説明

偏光デバイスおよびその偏光デバイスの製造法

本開示のいくつかの非限定的実施形態は、眼科エレメントまたは基板の少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を含む眼科エレメントおよびデバイスを提供する。さらに、非限定的実施形態によれば、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜は、少なくとも一つの少なくとも部分的に直線配列させた二色性物質を含む。本開示の別の非限定的実施形態は、眼科エレメントまたは基板の少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成させる工程を包含する眼科エレメントおよびデバイスの製造法を提供する。光学エレメントおよびデバイスならびにそれらの製造法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
該当なし。
【0002】
(連邦政府が資金提供した研究または開発)
該当なし。
【0003】
(配列リストへの参照)
該当なし。
【背景技術】
【0004】
(背景)
偏光眼科デバイス、たとえば偏光サングラスは、ここに挙げる例に限定されるものではないが、たとえば舗装道路、水、雪など、さまざまな表面からの光の反射によるまぶしさを緩和することができ、これによりまぶしい状況下での視力が高められる。それゆえ、偏光眼科デバイスは、反射光によるまぶしさが障害となりうるスポーツやその他の屋外活動に使用する観点から関心が高まってきている。
【0005】
従来の眼科デバイス用偏光フィルターは、延伸またはその他の方法で配向させ、ヨウ素発色団または二色性染料を含浸させたポリマー材料のシートまたは層で作られている。たとえば、通常の眼科デバイス用偏光フィルターを作製する一つの方法は、まず、ポリビニルアルコール(「PVA」)のシートまたは層を加熱してPVAを軟らかくし、それからそのシートを延伸してPVAポリマー鎖を配向させることである。このあと、ヨウ素発色団または二色性染料をシートに含浸させてヨウ素または染料分子を配列ポリマー鎖に結合させて、特定の秩序ある配列(order)または直線配列(alignment)をとらせる。別の方法では、ヨウ素発色団または二色性物質をまずPVAシートに含浸させ、それから該シートを、上と同様に、加熱、延伸してPVAポリマー鎖および会合ヨウ素発色団または染料分子を配向させる。
【0006】
ヨウ素発色団および二色性染料は、二色性物質であって、透過電磁波の二つの直交する面偏光成分の一方を、他方より強く吸収する。二色性物質は透過電磁波の二つの直交する面偏光成分の一方を優先的に吸収するが、二色性物質分子の位置または配置が正しくないと、正味の透過電磁波はほとんど偏光されないことになる。すなわち、二色性物質分子が規則性のない配列をとると、個々の分子による選択的吸収が互いに打ち消されてしまい、正味の、すなわち全体としての偏光効果は現れないことになる。しかし、二色性物質分子をPVAシートの配向ポリマー鎖内部の適切な位置に配置すれば、正味の偏光を実現することができる。すなわち、透過電磁波を偏光させるPVAシートを作ることができる。言い換えれば、偏光フィルターを作ることが可能となる。本明細書で使用する「偏光させる」という用語は、光波の電場ベクトルの振動を一方向に限定することを意味する。
【0007】
このような偏光ポリマーシートのフィルターを使用して、偏光眼科デバイスを作製する一つの方法は、レンズ基板の凸外表面にフィルターを積層させるか接着する方法である。通常の偏光ポリマーシートフィルターを使用してレンズを作る別の方法は、レンズ成形型の表面に偏光シートを内張りし、それからその成形型に基板材料を充填する方法である。その際、成形型から取り出したとき、偏光シートはレンズ表面にあるようにする。さらに別の方法では、レンズ構造体自身にフィルターが組み込まれる。たとえば、二つの基板の間にフィルターを積層させ、それから両基板を合体させるか、フィルターの周囲に基板材料を流し込むことによって、フィルターをレンズ構造体の中に組み込む。流し込み法の場合は、偏光フィルターを成形型の中に置き、それから、基板材料、典型的には熱硬化性プラスチックモノマーを成形型に充填し、基板材料が偏光フィルターの周辺を囲むようにしてカプセル化することができる。このあと基板材料を硬化させてレンズを作製する。
【0008】
さらに、転写ホイル(transfer foil)の放出層コンポーネント上に選択的配向性を示す線状光重合性材料フィルムを形成して偏光層を作製する方法も知られている。このあと、作製した線状光重合性材料に、二色性染料を含む液晶ポリマー材料を付与し、それから液晶ポリマー鎖を配列させることができる。二色性染料は液晶ポリマー内に包含されるため、液晶ポリマー鎖を直線配列させれば、二色性染料も直線配列し、その結果、正味の偏光効果を実現することができる。そこで、偏光層は、たとえば高温スタンプ法(hot stamping)によって、転写ホイルから適当な基板に転写することができる。
【0009】
液晶物質を使用して偏光シートまたは偏光層を作製するその他の方法も知られている。たとえば、二色性染料を含む配向サーモトロピック液晶フィルムから作製される偏光シートが開示されている。さらに、ポリマー主鎖の一部として共有結合させた二色性染料を含む液晶ポリマーを押し出し成形して作製される偏光シートも開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要旨)
本明細書に開示する多様な非限定的実施形態は、光学エレメントおよびデバイスならびに眼科エレメントおよびデバイスを提供する。たとえば、一つの非限定的実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を含む眼科エレメントを提供する。
【0011】
別の非限定的実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも一つの配向機構と、この少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分の上の透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜とを含む眼科エレメントを提供する。
【0012】
別の非限定的実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を、そして配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上に、配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を、そして配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上に、一つの異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を、含む眼科エレメントを提供する。
【0013】
さらに別の非限定的実施形態は、基板と、前記基板の少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜を含む少なくとも一つの配向機構と、そして光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜とを含み、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的なこの被膜は、液晶ポリマーと、少なくとも一つの二色性染料とを含む、眼科エレメントを提供する。
【0014】
そしてさらに別の非限定的実施形態は、光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を含み、少なくとも部分的な前記被膜は、少なくとも部分的に秩序ある配列をした液晶物質と、少なくとも一つの少なくとも部分的に直線配列させた二色性物質とを含む眼科エレメントを提供する。
【0015】
別の非限定的実施形態は、少なくとも一つの光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を含み、そして前記配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上に、異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも一つの被膜を含む、光学エレメントを含む光学デバイスを提供する。
【0016】
本明細書に開示する別の非限定的実施形態は、光学エレメントおよび眼科エレメントの製造法を提供する。たとえば、一つの非限定的実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成させる工程を包含する、眼科エレメント製造法を提供する。
【0017】
別の非限定的実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を含む少なくとも一つの配向機構を設ける工程と、少なくとも一つの前記配向機構の少なくとも一部分に、少なくとも一つの二色性物質を付与する工程と、少なくとも一つの前記二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程と、を包含する眼科エレメント製造法を提供する。
【0018】
別の非限定的実施形態は、少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過電磁波を偏光させるようにする工程と、を包含する眼科エレメント製造法を提供する。
【0019】
さらに別の非限定的実施形態は、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、一つの異方性物質と少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を、少なくとも部分的に秩序ある配列をした前記配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する工程と、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程と、を包含する眼科エレメント製造法を提供する。
【0020】
別の非限定的実施形態は、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜を、レンズの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、面偏光紫外線を照射して光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に、秩序ある配列を形成する工程と、一つの液晶物質と、少なくとも一つの二色性染料とを含む少なくとも部分的な被膜を、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被覆の少なくとも一部分に付与する工程と、前記液晶物質と、少なくとも一つの前記二色性染料とを含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程と、前記液晶ポリマーと、少なくとも一つの前記二色性染料とを含む前記被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程とを包含する眼科用レンズ製造法を提供する。
【0021】
さらに別の非限定的実施形態は、少なくとも部分的な被膜を、光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、少なくとも部分的な被覆の少なくとも一部分を改変して、少なくとも透過電磁波を偏光させるように調製する工程とを包含する光学エレメント製造法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(詳細な説明)
本明細書および添付の特許請求項の中で使用する冠詞「a」、「an」、および「the」は、指示対象が特に一つであると明示的かつ一義的に限定しない限り、複数個の指示対象を含む。
【0023】
さらに、本明細書の目的からして、特に明記しない限り、本明細書中で使用される成分、反応条件、およびその他の性質またはパラメーターの数量を表す数は、すべての例において「約」という用語で修飾されているものと理解すべきである。したがって、特に明示しない限り、以下の明細書および添付される特許請求項に記載する数値パラメーターは、概数であると理解すべきである。最低でも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではなく、数値パラメーターは、報告された有効数字の桁の数と通常の四捨五入法とに照らして読むべきである。
【0024】
さらに、上で述べたように、本発明の広い範囲を記述する数値範囲およびパラメーターは近似的なものであるが、実施例の項に記載する数値は、可能な限り精密に報告されている。しかし、このような数値は、元々測定機器および/または測定法に由来する一定の誤差を含んでいる。
【0025】
以下では、本発明のさまざまな非限定的実施形態によるエレメントおよびデバイスについて説明する。一つの非限定的実施形態は、光学エレメントを提供し、より具体的には、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるように改変した少なくとも部分的な被膜を含む眼科エレメントを提供する。
【0026】
上で述べたように、「偏光させる」という用語は、光波の電場ベクトルの振動を一方向に限定することを意味する。また、上で述べたように、従来の眼科エレメント、たとえば眼科デバイス用レンズは、典型的には、二色性物質、たとえばヨウ素発色団を含む延伸PVAシート(または層)から作製した偏光フィルターをレンズの基板に積層するか、成形して製造される。しかし、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるように改変した少なくとも部分的な被膜を含む。したがって、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、上で述べたような従来の積層構造を必要としない。本明細書に使用されている前置詞「上に(on)」は、主体である被膜が、客体である表面と直接的に連結しているか、一つ以上の別の被膜または構造体を介して客体表面に間接的に連結していることを意味する。また、本明細書で使用される「被膜」という用語は、フィルムを意味し、その厚さは一様であっても一様でなくてもよく、具体的には従来技術による延伸ポリマーシートは除外される。
【0027】
本明細書で使用される「眼科(ophthalmic)」という用語は、眼および視覚と関係するエレメントおよびデバイス、たとえば眼に着用する装具および眼科用レンズを意味するが、もちろんこれらに限定されるものではない。したがって、たとえば本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、矯正レンズ、非矯正レンズ、およびルーペ(拡大レンズ)の中から選択される。
【0028】
また、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、任意の好適な材料から製造することができ、そのような材料としては、ガラスおよび有機材料が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0029】
例えば、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、有機基板材料から製造することができる。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態に関連した使用に好適な有機基板材料としては、従来技術で認められていて、眼科用エレメントに有用なポリマー、たとえば光学用途、たとえば眼科用レンズとして光学的に透明な注型物を製造するために使用される光学用有機樹脂を挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書に開示する眼科エレメントを製造するために使用できる有機基板材料の具体的な非限定的例を挙げれば、ポリマー材料、たとえば米国特許第5,962,617号および米国特許第5,658,501号の欄15の28行目から欄16の17行目までに開示されているモノマーおよびモノマー混合物から製造される、ホモポリマーおよびコポリマーなどがある。これらの米国特許の開示内容を参照することによりここに組み込む。たとえば、このようなポリマー材料は、熱可塑性のポリマー材料でも、あるいは熱硬化性ポリマー材料でもよく、透明、または光学的に透明でもよく、要求される屈折率がいかなる値のものでもよい。開示されたこのようなモノマーおよびポリマーの非限定的な例としては、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー、たとえばPPG Industries,Inc.からCR−39の登録商標名で販売されているジエチルグリコールビス(アリルカーボネート)などのアリル ジグリコール カーボネート;ポリ(尿素−ウレタン)ポリマー、たとえばポリウレタンプレポリマーとジアミン硬化剤との反応で作られ、そのようなポリマー組成物の一例が、PPG Industries,Inc.からTRIVEXの登録商標名で販売されている;ポリオール(メタ)アクリロイル末端カーボネートモノマー;ジエチレングリコール ジメタクリルレートモノマー;エトキシル化フェノール メタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシル化トリメチロールプロパン トリアクリレートモノマー;エチレングリコール ビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシル化ビスフェノールA ジメタクリレート);ポリ(酢酸ビニル);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(塩化ビニル);ポリ(塩化ビニリデン);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;熱可塑性ポリカーボネート;たとえばビスフェノールAとホスゲンとから誘導され、たとえばLEXANの登録商標名で売られているカーボネート結合樹脂;たとえばMYLARの登録商標名で販売されているポリエステル;ポリ(エチレン テレフタレート);ポリビニルブチラール;たとえばPLEXIGLASの登録商標名で市販されているポリ(メチル メタクリレート)、および多官能性イソチアネートと、ポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーとの反応によって作られるポリマー、そしてポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネート、および自由選択的にエチレン性不飽和モノマーまたはハロゲン化芳香環を含むビニルモノマーの単独重合、またはこれらの共重合および/または三元重合によるポリマーを挙げることができる。加えて、このようなモノマーの共重合体、ならびに前記ポリマーのブレンド、およびその他のポリマーとのブロック共重合による共重合体も構想される。有機基板材料の正確な特性は、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態にとって重要ではないが、一つの非限定的実施形態において、有機基板材料は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるように改変した少なくとも部分的な被膜と化学的に相溶すべきである。
【0031】
さらに、本明細書に開示するいくつかの非限定的実施形態によれば、眼科エレメントを構成する基板は、外表面に保護膜、たとえば耐摩耗性被膜、いわゆる「硬い被膜」を有することができるが、こうした被膜に限定されるものではない。これらの表面にはひっかき傷、擦り傷、あるいは引きずり傷が付きやすいため、市販されている熱可塑性ポリカーボネートレンズ基板は、その多くが、外表面にたとえば耐摩耗性被膜を備えている。このようなレンズ基板の一つの例は、GENTEXTMポリカーボネートレンズ(Gentex Optics社から入手できる)である。したがって、本明細書で使用される「基板」という用語は、限定されるものではないが、その表面に保護膜、たとえば耐摩耗性被膜を有する基板を含む。
【0032】
さらに、本明細書に開示する非限定的実施形態に従って眼科エレメントを作製するために使用される基板は、色なし、色つき、フォトクロミック、色つき−フォトクロミック併用のいずれの眼科エレメントが可能である。
【0033】
眼科エレメントおよび基板に関して、本明細書で使用される「色なし」という用語は、実質的に着色剤(限定されるわけではないが、たとえば既存の染料)の添加を含まず、化学線に応答してほとんど変化しない、可視光線に対する吸収スペクトルを有することを意味する。本明細書で使用される「化学線」という用語は、応答を引き起こす能力を持つ電磁波を意味する。本明細書で使用されている化学線は、限定的ではなく、可視光線と紫外線の両法を含むことができる。
【0034】
眼科エレメントおよび基板に関して、本明細書で使用される「色つき」という用語は、着色剤(限定されるわけではないが、たとえば既存の染料)の添加を含み、化学光線に応答してほとんど変化しない、可視光線に対する吸収スペクトルを有することを意味する。
【0035】
本明細書で使用される「フォトクロミック」という用語は、少なくとも化学線に応答して変化する、可視光線に対する吸収スペクトルを有し、かつ熱的に可逆的である、可視光線に対する吸収スペクトルを有することを意味する。本明細書で限定はしないが、たとえば本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用できる、フォトクロミックなエレメント、基板、被膜、および物質は、電磁波に応答して透明な状態から着色した状態へ、あるいは電磁波に応答して一つの着色状態から別の着色状態へ変化してもよい。たとえば、一つの非限定的実施形態において、フォトクロミックな眼科エレメントは、化学線に応答して透明な状態から着色した状態へ変化し、熱線または加熱に応答して元の透明状態に戻ることができる。さらに別の実施形態において、フォトクロミックな眼科エレメントは、化学線に応答して第一の着色状態から第二の着色状態へ変化し、熱線または加熱に応答して再び第一着色状態に戻ることができる。
【0036】
眼科エレメントおよび基板に関して、本明細書で使用される「色つき−フォトクロミック」という用語は、着色剤の添加とフォトクロミック物質とを含み、少なくとも化学光線に応答して変化する、可視光線に対する吸収スペクトルを有し、かつ熱的に可逆的であることを意味する。したがって、たとえば一つの非限定的実施形態において、着色フォトクロミック基板は、着色剤に基づく第一の色と、化学線をこれに当てたときの着色剤とフォトクロミック物質との併用に基づく第二の色とを持つことができる。
【0037】
上で述べたように、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施例による眼科エレメントは、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるように改変した少なくとも部分的な被膜を含む。本明細書で使用される「透過電磁波」という用語は、エレメントまたは基板の少なくとも一部分を通過する電磁波を意味する。本明細書において限定的ではないが、透過電磁波は、可視光線であってもよいし、可視光線と紫外線の組み合わせであってもよい。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜は、透過可視光を偏光させるように作ることもできるし、あるいは透過可視光線と透過紫外線の組み合わせを偏光させるように作ることもできる。
【0038】
さらに、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上の、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜は、少なくとも一つの二色性物質を含むことができる。本明細書で使用される「二色性物質」および「二色性染料」という用語は、少なくとも透過電磁波の、直交する二つの面偏光成分のうちの一つを、もう一方より強く吸収する物質を意味する。二色性物質が、直交する二つの面偏光成分のうちの一方をどの程度強く吸収するかを表す一つの尺度は、「吸収比」である。本明細書で使用される「吸収比」という用語は、吸光度が最も大きな面を第一の面としたときの、第一の面における線形偏光電磁波の吸光度と第一の面に対して直交する面における同じ波長の線形偏光電磁波の吸光度との比を意味する。吸収比決定法は、下記「実施例」の中で詳しく説明する。
【0039】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用可能な二色性物質として吸収比が2〜30(必要に応じてこれより高い吸収比)の範囲にある二色性物質を挙げることができるが、これに限定されるものではない。たとえば、いくつかの非限定的実施形態によれば、二色性物質は、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも7、少なくとも10、またはそれより高い吸収比を有する。さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、吸収比が異なる二色性物質を組み合わせて使用することもできる。たとえば、一つの非限定的実施形態では、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜は、第一の吸収比を有する第一二色性物質と、第一の吸収比と異なる第二の吸収比を有する少なくとも一つの第二の二色性物質とを含むことができる。
【0040】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用するに適した二色性物質の非限定的実施例には、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン類、キノナフタロン系染料、ペリレン類、フタロペリン類、トリフェノジオキサジン類、インドロキノキサリン類、イミダゾ−トリアジン類、テトラジン類、アゾ染料、(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン類、ナフトキノン類、アントラキノンおよび(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン類、ヨウ素およびヨウ素酸塩が含まれる。
【0041】
本明細書においては限定するものではないが、一つの非限定的実施形態では、二色性物質は、アゾ染料およびポリ(アゾ)染料の中から選択される。別の非限定的実施形態では、二色性物質はアントラキノンおよび(ポリ)アントラキノンである。
【0042】
さらに、別の非限定的実施形態では、二色性物質として重合性二色性物質が可能である。すなわち、この非限定的実施形態によれば、二色性物質は、重合可能な基(すなわち、「重合性基」)を少なくとも一つ含むことができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、非限定的実施形態では、少なくとも一つの二色性物質は、末端に少なくとも一つの重合性基を有する、少なくとも一つのアルコキシ、ポリアルコキシ、アルキル、またはポリアルキル置換基を持つことができる。
