偏光多重位相変調光評価方法および装置
【課題】精度を落とすことなく、小型で安価な構成で評価できるようにする。
【解決手段】偏光多重位相変調された信号光を、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光に変換し(S1)、得られた強度変調光から、分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光とそれと直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光とを分離し(S2)、分離された第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分が最大となるように信号光の入射偏光方向を制御して、信号光の各偏光成分の偏光方向を第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる(S3)。そして、この状態で信号光の各偏光成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行い(S4)、得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングし(S5)、そのサンプリングデータに基づいて、信号光の品質評価を行う(S6)。
【解決手段】偏光多重位相変調された信号光を、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光に変換し(S1)、得られた強度変調光から、分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光とそれと直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光とを分離し(S2)、分離された第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分が最大となるように信号光の入射偏光方向を制御して、信号光の各偏光成分の偏光方向を第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる(S3)。そして、この状態で信号光の各偏光成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行い(S4)、得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングし(S5)、そのサンプリングデータに基づいて、信号光の品質評価を行う(S6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交する2つの偏光成分をそれぞれ位相変調して得られる偏光多重位相変調光に対する評価を行うための装置を、小型化、低コスト化および高精度化するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、光通信の大容量化に伴い、チャンネル当たり100Gbpsの長距離伝送が要求されている。
【0003】
このような長距離伝送では、その伝送媒体としての光ファイバの分散や波長フィルタリングに対する耐力の高い伝送方式や、1つのシンボルに複数ビットのデータを乗せる周波数効率のよい多値変調方式が注目されており、その一つの技術としてデジタルコヒーレント技術の研究が盛んに行われている。
【0004】
例えば、直交2偏光多重と4値変調のQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)とを組み合わせた偏光多重QPSKであるDP−QPSK(Dual-Polarization
QPSK)方式や、CP−QPSK(Coherent Polarization multiplexed QPSK)方式は、25[G/シンボル]の信号で100Gbpsの伝送を行うことができるが、これらの方式にもデジタルコヒーレント技術が採用されている。
【0005】
これらDP−QPSKやCP−QPSK方式の実用化に向けて、その変調方式によって得られる偏光多重位相変調光の評価が必要となる。
【0006】
上記方式による偏光多重位相変調光は、2つの直交する偏光成分に位相変調して多重した信号光であるため、その評価を行うために、従来では、入力信号光を直交する2つの偏光成分に分離(偏光ダイバーシテイ)し、分離した各偏光成分を90度ハイブリッド(光ミキサー)で局発光とミキシングし、そのミキシングで得られた信号をデジタル処理することにより、信号復調を行い、復調信号に対する評価を行っている。
【0007】
より具体的に言えば、図14に示すように、信号光Pxを偏光ビームスプリッタ(PBS)11に入射し、二つの直交偏光成分Pp、Psに分離し、それぞれ90度ハイブリッド(光ミキサー)13、14に入射する。
【0008】
また、局発光Plocをビームスプリッタ12によって2分岐しそれぞれ90度ハイブリッド13、14に入射して、その出力光をバランスドレシーバー15〜18に入射させて、偏光成分Ppのシンボルデータ(Ip、Qp)と、偏光成分Psのシンボルデータ(Is、Qs)を求め、それらを高速のA/D変換器21〜24によってデジタル値に変換してDSPからなる信号処理部25に与えて信号復調を行い、復調された信号に対する評価を行っている。
【0009】
なお、上記の偏光多重位相変調光の受信系の構成例は、例えば次の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−098617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の評価のための装置構成は、DP−QPSKやCP−QPSK方式の伝送装置で用いられている装置構成と実質同一であり、局発光や90度ハイブリッドの他に、超高速のデータサンプリング(A/D変換器)やデジタル信号処理(DSP)が必要となり、装置が極めて大掛かりになり、コスト高になるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題を解決し、精度を落とすことなく、小型で安価な構成で偏光多重位相変調光の評価が行える評価方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の偏光多重位相変調光評価方法は、
互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光に変換する段階(S1)と、
前記強度変調光から、分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と前記第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光とを分離する段階(S2)と、
前記第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分の振幅が最大となるように前記信号光の入射偏光方向を制御して、該信号光の各偏光成分の偏光方向を前記第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる段階(S3)と、
それぞれの偏光方向が前記第1偏光軸と第2偏光軸に一致した状態で前記信号光の各偏光成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行う段階(S4)と、
前記分離処理と前記変換処理で得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングしてそのサンプリングデータを取得する段階(S5)と、
前記取得したサンプリングデータに基づいて、前記信号光の品質評価を行う段階(S6)とを含んでいる。
【0014】
また、本発明の請求項2の偏光多重位相変調光評価装置は、
互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を入射させるための光入射部(31)と、
前記光入射部に入射された信号光の偏光方向を可変するための偏光コントローラ(32)と、
前記偏光コントローラを通過した信号光を受け、該信号光と該信号光を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、前記信号光のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射する第1の変調変換部(35)と、
前記第1の変調変換部から出射された強度変調光を受け、該強度変調光から分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と、前記第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光を分離する第1の偏光ビームスプリッタ(36)と、
前記第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分の振幅を検出する差分成分振幅検出部(37)と、
前記差分成分振幅検出部によって検出された振幅が最大となるように前記偏光コントローラを制御して、該偏光コントローラから出射される前記信号光の各偏光成分の偏光方向を前記第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる制御部(40)と、
前記制御部の制御により各偏光成分の偏光方向が前記第1偏光軸と第2偏光軸に一致した状態で前記偏光コントローラから出射される信号光に対して前記第1偏光軸と第2偏光軸に沿った成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変調変換処理を行う分離・変換処理部(50)と、
前記分離・変換処理部で得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングしてそのサンプリングデータを取得するサンプリング部(60)と、
前記サンプリング部で取得したサンプリングデータに基づいて、前記信号光の品質評価を行う評価部(70)とを備えている。
【0015】
また、本発明の請求項3の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項2記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記分離・変換処理部による分離処理と変調変換処理は、前記第1の変調変換部と前記第1の偏光ビームスプリッタが行い、
