説明

個別量の高粘性液体の噴射

接着剤吐出システムは、ある態様において、入口と出口とを有する吐出モジュールと、低圧に維持されるホットメルト接着剤の供給部と、供給部と吐出モジュールの入口との間を連通させる低圧液体通路とを備える。液体材料が、入口を通して低圧で受け取られ、吐出モジュールは、出口において高圧を急速に発生させて液体材料を出口から噴射する。別の態様では、液体材料を噴射する装置が、液体チャンバーを有する吐出装置本体を含む。ピストンが、液体チャンバー内に、ピストン先端が相補的な形状の窪みから離間している位置から、ピストン先端が窪みを効果的にシールする位置へ、次いで、ピストン先端が窪み内に受け入れられて個別量の液体材料を窪みから変位させる位置まで移動可能に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には液体材料を吐出する装置および方法に関し、より詳細には、個別量の高粘性液体を噴射する噴射吐出装置に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2010年1月14日に出願された米国仮特許出願第61/294,972号(係属中)の優先権の利益を主張し、該出願の開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
はんだ付け用フラックス、絶縁保護コーティング、封入剤、アンダーフィル材料および表面実装接着剤等の比較的低い粘度の流体を噴射する液体吐出装置は、当該技術分野において既知であり、液体吐出装置は、一般的に、弁座を弁部材と迅速に接触させて、吐出装置から少量の液体を噴出する別個の高圧パルスを生成することによって、少量の液体材料を基材に吐出するように動作する。本明細書において用いられる場合、液体材料の噴射とは、吐出装置から液体材料の個別の塊を高速で迅速に噴出させることを指す。噴射は、液体材料が一般的に接着剤の「ビード」と称される連続的な細長いフィラメントとして吐出される押し出しと対比される。液体材料の押し出し中に弁を迅速に開閉することによって、または押し出されたビードを吐出させるときに空気を用いて粉砕することによって液滴(drop)を形成することができるが、これらのプロセスは、個別の液体塊が吐出装置から直接的に高速で迅速に噴出される噴射プロセスとは明らかに異なる。
【0004】
図1Aおよび図1Bは、従来の噴射吐出装置10の動作を示す。図1Aにおいて、弁部材12が、流体チャネル14内を、出口18を有する弁座16の方向へ迅速に移動する。弁部材12が弁座16に近づくと、チャネル14内の液体材料20が弁先端12aの周りに流れる。図1Bは、弁先端12aが弁座16と接触する瞬間の噴射吐出装置10を示す。弁部材12と弁座16との間の衝突の運動量によって、少量の液体20aを出口18を通して噴出させる圧力パルスが生成される。ともに本願の譲受人に譲渡されているスミス他への特許文献1およびメッサーリー他への特許文献2は、噴射吐出装置に関するものである。
【0005】
従来の噴射吐出装置は、一貫した量の液体材料が吐出装置から噴射されることを確実にするために正確なタイミング制御を必要とする。例えば、弁のタイミングが早すぎると、液体材料が吐出装置内に補充される十分な時間がなく、その結果として、吐出される液体は所望の量よりも少なくなる。同様に、タイミングが遅すぎると、結果として生じる液体の量が所望の量よりも多くなる。ホットメルト接着剤は、その高粘度性と、ホットメルト接着剤と噴射プロセスにおいて従来から用いられている液体材料との一般的なレオロジーの違いとに起因して、噴射吐出装置によって適切に吐出することはできないと長い間考えられてきた。これに応じて、ホットメルト接着剤は一般的に、接着剤を吐出モジュールに供給するのに高圧を用いる専用のホットメルト接着剤吐出システムによって吐出されてきた。典型的な圧力は400ポンド毎平方インチ(psi)から1000ポンド毎平方インチ(psi)の範囲である。吐出モジュール内の弁が開閉して、出口ノズルを通る高加圧ホットメルト接着剤の流れを調節する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,747,102号
