説明

個人認証システム

【課題】認証用の情報担体の不正使用の検出に優れているうえ認証対象者の登録数が増加してもその割には照合時間が増えないで済む個人認証システム40を実現する。
【解決手段】識別コードを検索キーにしてデータベース42に認証対象者20の生体情報を予め登録しておき、識別コードと登録画像を表示した情報担体10を認証対象者20に保持させる。認証時には、認証対象者20と一緒に情報担体10も撮像して、その認証処理対象画像30からコード画像35を読み取ってコード検索にて照合対象の登録情報を絞り込み、画像30の情報担体領域内33から顔画像34を切り出して第1現時情報を求め、画像30の情報担体領域外31から顔画像32を切り出して第2現時情報を求め、第1現時情報と登録情報との照合に加えて第2現時情報と登録情報との照合も行うことにより認証対象者20に対する認証を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、病棟等への入室管理や調剤管理コンピュータ等へのログイン管理などに適した個人認証システムに関し、詳しくは、コード情報と生体情報とを撮像して個人を特定する個人認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータやネットワークといったシステムへのログイン時に、ユーザの顔画像を撮影して顔特徴データを求め、その現時取得データと予め記憶しておいた登録データとを照合することにより、ログインを自動化して、ユーザによるIDやパスワードの入力動作を不要としたものがある(例えば特許文献1参照)。
また、代理人認証システムや医療情報管理システムへのログイン時に撮像して得たログイン試行ユーザの顔画像と予め記憶しておいた登録ユーザの顔画像とを照合して認証することに加えて、ログイン時やデータアクセス時に顔画像を取り込んで履歴として保存するようになったものもある(例えば特許文献2,3参照)。
【0003】
さらに、カード形の認証用記録物に印刷されるカード所有者の顔画像に暗号キーのバーコードを重畳記録することにより、認証用画像のすげ替え等によるカード偽造・改ざんを発見できるようになったものもある(例えば特許文献4参照)。
また、医療・調剤の分野では、施用対象の患者を確認して医療事故の発生を未然に防止するために、薬袋特定用のバーコードや患者特定用の文字情報に加えて患者視認用の上半身画像を薬袋に印刷記録するようになったものがある(例えば特許文献5参照)。
【0004】
また、入退室管理用の個人認証システムでは、証明書に被認証人物の顔画像と被認証人物の生体情報や識別情報のコード化データとを印刷等で記憶させておき、その証明書を胸等に付した被認証人物の入退室時には、被認証人物の顔と一緒に証明書も撮って、被認証人物の現在の顔画像から抽出した生体情報と証明書のコード化データから読み出した生体情報とを比較することにより、被認証人物の生体情報を予め多数蓄積しておかなくても個人認証が行えるようになったものがある(例えば特許文献6参照)。
【0005】
また、複数人の入室希望者の顔画像を同時に撮って全員の顔画像を抽出し、それらの抽出顔画像すべてについて登録顔画像と照合することにより、複数人を同時に顔認証するようになったものもある(例えば特許文献7参照)。
また、契約者の署名行為の最中に署名情報と顔画像を取得して、署名照合に加えて顔画像照合も行うことにより、本人認証用の登録やその後の本人認証を違和感無く行えるようになったものがある(例えば特許文献8参照)。
【0006】
また、コード印刷を利用した薬品管理システムでは、処方箋情報等に応じてトレーにおける薬品類の配置を決定するとともに、その配置に対応した配置で薬品類の識別コードを印刷用紙に印刷するようになったものがある(例えば特許文献9参照)。
このシステムでは、識別コードに、色の配列で符号化情報を表すカラービットコード(1Dや1.5Dのカラービットコードと呼ばれたりリフレクティブカラーコードと呼ばれることもある)が採用されている(例えば特開2008−282104号公報や,特開2009−87192号公報,特許4404224号公報を参照、特開2009−020813号公報も参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−067339号公報
【特許文献2】特開2005−115522号公報
【特許文献3】特開2007−304823号公報
【特許文献4】特開平11−73504号公報
