説明

個人画像データ取得装置及び個人画像データ取得方法

【課題】ユーザ(登録者)に負担を掛けることなく、認識精度の低下を改善することができる個人画像データ取得装置を提供することである。
【解決手段】個人画像データ取得装置は、表示制御手段と、表示手段と、取得手段とを備える。前記表示制御手段は、複数の表示制御設定に基づき表示を制御する。前記表示手段は、表示制御に基づき複数の表示状態に変化する。前記取得手段は、前記複数の表示状態に対応して複数の個人画像データを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、個人画像データ取得装置及び個人画像データ取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラを搭載したデジタルTVが提案されている。デジタルTVは、カメラにより撮影された顔画像データを利用し、デジタルTVを利用(視聴)しようとするユーザを認識し、ユーザ別のサービス等を提供することができる。
【0003】
例えば、デジタルTVが、個人情報(年齢含む)と顔画像データとを対応付けて登録し、デジタルTVを利用(視聴)しようとするユーザを撮影し、登録されている顔画像データ(顔画像特徴データ)と、撮影により取得された顔画像データ(顔画像特徴データ)とを比較し、ユーザを認識し、ユーザ認識結果に基づき年齢を判別することができる。デジタルTVは、ユーザの年齢判別結果を利用し、年齢制限コンテンツの再生を制御することができる。
【0004】
しかしながら、登録時の撮影条件と認識時の撮影条件とが完全に一致することは少ない。例えば、ユーザ(顔)と照明との位置関係、照度、カメラに対するユーザ(顔)の向き、及びカメラに対するユーザ(顔)の位置が、登録時と認識時とで異なる。これにより、ユーザの顔にできる影及び光の反射状態が、登録時と認識時とで異なる。そのため、同一人物から撮影された顔画像データであっても、登録時に撮影された顔画像データと、認識時に撮影された顔画像データとが完全に一致することは少ない。このように完全に一致しない登録時に撮影された顔画像データと、認識時に撮影された顔画像データとを比較し、同一人物の顔画像データか否かを判定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−516525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したような技術が提案されているが、登録時に撮影された顔画像データと、認識時に撮影された顔画像データとが完全に一致していないことから、認識精度が低下することがあり、このような認識精度の低下の改善策が要望されている。
【0007】
登録時の撮影条件を認識時の撮影条件と同じにすれば、上記認識精度の低下は改善される。しかしながら、登録時の撮影条件を認識時の撮影条件と同じにすることは、ユーザ(登録者)にとって大きな負担である。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザ(登録者)に負担を掛けることなく、認識精度の低下を改善することができる個人画像データ取得装置及び個人画像データ取得方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の個人画像データ取得装置は、表示制御手段と、表示手段と、取得手段とを備える。前記表示制御手段は、複数の表示制御設定に基づき表示を制御する。前記表示手段は、表示制御に基づき複数の表示状態に変化する。前記取得手段は、前記複数の表示状態に対応して複数の個人画像データを取得する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の各実施形態に係る個人画像データ取得装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2A】個人画像データ取得装置を構成する表示装置及び撮像素子と、登録者との位置関係の一例を示す側面図である。
【図2B】個人画像データ取得装置を構成する表示装置及び撮像素子と、登録者との位置関係の一例を示す上面図である。
【図3】第1の実施形態に係る複数の表示状態の一例を示すとともに、複数の表示状態に対応する影のでき方の一例を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る複数の表示状態の一例を示す図である。
【図5A】第4の実施形態に係る登録時における表示装置(撮像素子)と登録者の位置関係の一例を示す図である。
【図5B】第4の実施形態に係る認識時における表示装置(撮像素子)と登録者の位置関係の一例示す図である。
【図6A】第5の実施形態に係る登録時における表示装置(撮像素子)と登録者の位置関係の一例示す図である。
【図6B】第5の実施形態に係る登録時における誘導表示の一例を示す図である。
【図7A】第6の実施形態に係る登録時における撮像素子の配置例を示す図である。
【図7B】第6の実施形態に係る撮像素子の構成の一例を示す図である。
【図8】個人画像データ取得装置を適用したデジタルテレビジョン放送受信装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の各実施形態に係る個人画像データ取得装置の概略構成の一例を示すブロック図である。また、図2Aは、個人画像データ取得装置を構成する表示装置及び撮像素子と、登録者との位置関係の一例を示す側面図である。図2Bは、個人画像データ取得装置を構成する表示装置及び撮像素子と、登録者との位置関係の一例を示す上面図である。
【0012】
