説明

個人認証装置、個人認証システム、個人認証方法、及び、プログラム

【課題】生体的特徴を基に個人に相応しい処理を決める。
【解決手段】ドア開閉装置に通信部103で接続された個人認証装置100において、指紋認証デバイス151はユーザの指紋を採取し、検温デバイス152はユーザの体温を測定する。記憶部102は指紋認証用の指紋データを記憶する認証データベース155を格納する。制御部106は採取された指紋データと認証データベース155に登録された指紋データとを照合する。登録済ユーザであれば、制御部106は採取した指紋データに対応付けられ且つ測定された体温のレベルに対応付けられたユーザプロファイル204を読み出し、採取した指紋且つ測定した体温に対応する制御用データを生成する。出力部105は制御用データを外部装置に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体的特徴を基に個人に相応しい処理を決めるために好適な個人認証装置、個人認証システム、個人認証方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報のセキュリティを高めるために、利用者の指紋、瞳の中の虹彩、網膜、手のひらや指の血管の形、音声などの生体的特徴に基づいた認証方式が多く採用されてきている。生体認証は、利用者が特別なカードや道具などを持ち歩く必要がなく、また偽造が難しいため、便利な手法である。生体認証を他の技術に応用して、より付加価値の高い製品やサービスも提供されている。例えば特許文献1には、玄関で顔画像や音声によって利用者を認証し、住人であれば自動で空調設備を制御したりバスタブに給湯したりする装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−331032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の生体認証では、利用者が本人かどうか(権限のある者か否か)を認証しているにすぎず、例えば利用者の健康状態など、その利用者の現在おかれている状況を考慮していない。そのため、認証の結果、ある処理を許可するか否かを制御することしかできず、どの程度まで処理を許してもよいのかを判断したり、利用者の現在の状況にとって最も相応しいと推定される処理を選択したりすることはできなかった。例えば上述の特許文献1では、単に顔画像や音声を照合しているだけなので、空調するか否かあるいは給湯するか否かを制御することしかできず、利用者がいつもより暖かい室温を望んでいるとか、いつもより温めのお湯を望んでいるなどといったことまで推測して制御することはできなかった。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するものであり、生体的特徴を基に個人に相応しい処理を決めるために好適な個人認証装置、個人認証システム、個人認証方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る個人認証装置は、外部装置に接続され、
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの登録生体データと、当該ユーザの体温の高さを示す体温レベルと、前記外部装置を制御するための制御データとを対応付けて予め記憶する記憶手段と、
当該ユーザに固有の生体の特徴を示す情報を読み取って読取生体データを生成する読取手段と、
当該ユーザの体温を測定して体温データを生成する測定手段と、
当該読取生体データと、前記記憶手段に記憶された登録生体データとに基づいて、当該読取生体データが当該登録生体データと一致するか否か判別する判別手段と、
前記判別手段により一致すると判別された場合、前記一致した登録生体データに対応するユーザ識別情報を判別し、前記判別したユーザ識別情報に対応付けられ、且つ、前記測定手段により測定された体温が属する当該体温レベルに対応付けられた制御データを、前記記憶手段から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された制御データを前記外部装置に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0006】
前記記憶手段は、当該ユーザの指紋データ、静脈パターンデータ又は音声データを、当該登録生体データとして予め記憶し、
前記読取手段は、当該ユーザの指紋、静脈パターン又は音声パターンを読み取って、前記読み取った指紋、静脈パターン又は音声パターンを示す当該読取生体データを生成してもよい。
【0007】
前記外部装置は空調装置であり、
前記記憶手段は、空調の設定温度、空調の設定風量、空調の設定風向のうち少なくとも1つを当該制御データとして記憶してもよい。
【0008】
当該制御データを設定する指示入力をユーザから受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部により受け付けられた指示入力に基づいて、前記記憶手段に記憶された制御データを更新する更新手段と、
をさらに備えてもよい。
【0009】
本発明の第2の観点に係る個人認証システムは、外部装置に接続された個人認証装置と、通信ネットワークに接続されたサーバとを有する個人認証システムであって、
前記個人認証装置は、
ユーザに固有の生体の特徴を示す情報を読み取って読取生体データを生成する読取手段と、
当該ユーザの体温を測定して体温データを生成する測定手段と、
当該読取生体データと当該体温データを前記サーバに送信する生体データ送信手段と、
を備え、
前記サーバは、
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの登録生体データと、当該ユーザの体温の高さを示す体温レベルと、前記外部装置を制御するための制御データとを対応付けて予め記憶する記憶手段と、
当該読取生体データと当該体温データを前記個人認証装置から受信する生体データ受信手段と、
前記生体データ受信手段により受信された読取生体データと、前記記憶手段に記憶された登録生体データとに基づいて、当該読取生体データが当該登録生体データと一致するか否か判別する判別手段と、
前記判別手段により一致すると判別された場合、前記一致した登録生体データに対応するユーザ識別情報を判別し、前記判別したユーザ識別情報に対応付けられ、且つ、前記測定手段により測定された体温が属する当該体温レベルに対応付けられた制御用データを、前記記憶手段から取得して、前記個人認証装置に送信する制御データ送信手段と、
を備え、
前記個人認証装置は、さらに、
前記サーバから当該制御データを受信する制御データ受信手段と、
前記制御データ受信手段により受信された制御データを前記外部装置に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
前記記憶手段は、前記個人認証装置を識別するための装置識別情報を、当該ユーザ識別情報と対応付けてさらに記憶し、
前記生体データ送信手段は、前記個人認証装置に予め付与された装置識別情報をさらに送信し、
前記生体データ受信手段は、当該装置識別情報をさらに受信し、
