説明

個別質量スペクトロメータ

【課題】個別質量スペクトロメータについて説明する。
【解決手段】分析器構成要素をモジュール上に作製し、そのモジュールにそのモジュールの識別子を含むことにより、ユーザ又はタスクを1つ又は複数のモジュールに一意に関連付けることができる。モジュールは、ハウジング内で取外し可能な状態で受入れられるので、必要な場合は別のモジュールと交換することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分光分析に関し、特にハイブリッド集積技術を用いて提供される質量スペクトロメータに関する。本発明は、さらに詳しくはユーザ又は装置に一意に関連付けられ得る質量スペクトロメータに関する。
【背景技術】
【0002】
質量分光分析(MS)は、有機分子、ペプチド、蛋白質及び核酸の定性的及び定量的同定のため使用される強力な分析技術である。MSは、速さ、正確さ、高感度を提供する。
【0003】
質量スペクトロメータの主要構成要素は、イオン源、イオン結合光学系、質量分析器及び検出器である。イオン源は、電子の添加又は除去のプロセスを通じて、検体分子を荷電粒子の流れ、またはイオンに変換する。イオンは、電場又は磁場を用いて「ステア」することができる。イオン結合光学系又はレンズは、イオン源からのイオンフラックスを質量分析器中にコリメートする。分析器はイオンをその質量対電荷比により分離する。それらに限定はされないが、磁気セクタ、四重極、イオントラップ、飛行時間及びサイクロイド等を含む、数種の異なる質量分析器が当技術分野で公知である。イオンは分析器から質量対電荷比の順で流出し、そうすることにより、検体の固有の署名又は「指紋」である質量スペクトルを生じる。イオンは、検出器に向けられ、そこで衝突しイオン電流を放電する。イオン電流は、質量スペクトルとしてコンピュータ画面上に表示する前に、信号電子機器により計数し、増幅することができる。検出器は、通常電子増倍器である。これらの構成要素は共に質量スペクトロメータシステムの分析サブシステムを形成する。
【0004】
最近まで、これらの質量スペクトロメータの構成要素は、工作機械等の在来の工学技術を用いて製造されてきた。この技術は、質量スペクトロメータ産業の主要な支柱であり、市場のほとんどの製品の基礎である。シリコンマイクロマシニング、あるいはMEMS技術を用いて、これらの構成要素を小型化し集積するいくつかの試みがなされてきた。それらのいくつかは、以前に出願した我々の英国出願、GB 0202665.6及び GB 0217815.0に記載されている。小型質量分析器の主要な利点は、顕著に低減されるシステム要件、特に電源、電子機器及び真空系の小型化であり、その例は、我々の先の出願、GB 0403122.5に記載されている。その成果は、幾何学的に縮小される電界、及び分子の衝突の間の短い平均自由行程に関連するスケーリング則の結果である。
【0005】
その他の質量スペクトロメータシステムの構成要素には、真空ポンプ、真空チャンバ、駆動電子機器、データ取得電子機器、電源及びエンクロージャが含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、従来の質量スペクトロメータの構成要素は、工作機械及びその他の作業場での実施を用いて製造し組立てられる。質量スペクトロメータの最終性能に対しては、機械的精度が決定的なので、これらの部品は正しい位置に固定され、通常は、熟練技術者が独自の工具を用いて分解、清浄、再組立するのみである。長期間に亘る動作の間に、残留サンプルの皮膜が堆積するため、質量分析器、イオン光学系及びイオン源の定期的な手入れが必要である。これらの残渣は、開口部の「目詰まり」、性能の劣化及びサンプルの相互汚染を引き起こす。フィラメント及び電子増倍検出器等の、寿命に限りのある特定の部品の消耗を避けるには、定期的な予防的保守も必要である。保守及び清浄の全工程には、完全に分解、清浄及び再組立てし、必要であれば、コア構成要素を交換して、システム全体を完全な真空になるまでポンプダウンするのに、数日を要することがある。この「停止時間」は、利用可能性、研究化学者の生産性、及びこの高価な資産の所有者の全体費用に、顕著な影響を与える。
【0007】
したがって、先行技術に関連するこれら及びその他の欠点を解消する改良された質量分析システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、システム動作及び保守の革新的なモードを可能にする、集積ソリューションに基づくマルチチップモジュールを提供する。本発明の教示を用いて、モジュールに基づく質量スペクトロメータを、プリント基板等の上に、大量で且つ比較的低価格で、バッチで製造することができる。これら規模の経済性は、交換可能な、消費可能な、さらには使い捨ての質量スペクトロメータの可能性を開く。ハウジングとインターフェイスするタグ付け可能な取外し可能なモジュールを提供することにより、質量スペクトロメータシステムの取外し可能な要素を、特定のユーザ又はアプリケーションと関連付け、次いでそのモジュール上で実行された分析をそのユーザ又はアプリケーションまでトレースすることができる。
【0009】
