個人認証媒体作成装置
【課題】複数搬送時における個人認証媒体の搬送順番入替り、塵の付着や色抜け等の印刷不良、および、個人認証媒体の搬送向き異常を自動的に検知できる個人認証媒体作成装置を提供することである。
【解決手段】初期状態の個人認証媒体を搬送する搬送手段と、この搬送手段に設けられ外部装置から供給される固有の識別情報を含む個人認証媒体作成情報を前記搬送手段で搬送される個人認証媒体の印刷面に印刷する印刷手段と、この印刷手段で情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面にオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、このオーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記識別情報を読取る読取手段と、この読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された識別情報とを照合し、前記搬送手段における前記個人認証媒体の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定する判定手段とを具備している。
【解決手段】初期状態の個人認証媒体を搬送する搬送手段と、この搬送手段に設けられ外部装置から供給される固有の識別情報を含む個人認証媒体作成情報を前記搬送手段で搬送される個人認証媒体の印刷面に印刷する印刷手段と、この印刷手段で情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面にオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、このオーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記識別情報を読取る読取手段と、この読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された識別情報とを照合し、前記搬送手段における前記個人認証媒体の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定する判定手段とを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、個人認証媒体作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、たとえば、自動車の運転免許証(個人認証媒体)として、偽変造対策と本人確認の迅速化等のため、ICチップを内蔵したICカードを用いた運転免許証(以降、これをIC免許証と略称する)が実用化されている。
【0003】
このようなIC免許証を作成する個人認証媒体作成装置(IC免許証作成装置)は、免許証作成指示を行なう上位装置(顔画像撮影機、再処理機等)から送られる免許証作成情報(記載情報、色帯情報、顔画像など)を受信し、受信した免許証作成情報に基づき、以下の工程でIC免許証を作成している。
【0004】
第1工程:初期状態のIC免許証(ICカード)が多数収納されたカードカセットから該当色帯のIC免許証を1枚取出す。
第2工程:IC免許証の表面に顔画像をカラー印刷する。
第3工程:IC免許証の表面に記載情報をモノクロ印刷する。
第4工程:印刷した顔画像領域に対しUV(紫外線)カット処理を行なう。
第5工程:IC免許証の表面全体に対しオーバーコート処理を行なう。
第6工程:ICチップに免許証作成情報等を書込む。
第7工程:作成したIC免許証をスタッカに収納する。
【0005】
しかしながら、従来の個人認証媒体作成装置には以下のような課題がある。
(1)第4工程および第5工程の券面加工において、熱処理や紫外線照射処理を必要とするため、その影響を強く受け易い搬送制御用センサの設置に制限がある。また、券面全体にその熱処理や紫外線照射処理効果を与えるため、IC免許証を上下から搬送ベルトで挟持するような搬送処理が行なえない。さらに、複数のIC免許証を同時に搬送しながら作成処理を行なう。このため、IC免許証の搬送不良が発生し、搬送状態に搬送順番入替りが発生した場合、これを認識できない可能性がある。特に、第4工程および第5工程において、搬送路に傾斜があり、かつ、紫外線の照射と熱の影響を避けるため搬送制御用センサ未設置という条件下で、複数のIC免許証搬送時の順番入替りを検知できない可能性がある。
【0006】
(2)IC免許証の作成において、券面に塵の付着や色抜け等の印刷不良が発生する場合がある。ただし、塵の付着や色抜けのように見えても、実際は被写体の黒子やアクセサリ等の場合がある。従来は、それらを目視検査によって判別している。
【0007】
(3)免許証の種類を示す色帯をプレ印刷したIC免許証(ICカード)が多数収納されているカードカセットを装填するが、カードカセット内部のIC免許証が、万が一、向きが間違っていてもそれを検知できない。
【0008】
(4)作成したIC免許証について、券面の劣化や偽変造について調査を実施したいとき、作成時の券面画像は残っていない。
【0009】
(5)個人認証媒体作成装置の保守において、IC免許証の搬送スキューや券面における各色の印刷位置ずれの補正は、テスト印刷を行なった後、保守員がスキュー角や印刷位置ずれ量を計測し、その都度装置の補正を行なっている。このため、保守性向上を求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−171270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、複数搬送時における個人認証媒体の搬送順番入替り、塵の付着や色抜け等の印刷不良、および、個人認証媒体の搬送向き異常を自動的に検知できる個人認証媒体作成装置を提供することである。
【0012】
また、本発明が解決しようとする課題は、個人認証媒体作成時の券面画像を保管しておくことができるとともに、テスト印刷の際にスキューや印刷位置のずれ量を自動的に測定することができる個人認証媒体作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態に係る個人認証媒体作成装置は、初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される、固有の識別情報を含む個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記識別情報を読取る読取手段と、この読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された個人認証媒体作成情報内の識別情報とを照合することにより、前記搬送手段における前記個人認証媒体の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定する判定手段とを具備している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る個人認証媒体作成装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図2】実施形態に係る免許証作成部の構成を概略的に示す模式図。
【図3】実施形態に係る保管サーバの構成を概略的に示すブロック図。
【図4】実施形態に係るIC免許証に対する読取部の読取結果に対し認識処理する領域を説明する図。
【図5】第1の実形態に係る個人認証媒体作成装置の通常作成動作について説明するフローチャート。
【図6】第2の実形態に係る個人認証媒体作成装置の通常作成動作について説明するフローチャート。
【図7】第2の実形態における塵の付着や色抜けの有無チェックを説明する図。
【図8】第2の実形態における黒点、白点が顔画像の取得時に元から存在したものであるか否かを判定する処理を説明する図。
【図9】第3の実形態に係る個人認証媒体作成装置の通常作成動作について説明するフローチャート。
【図10】第4の実形態に係る個人認証媒体作成装置の印刷部における印刷位置ずれ補正等を行なうためのテスト印刷動作について説明するフローチャート。
【図11】第4の実施形態で用いるテスト印刷用免許証作成情報内のパターン情報の一例を示す模式図。
【図12】第4の実施形態においてテスト印刷されたIC免許証から読取ったパターン情報の一例を示す模式図。
【図13】第4の実施形態において測定したスキュー角およびアラームの表示例を示す模式図。
【図14】第4の実施形態におけるスキュー有無判別処理およびスキュー角測定処理の一具体例について説明する図。
【図15】第4の実施形態におけるスキュー有無判別処理およびスキュー角測定処理の一具体例について説明する図。
【図16】第4の実施形態におけるスキュー有無判別処理およびスキュー角測定処理の一具体例について説明する図。
【図17】第4の実施形態における印刷位置のずれ補正処理を説明する模式図。
【図18】第4の実施形態における印刷位置のずれ補正処理を説明する模式図。
【図19】第4の実施形態における印刷位置のずれ補正処理を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態の個人認証媒体作成装置を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る個人認証媒体作成装置の構成を概略的に示すものである。本実施形態に係る個人認証媒体作成装置10は、たとえば、IC免許証(個人認証媒体)を作成するもので、制御用PC(パーソナルコンピュータ)11、作成制御部12、および、免許証作成部13から構成されている。
【0016】
制御用PC11は、後述するような各種処理や制御を行なうもので、上位装置(顔画像撮影機、再処理機等)20に接続されており、上位装置20から免許証作成情報が送信される。免許証作成情報は、少なくとも当該IC免許証所持者の記載情報(モノクロ)、顔画像(カラー)、当該IC免許証の種類を示す色帯(特定色領域)の色帯情報(色情報、位置情報等)を含んでいる。記載情報は、少なくとも住所、氏名、免許証番号(固有の識別情報)を含んでいる。
【0017】
作成制御部12は、制御用PC11から送られる免許証作成情報に基づき免許証作成部13を制御する。
【0018】
免許証作成部13は、例えば、図2に示すように構成されている。すなわち、初期状態のIC免許証が多数収納されたカードカセット31の後段には、カードカセット31内のIC免許証を1枚ずつ取出す取出部32が設けられていて、この取出部32とIC免許証を収納するスタッカ33およびリジェクトスタッカ34との間には、IC免許証を搬送する搬送路35が設けられている。
【0019】
なお、本実施形態で扱うIC免許証は、たとえば、非接触式ICカードにより構成されており、ICチップが埋設されている。
【0020】
搬送路35上の取出部32よりも下流側には、IC免許証の表面(印刷面)にカラーの顔画像やモノクロの記載情報などを印刷する印刷部36、印刷した顔画像領域に対しUV(紫外線)カット処理を行なうUVC処理部37、IC免許証の印刷した表面全体に対しオーバーコート処理を行なうOC処理部38、オーバーコート処理したIC免許証の表面全体に対し紫外線を照射するUV照射部39、IC免許証の表面情報を光学的に読取る読取部(読取手段)40、および、IC免許証に埋設されたICチップに対し非接触で情報の読取りや書込みを行なうICリーダ・ライタ部41がその順番に順次設けられている。ここに、OC処理部38およびUV照射部39はオーバーコート処理手段を構成している。
【0021】
印刷部36は、顔画像をカラー印刷するためのイエロー(Y)印刷部42、マゼンタ(M)印刷部43、シアン(C)印刷部44、および、記載情報などの黒情報を印刷するための黒(K)印刷部45から構成されている。
【0022】
なお、本実施の形態では、搬送路35のUV照射部39と対応する部分35aは、OC処理部38から読取部40に向かって上昇する傾斜搬送路となっているものとする。
【0023】
制御用PC11には、保管サーバ50が接続されている。保管サーバ50は、IC免許証作成時の券面画像を保管し検索可能とするもので、図3に示すように、データベース管理プログラム51、検索/表示アプリケーション52、保管情報記憶領域53、検索キーワード入力装置54、および、保管情報表示装置55から構成されている。
