説明

個別スピンドル駆動部を備える紡績機

本発明は、個別スピンドル駆動部を備えるリング紡績機であって、機械フレームを含み、機械フレームは複数の作業部位を有し、作業部位は、制御技術的に複数のセクションに区分けされ、各セクションは、それぞれ複数の前記作業部位を含み、作業部位毎に、1つのスピンドル(201)及び1つのスピンドル駆動部(203)から成る1つのスピンドルユニット(200)が設けられている形式のものに関する。スピンドルユニット(200)毎に、1つのスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)が設けられている。更に紡績機は、セクション(160)毎の1つのセクション電子装置・ユニット(112)を含み、セクション電子装置・ユニットは、1つのデータ通路(133)を介して機械制御・ユニット(101)に接続され、各セクション電子装置・ユニット(112)には、各複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)が1つのデータ通路(134)を介して接続されている。本発明により、制御技術上のセクション(160)は、各複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)を備える4つの基板(102.1〜102.4)を含み、基板に設けられたプリント配線路(134,141,142)を介して、複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)へのエネルギー供給及びコミュニケーションが行われ、1つの基板は、セクション基板(102.1)として形成され、セクション基板は、セクション電子装置・ユニット(112)、並びに外部の1つのコミュニケーション装置及び給電装置への1つ若しくは複数の接続インターフェース(135)を含み、かつ基板(102.1〜102.4)は互いに直列に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個別スピンドル駆動部を備える紡績機若しくは撚糸機であって、1つの機械フレームを含んでおり、機械フレームは、複数の作業部位を有しており、複数の作業部位は、制御技術的に複数のセクションに区分けされており、各セクションは、それぞれ複数の作業部位を含んでおり、作業部位毎に、1つのスピンドル及び1つのスピンドル駆動部から成る1つのスピンドルユニットが設けられており、かつスピンドルユニット毎に、1つのスピンドル駆動部電子装置・ユニットが設けられており、更に、紡績機,若しくは撚糸機がスピンドルユニットの制御のための1つの機械制御・ユニット、並びにセクション毎の1つのセクション電子装置・ユニットを含んでおり、セクション電子装置・ユニットは、1つのデータ通路を介して機械制御・ユニットに接続されており、各セクション電子装置・ユニットには、複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニットが1つのデータ通路を介して接続されており、この場合にスピンドル駆動部電子装置・ユニットは、該スピンドル駆動部電子装置・ユニットに属する各セクション電子装置・ユニットを介して機械制御・ユニットにより制御されるようになっている形式のものに関する。
【0002】
個別スピンドル駆動部を含む複数の作業部位を有する紡績機若しくは撚糸機は、複雑な制御部及び配線部を有している。例えばスピンドルの駆動モータは、個別に制御されねばならない。このために、各スピンドルは固有のスピンドル制御電子装置を有しており、スピンドル制御電子装置は、直接に若しくは間接的に各セクション(区分又は区域)に設けられた電子装置、つまりセクション電子装置を介して機械制御装置とコミュニケーション若しくは通信するようになっている。スピンドル制御電子装置は、スピンドルモータと一緒に共有の1つの構成ユニット内に配置されており、該構成ユニットは、スピンドルと一緒にスピンドルユニットを形成している。駆動モータは、ドライバーユニットとも称される駆動部電子装置と一緒に、構成要素として製造されて、繊維機械に組み込まれるものである。駆動モータと駆動部電子装置とは、それぞれ単独では用いられ得ないものであるので、互いに切り離されない構成要素として見なされるものである。
【0003】
個別スピンドル駆動部若しくは固有スピンドル駆動部を有する従来構造の紡績機は、機械制御部により各スピンドルを直接に制御するようになっており、配線及び組立が著しく煩雑で費用のかかるものである。紡績機は、常に大型化され、1600個に達するスピンドルを有するようになっている。このように多くのスピンドルを、制御技術的にセクション毎にまとめるような構成が考えられる。この場合に、1つのセクションの複数のスピンドル駆動部の各スピンドル駆動部電子装置・ユニットは、機械制御部と直接的にコミュニケーションするのではなく、固有の知能を有する1つのセクション電子装置とコミュニケーションすることになる。セクション電子装置は、機械制御部から受け取った指令に基づき、該セクション電子装置に属するスピンドル駆動部を制御するようになっている。
【0004】
欧州特許出願公開第0389849号明細書には、複数の紡績部位を有するリング紡績機のための制御システムを記載してあり、紡績部位は、セクション毎に監視されかつ制御されるようになっている。紡績部位には、少なくとも一部分の運転機能の独立的な実施のために、スピンドル駆動部電子装置が配設されている。それぞれ複数の紡績部位を含むセクションには、スピンドル駆動部電子装置に対して上位配置され固有の知能を有するセクション電子装置が対応配置されており、セクション電子装置は、上位の階層に設けられた別の機械制御部に接続されている。セクション電子装置も、少なくとも一部分の運転機能、例えば糸切れ検出の独立的な実施のために形成されている。
【0005】
上述のコンセプトにより紡績機の少なくとも制御シーケンスを著しく改良しているものの、制御の実施のための構造的な構成は相変わらず著しい欠点を有している。つまり、紡績機の製造、組立及び配線コストは著しく高いものである。
【0006】
高い配線コストは、セクション電子装置がデータバスを介して機械制御部に接続されており、スピンドル駆動部に設けられるスピンドル操作電子装置がそれぞれ個別に、若しくは1つのバスを介してセクション電子装置に配線されていることによるものである。データ通路の配線コストの他に、更に、スピンドル駆動部への電気的なエネルギーの供給のための配線コストが発生している。更に、セクション電子装置及びスピンドル駆動部電子装置には、供給通路を介して電気的なエネルギーを供給するようにしなければならない。電子装置への供給電圧はスピンドル駆動部への供給電圧と異なっているので、給電のための独立の2つの配線を設けなければならない。
【0007】
一般的に訓練された専門作業員により手作業で行われ費用のかかる配線手間の他に、独立の構成部品として製造されるセクション電子装置・ユニット及びスピンドル駆動部電子装置・ユニット、並びに配線のための製造コストもかかっている。
【0008】
本発明の課題は、紡績機若しくは撚糸機における制御電子装置及びエネルギー供給のための新規な構成を提供して、前記欠点を排除することである。
【0009】
前記課題を解決するために、本発明によれば、制御技術上の1つのセクションは、それぞれ複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニットを備える少なくとも2つの基板を含んでおり、該基板に設けられた基板配線路若しくはプリント配線路を介して、各複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニットへのコミュニケーション若しくは通信が行われるようになっており、1つの基板は、セクション基板として形成されており、セクション基板は、セクション電子装置・ユニット、並びに外部の1つのコミュニケーション装置若しくは通信装置への1つ若しくは複数の接続インターフェースを含んでおり、かつ、制御技術上の1つのセクションの複数の基板は、制御技術上の1つのセクションの複数の基板上の各個別のスピンドル駆動部電子装置・ユニットに対するコミュニケーション若しくは通信が、セクション基板を介して行われるように、互いに接続されている。
【0010】
本発明の別の形態によれば、少なくとも2つの基板において、スピンドル駆動部電子装置・ユニットの出力段及び/又は電子装置へのエネルギーの供給部は同じく基板配線路若しくはプリント配線路を経て延びており、セクション基板は、外部の電流供給部への1つ若しくは複数の接続インターフェースを含んでおり、制御技術上の1つのセクションの複数の基板は、該基板上の各個別のスピンドル駆動部電子装置・ユニットへのエネルギー供給が、セクション基板を介して行われるように、互いに接続されている。
【0011】
基板は、互いに直列に接続され、つまり、互いに前後に接続されている。つまり、副基板は、すべてが直接にセクション・基板に接続されるのではなく、互いに隣接している基板を介して間接的にセクション・基板に接続されており、この場合に、セクション・基板に隣接している基板は、直接にセクション・基板に接続されている。副基板は、1つのセクション内においてセクション・基板ではない基板である。
【0012】