【0043】
一つの非限定的実施形態によれば、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上の、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜は、少なくとも一つの二色性物質と、少なくとも一つの異方性物質とを含むことができる。本明細書で使用される「異方性」という用語は、少なくとも一つの異なる方向で測定すると数値が異なる少なくとも一つの性質を持つことを意味する。したがって、「異方性物質」とは、少なくとも一つの異なる方向で測定すると数値が異なる、少なくとも一つの性質を持つ物質のことである。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用できる異方性物質としては、光学的に異方性を示す物質が可能である。
【0044】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用するに適した異方性物質の非限定的な例としては、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、および液晶モノマーの中から選択される液晶物質を挙げることができる。本明細書で使用される「プレポリマー」という用語は、部分的に重合させた材料を意味する。たとえば、一つの非限定的実施形態によれば、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜は、少なくとも一つの二色性物質と、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、および液晶モノマーの中から選択される少なくとも一つの異方性物質とを含むことができる。
【0045】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して異方性物質としての使用に適する液晶モノマーとしては、一官能性液晶モノマーに加えて多官能性液晶モノマーも挙げることができる。また、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、液晶モノマーとしては、架橋性液晶モノマーが可能であり、さらに光架橋性液晶モノマーも可能である。本明細書で使用される「光架橋性プレポリマー」という用語は、化学線を照射して架橋可能な、たとえばモノマー、プレポリマーまたはポリマー材料を意味する。
【0046】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、異方性物質としての使用に適する架橋性液晶モノマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルならびにこれらのブレンドの中から選択される官能基を有する液晶モノマーを挙げることができる。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、異方性物質としての使用に適する光架橋性液晶モノマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、アルキン、エポキシド、チオールおよびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する液晶モノマーを挙げることができる。
【0047】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用するに適した液晶ポリマーおよびプレポリマーとしては、サーモトロピック液晶ポリマーおよびプレポリマーならびにリオトロピック液晶ポリマーおよびプレポリマーを挙げることができる。さらに、液晶ポリマーおよびプレポリマーとしては、主鎖型ポリマーおよびプレポリマーまたは側鎖型ポリマーおよびプレポリマーが可能である。加えて、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、液晶ポリマーおよびプレポリマーとして架橋性のものが可能であり、さらに光架橋性のものも可能である。
【0048】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、異方性物質としての使用に適する好適な液晶ポリマーおよびプレポリマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルならびにこれらのブレンドの中から選択される官能基を有する主鎖型および側鎖型ポリマーおよびプレポリマーを挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、異方性物質としての使用に適する光架橋性液晶ポリマーおよびプレポリマーの非限定的な例として、アクリレート、メタクリレート、アルキン、エポキシド、チオールおよびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する液晶ポリマーおよびプレポリマーを挙げることができる。
【0049】
さらに加えて、本明細書においては限定するものではないが、さまざまな非限定的実施形態によれば、異方性物質の少なくとも一部分は、少なくとも部分的に秩序ある配列を有しており、そして、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分は、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する前記異方性物質の少なくとも一部分と、少なくとも同じ直線上に配列させることができる。本明細書で使用される「秩序のある配列をした(ordered)」という用語は、たとえば別の構造との直線配列によって、あるいは別の何らかの力または効果によって、ふさわしい配置または位置をとることを意味する。また、本明細書で使用される「直線配列した(aligned)」という用語は、別の構造との相互作用によってふさわしい配置または位置をとることを意味する。
【0050】
上で述べたように、二色性物質は、透過電磁波の、直交する二つの面偏光成分のうちの一つをもう一方より強く吸収するが、二色性物質分子は透過電磁波の正味の偏光を実現するために、適切な位置または配置をとるようにしなければならない。したがって、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、偏光効果が全体として実現しうるよう、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を、適当な位置または配置をとるように(すなわち秩序のある配列を有するように、または直線配列するように)することができる。
【0051】
たとえば、一つの非限定的実施形態では、少なくとも部分的な被膜は、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する異方性物質(たとえば液晶物質、ただしこれに限定されるものではない)と、少なくとも一つの少なくとも部分的に直線配列した二色性物質とを含むことができ、少なくとも部分的に直線配列した前記二色性物質は、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する前記異方性物質と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列する。本明細書においては限定するものではないが、この非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分の長軸と、前記異方性物質の配列方向とがおおむね平行になるように、前記二色性物質の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に直線配列させることができる。
【0052】
別の非限定的実施形態では、少なくとも一つの二色性物質は、異方性物質の少なくとも一部分と結合させるか、反応させることができる。たとえば、この非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの二色性物質は、重合によって異方性物質の少なくとも一部分の中に組み込むか、異方性物質の少なくとも一部分と反応させることができる。また、本明細書においては限定するものではないが、この非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの二色性物質は、ヒドロキシル、カルボキシル、(メタ)アクリルオキシ、2−(メタクリルオキシ)エチルカルバミル(−OC(O)NHCOC(O)C(CH)=CH)、エポキシ、またはそれらの混合物の中から選択される末端基およびまたはペンダント基を含む少なくとも一つの置換基を含むことができる。
【0053】
少なくとも一つの二色性物質と、少なくとも一つの異方性物質に加えて、さまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上の、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜は、さらに、少なくとも一つのフォトクロミック物質を含むことができる。上で述べたように、フォトクロミック物質は、少なくとも化学線に応答して変化する吸収スペクトルを有する。
【0054】
たとえば、本明細書においては限定するものではないが、少なくとも一つのフォトクロミック物質は、ピラン類、オキサジン類、フルギド類およびフルギミド類、ならびにジチゾン酸金属の中から選択することができる。しかし、さまざまな非限定的実施形態によれば、選択される具体的なフォトクロミック物質は重要ではなく、その選択は最終的な用途と、その用途に対して望まれる色または色合いによって左右される。一つの非限定的実施形態では、少なくとも一つのフォトクロミック物質は、活性化(すなわち、化学線を照射)されるとき、300〜1000ナノメートルの範囲に少なくとも一つの吸収極大を有する。
【0055】
さらに、いくつかの非限定的実施形態では、少なくとも部分的な被膜は、フォトクロミック物質の混合物を含むことができる。本明細書においては限定するものではないが、二つ以上のフォトクロミック物質が組合わせて使用される場合、フォトクロミック物質は、一般に、互いに補完して所望の色または色相を作り出すように選択されることが少なくない。たとえば、本明細書に開示するいくつかの非限定的実施形態では、フォトクロミック物質の混合物を使用して、ある一定の、活性化された色、たとえば中間色に近い灰色や中間色に近い褐色を実現することができる。たとえば、中間灰色および中間褐色の色を定義するパラメーターについて記載する米国特許第5,645,767号、欄12の66行目から欄13の19行目を参照のこと。その開示内容は、参照することによりここに組み込む。
【0056】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用することができるフォトクロミックピラン類の非限定的例としては、米国特許第5,645,767号に開示されている、ベンゾピラン類、ナフトピラン類、たとえばナフト[1,2−b]ピラン類、ナフト[2,1−b]ピラン類、スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピラン類、フェナントロピラン類、キノンピラン類、およびインデノ縮合ナフトピラン類;米国特許第5,723,072号、米国特許第5,698,141号、米国特許第6,153,126号、および米国特許第6,022,497号に開示されている、スピロピラン類、たとえばスピロ(ベンズインドリン)ナフトピラン類、スピロ(インドリン)ベンゾピラン類、スピロ(インドリン)ナフトピラン類、スピロ(インドリン)キノピラン類、およびスピロ(インドリン)ピラン類;ヘテロ環縮合ナフトピラン類を挙げることができる。これらの文献は、参照することによりここに組み込まれる。ナフトピラン類および補完有機フォトクロミック化合物のより具体的な例は、米国特許第5,658,501号の欄11の57行目から欄13の36行目に亘って記載されている。参照することによりこの文献をここに組み込む。
【0057】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用することができるフォトクロミックオキサジン類の非限定的例としては、ベンゾオキサジン類、ナフトオキサジン類、およびスピロオキサジン類、たとえば、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン類、スピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジン類、スピロ(ベンゾインドリン)ピリドベンゾオキサジン類、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトオキサジン類、スピロ(インドリン)ベンゾオキサジン類、およびスピロ(インドリン)フルオランテンオキサジン類を挙げることができる。
【0058】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用することができるフォトクロミックフルギド類およびフォトクロミックフルギミド類の非限定的例としては、米国特許第4,931,220号(参照することによってここに組み込む)の欄20の5行目から欄21の38行目に亘って記載されている3−フリルおよび3−チエニルフルギド類およびフルギミド類および前記フォトクロミック物質/化合物のうちのいずれかの混合物を挙げることができる。
【0059】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用することができるフォトクロミックジチゾン酸金属の非限定的例としては、たとえば米国特許第3,361,706号に記載のジチゾン酸水銀を挙げることができ、参照することによってこの文献をここに組み込む。
【0060】
加えて、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、金属酸化物中にカプセル化したフォトクロミック物質、たとえばフォトクロミック染料およびフォトクロミック化合物を使用することも可能であることが構想される。たとえば米国特許第4,166,043号および第4,367,170号に記載の物質を参照のこと。これらの文献を参照することにより、ここに組み込む。さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して、たとえば米国特許第6,113,814号(参照することによってここに組み込む)に開示されている重合性フォトクロミック物質および、たとえば米国特許第6,555,028号(参照することによってここに組み込む)に開示されている相溶性を持たせたフォトクロミック物質も使用することができる。
【0061】
さらに加えて、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜は、さらに、少なくとも部分的な被膜の処理、性質または性能を高めうる少なくとも一つの添加物を含むことができる。このような添加物の非限定的な例を挙げれば、染料、配列促進剤、速度促進剤、光開始剤、溶媒、光安定剤(たとえば、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、たとえばヒンダードアミン光安定剤(HALS)、しかしこれに限定されるものではない)、熱安定剤、離型剤、粘性調整剤、レベリング剤(たとえば界面活性剤、しかしこれに限定されるものではない)、フリーラジカル・スカベンジャー、および接着促進剤(たとえばヘキサンジオール ジアクリレートおよびカップリング剤)などである。一つの非限定的実施形態では、この添加物は染料である。
【0062】
本明細書で使用される「配列促進剤(alignment promotor)」という用語は、添加される物質の配列速度および均質性の少なくとも一方を促進することができる添加物を意味する。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜中に存在しうる配列促進剤の非限定的な例としては、米国特許第6,338,808号および米国特許出願第2002/0039627号明細書(参照することによってここに組み込む)に記載の配列促進剤を挙げることができる。
【0063】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜中に存在しうる染料の非限定的な例としては、所望の色または光学的な特性を、少なくとも部分的な被膜に付与しうる有機染料を挙げることができる。
【0064】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜中に存在しうる速度促進剤の非限定的な例としては、エポキシ含有化合物、有機ポリオール、および/または可塑剤を挙げることができる。このような速度促進剤の具体的な例は、米国特許第6,433,043号および米国特許出願第2003/0045612号明細書(参照することによってここに組み込む)に開示されている。
【0065】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜中に存在しうる光開始剤の非限定的な例としては、開裂タイプの光開始剤と引き抜きタイプの光開始剤を挙げることができる。開裂タイプの光開始剤の非限定的な例としては、アセトフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾイルオキシム類、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドならびにこのような開始剤の混合物を挙げることができる。このような光開始剤の市販品としては、Ciba Chemicals,Inc.から入手可能なDAROCURE(登録商標)4265などがある。引き抜きタイプの光開始剤の非限定的な例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、カンファーキノン、フルオロン、ケトクマリンまたはこのような開始剤の混合物を挙げることができる。
【0066】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜中に存在しうる光開始剤の別の非限定的な例としては、可視光による開始剤を挙げることができる。好適な可視光による開始剤の非限定的な例は、米国特許第6,602,603号(参照することによってここに組み込む)の欄12の11行目から欄13の21行目に亘って記載されている。
【0067】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜中に存在しうる溶媒の非限定的な例として、被膜の固体成分を溶解し、かつ被膜、眼科エレメントおよび基板と相溶性であり、かつ/あるいは被膜を付与する外表面を一様に覆うことができる溶媒を挙げることができる。可能性のある溶媒としては、アセトン、プロピオン酸アミル、アニソール、ベンゼン、酢酸ブチル、シクロヘキサン、エチレングリコール ジエルキルエーテル、たとえばジエチレングリコールジメチルエーテルおよびその誘導体(工業用溶媒としてセロソルブ(登録商標)の商品名で市販されている)、ジエチレングリコール ジベンゾエート、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメトキシベンゼン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピオン酸メチル、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、2−メトキシエチルエーテル、3−プロピレングリコールメチルエーテルおよびそれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0068】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、さらに、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に対する、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の結合、接着、または濡れを容易にすることができる一つ以上の別の被膜を含むことができる。たとえば、一つの非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分と、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分との間に、少なくとも部分的なプライマー膜を含むことができる。さらに、要求事項ではないが、この非限定的実施形態によれば、プライマー膜は、被膜成分が眼科エレメントまたは基板表面と相互作用するのを防止し、逆に、眼科エレメントまたは基板表面が被膜成分と相互作用するのを防止するバリアー膜としての役割を果たすことができる。
【0069】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用することができるプライマー膜の非限定的な例としては、カップリング剤、カップリング剤の少なくとも部分的な加水分解物、およびそれらの混合物を含む被膜を挙げることができる。本明細書で使用される「カップリング剤」という用語は、少なくとも一つの表面上で、一つの基と反応、結合、および/または会合する能力を持つ少なくとも一つの基を有する物質を意味する。一つの非限定的実施形態では、カップリング剤は、類似していてもよいし、似ていなくてもよい、少なくとも二つの表面の界面で分子の橋として働くことができる。別の非限定的実施形態では、カップリング剤はモノマー、オリゴマー、および/またはポリマーであることが可能である。このような物質としては、有機金属化合物、たとえばシラン、チタネート、ジルコネート、アルミネート、ジルコニウムアルミネート、それらの加水分解物およびそれらの混合物を挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。本明細書で使用される「カップリング剤の少なくとも部分的な加水分解物」という語句は、カップリング剤上の加水分解性基の少なくとも一部ないしすべてが加水分解されることを意味する。カップリング剤および/またはカップリング剤の加水分解物に加えて、プライマー膜は、接着力を高める別の配合成分を含むことができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、プライマー膜は、さらに、接着力を高める量のエポキシ含有物質を含むことができる。被膜組成物を含むカップリング剤に加える場合、接着力を高める量のエポキシ含有物質は、カップリング剤は含むが、エポキシ含有物質は実質的に含まない被膜組成物と比べて、そのあとに付与する被膜の接着性を高めることができる。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用するに適したプライマー膜の別の非限定的な例としては、米国特許第6,602,603号および米国特許第6,150,430号(参照することによりここに組み込む)に記載されているものを挙げることができる。
【0070】
また、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、さらに、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の中から選択される少なくとも一つの追加的な、少なくとも部分的に被膜を、眼科エレメントの少なくとも一部分の上に含むことができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、少なくとも一つの追加的な、少なくとも部分的な被膜は、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上にあること、すなわちオーバーコートとすることが可能である。さらに加えて、あるいは別の形態として、電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜は、眼科エレメントの第一外表面の少なくとも一部分の上にあることが可能であり、少なくとも一つの追加的な、少なくとも部分的な被膜は、眼科エレメントの第二外表面の少なくとも一部分の上にあることが可能であって、眼科エレメントの第一外表面は、眼科エレメントの第二外表面に対して反対側にある。
【0071】
フォトクロミック膜の非限定的な例としては、上記フォトクロミック物質のいずれかを含む被膜を挙げることができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、フォトクロミック膜は、たとえば米国特許第6,187,444号に記載のフォトクロミックポリウレタン膜;たとえば米国特許第4,756,973号、第6,432,544B1号および第6,506,488号に記載のフォトクロミックなアミンプラスト樹脂膜;たとえば、米国特許第4,556,605号に記載のフォトクロミックなポリシラン膜;たとえば米国特許第6,602,603号、第6,150,430号および第6,025,026号ならびにWIPO公報 WO01/02449 A2に記載のフォトクロミックなポリ(メタ)アクリレート膜;たとえば米国特許第6,436,525号に記載のフォトクロミックなポリ酸無水物膜;たとえば米国特許第6,060,001号に記載のフォトクロミックなポリアクリルアミド膜;たとえば米国特許第4,756,973号および第6,268,055B1号に記載のフォトクロミックなエポキシ樹脂膜;および、たとえば米国特許第6,531,076号に記載のフォトクロミックなポリ(尿素−ウレタン)膜が可能である。上記米国特許明細書および国際特許出願公報を参照することにより、ここに組み込む。
【0072】
本明細書で使用される「中間移行膜」という用語は、二つの被膜の間にあって特性の傾斜を作り出すのに役立つ膜を意味する。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、中間移行膜は、相対的に硬い膜と、相対的に軟らかい膜との間にあって硬さの傾斜を作り出す役割を果たすことができる。中間移行膜の非限定的な例としては、電磁波照射によって硬化させたアクリレート系薄膜を挙げることができる。
【0073】
保護膜の非限定的な例としては、有機シランを含む耐摩耗性膜、電磁波照射によって硬化させたアクリレート系薄膜を含む耐摩耗性膜、無機物質、たとえばシリカ、チタニア、および/またはジルコニアをベースとした耐摩耗性膜、紫外線で硬化可能な酸素バリアー膜、紫外線遮蔽膜およびこれらの組み合わせタイプの有機系耐摩耗性を挙げることができる。たとえば、一つの非限定的実施形態によれば、保護膜は、電磁波の照射で硬化するアクリレート系薄膜の第一被膜と、有機シランを含む第二被膜とを含むことができる。市販保護被膜製品の非限定的な例としては、SILVUE(登録商標) 124被膜およびHI−GARD(登録商標)被膜を挙げることができるが、両者はSDC Coatings,Inc.およびPPG Industries,Inc.からそれぞれ購入することができる。
【0074】
