説明

倒立型エアゾール用バルブと、該バルブを用いた容器

【課題】確実に動作する倒立型エアゾール用バルブを提供する。
【解決手段】エアゾール用缶に取り付けて用いるバルブであって、ハウジング3の第1端にステムが取り付けられており、ハウジング3が、ステムの押下に応じて、ステムと、ハウジング3のステム取り付け側と反対の第2端と、の間を連通するようになっており、ステムとハウジング3とが、マウンテンカップ2に取り付けられており、第1管60の一方の端が、ハウジング3の第2端に接続されており、複数の第2管61a,61bが、それぞれ、第1管60の他方の端に接続され、放射状に延びており、端に開口63a,63bを有しており、かつ、重力に応じて開口63a,63bから第1管60への路を開く重力動作弁B1,B2を有しており、倒立時に重力動作弁B1,B2が開くように、第1管60と第2管61a,61bとの接続部が、倒立時に、開口63a,63bよりも高くなる位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倒立型エアゾール用バルブと、該バルブを用いた容器と、に関する。
【背景技術】
【0002】
倒立型エアゾールとは、化粧品等に用いられ、倒立させた時に下側に位置するステムを押すことによって内容物を噴射する型のエアゾール製品等のことである。以下、倒立型エアゾールに用いる容器を、倒立型エアゾール用容器という。また、該容器で、缶上に取り付けて用いるバルブ構造体を、倒立型エアゾール用バルブという。
【0003】
図6は、従来の倒立型エアゾール用容器200の構造を示す断面図である。倒立型エアゾール用容器200は、缶1と、倒立型エアゾール用バルブCと、を備えている。倒立型エアゾール用バルブCは、マウンテンカップ1aと、ステム2と、ハウジング3と、を備えている。ハウジング3は、ステム2と容器の内側とを連通する、バルブ機能を有している。ハウジング3の容器内方の開口3aが、原液吸い込み口である。マウンテンカップ1aは、ステム2とハウジング3とを保持しており、いわゆるクリンチ処理によって、缶1に気密に接続されている。
【0004】
倒立型エアゾール用容器200は、ステム2を真下に向けた状態で用いることを想定して設計されている。しかし、実際には、倒立型エアゾール用容器200は、図6(a)、(b)に示すように、ステム2を斜め下に向けた状態で使用されることが多い。図6(a)は、原液4が多くある状態を示す。図6(b)は、原液4が残り少なくなった状態を示す。
【0005】
図6(b)に示すように、原液4が残り少なくなった場合、原液吸い込み口である開口3aは、原液4を吸い込むことができなくなる。この場合、ステム2は、残りの原液4を噴射することができず、代わりに、原液を噴射するために充填されている噴射剤5の気相部のみを噴射してしまう。
【0006】
例えば、下記特許文献1には、倒立、正立、の両方の使用態様に対応するため、流体送り用管の先に錘を付け、前記流体送り用管が、倒立時に、その中間部分で容器の底側からステムのある上蓋側へと折り曲がるようにした、エアゾール用容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6−57867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の容器は、倒立、正立、の両方の使用態様に対応することを目的としており、構成が複雑である。
【0009】
本発明は、倒立型エアゾール用容器に用いるバルブであって、完全に倒立させる場合以外に、ステムを斜め下に向けて使用しても、原液を効率よく噴射できるように、確実に動作する、簡単な構成の倒立型エアゾール用バルブ、該バルブを用いた倒立型エアゾール用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の倒立型エアゾール用バルブは、倒立させた時に下側に位置するステムを押すことによって、内包物を噴射する倒立型エアゾール、の容器を形成するため、エアゾール用缶に取り付けて用いる倒立型エアゾール用バルブであって、前記バルブが、マウンテンカップと、ステムと、ハウジングと、第1管と、複数の第2管と、を備えており、前記ハウジングの第1端にステムが取り付けられており、該ハウジングが、ステムの押下に応じて、ステムと、ハウジングのステム取り付け側と反対の第2端と、の間を連通するようになっており、ステムとハウジングとが、前記マウンテンカップに、取り付けられており、前記マウンテンカップが、前記エアゾール用缶を密閉するように、該缶に気密に取り付けられ得るものであり、前記第1管の一方の端が、前記ハウジングの第2端に接続されており、前記複数の第2管が、それぞれ、前記第