紡績機は、リング紡績機、ループ精紡機、スピナー精紡機、及びファンネル精紡機等であってよいものである。紡績機,若しくは撚糸機は、片側式若しくは両側式に構成されていてよい。両側式は、紡績部位若しくは撚糸部位が、機械横断面で見て鏡面対称に機械の両側(2つの側)に配置されているものを意味する。片側式の機械においては、機械の片側(1つの側)にのみ、作業部位(紡績部位若しくは撚糸部位)が配置されている。
【0013】
単に「セクション」なる記載は、本明細書では、複数の作業部位を有する制御技術上の1つのセクションを意味しており、各作業部位のスピンドル駆動部電子装置・ユニットは、共有の1つのセクション電子装置・ユニットを介して制御され、若しくは操作される。このような1つのセクションは、1つの機械側に限定され、機械長手方向に延びていて、互いに隣接する複数の作業部位を有している。
【0014】
1つのセクションは、例えば24個の作業部位、つまり、スピンドル駆動モータを含んでいる。本発明の有利な形態では、1つのセクションは、該セクションに配設される作業部位若しくはスピンドル駆動部(スピンドル駆動モータ)のためのそれぞれ6つのスピンドル駆動部電子装置・ユニットを備える4つの基板を含んでいる。
【0015】
基板は、配線カード若しくはプレート又はシート片とも称され、絶縁材料、特にプラスチックから成る支持体を意味しており、該支持体上に固着若しくは付着されて延びる接続通路又は接続ライン(配線路若しくはプリント配線とも称される)を備えている。
【0016】
基板は、セクション電子装置・ユニット及びスピンドル駆動部電子装置・ユニットの機械的な取り付け、並びにこれらの電子式の構成部分間の、信号交換若しくはデータ交換のための配線路を介した電気的な接続(データ通路又はデータライン若しくは信号通路又は信号ライン)のために用いられている。本発明の別の形態では、支持体上には、セクション電子装置とスピンドル電子装置との間の基板配線路の形のデータ通路若しくは信号通路(データ回線若しくは信号回線)のみが設けられるのではなく、セクション電子装置とスピンドル駆動部電子装置との間の電気的なエネルギーの供給のための供給通路も基板配線路として設けられている。別の有利な形態では、スピンドル駆動部電子装置・ユニットの出力段、ひいてはスピンドル駆動部への電気的なエネルギーの供給のための供給通路(供給ライン)も基板配線路として支持体に設けられている。
【0017】
機械制御部は、有利には、中央の制御ユニット、例えばプログラミング可能なメモリー形の制御部(SPS)を含んでおり、制御部はメインプロセッサー(CPU)を備えており、メインプロセッサーにより、紡績機,若しくは撚糸機が制御されるようになっている。このような機械制御部は、互いに異なる複数の階層を用いる上記制御構成に関連して、いわゆるマスター(Master)と称されるものである。機械制御部は、有利には当該のセクション電子装置・ユニット及びスピンドル駆動部電子装置・ユニットを介して作業部位を制御する少なくとも一部分の運転機能のために構成されている。つまり、機械制御部により、例えば機械の立ち上げ運転(例えば、紡績プロセス開始)や、機械の所定の立ち下げ運転(紡績プロセス終了)が制御されるようになっている。
【0018】
セクション電子装置・ユニットは1つのコントローラを含んでおり、コントローラは、セクション電子装置による運転機能の独立的な実施を可能にするものである。コントローラは、組み込まれた回路を備えていて種々の過程を制御し、調整し、若しくは切換る電子式のユニットである。コントローラは、有利にはプロセッサー、つまり、演算ユニットを含んでいる。コントローラは、有利にはマイクロコントローラ若しくはマイクロプロセッサーである。コントローラをCPLD(Complex Programmable Logic Device)によって形成することも考えられる。CPLDを用いることにより、機能はピンドル駆動部電子装置の階層に制限される。
【0019】
コントローラは有利にはオプティカルカップラーを介してコミュニケーションインターフェースに接続されている。オプティカルカップラーは、オプトエレクトロニクス式の結合素子であり、入力電流回路と出力電流回路との間のガルバニック絶縁(電気絶縁)の状態で、電気信号の伝送を行うようになっている。
【0020】
ピンドル駆動部電子装置・ユニットは、該ピンドル駆動部電子装置・ユニットに属するスピンドル駆動モータの直接的な制御のために用いられ、1つのコントローラ(制御部)を含んでおり、該コントローラは、運転機能を自動的に生ぜしめ、例えば出力段の制御若しくは切換え、スピンドル駆動部による電流消費若しくは出力消費の測定、若しくは外部の表示部若しくは手動スイッチの制御を行うようになっている。コントローラとして、組み込まれた回路を備える電子式のユニットを用いており、該ユニットは、種々の過程を制御し、調整し若しくは切換えるようになっている。コントローラは、有利にはプロセッサー、つまり、演算ユニットを含んでいる。コントローラは、有利にはマイクロコントローラ若しくはマイクロプロセッサーである。コントローラをCPLD(Complex Programmable Logic Device)によって形成することも考えられる。CPLDを用いることにより、機能はピンドル駆動部電子装置の階層に制限される。
【0021】
更に、ピンドル駆動部電子装置・ユニットは、1つの出力段(出力ドライバー若しくはパワーステージとも称される)を含んでおり、出力段を介して、スピンドル駆動部への出力供給が行われる。出力段は、コントローラ(制御部)とアクチュエータ(スピンドル駆動部)との間に接続されていて、アクチュエータへの電流による制御部の直接的な負荷を避け、かつ電圧レベルの適合を行う構成要素である。このために、アクチュエータの運転電圧が出力段部に印加され、制御部が、予測可能な電流を有する入力側から運転電圧を出力段部の出力側に流すようになっている。結果として、出力段を介してスピンドルモータへの電流供給が行われる。
【0022】
複数のピンドル駆動部電子装置・ユニットが、構造的にも、共有の1つの支持体、例えば1つのチップ上にまとめられていてよく、この場合に、各ピンドル駆動部電子装置・ユニットは、固有の1つのコントローラ、並びに固有の1つの出力段及び固有のインターフェースを含んでいる。
【0023】
本発明の有利な形態によれば、各作業部位に属するスピンドル駆動部は、該スピンドル駆動部に属するピンドル駆動部電子装置・ユニットを介して、若しくは上位のセクション電子装置・ユニットを介して自動的に遮断され、また、有利には手動スイッチによっても遮断されるようになっている。原理的には、各紡績部位若しくは撚糸部位は、マスターによって遮断されるようになっており、このことは、特定の支障の場合に特に有利である。
【0024】
作業部位の自動的な停止及び作動のために、ピンドル駆動部電子装置・ユニットは、インターフェース電子装置、特にデジタル式のI/O(入力/出力)・インターフェースを含んでおり、該インターフェースを介して、スピンドル駆動部の手動の接続及び遮断のための手動スイッチ装置が、直接に紡績部位に接続されるようになっている。相応のON/OFF・機能を有する手動スイッチ装置は、有利には紡績部位に、例えばスピンドルレールでスピンドルの横に配置されている。このような構成により、紡績オペレータは、スピンドルを糸切れの解消の後にその場で手動により再び作動させることができ、若しくは支障に気付いた際に停止させることができるようになっている。手動スイッチ装置を介したスピンドル駆動部の制御は、機械制御部により自動的に行われ、ピンドル駆動部電子装置・ユニットを介して及び/又は必要に応じてセクション電子装置・ユニットを介して実施される。
【0025】
更に、ピンドル駆動部電子装置・ユニットのインターフェース電子装置は、表示部、特に支障表示部の接続のためにも用いられる。表示部は、例えば光学式の表示部(ランプ)であってよく、例えば糸切れ、停止しているスピンドル若しくは作業部位における他の支障を表示するようになっている。表示部は、機開制御部からピンドル駆動部電子装置・ユニット及び/又は必要に応じてセクション電子装置・ユニットを介して自動的に作動される。更に追加的に若しくは選択的に、セクション電子装置・ユニットと接続されたセクション表示部を設けることができ、該セクション表示部は、当該セクションの作業部位の支障を表示するようになっている。セクション表示部は、当該のセクションの領域に配置されている。セクション表示部も、機械制御部により制御されるようになっていてよい。
【0026】
別の形態では、糸監視装置及び/又はロービング停止装置も、ピンドル駆動部電子装置・ユニット若しくはセクション電子装置・ユニットに接続されている。例えば1つの作業部位を支障に起因して、セクション電子装置・ユニット若しくはスピンドル駆動部電子装置・ユニットにより遮断する場合には、該ユニットはロービング停止装置を介してロービング停止も行うようになっている。
【0027】
機械制御部、セクション制御部及びスピンドル駆動制御部による種々の運転機能の構成及びその課題は、欧州特許出願公開第0389849号明細書に記載してある。
【0028】
スピンドル駆動部は、電気モータ、特にBLDC・モータ(Buerstenloser Gleichstrommotor ブラシレスの直流モータ)である。電気モータは同期モータ若しくは非同期モータであってよい。出力段は、使用されるモータタイプに応じて、変換器、例えば周波数変換器を含んでいてよい。