【特許文献5】特開2002−119576号公報
【特許文献6】特開2007−156813号公報
【特許文献7】特開2009−199223号公報
【特許文献8】特開2010−182271号公報
【特許文献9】特開2011−024663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような個人認証システム等のうち、顔画像認証タイプのものは、ほとんどのシステムが、認証対象者(被認証者)になりうる者の顔画像を含んだ画像に係る生体情報を予め登録しておき、認証時には、カメラで撮った画像から認証対象者の生体情報を抽出して、この現時情報と上述の登録情報とを照合することにより、個人を特定するようになっている(例えば特許文献1,2,3,7,8参照)。
この顔画像認証タイプのものは、認証用カードの不正使用防止機能などには優れるが、顔の向きや表情等の影響を受ける現時情報の取得に処理時間を要するうえ登録数の増加とともに照合時間も増すためシステムにかかる負荷が重い。
【0009】
これに対し、コード認証タイプのものは、予め認証対象者の識別情報や生体情報をバーコード等で符号化してカード等の情報担体に印刷等で記録しておき、認証時には、リーダやカメラで情報担体からコードを読み取り、それから、読み取ったコードを単に復号して使用したり(例えば特許文献5参照)、暗号を解いてから使用したり(例えば特許文献4参照)、読み取ったコードから得た生体情報とカメラで撮って得た認証対象者の現時の生体情報とを照合するようになっている(例えば特許文献6参照)。
【0010】
このコード認証タイプのものは、生体情報の登録蓄積が不要なことから、登録数の増加による照合時間の増大が無いのでシステム負荷は軽いが、暗号使用方式は情報担体の偽造の検出には優れていても情報担体の盗用の検出能力はそれほどでもなく、生体情報使用方式は情報担体の盗用の検出には優れていても情報担体の偽造の検出能力はそれほどでもなく、情報担体の盗用および偽造には登録蓄積方式より弱いと言わざるを得ない。
また、カード等の情報担体を用いるコード認証タイプでは、情報担体に認証対象者の顔画像が印刷されていることが多いが、その顔画像は目視確認にしか用いられていない。
【0011】
このように従来の顔画像認証タイプの個人認証システムとコード認証タイプの個人認証システムには一長一短がある。
そこで、両タイプの長所を合わせ持った個人認証システム、具体的には認証用の情報担体の不正使用の検出に優れているうえ認証対象者の登録数が増加してもその割には照合時間の増えない個人認証システムを実現することが、基本的な技術課題となる。
また、情報担体に表示されている認証対象者の顔画像を有効に利用することにより、情報担体の不正使用防止機能をより一層強化することが、更なる技術課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の個人認証システムは(解決手段1)、上述の基本的な技術課題を解決するために創案されたものであり、認証対象者識別用に異なるコードを割り振られた複数人の生体情報をコード検索可能に予め登録した記憶手段と、認証対象者識別用のコードを表示した情報担体を撮像可能な状態で保持している認証対象者を前記情報担体と共に撮るための撮像装置と、その画像から認証対象者識別用のコードを読み取って前記記憶手段をコード検索しそれで得た生体情報を照合対象の登録情報とする手段と、前記画像から顔の情報を含んだ生体情報を抽出して現時情報とする手段と、前記現時情報と前記登録情報とを照合することにより前記認証対象者に対する認証を行う手段とを備えている。
【0013】
また、本発明の個人認証システムは(解決手段2)、上述した基本的な技術課題に加えて更なる技術課題をも解決するために創案されたものであり、認証対象者識別用に異なるコードを割り振られた複数人の生体情報をコード検索可能に予め登録した記憶手段と、認証対象者識別用のコードと顔画像を含んだ登録画像とを表示した情報担体を撮像可能な状態で保持している認証対象者を前記情報担体と共に撮るための撮像装置と、その画像から認証対象者識別用のコードを読み取って前記記憶手段をコード検索しそれで得た生体情報を照合対象の登録情報とする手段と、前記画像のうち前記情報担体に該当する領域から顔の情報を含んだ生体情報を抽出して第1現時情報とする手段と、前記画像のうち前記情報担体に該当しない領域から顔の情報を含んだ生体情報を抽出して第2現時情報とする手段と、前記第1現時情報と前記登録情報との照合に加えて前記第2現時情報と前記登録情報との照合も行うことにより前記認証対象者に対する認証を行う手段とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明の個人認証システムにあっては(解決手段1)、認証対象者と一緒に情報担体も撮られて、その画像から認証対象者識別用のコードが読み取られ、そのコードを用いてコード検索が行われて、登録データから照合対象の生体情報が抽出されるので、生体情報が多数登録されていても、速やかに照合対象の登録情報が得られる。
