説明

個人診断装置と関連手法

診断パッチ(バイオパッチ)と双方向医療ブレスレット(バイオブレスレット)を含む個人診断装置には皮膚/パッチ接合部、少なくとも1つの分析層、信号処理層、使用者出力接合部を備えている。双方向診断装置の実施形態は、血液あるいは汗の皮膚表面の移動による非常に多様なテスト実施のため、反応チェンバーを伴うマイクロ流体回路、分析チェンバー、混合チェンバー、様々な事前に配置された化学薬品あるいは試薬を含むことが可能である。流体回路のためのサンプル採取チェンバーは表皮近くの毛細血管から血液サンプル採取のための皮膚表面に刺す試薬低侵襲細管を含むことが可能である。個人診断装置の代替実施は論理処理、出入力装置、音響マイク、極低温回路、埋め込みプロセッサ、電気制御回路、電源としてのバッテリー電流源あるいは光電池源を備えることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般に、皮膚パッチ、診断用ブレスレットのような個人診断装置、特に双方向に付着力のある皮膚パッチや医学的診断用ブレスレットに関連する。さらに具体的には、この発明は、皮膚とパッチの接着面、つまり少なくとも分析及び処理を行う面と、使用者の出入力面を有する、双方向に付着力のある皮膚パッチや個人診断装置に関連したものである。
【背景技術】
【0002】
大まかな考察と関連技術
この発明以前は、典型的な皮膚パッチと言えば主に人間の身体における積極的な薬物投与装置として使用されてきた。そのような装置の例としては、禁煙用のニコチンパッチや、船酔いを軽減するために既定の量のドラマミンを投与するための船酔いパッチなどが挙げられる。
【0003】
診断を目的とする医学用モニター装置は数多くある。よく知られたものとしてはレントゲン、超音波装置、平行面を重ね合わせて処理することで物体の三次元モデルを作成するX線体軸断層撮影スキャナー(CATスキャナー)、心臓を電子的に記録し、心臓病の検査を行うための心電図モニターシステム、脳マッピングとニューロフィードバックのための脳波システム、そして脳撮像と関連する分析を行う放射断層撮影法(PET)スキャンなどがある。
【0004】
特に、この発明に関連する技術は、サルーシ・他、コーン・他、ベルリンといった技師たちの貢献によって生まれた。そのような貢献を説明するものとして、サルーシ・他の米国特許出願開示第2003/0229276号明細書にて開示された装置がある。この開示はマイクロプロセッサの付いた、血液成分のレベルをモニターするための装置についてのものである。一実施形態では、その装置には特定の血液成分が既定のレベル以下になったときに反応するアラームが組み込まれている。別の実施形態では、その装置は出力信号を表示したり装着者の健康状態がよいことを表示したりする表示装置が組み込まれている。そのサルーシの装置は皮膚の表面に付着するカバーの中に組み込まれている場合もある。また、発光ダイオードのような光源が組み込まれている場合もある。
【0005】
コーン・他の米国特許出願開示番号2002/0004640号明細書は、生体システムに現れる標的化学分析物の濃度を計測する装置を開示している。ある実施形態では、イオン微小泳動を利用して分析物を抽出する。この分析物は、検出可能な生成物質を生産するために反応する採取貯留槽における分析物特有の酵素によって検出される。この発明にはマイクロプロセッサも含まれている。
【0006】
スチュアート・ベルリンの米国特許6,585,646号明細書の開示においては、様々な疾病の存在を示唆するアポクリン汗に含まれる特異的マーカーを採取し、検出するための皮膚パッチが提案され、議論されている。ある実施形態では、このベルリン氏のパッチは特異的マーカーに可視の反応を示すモノクロナーム抗体や他の化学成分を含む。別の実施形態では、電子センサーが使用されている。
【0007】
ヤム・他の米国特許6,251,083号明細書は体液分析のための使い捨てパッチを開示している。このパッチは皮膚に付着するための接着面、複数のテスト帯、そして分光光度計を使用して分析物の存在や濃度を検出する試薬システムを持つ。その試薬の中には反応を表示するための色素が含まれる場合もある。
【0008】
デアンジェロ・他の米国特許5,443,080号明細書においては、皮膚と接触する膜層、化学反応物質層、色反応という表示手段、そして光波測量の機能を持つ装置が開示されている。
【0009】
ペックの米国特許4,821,733号明細書では、皮膚の表面に移動する標的物質の検出するための経皮的検出システムが開示されている。皮膚表面に付着するために、粘着性のものが使われている。可視的な色変化を示すことで検出可能な信号を出す。ある実施形態では、このシステムは皮膚表面のエタノールを検出するために使われている。
【0010】
ベルナー・他の名前で提出された米国特許出願開示2002/0091312号明細書においては、生体システム上の分析物の濃度を計測する装置と手段が開示されている。その計測はその装置が皮膚や粘膜面と効果的に接触している場合に可能となる。この分析物はイオン泳動的なサンプルを用いて経皮から抽出される。検出可能な、分析物特有の信号を捕らえるために検出手段が用いられ、マイクロプロセッサが、1回以上の計測サイクルのために用いられる。
【0011】
フィリップの米国特許4,732,153号明細書は、皮膚表面から物質を採取するために皮膚に付着する線量計を開示している。この装置によってパッチが含有する化学物質と採取された物質の反応による可視的な色変化を見ることができる。この分析検査は経費的な線量計内で行われる。
【0012】
また、この文書の関連技術への貢献の別の例としては、ボジャンの米国特許出願開示2002/0099308号明細書があり、この中で、間質液内の分析物を採取し、検出する多層の装置が開示されている。この装置は分析物を検出、又は計測する皮膚層と検出層を含む。間質液を経皮的に抽出するために光源を用いる。ロング他の米国特許6,479,015号明細書においては、乳酸溶液に反応して色が変化する層を持つ皮膚パッチが開示されている。また、デイグナーの特許1,262,559号明細書に、付着手段と試薬層を持つ皮膚パッチが開示されている。
【0013】
本発明の関連技術において進歩は見られるものの、未だ皮膚とパッチの接着面、1つ以上の分析層又は処理層、統合したマイクロプロセッサもしくはコンピュータ、使用者の出入力面を備えた双方向の皮膚パッチやブレスレットという性質を持つ個人診断装置は提案されていない。この場合、使用者の出力面は、マイクロマシン技術、バイオマイクロマシン技術、もしくはナノベースの技術を合体させ、多様なリアルタイムでの患者の診断情報や結果を、直接、使用者である患者や介護者に、提供するものである。その場合必ずしも医学専門家の参加や介入がある必要はない。
【0014】
したがって、関連するマイクロシステム、ナノシステムとマイクロマシン技術に加え、バイオマイクロマシン技術が出現した中、複雑で研究室にある医療機器が必要だったり、医師の元を訪れて、血液や尿のサンプルを用いて従来の検査室で検査するために時間がかかったりするような多様な医学診断テストを、リアルタイムで簡単に使用者に提供できるような、パッチやブレスレット型の統合された双方向の個人診断装置が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
先行技術や、関連する機器や方式に相当の発展が見られるなか、本発明は双方向パッチ、もしくは「バイオパッチ」として、上記のような個人診断装置の様々な実施形態を提供する。このパッチは、皮膚とパッチの接触面、1つ以上の分析層又は処理層、マイクロマシン技術、バイオマイクロマシン技術が組み込まれた使用者の出力面と関連するマイクロシステムやナノシステムの一方もしくは両方を持ち、患者や使用者が皮膚科学的に利用することで、リアルタイムに希望するさまざまな検査を行うものである。バイオパッチは、軽量で粘着性のある双方向皮膚パッチを形成するために、柔軟性のある層が何層も重ねられている。本発明と本発明の様々な実施形態は、硬質のケースや半硬質のケース内、もしくはここでは便宜上「バイオブレスレット」と呼ぶ、カバー付のブレスレットタイプ装置内で実行される。ここでの実施形態の中には、動物使用を対象としたものも含まれている。これは例えば特に、ブリーディングや酪農のような家畜に関するニーズに答えたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、皮膚との付着面、一層以上の分析もしくは処理用の層、使用者出力面を有する双方向診断用パッチもしくはブレスレットに関するものである。本発明により、このパッチ、もしくはブレスレットを用いて、リアルタイムで様々な診断テストを行うことができる。このパッチもしくはブレスレットには、マイクロマシン技術(MEMS)もしくは、関連するマイクロ、ナノテクノロジーが使用されている。1つ以上の実施形態において、このパッチは皮膚に付着するための粘着性のある層を有する。また、血液や汗のような経皮的サンプルを採取する手段も有する。採取されたサンプルは体内の生理的変化を検出しモニターするために、リアルタイムで1つ以上の質的もしくは量的な分析にかけられる。パッチの処理層は様々な化学試薬を含んでいるが、この試薬は検出信号を示すために生体サンプルに反応するものである。結果はコンピュータ制御表示装置(CCD)ディテクター、発光ダイオード、もしくはナノワイヤーによって検出される。信号は、バーコード、色変化、数字、もしくは発光ダイオードや液晶のディスプレイにカラーやモノクロで示される数字などの形式で使用者の出力面層に表示されるか、リモートコンピュータに送られる。パッチはマイクロ流体工学、オーディオ機能、低侵襲細管、光ファイバーケーブル、発光もしくは検出ナノワイヤー、低温液体、フォトエミッター等の特徴も持つ。
【0017】
他の実施形態においては、このパッチ又はブレスレットはその上面にたまる空気中の生物因子も検出する場合がある。
【0018】
より具体的に述べると、粘着性、又は非粘着性の皮膚パッチ、もしくは診断用ブレスレットがあり、テスト、分析、診断、治療、出入力面を可能にする多くの特徴のいずれか、もしくは全てが組み込まれている。この皮膚パッチもしくはブレスレットは、流体、マイクロ流体、マイクロ流体弁、試薬テストチャンバー、認識用機器、流体回路上の論理処理、電子回路上の論理処理、処理回路と出入力面の連結のいずれか、もしくは全てを有する。論理処理、出力面、入力面のいずれか、もしくは全てはテストパッチやブレスレットの表面に取り付けられており、再利用可能である。
【0019】
テストパッチ、再利用可能な処理面のいずれか、もしくは両方は様々な形状であり、長方形や円、又は他の形状いずれにも限定されない。また、サイズも様々で、1ミリ、外形寸法が30センチのもの、1ミリから30センチの範囲内の長さ、幅、厚さのうち、必要なものを掛け合わせたものなど、必ずしも小さいサイズではない。
【0020】
このテストパッチ、又はブレスレットは、質的、量的なテストの両方、もしくはいずれかを行い、正確な結果を導き出すための使用者出力、使用者入力、処理機能のいずれか、もしくは全てを提供する。任意の出入力という接触面の機能により、質的、量的、もしくはその両方のデータを、使用者は見ることができる。
【0021】
このデータは、装置内部、もしくは装置上又は再利用可能な表面の両方かいずれかにある、発光ダイオードや液晶のソフトなディスプレイ、もしくは硬いディスプレイなどの方法、又はそれ以外の方法で提供される。使用者が操作できるボタンとしては、ボタン、スライダー、圧力スイッチ、ワイヤレス及び/又は接続されたインターフェースのような遠隔入力装置などがある。
【0022】
本発明である個人診断装置とその様々な実施形態は、1つ以上の質的もしくは量的テストを行うがあるが、これはロジック及び/又はヒューマンインプットによって決定される周期に従って何度も同じテストをくりかえす場合がある。また、それぞれが質的及び/又は量的結果を提供する多くの異なったテストを代わりに行う場合もある。
【0023】
この個人診断装置は、また、圧力試験及び/又はエネルギーの供給のための空洞を有する場合もある。このエネルギーは圧縮された気体、つまり空気もしくは真空という形状である。
【0024】
さらに具体的に述べると、本発明は、個人診断装置として開発されたものであり、使用者の体液サンプルを得るためのサンプル採取層、そのサンプルを処理するための体液サンプル層(サンプル採取層と流体連通している)、体液サンプルを処理して得られた診断結果を検出する部分、そしてその診断結果を表示する部分が組み込まれている。この装置には少なくとも、圧縮された気体を含む空洞か、真空になっている空洞のどちらかが組み込まれている。さらにこの装置が、流動を抑える疎水性表面や流動を促進する親水性表面を含む場合もある。また、使用者にフィードバックを供給するサウンドエミッターが備えられていることもある。そして論理処理や、論理処理内に内部プロトコルアドレスを備えている場合もある。
【0025】
この発明を他の態様から見てみると、使用者の周囲の環境から空気サンプルを採取する空気サンプル獲得用部位、1種以上の空気汚染物質のために空気サンプルを調べる部位、使用者の体液サンプルを採取する層、そのサンプルを処理するための体液サンプル層(サンプル採取層と流動的に連結している)、体液サンプルを処理して得られた診断結果を検出する部分、そしてその診断結果を表示する部分が組み込まれている。さらにTCP/IP(伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル)を用いた論理処理システムを持ち、かつ使用者の所在地に関して遠隔測定で得た情報を提供するために受信機と送信機を別々に、もしくは組み合わせた形で、備えている場合もある。この装置の有利な点としては、検出装置によって得られた診断結果を処理するためのプロセッサを備えていることが挙げられる。このプロセッサは使用者の医学的状態に関する出力情報をもたらす。出力情報を保存するためのメモリも装置内部もしくは外部に備え付けてある。
【0026】
この発明のもう1つの態様を考えると、さらに個人診断装置を活用する方法が見えてくる。この方法は、使用者に個々の個人診断装置を提供する、使用者の生体サンプルを個人診断装置に採取させる、個人診断装置がサンプルを処理する、使用者の医学的な、又は健康に関する情報を検出する、その情報を受信用装置に送られる、医学情報に関する出力結果が表示される、というステップを含む。これは情報送信のステップの前に個人診断装置にその情報を保存するというステップを含むことが可能である。受信用装置は個人診断装置、パーソナルコンピュータ、もしくは接続されている通信ネットワークなどになるだろう。
【0027】
下記で図と共に詳細に説明されている本発明のさまざまな態様には本発明の個人診断装置内で部分的に、もしくは完全に行われた生体的、化学的テストサンプルの質的、量的な分析方法が含まれている。これらのテストサンプルは、全血、血清、血漿、唾液、尿、痰、便、汗、組織サンプル、腫瘍、生検サンプル、水、そして検査対象となるような化学的、生体物質を含む他のサンプルである。この場合検査対象となりうる物質は、例えば、特定の拡散系列、タンパク質、抗体、有毒化学物質、汚染物質、ストレス指標、心臓血管健康指標、腫瘍マーカー、細胞、バクテリア、ウイルス、生化学兵器、及び他の生体的もしくは化学的性質を持つ物質等である。
【0028】
それゆえ、本発明の目的は従来技術における限界を改善することである。これら、及び他の目的は、本発明が双方向のバイオパッチ、バイオブレスレットのいくつかの実施形態、様々な方法とそれに関する過程を提供することによって成し遂げられる。
【0029】
付加的な機能とそこから生じる利点を伴う本発明の更なる目的については、下記を参照のこと。これは、添付図面上の構成要素に振ってある参照番号に対応した、本発明の好適な実施形態の説明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下の説明は、第一に、バイオパッチとバイオブレスレットにおいて使用される本発明による個人診断装置(PDD)の構造の基本的、また機能的な要素の考察に向けられている。次に示されているのは、本発明の特定の実施形態によるDNA分析の詳細とそれに関連するPDDバイオパッチとバイオブレスレットで実行される方法である。次にPDD細胞分析実施と方法の詳細な考察が説明されている。その後、PDD小分子分析実施と関連の方法が詳細に考察されている。その次に、応力解析実施と様々な関連の方法が示されている。その後に考察されているのは、本発明の様々なリアルタイム使用態様を示す特定のスポーツパフォーマンスモニター実施と関連の方法である。そして、最後は、本発明のさらなる態様の詳細を示すためのPDD高齢者介護モニター実施の詳細な考察、利用、関連の方法が示されている。
【0031】
構造的、機能的要素
まず、図1に関し、ここにはバイオブレスレット(図8A)、あるいはバイオパッチ(図8B)の形状において使用可能な個人診断装置104を装着している使用者102が示されている。図1の使用者102は、パーソナルコンピュータ108、キーボード110、ディスプレーモニター112を含むワークステーション106に座っている。個人診断装置104の1つの主要な実施形態により、本装置は個人診断装置104からの電気信号を適切な無線周波数受信機114が装備されているパーソナルコンピュータ108に伝えるために使用される無線送信器223(図8A、B)を含んでいる。このように、装置104内で処理され保存された診断テスト結果は、ワイヤレスでパーソナルコンピュータ108に伝えられ、そこで適宜ディスプレーモニター112に表示することができる。
【0032】
次に、図2に関し、ここには関連した各主要層における様々な要素を示すための各部分の断面図を含む分析的個人診断装置104の1の実施形態の予想図が示されている。この装置104の実施形態はサンプル採取層116、流体処理層118、結果処理制御層120、出力層122を含んでいる。出力層122はビデオディスプレーモニター124、個別固定結果表示画面126とともに示されている。ビデオディスプレーモニター124はPCモニターやテレビモニターの性質上、リアルタイムのビデオ情報を表示することが可能である。個別固定結果表示画面126は1回限り使用される結果ディスプレイ画面で、固定された不変の方法で特定の分析や装置104内で行なわれる分析の様々な結果を表示する。モニター124と画面126に表示された結果は、質的、定量的、半定量的に表示することが可能である。
【0033】
図3Aは図面で説明するように取り外し可能で取替え可能な上部128を含む分析的診断装置104の代替実施形態の分解斜視図である。図3Aは主要層と取替え可能な部分の各要素を示す各部分の断面図を含んでいる。具体的には、図3Aに示されている装置104は分析コントロール層120、ビデオディスプレーモニター124、固定結果表示画面126が付いた取り外し可能な上部128を含んでいる。図3Aに示されている装置104はさらにサンプル採取層116と流体処理層118が付いたブレスレットあるいはベース部130を含んでいる。これに関してバイオブレスレットの実施形態では、ブレスレットあるいはベース部130はアルミニウムのような剛体材料を使用することが可能である。一方、これに関してバイオパッチの実施形態では、ブレスレットあるいはベース部130は軟質のプラスチック層で構成されている。ベース部130はさらに取り外し可能な上部128が素早くベース部130に取り付け、取り外しができるよう、接続部132を含んでいる。そのため、この本発明の実施においては、使用者は使用初回から結果を受信し処理するためベースあるいはブレスレット部分130を取り外し可能な第一上部128とともに装着することが可能である。その後、使用者は取り外し可能な第一上部128を取り外し、使用者から採取された生体サンプルから継続して診断情報を採取、処理するため取り外し可能な第二上部128と交換することが可能である。図3Bに図示されているように、代替実施形態においては個々の取り外し可能な上部128は固定された取り外し可能な上部128から採取された診断情報をダウンロードする読取装置129のレセプタクル131に差し込むことが可能である。この実施形態においては、患者は採取された情報にアクセスすることはできない。例えば読取装置129は、図3Bに図示されているように、医師のオフィスや病院において主治医や介護者の監督のもと使用され、その結果は、PC108とモニター112の双方向使用により患者が直接分析するのではなく、その後主治医や医療の専門家により分析される。そのため、この実施形態の様々な使用においては、取り外し可能な上部128はビデオディスプレーモニター124と/あるいは表示画面126を含まない。代わりに、本態様のダウンロードを通じその他のテスト結果が医師の分析に限定されているのに対し、ビデオディスプレーモニター124と/あるいは表示画面126は、特定のテストの結果が使用者である患者に入手可能にするため部分的に作動させることが可能である。