【0024】
図4は、読取部40によってIC免許証の表面の読取りを行ない、その読取結果に対し認識処理する領域を示している。図4において、60はIC免許証、61は免許証番号が印刷される免許証番号領域、62は顔画像が印刷される顔画像領域、63はIC免許証の種類を示す色帯(固有の特定色領域)が印刷される色帯領域、64は表面全体領域を示している。色帯領域63には通常、当該IC免許証60の有効期限が印刷される。
【0025】
なお、本実施形態で扱うIC免許証60は、印刷領域を示す枠線65があらかじめ印刷(プレ印刷)されているものとし、この枠線65内に各情報の印刷が行われるようになっている。
【0026】
また、本実施形態で扱うIC免許証60は、色帯はあらかじめ印刷(プレ印刷)されているものとする。色帯はIC免許証60の種類によって複数色存在するが、そのプレ印刷位置や形状は共通である。カードカセット31には、同一色帯のIC免許証60が多数枚装填される。
【0027】
本実施形態に係る個人認証媒体作成装置10は、上位装置20から送信される免許証作成情報を受信する。免許証作成情報は、上位装置20の撮影サイクルに応じて送信されるようになっており、そのため個人認証媒体作成装置10は複数枚のIC免許証を搬送路35上で制御する。
【0028】
個人認証媒体作成装置10では、免許証作成情報を制御用PC11で受信し、作成制御部12に送信する。作成制御部12は、受信した免許証作成情報に基づき免許証作成部13のアクチュエータ制御を行なうことにより、IC免許証の取出し、搬送、収納などを行なうとともに、以下の各工程を順次実行する。
【0029】
第1工程:カードカセット31から該当色帯のIC免許証を1枚取出す(取出部32)。
第2工程:IC免許証の表面に顔画像をカラー印刷する(Y印刷部42、M印刷部43、C印刷部44)。
第3工程:IC免許証の表面に記載情報をモノクロ印刷する(K印刷部45)。
第4工程:印刷した顔画像領域に対しUV(紫外線)カット処理を行なう(UVC処理部37)。
第5工程:IC免許証の表面全体に対しオーバーコート処理を行なう(OC処理部38、UV照射部39)。
第6工程:IC免許証の表面全体領域64を読取り、読取結果に基づく処理を行なう(読取部40、制御用PC11)。
【0030】
第7工程:ICチップに免許証作成情報等を書込む(ICリーダ・ライタ部41)。
第8工程:作成したIC免許証をスタッカ33に収納する。
【0031】
次に、上記のような構成において、第1の実形態に係る個人認証媒体作成装置10の通常作成動作について図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0032】
制御用PC11は、上位装置20から送信される免許証作成情報を受信すると、受信した免許証作成情報を作成制御部12に送信する(ステップS1)。作成制御部12は、受信した免許証作成情報に基づき免許証作成部13を制御することにより、前記第1工程〜第5工程を実行する(ステップS2)。
【0033】
すなわち、作成制御部12は、受信した免許証作成情報に含まれる色帯情報を参照することにより、取出し部32によりカードカセット31から該当色帯のIC免許証を1枚取出し、搬送路35へ送る。搬送路35は、取出されたIC免許証を搬送する。
【0034】
搬送されるIC免許証が印刷部36に到達すると、作成制御部12は、当該IC免許証の印刷面の顔画像領域62に対し、受信した免許証作成情報に含まれる顔画像のカラー印刷をY印刷部42、M印刷部43、C印刷部44の各位置で実行する。
【0035】
次に、作成制御部12は、当該IC免許証の印刷面に対し、受信した免許証作成情報に含まれる記載情報(住所、氏名、免許証番号など)の文字印刷をK印刷部45の位置で実行する。
【0036】
印刷を終了したIC免許証がUVC処理部37に到達すると、作成制御部12は、顔画像が印刷された顔画像領域62上への保護膜の転写をUV処理部37の位置で実行する。
【0037】
UV処理を終了したIC免許証がOC処理部38に到達すると、作成制御部12は、IC免許証の印刷面全体へのコーティング膜の転写をOC処理部38の位置で実行し、コーティング膜を硬化させるための紫外線照射をUV照射部39の位置で実行する。
【0038】
こうしてOC処理を終了したIC免許証が読取部40に到達すると、作成制御部12および制御用PC11は、前記第6工程を実行する。
すなわち、作成制御部12は、IC免許証の印刷面全体の読取りを読取部40の位置で実行し、制御用PC11は、この読取結果に基づく処理、本実施の形態では、まず読取結果から図4に示した表面全体領域64を切出し、切出した表面全体領域64の画像に対し検索キーワード情報を付加して保管情報を作成し、作成した保管情報を保管サーバ50に送信する(ステップS3)。
【0039】
保管サーバ50は、データベース管理プログラム51を起動することによって、制御用PC11から送られた保管情報を情報記憶領域53へ登録(記憶)する。
保管サーバ50では、検索キーワード入力装置54から検索キーワードが入力されると、検索/表示アプリケーション52はデータベース管理プログラム51へ検索要求をかける。すると、データベース管理プログラム51は、情報記憶領域53へ検索情報を呼出し、応答された表示情報(保管情報)を検索/表示アプリケーション52に受け渡す。検索/表示アプリケーション52は、保管情報表示装置55へ表示情報を出力する。
【0040】
次に、制御用PC11は、読取部40の読取結果から図4に示した免許証番号領域61を切出し、切出した免許証番号領域61に対し文字認識処理(免許証番号の認識処理)を行なう(ステップS4)。
【0041】
次に、制御用PC11は、免許証番号の認識結果と上位装置20から受信した免許証作成情報に含まれる免許証番号とを照合することにより、搬送路35においてIC免許証の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定する(ステップS5)。
【0042】
本実施の形態では、たとえば、免許証番号の認識結果と免許証作成情報に含まれる免許証番号とが一致すれば搬送順番入替り発生なしと判断し、両者が不一致であれば搬送順番入替り発生ありと判断する。
【0043】
ステップS5において、搬送順番入替り発生なしと判断した場合、制御用PC11は次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS6)。
【0044】
すなわち、読取処理を終了したIC免許証がICリーダ・ライタ部41に到達すると、作成制御部12は、当該IC免許証のICチップに対し、受信した免許証作成情報に含まれるICチップ書込み情報(記載情報、顔画像、色帯情報など)の書込みをICリーダ・ライタ部41の位置で実行する。
【0045】
次に、作成制御部12は、IC免許証のICチップに書込んだ情報が正常に書込まれたか否かをチェックし、正常に書込まれている場合は、受信した免許証作成情報に含まれる収納先(スタッカ33)へ当該IC免許証を収納し、正常に書込まれていない場合は、当該IC免許証をリジェクトスタッカ34へ収納し、当該IC免許証の自動再作成処理に進む。
【0046】
ステップS5において、搬送順番入替り発生ありと判断した場合、制御用PC11はリジェクトスタッカ34への収納指示を作成制御部12へ送る。これを受けた作成制御部12は、当該IC免許証(入替わったIC免許証)をリジェクトスタッカ34へ収納し(ステップS7)、当該IC免許証の自動再作成処理に進む(ステップS8)。
【0047】
以上説明したように第1の実形態によれば、IC免許証に印刷された免許証番号を読取り、その認識結果と免許証作成情報に含まれる免許証番号とを照合し、IC免許証の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定することにより、複数のIC免許証を搬送している際の順番入替りの発生有無を確実に検知できるとともに、順番入替りの発生検知時には当該入替りIC免許証をリジェクトスタッカ34に収納し、自動再作成処理を実行することが可能となる。
【0048】
また、IC免許証の印刷面に免許証作成情報を印刷した際は、その印刷面の画像を読取って保管サーバ50に保管し、検索/表示できるようにすることで、後日IC免許証の券面に対する問い合わせ(劣化や偽変造等)があった場合、作成時の券面画像と突き合わせることで、問題の有無を識別できる。
【0049】
次に、第2の実形態に係る個人認証媒体作成装置10の通常作成動作について図6に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、ステップS11〜S13は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS1〜S3と同様であるので、その説明は省略する。
【0050】
ステップS13の処理が終了すると、制御用PC11は、読取部40の読取結果から図4に示した顔画像領域62を切出し、切出した顔画像領域62に対し画象処理による印刷不良の有無チェック、本実施形態では塵の付着や色抜けの有無チェックを行なう(ステップS14,S15)。
【0051】
塵の付着や色抜けの有無チェックは、たとえば、以下のように行なわれる。まず、図7(a)(b)に示すように、読取った顔画像領域62の画像62a内に黒点P1もしくは白点P2が存在するか否かを確認する。
【0052】
すなわち、画像62aを縦(Y)方向および横(X)方向に走査することにより、Y方向の連続する黒画素数A、X方向の連続する黒画素数B、Y方向の連続する白画素数C、X方向の連続する白画素数Dを計数し、
基準黒点最大面積J1(画素数)>A×B(画素数)>基準黒点最少面積J2(画素数)の条件を満足した際、黒点P1有り(塵付着の可能性有り)と判定し(図7(a))、
基準白点最大面積K1(画素数)>C×D(画素数)>基準白点最少面積K2(画素数)の条件を満足した際、白点P2有り(色抜けの可能性有り)と判定する(図7(b))。
【0053】
ステップS14,S15のチェックの結果、黒点P1や白点P2がない場合、制御用PC11は、塵の付着や色抜けがないと判断し、次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS16)。ステップS16は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0054】
ステップS14,S15のチェックの結果、黒点P1や白点P2がある場合、制御用PC11は、塵の付着や色抜けの可能性があると判断し、当該塵や色抜け部の位置、すなわち、図7(a)(b)に示すように、画像62aでの黒点P1、白点P2の位置(X座標値、Y座標値)を求めて記憶する。
【0055】
次に、制御用PC11は、受信した免許証作成情報に含まれる顔画像の、検知した黒点P1、白点P2の位置(X座標値、Y座標値)に対応する色情報が黒か白かをチェックすることにより、当該黒点P1、白点P2は当該顔画像の取得時に元から存在したものであるか否かを判定する(ステップS17)。
【0056】
すなわち、図8(a)に示すように、検知した黒点P1の位置に対応する免許証作成情報に含まれる顔画像62bの色情報が黒相当ならば、当該顔画像の撮影時に元から存在したもの(つまり黒子)であると判定し、図8(b)に示すように、検知した白点P2の位置に対応する免許証作成情報に含まれる顔画像62bの色情報が白相当ならば、当該顔画像の撮影時に元から存在したもの(つまりアクセサリ等)であると判定する。
【0057】
ステップS17の判定の結果、検知した黒点P1/白点P2が黒子/アクセサリ等と一致した場合、制御用PC11は、印刷不良なしと判断し、次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS18)。ステップS18は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0058】