また、同じ画像から認証対象者の顔の情報を含んだ生体情報が抽出されて現時情報とされ、それから、それらの現時情報と登録情報とが照合され、その照合結果に基づいて認証対象者に対する認証が行われる。
【0015】
そのため、認証用情報担体の不正使用防止機能が顔画像認証タイプの個人認証システムと同程度に優れている個人認証が、コード認証タイプの個人認証システムと同程度に軽いシステム負荷で迅速に実行されることとなる。
したがって、この発明によれば、認証用の情報担体の不正使用の検出に優れているうえ認証対象者の登録数が増加してもその割には照合時間の増えない個人認証システムを実現することができる。
【0016】
また、本発明の個人認証システムにあっては(解決手段2)、上述したようにコードの読取と検索によって照合対象の登録情報が速やかに取得される。また、同じ画像から認証対象者の登録時の顔画像の情報を含んだ生体情報が抽出されて第1現時情報とされて、それら第1現時情報と登録情報とが照合されるとともに、やはり同じ画像から認証対象者の生の顔の情報を含んだ生体情報が抽出されて第2現時情報とされて、それら第2現時情報と登録情報も照合され、両照合結果に基づいて認証対象者に対する認証が行われる。
【0017】
そのため、認証用情報担体の不正使用防止機能が顔画像認証タイプの個人認証システムと同程度に優れている個人認証が、コード認証タイプの個人認証システムと同程度に軽いシステム負荷で迅速に実行されることに加えて、生の顔に係る生体情報の照合によって情報担体の盗用に対する検出能力が確保されるとともに、変形の少ない登録時の顔画像に係る生体情報の照合によって情報担体の偽造に対する検出能力が高められることとなる。
したがって、この発明によれば、情報担体に表示されている認証対象者の顔画像を有効に利用して情報担体の不正使用防止機能をより一層強化した個人認証システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1について、個人認証システムの構造等を示し、(a)が情報担体の情報表示面、(b)が認証対象者、(c)が個人認証システム設置先の建家の縦断面図、(d)が認証対象者の画像例、(e)が個人認証システムのブロック図である。
【図2】認証処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
このような本発明の個人認証システムについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1〜2に示した実施例1は、上述した解決手段1〜2(出願当初の請求項1〜2)を総て具現化したものである。
【実施例1】
【0020】
本発明の個人認証システムの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が情報担体10の情報表示面、(b)が認証対象者20、(c)が個人認証システム40の設置先の建家の縦断面図、(d)が情報担体10と一緒に認証対象者20を撮った認証処理対象画像30の例、(e)が個人認証システム40のブロック図である。また、図2は、認証処理装置41の認証プログラムによる処理内容を示すフローチャートである。
【0021】
個人認証システム40の構成説明に先立って、個人認証システム40で使用される情報担体10と、個人認証システム40の設置状況を説明する。
情報担体10は(図1(a)参照)、撮像可能な情報を表示でき且つ認証対象者20が情報表示面を撮像可能にした状態で保持しうるようなものであれば良く、例えば単純な長方形のプラスチックカードでも良くあるいは磁気カードやICカードを兼ねるものでも良く、図示の例では、情報表示面に登録画像欄11と文字欄12と署名欄13とコード欄14が設けられているが、このうち重要なのは登録画像欄11とコード欄14である。
【0022】