【特許文献2】米国特許第6,253,957号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ホットメルト接着剤等の高粘性材料を、個別の少量で吐出し、従来の吐出システムのこれらの不都合点および他の不都合点を克服する、方法および装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、個別の少量の液体材料、特にホットメルト接着剤等の高粘性液体材料を吐出するのに用いられる既知の接着剤吐出システムの前述および他の欠点および不都合点を克服する。本発明は特定の実施形態に関連して記載されるが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明は、本発明の範囲内に含めることができるものとして全ての代替形態、変更形態および均等物を含む。
【0009】
一態様では、液体材料を噴射する吐出システムが、入口と出口とを有する接着剤吐出モジュールと、低圧に維持されるホットメルト接着剤の供給部と、該供給部と吐出モジュールの入口との間を連通させる低圧液体通路とを含む。液体材料は、低圧で入口を通して受け取られ、モジュールは高圧を急速に発生させて液体材料を出口から噴射する。
【0010】
別の態様では、接着剤吐出モジュールは、出口および該出口に近接している窪みと連通している液体チャネルを含む。ピストンがチャネル内に配置されており、窪みはピストンの先端と相補的である形状を有する。液体材料を出口から噴射させる高圧は、ピストン先端が窪み内へ移動すると発生する。
【0011】
一実施の形態では、ホットメルト接着剤の供給部は、ホットメルト接着剤を固体形態で収容するようになっており、吐出システムは、ホットメルト接着剤を吐出モジュールに向けて給送する螺旋刃を含む。別の実施の形態では、吐出システムは、ホットメルト接着剤を吐出モジュールに向けて給送する真空給送機構を含む。更に別の実施の形態では、吐出システムは、それぞれの第1の入口および第2の入口と第1の出口および第2の出口とを有する第1の接着剤吐出モジュールと第2の接着剤吐出モジュールとを含む。第1の入口および第2の入口は、供給部からそれぞれの第1の低圧液体通路および第2の低圧液体通路を通して同じ低い圧力で液体材料を受け取り、吐出モジュールは、それぞれの出口に近接して高圧を生成して液体材料を出口から異なる速度で噴射する。
【0012】
別の態様では、液体材料を噴射する装置が、液体材料の供給源に連結可能な液体チャンバーを有する吐出装置本体を含み、ピストン先端を有するピストンが液体チャンバー内に移動可能に配置されている。液体チャンバーおよび液体出口と連通している窪みが、ピストン先端の形状と相補的である形状を有することによって、ピストン先端を窪み内に受容することができる。ピストンは、ピストン先端が窪みから離間している位置から、ピストン先端が窪みを効果的にシールする位置へ、次いで、ピストン先端が窪み内に受け入れられて個別量の液体材料を窪みから変位させる位置まで移動可能である。
【0013】
一実施の形態では、本装置は、液体チャンバーと連通している、吐出装置本体の開口端に動作可能に連結されているノズルを更に含む。窪みはノズルに形成されている。別の実施の形態では、ピストン先端は球状形状を有する。
【0014】
別の態様では、液体材料を吐出する方法が、液体チャンバーを充填するには十分であるが、該液体材料を窪みと関連するとともに液体チャンバーと連通している出口から吐出させない圧力で液体材料を液体チャンバーに供給することと、窪みに近接して個別量の液体材料を効果的にシールすることと、窪みにおいて高圧を生成することであって、出口から個別量の液体材料を噴射する、高圧を生成することとを含む。
【0015】
本発明の上記の目的および利点並びに他の目的および利点は、添付の図面およびそれらの記載から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】従来の噴射吐出装置の動作を示す図である。
【図1B】従来の噴射吐出装置の動作を示す図である。
【図2】本開示による例示的な吐出システムの斜視図である。
【図3】図2の吐出システムの断面図である。
【図4】図3の吐出モジュールの拡大詳細図である。
【図5A】図2の吐出システムの動作を示す拡大断面図である。
【図5B】図2の吐出システムの動作を示す拡大断面図である。
【図5C】図2の吐出システムの動作を示す拡大断面図である。
【図6】本開示による液体吐出システムの第2の例示的な実施形態を示す、図5Aから図5Cと同様の断面図である。
【図7】本開示による第3の例示的な吐出システムを示す概略立面図である。
【図8】本開示による第4の例示的な吐出システムの概略立面図である。