前記第1の偏光ビームスプリッタで分離された偏光成分毎の強度変調光が分岐手段(58、59)を介して前記サンプリング部へ出射させるように構成されていることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の請求項4の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項3記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記第1の偏光ビームスプリッタで分離されて前記分岐手段によって分岐された各偏光成分についての強度変調光のいずれか一方を選択的に前記サンプリング部へ入射させる光スイッチ(52′)を有していることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の請求項5の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項2記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記偏光コントローラから出射される光を2分岐してその一方を前記第1の変調変換部へ入射させ、他方を前記分離・変換処理部へ出射する分岐手段(34)を有し、
前記分離・変換処理部は、
前記第1偏光軸と第2偏光軸と同一向きの光軸を有し、前記分岐手段を介して入射される信号光を受けて、該信号光の両偏光成分を分離する第2の偏光ビームスプリッタ(51)と、
前記第2の偏光ビームスプリッタによって分離された偏光成分と、該偏光成分を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、該偏光成分のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射する第2の変調変換部(53)とを含んでいることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項6の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項5記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記第2の偏光ビームスプリッタで分離された各偏光成分のいずれか一方を選択的に前記第2の変調変換部へ入射させる光スイッチ(52)を有していることを特徴としている。
【0019】
また、本発明の請求項7の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項5記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記分離・変換処理部の前記第2の変調変換部は、
入力光を2分岐する分岐手段(54)と、
前記分岐手段によって分岐された一方の分岐光と、該分岐光に1シンボル相当の遅延と所定位相の遅延とを与えた遅延光とを合波干渉させる第1の遅延干渉部(55)と、
前記分岐手段によって分岐された他方の分岐光と、該分岐光に1シンボル相当の遅延と前記所定位相に対して90度差のある遅延とを与えた遅延光とを合波干渉させる第2の遅延干渉部(56)とを有し、
前記評価部は、前記第1の遅延干渉部の出射光と前記第2の遅延干渉部の出射光に対するサンプリングデータから前記信号光の各偏光成分の位相を算出し、該位相値に基づいて評価を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
このように、本発明では、互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光に変換し、それによって得られた強度変調光から、分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光とを分離し、その分離された第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分が最大となるように信号光の入射偏光方向を制御して、信号光の各偏光成分の偏光方向を第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる。そして、この状態で信号光の各偏光成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行い、それによって得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングし、そのサンプリングデータに基づいて、信号光の品質評価を行うようにしている。
【0021】
このため、精度を落とすことなく、小型で安価な構成で偏光多重位相変調光の評価が行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の偏光多重位相変調光の評価方法の手順を示すフローチャート
【図2】偏光方向がずれた状態を示す図
【図3】偏光方向が一致した状態を示す図
【図4】偏光方向のずれと波形の関係を示す図
【図5】本発明の実施形態の全体構成図
【図6】差分成分振幅検出部の構成例を示す図
【図7】サンプリング部の構成例を示す図
【図8】サンプリング部の構成例を示す図
【図9】位相遅延と合成光の振幅の関係を示す図
【図10】位相分布の一例を示す図
【図11】第2の変調変換部の別の構成例を示す図
【図12】位相分布の一例を示す図
【図13】分離・変換処理部の別の構成例を示す図
【図14】従来装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の偏光多重位相変調光評価方法の手順を示すフローチャートである。
【0024】
以下、このフローチャートに基づいて、本発明の偏光多重位相変調光評価方法について説明する。
【0025】
この偏光多重位相変調光評価方法は、互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光に対する変調状態の評価を行うものであり、基本的には、未知の偏光状態で入力される信号光に含まれる互いに直交した偏光成分を正しく分離し、その分離された各偏光成分についての位相変調特性を、位相変調光を強度変調光に変換して求めるものである。
【0026】
即ち、始めに評価対象の信号光Pを、そのシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光Paに変換する(S1)。この変換処理は後述の遅延干渉技術を用いることで実現できる。
【0027】
次に、変換した強度変調光Paから、分離の基準となる第1偏光軸Xに沿った第1偏光軸成分光Paxとそれと直交する第2偏光軸Yに沿った第2偏光軸成分光Payとを分離する(S2)。この分離処理は、後述の偏光ビームスフプリッタによる分離作用を用いることで実現できる。
【0028】
続いて、第1偏光軸成分光Paxと第2偏光軸成分光Payの強度の差が最大となるように信号光の入射偏光方向を制御して、信号光Pの各偏光成分Pp、Psの偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸Yにそれぞれ一致させる(S3)。つまり、未知の偏光状態で入射される信号光の偏光方向を調整して、それに含まれる両偏光成分にそれぞれ対応する強度変調光が第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光として、正しく分離できる状態とする。
【0029】
例えば、図2のように、信号光Pに対応する強度変調光Pamの両偏光成分Pap、Pasが、分離基準となる第1偏光軸X、第2偏光軸Yに対してある角度θずれていると、第1偏光軸成分光Paxには、偏光成分PapのX軸に沿った成分Papxと、偏光成分PasのX軸に沿った成分Pasxとが含まれ、第2偏光軸成分光Payには、偏光成分PasのY軸に沿った成分Pasyと偏光成分PapのY軸に沿った成分Papyとが含まれる。
【0030】
そして、cos θ=α、sin θ=βとおくと、
Papx=Pap・α
Papy=Pap・β
Pasx=Pas・α
Pasy=Pas・β
であるから、
Pax=Papx+Pasx=Pap・α+Pas・β
Pay=Pasy+Papy=Pas・α+Pap・β
となる。
【0031】
両偏光軸に沿った成分の強度の差ΔPは、
ΔP=Pax2−Pay2
=(Pap・α+Pas・β)2−(Pas・α+Pap・β)2
=(Pap・α)2+2Pap・Pas・α・β+(Pas・β)2
−{(Pas・α)2+2(Pas・Pap・α・β)+(Pap・β)2}
=(Pap2−Pas2)(α2−β2)
=(Pap2−Pas2)(2α2−1)
となる。
【0032】
ここで、両偏光成分Pap、Pasは、互いに非相関でそれぞれの振幅範囲を時間経過とともに変動する信号であるから、その強度の差分成分である(Pap2−Pas2)は両信号の振幅の和に相当する振幅範囲をランダムに変動する。また、α2がとる範囲は0〜1の間であるから、(2α2−1)はθに応じて−1〜1の範囲を取り、強度の差分成分である(Pap2−Pas2)の振幅が最大となるのは、(2α2−1)=±1となるθ=0またはπ/2の整数倍のときである。
【0033】
したがって、この強度の差ΔPの信号振幅が最大となるように入射する信号光Pの偏光方向を回転させたとき、その両偏光成分Psp、Pasの偏光方向は、例えば図3のように第1偏光軸X、第2偏光軸Yにそれぞれ一致した状態となり、第1偏光軸Xには偏光成分Papのみが現れ、第2偏光軸Yには偏光成分Pasのみが現れる分離状態とすることができる(図3の状態からπ/2回転した場合も、分離可能である)。
【0034】
図4は、この偏光分離の様子を直感的に理解できるように波形で表したものであり、強度変調光Paの偏光成分Pap、Psaの振幅が、それぞれ(a)、(b)のように変化している場合で、その偏光方向が第1偏光軸X、第2偏光軸Yに対して例えばθ=π/4程度ずれた状態(α=β)では、同図(c)、(d)のように、偏光成分Papの第1偏光軸Xに沿った成分Papxと、第2偏光軸Yに沿った成分Papyとがほぼ等しい振幅で現れ、同様に、偏光成分Pasの第1偏光軸Xに沿った成分Pasxと、第2偏光軸Yに沿った成分Pasyとがほぼ等しい振幅で現れることになる。
【0035】
したがって、これら第1偏光軸Xに沿った成分Paxと第2偏光軸Y軸に沿った成分Payとは、互いに等しい成分を含む信号となり、その強度の差ΔPの信号振幅はほぼゼロとなる(前記数式で、α=βからΔP=0)。
【0036】
これに対し、前記したように、入射光の偏光方向を制御して、強度の差ΔPの振幅を最大にすると、同図(e)、(f)のように、第1偏光軸Xに沿った成分Paxは偏光成分Papのみとなり、第2偏光軸Yに沿った成分Payは偏光成分Pasとなり、両偏光成分を正しく分離できる状態となる。
【0037】