第1実施形態においては、取外し可能な質量検出器モジュール及びハウジングを含む質量スペクトロメータシステムが提供される。そのモジュールは、ハウジングと結合しインターフェイスするように構成され、モジュールは、質量分析器及び読取可能識別子とを含み、その識別子はモジュールを別のモジュールから識別するのに役立ち、ハウジングは、モジュールとハウジングとがインターフェイスする際に、そのモジュールを用いて実行される質量分析を、そのモジュールまでトレースできるように、読取可能識別子との通信を実行するように構成される読取器を含む。
【0010】
モジュール及びハウジングの各々は、モジュールとハウジングとが結合する際に、ハウジングとインターフェイスとの間の電子結合を可能にするように構成される通信インターフェイスを含んでもよい。このような結合を設けて、ハウジングとモジュールとの間の電力又は通信の転送を可能にしてもよい。
【0011】
このシステムは通常、イオン源、検出器及びイオン結合光学系を含む。これらは、ハウジングの物理的構造体内に設けられるか、又はモジュールの構成要素として設けることができる。通常、少なくとも検出器は、取外し可能なモジュール上に設けられるが、この検出器は、任意選択でイオンカウンタの場合もある。好適な適用においては、結合光学系は通常、取外し可能なモジュール上に設けられる。
【0012】
性能上の理由で、イオン光学系、質量分析器及び検出器は、通常、真空チャンバ内に設けられる。任意選択で、イオン源も真空チャンバ内に設けられる。
【0013】
取外し可能なモジュールは、少なくとも1つの位置決め機能を含み、この少なくとも1つの位置決め機能は、モジュールの別個の構成要素の互いの位置決めを可能にする。通常、モジュールはプリント基板上に設けられる。
【0014】
システムの特定の実施によって、識別子は通常少なくとも下記のうち1つから選択される。
RFIDタグ
バーコード
メモリデバイス又はデータストア
【0015】
ハウジングに設けられる読取器は、通常、電子的又は光学的読取器から作製されるタイプから選択される。
【0016】
識別子がメモリデバイス又はデータストアである実施において、読取器は、モジュールを識別するよう、メモリデバイス又はデータストアとの通信を実行することができる。このような通信により、モジュールがハウジングとインターフェイスすると、メモリデバイス又はデータストアの問合せを行うことができる。読取器は、書込能力を備えてもよく、そのような実施形態においては、読取器はメモリデバイス又はデータストアへの書込を実行するように構成することができる。
【0017】
読取器が、システム上で実行された分析に関連するデータのモジュールへの書込を実行するように構成されるこのような書込実施形態においては、モジュールは、モジュール上に設けられるデータストア内で、分析の実行に使用した構成要素の詳細を、その分析結果と組み合わせるように構成することができる。
【0018】
モジュールは、外郭を含んでもよく、通常、押込み型接続等の、着脱可能な接続手段を用いてハウジングとインターフェイスする。
【0019】
ハウジングは通常、真空ポンプ、電子機器及び電源等の、モジュールの動作のための支持要素を含む。
【0020】
システムにさらなる機能性を提供するために、ハウジングは、データストアを含んでもよく、データストアは、特定のモジュールの動作のための1組の所定の動作パラメータを含み、読取器によるモジュール識別子の読取に際し、適正な動作パラメータが適用される。
【0021】
モジュールを地理的に特定することを可能にするには、位置検索のトレーサビリティのためにも、モジュールは、さらにGPSチップセットを含むことができ、このGPSチップセットは、モジュールを地理的に特定することを可能にする。
【0022】
モジュールはさらに、圧力センサ及び温度センサのうち少なくとも1つを含んでもよい。このようなセンサを提供することにより、分析時に優勢な気象的動作条件を記録することが可能になる。このようなデータは、その後、異なる時間と位置において実行された結果を比較するために重要である。
【0023】
モジュールは、1つの位置から別の位置に容易に運搬可能なので、モジュールはさらに加速度計を含んでもよく、加速度計は、モジュールの衝撃又は振動から生じる破損を感知するように構成される。
【0024】
システムはさらに、メモリデバイスを含んでもよい。このメモリデバイスは、モジュールを用いて実行された質量分光分析から得られるデータを格納するように構成される。このような格納は、通常、ハウジング又は取外し可能なモジュールの何れかに物理的に位置する恒久的メモリストアを用いて実行される。加えて、メモリデバイスは、USBメモリスティック等の、第2位置で分析のためにシステムからデータを取出すため使用することのできる、取外し可能な要素として提供してもよい。システムは、有線又は無線媒体のいずれかを通じてシステムをコンピュータ・ネットワーク・アーキテクチャ内でインターフェイスすることを可能にする、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)プロトコル又は広域ネットワーク(WAN)プロトコル等の、別の転送プロトコルを含むことができる。