ステップS17の判定の結果、検知した黒点P1/白点P2が黒子/アクセサリ等と不一致の場合、制御用PC11は、印刷不良ありと判断し、リジェクトスタッカ34への収納指示を作成制御部12へ送る。これを受けた作成制御部12は、当該IC免許証をリジェクトスタッカ34へ収納し(ステップS19)、当該IC免許証の自動再作成処理に進む(ステップS20)。
【0059】
以上説明したように第2の実形態によれば、IC免許証に印刷された顔画像を読取り、読取った顔画像に対し塵の付着や色抜けのように見える状態が黒子やアクセサリ等であるかを判別することにより、塵の付着や色抜け等の印刷不良を確実に検知できるとともに、印刷不良検知時には当該IC免許証をリジェクトスタッカ34に収納し、自動再作成処理を実行することが可能となる。
【0060】
次に、第3の実形態に係る個人認証媒体作成装置10の通常作成動作について図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0061】
なお、ステップS21〜S23は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS1〜S3と同様であるので、その説明は省略する。
【0062】
ステップS23の処理が終了すると、制御用PC11は、読取部40の読取結果から図4に示した色帯領域63を切出し、切出した色帯領域63に対し色帯の色および色帯が存在する位置(X座標値、Y座標値)を認識する(ステップS24)。
【0063】
次に、制御用PC11は、認識した色帯の色および存在位置と上位装置20から受信した免許証作成情報に含まれる色帯情報(色情報、位置情報)とを照合することにより、搬送路35により搬送されるIC免許証の向きおよび色帯の色種の少なくともいずれか一方に間違いがないか判定する(ステップS25)。
【0064】
すなわち、カードカセット31の内部には、向きを統一し、かつ、色帯が同一色の初期状態のIC免許証が格納されている。そのため、万が一、IC免許証の向きに間違いがあると、プレ印刷部分および枠線に対し、不整合が生じる。
【0065】
そこで、本実施形態では、IC免許証から読取った色帯の色および存在位置と免許証作成情報内の色帯情報(色情報、位置情報)とを照合することにより、IC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いがないか判定するものである。
【0066】
本実施の形態では、たとえば、IC免許証から読取った色帯の色および存在位置と免許証作成情報内の色帯情報(色情報、位置情報)とが一致すればIC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いなしと判断し、両者が不一致であればIC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いありと判断する。
【0067】
ステップS25の判定の結果、IC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いがない場合、制御用PC11は次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS26)。ステップS26は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0068】
ステップS25の判定の結果、IC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いがある場合、制御用PC11は、リジェクトスタッカ34への収納指示を作成制御部12へ送る。これを受けた作成制御部12は、当該IC免許証をリジェクトスタッカ34へ収納し(ステップS27)、当該IC免許証の自動再作成処理に進む(ステップS28)。
【0069】
以上説明したように第3の実形態によれば、IC免許証にプレ印刷された色帯の色および存在位置を認識し、認識した色帯の色および存在位置と免許証作成情報内の色帯情報(色情報、位置情報)とを照合し、IC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いがないか判定することにより、IC免許証の向きおよび色帯の色種間違いを自動的に検知できるとともに、間違い検知時には当該IC免許証をリジェクトスタッカ34に収納し、自動再作成処理を実行することが可能となる。
【0070】
次に、第4の実形態に係る個人認証媒体作成装置10の印刷部36における印刷位置ずれ補正等を行なうためのテスト印刷動作について図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0071】
テスト印刷に用いるテスト印刷用免許証作成情報は、たとえば、前述した免許証作成情報と同様の記載情報および色帯情報を含んでいるとともに、顔画像の代りに印刷位置のずれおよびスキューを検知するためのパターン情報を含んでいるものとする。
【0072】
図11は、本実施形態で用いるテスト印刷用免許証作成情報内のパターン情報の一例を示している。このパターン情報は、顔画像領域62内に印刷されるもので、たとえば、Y印刷部42で印刷されるY色直線L1、M印刷部43で印刷されるM色直線L2、C印刷部44で印刷されるC色直線L3、および、K印刷部45で印刷されるK色直線L4から構成されていて、これら各色直線L1〜L4はIC免許証の搬送方向と直交方向に平行に印刷されるようになっている。
【0073】
テスト印刷用免許証作成情報内のパターン情報においては、プレ印刷されている枠線65の右端線65aをプレ印刷基準位置P0とすると、プレ印刷基準位置P0とY色直線L1の印刷位置との間の距離をY0(mm)、プレ印刷基準位置P0とM色直線L2の印刷位置との間の距離をM0、プレ印刷基準位置P0とC色直線L3の印刷位置との間の距離をC0、プレ印刷基準位置P0とK色直線L4の印刷位置との間の距離をK0、と定義する。
【0074】
図示しない操作パネルなどからテスト印刷が指示されると、制御用PC11は、テスト印刷用免許証作成情報を作成制御部12に送信する(ステップS31)。作成制御部12は、受信したテスト印刷用免許証作成情報に基づき免許証作成部13を制御することにより、前記第1工程〜第5工程を実行する(ステップS32)。
【0075】
すなわち、作成制御部12は、受信したテスト印刷用免許証作成情報に含まれる色帯情報を参照することにより、取出し部32によりカードカセット31から該当色帯のIC免許証を1枚取出し、搬送路35へ送る。搬送路35は、取出されたIC免許証を搬送する。
【0076】
搬送されるIC免許証が印刷部36に到達すると、作成制御部12は、当該IC免許証の印刷面の顔画像領域62に対し、受信したテスト印刷用免許証作成情報に含まれるパターン情報のカラー印刷をY印刷部42、M印刷部43、C印刷部44、K印刷部45の各位置で実行する。顔画像領域62に印刷されたパターン情報は、たとえば、図11に示すようになり、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、および、K色直線L4が印刷される。
【0077】
次に、作成制御部12は、当該IC免許証の印刷面に対し、受信したテスト印刷用免許証作成情報に含まれる記載情報の文字印刷をK印刷部45の位置で実行する。
【0078】
印刷を終了したIC免許証がUVC処理部37に到達すると、作成制御部12は、パターン情報が印刷された顔画像領域62上への保護膜の転写をUV処理部37の位置で実行する。
【0079】
UV処理を終了したIC免許証がOC処理部38に到達すると、作成制御部12は、IC免許証の印刷面全体へのコーティング膜の転写をOC処理部38の位置で実行し、コーティング膜を硬化させるための紫外線照射をUV照射部39の位置で実行する。
【0080】
こうしてOC処理を終了したIC免許証が読取部40に到達すると、作成制御部12および制御用PC11は、前記第6工程を実行する。
すなわち、作成制御部12は、IC免許証の印刷面全体の読取りを読取部40の位置で実行し、制御用PC11は、この読取結果から図4に示した顔画像領域62を切出し、切出した顔画像領域62内のパターン情報(図11参照)に対し、スキューの有無を判別するとともに、スキュー有りの場合はそのスキュー角を測定する(ステップS33,S34)。
【0081】
まず、切出した顔画像領域62内のパターン情報(図11参照)において、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、K色直線L4、および、枠線65の右端線(以降、プレ印刷基準位置線とも言う)65aそれぞれに対し、スキューがあるか否かを判別する。
【0082】
図12(a)〜(e)は、切出した顔画像領域62内のパターン情報例を示しており、図12(a)はプレ印刷基準位置線65a(IC免許証自体)にスキューが生じている場合、図12(b)はY色直線L1(Y印刷部42の印刷ヘッド)にスキューが生じている場合、図12(c)はM色直線L2(M印刷部43の印刷ヘッド)にスキューが生じている場合、図12(d)はC色直線L3(C印刷部44の印刷ヘッド)にスキューが生じている場合、図12(e)はK色直線L4(K印刷部45の印刷ヘッド)にスキューが生じている場合、をそれぞれ示している。
【0083】
スキュー有無判別の結果、スキュー有りの場合、制御用PC11は、そのスキュー角を測定する。制御用PC11は、測定したスキュー角をアラームとともに図示しないディスプレイに表示する(ステップS35)。
【0084】
図13(a)〜(e)は、スキュー角およびアラームの表示例を示しており、図13(a)は図12(a)に対応していて、「IC免許証スキュー有り、+5°」と表示した場合、図13(b)は図12(b)に対応していて、「Y印刷ヘッドスキュー有り、+10°」と表示した場合、図13(c)は図12(c)に対応していて、「M印刷ヘッドスキュー有り、−10°」と表示した場合、図13(d)は図12(d)に対応していて、「C印刷ヘッドスキュー有り、+15°」と表示した場合、図13(e)は図12(e)に対応していて、「K印刷ヘッドスキュー有り、+20°」と表示した場合、をそれぞれ示している。
【0085】
ここで、スキュー有無判別処理およびスキュー角測定処理の一具体例について図14〜図16を参照して説明する。
【0086】
まず、図14に示すように、正常時のY色直線L1の印刷位置Y0、M色直線L2の印刷位置M0、C色直線L3の印刷位置C0、K色直線L4の印刷位置K0、プレ印刷基準位置P0を、読取情報(読取部40で読取った顔画像領域62の読取結果)上に換算することでデフォルト情報66を作成し、図示しないメモリに格納しておく。この場合、各色の直線L1,L2,L3,L4およびプレ印刷基準位置線65aは、データ上では各直線の先頭データから連続するものとする。
【0087】
なお、図14のデフォルト情報66は例えば256階調で表現されていて、67はプレ印刷基準位置線65aの情報、68はK色直線L4の情報、69はC色直線L3の情報、70はM色直線L2の情報、71はY色直線L1の情報、をそれぞれ示しており、それ以外は背景の情報を示している。
【0088】
次に、テスト印刷で読取った顔画像領域62の読取情報(読取結果)を用いて、図14のデフォルト情報66を参照することにより、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、K色直線L4、および、プレ印刷基準位置線65aそれぞれに対し、スキューがあるか否かを判別する。ここでは、図12(e)のK色直線L4にスキューが生じている場合を例に説明する。
【0089】
図15は実際に得られた正常時の読取情報72を示し、図16は実際に得られたK色直線L4にスキューが生じている場合(図12(e)の場合)の読取情報73を示しており、これらは図14のデフォルト情報66と対応しているものとする。
【0090】
本来、K色直線L4の情報68の先頭データがあるべきアドレスから、どれだけ離れた位置に実際の先頭データがあるか、および、1ライン分の連続データ未満(図16の例では2バイト)であることを検出し、スキュー有りと判別する。また、これをスキュー角θに変換する。すなわち、図16の例では、K色直線L4の情報68の先頭データがあるべきアドレスから16バイト先に実際の先頭データがあるので、スキュー角θは「+20°」とする。