【図9】本開示による第5の例示的な吐出システムの概略立面図である。
【図10】本開示による第6の例示的な吐出システムの部分断面図である。
【図11】本開示による第7の例示的な吐出システムの概略立面図である。
【図12A】図2の吐出システムとともに用いる別の例示的なノズルの動作を示す拡大断面図である。
【図12B】図2の吐出システムとともに用いる別の例示的なノズルの動作を示す拡大断面図である。
【図12C】図2の吐出システムとともに用いる別の例示的なノズルの動作を示す拡大断面図である。
【図13A】ピストン先端が図12Bに示される位置にある状態のノズル52Aの断面図である。
【図13B】ピストン先端が図12Cに示される位置にある状態のノズル52Aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2は、ホットメルト接着剤等の個別の少量の高粘性材料31を基材33に吐出する例示的な液体吐出システム30を示す。例えば、吐出システム30を用いて、約100センチポアズ(cps)から約20000センチポアズ(cps)の範囲の粘度を有する液体材料を吐出することができる。別の態様では、噴射吐出装置10を用いて、約100センチポアズ(cps)から約25000センチポアズ(cps)の範囲の粘度を有する材料を吐出することができる。吐出システム30は、液体材料の供給源に連結されている液体吐出モジュール32を含む。図示の実施形態では、モジュール32は、加熱されたホットメルト接着剤を低圧でモジュール32に供給する接着剤マニホルド34に連結されている。例えば、モジュール32に供給される接着剤の圧力は、約ポンド毎平方インチ(psi)から約40ポンド毎平方インチ(psi)の範囲、またはホットメルト接着剤をモジュール32に供給するのに好適な他の圧力範囲であるものとすることができる。モジュール32は、供給源(図示せず)からの加圧空気をモジュール32に供給する空気マニホルド36にも連結されている。
【0018】
ここで図3および図4を参照すると、吐出モジュール32は、液体チャンバー40が内部に形成されているモジュール体38を含む。液体供給通路42が、液体材料を接着剤マニホルド34から液体チャンバー40に供給するように液体チャンバー40と連通している。図示の実施形態では、空気マニホルド36の中に形成されている液体通路44が接着剤マニホルド34の出口46と連通しており、それによって、液体材料は、接着剤マニホルド34の出口46から、液体供給通路44とモジュール32の供給通路42とを通って液体チャンバー40に流れる。図示の実施形態では、マニホルド34は、液体通路44と連通しているマニホルド通路39を通して低圧(例えば約5ポンド毎平方インチ(psi)から約40ポンド毎平方インチ(psi)の範囲、または他の好適な圧力範囲)でホットメルト接着剤を供給する圧力源37に連結されている液体リザーバー35を含む。液体材料はそのような低圧で供給されるため、吐出システム30は、ピストンポンプ、ギヤポンプ、または高圧を発生させるのに通常は必要とされる他のタイプのポンプを必要としない。低圧を提供するには単純なダイアフラムポンプまたは圧力ポットで十分である。種々の他の配置および構成を代替的に用いてホットメルト接着剤または他の材料をモジュール32に供給してもよいことが理解されるであろう。
【0019】
モジュール体38は、液体チャンバー40と連通しているとともに吐出ノズル52を受容するようになっている、開口している第1の端50を含む。吐出モジュール32は、液体チャンバー40内で往復動可能である、第1の端56を有するピストンロッド54を更に含む。ピストン先端58がピストンロッド54の第1の端56に連結されている。ピストン先端58は、この実施形態ではピストンロッド54に連結されている別個の構成部材として図示および記載されているが、代替的にはピストンロッド54と一体形成されてもよい。ピストンロッド54の第2の端60は、モジュール体38内に形成されているピストンキャビティ64内で摺動可能であるエアピストン62に連結されている。液体チャンバー40とピストンキャビティ64との間に配置されているシール66a、66bが、液体チャンバー40をピストンキャビティ64からシールしながらピストンロッド54の摺動を可能にする。ノズル52がモジュール体38の第1の端50に連結されると、圧縮ばね67がシール66bをモジュール体38に対して付勢して液体チャンバー40をシールする。