説明

個室使用状況表示器

【課題】本発明では、個室の近くまで行かなくても、個室から離れた位置であってその個室の閉じた状態の扉の平面に対して角度のある位置から各個室の使用状況を容易に確認することができる個室使用状況表示器を提供する。
【解決手段】 個室の使用状況を表示する個室使用状況表示器は、個室の壁面に突き出して設置された第1のマークが付された第1のプレートと、個室の扉に突き出して設置された第2のマークが付された第2のプレートと、を備えており、第2のプレートは、扉を閉めた状態で離れた位置からみた場合に、第1のプレート上の第1のマークを覆い隠して、第2のマークが見えるように、扉に設置されていることにより、上記課題の解決を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個室の使用状況を離れた位置より判別する個室使用状況表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
部屋の使用状況を室外より確認するための方法として、例えば、第1の従来例として、個室内、扉等に設置されたセンサ等により使用者の有無を感知し、別に設置されたモニタ等に使用状況を表示する方法がある(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)。また、第2の従来例として、会議室等にてよく使用されている表示器で、既存表示板(表示内容)の上に別の表示板(表示内容)をスライドさせることで覆い隠し、表示を変えて使用状況を示すスライド式表示器による方法がある。また、第3の従来例として、トイレ等の鍵に使用されており、個室扉の鍵を閉めることにより、表示を変えて使用状況を示す表示器付ラッチ錠等による方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−305123号公報
【特許文献2】特開平8−185135号公報
【特許文献3】特開平6−333174号公報
【特許文献4】特開2002−21149号公報
【特許文献5】特開平3−224968号公報
【特許文献6】特開平7−287529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第1の従来例の場合には、設置にあたり電源の確保、配線工事等が必要であるので、設置工事費の上昇、工事期間の長期化することがあった。また、モニタ自体と各個室とは離れた場所に設置されている為、モニタ自体を見落とす可能性があった。
【0005】
また、第2の従来例の場合には、個室の近くまで行かなければ個室の使用状況を確認することができなかった。また、表示を変更する動作が必要となり、変え忘れの可能性があった。
【0006】
また、第3の従来例の場合も、鍵のない扉には使用できなかった。また、鍵に表示するため表示が小さかったため、個室の近くまで行かなければ、その表示の内容(使用状況)を確認しづらかった。
【0007】
このように従来、その個室の使用状況を知るためには、扉の近くまで移動して、扉の開閉状況もしくは扉に取付けられた鍵表示(空きは青、使用中は赤等)を確認する必要があった。
【0008】
図1は、従来の個室の使用状況を確認する様子を示す図である。A地点からでは、奥の方にある個室の扉の開閉状況は分かりにくく、また鍵にある表示はその個室の前まで行かなければ、その使用状況を確認できなかった。
【0009】
上記課題に鑑み、本発明では、個室の近くまで行かなくても、個室から離れた位置であってその個室の閉じた状態の扉の平面に対して角度のある位置から各個室の使用状況を容易に確認することができる個室使用状況表示器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる、個室の使用状況を表示する個室使用状況表示器は、前記個室の壁面に設置され、第1のマークが付された表示面を有する第1のプレートと、閉めると前記壁面と略同一平面を形成する前記個室の扉に設置された、第2のマークが付された表示面を有する第2のプレートと、を備え、前記第1のプレートは、前記壁面のなす水平方向と同方向である第1の方向からみた場合に、前記第1のマークが付された表示面が見えるように、所定角度で該壁面に設置され、前記第2のプレートは、前記扉を閉めた状態で前記第1の方向からみた場合に、前記第2のマークが付された表示面が見えるように、所定角度で該扉に設置されると共に、該扉を閉めた状態で前記第1の方向からみた場合に、前記第1のプレート上の前記第1のマークを覆い隠して、該第2のマークが見えるように、該扉に設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、個室の近くまで行かなくても、個室から離れた位置であってその個室の閉じた状態の扉の平面に対して角度のある位置から各個室の使用状況を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の個室の使用状況を確認する様子を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における個室使用状況表示器を示す。
