説明

個人認証カードおよび個人認証ネットワークシステム

【課題】個人を認証できるようにすると共に情報を受信して表示できるようにしたIDカードを提供することを目的とする。
【解決手段】IDカード3は、個人を認証するための個人認証情報を有すると共に情報送信ネットワークから送信された情報を受信して該情報を表示装置3aに表示する。認証ネットワークのゲートステーションは、このIDカード3のコード記号3pを走査して個人認証情報を読み取り、個人を認証してゲートの開閉を制御する。これにより、IDカード3の1つで、身分を証明するための身分証、個人の入退場を管理するゲートキーおよび情報を受信して表示する情報端末の機能を兼ねることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人を認証するための個人認証カードおよびこれを用いた個人認証ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
個人の身分を示す情報が記載された身分証カードは、例えば、社員証、学生証、免許証および保険証として広く使われている。また、近年、IC(Integrated Circuit)カードが広く普及しており、これらの身分証にICカードが使用されることが多い。このようなIC付き個人認証カードは、社員証として使用されることがあり、また、会社や事業所の建物に入る際の電子キーと兼用する場合もある。更には、社内で、ネットワークやパーソナルコンピュータを使用する認証キーに用いられることもある。例えば、RFID(Radio Frequency Identification)のように電波などを使用して情報を送信し、IC付き個人認証カードに内蔵された識別番号及びパスワードとコンピュータネットワークのサーバに保存された識別番号及びパスワードとを照合して認証を行う。
【0003】
特許文献1には、ページャ機能を備えた電子名札が開示されている。この電子名札によれば、表側と裏側の両方に液晶表示手段を備え、所属や名前などの名札情報を表側に表示し、ページャ機能によって受信したメッセージなどを裏側に表示する。
【0004】
また、特許文献2には、カードの保有者を認証するIDカードが開示されている。このIDカードによれば、指紋などの人的特徴を示す個体識別情報を記憶するメモリと、人的特徴を検出する検出部と、検出部により検出された人的特徴とメモリに記憶された人的特徴を示す個体識別情報とを照合する照合部とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−258469号公報
【特許文献2】特開2002−24784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来例に係るICカードによれば、1つ1つがオーダーメイドであり、高価になってしまうことがある。また、社内の打ち合わせ等では、その情報を共有するために、各人がPC(パーソナルコンピュータ)や携帯電話等の情報機器を持ち歩く必要がある。この場合、簡単なスケジュールやイベントがすぐにわかるようにICカードと情報機器の一部の機能が一体になっていれば便利である。特許文献1に記載の電子名札はページャ機能を備えているが個人を認証する機能を備えておらず、個人の入退場を自動的に管理することが困難である。また、特許文献2に記載のIDカードは、ネットワークから送信された情報を受信して表示することが困難であり、スケジュールやイベントを管理することが難しい。
【0007】
そこで、本発明はこのような従来例に係る課題を解決したものであって、個人を認証できるようにすると共に情報を受信して表示できるようにした個人認証カードおよび個人認証ネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る個人認証カードは、個人を認証するための個人認証情報を有した個人認証カードであって、情報送信ネットワークから送信された情報を受信する受信部と、前記受信部により受信した情報から出力情報を生成する生成部と、前記出力情報を表示する表示部とを備えるものである。
【0009】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る個人認証ネットワークシステムは、情報を無線で送信する情報送信ネットワークと、個人を認証するための個人認証情報を有すると共に前記情報送信ネットワークから送信された情報を受信して該情報を表示する個人認証カードと、前記個人認証カードの個人認証情報を読み取って個人を認証する認証ネットワークとを備えるものである。
【0010】
本発明において、情報送信ネットワークは情報を無線で送信する。個人認証カードは、情報送信ネットワークから送信された情報を受信して該情報を表示する。認証ネットワークは、個人認証カードの個人認証情報を読み取って個人を認証する。これにより、個人認証カード1つで、身分を証明するための身分証、個人の入退場を管理するゲートキーおよび情報を受信して表示する情報端末の機能を兼ねることができる。
【0011】
個人認証カードは、その記憶部に出力情報を記憶し、スイッチ部によりこの記憶部に記憶された出力情報を切り替える。個人認証カードの表示部は、スイッチ部により切り替えられた出力情報を順次表示する。
【0012】
個人認証情報はコード記号で表示され、このコード記号は、認証ネットワークのコード記号走査装置により走査されて個人認証情報が読み取られる。予め登録された個人認証情報と、このコード記号走査装置により読み取られた個人認証情報が照合され、これらの個人認証情報が一致すれば入り口のゲートが開かれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る個人認証カードによれば、個人を認証するための個人認証情報を有すると共に、情報送信ネットワークから受信した情報を表示部に表示するものである。これにより、個人認証カード1つで、身分を証明するための身分証、個人の入退場を管理するゲートキーおよび情報を受信して表示する情報端末の機能を兼ねることができる。
【0014】
また、本発明に係る個人認証ネットワークシステムによれば、個人認証カードが、個人を認証するための個人認証情報を有すると共に情報送信ネットワークから送信された情報を受信して該情報を表示し、認証ネットワークが、この個人認証カードの個人認証情報を読み取って個人を認証するものである。これにより、身分証、ゲートキーおよび情報端末の機能を兼ね備えた個人認証カードにより、個人を認証できると共に情報を受信して表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】A及びBは、個人認証ネットワークシステム100の構成例を示す概略図である。
【図2】IDカード3の装着例を示す説明図である。
【図3】個人認証ネットワークシステム100の応用例を示す説明図である。
【図4】IDカード3の外観の構成例を示す正面図及び側面図である。
【図5】IDカード3の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図6】A及びBはIDカード3の社員用の表示例(その1)を示す正面図である。
【図7】A及びBはIDカード3の社員用の表示例(その2)を示す正面図である。
【図8】A及びBはIDカード3の客人用の表示例(その1)を示す正面図である。
【図9】IDカード3の客人用の表示例(その2)を示す正面図である。
【図10】IDカード3の使用例(その1)を示す説明図である。
【図11】IDカード3の使用例(その2)を示す説明図である。