給気源(図示せず)からの加圧空気が給気通路68、70を通ってピストンキャビティ64に供給されることで、エアピストン62と、したがってピストンロッド54およびピストン先端58とを、ノズル52に接離する方向に迅速に移動させる。図示の実施形態では、給気通路68、70は空気マニホルド36内の空気通路69、71と流体連通しており、該空気通路69、71がさらに、給気源に動作可能に連結されている。給気通路68を通って供給された加圧空気は、ピストンをノズル52から離れる方向に駆動し、一方で給気通路70を通って供給された加圧空気はピストンをノズル52に向かう方向に駆動する。加圧空気をピストンキャビティ64に供給する種々の他の方法および構成を代替的に用いてもよいことが理解されるであろう。モジュール32は、ピストンロッド54の各サイクル中にピストンロッド58の速度を変えることを容易にするように、ピストンロッド54のストロークを選択的に調整する調整ノブ72を更に含む。より長いストロークはより大きな加速を可能にし、したがってピストンロッド54のより速い速度を可能にする。
【0020】
ノズル52は、モジュール体38の開口している第1の端50に連結されている。ノズル52は、ピストン先端58の形状と相補的である形状に形成されている窪み76を有するノズル体74を含み、それによってピストン先端58を窪み76内に受容することができる。図示の実施形態では、ピストン先端58は半球状であり、窪み76は概ね半球状の相補的な形状を有する。しかし、ノズル先端58と窪み76とは種々の他の相補的な形状を有していてもよいことが理解されるであろう。ノズル体74は、ノズル通路80を介して窪み76と連通している出口78を更に含み、そのため、ピストン先端58が窪み76内に受け入れられると液体チャンバー40内の液体材料をノズル通路80とノズル出口78とを通して吐出することができる。ノズル52は、開口している第1の端50においてモジュール体38に対してシールするOリング81を更に含むことができる。
【0021】
動作時には、加圧空気が給気通路68を通ってピストンキャビティ64に供給されて、ピストンロッド54をノズル52から離れる方向に移動させ、それによって図5Aに概略的に示されるようにピストン先端58が窪み76から後退することにより液体材料が液体チャンバー40に入って該液体チャンバー40および窪み76を充填する。液体材料は、液体チャンバー40および窪み76を充填するには十分であるが液体材料をノズル出口78から吐出させない圧力で、接着剤マニホルド34から供給される。次いで、加圧空気が給気通路70を通ってピストンキャビティ64に供給されることで、ピストンロッド54に、ピストン先端58をノズル52に向かう方向に迅速に移動させるようにさせる。ピストン先端58が窪み76に入り始めると、ピストン先端58は、図5Bに示されるように窪み76を上縁82に沿って実質的にシールして、ピストン先端58と窪み76との間に個別量の液体を画定する。ピストン先端58と窪み76の上縁82との間には、ピストン先端58を窪み76に対して結合させることなく窪み76に出入りさせることを可能にする幾らかの隙間が存在することが理解されるであろう。本明細書において用いる場合、ピストン先端58と窪み76との間を実質的にシールするとは、ピストン先端58と窪み76の上縁82との間の隙間が、液体材料がピストン先端58の周りを単に動くのではなく、ピストン先端58によって強制的にノズル通路80とノズル出口78とを通って変位するほど十分に小さいことを意味する。
【0022】
ピストンロッド54は、図5Cに示されるようにピストン先端58が窪み76に入り続け、かつ窪み76内の液体材料をノズル通路80およびノズル出口78を通して変位させるように、ノズル52に向かう方向に移動し続ける。ピストン先端58は上述したように窪み76を効果的にシールするため、ピストン先端58が窪み76に入り続けるにつれて個別量の液体材料が画定され、ピストン先端58と窪み76との間に高圧が発生する。生成される圧力は約100ポンド毎平方インチ(psi)から約2500ポンド毎平方インチ(psi)の範囲であるものとすることができる。別の実施形態では、生成される圧力は約400ポンド毎平方インチ(psi)から約2500ポンド毎平方インチ(psi)の範囲であるものとすることができる。このようにして、個別量の液体材料31はノズル出口78から基材33に向けて噴射される。
【0023】