このように、入射光の偏光状態を分離基準となる第1偏光軸X、第2偏光軸Yに合わせた状態で、信号光Pの各偏光成分Pp、Psの分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行えば、各偏光成分についての変調特性の評価に必要な情報を得ることができる(S4)。
【0038】
この評価に必要な情報を得るシステムとしては、上記偏光方向の制御のために用いた強度変調光への変換処理と、各偏光成分Pp、Psの分離処理を併用することができる。
【0039】
つまり、上記したように信号光の入射偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸に一致させた状態で、強度変調光Paから分離された第1偏光軸成分光Paxと第2偏光軸成分光Payは、信号光Pの位相変調された偏光成分Pp、Psのシンボル間の位相変化を強度変化に変換したものであるから、これらの成分光Pax、Payの振幅から位相変調の特性を評価することができる。
【0040】
そのために、これらの分離処理と変換処理で得られた各偏光成分についての強度変調光Pax、Payをサンプリングしてそのサンプリングデータを取得し(S5)、その取得したサンプリングデータに基づいて、信号光Pの各偏光成分についての位相変調に関する品質評価を行う(S6)。
【0041】
このような方式であれば、精度を落とすことなく、小型で安価な構成で偏光多重位相変調光の評価が行える。
【0042】
図5は、上記方法を適用した偏光多重位相変調光評価装置30の全体構成図である。
図5において、偏光多重位相変調光評価装置30は、互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された評価対象の直交2偏光多重位相変調方式で変調された信号光Pを、光コネクタ等からなる光入射部31で受けて、その信号光Pの偏光状態を可変するための偏光コントローラ32に入射させる。
【0043】
偏光コントローラ32は、例えば、λ/2板とλ/4板を組合せたもので、後述する制御部40の制御により、入射する信号光Pの偏光方向を回転させて出射させる。
【0044】
偏光コントローラ32を通過した信号光P′は、その評価対象の信号光P′の波長成分のみを選択的に通過させる可変波長バンドパスフィルタ33を介して光分岐部34に入射されて2分岐される。なお、可変波長バンドパスフィルタ33は、光入射部31と偏光コントローラ32の間に挿入してもよく、また評価対象の光信号の波長が限定されている場合には、省略することもできる。
【0045】
分岐された信号光P′の一方は第1の変調変換部35に入射される。第1の変調変換部35は、入射される信号光P′とその信号光P′を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、前記信号光のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光Paを出射するものである。
【0046】
第1の変調変換部35の構造としては、図5にその概略を示しているように、入射光を分岐路35aで2分岐し、その一方の光を遅延器35bで1シンボル相当分遅延して、その遅延光と他方の光とを合波路35cで合波干渉させる遅延干渉計を用いることができる。
【0047】
第1の変調変換部35から出射された強度変調光Paは、第1の偏光ビームスプリッタ36に入射される。この第1の偏光ビームスプリッタ36は入射光の偏光分離を行うものであり、入射光軸に直交する平面内で互いに直交する第1偏光軸Xと第2偏光軸Yとを分離の基準となる軸として有しており、入射する強度変調光Paから第1偏光軸Xに沿った第1偏光軸成分光Paxと、第2偏光軸Yに沿った第2偏光軸成分光Payを分離して出射する。
【0048】
第1偏光軸成分光Paxと第2偏光軸成分光Payは、その強度差の信号成分の振幅を検出する差分成分振幅検出部37に入射される。この差分成分振幅検出部37は、例えば、図6のように、各成分光Pax、Payを、順方向に直列接続された一対のフォトダイオード(37a、37b)でそれぞれ受け、その接続点に接続された負荷抵抗37cの両端に現れる各成分光Pax、Payの強度変化の差分成分Vdを、増幅器(バッファ)37dを介して振幅検出器37eに入力し、その振幅Avを検出する。
【0049】
制御部40は、可変波長バンドパスフィルタ33の通過波長の設定を行うとともに、差分成分振幅検出部37によって検出された差分成分の振幅Avが最大となるように、偏光コントローラ32を制御して、偏光コントローラ32から出射される信号光P′の各偏光成分Pp、Psの偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸Yにそれぞれ一致させる。
【0050】
一方、光分岐部34で分岐された他方の信号光P′は、分離・変換処理部50に入射される。分離・変換処理部50は、制御部40の制御によって偏光成分Pp、Psの偏光方向が第1偏光軸Xと第2偏光軸Yに一致した状態で入射される信号光P′の偏光成分Pp、Psに対して、第1偏光軸Xと第2偏光軸Yに沿った成分の偏光分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変調変換処理を行う。
【0051】
この分離・変換処理部50は、光分岐部34を介して入射される信号光P′を、第1偏光軸Xと第2偏光軸Yと同一向きの光軸を有する第2の偏光ビームスプリッタ51で受け、その信号光P′の両偏光成分Pp、Psを分離する。
【0052】
分離された偏光成分Pp、Psは、光スイッチ52に入射されて、そのいずれか一方が選択的に第2の変調変換部53に出射される。
【0053】
第2の変調変換部53は、入射する偏光成分を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、偏光成分のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射するものであり、前記第1の変調変換部35と同様に、入射光を分岐路53aで2分岐し、その一方の光を遅延器53bで1シンボル相当分遅延し、その遅延光と他方の光とを合波路53cで合波干渉させる遅延干渉計により構成されているが、ここでは、評価に便利なように、合波する前の光の一方に所定の位相遅延を与える位相遅延器53dが挿入されている。
【0054】
この第2の変調変換部53によっては強度変調光に変換された偏光成分は、サンプリング部60に入射される。サンプリング部60は、入射される強度変調光に対するサンプリングを、信号光Pのシンボルレートに同期した速度(あるいはそれ以上)でサンプリングを行い、そのサンプリングデータを取得する。
【0055】
このサンプリング部60の構成は、光サンプリング方式あるいは電気サンプリング方式のいずれであってもよい。
【0056】
図7は、光サンプリング方式のものであり、入射光を光増幅器601で増幅し、光ゲート回路602に入射する。光ゲート回路602は、短パルス光源603から所定周期Tで出射されるサンプリング光を受けている間だけ入射光を通過させる。この周期Tは、データ取得のサンプリング周期Tsに等しいかあるいはその整数分の1に設定される。
【0057】
光ゲート回路602を通過した光は受光器604に入射され、その強度に対応した大きさの電気信号に変換されてA/D変換器605に入力される。このA/D変換器605は、サンプリングクロック発生器606から周期Tsで出力されるサンプリング用のクロック信号Cに同期して入力信号をサンプリングしてデジタル値に変換して出力する。
【0058】
一方、短パルス光源603が周期Tで出射するサンプリング光は受光器607に入射され、その受光信号がサンプリングクロック発生器606に入力される。サンプリングクロック発生器606は、この受光信号に同期した周期Tsのクロック信号Cを生成してA/D変換器605に与える。
【0059】
図8は、電気サンプリング方式のものであり、入射光を受光器608に入射させ、その受光信号をA/D変換器605に入射し、サンプリングクロック発生器606から周期Tsで出力されるクロック信号Cに同期したタイミングでサンプリングを行う。
【0060】
このようなサンプリングで得られたデータは、評価部70に入力される。
評価部70は、制御部40によって信号光Pの偏光成分が正しく分離される状態になってから、サンプリング部60によりサンプリングされたデータを取得し、その振幅分布を求めて、位相変調光の品質評価を行う。
【0061】
例えば、信号光Pの各偏光成分Pp、Psが4値位相変調方式で位相変調されている場合、シンボル毎の光の位相は、0(基準位相)、π/2、π、3π/2のいずれかにあり、隣合うシンボル間の位相差が0(同相)であれば強度変調光に変換した場合最大振幅Vmaxとなる。また、隣合うシンボル間の位相差が±π(逆相)であれば強度変調光に変換した場合最小振幅Vmin(理論上は0)となる。
【0062】
また、隣合うシンボル間の位相差が±π/2であれば強度変調光に変換した場合VmaxとVminの間の値Vaを取ることになる。
【0063】
つまり、この場合、強度変調光の振幅は、理論上位相変化に応じて3点の間を遷移することになるが、実際の変調特性はこの3点の振幅値の近傍にばらつくことになり、変調精度が悪ければそのバラツキも大きくなる。
【0064】
したがって、この強度変調光のシンボルレートに合わせたタイミングにおける振幅の確率分布を求め、その分布の特徴(平均値の差や標準偏差等)から信号光の位相変調の評価が行える。
【0065】
なお、前記説明は位相遅延器53dの遅延が0の場合であるが、この遅延量をπ/4に設定すると、強度変調光が理論上取る振幅値を2つに減らすことができる。
【0066】
即ち、元の入力光の隣合うシンボル間の位相差が0(同相)であっても、図9の(a)のように、合波の際に一方のシンボル光Aに対して他方のシンボル光Bがπ/4ずれるので、π/4位相差があるシンボル光A、B′同士が合波されてその合波光Q1の振幅は最大振幅Vmaxより小さいV1となる。また、シンボル光Aに対して3π/2ずれているシンボル光Cの位相をさらにπ/4ずらしてシンボル光Aと合波して得られる合波光Q2の振幅もV1に等しい。
【0067】
一方、図9の(b)のように、シンボル光Aに対して位相がπ/2ずれているシンボル光Dを、さらにπ/4ずらしてシンボル光Aと合波して得られる合波光Q3の振幅はV1より小さいV2となり、シンボル光Aに対してπずれているシンボル光Eの位相をさらにπ/4ずらしてシンボル光Aと合波して得られる合波光Q4の振幅もV2に等しい。
【0068】
このように、位相遅延器53dによりπ/4の位相遅延を加えることで、強度変調光の振幅は、図10のように、2つの値V1、V2を中心として分布することになる。
【0069】
