説明

偏光子、およびそれを用いた光学フィルム、ならびにそれらを用いた画像表示装置

【課題】表示ムラが少なく、優れた表示特性を示す液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置を形成できる偏光子を提供する。
【解決手段】吸収を示さない測定波長における面内位相差が950〜1350nmの範囲である、マトリックス中に二色性物質を含有する偏光子とする。前記測定波長とは、前記二色性物質が吸収を示さない波長であることが好ましく、例えば、1000nmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光子、それを用いた偏光板等の光学フィルムならびに画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)は、広く、卓上電子計算機、電子時計、パーソナルコンピューター、ワードプロセッサ、自動車や機械の計器類等に使用されている。このような液晶表示装置は、通常、液晶の配向変化を可視化させるための偏光板を備えており、この偏光板は、液晶表示装置の表示特性に非常に大きな影響を与えている。
【0003】
前記偏光板としては、一般に、ヨウ素や有機染料等の二色性物質を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルム等の偏光子(偏光フィルム)の両面に、トリアセチルセルロース等の保護フィルムを積層したもの等が使用されており、特に、明るく、色の再現性が良い表示特性に優れた液晶表示装置を提供できる偏光子が望まれている。
【0004】
しかし、前記液晶表示装置において、特に偏光が出射されるバックライトを用いた場合、表示ムラが発生し、コントラストの均一性が低下するという問題があった。
【0005】
このような問題を解決すべく、例えば、均一な延伸を行い易いポリビニルアルコール系重合体フィルムを用いた偏光板が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平14−028939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画像表示装置について高いコントラスト化を実現させると、それに伴い表示ムラが顕著に見られるという問題がある。例えば、液晶モードがノーマリーブラック(電圧をかけてない状態が黒表示状態)の場合、その影響は顕著となり、特に斜め30°、40°、60°以上の方向から見た際に、表示ムラが顕著になる問題がある。このような理由から、現在、より一層表示ムラが見られず、均一な表示特性を示す液晶表示装置等の各種表示装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の偏光子は、マトリックス中に二色性物質を含有する偏光子であって、吸収を示さない測定波長において、面内位相差が950〜1350nmの範囲であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明者らは、前述のような表示ムラに偏光子自身の位相差が関与することを見出し、鋭意研究を行った。その結果、前記吸収を示さない測定波長における面内位相差が950〜1350nmの範囲であれば、例えば、偏光子に位相差のバラツキが発生しても、前記バラツキが見え難いという効果を奏することを見出したのである。つまり、偏光子に染色ムラ等による青色の濃淡が見られる場合であっても、本発明のような面内位相差を示す偏光子をクロスニコルに配置すれば青色を呈するため、前記青色の濃淡が位相差自体の青色と同系色となり、色ムラが目立たなくなるのである。このため、位相差のバラツキの有無にかかわらず、各種画像表示装置、特に大型あるいは高コントラストの表示装置、フラットパネルディスプレイに適用した際に、表示ムラ(特に黒表示での表示ムラ)を十分に解消できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の光学フィルムの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の光学フィルムのその他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の液晶パネルの例を示す断面図である。
【図4】本発明の液晶パネルのその他の例を示す断面図である。
【図5】(A)は、本発明の液晶パネルのさらにその他の例を示す断面図であり、(B)および(C)は、前記(A)の部分的な断面図である。
【図6】本発明の実施例における、バックライトの一例の断面図である。
【図7】前記実施例における、バックライトのその他の例の断面図である。
【図8】前記実施例における、バックライトのその他の例の断面図である。
【図9】(A)は、前記実施例における、バックライトのさらにその他の例の断面図であり、(B)は、前記(A)の部分的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の偏光子は、マトリックス中に二色性物質を含有する偏光子であって、面内位相差の微分位相差変化量(σ)が、−5nm/mm〜5nm/mmの範囲であることを特徴とする。なお、面内位相差(Δnd)は、下記式で表され、下記式においてnxおよびnyは、それぞれ前記偏光子におけるX軸およびY軸方向の屈折率を示し、前記X軸とは、前記偏光子の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸方向は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、dは前記偏光子の厚みを示す。
Δnd=(nx-ny)・d
本発明において、前記面内位相差は、例えば、前記偏光子の大きさを8〜800cm×15〜1500cmに設定し、縦横1〜20mmごとに、合計28〜1,200,000点の測定点において位相差を測定した場合に、全ての測定値が、前記範囲に含まれることが好ましい。具体例としては、25cm×20cmの偏光子について、2mmごとに合計12276点の測定点において位相差を測定した場合に、全ての測定値が前記範囲に含まれることが好ましい。
【0012】
前記測定波長は、本発明の偏光子が吸収を示さない波長、すなわち前記二色性物質が吸収を示さない波長であれば特に制限されず、例えば、800〜1500nmであり、好ましくは840〜1200nmであり、特に好ましくは1000nmである。なお、測定波長の設定にあたっては、例えば、測定波長をx(nm)とするとき、下記数式で表される波長分散ΔRxを考慮する必要がある。また、吸収端をxaとする場合、x>xaであることが必要である。
【0013】
【数1】

本発明の偏光子は、さらに、前記吸収を示さない測定波長において、面内位相差の微分位相差変化量(σ)が、−5nm/mm〜5nm/mmの範囲であることが好ましい。微分位相差変化量(σ)が、このような範囲であれば、例えば、特にLCDテレビ等の大画面ディスプレイにおいて、高い均一性を示すという効果を奏する。微分位相差変化量(σ)は、より好ましくは−4nm/mm〜4nm/mmの範囲、特に好ましくは−2.5nm/mm〜2.5nm/mmの範囲である。
【0014】
なお、前記「微分位相差変化量(σ)」とは、2つの測定点(i,i+1)における位相差(Ri,Ri+1)の差(ΔR=Ri−Ri+1)と、前記2つの測定点間の距離d(mm)から求められ、σ=ΔR/dで表される。
【0015】
前記測定点間の距離は、局所的に生じる位相差変化を的確に求める点から、好ましくは1〜100mmであり、より好ましくは3〜70mmである。
【0016】
本発明の偏光子は、前記吸収を示さない測定波長において、面内位相差が極大値および極小値をそれぞれ示す場合、前記極大値を示す測定部位と極小値を示す測定部位との距離が、例えば、10mm以下(0を超え)もしくは100mm以上であり、かつ、前記極大値と前記極小値との差(面内位相差バラツキ)が60nm未満である。好ましくは、前記距離が7mm以下もしくは120mm以上であり、かつ、面内位相差バラツキが45nm未満、より好ましくは、前記距離が5mm以下もしくは150mm以上であり、かつ、面内位相差バラツキが45nm未満である。前記距離が10mm以下と短ければ、極大値と極小値とが非常に近くなるため、位相差のバラツキが見え難くなる。しかし、この中でも、前記距離が長ければ、面内位相差のバラツキはなだらかになり、偏光子の位相差バラツキがより一層見え難くなるため、さらに好ましくは100mm以上であり、特に好ましくは150mm以上である。なお、前記距離の上限は限定されず、フィルムの大きさに相当する。
【0017】
このような本発明の偏光子は、例えば、偏光板や光学フィルムに適用され、さらに液晶表示装置等の各種画像表示装置に利用される。このため、例えば、液晶セルの大きさ等に応じて、予め裁断(いわゆる「チップカット」)された偏光子であってもよい。
【0018】
このような本発明の偏光子は、例えば、以下に示すように、ポリマーフィルムに、膨潤処理、二色性物質による染色処理、架橋処理、延伸処理、および水洗処理等を施すことによって作製できる。なお、本発明は、偏光子の中でも、その面内位相差を前記範囲に選択したこと自体が特徴であり、前記面内位相差を満たす偏光子の製造自体は、当業者であれば出願時の技術常識に基づいて行うことができる。
【0019】
(1)ポリマーフィルム