【0025】
システムはさらに、監査モジュールを含んでもよい。監査モジュールは、システムの特定ユーザを、システムと共に用いられる特定のモジュールと関連付け、格納するように構成される。このような監査モジュールは、通常、ソフトウエア機能を用いて、ストレージデバイス上に提供されている物理ストレージと共に実施される。
【0026】
システムは、システムと共に順に用いられる複数のモジュールを含んでもよい。モジュールの各々は、第1モジュールを用いて行われる分析を、第2モジュールを用いて行われる分析から、その後に識別することが可能になるように、その上に提供される識別子を有する。
【0027】
システムは通常、MEMS技術を用いたモジュールの作製により達成されるもののような、低コスト大量生産技術を用いて実施される。
【0028】
本発明のこれら及びその他の特徴は、以下の例示の実施形態を参照して説明する。
【0029】
ここで、以下の添付図面を参照して本発明を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
ここで、図1〜5を参照して本発明を説明する。
【0031】
本発明の教示にしたがって、1つ又は複数の主要質量スペクトロメータ構成要素を、プリント基板等のサブマウント(1)に搭載する。図1に示す例示の実施形態においては、複数のこれら構成要素、具体的にはイオン源(2)、イオン結合光学系(3)、質量分析器(4)、電子増倍検出器(5)及びコネクタ(6)、又はこれら部品の幾つかの組合せを組合せて、頑丈で交換可能な質量スペクトロメータモジュールを形成する。大気圧イオン化を利用する場合、イオン源(2)は、真空チャンバの外で、モジュールから離して置かれる可能性がある。その他の実施形態は、分析器構成要素を除く全てを、モジュールから離して実施してもよい。トラック(7)は、電気的接続を提供し、位置決め機能(8)により、迅速、正確で再現可能な組立が可能になる。
【0032】
図2に示すように、質量スペクトロメータモジュールの機能は、複数のマイクロエレクトロニクス又は別の構成要素を同一マウント上に集積することにより強化することができる。追加構成要素には、これらに限らないが、RFIDタグ(9)、バーコード(10)、GPSチップセット(11)、メモリチップ(12)、温度センサ(13)、圧力トランスデューサ(14)及び加速度計(15)を含むことができよう。このような方法で、モジュールは、機能的に豊富な、個別質量スペクトロメータを消費可能にできよう。これらの機能は、FDA規制及びその工程分析技術(PAT)イニシアティブと適合させるのに重要であろう。
【0033】
排気のため、これらのマイクロエレクトロニクス構成要素を真空チャンバ内に搭載するのは望ましくない。代わりに、図3に示すように、これらの構成要素を真空チャンバ(16)の外側か、又は外面に取付けることができる。この実施形態において、モジュールには、真空チャンバの部品のいくつか、又は全部が組込まれる。
【0034】
これらの構成要素は、サブマウント、基板又はプリント基板(PCB)上に、マルチチップモジュール(MCM)、スルーホール又は表面実装技術を用いて、ハイブリッド集積することができる。代わりに、これらの構成要素を質量スペクトロメータモジュールの上に、モノリシックに集積することが可能である。
【0035】
このモジュールは、射出成形プラスチック、セラミック、金属押出又は折畳み金属薄板から製造される外郭(17)を備えることができ、質量スペクトロメータシステムに容易に挿入又は結合し、押込み式、又は、捩り嵌め、若しくはクリップ止め等の、同様の着脱可能なフィットコネクタ措置により、ユーザが、自分で位置決めすることができる。この外郭の内部には、RFIDタグ(9)、バーコード(10)、GPSチップセット(11)、メモリチップ(12)、温度センサ(13)、圧力トランスデューサ(14)及び加速度計(15)等の、排気集積回路を支持するサブマウント、PCB又は基板と共に、真空チャンバ部品を搭載することができる。真空チャンバ(16)の内部には、イオン源(16)、イオン結合光学系(3)、質量分析器(4)、電子増倍検出器(5)、コネクタ(6)、又はこれら部品のいくつかの組合せ、トラック(7)及び位置決め機能(8)を、セラミック等の真空コンパチブルな排気のない材料から製造される、第2のサブマウント、又はPCB上に搭載することができる。勿論、当業者は理解するように、真空状態の外でも中でも等しく効率良く動作するものもあるので、全部の部品を真空配置の中に提供する必要はない。
【0036】
個別質量スペクトロメータモジュール(18)は、質量スペクトロメータシステム(19)の中に挿入される。このシステムは、通常ラップトップサイズのユニットと同様の寸法で、質量分析器の動作に必要な真空ポンプ、中間真空チャンバ、駆動電子機器、データ取得電子機器、電源及びエンクロージャ等の、各種支持要素のハウジングを提供する。
【0037】