登録画像欄11には、認証対象者20の顔や上半身などを撮った写真が貼り付けられたり、そのような顔画像を含んだ画像が印刷されている。なお、登録画像欄11に記された画像は、登録画像として、後述する登録データベース42にも登録されている。
文字欄12には、情報担体10を使用する認証対象者20の所属や氏名などが目視読取可能な文字で印刷されている。
署名欄13には、情報担体10を使用する認証対象者20の自筆による署名が記されている。
【0023】
コード欄14には、情報担体10を使用する認証対象者20に予め割り振られた認証対象者識別用のコードが表示されている。コードは、複数・多数の認証対象者20に対して各人を識別可能なように予め異なるコードが割り振られており、コード検索時に検索キーとして使い易い識別番号に冗長データを付加したもの等が採用され、変形しても読み取り易く一画像内から複数個を読み取ることもできるカラービットコードで印刷されている。
このような情報担体10は、認証対象者20がそれぞれ対応する情報担体10を使用する際に情報表示面を前に向けて胸等に着けたり首から吊り下げたりすることで、撮像可能な状態で保持されるものとなっている(図1(b)参照)。
【0024】
この個人認証システム40の適用先は、入退室管理の行われている例えば病棟や調剤室などの内外であり(図1(c)参照)、室外21では出入口22のところにカラーの撮像装置23が設置されていて、入室者が出入口22から入室しようとすると、入室者の顔や上半身が撮像装置23で撮られ、その画像が入退室管理装置24に取り込まれるようになっている。また、室内25では、やはりカラーの撮像装置26が例えば調剤管理用や調剤制御用のログイン管理装置27に装備されていて、ログイン管理装置27を使おうとする者がログイン操作を行うと、操作者の顔や上半身が撮像装置26で撮られ、その画像がログイン管理装置27に取り込まれるようになっている。
【0025】
撮像装置23や撮像装置26で撮った画像は(図1(d)参照)、個人認証時には認証処理対象画像30として入退室管理装置24やログイン管理装置27から後述の認証処理装置41に送られるものであり、この認証処理対象画像30は、入室者や操作者が情報担体10を持たない者であれば、顔画像は含んでも情報担体10の画像は含まないものとなるが、入室者や操作者が情報担体10を撮像可能に保持した認証対象者20であれば、認証対象者20の顔画像等と一緒に情報担体10の情報表示面の画像も含むものとなる。
【0026】
すなわち(図1(d)参照)、認証成功の前提として、認証処理対象画像30には、撮像装置23,26の前の認証対象者20の生の顔画像32と、情報担体10の情報表示面の画像とが、含まれていることが必要である。後者の情報担体10の画像は認証処理対象画像30のうち情報担体領域内33を占め、この情報担体領域内33に中には、登録画像欄11を写した顔画像34と、コード欄14を写したコード画像35と、署名欄13や12を写した画像が、含まれている。また、前者の顔画像32は、認証処理対象画像30において情報担体領域内33を外した情報担体領域外31に含まれている。
【0027】
個人認証システム40は(図1(e)参照)、上述した撮像装置23,26と、撮像装置23で撮った認証処理対象画像30を入退室管理装置24から受け取って個人認証処理を行いその認否結果を入退室管理装置24に報告するとともに撮像装置26で撮った認証処理対象画像30をログイン管理装置27から受け取って個人認証処理を行いその認否結果をログイン管理装置27に報告する認証処理装置41と、この認証処理装置41に内蔵された又は外付けされた記憶手段としての登録データベース42とを具えている。
【0028】
登録データベース42は、ハードディスク等の大容量記憶装置に予め構築されたデータベースであり、例えば汎用的なインデックスシーケンシャルファイルを利用したものやハッシュ法で高速化したもの等からなり、認証対象者識別用のコードをキーにして対応情報を登録することと検索することとができるようになっている。そして、予め認証対象者20になりうる多数人に対し認証対象者識別用に異なるコードが割り振られるとともに各コードに対応する生体情報が顔画像を含んだ画像データ及び/又は画像から抽出した特徴データ等で登録されているので、登録データベース42は、個人認証時にコード検索にて対応する生体情報を得ることが迅速に行えるものとなっている。
【0029】
