説明

偏光器に基づく検出器

【課題】通貨確認装置における紙幣または他の形態の支払いに装着される糸を検出するための装置および方法を提供することを目的とする。
【解決手段】1つの実施形態において、糸詐欺行為検出手段は糸を検出するために偏光光を使用する。他の実施形態において、偏光光および異なる範囲の波長の光が糸を検出するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
紙幣確認装置は、認識センサ領域を通過して紙幣がある種の現金箱に保管される積重ね領域に紙幣を誘導するための紙幣通路および搬送システムを典型的に含む。このような確認装置は、詐欺行為を防止するためのシステムを典型的に含む。1つのタイプの詐欺行為において、窃盗犯は紙幣に接続された糸を使用して認証後に紙幣を取り戻し、それでも製品またはサービスを受け取る。これらの「糸」は紙幣への機械的な装着物であり、外部から操作することができる。このような糸は、ワイヤ、テープ、押出し材料などを含む多くの形態を取ることができる。この種の詐欺行為は「糸詐欺(ストリング・チート)」として典型的に知られている。
【0002】
ストリング・チートの問題を解決するために、様々な解決策が使用されてきた。例えば、光学的または機械的に引き糸の存在を検出することによって、シャッタが閉じることを妨害することによって、または、ある形態の一方向的または能動的に制御された機械的拘束を使用することによってストリング・チートの実行を妨げるためのシステムが設計されている。糸の光学的検出は、より細く透明な糸の使用によって挑戦されてきた。
【0003】
(発明の概要)
通貨確認装置のための偏光器に基づく検出器を提供する。一実施形態は、糸を検出するために偏光された光が使用される、確認装置の搬送通路に沿って構成される糸詐欺行為検出手段を含む糸検出器である。
【0004】
本発明の実施は以下の特徴の1つ以上を含むことができる。糸詐欺行為検出手段は少なくとも光源および少なくとも光検出器を含むことができ、光検出器は検出器手段であってよい。光源は、レーザ・ダイオードであってよく、少なくともLEDおよび偏光器で構成することができるか、または、直線偏光器または円偏光器とすることができる2つの偏光器を含むことができる。もし円偏光器が使用されるなら、1つの偏光器は右手系、および、第2の偏光器は左手系とすることができるか、または、2つの偏光器が同じ手系を有する。2つの直線偏光器の軸は実質的に90°で交差していてよく、各偏光器の軸は搬送通路に対して実質的に45°に配向してよい。偏光器は限られた範囲の波長で活性にすることができ、可視波長域で活性に、および、赤外波長域で不活性にすることができる。糸詐欺行為検出手段は、偏光した光が偏光器を介して検出器に反射されるように、搬送通路の1つの側に少なくとも光源、検出器、および、少なくとも1つの偏光器手段を、および、向かい側にミラーを含むことができる。糸詐欺行為検出手段は複数の光源および偏光手段を含むことができ、少なくとも1つの光源は偏光された範囲の波長を有し、少なくとも第2の光源は偏光されていない範囲の波長を有する。搬送通路は少なくとも1つの透明窓を含むことができ、透明窓はPMMA、脂環式アクリル、光学用アクリル、アリルジグリコールカーボネート、変性ウレタン、および、ガラスの少なくとも1つで作ることができる。光学的組立て部品は透明窓を形成することができ、光学的組立て部品は長方形のガラス挿入物を囲むように成形されたフレームを含むことができ、フレームは低収縮材料で形成することができる。光学的組立て部品は、搬送通路の一部を形成する射出成形部材への挿入物として搭載することができ、溝は、成形収縮による応力を吸収するために光学的組立て部品の位置に近い搬送通路の一部に形成することができる。搬送通路は、少なくとも1つの窓要素および偏光器構成要素を含むことができる。偏光器に基づく検出器はセンサ手段、確認手段、比較手段、および、関連するメモリ手段を含むことができる。
【0005】
本発明の他の態様は通貨確認装置内の透明な糸を検出するための方法を含む。この技術は偏光光で糸を発光させ、少なくとも1つの光検出器および少なくとも1つの偏光器を使用して偏光光を検出することを含み、光の偏光は糸を介して回転される。
【0006】