前記判別手段は、当該読取生体データが当該登録生体データと一致し、且つ、前記受信した装置識別情報が前記記憶手段に記憶された装置識別情報と一致するか否かを判別してもよい。
【0011】
本発明の第3の観点に係る個人認証方法は、記憶手段を有し外部装置に接続された個人認証装置にて実行される個人認証方法であって、
前記記憶手段は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの登録生体データと、当該ユーザの体温の高さを示す体温レベルと、前記外部装置を制御するための制御データとを対応付けて予め記憶し、
当該ユーザに固有の生体の特徴を示す情報を読み取って読取生体データを生成する読取ステップと、
当該ユーザの体温を測定して体温データを生成する測定ステップと、
当該読取生体データと、前記記憶手段に記憶された登録生体データとに基づいて、当該読取生体データが当該登録生体データと一致するか否か判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより一致すると判別された場合、前記一致した登録生体データに対応するユーザ識別情報を判別し、前記判別したユーザ識別情報に対応付けられ、且つ、前記測定手段により測定された体温が属する当該体温レベルに対応付けられた制御データを、前記記憶手段から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された制御データを前記外部装置に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、外部装置に接続されたコンピュータを、
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの登録生体データと、当該ユーザの体温の高さを示す体温レベルと、前記外部装置を制御するための制御データとを対応付けて予め記憶する記憶手段、
当該ユーザに固有の生体の特徴を示す情報を読み取って読取生体データを生成する読取手段、
当該ユーザの体温を測定して体温データを生成する測定手段、
当該読取生体データと、前記記憶手段に記憶された登録生体データとに基づいて、当該読取生体データが当該登録生体データと一致するか否か判別する判別手段、
前記判別手段により一致すると判別された場合、前記一致した登録生体データに対応するユーザ識別情報を判別し、前記判別したユーザ識別情報に対応付けられ、且つ、前記測定手段により測定された体温が属する当該体温レベルに対応付けられた制御データを、前記記憶手段から取得する取得手段、
前記取得手段により取得された制御データを前記外部装置に出力する出力手段、
として機能させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、コンピュータを上述の各手段として機能させるプログラムとしてもよく、このプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、生体的特徴を基に個人に相応しい処理を決めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態の個人認証装置100の構成を示すブロック図である。以下に説明するように、個人認証装置100は、ユーザ(個人)の生体的特徴を検知する所定のセンサーデバイスによって様々な生体データを取得し、取得した生体データに基づいて適切な処理を推定して実行する。生体的特徴とは、例えば、ユーザの指紋、瞳の中の虹彩、網膜、手のひらや指の血管(例えば静脈)の分布、音声、体温などである。生体データとは、例えば、センサーデバイスにより採取した指紋、虹彩、網膜、血管、音声、体温などの生体的特徴を含むデータである。
【0016】
本実施形態では、生体的特徴としてユーザの指紋を採用する。また、個人認証装置100は、自動車のドアハンドル部に設置された生体データ採取用のセンサーデバイスによってユーザの生体データを取得し、認証する。ただし、これらは本発明を理解しやすくするための1つの例示に過ぎず、虹彩、網膜、血管、音声など他の生体的特徴に基づいて個人認証してもよいことは言うまでもない。また、個人認証装置100を自動車の構造と組み合わせているが、これも1つの例示に過ぎず、他の装置と組み合わせることもできる。
【0017】
個人認証装置100は、センサー部101、記憶部102、通信部103、入力受付部104、出力部105、制御部106、システムバス107を備える。
【0018】
センサー部101は、ユーザの生体的特徴を示す生体データを取得するためのセンサーデバイスを備える。本実施形態では、センサー部101は、指紋認証デバイス151と検温デバイス152を備える。
【0019】
指紋認証デバイス151は、自動車の運転席ドア、助手席ドア、後部座席ドア、トランク、ボンネットなどを開閉するための開閉ハンドルに設置され、ユーザが開閉ハンドルを握ったとき(典型的にはユーザがドア等を開けようとしたとき)に、そのユーザの手の指紋を採取する。指紋認証デバイス151は、指紋つまり指の表面の凹凸を検知して指紋を含む画像データをスキャンして取得し、取得した画像データから指紋部分を切り出し、さらに特徴抽出してデジタルデータ化し、得られた生体データを制御部106に入力する。例えば、指紋認証デバイス151によって採取された生体データは、2次元の画像データの形式で記憶部102に一時記憶される。採取された指紋を示す生体データは、後述のようにユーザ認証のために用いられる。
【0020】
検温デバイス152は、同じくドア等を開閉するための開閉ハンドルに設置され、ユーザが開閉ハンドルを握ったときに、そのユーザの体温を測定する。検温デバイス152は、測定した体温を示す生体データを制御部106に入力する。後述するように、制御部106は、指紋認証デバイス151によって採取された指紋を示す生体データに加えて、検温デバイス152によって測定された体温を示す生体データをさらに用いてユーザを認証する。すなわち、制御部106は、指紋が本人のものであるか否か(開閉する権限があるか否か)の認証結果だけでなく、開閉しようとしているユーザの体調がどういう状態かを示す生体データにも基づいて、そのときのユーザにとって最も適していると推測される処理を決めることができる。制御部106が行う処理の詳細は後述する。
【0021】
なお、本実施形態では、指紋認証デバイス151と検温デバイス152をそれぞれ別個のデバイスとしている。例えば、指紋認証デバイス151がユーザの指先だけの指紋を採取し、検温デバイス152がユーザの手のひら全体(検温デバイス152に接触している部分)の体温を測定する、というように、独立して採取・測定することができる。また、普段は指紋と体温の両方を採取・測定し、ある場面では指紋だけ採取し、別の場面では体温だけ測定する、といった使い分けもできる。指紋の採取と体温の測定を同時にあるいは平行して実行できるようにすることが望ましい。センサー部101は、指紋認証デバイス151と検温デバイス152の両方の機能を備えた1つのデバイスを備えるように構成してもよい。その場合、それぞれの測定対象範囲(例えば指先、手のひらなど)を別々に設定できてもよいし、共通の測定対象範囲で採取・測定できてもよい。
【0022】
