説明

倉庫装置ならびに倉庫設備

【構成】 反転装置10を入庫側に配設したとき、入荷された荷Aは水平状の荷支持部16に渡される。垂直状姿勢のパレット支持部17は、空のパレットBを受け止めている。可動体15を水平状軸心14の周りに回動させ、荷Aの方向性を変えてパレットBに載置し得る。荷Aは、出し入れ装置5によりパレットBとともに収納空間2に格納し得る。反転装置10を出庫側に配設したとき、荷Aは出庫時に方向性を変えて加工工程へと運搬し得る。
【効果】 入庫時や出庫時に、フォークリフトによる複数回のクランプ動を行うことなく荷の方向性を変え得、作業は容易に効率良く行える。反転装置を出し入れ装置の作用範囲に組み込んで、反転装置のための特別な設置空間を不要にでき、全体をコンパクトにまとめ得る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば原料など荷であって、入荷時と加工工程では荷の方向性が異なる荷を取り扱う倉庫装置ならびに倉庫設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の荷を取り扱う倉庫装置は、横方向に複数の収納空間を有する棚と、この棚の前面に沿って走行自在でかつ収納空間との間で荷を受け渡し自在な出し入れ装置と、この出し入れ装置の走行経路に対向して棚の端部外方に配設した荷受け台とにより構成されている。
【0003】そして、この倉庫装置に荷を入庫するに、入荷時に、フォークリフトにより運搬してきた荷を一旦反転機に渡し、そして反転機の作動により荷の方向性を変えたのち、再び別のフォークリフトにより荷を保持して運搬し、その後、荷を荷受け台に渡していた。この荷受け台上の荷は、出し入れ装置により受け取られたのち、棚の目的とする収納空間に格納されていた。そして荷は、必要に応じて出し入れ装置により荷受け台上に取り出され、フォークリフトにより加工工程へと運搬されている。
【0004】また別の形式として、入荷時に、フォークリフトにより運搬してきた荷をそのまま荷受け台に渡し、出し入れ装置により棚の目的とする収納空間に格納する。そして出庫時に、荷受け台上に取り出された荷をフォークリフトで受け取り、この荷を反転機に渡して荷の方向性を変え、その後に再び別のフォークリフトにより荷を保持して加工工程へと運搬している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した両形式のいずれにおいても、荷の運搬は、それぞれ別のフォークリフトによるクランプ動、すなわち二度のクランプ動を行う必要があることから、作業は、面倒であるとともに効率の悪いものとなり、さらに倉庫装置の近辺に反転装置の設置空間が必要になる。そして倉庫装置が複数あるとき、それぞれフォークリフトや反転装置を介して荷の方向性を変えなければならない。
【0006】本発明の目的とするところは、入庫時や出庫時において、フォークリフトによる複数回のクランプ動を行うことなく荷の方向性を変え得、しかも反転装置は出し入れ装置の作用範囲に組み込み得る倉庫装置と、倉庫装置が複数のとき複数の荷を同時に取り扱える倉庫設備とを提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本第1発明の倉庫装置は、横方向に複数の収納空間を有する棚と、棚の前面に沿って走行自在でかつ収納空間との間で荷を受け渡し自在な出し入れ装置と、出し入れ装置の走行経路に対向して配設した反転装置とを有し、反転装置を、水平状軸心の周りに回動自在な可動体と、可動体に相対的に直角状に設けた荷支持部ならびにパレット支持部とにより構成している。
【0008】また本第2発明の倉庫設備は、収納空間を有する棚と、収納空間との間で荷を受け渡し自在な出し入れ装置と、出し入れ装置の走行経路に対向して配設した反転装置とにより倉庫装置を構成し、一対の倉庫装置を、反転装置を相対向させて並設し、反転装置は、水平状軸心の周りに回動自在な可動体に、荷支持コンベヤとパレット支持部とを相対的に直角状に有し、荷支持コンベヤの搬送方向は反転装置対向方向に形成し、両反転装置間に、荷支持コンベヤが接続自在でかつ中央部から両側の搬送方向が異なる荷捌きコンベヤを配設している。
【0009】
【作用】上記した本第1発明の構成によると、反転装置を入庫側に配設したとき、入荷された荷はフォークリフトなどにより反転装置に渡される。このとき反転装置では、その荷支持部を水平状の姿勢としており、また垂直状の姿勢となったパレット支持部は、空のパレットを受け止めている。したがって荷は、水平状の荷支持部上に渡される。この状態で可動体を水平状軸心の周りに回動させることで、荷の方向性を変えるとともに、この荷をパレット上に載置し得る。
【0010】そして出し入れ装置をパレットに作用させることで、荷をパレットとともに目的とする収納空間に格納し得る。このようにして方向性が変えられて収納空間に格納されている荷は、必要に応じて出し入れ装置により取り出したのち荷のみ加工工程へと運搬し得、また空になったパレットは出し入れ装置により収納空間へ戻し得る。なお反転装置を出庫側に配設したときには、荷は入荷時はそのままで棚に格納し得、そして出庫時に方向性を変えたのち加工工程へと運搬し得る。