【0034】
次に、図4に関してであるが、ここにはエアサンプル吸気ポート、あるいはその最上の検出器を含む本発明の個人診断装置104の代替実施形態の斜視図が示されている。図4に図示されているように、装置104はサンプル採取層116、流体処理層118、結果処理制御層120を含んでいる。また、出力層122はさらにその代替としてビデオディスプレーモニター124と固定結果表示画面126を含んでいる。それに加え、図4に図示されている装置104の実施形態は、さらに第一エアサンプル採取部、検出器、あるいはユニット134、また、第二エアサンプル採取部、検出器、あるいはユニット136を備えている。この実施形態においては、エアサンプル採取部134と136は、使用者が働きあるいは存在する周囲環境中にある可能性のある様々な浮遊微小粒子を受け、捕捉し、検出するように作られている。そのような利用は、作業現場で大気中化学物質やその他の特定の物質にさらされることが健康や安全の問題である、科学物家屋、ビル、森林火災で消火活動を行なう消防士、病院や研究所の医療従事者、様々な化学処理工場や石油精製施設、あるいは類似の処理施設や発電プラントの従業員や検査官を含んでいる。これに関してその他の実施では、これまで誤って、あるいは意図的に環境に放出されてきた有害な可能性のある生体物質、ウイルス性物質、化学粒子物質を検出するため、軍人や警察官もこのような大気個人診断装置を活用することが可能である。そのため、個人診断装置104のこの実施形態の使用者は、現場で周囲の環境中に存在する浮遊微小粒子の有害なレベルの存在を通知される。それに加え、装置104の様々なサンプル採取、処理、分析態様は、その後、第一また/あるいは第二エアサンプル採取部134と136で検出、特定されたこのような浮遊微小粒子に対する使用者の生物学的、生理的反応をモニターするために使用される。
【0035】
図5は、本発明による個人診断装置104のもう1つの代替実施形態の分解斜視図を示している。図5に図示されている装置104には、サウンドチェンバー138、マイク140、信号処理部142が付いている。サウンドチェンバー138、マイク140、信号処理部142を含むシステムエレメントは、図面で説明するように下層にできれば一体化して実装された小型電池144により作動動力を得る。内部の動力源としての電池144の代替として、装置104に装置内部の使用のため入射光線を電力に変換する太陽電池タイプの動力源とともに装備することが可能である。そのもう1つの代替として、装置104は必要な電気を内部で発電するために内部で化学反応する化学薬品を備えることが可能である。
【0036】
図5に図示されている装置104の上層部は、ビデオディスプレーモニター124と固定結果表示画面126を含むことが可能である。それに加え、図5に図示されている装置104の上層部は、さらに入力選択スイッチ146とオン/オフスイッチ148を含むことが可能である。このように、図5に図示されている個人診断装置104は入力機能に加え出力機能も含んでいる。図5に図示されている装置の主要要素の1つ、あるいは組み合わせは、特定の利用実施のため、ここに開示されたその他の実施形態や様々なPDDのサブシステムとともに合わせて使用することが可能である。
【0037】
図6は、概略的に皮膚損傷治療への利用のためのPDD104の実施例を示している。特に図6は治療の進行を視覚的にモニターするための画像化機能を持った低温腫瘍治療部を含む個人診断装置104の斜視図である。図6に図示されている装置104は、同様にビデオディスプレーモニター124、固定結果表示画面126、入力選択部146、オン/オフスイッチ148を含んでいる。図6の装置はその後さらに低温チェンバー150、画像化のための電化結合素子(CCD)152、低温マイクロ流体チャンネル154を備えている。液体窒素のような低温流体の流れは、既定の時限の方法で流れを導くため、信号処理部142により電気的にコントロールされる一連のバルブ156の使用によりチャンネル154の内部でコントロールされる。液体窒素のような低温流体は入力供給ライン158を用いることにより装置104に供給することが可能である。本発明のこの実施使用は、医師のオフィスやその他の専門家の監督者のもとで使用されることを意図している。この装置は皮膚の適切な部位、液体窒素などの低温流体の使用、治療の進行として皮膚治療の様々なステップがリアルタイムにモニターされビデオモニター124に表示される診断のため装着される。この実施においては、皮膚治療プロセスの期間全体を通し望ましい間隔で様々な診断解釈を行なうため固定表示画面126を使用することが可能である。
【0038】
次に、図7Aに関してであるが、ここには本発明による個人診断装置104の1つの実施形態の主要層の4つの分解斜視図が示されている。さらに具体的には、図7Aは低侵襲細管、ランセット、あるいは表皮近くの毛細血管から血液サンプル採取のための皮膚表面に刺すマイクロプローブ159が付いたサンプル採取層116を示している。その代替として、細管、ランセット、あるいはマイクロプローブ159を非侵襲にし、使用者の皮膚表面から汗を採取するために使用することが可能である。図7Aに図示されているこの特定の実施形態においては、ランセット、あるいはマイクロプローブ159は使用者から経皮的に血液、あるいは細胞内液を採取するために使用される。細管、ランセット、あるいはマイクロプローブ159は、貫通先端部160と排出先端部161を含んでいる。貫通先端部160は使用者の表皮を貫通し、マイクロプローブあるいはランセット159が以下に詳細を説明する装置に通ることで毛細血管から採血するために使用される。
【0039】
次は、図7Aに図示されている間隔層162である。間隔層162は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON;登録商標)、塩化ビニル(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリサルフォン、またこれらと同種のあらゆる適切な軟質のプラスチック原料から作成することが可能である。間隔層162は、サンプル採取所要量とその他の特定の条件により約25ミクロンから500ミクロンまでの厚さにすることが可能である。図7Aに図示されているように、間隔層162には、貯留槽開口部164が付いている。貯留槽開口部164は、サンプル採取層116において一体化して形成される注入口形成166とともに設置される層162上の切り抜かれた部分である。注入口形成166は、ランセット、あるいはマイクロプローブ排出先端部161周辺のサンプル採取層116の上面に形成されるが底面まで貫通しない陥凹部、空洞、あるいはくぼみにより形成することが可能である。そのため、この方法では、マイクロプローブ159が使用者の皮膚を貫通する際、毛管現象により血液が流れ始め、その後個々の貯留槽開口部164とそれに対応する注入口形成166により形成されるサンプル採取チェンバー224を満たす(図9、10)。そのため、サンプル採取チェンバーはメーターで示される特定の、あるいは好ましい量の血液量採取のため形成されることが可能である。図7Aにさらに図示されているように、流体処理層118は同様に間隔層162において形成される対応の貯留槽開口部164とともに形成、設置される貯留槽開口部164を含んでいる。この方法において、間隔層162の貯留槽開口部164は、対応する貯留槽開口部164と結合している。また、流対処理層118の貯留槽開口部164はさらに注入口形成166と結合している。これらが図9、10に概略的に図示されているサンプル採取チェンバー224を構成している。
【0040】
流体処理層118は同様にポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON;登録商標)、塩化ビニル(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリサルフォン、またこれらと同種のあらゆる適切な軟質のプラスチック原料から作成することが可能である。流体処理層118はまた、そこに形成される流体処理回路内で分析適用と関連の容積と流量の条件により約25ミクロンから500ミクロンまでの厚さにすることが可能である。さらに具体的には、図7Aに図示されている流体処理層118の実施形態においては、図9、10のサンプル採取チェンバー224と流体連通し、貯留槽開口部164と上記の注入口形成166によって形成される第一流体チャンネル168が示されている。第一流体チャンネル168は流体チェンバー170と流体連通している。流体回路を通して流れを継続させるために、流体チェンバー170は同様に反応帯174と連通する第二流体チャンネル172と連通している。反応帯174は、図11Aから25Dと併せ以下に述べる、使用者の皮膚から採取した血液サンプル、DNAサンプル、汗サンプルと併せ、DNA、細胞、小分子、あるいはその他の同種の様々な分析実施で異なる実施形態においても使用することができる。反応帯174は流体の流れを促進し、また/あるいは捕捉剤が、例えば反応帯174で捕捉、結合、あるいは対象物の特定後に洗浄バッファーを採取するため、少なくとも1つの廃棄物チェンバー、あるいは採取チェンバー176と流体連通させることが可能である。
【0041】
図7Aに図示されている最後の主要層は、それぞれに入力182と出力184を持つ結果検出器180を含む分析結果検出層178である。後で詳細に述べられているように、限定ではなく一例として、様々な組み合わせで使用される照明源、検出装置、また/あるいは画像装置CCD画像化装置、電気的検出電極、光ファイバー、シリコンベースセンサーとバイオセンサー、半導体ナノワイヤーあるいは半導体マイクロワイヤーの各々あるいは束など、検出器180はあらゆる数の適切なタイプの検出形式においても使用することが可能である。図面で説明されているように、検出器180はそれぞれが対応する反応帯174の上に設置されている。この方法では、分析結果が反応帯174に現れた後、予期された、予期されていなかった、好ましい、好ましくない、あるいは不測の分析結果について、その存在、欠如、検出、特定、あるいは確定のため、検出器180を始動させることが可能である。この教示による結果検出器180の実施形態の1つは、現在カリフォルニア州パロアルトのナノシス(Nanosys Inc.)社で開発されているタイプの半導体ナノワイヤーあるいは半導体マイクロワイヤーの各々あるいは束の使用を含んでいる。より詳細な説明、特徴、実施タイプ、使用法、本発明の様々な実施によりここで使用されている様々な検出と照明システムの機能は、以下にさらなる特異性とともに述べる。
【0042】
図7Aに図示されている主要な成分層に戻ると、サンプル採取層116、間隔層162、流体処理層118、分析結果検出層178が組み立てられ、注入口形成166が貯留槽開口部164と一致して設置されるとき、結果検出層が底面で間隔層162と流体処理層118において形成されている貯留槽開口部164をカバーし密封することにより、最上部でサンプル収集チェンバー224(図9、10)が閉じていることを理解しなければならない。ここにある1つの実施形態において、様々な層の表面には粘着性があり各層を密着させる粘着性のものがある。その他の実施形態においては、適切なプラスチック溶解技術、あるいは微細熔接技術を使い、マイクロ流体密封の方法で層を組み立てることが可能である。同様に、サンプル採取層116、間隔層162、流体処理層118、分析結果検出層178が組み立てられる際、結果検出器180はそれぞれが対応する反応帯174の上に設置されている。
【0043】
間隔層162の厚みと比較して、図9、10にあるサンプル採取チェンバー224と流体処理層118にある流体回路の様々な要素との好ましい容積関係を実現するため、流体処理層118の厚みは異なる可能性がある。例えば、特定の分析実施においては、流体回路のサイズは比較的小さいが、チェンバー224で比較的大量のサンプルを採取することが可能である。この場合、例えば、流体処理層は厚さ25ミクロンであるのに対し、例えば、間隔層は厚さ500ミクロンにすることが可能である。さらに、例えば、ここに形成される注入口形成が深さ25ミクロンであるのに対し、サンプル採取層116は、例えば、厚さ100ミクロンにすることが可能である。したがって、サンプル採取層116、間隔層162、流体処理層118、分析結果検出層178は組み立てられ、注入口形成166が貯留槽開口部164と一致して設置されるとき、流体回路の要素が高さ25ミクロンであるのに対し、サンプル採取チェンバー224の高さは550ミクロン(500+25+25)である。代わりに、例えば、流体処理層118を厚さ150ミクロンに、間隔層162は使用せず、サンプル採取層116も厚さ150ミクロンとし、注入口形成を深さ50ミクロンにすることが可能である。この場合、流体回路の要素が高さ150ミクロンであるのに対し、サンプル採取チェンバー224は高さ200ミクロン(150+50)となる。この他の代替の組み合わせとしては、間隔層162と注入口形成のどちらも使用しないことが可能である。この場合、サンプル採取チェンバー224(図9、10)は流体処理層118の貯留槽開口部164によってのみ形成され、そのため、そこに形成される流体回路の要素の高さはサンプル採取チェンバー224と同じになる。よって、この図では、サンプル採取チェンバー224、第一と第二流体チャンネル168と172、流体チェンバー170、廃棄物チェンバー176間の関連のある量と、また/あるいは高さの求められるどの組み合わせも、流体処理層118の流体回路の要素のいかなる組み合わせについても深さを加えるため、間隔層162において対応する切り抜かれた部分と間隔層162と流体処理層118の好ましい厚さを使用することでのみ実現されることを理解する必要がある。同様に、ランセットあるいはマイクロプローブ排出先端部161の周囲のサンプル採取層116の上面で陥凹部、空洞、あるいはくぼみによって実現される注入口形成166は、好ましい深さで、あるいはその代替としてサンプル採取チェンバー224に容積を加えるため使用しないことも可能である。さらに、追加の容量は、分析結果検出層178の底面で陥凹部、空洞、あるいはくぼみを使用することによって実現される流体処理層118の個々の回路の要素に選択的に追加することが可能である。
【0044】
図7Bは図7A同様の図であり、本発明による個人診断装置104のさらなる主要層を図示している。より具体的には、図7Bは図7Aの分析結果検出層178を再度示し、次は分離信号処理層186、分離論理・出入力制御装置層188、それから図2、4−6で説明されている出力層122を図示している。分析結果検出層178は入力部182と出力部184をそれぞれ個別に伴う結果検出器180を含んでいる。図面で説明するように、分離信号処理層186は、処理装置142を含み、論理・出入力制御装置層188は以下簡単に便宜上「制御装置190」とする論理・I/O制御装置190を含んでいる。図示されているように、処理装置142は結果検出層178上の結果検出器180の入力部182と出力部184、あるいは制御装置190と接続している回線接続のどちらかとそれぞれが接続している様々な電気接続線を持っている。図示されているように、処理装置142は対応する連結部192と194を含んでいる。さらに具体的に図示されているように、結果検出器180の各入力連結部182と出力連結部184はレジスタ内にあり、それぞれ対応する処理装置142と接続している連結部192あるいは194と接続している。同様に、処理装置142は図7Bに図示されている制御層上の制御装置190と接続している対応し各出力連結部196と入力連結部198を様々な層をつなぐ出力連結部196と入力連結部198を含んでいる。図7Bに図示されている装置の実施形態においては、制御装置190はさらに図で200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222と番号がついているいくつかの入力連結部を含んでいる。図7Bに図示されているように、制御装置190の入力連結部200は出力層122の入力キー「7」番と接続する位置にある。同様に、入力連結部202は「8」番と接続する位置にあり、入力連結部204は「9」番と接続する位置にあり、入力連結部206は「4」番と接続する位置にあり、入力連結部208は「5」番と接続する位置にあり、入力連結部210は「6」番と接続する位置にあり、入力連結部212は「1」番と接続する位置にあり、入力連結部214は「3」番と接続する位置にあり、入力連結部218 は「スタート」キーと接続する位置にあり、入力連結部220は「ストップ」キーと接続する位置にあり、入力連結部222は「一時停止」キーと接続する位置にある。さらに図示されているように、制御装置190と接続しているその他の連結部は目的とする出入力層122、処理装置142、制御装置190間の伝達を円滑にするために設置されている。これらの連結部と伝達ネットワークは特定の分析実施に関連して以下にさらに詳細が説明されている。そのため、この方法では、個人診断装置104は目的通り装置を装着した患者による双方向使用のため、入力能力と出力能力のどちらも備えている。
【0045】
図7Bの出入力層122で図示されているように、分析結果はビデオディスプレーモニター124、あるいは固定結果表示画面126に表示することが可能である。これらの結果は質的に「はい」「いいえ」形式で、あるいは「陽性」「陰性」形式で表示することが可能である。また、図示されているように質的に棒グラフ形式で表示することも可能である。あるいは、特定の分析実施や望まれる結果によっては、例えば「高」「低」と半定量的に表示することも可能である。
【0046】
次に図8Aに関してであるが、ここではバイオブレスレットの形状で使用される場合の本発明の個人診断装置の斜視図が示されている。この形状では、この装置は上記の送信器223を備えている。図示されている装置104はまた、図1の無線周波数受信機114経由で装置104とPC108の適切な無線接続を表示するため点滅あるいは発光することが可能な連結表示ライト225も含んでいる。図8Aのバイオブレスレット104は、例えば使用者がバンドを手首か足首に装着できるよう、バンド219と留め金221を備えている。装置と使用者間の保持力のため、バンド219は柔軟で伸縮性のある素材、あるいはステンレスやアルミのような硬質素材で作成することが可能である。図8Bは、本発明によるバイオパッチの形状で使用される個人診断装置104の斜視図である。この実施形態においては、装置104はビデオディスプレーモニター124、個別固定結果表示画面126、2つの無線周波数送信機223、連結表示ライト225を含んでいる。ここで述べられている装置104の実施形態のどれも、装置104とPC108間の双方向の情報伝達のため、無線周波数送信機223は送信能力と受信能力のどちらも含むことが可能であり、PC108が接続しているさらにいかなるネットワークとも双方向の情報伝達を確立することも可能である。
【0047】
次に図9、10に関してであるが、ここには本発明の様々な要素や個人診断パッチ104の層とともに使用されることが可能な、単独のマイクロ流体回路127の拡大詳細略図が図示されている。図9、10に図示されているマイクロ流体回路127は、上記の図7A、7Bと関連して検討されたように、貯留槽開口部164と注入口形成166によって構成されることが可能なサンプル採取チェンバー224を含んでいる。図9、10に図示されているように、サンプル採取チェンバー224は同様に第一流体チャンネル168と流体連通しており、第一流体チャンネル168は流体チェンバー170と流体的に接続している。さらに、流体チェンバー170は第二流体チェンバー172と流体連通しており、第二流体チェンバー172は反応帯174と流体連通している。以下で様々な分析実施のためさらに詳細が検討されるように、反応帯174内では多種多様な分析を行なうことが可能である。反応帯174は少なくとも1の廃棄物チェンバーか採取チェンバーと流体連通することが可能である。図9、10に図示されている流体回路127内の流体制御を促進するため、回路は多種多様な形状で使用可能なマイクロバルブ226を含むことが可能である。ここにある様々な実施形において使用される弁、流体制御要素、方法のさらなる詳細は以下に図13Aから13Eに関連して提示、検討され、またその後にさらに特定の分析実施において述べられている。