【0091】
ステップS35の処理が終了すると、制御用PC11は次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS36)。ステップS36は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0092】
スキュー有無判別の結果、スキュー無しの場合、制御用PC11は、印刷部36における印刷位置のずれ補正処理を行なう(ステップS37,S38)。
【0093】
たとえば、図11に示すように、切出した顔画像領域62内のパターン情報において、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、K色直線L4それぞれとプレ印刷基準位置P0との距離を測定し、それぞれY1(mm)、M1(mm)、C1(mm)、K1(mm)とする。
【0094】
次に、Y0−Y1=Y2、M0−M1=M2、C0−C1=C2、K0−K1=K2を計算し、その計算結果Y2、M2、C2、K2を印刷位置のずれ量とし、このずれ量を静止位置補正値(印刷位置補正値)として作成制御部12へ送信する。これを受けた作成制御部12は、当該静止位置補正値を記憶し、次回印刷時から当該静止位置補正値を適用する。
【0095】
図17(a)は、印刷位置ずれのない正常な印刷位置(印刷位置ずれなし)の場合を示しており、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、K色直線L4は、それぞれ正規の位置に印刷されている。この例の場合、Y0−Y1=0、M0−M1=0、C0−C1=0、K0−K1=0となり、それぞれ静止位置補正値は「0」となる。
【0096】
図17(b)は、Y印刷部42においてIC免許証の停止位置が印刷ヘッドをオーバした場合(Y印刷位置ずれ)を示しており、Y色直線L1が正規の位置(点線La)からずれて印刷されている。この例の場合はY0−Y1=Y2となり、静止位置補正値は−Y2となる。
【0097】
図17(c)は、M印刷部43においてIC免許証の停止位置が印刷ヘッドの手前の場合(M印刷位置ずれ)を示しており、M色直線L2が正規の位置(点線Lb)からずれて印刷されている。この例の場合はM0−M1=M2となり、静止位置補正値は+M2となる。
【0098】
図17(d)は、C印刷部44においてIC免許証の停止位置が印刷ヘッドをオーバした場合(C印刷位置ずれ)を示しており、C色直線L3が正規の位置(点線Lc)からずれて印刷されている。この例の場合はC0−C1=C2となり、静止位置補正値は−C2となる。
【0099】
図17(e)は、K印刷部45においてIC免許証の停止位置が印刷ヘッドの手前の場合(K印刷位置ずれ)を示しており、K色直線L4が正規の位置(点線Ld)からずれて印刷されている。この例の場合はK0−K1=K2となり、静止位置補正値は+K2となる。
【0100】
ここで、印刷位置のずれ補正処理の一具体例について図14および図18〜図19を参照して説明する。
【0101】
テスト印刷で読取った顔画像領域62内の読取情報(読取結果)を用いて、図14のデフォルト情報66を参照することにより、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、および、K色直線L4それぞれに対し、印刷位置ずれがあるか否かを判別する。ここでは、図17(e)のK色直線L4に印刷位置ずれが生じている場合を例に説明する。
【0102】
図18は実際に得られた正常時の読取情報72を示し、図19は実際に得られたK色直線L4に印刷位置ずれが生じている場合(図17(e)の場合)の読取情報74を示しており、これらは図14のデフォルト情報66と対応しているものとする。
【0103】
本来、K色直線L4の情報68の先頭データがあるべきアドレスから、どれだけ離れた位置に実際の先頭データがあるか、および、1ライン分の連続データ(図19の例では8バイト)であることを検出し、印刷位置ずれ有りと判別する。また、これを距離(印刷位置ずれ量)Lに変換する。すなわち、図19の例では、K色直線L4の情報68の先頭データがあるべきアドレスから16バイト先に実際の先頭データがあるので、距離(印刷位置ずれ量)Lは「K1(mm)」とする。
【0104】
ステップS38の処理が終了すると、制御用PC11は次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS39)。ステップS39は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0105】
なお、上記第4の実形態で用いるテスト印刷用免許証作成情報は、必ずしも記載情報および色帯情報を含んでいる必要がなく、印刷位置のずれおよびスキューを検知するためのパターン情報単独とし、記載情報等のテスト印刷を省略してもよい。
【0106】
以上説明したように第4の実形態によれば、印刷部36におけるY印刷、M印刷、C印刷、K印刷の各印刷位置のずれ補正を行なうためにテスト印刷を行ない、作成したIC免許証に印刷されたパターン情報を用いて印刷ヘッドのスキュー有無判別処理を行なうとともに、各色の印刷位置ずれ量を計測し、計測した印刷位置ずれ量を静止位置補正値(印刷位置補正値)として印刷部36にフィードバックすることにより、印刷ヘッドのスキューや印刷位置のずれ量を自動的に測定して印刷ヘッド等を調整することができ、保守性の向上が図れる。
【0107】
以上述べた少なくとも1つの実施形態の個人認証媒体作成装置によれば、複数搬送時におけるIC免許証の搬送順番入替り、塵の付着や色抜け等の印刷不良、および、IC免許証の搬送向き異常を自動的に検知することができる。また、IC免許証作成時の券面画像を保管しておくことができるとともに、印刷ヘッドのスキューや印刷位置のずれ量を自動的に測定することができる。
【0108】
なお、前記実施形態では、個人認証媒体がICカードを用いたIC免許証の場合について説明したが、ICカードを用いない免許証であってもよく、また、免許証の形状もカード型に限らず、冊子状やブロック状であってもよい。
【0109】
また、前記実施形態では、個人認証媒体として自動車の運転免許証を作成する個人認証媒体作成装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、たとえば、学生証や社員証などを作成する個人認証媒体作成装置にも適用可能である。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
10…個人認証媒体作成装置、11…制御用PC、12…作成制御部、13…免許証作成部、20…上位装置、31…カードカセット、32…取出部、33…スタッカ、34…リジェクトスタッカ、35…搬送路、印刷部…36、37…UVC処理部、38…OC処理部、39…UV照射部、40…読取部(読取手段)、41…ICリーダ・ライタ部、42…Y印刷部、43…M印刷部、44…C印刷部、45…K印刷部、50…保管サーバ。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、個人認証媒体作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、たとえば、自動車の運転免許証(個人認証媒体)として、偽変造対策と本人確認の迅速化等のため、ICチップを内蔵したICカードを用いた運転免許証(以降、これをIC免許証と略称する)が実用化されている。
【0003】
このようなIC免許証を作成する個人認証媒体作成装置(IC免許証作成装置)は、免許証作成指示を行なう上位装置(顔画像撮影機、再処理機等)から送られる免許証作成情報(記載情報、色帯情報、顔画像など)を受信し、受信した免許証作成情報に基づき、以下の工程でIC免許証を作成している。
【0004】
第1工程:初期状態のIC免許証(ICカード)が多数収納されたカードカセットから該当色帯のIC免許証を1枚取出す。
第2工程:IC免許証の表面に顔画像をカラー印刷する。
第3工程:IC免許証の表面に記載情報をモノクロ印刷する。
第4工程:印刷した顔画像領域に対しUV(紫外線)カット処理を行なう。
第5工程:IC免許証の表面全体に対しオーバーコート処理を行なう。
第6工程:ICチップに免許証作成情報等を書込む。
第7工程:作成したIC免許証をスタッカに収納する。
【0005】
しかしながら、従来の個人認証媒体作成装置には以下のような課題がある。
(1)第4工程および第5工程の券面加工において、熱処理や紫外線照射処理を必要とするため、その影響を強く受け易い搬送制御用センサの設置に制限がある。また、券面全体にその熱処理や紫外線照射処理効果を与えるため、IC免許証を上下から搬送ベルトで挟持するような搬送処理が行なえない。さらに、複数のIC免許証を同時に搬送しながら作成処理を行なう。このため、IC免許証の搬送不良が発生し、搬送状態に搬送順番入替りが発生した場合、これを認識できない可能性がある。特に、第4工程および第5工程において、搬送路に傾斜があり、かつ、紫外線の照射と熱の影響を避けるため搬送制御用センサ未設置という条件下で、複数のIC免許証搬送時の順番入替りを検知できない可能性がある。
【0006】
(2)IC免許証の作成において、券面に塵の付着や色抜け等の印刷不良が発生する場合がある。ただし、塵の付着や色抜けのように見えても、実際は被写体の黒子やアクセサリ等の場合がある。従来は、それらを目視検査によって判別している。
【0007】
(3)免許証の種類を示す色帯をプレ印刷したIC免許証(ICカード)が多数収納されているカードカセットを装填するが、カードカセット内部のIC免許証が、万が一、向きが間違っていてもそれを検知できない。
【0008】
(4)作成したIC免許証について、券面の劣化や偽変造について調査を実施したいとき、作成時の券面画像は残っていない。
【0009】
(5)個人認証媒体作成装置の保守において、IC免許証の搬送スキューや券面における各色の印刷位置ずれの補正は、テスト印刷を行なった後、保守員がスキュー角や印刷位置ずれ量を計測し、その都度装置の補正を行なっている。このため、保守性向上を求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−171270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、複数搬送時における個人認証媒体の搬送順番入替り、塵の付着や色抜け等の印刷不良、および、個人認証媒体の搬送向き異常を自動的に検知できる個人認証媒体作成装置を提供することである。
【0012】
また、本発明が解決しようとする課題は、個人認証媒体作成時の券面画像を保管しておくことができるとともに、テスト印刷の際にスキューや印刷位置のずれ量を自動的に測定することができる個人認証媒体作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態に係る個人認証媒体作成装置は、初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される、固有の識別情報を含む個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記識別情報を読取る読取手段と、この読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された個人認証媒体作成情報内の識別情報とを照合することにより、前記搬送手段における前記個人認証媒体の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定する判定手段とを具備している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る個人認証媒体作成装置の構成を概略的に示すブロック図。
【図2】実施形態に係る免許証作成部の構成を概略的に示す模式図。
【図3】実施形態に係る保管サーバの構成を概略的に示すブロック図。
【図4】実施形態に係るIC免許証に対する読取部の読取結果に対し認識処理する領域を説明する図。