1管の他方の端に接続され、取り付け時に前記ハウジング近傍の前記エアゾール用缶の内周面へと向けて、放射状に延びており、端に開口を有しており、かつ、重力の作用に応じて、前記開口から前記第1管への路を開く重力動作弁を有しており、倒立した時に前記重力動作弁が開くように、前記第1管と第2管との接続部が、倒立時に、前記開口よりも高くなる位置に設けられている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の倒立型エアゾール用バルブは、請求項1記載の倒立型エアゾール用バルブであって、前記重力動作弁が、重力動作型のボール弁であり、前記第2管の直径が開口から第1管に近づくにつれてテーパー状に小さくなっており、前記第2管の内部に、第1管側を密閉できる直径のボール弁が設けられており、かつ、前記開口に前記ボール弁が抜け出ることを防ぐ部品が設けられている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の倒立型エアゾール用バルブは、請求項1又は2に記載の倒立型エアゾール用バルブであって、前記第2管が、2本であり、等間隔に設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の倒立型エアゾール用バルブは、請求項1又は2に記載の倒立型エアゾール用バルブであって、前記第2管が、3本であり、等間隔に設けられている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の倒立型エアゾール用容器は、請求項1乃至4の何れか1つに記載の倒立型エアゾール用バルブを、エアゾール用缶に取り付けることによって形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の、エアゾール用缶に取り付けて用いる倒立型エアゾール用バルブは、ステムを斜め下に向けて使用する場合、開口が原液に浸かる側にある第2管の重力動作弁が開き、かつ、上に向いている、開口が原液に浸からない側にある、第2管の重力動作弁を確実に閉じることができるという、利点を有している。また、バルブの構成は、倒立、正立、の両方の使用態様に対応する場合に比べ、簡単にすることができる。
【0016】
前記構成を採用したことによって、エアゾール用缶に取り付けて用いるとき、ステムを斜め下に向けた状態で使用する場合でも、確実な動作によって、原液を効率よく噴射することができる。
【0017】
また、倒立した時に前記重力動作弁が開くように、前記第1管と第2管との接続部を、倒立時に前記開口よりも高くなる位置に設けたことによって、完全に倒立させた時、全ての第2管の重力動作弁が開き、最も効率よく、原液をステムから噴射することができるようになる。逆に容器を完全に正立させた時、全ての第2管の重力動作弁が閉じ、原液を噴射するための噴射剤の気相部がステムから漏出することを防ぐことができるようになる。
【0018】
さらに、倒立した時に前記重力動作弁が開くように、前記第1管と第2管との接続部が、倒立時に、前記開口よりも高くなる位置に設けられていることから、ステム2を正立位置から第2管の水平軸に対する傾き(以下、α度という)以上に傾けるまでは、原液に浸かる側にある第2管の重力動作弁が開かず、噴射剤の気相部がステムから漏出することを防ぐことができる。また、原液に浸からない側にある第2管の動作バルブについては、ステムを正立位置から(180度−“α度”)以上に傾けるまでは、開かず、早期に該重力動作弁が開くことを防ぐことができる。
【0019】
請求項2記載の倒立型エアゾール用バルブでは、請求項1記載のバルブであって、重力動作弁として、簡単な構成のボール弁を用いることによって、構成の簡略化を図ることができる。
【0020】
請求項3記載の倒立型エアゾール用バルブでは、請求項1又は2に記載のバルブであって、等間隔に設けられている2本の第2管を用いる。ステム2を斜め下に向けた状態で使用する場合、開口が原液に浸る側にある、一方の第2管の重力動作弁を開き、180度逆向きの位置で、上を向いている、開口が原液に浸からない側にある、他方の第2管の重力動作弁を確実に閉じることができる、という利点を有している。
【0021】
請求項4記載の倒立型エアゾール用バルブでは、請求項1又は2に記載のバルブであって、等間隔に設けられている3本の第2管を用いる。第2管が2本の場合に比べ、ステムを斜め下に向けた状態で使用する場合に、原液に浸かる側にある、第2管の本数を1又は2本とすることができる。同時に、第2管が120度の間隔で離れているため、原液に浸からない側にある、残りの第2管の重力動作弁を確実に閉じることができる、という利点を有している。
【0022】