【0029】
機械制御部から、データ通路若しくは信号通路がセクション電子装置・ユニットに通じていて、セクション電子装置・ユニットと機械制御とを接続している。デジタル通路は、有利には1つのデータバスである。セクション電子装置・ユニットは、有利にはデータバスによって互いに接続されており、該データバスに機械制御部も接続されている。データバスは、有利には各繊維機械の両方の機械側に沿って延びている。データバスは、両方の機械即に分割されていてよく、例えば接続抵抗をそれぞれ有している。両方の分岐線は機械制御部内で集合している。しかしながらデータバスは、環状バス若しくは放射状バスとして形成されていてよい。データバスは直列式若しくは並列式のバスであってよい。データバスは電気式の導体として形成され、若しくは光導波体として形成され、或いは両方の組み合わせたものとして形成されていてよい。
【0030】
通所のコミュニケーション若しくは通信のための例えば電気的な導体を有するデータバスの他に、機械制御の層とセクション電子装置・ユニットの層との間に、デジタル式の信号の急速な伝送のための光学式若しくは電気式の導体を追加的に設けられてよい。このような追加的な導体は、有利には別個の入力部(デジタル式のI/O)を介してセクション電子装置・ユニットに通じている。このような追加的な信号通路は、機械制御若しくは1つの給電網故障センサシステムとセクション電子装置・ユニットとの間の直接のハードウエア接続部を形成し、若しくは直接にスピンドル駆動部電子装置・ユニットを形成するものである。
【0031】
上記の追加的な信号通路は、例えば、給電網故障の際にスピンドル駆動部モータを発電運転に切換るために制御指令の直接的な伝送に用いられる。このような手段自体は従来技術に属するものであり、この場合には、給電網故障に際してスピンドル駆動部を発電運転に切換え、その結果、発電により発生する出力を用いて、急激に停止するドラフト駆動部を、減速するスピンドルと同期的に制御して減速回転させることができる。このような発電回収による供給なしには、ドラフトローラはスピンドルに比べて制御不能に急激に停止して、糸切れを発生させてしまうことになる。給電網故障の際にスピンドル駆動部を発電運転する構成に関する詳細は、例えば独国特許出願公告第4312023号明細書若しくは欧州特許出願公告第451534号明細書に記載されている。
【0032】
原理的に発電運転への切換は、できるだけ遅れることなく行われねばならない。しかしながら、通常のコミュニケーション通路を介した制御信号の経路は、制御信号が決定部に到来して、相応に制御指令に変換されるまでに比較的長い時間を必要としている。デジタル式の信号通路を用いる場合には、制御信号は、機械制御部から、若しくは直接に給電網故障センサシステムからセクション電子装置・ユニットに送られ、セクション電子装置・ユニットがスピンドル駆動部復帰への切換を行うようになっている。
【0033】
最適な情報伝達並びに配線費用の節減に関して、有利には、作業部位若しくはそのスピンドル駆動部電子装置・ユニットに対するすべてのデータは、該スピンドル駆動部電子装置・ユニットに属するセクション電子装置・ユニットにより制御されるようになっている。このことは、1つのセクションの各基板が、データ及び信号交換のための専ら1つの接続インターフェースを介して機械制御部に接続されており、接続インターフェースはセクション基板に配置されている。
【0034】
作業部位は、作業部位におけるパラメータの検出のためのセンサ若しくは他の手段を含んでいる。例えばスピンドル駆動部による電流消費若しくは出力消費若しくはスピンドル回転数が、スピンドル駆動部電子装置により、必要に応じてセンサを用いて検出されるようになっている。このような検出データ(測定データ)から、糸切れ若しくは糸張力に関する情報が形成される。当該のスピンドル若しくはその駆動部は、糸切れに際してスピンドル駆動部電子装置・ユニット若しくはセクション電子装置・ユニットにより自動的に停止される。
【0035】
例えば作業部位のセンサにより検出された信号の少なくとも一部分は、当該のスピンドル駆動部電子装置・ユニット及び評価のための上位のセクション電子装置・ユニット及び/又は上位の表示部を介して機械制御部・ユニットに供給されるようになっている。機械制御部・ユニットには、評価若しくは表示のために、糸切れ、手動スイッチ操作やスピンドル回転数に関する信号及び/又は他の信号が送られるようになっている。
【0036】
紡績機,若しくは撚糸機は、構造技術上、セクション毎に積木ブロック式に形成されていてよいものであり、この場合に、構造技術上の1つのセクションを、以下において単に1つの機械セクションと称することにし、1つの紡績機若しくは撚糸機には複数の機械セクションが設けられている。1つの機械セクションは、両方の機械側にそれぞれ複数の作業部位を含んでいる。従来の1つの機械セクションは、例えば48個の作業部位を含んでおり、各機械側にそれぞれ24個の作業部位を配置してある。機械のこのようなセクション構造は、機械のモジュール構造を可能にするものである。紡績機若しくは撚糸機は、一列に並べて配置された複数の機械セクションにより構成されている。このような構成により、機械を、同一の機械ヘッド及び機械足部を用いて、しかしながら異なる数の作業部位で形成することができるようになっている。機械フレームも同様に相応のセクション構造で形成されている。
【0037】
構造上のセクションは、制御技術上のセクションと一致するものではなく、それというのは、制御技術上のセクションは、1つの機械側の紡績部のみしか含まないからである。本発明の有利な形態では、1つの機械セクションは、制御技術上の2つのセクションを含んでおり、この場合に、第1のセクションは、左側の機械側に配置され、第2のセクションは相対する右側の機械側に配置されており、制御技術上の両方のセクションは、1つの機械セクションの作業部位のうちのそれぞれ半分の数の作業部位を含んでいる。
【0038】
しかしながら、1つの機械セクションは、制御技術上の2つより多いセクションを含んでいてよく、この場合に1つの機械セクションは、一般的に制御技術上の偶数のセクションを含んでいる。このような積木ブロック原理の利用は、工場における機械セクションの前組立を可能にし、ひいては紡績機への組立の時間を著しく節減するものである。
【0039】
本発明の形態により、制御技術上の1つのセクションは、少なくとも2つの基板を含んでおり、基板のうちの1つは、セクション基板として形成されており、セクション基板は、スピンドル駆動部電子装置・ユニットに加えて、追加的にセクション電子装置・ユニット、並びに外部の機械制御部に対する1つのコミュニケーションインターフェースを含んでいる。更に、セクションは別の少なくとも1つの基板を含んでおり、該基板は、スピンドル駆動部電子装置・ユニットを含んでいる。セクションは、スピンドル駆動部電子装置・ユニットを備える別の2つ、3つ、4つ、5つ、或いは5つより多い数の基板を含んでいてよい。有利には、セクションは、同様の別の3つの基板を含んでいる。基板において、並びにセクション基板を含めて、各基板に、例えば6つのスピンドル駆動部電子装置・ユニットを配置してある。つまり、4つの基板が、4×6=24個の作業部位から成る1つのセクションを形成している。他の基板に含まれる電子構成群は、有利には専らスピンドル駆動部電子装置・ユニットである。
【0040】
1つのセクションの各基板は、少なくともコミュニケーション技術上互いに直列に接続されている。つまり、基板は機械長手方向に並べて配置されており、先行の基板はそれぞれ後行の基板と相応の通路接続部を介して接続されている。このために、隣接の2つの基板の基板配線路若しくはプリント配線路は線材又はワイヤ若しくはケーブルを介して互いに接続されている。コミュニケーション接続通路は、セクション基板のセクション電子装置・ユニットに集まっている。線材通路若しくはケーブル通路は、差し込み結合部を介して基板に接続されていてよいものである。基板は、基板間に介在するケーブル若しくは線材を省略して差し込みコネクタによって互いに直接に接続されていてよい。
【0041】
同じ接続構成が、スピンドル駆動部電子装置・ユニット及び/又はスピンドル駆動部若しくはその出力段へのエネルギー供給にも当てはまる。この場合にも、4つの基板は、エネルギー供給技術上互いに直列に接続されている。基板は機械長手方向に並べて配置されており、先行の基板はそれぞれ後行の基板と相応の通路接続部を介して接続されている。エネルギー供給通路は、セクション・基板の共有の1つの接続インターフェースに集まっている。
【0042】
基板は、隣接の同一のセクションに対するエネルギー供給接続及び/又はコミュニケーション接続若しくは通信接続のために、相応の接続インターフェース、特に差し込み接続部若しくはろう付け結合部を有している。
【0043】
差し込み接続部は、嵌合式コネクタ若しくは差し込みコネクタの雄の構成部分、例えば雄コンタクト及び雌の構成部分、例えば雌コンタクトを意味する。差し込み接続部は、挿入片若しくは差し込み部分、若しくはカップリング又はブッシュであり、ピン・ソケット形コンタクトのピンやソケットである。
【0044】