前記ポリマーフィルムとしては、特に制限されず、従来公知のフィルムが使用できるが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルムや、これらの部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルム等があげられる。また、これらの他にも、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム、延伸配向されたポリビニレン系フィルム等も使用できる。これらの中でも、前記二色性物質であるヨウ素による染色性に優れることから、PVA系ポリマーフィルムが好ましい。なお、ポリマーフィルムにおいて、以下、延伸方向の長さを「長さ」といい、前記延伸方向と垂直方向の長さを「幅」という。
【0020】
PVAフィルムは、その重合度が、例えば、1700〜4500の範囲であることが好ましく、より好ましくは2400〜4000であり、結晶化度が18〜50%の範囲であることが好ましく、より好ましくは23〜47%である。また、フィルムのグリセリン含有量が、例えば、7〜20重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは8〜18重量%の範囲である。
【0021】
前記ポリマーフィルムの厚みは、特に制限されないが、例えば、65〜80μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは70〜85μmである。
【0022】
前記ポリマーフィルムは、例えば、局所的な厚み変動量が、平均厚みに対して0.7μm/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm/cm以下、特に好ましくは0.2μm/cm以下である。また、前記厚み変動量が0.7μm/cmを超えるポリマーフィルムであっても、例えば、後述する膨潤処理、架橋処理、延伸処理等を最適化したり、液切れを制御したりすること等によって、厚み変動量による影響を回避できる。
【0023】
ここで、「局所的な厚み変動量が平均厚みに対して0.7μm/cm以下」とあるが、これは、例えば、1〜100mm離れた2点間における厚み変動量、すなわち「前記2点の厚みの差/2点間の距離」が、0.7μm/cm以下であることを意味する。前記平均厚みは、特に制限されないが、例えば、幅が最大2600mmのPVA系フィルム(原反)の場合、2600点を測定すればよい。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
【0024】
前記ポリマーフィルムとしては、例えば、次工程である膨潤処理において、膨潤バラツキ、すなわち、膨潤による厚みのバラツキが少ないフィルムを使用することが好ましい。これによって製造される偏光子について、例えば、位相差、二色性物質の含有量、透過率等のバラツキをより一層低減できるからである。このため、例えば、結晶化度のムラ、厚みのムラ、水分率バラツキが少ないポリマーフィルムを使用することが好ましい。また、グリセリン含有量にバラツキがないポリマーフィルムも好ましい。
【0025】
(2)膨潤処理
前記ポリマーフィルムを、膨潤浴に浸漬して膨潤させ、前記膨潤浴中で延伸処理を施す。
【0026】
前記膨潤浴の溶液としては、例えば、水、グリセリン水溶液、ヨウ化カリウム水溶液等が使用できる。膨潤処理の条件は特に制限されず、従来と同様に行うことができるが、例えば、20〜30℃の膨潤浴に、60秒〜300秒(好ましくは90〜240秒、より好ましくは120〜180秒)浸漬させればよい。膨潤時間が60秒以上であれば、例えば、後の染色工程における染色浴の汚染も十分に回避できるため、ロングラン性の問題を低減し、染色ムラを十分に防止することができる。また、膨潤時間が300秒以下であれば、後の延伸工程における延伸時に、破断が生じることも十分に抑制できる。
【0027】
前記膨潤浴に浸漬することによって、前記ポリマーフィルムは、膨潤前のフィルム(原反)の長さに対して、通常、1.1〜1.5倍に膨潤する。さらに、この膨潤量の1〜1.3倍(好ましくは1.05〜1.25倍)に、前記膨潤浴中で延伸処理を施すことが好ましい。
【0028】
膨潤工程において、延伸倍率を低減し、浸漬時間を長くする場合には、フィルムに発生するシワを取るために、例えば、前記膨潤浴中にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロール等のロールを設置することが好ましい。特に、原反の幅が長い場合には(例えば、幅が約3mを越える場合)には、フィルム原反の中央部のシワを取り除くために、ロールを設置することが好ましい。
【0029】
前述のようにポリマーフィルムは膨潤バラツキが少ないことが好ましく、具体的には、膨潤後の厚みバラツキが8%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、特に好ましくは2.5%以下である。これは、前記ポリマーフィルムを膨潤させる場合、その厚みのバラツキによって、膨潤や膨潤による伸びに差が生じるためである。具体的には、厚みが薄いほど、膨潤によって伸びが生じ、厚みが厚いほど伸びが生じ難いと考えられる。なお、このように前記フィルムにおいて厚みが薄い部分ほど膨潤することから、飽和させるために、フィルムはゆっくり膨潤させることが好ましい。
【0030】
また、前記フィルムは、厚みの極大値と極小値の差、ならびに前記極大値を示す部位と極小値を示す部位との距離が、以下の関係にあることが好ましい。すなわち、「(極大値と極小値との差)/距離」が、例えば、1.5μm/cm以下であり、好ましくは1.0μm/cm以下、より好ましくは0.5μm/cm以下である。特に、前記距離が、5mm以下もしくは250mm以上であることが好ましく、より好ましくは10mm以下もしくは150mm以上、特に好ましくは20mm以下もしくは100mm以上である。これは、例えば、後述する延伸処理や乾燥処理において、極大の厚みを示す部分が収縮することによる、極小の厚みを示す部位の延伸方向と垂直(TD方向)に若干延伸されることを、十分に防止できるからである。また、距離が10mm以下であれば、距離が細かいために染色ムラがより一層目立たず、250mm以上であれば、前記極大値の部分および極小値の部分の延伸が緩やかに行われ、前述のような収縮に伴う垂直方向の延伸を十分に防止できるからである。
【0031】
(2)染色処理
前記ポリマーフィルムを前記膨潤浴から引き上げ、例えば、二色性物質を含む染色浴に浸漬させ、前記染色浴中においてさらに一軸方向に延伸処理を行う。つまり、前記浸漬によって、前記ポリマーフィルムに前記二色性物質を吸着させ、延伸によって、前記二色性物質を一方向に配向させるのである。
【0032】
前記二色性物質としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ヨウ素や有機染料等があげられる。前記有機染料を使用する場合には、例えば、可視光領域のニュートラル化を図る点より、二種類以上を組み合わせることが好ましい。
【0033】
前記染色浴の溶液としては、前記二色性物質を溶媒に溶解した水溶液が使用できる。前記溶媒としては、例えば、水が使用できるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されてもよい。前記溶液における二色性物質の濃度は、特に制限されないが、通常、0.005〜0.10重量%の範囲であり、好ましくは0.01〜0.08重量%である。
【0034】
前記染色浴へのポリマーフィルムの浸漬時間は、特に制限されないが、例えば、30〜120秒の範囲であり、好ましくは40〜110秒、より好ましくは50〜100秒である。また、前記染色浴の温度は、通常、10〜35℃である。
【0035】
この染色処理における延伸倍率は、例えば、膨潤前のポリマーフィルム(原反)の長さに対して、2〜3.2倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは2.2〜3.1倍であり、特に好ましくは2.4〜3.0倍である。延伸倍率が2倍以上であれば、例えば、フィルムの延伸方向(MD方向)における波うち発生が十分に抑制され、それによる染色ムラの問題もなく、一方、3.2倍以下であれば、十分な偏光度を維持できる。
【0036】
前記ポリマーフィルムにシワが発生した場合、染色ムラの原因となり得ることから、前記染色浴中に、例えば、前述のような各種ロールを配置し、それらによって前記ポリマーフィルムに発生するシワを取り除いてもよい。また、染色浴に前記ポリマーフィルムを浸漬する前もしくは後に、前記ロールでシワを解消してもよい。
【0037】
(3)架橋処理
前記ポリマーフィルムを前記染色浴から引き上げ、架橋剤を含む架橋浴に浸漬させ、この架橋浴中において、さらに延伸処理を行う。架橋処理を施すことによって、走行安定性を保持させるのである。
【0038】
前記架橋剤としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ホウ酸、ホウ砂、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のホウ素化合物等があげられる。これらは一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。前記架橋浴の溶液としては、前記架橋剤を溶媒に溶解した水溶液が使用できる。前記溶媒としては、例えば、水が使用できるが、さらに水と相溶性のある有機溶媒を含んでもよい。
【0039】
前記溶液における架橋剤の濃度は、特に制限されないが、通常、1〜10重量%の範囲であり、好ましくは1.5〜8重量%である。前記架橋剤がホウ酸の場合、例えば、1.5〜7重量%の範囲であり、好ましくは2〜6重量%である。