【0048】
図10は図9と同様の図で、さらに光エミッター228と光検出器230を図示している。多くの異なるタイプの分析結果を検出し画像を表示するため、結果検出器180は光エミッター228と組み合わせて使用することが可能な光検出器230として使用される。表1には光検出器230あるいは通常結果検出器180で検出することが可能な様々な光的、電気化学的現象が示されている。それに加えて関連するさらなる詳細の説明はクリストファー・プライス、アンドリュー・セント・ジョン、ジョスリン・ヒックス編集「ケアテストポイント」第2版で見ることが可能である。
【0049】
【表1】


光エミッター228と光検出器230は例えば電化結合素子(CCD)、光ファイバー、ナノワイヤー、マイクロワイヤー、半導体発光、また/あるいは検出器具、あるいはその他の適切な発光、検出の器具や装置を含み、様々な異なる光学装置あるいは形式において実施することが可能である。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0050】
DNAの分析実施と方法
核酸プローブ結合形成法を使用して、特定の核酸配列の標的核酸検体を検出する能力を適用できる状況は多い。適用例の中には、感染性疾患、遺伝性疾患の診断、人間や動物の癌感受性の判断、化粧品、食糧、水中のウイルスもしくは微生物汚染の特定、人間の法医学的鑑定、又は父子鑑定、動植物における増殖分析や品種改良のような遺伝子レベルでの個人個人の識別及び特性付け、などがある。核酸プローブ結合形成法の応用の基礎となるのは、オリゴヌクレオチドや核酸断片プローブの混成能力、つまり、安定した二本鎖結合を形成する能力である。この形成は、相補的塩基対合、具体的には特定の配列を持ち、特定の種、株、個体や有機体から採集した細胞の中でしか起こらない相補的塩基対合を通して行われる。
【0051】
核酸プローブ結合形成法分析の基本的な限界の一つはこの分析の感受性にある。この感受性はプローブが標的分子を結合する能力と、標的分子を結合する各プローブから発生し、検出可能な時間に検出されうる信号の大きさに依存するものである。分析の中でも知られた検出方法には、プローブから発生する信号、つまりプローブに含まれる蛍光性部位や放射線同位元素から発生する信号に依存する方法、又はアルカリ・ホスファターゼかペルオキシダーゼ類などの酵素に依存する方法がある。この酵素はプローブとつながりがあり、プローブの結合と、非結合プローブと結合プローブの分離の後、特徴的な色合いの生成物を作り出す特定の基質で培養されるものである。しかしながら、これらの分析の実用的な検出限界はおよそ20万個の標的分子(100μl中3フェムトモル濃度)であり、多くの適用に関しては感受性が十分でない。それゆえ、核酸プローブ結合形成分析の検出システムの感受性増強に相当な努力が行われている。
【0052】
検出の適切な制限は核結合方法を臨床で用いる際に直面する困難の一つである。いくつかの増幅方法が開発され、サンプルか検出生成物を増加させることでこの困難を軽減している。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は最もよく知られており、これらの方法に幅広く適用されている。PCR増幅に関しては、分子生物学最新プロトコル、増補4、セクション5、部3.17に述べられており、この中のPCRに関する基本的な記述を参照することで本文の一部とする。PCRに関して記述のある他の資料としては、H・A・エールリッヒ編1989「PCRテクノロジー」(1988)H・A・エールリッヒ他、ストックトン出版、K・B・マリス、F・A・ファルーナ著「ネイチャー」(1987)331判461-462頁、R・K・サイキ著「酵素学における方法」(1986)第155判335-350頁、サイキ他著「ネイチャー」(1988) 第324判163−166頁、サイキ他著「サイエンス」(1985)第239判487−491頁、「サイエンス」第230判1350−1354頁; マリス他の米国特許4,683,195号明細書、及びマリスの米国特許4,683,202号明細書などがあり、これらを参照することで本文の一部とする。
【0053】
ケリー・マリスによって初めて発明されて以来、PCRは幅広く使用され、多くの研究目的に適用されてきており、現在は臨床診断用のキットが市販されている。しかしながら、これらの増幅方法は時間、手間、コストがかかり、汚染物質に対して感受性が強く、偽陽性を導く。
【0054】
そのため、標的増幅やプローブ標識なしに、わずかな量の標的核酸を検出する、時間がかからず、簡単に使用でき、高価でない医学装置の開発が求められている。
【0055】
個人診断装置104の核酸分析装置実施はここでは、上記に述べた、パーソナルコンピュータやデータ表示部に接続した単純なパッチやブレスレットを用いるだけで核酸を素早く、手間なく、自動で検出する方法を提供するDNAパッチやブレスレットとして言及されている。
【0056】
図11Aを参照すると 核酸分析用である本発明の好例となる形態が示されている。ここには塩基又はサンプル捕捉層116、流体処理層118、流体チェンバー及びサンプル処理層300、そして特定分析結果検出層302などが示されている。これらの層は図2から図7Bで合わせて説明した層の組み合わせと類似したものである。先に述べたように、層は、流体回路がサンプル処理、検出、及び分析のための異なったチェンバーを含んで形成されるように配置してある。DNAパッチの流体回路は、ランセット、又は血液計測チェンバー304に動作可能なように結合されたマイクロプローブ159、赤血球(RBC)捕捉チェンバー306、細胞溶解とDNA抽出チェンバー308、DNA切断と変性チェンバー310、捕捉、分析、反応チェンバー312、廃棄物チェンバー314、そして洗浄バッファ槽316などを含むことが可能である。これらすべては動作可能なようにお互い結合して、流体回路を形成している。チェンバー308は細胞溶解とDNA抽出用に分かれた二つのチェンバーになる場合もある。図に示したように洗浄バッファ層316は層300の中に位置しており、層300はまた、分析用サンプルの細胞溶解とDNAの変性を助けるために、サンプルを加熱するのに使用する発熱体317を備えている。発熱体317は溶解とDNA抽出チェンバー308と変性チェンバー310に合わせて配置されている。図11Aはさらに層116にある光源320と層302にある検出器302を示している。光源320、分析チェンバー312、そして検出器322はそれぞれ対応した位置に配置されており、光源320からの光がチェンバー312を通過し、検出器322によって検出される。この光源320と検出器322は以下に詳しく説明するナノワイヤーにおいて実施される。
【0057】
図11Bは断面図を伴う分解斜視図であり、完全に組み立てられた個人診断装置104を示したものである。これには図11Aで示されていた層と併せて、信号処理層186、制御層188、そしてDNA分析の結果を実行し報告する出入力層122が含まれる。DNA分析に関しては下記で説明する。
【0058】
図12Aから12GまではDNAパッチを用いた核酸配列の検出方法のステップを説明したものである。図12Aから12Gは上記で説明した流体回路の概略横断面図である。
【0059】
まず、最初のステップは図12Aで示されているサンプル捕捉である。 血液サンプルはマイクロプローブ(図11A)によって捕捉される。サンプルのサイズは1μlから200μlと様々であるが、主に5から10μlのものが捕捉される。血液サンプルは流体回路を通り、計量槽もしくはチェンバー304にたどり着く。このサンプルの量はあらかじめ決まっており、計量チェンバー304内の血液レベルが既定値に達した場合、マイクロプローブ159と計量チェンバー304の接続部分は下に説明されるようにピンチ又は溶解栓を用いて閉じられる。 液体センサーが計量槽304の中に位置しているので、血液がそのセンサーに達したとき、信号はプロセッサ142に送られ、以下で図13Aと13Bと併せて説明されるように、次々にピンチ又は溶融栓を閉じる。計量チェンバー304からの血液は、栓が閉じるのでRBC捕捉チェンバー306には入れない。この栓は溶解性プラグであり、図13Eにあるように、液体や溶解プラグに触れたときに溶解する。溶解プラグ324はワックスのような、加熱すると溶ける物質でできている。プラグ324は加熱すると溶ける不活性の生体適合性のある物質で形成するのが好ましいとされている。プラグ324を開くには熱が必要なので発熱体326が中に埋め込まれている。その槽が既定の量でいっぱいになったとき、上に述べた液体からの信号によってプロセッサが発熱体326を活性化し、プラグ324が溶解する。こうして計量槽とRBC捕捉チェンバー306の連結部が開かれる。この様子は図12B,そして図13Bに詳しく示してある。
【0060】
効率よく標的核酸を検出するためには、通常、核酸を細胞や他の標本片から切り離す必要がある。また、血液全体の中の標的核酸の多くは、赤血球(RBC)とは対照的な白血球(WBC)のような特定の細胞集団から発見されることが知られている。赤血球捕捉は、赤血球の捕捉用試薬を含む、側方流動可能な膜のような固定支持マトリクスを使用することで実施されることが可能である。使用されうる膜の例としてはアメリカのジョージア州フェアバーンにあるポレックステクノロジー(Porex Technologies Corp.)が製造している高密度、もしくは超高分子量ポリエチレンのシート材料が挙げられる。この膜は典型的な密度の通気孔構造を持ち、空隙容量40%、0.57gm/CCであり、通常平均通気孔の直径が3から10マイクロメートルであるのに対し、この膜の通気孔の直径は1から250マイクロメートルである。厚さは0.1mmから5mmである。また、ポリエチレンで作られた膜が十分使用できる一方で、熱可塑性の材料から作られた膜、例えばポリ塩化ビニール、ポリ酢酸ビニール、酢酸ビニールの共重合体、塩化ビニールポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンそしてこれらに類似した物質を使用することもできる。スポンジのようなマトリックス材、つまりレクチンのような赤血球捕捉剤が付着した赤血球捕捉チェンバーの高さや幅を持つ、3次元グリッドやマイクロポストも赤血球を血液サンプルから切り離すのに使用できる。RBC捕捉剤は研究者の間ではよく知られている標準技術を用いて、固定支持マトリックス上で固定される。前に説明したような固定支持マトリックス内に含まれる赤血球を固定するのに使う赤血球捕捉剤は通常、多クローンもしくは単クローンの抗体であることが望まれる。これは赤血球に特有である。また、レクチン、ポリリジンやポリアルギニンのようなポリマーアミノ酸などの赤血球を結合する働きで知られる他の試薬を用いることもできる。
【0061】
図12Bから続いて示されているように、計量された血液は赤血球捕捉チェンバー306に入り、その血液サンプルは逆流防止圧力弁330によって計量槽に戻るのを止められる(図13Aと併せて下記に詳しく述べる。)閉鎖位置334にある溶解栓を示す図12Cで示されているように、チェンバー306がいっぱいになったとき、そのチェンバーは溶解栓332で密封されることが可能である。溶解栓332は栓324と似ているが流体回路を開けるではなく閉めるのに使われる。上で説明したように溶解栓は発熱体326を用いたプロセッサによって制御されうる。そこで栓は分析過程の間の適当な時点で流体回路に溶け込み、効果的に回路の一部を塞ぐ。流体回路中のそれぞれのチェンバーは空気流通口340を含むことが可能であるが、この流通口によってチェンバー内の空気が外へ流出でき、それによって流体回路内が空気で塞がれることを防ぐ。空気流通口340は空気が通るあいだにサンプルが汚染されることを防ぐフィルター342を備えていることがある。
【0062】
赤血球はチェンバー306内のサンプルとは分離されている。図で示した例では、赤血球336は赤血球捕捉剤で覆われたマイクロポスト328によって捕捉されている。赤血球捕捉に十分な時間を費やしたあと、二つ目の溶解プラグが開き(図12D)チェンバー306内の白血球338を細胞溶解及びDNA抽出チェンバーに流入させる。チェンバー306と308間にある逆流防止圧力弁330が、白血球を含むサンプルがチェンバー306に戻るのを防ぐ。遺伝物質を含む白血球はあらかじめ固定された溶解試薬を持つ溶解チェンバー308への毛管作用によって移動させることが可能である。様々な溶解手段がこの分野では知られているが、その手段の中には冷凍、消化酵素(例えばプロテイナーゼ)などの使用、煮沸、洗剤の使用などがある。(1988年4月6日にヒグチによって提出された米国シリアルナンバー 178,202と1991年5月22日に出版されたEP−A−0 428197参照) 数多くの例を見ると、グアニジンイソチオシアン酸塩、トリトンX100洗剤、核酸を溶解白血球346から開放するのを容易にするプロテイナーゼKも使用できる。二本鎖のDNA348は溶解白血球から開放され、その溶液から抽出される。白血球からのDNAの抽出は有機溶媒なしでの核酸の抽出を可能にする市販の電磁ビーズを使用して行うこともできる。また数多くの例で、少量の血液からDNAをすばやく取り出すのを可能にするダイナビーズDNA ダイレクツ(Directs)も使用可能である。これに関しての実施形態の中で、これらのビーズはあらかじめ溶解チェンバーに備わっており、磁場が適用されるときもしくは除去されるとき、DNAは他の細胞物質から分離され、溶離される。(図解なし)DNAが抽出もしくは分離された後、図12Dと12Eに示された3つ目の溶解プラグが開くことによって、その分離したDNAを含む溶液は、DNAを切断し変性させるチェンバー310に送りこまれる。図12Eはまた、先に説明した細胞溶解とDNA分離のステップの後、チェンバー308に残ったままの白血球細胞膜も示している。二本鎖DNA348はチェンバー310内で切断されて短い二本鎖DNA断片となり、一本鎖DNA断片356に変性される。
【0063】
抽出されたゲノムDNAは切断チェンバー310に予め入っている制限酵素を使用して切断することができる。ゲノムDNAの消化方法は、研究者たちの間でよく知られている。このチェンバー内の温度は、発熱体316によって制御される。代替案としては、電磁ビーズをゲノムDNA切断を促進するために使用し、標的捕捉を容易にする方法がある。二本鎖DNA断片354を含む切断チェンバー内の溶液は65℃から75℃の間にまで加熱され二本鎖DNA354を変性させる。DNA変性ステップの後、第4溶解プラグ358(図12E)が開かれ、一本鎖DNAを含むサンプルを分析チェンバー312に送り込む。この分析チェンバー312は捕捉帯に取り付けられている核酸捕捉プローブ360を持つ。プローブ360はそれぞれ一つの捕捉帯に取り付けられることが可能である。サンプル内の標的DNA362は捕捉プローブ360と結合し、それによって検出の標的帯内の標的核酸を「捕捉」する。これは図12Fで説明され、また、後に図14Aから14Gまでと併せて説明される捕捉DNAは、その捕捉帯の付着点近くでは一本鎖もしくは部分的に二本鎖にすることが可能である。二本鎖はアミノ末端のような反応性末端に位置する。このときプローブは捕捉帯のような安定した土台に付着している。これは、場合によって二本鎖は、単鎖DNAより効率的に、活性層から真直ぐ上方に、捕捉プローブに向かって突き出るからである。例えば単鎖DNAやPEG(ポリエチレングルコール)を含むエクステンション(スペーサー)はプローブを表面から伸ばして、より効率的に捕捉プローブが標的に結合できるようにする。さらに、捕捉プローブが固相上で崩壊するのを防ぎ、標的と非標的核酸配列が捕捉帯上で非特異的に結合するのを防ぐために、捕捉帯表面はこの分野の研究者によく知られている標準ブロッキングバッファで処理することもできる。捕捉DNAの配列は選別され、標的DNA もしくはRNAと直接結合し、部分的に二本鎖の合成物364を形成する。この合成物は捕捉DNAと標的DNAもしくはRNAで構成されている(図12F)。
【0064】
捕捉プローブの長さは15から70塩基で、25から40塩基の長さが望ましいとされている。DNAプローブの捕捉帯にある安定した土台への付着は、共有、もしくは非共有結合法によって実現する。この方法はこの分野の研究者の間ではよく知られている。
【0065】
プローブの密度は標的捕捉の効率性のために、標的とプローブの結合に関する動力学と同様に重要な要素である。表面プローブ密度がDNA結合に与える影響に関する研究(『核酸研究』(2001)29巻、24号、5163−5168頁)によれば、プローブの密度は標的結合効率に強く影響する。プローブの密度が2 ×1012 プローブ/cm以下、特に1× 1011 プローブ/cm から 1 x 1012 プローブ/cm であるときに最も結合効率がよい。
【0066】
捕捉プローブを、図14Bの捕捉装置371内のナノワイヤーに直接固定することもできる。各捕捉装置371には、例えば図14Bで示されているように、50nm x 50nmの中に直径5nmのナノワイヤーを100本含むことが可能である。各捕捉装置のプローブ密度は1捕捉装置あたり1から100プローブと様々だが、50nm x 50nmの捕捉装置の中に約10捕捉プローブという密度が望ましいとされている。分析エリアでの各反応帯の捕捉装置の総数は10 から 5x10と様々だが、約10であるのが望ましいとされている。捕捉装置の大きさは約10-4 cm(例えば0.1mm×0.1mmの正方形)から約10-2 cm (1mm ×1mm)まで様々だが、10-4 cmが望ましいとされている。捕捉エリアの捕捉装置間の広さは図14Bに示されているように0から10まで様々である。図11Aに示された、全体の反応帯における捕捉プローブの総数は約10 から約5x10と様々だが、約10が望ましいとされている。
【0067】
標的RNAもしくは特定の配列のDNAがテストサンプルに含まれるときは、標的RNAもしくはDNAは捕捉DNAと結合する。この場合、標的DNAは上記に述べたように反応帯312内に保持される。研究者たちによく知られた標準バッファにおいては、この結合ステップは室温もしくはそれ以上の温度で行われる。数多くの例で、5x SSC、0.1%(w/v) N−ラウロイルサルコシン、0.02% (w/v) SDS、1% ブロッキング試薬から構成された標準バッファがこの目的のために使用される。結合は、分析(反応)チェンバー312を加熱することによってさらに容易にすることが可能である。この結合の方法は数分から数時間を要する。
【0068】
ここで図12Gを参照すると、分析の最終ステップの図解が示されている。結合の後、反応帯312は未結合の単鎖核酸配列を取り除くために洗浄することが可能である。この洗浄過程は第5の溶解プラグ367が開くことによって始めることが可能である。この開放は時間で制御されている。また、溶解プラグ367は洗浄槽316と分析チェンバー312をつなぐプラグである。(図12F)図解のとおり、洗浄槽316に備えられた洗浄バッファ366は未結合のDNAやRNAの捕捉帯を洗浄するために分析チェンバーに送り込まれる。この洗浄は高温で行われ、非特異性の結合を最小化したり取り除いたりする。第5の溶解プラグ368(図12F)が開かれると、未結合の核酸配列が分析チェンバー312から取り除かれ、洗浄バッファとサンプルが廃棄物チェンバー314に流れ込む。
【0069】
続けて図12Gを参照すると、図12Aから12Fに併せて説明した流体回路の代替実施形態が示されている。図12Gの実施形態では、各チェンバーからの通気孔が図解の通り相互に連結している。合成物364の数量化は画像解析、パターン認識、表1に示された光学干渉によって行われることができる。一本鎖捕捉プローブと、標的捕捉による二本鎖DNAを識別するために必要な分解は本発明のナノワイヤー技術を使用することで行うことができる。この技術については図14Aから14Gまでと併せて下記で詳しく説明する。図12Gには、光源と検出器として使用される各プローブと関係のあるナノワイヤーの束も示されている。図のとおり、底のナノワイヤーの束は、捕捉プローブもしくは合成物364を持つ捕捉(反応)帯を通して集中的な光を発する。合成物364は単鎖プローブよりもはるかに大きいため、ナノワイヤー検出器で検出されたとき二本鎖DNA364の光学動作(表面調査パターン)は単鎖プローブとははっきり区別される。違いはこのように検出され、合成物364の数が数量化される。
【0070】