図1に示すように、個人画像データ取得装置は、表示装置1、認識・制御部2、記憶部3、撮像素子4を備える。表示装置1は、発光装置(バックライト)1aを備える。認識・制御部2は、記憶部3に記憶された複数の表示制御設定に基づき表示装置1の表示を制御する。表示装置1は、表示制御に基づき複数の表示状態に変化する。表示制御については後に詳しく説明する。
【0013】
撮影素子4は、例えばカメラである。認識・制御部2は、登録モードの実行に対応し、撮影素子4で撮影された画像から、人物(登録対象者E)の顔画像データを抽出し、抽出した顔画像データを記憶部3に登録する。或いは、認識・制御部2は、登録モードの実行に対応し、撮影素子4で撮影された画像から、人物の顔画像データを抽出し、抽出した顔画像データから顔画像特徴データを抽出し、抽出した顔画像特徴データを記憶部3に登録する。
【0014】
さらに、認識・制御部2は、認識モードの実行に対応し、撮影素子4で撮影された画像から、人物(認識対象者)の顔画像データを抽出し、抽出した顔画像データと、記憶部3に登録された顔画像データとを比較し、顔画像データの一致判定に基づき人物を認識する。或いは、認識・制御部2は、認識モードの実行に対応し、撮影素子4で撮影された画像から、人物の顔画像データを抽出し、抽出した顔画像データから顔画像特徴データを抽出し、抽出した顔画像特徴データと、記憶部3に登録された顔画像特徴データとを比較し、顔画像特徴データの一致判定に基づき人物を認識する。
【0015】
以下、第1〜第6の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
認識・制御部2は、登録モードの実行に対応し、記憶部3に記憶された複数の表示制御設定に基づき表示を制御する。表示装置1は、表示制御に基づき複数の表示状態に変化する。
【0017】
例えば、認識・制御部2は、記憶部3に記憶された複数の表示エリア制御設定に基づき表示装置1の表示エリアを制御する。表示装置1は、表示エリア制御に基づき複数の表示状態に変化する(図3の(ST11)〜(ST16))。
【0018】
言い換えれば、認識・制御部2は、記憶部3に記憶された複数の発光エリア制御設定に基づき発光装置1aの発光エリアを制御する。発光装置1aは、発光エリア制御に基づき複数の発光状態に変化し、これに対応し、表示装置1は、複数の表示状態に変化する(図3の(ST11)〜(ST16))。
【0019】
また、上記複数の表示状態の変化(図3の(ST11)〜(ST16))に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)に対する光の当たり方が変化するので、人物(顔)における影のでき方及び光の反射状態が変化する(図3の(ST21)〜(ST26))。
【0020】
撮像素子4は、上記した複数の表示状態に対応して複数の顔画像データ(個人画像データ)を取得する。つまり、撮像素子4は、図3のST11の表示状態(=図3のST21の顔)に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得する。さらに、認識・制御部2は、取得した画像データから顔画像データを抽出し、さらに、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。
【0021】
同様に、撮像素子4は、図3のST12の表示状態(=図3のST22の顔)に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得し、さらに認識・制御部2が、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。また、撮像素子4は、図3のST13の表示状態(=図3のST23の顔)に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得し、さらに認識・制御部2が、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。また、撮像素子4は、図3のST14の表示状態(=図3のST24の顔)に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得し、さらに認識・制御部2が、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。また、撮像素子4は、図3のST15の表示状態(=図3のST25の顔)に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得し、さらに認識・制御部2が、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。さらに、撮像素子4は、図3のST16の表示状態(=図3のST26の顔)に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得し、さらに認識・制御部2が、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。
【0022】
以上により、個人画像データ取得装置は、複数の表示状態に対応した複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を抽出することができ、複数の表示状態に対応した複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を記憶部3に登録することができる。
【0023】