認証処理装置41は(図1(e),図2参照)、LAN等で入退室管理装置24やログイン管理装置27と接続されたコンピュータからなり、入退室管理装置24やログイン管理装置27から認証処理対象画像30を伴った認証依頼を受けるとその画像30に含まれたコード画像35から認証対象者識別用のコードを読み取って登録データベース42をコード検索しそれで得た生体情報を照合対象の登録情報とする手段(ステップS10〜S14)と、認証処理対象画像30のうち情報担体領域内33から顔の情報を含んだ生体情報として顔画像34を抽出して第1現時情報とする手段(ステップS15〜S18)と、認証処理対象画像30のうち情報担体領域外31から顔の情報を含んだ生体情報として顔画像32を抽出して第2現時情報とする手段(ステップS21〜SS24)と、上記の第1現時情報と登録情報との照合(ステップSS19〜S20)に加えて上記の第2現時情報と前記登録情報との照合(ステップSS25〜S26)も行うことにより認証対象者20に対する認証(ステップS27〜S29)を行う手段とを具現化したプログラムがインストールされている。各手段の具体的な内容は以下の動作説明において詳述する。
【0030】
この実施例1の個人認証システム40について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が情報担体10の情報表示面を示し、(b)が情報担体10を撮像可能な状態で保持している認証対象者20を示し、(c)が個人認証システム40の設置先の建家を縦断面図で示し、(d)が情報担体10と一緒に認証対象者20を撮った認証処理対象画像30の例であり、(e)が個人認証システム40のブロック図である。また、図2のフローチャートは、認証処理装置41の処理内容を示している。
【0031】
顔画像を含んだ登録画像が情報表示面の登録画像欄11に記されるとともに同じ情報表示面におけるコード欄14に認証対象者識別用のコードが記された情報担体10(図1(a)参照)を撮像可能な状態で保持した認証対象者20(図1(b)参照)が、個人認証システム40の設置先の建屋の室外21で出入口22の前に来ると撮像装置23によって認証対象者20の上半身が撮られ、その認証処理対象画像30(図1(d)参照)と共に認証依頼が入退室管理装置24によって認証処理装置41に送られ(図1(e)参照)、認証処理対象画像30に対する個人認証処理が認証処理装置41によって登録データベース42を検索しながら実行され、その認否結果が認証処理装置41から入退室管理装置24に報告される。
【0032】
また、同様の情報担体10(図1(a)参照)を撮像可能な状態で保持した認証対象者20(図1(b)参照)が、個人認証システム40の設置先の建屋の室内25でログイン管理装置27の前に来ると撮像装置26によって認証対象者20の上半身が撮られ、その認証処理対象画像30(図1(d)参照)と共に認証依頼がログイン管理装置27によって認証処理装置41に送られ(図1(e)参照)、認証処理対象画像30に対する個人認証処理が認証処理装置41によって登録データベース42を検索しながら実行され、その認否結果が認証処理装置41からログイン管理装置27に報告される。
【0033】
何れの場合でも、すなわち入退室管理装置24からの認証依頼であれログイン管理装置27からの認証依頼であれ、認証依頼が出される度に認証処理対象画像30に対する個人認証処理が認証処理装置41によって以下のように行われる(図2参照)。
認証依頼が有ると(ステップS10)、先ず認証処理対象画像30に対してカラービットコードの探索が行われ、カラービットコードが見つかると、そのコード部分の画像領域が切り出されて、コード読取が実行される(ステップS11)。カラービットコードが全く見つからなかったりコードが復号できなくてコード読取に失敗したときには(ステップS12のNo)、認証失敗とされて個人認証処理が打ち切られるが(ステップS28)、コード読取が成功したときには(ステップS12のYes)、認証処理が続行される。
【0034】
続く処理では(ステップS13)、読み取れたコードが正当な認証対象者識別用のコードであるか否かを調べるために、そのコードをキーにした検索が登録データベース42に対して行われて、そのコードに対応する登録済みの生体情報の取得が試みられ、コードが登録されていなくて検索に失敗したときには(ステップS14のNo)、認証失敗とされて個人認証処理が打ち切られるが(ステップS28)、コード検索に成功して登録データベース42から生体情報を取得できたときには取得した生体情報が照合対象の登録情報とされ(ステップS13)、さらに認証処理が続行される(ステップS14のYes)。
【0035】