記憶部102は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備える。ROMは、個人認証装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステム(OS)や各種のデータを記憶する。RAMは、制御部106のワークエリアとして機能する。
【0023】
また、記憶部102は、フラッシュメモリあるいはハードディスク装置といった記憶装置をさらに備え、指紋照合による認証に必要な指紋データを予め記憶する認証データベース155を格納する。例えば、ユーザは、自分の指紋を予め指紋認証デバイス151に読み取らせ、照合に用いる指紋を個人認証装置100に登録させる。つまり、記憶部102は、指紋認証デバイス151によって予め採取されたユーザの指紋データと、そのユーザを識別するための識別情報とを対応付けて記憶する。
【0024】
図2は、認証データベース155に格納される情報の構成例を示す図である。認証データベース155は、ユーザを識別するためのユーザID201と、認証用データ202と、体温レベル203と、ユーザプロファイル204とを対応付けて格納する。
【0025】
ここで、認証用データ202とは、指紋を採取した対象ユーザ(あるいは体温を測定した対象ユーザ)が、予め正常に登録されたユーザであるか否か、所定の権限を有するユーザであるか否か、等を認証するために用いられるデータである。典型的には、認証用データ202は、採取した指紋のパターンの中で特徴となる部分を抽出したデータである。より詳細には、制御部106は、指紋認証デバイス151によって読み取られた画像データの中から指紋画像を切り出して特徴点を抽出する。特徴点とは、例えば指紋の隆線、谷線、端点、分岐点、核などの位置や形状である。そして、制御部106は、抽出した特徴点の位置や形状を示すスカラーデータをベクトルデータに変換し、認証用データ202として認証データベース155に記憶させる。なお、特徴点を抽出してベクトルデータに変換する処理は、公知の技術を用いて行うことができる。
【0026】
認証用データ202は、1ユーザにつき1種類でもよいが、1ユーザにつき複数種類登録し、いずれのデータでもユーザを認証できるようにすることが望ましい。例えば、人差し指と中指というように、あるいは、右手人差し指と左手人差し指というように、複数の指の指紋を採取して複数の認証用データ202を格納することができる。また、同じ指であっても、複数回読み取って、共通している特徴点を抽出して、1つ又は複数の認証用データ202を格納することもできる。
【0027】
体温レベル203は、体温がどの程度高いか(低いか)を示す情報である。例えば、平均的な成人の平熱を基準に、36.5±0.5℃未満の範囲を「平熱」、この範囲より高ければ「平熱より高い」、この範囲より低ければ「平熱より低い」、という3つのレベルに体温を分類する。
【0028】
平熱の基準となる体温は本実施形態のように所定値に固定してもよいが、ユーザが自由に変更できるようにしてもよい。この場合、入力受付部104が平熱の基準となる体温及び/又は前後の誤差を指定する指示入力をユーザから受け付けて、制御部106がこの指示入力に基づいて体温レベル203を決定して認証データベース155に格納する。平熱は個人間で相違することがあるので、ユーザごとに平熱の範囲を設定できるようにすれば、よりユーザに適したユーザプロファイル204を選択できるようになる。また、ユーザが平熱の範囲を設定できるだけでなく、あるユーザの所定期間(例えば、一週間)における体温を計測し、そのデータの平均値から平熱を設定するようにしても良い。計測された体温のデータに、風邪等により平熱とかけ離れているデータが含まれる場合も考慮し、ユーザが平均値の算出から外したいデータを設定できるようにしても良い。
【0029】
ユーザプロファイル204は、個人認証装置100に接続された外部装置に所定の指示を出すために予め設定された、外部装置の制御用のデータである。例えば外部装置として空調装置(エアコン)を採用した場合、ユーザプロファイル204には、設定温度、風量、風向などを決めるデータが含まれる。1人のユーザにつき、複数種類のユーザプロファイル204が格納される。本実施形態では、3段階の体温レベル203のそれぞれについてユーザプロファイル204が格納される。そして、それぞれのユーザプロファイル204には、体温レベル203に最も相応しいと推定される設定温度、風量、風向などが対応付けられている。ただし、体温レベル203の分類の仕方は任意であり、レベル数、各レベルの温度範囲などは自由に変更してもよい。
【0030】
例えば、あるユーザが本実施形態の個人認証装置100を備えた自動車のドアハンドルを握ったとする。センサー部101は、ユーザの指紋データを採取し、これと平行して体温データを測定する。制御部106は、認証データベース155を検索して、採取した指紋データに対応するユーザID201が登録されているか否か(正規のユーザか否か)を判別する。登録済ユーザであれば、制御部106は、測定した体温データに基づいて体温レベル203を判別する。そして、制御部106は、判別したユーザID201で且つ判別した体温レベル203に対応するユーザプロファイル204を読み出す。このユーザプロファイル204には、例えば設定温度が○○度、風量が○○立方メートル/時間、風向が○○方向、などの情報が設定されている。そして、制御部106は、読み出した温度、風量、風向で空調するように空調装置に指示する。このように、個人認証装置100は、複数のユーザプロファイル204の中から、現在ユーザがおかれている状況に対応する最も相応しいユーザプロファイル204に基づいて、外部装置に指示を出すことができる。
【0031】
通信部103は、個人認証装置100を外部の通信ネットワークに接続して様々なデータを送受信する。例えば、通信ネットワークはインターネット、LAN(Local Area Network)などである。通信部103は、通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)やモデム等を備える。
【0032】
入力受付部104は、操作キーやボタン等(いずれも図示せず)による指示入力をユーザから受け付けて、この指示入力に対応する指示信号を制御部106に入力する。操作キーは、例えばユーザプロファイル204を設定するためのキー、個人認証装置100の電源をオン・オフするためのキーなどから構成される。ユーザはこれらのキーを操作して個人認証装置100に各種の指示ができる。入力受付部104は、ユーザプロファイル204を設定する指示入力をユーザから受け付ける。制御部106は、入力受付部104により受け付けられた指示入力に基づいて、認証データベース155に記憶されたユーザプロファイル204を更新する。
【0033】
出力部105は、制御部106によって選択されたユーザプロファイル204に基づいた制御用データを外部装置に出力する。
【0034】
また、出力部105は、スピーカーを有する音声処理装置(図示せず)をさらに備え、ユーザプロファイル204に設定された情報や認証結果などを音声で出力するように構成してもよい。例えば、「設定温度は○○度です」といったガイダンスの音声データを再生してユーザに通知することができる。ユーザは、空調装置が起動したことを知ることができ、また、設定温度などの詳しい情報を聴くこともできる。
