説明

個装ケース

【課題】マスターケースからの取り出しが容易であり、強度や密閉性にも優れた簡易な構成の個装ケースを提供する。
【解決手段】個装ケース100は、箱体23と、箱体23の開口端に延設された蓋板9、蓋フラップ11、12を有し、蓋板9の長手方向両端縁には半円形の把持用指掛け穴25が設けられている。蓋フラップ11、12には、蓋フラップ11、12と同一面をなす第1の位置と、箱体23内へ押し込まれた第2の位置とに選択配置される押し込み片30が設けられている。個装ケース100の最初の1箱を取り出す場合、把持用指掛け穴25を介して第1の位置にある押し込み片30を第2の位置に押し込むことにより、把持用指掛け穴25に重なる蓋フラップ11、12に貫通穴が形成されるため、この貫通穴に指を差し入れて把持用指掛け穴25に指を掛け、個装ケース100を持ち上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品等を梱包する包装ケースに関し、特に、大型の外ケースに複数個梱包される個装用の包装ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の電機製品や精密機器本体、或いは交換部品等の被梱包物を梱包して出荷する際、被梱包物を個装した包装ケース(以下、個装ケースという)を大型の外ケース(以下、マスターケースという)に複数個収納して出荷している。このとき、輸送中におけるマスターケース内の個装ケースのガタツキ等を防止するとともに、輸送効率や保管時の積載効率を高めるために、通常は個装ケースをマスターケース内に隙間なく整列させて収納している。
【0003】
しかし、マスターケースを開梱して個装ケースを取り出す際に、個装ケースが隙間なく収納されていると、最初の1箱(複数段積載されている場合は各段の最初の1箱)を取り出す際に手指を掛ける部分がなく、開梱時の作業性が低下するとともに、無理に取り出そうとすると個装ケースを破損したり、手指に思わぬ負荷がかかったりするという問題点があった。
【0004】
個装ケースの取り出しを容易にする方法として、個装ケースの上面に指を差し入れる穴を開けておく方法が考えられるが、箱に穴を開けると埃や昆虫などの異物が個装ケース内に進入するおそれがあり、品質上好ましくない。
【0005】
そこで、個装ケース内への異物の進入を防止しつつ、マスターケースからの取り出し性を向上させた個装ケースが種々提案されており、例えば特許文献1には、箱の上面側に位置する左右の角部に、角部に連なる2つの面にわたって2本の平行な切り込み線を設け、切り込み線の間の部分を内側に押し込むことで指挿入部を形成するようにした梱包用内装箱が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、内フラップの一部を切り離してピックアップ部材を形成するとともに、天板にピックアップ部材を差し込む切り込みを設けた構成が開示されている。さらに特許文献3には、個装ケースを収納するマスターケースのフラップおよびフラップに連設される側面部に切り込みを入れ、個装ケースを取り出すための空間を形成できるようにした包装箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6−10117号公報
【特許文献2】特開平11−79160号公報
【特許文献3】特開2000−62759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では角部に切り込みが形成されているため、角部の強度が低下するという問題点があった。また、特許文献2の方法では梱包時にピックアップ部材を天板の切り込みに差し込む必要が生じ、梱包作業が繁雑になるとともに個装ケースの見栄えも悪くなる。一方、特許文献3の方法では個装ケースの片側(マスターケースに当接する側)の側面上部が部分的に露出するのみであるため、個装ケースの取り出し性の面で十分とは言えなかった。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑み、マスターケースからの取り出しが容易であり、強度や密閉性にも優れた簡易な構成の個装ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも一面が開口した箱体と、該箱体の開口縁の一辺に延設される開閉可能な蓋板と、該蓋体が延設されない前記箱体の開口縁に延設され、前記蓋板を閉じたとき前記蓋板の内側に重なる蓋フラップと、該蓋板の端部を折り曲げて形成され前記開口縁に差し込むことにより前記蓋板を閉状態に保持する差し込み片と、該差し込み片と重なる前記箱体の側面に設けられ、前記差し込み片に形成されるスリットに挿入される蓋板固定片と、を有する個装ケースにおいて、前記蓋板の、前記蓋体を開閉する際の折り線と平行な方向の両端部近傍には把持用指掛け穴が形成されており、前記蓋フラップの前記把持用指掛け穴と重なる位置には、前記蓋フラップと同一面をなす第1の位置と、該第1の位置から折り曲げられて