【図5】第1の実形態に係る個人認証媒体作成装置の通常作成動作について説明するフローチャート。
【図6】第2の実形態に係る個人認証媒体作成装置の通常作成動作について説明するフローチャート。
【図7】第2の実形態における塵の付着や色抜けの有無チェックを説明する図。
【図8】第2の実形態における黒点、白点が顔画像の取得時に元から存在したものであるか否かを判定する処理を説明する図。
【図9】第3の実形態に係る個人認証媒体作成装置の通常作成動作について説明するフローチャート。
【図10】第4の実形態に係る個人認証媒体作成装置の印刷部における印刷位置ずれ補正等を行なうためのテスト印刷動作について説明するフローチャート。
【図11】第4の実施形態で用いるテスト印刷用免許証作成情報内のパターン情報の一例を示す模式図。
【図12】第4の実施形態においてテスト印刷されたIC免許証から読取ったパターン情報の一例を示す模式図。
【図13】第4の実施形態において測定したスキュー角およびアラームの表示例を示す模式図。
【図14】第4の実施形態におけるスキュー有無判別処理およびスキュー角測定処理の一具体例について説明する図。
【図15】第4の実施形態におけるスキュー有無判別処理およびスキュー角測定処理の一具体例について説明する図。
【図16】第4の実施形態におけるスキュー有無判別処理およびスキュー角測定処理の一具体例について説明する図。
【図17】第4の実施形態における印刷位置のずれ補正処理を説明する模式図。
【図18】第4の実施形態における印刷位置のずれ補正処理を説明する模式図。
【図19】第4の実施形態における印刷位置のずれ補正処理を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態の個人認証媒体作成装置を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る個人認証媒体作成装置の構成を概略的に示すものである。本実施形態に係る個人認証媒体作成装置10は、たとえば、IC免許証(個人認証媒体)を作成するもので、制御用PC(パーソナルコンピュータ)11、作成制御部12、および、免許証作成部13から構成されている。
【0016】
制御用PC11は、後述するような各種処理や制御を行なうもので、上位装置(顔画像撮影機、再処理機等)20に接続されており、上位装置20から免許証作成情報が送信される。免許証作成情報は、少なくとも当該IC免許証所持者の記載情報(モノクロ)、顔画像(カラー)、当該IC免許証の種類を示す色帯(特定色領域)の色帯情報(色情報、位置情報等)を含んでいる。記載情報は、少なくとも住所、氏名、免許証番号(固有の識別情報)を含んでいる。
【0017】
作成制御部12は、制御用PC11から送られる免許証作成情報に基づき免許証作成部13を制御する。
【0018】
免許証作成部13は、例えば、図2に示すように構成されている。すなわち、初期状態のIC免許証が多数収納されたカードカセット31の後段には、カードカセット31内のIC免許証を1枚ずつ取出す取出部32が設けられていて、この取出部32とIC免許証を収納するスタッカ33およびリジェクトスタッカ34との間には、IC免許証を搬送する搬送路35が設けられている。
【0019】
なお、本実施形態で扱うIC免許証は、たとえば、非接触式ICカードにより構成されており、ICチップが埋設されている。
【0020】
搬送路35上の取出部32よりも下流側には、IC免許証の表面(印刷面)にカラーの顔画像やモノクロの記載情報などを印刷する印刷部36、印刷した顔画像領域に対しUV(紫外線)カット処理を行なうUVC処理部37、IC免許証の印刷した表面全体に対しオーバーコート処理を行なうOC処理部38、オーバーコート処理したIC免許証の表面全体に対し紫外線を照射するUV照射部39、IC免許証の表面情報を光学的に読取る読取部(読取手段)40、および、IC免許証に埋設されたICチップに対し非接触で情報の読取りや書込みを行なうICリーダ・ライタ部41がその順番に順次設けられている。ここに、OC処理部38およびUV照射部39はオーバーコート処理手段を構成している。
【0021】
印刷部36は、顔画像をカラー印刷するためのイエロー(Y)印刷部42、マゼンタ(M)印刷部43、シアン(C)印刷部44、および、記載情報などの黒情報を印刷するための黒(K)印刷部45から構成されている。
【0022】
なお、本実施の形態では、搬送路35のUV照射部39と対応する部分35aは、OC処理部38から読取部40に向かって上昇する傾斜搬送路となっているものとする。
【0023】
制御用PC11には、保管サーバ50が接続されている。保管サーバ50は、IC免許証作成時の券面画像を保管し検索可能とするもので、図3に示すように、データベース管理プログラム51、検索/表示アプリケーション52、保管情報記憶領域53、検索キーワード入力装置54、および、保管情報表示装置55から構成されている。
【0024】
図4は、読取部40によってIC免許証の表面の読取りを行ない、その読取結果に対し認識処理する領域を示している。図4において、60はIC免許証、61は免許証番号が印刷される免許証番号領域、62は顔画像が印刷される顔画像領域、63はIC免許証の種類を示す色帯(固有の特定色領域)が印刷される色帯領域、64は表面全体領域を示している。色帯領域63には通常、当該IC免許証60の有効期限が印刷される。
【0025】
なお、本実施形態で扱うIC免許証60は、印刷領域を示す枠線65があらかじめ印刷(プレ印刷)されているものとし、この枠線65内に各情報の印刷が行われるようになっている。
【0026】
また、本実施形態で扱うIC免許証60は、色帯はあらかじめ印刷(プレ印刷)されているものとする。色帯はIC免許証60の種類によって複数色存在するが、そのプレ印刷位置や形状は共通である。カードカセット31には、同一色帯のIC免許証60が多数枚装填される。
【0027】
本実施形態に係る個人認証媒体作成装置10は、上位装置20から送信される免許証作成情報を受信する。免許証作成情報は、上位装置20の撮影サイクルに応じて送信されるようになっており、そのため個人認証媒体作成装置10は複数枚のIC免許証を搬送路35上で制御する。
【0028】
個人認証媒体作成装置10では、免許証作成情報を制御用PC11で受信し、作成制御部12に送信する。作成制御部12は、受信した免許証作成情報に基づき免許証作成部13のアクチュエータ制御を行なうことにより、IC免許証の取出し、搬送、収納などを行なうとともに、以下の各工程を順次実行する。
【0029】
第1工程:カードカセット31から該当色帯のIC免許証を1枚取出す(取出部32)。
第2工程:IC免許証の表面に顔画像をカラー印刷する(Y印刷部42、M印刷部43、C印刷部44)。
第3工程:IC免許証の表面に記載情報をモノクロ印刷する(K印刷部45)。
第4工程:印刷した顔画像領域に対しUV(紫外線)カット処理を行なう(UVC処理部37)。
第5工程:IC免許証の表面全体に対しオーバーコート処理を行なう(OC処理部38、UV照射部39)。
第6工程:IC免許証の表面全体領域64を読取り、読取結果に基づく処理を行なう(読取部40、制御用PC11)。
【0030】
第7工程:ICチップに免許証作成情報等を書込む(ICリーダ・ライタ部41)。
第8工程:作成したIC免許証をスタッカ33に収納する。
【0031】
次に、上記のような構成において、第1の実形態に係る個人認証媒体作成装置10の通常作成動作について図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0032】
制御用PC11は、上位装置20から送信される免許証作成情報を受信すると、受信した免許証作成情報を作成制御部12に送信する(ステップS1)。作成制御部12は、受信した免許証作成情報に基づき免許証作成部13を制御することにより、前記第1工程〜第5工程を実行する(ステップS2)。
【0033】
すなわち、作成制御部12は、受信した免許証作成情報に含まれる色帯情報を参照することにより、取出し部32によりカードカセット31から該当色帯のIC免許証を1枚取出し、搬送路35へ送る。搬送路35は、取出されたIC免許証を搬送する。
【0034】
搬送されるIC免許証が印刷部36に到達すると、作成制御部12は、当該IC免許証の印刷面の顔画像領域62に対し、受信した免許証作成情報に含まれる顔画像のカラー印刷をY印刷部42、M印刷部43、C印刷部44の各位置で実行する。
【0035】
次に、作成制御部12は、当該IC免許証の印刷面に対し、受信した免許証作成情報に含まれる記載情報(住所、氏名、免許証番号など)の文字印刷をK印刷部45の位置で実行する。
【0036】
印刷を終了したIC免許証がUVC処理部37に到達すると、作成制御部12は、顔画像が印刷された顔画像領域62上への保護膜の転写をUV処理部37の位置で実行する。
【0037】
UV処理を終了したIC免許証がOC処理部38に到達すると、作成制御部12は、IC免許証の印刷面全体へのコーティング膜の転写をOC処理部38の位置で実行し、コーティング膜を硬化させるための紫外線照射をUV照射部39の位置で実行する。
【0038】
こうしてOC処理を終了したIC免許証が読取部40に到達すると、作成制御部12および制御用PC11は、前記第6工程を実行する。
すなわち、作成制御部12は、IC免許証の印刷面全体の読取りを読取部40の位置で実行し、制御用PC11は、この読取結果に基づく処理、本実施の形態では、まず読取結果から図4に示した表面全体領域64を切出し、切出した表面全体領域64の画像に対し検索キーワード情報を付加して保管情報を作成し、作成した保管情報を保管サーバ50に送信する(ステップS3)。
【0039】
保管サーバ50は、データベース管理プログラム51を起動することによって、制御用PC11から送られた保管情報を情報記憶領域53へ登録(記憶)する。
保管サーバ50では、検索キーワード入力装置54から検索キーワードが入力されると、検索/表示アプリケーション52はデータベース管理プログラム51へ検索要求をかける。すると、データベース管理プログラム51は、情報記憶領域53へ検索情報を呼出し、応答された表示情報(保管情報)を検索/表示アプリケーション52に受け渡す。検索/表示アプリケーション52は、保管情報表示装置55へ表示情報を出力する。
【0040】
次に、制御用PC11は、読取部40の読取結果から図4に示した免許証番号領域61を切出し、切出した免許証番号領域61に対し文字認識処理(免許証番号の認識処理)を行なう(ステップS4)。
【0041】
次に、制御用PC11は、免許証番号の認識結果と上位装置20から受信した免許証作成情報に含まれる免許証番号とを照合することにより、搬送路35においてIC免許証の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定する(ステップS5)。
【0042】
本実施の形態では、たとえば、免許証番号の認識結果と免許証作成情報に含まれる免許証番号とが一致すれば搬送順番入替り発生なしと判断し、両者が不一致であれば搬送順番入替り発生ありと判断する。
【0043】
ステップS5において、搬送順番入替り発生なしと判断した場合、制御用PC11は次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS6)。
【0044】
すなわち、読取処理を終了したIC免許証がICリーダ・ライタ部41に到達すると、作成制御部12は、当該IC免許証のICチップに対し、受信した免許証作成情報に含まれるICチップ書込み情報(記載情報、顔画像、色帯情報など)の書込みをICリーダ・ライタ部41の位置で実行する。
【0045】
次に、作成制御部12は、IC免許証のICチップに書込んだ情報が正常に書込まれたか否かをチェックし、正常に書込まれている場合は、受信した免許証作成情報に含まれる収納先(スタッカ33)へ当該IC免許証を収納し、正常に書込まれていない場合は、当該IC免許証をリジェクトスタッカ34へ収納し、当該IC免許証の自動再作成処理に進む。
【0046】