その後、認識モードの実行に対応し、撮影素子4は、表示装置1の対向位置の人物(認識対象者R又はその他の人)を撮影し、画像データを出力する。例えば、撮影素子4は、部屋の照明や自然光に照らされた人物(認識対象者R又はその他の人)を撮影し、画像データを出力する。認識・制御部2は、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。さらに、認識・制御部2は、記憶部3に登録された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)と、認識モードの実行に対応して抽出された顔画像データ(顔画像特徴データ)とを比較し、比較結果に基づき認識対象者Rを認識する。
【0024】
例えば、認識・制御部2は、記憶部3に登録された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)のうちの1以上の顔画像データ(顔画像特徴データ)と、認識モードの実行に対応して抽出された顔画像データ(顔画像特徴データ)との類似度が基準値を超えた場合に、認識対象者Rを認識する。つまり、認識・制御部2は、登録された人物であると判定する。
【0025】
なお、個人画像データ取得装置は、登録モードの実行時と同様に、認識モードの実行時にも、複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を取得するようにしてもよい。この場合、例えば、認識・制御部2は、記憶部3に登録された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)と、認識モードの実行に対応して取得された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)とを比較し、比較結果に基づき認識対象者Rを認識する。
【0026】
例えば、認識・制御部2は、記憶部3に登録された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)のうちの1以上の顔画像データ(顔画像特徴データ)と、認識モードの実行に対応して抽出された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)のうちの1以上の顔画像データ(顔画像特徴データ)との類似度が基準値を超えた場合に、認識対象者Rを認識する。つまり、認識・制御部2は、登録された人物であると判定する。
【0027】
上記説明したように、第1の実施形態では、登録モードの実行時に、個人画像データ取得装置は、表示装置1上の発光状態を変化させ(例えば画面中央(全画面)、左上、上、右上、右下、左下等と変化させ)、それぞれの発光状態に対応して顔画像を取得する。これにより、個人画像データ取得装置は、様々な条件変化(様々な環境変化)に対応した複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を取得することができる。その結果、取得された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)に、認識モードの実行時の条件に近い条件で取得された顔画像データ(顔画像特徴データ)が含まれる可能性が高くなり、ひいては認識精度の低下を防止することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1の実施形態と共通する部分においては説明を省略する。
【0029】
認識・制御部2は、登録モードの実行に対応し、記憶部3に記憶された複数の表示制御設定に基づき表示を制御する。表示装置1は、表示制御に基づき複数の表示状態に変化する。
【0030】
例えば、認識・制御部2は、記憶部3に記憶された複数の発光強度制御設定に基づき発光装置1aの発光強度を制御する。発光装置1aは、発光強度制御に基づき複数の発光状態に変化し、これに対応し、表示装置1は、複数の表示状態に変化する(図4の(ST31)〜(ST33))。
【0031】
また、上記複数の表示状態の変化(図4の(ST31)〜(ST33))に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)に対する光の当たり方が変化するので、人物(顔)における影のでき方及び光の反射状態が変化する(図4の(ST41)〜(ST43))。
【0032】
撮像素子4は、上記した複数の表示状態に対応して複数の顔画像データ(個人画像データ)を取得する。つまり、撮像素子4は、図4のST31の表示状態(=図4のST41の顔)に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得する。さらに、認識・制御部2は、取得した画像データから顔画像データを抽出し、さらに、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。
【0033】
同様に、撮像素子4は、図4のST32の表示状態(=図4のST42の顔)に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得し、さらに認識・制御部2が、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。また、撮像素子4は、図4のST33の表示状態(=図4のST43の顔)に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得し、さらに認識・制御部2が、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。
【0034】
