」は細胞とオリゴヌクレオチドとを接触させることをいい、in vitroまたはin vivoで実行され得る。オリゴヌクレオチドの用量は標的核酸分子から翻訳されるタンパク質の発現、例としてRNA安定性からの読み出しまたは治療応答から計測されるような、を過度の実験なしに最適に低減するように調整されてよい。
【0192】
例えば、核酸標的によってコードされるタンパク質の発現を、用量レジメンがそれにしたがって調整される必要があるか無いかを決定するために計測することができる。加えて、細胞内におけるまたは細胞によって産生されるRNAまたはタンパク質レベルの増大または減少は、当該技術分野において認識されている任意の技術を用いて計測することができる。転写が減少しているかどうかを決定することにより、標的RNAの切断を誘導することにおけるオリゴヌクレオチドの有効性を決定することができる。
【0193】
任意の上記のオリゴヌクレオチド組成物を、単独でまたは薬学的に許容可能な担体と併せて用いることができる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」は、適切な溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬理活性物質についてのかかる媒体および剤の使用は、当該技術分野において周知である。任意の従来の媒体または剤を、活性成分と相容れない場合を除き、治療組成物に使用することができる。補助的な活性成分もまた組成物に組込むことができる。
【0194】
非経口投与のために、オリゴヌクレオチドを、リポソームまたはポリエチレングリコールで修飾したまたはカチオン性脂質と混合したリポソームに組込んでよい。追加物質、例えば特定の標的細胞上に見出される膜タンパク質に対して活性な抗体、のリポソームへの組込みは、特定の細胞タイプへのオリゴヌクレオチドのターゲティングを助けることができる。
【0195】
さらに、本発明は主題のオリゴヌクレオチドを、例えばRataiczak et al.(1992 Proc. Natl. Acad. Sci USA 89: 11823-11827)に記載されているように、かかるオリゴヌクレオチドの連続的な注入を提供する浸透圧ポンプで投与することを提供する。かかる浸透圧ポンプは、例としてAlzet Inc. (Palo Alto, Calif.)から商業的に入手可能である。カチオン性脂質担体での局所投与および非経口投与が好ましい。
【0196】
in vivo投与に関し、本発明の処方物は、選択された投与の経路、例として非経口、経口、または腹腔内、に適合した様々な形態で患者に投与することができる。好ましい非経口投与は、以下の経路での投与を含む:静脈内;筋肉内;間質内;動脈内;皮下;眼球内;滑膜内;経皮を含む経上皮;吸入を介した肺内;点眼;舌下および頬側;点眼を含む局所;皮膚;眼性;直腸;およびガス吸入を介した経鼻吸入。
【0197】
非経口投与のための医薬製剤は、水可溶性または水可分散性の形態での活性化合物の水性溶液を含む。加えて、適切な油性注入懸濁液としての活性化合物の懸濁液が投与されてよい。好適な親油性溶媒またはビヒクルは、脂肪油、例えばごま油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド、を含む。水性注入懸濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなど懸濁液の粘度を増大する物質を含んでもよく、任意に懸濁液はまた安定化剤を含んでもよい。本発明のオリゴヌクレオチドを液剤溶液として、好ましくは、ハンクス溶液またはリンガー溶液など、生理学的に相性の良い緩衝液として処方してもよい。加えて、オリゴヌクレオチドは固体形態に処方され、使用直前に再溶解または懸濁してもよい。
【0198】
局所投与のための医薬製剤は、経皮吸収貼付剤、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、スプレー、坐薬、液剤および粉末を含む。加えて、従来の薬学的担体、水性、粉末または油性基剤、あるいは増粘剤を、局所投与のための医薬製剤に用いてもよい。
経口投与のための医薬製剤は、粉末または顆粒、水または非水媒体中の懸濁液または溶液、カプセル、小袋または錠剤を含む。加えて、増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散剤または結合剤を、経口投与のための医薬製剤に用いてもよい。
【0199】
経粘膜または経皮投与について、透過すべきバリアに対して適切な浸透剤を、処方物中に用いる。かかる浸透剤は当該技術分野において既知であり、例えば、経粘膜投与について胆汁塩、フシジン酸誘導体、およびデタージェントを含む。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーを介してまたは坐薬を用いてなされてよい。経口投与について、オリゴヌクレオチドは、カプセル、錠剤、およびトニックなどの、従来の経口投与形態に処方される。局所投与について、本発明のオリゴヌクレオチドは、当該技術分野において既知のように、軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに処方される。
【0200】
薬剤送達ビヒクルは、例としてin vitro用に、全身用にまたは局所投与用に選択できる。これらのビヒクルを、徐放性の貯留部として、またはその内容物を直接標的細胞に送達する役割を果たすように設計することができる。いくつかの直接送達薬剤ビヒクルを用いることの利点は、複数の分子が取り込み毎に送達されることである。かかるビヒクルは、そうでなければ速やかに血流から一掃されるであろう剤の循環半減期を増大することが示されてきた。このカテゴリに包含されるかかる特殊な薬剤送達ビヒクルのいくつかの例は、リポソーム、ハイドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、および生体接着性マイクロスフェアである。
【0201】
記載されたオリゴヌクレオチドは、対象に全身投与されてよい。全身吸収は、血流への剤の進入に続く体全体への分配をいう。全身吸収に導く投与経路は以下を含む:静脈内、皮下、腹腔内および鼻腔内。これらの投与経路のいずれも、オリゴヌクレオチドを到達可能な疾患細胞へと送達する。皮下投与に続いて、治療剤は局所リンパ節に流れ出し、リンパ管ネットワークを通じて血流へと進む。血流へと進入する速度は、分子量または分子サイズの機能として示されている。リポソームまたは他の剤担体の使用は、オリゴヌクレオチドをリンパ節に局在させる。オリゴヌクレオチドを細胞内へと拡散するように修飾することができ、またリポソームは修飾または非修飾いずれのオリゴヌクレオチドの細胞内への送達に直接関与することができる。
【0202】
選択された送達の方法は、細胞への進入をもたらす。好ましい送達方法は、リポソーム(10〜400nm)、ハイドロゲル、放出制御ポリマー、および他の薬学的に適用可能なビヒクルおよび、マイクロインジェクションまたはエレクトロポレーション(ex vivo処置について)を含む。
本発明の医薬製剤はエマルジョンとして調製および処方できる。エマルジョンは通常、1つの液体が別のものの中に通常直径0.1μmを超える液滴の形状で分散した不均一系である。本発明のエマルジョンは、乳化剤、安定化剤、染料、脂肪、油脂、ワックス、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、保湿剤、親水コロイド、保存料などの賦形剤を含んでもよく、および抗酸化剤もまたエマルジョン中に必要に応じて存在してよい。これらの賦形剤は水相中、油相中またはそれら自身が別の相として、溶液として存在してよい。
【0203】
本発明のエマルジョン処方物に用いてよい天然の乳化剤の例は、ラノリン、蜜ろう、リン脂質、レシチンおよびアカシアを含む。微粉化した固体もまたよい乳化剤として用いられ、特に界面活性剤と組み合わせて粘性の調製物中でよい乳化剤として用いられる。乳化剤として用いてよい微粉化された固体の例は、重金属水酸化物などの極性無機固体、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド性ケイ酸アルミニウム、およびコロイド性ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの非膨張性粘度、顔料および炭素またはトリステアリン酸グリセリルなどの非極性固体を含む。
【0204】
エマルジョン処方物に用いてよい保存料の例は、メチルパラベン、プロピルパラベン、四級アンモニウム塩、ベンザルコニウムクロライド、p−ヒドロキシベンゼン酸のエステル、およびホウ酸を含む。エマルジョン処方物に用いてよい抗酸化剤の例は、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、などのフリーラジカルスカベンジャー、またはアスコルビン酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤、およびクエン酸、酒石酸およびレシチンなどの抗酸化剤共力剤を含む。
【0205】
1つの態様において、オリゴヌクレオチドの組成物はマイクロエマルジョンとして処方される。マイクロエマルジョンは水、油および両親媒性物質の系であり、光学的に等方および熱力学的に安定な単一の液体溶液である。典型的には、マイクロエマルジョンは最初に油を水性界面活性剤溶液に分散させ、次に十分な量の第4の構成成分、一般的には透明な系を形成するための中級鎖長アルコール、を添加することで調製する。
【0206】
マイクロエマルジョンの調製に用いられてよい界面活性剤は、これに限定するものではないが、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、テトラグリセロールモノラウレート(ML310)、テトラグリセロールモノオレート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(MCA750)、デカグリセロールモノオレート(MO750)、デカグリセロールセキオレート(S0750)、デカグリセロールデカオレート(DA0750)、単独または共界面活性剤と組み合わせて含む。共界面活性剤、通常はエタノール、l−プロパノール、およびl−ブタノールなどの短鎖アルコール、は界面薄膜に侵入し、その結果無秩序な薄膜を創造することにより、界面活性剤の分子の間に発生する隙間の空間のせいで、界面の流動性を増大させる。