質量分析の動作構成要素−イオン源、イオン結合光学系、質量分析器、電子増倍検出器−の機能を第1モジュールの中に、質量分析の支持構成要素−真空ポンプ、中間真空チャンバ、駆動電子機器、データ取得電子機器、電源及びエンクロージャ−を第2モジュールの中に分けることにより、従来ユーザが利用することのできたシステムに対して、改良されたシステムを提供することができる。第1モジュールは、第2モジュールとインターフェイス可能であるが、取外しても良いので、第2モジュールと共に順に使用することのできるこのような第1モジュールを2つ以上備えることができる。このようにして、動作構成要素が、清浄、交換等を必要とするとき、単に第1モジュールを引き抜いて、同一の型の別のものと交換することができる。このようにして、システムの停止時間は短縮される。さらに、第1モジュールは、MEMS技術を用いて実施されるような、低コスト大量生産技術を用いて作製することができるので、これを使い捨てユニットとして使用し、従ってどの段階においても清浄の必要をなくすということを考えることが実現可能となる。
【0038】
ここに説明したことは、交換可能なモジュール上に提供される質量スペクトロメータであることが理解されるであろう。このようなモジュールを提供することにより、システムのユーザに個別質量スペクトロメータモジュールを提供することが可能になる。これは、様々なアプリケーションについて複数の利点をもたらすことが理解できるであろう。例えば、化学環境においては、化学者毎に個別のタグを付けた、自分専用の1組のモジュールを持つことができるよう。各モジュールは、何時、誰がどのようにそれを使用したかの監査トライアルを記録し、日付印のある質量スペクトルをメモリ内に保存することができよう。RFIDデバイス又は別の適切な認識タグにより、モジュールをシステムに挿入すると、システムが無線で認識して、自動的に個別のユーザインターフェイス、プリファレンス及び動作設定を起動することができよう。バーコードは、同様の「ラベリング」機能をRFIDタグに、低コストで既存の技術を用いて提供することができる。GPS−チップセットにより、ユーザはいつでもモジュールの所在を確認し、システム内及びシステム間の移動及び使用を追跡することができる。サプライチェーン及びロジスティック機能も、この方法で実施することができる。温度センサ及び圧力トランスデューサは、自己テスト及び自己診断機能に重要な動作パラメータに関する情報を配信することができよう。加速度計は、故障モードと取扱及び使用の際の衝撃又は振動から生じる破損を追跡することができよう。この場合も、この情報により、システムは較正及び自己テストの際にモジュールに対し問合せをすることができよう。
【0039】
最終的に、これらの機能により、分析器モジュールは、使用後にアーカイブされ、後日、例えば事前臨床試験又は規制順守プロセスの間などに、問合せを受けることを許容できよう。これらの機能の追加により、ユーザは、個人用質量スペクトロメータモジュールを「仮想ラボノート」として活用することができるであろう。これは記録保持、データ転送におけるエラーを除去し、科学的結果が改ざんされる可能性を低減する、さらなる利点を有するであろう。ユーザ固有モジュールに関するアプリケーションを具体的に説明してきたが、特定のアプリケーション又はタスクとのモジュールの関連付けについて、別のアプリケーションが提供できることは理解されるであろう。このようにして、特定のタグ付きモジュールは、分析を行なうユーザに関わりなく、特定の分析技術又はタスクにリンクされる。後のモジュールの問合せにより、そのモジュールを使用して実行されるタスクが示されるであろう。さらなるタグ付けにより、タスクのそれぞれにリンクされる順次の分析ステップを担当する複数のユーザの、それぞれの登録が提供され得るであろう。このような登録は、例えばシステムの動作を開始する前の簡単なパスワードとログイン技術を使用するか、又は実際にバイオメトリック捕捉デバイスを使用して、捕捉識別子を特定のアプリケーションと関連付けることにより、提供され得るであろう。
【0040】
本発明を、特定の図面及び実施形態を参照して説明したが、これらは、本発明教示の実施において使用できる配置構成のタイプの例示の実施形態として提供されることは理解されるであろう。さらに、特定の図面は特定の構成要素を示して本発明のアプリケーションを説明しているが、これらの特定の構成要素は、添付請求項に照らして必要と見なされる場合を除き、本発明に不可欠であると見なしてはならないことは理解されるであろう。第1タイプの構成要素が特定の図面を参照して説明される場合は、本発明の範囲を逸脱することなく、これらは別のタイプの構成要素と交換できることが理解されるであろう。第1図を参照して説明される構成要素は、別の図のこれらと交換してよいことも理解されるであろう。
【0041】
この明細書において使用される用語「含む/含んでいる」は、記載する特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の教示による質量分光分析システムの機能構成要素の平面図である。
【図2】追加構成要素を含むように、図1のシステムの変更を示す平面図である。
【図3】真空チャンバを包むことを示すように、図2のシステムの変更の平面図である。
【図4】外郭を組込むように、図3のシステムの変更の平面図である。
【図5】図4のシステムをハウジングに挿入したことを示す概略図である。
【符号の説明】
【0043】
1 サブマウント