ここで図13Aから13Eを参照すると、いくつかの流量制御要素と、関連する方法が示されている。これらは決まったタイミングで行われる既定の方法で流体の流れを方向付け、制御するために用いられるもので、例えば図7Bと11B上にある、信号処理部142と論理制御190がその、主に制御を行う要素にあたる。さらに、図13Aは、本発明の流体回路で、流体の流れを制御するために使用する逆流防止圧力弁330の拡大詳細図である。図にあるように、逆流防止圧力弁330には1組の逆流防止口331付いており、図13A−Iに示されたように、通常はプレストレスを与えられて閉じた状態を保っている。流路内の下向きの圧力が逆流防止口331の上向きの圧力よりも弱く、その圧力差が防止口331を閉まった状態に保っているプレストレスよりも強いとき、図13A−IIに示されたように、防止口331は開いて流体が流れる。防止口331の上下への流れが通常に戻った後、図13A−IIIに示されたようにプレストレスが圧力栓を閉じる。
【0071】
図13Bは通常閉溶解栓332を図で説明したものである。この栓は本発明の流体回路内で流体の流れを制御し方向付けるために使用されている。通常閉溶解栓332は溶解プラグ324内に位置する発熱体326を持つ。例えば図7Bや11Bで示されているように、信号処理部142及び/又は論理制御装置190からの信号を受け取ったとき、発熱体326に電流の指示が伝わり、既定の温度まで加熱し、溶解プラグ324を溶かし、通路を開き、流体が流れる。
【0072】
図13Cは本発明の流体回路中で流体の流れを方向付け制御するために使われる通常開溶解弁332の略図である。通常開溶解栓332は溶解プラグ324内に発熱体326を持つ。図に示されているように、溶解栓324は通常、流体が流れる流路上にある。
【0073】
信号処理部142そして/もしくは論理制御装置190からの信号を受け取って、発熱体326に電流の指示が伝わり、既定の温度まで加熱され、溶解プラグ324が溶け、通路が閉じ、それ以上流体がその中を流れられないようにする。
【0074】
図13Dはもう一つの、通常開溶解栓もしくはピンチ栓332を説明したものである。この実施形態では、図に示されたように、発熱体326は流路にまきついている。その流路は加熱すると縮小する物質で作られている。このように、発熱体326が信号処理部142そして/又は論理制御装置190から信号を受け取り、電流の指示が伝わり、既定の温度まで過熱され、通路が虚脱され縮小し、通路が閉じ、流れが止まる。
【0075】
図13Eは時限流体栓を形成するのに使用される溶解性プラグの図表示である。この実施形態では、流体と触れたときに溶解する生体適合性のある物質が、 所定の方法において装置104を使用するまでは乾燥している通路内にある。装置を使用したとき、使用者の血液、汗、もしくは細胞内液(ICF)が通路内に流れ込む。溶解性プラグが通路内の流体と接触すると、プラグは溶解し始める。プラグの材料の構成を適切に選択すると、その溶解プラグは通路内の流体が始めて接触した瞬間から既定の時間の後に溶解するように 設計されることが可能である。この実施形態では、流体制御は能動的にというよりも、信号処理部142そして/又は論理制御装置190からの介入によって受動的に実行される。これは図13B、13C、そして13Dと併せて先に説明した流体要素の場合と同様である。
【0076】
図14Aから14Kを参照すると、個人診断装置の反応帯もしくは捕捉帯で得られる分析結果を照らし、検出し、像を取得するためのライトエミッターや検出器として本発明の様々な実施形態において使用される半導体ナノワイヤー、マイクロワイヤーの組み立て部品それぞれを詳細に図解したものが示されている。
【0077】
概して発明者は、半導体ナノワイヤーとマイクロワイヤーが低次元生化学を研究するための独特な構成要素システムであるとしている。このようなナノワイヤー要素、構成要素、そしてシステムは、ナノスケールの電子工学、光電子工学、MEMS(マイクロマシン技術)、バイオMEMS、そしてナノスケール生化学システムにおいて、相互連結、そして機能装置としてますます重要な役割を果たすだろうと見られている。ここではそのような生物学的、生化学的な適用を行う。これらの小さなワイヤーは半導体構成要素から作られている。それらは異なる様々な求められる半導体構成要素を形成するために、よく知られた従来の、もしくは新たに作り出されたり発見されたりしたドーパントが加えられたシリコン(Si)を含む。そのナノワイヤーは直径5ナノメートルのライトチューブもしくは光ファイバーとして使用することが可能である。ワイヤーは電流と通し、レーザー光線を作り出し、入射光線を検出することができる。無機半導体ナノ構造は実質的にはどのような希望の構造、サイズ、形、結晶構造、ドーピング、そして界面化学特性ででも合わせて作ることができる。最近商業用に展開された半導体ナノ構造にはナノドット、ナノロッド、ナノワイヤーが含まれている。さらに、円錐や、涙形、テトラポッドなどの、より複雑な形にすることも可能であると報告されている。
【0078】
ここで、特定の適用に使用されているように、ナノワイヤーは細胞内の照明及び/又は検出用のナノ貫通プローブとして使用することが可能である。加えて、ナノワイヤーとマイクロワイヤーをそのために科学的に表面処理し、機能的に加工することが可能である。この方法では、分離した試薬層もしくは捕捉層においての分析の必要性はなくなる。ナノワイヤーは電子科学的によく反応する半導体で作ることもできる。すなわち、もし化学反応が起これば、発熱性であろうと吸熱性であろうと、ナノワイヤーは局部温度の変化を検出し、吸収された、もしくは作り出された熱を計測するだろう。また、電子化学結果分析における電子伝導性の変化は電極として取り付けられたナノワイヤーもしくはマイクロワイヤーによって検出され、電子信号に変換される。これは図7Bと11Bに示されたプロセッサ142及び/又は論理制御装置190によって処理され、図2−6と図7Bに示されたビデオ表示画面124もしくは固定表示画面126に理解しやすい形で表示される。
【0079】
図14Aは5×5のナノワイヤーの束365である。これは個別の半導体ワイヤー369から成り、直径はナノスケールもしくはマイクロスケールである。便宜上、個々の半導体ワイヤー369は適用例によって「ナノワイヤー369」「マイクロワイヤー369」と呼び分ける。
【0080】
上記に記したように、5×5の束365は図14Bの捕捉部371として使用することが可能である。上記で説明した分析法で使うDNA捕捉プローブ360は図14Bに示された捕捉部371を形成するために直接ナノワイヤー上に固定される。図14Cに示されているように、この捕捉部371には好ましい数の個別のナノワイヤー369の好ましい幾何学的配置が含まれ、望ましい数と配置のDNA捕捉プローブを備えることが可能である。各捕捉部371は、例えば、50nm x 50nmの中に直径5nmのナノワイヤー100本で構成することが可能である。この分析反応帯に配置された捕捉部間のスペースはどのような密度、分布にしたいかによって変えることが可能である。図14Dに示されているように、個別ナノワイヤー369は個々にアドレス可能であり、そのため各ナノワイヤーからの信号は信号処理装置142及び/もしくは論理制御装置190によって処理することが可能である。図14Eはそれぞれがナノワイヤーの束で形成されたエミッター部と検出器部を示している。この配置では、エミッター部内の個別のナノワイヤー369が投射光線もしくは既定の波長の電磁エネルギー373を発することが可能である。さらに図解されているように、検出器部内の個別のナノワイヤー369は投射光線373を検出し、それをもって出力信号を発生させることができる。エミッター部と検出部間に何らかの欠如がある場合、検出部373の入射光線は、14Eのグラフに示されているように安定した一定の出力形式で基準出力信号に変換することが可能である。図14Fはそのために中央にDNA捕捉プローブ360 を確保したナノワイヤーエミッター部である。このように、本発明の一態様では、入射エネルギー373が直接入力信号によってエミッター部に入力されたとき入射電子電磁エネルギー373とDNA捕捉プローブ360間に光/物質の相互作用が生まれ、そしてこの光/物質の相互作用で改質された電子電磁エネルギーが作り出される。そして、 この変性電子電磁光線375は図14Fに示されているように検出部内の個別のナノワイヤー369によって検出される。よって、ナノワイヤー検出器部によって発生した出力信号は図14Fのグラフに示された基準信号の動揺を示す。各捕捉プローブ360と補完標的プローブ360が結合した後、DNAの二本鎖断片は図14Gで示されているように捕捉部371内で形成される。科学的に確定され、報告された二本鎖DNAの断片の大きさを図14Hに示した。ナノワイヤーは少なくとも5nmあり、二本鎖DNAの断片の大きさは図14Hにあるとおりなので、単鎖DNAと関連する光/物質相互作用によって作り出された出力信号に本鎖の標準DNAと関連した信号には検出可能な違いがある。これは図14Fと図14Gのグラフの比較からも明らかである。
【0081】
図14Iと14Jは比較的図14Fと14Gと似ている。この実施形態において、個別の半導体ワイヤー369はミクロン単位の直径を持ち、図14Iと14Jに示されている所定の細胞検出と画像処理のためには1から5ミクロンが好ましいとされている。詳細は下記に説明する。図14Iに示されているμワイヤーエミッター部は同様に入射電子電磁エネルギー373を作り出し、エネルギー373はμワイヤー検出器部によって検出され、図に示されているように基準出力信号が発生する。図14Jにおいては捕捉された細胞406が特に、μワイヤーエミッター部と結合している様子が示されている。図のように、μワイヤーエミッター部は捕捉された細胞406と相互作用のある入射エネルギー373を 発して、変性電子電磁エネルギー375を作り出す。入射エネルギー373と変性電子電磁エネルギー375はμワイヤー検出器部によって検出され、捕捉された細胞406の存在を示す出力信号を作り出す。例えば、血液細胞はミクロン単位であり(赤血球は約3 x 5 μm、赤血球は約8 から15 μm)、ミクロン単位の個別半導体ワイヤー369は、今から詳細を説明する細胞分析法において意図された目的に適した大きさである。
【0082】
図14Kにおいて、核407を持つ捕捉された細胞406が示されている。ここで説明されているマイクロワイヤーのさらなる応用として、マイクロワイヤーを貫通μプローブエミッターと貫通μプローブ検出器として使用するという提案がある。そうすることで、細胞壁を貫通し、細胞内の照明や検出によって得られた信号情報を獲得することができる。この方法では、貫通μプローブエミッターは例えば入射エネルギー373を発生させる。これは、核407との相互作用によって変性電子電磁エネルギー375に変換される。そして図のように画像に変換される出力信号を発生させるための対応する貫通μプローブによって次々に検出される。 このように、核407の形態学のような有益な細胞間情報を、説明した方法や器具によって得ることが可能である。
【0083】
細胞分析実施と方法
免疫システムとは、バクテリア、ウイルス、菌類、寄生虫(細菌)など、感染症、疾患、そして死さえも引き起こしうる体外からの侵略者から人体を守る細胞や器官でできている。正しく機能しているとき、免疫システムは感染症を寄せ付けず、人体を健康に保つ。しかし正常に機能しないとき、人体に進入した細菌はより容易に疾患や死を引き起こす。免疫システムにおいて非常に重要な役割を果たす二つの細胞の種類は、ヘルパーT細胞(CD4細胞としても知られる)と サプレッサT細胞(CD8細胞としても知られる)である。免疫不全症候群(AIDS)に罹った人はヘルパーT細胞(CD4ベアリング細胞、CD4+細胞とも呼ばれる)が減少するのが特徴である。HIVに感染したとき、CD4+T−ヘルパー細胞は機能しなくなり、減少する。これらのCD4+リンパ球の減少は免疫を抑制し、患者は広範囲にわたる日和見性の感染症や悪性腫瘍にかかりやすくなる。
【0084】
CD4+と CD8+細胞の比率と、CD4+ Tヘルパー細胞の絶対計数は、HIV感染がAIDSに進行したかを調べる現在の基準である。感染の過程で、CD8+細胞の数は一定であるが、血液中のCD4+細胞の数は急激に減少する。ウイルス用の薬物で治療を受けている患者のCD4+/CD8+の比率とCD4+の絶対計数は、彼らのシステムが薬物抵抗性のウイルス株を発育させてしまったかどうかを見る重要な指標をなりうる。
【0085】
最近、CD4+/CD8+の比率とCD4+の絶対計数を調べるには高価な細胞分別機(血球計算機)が必要である。さらに、高度な専門知識を持つ専門の技術者がその血球計算機を操作しなくてはならない。それゆえ、CD4+/CD8+の比率とCD4+の絶対計数をリアルタイムで調べることができ、持ち運び可能で、使用法が容易で、安価な診断装置が特に待たれている。
【0086】
本発明である個人診断装置104は CD4+やCD8+の細胞分析のような細胞分析に用いることが可能である。この細胞分析装置は、HIV感染の進行度をパーソナルコンピュータと接続したシンプルなパッチやブレスレットを使うだけで診断し、計るための、素早く、簡単で、安価な方法を提供するものである。
【0087】
図15Aを参照すると、本発明の細胞パッチ実施形態で使用されるサンプル採取層116、流体処理層118、結果検出層178、そして洗浄バッファ槽層370の分解斜視図が描かれている。細胞パッチの流体回路はサンプル計測チェンバー304、赤血球捕捉チェンバー306、分析チェンバー312、廃棄物チェンバー314、そして洗浄バッファー槽316を含むことが可能である。各貯留槽は、互いに動作可能なように接続しており、前に説明したように、流体回路が空気で塞がれるのを防ぐために1つ以上の孔を持つことが可能である。図13Aから13Eと併せて説明したように、各チェンバー間の結合と流れは、異なるチェンバー間のサンプルとバッファーの動きを制御する、溶解プラグ、逆流防止圧力栓、溶解栓、そしてピンチ栓の適当な組み合わせによって制御することが可能である。ある実施形態では、捕捉帯312の周辺に廃棄物チェンバー314が配置され、廃棄する流体の採取に役立てることが可能である。
【0088】
図15Bは洗浄バッファ槽316、マイクロワイヤー検出器322、そして採取帯エリア312の分離分解である。図解してあるように、洗浄バッファ槽316は発熱体363付きの分注用ノズル377を備えている。この発熱体は特定の指令に応じて活性化され、ノズル377を開き、洗浄バッファを採取チェンバー312とつなぐ。この特定の実施形態において、マイクロワイヤー検出器322は穴が開いており、それでノズル377はそこを通って直接洗浄バッファと採取チェンバー312をつなぐ。図17Aと17Bは本発明のこの実施形態における、マイクロワイヤーエミッタ、検出器の一部である320と322内にある、マイクロワイヤー369、通り穴379、そして採取細胞406の配置とをより詳しく示した図である。図17Bに示されているように、マイクロワイヤー369は適用例や望ましい波長によって異なった直径をとる。
【0089】
図15Cは断面図つきの斜視図であり、完全に組立てられた個人診断装置を示している。細胞分析を行う、図15Aに図解された層も含まれている。この図には、低侵襲細管、ランセット、もしくはマイクロプローブ159、貯留槽開口部164、血液計測チェンバー304、赤血球捕捉チェンバー306、ミクロワイヤーエミッタ320、捕捉帯312、代替廃棄物チェンバー314、ミクロワイヤー検出器322、洗浄バッファ槽316、信号処理器142、制御装置190、出力画像表示モニター124、固定表示結果画面126が示されている。
【0090】
次に図16Aから16Fを参照すると、図15Aの流体回路の横断面が示されている。これは細胞パッチを使用してCD4+とCD8+細胞の検出と計測を行う方法のために用いられる。より具体的には、図16Aが、計測チェンバー304での赤血球と白血球を含む血液サンプルの採取が描かれている。血液サンプルはミクロプローブを通して採取される。サンプルのサイズは1μl から200 μlと様々であるが、5−10 μlが好ましいとされ、採取される。チェンバー304が既定の量まで満たされると、ピンチ栓372が閉まる(図16B)。計測チェンバー304と赤血球捕捉チェンバー306間の溶解プラグが開いて(図16Bと16C)血液サンプルが赤血球捕捉チェンバー306に移動し、赤血球336が捕捉される。この図では、細胞が通り抜けるメッシュは赤血球捕捉剤で覆われている。 赤血球はこのようにして図のようにメッシュ上で捕捉される。
【0091】
白血球と赤血球の分離:赤血球は赤血球の捕捉試薬を含む側方流動が可能なメッシュや膜のような固定支持マトリックス上で捕捉される。使用可能な膜材料の例としては、アメリカのジョージア州フェアバーンにあるポレックステクノロジー(Porex Technologies Corp.)が製造している高密度、もしくは超高分子量ポリエチレンのシート材料が挙げられる。この膜は典型的な密度の通気孔構造を持ち、空隙容量40%、0.57gm/CCであり、通常平均通気孔の直径が3から10マイクロメートルであるのに対し、この膜の通気孔の直径は1から250マイクロメートルである。本発明のために使用する膜としては直径約5 から20μMの孔が最適である。そしてこの膜の厚さは0.1mmから5mmである。また、ポリエチレンで作られた膜が十分使用できる一方で、熱可塑性の材料から作られた膜、例えばポリ塩化ビニール、ポリ酢酸ビニール、酢酸ビニールの共重合体、塩化ビニールポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなどを使用することもできる。
【0092】
RBC結合試薬は研究者の間ではよく知られている標準技術を用いて、固定支持マトリックス上で固定される。前に説明したような、固定支持マトリックス内に含まれる赤血球を固定するのに使う試薬は、通常、多クローンもしくは単クローンの抗体であることが望まれる。これは赤血球に特有なことである。また、レクチン、ポリリジンやポリアルギニンのようなポリマーアミノ酸などの赤血球を結合する働きで知られる他の試薬を用いることもできる。
【0093】
赤血球がサンプルから分離された後、連結チェンバー306と分析チェンバー312間の溶解プラグ374は溶解し、白血球338を分析チェンバー312へ送り込む(図16D)。チェンバー312は固定された、CD4+とCD8+用の捕捉剤を含んでおり、この試薬は(図解の通り)抗体であるのが好ましいとされるが、抗体の断片や特にCD4やCD8 マーカーと結合する他の物質とすることが可能である。抗体は研究者の間で知られている様々な方法によって固相上に固定することが可能である。方法の中には、共有結合、直接吸着、物理的取り込み、そしてタンパク質でコーティングされた表面への付着などがある。この方法の参考文献としてはI・ H・シルマン、E・カチャルスキー著「アニュアル・レビュー・オブ・バイオケミストリー」(1966) 第35判873頁、G・J・H・メルローズ著 「レビュー・オブ・ピュア・アンド・アプライド・ケミストリー」(1971)第21判 83頁、P・クアトレカサス、C・B・アンフィンセン「メソッズ・イン・エンジモロジー」(1971)第22判がある。そしてタンパク質でコーティングされた表面への付着に関してはレイ他によって発表されている。(ドイツOS2,539,657号、米国特許4,066,512号明細書)。
【0094】
CD4、CD8用の特定の抗体は分析チェンバー312内の目立たない位置に固定され、CD4+T細胞とCD8+T細胞を捕捉する。積極的、消極的制御帯もまた、チェンバー312内に含むことが可能である。消極的制御における細胞結合は非特異性の結合を検出する。捕捉抗体は、生体内もしくは生体外で作られる。抗体を生成する方法はこの分野の研究者の間ではよく知られている。例えば、ピーター・デルブ編「アンチボディ・プロダクション:エッセンシャル テクノロジー」(1997) ジョン・ウィリー・アンド・サン出版ISBN0471970107号を参照。また、抗体はリサーチ・ディアグノスティック、プレザント・ヒル・ロード、フランダース、NJ07836 やオーソ・ディアノスティック・システムズのような商業ソースから手に入れることが可能である。
【0095】
細胞が捕捉剤と結合するのに十分な時間を費やした後、分析チェンバー312は未結合の細胞を取り除くために洗浄される。洗浄は洗浄バッファのある洗浄チェンバー312で行われる。図16Dと16Eで示されるように、貯留槽316、捕捉チェンバー312、そして廃棄物チェンバー314間の溶解プラグ274が開き、貯留槽316の洗浄バッファーがチェンバー312に移動し、未結合の細胞を廃棄物チェンバー314へ運ぶ。洗浄過程は貯留槽312とチェンバー312を結ぶ溶解プラグの開放時間を制御することによって行われる。チェンバー312と廃棄物チェンバー314を結ぶ溶解プラグに関しても同様である。