【0207】
マイクロエマルジョンは、しかしながら、共界面活性剤を使用せずに調製されてもよく、アルコールフリーの自己乳化マイクロエマルジョン系は当該技術分野で既知である。水相は典型的には、これに限定するものではないが、水、薬物の水性溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびエチレングリコールの誘導体であってよい。油相は、これに限定するものではないが、Captex 300、Captex 355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C〜C12)モノ、ジ、およびトリグリセリド、ポリオキシエチレン化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C〜C10グリセリド、植物油およびシリコーン油などの材料を含んでよい。
【0208】
マイクロエマルジョンは、薬剤可溶化および薬剤の増強された吸収という観点から特に興味深い。脂質ベースのマイクロエマルジョン(油/水および水/油両方)は、薬物の口内バイオアベイラビリティを増強することが提案されてきた。
【0209】
マイクロエマルジョンは、改善された薬剤の可溶化、酵素的加水分解からの薬剤の保護、界面活性剤に誘導される膜流動性および浸透性の変化に起因する薬剤吸収の増強可能性、調製の容易さ、固体投薬形態以上の経口投与の容易さ、改善された臨床的な効能、および減少した毒性を示す(Constantinides et al., Pharmaceutical Research, 1994, 11:1385; Ho et al., J. Pharm. Sci., 1996, 85: 138-143)。マイクロエマルジョンはまた、化粧的および薬学的アプリケーション両方における活性構成成分の経皮吸収においても効果的である。マイクロエマルジョン組成物および本発明の処方物が、胃腸管からのオリゴヌクレオチドの増大した全身性吸収を促進するのと同様に、胃腸管内、膣内、口腔内および他の場所内の投与でのオリゴヌクレオチドの局所的細胞取り込み改善することが期待される。
【0210】
1つの態様において、本発明は、動物の皮膚への核酸、特にオリゴヌクレオチド、の効率的な送達に影響する様々な浸透増強剤を採用する。非親油性の薬剤であっても、横断すべき膜が浸透増強剤で処理された場合、細胞膜を横断し得る。細胞膜を横断する非親油性薬剤の拡散の増大に加えて、浸透増強剤はまた親油性薬剤の浸透性を増強するようにも作用する。
【0211】
本発明に用いてよい浸透増強剤の5つの分類は、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、および非キレート非界面活性剤を含む。投与されたオリゴヌクレオチドの浸透を増強するのに用いてよい他の剤は、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのグリコール、2〜15ピロールなどのピロール、アゾン、およびリモネンおよびメントンなどのテルペンを含む。
【0212】
オリゴヌクレオチド、特に脂質処方物中のもの、はまた医療デバイス、例えば血管形成バルーンカテーテルなどのカテーテル、をカチオン性脂質処方物でコーティングによって投与することができる。コーティングは、例えば医療デバイスを脂質処方物または脂質処方物と好適な溶媒、例えば水性ベースの緩衝液、水性溶媒、エタノール、メチレンクロライド、クロロホルムなど、との混合物に浸漬することにより達成し得る。ある量の処方物が自然にデバイスの表面に付着し、それが続いて必要に応じて患者に投与される。代替的に、凍結乾燥された脂質処方物の混合物を、デバイスの表面に特異的に結合させてもよい。かかる結合技術は、例えばK. Ishihara et al., Journal of Biomedical Materials Research, Vol. 27, pp. 1309-1314 (1993)に記載され、この開示は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0213】
当業者にはすぐにわかるように、投与されるべき有用な用量および特定の投与の方式は、細胞種、またはin vivoの使用については、年齢、体重および特定の動物および処置されるべきその領域、特定のオリゴヌクレオチドおよび用いられる送達方法、意図している治療的または診断的利用、および例えば懸濁液、エマルジョン、ミセルまたはリポソームなどの処方の形態などの因子に依存して変化するだろう。典型的には、用量は低レベルで投与され、所望の効果が達成されるまで増大される。オリゴヌクレオチドの送達に脂質が用いられる場合、投与される脂質化合物の量は変化することができ、一般的には投与されるオリゴヌクレオチド剤の量に依存する。例えば、オリゴヌクレオチド剤に対する脂質化合物の重量比率は、好ましくは約1:1から約15:1であり、重量比率で約5:1から約10:1がより好ましい。一般的には、投与されるカチオン性脂質化合物の量は、約0.1ミリグラム(mg)から約1グラム(g)の間で変化するだろう。一般的なガイダンスの目的で、典型的には、それぞれ患者の体重のキログラムあたり、約0.1mgおよび約10mgの間の特定のオリゴヌクレオチド剤および約1mgから約100mgの脂質組成物が投与され、それより高いおよび低い量を用いることもできる。
【0214】
本発明の剤を、生物学的に相性のよい薬学的投与に好適な形態で対象に投与し、または細胞と接触する。「生物学的に相性のよい投与に好適な形態」は、オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドの治療的効果があらゆる毒性効果を上回る形態で投与されることを意味する。1つの態様において、オリゴヌクレオチドを対象に投与することができる。対象の例は、哺乳類、例としてヒトおよび他の霊長類;ウシ、ブタ、ウマおよび畜産(農業)動物;イヌ、ネコ、および他の家畜化されたペット;マウス、ラットおよびトランスジェニック非ヒト動物、を含む。
【0215】
本発明のオリゴヌクレオチドの活性量の投与は、有効量、投与量および所望の結果を達成するのに必要な期間として定義される。例えば、オリゴヌクレオチドの活性量は、細胞種、用いられるオリゴヌクレオチド、およびin vivo使用について、疾患状態、年齢、性別、および個体の体重、および個体中で所望の応答を引き出すオリゴヌクレオチドの能力にしたがって変化してよい。細胞内でのオリゴヌクレオチドの治療的レベルの確立は、取り込みおよび流出または分解の速度に依存する。分解の程度を減少させることは、オリゴヌクレオチドの細胞内半減期を延長する。したがって、化学修飾オリゴヌクレオチド、例としてホスフェート骨格の修飾を有する、は異なる用量を必要としてよい。
【0216】
オリゴヌクレオチドの正確な用量および投薬の回数は、実験的におよび治験で得られたデータに依存するだろう。所望の効果、送達ビヒクル、疾患の兆候、および投与の経路などのいくつかの因子が、用量に影響するだろう。当業者はすぐに用量を決定し、主題の医薬組成物に処方することができる。好ましくは、処置時間は、少なくとも疾患の兆候の経過を通じて延長されるだろう。
【0217】
用量レジメンは最適な治療的応答を提供するように適合されてよい。例えば、オリゴヌクレオチドは繰り返し投与されてよく、例として毎日数回投与されてよくまたは治療的状況の緊急度によって示されるように比例的に低減されてよい。当業者は、主題のオリゴヌクレオチドの適切な用量および投与のスケジュール、オリゴヌクレオチドを細胞と対象とのどちらに投与すべきかをすぐに決定することができる。
【0218】
VI.オリゴヌクレオチド安定性のアッセイ
好ましくは、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは安定である、すなわちエンドヌクレアーゼおよびエクソヌクレアーゼ分解に実質的に抵抗性である。オリゴヌクレオチドは、内因性の細胞性ヌクレアーゼによる攻撃に対して少なくとも約3倍より抵抗性である場合に、ヌクレアーゼに対して実質的に抵抗性であると定義され、対応する一本鎖オリゴヌクレオチドよりも少なくとも約6倍より抵抗性である場合に、高度にヌクレアーゼ抵抗性である。このことは、当業者に既知の技術を用いて、本発明のオリゴヌクレオチドが実質的にヌクレアーゼに対して抵抗性であることを示すことにより実証することができる。
【0219】
実質的な安定性を実証することができる1つの方法は、本発明のオリゴヌクレオチドが細胞に送達されたときに機能する、例としてそれらが標的核酸分子の転写または翻訳を低減することを、例としてタンパク質レベルを計測することまたはmRNAの切断を計測することで、示すことである。標的RNAの安定性を計測するアッセイは、トランスフェクションの約24時間後に実施することができる(例として、当該技術分野において既知のように、ノーザンブロット技術、RNase保護アッセイ、またはQC−PCRアッセイを用いて)。代替的に、標的タンパク質のレベルを計測することができる。好ましくは、対象となるRNAまたはタンパク質レベルの試験に加えて、対照、非標的遺伝子、のRNAまたはタンパク質レベルが、特異性対照として計測されるだろう(例として、アクチン、または好ましくは標的と配列類似性を有する対照)。RNAまたはタンパク質計測は、技術分野に認識された任意の技術を用いて行うことができる。好ましくは、計測はトランスフェクションの約16〜24時間後から開始される(M. Y. Chiang, et al. 1991. J Biol Chem. 266:18162-71 ; T. Fisher, et al. 1993. Nucleic Acids Research. 21 3857)。
【0220】
本発明のオリゴヌクレオチド組成物の、タンパク質合成を阻害する能力は、例えば遺伝子転写またはタンパク質合成において阻害を検出するなど、当該技術分野に既知の技術を用いて計測することができる。例えば、ヌクレアーゼS1マッピングを行うことができる。別の例において、ノーザンブロット分析を、特定のタンパク質をコードするRNAの存在を計測するために用いることができる。例えば、総RNAをセシウムクロライドクッション上で調製することができる(例としてAusebel et al., 1987. Current Protocols in Molecular Biology (Greene & Wiley, New York)参照)。そしてノーザンブロットをRNAを用いて行いプローブすることができる(例として上記参照)。別の例において、例としてPCRを用いて、標的タンパク質によって産生される特定のmRNAのレベルを計測することができる。さらに別の例において、ウェスタンブロットを、存在する標的タンパク質の量の計測に用いる。さらにまた別の態様において、タンパク質の量に影響されるフェノタイプを検出することができる。ウェスタンブロットを実施する技術は当該技術分野に周知であり、例としてChen et al. J. Biol. Chem. 271:8259参照。