【0040】
前記水溶液は、偏光子の面内の均一な特性が得られる点から、前記ホウ酸化合物の他に、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等のヨウ化物等の助剤を含んでいてもよい。前記溶液における前記助剤の含有量は、通常、1〜18重量%の範囲であり、好ましくは2〜18重量%である。前記助剤がヨウ化カリウムの場合、2〜15重量%の範囲であり、好ましくは5〜14重量%である。
【0041】
中でもホウ酸とヨウ化カリウムとの組み合わせが好ましく、前記溶液におけるホウ酸とヨウ化カリウムの割合(重量比)は、例えば、通常、7:1〜1:9の範囲であり、好ましくは5:1〜1:5の範囲である。
【0042】
前記架橋浴の温度は、特に限定されないが、例えば、前記染色処理の温度と後述する架橋処理の温度との関係が、「染色温度<架橋温度≦延伸温度」を示すことが好ましい。具体的には、8〜75℃の範囲が好ましく、より好ましくは20〜70℃の範囲である。前記ポリマーフィルムの浸漬時間は、特に限定されないが、通常、25〜150秒間であり、好ましくは30〜120秒間である。
【0043】
この架橋処理における延伸倍率は、原反の長さに対して、例えば、3.5倍以下であり、好ましくは3.3倍以下である。
【0044】
(4)延伸処理
前記ポリマーフィルムを前記架橋浴から引き上げ、最終の延伸浴に浸漬させて、この延伸浴中においてさらに延伸処理を行う。なお、架橋処理と延伸処理とをさらに繰り返し行ってもよい。
【0045】
前記延伸浴の溶液としては、特に制限されないが、例えば、ホウ酸、ヨウ化カリウム、各種金属塩やその他のヨウ化化合物、亜鉛化合物等を含む溶液が使用できる。この溶液の溶媒としては、例えば、水、エタノール等が使用できる。
【0046】
具体的には、ホウ酸を使用する場合、その濃度が、通常、2〜10重量%の範囲であり、好ましくは3〜6重量%である。前記延伸浴におけるホウ酸濃度は、前記架橋浴におけるホウ酸濃度よりも高いことが好ましい。また、さらにヨウ化カリウムを併用することが好ましく、この場合は、例えば、前述の架橋浴におけるヨウ化カリウムの濃度よりも高く設定することが好ましい。前記ヨウ化カリウムの濃度は、通常、4〜10重量%の範囲であり、好ましくは6〜8重量%である。なお、前記延伸浴におけるヨウ化カリウムの濃度は、例えば、前述の架橋浴におけるヨウ化カリウムの濃度よりも高く設定することが好ましい。
【0047】
前記延伸浴の温度は、通常、40〜75℃の範囲であり、好ましくは50〜70℃である。
【0048】
この延伸処理における延伸倍率は、原反の長さに対して、例えば、5.5〜6.5倍の範囲であり、好ましくは5.8〜6.4倍の範囲、より好ましくは6.0〜6.2倍の範囲である。
【0049】
延伸処理の時間としては、例えば、35秒〜60秒が好ましく、より好ましくは40秒〜50秒の範囲である。
【0050】
(5)水洗処理
前記ポリマーフィルムを前記延伸浴から引き上げ、ヨウ化物含有水溶液に浸漬させた後、水洗を行い、前記ポリマーフィルムを乾燥する。
【0051】
前記ヨウ化物含有水溶液におけるヨウ化物としては、前述のようなものが使用でき、その中でも、例えば、ヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウム等が好ましい。この溶媒としては、通常、水が使用できる。このヨウ化物含有水溶液によって、前記延伸処理において使用した残存するホウ酸を、ポリマーフィルムから洗い流すことができる。
【0052】
前記水溶液が、ヨウ化カリウム水溶液の場合、その濃度は、例えば、0.5〜20重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜15重量%であり、特に好ましくは1.5〜7重量%である。前記水溶液の温度は、通常、15〜40℃の範囲であり、好ましくは20〜35℃である。また、前記水溶液への浸漬時間は、通常、2〜15秒、好ましくは3〜12秒である。なお、前記ヨウ化物含有水溶液への浸漬後における水洗の回数は、特に制限されない。
【0053】
この段階において、前記延伸されたポリマーフィルムの変形は、その幅、厚みが以下の条件を満たすことが好ましい。下記条件を満たすことによって、製造される本発明の偏光子は、より一層ニュートラル性が向上するからである。具体的には、本発明の偏光子やそれを用いた偏光板を平行ニコルに配置した場合には、黄色味をより一層抑制でき、直交ニコルに配置した場合には、青味や赤味をより一層抑制できるといえる。
【0054】
すなわち、これまでに施した延伸のトータル延伸倍率(原反に対する倍率)をa倍とした際に(以下、同様)、前記延伸ポリマーフィルムの幅は、膨潤前のポリマーフィルム(原反)の幅を100%として、(1/√a×100)%〜(1/√a×125)%の範囲であり、好ましくは(1/√a×100)%〜(1/√a×120)%、より好ましくは(1/√a×100)%〜(1/√a×110)%に変形していることが好ましい。具体的には、前記延伸倍率aが6の場合、41〜51%が好ましく、より好ましくは41〜45%である。なお、前記ポリマーフィルムの幅とは、前述のように、延伸方向(長さ方向)と垂直方向の長さである。
【0055】
また、前記延伸ポリマーフィルムは、例えば、均一に延伸されていない場合、その厚みに勾配が発生することがある。その場合、前記延伸ポリマーフィルムにおいて、厚みの最も薄い部分が、前記原反の厚みを100%として、(1/√a×80)%〜(1/√a×100)%、好ましくは(1/√a×85)%〜(1/√a×100)%、より好ましくは(1/√a×90)%〜(1/√a×100)%に変形していることが好ましい。なぜなら、高い延伸倍率によりΔnを増加させ、さらに厚みdを増加させることが好ましいからである。また、前記フィルムの最も薄い部分は、周りや他の部分の幅方向収縮によってさらに薄くなる傾向にあり、そうすると一軸性が低下して、光学特性が局部的に低下し、ムラが顕著になるおそれがあるからである。
【0056】
さらに、前記延伸ポリマーフィルムにおいて、その幅と厚みが以下の関係を満たすことが好ましい。すなわち、下記式(I)で表される値が、例えば、0.9〜1.1の範囲であり、好ましくは0.95〜1.05の範囲である。
【0057】
(Tb×Wb)/(Ta×Wa) ・・・(I)
a 延伸ポリマーフィルムの平均厚み
b 未延伸ポリマーフィルムの平均厚み
a 延伸ポリマーフィルムの幅
b 未延伸ポリマーフィルム(原反)の幅

(6)乾燥処理
前述のような処理を行ったポリマーフィルムを、乾燥させることによって、マトリックスに二色性物質が含有された本発明の偏光子が製造できる。乾燥は、例えば、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等、特に制限されないが、加熱乾燥の場合、温度は、通常、20〜40℃であり、好ましくは22〜35℃の範囲である。また、処理時間は、通常、0.5〜5分、好ましくは1〜4分、より好ましくは1.5〜3分の範囲である。
【0058】
最終的に得られる本発明の偏光子の厚みは、特に制限されないが、例えば、5〜40μmの範囲が好ましく、より好ましくは15〜35μmであり、特に好ましくは17〜32μmである。前記厚みは、例えば、5μm以上であればより一層優れた機械的強度を示し、また、40μm以下であれば、より一層優れた光学特性となるため、例えば、フラットパネルに適用する際に、薄型化が容易となる。
【0059】
以上のような方法によって製造された偏光子の他にも、前述のような面内位相差を示す限り、例えば、PET等に二色性物質を練り込み製膜、延伸したようなものでもよいし、延伸配向されたポリビニレン系フィルムや、これに二色性物質を練りこんだフィルムを偏光子としても良い。また、一軸方向に配向した液晶をホストとして、そこに二色性染料をゲストにしたようなOタイプの偏光子(米国特許5,523,863号、特表平3−503322号公報)や、二色性のライオトロピック液晶等を用いたEタイプの偏光子等でもよい(米国特許6,049,428号)。
【0060】
つぎに、本発明の光学フィルムは、前記本発明の偏光子を含む。このような光学フィルムの例を以下に示す。
【0061】
本発明の光学フィルムの第1の例としては、例えば、前記本発明の偏光子および透明保護層を含み、前記偏光子の少なくとも一方の表面に前記透明保護層が配置された偏光板があげられる。前記透明保護層は、前記偏光子の片面のみに配置されてもよいし、両面に配置されてもよい。両面に積層する場合には、例えば、同じ種類の透明保護層を使用しても、異なる種類の透明保護層を使用してもよい。
【0062】
なお、前記偏光板における前記偏光子の面内位相差を測定する場合には、本発明の偏光板から、例えば、溶剤等を用いて前記透明保護層を除去し、測定を行うことができる。また、前記透明保護層の位相差が無視できる範囲の場合(ほぼ0nm)の場合には、偏光板のまま測定することもできる。
【0063】
本発明の偏光板においては、例えば、その水分率によって幅広が変化することから、水分率が、例えば、2〜5%であることが好ましく、より好ましくは2.5〜4.5%、特に好ましくは3〜4%の範囲である。
【0064】
図1に、前記偏光板の一例の断面図を示す。図示のように、偏光板10は、偏光子1および2つの透明保護層2を備え、前記偏光子1の両面に透明保護層2がそれぞれ配置されている。
【0065】