スピンドル駆動部への給電は、有利には基板を介して行われる。欧州特許出願公開第07021866.4号明細書には、紡績機のスピンドル駆動モータへ電流を供給する構成が記載されている。本発明の有利な形態において、スピンドル駆動モータへの外部からの給電は、上記明細書に記載の構成に基づいている。
【0045】
スピンドル駆動部への出力供給は、特にBLDC・スピンドルモータを用いる場合には、前記欧州特許出願公開第07021866.4号明細書の記載の供給構成に基づき、有利には270V(Volt)の直流電圧源(例えばDC・バスを介して)を用いて行われる。この場合にDC・バスは、電圧U1(例えば+270V)の第1の直流電圧レール、電圧U2(例えば−270V)の第2の直流電圧レール、第3の直流電圧レール(例えば0V)から成っている。第1の直流電圧供給網は、第1及び第3の直流電圧レールにより形成されており、第2の直流電圧供給網は、第2及び第3の直流電圧レールにより形成されている。第1及び第2の直流電圧供給網は、270Vの電圧の直流を供給するようになっている。第1及び第2の直流電圧レールによって、更に540Vの電圧の直流電流を有する第3の直流電圧供給網が形成されてよい。上記直流電圧供給網の詳細は、前記欧州特許出願公開第07021866.4号明細書に開示されており、記載内容は、直流電圧供給網の理解に役立つものである。
【0046】
スピンドル駆動部電子装置・ユニットの出力段がそのエネルギーを前記のDC・バスから受けるようになっている場合には、有利には、1つの基板内で順次に位置する出力段は、機械長手方向に並べて配置されたすべての基板にわたって第1の給電網と第2の給電網とから常に順次交互に供給を受けるようになっている。つまり、1つの基板内で、かつ全基板にわたって、第1の出力段は第1の給電網からの出力を受け、隣接の第2の出力段は第2の給電網からの出力を受け、第2の出力段に並んで隣接する第3の出力段は、再び第1の給電網からの出力を受け、第3の出力段に並んで隣接する第4の出力段は、再び第2の給電網からの出力を受ける、というように順次に交互に出力の供給を受けるようになっている。
【0047】
本発明の別の形態では、第1の1つの基板のすべての出力段は、第1の給電網からの出力を受け、隣接の第2の1つの基板のすべての出力段は、第2の給電網からの出力を受け、第2の基板と隣接する第3の1つの基板は、再び第1の給電網からの出力を受けるようになっている。つまり、1つのセクション内の基板は、順次に第1の給電網と及第2の給電網とから交互に出力段のための出力を受けるようになっている。このような構成により、電流供給のバランス若しくは対称が保証され、供給システムが安定して作動するようになっている。基板若しくは少なくともセクション・基板は、第1及第2の直流電圧供給網から個別の出力段への交互の供給に対応して、接続インターフェース及びプリント配線路を装備している。
【0048】
上記の理由から、セクション電子装置・ユニットは、該セクション電子装置・ユニットにデータバス接続部を介して電気的なエネルギーを供給しない場合に、第3の540Vの直流給電網を介して供給を受けるようになっており、特にスピンドル駆動部電子装置・ユニットが第1及び第2の270Vの直流給電網を介してではなく、第3の直流給電網を介して供給を受けるようになっている。第3の直流給電網からの供給の場合には、供給バランスがそこなわれて、供給システムが不安定になることもある。第3の直流給電網からの供給の場合には、必要に応じて変圧器が変換器に対応配置される。
【0049】
原理的には、使用されるスピンドル駆動部に依存して、別の電圧源、例えば交流電圧源を選ぶことも可能である。
【0050】
スピンドル駆動部電子装置・ユニットの出力段は、相応の通路結合部若しくは供給通路を介して電圧源に接続されている。供給通路は、基板において、前に述べてあるように、有利にはプリント配線路として形成されている。セクションは、有利にはセクション・基板を介して、かつ専ら、出力段若しくはスピンドル駆動部の出力供給のための1つの接続インターフェースを介して外部の電圧源に接続されている。交流の電圧源からの出力段への供給に際して、セクションは、有利にはセクション・基板を介して、かつ専ら、出力段若しくはスピンドル駆動部の2つの出力供給のための接続インターフェースを介して外部の2つの電圧源(第1及び第2の直流電圧給電網)に接続されている。
【0051】
出力段及び/又はスピンドル駆動部電子装置のために、基板に、外部の1つの電圧源への独立の1つの接続インターフェースを設けることも可能である。更に、1つのセクションの各基板にとって、該各基板の出力段及び/又はスピンドル駆動部電子装置・ユニットへの電気的な出力の供給部のために外部の1つの電圧源への独立の各1つの接続インターフェースを設けることも可能であるが、経済的ではない。
【0052】
セクション電子装置・ユニット及び/又はスピンドル駆動部電子装置・ユニットは、電気的なエネルギーの供給を受けるように、それもスピンドル駆動部よりも低い電圧、例えば5V、15V若しくは24Vの電圧のエネルギーの供給を受けるようになっている。各電子構成部分への供給のための通路若しくは線路は、基板において有利にはプリント配線路として形成されている。電圧源に関して、
a.1つのセクションのすべての基板が、若しくはセクション・基板にみが電子装置構成群のための出力供給部のための別の1つの接続インターフェースを介して外部の1つの電圧源に接続され(即ち、第3の直流電圧給電網を介して)、若しくは
b.電子装置構成群のための出力供給が、出力段(例えば第1若しくは第2の直流電圧給電網の出力段)のための上述の電圧供給部を介して行われる。
【0053】
上記b.の場合に、接続インターフェースに接続する基板において、若しくは接続インターフェースにおいて、或いは基板内において、接続インターフェースの前で電子装置構成群のための電圧供給は分岐される。すべての場合に、1つの基板の電圧供給は専ら外部の共有の1つの電圧源を介して行われる。
【0054】
セクション・基板には、有利には1つの変換器又はコンバータ、特に変圧器を設けてあり、該変圧器は、例えば入力・直流電圧(例えば270V若しくは540V)を低い出力・直流電圧(例えば5V若しくは15V)に変換するようになっている。入力電圧が直流電圧であるか交流電圧であるかに応じて、変圧器に加えてインバータ装置も設けられる。変換器若しくは変圧器は、電子装置構成群のための電圧を出力段のための電圧供給部から受け取って、低いレベルに変換する場合に必要である。このような変換器を、有利にはセクション・基板のみが有している。1つのセクションのすべての基板における電子装置構成群への供給は、有利には前記1つの変換器を介して行われる。
【0055】
本発明の別の形態では、1つのセクションの各基板は、電子装置構成群のための供給電圧を必要なレベルに下げる固有の1つの変圧器を含んでいる。これにより、1つのセクションの各基板は、既にセクション・基板で述べてあるように、該基板の供給電圧を、例えば出力段のための例えば270V若しくは540Vの供給電圧から分岐させ、変圧器を介して、必要なレベル、例えば5V若しくは15Vに下げるようになっている。変圧器からは例えばプリント配線路がアクチュエータ若しくは消費器へ延びている。
【0056】
本発明の考えられる形態によれば、セクション・基板は、第1の変圧器を含んでおり、該変圧器は、供給電圧の高いレベル、例えば270V若しくは540Vを低いレベル、例えば20〜30Vに変換するようになっている。第1の変圧器から、基板の配線路は、各基板に設けられた第2の変圧器へ延びており、該第2の変圧器は、供給電圧を、電子式の構成群のために必要な正確なレベル、例えば5V若しくは15Vに変換するようになっている。各基板に変圧器を有する上記両方の形態により利点として、必要な供給電圧が直接にアクチュエータ、つまり各基板において形成され、かつ必要なレベルに規定される。従って、長い輸送距離に起因する電圧変動若しくは電圧低下は避けられる。
【0057】
本発明の形態を要約すれば、直接的にセクション・基板に、若しくはセクション・基板と不動に結合された各ケーブル端部に、次の接続インターフェースが設けられていてよく、つまり、
a.外部のデータ通路若しくは信号通路(データバス)へのセクション電子装置・ユニットの接続のための共有の1つの接続インターフェース、
b.外部の電圧源へのスピンドル駆動部電子装置・ユニット及び/又はセクション電子装置・ユニットの電圧供給用の接続のための共有の1つの接続インターフェース、
c.外部の電圧源(DC・バス)へのスピンドル駆動部電子装置・ユニットの出力段の電圧供給用の接続のための共有の1つの接続インターフェース、
d.スピンドル駆動部電子装置・ユニット、つまり、出力段へのスピンドル駆動部の電圧供給用の接続のための複数の接続インターフェース、
e.外部の機器、例えば表示部若しくは手動スイッチとスピンドル駆動部電子装置・ユニットとの接続のための複数の接続インターフェースが設けられている。
【0058】
この場合に、接続インターフェースa.,c.及びd.は必ず設けられる。接続インターフェースb.は、上記エネルギー供給が接続インターフェースc.をも介して行われる場合に、選択的に設けられる。
【0059】