【図3】本発明の実施形態における個室使用状況表示器の変形例を示す。
【図4】プレート5に、個室内の設備内容を表示させる標識としての機能を追加した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
扉の開閉機構を利用し、各個室の扉および固定壁に設置した突き出し型表示を変えることにより、各個室使用状況を表示する。
図2は、本発明の実施形態における個室使用状況表示器を示す。(a)は、個室1が空き状態で、扉4が開いている状態を示す。(b)は、個室1が使用中で、扉4が閉まっている状態を示す。図2(a)及び(b)それぞれの上側の図は、個室1を上方から観察した場合の図である。図2(a)及び(b)それぞれの下側の図は、個室1を観察方向11から観察した場合の図である。
【0014】
図2(a)では、個室1の通路側の壁面2には、壁面2に対して垂直方向に立設して固定されたプレート5が設けられている。観察方向11からプレート5を観察すると(図2(a)の下図)、そのプレート5には、例えば、青色のマーク51が付されている。ここで、本実施形態にいて、青色のマーク51は個室1が空室であることを示すマークであるとするが、これに限定されず、どのような色彩、模様等の形態であってもよい。
【0015】
個室1の通路側の壁面3には、蝶番で連結された扉4が設置されている。扉4の通路側に面している平面部分に対して垂直方向に立設して固定されたプレート6が設けられている。扉4が閉じた状態で観察方向11からプレート6を観察すると(図2(b)の下図)、そのプレート6には、例えば、赤色のマーク61が付されている。ここで、本実施形態にいて、赤色のマーク61は個室1が使用中であることを示すマークであるとするが、これに限定されず、どのような色彩、模様等の形態であってもよい。
【0016】
扉4が開いている場合、観察方向11に対して、青色マーク51の表示面が垂直方向に位置するように、プレート5は壁面2に設置されているので、観察方向11からは、常にプレート5の青色マーク51が見える。したがって、観察者は、個室の近くまで行かなくても、個室から離れた位置であって、閉じた状態の扉4に対して、角度のある位置から、その個室1が空き状態であることを確認できる。
【0017】
なお、扉4は、きちんと閉めない限りは、所定の角度、開くような開閉機構を蝶番に用いている。よって、扉4が開いている状態で、観察方向11から観察した場合、プレート5とプレート6とが重なることはない。
【0018】
図2(b)は、扉4が閉まっている状態である。観察方向11から見た場合において、扉4が閉まっているとき、プレート6の赤色マーク61がプレート5の青色マーク51に覆い被さる位置に、プレート6は扉4に設置されている。
【0019】
したがって、扉4を閉めると、プレート6の赤色マーク61がプレート5の青色マーク51に覆い被さる。観察方向11に対して、赤色マーク61の表示面が垂直方向に位置するように、プレート6は扉4に設置されているので、この場合、観察方向11からは、常にプレート6の赤色マーク61が見える。したがって、観察者は、個室の近くまで行かなくても、個室から離れた位置であって、閉じた状態の扉4に対して角度のある位置から、その個室1が使用中であることを確認できる。
【0020】
図3は、図2の変形例である。図3の例では、プレート5が設置されている側の壁面2に蝶番を介して扉4が連結している。さらに、プレート6は、扉4における壁面2側の端部近傍に設置されている。このように、観察方向や扉の設置環境に応じて、プレート5,6の設置位置を変更してもよい。
【0021】
このように、個室が使用されていない場合、プレート5の青色マーク51により、個室が空室であることを示すことができるので、個室を使用するユーザに対して、個室が空室であることを知らせることができる。
【0022】
また、個室が使用されている場合、扉4を閉めることにより、プレート5上の個室が空室であることを示す青色マーク51を、プレート6によって覆い隠して、個室が使用中であることを示す赤色マーク61を示すことができるので、個室を使用するユーザに対して個室が使用中であることを知らせることができる。