【0096】
未結合の細胞が取り除かれた後(図16F)、捕捉されたCD4+とCD8+細胞の数が画像解析によって数量化される。 プログラムアルゴリズムが、赤血球捕捉に先立って計測した全血量を用いてCD4+とCD8+捕捉帯の細胞の数を数え、CD4+/CD8の比率と絶対計数を計算する。
【0097】
小分子分析の実行と方法
着色液体内、特に全血や尿及び、血清や血漿を例とする生体液体誘導体のような着色生体流体内の化学的、生化学的構成要素の数量化は、かつてないほど重要になってきている。医療診断と治療、そして治療薬剤、麻薬、有害化学物質、及び同様のものへの暴露の数量化において重要な適用例がある。例えば、決定された物質の量は、非常に少ない(ミクログラムかデシリットル未満の範囲)か、簡単に決定するのは困難であるかであり、使用される器具は複雑で検査技師にしか有用ではない。この場合、検査結果は通常サンプルを採取後数時間か数日後に判明する。他の例では、非専門家の技師がその検査を定期的に素早く、そして再生可能な方法で、研究室の外で迅速に素早く情報を表示する能力が強調される。
【0098】
糖尿病は主要な健康上の懸念であり、より深刻な病状を引き起こす、タイプI(インシュリン依存型)糖尿病の治療には1日に1回以上のインシュリン注射が必要である。インシュリンは血液内のブドウ糖や糖の稼動を制御し、高血糖を防ぐが、もしこれがうまくいかないと、ケトーシスを引き起こす。また、不適切なインシュリン治療が行われた場合、低血糖を引き起こし、昏睡や死に至る可能性もある。糖尿病における低血糖は、心臓病、アテローム性動脈硬化症、盲目、卒中、高血圧、及び腎不全などの長期的な糖尿病の影響と関連がある。
【0099】
最近では糖尿病の患者に、個人の体質や病状の深刻さによって、1日に2回から7回血糖値を測定するように指導している。測定した血糖値のバターンを基にして、より適切に糖尿病を対峙するために、患者と医師が共に食事、運動、インシュリン摂取などを調節する。明らかにこの情報は患者に速やかに知らされるべきである。
【0100】
従来の血糖値計測方法は、通常テストのたびに(指を刺すなどした)血液サンプルが必要であり、電気化学法や比色分析法でブドウ糖濃度を調べる装置を用いて血糖値を測定しなくてはならなかった。タイプIの糖尿病の場合は厳密に血糖コントロールを行うために毎日数回指を刺して、血糖値を測定する必要がある。しかしながら、厳密なコントロールが劇的に長期の合併症を減少させるというはっきりした根拠があるにも関わらず、低血糖への不安とともに、この測定方法の不快感と不便さによって、患者は測定を怠る可能がある。そのため、その分野、家庭用検査で適用できる、たやすい分析方法を提供する医療装置が望まれている。
【0101】
ここで図18Aと18Bを参照すると、ここでは小分子パッチとして言及されている本発明、個人診断装置104の分解断面図が示されている。このバイオパッチはパーソナルコンピュータと接続しているシンプルなパッチもしくはブレスレットを使用するだけで、素早く簡単な自動装置と分析数量化の方法を提供する。その小分子パッチは、サンプル採取層116、サンプル処理層380、そして電子化学検出器層382もしくはその代わりに(又はそれとともに組み合わさったもの)、フォト検出器層384を含むことが可能である。サンプル処理は図19Aと19Bに準拠して後に詳しく説明するように、分析試薬を持つ生体側方流動マトリックス内で実行される。そのサンプル処理層380は下記に詳しく説明する個々の流体構成要素を持つ特定のマイクロ流体回路227を含む。
【0102】
サンプル処理層380は示されているようにマイクロ流体回路227を含むか、代わりに図上の4つの貯留槽孔164と各第一流体路168が並ぶことで処理層内に流体回路227を形成する。また、装置104は、それぞれが1つ以上のマイクロ流体回路227を持つサンプル処理層380をいくつか持つことが可能である。この方法では、図13Aから13Eで示されていたように第一流体路168で流れを制御することで ゆっくり時間をかけて血液サンプルを採取する。各血液サンプルは分離したマイクロ流体回路にて、リアルタイムで処理される。例えば、装置104は12のマイクロ流体回路227を含むことが可能である。このとき、12個全てが1つのサンプル処理層380にて形成され、配置されている場合と、それぞれが、別々のサンプル処理層380にて形成され、配置されて、その合計数が12個の場合がある。お分かりの通り、12の回路は流体的に互いに分離しているのが好ましい。また、12のマイクロ流体回路227は2つ1組、3つ1組、もしくは4つ1組で形成され配置されている。 例えば各ペアやグループが層380で形成されているわけである。様々な層は目的に沿って組み立てられている。この特定の実施形態では、上記で説明したように、12のマイクロ流体回路227それぞれが各159に流体的に結合している。血液サンプルと流体制御は制御装置142によって方向付けられ、時間を調節され、各ランセット159に関連する溶解プラグは特定の時間に作動し、各計測層304と各ランセット159とを流体的にコミュニケーションさせ、特定の既定時間に毛管作用によって新鮮な血液サンプルを採取する。使用者はバイオパッチ装置104を24時間装着し、12の回路227と12の対応するランセット159によって2時間ごとに血液サンプルを採取される。
【0103】
マイクロ流体回路227は血液計測チェンバー304、独立した血液分離帯385と捕捉帯312 を持つ。この実施形態の実施においては、独立血液分離帯385と採取帯312が組み合わさって、生体適合の側方流動のマトリックスや膜を通じてサンプル流体を順次処理する1つの帯かチェンバーになることが可能である。これは分離したパッドや断片より成る場合もあるし、代わりに長さに沿った、異なる流体処理結果の目盛を持つ単側方流動マトリックスによって構成されている場合もある。図19Aと19Bでは、血液分離帯385と捕捉帯312が組み合わさって、3つの側方流動パッドを含む単一膜(マトリックス386)になっている。
【0104】
ブドウ糖分析の実施においては、図18Aと18Cにあるように、バイオパッチもしくはバイオブレスレットが 好都合にもあらかじめ装着されたインシュリンの供給層395を持つことが可能である。論理制御装置190や信号処理装置142に含まれるソフトはインシュリンを決められた量だけ投与するための制御装置とつながっている。インシュリンを投与するため、供給ダクトには上記で説明した、適応性のある逆流防止口タイプの、一方通行のバルブが付いている。また、プラグは供給層内のインシュリンを保持するためにも使われる。このプラグは、制御装置によって層からインシュリンが投与されるまで、供給貯留槽内にインシュリンを保持する必要があるので、液体と接しても溶解しない。ここで我々は制御装置から発生した電気信号を使用して電流をプラグに送る。このプラグは抵抗素地で予め配線してあり、電流がプラスチックタイプのプラグ物質に埋め込まれている抵抗素地に供給されたときに溶解するように設計されている。この方法においては、供給されるインシュリンは制御されており、指定時間に投与される。投与された量が測定されたり、通路や供給ダクトが閉まったりすることも可能である。投与量は供給貯留槽のサイズによって制御されるのが好ましい。必要なときに貯留槽内いっぱいの量の放出が開始されるわけである。適切な容量の貯留槽に溶解電流を送ることで、貯留槽の容量は様々になりえるし、制御装置によって選択された望ましい容量になりうる。
【0105】
続けて図18Aを参照すると、フォト検出器層384はインシュリン貯留槽395を含む。この貯留槽は本発明の持続放出の態様に従って、既定の量のインシュリンを持つことが可能である。インシュリン貯留槽395はあらかじめ貯留槽を備えているか、代わりにいくつもの小さな貯留槽に分けられて、それぞれが既定の量を持続放出するためにインシュリンを備えることが可能である。本発明のこの態様では、例えば所定の量のインシュリンがインシュリン貯留槽395から放出されて、供給ランセットもしくは細管とも呼ばれるマイクロプローブ397に送られ、適切な流体回路を通り、それによって使用者の血流に投与される。図18Cは本発明のこの態様を詳しく図で示している。図解されているように、インシュリン貯留槽395には投与用ノズル377が付いており、図15Bと併せて上記で説明したように、発熱体326によって制御装置142から指令を出て、このノズルが開く。 適切な供給流体回路を通じて、既定の量のインシュリンは装置の使用者に投与される。論理制御装置190は、ブドウ糖分析の検出結果を基に患者に必要なインシュリンの量を決定し、適切な量のインシュリンを投与するソフトを含む。この分野の研究者には容易に理解できるようにここで説明されている装置はブドウ糖テストを行うのみならず、テストを基に決定された量のインシュリンを投与する。しかし、他の様々な分野の分析やホルモン、薬物治療や投与に適用することも可能である。
【0106】
図18Bは断面図付きの分解斜視図であり、完全に組み立てられた個人診断装置104の図解である。これに含まれている層は小分子分析を行う層として図18Aに示されている。この図では、低侵襲細管、ランセット、又はマイクロプローブ159、貯留槽口164、血液測定チェンバー304、インシュリン貯留槽395、供給ランセット397、信号処理器142、制御装置190、出力ビデオ表示モニター124、そして固定表示結果画面126が示されている。
【0107】
ここで図19Aを参照すると、断面図で血液計測チェンバー304と生体適合の側方流動マトリックス(膜386)が示されており、この膜は、細胞分離パッド388、反応パッド390、吸着性パッド392に分かれている。血液サンプルは小分子パッチの寿命が尽きるまで特定の時間間隔でマイクロプローブ159を通じて採取される。上記で説明したように、複数の採取場所及び/もしくは空気吸収口を持つことが可能である。また、血液を採取してパッチ内のマイクロ流体回路に送り込む複数のマイクロプローブを持つことが可能である。ここで図19Aと19Bと併せて明確な説明をするために、この分析法はそのような流体回路と関連付けて説明する。
【0108】
約5−10 μlの血液が特定の時間間隔で採取されるのが好ましい。マイクロプローブ159は 血液凝固を防ぐために抗凝固材でコーティングされるのが好ましい。マイクロ流体回路は、マイクロプローブの先端で積み重なった古い血液を洗浄するための、プログラムで制御できる栓付きの貯留槽を含むことが可能である。これに関しては図20Aと20Bと併せて後に詳しく説明する。続けて図19Aを参照すると、血液は、血液量が望ましい、もしくは既定のレベルの量に達したときに閉じる、計測チェンバー304に入る。溶解プラグ374が開き、計測された血液が細胞分離パッド388に入る。
【0109】
電気化学検出法を使用するときは、ブドウ糖は直接計測貯留槽304内の全血によって計測される。図18Aの層382で概要的に示されているように、計測貯留槽304には適切な電極が配置されている。この場合、ブドウ糖酸化酵素が計測チェンバー304に入っており、電気化学的に検出可能なブドウ糖のある場合過酸化水素が生成される。
【0110】
しかしながら、光学的探知(例えば、吸収、反射率、又は透過率)は結果の検出のための選択のメソッド、示されるように細胞分離ステップを含むことができるということであるべきだ。この実施形態では、細胞分離パッド388が赤血球と白血球を血漿や血清から分離させる。典型的な操作では、5−10 μlの血液サンプルが採取され、細胞分離パッド388に送り込まれる。サンプルがパッド388を通じて移動するとき、パッド388を作る線維網物質が粒状物質の動きを遅らせる。この物質は血液細胞を含み、サンプルが反応パッド390にたどり着く前に血液細胞を部分的に取り除く。図19Aと19B参照。
【0111】
ブドウ糖反応に必要なすべての酵素は反応パッド390に固定されているか、予め含まれている。図19Bで例証されるようにブドウ糖分析のため、反応パッドがブドウ糖酸化酵素、ペルオキシダーゼ、そしてHがあるときにベルオキシダーゼによって反応生成物391に変性させられる基質試薬を含んでいる。反応パッドは多孔性で (流体が完全に浸透した後の)厚さが約125μmで横幅が約1mmの、溶性ポリマー基質膜であるのが好ましい。各パッドの吸着量は1 と2μlの間であるのが好ましい。
ブドウ糖分析
ブドウ糖酸化酵素
ブドウ糖+H+O → クロマジェン酸+H
ペルオキシターゼ
+減数クロマジェン → 酸化クロマジェン+ H
(無色) (有色)
検出方法が視覚的なものの場合は、図19Bに示されるように、マイクロワイヤーエミッタ320が稼動して、検出可能な反応生成物391に向かって入射照明を発する。入射エネルギーと検出可能な反応生成物391間の光/物質相互反応の後、変性された電磁気はマイクロワイヤー検出器322へ移動させられる。光及び/もしくは映像分析は上記で説明したように、結果を数量化するために稼動する。検出方法が電気化学である代替実施形態である場合、酵素ペルオキターゼとクロマジェン基質が省かれる。この場合、生成されたHは白金電極で酸化し、サンプルブドウ糖濃度に比例して電子電流を作り出す。
【0112】
生成された過酸化水素の量は、(図19Bで示したように酸化したときに色が変化するクロマゲンを通る)吸収度か、電極を通る電気化学的力の変化によって数量化される。小分子パッチは論理制御装置190にインストールされたアルゴリズムを持ち、被分析濃度物が既定の閾値を下回る、もしくはあるレベルを上回ったとき、ブザーかビーっというタイプの音がなって患者が適切な行動をとることができる。
【0113】
ここでは、装置は簡単にコレステロール、低比重リポ蛋白、又は高比重リポ蛋白などの小分子と併せて使用することが可能である。例えば、総血清コレステロールの分析において、反応パッドはコレステロール・エステラーゼ、コレステロール・オキシダーゼ、ベルオキシダーゼ類、及び基質試薬を含む。この試薬はHがあるときベルオキシダーゼによって変性され、検出可能な反応生成物391になる。もし検出方法が電気化学的であるなら、上記で説明したように酵素ペルオキシダーゼ類とクロマン基質は省かれる。
【0114】
別の例としては、小分子パッチは血液流体サンプル内のトリグリセリドを測定するのに使用することが可能である。この場合、Hと、Hがある場合に検出反応生成物391を発生させる上記の構成要素を発生させるために、反応パッドはリパーゼ、ATPの源、グリセロール・キナーゼ、及びグリセリン酸酸化酵素を含む。
【0115】
ストレスモニターの実行と方法
日々の生活において、人々は多くの種類のストレスにさらされている。ストレスが健康全般にあたえる悪影響はよく報告されている。心臓病、うつ病、エネルギー不足、不眠症、そして 高血圧のような健康上の問題はみな、ストレスと関係している。したがって、発明者はここで1日を通じた使用者のストレスレベルを記録する個人診断装置を提案する。1日の終わり、使用者は1日のストレスに関する分析をダウンロードし、1日のどの時間帯に使用者がもっとも高いストレスレベルにさらされるかを見る。
【0116】
この実施では、個人ストレスモニター装置の使用者が日々の活動を書面又はボイスレコーダーで記録する。例えば、医師や他のケアの専門家の監督下で「6:45起床」「7:30朝食を作る」「8:00子供を学校へ送る」「9:45上司と会う」「10:30同僚と議論」「12:00から1:30昼食」「3:15午後のコーヒー」「5:15子供をデイケアセンターに迎えに行く」「5:00から7:00ジムで運動」「7:30夕食を作る」「9:00子供を寝かしつける」「9:30配偶者とけんか」「10:00から11:15家計簿をつける」「11:30深夜番組を見る」「12:15就寝」といったシンプルな項目を毎日記録する。
【0117】
この方法では、患者と患者の担当医師が、何がもっとも高いストレスレベルを起こすのかを測定することができる。カウンセリングと専門家による診療によって、患者の生活習慣は見直されたり修正されたりされ、不健康なレベルのストレスを起こす日々の活動を避けるようにする。例えば配偶者と交流するときに高いストレスレベルを感じるのなら、結婚カウンセリングを薦めることができる。もしストレスレベルが特定の同僚や上司と接するときに特に高いのならば、その患者が所属する会社はとげとげしい職場環境の責任を負い、救済的な処置をとらなければならない可能性がある。
【0118】
多くの個人が現在、電話や電子メールで24時間対応してくれるかかりつけの医者を持つ。上記で説明されたストレスパッチは、図18Aから18Cと併せて説明されたインシュリン貯留槽395のような一種の処方薬を備えた流体放出貯留槽とともに供給することが可能である。本発明のある使用方法によれば、もしストレスパッチの使用者が薬物療法を望むのなら、図1で図解されたデスクトップコンピュータのライフパッチアイコンをクリックする。パーソナルコンピュータと、関連のあるソフトウェアはRF受容体114を通じて個人診断装置104に蓄積されたすその日のストレスデータをダウンロードする。ストレスデータはかかりつけの医師に送られ、それを基に医師が患者の薬の量を決定する。そのとき医師はコンピュータに指令を出し患者のコンピュータに転送する。そして患者のコンピュータは使用者のパッチに指令を送り、あらかじめ仕込まれている処方薬を投与する。この方法で、危険で中毒性を持つ過度な薬物治療を避けることができる。
【0119】
本発明を使用する別の方法としては、上記の方法を少し変えて、臨床試験中の実験的薬剤の使用や量を遠隔操作する、というものもある。医師が、ダウンロードした生体的フィードバック情報を分析した後、パッチとの通信を通じて遠隔的に薬の使用と量を制御する。医師は遠隔的に患者の生体的、生理学的な反応を遠隔的にモニターし、リアルタイムでのパッチとパーソナルコンピュータの通信を通じて薬を投与する。
【0120】
同様の方法で、発明者は本発明の実行は例えばうつ病のような様々な精神疾患をモニターし、治療するために用いることを提案している。この実施形態では、バイオパッチはリアルタイムで患者の精神的健康状態をモニターし、正常域から離れた場合に医師や精神科医に報告を行う。この場合、バイオパッチやバイオブレスレットは遠隔的に主治医や主治精神科医に情報を伝える。そしてその医師が遠隔的にパッチに認可を与えて抗うつ病を投与させる。本発明のこのような使用方法は、強力な薬で治療される統合失調症やパラノイアなどの精神障害に有利に適用することが可能である。同様に、本発明の、医師が制御する投薬という態様はコカインやヘロイン中毒から脱するのにも使用することが可能である。この実施形態の別の実行例では、使用者とパーソナルコンピュータ間の連動は必要ではない。代わりに、患者が行動を制限されている範囲、つまり自宅や病院などの環境に遠隔操作用RF受容体を装備するという方法をとる。本発明のこの態様では、個人診断装置は継続的、もしくは断続的な信号を送るために実行される。装置がこの報告信号を送るとき、採取された診断情報は使用者とパーソナルコンピュータの使用なしに、担当医にワイヤレスで送られる。
【0121】
ここで本発明のストレスパッチの実行に話を戻すと、ホルモンコルチゾールは、副腎によって生産され、ストレスを受けている間か動揺している状態の間に体内で分泌される。よって、コルチゾールはいわゆる「ストレスホルモン」として広く知られてきた。しかしながらこのホルモンは、ただのストレスレベルマーカー以上のもので、体のほぼすべての部分の機能に必要なものである。この重要なホルモンの過剰分泌、もしくは不足は様々な身体症状や病状を引き起こす可能性がある。コルチゾールは クッシング病、慢性疲労症候群、線維筋痛症−自己免疫疾患、などの多くの疾患のための生体マーカーとして研究されてきた。コルチゾールはストレスレベルと関係がある。唾液コルチゾールのレベルは、外傷後心理障害や他の行為障害の生体マーカーとして働くことがわかっている。このように、体内のコルチゾールのレベルの計測は、薬が使用される状況や、ストレスが特にかかる活動中の両方において、重要な診断ツールとなる。しかしながら、体内のコルチゾールのレベルは1日を通じて変動し、朝が最も高く、夜が最も低い。食物摂取や代謝の不均衡はさらなる変動を引き起こす。これらの様々な変動を識別し考慮するためには、コルチゾールレベルのリアルタイムでの測定が必要となる。臨床上重要な濃縮倍率はとても小さいものなので(約12.5 から800 ng/ml)なので、コルチゾール濃縮は通常免疫学的測定技術を通じて測定される。
【0122】
多くのコルチゾール検出適用のために、比較的コルチゾールの検出に対して高感度で感受性のあり、リアルタイムでコルチゾールの継続的モニターができ、持ち運び可能で、半侵略的なセンサー装置が特に求められている。