本発明の別の非限定的実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上の、少なくとも一つの配向機構と、その配向機構の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜とを含む眼科エレメントを提供する。本明細書で使用される「配向機構」という用語は、直接的にであれ、間接的にであれ、またはこれらの組合わせであれ、一つ以上の別の構造を、組み合わせ配向機構の少なくとも一部分にさらすことにより、その構造の位置決め(positioning)を容易にすることができる機構を意味する。本明細書に開示するこれらの非限定的実施形態と関連して使用することができる配向機構の非限定的な例としては、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する配列媒体、少なくとも部分的に延伸したポリマーシート、少なくとも部分的に処理した表面、およびそれらの組み合わせを含む少なくとも部分的な被膜を挙げることができる。
【0075】
たとえば、本明細書においては限定するものではないが、一つの非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの配向機構は、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を含むことができる。本明細書で使用される「配列媒体(alignment medium)」という用語は、一つ以上の別の物質の位置決めを助けることができる物質を意味する。配列媒体の少なくとも一部分を配列させる非限定的方法についてはあとで詳しく述べる。
【0076】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用することができる好適な配列媒体の非限定的な例としては、光配向性物質、ラビング(摩擦)配向性物質、および液晶物質を挙げることができる。たとえば、非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの配向機構は、光配向性物質、ラビング配向性物質、および液晶物質の中から選択される少なくとも部分的に秩序ある配列を有する配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を含むことができる。
【0077】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列媒体としての使用に適する液晶物質の非限定的な例としては、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、および液晶モノマーを挙げることができる。たとえば、一つの非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの配向機構は、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、および液晶モノマーの中から選択される少なくとも部分的に秩序ある配列を有する液晶物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を含むことができる。
【0078】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して配列媒体として使用するのに適する液晶モノマーとしては、一官能性液晶モノマーばかりでなく、多官能性液晶モノマーも含まれる。さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、液晶モノマーは、架橋性液晶モノマーであってもよく、さらに光架橋性液晶モノマーであってもよい。
【0079】
さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列媒体としての使用に適する架橋性液晶モノマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテル、およびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する液晶モノマーを挙げることができる。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、異方性物質としての使用に適する光架橋性液晶モノマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、アルキン、エポキシド、チオール、およびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する液晶モノマーを挙げることができる。
【0080】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して配列媒体として使用するのに適する液晶ポリマーおよびプレポリマーとしては、サーモトロピック液晶ポリマーおよびプレポリマー、ならびにリオトロピック液晶ポリマーおよびプレポリマーを挙げることができる。さらに、液晶ポリマーおよびプレポリマーは、主鎖型液晶ポリマーおよびプレポリマーであってもよいし、あるいは側鎖型液晶ポリマーおよびプレポリマーであってもよい。さらに加えて、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、液晶ポリマーまたはプレポリマーは、架橋性であってもよいし、さらに光架橋性であってもよい。
【0081】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列媒体としての使用に適する液晶ポリマーおよびプレポリマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテル、およびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する主鎖型および側鎖型液晶ポリマーおよびプレポリマーを挙げることができるが、もちろんこれらの官能基に限定されるものではない。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列媒体としての使用に適する光架橋性液晶ポリマーおよびプレポリマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、アルキン、エポキシド、チオール、およびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する光架橋性液晶ポリマーおよびプレポリマーを挙げることができる。
【0082】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して配列媒体として使用するのに適する光配向性物質の非限定的な例としては、光配向性ポリマー網目構造を挙げることができる。好適な光配向性ポリマー網目構造の具体的、かつ非限定的な例としては、アゾベンゼン誘導体、ケイ皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルリン酸誘導体、およびポリイミドを挙げることができる。たとえば、非限定的な実施形態によれば、配向機構は、アゾベンゼン誘導体、ケイ皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルリン酸誘導体、およびポリイミドの中から選択される少なくとも部分的に秩序ある配列を有する光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を含むことができる。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して配列媒体として使用できるケイ皮酸誘導体の具体的、かつ非限定的な例としては、ケイ皮酸ポリビニルおよびパラメトキシケイ皮酸のポリビニルエステルを挙げることができる。
【0083】
本明細書で使用される「ラビング配向性物質」という用語は、その物質の表面の少なくとも一部分を、好適な組織を有する別の物質で摩擦することにより、少なくとも部分的に直線配列させることができる物質を意味する。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、一つの非限定的実施形態によれば、ラビング配向性物質は、好適な組織を持つ布またはベルベットで摩擦することができる。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して配列媒体として使用するのに適するラビング配向性物質の非限定的な例としては、(ポリ)イミド類、(ポリ)シロキサン類、(ポリ)アクリレート類、および(ポリ)クマリン類を挙げることができる。したがって、たとえば、本明細書においては限定するものではないが、一つの非限定的実施形態において、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜には、ベルベットまたは布で摩擦してポリイミド表面の少なくとも一部分に秩序のある配列を形成させた、ポリイミドを含む少なくとも部分的な被膜が可能である。
【0084】
上で述べたように、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの配向機構は、少なくとも部分的に延伸したポリマーシートを含むことができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、ポリビニルアルコール(「PVA」)ポリマー鎖を少なくとも部分的に直線配列させるため、PVAのシートを、少なくとも部分的に延伸し、それからそのシートを眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に結合させて、配向機構を作製することができる。
【0085】
さらにまた、上で述べたように、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの配向機構は、少なくとも部分的に処理した表面を含むことができる。本明細書で使用される「処理した表面」という用語は、その表面に秩序ある配列を形成せるために物理的に改変した表面を意味する。少なくとも部分的に処理した表面の非限定的な例としては、少なくとも部分的に摩擦した表面および少なくとも部分的にエッチングした表面を挙げることができる。たとえば、一つの実施形態によれば、少なくとも一つの配向機構には、少なくとも部分的に摩擦した表面および少なくとも部分的にエッチングした表面の中から選択される少なくとも部分的に処理された表面が含まれる。
【0086】
さまざまな非限定的実施形態によれば、配向機構の形成に有用なエッチング表面の非限定的な例としては、化学的にエッチングした表面、プラズマエッチング表面、ナノエッチング表面(たとえば、走査型トンネル顕微鏡または原子力顕微鏡を使用してエッチングした表面など)、レーザーエッチング表面、および電子ビームエッチング表面を挙げることができる。
【0087】
さらに、さまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの配向機構には、第一の全体的方向を有する第一配列領域と、その第一配列領域に隣接し、第一の全体的方向とは異なる第二の全体的方向を有する少なくとも一つの第二配列領域とを設けることができる。したがって、配向機構は、所望のパターンまたはデザインを形成するために必要なさまざまな配置を有する複数個の領域を持つことができる。さらに加えて、上で述べたように、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、一つ以上の異なる配向機構を組み合わせて配向機構を作製することもできる。
【0088】
前に述べたように、さまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜には、少なくとも一つの二色性物質を含めることができる。二色性物質の非限定的な好適例の詳細はすでに上に記載した。また、前に述べたように、正味の偏光効果を得ようとすれば、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させることが一般に必要である。したがって、さまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分は、例えば一つ以上の別の構造または物質を通して配向機構の少なくとも一部分と、直接あるいは間接的に接触することによって、少なくとも部分的に直線配列させることが可能である。
【0089】
たとえば、一つの非限定的実施形態において、二色性物質の少なくとも一部分は、少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分と直接接触することによって、少なくとも部分的に直線配列させることができる。本明細書においては限定するものではないが、この非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分は、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分の長軸が、配向機構の少なくとも一つの配列領域の全体的方向に対しておおむね平行となるように、少なくとも部分的に直線配列させることができる。さらに、本明細書においては限定するものではないが、この非限定的実施形態によれば、配向機構に液晶物質を含めることができる。
【0090】
別の非限定的実施形態では、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜に、異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含めることができる。本明細書においては限定するものではないが、この非限定的実施形態によれば、異方性物質の少なくとも一部分は、すでに上で述べたように、少なくとも一つの配向機構と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列させることができ、そして少なくとも一つの少なくとも部分的に直線配列させた二色性物質は、少なくとも一つの少なくとも部分的に同じ直線上に配列させた異方性物質の少なくとも部分的に直線上に配列することができる。異方性物質の非限定的な好適例の詳細はすでに上に記載した。
【0091】
さらに、本明細書に開示される種々の非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、少なくとも一つの配向機構および少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜以外に、配列転写物質を含む少なくとも一つの部分的な被膜を含むこともできるし、さらに、配列転写物質を含む複数個の少なくとも部分的な被膜を含むこともできる。本明細書で使用される「配列転写物質」という用語は、好適な配置または位置を、一つの構造または物質から別の一つの構造または物質へ転写するのを容易にすることができる物質を意味する。
【0092】
たとえば、一つの非限定的実施形態では、配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を、少なくとも一つの配向機構と、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分との間に置くことができる。この非限定的実施形態によれば、配列転写物質の少なくとも一部分を、配向機構の少なくとも一部分と同じ直線上に配列させることができ、少なくとも部分的な被覆の少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を、配列転写物質の少なくとも一部分と同じ直線上に配列させることができる。すなわち、配列転写物質は、好適な配置または位置が、少なくとも一つの配向機構から、少なくとも一つの二色性物質へ転写しやすくすることができる。さらに、電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、異方性物質を含む場合は、すでに上で述べたように、異方性物質の少なくとも一部分を、配列転写物質と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列させることができ、そして少なくとも一つの二色性物質を、少なくとも一つの異方性物質と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列させることができる。
【0093】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して使用するのに適する配列転写物質の非限定的な例としては、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、および液晶モノマーの中から選択される液晶物質を挙げることができる。
【0094】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して配列転写物質として使用するのに適する液晶モノマーとしては、一官能性液晶モノマーのほかに、多官能性液晶モノマーを挙げることができる。さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、液晶モノマーとして架橋性液晶モノマーが可能であり、さらに光架橋性液晶モノマーが可能である。
【0095】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列転写物質としての使用に適する架橋性液晶モノマーの非限定的な例として、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテル、およびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する液晶モノマーを挙げることができる。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列転写物質としての使用に適する光架橋性液晶モノマーの非限定的な例として、アクリレート、メタクリレート、アルキン、エポキシド、チオール、およびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する液晶モノマーを挙げることができる。
【0096】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態と関連して配列転写物質として使用するのに適する液晶ポリマーおよびプレポリマーとしては、サーモトロピック液晶ポリマーおよびプレポリマー、ならびにリオトロピック液晶ポリマーおよびプレポリマーを挙げることができるが、もちろんこれらの液晶ポリマーに限定されるものではない。さらに、液晶ポリマーおよびプレポリマーは、主鎖型液晶ポリマーおよびプレポリマーであってもよいし、あるいは側鎖型液晶ポリマーおよびプレポリマーであってもよい。さらに加えて、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、液晶ポリマーまたはプレポリマーは、架橋性であってもよいし、さらに光架橋性であってもよい。
【0097】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列転写物質としての使用に適する液晶ポリマーおよびプレポリマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテル、およびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する主鎖型および側鎖型液晶ポリマーおよびプレポリマーを挙げることができるが、もちろんこれらの官能基に限定されるものではない。本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列転写物質としての使用に適する光架橋性液晶ポリマーおよびプレポリマーの非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、アルキン、エポキシド、チオール、およびそれらのブレンドの中から選択される官能基を有する光架橋性液晶ポリマーおよびプレポリマーを挙げることができる。
【0098】
さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態による眼科エレメントは、少なくとも一つの配向機構による、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の結合、接着、または濡れを容易にすることのできる一つ以上の被膜を含むことができる。たとえば、眼科エレメントは、さらに、少なくとも一つの配向機構と、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分との間に位置する少なくとも部分的なプライマー膜を含むことができる。この非限定的実施形態と関連して使用に適するプライマー被膜の非限定的な例は、すでに上で詳しく述べた。
【0099】
さらに別の非限定的実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上の、配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜と、配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上の、配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜と、配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上の、一つの異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む、少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜とを含む、眼科エレメントを提供する。
【0100】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜は、最終的な用途および/または使用される加工設備によって、広範囲に亘る膜厚を持つことが可能である。たとえば、一つの非限定的実施形態では、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の厚さは、少なくとも2ナノメートル〜10,000ナノメートルの範囲が可能である。別の非限定的実施形態では、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜は、少なくとも5ナノメートル〜1000ナノメートルの範囲の厚さを持つことができる。さらに別の非限定的実施形態では、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜は、少なくとも10ナノメートル〜100ナノメートルの範囲の厚さを持つことができる。さらに別の非限定的実施形態では、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜は、少なくとも50ナノメートル〜100ナノメートルの範囲の厚さを持つことができる。さらに、さまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、配列媒体を含む複数個の少なくとも部分的な被膜を含むことができる。さらに、複数個の少なくとも部分的な被膜のそれぞれは、別の複数個の少なくとも部分的な被膜と同じ膜厚か、または異なる膜厚を持つことができる。
【0101】
さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜は、最終的な用途および/または使用される加工設備によって、広範囲に亘る膜厚を持つことが可能である。たとえば、一つの非限定的実施形態では、配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜の厚さは、0.5ミクロン〜25ミクロンの範囲が可能である。別の非限定的実施形態では、配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜は、5〜10ミクロンの範囲に亘る膜厚を持つことが可能である。さらに、さまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、配列転写物質を含む複数個の少なくとも部分的な被膜を含むことができる。さらに、複数個の少なくとも部分的な被膜のそれぞれは、別の複数個の少なくとも部分的な被膜と同じ膜厚か、または異なる膜厚を持つことができる。
【0102】
そしてさらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質を含む少なくとも部分的な被膜は、最終的な用途および/または使用される加工設備によって、広範囲に亘る膜厚を持つことが可能である。一つの非限定的実施形態では、異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質を含む少なくとも部分的な被膜は、少なくとも5ミクロンの膜厚を持つことができる。さらに、さまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質を含む複数個の少なくとも部分的な被膜を含むことができる。さらに、複数個の少なくとも部分的な被膜のそれぞれは、別の複数個の少なくとも部分的な被膜と同じ膜厚か、または異なる膜厚を持つことができる。
【0103】
前に述べたように、正味の偏光効果を実現するためには、一般に、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分に、適切な配置または位置を取らせなけれならない(すなわち秩序ある配列を形成するか、直線配列を形成する)。したがって、本明細書においては限定するものではないが、さまざまな非限定的実施形態によれば、配列媒体の少なくとも一部分に、第一の全体的方向に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させることが可能であり、配列媒体の少なくとも一部分を、配列媒体の少なくとも一部分と、第一の全体的方向とおおむね平行な第二の全体的方向に、少なくとも部分的に同じ直線上に配列させることが可能であり、異方性物質の少なくとも一部分を、配列転写物質の少なくとも一部分と、第二の全体的方向とおおむね平行な第三の全体的方向に、少なくとも部分的に同じ直線上に配列させることが可能であり、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を、前記異方性物質の少なくとも一部分と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列させることが可能である。すなわちこの非限定的実施形態によれば、二色性物質の少なくとも一部分の長軸と、少なくとも部分的に直線配列した異方性物質の第三の全体的方向とが、おおむね平行となるように、二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させることができる。
【0104】
さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜および/または配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜は、少なくとも一つの二色性物質を含むことができるが、その二色性物質は、異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一つの二色性物質と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、上で述べた少なくとも部分的な被膜は、そのいずれもが、さらに、少なくとも一つのフォトクロミック物質および/または、少なくとも部分的な被膜の加工、特性、または性能のうちの少なくとも一つを高めることができる少なくとも一つの添加物を含むことができる。好適なフォトクロミック物質および添加物の非限定的な例は、すでに上で述べた。
【0105】
前に述べたように、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、眼科エレメントは、さらに、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に対して、または上に、および/または二つの異なる少なくとも部分的な被膜の間に、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の結合、接着、または濡れを容易にすることのできる一つ以上の被膜を含むことができる。たとえば、一つの非限定的実施形態によれば、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜と、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分との間に、少なくとも部分的なプライマー膜を置くことができる。別の非限定的実施形態では、少なくとも部分的なプライマー膜を、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜と、配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜との間に、および/または配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜と、少なくとも一つの異方性物質および少なくとも一つの二色性物質を含む少なくとも部分的な被膜との間に置くことができる。プライマー被膜の非限定的な好適例はすでに上で詳しく述べた。
【0106】
さらに別の非限定的実施形態によれば、基板と、その基板の少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に形成させた、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜を有する少なくとも一つの配向機構と、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも一つの被膜の少なくとも一部分の上に形成させた、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜とを含む眼科エレメントが提供される。さらに、この非限定的実施形態によれば、電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜は、一つの液晶物質と、少なくとも一つの二色性染料とを含む。
【0107】
さらに、上記の非限定的実施形態によれば、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも一つの被膜は、少なくとも一つの二色性染料を含んでいてもよく、その染料は、液晶物質と少なくとも一つの二色性染料を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一つの二色性染料と同じであってもよいし、違っていてもよい。さらに、少なくとも部分的な被膜のいずれかは、さらに少なくとも一つのフォトクロミック物質および/または、少なくとも部分的な被膜の加工、特性、または性能のうちの少なくとも一つを高めることができる少なくとも一つの添加物とを含むことができる。好適なフォトクロミック物質および添加物の非限定的な例はすでに上で詳しく述べた。
【0108】
さらに、本明細書に開示するこの非制限的実施形態およびその他の非限定的実施形態による眼科エレメントは、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも一つの被膜と、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜との間に、配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜を含むことができる。好適な配列転写物質の非限定的な例はすでに上で述べた。
【0109】
さらに、この非限定的実施形態による眼科エレメントは、さらに、基板の少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の結合、接着、または濡れを容易にすることのできる一つ以上の層を含むことができる。たとえば、この非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的なプライマー膜を、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜と、基板の少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分との間に置くことができる。この非限定的実施形態と関連して使用に適するプライマーの非限定的な例は、すでに上で述べた。
【0110】
さらに、上で述べたように、本明細書に開示するこの非制限的実施形態およびその他の非制限的実施形態による眼科エレメントは、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の中から選択される少なくとも一つの追加的な少なくとも部分的な被膜を含むこともできる。好適なフォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の非限定的な例はすでに上で述べた。
【0111】
前に述べたように、本発明の実施形態は、光学エレメントおよびデバイスを構想している。たとえば、一つの非制限的実施形態は、光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過する電磁波を偏光するようにされた少なくとも部分的な被膜を含み、その少なくとも部分的な被膜は、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する一つの液晶物質と、少なくとも一つの部分的に直線配列した二色性物質とを含む、光学エレメントを提供する。
【0112】
さらに別の非限定的実施形態は、少なくとも一つの光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を含み、そして配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上に、一つの異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を含む、少なくとも一つの光学エレメントを含む光学デバイスを提供する。さらに、不可欠というわけではないが、配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜を、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分と、異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜との間に置くことができる。この非限定的実施形態と関連して使用できる光学エレメント、配列媒体、配列転写物質、異方性物質、および二色性物質は、すでに上で詳しく説明した。
【0113】
さらに、前に述べたように、さまざまな非限定的実施形態によれば、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜および/または配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜は、さらに、少なくとも一つの二色性物質を含むことができ、その二色性物質は、異方性物質と少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一つの二色性物質と同じであってもよいし、違っていてもよい。さらに、少なくとも部分的な上記被膜のいずれもが、さらに、少なくとも一つのフォトクロミック物質および/または少なくとも部分的な被膜の加工、特性、または性能のうちの少なくとも一つを高めることができる少なくとも一つの添加物を含むことができる。好適なフォトクロミック物質および添加物の非限定的な例はすでに上で述べた。
【0114】
さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態による光学エレメントは、さらに、光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に対する、または少なくとも一部分の面上における被膜の結合、接着、または濡れを容易にすることのできる一つ以上の層を含むことができる。たとえば、少なくとも部分的なプライマー膜を、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜と、光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分との間に置くこともできるし、少なくとも透過する電磁波を偏光させる少なくとも部分的な被膜と、光学エレメントの少なくとも一つの外表面の一部分または別の被膜との間に置くこともできる。この非限定的実施形態と関連して使用するのに適するプライマー被膜の非限定的な例は、すでに上で述べた。
【0115】
さらに、上記非限定的実施形態に関して述べたように、この非限定的実施形態による光学エレメントは、さらに、エレメントの少なくとも一部分の上に、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の中から選択される少なくとも一つの追加的な少なくとも部分的な被膜を含むことができる。好適なフォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の非制限的な例は、すでに上で述べた。
【0116】
さらに、本明細書においては限定するものではないが、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、光学デバイスは、矯正および非矯正眼鏡、拡大眼鏡、クリップオン着脱式眼鏡用レンズ、およびコンタクトレンズの中から選択可能である。
【0117】
次に、本発明による偏光デバイスおよびエレメント製造法のさまざまな非制限的実施形態について説明する。一つの非制限的実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成させることを含む眼科エレメント製造法を提供する。
【0118】
本明細書においては限定するものではないが、この非限定的実施形態によれば、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成させる工程は、少なくとも一つの二色性物質と、少なくとも一つの異方性とを含む少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に付与する工程と、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程とを包含することができる。前に述べたように、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を適切な位置に置くか、配列させることによって正味の偏光効果を実現することができる。本明細書に開示する眼科エレメントを製造する方法のこの非制限的実施形態およびその他の非限定的実施形態と関連して使用するのに適する二色性物質および異方性物質の非限定的実施形態についてはすでに上で述べた。
【0119】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によって眼科エレメントおよび光学エレメントを製造する方法と関連して使用できる少なくとも部分的な被膜を付与する方法の非限定的な例としては、たとえば、米国特許第4,873,029号に記載されているような方法、たとえばスピンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングとスプレーコーティングとの併用、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、鋳込み、ロールコーティング、ワイヤーコーティング、およびオーバーレイの形成に使用される方法を挙げることができるが、もちろんこれらの方法に限定されるものではない。一般に、選択される付与方法は、主として、所望被膜の厚さ、被膜を付与する表面の形状、および被膜の粘度に依存する。
【0120】
さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの二色性物質と少なくとも一つの異方性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を付与する工程は、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程の前に、または直線配列させる工程のあとで、または直線配列させる工程とほとんど同時に行うことができる。
【0121】
たとえば、一つの非限定的実施形態では、少なくとも一つの二色性物質と少なくとも一つの異方性物質とを含む、少なくとも部分的な被膜を付与する工程が、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に直線配列させる工程の前に行われ、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも部分的な被膜を付与する方法として、スピンコーティング法を使用することができる。被膜を付与したら、少なくとも一つの異方性物質の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させ、それから、少なくとも一つの被膜を付与したあとで、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、たとえば、少なくとも一つの配向機構にさらして、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた前記異方性物質と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列させることができる。
【0122】
少なくとも一つの二色性物質と、少なくとも一つの異方性物質とを含む、少なくとも部分的な被膜を付与する工程が、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に直線配列させる工程と、ほとんど同時に行われる一つの非限定的実施形態では、少なくとも部分的な被膜を付与する工程は、少なくとも一つの異方性物質の少なくとも一部分が、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成し、そして少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分が、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた異方性物質と少なくとも部分的に同じ直線上に配列するように、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に部分的な被膜を被覆する工程を包含することができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、異方性物質の少なくとも一部分が、被覆する間、付与する被膜に対して被膜の外表面を相対的に動かすことで生じる剪断力によって、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させることができる。この非限定的実施形態による非限定的被覆法としてカーテンコーティングを挙げることができるが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0123】
さらに、さまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の形成する工程は、少なくともそのうちの一つは少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた複数個の少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に形成させる工程を包含することができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、一つの非限定的実施形態によれば、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成する工程は、配列媒体を含む少なくとも部分的な第一被膜を形成して、その配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、配列転写物質を含む少なくとも部分的な第二被膜を形成して、その配列転写物質の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に直線配列させる工程と、少なくとも一つの異方性物質と少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な第三被膜を形成して、その少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に直線配列させる工程と、を包含することができる。さらに、この非限定的実施形態によれば、第一および第二の少なくとも部分的な被膜のいずれか一方は、さらに、少なくとも一つの二色性物質を含むことができる。さらに、第一、第二または第三の少なくとも部分的な被膜のうちのいずれか一つは、フォトクロミック物質および/または少なくとも部分的な被膜の加工、特性、または性能を高める添加物の少なくとも一つを含むことができる。好適な二色性物質、フォトクロミック物質および添加物の非限定的な例は、エレメントおよびデバイスのさまざまな非限定的実施例を説明した上記記述のなかで述べた。
【0124】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態による眼科エレメント製造法は、さらに、眼科エレメントの少なくとも一部分の上に、少なくとも部分的な被膜を形成させたあとで、一つ以上の少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を固定する工程を包含することができる。本明細書において、「固定する」という用語は、所望の位置に固定することを意味する。たとえば、一つの非限定的実施形態では、少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に形成させたあとで、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に固定することができる。本明細書においては限定するものではないが、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程は、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に硬化させる工程、少なくとも部分的に架橋する工程、あるいは少なくとも部分的に乾燥させる工程の、少なくともいずれか一つを包含することができる。
【0125】
さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程は、触媒または開始剤を使用して、あるいは使わないで、重合成分の重合反応または架橋反応を開始させるため、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に、赤外線、紫外線、ガンマ線、または電子線を照射して、少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化する工程を包含することを含むことができる。適切な場合、引き続いて加熱工程を行うことができる。
【0126】
少なくとも部分的な被膜が、少なくとも一つの光架橋性物質、たとえば光架橋性液晶物質を含む一つの非限定的実施形態では、その光架橋性物質を少なくとも部分的に固定する工程は、適当な化学線を光架橋性物質に当てることによって、その光架橋性物質を少なくとも部分的に架橋する工程を包含する。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、光架橋性物質を含む少なくとも部分的な被膜を少なくとも部分的に固定する工程は、実質的に不活性な雰囲気中で、架橋性物質の少なくとも一部分に紫外線を当てる工程を包含することができる。本明細書で使用される「実質的に不活性な雰囲気」という用語は、硬化させようとする物質に対する反応性が限定された雰囲気を意味する。たとえば、非限定的実施例では、本質的に不活性な雰囲気に含まれる酸素ガスが100ppm以下である。好適な本質的に不活性な雰囲気の例としては、たとえば窒素、アルゴン、および二酸化炭素を含む雰囲気を挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0127】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態による眼科エレメント製造法は、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を付与する工程の前に、少なくとも部分的なプライマー膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含することができる。そのうえ、本明細書においては限定するものではないが、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を付与する工程の前か、付与する工程のあとに、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の中から選択される少なくとも一つの追加的な少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与することができる。好適なプライマー膜、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、および保護膜の非限定的な例は、すでに上で詳しく述べた。
【0128】
さらに、該当する場合、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態による方法は、さらに、いずれの被膜であれ、被膜を付与する場合、その前に眼科エレメントまたは基板の少なくとも一部分を清浄にする工程を包含することができる。これは、洗浄および/またはコーティングにおける接着を促進する目的で行われるものとする。プラスチックおよびガラスに対する効果的な処理は、当業者にはよく知られている。
【0129】
上で述べたように、一つの非限定的実施形態によれば、眼科エレメントの少なくとも一つの表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成させる工程を包含する眼科エレメント製造法が提供される。さらに、この非限定的実施形態によれば、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成させる工程の前に、少なくとも一つの配向機構を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程包含することもできる。この非限定的実施形態によれば、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、少なくとも一つの配向機構を付与する工程には、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与し、その配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、少なくとも部分的に延伸させたポリマーシートを、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分を、たとえばエッチングや摩擦などの方法で(これらに限定されない)少なくとも部分的に処理する工程のうちの、少なくともいずれか一つを包含することができる。
【0130】
眼科エレメント製造法のさらに別の非限定的実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を含む少なくとも一つの配向機構を付与する工程と、少なくとも一つの前記配向機構の少なくとも一部分に、少なくとも一つの二色性物質を付与する工程と、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程とを包含する。
【0131】
この非限定的実施形態によれば、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、少なくとも一つの配向機構を付与する工程は、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程とを包含することができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、少なくとも一つの配向機構を付与する工程は、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程を包含することができる。本明細書に開示する方法のさまざまな非限定的実施形態と関連して使用するのに適する配列媒体の非限定的な例は上で述べた。
【0132】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態による眼科エレメント製造法と関連して、使用できる配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる方法の非限定的な例は、配列媒体の少なくとも一部分に面偏光紫外線を照射することと、配列媒体の少なくとも一部分に赤外線を照射することと、配列媒体の少なくとも一部分に磁場を当てることと、配列媒体の少なくとも一部分に電場を当てることと、配列媒体の少なくとも一部分を乾燥させることと、配列媒体の少なくとも一部分をエッチングすることと、配列媒体の少なくとも一部分に剪断力を加えることと、配列媒体の少なくとも一部分を摩擦することのうちの、少なくともずれか一つを含む。
【0133】