【図12】IDカード3の情報取得例(その1)を示す説明図である。
【図13】IDカード3の情報取得例(その2)を示す説明図である。
【図14】ゲートステーション102C,102Dの動作例を示す説明図である。
【図15】IDカード3Aの制御系の構成例を示すブロック図である。
【図16】指紋認証部30の構成例を示すブロック図である。
【図17】A及びBは、IDカード3Aの表示例を示す正面図である
【図18】IDカード3Bの制御系の構成例を示すブロック図である。
【図19】パスワード認証部35の構成例を示すブロック図である。
【図20】A及びBは、IDカード3Bの表示例を示す正面図である
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
続いて、本発明に係る個人認証カードおよび個人認証ネットワークシステムを実施するための形態について説明する。本発明は、個人認証カードが、個人を認証するための個人認証情報を有すると共に情報送信ネットワークから受信した情報を表示部に表示することにより、個人認証カード1つで、身分を証明するための身分証、個人の入退場を管理するゲートキーおよび情報を受信して表示する情報端末の機能を兼ねることができるようにしたものである。
【0017】
[個人認証ネットワークシステム100の構成例]
図1Aを参照して、個人認証ネットワークシステム100の構成例について説明する。図1Aに示すように、個人認証ネットワークシステム100は、認証ネットワーク1、情報送信ネットワーク2、個人認証カードの一例であるIDカード3及びサーバ4から構成されている。この例で、サーバ4は、認証ネットワーク1及び情報送信ネットワーク2の両方に属している。
【0018】
認証ネットワーク1は、IDカード3の個人認証情報を読み取って個人を認証する。個人認証情報は、コード記号(バーコードや二次元コード等)でIDカード3の表示装置3a(図1B参照)に表示される。個人認証情報には、識別番号や氏名、パスワードなどが含まれる。
【0019】
認証ネットワーク1は会社内に配設され、個人認証コントローラ101、ゲートステーション102A,102B、固定ステーション111,112,・・・,Mおよびサーバ4から構成されている。ゲートステーション102A,102Bはコード記号走査装置の一例であり、コード記号を走査して個人認証情報を読み取る。個人認証コントローラ101は、ゲートステーション102A,102Bにより読み取られた個人認証情報に基づいて個人の入退場を管理する。
【0020】
この例で、ゲートステーション102Aは建物の入り口付近に設置され、コード記号を走査して識別番号や氏名、パスワードから成る個人認証情報を読み取る。ゲートステーション102Aは、読み取った識別番号及びパスワードを個人認証コントローラ101に出力する。個人認証コントローラ101は、予め登録された個人認証情報の識別番号及びパスワードと、ゲートステーション102Aから出力された個人認証情報の識別番号及びパスワードとを照合し、これらの個人認証情報が一致すれば入り口のゲートを開くように制御する。個人認証コントローラ101は、この個人認証情報が示す社員を入館状態として記憶する。
【0021】
一方、ゲートステーション102Bは建物の出口付近に設置され、コード記号を走査して識別番号や氏名、パスワードから成る個人認証情報を読み取る。ゲートステーション102Bは、読み取った識別番号及びパスワードを個人認証コントローラ101に出力する。
【0022】
個人認証コントローラ101は、ゲートステーション102Bから出力された個人認証情報の識別番号が入館状態として記憶されているか否かを判定する。個人認証コントローラ101は、この識別番号が入館状態として記憶されていない場合、ブザー音などによりエラーを出力する。識別番号が入館状態として記憶されている場合、個人認証コントローラ101は、予め登録された個人認証情報の識別番号及びパスワードと、ゲートステーション102Bから出力された個人認証情報の識別番号及びパスワードとを照合し、これらの個人認証情報が一致すれば出口のゲートを開くように制御する。個人認証コントローラ101は、この個人認証情報が示す社員の入館状態を解除して退館状態として記憶する。
【0023】
図1Aに示す情報送信ネットワーク2は、スケジュールなどの情報を無線で送信する。この例で、情報送信ネットワーク2は、IDカードコントローラ201、基地局211,212,・・・,Nおよびサーバ4から構成されている。サーバ4には、掲示板やスケジュール、外部向けの情報などが記憶されている。これらのサーバ4の情報は、PCコントローラ5を介して情報送信ネットワーク2に接続されたPC6a〜6cにより設定される。
【0024】
サーバ4に記憶されている掲示板は、社内に通知すべき施設の使用注意、ネットワークのメンテナンスや社内行事等が適宜担当者から設定される。サーバ4に記憶されているスケジュールは、公開して問題のない社員の日程などが記載される。サーバ4に記憶されている外部向け情報は、客人が訪問した際にPRとして伝送するものである。サーバ4は、これらのスケジュールなどの情報をIDカードコントローラ201に出力する。
【0025】
IDカードコントローラ201は、基地局211,212,・・・,Nを制御する。例えば、IDカードコントローラ201は、サーバ4から入力したスケジュールなどの情報を基地局211,212,・・・,Nに出力する。
【0026】
基地局211,212,・・・,Nはそれぞれ、IDカードコントローラ201から入力したスケジュールなどの情報を変調して無線信号として所定の伝搬領域に送信する。例えば、基地局211は図1Aの破線で示すグループAの伝搬領域に無線信号を送信し、基地局212は破線で示すグループBの伝搬領域に無線信号を送信し、基地局Nは破線で示すグループNの伝搬領域に無線信号を送信する。これらの基地局毎に異なる伝搬領域に送信する情報は、それぞれ異なる情報であってもよいし、又は同一の情報であってもよい。
【0027】
基地局211,212,・・・,Nはそれぞれ、IDカード3から送信された信号を受信してIDカードコントローラ201に出力する。例えば、最新のスケジュールなどの情報を受信したい場合、その問い合わせを示す信号をIDカード3からいずれかの基地局に送信する。この例で、基地局211は破線で示すグループAの伝搬領域に存在するIDカード3から送信された信号を受信し、基地局212は破線で示すグループBの伝搬領域に存在するIDカード3から送信された信号を受信し、基地局Nは破線で示すグループNの伝搬領域に存在するIDカード3から送信された信号を受信する。
【0028】
基地局211,212,・・・,Nはそれぞれ、IDカード3から送信された問い合わせを示す信号を受信してIDカードコントローラ201に出力する。IDカードコントローラ201は、最新のスケジュールなどの情報を出力するようにサーバ4を制御する。
【0029】
IDカード3は、個人を認証するための個人認証情報(識別番号やパスワードなど)を有すると共に情報送信ネットワーク2から送信されたスケジュールなどの情報を受信して該情報を表示する。
【0030】