請求項5記載のエアゾール用容器では、請求項1乃至4の何れか1つに記載のエアゾール用バルブを用いたことによって、ステムを斜め下に向けた状態で使用する場合であっても、原液を噴射するための噴射剤がステムから漏出することを防ぎつつ、全ての原液を効率よくステムから噴射することができる、という利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】倒立型エアゾール用バルブを備えている容器を示す断面図である。
【図2】(a)は、バルブの構成を示す断面図であり、(b)は、バルブの重力動作機構部の側部構造を示す斜視図である。
【図3】(a)乃至(c)は、バルブを備えている容器の使用状態を説明するための断面図である。
【図4】バルブの第2管の構造の一実施例を示す断面図である。
【図5】バルブの重力動作機構部の変形例を示す上面図である。
【図6】(a)、(b)は、従来の倒立型エアゾール用容器の内部構造と、使用状態の説明を行うための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、倒立型エアゾールに用いる容器100の全体を示す断面図である。説明の便宜上、重力動作機構部6に係る部分の詳細図は、省略している。図6を用いて説明した従来の容器200が備えているものと同じ構成物は、同じ参照番号を付して示す。容器100は、缶1と、倒立型エアゾール用バルブAと、を備えている。
【0025】
前記倒立型エアゾール用バルブAは、マウンテンカップ1aと、ステム2と、ハウジング3と、重力動作機構部6と、を備えている、前記ハウジング3の第1端にステム2が取り付けられている。そして、ステム2とハウジング3とが、前記マウンテンカップ1aに、取り付けられており、前記マウンテンカップ1aは、エアゾール用缶1の上部開口部分との間に、気密に接続されている。
【0026】
ハウジング3は、スプリング3bを有しており、ステム2を常に上方へと付勢している。ステム2は、図中、縦方向に延びている吐出口(縦孔)2aと、吐出口2aから横向きに延びているステムオリフィス(横孔)2bと、を備えている。ステムオリフィス2bは、ステム2が押下されていないときは、ハウジング3の弾性体であるパッキン3cによって密閉されている。ハウジング3は、パッキン3cの下側に、ステム2を押下したときにステムオリフィス2bと開口3aとを接続する路3dを備えている。
【0027】
缶1は、円柱状であるが、原液4を噴射するための噴射剤5の封入に耐えられるものであれば特に限定されない。内包物としては、原液4の他、泡状、ゲル状、粒状のもの等、噴射剤5による圧力によってステム2から噴射可能な物を含む。重力動作機構部6の両端は、缶1に装着が可能な範囲内で、ステム2のあるマウンテンカップ1a近傍の内周面1bの近くにまで達しているのが好ましい。また、前記両端は、マウンテンカップ1aに近いほうが好ましい。前記構成を採用することによって、重力動作機構部6は、ステム2を斜め下に向けた状態で使用する場合であっても効率よく原液4を吸い込むことができ、全ての原液4をステム2から噴射することができる。また、重力動作機構部6の構成は、倒立、正立、の両方の使用態様に対応する場合に比べ、簡単にすることができる。
【0028】
上記重力動作機構部6の両端の長さは、缶1の内部に挿入でき、且つ、本発明の所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、具体的な長さとしては重力動作機構部6を容易に缶1の内部に挿入できる観点から、マウンテンカップ1a、又は、その近傍の内周面1bの最長両端部の範囲を超えない範囲で成形されていることが好ましく、缶1の内部に挿入されるマウンテンカップ1aの最長両端部の範囲を超えない範囲で成形されていることがより好ましい。
【0029】
図2(a)は、倒立型エアゾール用バルブAの構成を示す断面図である。図2(b)は、重力動作機構部6の側部構造を示す斜視図である。説明の便宜上、ステム2に係る部分の図は、省略している。
【0030】
重力動作機構部6は、第1管60と、2本の第2管61a、61bと、を備えている。第1管60は、ハウジング3の開口3aに、接続されており、缶1の内方へと突出している。2本の第2管61a、61bは、それぞれ、第1管60に接続され、前記内周面1bの近傍へと、等間隔に放射状、すなわち180度の間隔をあけて延びており、端の部分に開口63a、63bを有している。更に、2本の第2管61a、61bは、重力の作用に応じて、開口63a、63bから第1管60への路を開く重力動作弁B1、B2を有している。重力動作弁B1、B2は、ステム2が下に向くように容器を倒立した時に開くように、前記第1管と第2管との接続部が、倒立時に、前記開口63a、63bよりも高くなる位置、換言すれば、図示するように、前記第1管60と第2管61a、61bとの接続部が、正立時に、前記開口63a、63bよりも低くなる位置、に設けられている。