検索に成功したコードは、登録データベース42に登録済みの正当な認証対象者20に予め割り振られたものであって情報担体10のコード欄14に記されていたのが、認証処理対象画像30の情報担体領域内33のコード画像35から読み出されたものなので、その情報担体領域内33に顔画像34が含まれているとの想定に基づいて、次は、情報担体領域内33の画定とそこから顔画像34を切り出す試みがなされる(ステップS15)。そして、顔画像34の切出に失敗したときには(ステップS16のNo)、認証失敗とされて個人認証処理が打ち切られるが(ステップS28)、顔画像34の切出に成功したときには更に個人認証処理が続行される(ステップS16のYes)。
【0036】
続く処理では顔画像34から生体情報が抽出されるが(ステップS17)、顔画像34が情報担体10の登録画像欄11に記されていたものであるとの想定に基づいて、登録データベース42に生体情報を登録するときに行った特徴抽出等と同じ特徴抽出等が行われる。そして、生体情報の抽出に失敗したときには(ステップS18のNo)、認証失敗とされて個人認証処理が打ち切られるが(ステップS28)、生体情報の抽出に成功したときには抽出した生体情報が照合対象の第1現時情報とされ(ステップS17)、さらに個人認証処理が続行される(ステップS18のYes)。
【0037】
照合対象の登録情報に加えて第1現時情報が得られると、一組目の照合が可能になって、第1現時情報と登録情報とが公知手法の一致度での判別等によって照合される(ステップS19)。そして、一致度が低くて照合が成立しなかったときには(ステップS20のNo)、情報担体10の登録画像欄11の顔画像が差し替えられている可能性もあるので、認証失敗とされて個人認証処理が打ち切られるが(ステップS28)、第1現時情報と登録情報との一致度が高くて照合が成立したときには(ステップS20のYes)、撮像対象となった情報担体10の登録画像欄11に認証対象者20の登録済み画像が正しく記されていたものとして、さらに個人認証処理が続行される。
【0038】
続く処理では(ステップS21)、コード検索にも第1現時情報の照合にも成功した情報担体10が認証対象者20の胸元等に保持されていて、その情報担体10に対応する情報担体領域内33の外側に認証対象者20が写っているとの想定に基づいて、認証処理対象画像30の情報担体領域外31から生の顔画像32を切り出す試みがなされる。そして、顔画像32の切出に失敗したときには(ステップS22のNo)、認証失敗とされて個人認証処理が打ち切られるが(ステップS28)、顔画像32の切出に成功したときには更に個人認証処理が続行される(ステップS22のYes)。
【0039】
続く処理では顔画像32から生体情報が抽出されるが(ステップS23)、この抽出でも、後述する登録情報との照合に備えて、登録データベース42に生体情報を登録するときに行った特徴抽出等と同じ特徴抽出等が行われる。そして、生体情報の抽出に失敗したときには(ステップS24のNo)、認証失敗とされて個人認証処理が打ち切られるが(ステップS28)、生体情報の抽出に成功したときには抽出した生体情報が照合対象の第2現時情報とされ(ステップS23)、さらに個人認証処理が続行される(ステップS24のYes)。
【0040】
照合対象の登録情報に加えて第2現時情報が得られると、二組目の照合が可能になって、第2現時情報と登録情報とが公知手法の一致度での判別等によって照合される(ステップS25)。この二組目の照合では、認証対象者20の姿勢や顔の向きが登録時と同じとは限らないので、一致度判別の閾値が二組目の照合のものより下げられるが、それでも一致度が低くて照合が成立しなかったときには(ステップS26のNo)、認証失敗とされて個人認証処理が打ち切られる(ステップS28)。これに対し、第2現時情報と登録情報との一致度が高くて照合が成立したときには(ステップS26のYes)、撮像対象となった認証対象者20が登録済みの本人であるとして、認証成功処理が行われる(ステップS27)。
【0041】
認証成功処理では(ステップS27)、認証に成功したという認否結果と共にコードや対応する登録情報が認証処理装置41から入退室管理装置24に報告される。また、認証失敗処理では(ステップS28)、認証に失敗したという認否結果と共にどの段階で失敗したのかといった付帯情報が認証処理装置41から入退室管理装置24に報告される。それから、認否結果が成功と失敗の何れの場合であっても(ステップS29)、タイムスタンプや認否結果と共にコードや顔画像などが認証履歴データとして登録データベース42か他の記憶場所に記録蓄積される。