固定ステーション111,112,・・・,Mは、スケジュールなどの情報を出力する。個人認証コントローラ101は、サーバ4からスケジュールなどの情報を取得して固定ステーション111,112,・・・,Mに出力する。この例では、無線信号の伝搬状態が不安定の際に、IDカード3が、情報送信ネットワーク2から送信されたスケジュールなどの情報を受信できない場合に、IDカード3を固定ステーション111,112,・・・,Mのいずれかに近接させ、固定ステーション111,112,・・・,Mからスケジュールなどの情報を受信する。例えば、固定ステーション111,112,・・・,MからIDカード3に対して、RFID(Radio Frequency Identification)、Bluetooth(登録商標)及びZigBee(登録商標)のように電波などを使用した短距離無線通信を実施して情報を送信する。IDカード3は、固定ステーション111などから情報を受信して当該情報を表示装置3aに表示する。これにより、情報送信ネットワーク2に不具合が発生しても、確実にスケジュールなどの情報を受信して表示することができるようになる。なお、上述の例では、固定ステーション111,112,・・・,MからIDカード3に対して電磁波により情報を送信する例を示したが、これに限らずIDカード3を固定ステーション111などにコネクタにより接触接続させて情報を伝送するようにしてもよい。
【0031】
[個人認証ネットワークシステム100の動作例]
続いて、個人認証ネットワークシステム100の動作例について説明する。IDカード3を所有する社員は社内の建物に入館する際に、認証ネットワーク1のゲートステーション102Aの光学系にIDカード3のコード記号をかざす。このコード記号は、ゲートステーション102Aにより走査されて個人認証情報(識別番号及びパスワード)が読み取られ、当該識別番号及びパスワードが個人認証コントローラ101に出力される。
【0032】
個人認証コントローラ101に予め登録された個人認証情報の識別番号及びパスワードと、ゲートステーション102Aから出力された個人認証情報の識別番号及びパスワードとが照合され、これらの個人認証情報が一致すれば入り口のゲートが開かれる。このとき、この個人認証情報が示す社員は、個人認証コントローラ101により入館状態として記憶される。
【0033】
掲示板やスケジュール、外部向けの情報などは、サーバ4によりIDカードコントローラ201を介して基地局211,212,・・・,Nに出力される。このスケジュールなどの情報は、基地局211,212,・・・,Nにより変調されて無線信号として破線で示すグループA,B,・・・,Nの伝搬領域に送信される。
【0034】
図1Bに示すように、IDカード3は、グループA,B,・・・,Nの伝搬領域に送信されたスケジュールなどの情報を受信して表示する。図1Bでは、IDカード3を所有するユーザ(例えば、図2に示すように、首からぶら下げてIDカード3を所有する。)がゲートステーション102Aを通過してグループAの範囲内に入ると、基地局211から無線信号として送信されているサーバ4からの掲示板の情報をIDカード3が受信する。すると、IDカード3の表示装置3aに掲示板の情報が表示される。また、IDカード3を所有するユーザがグループBの範囲内に入ると、基地局212から無線信号として送信されているサーバ4からのスケジュールの情報をIDカード3が受信する。すると、図1Bでは省略するが、表示装置3aにスケジュールの情報が表示される(表示装置3aの表示が掲示板の情報からスケジュールの情報に切り替わる)。更に、IDカード3を所有するユーザがグループNの範囲内に入ると、基地局Nから無線信号として送信されているサーバ4からの外部向けの情報をIDカード3が受信する。すると、図1Bでは省略するが、表示装置3aに外部向けの情報が表示される(表示装置3aの表示がスケジュールの情報から外部向けの情報に切り替わる)。
【0035】
なお、上述の説明では、IDカード3が、基地局211,212,・・・,Nから送信される無線信号により掲示板、スケジュール及び外部向けの情報を受信することを説明したが、固定ステーション111,112,・・・,Mから掲示板、スケジュール及び外部向けの情報を受信しても構わない。これにより、基地局211,212,・・・,Nから送信される無線信号がIDカード3に届かなくて受信できなくても、固定ステーション111,112,・・・,Mから掲示板、スケジュール及び外部向けの情報を受信できる。
このように、IDカード3の1つで、身分を証明するための身分証、個人の入退場を管理するゲートキーおよび情報を受信して表示する情報端末の機能を兼ねることができる。
【0036】
なお、最新のスケジュールなどの情報を受信したい場合、その問い合わせを示す信号をIDカード3から基地局211,212,・・・,Nのいずれかに送信する。当該基地局は、IDカード3から出力された問い合わせ信号を、IDカードコントローラ201を介してサーバ4に出力する。サーバ4は、このIDカード3からの問い合わせ信号を入力すると、最新のスケジュールなどの情報をIDカードコントローラ201に出力する。IDカードコントローラ201は、基地局211,212,・・・,Nを介して最新のスケジュールなどの情報をIDカード3に送信する。
【0037】
社内の建物から退館する際に、IDカード3を所有する社員は認証ネットワーク1のゲートステーション102Bの光学系にIDカード3のコード記号をかざす。このコード記号は、ゲートステーション102Bにより走査されて個人認証情報(識別番号及びパスワード)が読み取られ、当該識別番号及びパスワードが個人認証コントローラ101に出力される。
【0038】
ゲートステーション102Bから出力された個人認証情報の識別番号は、個人認証コントローラ101により、入館状態として記憶されているか否かが判定される。この識別番号が入館状態として記憶されている場合、個人認証コントローラ101に予め登録された個人認証情報の識別番号及びパスワードと、ゲートステーション102Bから出力された個人認証情報の識別番号及びパスワードとが照合され、これらの個人認証情報が一致すれば出口のゲートが開かれる。このとき、この個人認証情報が示す社員は、個人認証コントローラ101により入館状態が解除されて退館状態として記憶される。
【0039】
[個人認証ネットワークシステム100の応用例]
次に、個人認証ネットワークシステム100の応用例について説明する。図3に示すように、IDカードコントローラ201には基地局213,214,215がそれぞれ接続されている。基地局213は、食堂に設けられ、IDカードコントローラ201を介して出力される、サーバ4に記憶されている掲示板、スケジュールおよび外部向けの情報を変調して無線信号として破線で示すグループCの伝搬領域に送信する。また、基地局214は、事務所に設けられ、IDカードコントローラ201を介して出力される、サーバ4に記憶されている上述の情報を変調して無線信号として破線で示すグループDの伝搬領域に送信する。更に、基地局215は、会議室に設けられ、IDカードコントローラ201を介して出力される、サーバ4に記憶されている上述の情報を変調して無線信号として破線で示すグループEの伝搬領域に送信する。
【0040】
このように、食堂、事務所及び会議室に基地局213,214,215を設けることによって、IDカード3を所有するユーザが例えば食堂から事務所、事務所から会議室等に移動しても、IDカード3は、確実に基地局213,214,215から掲示板、スケジュール及び外部向けの情報を受信できる。つまり、IDカード3は、無線信号の伝搬領域内であれば社内のどこにいてもサーバ4が記憶している情報を取得することができる。
【0041】
なお、上述の説明では、IDカード3が、基地局213,214,215から送信される無線信号により掲示板、スケジュール及び外部向けの情報を受信することを説明したが、食堂に固定ステーション113を設け、事務所に固定ステーション114を設け、会議室に固定ステーション115を設けて、当該固定ステーション113,114,115から掲示板、スケジュール及び外部向けの情報を受信しても構わない。これにより、基地局213,214,215から送信される無線信号がIDカード3に届かなくて受信できなくても、固定ステーション113,114,115から掲示板、スケジュール及び外部向けの情報を受信できる。