ステップS5において、搬送順番入替り発生ありと判断した場合、制御用PC11はリジェクトスタッカ34への収納指示を作成制御部12へ送る。これを受けた作成制御部12は、当該IC免許証(入替わったIC免許証)をリジェクトスタッカ34へ収納し(ステップS7)、当該IC免許証の自動再作成処理に進む(ステップS8)。
【0047】
以上説明したように第1の実形態によれば、IC免許証に印刷された免許証番号を読取り、その認識結果と免許証作成情報に含まれる免許証番号とを照合し、IC免許証の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定することにより、複数のIC免許証を搬送している際の順番入替りの発生有無を確実に検知できるとともに、順番入替りの発生検知時には当該入替りIC免許証をリジェクトスタッカ34に収納し、自動再作成処理を実行することが可能となる。
【0048】
また、IC免許証の印刷面に免許証作成情報を印刷した際は、その印刷面の画像を読取って保管サーバ50に保管し、検索/表示できるようにすることで、後日IC免許証の券面に対する問い合わせ(劣化や偽変造等)があった場合、作成時の券面画像と突き合わせることで、問題の有無を識別できる。
【0049】
次に、第2の実形態に係る個人認証媒体作成装置10の通常作成動作について図6に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、ステップS11〜S13は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS1〜S3と同様であるので、その説明は省略する。
【0050】
ステップS13の処理が終了すると、制御用PC11は、読取部40の読取結果から図4に示した顔画像領域62を切出し、切出した顔画像領域62に対し画象処理による印刷不良の有無チェック、本実施形態では塵の付着や色抜けの有無チェックを行なう(ステップS14,S15)。
【0051】
塵の付着や色抜けの有無チェックは、たとえば、以下のように行なわれる。まず、図7(a)(b)に示すように、読取った顔画像領域62の画像62a内に黒点P1もしくは白点P2が存在するか否かを確認する。
【0052】
すなわち、画像62aを縦(Y)方向および横(X)方向に走査することにより、Y方向の連続する黒画素数A、X方向の連続する黒画素数B、Y方向の連続する白画素数C、X方向の連続する白画素数Dを計数し、
基準黒点最大面積J1(画素数)>A×B(画素数)>基準黒点最少面積J2(画素数)の条件を満足した際、黒点P1有り(塵付着の可能性有り)と判定し(図7(a))、
基準白点最大面積K1(画素数)>C×D(画素数)>基準白点最少面積K2(画素数)の条件を満足した際、白点P2有り(色抜けの可能性有り)と判定する(図7(b))。
【0053】
ステップS14,S15のチェックの結果、黒点P1や白点P2がない場合、制御用PC11は、塵の付着や色抜けがないと判断し、次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS16)。ステップS16は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0054】
ステップS14,S15のチェックの結果、黒点P1や白点P2がある場合、制御用PC11は、塵の付着や色抜けの可能性があると判断し、当該塵や色抜け部の位置、すなわち、図7(a)(b)に示すように、画像62aでの黒点P1、白点P2の位置(X座標値、Y座標値)を求めて記憶する。
【0055】
次に、制御用PC11は、受信した免許証作成情報に含まれる顔画像の、検知した黒点P1、白点P2の位置(X座標値、Y座標値)に対応する色情報が黒か白かをチェックすることにより、当該黒点P1、白点P2は当該顔画像の取得時に元から存在したものであるか否かを判定する(ステップS17)。
【0056】
すなわち、図8(a)に示すように、検知した黒点P1の位置に対応する免許証作成情報に含まれる顔画像62bの色情報が黒相当ならば、当該顔画像の撮影時に元から存在したもの(つまり黒子)であると判定し、図8(b)に示すように、検知した白点P2の位置に対応する免許証作成情報に含まれる顔画像62bの色情報が白相当ならば、当該顔画像の撮影時に元から存在したもの(つまりアクセサリ等)であると判定する。
【0057】
ステップS17の判定の結果、検知した黒点P1/白点P2が黒子/アクセサリ等と一致した場合、制御用PC11は、印刷不良なしと判断し、次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS18)。ステップS18は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0058】
ステップS17の判定の結果、検知した黒点P1/白点P2が黒子/アクセサリ等と不一致の場合、制御用PC11は、印刷不良ありと判断し、リジェクトスタッカ34への収納指示を作成制御部12へ送る。これを受けた作成制御部12は、当該IC免許証をリジェクトスタッカ34へ収納し(ステップS19)、当該IC免許証の自動再作成処理に進む(ステップS20)。
【0059】
以上説明したように第2の実形態によれば、IC免許証に印刷された顔画像を読取り、読取った顔画像に対し塵の付着や色抜けのように見える状態が黒子やアクセサリ等であるかを判別することにより、塵の付着や色抜け等の印刷不良を確実に検知できるとともに、印刷不良検知時には当該IC免許証をリジェクトスタッカ34に収納し、自動再作成処理を実行することが可能となる。
【0060】
次に、第3の実形態に係る個人認証媒体作成装置10の通常作成動作について図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0061】
なお、ステップS21〜S23は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS1〜S3と同様であるので、その説明は省略する。
【0062】
ステップS23の処理が終了すると、制御用PC11は、読取部40の読取結果から図4に示した色帯領域63を切出し、切出した色帯領域63に対し色帯の色および色帯が存在する位置(X座標値、Y座標値)を認識する(ステップS24)。
【0063】
次に、制御用PC11は、認識した色帯の色および存在位置と上位装置20から受信した免許証作成情報に含まれる色帯情報(色情報、位置情報)とを照合することにより、搬送路35により搬送されるIC免許証の向きおよび色帯の色種の少なくともいずれか一方に間違いがないか判定する(ステップS25)。
【0064】
すなわち、カードカセット31の内部には、向きを統一し、かつ、色帯が同一色の初期状態のIC免許証が格納されている。そのため、万が一、IC免許証の向きに間違いがあると、プレ印刷部分および枠線に対し、不整合が生じる。
【0065】
そこで、本実施形態では、IC免許証から読取った色帯の色および存在位置と免許証作成情報内の色帯情報(色情報、位置情報)とを照合することにより、IC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いがないか判定するものである。
【0066】
本実施の形態では、たとえば、IC免許証から読取った色帯の色および存在位置と免許証作成情報内の色帯情報(色情報、位置情報)とが一致すればIC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いなしと判断し、両者が不一致であればIC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いありと判断する。
【0067】
ステップS25の判定の結果、IC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いがない場合、制御用PC11は次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS26)。ステップS26は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0068】
ステップS25の判定の結果、IC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いがある場合、制御用PC11は、リジェクトスタッカ34への収納指示を作成制御部12へ送る。これを受けた作成制御部12は、当該IC免許証をリジェクトスタッカ34へ収納し(ステップS27)、当該IC免許証の自動再作成処理に進む(ステップS28)。
【0069】
以上説明したように第3の実形態によれば、IC免許証にプレ印刷された色帯の色および存在位置を認識し、認識した色帯の色および存在位置と免許証作成情報内の色帯情報(色情報、位置情報)とを照合し、IC免許証の向きおよび色帯の色種に間違いがないか判定することにより、IC免許証の向きおよび色帯の色種間違いを自動的に検知できるとともに、間違い検知時には当該IC免許証をリジェクトスタッカ34に収納し、自動再作成処理を実行することが可能となる。
【0070】
次に、第4の実形態に係る個人認証媒体作成装置10の印刷部36における印刷位置ずれ補正等を行なうためのテスト印刷動作について図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0071】
テスト印刷に用いるテスト印刷用免許証作成情報は、たとえば、前述した免許証作成情報と同様の記載情報および色帯情報を含んでいるとともに、顔画像の代りに印刷位置のずれおよびスキューを検知するためのパターン情報を含んでいるものとする。
【0072】
図11は、本実施形態で用いるテスト印刷用免許証作成情報内のパターン情報の一例を示している。このパターン情報は、顔画像領域62内に印刷されるもので、たとえば、Y印刷部42で印刷されるY色直線L1、M印刷部43で印刷されるM色直線L2、C印刷部44で印刷されるC色直線L3、および、K印刷部45で印刷されるK色直線L4から構成されていて、これら各色直線L1〜L4はIC免許証の搬送方向と直交方向に平行に印刷されるようになっている。
【0073】
テスト印刷用免許証作成情報内のパターン情報においては、プレ印刷されている枠線65の右端線65aをプレ印刷基準位置P0とすると、プレ印刷基準位置P0とY色直線L1の印刷位置との間の距離をY0(mm)、プレ印刷基準位置P0とM色直線L2の印刷位置との間の距離をM0、プレ印刷基準位置P0とC色直線L3の印刷位置との間の距離をC0、プレ印刷基準位置P0とK色直線L4の印刷位置との間の距離をK0、と定義する。
【0074】
図示しない操作パネルなどからテスト印刷が指示されると、制御用PC11は、テスト印刷用免許証作成情報を作成制御部12に送信する(ステップS31)。作成制御部12は、受信したテスト印刷用免許証作成情報に基づき免許証作成部13を制御することにより、前記第1工程〜第5工程を実行する(ステップS32)。
【0075】
すなわち、作成制御部12は、受信したテスト印刷用免許証作成情報に含まれる色帯情報を参照することにより、取出し部32によりカードカセット31から該当色帯のIC免許証を1枚取出し、搬送路35へ送る。搬送路35は、取出されたIC免許証を搬送する。
【0076】
搬送されるIC免許証が印刷部36に到達すると、作成制御部12は、当該IC免許証の印刷面の顔画像領域62に対し、受信したテスト印刷用免許証作成情報に含まれるパターン情報のカラー印刷をY印刷部42、M印刷部43、C印刷部44、K印刷部45の各位置で実行する。顔画像領域62に印刷されたパターン情報は、たとえば、図11に示すようになり、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、および、K色直線L4が印刷される。
【0077】
次に、作成制御部12は、当該IC免許証の印刷面に対し、受信したテスト印刷用免許証作成情報に含まれる記載情報の文字印刷をK印刷部45の位置で実行する。
【0078】
印刷を終了したIC免許証がUVC処理部37に到達すると、作成制御部12は、パターン情報が印刷された顔画像領域62上への保護膜の転写をUV処理部37の位置で実行する。
【0079】