前記透明保護層2としては、特に制限されず、従来公知の透明保護フィルムを使用できるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。このような透明保護層の材質の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、アクリル系、アセテート系、ポリオレフィン系等の透明樹脂等があげられる。また、前記アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等もあげられる。また、ポリノボルネン系樹脂等のように光弾性係数の低いものも好ましい。
【0066】
この他にも、特開2001−343529号公報(WO 01/37007号)や特開2002−328233号公報に記載されているような、例えば、イソブテンおよびN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物の混合押出物からなるフィルム等も使用できる。このようなフィルムは、例えば、以下に示すようにして製造できる。まず、N−メチルマレイミド含量50モル%の前記交互共重合体(100重量部)と、アクリルにトリル含量27重量%、スチレン含量73重量%の前記共重合体67重量部とを溶融混練し、そのペレットをTダイを備える溶融押出し機に供給し、原反フィルムを作製する。このフィルムを延伸速度100cm/分、延伸倍率1.45倍、延伸温度162℃の条件で自由端縦一軸延伸を行う。さらに、同条件で先の延伸方向とは直交する方向に、自由端一軸延伸を行うことによって、厚み49μmの延伸フィルムが得られる。この延伸フィルムは、nx=1.548028、ny=1.548005、nz=1.547970、面内位相差1.1nm、厚み方向位相差2.8nm、光弾性係数の絶対値1.9x10-13cm2/dyeである。
【0067】
さらに、これらの透明保護フィルムは、例えば、その表面が、アルカリ等によってケン化処理されてもよい。これらの中でも、偏光特性や耐久性等の点から、TACフィルムが好ましく、より好ましくは、その表面がケン化処理されたTACフィルムである。
【0068】
前記透明保護層は、例えば、色付きが無いことが好ましい。具体的には、下記式で表されるフィルム厚み方向の位相差値(Rth)が、−90nm〜+75nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは−80nm〜+60nmであり、特に好ましくは−70nm〜+45nmの範囲である。前記位相差値が−90nm〜+75nmの範囲であれば、十分に保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)を解消できる。
Rth=[{(nx+ny)/2}-nz]・d
前記式において、dは、透明保護層の厚みであり、nx,ny,nzとは、前記透明保護層におけるX軸、Y軸およびZ軸の屈折率をそれぞれ示す。前記X軸とは、前記透明保護層面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。
【0069】
前記透明保護層の厚みは、特に制限されないが、例えば、偏光板の薄型化等の目的から、例えば、500μm以下であり、好ましくは1〜300μmであり、より好ましくは5〜300μmの範囲である。
【0070】
また、前記透明保護層は、さらに、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、拡散やアンチグレア等を目的とした処理等が施されたものでもよい。前記ハードコート処理とは、偏光板表面の傷付き防止等を目的とし、例えば、前記透明保護層の表面に、硬化型樹脂から構成される、硬度や滑り性に優れた硬化被膜を形成する処理である。前記硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等が使用でき、前記処理は、従来公知の方法によって行うことができる。
【0071】
前記反射防止処理とは、偏光板表面での外光の反射防止を目的とし、従来公知の反射防止膜等の形成により行うことができる。スティッキング防止処理とは、隣接する層との密着防止を目的とする。
【0072】
前記アンチグレア処理とは、偏光板表面において外光が反射することにより、偏光板透過光の視認妨害の防止等を目的とし、例えば、従来公知の方法によって、前記透明保護層の表面に、微細な凹凸構造を形成することによって行うことができる。このような凹凸構造の形成方法としては、例えば、サンドブラスト法やエンボス加工等による粗面化方式や、前述のような透明樹脂に透明微粒子を配合して前記透明保護層を形成する方式等があげられる。
【0073】
前記透明微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等やこれらの固溶体があげられる。このような前記透明微粒子の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.5〜50μmの範囲である。この他に、導電性を有する無機系微粒子や、架橋または未架橋のポリマー粒状物等から構成される有機系微粒子等を使用することもできる。また、前記透明微粒子の配合割合は、特に制限されないが、一般に、前述のような透明樹脂100質量部あたり2〜50質量部の範囲が好ましく、より好ましくは5〜25質量部の範囲である。
【0074】
前記透明微粒子を配合したアンチグレア層は、例えば、透明保護層そのものとして使用することもでき、また、透明保護層表面に塗工層等として形成されてもよい。さらに、前記アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層を兼ねるものであってもよい。
【0075】
なお、前記反射防止膜、拡散層、アンチグレア層等は、前記透明保護層とは別個に、例えば、これらの層を設けたシート等から構成される光学層として、偏光板に設けることもできる。
【0076】
前記偏光子と前記透明保護層との接着方法は、特に制限されず、従来公知の方法によって行うことができる。一般には、粘着剤やその他の接着剤等が使用され、その種類は、偏光フィルムや透明保護層の種類等によって適宜決定できる。具体的には、例えば、PVA系、変性PVA系、ウレタン系ポリマーから構成される接着剤や粘着剤があげられる。これらの接着剤等は、耐久性の向上のため、例えば、ホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸、キチン、キトサン、金属塩、アルコール系溶剤等のような、ビニルアルコール系ポリマーを架橋させる水溶性架橋剤が添加されてもよい。前記偏光子が、例えば、PVA系フィルムの場合、接着処理の安定性等の点から、PVA系の接着剤が好ましい。このような接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1nm〜500nmであり、好ましくは10nm〜300nmであり、より好ましくは20nm〜100nmである。
【0077】
前記偏光子と透明保護層とを前記接着剤によって接着した場合、例えば、湿度や熱の影響によって剥れることを防止し、光透過率や偏光度に優れた偏光板とするために、乾燥処理を施すことが好ましい。乾燥温度としては、特に制限されず、使用した接着剤や粘着剤の種類等に応じて適宜決定できる。前記接着剤が、前述のようなPVA系、変性PVA系、ウレタン系等の水溶性接着剤の場合、例えば、乾燥温度は、60〜70℃が好ましく、より好ましくは60〜75℃であり、乾燥時間は、1〜10分程度が好ましい。
【0078】
また、本発明の偏光板は、例えば、液晶セル等への積層が容易になることから、その最外層に、さらに粘着剤層を有していることが好ましい。図2に、このように粘着剤層を有する偏光板の断面図を示す。図示のように、偏光板20は、前記図1に示す偏光板10と粘着剤層3とを備え、前記偏光板10の一方の透明保護層2表面にさらに粘着剤層3が配置されている。
【0079】
前記透明保護層表面への前記粘着剤層の形成は、例えば、粘着剤の溶液または溶融液を、流延や塗工等の展開方式により、前記透明保護層の所定の面に直接添加して層を形成する方式や、同様にして後述するセパレータ上に粘着剤層を形成させて、それを前記透明保護層の所定面に移着する方式等によって行うことができる。なお、このような粘着剤層は、前記図2のように偏光板のいずれか一方の表面に形成してもよいが、これには限定されず、必要に応じて両面に配置してもよい。
【0080】
前記粘着剤層としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等の従来公知の粘着剤を適宜使用して形成できる。特に、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、さらに高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成等の点から、吸湿率が低く、耐熱性に優れる粘着剤を使用することが好ましい。このような粘着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、アクリルシリコーン系、ポリエステル系、耐熱ゴム系等の粘着剤があげられる。また、微粒子を含有する光拡散性を示す粘着層等であってもよい。
【0081】
また、偏光板に設けた粘着剤層の表面が露出する場合は、前記粘着剤層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的として、セパレータによって前記表面をカバーすることが好ましい。このセパレータは、前記透明保護フィルム等のような適当な薄層のフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを設ける方法等によって形成できる。