【0035】
また、出力部105は、モニターを有する画像処理装置(図示せず)をさらに備え、ユーザプロファイル204に設定された情報や認証結果などを動画像や静止画像で出力するように構成してもよい。例えば、「設定温度を○○度にしました」といったガイダンスの画像データを再生してユーザに通知することができる。ユーザは、空調装置が起動したことを知ることができ、また、設定温度などの詳しい情報を見ることもできる。
【0036】
なお、個人認証装置100がこれらの音声処理装置や画像処理装置を備えていてもよいし、通信部103によりカーナビゲーション装置などと通信できるように構成し、カーナビゲーション装置などが備える音声処理装置に音声を出力させたり、画像処理装置に画像を出力させたりするように構成してもよい。
【0037】
制御部106は、記憶部102に記憶されたOSや所定のプログラムを読み出して実行し、個人認証装置100全体を制御する。例えば、制御部106は、センサー部101により取得された指紋や体温を示す生体データに基づいてユーザ認証する。詳細は後述する。
【0038】
システムバス107は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0039】
次に、制御部106が行う認証処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、制御部106は、センサー部101が備えるセンサーデバイスにユーザが触れたか否かを監視し、手(指)が触れたと判別したときに認証処理を開始する。また、個人認証装置100は空調装置と接続されているものとする。
【0040】
まず、センサー部101は、制御部106の制御により、指紋認証デバイス151によってユーザの指紋を採取する(ステップS301)。つまり、センサー部101が指紋を含む画像をスキャンし、制御部106がそのスキャン画像から指紋部分を切り出し、切り出した画像から特徴点を抽出し、指紋を示す生体データを生成してRAMに一時記憶する。
【0041】
また、センサー部101は、制御部106の制御により、検温デバイス152によってユーザの体温を測定する(ステップS302)。つまり、センサー部101が体温を測定し、制御部106が体温を示す生体データ(典型的には数値データ)をRAMに一時記憶する。なお、ステップS301とステップS302を入れ替えて先に指紋を採取してその後に体温を測定してもよいし、ステップS301とステップS302を平行して処理し指紋の採取と体温の測定を同時に行ってもよい。
【0042】
制御部106は、ステップS301で採取した指紋を示す生体データと、記憶部102に記憶された認証データベース155とに基づいて、採取した指紋が認証データベース155に既に登録されたユーザのものであるか否か、言い換えれば、手を触れたユーザが登録済ユーザか否かを判別する(ステップS303)。例えば、採取した指紋を示す生体データに含まれる特徴点の情報と、認証データベース155に登録された認証用データ202に含まれるユーザID201に対応付けられた特徴点の情報との相関を求め、所定比率以上相関していれば登録済ユーザと同一ユーザであると判別し、そうでなければ登録済ユーザと同一ユーザではないと判別する。
【0043】
ここで、同一ユーザIDに複数の認証用データ202が登録されている場合、又は、複数のユーザIDの認証用データ202が登録されている場合、制御部106は、ステップS301で採取した指紋を示す生体データと、認証データベース155に登録されたそれぞれの認証用データ202とを比較して、それぞれについて相関を求め、それらの中から最も相関している(最も近い)認証用データ202であって所定比率以上相関しているものに対応するユーザID201を、手を触れたユーザのものであると判別する。
【0044】
次に、ステップS303で、登録済ユーザの指紋ではないと判別された場合(ステップS303;NO)、制御部106は認証処理を終了する。この場合、手を触れたユーザが認証データベース155に登録されたユーザでないため、外部装置(本実施形態では空調装置)には制御用データは出力されない。なお、制御部106は、例えば「認証に失敗しました。やり直して下さい。」などの所定のメッセージデータを、通信部103に接続された音声処理装置や画像処理装置に出力させてもよい。
【0045】
一方、登録済ユーザの指紋であると判別された場合(ステップS303;YES)、制御部106は、ステップS302で測定した体温を示す生体データから、ユーザの現在の体温レベル203を判別する(ステップS304)。測定時の健康状態や環境によって人間の体温は変化するので、同一ユーザであっても判別される体温レベル203はその都度異なる可能性がある。
【0046】
制御部106は、ステップS303で判別した登録済ユーザのユーザIDで、且つ、ステップS304で判別した体温レベル203に対応するユーザプロファイル204を、認証データベース155から読み出す(ステップS305)。すなわち、現在のユーザの健康状態に最も適していると推定されるユーザプロファイル204が選択され読み出される。例えば、ユーザプロファイル204には空調装置の設定温度、風量、風向などを指定する情報が含まれている。
【0047】
そして、制御部106は、読み出したユーザプロファイル204に基づいて、外部装置を制御するための制御用データを生成して出力部105に出力させる(ステップS306)。例えば、制御用データには、ステップS305で読み出されたユーザプロファイル204に指定された設定温度、風量、風向で空調装置を動作させるためのデータが含まれる。
【0048】
空調装置は、ステップS306で入力された制御用データに基づいて、設定温度、風量、風向などを決定して空調を制御する。
【0049】
このように、個人認証装置100は、ユーザの生体的特徴を基にそのユーザの現在の健康状態に相応しい処理を決めることができる。ユーザは、外部装置を直接操作することなく外部装置をオン・オフさせたり外部装置の設定を変えたりすることができる。例えば、高齢者や幼児であっても、特段難しい操作をすることなく認証を受けて現在の健康状態に最も適した設定になるように外部装置を動作させることができる。また、サービス提供者は、ユーザの健康状態を考慮したきめ細かいサービスを提供できるようになる。
【0050】
なお、本実施形態の個人認証装置100を、公知のドア解錠装置と容易に組み合わせて用いることができる。すなわち、ステップS303で登録済ユーザであると判別された場合(ステップS303;YES)、制御部106は、ステップS304でユーザの体温レベル203を判定するとともに、通信部103により接続されたドア解錠装置に、認証に成功した旨の通知データを送信する。一方、登録済ユーザでないと判別された場合(ステップS303;NO)、制御部106は、認証に失敗した旨の通知データをドア解錠装置に送信して、ステップS304以降の処理を実行する。あるいは何らの通知データも送信しなくてもよい。
【0051】