たとえば、本明細書においては限定するものではないが、配列媒体が、光配向性物質(たとえば、光配向性ポリマー網目構造などがあげられるが、これに限定されない)である一つの非限定的実施形態によれば、眼科エレメント製造法は、光配向性物質を含む少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、前記配列媒体の少なくとも一部分に面偏光紫外線を照射して、前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程を包含することができる。そのあと引き続いて、少なくとも一つの二色性物質を、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた光配向性物質の少なくとも一部分に付与し、少なくとも部分的に直線配列させることができる。
【0134】
また、もし必要ならば、少なくとも一つの配向機能を付与する工程は、少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に固定する工程を包含することもできる。すでに上で述べたように、少なくとも部分的に固定する工程は、少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程、少なくとも部分的に架橋する工程、あるいは少なくとも部分的に乾燥させる工程を包含することができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、本明細書に開示する一つの非限定的実施形態による方法は、少なくとも一つの二色性物質を付与する工程の前に、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与し、それから配列媒体の少なくとも一部分を部分的に固定し、それから配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させることによって、少なくとも一つの配向機構を眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含することができる。
【0135】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態による、少なくとも一つの二色性物質を、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を含む少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に付与する方法の非限定的な例としては、たとえば上に述べた、少なくとも部分的な被膜を付与する方法を挙げることができる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、少なくとも一つの二色性物質を付与する方法としては、スピンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングとスプレーコーティングとの併用、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、鋳込み、ロールコーティング、ワイヤーコーティング、および米国特許第4,873,029号に記載されている、オーバーレイの調製に使用される方法などがある。
【0136】
さらに、少なくとも一つの二色性物質は、吸収(imbibing)法によって、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を含む少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に付与することができる。好適な吸収法は、たとえば米国特許第5,130,353号および第5,185,390号に記載されている。参照することにより両特許明細書をここに組み込み。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、二色性物質は、少なくとも一つの二色性物質を、無希釈のまま、またはポリマー性その他の有機溶媒に溶かして、配向機構の少なくとも一部分に付与し、それから前記二色性物質および配向機構を加熱して、少なくとも一つの二色性物質を配向機構の少なくとも一部分の中へ拡散させることによって、少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に付与することができる。
【0137】
さらに、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に、少なくとも一つの二色性物質を付与する工程は、少なくとも一つの二色性物質を直線配列させる工程の前に行うこともできるし、少なくとも一つの二色性物質を直線配列させる工程のあとに行うこともできるし、少なくとも一つの二色性物質を直線配列させる工程とほとんど同時に行うこともできる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、一つの非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの二色性物質は、直線配列させる前に、少なくとも一つの二色性物質と液晶ポリマーとを担体に加えた溶液または混合物を、配向機構の少なくとも一部分の上にスピンコーティングしたのち、溶媒または担体の少なくとも一部分を蒸発させることによって付与し、液晶ポリマーの少なくとも一部分および少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を直線配列させることができる。さらに別の非限定的実施形態では、少なくとも一つの二色性物質と一緒に配向機構の少なくとも一部分を吸収させることによって、少なくとも一つの二色性物質の付与と配列をほとんど同時に行うことができる。吸収方法は、すでに上で詳しく述べた。
【0138】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの二色性物質は、担体との溶液または混合物として、あるいは一つ以上の物質、たとえば異方性物質、フォトクロミック物質、および付与する物質の加工、特性または性能を向上させる添加物と一緒に、少なくとも一つの配向機構に付与することができる。好適な異方性物質、フォトクロミック物質、および添加物の非限定的な例は、上記エレメントおよびデバイスのさまざまな非限定的実施形態に関連してすでに述べた。
【0139】
また、本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態による眼科エレメント製造法は、少なくとも一つの配向機構を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程のまえに、少なくとも部分的なプライマー膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含することができる。さらに、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜から選択される少なくとも一つの追加的な、少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分および/または少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を覆うように付与することができる。好適なプライマー膜、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、および保護膜の非限定的な例はすべて、すでに上で述べた。
【0140】
さらに別の非限定的実施形態は、少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、少なくとも透過する電磁波を偏光させるように調製する工程とを包含する、眼科エレメント製造法を提供する。この非限定的な実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程は、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過する電磁波を偏光させるように調製する工程のまえに、または調製する工程のあと、または調製する工程とほとんど同時に行うことができる。
【0141】
たとえば、本明細書においては限定するものではないが、一つの非限定的実施形態によれば、少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程は、一つの異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む一つの少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含することができ、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過する電磁波を偏光させるように調製する工程は、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程を包含することができる。また、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程は、異方性物質の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させ、少なくとも一つの二色性物質を、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた異方性物質の少なくとも一部分と少なくとも部分的に同じ直線上に配列させる工程を包含することができる。
【0142】
異方性物質の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる好適な方法としては、異方性物質に面偏光紫外線を照射すること、異方性物質の少なくとも一部分に赤外線を照射すること、異方性物質の少なくとも一部分に磁場を当てること、異方性物質の少なくとも一部分に電場を当てること、異方性物質の少なくとも一部分を乾燥することと、配列媒体の少なくとも一部分をエッチングすることと、異方性物質の少なくとも一部分に剪断力を加えること、異方性物質の少なくとも一部分を摩擦すること、異方性物質の少なくとも一部分を、別の構造体または材料と、たとえば、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた配列媒体と同じ直線上に配列させること、などを挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0143】
さらに別の非限定的実施形態では、少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程は、配列媒体を含む一つの少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含することができ、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過する電磁波を偏光させるように調製する工程は、配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する工程と、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程を包含することができる。
【0144】
本明細書に開示する方法のさまざまな非限定的実施形態と関連して使用するのに適する配列媒体の非限定的な例としては、さまざまな非限定的実施形態に関して前に述べた配列媒体を挙げることができる。たとえば、少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程が、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含する一つの限定的実施形態によれば、配列媒体は、光配向性物質、ラビング配向性物質、および液晶物質の中から選択することができる。
【0145】
さらに、さまざまな非限定的実施形態によれば、配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程は、配列媒体の少なくとも一部分に面偏光紫外線を照射する工程と、配列媒体の少なくとも一部分に赤外線を照射する工程と、配列媒体の少なくとも一部分に磁場を当てる工程と、配列媒体の少なくとも一部分に電場を当てる工程と、配列媒体の少なくとも一部分を乾燥させる工程と、配列媒体の少なくとも一部分をエッチングする工程と、配列媒体の少なくとも一部分に剪断力を加える工程と、配列媒体の少なくとも一部分を摩擦する工程のうちの少なくとも一つを包含することができる。
【0146】
たとえば、本明細書においては限定するものではないが、配列媒体が、光配向性物質(たとえば、光配向性ポリマー網目構造などがあげられるが、これらに限定されない)である一つの非限定的実施形態によれば、光配向性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程は、光配向性物質の少なくとも一部分に面偏光紫外線を照射する工程を含む。
【0147】
さらに、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになす工程が、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に、少なくとも一つの二色性物質を付与する工程と、少なくとも一つの前記二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程とを包含するいくつかの非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの二色性物質を付与する工程は、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる前に行うこともできるし、直線配列させる工程のあとで行うこともできるし、直線配列させる工程とほとんど同時に行うこともできる。少なくとも一つの二色性物質を、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する非限定的方法としては、スピンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングとスプレーコーティングとの併用、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、鋳込み、ロールコーティング、ワイヤーコーティング、オーバーレイの調製に使用される米国特許第4,873,029号に記載の方法、吸収法(imbibing)などがある。
【0148】
本明細書に開示するさまざまな非限定的実施形態による眼科エレメント製造法は、少なくとも部分的な被膜を形成し、少なくとも透過する電磁波を偏光させるようにそれを調製する工程の前に、少なくとも部分的なプライマー膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含することもできる。さらに、眼科エレメント製造法は、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の中から選択される少なくとも一つの追加的な少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一部分に付与する工程を包含することもできる。たとえば、本明細書においては限定するものではないが、少なくとも一つの追加的な少なくとも部分的な被膜を、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上に付与することができる。別の実施形態として、あるいは追加的実施形態として、眼科エレメントの第一の外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成させることができ、そして少なくとも一つの追加的な少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの第二の外表面の少なくとも一部分に付与することができる。この場合、眼科エレメントの第一外表面は、眼科エレメントの第二外表面に対して反対側に位置する。このような被膜の非限定的な例は、上で詳しく述べた。
【0149】
眼科エレメント製造法のさらに別の実施形態は、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を付与する工程と、前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程を包含する。このあと、この非限定的実施形態によれば、少なくとも一つの異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む、少なくとも部分的な被膜を、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与し、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる。必須というわけではないが、配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与し、少なくとも部分的に直線配列させ、それから異方性物質と少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を付与することができる。
【0150】
この非限定的な実施形態によれば、配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程は、配列媒体の少なくとも一部分に面偏光紫外線を照射する工程と、配列媒体の少なくとも一部分に赤外線を照射する工程と、配列媒体の少なくとも一部分に磁場を当てる工程と、配列媒体の少なくとも一部分に電場を当てる工程と、配列媒体の少なくとも一部分を乾燥させる工程と、配列媒体の少なくとも一部分をエッチングする工程と、配列媒体の少なくとも一部分に剪断力を加える工程と、配列媒体の少なくとも一部分を摩擦する工程のうちの少なくとも一つを包含することができる。
【0151】
また、本明細書においては限定するものではないが、すでに述べたように、上記の少なくとも部分的な被膜は、いずれも、付与したあとで少なくとも部分的に固定することができる。たとえば、一つの非限定的実施形態によれば、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分は、配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる前に、形成しながら、または形成させたあとで、少なくとも部分的に固定することができる。また、この非限定的実施形態によれば、配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分および/または異方性物質および少なくとも一つの二色性物質を含む少なくとも部分的な被膜は、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を硬化させることによって、少なくとも部分的に固定することができる。たとえば、不活性雰囲気下で、配列転写物質の少なくとも一部分に紫外線を照射することにより、配列転写物質の少なくとも一部分を硬化させることができる。同様に、異方性物質と少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分は、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させたのち、不活性雰囲気下で、異方性物質の少なくとも一部分に紫外線を照射することにより、硬化させることができる。
【0152】
本発明の別の非限定的実施形態は、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的被膜を、レンズの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、面偏光紫外線を照射して、光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程とを包含する眼科用レンズの製造法を提供する。つづいて、液晶物質と、少なくとも一つの二色性染料とを含む少なくとも部分的な被膜を、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与し、少なくとも一つの二色性物質を少なくとも部分的に直線配列させる。液晶物質と、少なくとも一つの二色性染料とを含む被膜の少なくとも一部分を直線配列させたのち、液晶物質と、少なくとも一つの二色性染料とを含む被膜の少なくとも一部分を、たとえば、本発明においては限定的ではないが、硬化させることによって少なくとも部分的に固定することができる。必須ではないが、液晶物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する前に、光配向性ポリマー網目構造を含む前記被膜に、配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜を付与することができる。
【0153】
本発明のその他の実施形態は、少なくとも部分的な被膜を、光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、電磁波を偏光させるように少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を調製する工程とを包含する光学エレメント製造法を提供する。少なくとも部分的な被膜を付与し、電磁波を偏光させるように少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を調製する好適な方法は、すでに上で詳しく述べた。
【0154】
以下では非限定的実施例によって本発明のさまざまな非限定的実施形態を説明する。
【実施例】
【0155】
(ステップ1)
(異方性物質溶液の調製)
磁気攪拌子を入れ、磁気攪拌装置上に設置したフラスコに、下記液晶モノマー(「LCM」)(EMD Chemicals,Inc.,から入手可能)を、それぞれ3グラムずつ、攪拌しながら記載順に加えた:
RM 23−C2323NOの分子式を持つと記載されている
RM 257−C333210の分子式を持つと記載されている
RM 82−C394410の分子式を持つと記載されている
RM 105−C2326の分子式を持つと記載されている
アニソール(8.0グラム)をビーカーの内容物に加え、混合物を60℃に加熱し、固体が目で見て溶解するまで攪拌をつづけた。得られた液晶モノマー溶液(または「LCMS」)を「A−LCMS」と「B−LCMS」とに二分した。A−LCMSを入れたビーカーを、蓋をしないで、ドラフト中に設置した秤りの上に置き、固体百分率が最初の60%から62%に増加するのを待つ。B−LCMSの固体百分率は60%であった。
【0156】
(ステップ2)
(異方性物質および二色性物質の貯蔵原液の調製)
三菱化学から入手できる下記3種類の二色性染料を使用し、二色性染料で着色した各液晶モノマー溶液(具体的には、赤色、青色、黄色または灰色のLCMS)を調製した:
LSR−652 ロット番号01J0315の赤色染料と記載されている
LSR−335 ロット番号01C131の青色染料と記載されている
LSR−120 ロット番号2D231の黄色染料と記載されている
赤色LCMS、青色LCMSおよび黄色LCMSは、それぞれ、二色性染料で着色したLCMSの調製に必要な量の二色性染料をA−LCMS(ステップ1で調製した)に添加して調製した。固体A−LCMSを基準にした、添加二色性染料百分率を下表に示す。灰色LCMSは、ステップ1で調製したB−LCMSに、固体B−LCMSを基準にした染料百分率が下表の値となるように、各二色性染料を添加して調製した。
【0157】
【表1】

赤色LCMS、青色LCMSおよび黄色LCMSには、Ciba−Geigy社から入手できる光開始剤Irgacure 819をA−LCMに対してそれぞれ1.0%、そして50:50重量比で組み合わせた安定剤を固体A−LCMSに対して0.5%添加した。安定剤としては、Ciba−Geigy社製コーティング用光安定剤TINUVIN−292とClariant社製オキサルアニリド系光安定化剤SANDUVOR VSUを使用した。灰色LCMSには、固体B−LCMSに対してIrgacure 819および上記組み合わせ安定剤をそれぞれ1.0%添加した。
【0158】
(ステップ3)
(異方性物質および二色性物質を含むコーティング溶液の調製)
分析天秤にのせたビーカーに、実施例1〜5(下表)に指示する量の、ステップ2で調製した二色性染料着色LCMS貯蔵原液を秤取り、液晶モノマーが析出するのを防止し、染料を溶解するため、必要に応じて50〜60℃に加熱しながら混合し、異方性物質および二色性物質を含むコーティング溶液を調製した。上記ステップ2で調製した灰色LCMSを使用する追加コィーテング溶液(実施例6)も必要に応じて混合しながら加熱した。混合し終わったら、粒状物質を除くため孔径1.2ミクロンのシリンジフィルターでそれぞれ溶液を濾過した。
【0159】
(実施例1)
【0160】
【表2】

(実施例2)
【0161】
【表3】

(実施例3)
【0162】
【表4】

(実施例4)
【0163】
【表5】

(実施例5)
【0164】
【表6】

基板表面に少なくとも透過する電磁波を偏光するように調製された少なくとも部分的な被膜を形成させるため、下記A〜D部に記載の手順に従い、それぞれ上記コーティング溶液を使用した。被膜の作製が終わったら、被覆した各基板の吸収比をEの部に記載する「吸収比測定試験」に従って測定した。
【0165】
(パートA)
(基板の清浄化)
下記記載の材料から2インチ×2インチ×0.25インチ(5.08cm×5.08cm×0.635cm)の正方形の基板を作製した: CR−39(登録商標)モノマーまたはTRIVEX(登録商標) 151レンズ材料(両者ともPPG Industries,Inc.,から入手できる); 度のない直径70mmのCR−607(登録商標)モノマーレンズ; Transitions Optical Incorporatedから入手できる屈折率1.50のフォトクロミックレンズ。次に、各基板を液体洗剤と水の溶液で洗い、つづいて、脱イオン水とイソプロピルアルコールとで、それぞれすすいできれいにした。洗浄とすすぎが終わったら、基板を乾燥し、酸素流量が一分当たり100ミリリットル、一分間あたりの電力が100wattの酸素プラズマで処理した。
【0166】
Dの部と下の表1とに示すように、一部の基板は、さらに米国特許第6,150,430号に記載のプライマー膜で処理した。具体的には、1500rpmの回転速度で基板を回転させながら、プライマー膜組成物を10秒間これらの基板に供給し、基板を処理した。次に、被覆した基板から4インチの距離に置かれたDymax Corp.製Light−Welder(登録商標) 5000−EC UV光源から10秒間紫外線照射して硬化させた。
【0167】
(パートB)
(光配向性ポリマー網目構造を使用した配向機構の調製)