この分布の平均位相μ1、μ2、標準偏差σ1、σ2を用いて、位相変調品質を表す値Qを、
Q=|μ2−μ1|/(σ2+σ1)
の演算で求め、その値Qから信号光Pの変調品質を評価することができる。この評価は、光スイッチ52を切り替えて、両方の偏光成分Pp、Psについて行う。
【0070】
なお、位相遅延器53dによる遅延量を0にする、または位相遅延器53eを削除し、3つの振幅値Vmax、Va、Vminについての分布から位相変調品質を評価してもよい。
【0071】
このように実施形態の偏光多重位相変調光評価装置30は、互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光Pを、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光Paに変換し、その強度変調光aから、分離の基準となる第1偏光軸Xに沿った第1偏光軸成分光Paxと第1偏光軸Xと直交する第2偏光軸Yに沿った第2偏光軸成分光Payを分離し、その分離された成分光の強度の差分の信号振幅が最大となるように信号光Pの入射偏光方向を制御して、信号光Pの各偏光成分Pp、Psの偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸Yにそれぞれ一致させる。
【0072】
そして、この状態で信号光Pの各偏光成分Pp、Psの分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行い、それによって得られた各偏光成分についての強度変調光Pap、Pasをサンプリングし、そのサンプリングデータに基づいて、信号光の品質評価を行うようにしている。
【0073】
つまり、従来の伝送装置で用いられている、局発光や90度ハイブリッドの他に、超高速のデータサンプリングやデジタル信号処理を必要としないので、精度を落とすことなく、小型で安価な構成で偏光多重位相変調光の評価が行える。
【0074】
なお、前記実施形態では、第2の変調変換部53が一組の遅延干渉部によって構成されていたが、図11に示すように、光スイッチ52から出射される光を光分岐部54によって2分岐し、その一方を第1の遅延干渉部55に入射し、他方を第2の遅延干渉部56に入射し、第1の遅延干渉部55の位相遅延器55dの遅延量を基準値(例えば0度)とし、第2の遅延干渉部56の位相遅延器56dの遅延量を基準値に対して90度異なるようにすることで、相対的に90度位相が異なる強度変調光Papi、Papq(あるいは光スイッチ52の切替によりPasi、Pasq)を求め、それぞれをサンプリング部60で同一タイミングにサンプリングしてその波形情報を求め、評価部70に与える構成も可能である。
【0075】
この構成の場合、互いに90度位相が異なる信号成分I、Qを得ることができ、その成分I、Qから得られる位相θ=tan−1(Q/I)を算出し、その分布を求める。なお、図11で、符号55a、56aは分岐路、55b、56bは、1シンボル相当の遅延器、55c、56cは合波路である。
【0076】
図12は、4値位相変調の場合の位相分布を示すものであり、各位相0、π/2、π、3π/2を中心とする分布の平均位相μ1〜μ4、標準偏差σ1〜σ4に基づいて、各位相間の前記Q値を求めることで、信号光Pに対する評価が行える。
【0077】
また、前記実施形態では、分離・変換処理部50に、第1の変調変換部35や第1の偏光ビームスプリッタ36とは独立した第2の変調変換部53と第2の偏光ビームスプリッタ51を用いていたが、図13に示すように、分離・変換処理部50の分離処理と変調変換処理を、第1の変調変換部35と第1の偏光ビームスプリッタ36で行うように構成することもできる。つまり、偏光分離処理と変調変換処理の順序は逆であってもよい。
【0078】
この場合、第1の偏光ビームスプリッタ36で分離された偏光成分毎の強度変調光を、それぞれ光分岐部58、59によって分岐し、その一方を差分成分振幅検出部37へ与え、他方を光スイッチ52′に与える。
【0079】
そして、前記したように、始めに信号光Pの偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸Yに合わせ、その後に信号光Pの各偏光成分Pp、Psについての強度変調光に対するサンプリング処理と評価処理を行う。
【0080】
なお、この場合、第1の変調変換部35に位相遅延器35dを設けておき、制御部40の制御により、偏光制御の際にはその遅延量を0に設定し、評価の際には、前記同様にπ/4の遅延を与えることで、前記した二つの振幅V1、V2を中心とする分布を求めることができ、その分布から評価値Qを求めることができる。
【0081】
この実施形態の装置は、遅延干渉部と偏光ビームスプリッタが一組で済み、より単純化された構成となり、さらに低コスト化できる。
【符号の説明】
【0082】
30……偏光多重位相変調光評価装置、31……光入射部、32……偏光コントローラ、33……可変波長バンドパスフィルタ、34……光分岐部、35……第1の変調変換部、36……第1の偏光ビームスプリッタ、37……差分成分振幅検出部、40……制御部、50……分離・変換処理部、51……第2の偏光ビームスプリッタ、52、52′……光スイッチ、53……第2の変調変換部、54……光分岐部、55……第1の遅延干渉部、56……第2の遅延干渉部、60……サンプリング部、70……評価部
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交する2つの偏光成分をそれぞれ位相変調して得られる偏光多重位相変調光に対する評価を行うための装置を、小型化、低コスト化および高精度化するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、光通信の大容量化に伴い、チャンネル当たり100Gbpsの長距離伝送が要求されている。
【0003】
このような長距離伝送では、その伝送媒体としての光ファイバの分散や波長フィルタリングに対する耐力の高い伝送方式や、1つのシンボルに複数ビットのデータを乗せる周波数効率のよい多値変調方式が注目されており、その一つの技術としてデジタルコヒーレント技術の研究が盛んに行われている。
【0004】
例えば、直交2偏光多重と4値変調のQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)とを組み合わせた偏光多重QPSKであるDP−QPSK(Dual-Polarization
QPSK)方式や、CP−QPSK(Coherent Polarization multiplexed QPSK)方式は、25[G/シンボル]の信号で100Gbpsの伝送を行うことができるが、これらの方式にもデジタルコヒーレント技術が採用されている。
【0005】
これらDP−QPSKやCP−QPSK方式の実用化に向けて、その変調方式によって得られる偏光多重位相変調光の評価が必要となる。
【0006】
上記方式による偏光多重位相変調光は、2つの直交する偏光成分に位相変調して多重した信号光であるため、その評価を行うために、従来では、入力信号光を直交する2つの偏光成分に分離(偏光ダイバーシテイ)し、分離した各偏光成分を90度ハイブリッド(光ミキサー)で局発光とミキシングし、そのミキシングで得られた信号をデジタル処理することにより、信号復調を行い、復調信号に対する評価を行っている。
【0007】
より具体的に言えば、図14に示すように、信号光Pxを偏光ビームスプリッタ(PBS)11に入射し、二つの直交偏光成分Pp、Psに分離し、それぞれ90度ハイブリッド(光ミキサー)13、14に入射する。
【0008】
また、局発光Plocをビームスプリッタ12によって2分岐しそれぞれ90度ハイブリッド13、14に入射して、その出力光をバランスドレシーバー15〜18に入射させて、偏光成分Ppのシンボルデータ(Ip、Qp)と、偏光成分Psのシンボルデータ(Is、Qs)を求め、それらを高速のA/D変換器21〜24によってデジタル値に変換してDSPからなる信号処理部25に与えて信号復調を行い、復調された信号に対する評価を行っている。
【0009】
なお、上記の偏光多重位相変調光の受信系の構成例は、例えば次の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−098617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の評価のための装置構成は、DP−QPSKやCP−QPSK方式の伝送装置で用いられている装置構成と実質同一であり、局発光や90度ハイブリッドの他に、超高速のデータサンプリング(A/D変換器)やデジタル信号処理(DSP)が必要となり、装置が極めて大掛かりになり、コスト高になるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題を解決し、精度を落とすことなく、小型で安価な構成で偏光多重位相変調光の評価が行える評価方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の偏光多重位相変調光評価方法は、
互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光に変換する段階(S1)と、
前記強度変調光から、分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と前記第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光とを分離する段階(S2)と、
前記第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分の振幅が最大となるように前記信号光の入射偏光方向を制御して、該信号光の各偏光成分の偏光方向を前記第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる段階(S3)と、
それぞれの偏光方向が前記第1偏光軸と第2偏光軸に一致した状態で前記信号光の各偏光成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行う段階(S4)と、
前記分離処理と前記変換処理で得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングしてそのサンプリングデータを取得する段階(S5)と、
前記取得したサンプリングデータに基づいて、前記信号光の品質評価を行う段階(S6)とを含んでいる。
【0014】
また、本発明の請求項2の偏光多重位相変調光評価装置は、
互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を入射させるための光入射部(31)と、