以上により、個人画像データ取得装置は、複数の表示状態に対応した複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を抽出することができ、複数の表示状態に対応した複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を記憶部3に登録することができる。
【0035】
その後、認識モードの実行に対応した個人画像データ取得装置の動作は、第1の実施形態で説明した通りであり、詳細説明は省略する。
【0036】
上記説明したように、第2の実施形態では、登録モードの実行時に、個人画像データ取得装置は、表示装置1上の発光強度を変化させ(例えば強(高輝度(明るい))、中(中輝度(普通))、弱(低輝度(暗い))に変化させ)、それぞれの発光強度に対応して顔画像を取得する。これにより、個人画像データ取得装置は、様々な条件変化(様々な環境変化)に対応した複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を取得することができる。その結果、取得された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)に、認識モードの実行時の条件に近い条件で取得された顔画像データ(顔画像特徴データ)が含まれる可能性が高くなり、ひいては認識精度の低下を防止することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の説明においては、第1、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明し、第1、第2の実施形態と共通する部分においては説明を省略する。
【0038】
認識・制御部2は、登録モードの実行に対応し、記憶部3に記憶された複数の表示制御設定に基づき表示を制御する。表示装置1は、表示制御に基づき複数の表示状態に変化する。
【0039】
例えば、認識・制御部2は、記憶部3に記憶された複数の表示色制御設定に基づき表示装置1の表示色を制御する。表示装置1は、表示色制御に基づき複数の表示状態に変化する。
【0040】
また、上記複数の表示状態の変化に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)に対する光の当たり方が変化するので、人物(顔)における影のでき方及び光の反射状態が変化する。
【0041】
撮像素子4は、上記した複数の表示状態に対応して複数の顔画像データ(個人画像データ)を取得する。つまり、撮像素子4は、表示装置1の第1の表示状態に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得する。さらに、認識・制御部2は、取得した画像データから顔画像データを抽出し、さらに、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。
【0042】
同様に、撮像素子4は、表示装置1の第2の表示状態に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得し、さらに認識・制御部2が、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。また、撮像素子4は、表示装置1の第3の表示状態に対応して、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影し、画像データを取得し、さらに認識・制御部2が、画像データから顔画像データを抽出し、顔画像データから顔画像特徴データを抽出する。
【0043】
以上により、個人画像データ取得装置は、複数の表示状態に対応した複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を抽出することができ、複数の表示状態に対応した複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を記憶部3に登録することができる。
【0044】
その後、認識モードの実行に対応した個人画像データ取得装置の動作は、第1の実施形態で説明した通りであり、詳細説明は省略する。
【0045】
上記説明したように、第3の実施形態では、登録モードの実行時に、個人画像データ取得装置は、表示装置1の表示色を変化させ(例えば昼光色、昼白色、電球色に変化させ)、それぞれの表示色に対応して顔画像を取得する。これにより、個人画像データ取得装置は、様々な条件変化(様々な環境変化)に対応した複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を取得することができる。その結果、取得された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)に、認識モードの実行時の条件に近い条件で取得された顔画像データ(顔画像特徴データ)が含まれる可能性が高くなり、ひいては認識精度の低下を防止することができる。
【0046】
なお、上記説明した第1、第2、及び第3の実施形態のうちの2以上の実施形態を組み合わせることもできる。これにより、個人画像データ取得装置は、表示エリア制御、発光強度制御、発光色制御のうちの2以上の制御の組み合わせに対応した様々な条件で、複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)を取得することができる。その結果、取得された複数の顔画像データ(顔画像特徴データ)に、認識モードの実行時の条件に近い条件で取得された顔画像データ(顔画像特徴データ)が含まれる可能性が高くなり、ひいては認識精度の低下を防止することができる。