この方法の実施は以下の特徴の1つ以上を含むことができる。この技術は回転された光を偏光器を介した通過によって検出すること、または、回転された光を偏光器による吸収によって検出することを含むことができる。限られた範囲の波長の偏光光は透明な糸を検出するために使用することができ、不透明な糸は他の範囲の波長の光で検出することができる。透明な糸は可視波長範囲において検出することができ、不透明な糸は赤外波長範囲において検出することができ、また、信号は糸の存在を検出するために測定することができ、および/または、信号はメモリに保存された参照値と比較することができる。測定された信号は、測定値の比を参照閾値と比較することによって糸の不在の場合の信号と比較することができる。この技術は、糸の不在の場合の信号を測定することによって基底信号値を決定すること、メモリに基底信号値を保存すること、異物が検出された時に信号を測定することによって異物信号値を決定すること、異物信号値と基底値を互いから差し引きすることによって差の値を得ること、および、差の値をメモリに保存された参照値と比較することをさらに含むことができる。加えて、この方法は、差の値が正であれば実質的に透明な糸が検出されたと判断すること、および、差の値が負であれば実質的に不透明な糸が検出されたことを検出することを含むことができる。参照値は、糸の存在または不在の場合の複数の測定値の統計的な測定、平均値および標準偏差の算出、および、nが0と5の間とすることができる平均値±n×標準偏差に実質的に等しい参照値を定義することによって定義することができる。
【0007】
本発明の様々な実施形態の詳細は、添付の図面および詳細な説明に述べる。本発明の他の特徴および長所は、説明と図面および特許請求の範囲より明らかになる。
【0008】
様々な図面にある同じ参照番号は同じ要素を示す。
【0009】
(詳細な説明)
本発明は、特に非常に細い糸の場合において、通貨確認装置における通貨に装着された糸の光学的検出の改良に関する。そのような細い透明なポリマ糸は2つの偏光器を使用することによって検出できる複屈折効果を示すことが知られている。図1に示すように、紙幣通路4の向き合う側にある2つの向き合う偏光器2および3の第1の側にLEDなどの光源1が設置され、2つの偏光器を介して通過される光を測定するために第2の側に光検出器5が設置される。糸6が示され、この構成の一般的効果は、糸6での複屈折が、向上したコントラストを示すことである。線形にせよ円にせよ使用される偏光器のタイプおよび相対的な構成によって、コントラストは鮮明な背景上の暗くなった糸または暗い背景上の明るい見える糸となる。本明細書で使用される用語「糸」は、より糸、ワイヤ、フィルム、テープ、押出し材料線、ポリマ線などを含むがこれらに限定されない通貨に装着することができるいかなるタイプの手段も指すことが理解される。用語「通貨」は紙幣、銀行券、証券文書、貨幣、代用貨幣、または、他の形態の支払いを意味することができることも理解される。
【0010】
直線偏光器の使用
偏光器2および3の2つの配置は興味深い。通過モードにおいて、図2に示すように2つの偏光器は同じ平行な配向を有する。偏光器の通過型の配置において、第1の偏光器からの偏光光は第2の偏光器を介して進行するが、偏光光の糸を介して進行する部分は回転され、第2の偏光器によって遮断され、そうされなければ透明であった糸のコントラストと可視性を高める。
【0011】
遮断モードにおいて、図3に示すように2つの偏光器の高速軸は互いから実質的に90°の角度で交差される。糸が2つの偏光器の間に挿入されている時、糸6を介して進行する第1の偏光器からの光の偏光面は、1/4波長遅延板の効果と同じに回転される。
【0012】
遮断モードにおいて、偏光器2からの偏光光は90°に配向された偏光器3によって通常は遮断されるが、偏光光の糸6を介して進行する部分は回転され、したがって、偏光器3によって遮断されず、したがって、通過した信号を発生させる。この「遮断」配置は、糸の不在での低い暗い信号(背景残存光)から糸のみから来出する明るい信号へと進行し、この配置が可能にする大きな信号対雑音比により、特に適する。この信号対雑音比は、通過型配置で起きる明るい背景を覆う小さな対象物の比較的低い吸収より検出が容易である。
【0013】
糸6が偏光器の軸18から実質的に45°に配向している時、糸の最大コントラストおよび可視性が発生することが見出されている。したがって、偏光器の最適な配置は、図2および3に示すように搬送軸19の主方向が偏光器の軸18に対して実質的に45°に配向されるものである。
【0014】