前記箱体内に押し込まれた第2の位置とに選択配置される押し込み片が形成されることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の個装ケースにおいて、前記押し込み片と前記蓋フラップとの連結部分に押し込み用罫線が形成されることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の個装ケースにおいて、前記押し込み片は、前記蓋フラップの折り曲げ方向と同一方向に回動して前記第2の位置に配置され、前記押し込み用罫線は、前記箱体と前記蓋フラップとの境界に設けられるフラップ罫線と所定の間隔を隔てて形成されることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の個装ケースにおいて、前記フラップ罫線の前記押し込み用罫線と対向する部分には、前記フラップ罫線に重なるミシン目が形成されることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の個装ケースにおいて、前記押し込み片は、前記蓋フラップの折り曲げ方向と異なる方向に回動して前記第2の位置に配置されることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の個装ケースにおいて、前記蓋板及び前記蓋フラップが延設されない前記箱体の開口縁に延設され、前記箱体の内側に折り曲げることにより前記箱体内部を複数の空間に分割する仕切板を有し、前記蓋フラップは、前記仕切板の上面により下方向への回動を規制されるとともに、前記仕切板には前記押し込み片の前記第2の位置への配置を許容する切り欠き部が設けられることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の個装ケースにおいて、前記押し込み片には、前記箱体内への押し込み操作を促すための表示が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の構成によれば、把持用指掛け穴に重なる蓋フラップの押し込み片を押し下げて第2の位置に配置することにより把持用指掛け穴の下方に穴が形成されるため、形成された穴に指を差し入れて把持用指掛け穴に指を掛け、マスターケースに整列状態で収容された個装ケースの最初の1箱を容易に取り出すことができる。また、押し込み片を押し下げる前は蓋フラップと同一面をなす第1の位置に配置されているため、個装ケースの密閉性も確保される。
【0018】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の個装ケースにおいて、押し込み片と蓋フラップとの連結部分に押し込み用罫線を形成することにより、軽い力を加えるだけで押し込み片を容易に箱体内に押し込むことができる。
【0019】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の個装ケースにおいて、押し込み片が蓋フラップの折り曲げ方向と同一方向に回動して第2の位置に配置され、押し込み用罫線を、箱体と蓋フラップとの境界に設けられるフラップ罫線と所定の間隔を隔てて形成することにより、個装ケースの組み立て時に蓋フラップを折り曲げたときの押し込み片の立ち上がりを防止することができる。また、押し込み片の端縁が箱体の上角部に出現しないため、個装ケースを取り出す際に作業者の手や指を押し込み片の端縁で傷付けるおそれがなくなる。
【0020】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の個装ケースにおいて、フラップ罫線の押し込み用罫線と対向する部分に、フラップ罫線に重なるミシン目を形成することにより、フラップ罫線の押し込み用罫線に対向する部分を確実に折り曲げることができ、押し込み片の立ち上がりをより一層防止することができる。
【0021】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第2の構成の個装ケースにおいて、押し込み片が蓋フラップの折り曲げ方向と異なる方向に回動して第2の位置に配置されることにより、押し込み片をフラップ罫線に沿って形成しても蓋フラップを折り曲げたときの押し込み片の立ち上がりが発生しない。
【0022】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の個装ケースにおいて、蓋板及び蓋フラップが延設されない箱体の開口縁に、箱体の内側に折り曲げることにより箱体内部を複数の空間に分割する仕切板を延設し、仕切板の上面により蓋フラップの下方向への回動を規制するとともに、仕切板に押し込み片の第2の位置への配置を許容する切り欠き部を設けることにより、押し込み片を押し下げたとき、蓋フラップは下方向へ回動しないため、軽い力で押し込み片だけが簡単に折れ曲がり、箱体内へ押し込まれて第2の位置に配置される。