【0082】
前記粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、例えば、5〜35μmであることが好ましく、より好ましくは10〜25μm、特に好ましくは15〜25μmである。このような範囲に設定すれば、例えば、偏光板の寸法が変化しても、その際に発生する応力を緩和することもできるからである。
【0083】
また、本発明の偏光板は、液晶セルや液晶表示装置等の形成に使用できるが、例えば、前記偏光子に透明保護層等を積層した状態で、液晶セル等の大きさに応じて裁断(チップカット)してもよいし、予め、前記偏光子を裁断してから透明保護層を貼り合わせてもよい。
【0084】
つぎに、本発明の光学フィルムの第2の例は、前記本発明の偏光子または前記第1の例における偏光板と、偏光変換素子および位相差フィルムの少なくとも一方とを含む積層体である。
【0085】
前記偏光変換素子としては、特に制限されず、例えば、異方性反射型偏光素子や異方性散乱型偏光素子等の一般に液晶表示装置等の形成に用いられるものがあげられる。これらの偏光変換素子は、例えば、一層でもよいし、二層以上を積層してもよい。また、二層以上を使用する場合は、同種でもよいし、異なる種類の層を使用してもよい。
【0086】
前記偏光変換素子の中でも、前記異方性反射型偏光素子としては、例えば、コレステリック液晶層と位相差板との複合体であり、前記位相差板が、前記異方性反射偏光子が有する反射帯域に含まれる波長の0.2〜0.3倍の位相差を示すものであることが好ましい。より好ましくは0.25倍である。前記コレステリック液晶層としては、特に、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの等のように、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して、他の光は透過する特性を示すものであることが好ましい。このような異方性反射型偏光素子としては、例えば、日東電工製の商品名PCFシリーズ等が使用できる。なお、前記波長は、前記異方性反射偏光子が有する反射帯域に含まれる波長であればよく、任意である。また、コレステリック液晶層は、例えば、誘電体の多層薄膜や、屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のように、所定偏光軸の直線偏光を透過して、他の光は反射する特性を示すものであってもよい。このような異方性反射方偏光素子としては、例えば、3M社製の商品名DBEFシリーズ等が使用できる。
【0087】
また、前記異方性反射型偏光素子としては、反射型グリッド偏光子も好ましく、具体例としては、Moxtek製の商品名Micro Wires等が使用できる。
【0088】
一方、前記異方性散乱型偏光素子としては、例えば、3M社製の商品名DRPF等が使用できる。
【0089】
つぎに、本発明の光学フィルムの第3の例としては、例えば、前記本発明の偏光子、前記第1の例における偏光板、または第2の例における積層体と、各種光学層とを含む積層体である各種偏光板があげられる。前記光学層としては、特に制限されないが、例えば、以下に示すような、反射板、半透過反射板、1/2波長板、1/4波長板等のλ板等を含む位相差板、視角補償フィルム、輝度向上フィルム等の、液晶表示装置等の形成に使用される光学層があげられる。そして、これらの光学層は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。このような光学層を含む偏光板としては、特に、反射型偏光板、半透過反射型偏光板、楕円偏光板、円偏光板、視角補償フィルムや輝度向上フィルムが積層された偏光板等が好ましい。
【0090】
以下、これらの偏光板について説明する。
【0091】
まず、本発明の反射型偏光板または半透過反射型偏光板の一例について説明する。前記反射型偏光板は、例えば、前述のような第1の例の偏光板に、さらに反射板が積層されており、前記半透過反射型偏光板は、前記偏光板にさらに半透過反射板が積層されている。
【0092】
前記反射型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)等に使用できる。このような反射型偏光板は、例えば、バックライト等の光源の内蔵を省略できるため、液晶表示装置の薄型化を可能にする等の利点を有する。
【0093】
前記反射型偏光板は、例えば、前記加熱処理後の偏光板の片面に、金属等から構成される反射板を形成する方法等、従来公知の方法によって作製できる。具体的には、例えば、前記偏光板における透明保護層の片面(露出面)を、必要に応じてマット処理し、前記面に、アルミニウム等の反射性金属からなる金属箔や蒸着膜を反射板として形成した反射型偏光板等があげられる。
【0094】
また、前述のように各種透明樹脂に微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした透明保護層の上に、その微細凹凸構造を反映させた反射板を形成した、反射型偏光板等もあげられる。その表面が微細凹凸構造である反射板は、例えば、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制できるという利点を有する。このような反射板は、例えば、前記透明保護層の凹凸表面に、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式等、従来公知の方法により、直接、前記金属箔や金属蒸着膜として形成することができる。
【0095】
また、前述のように偏光板の透明保護層に前記反射板を直接形成する方式に代えて、反射板として、前記透明保護フィルムのような適当なフィルムに反射層を設けた反射シート等を使用してもよい。前記反射板における前記反射層は、通常、金属から構成されるため、例えば、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続や、透明保護層の別途形成を回避する点等から、その使用形態は、前記反射層の反射面が前記フィルムや偏光板等で被覆された状態であることが好ましい。
【0096】
一方、前記半透過型偏光板は、前記反射型偏光板において、反射板に代えて、半透過型の反射板を有するものである。前記半透過型反射板としては、例えば、反射層で光を反射し、かつ、光を透過するハーフミラー等があげられる。
【0097】
前記半透過型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射して画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等に使用できる。すなわち、前記半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、一方、比較的暗い雰囲気下においても、前記内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
【0098】
つぎに、本発明の楕円偏光板または円偏光板の一例について説明する。これらの偏光板は、例えば、前述のような第1の例の偏光板に、さらに位相差板またはλ板が積層されている。
【0099】
前記楕円偏光板は、例えば、スーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折によって生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示にする場合等に有効に用いられる。さらに、3次元の屈折率を制御した楕円偏光板は、例えば、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)できるため好ましい。一方、前記円偏光板は、例えば、画像がカラー表示になる、反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合等に有効であり、反射防止の機能も有する。
【0100】
前記位相差板は、直線偏光を楕円偏光または円偏光に変換したり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変換したり、あるいは直線偏光の偏光方向を偏光する場合に用いられる。特に、直線偏光を楕円偏光もしくは円偏光に、楕円偏光もしくは円偏光を直線偏光に、それぞれ変換する位相差板としては、例えば、1/4波長板(「λ/4板」とも言う)等が用いられ、直線偏光の偏光方向を変換する場合には、通常、1/2波長板(「λ/2板」とも言う)が使用される。
【0101】
前記位相差板の材料としては、例えば、ポリカーボネート、PVA、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリノルボルネン等のポリマーフィルムを延伸処理した複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムで支持した積層体等があげられる。
【0102】
前記位相差板の種類は、例えば、前記1/2や1/4等の各種波長板、液晶層の複屈折による着色の補償や視野角拡大等の視角の補償を目的としたもの等、使用目的に応じた位相差を有するものでもよく、厚み方向の屈折率を制御した傾斜配向フィルムであってもよい。また、2種以上の位相差板を積層し、位相差等の光学特性を制御した積層体等でもよい。
【0103】
前記傾斜配向フィルムは、例えば、ポリマーフィルムに熱収縮性フィルムを接着して、加熱によるその収縮力の作用の下に、前記ポリマーフィルムに延伸処理や収縮処理を施す方法や、液晶ポリマーを斜め配向させる方法等によって得ることができる。