糸の検出基準は、参照値としての閾値に比較された信号強度の変化の検出に基づくことができる。単純な絶対閾値の使用、または、簡便には、温度のずれに適応するために、糸の不在の場合の信号に対する糸の存在する場合の信号の比またはその逆数の使用のいずれでも可能である。実地には、2つの偏光器が実質的に90°で交差する時、消光比は使用される偏光材料のタイプに依存して完璧とはならず、残存背景オフセット信号を残す。基底値として、糸の不在の場合のこの残存する背景信号を測定し、メモリに保存すること、および、糸が存在する時に測定値から基底値を差し引くことによって信号の変化をコンピュータ処理することは便利となることがある。したがって、比較は閾値に対する信号の変化で行うことができる。最適ではないが、背景オフセット信号の存在も、信号の変化を透明な糸の場合のような正の代わりに負にする不透明な糸を検出するために使用することができる。最適な閾値も、双方の状態における信号の統計的な測定値に基づいて決定することができる。例えば、信号は所定の条件で繰り返して測定することができ、したがって、統計的モデルを、例えばガウスのモデルに定義することができ、閾値は、nが0から5の範囲とすることが便利にでき、典型的に3とすることができる平均値+/−n×標準偏差を使用することによって定義される。比較手段は、メモリに保存される参照値に対して測定値を比較するマイクロプロセッサの形にすることが有利にできるか、または、代案として、旧式のアナログまたはデジタル形式の比較器ハードウエアを使用することができる。マイクロプロセッサが使用される時、測定値はA/D変換器を使用してアナログ領域からデジタル領域に変換される。
【0015】
残りの状態が暗いフィールドである環境設定の特別な長所は、センサの感度に対する紙幣通路の汚れの影響が最小となることである。汚れなどの不透明な物体はこの環境設定において信号を発生しない。
【0016】
レーザからの光が実質的に偏光されることも知られており、したがって、レーザを偏光光源として使用し、および、検出器側に1つの偏光器だけを使用することが可能である。この実施において、糸の不在の場合に検出器上の信号を最小に抑えるために偏光器は配向される。もしレーザが固体型であれば、ダイ(台)および偏光面の安定した配向を得ることは困難となることがある。この場合、偏光器は搬送通路の代わりに光線を基準として配向することができる。糸に吸収モードの使用を考慮する時、配置に関して同じ問題が起きることは明白である。この場合、偏光器は糸の不在の場合の信号を最大にするように配向される。
【0017】
HN Polaroid(登録商標)フィルムなどの偏光フィルタは、限られた範囲の波長に対して活性である。例えば、図10および11のスペクトル応答グラフに示すように、可視波長で機能するフィルムは赤外(IR)領域において透明になる傾向がある。この特性は、偏光するために、光源の波長が特定の範囲、例えば、可視領域になければならないことを示唆する。しかし、偏光器手段を形成するために、液晶ディスプレー(LCD)および二色性結晶材料などの他の材料が使用できることは理解される。さらに、考えられる偏光器の材料または手段のいくつかは、電気信号に応じてオンおよびオフにするように動作可能にすることができ、そうでなければ、それらの偏光能力を修正することができる。
【0018】
遮断モードにおいて交差した偏光器を使用する上記の配置は透明な糸を検出するために適するが、不透明な糸を検出するためにはそれほど適してはいない。なぜなら、信号の変化を最大にするために糸の不在の場合の信号を最小に抑えることが所望されるからである。したがって、糸が不在の場合の信号が小さいため、不透明な糸が存在する時にこれがさらに小さくさえなり、雑音に埋もれることがあり、実地には使用できなくなる。興味深いことに、IR波長域において偏光器が透明であるという事実は、IR領域において不透明の対象物を検出するために同じ形状の光学系が使用されることを可能にする。したがって、1つは偏光される可視領域にあり、1つは偏光されない、例えば、約950ナノメータ(nm)の波長でIR領域にある2つの波長を持つ光源を使用することが便利である。
【0019】
可視領域で非偏光性であるIR偏光フィルムが使用される時は上記の逆も可能となる。しかし、通過モードを使用する偏光器の使用の場合、信号の変化は全てのタイプの対象物について吸収によって機能するため、2つの波長を持つ構成を使用する必要はない。透明な対象物の場合、吸収信号は位相の回転によるものであり、不透明な対象物の場合、それは対象物自体の吸収によるものである。
【0020】
上記の環境設定の改変において、提案された光源は1つまたは複数のLEDを使用して作成されるが、広帯域白熱灯も使用できる。異なった波長のいくつかのダイが単一のパッケージに含まれるマルチ・ペレットLEDも使用することができる。
【0021】
雑音の一般モードでの拒否