例えば、ステップS304で判別された体温レベル203が、平熱よりも高いレベルであったとすると、制御部106は、体温が平熱よりも高い場合に対応するユーザプロファイル204を、認証データベース155から選択して読み出す(ステップS305)。このユーザプロファイル204には、例えば設定温度が低めで、風量が強めで、風向がユーザのいる向き(例えばユーザが運転席側のドアハンドルに触れたのであれば運転席のある向き)に送風する旨の情報が予め格納されている。そして、制御部106は、読み出したユーザプロファイル204に指定された設定温度、風量、風向で送風する旨の制御用データを、出力部105に空調装置へ出力させる(ステップS306)。このように、個人認証装置100は、ユーザの健康状態に最も適していると推定される設定で動作するように外部装置を制御することができる。また、ユーザは、ドアハンドルに手を触れるだけで認証を受けられるばかりでなく、空調装置を直接操作することなく空調装置をオン・オフさせたり空調設定を変えたりすることができる。
【0052】
本実施形態では、外部装置として空調装置を採用したが、このほかにも、例えば座席移動装置、ミラー位置調整装置、オーディオ機器のように、距離、角度、ボリュームといった任意の値を取りうるパラメータで制御できる外部装置と容易に組み合わせて用いることもできる。この場合、認証データベース155には、ユーザプロファイル204として、座席を移動させる距離を示すデータ、ミラーを動かす角度や位置を示すデータ、音量を示すデータ、などが格納される。そして、制御部106は、ユーザプロファイル204に設定された各パラメータに基づいて制御データを生成して出力し、これらの装置を制御する。
【0053】
(実施形態2)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態は、認証データベース155が通信ネットワークに接続されたサーバに格納されている点で、上述の実施形態と異なる。以下詳述する。
【0054】
図4(a)は、本実施形態の個人認証システム400の構成を示す図である。個人認証システム400は、N個(Nは1以上の整数)の個人認証装置100(図中では100−1、100−Nなどと表記)と認証サーバ450を有する。個人認証装置100と認証サーバ410は通信ネットワーク450で接続される。それぞれの個人認証装置100には、ドア開閉装置180(図中では180−1、180−Nなどと表記)と、空調装置190(図中では190−1、190−Nなどと表記)が接続される。
【0055】
図4(b)は、認証サーバ410の構成を示す図である。認証サーバ410は、通信部411、記憶部412、制御部413を備えるコンピュータである。通信部411は、NICなどから構成され、通信ネットワーク(典型的にはインターネット)450に接続される。通信部411は、個人認証装置100と生体データやユーザプロファイル204などの送受信を行う。記憶部412は、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶装置から構成され、認証データベース155を格納する。制御部413は、ROMに格納されているプログラムを実行することにより、個人認証装置100からの要求に応じて認証処理を行い、ユーザプロファイル204を個人認証装置100に送信する。
【0056】
まず、個人認証装置100のセンサー部101は、制御部106の制御により、指紋認証デバイス151によってユーザの指紋を採取する(ステップS501)。つまり、センサー部101が指紋を含む画像をスキャンし、制御部106がそのスキャン画像から指紋部分を切り出し、切り出した画像から特徴点を抽出し、指紋を示す生体データを生成してRAMに一時記憶する。
【0057】
センサー部101は、制御部106の制御により、検温デバイス152によってユーザの体温を測定する(ステップS502)。つまり、センサー部101が体温を測定し、制御部106が体温を示す生体データをRAMに一時記憶する。
【0058】
制御部106は、ステップS402で測定した体温を示す生体データから、ユーザの現在の体温レベル203を判別する(ステップS503)。
【0059】
制御部106は、通信部103を制御して、ステップS401で採取した指紋を示す生体データと、ステップS503で判別した体温レベル203を示す情報とを、認証サーバ410に送信する(ステップS504)。
【0060】
認証サーバ410の通信部411は、指紋を示す生体データと体温レベル203を示すデータとを受信する(ステップS505)。
【0061】
認証サーバ410の制御部は413、認証データベース155とステップS505で受信した生体データとに基づいて、採取された指紋が認証データベース155に登録済ユーザのものであるか否かを判別する(ステップS506)。例えば、制御部413は、採取した指紋を示す生体データに含まれる特徴点の情報と、認証データベース155に登録された認証用データ202に含まれる特徴点の情報との相関を求め、所定比率以上相関していれば登録済ユーザと同一ユーザであると判別し、そうでなければ登録済ユーザと同一ユーザではないと判別する。
【0062】
登録済ユーザの指紋ではないと判別された場合(ステップS506;NO)、制御部413は認証処理を終了する。この場合、手を触れたユーザが認証データベース155に登録されたユーザでないため、個人認証装置100にはユーザプロファイル204は送信されない。なお、認証サーバ410の制御部413は、例えば「認証に失敗しました。やり直して下さい。」などの所定のメッセージデータを、通信部411を制御して個人認証装置100へ送信させてもよい。
【0063】
一方、登録済ユーザの指紋であると判別された場合(ステップS506;YES)、認証サーバ410の制御部413は、ステップS506で判別した登録済ユーザのユーザID201で、且つ、ステップS505で受信した体温レベル203に対応するユーザプロファイル204を、認証データベース155から読み出して、通信部401を制御して個人認証装置100に送信する(ステップS507)。
【0064】
個人認証装置100の通信部103は、ユーザプロファイル204を認証サーバ410から受信する(ステップS508)。このユーザプロファイル204に含まれるデータ(例えば空調装置190の設定温度、風量、風向など)は、ステップS503で判別された体温レベル203に対応したデータであるので、現在のユーザの健康状態に最も適したユーザプロファイル204である。言い換えれば、外部装置である空調装置190を現在のユーザのおかれている状態に最も相応しいと推測される設定にするためのデータある。
【0065】
そして、制御部106は、受信したユーザプロファイル204に基づいて、空調装置190を制御するための制御用データを生成して出力部105に出力させる(ステップS509)。例えば、制御用データには、ステップS508で受信したユーザプロファイル204に指定された設定温度、風量、風向で空調装置190を動作させるためのデータが含まれる。
【0066】