清浄にした基板(上記Aの部に記載)の一部分に対する配向機構の付与は次のようにして行った。Huntsman Advanced Materialsから、それぞれ2重量%シクロペンタン溶液および4重量%シクロペンタン溶液と表示されている、Staralign(登録商標) 2200 CP2およびCP4溶液として入手可能な光配向性ポリマー網目構造溶液を、2〜3秒間基板上に供給することにより、Aの部で調製した基板表面の一部分に付与した。基板は、Staralign溶液を供給しながら、毎分600〜800回転の回転速度で約2〜3分間回転させた。付与が終わったら、基板を加熱器に入れ、130℃に20〜30分間維持した。下記表1にあるように、試料6A1および6A2に対してはStaralign 2200 CP2を使用した。残りの試料は、6A(磁気)以外、すべてStaralign 2200 CP4を被覆した。
【0168】
光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分に、Electronic Instrumentation and Technology,Inc.のUV Power Puck(登録商標) エレクトロオプチックラジオメーターを使用して測定した UVA(320〜390nm)ピーク強度が18ミリワット/cmの面偏光紫外線を照射して、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた。紫外線の線源には、BLAK−RAY B−100A型 Longwave UVランプを使用した。表1の試料1A〜6Dには、面偏光紫外線を2分間照射し、試料6A1および6A2には、面偏光紫外線を3分間照射した。
【0169】
(パートC)
(少なくとも透過した電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の作製)
次に、上記ステップ3の実施例1〜6に記載した二色性染料で着色したLCMSを使用してBの部で作製した各基板に、少なくとも透過した電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成させた。
【0170】
基板表面上の配向機構の少なくとも一部分に、二色性染料で着色したLCMSのうちの一つをスピンコーティングによって付与した。具体的には、二色性染料で着色したLCMS約1mLを基板の上に供給し、もし過剰なときは、余分の二色性染料で着色したLCMSを取り去る。次に、基板を毎分300〜400回転で4〜6分間回転させた。スピンコーティングが終わったら、基板を加熱器に入れ、45〜55℃の温度に20〜40分間維持して、LCMの少なくとも一部分と、二色性染料の少なくとも一部分を直線配列させた。
【0171】
次に、Edmund Industrial Opticsの交差偏光させた偏光フィルム(#45669)を2個使用して、形成させた被膜の直線配列を検査した。各基板を交差偏光させた偏光フィルムの間に、被覆した基板と偏光フィルムの少なくとも一つとが平行となるように置いて、偏光フィルムと被覆した基板の組み合わせを透過する可視光線が減少するようにした。この構成物を通過する可視光線を見ながら、偏光フィルムの一方を時計方向か反時計方向に45゜回転させたとき、透過可視光線の増加が見られたことで、少なくとも部分的な直線配列が確認された。二色性染料で着色したLCMSの少なくとも部分的な被膜を二回付与した場合、このCの部の上記ステップは、少なくとも部分的な被膜の2回目の付与を行う前に完了した。
【0172】
被膜の少なくとも部分的な直線配列を確認したら、さらに、被覆した基板表面の1〜2mm上にあるようにして、被覆した各基板を、度のない直径70mm、厚さ2.0mmの6ベースポリカーボネートレンズで覆うことにより、少なくとも部分的な被膜を硬化させた。得られたポリカーボネートレンズ/被覆した基板からなる組立て体をEye Ultraviolet,Inc.製コンベヤー式紫外線硬化ラインに載せた。このUV硬化ラインは、窒素雰囲気を備えており、酸素レベルを100ppm未満に抑えた。このコンベヤーは、長さ10インチの、ヨウ化鉄でドープした400ワット/インチの紫外線「Dタイプ」水銀ランプ2個の下を、毎分3フィートの速度で走行させた。2個のランプのうちの1個は、コンベヤーの2.5インチ上方に設置し、残り1個はコンベヤーの6.5インチ上方に設置した。コンベヤー式紫外線硬化ラインが供給する異なる紫外線波長のピーク強度は、すでに上で述べたようにUV Power PuckTM エレクトロオプチックラジオメーターを使用して測定した。UVA(320〜390nm)のピーク強度測定値は0.239ワット/cm、そしてUVV(395〜445nm)のピーク強度測定値は0.416ワット/cmであった。
【0173】
(パートD)
(磁場を使用した少なくとも透過した電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の作製)
Dの部の被覆試料の作製には、Aの部に記載のプライマー膜で被覆したCR39(登録商標) モノマーレンズ材料重合体の正方形基板を使用した。しかし、あとで述べるように、灰色LCMSで被覆するまでの基板作製過程は、Bの部の記載によらなかった。
【0174】
このDの部によって調製される試料については、おおむねCの部に記載した方法により、(Aの部に記載した)プライマー被覆基板に実施例6の灰色LCMS(上記ステップ3)を被覆した。被覆した基板を硬化させるまでの操作以外は、以下のようにして、被膜の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた。すなわち、温度制御した赤外線ランプの8インチ下に設置した温度制御ホットプレート上の、磁石(N極−S極間距離が11cm、磁気の強さ0.35テスラ)のN極とS極の間に、被覆した基板を置いた。赤外線ランプとホットプレートの温度コントローラーは、温度を約55〜60℃の範囲に維持するよう設定した。被覆基板は、LCMおよび二色性染料に少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させるため、これらの条件に40〜45分間維持した。次に、配列させた被膜を硬化させ、それから被膜の配列度を(直線配列被膜に対して)Cの部に記載した方法によって確認した。作製試料は表1の6A(磁気)に対応する。
【0175】
(パートE)
(吸収比測定試験)
各被覆基板の吸収比は、次のようにして決定した。CARY 4000 UV可視分光光度計に偏光子アナライザー(Moxtek ProFluxTM 偏光子)を備えた自動センタリング試料ホルダーを装着した。測定器のパラメーターは次のように設定した: 掃引速度=600nm/分; データ取り込み間隔=1.0nm; 積分時間=100ms; 吸光度範囲=0〜6.5; Yモード=吸光度; Xモード=ナノメートル; 掃引波長範囲=400〜800nm。 スリット幅(SBW)は3.5に、そして光束モードは複光束(ダブルビーム)に設定した。ゼロ/ベースライン補正はベースライン選択に設定した。ゼロ/ベースライン補正の設定には、配向機構および/または少なくとも透過する電磁波を偏光させるようになされた被膜を持たない各基板材料の試料を使用した。基板をプライマー膜で被覆した試料のゼロ/ベースライン補正の設定にはプライマー膜で被覆した基板を使用した。全測定に対して、参照光路には2.5ニュートラルデンシティ・フィルターを挿入した。被覆した基板試料の試験は、空調した試験室で空気中、室温(73゜F±5゜F)で行った。
【0176】
試料側偏光子を偏光計の偏光子に対して平行方向に向け、そして垂直方向に向けるには次のようにした。Cary 4000型偏光計の波長を500nm(または試料の最大吸光度)に合わせ、吸光度が増すように試料を少し(1〜5度)ずつ回転させながら、吸光度をモニターした。吸光度が最も大きくなるまで試料を回転しつづけた。この位置を垂直位置、すなわち90度の位置とした。試料ステージを時計方向または反時計方向に90度回転させて平行位置とした。
【0177】
各試料の吸収スペクトルを90゜と0゜の両方で測定した。データ分析にはWaveMetrics社のソフトウェアIgor Proを使用した。スペクトルをIgor Proにロードし、吸光度から566nmにおける吸収比を計算した。得られた吸収比の計算値を表1に示す。
【0178】
表1の試料番号は、試験基板に付与した被膜組成に対応する(たとえば、実施例1〜6)。試料番号に付けられたアルファベットの違いは、次のように基板の違いを表す:「A」はCR39(登録商標)モノマーの重合体を表す;「B」はTRIVEX(登録商標) 151レンズ材料の重合体を表す;「C」は屈折率が1.50のTransition Optical Incorporated製フォトクロッミクレンズを表す;「D」はCR−607(登録商標)モノマーの重合体を表す。アルファベット二文字は、Cの部で基板を二回被覆したことを示す。試料6A1および6A2の結果は、2つの結果の算術平均値である。それ以外の試料の結果は、1回被覆試験基板に対して得られたものである。
【0179】
【表7】

表1に示すように、上に記載した非限定的な例によれば、少なくとも透過した電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の吸収比は2.4〜7.0であった。
【0180】
本明細書の記述内容は、本発明を明確に理解できるよう、発明の態様を例示したものであることを理解しなければならない。本発明の一部の態様は、当業者には明白なことと思われるため、本発明の理解を助けるものにはならず、それゆえ本明細書の記述内容を単純化するために記載していない。本発明は、いくつかの実施形態との関連によって記述したが、本発明は開示した特定に実施形態に限定されるものではなく、添付する請求項によって規定する本発明の精神および範囲内に入る多様な変形を包含しようとするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも透過電磁波を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分で偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を具備する眼科エレメント。
【請求項2】
矯正レンズ、非矯正レンズおよびルーペの中から選択される、請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項3】
色つきでない眼科エレメント、色つき眼科エレメント、フォトクロミック眼科エレメント、および色つきフォトクロミック眼科エレメントの中から選択される、請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項4】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、少なくとも透過可視光を偏光させるようになされている、請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項5】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、透過可視光と透過紫外線とを偏光させるようになされている請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項6】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、少なくとも一つの二色性物質を含む、請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項7】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が、2〜30の範囲にある、請求項6に記載の眼科エレメント。
【請求項8】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が、少なくとも3である、請求項6に記載の眼科エレメント。
【請求項9】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が、少なくとも5である、請求項6に記載の眼科エレメント。
【請求項10】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が、少なくとも7である、請求項6に記載の眼科エレメント。
【請求項11】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が、少なくとも10である、請求項6に記載の眼科エレメント。
【請求項12】
前記少なくとも一つの二色性物質が、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン類、キノナフタロン系染料、ペリレン類、フタロペリン類、トリフェノジオキサジン類、インドロキノキサリン類、イミダゾ−トリアジン類、テトラジン類、アゾ染料、(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン類、ナフトキノン類、アントラキノンおよび(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン類、ヨウ素およびヨウ素酸塩の中から選択される、請求項6に記載の眼科エレメント。
【請求項13】
前記少なくとも一つの二色性物質が、アゾ染料、(ポリ)アゾ染料、アントラキノンおよび(ポリ)アントラキノンの中から選択される、請求項6に記載の眼科エレメント。
【請求項14】
前記少なくとも一つの二色性物質が、重合可能な二色性物質である、請求項6に記載の眼科エレメント。
【請求項15】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、第一の吸収比を有する第一二色性物質と、該第一吸収比とは異なる第二の吸収比を有する第二二色性物質とを含む、請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項16】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、少なくとも一つの二色性物質と、一つの異方性物質とを含む、請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項17】
前記異方性物質が、液晶ポリマー、液晶プレポリマーおよび液晶モノマーの中から選択される液晶物質である、請求項16に記載の眼科エレメント。
【請求項18】
前記液晶物質が、架橋性液晶物質である、請求項17に記載の眼科エレメント。
【請求項19】
前記液晶物質が、光架橋性液晶物質である、請求項18に記載の眼科エレメント。
【請求項20】
前記異方性物質が、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルの中から選択される少なくとも一つの官能基を有する液晶物質である、請求項16に記載の眼科エレメント。
【請求項21】
前記異方性物質の少なくとも一部分が、全体的方向に、少なくとも部分的に秩序ある配列を有し、そして前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分が、該少なくとも部分的に秩序ある配列を有する異方性物質の少なくとも一部分と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列される、請求項16に記載の眼科エレメント。
【請求項22】
前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分の長軸が、前記少なくとも部分的に秩序ある配列を有する異方性物質の全体的方向とほぼ平行となるように、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる、請求項21に記載の眼科エレメント。
【請求項23】
前記少なくとも部分的に直線配列した少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分が、前記異方性物質に結合している、請求項21に記載の眼科エレメント。
【請求項24】
前記電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、さらに、少なくとも一つのフォトクロミック物質を含む、請求項16に記載の眼科エレメント。
【請求項25】
前記少なくとも一つのフォトクロミック物質が、ピラン類、オキサジン類、フルギド、フルギミド類、およびジチゾン酸金属塩の中から選択される、請求項24に記載の眼科エレメント。
【請求項26】
前記少なくとも一つのフォトクロミック物質が、金属酸化物をカプセル化したフォトクロミック物質である、請求項24に記載の眼科エレメント。
【請求項27】
前記電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、さらに、フォトクロミック物質の混合物を含む、請求項16に記載の眼科エレメント。
【請求項28】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、さらに、染料、配列促進剤、速度促進剤、光開始剤、溶媒、光安定剤、熱安定剤、離型剤、粘性調整剤、レベリング剤、フリーラジカル・スカベンジャーおよび接着促進剤の中から選択される少なくとも一つの添加物を含む、請求項16に記載の眼科エレメント。
【請求項29】
前記少なくとも部分的な被膜が、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する液晶物質と、少なくとも一つの少なくとも部分的に直線配列させた二色性物質とを含む、請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項30】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分と、前記眼科エレメントの前記少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分との間に、さらに、少なくとも一つの少なくとも部分的なプライマー膜を含む、請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項31】
さらに、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の中から選択される、少なくとも一つの追加的な、そして少なくとも部分的な被膜を、前記眼科エレメントの少なくとも一部分の上に含む、請求項1に記載の眼科エレメント。
【請求項32】
前記少なくとも一つの追加的な、そして少なくとも部分的な被膜が、前記電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上にある、請求項31に記載の眼科エレメント。
【請求項33】
前記電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、前記眼科エレメントの第一外表面の少なくとも一部分の上にあり、そして前記少なくとも一つの追加的な、そして少なくとも部分的な被膜が、該眼科エレメントの第二外表面の少なくとも一部分の上にあり、かつ該眼科エレメントの該第一外表面が、該眼科エレメントの該第二外表面に対して反対側にある、請求項31に記載の眼科エレメント。
【請求項34】
少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも一つの配向機構と、該少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜と、を含む眼科エレメント。
【請求項35】
前記少なくとも一つの配向機構が、第一の配置を持つ第一の配列領域と、該第一配列領域に隣接する少なくとも一つの第二配列領域とを含み、該少なくとも一つの前記第二配列領域が、該第一配置とは異なる第二配置を有する、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項36】
前記少なくとも一つの配向機構が、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一つを含み、かつ前記被膜が、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する配列媒体と、少なくとも部分的に延伸したポリマーシートと、少なくとも部分的に処理した表面とを含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項37】
前記配向機構が、少なくとも部分的な被膜を複数個含み、該被膜が、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する配列媒体を含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項38】
少なくとも一つの配向機構が、少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を含み、かつ該被膜が、光配向性物質、ラビング配向性物質および液晶物質の中から選択される少なくとも部分的に秩序ある配列を有する配列媒体を含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項39】
前記配列媒体が、液晶ポリマー、液晶プリポリマーおよび液晶モノマーから選択される液晶物質である、請求項38に記載の眼科エレメント。
【請求項40】
前記液晶物質が、架橋性液晶物質である、請求項39に記載の眼科エレメント。
【請求項41】
前記液晶物質が、光架橋性液晶物質である請求項40に記載の眼科エレメント。
【請求項42】
前記配列媒体が、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルの中から選択される少なくとも一つの官能基を有する液晶物質である、請求項38に記載の眼科エレメント。
【請求項43】
前記配列媒体が、光配向性物質である、請求項38に記載の眼科エレメント。
【請求項44】
前記光配向性物質が、アゾベンゼン誘導体、ケイ皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルリン酸誘導体、およびポリイミドの中から選択される光配向性ポリマー網目構造である、請求項43に記載の眼科エレメント。
【請求項45】
前記配列媒体が、ラビング配向性物質である請求項38に記載の眼科エレメント。
【請求項46】
前記ラビング配向性物質が、(ポリ)イミド、(ポリ)シロキサン、(ポリ)アクリレート、および(ポリ)クマリン類から選択される、請求項45に記載の眼科エレメント。
【請求項47】
前記少なくとも一つの配向機構が、ポリビニルアルコールの少なくとも部分的に延伸したシートを含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項48】
前記少なくとも部分的に処理した表面が、少なくとも部分的に摩擦した表面と、少なくとも部分的にエッチングした表面から選択される、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項49】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、少なくとも透過可視光を偏光させるようにされている請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項50】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、少なくとも一つの二色性物質を含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項51】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が、少なくとも3である、請求項50に記載の眼科エレメント。
【請求項52】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が、少なくとも5である、請求項50に記載の眼科エレメント。
【請求項53】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が、少なくとも7である、請求項50に記載の眼科エレメント。
【請求項54】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が、少なくとも10である、請求項50に記載の眼科エレメント。
【請求項55】
前記少なくとも一つの二色性物質が、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン類、キノナフタロン系染料、ペリレン類、フタロペリン類、トリフェノジオキサジン類、インドロキノキサリン類、イミダゾ−トリアジン類、テトラジン類、アゾ染料、(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン類、ナフトキノン類、アントラキノンおよび(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン類、ヨウ素およびヨウ素酸塩の中から選択される、請求項50に記載の眼科エレメント。
【請求項56】
前記少なくとも一つの二色性物質が、重合可能な二色性物質である、請求項50に記載の眼科エレメント。
【請求項57】
前記少なくとも一つの配向機構が、全体的方向を有する少なくとも一つの配列領域を有し、前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分の長軸と、該配向機構の該少なくとも一つの配列領域の全体的方向とが平行であるように、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分が少なくとも部分的に直線配列されている、請求項50に記載の眼科エレメント。
【請求項58】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、さらに、少なくとも一つの異方性物質を含む、請求項50に記載の眼科エレメント。
【請求項59】
前記異方性物質が、液晶ポリマー、液晶プレポリマーおよび液晶モノマーの中から選択される液晶物質である、請求項58に記載の眼科エレメント。
【請求項60】
前記液晶物質が、架橋性液晶物質である、請求項59に記載の眼科エレメント。
【請求項61】
前記液晶物質が、光架橋性液晶物質である、請求項60に記載の眼科エレメント。
【請求項62】
前記異方性物質が、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルの中から選択される少なくとも一つの官能基を有する液晶物質である、請求項58に記載の眼科エレメント。
【請求項63】
さらに、少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を含み、そして該被膜が、前記配向機構の少なくとも一部分と、前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜との間に配列転写物質を含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項64】