【0042】
認証処理装置41による個人認証処理が済んで認証対象者20が登録済みの本人であるか否かが判明すると、認証依頼元が入退室管理装置24だった場合は、認証結果に応じた入退室管理が続行され、認証対象者20が入室を許可された者であれば出入口22の開錠が行われるが、そうでなければ出入口22は施錠されたままである。また、認証依頼元がログイン管理装置27だった場合は、認証結果に応じたログイン管理が続行され、認証対象者20がログインを許可された者であればログイン管理装置27へのログインがログインモード設定状態の応じて自動実行されたりログイン操作が許可されたりする。
【0043】
[その他]
上記実施例では、コード読取等による認証対象者20の認証が一つの認証処理対象画像30について一人だけ行うようになっていたが、一つの認証処理対象画像30について複数人を認証するようにしても良い。
また、上記実施例では、情報担体10の情報表示面のうち登録画像欄11とコード欄14だけが照合の対象になっていたが、署名欄13の署名や文字欄12の文字も照合対象になるよう拡張しても良い。
さらに、上記実施例では、入退室管理装置24とログイン管理装置27が、認証処理装置41は共用するものの管理は個別に行うようになっていたが、管理についても協働するようにしても良く、例えばログイン許可を入室者に限定するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の個人認証システムは、病棟等への入室管理や調剤管理コンピュータ等へのログイン管理に適したものの提供を目的に開発されたものであるが、それらに適用先が限定される訳ではなく、どのような分野であれ個人認証を要する分野であれば適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10…情報担体、
11…登録画像欄、12…文字欄、13…署名欄、14…コード欄、
20…認証対象者、
21…室外、22…出入口、23…撮像装置、24…入退室管理装置、
25…室内、26…撮像装置、27…ログイン管理装置、
30…認証処理対象画像、
31…情報担体領域外、32…顔画像、
33…情報担体領域内、34…顔画像、35…コード画像、
40…個人認証システム、
41…認証処理装置、42…登録データベース(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象者識別用に異なるコードを割り振られた複数人の生体情報をコード検索可能に予め登録した記憶手段と、認証対象者識別用のコードを表示した情報担体を撮像可能な状態で保持している認証対象者を前記情報担体と共に撮るための撮像装置と、その画像から認証対象者識別用のコードを読み取って前記記憶手段をコード検索しそれで得た生体情報を照合対象の登録情報とする手段と、前記画像から顔の情報を含んだ生体情報を抽出して現時情報とする手段と、前記現時情報と前記登録情報とを照合することにより前記認証対象者に対する認証を行う手段とを備えている個人認証システム。
【請求項2】
認証対象者識別用に異なるコードを割り振られた複数人の生体情報をコード検索可能に予め登録した記憶手段と、認証対象者識別用のコードと顔画像を含んだ登録画像とを表示した情報担体を撮像可能な状態で保持している認証対象者を前記情報担体と共に撮るための撮像装置と、その画像から認証対象者識別用のコードを読み取って前記記憶手段をコード検索しそれで得た生体情報を照合対象の登録情報とする手段と、前記画像のうち前記情報担体に該当する領域から顔の情報を含んだ生体情報を抽出して第1現時情報とする手段と、前記画像のうち前記情報担体に該当しない領域から顔の情報を含んだ生体情報を抽出して第2現時情報とする手段と、前記第1現時情報と前記登録情報との照合に加えて前記第2現時情報と前記登録情報との照合も行うことにより前記認証対象者に対する認証を行う手段とを備えている個人認証システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−226615(P2012−226615A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94431(P2011−94431)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】