【0042】
[IDカード3の外観例]
続いて、図4を参照してIDカード3の外観について説明する。図4に示すIDカード3のハウジング3sの表面には、薄型の表示装置3aが設けられている。この表示装置3aは、液晶ディスプレイ、電子ペーパー及び有機ELなど、薄く小型で文字、画像等を表示及び表示切換が可能な電子デバイスである。
【0043】
表示装置3aの左画面3Lには、顔写真3qやコード記号3p(バーコード、二次元コード)などの画像データが表示されている。また、表示装置3aの右画面3Rには、個人の所属等の文字データが表示されている。これらの左画面3L及び右画面3Rに表示される個人情報は、個々の社員がIDカード3を所有する際に登録される。なお、顔写真3qやコード記号3pは基本的に固定なので、表示装置3aを用いて表示することは必須ではなく、紙に印刷したものを貼り付けてもよい。
【0044】
右画面3Rに表示される文字データは、コード記号3pに埋め込まれた情報であり、このコード記号3pを不図示の光学走査装置で走査することによって、それらの情報を印刷、別表示装置等に出力することができる。
【0045】
表示装置3aの裏側には表示装置3aを駆動する駆動系や信号処理系を備えたプリント基板3iが内蔵されている。このプリント基板3iの構成については後述の図5に示す。更に、IDカード3には、当該IDカード3を駆動するためにボタン電池3dが着脱可能に設置され、また、情報送信ネットワーク2から情報を送受信するために、アンテナ3cが内蔵されている。
【0046】
また、IDカード3の側部には表示装置3aの表示内容を切り替えたり、リセットしたりするために各種ボタンが設けられている。例えば、表示画面を順方向に移動させるボタン3e、表示画面を逆方向に移動させるボタン3f、表示画面をリセットするボタン3g及びIDカード3からサーバ4へ問い合わせを実施するためのボタン3hが設けられている。更に、IDカード3の表面には、IDカード3が正常に情報を受信している場合に発光する発光素子の一例であるLED3bが設けられている。また、IDカード3の表面には、IDカード3が正常に情報を受信していない場合に放音する放音器の一例であるブザー3kが設けられている。
【0047】
続いて、図5を参照してIDカード3の制御系について説明する。図5に示すIDカード3の基板3iには、受信部301、データ取得部302、ページ画像生成部303、ページ画像記憶部304、表示駆動部305、表示部306、ページ切換部307、問い合わせ信号発信部308及びCPU309が設置されている。更に、基板3iにはCPU309に接続されたブザー3kが設置されている。
【0048】
受信部301はアンテナ3cに接続され、図1Aに示した情報送信ネットワーク2から送信されたスケジュールなどの情報を、アンテナ3cを介して受信する。データ取得部302は、受信部301からスケジュールなどの情報を取得してページ画像生成部303に出力する。
【0049】
ページ画像生成部303は生成部の一例であり、1ページ分(n行m列の表示画素)の画像データを生成してページ画像記憶部304に出力する。ページ画像記憶部304は記憶部の一例であり、ページ画像生成部303から出力されたページ画像を記憶する。ページ画像生成部303はページ画像記憶部304に記憶されたページ画像を表示駆動部305に出力する。表示駆動部305は、ページ画像生成部303から出力されたページ画像に基づいて表示部306を制御する。表示部306はページ画像を画面に表示する。表示駆動部305及び表示部306は表示装置3aを構成する。
【0050】
ページ切換部307は、ボタン3e,3f,3gからの操作信号に基づいて、ページ画像記憶部304に記憶されたページ画像の出力を切り換える。ページ画像生成部303はページ画像記憶部304を参照して、ページ切換部307により切り換えられたページ画像を表示駆動部305に出力する。なお、ページ切換部307およびボタン3e,3f,3gはスイッチ部の一例である。
【0051】
これにより、ボタン3e,3f,3gを操作することによって、表示部306の画面の表示を順次切り換えることができる。例えば、ボタン3eが操作されると表示画面を順方向に移動し、ボタン3fが操作されると表示画面を逆方向に移動し、ボタン3gが操作されると表示画面をリセットする。更にメニュー画面を備えている場合には、ボタン3e,3f,3gを操作することによってメニュー画面に切り換えてメニューの案内を選択できる。
【0052】
問い合わせ信号発信部308はボタン3hからの操作信号に基づいて、図1Aに示した基地局211,212,・・・,Nに問い合わせ信号を発信する。この問い合わせ信号は、情報送信ネットワークに所望の情報を要求するための情報である。この例で、IDカード3を所有する社員は、最新のスケジュールなどの情報を受信したい場合や情報がうまく表示できない場合などに、ボタン3hを操作して問い合わせ信号発信部308から基地局211,212,・・・,Nに問い合わせ信号を発信する。これにより、スケジュールなどの情報を再度受信できるようになる。問い合わせ信号発信部308による問い合わせでも情報を受信できない場合には、ユーザに情報が受信できないことを報知するためにブザー3kが鳴る。CPU309は、受信部301、データ取得部302、ページ画像記憶部304、表示駆動部305及び問い合わせ信号発信部308を制御する。
【0053】
なお、本実施例では、ブザー3kは、情報が受信できないときに鳴るようにしたが、これに限定されず、受信部301が情報を受信したら鳴るようにしても構わない。これにより、ユーザの聴覚によって情報の受信を認知することができる。
【0054】
[IDカード3の制御系の動作例]
続いて、IDカード3の制御系の動作例について説明する。図1Aに示した基地局211,212,・・・,Nから送信されたスケジュールなどの情報は、図5に示すアンテナ3cを介して受信部301により受信される。受信後、スケジュールなどの情報は、データ取得部302により受信部301から取得されてページ画像生成部303に出力される。スケジュールなどの情報は、ページ画像生成部303により1ページ分の画像データ(ページ画像)に生成されてページ画像記憶部304に記憶される。
【0055】
ページ画像記憶部304に記憶されたページ画像の出力は、ページ切換部307により切り換えられる。ページ切換部307により切り換えられたページ画像記憶部304のページ画像は、ページ画像生成部303により表示駆動部305に出力される。表示駆動部305は、ページ画像生成部303から出力されたページ画像に基づいて表示部306を制御し、表示部306はページ画像を画面に表示する。これにより、ボタン3e,3f,3gを操作することによって、表示部306の画面の表示を順次切り換えることができる。
【0056】
[IDカード3の表示例(社員用)]
続いて、図6及び図7を参照して、IDカード3の表示例(社員用)について説明する。図6Aに示すIDカード3における表示装置3aの左画面3Lには、顔写真3qおよびコード記号3pの画像データが表示され、表示装置3aの右画面3Rには、氏名や所属等を示す個人情報画面3tが表示されている。この個人情報画面3tの情報は、IDカード3のページ画像記憶部304に記憶されている。この例では、社員がIDカード3を所有する際に、最初に個人情報画面3tを示す情報をページ画像記憶部304に登録する。個人情報画面3tをページ画像記憶部304に登録する場合には、無線信号を使用してデータを送信してもよいし、IDカード3にコードを接続してデータを送信してもよい。例えばこの個人情報画面3tを初期画面に設定し、リセット用のボタン3gが操作されると、図6Aに示すように右画面3Rに個人情報画面3tが表示される。これにより、後述する他の画面から個人情報画面3tの画面に直ぐに戻ることができる。