空調装置190は、受信した制御用データに基づいて、設定温度、風量、風向などを決定して空調を制御する。このように、ユーザは、空調装置190を直接操作することなく、ドア開閉装置180に手を触れて認証を受けるだけで、空調装置190をオン・オフさせたり空調設定を変えたりすることができる。サービス提供者は、ユーザの健康状態を考慮したきめ細かいサービスを提供できるようになる。さらに、個人認証装置100の記憶部102にはユーザ認証するための認証データベース155を記憶する必要がないので、記憶部102のメモリ容量を節約できる。
【0067】
なお、生体データやユーザプロファイル204の送受信の際には、個人認証装置100の制御部106と認証サーバ410の制御部413は、所定の暗号化・復号化アルゴリズムを用いてデータを暗号化・復号化して送受信することが望ましい。
【0068】
本実施形態において、生体データの特徴抽出等の処理を認証サーバ410が実行するように構成してもよい。つまり、個人認証装置100は、ステップS501で、センサー部101が採取した指紋を示す画像データを生成し、ステップS504で、生成した画像データを暗号化したデータを認証サーバ410に送信する。認証サーバ410の制御部413は、ステップS505で、画像データを受信して復号化し、ステップS506で、受信した画像データから特徴点を抽出し、指紋を示す生体データを生成して、ユーザ認証すればよい。これにより、個人認証装置100側の処理負担を軽減できる。
【0069】
本実施形態によれば、ユーザの生体的特徴を基にユーザに相応しい処理を決めることができる。さらに、認証データベース155は認証サーバ410に格納されるので、ユーザは使用する個人認証装置100ごとに指紋等を登録する必要はない。例えば、あるユーザが個人認証装置100を備える2台の自動車を所有している場合、それぞれの自動車に備え付けられた個人認証装置100について予め認証用の指紋を登録したりユーザプロファイル204を編集したりする必要はなく、どちらか一方の個人認証装置100を用いて指紋やユーザプロファイル204を登録すればよい。これにより、ユーザはあたかも2台共通の鍵を持ち歩くかのように簡単に且つ安全にユーザ認証できるようになる。そして、いずれの自動車に乗るかに関わらず、共通のユーザプロファイル204に基づいて、共通の設定温度、風量、風向に空調装置を自動的に設定することができる。もちろん、自動車は2台に限らず複数台であってもよい。また、自動車のドアに限らず、住宅、建物、収納器具など種類の異なるドア開閉装置でもよい。
【0070】
(実施形態3)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態も上述の認証サーバ410を備えるが、認証サーバ410は生体データを送信した個人認証装置100をさらに識別してユーザ認証する。なお、上述の実施形態と異なる処理についてのみ説明する。
【0071】
個人認証装置100の記憶部102は、個人認証装置100に予め付与された識別情報を記憶する。識別情報は、例えば数字や文字等の組み合わせによって表現される装置の個体ナンバー、シリアルナンバー、製造番号などである。通信ネットワーク450に同時に複数の個人認証装置100が接続されていても、識別情報を用いてそれぞれの個人認証装置100を識別することができる。また、サーバの認証データベース155には、ユーザID201に対応付けて識別情報がさらに記憶される。
【0072】
ステップS504で、制御部106は、通信部103を制御して、(1)ステップS501で採取した指紋を示す生体データ、(2)ステップS503で判別した体温レベル203を示す情報、(3)予め付与された識別情報、を認証サーバ410に送信する。
【0073】
ステップS505で、認証サーバ410の通信部411は、指紋を示す生体データと体温レベル203を示すデータと識別情報とを受信する。
【0074】
ステップS506で、認証サーバ410の制御部413は、認証データベース155とステップS505で受信した生体データとに基づいて、採取された指紋が認証データベース155に登録されたユーザのものであるか否かを判別する。また、受信した識別情報が認証データベース155に登録されたものと一致するか否かを判別する。
【0075】
そして、認証サーバ410の制御部413は、受信した指紋を示す生体データが登録済ユーザのものであり、且つ、受信した識別情報がその登録済ユーザのユーザIDに対応付けられたものと一致する場合(ステップS506;YES)、上述のステップS507以降の処理に移り、それ以外の場合(ステップS506;NO)、認証処理を終了する。
【0076】
本実施形態によれば、ユーザの生体データだけでなく個人認証装置100の識別情報も用いて認証するので、セキュリティがさらに向上する。
【0077】
例えば、自動車の貸し渡し(レンタカー)の場面で本実施形態を用いることができる。
貸し出し業者は、通信ネットワーク450に接続された一般的なコンピュータ(図示せず)を用いて、貸し出す相手(顧客)の名前、住所、運転免許番号などとともに、ユーザID201、認証用データ202、貸し出す自動車に設置された個人認証装置100の識別情報を、認証サーバ410の認証データベース155に対応付けて登録する。このとき、初期値として予め設定した体温レベル203に対応付けて、ユーザプロファイル204を編集して合わせて登録しておいてもよい。
【0078】
自動車を借り受けた顧客は、ドア開閉装置180に設置された指紋認証デバイス151の検出面に指を触れてユーザ認証を受ける。もし、それが正規に借り受けた自動車であればドアは開き、さらにユーザプロファイル204が設定されていれば空調装置190は予め設定された温度、風量、風向などにセットされ空調を開始する。ここで、ユーザプロファイル204が設定されていない場合、空調は開始されない。
【0079】
顧客が空調装置190を操作すると、空調装置190は操作内容を示すデータを個人認証装置100に通知する。例えば、空調装置190のオン・オフ、温度・風量・風向の設定変更が顧客によってなされると、通信部103はこれらの情報を受信し制御部106に入力する。制御部106は、例えば走行開始から10分後などのような所定の送信タイミングで、空調装置190の設定内容を示す情報と、ステップS502で測定した体温を示す情報と、個人認証装置100の識別情報とを、認証サーバ410に送信する。
【0080】
認証サーバ410の通信部411がこれらの情報を受信すると、制御部413は、受信した識別情報に対応付けられたユーザID201を判別し、判別したユーザID201に対応付けて、体温レベル203として体温を示す情報を記憶させ、ユーザプロファイル204として空調装置190の設定内容を認証データベース155に記憶させる。
【0081】
認証データベース155には顧客の体温と空調設定とを対応付けたデータが蓄積されていく。例えば、この顧客が別の機会にレンタカーを借りると、この顧客のユーザID201と対応付けて前回までに蓄積されたユーザプロファイル204に基づいて、自動的に空調装置190が設定される。すなわち、認証サーバ410の制御部413は、今回個人認証装置100から送信された体温に最も近いものに対応するユーザプロファイル204を読み出して送信し(ステップS507)、個人認証装置100の制御部106は、ユーザプロファイル204を受信し(ステップS508)、空調装置190の制御用データを生成して出力し(ステップS509)、空調装置190は入力された制御用データに基づいて温度等を設定する。このように、顧客は、レンタカーを借り受けるたびに空調装置190を設定し直す必要はない。