前記配向機構の少なくとも一部分と、前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜との間に配列転写物質を含む、少なくとも部分的な被膜を複数個含む、請求項63に記載の眼科エレメント。
【請求項65】
前記配列転写物質が、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、および液晶モノマーの中から選択される液晶物質である、請求項63に記載の眼科エレメント。
【請求項66】
前記液晶物質が、架橋性液晶物質である、請求項65に記載の眼科エレメント。
【請求項67】
前記液晶物質が、光架橋性液晶物質である、請求項66に記載の眼科エレメント。
【請求項68】
前記配列転写物質が、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルの中から選択される少なくとも一つの官能基を有する液晶物質である、請求項63に記載の眼科エレメント。
【請求項69】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、さらに少なくとも一つのフォトクロミック物質を含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項70】
前記少なくとも一つのフォトクロミック物質が、ピラン類、オキサジン類、フルギド、フルギミド類、およびジチゾン酸金属塩の中から選択される、請求項69に記載の眼科エレメント。
【請求項71】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、さらに染料、配列促進剤、速度促進剤、光開始剤、溶媒、光安定剤、熱安定剤、離型剤、粘性調整剤、レベリング剤、フリーラジカル・スカベンジャーおよび接着促進剤の中から選択される少なくとも一つの添加物を含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項72】
前記少なくとも一つの配向機構と、前記眼科エレメントの前記少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分との間に配置された少なくとも一つの少なくとも部分的にプライマー膜を含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項73】
さらに、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜および保護膜の中から選択される、少なくとも一つの追加的な、そして少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一部分の上に含む、請求項34に記載の眼科エレメント。
【請求項74】
前記少なくとも一つの追加的な、そして少なくとも部分的な被膜が、前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上にある、請求項73に記載の眼科エレメント。
【請求項75】
少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜が、前記眼科エレメントの第一外表面の少なくとも一部分の上にあり、そして前記少なくとも一つの追加的な、そして少なくとも部分的な被膜が、該眼科エレメントの第二外表面の少なくとも一部分の上にあり、かつ該眼科エレメントの該第一外表面が、該眼科エレメントの該第二外表面と向き合う、請求項73に記載の眼科エレメント。
【請求項76】
眼科エレメントであって、
眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に配列媒体を含む、少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜と、
該配列媒体を含む該少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜上に、配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜と、
該配列転写物質を含む該少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜上に、一つの異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む、少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜と
を含む眼科エレメント。
【請求項77】
前記配列媒体の少なくとも一部分が、第一の全体的方向に少なくとも部分的に秩序ある配列を有し、前記配列転写物質の少なくとも一部分が、該第一の全体的方向に対しておおむね平行な第二の全体的方向に、少なくとも部分的に直線配列し、前記異方性物質の少なくとも一部分が、該第二の全体的方向に対しておおむね平行な第三の全体的方向に、少なくとも部分的に直線配列し、そして、前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分の長軸が、該少なくとも部分的に直線配列した異方性物質の該第三の全体的方向に対しておおむね平行となるように、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分が、該異方性物質の少なくとも一部分と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列する、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項78】
前記配列媒体が、光配向性物質、ラビング配向性物質、および液晶物質の中から選択される、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項79】
前記液晶物質が、液晶ポリマー、液晶プリポリマー、および液晶モノマーの中から選択される、請求項78に記載の眼科エレメント。
【請求項80】
前記光配向性物質が、アゾベンゼン誘導体、ケイ皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルリン酸誘導体、およびポリイミドの中から選択される光配向性ポリマー網目構造である、請求項78に記載の眼科エレメント。
【請求項81】
前記ラビング配向性物質が、(ポリ)イミド、(ポリ)シロキサン、(ポリ)アクリレート、および(ポリ)クマリン類から選択される、請求項78に記載の眼科エレメント。
【請求項82】
前記配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、少なくとも2ナノメートル〜10,000ナノメートルの範囲の厚さを有する、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項83】
前記配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、少なくとも5ナノメートル〜1,000ナノメートルの範囲の厚さを有する、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項84】
前記配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、少なくとも10ナノメートル〜100ナノメートルの範囲の厚さを有する、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項85】
前記配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、少なくとも50ナノメートル〜100ナノメートルの範囲の厚さを有する、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項86】
前記眼科エレメントが、配列媒体を含む、複数個の少なくとも部分的な被膜を含む、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項87】
前記配列媒体を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、さらに少なくとも一つの二色性物質、フォトクロミック物質、ならびに染料、配列促進剤、速度促進剤、光開始剤、溶媒、光安定剤、熱安定剤、離型剤、粘性調整剤、レベリング剤、フリーラジカル・スカベンジャーおよび接着促進剤の中から選択される添加物を含む、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項88】
前記配列転写物質が、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、および液晶モノマーの中から選択される液晶物質である、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項89】
前記液晶物質が、架橋性液晶物質である請求項88に記載の眼科エレメント。
【請求項90】
前記液晶物質が、光架橋性液晶物質である請求項89に記載の眼科エレメント。
【請求項91】
前記配列転写物質が、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルの中から選択される少なくとも一つの官能基を有する液晶物質である、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項92】
前記配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、0.5ミクロン〜25ミクロンの範囲の平均厚さを有する、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項93】
前記配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、5ミクロン〜10ミクロンの範囲の平均厚さを有する、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項94】
前記眼科エレメントが、配列転写物質を含む複数個の少なくとも部分的な被膜を含む、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項95】
前記配列転写物質を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、さらに二色性物質、フォトクロミック物質、ならびに染料、配列促進剤、速度促進剤、光開始剤、溶媒、光安定剤、熱安定剤、離型剤、粘性調整剤、レベリング剤、フリーラジカル・スカベンジャーおよび接着促進剤の中から選択される添加物、の中の少なくとも一つを含む、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項96】
前記異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、少なくとも5ミクロンの平均厚さを有する、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項97】
前記眼科エレメントが、異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む複数個の少なくとも部分的な被膜を含む、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項98】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が少なくとも3である、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項99】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が少なくとも5である、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項100】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が少なくとも7である、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項101】
前記少なくとも一つの二色性物質の吸収比が少なくとも10である、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項102】
前記少なくとも一つの二色性物質が、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン類、キノナフタロン系染料、ペリレン類、フタロペリン類、トリフェノジオキサジン類、インドロキノキサリン類、イミダゾ−トリアジン類、テトラジン類、アゾ染料、(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン類、ナフトキノン類、アントラキノンおよび(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン類、ヨウ素およびヨウ素酸塩の中から選択される、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項103】
前記少なくとも一つの二色性物質が、重合性二色性物質である、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項104】
前記異方性物質が、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、および液晶モノマーの中から選択される液晶物質である、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項105】
前記異方性物質が、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルの中から選択される少なくとも一つの官能基を有する液晶物質である、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項106】
前記異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む、少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、さらに少なくとも一つのフォトクロミック物質を含む、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項107】
前記少なくとも一つのフォトクロミック物質が、ピラン類、オキサジン類、フルギド類およびフルギミド類、ならびにジチゾン酸金属の中から選択される、請求項106に記載の眼科エレメント。
【請求項108】
前記異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む、少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜が、さらに染料、配列促進剤、速度促進剤、光開始剤、溶媒、光安定剤、熱安定剤、離型剤、粘性調整剤、レベリング剤、フリーラジカル・スカベンジャーおよび接着促進剤の中から選択される少なくとも一つの添加物を含む、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項109】
前記配列促進剤を含む少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分と、前記眼科エレメントの前記少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分との間に、さらに少なくとも一つの少なくとも部分的なプライマー膜を含む、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項110】
さらに、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜および保護膜の中から選択される、少なくとも一つの追加的な、そして少なくとも部分的な被膜を、前記眼科エレメントの少なくとも一部分の上に含む、請求項76に記載の眼科エレメント。
【請求項111】
眼科エレメントであって、
基板と、
該基板の少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜を含む、少なくとも一つの配向機構と、
該光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも一つの部分的な被膜の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも一つの部分的な被膜とを含み、かつ、該少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた、少なくとも部分的な被膜が、液晶物質と、少なくとも一つの二色染料とを含む、
眼科エレメント。
【請求項112】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分と、前記光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分との間に、少なくとも一つの配列転写物質を含む、少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜をさらに含む、請求項111に記載の眼科エレメント。
【請求項113】
光学エレメントであって、該光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた、少なくとも部分的な被膜を含み、該少なくとも部分的な被膜が、少なくとも部分的に秩序ある配列を有する液晶物質と、少なくとも一つの少なくとも部分的に直線配列させた二色性物質とを含む光学用エレメント。
【請求項114】
光学デバイスであって、
少なくとも一つの光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜と、
該配列媒体を含む該少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上に、異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜とを
含む、少なくとも一つの光学エレメントを含む光学デバイス。
【請求項115】
前記少なくとも一つの光学エレメントが、前記異方性物質と、前記少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分と、前記配列媒体を含む前記少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分との間に、さらに少なくとも一つの配列転写物質を含む、少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を含む、請求項114に記載の光学デバイス。
【請求項116】
前記光学デバイスが、眼鏡、クリップオン式レンズ、およびコンタクトレンズからなる群から選択される眼科デバイスである、請求項114に記載の光学デバイス。
【請求項117】
前記眼科エレメントの少なくとの一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた、少なくとも部分的な被膜を形成する工程を包含する、眼科エレメント製造法。
【請求項118】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた、少なくとも部分的な被膜を形成する工程が、少なくとも一つの二色性物質と少なくとも一つの異方性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程とを包含する、請求項117に記載の製造法。
【請求項119】
前記少なくとも一つの二色性物質と前記少なくとも一つの異方性物質とを含む前記少なくとも部分的な被膜を付与する工程と、前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を直線配列させる工程とが、ほぼ同時に行われる、請求項118に記載の製造法。
【請求項120】
前記少なくとも一つの二色性物質と前記少なくとも一つの異方性物質とを含む前記少なくとも部分的な被膜を付与する工程が、前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を直線配列させる工程より前に行われる、請求項118に記載の製造法。
【請求項121】
前記少なくとも一つの二色性物質と前記少なくとも一つの異方性物質とを含む前記少なくとも部分的な被膜を付与する工程が、前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を直線配列させる工程のあとで行われる、請求項118に記載の製造法。
【請求項122】
前記少なくとも一つの二色性物質と少なくとも一つの異方性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を付与する工程が、スピンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングとスプレーコーティングとの併用、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、鋳込み、ロールコーティング、ワイヤーコーティング、およびオーバーレイの中の、少なくとも一つの工程を含む、請求項118に記載の製造法。
【請求項123】
前記少なくとも一つの二色性物質が、少なくとも3の吸収比を有する、請求項118に記載の製造法。
【請求項124】
前記少なくとも一つの二色性物質が、少なくとも5の吸収比を有する、請求項118に記載の製造法。
【請求項125】
前記少なくとも一つの二色性物質が、少なくとも7の吸収比を有する、請求項118に記載の製造法。
【請求項126】
前記少なくとも一つの二色性物質が、少なくとも10の吸収比を有する、請求項118に記載の製造法。
【請求項127】
前記少なくとも一つの二色性物質が、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン類、キノナフタロン系染料、ペリレン類、フタロペリン類、トリフェノジオキサジン類、インドロキノキサリン類、イミダゾ−トリアジン類、テトラジン類、アゾ染料、(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン類、ナフトキノン類、アントラキノンおよび(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン類、ヨウ素およびヨウ素酸塩の中から選択される、請求項118に記載の製造法。
【請求項128】
前記少なくとも一つの二色性物質が、重合性二色性物質である、請求項118に記載の製造法。
【請求項129】
前記少なくとも一つの異方性物質が、光配向性物質、ラビング配向性物質、および液晶物質の中から選択される、請求項118に記載の製造法。
【請求項130】
前記少なくとも一つの異方性物質が、液晶ポリマー、液晶プレポリマー、および液晶モノマーの中から選択される液晶物質である、請求項118に記載の製造法。
【請求項131】
前記少なくとも一つの異方性物質が、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルの中から選択される少なくとも一つの官能基を有する液晶物質である、請求項118に記載の製造法。
【請求項132】
前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程が、前記少なくとも一つの二色性物質と前記少なくとも一つの異方性物質とを含む前記少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも一つの配向機構にさらす工程を包含する、請求項118に記載の製造法。
【請求項133】
前記少なくとも一つの配向機構が、磁場、電場、および面偏光紫外線のうちの少なくとも一つから選択される、請求項132に記載の製造法。
【請求項134】
前記少なくとも一つの二色性物質を少なくとも部分的に直線配列させたあとで、該少なくとも一つの二色性物質と、前記少なくとも一つの異方性物質とを含む、前記少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項118に記載の製造法。
【請求項135】
前記少なくとも一つの二色性物質と、前記少なくとも一つの異方性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を少なくとも部分的に固定する工程が、前記少なくとも一つの異方性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に架橋する工程を包含する、請求項134に記載の製造法。
【請求項136】
前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた少なくとも部分的な被膜を形成する工程が、
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、配列媒体を含む第一の少なくとも部分的な被膜を形成させて、該配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、
該第一の少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上に、配列転写物質を含む第二の少なくとも部分的な被膜を形成させて、該配列転写物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程と、
該第二の少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分の上に、少なくとも一つの異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む第三の少なくとも部分的な被膜を形成させて、該少なくとも一つの二色性物質を少なくとも部分的に直線配列させる工程と、
を包含する、請求項117に記載の製造法。
【請求項137】
前記第二の少なくとも部分的な被膜を形成する前に、前記第一の少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項136に記載の製造法。
【請求項138】
前記配列転写物質の少なくとも一部分を直線配列させたあとで、前記第二の少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項136に記載の製造法。
【請求項139】
前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を直線配列させたあとで、前記第三の少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項136に記載の製造法。
【請求項140】
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、前記少なくとも透過電磁波を偏光させるようになされた、少なくとも部分的な被膜を形成させる前に、該被膜の上に、少なくとも一つの配向機構を設ける工程を包含する、請求項117に記載の製造法。