UV処理を終了したIC免許証がOC処理部38に到達すると、作成制御部12は、IC免許証の印刷面全体へのコーティング膜の転写をOC処理部38の位置で実行し、コーティング膜を硬化させるための紫外線照射をUV照射部39の位置で実行する。
【0080】
こうしてOC処理を終了したIC免許証が読取部40に到達すると、作成制御部12および制御用PC11は、前記第6工程を実行する。
すなわち、作成制御部12は、IC免許証の印刷面全体の読取りを読取部40の位置で実行し、制御用PC11は、この読取結果から図4に示した顔画像領域62を切出し、切出した顔画像領域62内のパターン情報(図11参照)に対し、スキューの有無を判別するとともに、スキュー有りの場合はそのスキュー角を測定する(ステップS33,S34)。
【0081】
まず、切出した顔画像領域62内のパターン情報(図11参照)において、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、K色直線L4、および、枠線65の右端線(以降、プレ印刷基準位置線とも言う)65aそれぞれに対し、スキューがあるか否かを判別する。
【0082】
図12(a)〜(e)は、切出した顔画像領域62内のパターン情報例を示しており、図12(a)はプレ印刷基準位置線65a(IC免許証自体)にスキューが生じている場合、図12(b)はY色直線L1(Y印刷部42の印刷ヘッド)にスキューが生じている場合、図12(c)はM色直線L2(M印刷部43の印刷ヘッド)にスキューが生じている場合、図12(d)はC色直線L3(C印刷部44の印刷ヘッド)にスキューが生じている場合、図12(e)はK色直線L4(K印刷部45の印刷ヘッド)にスキューが生じている場合、をそれぞれ示している。
【0083】
スキュー有無判別の結果、スキュー有りの場合、制御用PC11は、そのスキュー角を測定する。制御用PC11は、測定したスキュー角をアラームとともに図示しないディスプレイに表示する(ステップS35)。
【0084】
図13(a)〜(e)は、スキュー角およびアラームの表示例を示しており、図13(a)は図12(a)に対応していて、「IC免許証スキュー有り、+5°」と表示した場合、図13(b)は図12(b)に対応していて、「Y印刷ヘッドスキュー有り、+10°」と表示した場合、図13(c)は図12(c)に対応していて、「M印刷ヘッドスキュー有り、−10°」と表示した場合、図13(d)は図12(d)に対応していて、「C印刷ヘッドスキュー有り、+15°」と表示した場合、図13(e)は図12(e)に対応していて、「K印刷ヘッドスキュー有り、+20°」と表示した場合、をそれぞれ示している。
【0085】
ここで、スキュー有無判別処理およびスキュー角測定処理の一具体例について図14〜図16を参照して説明する。
【0086】
まず、図14に示すように、正常時のY色直線L1の印刷位置Y0、M色直線L2の印刷位置M0、C色直線L3の印刷位置C0、K色直線L4の印刷位置K0、プレ印刷基準位置P0を、読取情報(読取部40で読取った顔画像領域62の読取結果)上に換算することでデフォルト情報66を作成し、図示しないメモリに格納しておく。この場合、各色の直線L1,L2,L3,L4およびプレ印刷基準位置線65aは、データ上では各直線の先頭データから連続するものとする。
【0087】
なお、図14のデフォルト情報66は例えば256階調で表現されていて、67はプレ印刷基準位置線65aの情報、68はK色直線L4の情報、69はC色直線L3の情報、70はM色直線L2の情報、71はY色直線L1の情報、をそれぞれ示しており、それ以外は背景の情報を示している。
【0088】
次に、テスト印刷で読取った顔画像領域62の読取情報(読取結果)を用いて、図14のデフォルト情報66を参照することにより、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、K色直線L4、および、プレ印刷基準位置線65aそれぞれに対し、スキューがあるか否かを判別する。ここでは、図12(e)のK色直線L4にスキューが生じている場合を例に説明する。
【0089】
図15は実際に得られた正常時の読取情報72を示し、図16は実際に得られたK色直線L4にスキューが生じている場合(図12(e)の場合)の読取情報73を示しており、これらは図14のデフォルト情報66と対応しているものとする。
【0090】
本来、K色直線L4の情報68の先頭データがあるべきアドレスから、どれだけ離れた位置に実際の先頭データがあるか、および、1ライン分の連続データ未満(図16の例では2バイト)であることを検出し、スキュー有りと判別する。また、これをスキュー角θに変換する。すなわち、図16の例では、K色直線L4の情報68の先頭データがあるべきアドレスから16バイト先に実際の先頭データがあるので、スキュー角θは「+20°」とする。
【0091】
ステップS35の処理が終了すると、制御用PC11は次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS36)。ステップS36は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0092】
スキュー有無判別の結果、スキュー無しの場合、制御用PC11は、印刷部36における印刷位置のずれ補正処理を行なう(ステップS37,S38)。
【0093】
たとえば、図11に示すように、切出した顔画像領域62内のパターン情報において、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、K色直線L4それぞれとプレ印刷基準位置P0との距離を測定し、それぞれY1(mm)、M1(mm)、C1(mm)、K1(mm)とする。
【0094】
次に、Y0−Y1=Y2、M0−M1=M2、C0−C1=C2、K0−K1=K2を計算し、その計算結果Y2、M2、C2、K2を印刷位置のずれ量とし、このずれ量を静止位置補正値(印刷位置補正値)として作成制御部12へ送信する。これを受けた作成制御部12は、当該静止位置補正値を記憶し、次回印刷時から当該静止位置補正値を適用する。
【0095】
図17(a)は、印刷位置ずれのない正常な印刷位置(印刷位置ずれなし)の場合を示しており、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、K色直線L4は、それぞれ正規の位置に印刷されている。この例の場合、Y0−Y1=0、M0−M1=0、C0−C1=0、K0−K1=0となり、それぞれ静止位置補正値は「0」となる。
【0096】
図17(b)は、Y印刷部42においてIC免許証の停止位置が印刷ヘッドをオーバした場合(Y印刷位置ずれ)を示しており、Y色直線L1が正規の位置(点線La)からずれて印刷されている。この例の場合はY0−Y1=Y2となり、静止位置補正値は−Y2となる。
【0097】
図17(c)は、M印刷部43においてIC免許証の停止位置が印刷ヘッドの手前の場合(M印刷位置ずれ)を示しており、M色直線L2が正規の位置(点線Lb)からずれて印刷されている。この例の場合はM0−M1=M2となり、静止位置補正値は+M2となる。
【0098】
図17(d)は、C印刷部44においてIC免許証の停止位置が印刷ヘッドをオーバした場合(C印刷位置ずれ)を示しており、C色直線L3が正規の位置(点線Lc)からずれて印刷されている。この例の場合はC0−C1=C2となり、静止位置補正値は−C2となる。
【0099】
図17(e)は、K印刷部45においてIC免許証の停止位置が印刷ヘッドの手前の場合(K印刷位置ずれ)を示しており、K色直線L4が正規の位置(点線Ld)からずれて印刷されている。この例の場合はK0−K1=K2となり、静止位置補正値は+K2となる。
【0100】
ここで、印刷位置のずれ補正処理の一具体例について図14および図18〜図19を参照して説明する。
【0101】
テスト印刷で読取った顔画像領域62内の読取情報(読取結果)を用いて、図14のデフォルト情報66を参照することにより、Y色直線L1、M色直線L2、C色直線L3、および、K色直線L4それぞれに対し、印刷位置ずれがあるか否かを判別する。ここでは、図17(e)のK色直線L4に印刷位置ずれが生じている場合を例に説明する。
【0102】
図18は実際に得られた正常時の読取情報72を示し、図19は実際に得られたK色直線L4に印刷位置ずれが生じている場合(図17(e)の場合)の読取情報74を示しており、これらは図14のデフォルト情報66と対応しているものとする。
【0103】
本来、K色直線L4の情報68の先頭データがあるべきアドレスから、どれだけ離れた位置に実際の先頭データがあるか、および、1ライン分の連続データ(図19の例では8バイト)であることを検出し、印刷位置ずれ有りと判別する。また、これを距離(印刷位置ずれ量)Lに変換する。すなわち、図19の例では、K色直線L4の情報68の先頭データがあるべきアドレスから16バイト先に実際の先頭データがあるので、距離(印刷位置ずれ量)Lは「K1(mm)」とする。
【0104】
ステップS38の処理が終了すると、制御用PC11は次の工程継続の指示を作成制御部12へ送ることにより、作成制御部12は、前記第7工程〜第8工程を実行する(ステップS39)。ステップS39は、前述した第1の実形態(図5)におけるステップS6と同様であるので、その説明は省略する。
【0105】
なお、上記第4の実形態で用いるテスト印刷用免許証作成情報は、必ずしも記載情報および色帯情報を含んでいる必要がなく、印刷位置のずれおよびスキューを検知するためのパターン情報単独とし、記載情報等のテスト印刷を省略してもよい。
【0106】
以上説明したように第4の実形態によれば、印刷部36におけるY印刷、M印刷、C印刷、K印刷の各印刷位置のずれ補正を行なうためにテスト印刷を行ない、作成したIC免許証に印刷されたパターン情報を用いて印刷ヘッドのスキュー有無判別処理を行なうとともに、各色の印刷位置ずれ量を計測し、計測した印刷位置ずれ量を静止位置補正値(印刷位置補正値)として印刷部36にフィードバックすることにより、印刷ヘッドのスキューや印刷位置のずれ量を自動的に測定して印刷ヘッド等を調整することができ、保守性の向上が図れる。
【0107】
以上述べた少なくとも1つの実施形態の個人認証媒体作成装置によれば、複数搬送時におけるIC免許証の搬送順番入替り、塵の付着や色抜け等の印刷不良、および、IC免許証の搬送向き異常を自動的に検知することができる。また、IC免許証作成時の券面画像を保管しておくことができるとともに、印刷ヘッドのスキューや印刷位置のずれ量を自動的に測定することができる。
【0108】
なお、前記実施形態では、個人認証媒体がICカードを用いたIC免許証の場合について説明したが、ICカードを用いない免許証であってもよく、また、免許証の形状もカード型に限らず、冊子状やブロック状であってもよい。
【0109】
また、前記実施形態では、個人認証媒体として自動車の運転免許証を作成する個人認証媒体作成装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、たとえば、学生証や社員証などを作成する個人認証媒体作成装置にも適用可能である。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
10…個人認証媒体作成装置、11…制御用PC、12…作成制御部、13…免許証作成部、20…上位装置、31…カードカセット、32…取出部、33…スタッカ、34…リジェクトスタッカ、35…搬送路、印刷部…36、37…UVC処理部、38…OC処理部、39…UV照射部、40…読取部(読取手段)、41…ICリーダ・ライタ部、42…Y印刷部、43…M印刷部、44…C印刷部、45…K印刷部、50…保管サーバ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される、固有の識別情報を含む個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、
前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、