【0082】
(実施形態4)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。上述の各実施形態では個人認証装置100はユーザの指紋を採取して認証しているが、本実施形態では指紋認証の代わりに手のひら静脈認証を用いる。
【0083】
センサー部101は、指紋認証デバイス151の代わりに、静脈認証デバイスを備える。静脈認証デバイスは、ユーザが手のひらを接触させると、手のひらに分布する静脈の配置パターンや形状パターンを読み取って、読み取り画像を制御部106に入力する。そして、制御部106は、指紋認証と同様に特徴点を抽出して、静脈パターンを示す生体データを生成してRAMに一時記憶する。この静脈パターンを示す生体データがユーザの認証に用いられる。また、検温デバイス152は、接触した手のひらの体温を測定する。
【0084】
認証データベース155は、認証用データ202として、指紋の代わりに手のひら静脈パターンを示すデータを記憶する。例えば、制御部106は、採取した静脈パターンを示す生体データに含まれる特徴点の情報と、認証データベース155に登録された認証用データ202に含まれるユーザID201に対応付けられた特徴点の情報との相関を求め、所定比率以上相関していれば登録済ユーザと同一ユーザであると判別し、そうでなければ登録済ユーザと同一ユーザではないと判別する。
なお、その他の構成は上述の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0085】
(実施形態5)
次に、本発明のその他の実施形態について説明する。本実施形態ではユーザ認証の手法として音声認証を用いる。
【0086】
センサー部101は、指紋認証デバイス151の代わりに音声を検出するマイクロフォンを備える。マイクロフォンは、ユーザが音声を発すると、検出したアナログ音声をデジタル音声に変換して制御部106に入力する。そして、制御部106は、公知の音声認識技術を用いて音声認識し、ユーザ認証する。また、検温デバイス152は、ユーザによって吹きかけられた息の温度を測定する。
【0087】
認証データベース155は、認証用データ202として、指紋の代わりに音声パターンを示すデータを記憶する。例えば、制御部106は、取得した音声パターンを示す生体データの波形と、認証データベース155に登録された認証用データ202に含まれるユーザID201に対応付けられた波形との相関を求め、所定比率以上相関していれば登録済ユーザと同一ユーザであると判別し、そうでなければ登録済ユーザと同一ユーザではないと判別する。
なお、その他の構成は上述の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0088】
本発明は、上述した各実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施形態の各構成要素を自由に組み合わせることも可能である。
【0089】
本発明の個人認証装置100は、自動車のドア開閉装置と組み合わせて用いるだけに限られない。例えば、住宅や建物の玄関などのドア、収納器具などのドアに適用することも可能である。
【0090】
図6(a)は、個人認証装置100を、ロッカー(収納棚)等に広く採用される左右に扉が開くタイプの形状のドア501と組み合わせたものを表す図である。図6(b)は、ドア601を指603で開けようとしているときの様子を断面から見た図である。ドア601を引くとき指603が接触するあたりにセンサーデバイスの検知面602が配置される。検知面602は、指紋認証デバイス151と検温デバイス152で共用される。多くの場合、ロッカー等のドアは人差し指、中指などで引っ張ることになるが、検知面602に指603が接触すると、指紋認証デバイス151は接触した指の指紋を採取し、検温デバイス152は体温を測定する。
【0091】
図6(c)は、個人認証装置100を、住宅の玄関等に広く採用される手前に引く(又は押す)タイプの形状のドア611と組み合わせたものを表す図である。図6(d)は、センサーデバイスの検知面612付近を拡大して表した図である。ドア611の取っ手を回すとき指613が接触するあたりにセンサーデバイスの検知面612が配置される。検知面612は、指紋認証デバイス151と検温デバイス152で共用される。多くの場合、玄関のドアは親指で押さえて人差し指などで回すことになるが、検知面612に指613が接触すると、指紋認証デバイス151は接触した指の指紋を採取し、検温デバイス152は体温を測定する。
【0092】
また、コンピュータを個人認証装置100の全部又は一部として動作させるためのプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0093】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0094】
以上説明したように、本発明によれば、生体的特徴を基に個人に相応しい処理を決めるために好適な個人認証装置、個人認証システム、個人認証方法、及び、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の個人認証装置の構成を示す図である。
【図2】認証データベースに格納される情報の構成例を示す図である。
【図3】認証処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】(a)実施形態2において、個人認証システムの構成を示す図である。(b)認証サーバの構成を示す図である。
【図5】実施形態2において、認証処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】(a)〜(d)は、個人認証装置と組み合わせて用いたドア開閉装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
100 個人認証装置
101 センサー部
102 記憶部
103 通信部
104 入力受付部
105 出力部
106 制御部
107 システムバス
151 指紋認証デバイス
152 検温デバイス
155 認証データベース
180 ドア開閉装置
190 空調装置
201 ユーザID
202 認証用データ
203 体温レベル
204 ユーザプロファイル
400 個人認証システム
410 認証サーバ
411 通信部
412 記憶部
413 制御部
450 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に接続された個人認証装置において、
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの登録生体データと、当該ユーザの体温の高さを示す体温レベルと、前記外部装置を制御するための制御データとを対応付けて予め記憶する記憶手段と、
当該ユーザに固有の生体の特徴を示す情報を読み取って読取生体データを生成する読取手段と、
当該ユーザの体温を測定して体温データを生成する測定手段と、