【0023】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の個装ケースにおいて、押し込み片に箱体内への押し込み操作を促すための表示を設けることにより、作業者はマスターケースからの個装ケースの取り出し方法を容易に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の個装ケースの展開図
【図2】図1における蓋フラップ11周辺の部分拡大図
【図3】本発明の個装ケースの蓋板9を開放した状態を示す斜視図
【図4】図3における蓋フラップ11の押し込み片30周辺の部分平面図
【図5】図3における蓋フラップ11の押し込み片30周辺の部分斜視図
【図6】押し込み片30の他の構成例を示す部分平面図(図4に示す押し込み片30を90°回転させた構成)
【図7】押し込み片30の他の構成例を示す部分平面図(図4に示す押し込み片30を180°回転させた構成)
【図8】マスターケース内に複数の個装ケースが整列して収容された状態を示す斜視図
【図9】マスターケースに収容された複数の個装ケースのうち、最初の1箱を取り出す状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の個装ケースの展開図である。なお、図1においては、山折り線を一点鎖線で表示する。また、図1の縦方向(個装ケースの水平方向)をX軸方向、横方向(個装ケースの上下方向)をY軸方向と称する。
【0026】
個装ケース100は、段ボール紙等の一枚のシート材から形成されており、折り線を介して直列に連なる4枚の側板1、2、3、4と、側板1、3の下辺に折り線を介して連なる底板5、6と、側板2、4の下辺に折り線を介して連なる底フラップ7、8と、側板1の上辺に折り線を介して連なる蓋板9と、側板3の上辺に折り線を介して連なる仕切板10と、側板2、4の上辺に折り線を介して連なる蓋フラップ11、12とで構成されている。側板1と3、及び側板2と4は、X軸方向の長さが互いに同等となるように形成されている。また、側板1の端縁には接着片1aが折り線を介して連設されている。
【0027】
蓋板9のX軸方向の長さは側板1、3のX軸方向の長さと略同一に、Y軸方向の長さは側板2、4のX軸方向の長さと略同一に形成されている。更に、この蓋板9の側板1に対向する辺には差し込み片9aが折り線を介して連設されており、差し込み片9aには蓋板9との間の折り線に沿ってX軸方向略中央部にスリット13が穿設されている。また、側板3と仕切板10との境界付近には差し込み片9aが挿入される開口3aと、蓋板9を固定するための蓋板固定片15が設けられている。なお、スリット13のX軸方向の長さは、蓋板固定片15を挿入できるように、蓋板固定片15のX軸方向の長さよりも若干長く形成されている。
【0028】
蓋フラップ11、12には、側板2、4との境界線をなす折り線(以下、フラップ罫線という)20に近接してコ字状の切り込み21が形成されている。また、蓋板9の長手方向(側板1と蓋板9との境界の折り線に対し平行な方向)の両端縁には、個装ケース100を組み立てたとき切り込み21と重なる位置に半円形の把持用指掛け穴25が形成されている。
【0029】
図2は、図1における蓋フラップ11周辺の部分拡大図である。蓋フラップ11の切り込み21に囲まれた部分は押し込み片30となっており、個装ケース100を組み立てた後、押し込み片30を押し下げることにより、蓋フラップ11に把持用指掛け穴25に指を引っ掛け易くするための貫通穴40(図9参照)を形成する。
【0030】
押し込み片30の基端部(付け根部分)には、押し込み片を押し下げ易くするための押し込み用罫線31が形成されている。押し込み片30の表面にはコ字状に連なる第1ミシン目32が形成されており、押し込み用罫線31に対向するフラップ罫線20上には第2ミシン目33が形成されている。なお、蓋フラップ12についても基本的に同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0031】
次に、本発明の個装ケース100の組み立て手順について説明する。先ず、側板1〜4間の折り線を折り曲げた後、接着片1aを側板4の内側に接着して個装ケース100の胴部を形成する。そして、側板1〜4の下辺に連設された底板5、6と底フラップ7、8とを内側に折り曲げて底板6、底フラップ7、8の突起を底板5の係合穴5aに係合させ、個装ケース100の底面を形成する。そして、底板5の先端部5bを折り線に沿って箱体23(図3参照)の内側へ筒状に折り曲げて製品の台座となる緩衝部(図示せず)を形成する。
【0032】
次に、仕切板10を折り線に沿って箱体23の内側へ折り曲げていく。これにより、個装ケース100の内部は長手方向に平行な2つの空間に仕切られ、その一方に被梱包物(ここではトナーコンテナ)が収納されることになる。また、仕切板10を隔てて反対側の空間には廃トナーボトルや取扱説明書等の付属品(図示せず)が収納される。
【0033】