【0221】
別の例において、標的遺伝子のプロモーター配列はレポーター遺伝子に連結されることができ、レポーター遺伝子転写(例として、以下に詳述されるような)を監視することができる。代替的に、プロモーターをターゲティングしないオリゴヌクレオチド組成物を、レポーター遺伝子が転写されるように標的核酸分子の一部分とレポーター遺伝子とを融合することにより、同定することができる。オリゴヌクレオチド組成物の存在下でレポーター遺伝子の発現における変化を監視することにより、レポーター遺伝子の発現阻害におけるオリゴヌクレオチド組成物の効果を決定することができる。例えば、1つの態様において、効果的なオリゴヌクレオチド組成物はレポーター遺伝子の発現を低減するだろう。
【0222】
「レポーター遺伝子」は、検出可能な遺伝子産物、RNAでもタンパク質でもよい、を発現する核酸である。mRNA発現の検出は、ノーザンブロッティングによってなされてよく、タンパク質の検出は、該タンパク質に特異的な抗体で染色することによってなされてよい。好ましいレポーター遺伝子はすぐに検出可能な産物を産生する。レポーター遺伝子は、レポーター遺伝子産物の検出が調節配列の転写活性の指標を提供するように、調節DNA配列に操作可能に連結されていてよい。好ましい態様において、レポーター遺伝子の遺伝子産物は、この産物に関連する固有の活性によって検出される。例えば、レポーター遺伝子は、酵素活性によって、色、蛍光または発行に基づく検出可能なシグナルの上昇を与えるような遺伝子産物をコードしてよい。レポーター遺伝子の例は、これに限定するものではないが、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、およびアルカリホスファターゼをコードするものを含む。
【0223】
当業者はすぐに、多くのレポーター遺伝子が本発明に用いるのに好適であることを認識する。これらは、これに限定するものではないが、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、ヒト成長ホルモン(hGH)およびベータ−ガラクトシダーゼを含む。かかるレポーター遺伝子の例は、F. A. Ausubel et al.編, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, (1989)に見出すことができる。検出可能な産物、例として検出可能な酵素活性を有するまたは特異的抗体が産生される産物、をコードする任意の遺伝子が、本方法のレポーター遺伝子として用いることができる。
【0224】
1つのレポーター遺伝子システムは、ホタルルシフェラーゼレポーターシステムである(Gould, S. J., and Subramani, S. 1988. Anal. Biochem., 7:404-408、参照として本明細書に組込まれる)。ルシフェラーゼアッセイは、迅速かつ敏感である。このアッセイにおいて、試験細胞の溶解物を調製し、ATPおよび基質ルシフェリンと組み合わせる。コードされた酵素ルシフェラーゼは、基質の迅速な、ATP依存性の酸化を触媒し、光放出産物を産生する。総光出力を計測し、それは広い範囲の酵素濃度にわたってルシフェラーゼの存在量に比例する。
【0225】
CATは、頻繁に用いられる別のレポーター遺伝子システムであり;このシステムの主たる利点は、大規模に検証されてきており、プロモーター活性の指標として広く受け容れられていることである(Gorman C. M., Moffat, L. F., and Howard, B. H. 1982. Mol. Cell. Biol., 2:1044-1051)。このシステムにおいて、試験細胞をCAT発現ベクターでトランスフェクトし、最初のトランスフェクションから2〜3日以内に候補基質とインキュベートする。その後、細胞抽出物を調製する。抽出物をアセチルCoAおよび放射性クロラムフェニコールとインキュベートする。インキュベーションに続いて、アセチル化クロラムフェニコールを非アセチル化形態から薄層クロマトグラフィーで分離する。このアッセイにおいて、アセチル化の程度が特定のプロモーターを伴うCAT遺伝子活性を反映する。
【0226】
別の好適なレポーター遺伝子システムは、hGHの免疫学的検出に基づいている。このシステムもまた、素早く簡便に使用できる(Selden, R., Burke-Howie, K. Rowe, M. E., Goodman, H. M., and Moore, D. D. (1986), Mol. Cell, Biol., 6:3173-3179、参照として本明細書に組込まれる)。hGHシステムは、発現されたhGHポリペプチドを細胞抽出物ではなく培地内でアッセイすることに利点がある。したがって、このシステムは試験細胞の破壊を必要としない。このレポーター遺伝子システムの原理はhGHに限定されず、むしろ許容可能な特異性を有する抗体が利用可能であるか調製可能である任意のポリペプチドでの使用に適用されることが認識されるだろう。
【0227】
1つの態様において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ安定性が計測され、対照、例として当該技術分野で典型的に用いられるRNAi分子(例として25ヌクレオチド未満の長さのデュプレックスで、2ヌクレオチド塩基オーバーハングを含むもの)または平滑末端の非修飾RNAデュプレックス、と比較される。
【0228】
VII.治療的使用
遺伝子の発現を阻害することにより、本発明のオリゴヌクレオチド組成物は、遺伝子の発現を伴う任意の疾患を処置するのに用いることができる。オリゴヌクレオチド組成物により処置されることができる疾患の例は、単なる例示として、ガン、網膜症、自己免疫疾患、炎症性疾患(すなわちICAM−1関連疾患、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病)、ウィルス性疾患(すなわち、HIV、C型肝炎)および心臓血管疾患を含む。
【0229】
1つの態様において、オリゴヌクレオチドでの細胞のin vitro処置は、対象から除去した細胞のex vivo治療(例として、白血病またはウィルス感染の処置のために)または対象に由来しないが対象に投与される細胞の処置(例として、対象に移植される細胞上の移植抗原発現を排除するため)に用いることができる。加えて、細胞のin vitro処置は非治療的状況、例として遺伝子機能を評価するため、遺伝子制御およびタンパク質合成を研究するため、または遺伝子発現またはタンパク質合成を制御するために設計されたオリゴヌクレオチドになされた改良を評価するため、に用いることができる。細胞のin vivo処置は、タンパク質の発現を阻害することが望ましいある臨床的状況に有用であり得る。アンチセンス治療が好適であると報告されている多数の医学的病態があり(例として米国特許第5,830,653号)、他には呼吸器合胞体ウィルス感染(WO95/22,553)インフルエンザウィルス(WO94/23,028)および悪性腫瘍(WO94/08,003)がある。アンチセンス配列の臨床的使用の他の例は、例としてGlaser. 1996. Genetic Engineering News 16:1に参照されている。オリゴヌクレオチドによって切断される代表的な標的は、例としてプロテインキナーゼCa、ICAM−1、c−rafキナーゼp53、c−myb、および慢性骨髄性白血病に見出されるbcr/abl融合遺伝子を含む。
【0230】
SOD1の変異はある形態の家族性ALS疾患の原因である。動物モデルにおいて、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはRNAiによるSOD発現の阻害は、ALS様兆候の進行を遅くすることが示されてきた。本発明の主題である高度に活性で、ヌクレアーゼ安定性でかつ特異的な化合物はALSに対する治療的投与に非常に適している。
【0231】
本発明の実施は、他に示されない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技術を採用し、それは当業者の技術の範囲内である。かかる技術は文献に十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 第2版, ed. by Sambrook, J. et al. (Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)); Short Protocols in Molecular Biology, 第3版, ed. by Ausubel, F. et al. (Wiley, N.Y. (1995)); DNA Cloning, Volumes IおよびII (D. N. Glover編, 1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait編(1984)); Mullis et al. US特許番号4,683,195; Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins編(1984)); the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N. Y.); Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker編, Academic Press, London (1987)); Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell編(1986)); and Miller, J. Experiments in Molecular Genetics (Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1972))参照。
【実施例】
【0232】