前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記識別情報を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された個人認証媒体作成情報内の識別情報とを照合することにより、前記搬送手段における前記個人認証媒体の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定する判定手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【請求項2】
初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される、当該個人認証媒体所有者の顔画像を含む個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、
前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、
前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記顔画像を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果により前記印刷された顔画像における印刷不良の有無を判定する第1の判定手段と、
この第1の判定手段により印刷不良ありと判定された際、前記読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された個人認証媒体作成情報内の顔画像とを照合することにより、印刷不良と判定された部分は前記顔画像の取得時に元から存在したものであるか否かを判定する第2の判定手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【請求項3】
あらかじめ印刷面の特定部位に固有の特定色領域が印刷されている初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される、前記特定色領域を示す特定色領域情報を含む個人認証媒体作成情報を受取り、この受取った個人認証媒体作成情報の前記特定色領域情報を除いた情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、
前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、
前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記個人認証媒体の印刷面に印刷された前記特定色領域を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された個人認証媒体作成情報内の特定色領域情報とを照合することにより、前記搬送手段により搬送される前記個人認証媒体の向きがあらかじめ定められた向きであるか否かを判定する判定手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【請求項4】
初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、
前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、
前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された前記個人認証媒体作成情報を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果に対し検索キーワード情報を付加して保管情報を作成する保管情報作成手段と、
この保管情報作成手段により作成された保管情報を保管する保管手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【請求項5】
初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、外部装置から供給される個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する第1の印刷手段とからなる個人認証媒体作成装置であって、
少なくとも印刷位置のずれおよびスキューを検知するためのパターン情報を含むテスト印刷用個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する第2の印刷手段と、
この第2の印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記パターン情報を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果に基づき、前記個人認証媒体の印刷面に印刷されたパターン情報にスキューがあるか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により当該パターン情報にスキューありと判定された場合、そのスキュー角を計算するスキュー角計算手段と、
前記判定手段により当該パターン情報にスキューなしと判定された場合、前記読取手段の読取結果に基づき、前記個人認証媒体の印刷面に印刷されたパターン情報のあらかじめ定められた印刷基準位置からの印刷位置のずれ量を計算し、この計算したずれ量を印刷位置補正値として前記第1の印刷手段に与える印刷位置ずれ量計算手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【請求項1】
初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される、固有の識別情報を含む個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、
前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、
前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記識別情報を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された個人認証媒体作成情報内の識別情報とを照合することにより、前記搬送手段における前記個人認証媒体の搬送状態に搬送順番入替りが発生したか否かを判定する判定手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【請求項2】
初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される、当該個人認証媒体所有者の顔画像を含む個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、
前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、
前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記顔画像を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果により前記印刷された顔画像における印刷不良の有無を判定する第1の判定手段と、
この第1の判定手段により印刷不良ありと判定された際、前記読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された個人認証媒体作成情報内の顔画像とを照合することにより、印刷不良と判定された部分は前記顔画像の取得時に元から存在したものであるか否かを判定する第2の判定手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【請求項3】
あらかじめ印刷面の特定部位に固有の特定色領域が印刷されている初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される、前記特定色領域を示す特定色領域情報を含む個人認証媒体作成情報を受取り、この受取った個人認証媒体作成情報の前記特定色領域情報を除いた情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、
前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、
前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記個人認証媒体の印刷面に印刷された前記特定色領域を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果と前記外部装置から供給された個人認証媒体作成情報内の特定色領域情報とを照合することにより、前記搬送手段により搬送される前記個人認証媒体の向きがあらかじめ定められた向きであるか否かを判定する判定手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【請求項4】
初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、
この搬送手段に対して設けられ、外部装置から供給される個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する印刷手段と、
前記搬送手段の前記印刷手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により情報が印刷された前記個人認証媒体の印刷面に対しオーバーコート処理を行なうオーバーコート処理手段と、
前記搬送手段の前記オーバーコート処理手段よりも下流側に設けられ、前記印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された前記個人認証媒体作成情報を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果に対し検索キーワード情報を付加して保管情報を作成する保管情報作成手段と、
この保管情報作成手段により作成された保管情報を保管する保管手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【請求項5】
初期状態の個人認証媒体を1つずつ搬送する搬送手段と、外部装置から供給される個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する第1の印刷手段とからなる個人認証媒体作成装置であって、
少なくとも印刷位置のずれおよびスキューを検知するためのパターン情報を含むテスト印刷用個人認証媒体作成情報を前記搬送手段により搬送される個人認証媒体の印刷面に対し可視像として印刷する第2の印刷手段と、
この第2の印刷手段により前記個人認証媒体の印刷面に印刷された情報のうち少なくとも前記パターン情報を読取る読取手段と、
この読取手段の読取結果に基づき、前記個人認証媒体の印刷面に印刷されたパターン情報にスキューがあるか否かを判定する判定手段と、
この判定手段により当該パターン情報にスキューありと判定された場合、そのスキュー角を計算するスキュー角計算手段と、
前記判定手段により当該パターン情報にスキューなしと判定された場合、前記読取手段の読取結果に基づき、前記個人認証媒体の印刷面に印刷されたパターン情報のあらかじめ定められた印刷基準位置からの印刷位置のずれ量を計算し、この計算したずれ量を印刷位置補正値として前記第1の印刷手段に与える印刷位置ずれ量計算手段と、
を具備したことを特徴とする個人認証媒体作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−39704(P2013−39704A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177209(P2011−177209)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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