【0123】
上記のような観点から、発明者はストレスマーカーのモニター、もしくはコルチゾールのようなマーカーのための個人診断装置をここで提案している。この具体的な個人診断装置はストレスパッチとして言及され、素早く、容易で、自動の装置でありコルチゾールの数量化の方法を、パーソナルコンピュータか有線のコンピュータネットワークとの通信が可能なシンプルなパッチもしくはブレスレットのみの使用で提供するものである。
【0124】
ここで図20Aに戻ると、本発明の好適な実施形態の主要な流体サンプルの処理層の分解斜視図が示してある。これらはサンプル採取層116、この特定の実施形態で使用される分離結果照明層117、流体処理層118、結果検出層178、そしてストレスモニターに使用される貯留層379 などを含む。図解されているように、サンプル採取層116は、低侵襲細管、ランセット、もしくはミクロプローブ159が皮膚表面を突き抜け、表皮近くの毛細血管から血液サンプルを採取する。この個人診断装置のこの特定の実施形態では、ミクロワイヤーエミッタ320は分析結果を照らす光源として使用され、分離結果照明層117にて供給されるのが好ましいとされる。また、ここで使用されるミクロワイヤーエミッタ320は上記で議論された実施形態でのように、サンプル採取層116と一体化しているのが好ましいとされる。結果照明層117は貯留槽開口部164がついており、ランセットもしくはミクロプローブ159の取り出し口の周りに形成された注入口構造166と合わせてそれぞれ配置されている。この方法では、血液サンプルは結果照明層117を通過し、流体処理層118内の、対応する貯留開口部164に入る。 貯蔵層379は図15Aと15Bと併せて説明されたタイプの選択自由の洗浄バッファ316、投薬用貯蔵層389を含む。結果検出層178には図14Aから14Kと併せてくわしく説明された種類のミクロワイヤー検出器322がついており、図15Aと18Aで示された装置の実施形態で使用される。
【0125】
続けて図20Aを見てみると、流体処理層118はミクロ流体回路227を含む。この特定の実施形態ではミクロ流体回路227には貯留槽開口部164、ドローオフ貯留槽又は第一サンプル採取チェンバー394、血液計量チェンバー304、血液分離器帯385、タンパク質結合帯399、抗体結合帯401、そして採取帯312がついている。
【0126】
サンプル処理層118はミクロ流体回路227もしくは、代わりに、図に示されているように貯留槽開口部164とそれぞれの流体路168で形成されている複数のミクロ流体回路227を含むのが好ましい。また、装置104は複数のサンプル処理層118をそれぞれ含む場合もある。層118それぞれは一つ以上のミクロ流体回路227を持つ。この方法では、図13Aから13Eで図解されているように複数の血液サンプルがゆっくり時間をかけて、第一流体路168での流れ制御を使用して採取される。これらの別々の血液サンプルそれぞれは、リアルタイムで別々のミクロ流体回路227で処理される。例えば、装置104は24のミクロ流体回路227を含み、全てが1つのサンプル処理層118で形成され、配置されている場合と、それぞれが別々のサンプル処理層118内で形成され、配置されている場合がある。この場合のこのサンプル処理層の合計数は24である。当技術分野の専門家には周知であるが、24の回路はそれぞれ流体的に孤立しているのが好ましい。また、24のミクロ流体回路227はペア、3つのグループ、4つのグループで形成され、配置されるかもしれず、例えばそれぞれのペアやグループは1つの層118にて形成することが可能である。様々な層は目的に合わせて機能するように組み立てられている。ストレスパッチのこの特定の実施形態では、上記で議論したように、24のミクロ流体回路227それぞれが、ランセットやミクロプローブ159に流体的に連結する。制御装置142によって方向付け、時間を決定された血液採取と流れ制御で、各ランセット159と関連した溶解プラグが特定の時間に活性化され、それぞれのサンプル採取チェンバー394を各ランセット159と流体連結させ、前もって決まっていた特定の時間に毛管作用によって新鮮な血液のサンプルを採取する。例えば使用者はバイオパッチ装置104を24時間装着し、24の回路227と24の対応するランセット159を通じて毎時間血液サンプルが採取される。
【0127】
図20Aで説明されていたミクロ流体回路227は貯留槽開口部164、ドローオフ貯留槽もしくは第一サンプル採取チェンバー394、血液計量チェンバー304、血液分離器帯385、タンパク質結合帯399、抗体結合帯401、そして捕捉帯312を含む。この実施形態の実行において、血液分離器帯385、タンパク質結合帯399、抗体結合帯401、そして捕捉帯312は1つの帯かチェンバーに統合することが可能である。そしてその帯あるいはチェンバーは、生体適合性のある側方流動マトリックス、又は分離したパッドや断片で構成されている膜、もしくは様々な濃度、多孔率、もしくは長さに応じたさまざまな流体処理結果の材料組成を持つ単側方流動マトリックスで構成されている膜を通じてサンプル流体を連続して処理する。図21Aから21Dにおいて、血液分離器帯385、タンパク質結合帯399、抗体結合帯401、そして捕捉帯312は、下記に説明されるように、一続きの側方流動パッドに一体化される。図20Aに説明されているように、ミクロ流体回路227はドローオフ貯留槽もしくは第一サンプルチェンバー394を持つ。この実施形態においては、ドローオフ貯留槽394は溶解プラグと孔と繋がっている。溶解プラグは処理器142そして/又は制御装置190によって制御されている。前もって決まった時間に、ドローオフ貯留槽394と繋がった溶解プラグがまず活性化され、ランセット159を流体コミュニケーションに入れ、パッチを適用した時間から特定の回路227が制御装置によって決められた時間までランセット内の血液を採取する。第一ドローオフ貯留槽は、上記に示したどの方法においても、流体的に回路から独立している。この方法においては、第一サンプル採取チェンバー394が制御装置190によって活性化されたとき、使用者の、リアルタイムで採取した新鮮な血液か現在の生物学的特質が、毛細作用によって方向を定められ、目的どおりに計量チェンバー304 に導かれる。この分野での研究者には容易に理解されるように、本発明のドローオフ貯留槽態様はここでのどの実施形態においても用いられ、本発明の時間遅延型のサンプル採取態様と関連して使われる流体回路227において、好んで使用される。
【0128】
図示されているように、貯留槽層379は薬物放出貯留槽389を含んでいる。本発明の持続放出の特徴により、薬物放出貯留槽389は既定量の処方薬を事前に装填することが可能である。薬物放出貯留槽389は事前に装填された1つの貯留槽あるいは持続放出のため代替的にそれぞれが既定量の液状薬が入ったいくつかの小貯留槽に細分することが可能である。本発明のこの特徴により、例えば薬の既定服用量は薬物放出貯留槽389から放出され、適切な流体回路を通じて各サプライランセット、細管、あるいはマイクロプローブ397(図18C)に導かれ、その後、使用者の血流に入る。図18Cに図示されているように、インシュリン貯留槽395の実施形態においては、薬物放出貯留槽389は上記の発熱体326の使用による制御装置142からの命令で開く調剤ノズル377を備えることが可能である。適切なサプライ流体回路を通じ、既定量の液状薬がこの装置の使用者に投与される。論理制御190は患者の薬の必要量を決定し、その後ストレス分析の検出結果に基づいて適切な薬量を投与する専門のソフトを含むことが可能である。技術のある人には技術的に容易にわかるように、ここで説明されているこの装置はストレス試験実施とテストに基づく規定量の液状薬の投与に特に限定するものではなく、多くの異なる分析や薬とホルモンの開放療法や治療に応用、また対応することが可能である。上記にあるように、薬の放出は患者やパッチ管理者による指示ではなく、パッチ/PC/ネットワーク/医師の情報伝達による医師の指示でなければならない。
【0129】
図20Bは本発明の特定の態様による応力解析実施のための図20Aに図示されている層を含む完全に組み立てられたストレスパッチを示す各部分の断面図を伴う斜視図である。特に、図20Bは低侵襲細管、ランセット、あるいはマイクロプローブ159、サプライ細管あるいはマイクロプローブ397、貯留槽開口部164、ドローオフ貯留槽あるいは第一サンプル採取チェンバー394、血液測定チェンバー304、マイクロワイヤー検出器322、オプショナル洗浄バッファー316、信号処理層186上の信号処理部142、論理・出入力制御装置層188上の制御装置190、出力ビデオディスプレーモニター124、個別固定結果表示画面126を示している。
【0130】
次に図21A、21B、21Cであるが、ここには応力解析実施のため使用される図21A、21Bに図示されている装置の流体処理回路227を通じてサンプルの経過を表す一連の関連の横断面図が描かれている。このストレスパッチ実施においては、ストレスパッチの耐用期間中、血液サンプルは所定の間隔でマイクロプローブ159を通して採取される。上記のように、複数の採取個所、また/あるいは複数の空気吸入口、また/あるいは複数の貯留槽を置くことが可能である。加えて、血液を抽出しサンプルをパッチ中の単独マイクロ流体回路227に導く数個のマイクロプローブ159を置くことも可能である。
【0131】
次に特に図21Aについてであるが、ここにはコルチゾール分析のための流体回路が図示されている。回路は溶解プラグ324、344、350、圧力止弁330、溶解弁332、第一サンプル採取チェンバー394、サンプル測定チェンバー304、フィルター材342を持つ空気流通口340、異なる部分に細分する生体適合膜を含んでおり、そこには細胞分離パッド388、タンパク質採取あるいは結合パッド396、試薬パッド400、採取・サンプル分析パッド402、吸着パッド392が含まれる。分析に必要な試薬は事前に試薬パッド400に装填される。これらの試薬は微小粒子や特にコルチゾールと結び付く抗体のようなターゲット分子結合剤から作られる信号媒介剤398を含むことが可能である。コルチゾールへの親和性を持つ捕捉剤378は、分析パッド402にある。ターゲットの分子コルチゾールが分析パッド402を通って移動し、捕捉剤378と結合するとき、採取材により分析のため適切な位置に置かれるよう、捕捉剤378は分析パッド402と結合しているのが望ましい。
【0132】
10−30μlの血液が所定の間隔で採取されるのが望ましい。血液凝固を防ぐため、マイクロプローブは抗凝血剤でコーティングされているのが望ましい。第一溶解プラグ324が開かれるとマイクロプローブ159内の血液が第一サンプル採取チェンバー394に入る(図21B)。上記にあるように、これは分析用の新しい血液サンプル採取のため、マイクロプローブの先端に貯留した古い血液を流し出す目的で行なわれる。次の手順は新しい血液が測定チェンバー304に入るよう、第二溶解プラグ344を開くことである(図21B、21C)。サンプルが必要量に達したとき、溶解プラグ332を閉めることでチェンバー304は流体的に分離される。サンプルの測定後、第三溶解プラグ350が開かれ、測定されたサンプルは細胞がパッド388内のサンプルとタンパク質から分離される生体適合膜に移動する(図21D)。具体的には、コルチゾール結合タンパク質はその後パッド396内のサンプルから取り除かれる。パッド396はサンプルから特定のタンパク質を取り除くタンパク質捕捉剤でコーティングされているのが望ましい。サンプルはその後、生体適合膜中の、コルチゾール410が信号媒介剤398と結合する試薬パッド400の中を進んでいく。この複合体はその後、捕捉剤が信号媒介剤398と結び付いているコルチゾール410と結合する分析パッド402に移動する。電磁波373の入射ビームはその後パッド402を通り、パッド402を通じて伝送された改質光を測定する検出器322に導かれる。ストレスパッチのこの実施形態において使用されている光源320と検出器322は、上記で述べられたマイクロワイヤーエミッターと検出器のタイプであることが望ましい。コルチゾールの存在と量は、その後分析パッド402にサンプルが伝わった前後の透過光線の強さの違いを測定し、コルチゾールの含有量がわかっているサンプルと比較することによって分析される。
【0133】
上記のように、血液や細胞の分離は、血漿や血清からRBCとWBCを分離する細胞分離パッド388によって媒介される。一般的な実施では、血液サンプル(10−30μl)は採取細管から採取され、ここから細胞分離パッドを通じ毛管現象によって引き出される。サンプルがフィルターを移動するにつれ、細胞分離パッドを構成している繊維網材が、サンプルがタンパク質結合パッド396に到達する前に一部血液細胞を取り除き、血液細胞を含む特定の物質の動きを遅らせる。
【0134】
血清中にはコルチゾール免疫測定を妨げるタンパク質と結合するコルチゾールが存在する。最も一般的に挙げられる妨害タンパク質はトランスコルチンタンパク質(TC)である。コルチゾール分析の第二の手順は、血漿や血清が毛管現象によりタンパク質結合パッド396に入り込む際の、結合タンパク質からの置換である。タンパク質結合パッド396は8−アニリノ−1−ナフタレン・スルホン酸(ANS)のようなタンパク質結合剤が含浸した接合パッドあるいは膜から構成されている。また、接合パッドあるいは膜は低pHで内部のタンパク質結合から血清コルチゾールを取り除く。
【0135】
臨床的にコルチゾールの有効な濃度域が狭いため(例えば約12.5−800ng/ml)、一般的にコルチゾール濃度は免疫測定法により測定される。サンドイッチ免疫測定法と上記の関連の方法以外の代替実施形態では、分析は事前に装填された標識コルチゾールと、抗体でコーティングされた分析パッド412上の限られた結合個所のためのサンプル内のコルチゾールとの競合分析を実施することが可能である。既知の様々な標識や信号媒介剤を本発明に使用することができる。微小粒子は上記のように使用することが可能であり、また、グロスの米国特許第3,940,475号明細書で説明されている蛍光免疫測定(FIA)に有用な蛍光剤を信号媒介剤として使用することも可能である。シュールズ及びその他の米国特許第3,654,090号明細書に図示されているその他の代替信号媒介剤には抗体と結合している酵素標識や酵素免疫測定(EIA)実施に使用される抗体が含まれる。ここで使用されているように、標識化合物、標識、マーカー、トレーサー、あるいはその相当物には、既知の標識のいずれもが含まれる。限定されない例として、検出可能な信号を作り出すセイヨウワサビペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼのような酵素標識がこの分析には使用可能である。
【0136】
生体適合膜は市販の接合パッド、あるいは細胞膜片から形成されるのが望ましく、細胞膜片は標識コルチゾールの分析パッドへの移動を促進する放出効率が良いものが望ましい。限定されない例として、この目的のために親水性ポリエーテルスルホン膜を使用することが可能である。この層での血清の動きは標識コルチゾールの分析パッドへの移動を可能にする。
【0137】
図21Aから21Dに図示されているように、コルチゾール410に対する抗体捕捉剤378は分析パッド402(ニトロセルロースあるいはホウケイ酸塩紙型)上に浸透あるいは固定化している。限定されない例として、コルチゾール21ヘミスシネートとコルチゾール3カルボキシメタロクシム結合に対する抗血清は適切だと証明されており、サンプル抽出なしの直接免疫測定に広く使用されている。抗体は当技術分野で周知の共有結合、直接吸着、物理的捕捉、タンパク質でコーティングされた表面への結合など、様々な方法により固相で固定化することが可能である。この方法論を説明している参考文献には、I・H・シルマン、E・カチャルスキー著「アニュアル・レビュー・オブ・バイオケミストリー」(1966)第35判第873頁、G・J・メルローズ著「レビュー・オブ・ピュア・アンド・アプライド・ケミストリー」(1971)第21判第83頁、P・クアトレカサス、C・B・アンフィンセン著「メソッズ・イン・エンジモロジー」(1971)第22判がある。
【0138】
捕捉後、未結合の信号媒介剤とコルチゾールを取り除くため、分析パッドは洗浄することが可能である。洗浄処理は図20Aの洗浄槽316と分析パッドをつなぐプラグの時間制御開口により始動させることが可能である。信号媒介が酵素である剤酵素分析実施においては、検出可能な反応を作り出す酵素と反応するクロマジェン基質は、洗浄バッファーと混ぜ合わせることが可能である。洗浄バッファーは未結合の酵素標識コルチゾールを溶離し、一方、同時に基質分裂を触媒するため酵素を結合させる。洗浄バッファーは吸着パッドに排出される。
【0139】
酵素標識コルチゾールの量は光検出(吸光度、反射率、透過率、あるいは蛍光性)により数量化することが可能で、そこからサンプルコルチゾール濃度が導き出される。コルチゾール濃度はあらかじめ決められた標準曲線を使用し算出される。
【0140】
スポーツパフォーマンスモニター実施と方法
脱水症状、熱中症、低体温症の適時診断は、これらの状態が運動に関連した怪我や病気を引き起こす可能性があることから、スポーツ活動に参加している選手にとって重要であり、運動に関連した怪我や病気は極度の身体活動による罹患率と死亡率に関連している。運動に関連した怪我や病気の二大原因は、不整脈、心停止、心筋虚血として現れる運動誘発性低ナトリウム血症と心疾患である。
【0141】
運動誘発性低ナトリウム血症は異常レベルの電解質によって引き起こされる。より具体的には、血漿プラズマ濃度の低下によるものである(136mm/ml未満)。心疾患のいくつかの原因は乳酸値の異常にある。実際、血中乳酸値は病兆発現から3時間以内の急性心筋虚血の診断確立に有用であることを実証してきた(N・シュミエチェン、C・ハン、D・ミルズマン著 Ann Emerg Med1997;30:571−577)。さらに、救命医療において、乳酸値の上昇は一般的に組織に十分な酸素が行き渡っていないことを意味する。多くの細胞組織(例えば脳、心臓、腎臓)の酸素欠乏は、罹患率と死亡率に非常に関連している。その結果、多くの重要な環境において、上昇した乳酸の早期発見、酸素欠乏の理由解明、早期治療が必要になる。そのため、乳酸値と酸素濃度をモニターすることは、運動に関連した怪我や病気を示している選手から急性心筋梗塞を除外するのに有用であるといえる。
【0142】
従来の血液検体モニター法では、一般的に各検査で血液サンプルの採取(例えば指を刺す)と専門の技術者による特定の診断装置を使用した検体レベルの測定が必要である。これは従来の医療施設から離れた場所でスポーツ活動をする際に、問題となる可能性がある。そのため、依然として野外や家庭、特に継続したまた/あるいは自動的なモニターが好ましいところでの検査実施用の簡単に検体測定ができる医療機器の技術的なニーズがある。
【0143】
次に図22Aであるが、ここには本発明のさらにもう1つの好適な実施形態によるスポーツパッチの主要な流体サンプル処理検出層の分解斜視図が示されている。これらにはスポーツパフォーマンスモニター実施に使用されるサンプル採取層116、流体処理層118、電極414を含む結果検出層178、もう1つの流体処理層118が含まれている。図示されているように、サンプル採取層116は低侵襲細管、ランセット、あるいは表皮近くの毛細血管から血液サンプル採取のための皮膚表面に刺すマイクロプローブ159を含んでいる。電極414の各セットはそれぞれ特定の分析チェンバー412に割り当てられており、図面で説明するように適切な位置にある。
【0144】
図22Aに図示されているマイクロ流体回路227は、貯留槽開口部164、ドローオフ貯留槽、あるいは第一サンプル採取チェンバー394、血液測定チェンバー304、一連の分析チェンバー412を含んでいる。サンプル処理層118は、マイクロ流体回路227を含むことが可能であり、あるいはできれば代替的にここで形成される数個のマイクロ流体回路227を含むことが可能である。代替的に装置104は数個のサンプル処理層118(第二層118)を含むことが可能であり、各層は単数、あるいは複数のマイクロ流体回路227を伴っている。図13Aから13Eに関連して説明されたように、このようにして第一流体チャンネル168で流れをコントロールすることで時間とともに数個の血液サンプルを採取することが可能である。分けられた各血液サンプルはその後、リアルタイムに各マイクロ流体回路227で処理することが可能である。
【0145】