当該読取生体データと、前記記憶手段に記憶された登録生体データとに基づいて、当該読取生体データが当該登録生体データと一致するか否か判別する判別手段と、
前記判別手段により一致すると判別された場合、前記一致した登録生体データに対応するユーザ識別情報を判別し、前記判別したユーザ識別情報に対応付けられ、且つ、前記測定手段により測定された体温が属する当該体温レベルに対応付けられた制御データを、前記記憶手段から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された制御データを前記外部装置に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、当該ユーザの指紋データ、静脈パターンデータ又は音声データを、当該登録生体データとして予め記憶し、
前記読取手段は、当該ユーザの指紋、静脈パターン又は音声パターンを読み取って、前記読み取った指紋、静脈パターン又は音声パターンを示す当該読取生体データを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記外部装置は空調装置であり、
前記記憶手段は、空調の設定温度、空調の設定風量、空調の設定風向のうち少なくとも1つを当該制御データとして記憶する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の個人認証装置。
【請求項4】
当該制御データを設定する指示入力をユーザから受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部により受け付けられた指示入力に基づいて、前記記憶手段に記憶された制御データを更新する更新手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の個人認証装置。
【請求項5】
外部装置に接続された個人認証装置と、通信ネットワークに接続されたサーバとを有する個人認証システムであって、
前記個人認証装置は、
ユーザに固有の生体の特徴を示す情報を読み取って読取生体データを生成する読取手段と、
当該ユーザの体温を測定して体温データを生成する測定手段と、
当該読取生体データと当該体温データを前記サーバに送信する生体データ送信手段と、
を備え、
前記サーバは、
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの登録生体データと、当該ユーザの体温の高さを示す体温レベルと、前記外部装置を制御するための制御データとを対応付けて予め記憶する記憶手段と、
当該読取生体データと当該体温データを前記個人認証装置から受信する生体データ受信手段と、
前記生体データ受信手段により受信された読取生体データと、前記記憶手段に記憶された登録生体データとに基づいて、当該読取生体データが当該登録生体データと一致するか否か判別する判別手段と、
前記判別手段により一致すると判別された場合、前記一致した登録生体データに対応するユーザ識別情報を判別し、前記判別したユーザ識別情報に対応付けられ、且つ、前記測定手段により測定された体温が属する当該体温レベルに対応付けられた制御用データを、前記記憶手段から取得して、前記個人認証装置に送信する制御データ送信手段と、
を備え、
前記個人認証装置は、さらに、
前記サーバから当該制御データを受信する制御データ受信手段と、
前記制御データ受信手段により受信された制御データを前記外部装置に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする個人認証システム。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記個人認証装置を識別するための装置識別情報を、当該ユーザ識別情報と対応付けてさらに記憶し、
前記生体データ送信手段は、前記個人認証装置に予め付与された装置識別情報をさらに送信し、
前記生体データ受信手段は、当該装置識別情報をさらに受信し、
前記判別手段は、当該読取生体データが当該登録生体データと一致し、且つ、前記受信した装置識別情報が前記記憶手段に記憶された装置識別情報と一致するか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項5に記載の個人認証システム。
【請求項7】
記憶手段を有し外部装置に接続された個人認証装置にて実行される個人認証方法であって、
前記記憶手段は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの登録生体データと、当該ユーザの体温の高さを示す体温レベルと、前記外部装置を制御するための制御データとを対応付けて予め記憶し、
当該ユーザに固有の生体の特徴を示す情報を読み取って読取生体データを生成する読取ステップと、
当該ユーザの体温を測定して体温データを生成する測定ステップと、
当該読取生体データと、前記記憶手段に記憶された登録生体データとに基づいて、当該読取生体データが当該登録生体データと一致するか否か判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより一致すると判別された場合、前記一致した登録生体データに対応するユーザ識別情報を判別し、前記判別したユーザ識別情報に対応付けられ、且つ、前記測定手段により測定された体温が属する当該体温レベルに対応付けられた制御データを、前記記憶手段から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された制御データを前記外部装置に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする個人認証方法。
【請求項8】
外部装置に接続されたコンピュータを、
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザの登録生体データと、当該ユーザの体温の高さを示す体温レベルと、前記外部装置を制御するための制御データとを対応付けて予め記憶する記憶手段、
当該ユーザに固有の生体の特徴を示す情報を読み取って読取生体データを生成する読取手段、
当該ユーザの体温を測定して体温データを生成する測定手段、
当該読取生体データと、前記記憶手段に記憶された登録生体データとに基づいて、当該読取生体データが当該登録生体データと一致するか否か判別する判別手段、
前記判別手段により一致すると判別された場合、前記一致した登録生体データに対応するユーザ識別情報を判別し、前記判別したユーザ識別情報に対応付けられ、且つ、前記測定手段により測定された体温が属する当該体温レベルに対応付けられた制御データを、前記記憶手段から取得する取得手段、
前記取得手段により取得された制御データを前記外部装置に出力する出力手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−43046(P2009−43046A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207499(P2007−207499)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】