【0011】また本第2発明の構成によると、入荷された荷は、左右一対の二個を一組としてフォークリフトにより運搬される。このフォークリフトは荷捌きコンベヤに対向して停止したのち、両荷を荷捌きコンベヤの中央部分に卸す。このとき反転装置では、水平状の荷支持コンベヤを荷捌きコンベヤに接続させており、また垂直状のパレット支持部は空のパレットを受け止めている。
【0012】前述したように荷捌きコンベヤの中央部に卸された一対の荷は、この荷捌きコンベヤにより振り分けて搬送し得、そして対応する荷支持コンベヤ上に送り込まれて停止する。このとき荷は垂直状のパレットに側方から対向している。この状態で可動体を水平状軸心の周りに回動させることで、荷の方向性を変えてパレット上に載置させ得る。そして出し入れ装置をパレットに作用させることで、荷をパレットとともに目的とする収納空間に格納し得る。
【0013】その後に出し入れ装置は、別な収納空間に格納されている空のパレットを取り出し、空のパレット支持部上に載置し得、そして可動体を水平状軸心の周りに前述とは逆方向に回動させることで、パレットを垂直状にかつ荷支持コンベヤを水平状にして、最初の状態に戻せ得る。
【0014】
【実施例】以下に本発明の一実施例を図に基づいて説明する。1は棚で、横方向ならびに上下方向にそれぞれ複数の収納空間2を有する。この棚1は、その前面を相対向させかつ通路3を置いて一対が並設されている。そして通路3内には、棚1の前面に沿った走行経路4上において走行自在でかつ収納空間2との間で荷Aを受け渡し自在な出し入れ装置5が設けられる。この出し入れ装置5は、走行機体6と、この走行機体6から立設した支柱7と、この支柱7に案内される昇降台8と、この昇降台8上で横方向に出退自在に設けた出し入れ具9などにより構成される。
【0015】一方の棚1の一端部(入庫側)の収納空間2は、少なくとも最下部が欠除され、この欠除部に、前記走行経路4に対向する反転装置10が配設される。この反転装置10は、ベース枠11と、このベース枠11上にブラケット12を介して配設した水平状軸13と、この水平状軸13に取付けられて水平状軸心14の周りに回動自在な可動体15と、この可動体15に相対的に直角状に設けた荷支持部16ならびにパレット支持部17などにより構成している。
【0016】ここで前記水平状軸13は前記走行経路4に対して直交状に配設され、そして可動体15は、ベース枠11上に設けた回動装置18により、荷支持部16が水平状となる姿勢とパレット支持部17が水平状となる姿勢との間で、90度の範囲で正逆に回動自在である。また両姿勢を確定するために、前記ベース枠11上には一対の受けストッパー19,20が設けられている。
【0017】前記荷支持部16は、ローラ形式の荷支持コンベヤ21と、その駆動装置22とにより構成され、またパレット支持部17は、パレットBを支持自在な受け台23と、この受け台23上のパレットBに係脱自在に作用するクランプ具24などにより構成され、ここで受け台23には上方(側方)へ開放する出し入れ具作用空間25が形成されている。
【0018】他方の棚1の他端部(出庫側)の収納空間2は、少なくとも最下部が欠除され、この欠除部に、前記走行経路4に対向する荷捌き装置26が配設される。この荷捌き装置26は、前記走行経路4に沿った床レール27と、この床レール27に支持案内される自走台車28などにより構成され、自走台車28には荷支持具29が設けられる。
【0019】以上の1〜29により倉庫装置30を構成し、かかる倉庫装置30の一対が、前記反転装置10を相対向させて並設されている。そして反転装置10間に、反転により水平姿勢になった荷支持コンベヤ21が接続自在な荷捌きコンベヤ31を配設している。この荷捌きコンベヤ31は中央部から両側へと一対に分割され、それぞれ接続した反転装置10側への搬送方向とした駆動ローラコンベヤ31A,31Bにより構成される。
【0020】以上の構成物を建物の側壁32により囲むことで倉庫設備33を構成し、前記側壁32に対して前記荷捌き装置26は貫通している。また側壁32の前記荷捌きコンベヤ31に対向する部分は通路34に形成され、この通路34をフォークリフト35が走行自在となる。フォークリフト35は二個の荷Aを同時に左右からクランプするクランプ装置36を有し、また走行やクランプ動は、自動制御により、あるいは手動制御により行われる。なお荷Aは、たとえば原料などであってバンドaが掛けられている。
【0021】以下、上記構成における作用を説明する。入荷された荷Aは、左右一対の二個を一組としてフォークリフト35のクランプ装置36によりクランプされ、そしてフォークリフト35の走行により運搬される。このフォークリフト35は通路34を通って倉庫設備33内に入り、そして荷捌きコンベヤ31に対向して停止したのち、両荷Aを両駆動ローラコンベヤ31A,31Bに振り分けて卸す。
【0022】このとき反転装置10では、その荷支持部16を水平状の姿勢として荷支持コンベヤ21を駆動ローラコンベヤ31A,31Bに接続させており、また垂直状の姿勢となったパレット支持部17は、受け台23により空のパレットBを受け止めるとともに、このパレットBをクランプ具24によりクランプしている。したがってパレットBは、横倒することなく受け台23側に保持されている。