2 イオン源
3 イオン結合光学系
4 質量分析器
5 電子増倍検出器
6 コネクタ
7 トラック
8 位置決め機能
9 RFIDタグ
10 バーコード
11 GPSチップセット
12 メモリチップ
13 温度センサ
14 圧力トランスデューサ
15 加速度計
16 真空チャンバ
17 外郭
18 個別質量スペクトロメータモジュール
19 質量スペクトロメータシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取外し可能な質量検出器モジュール及びハウジングを含む質量スペクトロメータシステムであって、前記モジュールが前記ハウジングと結合しインターフェイスするように構成され、前記モジュールは、質量分析器と読取可能識別子とを含み、前記識別子が前記モジュールを別のモジュールから識別する役割を果し、前記ハウジングは、前記モジュールのハウジングとのインターフェイスの際に、前記モジュールを用いて実行された質量分析を、前記モジュールまでトレースできるように、前記読取可能識別子との通信を実行するように構成された読取器を含むことを特徴とする質量スペクトロメータシステム。
【請求項2】
前記モジュールおよび前記ハウジングの各々は、モジュールとハウジングの結合の際に、ハウジングとインターフェイスとの間の電子結合を可能にするように構成された通信インターフェイスを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
イオン源、検出器およびイオン結合光学系を含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記取外し可能なモジュール上に、少なくとも検出器が設けられたことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記検出器は、イオンカウンタであることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記取外し可能なモジュール上に、少なくとも検出器および結合光学系が設けられたことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
真空チャンバ内に、イオン光学系、質量分析器および検出器が設けられたことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
イオン源をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項9】
真空チャンバの中に、イオン源が設けられたことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記取外し可能なモジュールは、モジュールの別個の構成要素の相互の位置決めを可能にする少なくとも1つの位置決め機能を含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記モジュールは、プリント基板上に設けられたことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記識別子は、
a, RFIDタグ、
b, バーコード、
c, メモリデバイスまたはデータストア
のうちの少なくとも1つから選択されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記読取器は、電子的又は光学的読取器であることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記識別子は、メモリデバイス又はデータストアであり、前記読取器は、モジュールを識別するようにメモリデバイス又はデータストアと通信を実行することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記読取器は、モジュールがハウジングとインターフェイスすると、メモリデバイス又はデータストアの問合せを実行するように構成されたことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記読取器は、メモリデバイス又はデータストアに対して書込を実行するように構成されたことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記読取器は、モジュールが分析の実行に使用した構成要素を、その分析の結果とデータストア内で組合せるように、システム上で実行された分析に関係するデータのモジュールに対する書込を実行するように構成されたことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記モジュールは、外郭を含み、前記モジュールは、押込み式接続等の、着脱可能な接続手段によりハウジングとインターフェイスすることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