【0031】
重力動作弁B1、B2は、いわゆる重力動作型のボール弁であり、第2管61a、61bと、ボール弁62a、62bと、で構成されている。第2管61a、61bの直径は、開口63a、63bから第1管60に近づくにつれてテーパー状に小さくなっている。ボール弁62a、62bは、前記第2管の内部で重力に応じて移動可能に設けられており、第2管61a、61bの、第1管側の通路を密閉できる直径を有している。前記構成の重力動作弁を用いることによって、構成の簡略化を図ることができる。
【0032】
図2(b)に示すように、開口63a、63bには、ボール弁62a、62bが抜け出ることを防ぐ部品64a、64bが設けられている。部品64a、64bは、原液4が開口63a、63bを通れる状態で、ボール弁62a、62bが抜け出ることを防ぐものであればよい。部品64a、64bは、図示するように棒状の部材であるが、他に、網状のもの、ボールを係止できるような突起物等であっても良い。
【0033】
前記構成の倒立型エアゾール用容バルブAでは、ステム2を斜め下に向けた状態で使用する場合、開口が原液に浸かる側にある、一方の第2管の重力動作弁B1又はB2が開き、180度逆向きの位置で上に向いている、開口が原液に浸からない側にある、他方の第2管の重力動作弁B2又はB1を確実に閉じることができる。該構成を採用したことによって、ステム2を斜め下に向けた状態で使用する場合であっても、原液4を噴射するための噴射剤5がステム2から漏出することを防ぎつつ、全ての原液4を効率よくステム2から噴射することができる。
【0034】
また、容器を倒立した時に重力動作弁が開くように、前記第1管60と第2管61a、61bとの接続部が、倒立時に、前記開口63a、63bよりも高くなる位置に設けたことによって、ステム2が真下を向くように容器100を完全に倒立させた時に、全ての第2管の重力動作バルブB1、B2が開き、最も効率よく、原液4をステム2から噴射することができる。逆にステム2が真上を向くように容器を完全に正立させたときには、全ての第2管の重力動作弁B1、B2が閉じ、原液4を噴射するための噴射剤5が不必要にステム2から漏出することを防ぐことができる。
【0035】
図3(a)乃至(c)は、容器100の使用状態を説明するための断面図である。図3(a)は、缶1を正立させたときの状態を示す。傾斜の設けられている第2管61a、61b内において、ボール弁62a、62bは、重力の作用によって第1管60側の通路を密閉しており、ステム2が押下されてハウジング3が開いたとしても、中の噴射剤5を漏出しないようになっている。
【0036】
図3(b)は、ステム2を横向きにした状態を示す。ボール弁62a、62bは、重力の作用によって、下側に位置する第2管61bと第1管60との間を原液4が流れるように接続しており、上側に位置する第2管61aと第1管60との間を遮断している。ステム2を押下すると、原液4が、第2管61aからの噴射剤5の漏出を伴うことなく、第2管61bと、ハウジング3と、を介して噴射される。
【0037】
図3(c)は、缶1を完全に倒立させた状態を示す。ボール弁62a、62bは、重力の作用によって、2本の第2管61a、61bと第1管60との間を原液4が流れるように接続している。ステム2を押下すると、原液4が、2本の第2管61a、61bと、ハウジング3と、を介して、最も効率よく噴射される。
【0038】
図4は、バルブの第2管の構造の一実施例を示す図である。図示するように、缶1を正立させた時、前記第2管61a、61bが、水平軸に対して45度の角度に設定する。当該構成を採用することによって、ステム2を正立位置から45度以上傾けるまでは、原液に浸かる側にある第2管の重力動作弁B1又はB2が動作せず、図3(a)の状態から図3(b)の状態へと変化しない。これによって、前記噴射剤5がステム2から漏出することを防ぐことができる。
【0039】
また、原液4に浸からない側にある第2管の重力動作弁B2又はB1については、ステム2を正立位置から(180―45)度以上に傾けるまでは、開かず、早期に重力動作弁B2又はB1が開くことを防ぐことができる。
【0040】
なお、上記角度は、実際の使用状態の統計等に基づいて、5度以上、10度以上、15度以上等、又は、その他の、本発明のバルブが最もよく機能できる値に定めるのが好ましい。
【0041】