上記で本発明が一般的に記載され、以下の例の参照によってより容易に理解されるだろうが、これらは、単に本発明のある側面および態様を描写する目的のために含まれているのであって、本発明を制限することを意図しない。
【0233】
下記における多くの例は、標的遺伝子としてSOD1および/またはPPIB遺伝子を用いているが、本発明の方法および試薬は、他のどんな遺伝子にも一般的に適用可能であり、そのように限定されるものではない。簡潔化のために、下記の例において、主題のRNAiコンストラクトはしばしば「代替RNAi化合物」と称される。
【0234】
例1:代替RNAi化合物は、インビトロにおいて標準的なsiRNAと比較すると同等または優位に効果的である。
主題の修飾されたRNAiコンストラクト(「代替RNAi化合物」)が、標準的なsiRNAまたは異なる化学的修飾を伴うsiRNAと比較したときに、もし優位でなくとも、少なくとも同等に効果的であるということを実証するために、以下の対照比較実験を実施した。
【0235】
SOD1を標的とする代替RNAi化合物(5nM)を、縣濁液中でLIPOFECTAMINETM RNAiMAX(Invitrogen)を導入剤として用いて、HEK293細胞へリバーストランスフェクトした。細胞を24時間目に溶解し、SOD1のmRNAレベルをbDNAアッセイ(Panomics QUANTIGENE(R))を用いて定量した。
【0236】
bDNAアッセイとは、捕獲した標的RNAからのシグナルを増幅させるためにbDNA分子を用いる、サンドイッチ核酸ハイブリダイゼーション法である。製造者によると、bDNA技術は、HIV、HCVおよびHBVのウイルス負荷量のためのFDA承認の臨床診断用VERSANT3.0検定の基礎を形成し、これはSiemens社によって市販されており、10年以上にわたって使用されている。bDNAアッセイのもう一つの利点は、RNAが、RNA精製または酵素操作を伴わずに、サンプルソースから直接に測定されることであり、それによって、これらのプロセスによってもたらされる非効率性および変動性またはこれらのプロセスに特有のエラーが回避される。
【0237】
この検定において、SOD1のmRNAをシクロフィリンB(PPIB)のmRNAに対して正規化した。図2に示すように、「R1のオリジナルの化学構造」は、NCBI RefSeq ID NM 000454中のヌクレオチド436を始点としてSOD1のmRNAにハイブリダイズする二本鎖21merのRNAiコンストラクトを指す。センスおよびアンチセンス鎖の両方における5’−末端をリン酸化し、両鎖の末端ヌクレオチドを2’−フルオロおよび/またはホスホチオエート結合によって修飾した。図1中のID番号10105として示される配列を参照のこと。
【0238】
R1の修飾された2’−OMeバージョンは、図1中のID番号10104として示され、その中では10105中の2’−Fヌクレオチドが2’−O−Meと置き換えられている(ID番号10104)。
【0239】
ID番号10023は25merの平滑末端を有する代替RNAi化合物であり、ヌクレオチド434を始点としてSOD1のmRNAにハイブリダイズする(すなわち、21merのR1配列の各端へ2個のヌクレオチドが付加されている)。5末端の最多でも4個のヌクレオチドおよび3末端の最多でも4ヌクレオチドが、2’−O−メチル基により修飾される(そしてアンチセンス鎖は修飾されない)。
【0240】
関連する化学構造を有する「MM対照群」はsiRNAまたは代替RNAi化合物に対して用られ、平均として示した。図2に示すように、2’OMeの化学構造の適用および/またはR1配列の長さの延長は、活性の改善につながる傾向がある。これは、2’OMe修飾を施す費用が2’−F修飾を施すよりも低いからのみならず、2’F修飾を有するsiRNAが動物において毒性となる結果となった一方で、2’OMeを有する代替RNAi化合物は、より高い投与量においてさえ毒性を示さないという理由でも有益になる可能性がある。
【0241】
したがって、代替RNAi化合物は、インビトロにおいて従来技術の2’−F修飾されたsiRNAと比較すると、少なくとも同等または優位に効果的である。
【0242】
例2:インビトロにおける代表的なSOD1の代替RNAi化合物の活性
本例は、標的遺伝子(この場合、SOD1遺伝子)上のいくつかの標的領域が他よりも良い標的部位であり得ることを実証する。
【0243】
SOD1を標的とする異なる25−merの代替RNAi化合物(5nM)を、縣濁液中でLIPOFECTAMINETM RNAiMAX(Invitrogen)を導入剤として用いて、HEK293細胞へリバーストランスフェクトした。細胞を24時間目に溶解して、SOD1のmRNAレベルをbDNAアッセイ(Panomics QUANTIGENE(R))を用いて定量した。SOD1のmRNAをシクロフィリンB(PPIB)のmRNAに対して正規化した。MM−10025は化学構造が一致するミスマッチ対照を示す。
【0244】
ここで試験される全ての代替RNAi化合物は同じ修飾の化学構造(例として、センス鎖を各末端において2’−O−メチル基で修飾する)を有するが、他の代替RNAi化合物の大多数は、正規化されたSOD1レベルを60%以上減少させた一方で、第一次スクリーニングにおける7つの代替RNAi化合物が、化学的に一致する対照による処理と比べると、正規化されたSOD1レベルを90%以上減少させた。図3を参照のこと。
【0245】
例3:SOD1に対する代替RNAi化合物
本例は、ある主題の代替RNAi化合物(平滑末端を有する25−Merで、センス鎖の各末端に4個の2’OMeを有する)がSOD1の発現抑制のために効果的であることを証明する。
【0246】
ヒトSOD1を標的とする8つの代替RNAi化合物(5nM)を、縣濁液中でLIPOFECTAMINETM RNAiMAX(Invitrogen)を導入剤として用いて、HEK293細胞へリバーストランスフェクトした。細胞を24時間目に溶解して、SOD1のmRNAレベルをbDNAアッセイ(QUANTIGENE(R))を用いて定量した。SOD1のmRNAレベルをシクロフィリンB(PPIB)のmRNAに対して正規化して、100と設定された化学的に一致する対照と関連させた。MM−1025は、代替RNAi化合物の化学構造において、化学構造が一致する対照である。加えて、R1(修飾された21merのsiRNA配列および化学構造形状、例1を参照のこと)の活性を比較のために挙げる。MM−10032は、R1に対する化学構造が一致する対照である。
【0247】
図4に示すように、主題の代替RNAi化合物は、SOD1標的遺伝子に対して良好な活性を有していた。活性は、21−merの修飾されたデュプレックスのR1において改善された。これらの配列はマウスSOD1遺伝子に対する活性をも維持した。
【0248】
例4:SOD1の代替RNAi化合物についての用量反応分析
SOD1を標的とする代替RNAi化合物を、0.01nMから10nMの濃度を用いて、HEK293細胞にトランスフェクトした。これらの実験では、標的を持たないフィラーRNAデュプレックス種をトランスフェクション反応へ添加することによって、各濃度におけるデュプレックスの総濃度を25nMに保った。この方法は、製造者からの推奨に基づく、細胞のトランスフェクションを維持するやり方で、非常に低濃度の標的デュプレックスを試験することを可能とした。ヒトSOD1のmRNAを、QuantiGeneのbDNAアッセイによって、トランスフェクション後48時間目に測定した。代替RNAi化合物10014は過去の研究において複数回試験済みであり、ここではそれを比較のための対照として含めた。本研究において試験されたもう片方のデュプレックスは、単一濃度実験においてヒットとして同定し、ここにおいてEC50決定のために追跡調査した。デュプレックス10011、10014および10097はマウス/ヒト相同であり、マウスおよびヒト細胞培養での確認された活性を有している。デュプレックス10089および10097の活性はマウス細胞では確認されていないが、これらのデュプレックスはヒト/マウス配列相同性を有する。
【0249】
至適化トランスフェクション条件を用いる用量漸増研究は、デュプレックスの効力の直接比較を可能にする。特に活性なデュプレックスは、これらの研究において、元来のヒットよりも改善されたEC50値で、および50pM以下の値で同定された(図5Aを参照のこと)。
【0250】
図5Bは、非修飾で25−bpの平滑末端のデュプレックス(黒丸)と主題の「4/4」2’−O−Meパッセンジャー鎖修飾を有する25−bpの平滑末端のデュプレックス’(白四角)との代表的な用量漸増曲線比較を示す。ヒトHEK293細胞は、いずれかのコンストラクトで別々にトランスフェクトされた。両方のRNAデュプレックスはSOD1遺伝子を標的としており、ヒトおよびマウス細胞の両方において相同性を有する遺伝子の領域に対して設計された。本明細書中に記載されるように、細胞をトランスフェクションの48時間後に溶解し、mRNAレベルをbDNAハイブリダイゼーションアッセイを用いて測定した。非修飾の25−bpデュプレックスおよび「4/4」2’−O−Me化学構造の25−bpデュプレックスのEC50値は、それぞれ0.072nM±20nMおよび0.062nM±0.031nMだった。
【0251】
図5Cは、マウスNIH3T3細胞で実施された本質的に同じ実験を示す。非修飾の25−bpデュプレックスおよび「4/4」2’−O−Me化学構造の25−bpデュプレックスのEC50値は、それぞれ0.079nM±0.042nMおよび0.037nM±0.013nMだった。
【0252】
これらの実験は、主題の25−bpの非修飾RNAデュプレックスのサイレンシング活性がピコモル濃度の範囲内で一貫していること、および同一配列の非修飾25−bpデュプレックスのサイレンシング活性と同等であることを示す。
【0253】
例5:PPIBに対して高い効力を有する代替RNAi化合物
SOD1遺伝子中の他の部位または、ほとんど(全てではないにしても)の組織で発現するユビキタス遺伝子であるシクロフィリンB(PPIB)遺伝子を標的とする修飾および非修飾デュプレックスを比較したときに、強力な遺伝子サイレンシング活性もまたみられるため、例4の結果は部位特異的でも遺伝子特異的でもない。
【0254】
HEK293細胞をsiRNAおよび代替RNAi化合物でトランスフェクトし、24時間インキュベートした。ヒトPPIBまたはSOD1に特異的なプローブを用いたbDNAアッセイ(Panomics)を用いて、遺伝子発現を測定した。PPIB発現をSOD1発現(対照遺伝子)に対して正規化することによって、分析を行った。PPIB抑制のパーセントを陰性対照であるルシフェラーゼのsiRNAまたは代替RNAi化合物を用いて調整した。
【0255】
図6Aは、PPlBを標的とする25−merの代替RNAi化合物ID番号10457(4つの2’’OMeをセンス鎖の各末端に有する平滑末端の25−mer−「4/4」)が、非修飾21merのsiRNAについて実証された高い効力を維持または改善することを示す。コンストラクト10167は、PPIBを標的とする、文献からの非修飾21merのsiRNAである。コンストラクト10169は、10167と同じ配列を有するが、そのセンス鎖上の最初の4個および最後の4個のヌクレオチドにおける2’−O−Me修飾をも有する。
【0256】