【0057】
図6Bに示す左画面3Lには、顔写真3qおよびコード記号3pの画像データが表示され、右画面3Rには、施設の使用状況を示す施設スケジュール画面3uが表示されている。施設スケジュール画面3uは、ボタン3e,3fが操作されることにより表示される。例えば、順方向に表示画面を移動させるボタン3eが操作されて、図6Aに示した個人情報画面3tから施設スケジュール画面3uに移動する。この施設スケジュール画面3uには、例えば「応接室101号室が13時から来客用に使用される」や「会議室203が空室である」などを示す内容が表示される。これにより、一々、ノートパソコンなどの情報端末を持ち歩かなくても、IDカード3により施設の使用状況を略リアルタイムで容易に確認することができる。
【0058】
この施設スケジュール画面3uに表示される情報は、図1Aに示したサーバ4から基地局211,212,・・・,Nを介して送信され、IDカード3のページ画像記憶部304に記憶される。施設スケジュール画面3uを示す情報がサーバ4から送信される間隔は、数分〜1時間程度である。
【0059】
図7Aに示す左画面3Lには、顔写真3qおよびコード記号3pの画像データが表示され、右画面3Rには、各個人のスケジュールを示すスケジュール表画面3vが表示されている。スケジュール表画面3vは、ボタン3e,3fが操作されることにより表示される。例えば、順方向に表示画面を移動させるボタン3eが操作されて、図6Bに示した施設スケジュール画面3uからスケジュール表画面3vに移動する。このスケジュール表画面3vには、例えば「○○さんが13時からのH社様の来訪に対応すること」や「○○さんが中国出張中であること」などを示す内容が表示される。これにより、ノートパソコンなどの情報端末を持ち歩かなくても、IDカード3により各個人のスケジュールを略リアルタイムで容易に確認することができる。
【0060】
このスケジュール表画面3vに表示される情報は、図1Aに示したサーバ4から基地局211,212,・・・,Nを介して送信され、IDカード3のページ画像記憶部304に記憶される。スケジュール表画面3vを示す情報がサーバ4から送信される間隔は、数分〜1時間程度である。
【0061】
図7Bに示す左画面3Lには、顔写真3qおよびコード記号3pの画像データが表示され、右画面3Rには、掲示板に投稿された内容を示す掲示板用の画面3wが表示されている。掲示板用の画面3wは、ボタン3e,3fが操作されることにより表示される。例えば、順方向に表示画面を移動させるボタン3eが操作されて、図7Aに示したスケジュール表画面3vから掲示板用の画面3wに移動する。この掲示板用の画面3wには、例えば「総務部から健康診断のお知らせ」や「コンピュータ管理室からPCネットワークのメンテナンス」などを示す内容が表示される。これにより、ノートパソコンなどの情報端末を持ち歩かなくても、IDカード3により掲示板に投稿された内容を略リアルタイムで容易に確認することができる。
【0062】
この掲示板用の画面3wに表示される情報は、図1Aに示したサーバ4から基地局211,212,・・・,Nを介して送信され、IDカード3のページ画像記憶部304に記憶される。掲示板用の画面3wを示す情報がサーバ4から送信される間隔は、数分〜1時間程度である。
【0063】
[IDカード3の表示例(客人用)]
続いて、図8及び図9を参照して、IDカード3の表示例(客人用)について説明する。図8Aに示す左画面3Lには、コード記号3pの画像データが表示され、右画面3Rには、客人番号などを示す客人用の初期画面3xが表示されている。この客人用の初期画面3xは、IDカード3のページ画像記憶部304に記憶されている。この例では、客人が取引先を訪問してIDカード3を保有する際に、最初に客人用の初期画面3xを示す情報をページ画像記憶部304に登録する。この客人用の初期画面3xを初期画面に設定し、リセット用のボタン3gが操作されると、図8Aに示すように右画面3Rに客人用の初期画面3xが表示される。これにより、後述する他の画面から客人用の初期画面3xの画面に直ぐに戻ることができる。
【0064】
図8Bに示す左画面3Lには、コード記号3pの画像データが表示され、右画面3Rには、待ち受け画面3yが表示されている。待ち受け画面3yは、ボタン3e,3fが操作されることにより表示される。例えば、順方向に表示画面を移動させるボタン3eが操作されて、図8Aに示した客人用の初期画面3xから待ち受け画面3yに移動する。この待ち受け画面3yには、例えば「営業の○○が参ります」といったメッセージや製品の案内情報を促すメッセージなどが表示される。これにより、来訪者は、容易に有益な情報を取得できるようになる。
【0065】
この待ち受け画面3yに表示される情報は、図1Aに示したサーバ4から基地局211,212,・・・,Nを介して送信され、IDカード3のページ画像記憶部304に記憶される。待ち受け画面3yを示す情報がサーバ4から送信される間隔は、数分〜数十分程度である。
【0066】
図9に示す左画面3Lには、コード記号3pの画像データが表示され、右画面3Rには、製品紹介画面3zが表示されている。製品紹介画面3zは、順方向に表示画面を移動させるボタン3eが操作されて、図8Bに示した待ち受け画面3yから移動して表示される。この製品紹介画面3zには新製品の内容が表示される。これにより、来訪者に対して、容易に新製品の情報を提供できるようになり、公告媒体として活用できるようになる。
【0067】
この製品紹介画面3zに表示される情報は、図1Aに示したサーバ4から基地局211,212,・・・,Nを介して送信され、IDカード3のページ画像記憶部304に記憶される。製品紹介画面3zを示す情報がサーバ4から送信される間隔は、数分〜1時間程度である。
【0068】
このように、本発明によれば、IDカード3が、個人を認証するための個人認証情報を有すると共に情報送信ネットワーク2から送信された情報を受信して該情報を表示し、認証ネットワーク1が、このIDカード3の個人認証情報を読み取って個人を認証するものである。これにより、身分証、ゲートキーおよび情報端末の機能を兼ね備えたIDカード3により、個人を認証できると共に情報を受信して表示できる。また、IDカード3は書き換え可能であるので、退職等、その個人が居なくなっても、他の個人のIDカード3として使用できる。
【0069】
ノートパソコンを持ち歩いたり、備え付けのパソコンの側に居なくても、IDカード3を所持していれば、掲示板やスケジュールなどの必要な情報を閲覧することができる。すでに入館した者は、ゲートステーション102Aで認証されているので、IDカード3に必要な情報が随時送信されてくる。
【0070】
IDカード3の操作を行わない場合は、図6Aに示したように個人情報画面3tが表示され、社内での所属がわかるようなネームカードの表示になっている。ボタン3e,3f,3gを操作すると図6Bに示した施設スケジュール画面3uや、図7Aに示したスケジュール表画面3v、図7Bに示した掲示板用の画面3wに表示が切り替わる。この例では、基本画面の他3画面に切り替わる例を示したが、表示画面数が多ければメニュー画面を設定して、全ての切換画面を表示することなく、必要な画面に飛ぶようにすることもできる。