【請求項141】
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、前記少なくとも一つの配向機構を設ける工程が、
配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、該眼科エレメントの該少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与し、かつ該配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、
少なくとも部分的に延伸したポリマーシートを、該眼科エレメントの該少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、
該眼科エレメントの該少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分を少なくとも部分的に処理する工程、
の中の少なくとも一つを含む、請求項140に記載の製造法。
【請求項142】
眼科エレメント製造法であって、
該眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を含む少なくとも一つの配向機構を付与する工程と、
少なくとも一つの二色性物質を、該少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に付与する工程と、
該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程と
を包含する、製造法。
【請求項143】
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、前記少なくとも一つの配向機構を設ける工程が、
配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、該眼科エレメントの該少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と
を包含する、請求項142に記載の製造法。
【請求項144】
前記配列媒体が、光配向性物質、ラビング配向性物質、および液晶物質の中から選択される、請求項143に記載の製造法。
【請求項145】
前記光配向性物質が、アゾベンゼン誘導体、ケイ皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルリン酸誘導体、およびポリイミドの中から選択される光配向性ポリマー網目構造である、請求項144に記載の製造法。
【請求項146】
前記配列媒体が、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、酸無水物、エポキシド、ヒドロキシド、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニルおよびビニルエーテルの中から選択される少なくとも一つの官能基を有する液晶物質である、請求項144に記載の製造法。
【請求項147】
前記少なくとも一つの二色性物質を、前記配列媒体を含む少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に付与する工程が、スピンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングとスプレーコーティングとの併用、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、鋳込み、ロールコーティング、ワイヤーコーティング、オーバーレイ、およびインバイビング(吸収)の中の、少なくとも一つの工程を含む、請求項146に記載の製造法。
【請求項148】
ラビング配向性物質が、(ポリ)イミド、(ポリ)シロキサン、(ポリ)アクリレート、および(ポリ)クマリン類の中から選択される、請求項144に記載の製造法。
【請求項149】
前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程が、
前記配列媒体の少なくとも一部分に面偏光紫外線を照射する工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に面偏光赤外線を照射する工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に磁場を当てる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に電場を当てる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分を乾燥させる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分をエッチングする工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に剪断力を加える工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分を摩擦する工程と
のうちの少なくとも一つを包含する、請求項143に記載の製造法。
【請求項150】
さらに、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分の上に、少なくとも一つの配向機構を付与する工程が、
該配列媒体の少なくとも一部分を少なくとも部分的に乾燥させる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分を少なくとも部分的に架橋する工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分を少なくとも部分的に硬化させる工程
のうちの少なくとも一つによって、該配列媒体の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程を包含する、請求項143に記載の製造法。
【請求項151】
前記少なくとも一つの二色性物質を、少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に付与する工程と、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程とが、ほぼ同時に行われる、請求項142に記載の製造法。
【請求項152】
前記少なくとも一つの二色性物質を、前記少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に付与する工程が、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程よりも前に行われる、請求項142に記載の製造法。
【請求項153】
前記少なくとも一つの二色性物質を、前記少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に付与することが、少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させたあとで行われる、請求項142に記載の製造法。
【請求項154】
前記少なくとも一つの二色性物質を、配列媒体を含む少なくとも一つの配向機構の少なくとも一部分に付与する工程が、スピンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングとスプレーコーティングとの併用、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、鋳込み、ロールコーティング、ワイヤーコーティング、オーバーレイ、およびインバイビングの中の、少なくとも一つを含む、請求項142に記載の製造法。
【請求項155】
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、少なくとも一つの配向機構を設ける工程よりも前に、少なくとも部分的なプライマー被膜を、該眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程をさらに包含する、請求項142に記載の製造法。
【請求項156】
フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の中から選択される少なくとも一つの、追加的な、少なくとも部分的な被膜を、前記少なくとも一つの眼科エレメントの少なくとも一部分に付与する工程をさらに包含する、請求項142に記載の製造法。
【請求項157】
眼科エレメント製造法であって、
該眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、少なくとも部分的な被膜を付与する工程と、
該少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過電磁波を偏光させるように調製する工程とを包含する、製造法。
【請求項158】
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、少なくとも部分的な被膜を付与する工程と、該少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過電磁波を偏光させるように調製する工程とが、ほぼ同時に行われる、請求項157に記載の製造法。
【請求項159】
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、少なくとも部分的な被膜を付与する工程が、該少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過電磁波を偏光させるように調製する工程より前に行われる、請求項157に記載の製造法。
【請求項160】
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、少なくとも部分的な被膜を付与する工程が、該少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過電磁波を偏光させるように調製する工程のあとで行われる、請求項157に記載の製造法。
【請求項161】
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、少なくとも部分的な被膜を付与する工程が、少なくとも一つの異方性物質と、少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を、該少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含し、そして前記少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過電磁波を偏光させるようにする工程が、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程を包含する、請求項157に記載の製造法。
【請求項162】
前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程が、前記異方性物質の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、該少なくとも一つの二色性物質を、該少なくとも部分的に秩序ある配列をした異方性物質と、少なくとも部分的に直線配列させる工程とを包含する、請求項161に記載の製造法。
【請求項163】
さらに、前記少なくとも一つの異方性物質と、前記少なくとも一つの二色性物質とを含む、少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程を包含する、請求項161に記載の製造法。
【請求項164】
前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に、少なくとも部分的な被膜を付与する工程が、配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、該眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含し、そして該少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過電磁波を偏光させるようにする工程が、該配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、少なくとも一つの二色性物質を、該配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する工程と、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程とを包含する、請求項157に記載の製造法。
【請求項165】
前記配列媒体が、光配向性物質、ラビング配向性物質、および液晶物質の中から選択される、請求項164に記載の製造法。
【請求項166】
前記光配向性物質が、アゾベンゼン誘導体、ケイ皮酸誘導体、クマリン誘導体、フェルリン酸誘導体、およびポリイミドの中から選択される光配向性ポリマー網目構造である、請求項165に記載の製造法。
【請求項167】
前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程が、
該配列媒体の少なくとも一部分に面偏光紫外線を照射する工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に電場を当てる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に磁場を当てる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に面偏光赤外線を照射する工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分を乾燥させる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分をエッチングする工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に剪断力を加える工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分を摩擦する工程と
のうちの少なくとも一つを包含する、請求項164に記載の製造法。
【請求項168】
前記少なくとも一つの二色性物質を付与する工程の前に、前記配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項164に記載の製造法。
【請求項169】
前記少なくとも一つの二色性物質を付与する工程と、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させることが、ほぼ同時に行われる、請求項164に記載の製造法。
【請求項170】
前記少なくとも一つの二色性物質を付与する工程が、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程よりも前に行われる、請求項164に記載の製造法。
【請求項171】
前記少なくとも一つの二色性物質を付与する工程が、該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程のあとで行われる、請求項164に記載の製造法。
【請求項172】
前記少なくとも一つの二色性物質を、前記配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する工程が、スピンコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングとスプレーコーティングとの併用、カーテンコーティング、フローコーティング、浸漬コーティング、射出成形、鋳込み、ロールコーティング、ワイヤーコーティング、オーバーレイ、および吸収の中の、少なくとも一つの工程を包含する、請求項164に記載の製造法。
【請求項173】
前記少なくとも一つの二色性物質を、前記配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する工程が、少なくとも一つの異方性物質と該少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を付与する工程を包含する、請求項164に記載の製造法。
【請求項174】
前記二色性物質の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に直線配列させる工程が、該二色性物質少なくとも一部分が、前記少なくとも部分的に直線配列した異方性物質と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列するように、該少なくとも一つの異方性物質の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に直線配列させる工程を包含する、請求項173に記載の製造法。
【請求項175】
さらに、前記少なくとも一つの異方性物質の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に固定する工程を包含する、請求項173に記載の製造法。
【請求項176】
前記少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程の前に、少なくとも部分的なプライマー被膜を、前記眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程を包含する、請求項157に記載の製造法。
【請求項177】
さらに、前記眼科エレメントの少なくとも一部分に対して、フォトクロミック膜、反射防止膜、中間移行膜、プライマー膜、および保護膜の中から選択される少なくとも一つの、追加的な、少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントに付与する工程を包含する、請求項157に記載の製造法。
【請求項178】
眼科エレメント製造法であって、
配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜を、眼科エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、
一つの異方性物質と少なくとも一つの二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜を、該少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部に付与する工程と、
該少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程を包含する、製造法。
【請求項179】
前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程は、
該配列媒体の少なくとも一部分に面偏光紫外線を照射する工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に赤外線を照射する工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に磁場を当てる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に電場を当てる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分を乾燥させる工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分をエッチングする工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分に剪断力を加える工程と、
該配列媒体の少なくとも一部分を摩擦する工程と
のうちの少なくとも一つを包含する、請求項178に記載の製造法。
【請求項180】
前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程より前に、該配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を固定する工程をさらに包含する、請求項178に記載の製造法。
【請求項181】
前記配列媒体の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させながら、他方で該配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項178に記載の製造法。
【請求項182】
前記配列媒体の少なくとも一部分に、部分的に秩序のある配列を形成させたあとで、該配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項178に記載の製造法。
【請求項183】
前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程が、
前記少なくとも一つの二色性物質の少なくとも一部分が、前記少なくとも部分的に直線配列した異方性物質と、少なくとも部分的に同じ直線上に配列するように、該異方性物質の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程を包含する、請求項178に記載の製造法。
【請求項184】
前記異方性物質と、前記少なくとも一つの部分的に直線配列した二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項178に記載の製造法。
【請求項185】
前記一つの異方性物質と、前記少なくとも一つの部分的に直線配列した二色性物質とを含む少なくとも部分的な被膜の、少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程が、本質的に不活性な雰囲気下で、該少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に紫外線を照射することによって、該少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に硬化させる工程を包含する、請求項184に記載の製造法。
【請求項186】
さらに、配列転写物質を含む少なくとも部分的な被膜を、前記少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させた配列媒体を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する工程、一つの異方性物質と少なくとも一つの二色性物質とを含む、少なくとも部分的な被膜を付与する前に、配列転写物質の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に直線配列させる工程とを包含する、請求項178に記載の製造法。
【請求項187】
眼科用レンズの製造法であって、
光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的被膜を、レンズの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、
面偏光紫外線を照射して該光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に秩序ある配列を形成させる工程と、
該液晶物質と少なくとも一つの二色性染料とを含む少なくとも部分的な被膜を、該光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する工程と、
該液晶物質と少なくとも一つの二色性染料とを含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に直線配列させる工程と、
該液晶物質と少なくとも一つの二色性染料とを含む少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程と
を包含する、製造法。
【請求項188】
前記光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に配列に秩序のある配列を形成させる前に、該光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項187に記載の製造法。
【請求項189】
前記光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に配列に秩序のある配列を形成させながら、他方で該光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に固定する工程をさらに包含する、請求項187に記載の製造法。
【請求項190】
前記光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分に、少なくとも部分的に配列に秩序のある配列を形成させたあとで、該光配向性ポリマー網目構造の少なくとも一部分を少なくとも部分的に固定することを含む、請求項187に記載の製造法。
【請求項191】
前記液晶物質と、前記少なくとも一つの二色性染料とを含む被膜の少なくとも一部分を、少なくとも部分的に固体したあとで、保護膜と、反射防止膜との中から選択される少なくとも一つの少なくとも部分的な被膜を、該液晶物質と、該少なくとも一つの二色性染料とを含む該少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分に付与する工程をさらに包含する、請求項187に記載の製造法。
【請求項192】
前記光配向性ポリマー網目構造を含む少なくとも部分的な被膜が、前記レンズの第一表面の少なくとも一部分に付与され、そして前記少なくとも部分的な反射防止膜が、該レンズの第二表面の少なくとも一部分に付与される工程を包含し、該第二表面が、該第一表面に対して反対側にある、請求項187に記載の製造法。
【請求項193】
光学エレメント製造法であって、
少なくとも部分的な被膜を、該光学エレメントの少なくとも一つの外表面の少なくとも一部分に付与する工程と、
該少なくとも部分的な被膜の少なくとも一部分を、少なくとも透過電磁波を偏光させるように調製する工程とを包含する、製造法。
【請求項194】
前記光学エレメントが、矯正レンズ、非矯正レンズ、およびルーペの中から選択される、請求項193に記載の製造法。

【公表番号】特表2007−518135(P2007−518135A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549248(P2006−549248)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/037516
【国際公開番号】WO2005/071466
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(504175051)トランジションズ オプティカル, インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】