1つのセクションの、セクション・基板ではない基板には、接続インターフェースa.は必ず設けられ、接続インターフェースe.は選択的に設けられる。更に、前記のリストアップの接続インターフェースb.及びc.も設けられてよい。
【0060】
セクション電子装置・ユニットは、スピンドル駆動部電子装置・ユニットから独立して、データバスを介して電圧供給を受けるようになっていてよい。
【0061】
前記接続インターフェースは、頑丈な結合部、例えばろう付け結合部によって、若しくは分離可能な結合部、例えば差し込み結合部によって形成されていてよい。差し込み結合部は、分離可能なスナップイン式の接点部若しくはスナップ嵌め接点部として形成されていてよい。基板を外部に対してケーブルにより接続する場合には、ケーブル端部が、有利には不動の結合部、例えばろう付け結合部を用いて基板のプリント配線路に接続され、若しくは直接にセクション電子装置・ユニット或いはスピンドル駆動部電子装置・ユニットに接続される。ケーブル端部の自由端には、外部の供給部へのケーブル端部の接続のための上記形式の接続インターフェースが設けられている。
【0062】
スピンドル駆動部電子装置・ユニット、つまり、出力段は、基板に設けられた第1の差し込み接続部を介してスピンドル駆動部に接続されるようになっている。つまり、スピンドル駆動部への出力供給は、基板の第1の差し込み接続部を介して行われ、該第1の差し込み接続部は、基板に設けられかつスピンドル駆動部に電気的に接続された第2の差し込み接続部と機械的に差し込み結合されるようになっている。このような第1の差し込み接続部が、有利には各スピンドル駆動部電子装置・ユニットに配設されている。第2の差し込み接続部は、紡績機,若しくは撚糸機に配置されている。第2の差し込み接続部は、例えば直接にスピンドルレールに取り付けられ、若しくは間接的に保持部を介してスピンドルレールに取り付けられている。第2の差し込み接続部は、スピンドルユニットの1つの構成部分に、例えばスピンドルケーシングに取り付けられていてよく、スピンドルケーシングは、スピンドルレールに取り付けられており、つまり、第2の差し込み接続部も間接的に紡績機,若しくは撚糸機に取り付けられている。第2の差し込み接続部も別の形態では紡績機,若しくは撚糸機に直接に取り付けられていてよいものである。
【0063】
差し込み接続部においては利点として、前述の差し込み結合部の組み込みにより、スピンドルモータへの基板の電気的な結合(接続)だけではなく、同時に機械、例えばスピンドルレールへの基板の取り付けも行われている。差し込み接続部の機能は、一方で基板と紡績機若しくは撚糸機との間の電気的な接続と、他方で紡績機若しくは撚糸機、特にスピンドルレールへの基板の取り付けである。基板当たりに、複数の差し込み結合部を設けてあり、該差し込み結合部は基板を機械に良好に保持している。
【0064】
本発明の別の形態では、スピンドルレールに、基板及びスピンドルユニットのための第2の差し込み接続部が直接若しくは保持部を介して設けられており、これにより、一方ではスピンドルユニットが、該スピンドルユニットに設けられた対応する第1の差し込み接続部を介して上方からスピンドルレールに装着されて導電接続されるのに対して、他方では、基板が、該基板に設けられた対応する第1の差し込み接続部を介して下方若しくは側方からスピンドルレールに取り付けられて導電接続される。一方で基板の出力段のために、かつ他方でスピンドルユニットのためにスピンドルレールに設けられた第2の両方の差し込み接続部は、互いに導電可能に接続されている。このような構成により、一方でスピンドルユニット並びに他方で基板の単独の交換若しくは組み付けが可能になっている。
【0065】
基板は、前に述べてあるように、スピンドルレールの横若しくは下に取り付けられていてよい。有利には、基板はスピンドルレールの下面に直接に取り付けられて、ケーシングによって覆われるようになっている。ケーシングは、基板の支持及び/又は固定のために、ケーシングに組み込まれた手段、例えば条片状部分又はウエブやリブを含んでいてよい。ケーシングは有利にはプラスチックから成っている。ケーシングは更に、作業部位表示部及び/又はセクション表示部及び/又は手動スイッチの固定若しくは受容のための受容部又は収容部を有していてよい。
【0066】
本発明の有利な形態では、ケーシングに設けられた適切な取り付け手段により、基板はケーシングに取り付けられ若しくは固定されている。このような取り付け手段若しくは固定手段は、例えば嵌合結合部、スナップ結合部又はクランプ結合部、或いは溝とキーとから成る結合部(キー・溝結合部)として形成されていてよい。ケーシングは、有利には1つ若しくは複数の基板と一緒に1つの組み付けユニットを形成しており、該組み付けユニットはスピンドルレールに取り付けられるようになっている。この場合には、差し込み結合部は、基板がケーシングによって支持されかつ保持されるので、支持機能若しくは保持機能を不要にしている。有利には、基板は、ケーシング部分と一緒に構成ユニットを形成している。基板のための保持部を有するケーシングは、基板がケーシングへの取り付けに際して位置決めされかつ整合されるように形成されており、これにより、基板は、ケーシングモジュールをスピンドルレールに取り付けることにより、差し込み結合部に対する正確な位置を占めることになる。
【0067】
表示部及び/又は手動スイッチへの接続通路は、接続インターフェース、例えば差し込みコネクタを備えたケーブル端部により形成されていてよく、該ケーブル端部若しくは差し込みコネクタは、有利には頑丈な結合部を用いて基板に取り付けられる。差し込みコネクタは、直接に若しくは間接的に差し込み接続部を介して表示部若しくは手動スイッチに接続される。作業部位表示部若しくはセクション表示部は、有利には基板に設けられたランプ又はライト、特に発光ダイオードである。
【0068】
本発明の別の形態において、出力段に電気的なエネルギーを供給するために基板に設けられる供給通路は、有利には基板若しくはその配線路若又はプリント配線路に固着されていて接続インターフェース若しくは差し込みコネクタを備えたケーブル端部を含んでいてよい。ケーブル端部は、例えば差し込みコネクタ若しくはスナップ接点部又はクランプ接点部を介して中央の1つの電圧供給通路(DC・バス)に接続されるようになっている。
【0069】
本発明の別の形態では、機械制御部とセクション電子装置・ユニットとの間のコミュニケーション及び/又はセクション電子装置・ユニットとスピンドル駆動部電子装置・ユニットとの間のコミュニケーションをエネルギー供給部に組み込むことも可能である。つまり、コミュニケーションは、供給路若しくは給電路を介して行われる。このような形態により、例えば機械制御部とセクション電子装置・ユニットとの間のコミュニケーション通路、例えばデータバスは省略できることになる。このような形態に基づき、請求項1に記載の発明に係るセクション電子装置・ユニットとスピンドル駆動部電子装置・ユニットとの間のデータ通路は、データ通路であっても、供給通路であってもよい。更に、請求項1に記載の発明に係る機械制御部とセクション電子装置・ユニットとの間のデータ通路は、データ通路として、或いは供給通路として形成されていてよい。
【0070】
上記形態により、基板は、部分的にも全体的にも独立のコミュニケーション通路を備えていなくてよいことになる。通信データ及び供給電圧は、例えば共有の1つの通路及び共有の1つのインターフェースを介して送られる。この場合に、通信データと供給電圧とは、例えばセクション電子装置・ユニットの前に設けられた変換器若しくは変成器で互いに分離され、若しくはセクション電子装置・ユニット自体によって互いに分離されて、別個のプリント配線路を介して引き続き、例えばスピンドル駆動部電子装置・ユニットへ送られる。
【0071】
機械制御部とセクション電子装置・ユニットとスピンドル駆動部電子装置・ユニットとの間を階級式に形成することに基づき、監視若しくは制御すべき作業部位の数の多いい場合にも、紡績機,若しくは撚糸機の全体制御をわずかな費用で問題なく実施することができる。製造コストは、最小の配線費用、及びプリント配線路若しくはプリント回路を有する実装された基板の全自動的の製造に基づき著しく節減されている。個別の機能領域は、互いに明確に分離され得るようになっている。紡績機,若しくは撚糸機の制御のための形態は、固有の機能若しくは知能を有するセクション電子装置・ユニット及びスピンドル駆動部電子装置・ユニットを異なる階級若しくは階層に設けることにより種々に実施されるものである。複数の階層に複数のサブシステムを設けることができ、サブシステムに機械制御ユニットが例えばマスターとして配設される。これに対応して、紡績機,若しくは撚糸機全体の運転及び制御に必要な機能若しくは知能は、種々の階層に分配される。各階層面に対して垂直な方向では、わずかな配線費用しか必要とされない。種々の階層への機能の分配は、コスト増大なしに問題なく行われるものである。
【0072】
前記構成要素を有する基板は、単独に製造されて紡績機,若しくは撚糸機内に組み込まれる構成ユニットとして提供されるものである。簡単な差し込み結合部により、基板は、大きな力なしに機械、特にスピンドルレールに迅速に取り付けられて、スピンドルモータと電気的に結合され、つまり接続される。分離可能な別の結合部、例えば差し込み接続部により、基板は同様に簡単かつ迅速に、外部の電圧源、及びデータ伝送路若しくは信号伝送路に接続される。一方でスピンドルユニットと、他方で紡績機,若しくは撚糸機内の全配線とは、その制御電子装置を有する基板から独立して単独に形成されるものである。