【0071】
また、図8Aに示したように、客人には、客人用のIDカード3を渡すようにする。IDカード3のボタン3eなどを操作すると、図8Bに示した挨拶などの待ち受け画面3yが表示される。更にIDカード3のボタン3eなどを操作すると、図9に示した製品紹介画面3zが表示され、待ち時間やミーティングの合間に新製品情報などを閲覧できるようになる。
【0072】
<変形例>
続いて、上述した個人認証ネットワークシステム100の変形例について説明する。基地局211,212,・・・,NのグループA〜Nによって表示する画面を変えてもよい。例えば、グループAの伝搬領域が開発部の伝搬領域であれば、開発部員に必要な技術情報を送信し、グループBの伝搬領域が営業部の伝搬領域であれば、営業部員に必要な情報を送信する。これにより、グループAの伝搬領域に属しているとき、開発部員に必要な技術情報のみを受信することができる。また、グループBの伝搬領域に属しているとき、営業部員に必要な情報のみを受信することができる。
【0073】
このように伝搬領域で送信する情報を区分けする以外に、開発や営業などの部門毎に識別番号を設定し、この識別番号に分類して情報を送信するようにしてもよい。例えば、開発部には識別番号「0001」を設定し、営業部には識別番号「0002」を設定する。この例で、識別番号「0001」と開発部員に必要な技術情報をセットにして基地局211,212,・・・,Nから送信する。開発部員のIDカード3には、開発部を示す識別番号「0001」が設定されており、基地局211,212,・・・,Nから送信された識別番号が「0001」に一致した場合にのみ情報を受信する。これにより、開発部員が必要な情報のみを受信することができる。
【0074】
更に、個人毎に異なる情報を送信することも可能である。例えば、個人の識別番号とこの個人に必要な情報をセットにして基地局211,212,・・・,Nから送信する。個人のIDカード3には識別番号が設定されており、基地局211,212,・・・,Nから送信された識別番号が個人の識別番号に一致した場合にのみ情報を受信する。これにより、個人が必要な情報のみを受信することができる。
【0075】
固定ステーション111,112,・・・,Mにはコード記号走査装置が搭載されており、IDカード3のコード記号を走査することによって個人の識別番号を読み取り、この個人の識別番号に対応する情報をサーバ4に要求して、サーバ4から出力された情報を固定ステーション111,112,・・・,MからIDカード3に個別に送信するようにしてもよい。
【0076】
退館の際には、IDカード3を収納するボックスを設けてもよい。この場合、ゲートステーション102Bによりして退館を検出してゲートを開くのではなく、IDカード3が入る程度の窓を設けたボックスにカードを投入することによってゲートが開くように制御する。
【0077】
社員証としてのIDカード3を説明してきたが、他の用途でも使用可能である。例えば、商品展示会や博物館の催し物に適用可能である。この場合、基地局211,212,・・・,Nでは、それぞれ送信する情報が異なるようにする。例えば、図10に示すように、商品展示会では、基地局216及び固定ステーション116がディスプレイ40に表示されるX社の商品説明を示す情報を送信する。基地局216から情報を取得する場合には、基地局216が送信する無線信号(情報)の伝搬領域にユーザのIDカード3が存在すれば、IDカード3は当該無線信号を受信できる。固定ステーション116から情報を取得する場合には、IDカード3を読取部116aに近づけてIDカード3に表示されるコード記号3pを読取部116aに読み取らせる。すると、固定ステーション116に接続されたサーバ4から情報が出力されて、固定ステーション116からIDカード3に当該情報が送信され、IDカード3は当該情報を受信できる。
【0078】
また、図11に示すように、図10で示した商品展示会の別のブースでは、基地局217及び固定ステーション117がY社のロボット50を駆動させるための駆動情報を送信する。基地局217から情報を取得する場合には、基地局217が送信する無線信号(情報)の伝搬領域にユーザのIDカード3が存在すれば、IDカード3は当該無線信号を受信できる。固定ステーション117から情報を取得する場合には、IDカード3を読取部117aに近づけてIDカード3に表示されるコード記号3pを読取部117aに読み取らせる。すると、固定ステーション117に接続されたサーバ4から情報が出力されて、固定ステーション117からIDカード3に当該情報が送信され、IDカード3は当該情報を受信できる。また、博物館では、基地局211が展示物Xの説明を示す情報を送信し、基地局212が展示物Yの時代背景を示す情報を送信して、IDカード3が情報を取得する。
【0079】
このように、IDカード3は、各基地局で異なる情報を受信して表示できるようになる。退館の際には、IDカード3をボックス収納することでゲートが開く。
【0080】
本実施例では、ゲートステーション102A,102Bによりコード記号を走査して個人認証情報(識別番号およびパスワード)を取得したが、これに限らず、RFID、Bluetooth(登録商標)及びZigBee(登録商標)のように電波などを使用した近距離無線通信で個人認証情報を取得するようにしてもよい。
【0081】
RFIDで個人認証情報を取得する場合について説明する。図12に示すように、固定ステーション60は、個人認証情報を送受信する送受信部60aを有し、図1Aに示した個人認証コントローラ101及びサーバ4に接続される。IDカード3が送受信部60aに接触すると、IDカード3から個人認証情報が出力されて、送受信部60aを介して固定ステーション60が当該個人認証情報を受信する。固定ステーション60は、受信した個人認証情報を個人認証コントローラ101に送信する。個人認証コントローラ101は、受信した個人認証情報がサーバ4に登録されているか否かを判断する。
【0082】
個人認証コントローラ101は、受信した個人認証情報がサーバ4に登録されていれば、サーバ4に記憶されている掲示板、スケジュール及び外部向けの情報等を固定ステーション60に送信する。そして、固定ステーション60は、個人認証コントローラ101から送信された情報を送受信部60aを介してIDカード3に送信する。個人認証コントローラ101は、受信した個人認証情報がサーバ4に登録されていなければ、情報を送信しない。
【0083】
Bluetooth(登録商標)及びZigBee(登録商標)等で個人認証情報を取得する場合について説明する。図13に示すように、固定ステーション70は、個人認証情報を送受信する送受信部70aを有し、図1Aに示した個人認証コントローラ101及びサーバ4に接続される。IDカード3が送受信部70aに接近すると(図12で説明した固定ステーション60のようにIDカード3を送受信部60aに接触させなくても良い)、IDカード3から個人認証情報が出力されて、送受信部70aを介して固定ステーション70が当該個人認証情報を受信する。固定ステーション70は、受信した個人認証情報を個人認証コントローラ101に送信する。個人認証コントローラ101は、受信した個人認証情報がサーバ4に登録されているか否かを判断する。
【0084】
個人認証コントローラ101は、受信した個人認証情報がサーバ4に登録されていれば、サーバ4に記憶されている掲示板、スケジュール及び外部向けの情報等を固定ステーション70に送信する。そして、固定ステーション70は、個人認証コントローラ101から送信された情報を送受信部70aを介してIDカード3に送信する。個人認証コントローラ101は、受信した個人認証情報がサーバ4に登録されていなければ、情報を送信しない。