モジュール32は、本明細書ではエアピストン62によって駆動されるピストンロッド54とピストン先端58とを有するものとして記載したが、種々の他の構造および方法を代替的に用いてノズル出口付近で高圧を発生させ、該ノズル出口から個別量の液体材料を噴射してもよいことが理解されるであろう。
【0024】
上述したように、個別量の液体材料31をノズル出口78から噴射した後で、加圧空気を再びピストンキャビティ64に供給してピストンロッド54をノズル52から離れる方向に移動させることができ、所望である場合は、プロセス全体を繰り返して連続的な個別量の液体材料をノズル出口78から吐出することができる。上述したような吐出システム30の動作をコントローラーによって制御して、個別量の液体材料を、モジュール32に対して移動する基材33の速度に対して所望の頻度で吐出し、個別量の液体材料間に所望の間隔を設けることができることが理解されるであろう。
【0025】
ピストン先端58が窪み76内に完全に着座して実質的に窪み76内の全量の液体材料を吐出するやり方でモジュール32の動作を記載および例示したが、ピストン54の移動範囲は、ピストン先端58がピストン54の各ストロークの終端で窪み76内に完全には着座せず、それによって窪み76内の全量よりも少ない量の液体材料を吐出することができるように、代替的に制御してもよいことが理解されるであろう。
【0026】
図6は、上述した液体吐出システム30と同様の液体吐出システムの別の例示的な実施形態を示すが、ここでは、変更された吐出ノズル52aがモジュール体38に連結されている。この実施形態に示されているノズル体74aは、個別量の液体材料を、出口78を通して、ピストンロッド54の移動方向に対して実質的に垂直な方向に噴射するように構成されている。吐出システムの動作は、他の点では図2から図5Cに関して上述した動作と同様であり、同様の特徴には同様の符号が付されている。このような実施形態は例えば、ラベル貼りの間にラベルの表面または容器の表面等の垂直な向きの表面に個別量の液体材料を噴射するのに有用であり得る。ノズル体74aは、液体材料をピストンロッド54の移動方向に対して実質的に垂直な方向に噴射するように構成されている出口78を有するものとして図示および記載したが、所与の用途に合わせて所望である場合は、ノズル体の種々の他の構成を用いて、液体材料を種々の他の方向に、または種々の他のやり方で噴射することができることが理解されるであろう。
【0027】
図7は、ホットメルト接着剤等の個別の少量の高粘性材料102を基材104に吐出する別の例示的な液体吐出システム100を示す。吐出システム100は、基材104に対して動くように支持構造部108に動作可能に連結されている、上述したような吐出モジュール106を含む。吐出モジュール106は上述したモジュール32と同様に構成されているため、モジュール106の詳細はここでは繰り返さない。吐出システム100は、ホットメルト接着剤の供給部を含むとともにホットメルト接着剤を吐出モジュール106に低圧で供給するように構成されている圧力ポット110を更に含む。圧力ポット110は、ホットメルト接着剤を溶融し、かつ/またはホットメルト接着剤の加熱された温度を維持するように適合することができる。圧力ポット110は、ホース114または他の適切な接続部等によって低圧空気源112に連結されている。圧力ポット110は、該圧力ポット110の内部圧力を示すゲージ116を更に含む。ホットメルト接着剤は、低圧液体通路118によって圧力ポット110と吐出モジュール106との間で移送される。低圧液体通路118は、フレキシブルホース、パイプ等の剛性接続部、または任意の他の好適な構造部とすることができる。給気源120からの加圧空気も吐出モジュール106に供給されて吐出モジュール106を上述のように動作させる。具体的には、加圧空気を用いてピストンを迅速に移動させて、図5Aから図5Cに関して上述したやり方と同様のやり方で基材に向けて液体材料を個別の少量として噴射するためにノズルの出口において高圧を発生させる。
【0028】