【0073】
各スピンドル駆動部電子装置・ユニットに加えて、追加的に若しくは選択的に、セクション電子装置・ユニットも、少なくとも一部の運転機能の自律的な実施のために形成されていてよい。これにより、上位の機械制御ユニットの他に、下方の制御階級に設けられた構成ユニットも、少なくとも個別の運転機能を自律的若しくは自動的に実施するようになっている。
【0074】
前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット若しくはセクション電子装置・ユニットは、次に述べる機能の自律的な実施のために形成され、つまり、糸切れ検出、ロービング停止、個別スピンドル・駆動制御、個別スピンドル駆動部の温度監視、ロービング切換、スピンドル回転数測定、糸張力測定及び/又は、自動運転装置若しくは紡績部・オペレータ操作、故障表示部及び手動スイッチとのコミュニケーション、及び/又は他のセンサ機能等の自律的な実施のために形成されている。有利には、糸切れ及び/又は高い糸張力は、各スピンドル駆動部電子装置・ユニットを用いて、各作業部位に属する電動モータ駆動部の電流消費に基づき検出されるようになっている。
【0075】
機械制御ユニット自体により、例えば運転開始制御若しくは始動制御や運転終了制御を行うようになっており、該運転終了制御は、通常の終了の場合にも非常時の終了の場合にも用いられる。
【0076】
次に、本発明を図示の実施形態に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る、電子構成群を有する基板の概略図である。
【図2】複数の基板の組み合わせを示す概略図である。
【図3】スピンドルユニットの領域の1つの紡績部の断面図である。
【0078】
図1は、セクション・基板102.1の一部分を示している。該セクション・基板は、複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニット105.1〜105.3及び1つのセクション電子装置・ユニット112を含んでおり、前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット及びセクション電子装置・ユニットは、プリント配線路により形成されたデータ/信号通路134を介して互いにコミュニケーション可能に接続されている。セクション電子装置・ユニット112は、差し込み結合部135を介してデータバス133に結合接続されており、該データバスには、上位の別のセクションに設けられた機械制御ユニット(図示省略)も接続されるようになっている。
【0079】
セクション電子装置・ユニット112は、コントローラ131及びインターフェース電子装置132を有している。スピンドル駆動部電子装置・ユニット105.1〜105.3も、それぞれ同様にコントローラ151及びインターフェース電子装置153を有し、かつ出力段152を含んでいる。スピンドル駆動部電子装置・ユニット105.1〜105.3はそれぞれ、基板102.1に設けられた差し込み接続部113を介してスピンドル駆動部に接続されるようになっている。つまり、スピンドル駆動部への出力供給は、差し込み接続部を介して行われ、該差し込み接続部は、スピンドルレール若しくはスピンドルユニットに設けられた別(第2)の差し込み接続部に差し込み結合されるようになっている。スピンドルモータは、本実施形態ではBLDC・モータ(図示省略)である。
【0080】
接続通路108.1〜108.4及び差し込み接続部110.1〜110.4を介して、各手動スイッチ107.1〜107.4をスピンドル駆動部電子装置・ユニットに接続してある。手動スイッチ107.1〜107.4の代わりに若しくは該手動スイッチに加えて、(支障)表示部若しくはロービング停止装置(両方図示省略)が設けられていてよい。
【0081】
スピンドル駆動部電子装置・ユニット105.1〜105.3の出力段152は、プリント配線路により形成された供給通路141を介して電気エネルギーを供給されるようになっている。供給通路141は、ケーブル端部により形成された接続通路147に不動に接続されており、接続通路147は、例えばろう付けによって基板102.1に固定されていて、差し込みコネクタ144を備えている。接続通路147は、差し込みコネクタ144を介して外部の電圧源146に接続されている。電気的なエネルギー、例えば270Vの直流電圧は、接続通路147及び基板102.1上の供給通路141を介して、スピンドル駆動部電子装置・ユニット105.1〜105.3の出力段152に供給される。
【0082】
基板102.1上には更に、変圧器104が、基板上の電子構成部分、つまり、セクション電子装置・ユニット及びスピンドル駆動部電子装置・ユニットに予め規定された電圧の電気エネルギーを供給するために設けられている。変圧器104からの電気エネルギーは、プリント配線路142を介して電子式の構成群112,105に供給される。変圧器104は、例えば相応の供給通路(プリント配線路)143aを介して、電気エネルギーをスピンドル駆動部・供給通路141から受け取って、低い所定の電圧、例えば5V又は15Vに変換することができるようになっている。別の実施形態では、変圧器104は、ケーブル端部により形成されかつ差し込みコネクタ145を備えていて基板102.1へ導かれた別個の供給通路143bを介して、外部の別の電圧源から、電気エネルギーを供給されるようになっていてよい。このために、ケーブル端部143bは差し込み結合部145を介して外部の電圧源(図示省略)に接続される。セクション電子装置・ユニット112自体は、変圧器104を介する代わりに、別個の供給通路を介してデータバス133により電気エネルギーの供給を受けるようになっている。
【0083】
1つの制御技術上のセクション160(図2、参照)の基板102.2〜102.4は、セクション基板102.1として構成されているものではなく、原理的にはセクション基板と同一の構造を有するものの、しかしながら、セクション電子装置・ユニット、変圧器や中央の電流供給部及びデータバスへの接続部を含んでいない。これらの基板上の電子構成群は、専らスピンドル駆動ユニットである。
【0084】
図2は、1つの精紡機若しくは撚糸機の制御技術上の複数のセクションを有する1つのシステム回路の部分図である。精紡機若しくは撚糸機は、制御技術上の複数のセクション160に区分けされていて、各制御技術上のセクションに、各4つの基板102.1〜102.4;103.1〜103.4等を含んでおり、該基板は、機械長手方向に並べて配置されている。4つのすべての基板102.1〜102.4は、それぞれ、6つの紡績部のためのスピンドル駆動部電子装置・ユニット105.1〜105.6を有している。つまり、1つのセクションの4つの基板102.1〜102.4は、1つの機械側82に全体で24の紡績部を有している。4つの基板のうちの1つは、セクション基板102.1として形成されていて、1つのセクション電子装置・ユニット112及び1つの変圧器104を含んでいる。更に、セクション・基板102.1には、データバス133へのコミュニケーション接続部及び給電のための接続部が設けられている。
【0085】
副基板102.2〜102.4は、セクション基板102.1を介してコミュニケーションを行うようになっている。つまり、副基板は、データバスへの固有のコミュニケーションインターフェースを有していない。このために、4つの基板102.1〜102.4は、互いに直列に接続されており、互いに隣接の各2つの基板は、適切な接続部、例えばケーブル接続部を介して互いに接続されている。
【0086】
同じことが、電子装置及スピンドル駆動部への出力供給にも当てはまる。副基板102.2〜102.4は、セクション基板102.1を介して入力を受けるようになっている。つまり、副基板は、中央の出力供給部への固有の供給インターフェースを有していない。これに対応して、4つの基板102.1〜102.4は、同じく互いに直列に接続されており、互いに隣接の各2つの基板は、適切な接続部、例えばケーブル接続部を介して互いに接続されている。このために、基板102.1〜102.4は、相互の接続のための差し込み接続部若しくは別の形式の接続部を有している。
【0087】
各スピンドル駆動部電子装置・ユニット105.1〜105.6には、対応する基板上に配置された各1つの差し込み接続部113が配設されている。該差し込み接続部を介して、基板は、紡績機のスピンドルユニット若しくはスピンドルレールに設けられた対応する差し込み接続部に、或いは紡績機の別の構成部分に設けられた対応する差し込み接続部に直接に接続される。この場合に、基板102.1〜102.4は、前述の差し込み結合部を介して紡績機に取り付けられる。差し込み接続部113が、有利にはスピンドル駆動部電子装置・ユニット105.1〜105.6も、紡績部位配列に対応して基板に配置されている。つまり、各差し込み接続部は、該各差し込み接続部に属する各紡績部位の対応する差し込み接続部と整合するように、基板に分配して配置されている。
【0088】