【0023】前述したように両駆動ローラコンベヤ31A,31Bに振り分けて卸された荷Aは、これら駆動ローラコンベヤ31A,31Bにより振り分けて搬送され、そして対応する荷支持コンベヤ21上に送り込まれて停止する。このとき荷Aは図2に示すように、垂直状のパレットBに対して側方から対向している。
【0024】この状態で回動装置18により可動体15を水平状軸心14の周りに回動させ、図3に示すように荷Aの方向性を変えるとともに、この荷AをパレットB上に載置させる。そしてクランプ具24を仮想線に示すように開放動させたのち、出し入れ装置5の出し入れ具9を出し入れ具作用空間25を利用してパレットBに作用させ、以て荷AをパレットBとともに目的とする収納空間2に格納させる。
【0025】その後に出し入れ装置5は、別な収納空間2に格納されている空のパレットAを取り出し、反転装置10の空の受け台23上に載置させる。そしてクランプ具24のクランプ動によりパレットAをパレット支持部17に一体化した状態で、回動装置18により可動体15を水平状軸心14の周りに前述とは逆方向に回動させ、パレットAを垂直状にかつ荷支持部16を水平状にする。このときパレットAはクランプ具24によりパレット支持部17に一体化されていることから、回動時に脱落することはない。
【0026】なお収納空間2に格納されている荷Aは、必要に応じて出し入れ装置5により荷捌き装置26に取り出され、そしてフォークリフト35により荷Aのみ加工工程へと運搬され、また空になったパレットBは出し入れ装置5により収納空間2へ戻される。
【0027】上記実施例ではフォークリフト35により運搬してきた二個の荷Aを両駆動ローラコンベヤ31A,31Bに振り分けて卸しているが、本第1発明においては、フォークリフト35により一個の荷Aをクランプして運搬し、水平状姿勢の荷支持部16に直接に卸す形式であってもよい。
【0028】また上記実施例では倉庫装置30の入庫側に反転装置10を配設しているが、これは出庫側に配設して、出庫時に荷Aの方向性を変えてもよい。さらに上記実施例では、二個の荷Aを両駆動ローラコンベヤ31A,31Bに同時に渡しているが、これは、一個の荷Aをいずれかの駆動ローラコンベヤ31A,31Bに渡しても所期の入庫を行えるものである。
【0029】
【発明の効果】上記構成の本第1発明によると、出し入れ装置の作動により、目的とする収納空間と反転装置の水平状のパレット支持部との間で、パレットとともに荷の受け渡しを行うことができる。そして反転装置を入庫側に配設したときには、その回動によって、入荷時の荷の対して方向性を変えて棚に格納でき、また反転装置を出庫側に配設したときには、その回動によって、格納時の荷の対して方向性を変えて出庫できる。
【0030】したがって入庫時や出庫時において、フォークリフトによる複数回のクランプ動を行うことなく荷の方向性を変えることができて、作業は、容易にかつ効率良く行うことができる。しかも反転装置を出し入れ装置の作用範囲に組み込むことができて、反転装置のための特別な設置空間を不要にでき、全体をコンパクトにまとめることができる。
【0031】また本第2発明によると、倉庫装置が複数のとき複数の荷を同時に取り扱うことができ、作業を容易にかつ効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示し、倉庫設備の平面図である。
【図2】同反転装置の荷支持部が水平状での側面図である。
【図3】同反転装置のパレット支持部が水平状での側面図である。
【符号の説明】
1 棚
2 収納空間
4 走行経路
5 出し入れ装置
9 出し入れ具
10 反転装置
13 水平状軸
14 水平状軸心
15 可動体
16 荷支持部
17 パレット支持部
18 回動装置
21 荷支持コンベヤ
23 受け台
24 クランプ具
25 出し入れ具作用空間
26 荷捌き装置
28 自走台車
30 倉庫装置
31 荷捌きコンベヤ
33 倉庫設備
35 フォークリフト
36 クランプ装置
A 荷
a バンド
B パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 横方向に複数の収納空間を有する棚と、棚の前面に沿って走行自在でかつ収納空間との間で荷を受け渡し自在な出し入れ装置と、出し入れ装置の走行経路に対向して配設した反転装置とを有し、反転装置を、水平状軸心の周りに回動自在な可動体と、可動体に相対的に直角状に設けた荷支持部ならびにパレット支持部とにより構成したことを特徴とする倉庫装置。
【請求項2】 収納空間を有する棚と、収納空間との間で荷を受け渡し自在な出し入れ装置と、出し入れ装置の走行経路に対向して配設した反転装置とにより倉庫装置を構成し、一対の倉庫装置を、反転装置を相対向させて並設し、反転装置は、水平状軸心の周りに回動自在な可動体に、荷支持コンベヤとパレット支持部とを相対的に直角状に有し、荷支持コンベヤの搬送方向は反転装置対向方向に形成し、両反転装置間に、荷支持コンベヤが接続自在でかつ中央部から両側の搬送方向が異なる荷捌きコンベヤを配設したことを特徴とする倉庫設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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