前記光入射部に入射された信号光の偏光方向を可変するための偏光コントローラ(32)と、
前記偏光コントローラを通過した信号光を受け、該信号光と該信号光を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、前記信号光のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射する第1の変調変換部(35)と、
前記第1の変調変換部から出射された強度変調光を受け、該強度変調光から分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と、前記第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光を分離する第1の偏光ビームスプリッタ(36)と、
前記第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分の振幅を検出する差分成分振幅検出部(37)と、
前記差分成分振幅検出部によって検出された振幅が最大となるように前記偏光コントローラを制御して、該偏光コントローラから出射される前記信号光の各偏光成分の偏光方向を前記第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる制御部(40)と、
前記制御部の制御により各偏光成分の偏光方向が前記第1偏光軸と第2偏光軸に一致した状態で前記偏光コントローラから出射される信号光に対して前記第1偏光軸と第2偏光軸に沿った成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変調変換処理を行う分離・変換処理部(50)と、
前記分離・変換処理部で得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングしてそのサンプリングデータを取得するサンプリング部(60)と、
前記サンプリング部で取得したサンプリングデータに基づいて、前記信号光の品質評価を行う評価部(70)とを備えている。
【0015】
また、本発明の請求項3の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項2記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記分離・変換処理部による分離処理と変調変換処理は、前記第1の変調変換部と前記第1の偏光ビームスプリッタが行い、
前記第1の偏光ビームスプリッタで分離された偏光成分毎の強度変調光が分岐手段(58、59)を介して前記サンプリング部へ出射させるように構成されていることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の請求項4の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項3記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記第1の偏光ビームスプリッタで分離されて前記分岐手段によって分岐された各偏光成分についての強度変調光のいずれか一方を選択的に前記サンプリング部へ入射させる光スイッチ(52′)を有していることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の請求項5の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項2記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記偏光コントローラから出射される光を2分岐してその一方を前記第1の変調変換部へ入射させ、他方を前記分離・変換処理部へ出射する分岐手段(34)を有し、
前記分離・変換処理部は、
前記第1偏光軸と第2偏光軸と同一向きの光軸を有し、前記分岐手段を介して入射される信号光を受けて、該信号光の両偏光成分を分離する第2の偏光ビームスプリッタ(51)と、
前記第2の偏光ビームスプリッタによって分離された偏光成分と、該偏光成分を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、該偏光成分のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射する第2の変調変換部(53)とを含んでいることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項6の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項5記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記第2の偏光ビームスプリッタで分離された各偏光成分のいずれか一方を選択的に前記第2の変調変換部へ入射させる光スイッチ(52)を有していることを特徴としている。
【0019】
また、本発明の請求項7の偏光多重位相変調光評価装置は、請求項5記載の偏光多重位相変調光評価装置において、
前記分離・変換処理部の前記第2の変調変換部は、
入力光を2分岐する分岐手段(54)と、
前記分岐手段によって分岐された一方の分岐光と、該分岐光に1シンボル相当の遅延と所定位相の遅延とを与えた遅延光とを合波干渉させる第1の遅延干渉部(55)と、
前記分岐手段によって分岐された他方の分岐光と、該分岐光に1シンボル相当の遅延と前記所定位相に対して90度差のある遅延とを与えた遅延光とを合波干渉させる第2の遅延干渉部(56)とを有し、
前記評価部は、前記第1の遅延干渉部の出射光と前記第2の遅延干渉部の出射光に対するサンプリングデータから前記信号光の各偏光成分の位相を算出し、該位相値に基づいて評価を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
このように、本発明では、互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光に変換し、それによって得られた強度変調光から、分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光とを分離し、その分離された第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分が最大となるように信号光の入射偏光方向を制御して、信号光の各偏光成分の偏光方向を第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる。そして、この状態で信号光の各偏光成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行い、それによって得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングし、そのサンプリングデータに基づいて、信号光の品質評価を行うようにしている。
【0021】
このため、精度を落とすことなく、小型で安価な構成で偏光多重位相変調光の評価が行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の偏光多重位相変調光の評価方法の手順を示すフローチャート
【図2】偏光方向がずれた状態を示す図
【図3】偏光方向が一致した状態を示す図
【図4】偏光方向のずれと波形の関係を示す図
【図5】本発明の実施形態の全体構成図
【図6】差分成分振幅検出部の構成例を示す図
【図7】サンプリング部の構成例を示す図
【図8】サンプリング部の構成例を示す図
【図9】位相遅延と合成光の振幅の関係を示す図
【図10】位相分布の一例を示す図
【図11】第2の変調変換部の別の構成例を示す図
【図12】位相分布の一例を示す図
【図13】分離・変換処理部の別の構成例を示す図
【図14】従来装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の偏光多重位相変調光評価方法の手順を示すフローチャートである。
【0024】
以下、このフローチャートに基づいて、本発明の偏光多重位相変調光評価方法について説明する。
【0025】
この偏光多重位相変調光評価方法は、互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光に対する変調状態の評価を行うものであり、基本的には、未知の偏光状態で入力される信号光に含まれる互いに直交した偏光成分を正しく分離し、その分離された各偏光成分についての位相変調特性を、位相変調光を強度変調光に変換して求めるものである。
【0026】
即ち、始めに評価対象の信号光Pを、そのシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光Paに変換する(S1)。この変換処理は後述の遅延干渉技術を用いることで実現できる。
【0027】
次に、変換した強度変調光Paから、分離の基準となる第1偏光軸Xに沿った第1偏光軸成分光Paxとそれと直交する第2偏光軸Yに沿った第2偏光軸成分光Payとを分離する(S2)。この分離処理は、後述の偏光ビームスフプリッタによる分離作用を用いることで実現できる。
【0028】
続いて、第1偏光軸成分光Paxと第2偏光軸成分光Payの強度の差が最大となるように信号光の入射偏光方向を制御して、信号光Pの各偏光成分Pp、Psの偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸Yにそれぞれ一致させる(S3)。つまり、未知の偏光状態で入射される信号光の偏光方向を調整して、それに含まれる両偏光成分にそれぞれ対応する強度変調光が第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光として、正しく分離できる状態とする。
【0029】
例えば、図2のように、信号光Pに対応する強度変調光Pamの両偏光成分Pap、Pasが、分離基準となる第1偏光軸X、第2偏光軸Yに対してある角度θずれていると、第1偏光軸成分光Paxには、偏光成分PapのX軸に沿った成分Papxと、偏光成分PasのX軸に沿った成分Pasxとが含まれ、第2偏光軸成分光Payには、偏光成分PasのY軸に沿った成分Pasyと偏光成分PapのY軸に沿った成分Papyとが含まれる。
【0030】
そして、cos θ=α、sin θ=βとおくと、
Papx=Pap・α
Papy=Pap・β
Pasx=Pas・α
Pasy=Pas・β
であるから、
Pax=Papx+Pasx=Pap・α+Pas・β
Pay=Pasy+Papy=Pas・α+Pap・β
となる。
【0031】