図22Bは、本発明の特定の追加的態様による、スポーツパフォーマンス分析のための図22Aに図示されている層を含むスポーツパッチの完全に組み立てられた各部分の断面図を伴う斜視図である。さらに具体的には、図22Bは、低侵襲細管、ランセット、あるいはサンプル採取層116のマイクロプローブ159、層118の貯留槽開口部164、ドローオフ貯留槽あるいは層118の第一サンプル採取チェンバー394、結果検出層178の電極414、第二流体処理層118、信号処理層186の信号処理部142、論理・出入力制御装置層188の制御装置190、出力ビデオディスプレーモニター124、個別固定結果表示画面126を示している。
【0146】
図23Aから23Eは以下簡単に便宜上「スポーツパッチ」とする本スポーツパフォーマンスモニターパッチの流体処理回路を通してサンプルの経過を表す一連の関連の横断面図を示している。図23Aはマイクロプローブ159、第一溶解弁324、第一サンプル採取チェンバー394、第二溶解プラグ344、測定チェンバー304、フィルター342を持つ空気流通口340、第三溶解プラグ350、圧力止弁330、分析チェンバー412、電極414を含む、流体回路の典型的な要素を示している。
【0147】
分析の第一ステップは、分析用の新しい血液を供給するため、サンプルマイクロプローブ159に蓄積した古い血液を取り除くことである。このステップは、血液が第一サンプル採取チェンバー394に入るよう第一溶解プラグ324が開くことが図示されている、図23Bに示されている。チェンバー394はその後、チェンバー394に続くチャンネルで溶解弁332を閉めることにより密封される(図23C)。その後、血液が測定チェンバー304に入るよう、第二溶解プラグ344が開かれる。一旦測定チェンバー304内の血液が既定量に達すると、チェンバー304に流れ込む血液はチェンバー304に続くチャンネルで溶解弁を閉めることで遮断される(図23D)。図23Dに図示されているように、その後、サンプルが分析チェンバー412に入るよう、第三溶解弁350が開かれる。以下に説明されているように、サンプル内の検体の量はその後、各検体にそれぞれ適切な電極414を使い、電気化学的に測定される。図23Eに図示されているように、これらの検体は過酸化水素(H22)、酸素(O2)、塩素(Cl)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)を含むことが可能である。
【0148】
さらに具体的には、ここにある方法では、スポーツパッチの耐用期間中、所定の間隔で血液サンプルはマイクロプローブにより採取される。上記のように、複数の採取個所、また/あるいは複数の空気吸入口、また/あるいは貯留槽を置くことが可能である。スポーツパッチのマイクロ流体回路に血液を抽出するための数個のマイクロプローブを置くことも可能である。15−30μlの血液が所定の間隔で採取されるのが望ましい。血液凝固を防ぐため、マイクロプローブは抗凝血剤でコーティングされているのが望ましい。マイクロ流体回路は第一採取チェンバーあるいはマイクロプローブ先端に蓄積した古い血液を取り除くためのプログラム可能な弁を持つドローオフ貯留槽394を含んでいる。新しい血液サンプルはその後測定チェンバー304に向けられ、それから分析チェンバー412に送られる。
【0149】
上記で説明されているように、関心のある検体の検出は電気化学的方法である。そのため、事前の血液の分離は必要ない。しかし、血液分離のステップが含まれるであろう光検出(例えば吸光度、反射率、送信)は最適な方法である。この代替実施形態においては、上記で図21Aから21Dの関連で説明されているのと同様、スポーツパッチの第一層が血漿と血清からRBC とWBCを分離する血液あるいは細胞分離パッドとなる。典型的な作業では、血液サンプル(15−30μl)は採取細管から採取され、ここから細胞分離パッドを通じ毛管現象によって引き出される。サンプルが細胞分離パッドを移動するにつれ、細胞分離パッドを構成している繊維網材が、サンプルが次のパッドに到達する前に一部血液細胞を取り除き、血液細胞を含む特定の物質の動きを遅らせる
図23Eとの関連で上記に説明されているように、全ての血液サンプルは5つの分析チェンバー(平行の形状に位置している)に移動する。乳酸の数量化に使用される分析チェンバーには、下記の乳酸反応に必要な全ての酵素が事前に装填される。乳酸分析のため、分析チェンバーは乳酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、H22の存在下でペルオキシダーゼによって検出可能な反応生成物に変えられる基質試薬を含むことが可能である。このパッチにおいては電気化学的方法が検出に最適な方法であることから、酵素ペルオキシダーゼとクロマジェン基質は除外される。この場合、サンプル乳酸濃度に比例した電流を作り出すために生成されたH22は白金電極で酸化している。以下に示されているのは、本スポーツパッチに関連する乳酸分析反応である。
【0150】
乳酸分析:
乳酸オキシダーゼ
L-乳酸 + O → ピルビン酸塩 + H
ペルオキシダーゼ
+還元クロマジェン → 酸化クロマジェン + H
(無色) (有色)

酸素は電流測定法で測定される。酸素隔膜は酸素を内部の電解質溶液に浸透させ、そこでは陰極で酸素が減少する。酸素還元電流は溶存酸素濃度に比例する。
【0151】
酸素電極は酸素濃度測定のために使用される。酸素電極の構成は当技術分野の専門家には周知である。典型的な酸素電極は作用電極(陰極)、対極(陽極)、電解質、ガス隔膜を含んでいる。ガス隔膜と水を通じて電解質内で溶解した酸素は、作用電極(陰極)で水酸化物イオンOH(O+ 2HO + 4e= 4OH)を作るため電子と反応し、酸素濃度が測定された電流から予測できるよう、溶解したに酸素の量に関連して電流を起こす。
【0152】
ガス透過可能なフィルムとして、テトラフルオロエチレン/ヘクサフルオロエチレン共重合体(FEP)フィルムが使用されるのが望ましく、このフィルムの厚さは20μm未満であるのが望ましい。作用電極(陰極)として金電極、白金電極、炭素電極、またそれらと同等のものが使用されるのが望ましく、同様に、対極(陽極)として金電極白金電極、炭素電極、またそれらと同等のものが使用されるのが望ましい。さらに、基準電極として銀/塩化銀電極が使用されるのが望ましい。
【0153】
電極として塩化カリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、またそれらと同等のものが使用されるのが望ましい。ナトリウム、カリウム、塩素はイオン選択電極電位差測定法により測定される。濃度はナーストエクエーションを通じ、測定された電位から計算される。特定のイオン選択電極により、異なるイオンが測定される。当技術分野の専門家には周知であるように、市販のイオン選択電極は関心のあるイオンに対する有向性を持つガラス電極の様々な組織からなる、細胞膜でできている。
【0154】
ファームウェアあるいはソフトウェアにアルゴリズムが含まれており、検体濃度が特定のレベルから上下した場合に、患者が適切な行動が取れるよう警告音を発する。スポーツパッチの使用はスポーツ時のリアルタイム使用を含んでいる。そのようなスポーツには、例えば一般人のジムやヘルスクラブでの毎日のトレーニング、あるいはプロにより訓練されたマラソンランナー、水泳選手、ホッケー選手、バスケットボール選手、フットボール選手、サッカー選手などの毎日のトレーニングが含まれる。
【0155】
ヘルスクラブでの毎日のトレーニングの場合、使用者は特定の通常の運動に対する体の反応をモニターする。トレーナーの協力を得て、各個人のスポーツパッチからの結果を運動メニュー作成、また/あるいはダイエットメニュー作成に使用することが可能である。この方法で、健康維持のため健康と栄養がスポーツパッチの使用と一体化される。
【0156】
プロスポーツの場合も、スポーツパッチは同様に使用することが可能である。加えて、上記のように、スポーツパッチはRF検出器、送信機とともに装着することが可能である。この方法では、指導上の決定をするため、コーチ陣はゲーム中にワイヤレスで送信される診断情報を使用することが可能である。例えば、プロホッケーでは、ラインチェンジは戦術的にも戦略的にも非常に重要である。そのため、ゲーム中あるいはその他の重要な試合中のプロ選手のパフォーマンスレベルをモニターするため、当発明者はスポーツパッチの使用を提案する。リアルタイムの情報はスポーツの試合場やアイスリンクからコーチ陣に送信される。その後コーチ陣はその情報を、例えばプロアイスホッケーでのラインチェンジ、バスケットボール、フットボール、サッカーでの選手交代など、指導上の決定をする際に利用する。同様に、スポーツパッチはトレーニングにおいても利用することが可能である。
【0157】
高齢者介護モニターシステムと方法
今日世界が直面している大きな課題の1は、ますます増加する高齢者人口への医療の提供である。定年年齢の65歳に達する人口が増えるだけでなく、その寿命も延びている。長寿とともに、心臓病、腎臓病、糖尿病などの慢性疾患が現れ、その全ては人の自立性を侵害する。そのため、高齢者への経済的な医療の提供に対するニーズはますます急を要するものとなっている。
【0158】
心疾患診断において、心臓生化学的マーカーのリアルタイム測定は重要である。さらに腎臓病の患者は心疾患発症のリスクも高い。そのため、腎臓機能悪化の早期検出と診断でその後の結果を好転させることが可能である。血清中クレアチニンの測定は腎機能低下の検出に使用することが可能である。腎機能障害の患者の最大で80%に貧血が影響し、寿命短縮や早期死亡を招くことはよく知られている。総ヘモグロビン値の測定は貧血のモニターに使用することが可能である。
【0159】
通常、上記の血液検体の数量化のため、一般的に患者は医療機関で採血しなければならず、検体の測定は特定の診断装置を使い専門の技術者によって行なわれる。しかし、このプロセスに伴う苦痛と不便さが患者の薬剤服用遵守の不徹底を招き、適時診断と治療に失敗する可能性がある。
【0160】
そのため、この分野あるいは家庭検査機器、特に継続的、また/あるいは自動的なモニターが好ましいところでは、苦痛を伴わない検体測定のための医療機器に対するこの技術のニーズが残る。
【0161】
上記を考慮して、当発明者は心疾患、腎臓病、貧血のマーカーをモニターするため、例えば、後述の高齢者ケアパッチという個人診断装置を提案する。ここで提案されている高齢者ケアパッチは、心疾患マーカー(CK−MB、TnI、ミオグロビン)、腎臓病マーカー(クレアチニン)、貧血マーカー(総ヘモグロビン)の測定を可能にする。高齢者ケアパッチはそのため、コンピュータと連動した、あるいは代替的に専門的な医療サービスと有利ネットワークがある高性能な家庭環境とワイヤレスで連動した、シンプルなパッチあるいはブレスレットを使用した検体測定のため、素早く苦痛のない装置と方法を提供する。
【0162】
次は図24Aであるが、ここには本発明のさらにもう1つの望ましい実施形態による、高齢者ケアパッチの主要流体サンプル処理層と検出層の分解斜視図が示されている。これらは高齢者ケア実施のため使用される、光源320を含むサンプル採取層116、流体処理層118、検出器322を含む結果検出層178を含んでいる。図面で説明するように、サンプル採取層116は低侵襲細管、ランセット、あるいは表皮近くの毛細血管から血液サンプル採取のための皮膚表面に刺すマイクロプローブ159を含んでいる。図24Aに図示されている流体回路は貯留槽開口部164、長方形の血液測定チェンバー304、3つの分析チェンバー412を含んでいる。この特定の実施形態では、図面で説明するように、光源320はマイクロワイヤーエミッターとして使用され、検出器322は対応するマイクロワイヤー検出器として使用される。
【0163】
図24Bは、本発明の特定の更なる追加的態様による、図24Aに図示されている高齢者ケアモニター実施のための層を含む、完全に組み立てられた高齢者ケアパッチを示す、各部分の断面図を伴う斜視図である。さらに具体的には、図24Bは低侵襲細管、サンプル採取層116のランセット、あるいはマイクロプローブ159、貯留槽開口部164、流体処理層118の分析チェンバー412、結果検出層178のマイクロワイヤー検出器322、信号処理層186の信号処理部142、論理・出入力制御装置層188の制御装置190、出力ビデオディスプレーモニター124、個別固定結果表示画面126を示している。
【0164】
図25Aから25Dは、高齢の患者のモニター実施のため使用される、図24Aと24Bに図示されている高齢者ケアモニターの流体処理回路を通じてサンプルの経過を表す、高齢者ケアパッチの一連の横断面図を示している。まず図25Aについてであるが、ここにはCK−MB、トロポニン−I(Tn−I)、ミオグロビン、クレアチニン、ヘモグロビン分析のための流体回路が示されている。図示されている流体回路はマイクロプローブ159、第一溶解プラグ324、溶解弁332、測定チェンバー304、フィルター342を持つ空気流通口340、第二溶解プラグ344、第一分析細胞膜416、第二分析細胞膜418、第三分析細胞膜420を含んでいる。第一分析細胞膜416はヘモグロビン分析のために使用され、第二分析細胞膜418はクレアチニン分析のために作られ、第三分析細胞膜は心疾患マーカーの分析に使用される。検出と数量化の様々な分析と方法の詳細は以下に述べられている。
【0165】
次に図25Bについてであるが、プラグ324は血液を測定チェンバー304に入れるため開かれる。一旦チェンバー内の血液レベルが既定量に達すると、弁332は閉じられる(図25C)。第二溶解プラグ344はその後、血液サンプルが分析細胞膜416、418、420に流れていくよう開かれる。次の図25Dは、上記のサンプル処理と様々な検体のステップを示している。
【0166】
ヘモグロビンを放出するRBC溶解パッド 内にRBCが溶解している細胞膜316でヘモグロビン分析は行なわれる。ヘモグロビンを含んでいるサンプルは、その後事前に装填されたヘモグロビンと反応する試薬が検出可能な信号422を作り出す隣接分析パッドあるいは反応パッドに入る。電磁波373の入射ビームは、その後分析パッドを通って光検出器322へと導かれる。光検出器322により検出された光の量はその後サンプル内のヘモグロビン濃度測定のために分析される。
【0167】
クレアチニン分析は血液分離パッドの細胞が血液サンプルから取り除かれる細胞膜418で行なわれ、その後、検出可能な生成物422を作り出すための一連の反応を通し、血清は事前に装填された試薬がクレアチニンと反応する反応パッドあるいは分析パッドに移動する。これらの反応の詳細は以下で説明、検討される。その後、クレアチニンの量は光検出器によって検出された信号に基づき計算される。
【0168】
次に図25Dについてであるが、心疾患マーカー分析はサンプルが血液分離パッドを通り抜ける間にサンプル内の細胞から血漿が分離される細胞膜420で実施される。血液分離パッドは細胞が通り抜けられない細孔の大きさのふるいあるいはフィルターを持つのが望ましい。様々な心疾患マーカー検体を含む血清は、その後特定の検体のための異なるタイプの信号媒介剤を含む標識帯に入る。異なる信号媒介剤は対応する検体に特定の親和性を持つ結合部を含むことが可能である。例えば、第一信号媒介剤はCK−MBに結合している抗体に付着した蛍光性の微小粒子であることが可能であり、第二信号媒介剤はTnIに結合している抗体に付着した不透明な微小粒子であることが可能であり、第三信号媒介剤はミオグロビンに結合している抗体に付着したIR(赤外線)吸収微小粒子であることが可能である。サンプルが標識帯を通り抜ける際、対応する各検体が対応する信号媒介剤で標識される。細胞膜420はそれぞれが特定の抗体と結合する結合剤を含む一連の分析パッドを含む。例えば、第一分析パッドはCK−MBに対する捕捉抗体、TnIに対する第二捕捉抗体、ミオグロビンに対する第三捕捉抗体を含むことが可能である。標識のついたサンプルが各反応パッドあるいは分析パッドを通る際、対応する標識のついた検体それぞれが対応する分析パッドで対応する捕捉剤と結合する。この方法では、各検体の濃度は、その後対応する各分析帯に存在する信号媒介剤の量の分析により測定することが可能である。この技術の当業者がこの開示から推量するように、分析パッドの反応測定には異なるタイプの光源と検出器が必要とされる可能性がある。蛍光性微小粒子は微小粒子中の蛍光標識を刺激する特定の波長の光源を必要とし、蛍光性微小粒子からの特定の波長の放射光検出のため特定の光検出器が必要とされる。そのためIR微小粒子はさらにもう1つの適切な光源となるIR光源と不透明な微小粒子を必要とする。上記図17Bに図示されているように、マイクロワイヤー検出器はそれぞれが特定の波長を放射する異なる直径個別半導体マイクロワイヤーとともに使用されることが可能である。どのような記録密度、サイズ、直径、結果として生じる波長であっても、用意することが可能である。説明の通り、同様に、マイクロワイヤーエミッター320はこれらの望ましい結果を達成するため、対応するマイクロワイヤー検出器と組み合わせて構成することが可能である。
【0169】
以下は、上記の本発明の高齢者ケアパッチ反応と検出システムの詳細である。
A.心疾患マーカーCK−MB 、TnI、ミオグロビンの数量化
標識帯あるいは接合放出パッドに浸透しているのは、関心のある心疾患マーカーに対する特定の信号標識が付いた第一抗体(着色ラテックス粒子あるいは蛍光標識あるいは酵素標識)である。分析パッドの捕捉抗体は生体内あるいは体外で生成することが可能である。抗体の生成方法は当技術分野の専門家には周知である。例えば、ピーター・デルブス(Ed)、ジョン ワイリー アンド サンズ社「抗体生成:不可欠なテクニック」ISBN:0471970107(1997)を参照されたい。代替的に、抗体は商業的供給源から入手することも可能である。抗体は当技術分野で周知の共有結合、直接吸着、物理的捕捉、タンパク質でコーティングされた表面への結合など、様々な方法により固相で固定化することが可能である。
【0170】
心疾患マーカーはサンプル層で第一検体と結合する。この層を通る結成の動きで検体−抗体複合体の分析パッドへの移動が可能になる。
【0171】
分析パッド(ニトロセルロース紙あるいはホウケイ酸紙基質)に浸透しているのは、捕捉抗体で、一般的には捕捉帯を形成するためのバンドのような形態の分析パッドと結合している。捕捉抗体は標識の付いた検体を捕捉する。検体の存在は検出可能な信号線あるいは信号帯を捕捉帯に作り、信号が生成される(蛍光性あるいは有色)。過剰な標識の付いた抗体は引き続き固相を移動し、第二信号帯を形成しながら固定化した抗体に捕捉される。これは装置が稼動していることを表示する内部精度管理に使用される。
B.クレアチニンの数量化
以下のセクションは、本発明の高齢者ケアパッチで使用されているクレアチニンの数量化とクレアチニン分析を説明している。
【0172】
クレアチニン分析:
クレアチニナーゼ
クレアチニン+HO → クレアチン
クレアチナーゼ
クレアチニン+HO → サルコシン + 尿素
サルコシン・オキシダーゼ
サルコシン+O+HO → ホルムアルデヒド + グリシン + H
ペルオキシダーゼ
+ 還元クロマジェン → 酸化クロマジェン + H
(無色) (有色)

反応帯:上記のクレアチニン反応に必要な全ての酵素が細胞膜に浸透している。クレアチニン分析のため、反応パッドはクレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、サルコシン・オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、H22の存在下でペルオキシダーゼによって検出可能な反応生成物に変えられる基質試薬を含んでいる。反応パッドは多孔性の、流体が完全に浸透した後の厚みが約125μm、直径が約1mmの融解ポリマー基質細胞膜であることが望ましい。各パッドの吸収量は5−10μmの範囲であることが望ましい。
【0173】
クレアチニンの数量化:反応帯の最後は生成された過酸化水素が酸化されることで変色するクロマジェンを介した吸収度により数量化される分析帯である。
【0174】
ファームウェアあるいはソフトウェアにアルゴリズムが含まれており、検体濃度が特定のレベルから上下した場合に、患者が適切な行動が取れるよう警告音を発する。それに加え、本発明の持続放出の特徴により、様々な薬、ホルモン、あるいはその他の流体治療が高齢者ケアパッチから行なわれることが可能である。
C.総ヘモグロビンの数量化
ヘモグロビン分析は貧血の検出に使用される。貧血は60−80%の腎機能障害の患者の生活の質と早期死亡に影響があることが知られている。
【0175】