基板102.1〜102.4;103.1〜103.4等は、1つのデータバス133、特にCAN・バスを介して互いに、かつ上位の1つの機械制御部101に接続されている。図2に示されている部分は、1つ(一方)の機械側82の1つの制御技術上のセクション160である。図面から見て取れるように、1つの機械側82の複数の各制御技術上のセクション160は、互いに並べて配置されて直列接続された各4つの基板を備えており、別(他方)の機械側に、同一構造の制御技術上のセクションが鏡面対称に配置されている。
【0089】
1つの紡績機,若しくは撚糸機の1つの機械セクションは、該機械の両方の側にそれぞれ複数の作業部位を有しているので、該1つの機械セクションと制御技術上の1つのセクションとは合致していない。1つの機械セクションは、例えば、両方の機械側に対して各24の紡績部位、つまり全体で48の紡績部位を備える2つの制御技術上のセクションから成っており、この場合に、それぞれ1つの機械側には制御技術上の1つのセクションが配置されている。
【0090】
図3は、スピンドルユニット200の領域の1つの紡績部位の横断面を示している。スピンドルユニット200は、1つのスピンドル201及び1つのスピンドルケーシング202を含んでおり、該スピンドルケーシング内にスピンドルモータ203が配置されている。スピンドルユニット200は、スピンドルレール204に取り付けられている。スピンドルレール204の下側には基板207を配置してある。基板207若しくはスピンドル駆動電子制御装置とスピンドル駆動部との間の電気的な接続は、差し込み結合部208を介して行われている。同一の差し込み結合部を介して、スピンドルレール204の下側における基板207の機械的な取り付け、つまり、支持結合若しくは保持結合が行われてよい。基板は、ケーシング205をも介して支持され、若しくは該ケーシングに取り付けられていてよい。差し込み結合部は、基板207に取り付けられた第1の差し込み接続部とこれに対応する第2の差し込み接続部とから成っており、該第2の差し込み接続部は、スピンドルユニット200に取り付けられ、若しくはスピンドルレール204に取り付けられ、或いはこれらの構成部分200,204と結合された保持部に取り付けられている。
【0091】
スピンドルレール204の下側の基板207は、プラスチックから成るケーシング205によって覆われている。ケーシング205は、該ケーシングに組み込まれた支持手段211,212を含んでおり、該支持手段は、ウエブ若しくはリブとして形成されていて、基板207をその取り付け位置に支持して固定している。更に、ケーシングには、糸切れ若しくはその他の支障の表示のための光学式の表示部210が組み込んで設けられている。表示部は、ろう付け結合部により基板207に直接に結合されている。
【0092】
スピンドルレール204には、更に、スピンドル駆動部203の手動式の接続若しくは遮断のための手動スイッチ209が設けられている。手動スイッチ209も、ろう付け結合部により基板に直接に結合されている。
【0093】
スピンドルレール204の後ろ側には、ケーブル溝206が設けられており、該ケーブル溝(ケーブル通路)により、スピンドル及び電子装置への電力供給のための導線並びにデータバスが案内されるようになっている。
【符号の説明】
【0094】
101 機械制御部、 102.1〜102.4 基板、 105.1〜105.6 スピンドル駆動部電子装置・ユニット、 107.1〜107.4 手動スイッチ、 108.1〜108.4 接続通路、 110.1〜110.4 差し込み接続部、 112 セクション電子装置・ユニット、 113 差し込み接続部、 131 コントローラ、 132 インターフェース電子装置、 133 データバス、 134 通路、 135 差し込み接続部、 141 配線路、 142 プリント配線路、 143a 供給通路、 143b 供給通路、 144 差し込みコネクタ、 146 電圧源、 147 接続通路、 151 コントローラ、 152 出力段、 153 インターフェース電子装置、 160 セクション、 200 スピンドルユニット、 201 スピンドル、 202 スピンドルケーシング、 203 スピンドルモータ、 204 スピンドルレール、 205 ケーシング、 206 ケーブル通路、 207 基板、 208 差し込みコネクタ、 209 手動スイッチ、 210 表示部、 211,212 支持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別スピンドル駆動部を備える紡績機若しくは撚糸機であって、1つの機械フレームを含んでおり、該機械フレームは、複数の作業部位を有しており、該複数の作業部位は、制御技術的に複数のセクションに区分けされており、該各セクションは、それぞれ複数の前記作業部位を含んでおり、前記作業部位毎に、1つのスピンドル(201)及び1つのスピンドル駆動部(203)から成る1つのスピンドルユニット(200)が設けられており、かつ前記スピンドルユニット(200)毎に、1つのスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)が設けられており、更に、前記スピンドルユニット(200)の制御のための1つの機械制御・ユニット(101)、並びに前記セクション(160)毎の1つのセクション電子装置・ユニット(112)を含んでおり、該各セクション電子装置・ユニットは、1つのデータ通路(133)を介して前記機械制御・ユニット(101)に接続されており、前記各セクション電子装置・ユニット(112)には、各複数の前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)が1つのデータ通路(134)を介して接続されており、前記各複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニットは、該各複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニットに属する前記各セクション電子装置・ユニット(112)を介して前記機械制御・ユニット(101)により制御されるようになっている形式のものにおいて、
制御技術上の各セクション(160)は、各複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)を備える少なくとも2つの基板(102.1〜102.4)を含んでおり、該基板に設けられた基板配線路(134,141,142)を介して、前記各複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)に対するコミュニケーションが行われるようになっており、前記基板のうちの1つは、セクション基板(102.1)として形成されており、該セクション基板は、前記セクション電子装置・ユニット(112)、並びに外部の1つのコミュニケーション装置への1つ若しくは複数の接続インターフェース(135)を含んでおり、かつ、前記複数の基板(102.1〜102.4)は、前記各制御技術上のセクション(160)の前記複数の基板(102.1〜102.4)上の前記各個別のスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)に対するコミュニケーションが、前記セクション基板(102.1)を介して行われるように、互いに接続されていることを特徴とする、個別スピンドル駆動部を備える紡績機若しくは撚糸機。
【請求項2】
個別スピンドル駆動部を備える紡績機若しくは撚糸機であって、1つの機械フレームを含んでおり、該機械フレームは、複数の作業部位を受容しており、該複数の作業部位は、制御技術的に複数のセクションに区分けされており、該各セクションは、それぞれ複数の前記作業部位を含んでおり、前記作業部位毎に、1つのスピンドル(201)及び1つのスピンドル駆動部(203)から成る1つのスピンドルユニット(200)が設けられており、前記スピンドルユニット(200)毎に、1つのスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)が設けられており、更に、前記スピンドルユニット(200)の制御のための1つの機械制御・ユニット(101)、並びに前記セクション(160)毎の1つのセクション電子装置・ユニット(112)を含んでおり、該各セクション電子装置・ユニットは、1つのデータ通路(133)を介して前記機械制御・ユニット(101)に接続されており、前記各セクション電子装置・ユニット(112)には、各複数の前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)が1つのデータ通路(134)を介して接続されており、前記各複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニットは、該各複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニットに属する前記各セクション電子装置・ユニット(112)を介して前記機械制御・ユニット(101)により制御されるようになっている形式のものにおいて、