【0085】
上述の場合、認証ネットワーク1は、光学系により情報を読み取るゲートステーション102A,102Bの替わりに、電波信号を受信して個人認証情報を読み取るゲートステーション102C,102Dを備える。ゲートステーション102C,102Dは受信装置の一例である。個人認証コントローラ101は、ゲートステーション102C,102Dにより読み取られた個人認証情報に基づいて個人の入退場を管理する。
【0086】
例えば、図14に示すように、IDカード3から個人認証情報が電波信号によりゲートステーション102C,102Dが有する送受信部103に出力され、送受信部103により受信された電波信号から個人認証情報が読み取られる。個人認証コントローラ101は、予め登録された個人認証情報の識別番号及びパスワードと、送受信部103により読み取られた個人認証情報の識別番号及びパスワードを照合し、これらの個人認証情報が一致すれば入口又は出口ゲート104を開くように制御する。
【0087】
また、本発明は、クレジットカードやポイントカードとしても適用可能である。本発明に係るIDカードを店舗で使用する場合、店舗の端末装置とIDカードとは、前述したRFID、Bluetooth(登録商標)及びZigBee(登録商標)等の近距離無線によって通信を行う。
【0088】
このような用途としてIDカードを使用すると、金券と同じようにIDカード自体に金銭的価値を有する。更に、IDカードは、個人情報を蓄積しているので、盗難や紛失等にあった場合に、その被害は大変大きなものとなってしまう。故に、IDカードの所有者を判別する機能によりセキュリティを向上させることが望ましい。
【0089】
IDカードのセキュリティを向上させるために2つの方法について説明する。
まずは、前述で説明したIDカード3に指紋認証部30を備えたIDカード3Aについて説明する。前述の実施例と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。図15に示すように、IDカード3Aは基板3iAを有し、当該基板3iAは、受信部301、データ取得部302、ページ画像生成部303、ページ画像記憶部304、表示駆動部305、表示部306、ページ切換部307、問い合わせ信号発信部308、CPU309及び指紋認証部30が設置されている。指紋認証部30は、IDカード3Aに登録した指紋(例えば、IDカード3Aの所有者の指紋)を認証するものである。
【0090】
図16に示すように、指紋認証部30は、指紋検知部31、指紋検知制御部32、指紋データメモリ部33及び指紋照合部34で構成される。指紋検知部31は、例えば、図4で示したIDカード3の表示装置3aの表面に形成される。指紋検知部31には指紋検知制御部32が接続される。指紋検知制御部32は、指紋検知部31にIDカード3Aの所有者の指を接触させると、指紋検知部31に接触された指紋を読み取り、該読み取った指紋を指紋データとして指紋データメモリ部33に登録する。この指紋データは、一度指紋データメモリ部33に登録されると変更できない。
【0091】
指紋検知制御部32には指紋照合部34が接続される。指紋照合部34は、指紋検知部31で読み取った指紋が指紋データメモリ部33で登録された指紋データの指紋と同じであるか否かを判断する(照合処理)。また、指紋検知制御部32には図15に示したCPU309が接続され、指紋検知制御部32は、指紋の照合処理結果をCPU309に出力する。
【0092】
例えば、IDカード3Aの電源をONすると、図17Aに示すように、CPU309が「個人の確認をします。枠内に左手の親指を置いて下さい。」という指紋認証要求画面3jを表示装置3aに表示させる。指紋認証要求画面3jが表示装置3aに表示された後に、IDカード3Aの所有者が指紋認証要求画面3jの枠内に指43を接触させると、指紋検知部31が指43の指紋を読み取る。指紋検知制御部32は、指紋検知部31によって読み取られた指紋を指紋データとして指紋照合部34に出力する。指紋照合部34は、指紋検知制御部32によって出力された指紋データが、指紋データメモリ部33に登録されている指紋データと一致するか否かを判断(照合)する。
【0093】
指紋照合部34は、指紋データが一致すると判断すると、指紋データが一致したことを示す指紋一致情報を指紋検知制御部32を介してCPU309に出力する。CPU309は、指紋照合部34から出力された指紋一致情報を受信すると、図17Bに示すように、「指紋が照合しました。OK!」という指紋照合確認画面3lを表示装置3aに表示させる。指紋が照合したらIDカード3Aが使用可能になる。また、指紋照合部34は、指紋データが一致しないと判断すると、指紋データが一致しないことを示す指紋不一致情報を指紋検知制御部32を介してCPU309に出力する。CPU309は、指紋が照合しない旨の画面を表示装置3aに表示させる。指紋が照合しなければIDカード3Aは使用できない。
【0094】
次に、前述で説明したIDカード3にパスワード認証部35を備えたIDカード3Bについて説明する。前述の実施例と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。図18に示すように、IDカード3Bは基板3iBを有し、当該基板3iBは、受信部301、データ取得部302、ページ画像生成部303、ページ画像記憶部304、表示駆動部305、表示部306、ページ切換部307、問い合わせ信号発信部308、CPU309及びパスワード認証部35が設置されている。パスワード認証部35は、IDカード3Bに登録したパスワードを認証するものである。
【0095】
図19に示すように、パスワード認証部35は、キー操作部36、キー制御部37、パスワードメモリ部38及びパスワード照合部39で構成される。キー操作部36は、例えば、図4で示したIDカード3の表示装置3aの表面に形成される。キー操作部36は、タッチパネルになっており、表示装置3aに数字キーが表示され、例えば、4桁〜8桁の数字(パスワード)をキー操作部36で入力する。キー操作部36にはキー制御部37が接続される。キー制御部は、キー操作部36で入力した数字列のパスワードをパスワードデータとしてパスワードメモリ部38に登録する。このパスワードデータは、一度パスワードメモリ部38に登録されると変更できない。
【0096】
キー制御部37にはキー照合部39が接続される。キー照合部39は、キー操作部36で入力されたパスワードがパスワードメモリ部38で登録されたパスワードデータのパスワードと同じであるか否かを判断する(照合処理)。また、キー制御部37には図18に示したCPU309が接続され、キー制御部37は、パスワードの照合処理結果をCPU309に出力する。
【0097】
例えば、IDカード3Bの電源をONすると、図20Aに示すように、CPU309が数字キーと共に「パスワードを入れて下さい。」というメッセージのパスワード要求画面3mを表示装置3aに表示させる。パスワード要求画面3mが表示装置3aに表示された後に、IDカード3Bの所有者がパスワード要求画面3mの数字キー(キー操作部36)でパスワードを入力すると、該入力したパスワードがキー操作部36からキー制御部37に出力される。キー制御部37は、キー操作部36から出力されたパスワードをパスワードデータとしてパスワード照合部39に出力する。パスワード照合部39は、キー制御部37によって出力されたパスワードデータが、パスワードメモリ部38に登録されているパスワードデータと一致するか否かを判断(照合)する。