図8は、ホットメルト接着剤等の、個別の少量の高粘性材料を基材に吐出する別の例示的な液体吐出システム130を示す。この実施形態では、第1の吐出モジュール132a、第2の吐出モジュール132bおよび第3の吐出モジュール132cが、フレキシブルホース、剛性パイプ、または任意の他の好適な構造部等のそれぞれの低圧液体通路136a、136b、136cによって共通の圧力ポット134に連結されている。圧力ポット134は、ホットメルト接着剤を溶融し、かつ/またはホットメルト接着剤の加熱された温度を維持するように適合することができる。各モジュール132a、132b、132cは、これらのそれぞれの吐出モジュール132a、132b、132cを上述したようなやり方で動作させるように高圧力源138a、138b、138cに動作可能に連結されている。モジュール132a、132b、132cは、同じ圧力源に連結されてもよく、または個々の圧力源138a、138b、138cをそれぞれのモジュール132a、132b、132c専用としてもよい。使用時には、ホットメルト接着剤等の液体材料を、圧力ポット134から共通の圧力でそれぞれの低圧液体通路136a、136b、136cを通してそれぞれの吐出モジュール132a、132b、132cに供給する。その後、各吐出モジュール132a、132b、132cが、個別の少量の液体材料をそれぞれの基材140a、140b、140cに吐出するように動作する。モジュール132a、132b、132cは、個別量の液体材料を吐出する量および頻度がモジュールごとに異なり得るように互いに独立して動作することができる。例えば、図8に示されるように、第1のモジュール132aは、第1の個別量142aで、かつ第1の基材の移動に対して第1の頻度で液体材料を吐出することができ、それによって吐出された量142aの液体材料が密に離間した配置で基材140a上に受け取られる。第2の吐出モジュール132bは、第1の吐出装置132aから吐出される第1の個別量142aよりも多い第2の個別量142bの液体材料を、第2の基材140bの移動に対して第2の頻度で吐出するように動作することができ、それによって個別量142bの液体材料が離間した配置で基材140b上に受け取られる。第3の吐出モジュール132cは、第1の個別量142aおよび第2の個別量142bの液体材料よりも少ない第3の個別量142cの液体材料を、第3の基材140cの移動に対し或る頻度で吐出するように動作することができ、それによって吐出された第3の個別量142cの液体材料が基材140c上において所望の距離で離間する。
【0029】
図9は、個別の少量の粘性材料152を基材154に吐出する更に別の例示的な液体吐出システム150を示す。この実施形態では、ホットメルト接着剤等の液体材料を供給する供給部156が、吐出モジュール158に直接連結されているとともに吐出モジュール158によって担持されている。吐出モジュール158は、そのような少量の液体材料152を吐出するように構成されているため、接着剤供給部156のサイズは、所与の時間期間中、例えばシフト全体で吐出するために必要とされる十分な液体材料のみを収容するように選択することができる。接着剤供給部156は、ホットメルト接着剤163等の吐出すべき材料を固体形態または粒子形態で受け取るリザーバー162を画定しているハウジング160と、リザーバー162上に選択的に位置決め可能である閉鎖部材164とを備える。リザーバー162は、ホットメルト接着剤を溶融し、かつ/またはホットメルト接着剤の加熱された温度を維持するように構成されている。適切な通路166または他の流体接続部が、リザーバー162と吐出モジュール158との間に流体連通を提供する。モジュール158は、加圧空気源168に動作可能に連結されており、上述のように動作する。接着剤をリザーバー162から吐出モジュール158に移送するように吐出システム150が加圧される場合に、閉鎖部材164は、ホットメルト接着剤をリザーバー162から吐出モジュール158に移送するのに必要な低圧に少なくとも耐えるようリザーバー162をシールするように構成することができる。
【0030】
図10は、図9に関して図示および上述した吐出システム130と同様であるが、接着剤供給部176が固体形態または粒子形態のホットメルト接着剤180を受け取るホッパー178を含む、個別の少量の高粘性材料172を基材174に吐出する更に別の例示的な液体吐出システム170を示す。接着剤供給部176は、粒状のホットメルト接着剤180をホッパー178からマニホルド186へ移送して該ホットメルト接着剤を溶融するとともに続いてこの溶融されたホットメルト接着剤を吐出モジュール188に供給する、駆動シャフト184によって駆動される螺旋刃182を更に含む。この実施形態では、ホットメルト接着剤の供給圧力は螺旋刃182によって与えられる。吐出モジュール188は、該吐出モジュール188を動作させる加圧空気源190に連結されており、吐出モジュール188は他の点では上記で説明したように動作する。
【0031】