各セクションの複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)、並びにセクション電子装置・ユニット(112)が、各セクションの共有の1つのセクション・基板(102.1)に配置されており、前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)は、基板配線路(134)により形成されたデータ通路を介して、前記各セクション電子装置・ユニット(112)に接続されており、該各セクション電子装置・ユニット(112)は、接続インターフェース(135)及びデータ通路(133)を介して機械制御・ユニット(101)に接続されており、前記各スピンドルユニット(200)は、規定された相互間隔で、機械長手方向(175)へ延びるスピンドルレール(204)に取り付けられており、前記基板(207)は、取り付け機構により所定のセクション領域で前記スピンドルレールに取り付けられ、有利には該スピンドルレールの下側に取り付けられていることを特徴とする、個別スピンドル駆動部を備える紡績機若しくは撚糸機。
【請求項3】
前記少なくとも2つの基板(102.1〜102.4)において、前記出力段へのエネルギー供給及び/又は前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)の電子装置へのエネルギー供給が、基板配線路(134,141,142)を介して行われるようになっており、前記セクション基板(102.1)は、外部の1つ給電装置への1つ若しくは複数の接続インターフェース(135)を含んでおり、前記複数の基板(102.1〜102.4)は、前記制御技術上のセクション(160)の前記複数の基板(102.1〜102.4)上の前記各個別のスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)へのエネルギー供給が、前記セクション基板(102.1)を介して行われるように、互いに接続されている請求項1に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項4】
前記セクション電子装置・ユニット(112)は、1つの接続インターフェース(135)を介して1つのデータ通路(133)、特に1つのデータバスに接続されており、該データ通路、特にデータバスに別のセクション電子装置・ユニット(112)及び機械制御・ユニット(101)が接続されている請求項1から3のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項5】
前記セクション基板(102.1)は、別の独立の接続インターフェース(144)を介して外部のエネルギー供給部(146)に接続されている請求項1から3のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項6】
前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)は、前記基板(102)に取り付けられた差し込み接続部(113)を用いて、差し込み結合により保持されかつ、前記スピンドル駆動部(203)に電気的に接続されている請求項1から5のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項7】
前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)は、それぞれ、表示装置及び/又はスタート・ストップ用スイッチ(107)への接続のための1つのインターフェース電子装置(153)、特に1つ若しくは複数のデジタル式のI/O・インターフェースを含んでおり、前記インターフェース電子装置(153)から、信号及び給電通路がそれぞれ前記表示装置及び/又はスタート・ストップ用スイッチ(107)へ延びている請求項1から6のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項8】
機械長手方向(175)に、それぞれ前記少なくとも2つの基板(102.1〜102.4)を備える前記複数のセクションが並べて配置されており、前記基板のうちのそれぞれ1つがセクション基板(102.1)である請求項1から7のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項9】
1つのスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)は、コントローラ(151)、出力段(152)及びインターフェース電子装置(153)を有している請求項1から8のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項10】
前記セクション電子装置・ユニット(112)は、コントローラ(131)及びインターフェース電子装置(132)を有している請求項1から9のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項11】
前記スピンドル駆動部(203)への供給のための供給電圧は、1つの接続インターフェース(144)を介して前記セクション・基板(102.1)へ供給され、かつ前記基板(102.1〜102.4)において、基板配線路(141)を介して前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)の前記出力段(152)へ供給されるようになっている請求項1から10のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項12】
記スピンドル駆動部電子装置及び/又はセクション電子装置への供給のための供給電圧は、別の1つの接続インターフェース(145)を介して前記セクション・基板(102.1)へ供給され、若しくは前記スピンドル駆動部(203)のための供給通路によって受け取られかつ前記基板(102.1〜102.4)において、基板配線路(141)を介して前記スピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)及び/又は前記セクション電子装置・ユニット(112)へ供給されるようになっている請求項1から11のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項13】
前記セクション・基板(102.1)に、入力電圧或いは必要に応じて入力周波数を出力電圧或いは必要に応じて出力周波数に変換する変圧器(104)を設けてあり、該変圧器により、前記出力電圧若しくは出力周波数は、前記基板(102.1〜102.4)の前記スピンドル駆動部電子装置及び/又は前記セクション電子装置へ供給されるようになっている請求項12に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項14】
前記制御技術上のセクション(160)は、それぞれ1つの機械側(82)に沿って、互いに並んで位置する所定の数の作業部位にわたって機械長手方向に延びている請求項1から13のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項15】
前記スピンドルユニット(200)は、規定された相互間隔で、機械長手方向(175)へ延びるスピンドルレール(204)に取り付けられており、前記基板(207)は、取り付け機構により所定のセクション領域で前記スピンドルレールに取り付けられ、有利には該スピンドルレールの下側に取り付けられている請求項1及び3から14のいずれか1項に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項16】
前記複数のスピンドル駆動部電子装置・ユニット(105)は、前記基板(207)において複数の差し込み結合部を用いて、前記スピンドル駆動部(203)に電気的に接続されており、前記差し込み結合部はそれぞれ、前記基板(207)に設けられた第1の1つの差し込み接続部(208a)、及び、直接的に若しくは間接的に、特に各スピンドルユニットを介してスピンドルレール(204)に結合された第2の1つの差し込み接続部(208b)を含んでおり、前記基板(207)は、前記差し込み結合部を介して直接的若しくは間接的に前記スピンドルレール(204)に取り付けられている請求項2又は15に記載の紡績機若しくは撚糸機。
【請求項17】
前記基板(207)は、前記スピンドルレール(204)の下側に取り付けられていて、ケーシング(205)によって覆われており、該ケーシングは、前記スピンドルレール(204)に対して前記基板(207)を支持及び/又は固定するための手段、特にウエブ(211,212)及び/又はリブを含んでいる請求項2又は15又は16に記載の紡績機若しくは撚糸機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−518966(P2011−518966A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506546(P2011−506546)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000126
【国際公開番号】WO2009/132469
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】