両偏光軸に沿った成分の強度の差ΔPは、
ΔP=Pax2−Pay2
=(Pap・α+Pas・β)2−(Pas・α+Pap・β)2
=(Pap・α)2+2Pap・Pas・α・β+(Pas・β)2
−{(Pas・α)2+2(Pas・Pap・α・β)+(Pap・β)2}
=(Pap2−Pas2)(α2−β2)
=(Pap2−Pas2)(2α2−1)
となる。
【0032】
ここで、両偏光成分Pap、Pasは、互いに非相関でそれぞれの振幅範囲を時間経過とともに変動する信号であるから、その強度の差分成分である(Pap2−Pas2)は両信号の振幅の和に相当する振幅範囲をランダムに変動する。また、α2がとる範囲は0〜1の間であるから、(2α2−1)はθに応じて−1〜1の範囲を取り、強度の差分成分である(Pap2−Pas2)の振幅が最大となるのは、(2α2−1)=±1となるθ=0またはπ/2の整数倍のときである。
【0033】
したがって、この強度の差ΔPの信号振幅が最大となるように入射する信号光Pの偏光方向を回転させたとき、その両偏光成分Psp、Pasの偏光方向は、例えば図3のように第1偏光軸X、第2偏光軸Yにそれぞれ一致した状態となり、第1偏光軸Xには偏光成分Papのみが現れ、第2偏光軸Yには偏光成分Pasのみが現れる分離状態とすることができる(図3の状態からπ/2回転した場合も、分離可能である)。
【0034】
図4は、この偏光分離の様子を直感的に理解できるように波形で表したものであり、強度変調光Paの偏光成分Pap、Psaの振幅が、それぞれ(a)、(b)のように変化している場合で、その偏光方向が第1偏光軸X、第2偏光軸Yに対して例えばθ=π/4程度ずれた状態(α=β)では、同図(c)、(d)のように、偏光成分Papの第1偏光軸Xに沿った成分Papxと、第2偏光軸Yに沿った成分Papyとがほぼ等しい振幅で現れ、同様に、偏光成分Pasの第1偏光軸Xに沿った成分Pasxと、第2偏光軸Yに沿った成分Pasyとがほぼ等しい振幅で現れることになる。
【0035】
したがって、これら第1偏光軸Xに沿った成分Paxと第2偏光軸Y軸に沿った成分Payとは、互いに等しい成分を含む信号となり、その強度の差ΔPの信号振幅はほぼゼロとなる(前記数式で、α=βからΔP=0)。
【0036】
これに対し、前記したように、入射光の偏光方向を制御して、強度の差ΔPの振幅を最大にすると、同図(e)、(f)のように、第1偏光軸Xに沿った成分Paxは偏光成分Papのみとなり、第2偏光軸Yに沿った成分Payは偏光成分Pasとなり、両偏光成分を正しく分離できる状態となる。
【0037】
このように、入射光の偏光状態を分離基準となる第1偏光軸X、第2偏光軸Yに合わせた状態で、信号光Pの各偏光成分Pp、Psの分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行えば、各偏光成分についての変調特性の評価に必要な情報を得ることができる(S4)。
【0038】
この評価に必要な情報を得るシステムとしては、上記偏光方向の制御のために用いた強度変調光への変換処理と、各偏光成分Pp、Psの分離処理を併用することができる。
【0039】
つまり、上記したように信号光の入射偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸に一致させた状態で、強度変調光Paから分離された第1偏光軸成分光Paxと第2偏光軸成分光Payは、信号光Pの位相変調された偏光成分Pp、Psのシンボル間の位相変化を強度変化に変換したものであるから、これらの成分光Pax、Payの振幅から位相変調の特性を評価することができる。
【0040】
そのために、これらの分離処理と変換処理で得られた各偏光成分についての強度変調光Pax、Payをサンプリングしてそのサンプリングデータを取得し(S5)、その取得したサンプリングデータに基づいて、信号光Pの各偏光成分についての位相変調に関する品質評価を行う(S6)。
【0041】
このような方式であれば、精度を落とすことなく、小型で安価な構成で偏光多重位相変調光の評価が行える。
【0042】
図5は、上記方法を適用した偏光多重位相変調光評価装置30の全体構成図である。
図5において、偏光多重位相変調光評価装置30は、互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された評価対象の直交2偏光多重位相変調方式で変調された信号光Pを、光コネクタ等からなる光入射部31で受けて、その信号光Pの偏光状態を可変するための偏光コントローラ32に入射させる。
【0043】
偏光コントローラ32は、例えば、λ/2板とλ/4板を組合せたもので、後述する制御部40の制御により、入射する信号光Pの偏光方向を回転させて出射させる。
【0044】
偏光コントローラ32を通過した信号光P′は、その評価対象の信号光P′の波長成分のみを選択的に通過させる可変波長バンドパスフィルタ33を介して光分岐部34に入射されて2分岐される。なお、可変波長バンドパスフィルタ33は、光入射部31と偏光コントローラ32の間に挿入してもよく、また評価対象の光信号の波長が限定されている場合には、省略することもできる。
【0045】
分岐された信号光P′の一方は第1の変調変換部35に入射される。第1の変調変換部35は、入射される信号光P′とその信号光P′を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、前記信号光のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光Paを出射するものである。
【0046】
第1の変調変換部35の構造としては、図5にその概略を示しているように、入射光を分岐路35aで2分岐し、その一方の光を遅延器35bで1シンボル相当分遅延して、その遅延光と他方の光とを合波路35cで合波干渉させる遅延干渉計を用いることができる。
【0047】
第1の変調変換部35から出射された強度変調光Paは、第1の偏光ビームスプリッタ36に入射される。この第1の偏光ビームスプリッタ36は入射光の偏光分離を行うものであり、入射光軸に直交する平面内で互いに直交する第1偏光軸Xと第2偏光軸Yとを分離の基準となる軸として有しており、入射する強度変調光Paから第1偏光軸Xに沿った第1偏光軸成分光Paxと、第2偏光軸Yに沿った第2偏光軸成分光Payを分離して出射する。
【0048】
第1偏光軸成分光Paxと第2偏光軸成分光Payは、その強度差の信号成分の振幅を検出する差分成分振幅検出部37に入射される。この差分成分振幅検出部37は、例えば、図6のように、各成分光Pax、Payを、順方向に直列接続された一対のフォトダイオード(37a、37b)でそれぞれ受け、その接続点に接続された負荷抵抗37cの両端に現れる各成分光Pax、Payの強度変化の差分成分Vdを、増幅器(バッファ)37dを介して振幅検出器37eに入力し、その振幅Avを検出する。
【0049】
制御部40は、可変波長バンドパスフィルタ33の通過波長の設定を行うとともに、差分成分振幅検出部37によって検出された差分成分の振幅Avが最大となるように、偏光コントローラ32を制御して、偏光コントローラ32から出射される信号光P′の各偏光成分Pp、Psの偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸Yにそれぞれ一致させる。
【0050】
一方、光分岐部34で分岐された他方の信号光P′は、分離・変換処理部50に入射される。分離・変換処理部50は、制御部40の制御によって偏光成分Pp、Psの偏光方向が第1偏光軸Xと第2偏光軸Yに一致した状態で入射される信号光P′の偏光成分Pp、Psに対して、第1偏光軸Xと第2偏光軸Yに沿った成分の偏光分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変調変換処理を行う。
【0051】
この分離・変換処理部50は、光分岐部34を介して入射される信号光P′を、第1偏光軸Xと第2偏光軸Yと同一向きの光軸を有する第2の偏光ビームスプリッタ51で受け、その信号光P′の両偏光成分Pp、Psを分離する。
【0052】
分離された偏光成分Pp、Psは、光スイッチ52に入射されて、そのいずれか一方が選択的に第2の変調変換部53に出射される。
【0053】
第2の変調変換部53は、入射する偏光成分を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、偏光成分のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射するものであり、前記第1の変調変換部35と同様に、入射光を分岐路53aで2分岐し、その一方の光を遅延器53bで1シンボル相当分遅延し、その遅延光と他方の光とを合波路53cで合波干渉させる遅延干渉計により構成されているが、ここでは、評価に便利なように、合波する前の光の一方に所定の位相遅延を与える位相遅延器53dが挿入されている。
【0054】
この第2の変調変換部53によっては強度変調光に変換された偏光成分は、サンプリング部60に入射される。サンプリング部60は、入射される強度変調光に対するサンプリングを、信号光Pのシンボルレートに同期した速度(あるいはそれ以上)でサンプリングを行い、そのサンプリングデータを取得する。
【0055】
このサンプリング部60の構成は、光サンプリング方式あるいは電気サンプリング方式のいずれであってもよい。
【0056】
図7は、光サンプリング方式のものであり、入射光を光増幅器601で増幅し、光ゲート回路602に入射する。光ゲート回路602は、短パルス光源603から所定周期Tで出射されるサンプリング光を受けている間だけ入射光を通過させる。この周期Tは、データ取得のサンプリング周期Tsに等しいかあるいはその整数分の1に設定される。
【0057】
光ゲート回路602を通過した光は受光器604に入射され、その強度に対応した大きさの電気信号に変換されてA/D変換器605に入力される。このA/D変換器605は、サンプリングクロック発生器606から周期Tsで出力されるサンプリング用のクロック信号Cに同期して入力信号をサンプリングしてデジタル値に変換して出力する。
【0058】
一方、短パルス光源603が周期Tで出射するサンプリング光は受光器607に入射され、その受光信号がサンプリングクロック発生器606に入力される。サンプリングクロック発生器606は、この受光信号に同期した周期Tsのクロック信号Cを生成してA/D変換器605に与える。
【0059】
図8は、電気サンプリング方式のものであり、入射光を受光器608に入射させ、その受光信号をA/D変換器605に入射し、サンプリングクロック発生器606から周期Tsで出力されるクロック信号Cに同期したタイミングでサンプリングを行う。