【0047】
(第4の実施形態)
例えば、第1、第2、及び第3の実施形態に基づく登録モードの実行時に、表示装置1の画面サイズによって、認識時(図5Bに示すα2)よりも、登録時(図5Aに示すα1)の方が、照明と顔の位置関係の差が小さくなることが予想される。そこで、登録時に、表示装置1から人物(登録対象者E)までの距離を短くして、表示装置1の対向位置の人物(登録対象者E)を撮影する。
【0048】
例えば、表示装置1は、登録時に、登録対象者Eに対して近づくように案内を表示する。さらに、認識・制御部2が、撮像素子4により取得された画像データを解析し、登録対象者Eと表示装置1との距離を推定し、表示装置1により表示される案内の内容を制御することもできる。例えば、登録対象者Eと表示装置1との距離が遠い場合には、認識・制御部2は、近づく旨の案内を表示するように制御し、登録対象者Eと表示装置1との距離が近すぎる場合には、認識・制御部2は、遠ざかる(後退する)旨の案内を表示するように制御する。
【0049】
以上により、個人画像データ取得装置は、登録対象者Eと表示装置1とを最適距離に制御することができる。例えば、個人画像データ取得装置は、登録時における登録対象者Eと表示装置1との距離を、認識時における登録対象者Eと表示装置1との距離よりも近くして、登録対象者Eを撮影することができる。これにより、登録時(図5Aに示すα1)と認識時(図5Bに示すα2)との差を減少することができる。
【0050】
(第5の実施形態)
上記第4の実施形態により、登録時(図5Aに示すα1)と認識時(図5Bに示すα2)との差を減少することができる。一方で、認識時における登録対象者Eと表示装置1との距離が近づくことにより、結果的に、登録対象者Eと撮像素子4との距離も近づいてしまう。これは、撮像素子4が、表示装置1の上や下に設置されているためである。
【0051】
登録時における登録対象者Eと表示装置1との距離が、認識時における登録対象者Eと表示装置1との距離よりも短くなることは、登録時における撮像素子4と登録対象者Eとの角度(図5Aに示すβ1)と、認識時における撮像素子4と登録対象者Eとの角度(図5Bに示すβ2)とが異なることを意味する。
【0052】
そこで、表示装置1は、登録時に、認識対象者の顔の向きを撮像素子4へ誘導するための誘導情報Gを表示する。例えば、表示装置1は、登録対象者Eの視線を撮像素子4の方向へ誘導するための赤い円を表示する。例えば、図6Bに示すように、表示装置1は、画面中央で誘導情報G(赤い円)を表示し、次第に、誘導情報Gが撮像素子4の方向へ移動するように表示する。
【0053】
以上により、個人画像データ取得装置は、認識対象者の顔を撮像素子4の方に向けさせることができ、登録時における撮像素子4と登録対象者Eとの角度(図6Aに示すβ3)と、認識時における撮像素子4と登録対象者Eとの角度(図5Bに示すβ2)との差を減少させることができる。
【0054】
(第6の実施形態)
上記第4の実施形態により、登録時(図5Aに示すα1)と認識時(図5Bに示すα2)との差を減少することができる。一方で、認識時における登録対象者Eと表示装置1との距離が近づくことにより、結果的に、登録対象者Eと撮像素子4との距離も近づいてしまう。これは、撮像素子4が、表示装置1の上や下に設置されているためである。
【0055】
登録時における登録対象者Eと表示装置1との距離が、認識時における登録対象者Eと表示装置1との距離よりも短くなることは、登録時における撮像素子4と登録対象者Eとの角度(図5Aに示すβ1)と、認識時における撮像素子4と登録対象者Eとの角度(図5Bに示すβ2)とが異なることを意味する。
【0056】
そこで、図7Bに示すように、撮像素子4は信号ケーブル4aを介して個人画像データ取得装置と接続され、これにより撮像素子4は移動可能となる。例えば、図7Aに示すように、登録時に、撮像素子4を表示装置1の中央付近に移動した上で、撮像素子4が登録対象者Eを撮影する。例えば、登録時に、表示装置1が、撮像装置4の移動を案内したり、撮像装置4の設置場所を案内したりする。
【0057】
以上により、個人画像データ取得装置は、登録時における撮像素子4と登録対象者Eとの角度と、認識時における撮像素子4と登録対象者Eとの角度との差を減少させることができる。
【0058】
以下、第1〜第6の実施形態についてまとめる。
【0059】
(1)個人画像データ取得装置は、顔より大きな表示装置を備え、ユーザ登録時に、表示装置の一部を白色、自然光色、又は照明に近い色(色温度)に発光させ、さらに発光位置を複数変化させ、発光位置の複数変化に対応して複数の顔画像を取得する。これにより、様々な条件に対応した複数の画像データを1個人のデータとして登録することができる。
【0060】
(2)個人画像データ取得装置は、顔より大きな表示装置を備え、ユーザ登録時に、表示装置の一部を白色、自然光色、又は照明に近い色(色温度)に発光させ、さらに発光強度を複数変化させ、発光強度の複数変化に対応して複数の顔画像を取得する。これにより、様々な条件に対応した複数の画像データを1個人のデータとして登録することができる。
【0061】
(3)個人画像データ取得装置は、ユーザ認識時の撮影距離よりも近い距離で、ユーザ登録時に撮影を実行する。
【0062】
(4)個人画像データ取得装置は、ユーザ登録時に、認識対象者の顔の向きを撮像素子4へ誘導するための誘導情報を表示する。
【0063】
(5)個人画像データ取得装置は、ユーザ登録時に、表示装置の画面中央付近に設置された撮像素子で、認識対象者Rを撮影する。
【0064】