図6Bは、19−bp+2ntのsiRNA(図6B中の黒丸);パッセンジャー鎖に2’−O−Meを有する19−bp+2ntのsiRNA(図6B中の白丸);2’−O−Meパッセンジャー鎖修飾を有する25−bp平滑末端のデュプレックス(図6B中の白四角);または2’−O−Meパッセンジャー鎖修飾を有する27−bp平滑末端のデュプレックス(図6B中の白三角)、の間の代表的な用量漸増曲線比較を示す。RNAデュプレックスは、ヒトおよびマウスの両方において相同な領域中のPPIB遺伝子を標的とする。加えて、デュプレックスは、長さに関わらず、同じmRNA切断部位を保存するように設計された。EC50値は以下である:19−bp+2ntのsiRNA=0.043nM±0.019nM、2’−O−Meを有する19−bp+2ntのsiRNA=0.276nM±0.144nM、25−bpデュプレックス2’−O−Me=0.025nM±0.009nM、27−bpデュプレックス2’−O−Me=0.072nM±0.035nM。
【0257】
同じ実験をマウスNIH3T3細胞においても繰り返した(図6C)。EC50値は以下である:非修飾19−bp+2ntのsiRNA=0.482nM±0.076nM、2’−O−Meを有する19−bp+2ntのsiRNA=1.235nM±0.194nM、25−bpデュプレックス2’−O−Me=0.219nM±0.044nM、27−bpデュプレックス2’−O−Me=0.518nM±0.099nM。
【0258】
例6:化学的修飾は代替RNAi化合物のダイサープロセシングを防止する
出願人によってなされた鍵となる知見の一つは、従来技術が「21−merより長いdsRNAはダイサーにより切断されて21−merの産物になる」と説いているにもかかわらず、ある修飾二本鎖RNAはダイサー切断されないことである。加えて、出願人は、ダイサー抵抗性dsRNA上のアンチセンス鎖がRISC複合体に取り込まれる可能性があり、RNA干渉のためのガイド配列としての役割を果たすことを示した。このダイサー抵抗性dsRNAの5’−末端のヌクレオチド(3’−末端または他のヌクレオチドではなく)は、RISC複合体においてダイサー切断された21−merの5’−末端とぴったり合う。
【0259】
最初の実験では、異なる修飾化学構造(以下を参照)を有するいくつかの25−merの代替RNAi化合物を含むいくつかのRNAiデュプレックスを組換ヒトダイサー酵素(0.5単位)(Genlantis、San Diego、CA)とともにまたは無しで、250mMのNaCl、30mMのHEPES(pH8.0)、0.05mMのEDTA、2.5mMのMgClの反応緩衝液中において37℃で8時間インキュベートした。インキュベート後、添加液を加えて液体窒素で瞬間冷凍することで反応を停止させた。各サンプルのアリコート(15pmoles)を、TBE緩衝液中で20%の天然ポリアクリルアミドゲル上に流した。サンプルは、ゲルの上に表示されるとおりに、ダイサー酵素無しおよび有りで交互に装填した。図7に示すように、さまざまな平滑末端25−merのデュプレックスへの2’−O−Me修飾は、修飾されなかった25−merの平滑デュプレックスとは対照的に、ダイサーによる切断に抵抗性を有する。
【0260】
このことは、代替RNAi化合物デュプレックスが細胞中で一律の種として機能すると予測され、活性を有するために複数の異なる21−merのデュプレックスまたは他のより短い種へと切断されないことを示す。これらの発見は、活性剤は単一種であるために、臨床発達にとって重要な意味合いを有する。これは現行のモデルが、21−merよりも長いデュプレックスがその長さになるようにプロセシングされることを示唆していることと対照的である。さらに、デュプレックスRNAの一方の側における修飾を示す27−merのデュプレックスのデータは、プロセシングを示す。例えば、Kuboら(Oligonucleotides 17(4):445−464,2007)は、ダイサーが、同じ側に修飾を有する長いデュプレックスをプロセシングするであろうことを示した。
【0261】
ここで出願人は、配列のいずれかの末端における4×2’O−メチル修飾を有する平滑25−merのデュプレックスなどの、より長いdsRNA上のあるセンスおよび/またはアンチセンス鎖の修飾はダイサー酵素によって切断されないことを実証している。本明細書に記載されている他の修飾戦略もまたダイサー切断される能力を喪失させ得ることがわかっている。修飾は一般的にセンス鎖の5’または3’末端の両方に含まれる。
【0262】
例7:代替RNAi化合物に取り込まれた免疫沈降Ago2のノーザンブロット
本例は、本発明のダイサー抵抗性dsRNAがRISC複合体に取り込まれ、遺伝子サイレンシング活性を有することを実証する。
【0263】
myc−Ago2を安定的に発現する293S細胞(Hannon Lab、CSHLの厚意により取得)を、25−mer(表4中の10174)のまたは26−mer(表4中の10175)の代替RNAi化合物デュプレックスでトランスフェクトした。24時間後に、細胞切片を収集し、抗c−myc抗体(Sigma)を抱合したアガロースビーズを用いて免疫沈降し、myc−Ago2タンパクを沈降させた。Ago2に取り込まれたRNAを沈降させ、15%のポリアクリルアミドゲル上に装填した。21−26ntの32P末端標識一本鎖RNAマーカーを、サイズの決定のためにゲルに含ませた。ポリアクリルアミドゲルからのRNAをナイロン膜へ転写し、膜に紫外線架橋した。その膜を、トランスフェクトされた代替RNAi化合物に特異的な32P標識化LNAプローブとともに、一晩インキュベートした。洗浄後、ブロットをphosphor imagining system(BAS−2500、Fuji)で可視化した(図8A参照)。
【0264】
この結果は、25−merまたは26−merの代替RNAi化合物が、RNAiプロセスの一環として、ダイサー切断されないという結論をさらに支持する。加えて、25−merまたは26−merのデュプレックスは、RISC複合体中のRNAiサイレンシングAgo2と会合することがわかった。配列は表4に示される。
【0265】
類似の実験では、c−myc Ago2を発現する293細胞を、SOD1に対する様々なデュプレックス(例として、非修飾の21―mer;非修飾の25−mer;および4/4 2’−O−Me修飾を有する25−mer)でトランスフェクトした。細胞を採取、溶解し、c−mycのAgo2を前述したように免疫沈降した。免疫沈降後、IP画分のRNAを抽出および沈降した。そして本明細書中に記載したように、RNAを変性ポリアクリルアミドゲルに装填し、ナイロン膜へ転写し、トランスフェクトされたRNAデュプレックスのガイド鎖に特異的なLNAプローブを用いて検出した。
【0266】
図8BはデュプレックスSOD1を標的とするRNAデュプレックスのガイド鎖についてのノーザンブロットを示す。一本鎖RNAを、捕獲したガイド鎖RNAの横に流した。サイズマーカーは下線が引かれており、21から25nt長のサイズに相当する。21−25ntの一本鎖RNAマーカーと比較して、2つの試験された25−bpデュプレックスのAgo2:RISC会合ガイド鎖は長さが25ntと特定された。これらのデータは、修飾されたガイド鎖がその完全長形態でAgo2:RISCと結合することを確認する。本研究では、非修飾の25−bpデュプレックスが、細胞中での効率的なダイサープロセシングによりもたらされるはずであった、より小さい想定産物へと効率的に切断されていないことにも注目されたい。これらの操作された293細胞株はc−myc標識Ago2タンパクを劇的に過剰発現するので、Ago2:RISC複合体の豊富さにより、RNAデュプレックスがダイサーにプロセシングされ得る以前に取り込まれてしまう可能性がある。
【0267】
免疫沈降前に細胞溶解物のアリコートにおける標的mRNAの減少を測定することによって、これらの細胞中での強力な活性が確認された。図8Cは、c−myc Ago2を発現する293細胞のトランスフェクション後におけるSOD1の発現を示す。c−myc Ago2の免疫沈降の前に、細胞溶解物の画分を総細胞RNA精製のために収集した。方法欄に記載のように、RNAを精製し、bDNAアッセイを用いて遺伝子発現を測定した。SOD1発現のレベルをPPIBに対して正規化して、対照デュプレックスを標的とするルシフェラーゼに対して調整した。RNAデュプレックスを標的とするトランスフェクトされたSOD1の最終濃度は25nMだった。
【0268】
例8:精製したRISCを用いた合成基質のmRNA切断アッセイ
本例は、代替RNAi化合物中のダイサー抵抗性アンチセンス鎖(ガイド配列)の5’−末端がダイサー切断産物(21−mer)の5’−末端と合致し、(標的mRNA上の)切断部位がガイド鎖の5’−末端から10番目および11番目のヌクレオチドの間であることを実証する。
【0269】
一つの実験では、myc−Ago2を安定的に発現する293S細胞(Hannon Lab、CSHLの厚意により取得)を、21merの修飾dsRNA10036(R1)のほかに、数個の代替RNAi化合物デュプレックスでトランスフェクトした。24時間後に、細胞溶解物を収集し、抗c−myc抗体(Sigma)を結合させたアガロースビーズを用いて免疫沈降した。免疫沈降(IP)サンプルを、合成の放射性標識化50nt基質(表5)とともに、37℃で2時間インキュベートした。サンプルを次に、15%のポリアクリルアミドゲルに流し、phosphor imager(BAS−2500、Fuji)で可視化した。
【0270】
Rl/10036と比較すると、25−merの代替RNAi化合物10023が4つの追加の5’−末端ヌクレオチドを有し、それによってその予測される切断産物の長さが10036のそれより4ヌクレオチド分長くなるであろうことに注目されたい。Rl/10036と比較すると、25−merの代替RNAi化合物10174は4つの追加の3’−末端ヌクレオチドを有するが、同じ5’−末端を有するので、その予測される切断産物が10036のそれと同一になるだろう。
【0271】
標的合成基質の切断は、21ntより長いダイサープロセシングされないデュプレックスのために、アンチセンス鎖の5’−末端から10ntの一律の場所で起こる(データは示さない)。バンド群ではなく、一産物のバンドとなる単一の切断箇所が存在する。この結果は、活性なデュプレックスの設計にとって意味があり、その切断箇所の知識をもって、任意の長さのデュプレックスにおいて化学的および配列的修飾を位置決めすることを可能とする。鍵となる残基はこの結果により定義される。
【0272】
この結果は、SOD1遺伝子の異なる部位における切断を導くために設計された3つの他のデュプレックス(図9Aおよび9Bを参照のこと)にてさらに確認された。具体的には、合成基質を、試験されるRNAデュプレックスの標的配列を含むSOD1遺伝子の50nt領域に相当するように、化学的に合成した。図9Aは、合成基質ならびに予想切断箇所および産物の概略図である。図9Bにおいて、方法欄に記載のように、SOD1を標的とするRNAデュプレックスをc−myc Ago2を発現する293細胞へとトランスフェクトした。細胞を採取、溶解し、c−myc Ago2を免疫沈降し、緩衝液中で再構成した。方法欄に記載のように、免疫沈降物を50ntの32P−標識化合成基質とともに30℃で2時間インキュベートした。2時間のインキュベート後、サンプルをサイズマーカー(下線で表示される)と並べて変性ポリアクリルアミドゲルに装填した。サンプルのアルファベット文字は、パネルAの概略図に示される以下のデュプレックスに相当する。A=非修飾19−bp+2ntのsiRNA、B=非修飾25−bpデュプレックス、C=4/4 2’OMeを有する25−bpデュプレックス、D=4/4 2’OMeを有する25−bpデュプレックス、E=ルシフェラーゼ対照デュプレックス。
【0273】
例9:化学的修飾はダイサープロセシングを防ぐ