非偏光領域においては吸収、および、偏光領域においては回転の双方によって信号を検出する前述のシステムの場合、単一の信号デバイスにおいては容易に検出されない情報を得るために2つの信号を比較することが可能である。特に、信号処理システムは信号レベルにおける相関した変化を捜索することができる。例えば、非偏光領域において弱い影または負の信号を発する細い糸は、偏光領域においては弱い輝きまたは正の信号を放射することがある。信号間の相関を捜索することによって、単独で使用されれば信頼するには弱すぎる信号を高い確度で検出することが可能になる。そのような処理は、旧式の電子的アナログ・ハードウエアの使用、または、A/D変換器を使用することによってデジタル領域においてのいずれでも達成することができる。
【0022】
円偏光器の使用
円偏光器は、直線偏光フィルムを高速軸が+/−45°に配向している90°遅延板フィルムに結合することによって作成される。通常、この2つの構成要素はフィルムを構成するために貼り合わされるが、各要素を別々にしておくことも可能である。2つの円偏光器が向かい合わせに設置された時、遅延板は互いに向き合っており、光源からの光はランダムな偏光から直線偏光に連続的に進行し、続いて円偏光へ、続いて直線偏光に戻る。円偏光の領域にある偏光器の間に糸を挿入することは、コントラストを作り出す複屈折糸を介して進行する光の余分な遅延をもたらす。
【0023】
円偏光器は、直線偏光を基準とした遅延板の配向によって決まる右手系または左手系の光を作り出すように設計することができる。同じタイプの2つの円偏光器が使用される時、光は、通常、通過され、糸は暗くなり、余分に位相がずれた糸を介して進行する光の吸収によって検出される。もし1つの偏光器が左手系タイプであり、他方が右手系タイプであれば、光は通常遮断され、糸は、余分に位相がずれた糸を介して進行する光の通過によって検出される。円偏光器の長所は偏光器を基準にしていかなる配向にあっても糸が検出されることであり、2つの偏光器の正確な相対的配向は必要ない。短所は遅延板の位相のずれが波長に依存することであり、したがって、より良好なコントラストは一色性の光源を使用することによって達成することができる。標準的な偏光器は、通常、緑色の領域で機能するように設計されている。
【0024】
他の配置において、第2の偏光器に到達する前にミラー表面上の鏡面反射が光路に挿入された時、同じ対掌性(手系)の2つの円偏光器を使用することができる。この配置において、検出器および光源は紙幣通路の同じ側にあり、ミラーは反対側に位置する。
【0025】
紙幣通路窓の考察
図4aを参照すると、紙幣確認装置の流れにおいて、透明な窓7および8を含むため、および、防水通路を作成するために二段成形工程を使用して搬送通路4を製造することが有利である。しかし、円偏光器が遅延板としても機能し、糸自体の効果を圧倒することがあるため、透明な窓は円偏光器の場合に問題を生じることがある。そのような解決策の実施におけるこのような実践的な問題は、直線偏光器の使用につながった。
【0026】
円偏光器に関して、必要な複屈折効果が射出工程によって制御できるのならば理論では、直線偏光器および1/4波長板の組合せから円偏光器を作成するために必要な遅延板は、図4aに示すように筐体部分52(図4cを参照)内に形成される紙幣通路4の透明な窓7および8の部分とすることができる。
【0027】
直線偏光器に関して、いかなる複屈折効果も均一となるようなものとなり、高速軸は直線偏光器2および3の高速軸に対して平行にも垂直にもなるように、図4aの透明な窓7および8は応力を最小に抑える方法で射出成形されなければならない。ポリメタクリル酸メチルまたはPMMAとしても知られているポリマであるアクリルは、この目的に適するポリマとして識別されている。日立化成工業株式会社によって市販される脂環式アクリルであるOptorez(登録商標)などの他の材料も使用することができる。弱い複屈折特性を有する他のいくつかの材料は、光学窓の製造における使用のために適することがある。このような材料は、Cyro Industriesによって製造されるDQ501(登録商標)材料などの光学用アクリル(PMMA)、Pittsburgh Plate Glassによって製造されるCR−39(登録商標)などのアリルジグリコールカーボネート(ADC)、および、アリゾナ州フェニックスのSimula Polymer Systems Inc.によって製造される変性ウレタン材料を含むことができ、Schott(登録商標)BK−7ガラスなどの全ての等級のガラスは潜在的に有用なことがある。
【0028】