以上により、個人画像データ取得装置は、登録対象者に大きな負担を掛けることなく、複数の環境条件における顔画像データ(顔画像特徴データ)を取得することができ、これにより個人識別精度を向上することができる。また、個人画像データ取得装置は、機材のコストアップ無しで、上記作用効果を得ることができる。
【0065】
図8は、個人画像データ取得装置を適用したデジタルテレビジョン放送受信装置の概略構成を示すブロック図である。デジタルテレビジョン放送受信装置の映像表示部14が、図1に示す表示装置1に対応する。また、デジタルテレビジョン放送受信装置の制御モジュール65、認識モジュール65aが、図1に示す認識・制御部2に対応する。また、デジタルテレビジョン放送受信装置の不揮発性メモリ68が、図1に示す記憶部3に対応する。また、デジタルテレビジョン放送受信装置のカメラ72が、図1に示す撮像素子4に対応する。
【0066】
以下、デジタルテレビジョン放送受信装置について簡単に説明する。
【0067】
図8に示すように、BS/CSデジタル放送受信用のアンテナ47で受信した衛星デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子48を介して衛星デジタル放送用のチューナ49に供給され、チューナ49は、指定されたチャンネルの放送信号を選択する。
【0068】
そして、このチューナ49で選択された放送信号は、PSK(phase shift keying)復調モジュール50に供給されて、デジタルの映像信号及び音声信号に復調された後、信号処理モジュール51に出力される。
【0069】
また、地上波放送受信用のアンテナ52で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子53を介して地上デジタル放送用のチューナ54に供給され、チューナ54は、指定されたチャンネルの放送信号を選択する。
【0070】
そして、このチューナ54で選択された放送信号は、OFDM(orthogonal frequency division multiplexing)復調モジュール55に供給されて、デジタルの映像信号及び音声信号に復調された後、上記信号処理モジュール51に出力される。
【0071】
ここで、上記信号処理モジュール51は、PSK復調モジュール50及びOFDM復調モジュール55からそれぞれ供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対して、選択的に所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理モジュール58及び音声処理モジュール59に出力している。
【0072】
また、上記信号処理モジュール51には、複数(図示の場合は4つ)の入力端子60a,60b,60c,60dが接続されている。これら入力端子60a〜60dは、それぞれ、アナログの映像信号及び音声信号を、デジタルテレビジョン放送受信装置100の外部から入力可能とするものである。
【0073】
そして、この信号処理モジュール51は、各入力端子60a〜60dから供給されたアナログの映像信号及び音声信号を選択的にデジタル化し、そのデジタル化された映像信号及び音声信号に対して所定のデジタル信号処理を施した後、グラフィック処理モジュール58及び音声処理モジュール59に出力している。
【0074】
このうち、グラフィック処理モジュール58は、信号処理モジュール51から供給されるデジタルの映像信号に、OSD(on screen display)信号生成モジュール61で生成されるOSD信号を重畳して出力する機能を有する。このグラフィック処理モジュール58は、信号処理モジュール51の出力映像信号と、OSD信号生成モジュール61の出力OSD信号とを選択的に出力すること、また、両出力を組み合わせて出力することができる。
【0075】
そして、グラフィック処理モジュール58から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理モジュール62に供給される。映像処理モジュール62により処理された映像信号は、映像表示部14に供給され、また出力端子63にも供給される。映像表示部14は、映像信号に基づく映像を表示し、出力端子63に対して外部機器が接続されると、出力端子63に供給された映像信号は、外部機器へ入力される。
【0076】
また、上記音声処理モジュール59は、入力されたデジタルの音声信号を、前記スピーカ15で再生可能なアナログ音声信号に変換した後、スピーカ15に出力して音声出力させるとともに、出力端子64を介して外部に導出させる。
【0077】
なお、デジタルテレビジョン放送受像装置100の制御モジュール65が、上記した信号処理等を含む全ての処理及び動作を統括的に制御する。また、制御モジュール65が、上記した登録モード又は認識モードの実行を制御し、認識モジュール65aが、登録処理及び認識処理を実行する。
【0078】
制御モジュール65は、CPU(central processing unit)等により構成されている。制御モジュール65は、操作部16からの操作情報、前記リモートコントローラ17から送出され受光部18を介して受信した操作情報、或いは携帯端末200の通信モジュール203から送出され受光部18を介して受信した操作情報に基づき、操作内容が反映されるように各モジュールをそれぞれ制御している。
【0079】