上記の研究は、25−bpRNAデュプレックスが強力な遺伝子サイレンシングの達成、Ago2:RISCへの完全な取り込み、およびガイド鎖のヌクレオチド10の向かいにある意図する標的の切断を可能とすることを示す。過去の研究は、核酸のメチル化修飾がエンドヌクレアーゼ活性を防ぐことが可能で、それは潜在的にダイサーが21−bp以上のデュプレックスをプロセシングする能力を阻害し得ることを示してきた。これらの化学的に修飾されたRNAデュプレックスについてのダイサープロセシングを調査するために、修飾形状群(a panel of modification configuration)を、インビトロにおけるダイサー切断に対する感受性について試験した(図17A)。活性および標的特異性が、RISCに組み込まれたガイド鎖配列の5’位置によって定義づけられるため、切断産物の知見が少しでもあるのであれば、RNAi活性におけるダイサープロセシングの役割の解明の助けとなるだろう。
【0274】
SOD1遺伝子を標的とする一連のデュプレックスを、パッセンジャー鎖の両末端(5’および3’)を、2’OMeヌクレオチドの数を変化させて修飾した。これらのデュプレックスを、組換ヒトダイサー酵素とともにインキュベートし、プロセシングについて分析した(図17B)。非修飾の25−bpデュプレックスおよびパッセンジャー鎖の両末端において1つの2’OMe修飾を有するデュプレックス(1/1)は、21−bpのsiRNA産物へと完全にプロセシングされる。パッセンジャー鎖の両末端において2つの2’OMeを有するデュプレックス(2/2)は、この実験において、これらの条件下(16時間インキュベーション)では、約30%のデュプレックスがプロセシングされずに残り、部分的なプロセシングを示した(図17C)。しかしながら、パッセンジャー鎖の両末端において3つまたは4つの2’OMe修飾されたヌクレオチドを有するデュプレックス(3/3または4/4)は、ダイサー酵素によってプロセシングされない。
【0275】
ダイサー基質の両鎖の3’末端におけるブロッキング基の存在はプロセシングをブロックする可能性があることが報告されてきた。追加の修飾形状を有する、この同一のSOD1標的デュプレックス配列のダイサープロセシングを調査した。試験された形状は、4つの2’OMe修飾を、両5’末端、両3’末端、またはデュプレックスの各個の鎖(パッセンジャーまたはガイド鎖)の両末端(5’および3’)において含んでいた。ダイサープロセシングはこれら全ての修飾パターンによってブロックされる(図17D)。SOD1遺伝子上の異なる配列を標的とする2’−O−Me修飾された25−bpデュプレックスについても類似する結果が得られる(図17E)。具体的には、本明細書中に記載のように、ヒトSOD1配列を標的とする25−bpデュプレックス(表4を参照のこと)をダイサー酵素で16時間インキュベートして、TBE−ポリアクリルアミドゲル上に装填した。ゲルをSYBRグリーン染色およびUVトランスイルミネーターによって可視化した。示される配列は、デュプレックスの両末端において高いCおよびG塩基含有量を有し、それがよりヌクレアーゼ抵抗性となるのを助けている。「M」は、本明細書中に記載の市販のsiRNAマーカーを意味する。
【0276】
例10:2’OMeを含む代替RNAi化合物の活性比較
本例は、主題の代替RNAi化合物コンストラクトの多くの可能な設計を記載し、様々な2’OMeを含む代替RNAi化合物の代表的な活性比較データを提供する。
【0277】
10015または10023配列(図10Aを参照のこと)に基づく多様な代替RNAi化合物を、図10Bに示されるように、化学構造修飾物と比較した。例えば、図10Bに示されるように、「0811」はセンス鎖の008化学構造、およびアンチセンス鎖の011化学構造をいう。比較のために、0111、すなわち001−011、は多くの以前の例において用いられた、化学構造をスクリーニングするオリジナルの代替RNAi化合物である。結果は、いくつかの修飾がSOD1活性レベルの低下の点でより高い活性へと導くことを示す(図11)。
【0278】
代替RNAi化合物のセンス鎖における2’OMe修飾の変動量の活性比較
所定のデュプレックスの活性度合いにおいてセンス鎖上の2’OMeが有する位置効果を理解するために、10015または10023のいずれかの配列に基づく多様な代替RNAi化合物を、センス鎖への2’OMe修飾の量を変動させたものと比較した(図12A、12B、12C)。全てのデュプレックスは非修飾アンチセンス鎖(すなわち、化学構造011である。図10Bを参照のこと)を有する。図12Aは、PPIB(ハウスキーピング遺伝子)に対して正規化したSOD1サイレンシングの相対活性を示す。図12Bおよび12Cは、(アンチセンス鎖番号に関して)どの位置に2’OMeが配置され、オリジナルの001化学構造(図10Bを参照のこと)と比較されたかを示すビジュアルマップである。グラフは各デュプレックスの活性を、011化学構造よりも上または下の相対的パーセンテージとして図示する。025、024、009、036、021、010、039、033、および008に相当する10015配列(図12B)のIDは、より良い活性を示し、そのいくつかをさらなる活性分析のために選択した。10023配列についての類似の分析もまた図12Cに示される。
【0279】
この実験は、異なる鎖を一緒にカスタムアニーリングして、HEK293細胞を5nMのデュプレックスでトランスフェクトすることにより実施した。SOD1に対するデュプレックスの活性を、トランスフェクションの24時間後にbDNAアッセイを用いて測定し、PPIBに対して正規化した。上述の作用メカニズムの研究は、活性および機能性を改善するための他の修飾の予測位置決めを可能とした。
【0280】
重複しない配列を有する2つのコンストラクト(10015および10023)からの結果は、試験された特定の修飾化学構造に関して著しく一貫している(例として、019化学構造によって修飾された10015は、019化学構造によって修飾された10023と事実上同一の結果を有する、等)。これは、(標的とする配列よりもむしろ)修飾化学構造が、RNAi媒介性の遺伝子サイレンシングにおいて観察された差異の主要な理由であることを示唆する。
【0281】
いくつかの好適なセンス鎖修飾スキームを同定したので、出願人らは以下の試験において、いくつかのセンス−アンチセンス修飾の組合せを追跡調査した。
【0282】
異なる2’OMe修飾パターンの活性比較
10015または10023いずれかの配列に基づく多様な代替RNAi化合物を、広範なセンス鎖のみの2’OMe分析の追跡調査として試験した。図13A(24時間)および13B(48時間)は、PPIB(ハウスキーピング遺伝子)に対して正規化したSOD1サイレンシングの相対活性を示す。図13Cおよび13Dは、2’OMeの(アンチセンス鎖番号に関する)相対位置を示すビジュアルマップであり、それらをオリジナル化学構造(001)と比較した。デュプレックス上に存在するアンチセンスの化学構造のタイプを表すためにグラフを色づけした。これらの図中に表される活性は001−011(オリジナル代替RNAi化合物)に関連付けられている。042化学構造(位置2における2’OMe)を有するアンチセンス鎖を含むデュプレックスに相当するIDは、この実験においてより良い活性を示した。
【0283】
この実験は、異なる鎖を一緒にカスタムアニーリングして、HEK293細胞を5nMのデュプレックスでトランスフェクトすることによって実施した。SOD1に対するデュプレックスの活性を、トランスフェクションの24時間後または48時間後にbDNAアッセイを用いて測定し、PPIBに対して正規化した。上述の作用メカニズムの研究は、活性および機能性を改善するための他の修飾の予測位置決めを可能とした。
【0284】
これらの結果は、センス鎖上の2’OMe修飾を増加させることで、より良いまたは同等の活性が達成されることを確認する。さらには、活性を改善する有利な特徴を有する追加の設計が存在する。我々は驚くべきことに、5’末端上に12個の2’OMeおよび3’末端上に10個の2’OMeを有する25−merのセンス鎖の修飾(すなわち、センス鎖化学構造039)が活性を増大する結果となることを見出した。このほぼ完全に修飾されたバージョンは、一つ以上のデュプレックスおよび一つ以上の実験において活性を改善した。上記の実験において活性を増大することがわかった化学構造を、以下に強調する:
・001−011
・001−042
・001−013
・039−011
・039−042
・039−013
・MMOOl−011
【0285】
さらには、図13Dが示すように、アンチセンス鎖のヌクレオチド2上の修飾は増幅した活性を示した。アンチセンス鎖のヌクレオチド2上の修飾は、標的切断の特異性を増大することが報告されており、これはmRNAの低減をより排他的に標的遺伝子に制限している。
【0286】
加えて、5’アンチセンス配列のヌクレオチド2−8と対向するセンス鎖中のミスマッチ(化学構造MM001)は、RISC複合体へのより効率的な取り込みを可能とする。我々は、センス鎖の3’末端上のヌクレオチド2におけるミスマッチが、より強力なmRNA低減活性を導くことを確認した。上記で実証された作用メカニズムの研究は、ダイサーによってプロセシングされていない、21ntより長いデュプレックスにおける修飾の正しい位置決めを可能とする。
【0287】
例11:インビトロ安定性アッセイ
本例は、上述の利点に加えて、主題の代替RNAi化合物コンストラクトが血清中でより安定であり、これによってより良いin vivo有効性を有すると期待されることを示す。
【0288】
示されるような様々な修飾を有する配列10023(図14A)または10015(図14B)に基づくデュプレックスを、10%ヒト血清中で、37℃で2時間まで(パネルの下に分単位で示される)インキュベートした。サンプルをクロロホルムでクエンチして、水相を20%のTBEゲル上に流した。ゲルをSYBRグリーンで染色した。「M」はsiRNAマーカー(25mer、21mer、17merのデュプレックス)を表す一方、「C」は血清中でのインキュベーション無しのデュプレックスを示す。10015配列については、全ての修飾が、同条件下での非修飾の811デュプレックス(008センス化学構造、011アンチセンス化学構造)と比較して、より安定なデュプレックスとなる結果となった。代替RNAi化合物修飾111、すなわち001センス鎖、011アンチセンス鎖、は試験された最も安定なものの一つである。039化学構造のセンス鎖における修飾(3911)もまたデュプレックスを安定化し、増大した活性を示した。10023配列の修飾は、しかしながら、非修飾配列(811)と同条件下で安定性を変化させなかった。039修飾(3911)は、他の修飾と比べると軽度な分解阻害(主要な分解産物の強度を全長に対して比較する)を示す。
【0289】
例12:ダイサーの非存在下における21−27bpデュプレックスでのRNAi
本例は、21−27bpデュプレックスでRNAiをもたらすのにダイサーが必要とされないことを実証する。ここでは、ダイサー酵素が欠損したマウス胚性幹細胞株(Murchison et al., 2005)における標的遺伝子のサイレンシングを、合成の、化学的に修飾されたデュプレックスでのRNAiにおけるダイサーの役割をより直接的に試験することを可能とするために研究した。ダイサーがホモ接合のヌル(−/−)またはヘテロ接合(+/−)の変異細胞をRNAデュプレックスでトランスフェクトして、標的mRNAの減少を定量した。
【0290】
酵素ダイサーについてホモ接合ヌルまたはヘテロ接合であるマウス由来のES細胞はMurchisonおよび共同研究者によって作られ、すでに記述されたように培養された(Murchison et al., 2005)。前述の条件(Schaniel et al., 2006)を本明細書中に記載の96−ウェルの用量反応法へと適用することによって、用量反応トランスフェクションを実施した。マウスSOD1と100%相同性を有するヒトSOD1遺伝子を標的とする活性RNAデュプレックスを、25nMの最終RNA濃度中で、0.05nMから10nMの範囲の濃度でトランスフェクトした。DY547標識したバージョンの非標的対照デュプレックスを用いて、トランスフェクション効率をモニターした。細胞をトランスフェクション後48時間インキュベートして、遺伝子サイレンシング活性を、上述のようにQuantiGeneのbDNAハイブリダイゼーションアッセイ(Panomics)を用いて測定した。