図4bは、偏光器要素11aおよび11bがシャシー内の独立した部品として挿入されており、そのため、それらが窓になる他の可能な実施形態を説明する。このような解決策は適さないことがある。なぜなら、搬送通路内の合流点に隆起点を作ることができ、これが紙詰まりの危険を高めるからである。
【0029】
図4cは紙幣受け器の筐体またはシャシー52および窓組立て部品54の一部の部分分解図50である。筐体部分52は紙幣通路4の底側半分を形成することができ、窓組立て部品54を着座させるための部分を含む。
【0030】
1つの実施形態において、射出成形部材作成工程はガラス窓と共に用いられる。再び図4cを参照すると、フレーム53は長方形ガラス挿入物55を囲むように成形される。続いて、結果として得られた窓組立て部品54は筐体部分52を形成する第2の射出成形部材に搭載される。フレーム53は窓挿入物55と紙幣通路4との間の緩衝物として機能する。非常に小さな収縮率かつ高モジュラスの樹脂はガラスを囲むために使用できる。フレームに適する材料は、例えば、Celanese AGの一事業部門であるTicona CompanyによるVectra(登録商標)などの液晶ポリマ(LCP)材料である。非常に小さな収縮率かつ強固なフレームは、(例えば、GE Lexan(登録商標)などのガラス充填ポリカーボネート材料であってよい)筐体成形物の収縮によって誘発される応力からガラス挿入物を保護する。恐らく、柔らかい材料は従来の家屋用窓枠に使用されるガラス・パテと同じように同じ目的に役立つことがある。
【0031】
そのような用心にもかかわらず、十分な残存応力は、それでもガラス窓に発生し、許容できないレベルの複屈折をもたらすことがある。窓フレームの周囲の成形応力のさらなる低減は、保護される部分の周囲の流れ制限溝を含むことによって達成することができる。図4dはフレーム53によって囲まれるガラス窓55の拡大断面模式図である。フレーム組立て部品54は(部分的に示す)筐体部分またはシャシー52によって囲まれる。筐体52は(断面の2箇所に示す)フレームの3つの側面の周囲に走る溝56を含む。この溝の効果はフレームに対してプラスチックの流れを低減することである。したがって、成形工程の不可避の部分として紙幣通路が僅かに収縮する時、ガラスにかかる合力は低減される。加えて、溝の形状は母材の収縮にさらに抵抗して冷却中に鉄鋼製型内に保持される。
【0032】
図5および6は、光源1および検出器5を紙幣通過路の同じ側に光マスク40によって分離されて有する構成を示す。図5において、光源5からの光は左の偏光器2および左の窓7を通過し、搬送通路4を横切り、右の窓8を通過し、ここでミラー10に反射して窓8を介して戻り、再び搬送通路を通過し、左の窓7を通過し、右の偏光器3を通過し、検出器5に突き当たることができる。このような構成を組立てる際には、窓7および8が糸の検出に関して有害な複屈折効果を生じないことを確実にするために注意する必要がある。
【0033】
図6は、窓7および8が使用されないこと、および、ミラー10および円偏光器11が利用されていることを除いて図5と同じである。図6の組立て部品は、通常の動作条件下では検出器5に到達する光がないように構成することができる。しかし、光線の偏光角を乱すために糸が光線を破断した時、多少の光が検出器5に通過し、信号が発生される。
【0034】
生産コストを最小に抑えるために、ガラス・シート基板上に商業的に製造されている直線偏光器を利用することが可能である。したがって、このシートは、組合せ窓および偏光器要素として、サイズに合わせて切断して使用することができる。その結果はより単純で、より堅牢なデザインとなる。
【0035】
上記に説明した全ての解決策は、紙幣に装着された糸を検出するために紙幣確認装置において、または、貨幣に装着された糸を検出するために貨幣受け器において使用することができる。
【0036】
紙幣通路窓の位置
実地の問題として、糸が紙幣通路の外囲の縁に現われた時でさえシステムの感度が維持されるような方法で、完璧に均一かつコリメートされた光線に紙幣通路を横切らせることは困難である。したがって、図12に示すような改良が工夫され、それによって、紙幣通路4は方向の変化(湾曲21)を含む。このような蛇行する通路は、糸が必ず詐欺行為の試みの最中であるに違いない時で糸に張力が加わっている時、糸が、センサの領域20内の紙幣通路の中央部分にそれ自体を提示することを確実にする。糸が紙幣通路の中央領域にある時、検出装置から良好な信号を得ることは比較的容易である。
【0037】
複合センサによる信号の増倍
紙幣通路を複数回にわたって横切らせてセンサ光線を折り曲げるためにプリズムまたはミラーを使用することによって、従来の(非偏光)糸センサおよび偏光センサの双方の感度を改良することはさらに可能である。図13は、例としての円筒形ミラーを使用する3通路システムの簡略模式図である。