図5は、重力動作機構部6’を示す図である。図2に示した重力動作機構部6と比べ、本図に示す重力動作機構部6’は、等間隔の120度毎に設けられている3本の第2管61c、61d、61eを、備えている点で相違する。第2管が2本の場合に比べ、ステム2を斜め下に向けた状態で使用する場合に、原液4に浸かる側にある第2管の本数を1又は2本とすることができる。同時に、第2管が120度の間隔で離れているため、原液4に浸からない側にある残りの第2管の重力動作バルブを正確に閉じることができる、という利点を有している。
【0042】
倒立型エアゾール用容器として使用時、噴射剤5の漏出をできる限り抑え、全ての原液4を最も効率よく噴射できる倒立型エアゾール用バルブを提供する、という観点では、第2管の本数は、前記のように2本又は3本とすることが好ましい。
【0043】
しかし、多少の噴射剤5の漏出を伴っても、全ての原液を効率よく噴射できる倒立型エアゾール用バルブを提供する、という観点では、第2管の本数は、更に5本、7本と増やしても良い。奇数本にするのは、2本の第2管が同時に水平状態になり、噴射剤が多量に漏出するのを防ぐためである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、化粧用品、殺虫剤等の、原液を噴射させて用いる倒立型エアゾール用容器に用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
A、C 倒立型エアゾール用バルブ
1 缶
1a マウンテンカップ
2 ステム
2a 吐出口
2b ステムオリフィス
3 ハウジング
3a、63a、63b 開口
3c パッキン
4 原液
5 噴射剤
6、6’ 重力動作機構部
60 第1管
61a、61b、61c、61e 第2管
62a、62b ボール弁
64a、64b ボール止め部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
倒立させた時に下側に位置するステムを押すことによって、内包物を噴射する倒立型エアゾール、の容器を形成するため、エアゾール用缶に取り付けて用いる倒立型エアゾール用バルブであって、
前記バルブが、マウンテンカップと、ステムと、ハウジングと、第1管と、複数の第2管と、を備えており、
前記ハウジングの第1端にステムが取り付けられており、該ハウジングが、ステムの押下に応じて、ステムと、ハウジングのステム取り付け側と反対の第2端と、の間を連通するようになっており、
ステムとハウジングとが、前記マウンテンカップに、取り付けられており、前記マウンテンカップが、前記エアゾール用缶を密閉するように、該缶に気密に取り付けられ得るものであり、
前記第1管の一方の端が、前記ハウジングの第2端に接続されており、
前記複数の第2管が、それぞれ、前記第1管の他方の端に接続され、取り付け時に前記ハウジング近傍の前記エアゾール用缶の内周面へと向けて、放射状に延びており、端に開口を有しており、かつ、重力の作用に応じて、前記開口から前記第1管への路を開く重力動作弁を有しており、
倒立した時に前記重力動作弁が開くように、前記第1管と第2管との接続部が、倒立時に、前記開口よりも高くなる位置に設けられている、
ことを特徴とする倒立型エアゾール用バルブ。
【請求項2】
前記重力動作弁が、重力動作型のボール弁であり、前記第2管の直径が開口から第1管に近づくにつれてテーパー状に小さくなっており、前記第2管の内部に、第1管側を密閉できる直径のボール弁が設けられており、かつ、前記開口に前記ボール弁が抜け出ることを防ぐ部品が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の倒立型エアゾール用バルブ。
【請求項3】
前記第2管が、2本であり、等間隔に設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の倒立型エアゾール用バルブ。
【請求項4】
前記第2管が、3本であり、等間隔に設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の倒立型エアゾール用バルブ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の倒立型エアゾール用バルブを、エアゾール用缶に取り付けることによって形成されている、倒立型エアゾール用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−71881(P2012−71881A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219928(P2010−219928)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】