【0291】
図15A中のバーは、bDNAハイブリダイゼーションアッセイを用いて測定した、トランスフェクションの48時間後のSOD1のmRNAレベルを表す。SOD1レベルの発現をPPIB遺伝子に対して正規化して、ルシフェラーゼ対照デュプレックスに対するパーセントとして調整した。試験された3つのデュプレックスは19−bp+2ntのsiRNA(白いバー)、25−bp平滑末端デュプレックス非修飾(黒いバー)、および「4/4」2’−O−Me修飾を有する25−bp平滑末端デュプレックス(縞のバー)である。本研究で使った正確な配列を図15B中にて示す。
【0292】
既報のデータと矛盾せず、19−bp+2ntのsiRNAデュプレックスは、ダイサー非存在下で標的遺伝子を効率的にサイレンシングする(Murchison et al., 2005)。興味深いことに、(修飾および非修飾の)25−bpデュプレックスはダイサーヌル細胞中の標的遺伝子を、少なくとも同等の効率でサイレンシングする(図15A)。事実、ダイサータンパクを含む細胞中と比べると、ダイサーヌル細胞中での遺伝子サイレンシング活性の方がわずかに高かった。この所見は、ダイサーヌル細胞が、Ago2:RISCの占有部分について競合する内在性miRNAを有さないために、トランスフェクトされたデュプレックスがより強力になることができるという事実によって説明され得る。これらの結果は、RNAデュプレックスでの効率的なサイレンシングのためにダイサーは必要とされないことを確認するものである。
【0293】
この所見は、PPIB遺伝子に対する配列を試験することによって、最大27−bpの長さのデュプレックスにまで拡張された(図16A)。ここでは、白いバーは19−bp+2ntのsiRNAであり、点状のバーは非修飾25−bpデュプレックスであり、黒いバーは2’−O−Me化学構造を有する25−bpデュプレックスであり、縞のバーは2’−O−Me化学構造を有する27−bpデュプレックスである。サイレンシング活性は、ダイサーヌル細胞中のSOD1を標的とするデュプレックスで見られるものと類似する結果を達成した。配列は図16Bに示される。
【0294】
方法
本明細書中の例で用いた特定の方法を、例示の目的のみのために、以下に提供する。
【0295】
化学的に合成されたRNA
一本鎖RNAをIntegrated DNA technologiesまたはThermoFisher Dharmacon製品により合成した。等モル比の一本鎖RNAを混合して、90℃で1分間インキュベートしたあとに37℃で1時間インキュベートすることによって、RNAデュプレックスを形成した。全ての一本鎖RNAおよびRNAデュプレックスを−20℃で保存した。RNA配列情報については、オンラインの表3および表4を参照のこと。
【0296】
用量反応トランスフェクション
HEK293細胞(ATCC)を10%ウシ胎仔血清および1%ペニシリン−ストレプトマイシンとともにダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。NIH3T3細胞(ATCC)を10%仔ウシ血清および1%ペニシリン−ストレプトマイシンとともにDMEM中で培養した。ATCC社が推奨するように、全ての細胞を10%COとともに37℃でインキュベートした。RNAデュプレックスを、Lipofectamine RNAiMAX(Invitrogen)試薬を用いて、製造者が記載するようにおよび至適化条件で、用量依存的なやり方(0.005nMから5nM)でリバーストランスフェクトした。最終濃度25nMのトランスフェクトされるRNAデュプレックスを作るために、RNAデュプレックスを非標的対照デュプレックスと一緒に混合した。化学構造および長さが一致する非標的対照デュプレックスはルシフェラーゼ遺伝子を標的とする。抗生物質を含まない培地入りの96−ウェルプレートでトランスフェクションを実施して、通常の成長条件下で48時間インキュベートした。遺伝子サイレンシングを、QuantiGene bDNAハイブリダイゼーションアッセイ(Panomics)を用いて測定した。細胞を溶解し、製造者が記載するアッセイ条件下でmRNAレベルを測定した。SOD1遺伝子およびPPIB遺伝子について、種特異的なプローブのセット(Panomics)を用いて遺伝子発現を測定した。遺伝子発現値を、その発現がSOD1サイレンシングの影響を受けないためにハウスキーピング対照として用いたPPIB遺伝子に対して正規化した。サイレンシングのパーセントおよびEC50値は、非標的対照デュプレックスの正規化SOD1発現に基づく。KaleidaGraph(Synergy Software)を用いて、その値を計算し、グラフで表した。
【0297】
Argonaute−2の免疫沈降およびRISCからの複合RNAの抽出
RNAデュプレックスを、記載のようにアニールして、c−myc Ago2を安定的に発現する293T細胞(Hannon lab、 Cold Spring Harbor Labs)へトランスフェクトした。c−myc Ago2を選択的に発現させるために、293細胞を前述のように0.5μg/mlのG418の存在下で培養した。製造者が記載するように、10cmのプレートでLipofectamine RNAiMAX(Invitrogen)を用いて、RNAデュプレックスのトランスフェクションを実行した。抗生物質を含まないおよび25nMのRNAデュプレックスの最終濃度を有する培地で、細胞をトランスフェクトした。採取およびc−myc Ago2の免疫沈降(IP)の前に、細胞を48時間インキュベートした。細胞採取およびIPを前述したとおりに実施した。細胞をプレートから収集し、1×PBSで一度および2mlの低張溶解緩衝液(HLB)(10mMのTris pH7.5、10mMのKCl、2mMのMgCl、5mMのDTT、およびプロテアーゼ阻害剤)で一度、洗浄した。次に細胞を0.5mlのHLB中で再構成して、氷上で15分間膨潤させた。細胞溶解物の画分(50μl)を採取し、続くQuantiGene bDNAハイブリダイゼーションアッセイ(Panomics)を用いた遺伝子サイレンシングアッセイのために、200μlのTrizol(Invitrogen)へと添加した。細胞溶解物を微調整用ペストル(tight pestle)付きの1mlのDounceホモジナイザーへと添加して、細胞を氷上でホモジナイズ(30ストローク)した。細胞溶解物を遠心分離(14,000rpm、4℃で30分間)によって清澄化し、上清を新しい試験管へと移した。上清またはサイトゾル画分には、1mlの緩衝液(LB650)(0.5%のNP40、150mMのNaCl、2mMのMgCl2、2mMのCaCl、20mMのTris pH7.5、5mMのDTT、650mMのKCl、およびプロテアーゼ阻害剤)を添加した。アガロースビーズ(Sigma)に結合させた抗−c−myc抗体を各試験管へ添加し、試験管を4℃で一晩、回転させながらインキュベートした。一晩のインキュベーション後、IP反応物を3,000rpmで2分間遠心沈降して、ビーズをLB650緩衝液で3回洗浄した。ビーズ洗浄後、Ago2を捕捉した抗体からRNAを解離するために200μlのTrizol(Invitrogen)を添加した。エタノール洗浄に先立ち、製造者からの説明書に記載されるように、RNAを沈降した。RNAを20μlのTE緩衝液中で再構成した。
【0298】
Ago2免疫沈降で捕捉したRNAのノーザンブロット
RNAを15%のポリアクリルアミドTBE−Urea変性ゲルに装填した。捕捉したRNAのサイズを決定するために、21から25ntの範囲内の事前に標識化した32P−末端サイズマーカーをIP反応物と並べて流した。ゲルをナイロン膜へ移して、RNAを紫外線架橋した。UltraHyb−Oligo緩衝液(Ambion)を用いて、膜を30分間42℃でプレハイブリダイズ処理したあと、事前に準備した、ガイド鎖に相補的な32P−標識化ロックド核酸プローブをハイブリダイゼーション緩衝液へ添加した。42℃で一晩インキュベーション後、洗浄緩衝液(1×SSC緩衝液、0.1%SDS)中で膜を2回30分間洗浄した。ブロットを、BioMAXオートラジオグラフフィルム(Kodak)に露光することで可視化した。自動フィルムプロセシングユニットを用いてフィルムを現像した。
【0299】
mRNAの切断箇所アッセイ
c−myc Ago2を発現する293細胞を、前述のようにRNAデュプレックスでトランスフェクトした。Ago2の免疫沈降もまた前述のように実施した。最終洗浄後、トランスフェクトしたRNAを組み込んだAgo2複合体を含むアガロースビーズを10μlの緩衝液(100mMのKCl、2mMのMgCl、および10mMのTris pH 7.5)中で再構成した。トランスフェクトされた25−bpデュプレックスまたは19−bp+2ntのsiRNAが標的とするヒトSOD1遺伝子の50nt領域と一致する、化学的に合成された合成基質を、32P−5’標識化およびゲル精製した。合成基質を、19−bp+2ntのsiRNAまたは25−bpデュプレックスのガイド鎖中の位置10に相当する塩基21を有するように特に設計した。標識化RNAをゲル精製してイソプロパノール中で沈殿させた。20μlの最終容量で切断反応を設定した。IP反応物(10μl)を4μlの標識化合成基質、1μlのRNAsin、および5μlの緩衝液(100mMのKCl、2mMのMgCl、および10mMのTris pH 7.5)へ添加した。反応物を30℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、反応物を15%のポリアクリルアミドTBE−ureaゲル上に流した。ゲルをオートラジオグラフフィルムに露光して、上述のやり方を用いて現像した。切断アッセイ反応物と並べて流した32P−標識化サイズマーカーRNAを用いて切断産物のサイズを決定した。
【0300】
ダイサープロセシングアッセイ
製造者の推奨およびすでに記載された条件に基づいて、RNAデュプレックスを組換ヒトダイサー酵素(Genlantis)とともにインキュベートした。ダイサー酵素とともにおよび無しで、サンプルを37℃で一晩(〜16時間)インキュベートした。TBEゲル添加液を加えて反応を停止させ、液体窒素中で瞬間冷凍した。停止させた反応物の画分(16pmoles)を天然TBE緩衝20%のポリアクリルアミドゲルに流した。siRNAマーカー(New England Biolabs)をゲル上のサンプルと並べて流した。ゲルをSYBRグリーンII(Invitrogen)を用いて20分間染色し、それからUVトランスイルミネーターおよびCCDカメラを用いて可視化した。UVP BioChemi imaging station with LabWorks software(UVP)を用いて、UV撮像および相対定量分析を実施した。
【0301】
ダイサーヌル細胞トランスフェクション
ダイサーヌル細胞を、すでに記載されたように生成および培養した。すでに記載された条件を上記の96−ウェル用量反応方法へと適用することによって、用量反応トランスフェクションを実施した。マウスSOD1と100%相同性を有するヒトSOD1遺伝子を標的としたRNAデュプレックスを、0.05nMから10nMの範囲の濃度でトランスフェクトした。DY547標識化対照デュプレックスを用いてトランスフェクション効率をモニターした。細胞をトランスフェクション後48時間インキュベートし、それから遺伝子サイレンシング活性をQuantiGene bDNAハイブリダイゼーションアッセイ(Panomics)を用いて測定した。細胞を溶解して、前述のようにおよび製造者の推奨に基づいてアッセイを実施した。
【0302】
【表1−1】