【0038】
図13において、光線34は搬送通路を数回にわたって横切るように反射される。紙幣通路を横切る任意の回数の通過を含めた概念の適合を考えることができる。重要な点は、そのような組合せの効果が第1のセンサの通過率を第2およびその後の通過の通過率で増倍することである。センサ雑音および核正誤差の効果も増倍されることが注意される。しかし、信号対雑音比が正であるとすれば、このような複合の結果はシステム全体の信号対雑音比を上昇させることになる。図13は、システムの全体的な大きさを低減するために便利である円筒形ミラー29の使用法を示すが、平面ミラーまたは大きな半径の球面ミラーなどの他の形状も使用できる。
【0039】
球面ミラーの他の長所は、平面ミラー38および球面ミラー37の組合せを示す図16aの環境設定において明らかである。この環境設定において、光線36は、実質的にコリメートされて搬送通路の反対側に向けられた光源を出発する。球面ミラーの光学的パワーは、平面ミラー38上での反射の後の(図示しない)検出器を設置するために適する位置を定義するために焦点39に光線を収斂させるように選択することができる一方、幅広い光線で横切られる搬送通路のかなりの長さを有する。図16aは水平面における光の軌跡を示すが、図16bは垂直面に同様に光線の焦点を合わせるための球面ミラーの使用法を説明する。さらに、搬送通路の向き合う側の2つの球面ミラーは、それらのパワーを組み合わせ、同じ目的を達成するために使用することができる。曲面ミラーも、いかなる糸も検出されるという確率を高めるために、搬送通路を横切って光線を広げるために使用できることにも注意されたい。
【0040】
プリズム反射器
感度の向上は、平面または円筒形のミラーを使用する代わりに、図14aおよび図15において示される詳細な部分42における要素30としてプリズム反射構造を使用することによって達成することができる。このような構造は、互いに実質的に90°になるように配置された2つのミラーで、または、図15に示すように水平に設置された内部全反射(TIR)三角プリズムによって作ることができる。
【0041】
このような構造の長所は、図14bを考慮すると明らかになる。細い糸の場合、他のタイプの反射器を使用している時は光源からの全光線33の一部だけが遮られる。しかし、プリズム構造が使用された時は光線の上部31が糸を介して吸収され、光線の下部として反射し返され、また、上部として三角プリズム30によって反射された光線下部32についても同じことが当てはまる。この配置は、プリズム30による反射の前でも反射から帰る途中でも、光線の両部分31および32に糸で遮らせる。
【0042】
上記の全ての配置において、単一の印刷基板上に光源および検出器の構成要素を設けることは便利である。この場合、光を構成要素から搬送通路に向けるために、図13、14、および、15に示すように光源および検出器プリズム22および23を使用することは便利となることがある。
【0043】
図14cは、光63を光源64から紙幣通路4を横切って検出器66に向けるためにプリズム62を使用する光検出器システム60の他の実施形態を示す。ここに示すように、光線63は少なくとも2つの異なった位置で紙幣通路を横切り、検出器66によって発生された信号は糸または他の異物が紙幣に装着されているかどうかを決定するために(図示しない)通過確認装置によって処理することができる。
【0044】
2つの交差した偏光器を製造する方法
図1に示す2つの交差した向き合う偏光器2および3を製造する便利な方法は、図7に示すように特定の角度、結果的に90°が所望される時は45°に偏光器シートにおいて細片12を切り出し、図8に示すように両末端を90°に曲げることである。2つの取り付け孔15は、図9に示すように支持シャシー17の位置ピン16にこの部品を位置合わせするために使用することができる。所望であれば、このリボンを2つに切断することによって、2つの緩い部品を同じ方法で製造することができる。
【0045】