【0104】
つぎに、前記第1の例の偏光板に、さらに視角補償フィルムが積層された偏光板の一例について説明する。
【0105】
前記視角補償フィルムは、例えば、液晶表示装置の画面を、前記画面に垂直ではなく、やや斜め方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明に見えるように視角を広げるためのフィルムである。このような視角補償フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースフィルム等にディスコティック液晶を塗工したものや、位相差板が用いられる。通常の位相差板としては、例えば、その面方向に一軸延伸された、複屈折を有するポリマーフィルムが使用されるのに対し、前記視角補償フィルムとしては、例えば、面方向に二軸延伸された、複屈折を有するポリマーフィルムや、面方向に一軸延伸され、かつ、厚み方向にも延伸された、厚み方向の屈折率を制御した傾斜配向ポリマーフィルムのような、2方向延伸フィルム等の位相差板が使用される。前記傾斜配向フィルムとしては、例えば、ポリマーフィルムに熱収縮性フィルムを接着し、加熱によるその収縮力の作用の下、前記ポリマーフィルムを延伸処理や収縮処理したもの、液晶ポリマーを斜め配向させたもの等があげられる。なお、前記ポリマーフィルムの素材原料としては、先に延べた、前記位相差板のポリマー材料と同様のものが使用できる。
【0106】
つぎに、前記第1の例の偏光板に、さらに輝度向上フィルムが積層された偏光板の一例を説明する。
【0107】
この偏光板は、通常、液晶セルの裏側サイドに配置されて使用される。前記輝度向上フィルムは、例えば、液晶表示装置等のバックライトや、その裏側からの反射等によって、自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すものである。バックライト等の光源からの光を入射させ、所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射する。この輝度向上フィルム面で反射した光を、さらにその後ろ側に設けられた反射板等を介して反転させて、輝度向上フィルムに再入射させ、その一部または全部を所定偏光状態の光として透過させ、輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光フィルム(偏光子)に吸収され難い偏光を供給して、液晶画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させるものである。前記輝度向上フィルムを使用せずに、バックライト等で液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合、前記偏光子の偏光軸に一致しない偏光方向を有する光は、ほとんど前記偏光子に吸収されてしまい、前記偏光子を透過してこない。すなわち、使用する偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が前記偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。前記輝度向上フィルムは、前記偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を、前記偏光子に入射させずに、前記輝度向上フィルムで一旦反射させ、さらにその後ろ側に設けられた反射板等を介して反転させ、前記輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返す。そして、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が、前記偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを透過させ、前記偏光子に供給するので、バックライト等の光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができるのである。
【0108】
また、前記輝度向上フィルムと前記反射層等との間に拡散板を設けてもよい。この場合、前記輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は、前記反射層に向かうが、設置された前記拡散板は、通過する光を均一に拡散すると同時に、偏光状態を解消して非偏光状態とする。すなわち、元の自然光状態に戻すのである。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、前記反射層を介して反射し、前記拡散板を再び通過して、前記輝度向上フィルムに再入射することが繰り返される。このように、元の自然光状態にもどす前記拡散板を設けることによって、例えば、表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのムラを少なくし、均一の明るい画面を提供することができる。また、前記拡散板により、初回の入射光は反射の繰り返し回数が適度に増加し、前記拡散板の拡散機能と相まって、均一な明るい表示画面を提供することが可能になると考えられる。
【0109】
前記輝度向上フィルムとしては、特に限定されず、例えば、誘電体の多層薄膜や、屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のような、所定偏光軸の直線偏光を透過して、他の光は反射する特性を示すもの等が使用できる。具体的には、例えば、3M社製の商品名D−BEF等が使用できる。また、コレステリック液晶層、特にコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの等のように、左右一方の円偏光を反射して、他の光は透過する特性を示すものであってもよい。このようなフィルムとしては、例えば、日東電工社製の商品名「PCF350」、Merc
k社製の商品名Transmax等が使用できる。
【0110】
従って、所定偏光軸の直線偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムであれば、例えば、その透過光を、そのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることによって、前記偏光板による吸収ロスを抑制しつつ、効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層のような円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムであれは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点から、その透過円偏光を、位相差板を介して直線偏光化し、前記偏光板に入射させることが好ましい。なお、前記位相差板として、例えば、1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0111】
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの光等の単色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と、他の位相差特性を示す位相差層(例えば、1/2波長板として機能する位相差層)とを積層すること等によって得られる。従って、偏光板と輝度向上フィルムとの間に配置する位相差板としては、1層または2層以上の位相差層からなる積層体であってもよい。なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものを組合せて、2層または3層以上を積層した積層構造とすることもできる。それにより、可視光域等の広い波長範囲で円偏光を反射する偏光板を得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0112】
以上のような、第3の例における各種偏光板は、例えば、前記偏光板と、さらに2層または3層以上の光学層とを積層した光学フィルムであってもよい。具体的には、例えば、前記反射型偏光板や半透過型偏光板と、位相差板とを組合せた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板等があげられる。
【0113】
このように、2層以上の光学層を積層した光学フィルムは、例えば、液晶表示装置等の製造過程において、順次別個に積層する方式によっても形成できるが、予め積層体同士を積層して光学部材としたものであれは、例えば、品質の安定性や組立作業性等に優れ、液晶表示装置等の製造効率を向上できるという利点がある。なお、積層には、前述と同様に、粘着層等の各種接着手段を用いることができる。
【0114】
以上のような本発明の光学フィルムを形成する偏光フィルム、透明保護層、光学層、粘着剤層等の各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で適宜処理することによって、紫外線吸収能を持たせたものでもよい。
【0115】
つぎに、本発明の液晶パネルは、前記本発明の偏光子および光学フィルムの少なくとも一つ(以下、「光学フィルム」ともいう)を含み、これが液晶セルの少なくとも一方の表面に配置されている。
【0116】