前記ハウジングは、真空ポンプ、電子機器、電源等の、モジュール動作の支持要素を含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記ハウジングは、データストアを含み、前記データストアが特定のモジュールの動作のための1組の所定の動作パラメータを含み、適正な動作パラメータが読取器によってモジュール識別子の読取に適用されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記モジュールは、モジュールの地理的位置を定めることを可能にするGPSチップセットをさらに含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
前記モジュールはさらに、圧力センサ及び温度センサのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項23】
前記モジュールは、モジュールの衝撃又は振動から生じる破損を感知するように構成された加速度計をさらに含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
モジュールを用いて実行される質量スペクトロメータ分析から得られるデータを格納するように構成されたメモリデバイスをさらに含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
システムの特定ユーザを、システムと共に用いられる特定モジュールと関連付け、格納するように構成された監査モジュールをさらに含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
複数のモジュールは、システムと共に連続的に使用され、モジュールの各々が第1モジュールを使用して行なわれる分析と、第2モジュールを使用して行なわれる分析を、順次識別することが可能になるようにモジュールの上に識別子を設けたことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
前記モジュールは、MEMS技術を用いて作製されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
システムと、コンピュータネットワークアーキテクチャ内の他の場所にあるコンピュータとの間で情報が交換され得るように、前記アーキテクチャ内でシステムのインターフェイスを可能にするように構成された通信手段をさらに含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
取外し可能な大量ストレージデバイスをさらに含むことを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
質量スペクトロメータシステムでの使用のためのハウジングにおいて、
前記システムは、ハウジングと取外し可能なモジュールとを含み、前記取外し可能なモジュールが質量分析器と読取可能識別子とを含み、前記ハウジングがその中に機械読取可能な読取器を備え、使用中に取外し可能な質量検出器モジュールを受け入れ、インターフェイスするように構成され、モジュールのハウジングとのインターフェイスにより、前記読取器は、モジュールを用いて実行された質量分析をモジュールまでトレースし得るように、前記読取可能識別子との通信を実行するように構成されたことを特徴とするハウジング。
【請求項31】
質量スペクトロメータシステムでの使用ための取外し可能な質量分析モジュールにおいて、前記システムがモジュールとモジュールのためのハウジングとを含み、前記ハウジングがその中に読取器を備え、モジュールを受け入れインターフェイスするように構成され、前記モジュールは、使用中に、モジュールがハウジングとインターフェイスすることにより、モジュールの読取可能識別子とハウジングの読取器との間の通信が可能になるように、質量分析器と読取可能識別子とを含むことを特徴とする取外し可能な質量分析モジュール。
【請求項32】
添付図面の図1〜5を参照して実質的に説明したシステム。
【請求項33】
個別質量スペクトロメータシステムを提供する方法であって、
前記方法は、
a.その上に質量スペクトロメータを形成し、前記モジュールを別のモジュールから識別する役割を果す読取可能識別子をさらにその上に形成する分析器モジュールを提供することと、
b.モジュールを受け入れ結合するように構成されたハウジングであって、識別子と通信するように構成された読取器を有するハウジングを提供することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
モジュールをハウジングとインターフェイスすることをさらに含み、前記ハウジングがその中に設けられた電子構成要素を有し、モジュールのハウジングとのインターフェイスにより、モジュールの動作を提供することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ハウジングとインターフェイスするモジュールの識別の判定の際に、モジュールの識別に依存するそのモジュールに適切な動作パラメータをもたらすことを特徴とする請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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