【0023】
なお、プレート5については、プレート5上の個室が空室であることを示す青色マーク51以外にも、個室内の設備内容を表示させる標識を表示させることもできる。これについては、図4で説明する。
【0024】
図4は、プレート5に、個室内の設備内容を表示させる標識としての機能を追加した例を示す。図4(a)は、上述した赤色マーク61が付されたプレート6であり、上記と同様である。
【0025】
図4(b)〜(d)は、青色マーク51以外に、個室内の設備内容を表示した標識を付したプレート5のバリエーションを示す。図4(b)は、青色マーク51以外に、個室を識別するための番号を表示する個室識別表示部52を設けたプレート5aを示す。図4(c)は、青色マーク51以外に、個室識別表示部52と、その個室の設備の内容(例えば、個室がトイレならば、和式など)を表示する設備表示部53を設けたプレート5bを示す。図4(d)は、青色マーク51以外に、個室識別表示部52と、その個室の設備の内容を表示する設備表示部53,54(例えば、個室がトイレならば、「洋式」のトイレであって、「ベビーチェア」を備えていることを示す)を設けたプレート5cを示す。
【0026】
このように構成することにより、個室の使用状況だけでなく、個室内の設備内容についても、個室の前まで行かなくても遠方から確認できる。また、個室の設備数に応じて、プレート5の長さを調整してもよい。
【0027】
なお、プレート5,6の材質は、塩化ビニル等の素材で薄く構成してもよいし、プラスチェックや金属等の材料で構成してもよい。また、個室は、会議室、トイレ等であってもよい。また、壁面2に対するプレート5の設置角度及び扉4に対するプレートの設置角度6を、遠方から観察または進行するユーザの位置に応じて、調整してもよい。
【0028】
本実施形態によれば、個室の前まで行かなくても遠方から使用状況が確認できる。また、扉を閉めることにより空室、使用中の表示変更が可能であることから、利用者が特別な動作をする必要がなく容易に使用状況を変更できる。また、各個室に表示器を設置するため、表示を見落としにくい。また、表示の大きさの変更が可能である。固定壁、扉等に表示板を設置するだけで設置が容易である。電源および配線等の工事が不要である。また、工事費の削減、工事期間の短縮化を図ることができる。また、破損時等においては、プレートの交換のみで対応が可能(迅速に対応が可能)である。
【0029】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 個室
2,3 壁面
4 扉
5,6 プレート
51 青色マーク
52 赤色マーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
個室の使用状況を表示する個室使用状況表示器であって、
前記個室の壁面に設置され、第1のマークが付された表示面を有する第1のプレートと、
閉めると前記壁面と略同一平面を形成する前記個室の扉に設置された、第2のマークが付された表示面を有する第2のプレートと、を備え、
前記第1のプレートは、前記壁面のなす水平方向と同方向である第1の方向からみた場合に、前記第1のマークが付された表示面が見えるように、所定角度で該壁面に設置され、
前記第2のプレートは、前記扉を閉めた状態で前記第1の方向からみた場合に、前記第2のマークが付された表示面が見えるように、所定角度で該扉に設置されると共に、該扉を閉めた状態で前記第1の方向からみた場合に、前記第1のプレート上の前記第1のマークを覆い隠して、該第2のマークが見えるように、該扉に設置されている
ことを特徴とする個室使用状況表示器。
【請求項2】
前記第1のプレートにおいて、第1のマークが付された表示面には、さらに、前記個室の設備内容を示す標識が付され、
前記扉を閉めた状態で前記第1の方向からみた場合に、前記第2のプレートは、該第1のマークのみを覆い隠し、該標識には覆い被さらない
ことを特徴とする請求項1に記載の個室使用状況表示器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−243692(P2010−243692A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90807(P2009−90807)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(505398941)東日本高速道路株式会社 (66)
【出願人】(597165618)株式会社ネクスコ東日本エンジニアリング (18)