液晶セルの種類は、特に制限されず、従来公知の液晶セルを適宜使用できるが、本発明の偏光子等は、偏光状態の光を液晶セルに入射させて表示する液晶表示装置に有用であることから、中でも、例えば、TN(Twisted Nematic)液晶やSTN(Super Twisted Nematic)液晶を用いた液晶セル等が好ましい。また、これらの他に、非ツイスト系の液晶を用いたIPS(In-Plane Switching)、VA(VerticalAligned)、OCB(Optically Compensated Birefringence)モードの液晶セルや、前記二色性染料を液晶中に分散させたゲストホスト系の液晶、あるいは強誘電性液晶を用いた液晶セル等にも使用できる。なお、液晶の駆動方式についても特に限定はない。
【0117】
前記偏光板等の光学フィルムは、前記液晶セルの一方の面のみに配置してもよいし、両面に配置してもよい。前記両面に配置する場合、光学フィルムの種類は、同一であってもよいし、異なるものでもよい。また、液晶セルの両側に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0118】
また、さらに、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板等の通常の部品を、適当な位置に有してもよく、これらの部品は、1つまたは2つ以上配置してもよい。
【0119】
図3〜5に、本発明の光学フィルムを配置した液晶パネルの例を示す。これらの図は、液晶セルと光学フィルムとの積層状態を断面的に表わした図であり、構成物を区別するためにハッチを入れている。また、各図において同一箇所には同一符号を付している。なお、本発明の液晶パネルは、これらには限定されない。
【0120】
図3の液晶パネルは、液晶セル12および偏光板11を有し、液晶セル12の両面に偏光板11がそれぞれ配置されている。なお、前記液晶セルの構造(図示せず)は、特に制限されず、一般に、アレイ基板とフィルター基板との間に液晶が保持された構造である。
【0121】
また、図4の液晶パネルは、液晶セル12、偏光板11および位相差板13を有し、液晶セル12の両面に、位相差板13を介して偏光板11がそれぞれ積層されている。なお、位相差板13と偏光板11とは、一体となった本発明の光学フィルムとして、液晶セル12の両面に配置されてもよい。
【0122】
図5(A)の液晶パネルは、液晶セル12、偏光板11および偏光変換素子14を備え、液晶セル12の両面に偏光板11がそれぞれ積層され、一方の偏光板の片面に、さらに偏光変換素子14が積層されている。前記偏光変換素子14としては、前述のような素子が使用でき、例えば、同図(B)に示すような、1/4波長板15とコレステリック液晶16との複合体や、同図(C)に示すような異方性多重薄膜反射型偏光素子17があげられる。なお、偏光板11と偏光変換素子14は、一体となった本発明の光学フィルムとして、液晶セル12の片面に配置されてもよい。
【0123】
つぎに、本発明の液晶表示装置は、液晶パネルを含む液晶表示装置であって、前記液晶パネルが前記本発明の液晶パネルである。
【0124】
この液晶表示装置は、さらに光源を備えてもよい。前記光源としては、特に制限されないが、例えば、光のエネルギーが有効に使用できることから、例えば、偏光を出射する平面光源であることが好ましい。
【0125】
本発明の液体表示装置は、視認側の光学フィルム(偏光板)の上に、例えば、さらに拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護層や保護板を配置したり、または液晶パネルにおける液晶セルと偏光板との間に補償用位相差板等を適宜配置することもできる。
【0126】
つぎに、本発明のエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置は、本発明の偏光子および本発明の光学フィルムの少なくとも一つを有する表示装置である。このEL装置は、有機ELおよび無機ELのいずれでもよい。
【0127】
近年、EL表示装置においても、黒状態における電極からの反射防止として、例えば、偏光子や偏光板等の光学フィルムをλ/4板とともに使用することが提案されている。本発明の偏光子や光学フィルムは、特に、EL層から、直線偏光、円偏光もしくは楕円偏光のいずれかの偏光が発光されている場合、あるいは、正面方向に自然光を発光していても、斜め方向の出射光が部分偏光している場合等に、非常に有用である。
【0128】
まずここで、一般的な有機EL表示装置について説明する。前記有機EL表示装置は、一般に、透明基板上に、透明電極、有機発光層および金属電極がこの順序で積層された発光体(有機EL発光体)を有している。前記有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層とアントラセン等の蛍光性有機固体からなる発光層との積層体や、このような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層との積層体や、また、前記正孔注入層と発光層と電子注入層との積層体等、種々の組み合わせがあげられる。
【0129】
そして、このような有機EL表示装置は、前記陽極と陰極とに電圧を印加することによって、前記有機発光層に正孔と電子とが注入され、前記正孔と電子とが再結合することによって生じるエネルギーが、蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。前記正孔と電子との再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、電流と発光強度とは、印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0130】
前記有機EL表示装置においては、前記有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明であることが必要なため、通常、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明導電体で形成された透明電極が陽極として使用される。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に、仕事関数の小さな物質を用いることが重要であり、通常、Mg−Ag、Al−Li等の金属電極が使用される。
【0131】
このような構成の有機EL表示装置において、前記有機発光層は、例えば、厚み10nm程度の極めて薄い膜で形成されることが好ましい。これは、前記有機発光層においても、透明電極と同様に、光をほぼ完全に透過させるためである。その結果、非発光時に、前記透明基板の表面から入射して、前記透明電極と有機発光層とを透過して前記金属電極で反射した光が、再び前記透明基板の表面側へ出る。このため、外部から視認した際に、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見えるのである。
【0132】
本発明の有機EL表示装置は、例えば、前記有機発光層の表面側に透明電極を備え、前記有機発光層の裏面側に金属電極を備えた前記有機EL発光体を含む有機EL表示装置において、前記透明電極の表面に、本発明の光学フィルム(偏光板等)が配置されることが好ましく、さらにλ/4板を偏光板とEL素子との間に配置することが好ましい。このように、本発明の光学フィルムを配置することによって、外界の反射を抑え、視認性向上が可能であるという効果を示す有機EL表示装置となる。また、前記透明電極と光学フィルムとの間に、さらに位相差板が配置されることが好ましい。
【0133】
前記位相差板および光学フィルム(偏光板等)は、例えば、外部から入射して前記金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって前記金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板として1/4波長板を使用し、かつ、前記偏光板と前記位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、前記金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、前記偏光板によって直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、前記位相差板によって、一般に楕円偏光となるが、特に前記位相差板が1/4波長板であり、しかも前記角がπ/4の場合には、円偏光となる。
【0134】
この円偏光は、例えば、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び、有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、前記位相差板で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、前記偏光板の偏光方向と直交しているため、前記偏光板を透過できず、その結果、前述のように、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができるので
ある。
【0135】
また、本発明の液晶表示装置およびエレクトロルミネッセンス表示装置のインハウス製造方法は、表示面側に表面保護フィルムを備え、かつ、反対面に粘着剤層および剥離層を備えた前記本発明の偏光子および前記本発明の光学フィルムの少なくとも一つを、チップカットされた直後に、前記表示装置に貼り合わせる工程を含む製造方法である。
【0136】