この場合、制御モジュール65は、主として、CPUが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)66と、CPUに作業エリアを提供するRAM(random access memory)67と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリ68とを利用している。
【0080】
また、この制御モジュール65は、カードI/F(interface)69を介して、メモリカード19が装着可能なカードホルダ70に接続されている。これによって、制御モジュール65は、カードホルダ70に装着されたメモリカード19と、カードI/F69を介して情報伝送を行なうことができる。
【0081】
また、上記制御モジュール65は、通信I/F73を介してLAN端子21と接続されている。これにより、制御モジュール65は、LAN端子21に接続されたLANケーブル、及び通信I/F73を介して情報を送受信することができる。例えば、制御モジュール65は、LANケーブル及び通信I/F73を介して、サーバから送信されるデータを受信することができる。
【0082】
さらに、上記制御モジュール65は、HDMI I/F74を介してHDMI端子22と接続されている。これにより、制御モジュール65は、HDMI端子22に接続されたHDMI対応機器と、HDMI I/F74を介して情報伝送を行なうことができる。
【0083】
さらに、上記制御モジュール65は、USB I/F76を介してUSB端子24と接続されている。これにより、制御モジュール65は、USB端子24に接続されたUSB対応機器(デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなど)と、USB I/F76を介して情報伝送を行なうことができる。
【0084】
さらに、上記制御モジュール65は、不揮発性メモリ68に記憶された録画予約リストに含まれた録画予約情報を参照し、受信信号に基づく番組の録画動作を制御する。録画先としては、例えば内蔵HDD101、USB端子24を介して接続された外付けHDD、HDMI端子を介して接続されたレコーダがある。
【0085】
さらに、上記制御モジュール65は、明るさセンサー71からの明るさ検出レベルに基づき、映像表示部14のバックライトの明るさを制御する。また、上記制御モジュール65は、カメラ72からの動画情報に基づき、映像表示部14の対向位置のユーザ有無を判定し、映像表示部14の映像をオン/オフ制御する。
【0086】
さらに、上記制御モジュール65は、番組表出力制御モジュール103を備える。番組表出力制御モジュール103は、番組表の出力を制御する。
【0087】
なお、上記したモジュールとは、ハードウェアで実現するものであっても良いし、CPU等を使ってソフトウェアで実現するものであってもよい。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1…表示装置、1a…発光装置、2…認識・制御部、3…記憶部、4…撮像素子、100…デジタルテレビジョン放送受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示制御設定に基づき表示を制御する表示制御手段と、
表示制御に基づき複数の表示状態に変化する表示手段と、
前記複数の表示状態に対応して複数の個人画像データを取得する取得手段と、
を備える個人画像データ取得装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、複数の表示エリア制御設定に基づき表示エリアを制御し、
前記表示手段は、表示エリア制御に基づき前記複数の表示状態に変化する請求項1の個人画像データ取得装置。
【請求項3】
前記表示手段は、発光手段を備え、
前記表示制御手段は、複数の発光エリア制御設定に基づき前記発光手段の発光エリアを制御し、
前記表示手段は、発光エリア制御に基づく複数の発光エリアの変化に対応して前記複数の表示状態に変化する請求項1又は2の個人画像データ取得装置。
【請求項4】
前記表示手段は、発光手段を備え、
前記表示制御手段は、複数の発光強度制御設定に基づき前記発光手段の発光強度を制御し、
前記表示手段は、発光強度制御に基づく複数の発光状態の変化に対応して前記複数の表示状態に変化する請求項1の個人画像データ取得装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、複数の色制御設定に基づき表示色を制御し、
前記表示手段は、表示色制御に基づき前記複数の表示状態に変化する請求項1乃至4の何れか1つの個人画像データ取得装置。
【請求項6】
前記取得手段は、認識対象者の画像を撮影するための撮像素子を備え、前記撮像素子による複数回の撮影に対応して前記複数の個人画像データを取得する請求項1乃至5の何れか1つの個人画像データ取得装置。
【請求項7】
前記表示手段は、認識対象者の顔の向きを前記撮像素子へ誘導するための誘導情報を表示する請求項6の個人画像データ取得装置。
【請求項8】
前記複数の個人画像データを1個人のデータとして登録する登録手段を備える請求項1乃至7の何れか1つの個人画像データ取得装置。
【請求項9】
複数の表示制御設定に基づき表示を制御し、
表示制御に基づく複数の表示状態に対応して複数の個人画像データを取得する個人画像データ取得方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114594(P2013−114594A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262518(P2011−262518)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】