【0060】
このようなサンプリングで得られたデータは、評価部70に入力される。
評価部70は、制御部40によって信号光Pの偏光成分が正しく分離される状態になってから、サンプリング部60によりサンプリングされたデータを取得し、その振幅分布を求めて、位相変調光の品質評価を行う。
【0061】
例えば、信号光Pの各偏光成分Pp、Psが4値位相変調方式で位相変調されている場合、シンボル毎の光の位相は、0(基準位相)、π/2、π、3π/2のいずれかにあり、隣合うシンボル間の位相差が0(同相)であれば強度変調光に変換した場合最大振幅Vmaxとなる。また、隣合うシンボル間の位相差が±π(逆相)であれば強度変調光に変換した場合最小振幅Vmin(理論上は0)となる。
【0062】
また、隣合うシンボル間の位相差が±π/2であれば強度変調光に変換した場合VmaxとVminの間の値Vaを取ることになる。
【0063】
つまり、この場合、強度変調光の振幅は、理論上位相変化に応じて3点の間を遷移することになるが、実際の変調特性はこの3点の振幅値の近傍にばらつくことになり、変調精度が悪ければそのバラツキも大きくなる。
【0064】
したがって、この強度変調光のシンボルレートに合わせたタイミングにおける振幅の確率分布を求め、その分布の特徴(平均値の差や標準偏差等)から信号光の位相変調の評価が行える。
【0065】
なお、前記説明は位相遅延器53dの遅延が0の場合であるが、この遅延量をπ/4に設定すると、強度変調光が理論上取る振幅値を2つに減らすことができる。
【0066】
即ち、元の入力光の隣合うシンボル間の位相差が0(同相)であっても、図9の(a)のように、合波の際に一方のシンボル光Aに対して他方のシンボル光Bがπ/4ずれるので、π/4位相差があるシンボル光A、B′同士が合波されてその合波光Q1の振幅は最大振幅Vmaxより小さいV1となる。また、シンボル光Aに対して3π/2ずれているシンボル光Cの位相をさらにπ/4ずらしてシンボル光Aと合波して得られる合波光Q2の振幅もV1に等しい。
【0067】
一方、図9の(b)のように、シンボル光Aに対して位相がπ/2ずれているシンボル光Dを、さらにπ/4ずらしてシンボル光Aと合波して得られる合波光Q3の振幅はV1より小さいV2となり、シンボル光Aに対してπずれているシンボル光Eの位相をさらにπ/4ずらしてシンボル光Aと合波して得られる合波光Q4の振幅もV2に等しい。
【0068】
このように、位相遅延器53dによりπ/4の位相遅延を加えることで、強度変調光の振幅は、図10のように、2つの値V1、V2を中心として分布することになる。
【0069】
この分布の平均位相μ1、μ2、標準偏差σ1、σ2を用いて、位相変調品質を表す値Qを、
Q=|μ2−μ1|/(σ2+σ1)
の演算で求め、その値Qから信号光Pの変調品質を評価することができる。この評価は、光スイッチ52を切り替えて、両方の偏光成分Pp、Psについて行う。
【0070】
なお、位相遅延器53dによる遅延量を0にする、または位相遅延器53eを削除し、3つの振幅値Vmax、Va、Vminについての分布から位相変調品質を評価してもよい。
【0071】
このように実施形態の偏光多重位相変調光評価装置30は、互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光Pを、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光Paに変換し、その強度変調光aから、分離の基準となる第1偏光軸Xに沿った第1偏光軸成分光Paxと第1偏光軸Xと直交する第2偏光軸Yに沿った第2偏光軸成分光Payを分離し、その分離された成分光の強度の差分の信号振幅が最大となるように信号光Pの入射偏光方向を制御して、信号光Pの各偏光成分Pp、Psの偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸Yにそれぞれ一致させる。
【0072】
そして、この状態で信号光Pの各偏光成分Pp、Psの分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行い、それによって得られた各偏光成分についての強度変調光Pap、Pasをサンプリングし、そのサンプリングデータに基づいて、信号光の品質評価を行うようにしている。
【0073】
つまり、従来の伝送装置で用いられている、局発光や90度ハイブリッドの他に、超高速のデータサンプリングやデジタル信号処理を必要としないので、精度を落とすことなく、小型で安価な構成で偏光多重位相変調光の評価が行える。
【0074】
なお、前記実施形態では、第2の変調変換部53が一組の遅延干渉部によって構成されていたが、図11に示すように、光スイッチ52から出射される光を光分岐部54によって2分岐し、その一方を第1の遅延干渉部55に入射し、他方を第2の遅延干渉部56に入射し、第1の遅延干渉部55の位相遅延器55dの遅延量を基準値(例えば0度)とし、第2の遅延干渉部56の位相遅延器56dの遅延量を基準値に対して90度異なるようにすることで、相対的に90度位相が異なる強度変調光Papi、Papq(あるいは光スイッチ52の切替によりPasi、Pasq)を求め、それぞれをサンプリング部60で同一タイミングにサンプリングしてその波形情報を求め、評価部70に与える構成も可能である。
【0075】
この構成の場合、互いに90度位相が異なる信号成分I、Qを得ることができ、その成分I、Qから得られる位相θ=tan−1(Q/I)を算出し、その分布を求める。なお、図11で、符号55a、56aは分岐路、55b、56bは、1シンボル相当の遅延器、55c、56cは合波路である。
【0076】
図12は、4値位相変調の場合の位相分布を示すものであり、各位相0、π/2、π、3π/2を中心とする分布の平均位相μ1〜μ4、標準偏差σ1〜σ4に基づいて、各位相間の前記Q値を求めることで、信号光Pに対する評価が行える。
【0077】
また、前記実施形態では、分離・変換処理部50に、第1の変調変換部35や第1の偏光ビームスプリッタ36とは独立した第2の変調変換部53と第2の偏光ビームスプリッタ51を用いていたが、図13に示すように、分離・変換処理部50の分離処理と変調変換処理を、第1の変調変換部35と第1の偏光ビームスプリッタ36で行うように構成することもできる。つまり、偏光分離処理と変調変換処理の順序は逆であってもよい。
【0078】
この場合、第1の偏光ビームスプリッタ36で分離された偏光成分毎の強度変調光を、それぞれ光分岐部58、59によって分岐し、その一方を差分成分振幅検出部37へ与え、他方を光スイッチ52′に与える。
【0079】
そして、前記したように、始めに信号光Pの偏光方向を第1偏光軸Xと第2偏光軸Yに合わせ、その後に信号光Pの各偏光成分Pp、Psについての強度変調光に対するサンプリング処理と評価処理を行う。
【0080】
なお、この場合、第1の変調変換部35に位相遅延器35dを設けておき、制御部40の制御により、偏光制御の際にはその遅延量を0に設定し、評価の際には、前記同様にπ/4の遅延を与えることで、前記した二つの振幅V1、V2を中心とする分布を求めることができ、その分布から評価値Qを求めることができる。
【0081】
この実施形態の装置は、遅延干渉部と偏光ビームスプリッタが一組で済み、より単純化された構成となり、さらに低コスト化できる。
【符号の説明】
【0082】
30……偏光多重位相変調光評価装置、31……光入射部、32……偏光コントローラ、33……可変波長バンドパスフィルタ、34……光分岐部、35……第1の変調変換部、36……第1の偏光ビームスプリッタ、37……差分成分振幅検出部、40……制御部、50……分離・変換処理部、51……第2の偏光ビームスプリッタ、52、52′……光スイッチ、53……第2の変調変換部、54……光分岐部、55……第1の遅延干渉部、56……第2の遅延干渉部、60……サンプリング部、70……評価部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光に変換する段階(S1)と、
前記強度変調光から、分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と前記第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光とを分離する段階(S2)と、
前記第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分の振幅が最大となるように前記信号光の入射偏光方向を制御して、該信号光の各偏光成分の偏光方向を前記第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる段階(S3)と、
それぞれの偏光方向が前記第1偏光軸と第2偏光軸に一致した状態で前記信号光の各偏光成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行う段階(S4)と、
前記分離処理と前記変換処理で得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングしてそのサンプリングデータを取得する段階(S5)と、
前記取得したサンプリングデータに基づいて、前記信号光の品質評価を行う段階(S6)とを含む偏光多重位相変調光評価方法。
【請求項2】
互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を入射させるための光入射部(31)と、
前記光入射部に入射された信号光の偏光方向を可変するための偏光コントローラ(32)と、
前記偏光コントローラを通過した信号光を受け、該信号光と該信号光を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、前記信号光のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射する第1の変調変換部(35)と、
前記第1の変調変換部から出射された強度変調光を受け、該強度変調光から分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と、前記第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光を分離する第1の偏光ビームスプリッタ(36)と、
前記第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分の振幅を検出する差分成分振幅検出部(37)と、
前記差分成分振幅検出部によって検出された振幅が最大となるように前記偏光コントローラを制御して、該偏光コントローラから出射される前記信号光の各偏光成分の偏光方向を前記第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる制御部(40)と、