次に、蓋フラップ11、12を折り線に沿って側板2、4に対し垂直に折り曲げ、さらに蓋板9を箱体23の内側へ折り曲げて、差し込み片9aを側板3に設けられた開口3aに挿入する。そして、差し込み片9aに設けられたスリット13に外側から蓋板固定片15を挿入することにより個装ケース100の組み立てが完了する。
【0034】
図3は、本発明の個装ケースを組み立てた状態を示す斜視図である。個装ケース100は、上面が開口した箱体23と、箱体23の開口端の一辺に延設された蓋板9と、蓋板9の一端を折り曲げて形成された差し込み片9aとを有し、蓋板9を閉じたとき差し込み片9aを箱体23の開口部23aの内側に差し込むことにより、蓋板9を閉状態に保持可能となっている。
【0035】
箱体23には蓋板9をロックするための蓋板固定片15が設けられており、蓋板9と差し込み片9の境界部を挟んで蓋板9側には蓋板9を引き上げるための開閉用指掛け部24が形成され、差し込み片9a側には蓋板固定片15が挿入されるスリット13が穿設されている。また、蓋板9の長手方向両端縁には半円形の把持用指掛け穴25が設けられている。
【0036】
図4及び図5は、図3における蓋フラップ11の押し込み片30周辺の部分平面図及び部分斜視図である。押し込み片30は、蓋板9に形成された把持用指掛け穴25(図2参照)よりも大きく形成されており、蓋フラップ11と同一面をなす位置(第1の位置)に配置されている。押し込み片30の表面には、把持用指掛け穴25を介して目視可能な第1ミシン目32が形成されている。第1ミシン目32は、個装ケース100をマスターケース101(図8参照)から取り出そうとする作業者に押し込み操作を促すための目印(表示)となる。
【0037】
ところで、図3のように個装ケース100を組み立てるとき、フラップ罫線20に沿って蓋フラップ11を折り曲げる必要がある。このとき、切り込み21の端部がフラップ罫線20まで到達している構成、即ち、フラップ罫線20と押し込み用罫線31が共通である構成とすると、蓋フラップ11を折り曲げたとき押し込み片30が蓋フラップ11と共に折れ曲がらず、箱体23の側面2に沿って立ち上がってしまうおそれがある。
【0038】
そこで、本実施形態ではフラップ罫線20と押し込み用罫線31との間に所定の間隔dを設けることで、押し込み片30が蓋フラップ11と共に折れ曲がり易くしている。さらに、フラップ罫線20の押し込み用罫線31に対向する部分には、押し込み片30の幅wと略同一長さの第2ミシン目33をフラップ罫線20に重なるように形成したので、フラップ罫線20の押し込み用罫線31に対向する部分を確実に折り曲げることができる。従って、蓋フラップ11の折り曲げ時における押し込み片30の立ち上がりを確実に防止することができ、個装ケース100の組み立て作業性が向上する。
【0039】
また、図5に示すように、蓋フラップ11の下方には仕切板10が設けられており、蓋板9を閉じた状態では、蓋フラップ11は仕切板10の上面10bに当接している。つまり、蓋フラップ11は上面10bによって下方向への回動を規制されている。そして、仕切板10の押し込み片30が重なる部分には切り欠き部10aが形成されている。
【0040】
従って、押し込み片30を押し下げたとき、蓋フラップ11は下方向へ回動しないため、押し込み片30だけが押し込み用罫線31に沿って簡単に折れ曲がり、箱体23内へ押し込まれる(第2の位置)。以上、蓋フラップ11に形成された押し込み片30について説明したが、蓋フラップ12に形成された押し込み片30についても全く同様の構成である。
【0041】
図6及び図7は、押し込み片30の他の構成例を示す部分平面図である。図6は、図4に示す押し込み片30を90°回転させた構成であり、図7は、図4に示す押し込み片30を180°回転させた構成である。いずれの構成においても、押し込み片30は蓋フラップ11と異なる方向に回動し、フラップ罫線20と押し込み用罫線31とが重ならないため、押し込み片30をフラップ罫線20に隣接して形成しても押し込み片3を蓋フラップ11と共に確実に折り曲げることができる。
【0042】
しかし、図6及び図7の構成では、押し込み片30の端縁(エッジ部分)30aが箱体23の上角部に出現するため、マスターケースから個装ケース100を取り出す際に作業者が端縁30aで手や指を傷付けるおそれがある。そのため、押し込み片30が蓋フラップ11と同一方向に回動し、押し込み片30の端縁30aが箱体23の上角部に出現しない図4の構成が好ましい。
【0043】
図8は、マスターケースに整列して収容された複数(ここでは3箱)の個装ケースを示す斜視図であり、図9は、マスターケースに収容された複数の個装ケースのうち、最初の1箱を取り出す状態を示す斜視図である。個装ケース100の最初の1箱を取り出す場合、いずれかの個装ケース100の蓋板9に形成された把持用指掛け穴25を介して第1の位置にある押し込み片30を第2の位置に押し込む。これにより、図9に示すように、把持用指掛け穴25に重なる位置に貫通穴40(ハッチング部分)が形成されるため、この貫通穴40に指を差し入れて蓋板9の長手方向両端部の把持用指掛け穴25に指を掛けて個装ケース100を持ち上げる。これにより、マスターケース101内に隙間無く収容された個装ケース100を容易に取り出すことができる。