図11は、ホットメルト接着剤等の個別の少量の高粘性材料202を基材204に吐出する別の例示的な液体吐出システム200を示す。吐出システム200は、マニホルド206と吐出モジュール208とを含み、吐出モジュール208は、該吐出モジュール208を上述のように動作させる加圧空気源210に連結されている。ホットメルト接着剤等の吐出すべき材料212は、通路218によってマニホルド206の入口216に動作可能に連結されているタンク214から粒子形態でマニホルド206に供給される。この実施形態では、タンク214は加圧されず、材料212は真空給送機構222の入口220を通して引きこまれて通路218を通ってマニホルド206まで運ばれ、その後、材料は上述したやり方と同様のやり方で溶融されて吐出モジュール208に方向付けられる。マニホルド206は、材料212を溶融するとともに、溶融した材料212をモジュール208に低圧で供給するように好適に構成される。タンク214は、液体材料212を保持するリザーバー226を覆う閉鎖部材224と、タンク214を移動させるのを容易にするホイール228とを含むことができる。使用時には、吐出モジュール208内で高圧を発生させて、個別の少量の液体材料202を、吐出モジュール208の下を移動している基材204に噴射する。
【0032】
図12Aから図12Cは、モジュール体32aに連結されているとともに本開示の原理に従うノズル体74aを含むノズル52aの別の例示的な実施形態を示し、同様の参照符号は同様の特徴を示す。この実施形態では、ノズル体74aは、図5Aから図5Cに関して上述したやり方と同様のやり方でピストンロッド54a上のピストン先端58aが窪み76aに出入りするときに該ピストン先端58a螺旋刃イドするのを助けるように液体チャンバー40aに隣接する複数のローブ230を含む。ピストン先端58aが窪み76aから後退すると(図12A)、低圧の液体材料がローブ230を通って窪み76に流れ込むことができる。ピストン先端58aが窪み76aに入ると(図12B)、ピストン先端58aは、上述したやり方と同様のやり方で窪み76aを実質的にシールする。ピストン先端58aがノズル52aに向かう方向に移動し続けると、窪み76a内の液体材料がノズル通路80aおよび出口78aを通って変位する。ピストン先端58aが窪み76aに対して完全に着座すると(図12C)、ピストン先端58aは、低圧の液体材料がノズル出口78aから「垂れる」ことを防止する。図13Aは、ピストン先端58aが図12Bに示す位置にある状態のノズル52Aの断面図である。図13Bは、ピストン先端58aが図12Cに示す位置にある状態のノズル52Aの断面図である。
【0033】
本発明の原理に従った種々の態様を種々の実施形態の記載によって説明し、これらの実施形態をかなり詳細に記載したが、それらの実施形態は本発明の範囲をそのような詳細に限定するかまたはいかようにも制限することは意図しない。本明細書において図示および記載される種々の特徴は、単独でまたは任意の組み合わせで用いることができる。更なる利点および変更形態が当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、本発明はそのより広範な態様では、図示および記載される特定の詳細、代表的な装置および方法、並びに例示的な例に限定されない。したがって、包括的な発明の概念の範囲から逸脱することなくそのような詳細から逸脱することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と出口とを有する接着剤吐出モジュールであって、前記入口を通して低圧で液体材料を受け、前記出口において高圧を急速に発達させて前記液体材料を前記出口から噴射するようになっている接着剤吐出モジュールと、
低圧に維持されるホットメルト接着剤の供給部と、
前記接着剤吐出モジュールの前記入口と前記供給部との間を連通させる低圧液体通路と、
を備える接着剤吐出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記接着剤吐出モジュールは、
前記出口と連通している液体チャンバーおよび前記出口に近接している窪みと、
前記液体チャンバー内に配置されているピストン先端と、
を更に備え、
前記窪みは、前記ピストン先端と相補的な形状であるとともに該ピストン先端を内部に受容するようになっていて、それによって、前記ピストン先端は、前記窪み内に移動するときに前記高圧を発生させる接着剤吐出システム。
【請求項3】