前記制御部の制御により各偏光成分の偏光方向が前記第1偏光軸と第2偏光軸に一致した状態で前記偏光コントローラから出射される信号光に対して前記第1偏光軸と第2偏光軸に沿った成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変調変換処理を行う分離・変換処理部(50)と、
前記分離・変換処理部で得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングしてそのサンプリングデータを取得するサンプリング部(60)と、
前記サンプリング部で取得したサンプリングデータに基づいて、前記信号光の品質評価を行う評価部(70)とを備えた偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項3】
前記分離・変換処理部による分離処理と変調変換処理は、前記第1の変調変換部と前記第1の偏光ビームスプリッタが行い、
前記第1の偏光ビームスプリッタで分離された偏光成分毎の強度変調光が分岐手段(58、59)を介して前記サンプリング部へ出射させるように構成されていることを特徴する請求項2記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項4】
前記第1の偏光ビームスプリッタで分離されて前記分岐手段によって分岐された各偏光成分についての強度変調光のいずれか一方を選択的に前記サンプリング部へ入射させる光スイッチ(52′)を有していることを特徴とする請求項3記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項5】
前記偏光コントローラから出射される光を2分岐してその一方を前記第1の変調変換部へ入射させ、他方を前記分離・変換処理部へ出射する分岐手段(34)を有し、
前記分離・変換処理部は、
前記第1偏光軸と第2偏光軸と同一向きの光軸を有し、前記分岐手段を介して入射される信号光を受けて、該信号光の両偏光成分を分離する第2の偏光ビームスプリッタ(51)と、
前記第2の偏光ビームスプリッタによって分離された偏光成分と、該偏光成分を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、該偏光成分のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射する第2の変調変換部(53)とを含んでいることを特徴とする請求項2記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項6】
前記第2の偏光ビームスプリッタで分離された各偏光成分のいずれか一方を選択的に前記第2の変調変換部へ入射させる光スイッチ(52)を有していることを特徴とする請求項5記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項7】
前記分離・変換処理部の前記第2の変調変換部は、
入力光を2分岐する分岐手段(54)と、
前記分岐手段によって分岐された一方の分岐光と、該分岐光に1シンボル相当の遅延と所定位相の遅延とを与えた遅延光とを合波干渉させる第1の遅延干渉部(55)と、
前記分岐手段によって分岐された他方の分岐光と、該分岐光に1シンボル相当の遅延と前記所定位相に対して90度差のある遅延とを与えた遅延光とを合波干渉させる第2の遅延干渉部(56)とを有し、
前記評価部は、前記第1の遅延干渉部の出射光と前記第2の遅延干渉部の出射光に対するサンプリングデータから前記信号光の各偏光成分の位相を算出し、該位相値に基づいて評価を行うことを特徴とする請求項5記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項1】
互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を、シンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光に変換する段階(S1)と、
前記強度変調光から、分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と前記第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光とを分離する段階(S2)と、
前記第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分の振幅が最大となるように前記信号光の入射偏光方向を制御して、該信号光の各偏光成分の偏光方向を前記第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる段階(S3)と、
それぞれの偏光方向が前記第1偏光軸と第2偏光軸に一致した状態で前記信号光の各偏光成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変換処理を行う段階(S4)と、
前記分離処理と前記変換処理で得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングしてそのサンプリングデータを取得する段階(S5)と、
前記取得したサンプリングデータに基づいて、前記信号光の品質評価を行う段階(S6)とを含む偏光多重位相変調光評価方法。
【請求項2】
互いに直交する偏光成分が所定形式、所定シンボルレートで位相変調されて多重化された信号光を入射させるための光入射部(31)と、
前記光入射部に入射された信号光の偏光方向を可変するための偏光コントローラ(32)と、
前記偏光コントローラを通過した信号光を受け、該信号光と該信号光を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、前記信号光のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射する第1の変調変換部(35)と、
前記第1の変調変換部から出射された強度変調光を受け、該強度変調光から分離の基準となる第1偏光軸に沿った第1偏光軸成分光と、前記第1偏光軸と直交する第2偏光軸に沿った第2偏光軸成分光を分離する第1の偏光ビームスプリッタ(36)と、
前記第1偏光軸成分光と第2偏光軸成分光の強度の差分成分の振幅を検出する差分成分振幅検出部(37)と、
前記差分成分振幅検出部によって検出された振幅が最大となるように前記偏光コントローラを制御して、該偏光コントローラから出射される前記信号光の各偏光成分の偏光方向を前記第1偏光軸と第2偏光軸にそれぞれ一致させる制御部(40)と、
前記制御部の制御により各偏光成分の偏光方向が前記第1偏光軸と第2偏光軸に一致した状態で前記偏光コントローラから出射される信号光に対して前記第1偏光軸と第2偏光軸に沿った成分の分離処理と、シンボル間位相変化に応じて強度が変化する強度変調光への変調変換処理を行う分離・変換処理部(50)と、
前記分離・変換処理部で得られた各偏光成分についての強度変調光をサンプリングしてそのサンプリングデータを取得するサンプリング部(60)と、
前記サンプリング部で取得したサンプリングデータに基づいて、前記信号光の品質評価を行う評価部(70)とを備えた偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項3】
前記分離・変換処理部による分離処理と変調変換処理は、前記第1の変調変換部と前記第1の偏光ビームスプリッタが行い、
前記第1の偏光ビームスプリッタで分離された偏光成分毎の強度変調光が分岐手段(58、59)を介して前記サンプリング部へ出射させるように構成されていることを特徴する請求項2記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項4】
前記第1の偏光ビームスプリッタで分離されて前記分岐手段によって分岐された各偏光成分についての強度変調光のいずれか一方を選択的に前記サンプリング部へ入射させる光スイッチ(52′)を有していることを特徴とする請求項3記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項5】
前記偏光コントローラから出射される光を2分岐してその一方を前記第1の変調変換部へ入射させ、他方を前記分離・変換処理部へ出射する分岐手段(34)を有し、
前記分離・変換処理部は、
前記第1偏光軸と第2偏光軸と同一向きの光軸を有し、前記分岐手段を介して入射される信号光を受けて、該信号光の両偏光成分を分離する第2の偏光ビームスプリッタ(51)と、
前記第2の偏光ビームスプリッタによって分離された偏光成分と、該偏光成分を1シンボル相当分遅延した遅延光とを合波干渉させて、該偏光成分のシンボル間の位相変化に応じて強度が変化する強度変調光を出射する第2の変調変換部(53)とを含んでいることを特徴とする請求項2記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項6】
前記第2の偏光ビームスプリッタで分離された各偏光成分のいずれか一方を選択的に前記第2の変調変換部へ入射させる光スイッチ(52)を有していることを特徴とする請求項5記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【請求項7】
前記分離・変換処理部の前記第2の変調変換部は、
入力光を2分岐する分岐手段(54)と、
前記分岐手段によって分岐された一方の分岐光と、該分岐光に1シンボル相当の遅延と所定位相の遅延とを与えた遅延光とを合波干渉させる第1の遅延干渉部(55)と、
前記分岐手段によって分岐された他方の分岐光と、該分岐光に1シンボル相当の遅延と前記所定位相に対して90度差のある遅延とを与えた遅延光とを合波干渉させる第2の遅延干渉部(56)とを有し、
前記評価部は、前記第1の遅延干渉部の出射光と前記第2の遅延干渉部の出射光に対するサンプリングデータから前記信号光の各偏光成分の位相を算出し、該位相値に基づいて評価を行うことを特徴とする請求項5記載の偏光多重位相変調光評価装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−191424(P2012−191424A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52957(P2011−52957)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
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