【0098】
パスワード照合部39は、パスワードデータが一致すると判断すると、パスワードデータが一致したことを示すパスワード一致情報をキー制御部37を介してCPU309に出力する。CPU309は、パスワード照合部39から出力されたパスワード一致情報を受信すると、図20Bに示すように、「パスワードが照合しました。」というパスワード照合確認画面3nを表示装置3aに表示させる。パスワードが照合したらIDカード3Bが使用可能になる。また、パスワード照合部39は、パスワードデータが一致しないと判断すると、パスワードデータが一致しないことを示すパスワード不一致情報をキー制御部37を介してCPU309に出力する。CPU309は、パスワードが照合しない旨の画面を表示装置3aに表示させる。パスワードが照合しなければIDカード3Bは使用できない。
【0099】
なお、本実施例では、パスワード要求画面3mとして数字キーを表示装置3aに表示して、数字キーでパスワードを設定することを説明したが、これに限定されず、パスワード要求画面3mとしてひらがなキー、カタカナキー及び英字キー等を表示装置3aに表示して、該表示されたひらがなキー、カタカナキー及び英字キー等でパスワードを設定するようにしても良い。
【0100】
また、所定の時間が経過するとIDカード3A,3Bの電源がOFFになるように、基板3iA,3iBにタイマ手段を設けても良い。この場合、IDカード3A,3Bの電源を再度ONにする場合には、指紋照合又はパスワード照合が必要になる。これにより、IDカード3A,3Bのセキュリティが更に向上する。
【0101】
更に、特定のコンピュータでIDカード3Aの指紋データメモリ部33に登録されている指紋データ、又はIDカード3Bのパスワードメモリ部38に登録されているパスワードデータを削除して、初期状態にするようにしても構わない。これにより、IDカード3A,3Bの所有者を変えて、当該IDカード3A,3Bを繰り返し使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、個人を認証するための個人認証カードおよびこれを用いた個人認証ネットワークシステムに適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0103】
1・・・認証ネットワーク、2・・・情報送信ネットワーク、3,3A,3B・・・IDカード(個人認証カード)、3e,3f,3g・・・ボタン(スイッチ部)、100・・・個人認証ネットワークシステム、101・・・個人認証コントローラ、102A,102B・・・ゲートステーション(コード記号走査装置)、102C,102D・・・ゲートステーション(受信装置)、301・・・受信部、303・・・ページ画像生成部(生成部)、304・・・ページ画像記憶部(記憶部)、306・・・表示部、307・・・ページ切換部(スイッチ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人を認証するための個人認証情報を有した個人認証カードであって、
情報送信ネットワークから送信された情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信した情報から出力情報を生成する生成部と、
前記出力情報を表示する表示部とを備えることを特徴とする個人認証カード。
【請求項2】
前記出力情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された出力情報を切り替えるスイッチ部とを備え、
前記表示部は、前記スイッチ部により切り替えられた出力情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の個人認証カード。
【請求項3】
前記個人認証情報はコード記号で表示され、
前記コード記号は、コード記号走査装置により走査されて個人認証情報が読み取られ、
予め登録された個人認証情報と、前記コード記号走査装置により読み取られた個人認証情報が照合され、これらの個人認証情報が一致すれば入り口のゲートが開かれることを特徴とする請求項1に記載の個人認証カード。
【請求項4】
前記個人認証情報は電波信号により出力され、
前記電波信号は、受信装置により受信されて個人認証情報が読み取られ、
予め登録された個人認証情報と、前記受信装置により読み取られた個人認証情報が照合され、これらの個人認証情報が一致すれば入り口のゲートが開かれることを特徴とする請求項1に記載の個人認証カード。
【請求項5】
前記情報送信ネットワークから送信された情報を受信している場合に発光するLEDを備えることを特徴とする請求項1に記載の個人認証カード。
【請求項6】
前記情報送信ネットワークから送信された情報を受信すると放音する放音器を備えることを特徴とする請求項1に記載の個人認証カード。
【請求項7】
前記情報送信ネットワークに所望の情報を要求する場合に、
前記放音器は、前記情報送信ネットワークから前記情報が受信できないときに放音することを特徴とする請求項6に記載の個人認証カード。
【請求項8】
情報を無線で送信する情報送信ネットワークと、
個人を認証するための個人認証情報を有すると共に前記情報送信ネットワークから送信された情報を受信して該情報を表示する個人認証カードと、
前記個人認証カードの個人認証情報を読み取って個人を認証する認証ネットワークとを備えることを特徴とする個人認証ネットワークシステム。
【請求項9】
前記個人認証情報はコード記号で表示され、
前記認証ネットワークは、
前記コード記号を走査して個人認証情報を読み取るコード記号走査装置と、
前記コード記号走査装置により読み取られた個人認証情報に基づいて個人の入退場を管理する個人認証コントローラとを備えることを特徴とする請求項8に記載の個人認証ネットワークシステム。
【請求項10】
前記個人認証情報は電波信号により出力され、
前記認証ネットワークは、
前記電波信号を受信して個人認証情報を読み取る受信装置と、
前記受信装置により読み取られた個人認証情報に基づいて個人の入退場を管理する個人認証コントローラとを備えることを特徴とする請求項8に記載の個人認証ネットワークシステム。
【請求項11】
前記情報送信ネットワークは複数の基地局を備え、
前記基地局の各々は、基地局毎に異なる、無線信号を送信する伝搬領域を有することを特徴とする請求項8に記載の個人認証ネットワークシステム。
【請求項12】
前記基地局毎に異なる伝搬領域に送信する情報は、それぞれ異なる情報又は同一の情報であることを特徴とする請求項11に記載の個人認証ネットワークシステム。
【請求項13】
前記個人認証カードは、
前記情報送信ネットワークから送信された情報を受信すると放音する放音器を備えることを特徴とする請求項8に記載の個人認証ネットワークシステム。
【請求項14】
前記個人認証カードが前記情報送信ネットワークに所望の情報を要求する場合に、
前記放音器は、前記情報送信ネットワークから前記情報が受信できないときに放音することを特徴とする請求項13に記載の個人認証ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−118852(P2011−118852A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298927(P2009−298927)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(391062872)株式会社オプトエレクトロニクス (70)
【Fターム(参考)】