請求項2に記載の接着剤吐出システムであって、
前記ピストン先端は、前記液体チャンバー内で、前記供給部からのホットメルト接着剤が前記窪みに入れられる第1の位置と、前記ピストン先端が前記液体チャンバーをホットメルト接着剤の前記供給部からシールする第2の位置と、ホットメルト接着剤が前記出口から高圧下で噴射される第3の位置との間を、往復動可能である接着剤吐出システム。
【請求項4】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
ホットメルト接着剤の前記供給部は、ホットメルト接着剤を固体形態で収容するようになっている接着剤吐出システム。
【請求項5】
請求項4に記載の接着剤吐出システムであって、
ホットメルト接着剤を前記接着剤吐出モジュールに向けて給送する螺旋刃を更に備える接着剤吐出システム。
【請求項6】
請求項4に記載の接着剤吐出システムであって、
ホットメルト接着剤を前記接着剤吐出モジュールに向けて給送する真空給送機構を更に備える接着剤吐出システム。
【請求項7】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
接着剤吐出システムは、それぞれの第1の入口および第2の入口と第1の出口および第2の出口とを有する第1の接着剤吐出モジュールと第2の接着剤吐出モジュールとを備え、前記第1の入口および前記第2の入口は、前記供給部からそれぞれの第1の低圧液体通路および第2の低圧液体通路を通して同じ低い圧力で液体材料を受け取り、前記それぞれの出口に近接して高圧を生成して液体材料を前記出口から異なる速度で噴射する接着剤吐出システム。
【請求項8】
請求項1に記載の接着剤吐出システムであって、
前記供給部は前記接着剤吐出モジュール上で支持されている接着剤吐出システム。
【請求項9】
液体材料を噴射する装置であって、
液体材料の供給源に連結可能な吐出装置本体であって、液体チャンバーを含む、吐出装置本体と、
前記液体チャンバー内に移動可能に配置されているとともにピストン先端を有する、ピストンと、
前記液体チャンバーおよび液体出口と流体連通している窪みであって、前記ピストン先端を該窪み内に受け入れ可能であるように前記ピストン先端と相補的な形状である、窪みと、
を備え、
前記ピストンは、前記ピストン先端が前記窪みから離間している第1の位置から、前記ピストン先端が前記窪みを効果的にシールして該ピストン先端と前記窪みとの間に個別量を画定する第2の位置へ、次いで、前記ピストン先端が前記窪み内に受け入れられて前記個別量を前記窪みから前記液体出口を通して変位させる第3の位置まで移動可能である、液体材料を噴射する装置。
【請求項10】
請求項9に記載の接着剤吐出装置であって、さらに、
前記吐出装置本体内の開口端であって、前記液体チャンバーと連通している開口端と、
前記吐出装置本体の前記開口端に動作可能に連結されているノズルと、
を更に備え、
前記窪みは前記ノズルに形成されている装置。
【請求項11】
請求項9に記載の接着剤吐出装置であって、さらに、
前記ピストン先端は球状形状を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
液体材料を吐出する方法であって、
液体材料を、液体チャンバーを充填するには十分であるが該液体材料を窪みと関連するとともに前記液体チャンバーと連通している出口から吐出させない圧力で前記液体チャンバーに供給することと、
前記窪みに近接して個別量の液体材料を効果的にシールすることと、
前記窪みにおいて高圧を生成することであって、前記出口から前記個別量の液体材料を噴射する、高圧を生成することと、
を含む、液体材料を吐出する吐出方法。
【請求項13】
請求項12に記載の吐出方法であって、
生成される前記圧力は約400ポンド毎平方インチから約2500ポンド毎平方インチの範囲である吐出方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2013−517125(P2013−517125A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548980(P2012−548980)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/020489
【国際公開番号】WO2011/087961
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】