【0303】
【表1−2】

【0304】
【表1−3】

【0305】
【表2−1】

【0306】
【表2−2】

【0307】
【表3】

【0308】
【表4−1】

【0309】
【表4−2】

【0310】
等価物
当業者は、本明細書中に記載の本発明の特定の態様の多数の等価物を、ルーチンの実験以上のものを用いずとも認識または確認することが可能だろう。かかる等価物は以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。本明細書中で引用する全ての特許、公開特許出願およびその他の参考文献の全内容は、その全体を参照文献として明示的に本明細書に組込まれる。
【0311】
【表5−1】

【0312】
【表5−2】

【0313】
【表5−3】

【0314】
【表6−1】

【0315】
【表6−2】

【0316】
【表6−3】

【0317】
【表6−4】

【0318】
【表6−5】

【0319】
【表6−6】

【0320】
【表6−7】

【0321】
【表6−8】

【0322】
【表6−9】

【0323】
【表6−10】

【0324】
【表6−11】

【0325】
【表6−12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、
(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれにおける1または2以上のヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を有する、および
(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、該アンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドにおいて、2’−修飾リボース糖を含む、
を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクト。
【請求項2】
標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、
(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれにおける1または2以上のヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を有する、および
(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、該アンチセンス鎖の3’−末端において、
(i)非加水分解性のヌクレオチド間結合を有する少なくとも4つの連続した2’−修飾リボース糖
(ii)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個の2’−修飾リボース糖、好ましくは2’−O−メチル修飾リボース糖、または
(iii)保護基
を含む、
を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクト。
【請求項3】
標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、
(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれにおける1または2以上のヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を有し、該センス鎖が、該センス鎖の3’−末端から2番目のヌクレオチドにおいてミスマッチヌクレオチドを含む、および
(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、
を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクト。
【請求項4】
標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、
(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで、該センス鎖の前記5’−および3’−末端のそれぞれに4つの連続した2’−O−メチルヌクレオチドが存在し、
(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、
(a)ホスホチオエート結合を有する4つの連続した2’−O−メチル修飾3’−末端ヌクレオチドを含む、または
(b)5’−末端から2番目のヌクレオチドに2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを含み、他の修飾ヌクレオチドを含まない、
を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクト。
【請求項5】
標的遺伝子の発現を阻害するための、12〜49ヌクレオチドの長さの二本鎖RNA(dsRNA)コンストラクトであって、該dsRNAが、
(1)5’−末端および3’−末端を有するセンス鎖、ここで、12および10の連続した2’−O−メチルヌクレオチドをそれぞれ5’−末端および3’−末端に含む、および、
(2)前記センス鎖および前記標的遺伝子のmRNAとハイブリダイズする、5’−末端および3’−末端を有するアンチセンス鎖、ここで該アンチセンス鎖が、
(a)非修飾である、
(b)ホスホチオエート結合を有する4つの連続した2’−O−メチル修飾3’−末端ヌクレオチドを含む、または
(c)5’−末端から2番目のヌクレオチドに2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを含み、他の修飾ヌクレオチドを含まない、
を含み、ここで、(a)前記dsRNAがダイサーによる切断に抵抗性であり、(b)前記アンチセンス鎖がRISCと会合し、および(c)dsRNAが、配列依存的な様式で標的遺伝子の発現を阻害する、前記二本鎖RNAコンストラクト。
【請求項6】
アンチセンス鎖が、アンチセンス鎖の5’−末端から10番目および11番目のヌクレオチドの間の単一部位における、標的遺伝子のmRNAの一様な切断を導く、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsDNA。
【請求項7】
dsRNAのセンス鎖が、該センス鎖の3’−末端から10番目および11番目のヌクレオチドの間の単一部位において、RISCによって切断可能である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsDNA。
【請求項8】
dsRNAコンストラクトが、平滑末端である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsDNA。
【請求項9】
センス鎖の5’−末端の12ヌクレオチドおよび3’−末端の10ヌクレオチドが2’−修飾リボース糖である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のdsDNA。
【請求項10】
センス鎖の各末端が、一続きの2’−修飾リボース糖を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsDNA。
【請求項11】
センス鎖の各末端が、4つ一続きの2’−修飾リボース糖を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsDNA。
【請求項12】
アンチセンス鎖が、非連続的な2’−修飾リボース糖を含み、10番目および11番目のアンチセンスヌクレオチドが修飾されていない、請求項1〜3のいずれか一項に記載のdsDNA。
【請求項13】
アンチセンス鎖が、2’−修飾リボース糖を、2、3、4、5、6、7、8または9ヌクレオチドごとに含む、請求項12に記載のdsRNA。
【請求項14】
アンチセンス鎖の最も5’−末端側の2’−修飾リボース糖が、2番目のヌクレオチドである、請求項13に記載のdsRNA。
【請求項15】
dsRNAコンストラクトが、12〜35ヌクレオチドの長さ、25〜30ヌクレオチドの長さ、25、26、27、28、29または30ヌクレオチドの長さ、22ヌクレオチドより長い長さ、25ヌクレオチドより長い長さ、または31〜49ヌクレオチドの長さである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項16】
センス鎖の各末端が、独立して、4〜16個の2’−修飾リボース糖および/または非加水分解性ヌクレオチド間結合を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項17】
センス鎖の各末端が、対称的なまたは非対称的な数の2’−修飾リボース糖を含む、請求項16に記載のdsRNA。
【請求項18】
2’−修飾リボース糖が、2’−O−アルキルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシヌクレオチド、2’−H−(デオキシリボヌクレオチド)またはそれらの組み合わせである、請求項16に記載のdsRNA。
【請求項19】
2’−O−アルキルヌクレオチドが、2’−O−メチルヌクレオチドである、請求項18に記載のdsRNA。
【請求項20】
2’−O−アルキルヌクレオチドが、2’−O−アリルヌクレオチドである、請求項18に記載のdsRNA。
【請求項21】
アンチセンス鎖が、アンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドに2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを含み、他の修飾ヌクレオチドを含まない、請求項1および3〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項22】
dsRNAが、2’−修飾を前記の位置に含まない類似のコンストラクトと比較して、増強された標的特異性または減少したオフターゲットサイレンシングを有する、請求項21に記載のdsRNA。
【請求項23】
アンチセンス鎖が、ホスホチオエート結合を有する少なくとも4つの連続した2’−O−メチル修飾3’−末端ヌクレオチドを含む、請求項1および3〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項24】
dsRNAのセンス鎖が、センス鎖の3’−末端から2番目のヌクレオチドにおいて、ミスマッチヌクレオチドを含む、請求項1、4および5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項25】
dsRNAが、同一の配列を有する非修飾のdsRNAと比較して、血清および/または脳脊髄液中での改善された安定性を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項26】
センス鎖の3’−末端における最後から2〜8番目のヌクレオチドが、それらの対応するアンチセンス鎖ヌクレオチドとミスマッチである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項27】
dsRNAが、初代細胞においてインターフェロン応答を誘導しない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項28】
センス鎖のいずれかの末端および/またはアンチセンス鎖の3’−末端が、保護基によってブロックされている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項29】
保護基が、反転ヌクレオチド、反転脱塩基部分、またはアミノ末端修飾ヌクレオチドである、請求項28に記載のdsRNA。
【請求項30】
反転ヌクレオチドが、反転デオキシヌクレオチドを含む、請求項29に記載のdsRNA。
【請求項31】
反転脱塩基部分が、反転デオキシ脱塩基部分を含む、請求項29に記載のdsRNA。
【請求項32】
反転デオキシ脱塩基部分が、3’,3’−連結または5’,5’−連結デオキシ脱塩基部分である、請求項31に記載のdsRNA。
【請求項33】
センスおよび/またはアンチセンス鎖の末端の交互ヌクレオチドが、2’−修飾リボース糖を含み、各2’−修飾リボース糖が、逆鎖上の非修飾のヌクレオチドと向き合う、請求項1または3に記載のdsRNA。
【請求項34】
最初の2’−修飾アンチセンスヌクレオチドが、最も5’−末端のアンチセンスヌクレオチドであるか、またはアンチセンス鎖の5’−末端から2番目のヌクレオチドである、請求項33に記載のdsRNA。
【請求項35】
標的遺伝子が、SOD1、PPIB、RIP140、PCSK9、TNFα、AP2(脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質)またはMAP4K4である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項36】
2’−修飾リボースヌクレオチドの間のセンス鎖ヌクレオチドが、2’−F修飾である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項37】
2’−修飾リボースヌクレオチドの間のセンス鎖ヌクレオチドが、プリンヌクレオチドであり、任意に2’−F修飾修飾および/またはホスホロチオエート結合を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項38】
2’−修飾リボースヌクレオチドの間のセンス鎖ヌクレオチドが、1または2以上の、各1〜5ヌクレオチドのバルジを形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項39】
各一続きの2’−修飾リボース糖が、末端ヌクレオチド、末端ヌクレオチドから二番目のヌクレオチド、または末端ヌクレオチドから三番目のヌクレオチドから独立して開始される、請求項10に記載のdsRNA。
【請求項40】
アンチセンス鎖のピリミジンヌクレオチドの50〜100%が、独立して2’−F修飾または2’−O−メチル修飾である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項41】
アンチセンス鎖の5’−末端が、リン酸化されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA。
【請求項42】
標的遺伝子の発現を阻害するためのRNAコンストラクトであって、該コンストラクトが、センス鎖上の単一ニック以外は請求項1〜41のいずれか一項に記載のdsRNAと同一である、前記RNAコンストラクト。
【請求項43】
ニックが、アンチセンス鎖の5’末端から約10塩基のヌクレオチドの逆位置を占める、請求項42に記載のRNAコンストラクト。
【請求項44】
ニックが、アンチセンス鎖の5’末端から約5〜15塩基のヌクレオチドの逆位置を占める、請求項42に記載のRNAコンストラクト。
【請求項45】
各二本鎖領域のΔGが、約−13kcal/モル未満である、請求項42〜44のいずれか一項に記載のRNAコンストラクト。
【請求項46】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNAの少なくとも1本の鎖を発現するベクター。
【請求項47】
請求項46に記載のベクターまたは請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNAを含む細胞。
【請求項48】
細胞が、培養哺乳類細胞である、請求項47に記載の細胞。
【請求項49】
細胞が、ヒト細胞である、請求項47に記載の細胞。
【請求項50】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNA、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む組成物。
【請求項51】
哺乳類細胞において標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、哺乳類細胞と請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNAコンストラクトとを接触させることを含む、前記方法。
【請求項52】
哺乳類細胞が、培養されている、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
哺乳類細胞が、ヒト細胞である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
哺乳類細胞を、送達試薬の存在下で接触させる、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
送達試薬が、脂質である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
脂質が、カチオン性脂質である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
送達試薬が、リポソームである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
哺乳類細胞において標的遺伝子の発現を阻害する方法であって、哺乳類細胞と、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNAコンストラクトの鎖の少なくとも1つを発現するベクターとを接触させることを含む、前記方法。
【請求項59】
短鎖干渉RNA(siRNA)の遺伝子サイレンシング効果を改善するための方法であって、siRNAのセンスおよび/またはアンチセンスヌクレオチドを修飾して、請求項1〜5のいずれか一項に記載のdsRNAコンストラクトとすることを含む、前記方法。
【請求項60】
siRNAコンストラクトの標的部位へのin vivo送達を評価する方法であって、siRNAコンストラクトとともにPPIBを標的とする請求項1〜5のいずれかに記載のdsRNAコンストラクトを共送達し、標的部位におけるPPIB機能の阻害をアッセイすることを含み、ここでPPIB機能の標的部位における成功裡の阻害が、標的部位へのsiRNAコンストラクトのin vivo送達成功の指標となる、前記方法。

【図1】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6B】
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【図6C】
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【図9A−9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図6A】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B−8C】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B−12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14A】
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【図14B】
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【図16A】
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【図17A−17B】
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【図17C】
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【図17D−17E】
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【公表番号】特表2011−511636(P2011−511636A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545897(P2010−545897)
【出願日】平成21年2月11日(2009.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/000852
【国際公開番号】WO2009/102427
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(311001370)アールエックスアイ ファーマシューティカルズ コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】