通貨取り扱い機における使用のための対になった2つの交差した向き合う偏光器を製造する他の方法を図17a〜17eに示す。偏光器がシート原料から切り出された時、直線偏光器の軸の配向はシートの縁を基準にして±3°以内にすることができる。結果的に、この方法で偏光器を別々に切り出すことは実質的には90°で交差しない軸を有する1対の偏光器をもたらすことがあるが、6°までは位置ずれしてもよい。このように位置ずれした偏光器は、糸検出器システムの一部として使用された時に許容できない残存信号を発生する。このような位置ずれの問題を回避するために、図17aを参照すると、偏光器フィルム70は、2つの偏光器72および74が互いから実質的に90°である偏光線または軸を有するように切り出される。したがって、偏光器72および74は、通貨取り扱いシステムに搭載された時に互いから実質的に90°で交差する偏光軸を有する。この実施例において、偏光軸はシートの辺71から実質的に45°の角度にあるが、軸はいかなる角度でもよく、2つの偏光器はそれでも互いから実質的に90°に配向した変更軸を有する。理想的には、糸が検出された時に強い信号を発生するために、偏光器の偏光軸は紙幣通路に対して、または、紙幣に装着された糸の水平面に対して約45°であることが理解される。しかし、紙幣通路に対する30°などの他の偏光器軸配向角も機能するが、より弱い信号を発生する。
【0046】
再び図17aを参照すると、後に偏光器の互いからの分離が可能になる罫書き線76が偏光器の間に切られており、折り曲げ線位置78も取り付けの前に各偏光器をあるべき形状に曲げることを容易にするために罫書かれている。偏光器の対の間に罫書き線76を含むこのような構造は、互いに対するそれらの偏光軸の実質的に90°の配向を保全かつ保証するために、取り付けまでこの対が一体のままでいることを可能にする。
【0047】
図17bは、シート70から切り出された第1の偏光器72および第2の偏光器74(偏光器の対)を示す。脚部77および79は、偏光フィルムを逆の方向(上と下)に曲げることによって形成される。次に、2つの偏光器は(図17cに示す)罫書き線76に沿って互いから分離され、各部分の偏光軸は互いから実質的に90°に配向される。1対の偏光器は、例えそれらが、それらの偏光軸が紙幣通路または検出された糸の平面に平行な水平面から正確に45°ではないように切り出されていたとしても、十分機能する。これは17dに説明され、図中には、偏光器72の端面図が示され、第1の偏光器72(右手部分)の偏光軸は第2の偏光器74(左手部分)の偏光軸から実質的に90°の角度に配向されるが、各偏光器はシート材料の縁71から正確に45°ではない角度で切り出されていた(図17aを参照)。
【0048】
図17eは紙幣取り扱いユニットのシャシー組立て部品80に着座する偏光器の対(第1の偏光器72および第2の偏光器74)を示す。2つの偏光器は図17cに示すように位置合わせされ、それにより、各々の偏光軸は互いから実質的に90°に配向される。
【0049】
改良された交差チャンネル・センサ構成およびストリング・チート詐欺行為の試みを検出する方法が説明された。本発明の精神および範囲から逸脱しない多くの変更、変形、改変、および、他の用途および応用例が可能であることが理解されるべきであり、そのような改変は、本開示および付属の特許請求の範囲内に該当する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施による紙幣通路4、および、2つの向き合う偏光器2および3、光源1、および、検出器5の配置の概略図である。
【図2】高速軸18が平行であり、配向が搬送通路の軸19に対して実質的に45°である通過モードの2つの偏光器2および3の相対的な配置を示す図である。
【図3】高速軸18が実質的に互いに垂直である遮断モードの2つの偏光器2および3の相対的な配置を示す図である。
【図4a】搬送通路4および各々の側にある2つの透明窓7および8、ならびに、窓の背後に位置する2つの直線偏光器2および3、および、光源1および光検出器5の正面図である。
【図4b】搬送通路4および搬送窓を直接形成する2つの円偏光器11aおよび11b、ならびに、光源1および光検出器5の正面図である。
【図4c】窓組立て部品を含む紙幣確認装置の筐体の一部の部分分解図である。
【図4d】窓を囲むフレームを含む窓組立て部品の実施の拡大断面図である。
【図5】搬送通路の一方の側にミラー10を、および、紙幣通路の同じ側に位置する2つの直線偏光器2および3を使用する配置を示す図である(2つの偏光器は互いに関して90°に配向される)。
【図6】円偏光器が搬送通路窓を直接形成し、ミラーの前に窓がない、ミラー10および搬送通路の1つの側に円偏光器11ならびに光源1および検出器5を使用する代案となる配置を示す図である。
【図7】偏光軸が長辺から実質的に45°の角度にあり、位置合わせ孔15を含むように、配向シートにおいて切り出された偏光リボン12を示す図である。
【図8】2つの末端13および14の実質的に90°の偏光の交差を得るための折り曲げられた末端を備えた図7の偏光リボンを示す図である。