これまでヘモグロビン濃度測定はシアンメトヘモグロビン法で行なわれてきた。この方法では、RBC溶解パッドのRBC溶解のため、エリスロシトリティックあるいは赤血球溶解剤が使用される。これまでいくつかの赤血球溶解剤と方法が科学の出版物や特許で説明されている。例えば米国特許第3,874,852号明細書、第4,286,963号明細書、第4,346,018号明細書、第4,485,175号明細書、第4,528,274号明細書、第4,751,179号明細書、第5,731,206号明細書である。細胞溶解試薬は市販されている。RBC溶解パッドは赤血球細胞の細胞膜による濁りを減少させるため非イオン性界面活性剤も含むことが可能である。放出されたヘモグロビンは、メトヘモグロビン精製のため、フェリシアン化カリウムなどの反応パッドの酸化剤の作用により酸化される。その後、シアンメトヘモグロビン(HiCN)形成のため、シアン化物イオンは安定したヘモグロビン測定サンプルを生成するメトヘモグロビンと結合する。シアンメトヘモグロビンサンプルの吸収度は既定の波長で測定される。この方法はヘモグロビン濃度測定の標準的な方法として世界中で採用されている。
【0176】
ヘモグロビン分析のため、反応パッドはフェリシアン化カリウム(0.6mM)、シアン化カリウム0.7mMを含む。アルカリ媒体内ではフェリシアン化カリウムはヘモグロビンとメトヘモグロビンに対するその派生物を酸化する。シアン化カリウムとの後続反応は、540nmで最大吸収を持つさらに安定したシアンメトヘモグロビンを生成する。
【0177】
反応帯の最後は分析帯であり、そこでは着色された生成物の量が数量化される。検出器は総ヘモグロビン測定のための血液適用前後の反射あるいは送信された光の変化を測定する。
【0178】
ファームウェアあるいはソフトウェアにアルゴリズムが含まれており、検体濃度が特定のレベルから上下した場合に、患者が適切な行動が取れるよう警告音を発する。
【0179】
本発明のこの特定の実施形態においては、高齢者ケアパッチあるいはブレスレットは、ワイヤレスに連動し患者の高性能な家庭環境と一体化した音声作動式あるいは音声認識パッチシステムに有利装備することが可能である。そのため、本発明のさらなる使用方法により、もし退職者専用住宅地において高齢者が全ての高齢者用のリアルタイム出力で遠隔操作のパッチを装着していれば、当発明者が意図するように、突然患者が何らかの健康状態の異常に見舞われた場合、使用者は例えば単に「911に電話」と声に出して言うだけで良い。その後高齢者ケアパッチがこの音声命令を受信し、本発明のこれらの態様による高齢者医療の高性能な家庭環境に使用されている無線ワイヤレスインターフェースにより911にダイヤルする。この方法のさらなるステップにより、主治医が即座に通知を受け、その後患者の生体信号がパッチから病院、医師のオフィス、また/あるいは患者のもとに急行する救急車の救急医療師にリアルタイムに送信される。高齢者ケアパッチにさらに機能を加えるため、この装置には使用者が医療従事者に自分の場所を連絡できない場合に備え、GPS機能を有利搭載することが可能である。その場合、患者の場所はGPSにより割り出され、その後ワイヤレス送信により高性能な家庭環境や関連のネットワークに連絡される。
【0180】
態様と適用のまとめ
本発明の特定の態様が、関連の精神衛生、脳、認知科学の分野に使用される個人診断装置においても使用され得ることが、発明者により現在意図されている。本発明のこの適用においては、発明者は脳の活動、使用者の神経システムの機能また/あるいは関連の信号をモニターできるバイオパッチあるいはブレスレットを意図している。
【0181】
患者が恐怖、悲しみ、あるいは憂鬱さを感じた場合、血圧や心拍数など精神状態に関係がある純粋な精神的パラメーター検出は、ここで開示され検討されたパッチ技術により実施することが可能である。それに加え、当発明者は精神機能と神経反応のパターンはバイオパッチとバイオブレスレットにより検出し、検出された生体、精神パラメーターと併せ、患者のさらなる治療のためより複雑な方法で使用することが可能であると提案する。
【0182】
カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の脳工学研究所の目標は脳のメカニズム、働き、行動の基本的理解の実現である。神経解剖学、心理学、生化学、行動などの幅広い分野からの脳の情報の爆発的な増加があり、浩瀚な資料の意味を理解する努力を実らせるため数学、コンピュータサイエンス、工学からの手法が持ち込まれた。UCIの研究所とその他の機関は、発展分野の神経生物学からの急増する新しいデータと実態を活用し、実際の脳の詳細なデザインを調査した。
【0183】
UCIの研究者はそれまで無視されていた、神経回路網と大きく異なり心理学的あるいは神経学的研究からは予想されていなかった力強いアルゴリズムを示す脳回路の解剖学の配線図と精神活動のメカニズムの詳細を発見した。例えば、表在性皮質のUCIモデルは予想されていなかったほど複雑な階層的構造形成のタスクを行なう。例えば、J・アンブロス−インジャーソン、R・グランジャー、G・リンチ著「階層的構造形成を実行する旧皮質シミュレーション」(1990)サイエンス第247判1344−1348頁を参照されたい。
【0184】
様々な脳の部位から生じたUCIアルゴリズムは、予想外に効果的で効率的で、これまで現実世界での応用の様々な利用法が発見されている。UCI皮質モデルから派生したハードウェアとソフトウェアシステムは、アルツハイマー病の早期診断において臨床医学者の手助けとなる将来性のある装置として正常な被験者とアルツハイマーの被験者のEEGデータ分析に使用されている。J・ベンベヌト、Y・ジン、M・カザレ、G・リンチ、R・グランジャー著「アルツハイマー病における誘発反応の潜在的なセグメント診断の検証」(2002)エクスパー・神経学第176判269−276頁、R・グランジャー「誘発反応の潜在性を使った神経学的状態評価と治療の方法とコンピュータプログラム製品」(2001)米国特許第6,223,074号明細書を参照。
【0185】
マサチューセッツ工科大学(MIT)において、脳と認知科学学部の研究者は、神経システムの基本的な要素を脳の基本的なレベルで理解するため、どのようにして細胞神経学と分子神経学を利用することが可能かを研究中である。そして電位力を伴うニューロン膜の複雑な分子機構の相互作用が、ニューロンが互いに連絡し合うシナプス接合の理解には重要であると解明した。そのような理解は、ここに開示されている発明者に有利に適用され得る。
【0186】
そのため、例えばUCIとMITなどのいくつかの学術機関において認知科学と脳科学の分野で現在行なわれている基礎研究と実験に照らし、これまで様々な関連の技術を試みたどの技術者にも熟慮されてこなかった精神衛生と脳科学の領域において当発明者は現在のバイオパッチとバイオブレスレットの実用的な適用を意図する。例えば、当発明者は一旦脳の信号がよく理解されると、本発明 の実施がそのような信号の検出を含む可能性があると考えている。その後、その信号は上記ストレスパッチ、制御された薬放出パッチ、高齢者ケアパッチなどのとの関連で説明されたワイヤレスネットワークで有用な結果に変換される。
【0187】
ここでそれほど具体的に組み込まれていなくとも、この明細書で言及、前述、あるいは引用された全ての特許、特許出願、その他の出版物は、全体として参照することによりここに明確に組み込まれている。
【0188】
特定の好適な実施形態を参照して本発明の詳細が説明されている一方、当然のことながら本発明はそれらの実施形態に厳密に限定されるものではない。むしろ、発明の実行にあたっての現在の最高の形態を説明するこの開示をもとに、当技術分野の専門家により本発明の精神と範囲を逸脱しない範囲で多くの改良とバリエーションが起こるであろう。例えば、バイオパッチ実施は体のどの表面積とも一致するように作成することが可能であり、手首での使用のために必ずしも長方形に限定されるものではない。異なるサイズや形態にも応用できる。使用に際し、例えば腰、下頸部、肩、胸部、あるいは頭などの体表面との密着性を高めるため、バイオパッチは所定の外観を持つことも可能である。同様に、例えば流体回路、処理装置、制御装置、洗浄バッファー槽、薬物あるいはホルモン放出貯留槽、弁、流体チャンネル、検出器、エミッター、電極などの各層と層要素の多くは、必ずしも示された配置や位置に制限されるものではないが、意図された機能と結果達成のため、むしろ代替的に適切な層のどこにも位置し、あるいは単独の層と組み合わせることが可能である。
【0189】
そのため、本発明の範囲は前記説明によってではなく、以下の主張により示される。主張の意味と一連の同値の全ての変化、改良、バリエーションはこの範囲内で行なわれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】図1はPCのそばに本発明である個人診断装置の使用者が座っている斜視図である。これは、テストの結果をパーソナルコンピュータのモニターに表示するために装置からパソコンにテストの結果をワイヤレスでダウンロードしている様子を表している。
【図2】図2は図1に示されている分析用の、個人診断装置の一実施形態の斜視図である。これは関連する主要な層それぞれの部分の断面図を含む。
【図3−A】図3Aは、図1に示された分析用診断装置の代替実施形態の分解斜視図である。ここでは主要な層と、可換部分それぞれの構成要素を示すための断面図を用いて、可徹、可換部分が示されている。
【図3−B】図3Bは、リーダー装置の斜視図である。これはある実施形態において、図3Aに示された取り外し可能な装置の先端部分に保存された結果をダウンロードするために使われる。
【図4】図4は、図1から3で示された個人診断装置の代替実施形態の斜視図である。ここには機器の表面にある、サンプル採取投入口も示されている。
【図5】図5は図1に示された個人診断装置の他の代替実施形態の分解斜視図である。これにはオーディオ出入力のための音響部分や音響センサーマイクが備わっている。
【図6】図6は、治療の進展を画像化するためのCCD付き極低温の腫瘍治療のアセンブリを含む、図1で示した個人診断装置の追加的なさらにもう1つの代替実施形態の分解斜視図である。
【図7−A】図7Aは、本発明による個人診断装置の主要なサンプル採取、流動化処理、結果検出層の分解斜視図である。
【図7−B】図7Bは、本発明による主要な結果検出層、電子処理層、論理制御層、個人診断装置の出入力層を図解する分解斜視図である。
【図8−A】図8Aは、バイオブレスレットの形状により実現される本発明の個人診断装置の斜視図である。
【図8−B】図8Bは、バイオパッチの形状により実現される本発明による個人診断装置の斜視図である。
【図9】図9は、本発明の双方向の分析的個人診断装置の様々な実施形態と連結して使用される単独マイクロ流体回路の拡大詳細平面図である。
【図10】図10は、図示したマイクロ流体回路エミッターと連結して使用される検出器組立を含む、図9と類似の図である。
【図11−A】図11Aは、DNA分析に使用される本個人診断装置の1つの特定の実施形態で使用されるサンプル採取層、流体回路層、過熱洗浄層、結果検出層の分解斜視図である。
【図11−B】図11Bは、DNA分析実施のための図11A に図示されている層を含む、完全に組み立てられた個人診断装置の各部分の断面図を伴う斜視図である。
【図12】図12Aから12Gは、DNA分析実施のため使用される図11A と11Bに図示されている装置の流体処理回路を通じてテストサンプルの経過を表す一連の関連の横断面図を示している。
【図13−A】図13Aは、流体の流れを制御するための本発明の流体回路において使用される圧力弁の図表示である。
【図13−B】図13Bは、内部の流体の流れを制御し誘導するために本発明の流体回路で使用されるノーマルクローズの融解弁を図式的に示したものである。
【図13−C】図13Cは、流体の流れを誘導し制御するために本発明の流体回路内で使用されるノーマルオープンの融解弁を図式的に示したものである。
【図13−D】図13Dは、流体の流れを制御するために本発明の流体回路内で使用されるもう1つのノーマルオープンの融解弁を図式的に示したものである。
【図13−E】図13Eは、時限流体弁を形成するために使用される溶解性プラグの閉時、部分溶解時、流動可能な開時、それぞれの図表示である。
【図14】図14Aから14Kは、ここに開示された個人診断装置の使用による発光エミッターと検出器、DNA、小分子、細胞分析結果の画像化のためのライトエミッターと検出器として本発明で使用される半導体ナノワイヤーとマイクロワイヤーアセンブリの詳細な分離概略図と線図である。
【図15−A】図15Aは、細胞分析を実行する本個人診断装置のもう1つの特定の実施形態内で使用されるサンプル採取層、流動化処理層、結果検出層、洗浄バッファー槽層の分解斜視図である。
【図15−B】図15Bは、図15Aの個人診断装置の洗浄バッファー槽、マイクロワイヤー検出器、捕捉帯層の分離分解斜視図である。
【図15−C】図15Cは、細胞分析実施のための図15A に図示されている層を含む、完全に組み立てられた個人診断装置の各部分の断面図を伴う斜視図である。
【図16】図16Aから16Fは、細胞分析実施のため使用される図15A、B、C装置の流体処理回路を通じてテストサンプルの経過を表す一連の関連の横断面図を示している。
【図17】図17Aと17Bは、本個人診断装置の使用による発光エミッターと検出器、細胞分析結果の画像化のためのライトエミッターと検出器として本発明において使用されている半導体マイクロワイヤーアセンブリの略平面図である。
【図18−A】図18Aは、小分子分析のための本個人診断装置のさらにもう1つの特定の実施形態内で使用されるサンプル採取層、流動化処理層、代替結果検出層の分解斜視図である。
【図18−B】図18Bは、図18Aに示された小分子分析のための層を含む完全に組み立てられた個人診断装置を示す各部分の断面図を伴う斜視図である。
【図18−C】図18Cは、図18A、Bの個人診断装置のインシュリン貯留槽とサプライランセットの分離分解斜視図である。
【図19】図19Aと19Bは、図18A、Bの小分子分析実施のため使用される装置の流体処理回路を通じてサンプルの経過を表す2つの関連の横断面図である。
【図20−A】図20Aは、応力解析実施のための本個人診断装置のもう1つの特定の代替実施形態内で使用されるサンプル採取層、結果照明層、流体処理層、結果検出層、洗浄バッファー槽層の分解斜視図である。
【図20−B】図20Bは、本発明の特定の態様による図20Aに示された応力解析のための層を含む完全に組み立てられた個人診断装置の各部分の断面図を伴う斜視図である。
【図21】図21Aから21Dは、図20A、Bに示された応力解析実施のため使用される装置の流体処理回路を通じてテストサンプルの経過を示す一連の関連の横断面図を示している。
【図22−A】図22Aは、リアルタイム使用中のスポーツパフォーマンス分析のための本発明によるもう1つの特定の代替個人診断装置の実施形態内で使用されるサンプル採取層、反復流体層、結果検出層の分解斜視図である。
【図22−B】図22Bは、本発明のその他の特定の態様による図22Aに示されたスポーツパフォーマンス分析のための層を含む完全に組み立てられた個人診断装置を示す各部分の断面図を伴う斜視図である。
【図23】図23Aから23Eは、スポーツパフォーマンス分析実施のため使用される図22A、Bの装置の流体処理回路を通じてサンプルの経過を表す一連の横断面図を示している。
【図24−A】図24Aは、ここで老齢の患者の高齢者介護モニター実施のために個人診断装置のその他の特定の実施形態内で使用される サンプル採取層、流体層、結果検出層の分解斜視図である。
【図24−B】図24Bは、図24Aに示された老齢の患者の高齢者介護モニター実施に利用される層を含む完全に組み立てられた個人診断装置を示す各部分の断面図を伴う斜視図である。
【図25】図25Aから25Dは、図24A、Bに示された老齢の患者の高齢者介護モニターに使用される装置の流体処理回路を通じてサンプルの経過を表す一連の関連の横断面図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者から流体サンプルを採取するためのサンプル採取層と、
前記使用者から得られた前記流体サンプルを処理するための流体サンプル層で、前記サンプル採取層と流体連通している前記流体サンプル層と、
前記流体サンプルの前記処理から生じた診断結果を検出するための手段と、
前記診断結果を表示するための手段を含む個人診断装置。
【請求項2】
さらに少なくとも1つの加圧ガスを含有する空洞を含む請求項1の装置。
【請求項3】
さらに少なくとも1つの真空の空洞を含む請求項1の装置。
【請求項4】
さらに流体の流れを遅延させるための疎水性表面を含む請求項1の装置。
【請求項5】
さらに流体の流れを促進するための親水性表面を含む請求項1の装置。
【請求項6】
さらに前記使用者にフィードバックを提供するためのサウンドエミッターを含む請求項1の装置。
【請求項7】
さらに論理処理システムを含む請求項1の装置。
【請求項8】
さらに前記論理処理装置内にIPアドレスを含む請求項7の装置。
【請求項9】
使用者の周囲環境からのエアサンプルを採取するためのエアサンプル採取部と、
少なくとも1つの特定の空気汚染物質のために前記エアサンプルをテストするための手段と、
使用者から流体サンプルを採取するための流体サンプル採取層と、
前記使用者から得られた前記流体サンプルを処理するための流体サンプル層で、前記サンプル採取層と流体連通している前記流体サンプル層と、
前記流体サンプルの前記処理から生じた診断結果を検出するために使用される検出器と、
前記診断結果を表示する表示する表示部を含む個人診断装置。
【請求項10】
さらにTCP/IPを有する論理処理システムを含む請求項9の装置。
【請求項11】
さらに前記使用者の位置に関する遠隔情報を提供するための受信機と送信機を含む請求項9の装置。
【請求項12】
さらに前記検出器により検出された前記診断結果処理のための処理装置を含む請求項9の装置。
【請求項13】
前記処理装置は、前記使用者の医学的状態に関する出力情報を発生する請求項12の装置。
【請求項14】
さらに前記出力情報を保存するためのメモリを含む請求項13の装置。
【請求項15】
個人診断装置を使用する方法であって、次のステップを含む方法。
使用者に各個人診断装置を装着、
前記個人診断装置で前記使用者から生体サンプルを採取、
前記使用者に関する医学的あるいは健康情報を得るため前記個人診断装置内の前記生体サンプルを処理、
前記情報を受信装置に送信、及び
前記医学的状態に関する出力結果を表示。
【請求項16】
さらに前記送信ステップが実行される前に前記個人診断装置内の前記情報を保存するためのステップを含む請求項15の方法。
【請求項17】
前記受信装置は、前記個人診断装置内にある請求項15の方法。
【請求項18】
前記受信装置は、パーソナルコンピュータである請求項15の方法。
【請求項19】
前記受信装置は、連絡ネットワークと結ばれている請求項15の方法。
【請求項20】
前記生体サンプルは、血液である請求項15の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図14H】
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【図14I】
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【図14J】
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【図14K】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図23D】
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【図23E】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【公表番号】特表2007−503958(P2007−503958A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526215(P2006−526215)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/028964
【国際公開番号】WO2005/084534
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506072675)ライフパッチ インターナショナル,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】