【0044】
そして、個装ケース100内から被梱包物を取り出す際は、蓋板9を完全に閉じた状態で蓋板固定片15をスリット13から引き抜き、開閉用指掛け部24に指を掛けて蓋板9を引き上げることにより、図3のように箱体23の開口部23aが広く開放されて被梱包物の取り出しが可能となる。また、個装ケース100を再利用する場合は、押し込み片30を第1の位置に戻して蓋板9を閉じることにより、箱体23の密閉性を確保することができる。
【0045】
その他本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、一対の底板と一対の底フラップを係合させて底面を形成するB式タイプや、矩形状の底板の四辺に連設された側板を上方に折り曲げるA式タイプ等、種々の組み立て方式の個装ケースに適用できる。
【0046】
また、把持用指掛け穴25や押し込み片30の大きさや形状についても特に制限はなく、個装ケース100の材質や大きさ、被梱包物の重量等に応じて任意に設計することができる。また、第1ミシン目32に代えて、押し込み片30に「押す」「PUSH」等の文字や目印を印刷して押し込み操作を促す表示とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、マスターケース内に整列状態で複数収容される個装ケースに利用可能である。本発明の利用により、マスターケースからの取り出しが容易であり、強度や密閉性にも優れた簡易な構成の個装ケースを提供することができる。
【符号の説明】
【0048】
9 蓋板
9a 差し込み片
10 仕切板
10a 切り欠き部
11、12 蓋フラップ
15 蓋板固定片
20 フラップ罫線
21 切り込み
23 箱体
25 把持用指掛け部
30 押し込み片
31 押し込み用罫線
32 第1ミシン目
33 第2ミシン目
40 貫通穴
100 個装ケース
101 マスターケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一面が開口した箱体と、
該箱体の開口縁の一辺に延設される開閉可能な蓋板と、
該蓋体が延設されない前記箱体の開口縁に延設され、前記蓋板を閉じたとき前記蓋板の内側に重なる蓋フラップと、
該蓋板の端部を折り曲げて形成され前記開口縁に差し込むことにより前記蓋板を閉状態に保持する差し込み片と、
該差し込み片と重なる前記箱体の側面に設けられ、前記差し込み片に形成されるスリットに挿入される蓋板固定片と、
を有する個装ケースにおいて、
前記蓋板の、前記蓋体を開閉する際の折り線と平行な方向の両端部近傍には把持用指掛け穴が形成されており、前記蓋フラップの前記把持用指掛け穴と重なる位置には、前記蓋フラップと同一面をなす第1の位置と、該第1の位置から折り曲げられて前記箱体内に押し込まれた第2の位置とに選択配置される押し込み片が形成されることを特徴とする個装ケース。
【請求項2】
前記押し込み片と前記蓋フラップとの連結部分に押し込み用罫線が形成されることを特徴とする請求項1に記載の個装ケース。
【請求項3】
前記押し込み片は、前記蓋フラップの折り曲げ方向と同一方向に回動して前記第2の位置に配置され、前記押し込み用罫線は、前記箱体と前記蓋フラップとの境界に設けられるフラップ罫線と所定の間隔を隔てて形成されることを特徴とする請求項2に記載の個装ケース。
【請求項4】
前記フラップ罫線の前記押し込み用罫線と対向する部分には、前記フラップ罫線に重なるミシン目が形成されることを特徴とする請求項3に記載の個装ケース。
【請求項5】
前記押し込み片は、前記蓋フラップの折り曲げ方向と異なる方向に回動して前記第2の位置に配置されることを特徴とする請求項2に記載の個装ケース。
【請求項6】
前記蓋板及び前記蓋フラップが延設されない前記箱体の開口縁に延設され、前記箱体の内側に折り曲げることにより前記箱体内部を複数の空間に分割する仕切板を有し、前記蓋フラップは、前記仕切板の上面により下方向への回動を規制されるとともに、前記仕切板には前記押し込み片の前記第2の位置への配置を許容する切り欠き部が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の個装ケース。
【請求項7】
前記押し込み片には、前記箱体内への押し込み操作を促すための表示が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の個装ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−25461(P2012−25461A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167671(P2010−167671)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】