【図9】孔15がピン16に位置合わせされるシャシー17のアセンブリへの装着のために定置された偏光リボン部品12を示す図である。
【図10】曲線が、赤外波長域において偏光器が実質的に透明になることを示す、直線偏光器の通過スペクトル応答を示す図である。
【図11】曲線が、可視領域における吸収百分率、および、赤外波長域において偏光器が実質的に透明になることを示す、実質的に90°で交差する2つの直線偏光器のスペクトル応答を示す図である。
【図12】搬送通路に2つの湾曲21を含む蛇行する形状を備えた紙幣通路、および、2つの湾曲の間に位置する交差チャンネル・センサ装置20の位置の断面側面図である。
【図13】円筒形ミラーを使用する反射型交差チャンネル・センサ装置を説明する図である。
【図14a】本発明によるプリズム反射器を使用する反射型交差チャンネル・センサ装置を示す図である。
【図14b】図14aの光線の反射された部分の光路を示す図である。
【図14c】本発明によるプリズム反射器を使用する交差チャンネル・センサ装置の他の実施を説明する図である。
【図15】図14aのプリズム構造および反射された光線の部分42の詳細な拡大図である。
【図16a】平面ミラー38上での搬送通路を超える反射の後、検出器の設置にために適する焦点39上へ光線の焦点を合わせるための反射器としての他の球面ミラー37の使用を示す図であり、図16aは水平光の軌跡を示し、図16bは垂直光の軌跡を示す図の1である。
【図16b】平面ミラー38上での搬送通路を超える反射の後、検出器の設置にために適する焦点39上へ光線の焦点を合わせるための反射器としての他の球面ミラー37の使用を示す図であり、図16aは水平光の軌跡を示し、図16bは垂直光の軌跡を示す図の2である。
【図17a】本発明による、偏光材料のシートから2つの交差した向き合う偏光器を形成し、それらをシャシー部品内に着座させるための代案となる実施を説明する図の1である。
【図17b】本発明による、偏光材料のシートから2つの交差した向き合う偏光器を形成し、それらをシャシー部品内に着座させるための代案となる実施を説明する図の2である。
【図17c】本発明による、偏光材料のシートから2つの交差した向き合う偏光器を形成し、それらをシャシー部品内に着座させるための代案となる実施を説明する図の3である。
【図17d】本発明による、偏光材料のシートから2つの交差した向き合う偏光器を形成し、それらをシャシー部品内に着座させるための代案となる実施を説明する図の4である。
【図17e】し、それらをシャシー部品内に着座させるための代案となる実施を説明する図の5である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光器材料の単一のシートを折り曲げるステップ、および、
前記シートの2つの別個の領域を使用することを含む2つの向き合う交差偏光器を作成するステップを含む方法。
【請求項2】
実質的に90°で交差する軸を有する2つの偏光器が、前記偏光器の高速軸の実質的に45°に配向された長方形の細片を切り出すステップ、および、両末端を直角に曲げるステップとによって作成される請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17a】
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【図17b】
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【図17c】
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【図17d】
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【図17e】
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【公開番号】特開2008−217023(P2008−217023A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80565(P2008−80565)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【分割の表示】特願2002−547077(P2002−547077)の分割
【原出願日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【出願人】(506258187)エムイーアイ インコーポレーテッド (27)
【Fターム(参考)】