このように、前記偏光子や光学フィルムを裁断し、液晶セル等への貼合までを一貫して行い各種表示装置を生産するインハウス製造法によれば、例えば、不良エリアを検出するために即座に測定する必要があり、限度見本を設定するかインラインでの測定することによって、マーキングの判断を行う必要がある。本発明の製造方法によれば、本発明の偏光子または光学フィルムについて、前記条件(1)を満たさない部分にマーキングを行い、打ち抜いた直後に、液晶パネルやEL表示素子に貼り合わせて各種表示装置を製造することが可能となる。このように、偏光子や光学フィルムの打ち抜き、そして選別、貼り合わせまでの工程を一貫して行うことができ、検査時間の簡略化が可能になるため、製造が簡易化され、低コスト化を図ることもできる。なお、インハウスとは、一般に、偏光板のロール原反を打ち抜き、検査し、LCDへの貼合までの一貫ラインを言う。
【実施例1】
【0137】
つぎに、本発明について、以下の実施例および比較例を用いてさらに説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0138】
PVAフィルムに下記表1に示す条件に基づいて、膨潤処理、染色処理、架橋処理、延伸処理および水洗処理を施して偏光子を作製し、さらに、前述の偏光子を用いて偏光板を作製した。そして、偏光子および偏光板の性能を評価した。なお、PVAフィルムとしては、重合度2400のPVAフィルム(クラレ社製;商品名VF-PS#7500;幅600mm)、および重合度2600のPVAフィルム(日本合成社製;商品名OPL M-7500;幅600mm)を使用した。各実施例および比較例において使用したPVAフィルムの種類は、下記表1中に重合度によって示した。また、PVAフィルム(原反)の厚みおよび厚み変位量もあわせて表1に示す。
【0139】
A.偏光子の作製
(1)膨潤処理
PVAフィルムに下記表1に示す条件で膨潤処理を施した。具体的には、前記PVAフィルムを水浴(膨潤浴)に浸漬して、延伸を行った。下記表1中には、浸漬時間、膨潤浴の温度、膨潤前のPVAフィルム(原反)の長さに対する延伸倍率を示す。なお、前記膨潤浴での水切れ性を良くするためにガイドロールを用いた(以下、同様)。
【0140】
(2)染色処理
前記PVAフィルムを前記膨潤浴から引き上げ、ヨウ素0.03重量%を含む水溶液(染色浴)に浸漬させ、さらに延伸を行った。下記表1中には、浸漬時間、染色浴の温度、原反の長さに対する延伸倍率を示す。
【0141】
(3)架橋処理
前記PVAフィルムを前記染色浴から引き上げ、ホウ酸およびKIを含む水溶液(架橋浴)に浸漬させ、さらに延伸を行った。下記表1には、浸漬時間、架橋浴の温度、原反の長さに対する延伸倍率、染色浴におけるホウ酸濃度およびKI濃度を示す。また、前記架橋浴への浸漬時間を表1に示す。
【0142】
(4)延伸処理
前記PVAフィルムを前記架橋浴から引き上げ、ホウ酸およびKIを含む水溶液(延伸浴)に浸漬させ、さらに延伸を行った。下記表1には、浸漬時間、浸漬浴の温度、原反の長さに対する延伸倍率、延伸浴におけるホウ酸濃度およびKI濃度を示す。また、延伸浴への浸漬時間(延伸に供した時間)を表1に示す。
【0143】
(5)水洗処理
前記PVAフィルムを前記延伸浴から引き上げ、KI水溶液(水洗浴)に浸漬させた後、水で洗浄した。下記表1には、水洗浴におけるKI濃度および水洗浴の温度を示す。
【0144】
(6)乾燥処理
前記水洗処理後のPVAフィルムを25℃で3分間乾燥処理を施して、偏光子とした。得られた偏光子の幅および厚みについて、原反の幅を100%とした場合の層対値(%)、および原反の厚みを100%とした場合の相対値(%)をそれぞれ求めた。この結果を表1にあわせて示す。
【0145】
【表1】

B.偏光板の作製
予め、商品名KC4UVX2MW(コニカフィルム社製)のTACフィルムを、40℃の5重量%NAOH水溶液に2分間浸漬し、30℃の純水で1分間水洗し、さらに100℃で2分間乾燥させすることによって、けん化処理を施した保護フィルム(厚み40μm)を作製した。この保護フィルムについて位相差計(王子計測機器社製、商品名KOBRA21ADH)を用いて位相差を測定した結果、面内位相差は1nmであり、厚み方向位相差は27nmであった(測定波長550nm)。前述の偏光子の両面に前記保護フィルムを3重量%PVA水溶液によって貼り付け、乾燥処理(65℃、5分)を施すことによって、偏光板を作製した。
【0146】
C.性能の評価方法
(1)位相差の測定
商品名KOBRA−31PR(王子計測機器製)を用いて偏光板の面内位相差を測定した(測定波長1000nm)。具体的には、長さ250mm×幅200mmの偏光板について、面内2mm毎に、合計12276点の測定を行った。これらの結果を、偏光板の位相差変動範囲として表2に示す。
【0147】
また、隣接する測定点における位相差を下記式に代入して、前述した微分位相差変化量(σ)を求めた(求めた変化量の数n=12054)。なお、下記式においてdは2mmである。これらの結果を、偏光子の微分位相差変化量の変動範囲として表2に示す。
【0148】
σ=ΔR/d
ΔR=Ri−Ri+1
また、得られた面内位相差のうち、最大位相差と最小位相差との差、ならびに、最小位相差を示す測定点と最小位相差を示す測定点との距離を求めた。これらの結果を下記表2に示す。
【0149】
(2)透過率の測定
分光光度計(商品名DOT-3C:村上色彩技術研究所製)を用いて測定し、JlS Z 8701の2度視野(C光源)によって、視感度補正を行ったY値で示した。
【0150】
(3)偏光度の測定
2枚の同じ偏光板を偏光軸が平行になるように重ね合わせた場合の透過率(H0)と、直交に重ね合わせた場合の透過率(H90)とを、前記透過率の測定方法に準じて測定し、下記の式から偏光度を求めた。なお、平行の透過率(H0)と直交の透過率(H90)は、前述と同様に視感度補正したY値である。
【0151】
【数2】

(4)単体色相、平行色相、直交色相の測定
積分球式分光透過率測定器(商品名DOT−3C;村上色彩技術研究所製)を使用して、単体色相a、単体色相b、平行色相a、平行色相b、直交色相a、直交色相bを測定した。これらの結果を下記表2に示す。
【0152】
(5)表示ムラの評価方法
実施例及び比較例で得た偏光板を、それぞれ長さ25cm×幅20cm角に裁断し、高コントラストタイプのIPS液晶セルの表面(光源側)に、粘着剤を介して貼り合わせ、前記液晶セルの他方の表面(視認側)には、商品名SEG1425DU(日東電工製)を貼り合わせた。得られた液晶パネルを、前記光源側の偏光板(作製した偏光板)が下になるように、後述する各種バックライト(A〜D)の上に置いた。そして、前記液晶パネルの視認側において、正面方向(0°)および斜め方向(30°、60°)から観察し、黒表示時におけるムラを下記評価基準に基づいて評価した。これらの結果を下記表3に示す。
【0153】
(バックライトA)
図6は、バックライトAの概略を示す断面図である。図示のように、このバックライト6は、裏面に印刷を施したクサビ型導光板22に、冷陰極管26とランプハウス27とを備え付け、上面には拡散板21を、下面には拡散反射板23を、それぞれ配置した。
【0154】
(バックライトB)
図7は、バックライトBの概略を示す断面図である。図示のように、このバックライト7は、前記図6に示すバックライト6の上に、コレステリック層とλ/4板層との積層体を配置した。この際、前記積層体は、バックライト6側にコレステリック面(16)が、視認側にλ/4板(15)がくるように配置した。このバックライト7の上に、前述のように液晶セルを配置する時は、透過光量が最大になるようにした。なお、前記コレステリック層とλ/4板層との積層体としては、日東電工社製の商品名PCF400TEGから、偏光板部分のみを取り除いたものを使用した。
【0155】
(バックライトC)
図8は、バックライトCの概略を示す断面図である。図示のように、このバックライト8は、前記図6に示すバックライト6の上に、異方性多重薄膜反射偏光子(商品名DBEF;スリーエム社製)17を配置した。このバックライト8の上に、前述のように液晶セルを配置する時は、透過光量が最大になるようにした。
【0156】
(バックライトD)
図9(A)は、バックライトDの概略を示す断面図であり、同図(B)は前記(A)の部分的な概略を示す図である。図示のように、このバックライト9は、光出射面にプリズムを形成したクサビ型導光板25に、冷陰極管26とランプハウス27とを備え付け、前記導光板25の下面には拡散反射板23を、前記導光板25の上面には、プリズムシート24を配置した。なお、このプリズムシート24は、同図(A)の部分的な拡大図(B)に示すように、そのプリズム面が前記導光板25のプリズム面と向かい合うように配置した。そして、前記プリズムシート24の上面に、さらに拡散板21配置した。
【0157】
(評価基準)
5:表示ムラが全く見られない
4:蛍光灯点灯下において、表示ムラが全く見られず、消灯下(暗室)にお
いてムラがうっすらと見える
3:蛍光灯点灯下において、表示ムラが全く見られず、消灯下(暗室)にお
いてムラが見える
2:蛍光灯点灯下において、表示ムラがうっすらと見える
1:蛍光灯点灯下において、表示ムラがはっきりと見える
【0158】
【表2】

【表3】

表2に示すように、比較例の偏光子は1000nmにおける面内位相差の変動範囲が、950〜1350nmの範囲外であるため、表3に示すように表示ムラの評価が劣る結果となった。これに対して、前記変動範囲が950〜1350nmの範囲である実施例の偏光子によれば、これを用いた偏光板は表示ムラが抑制され、表示特性に優れる結果となった。以上の結果から、本発明の偏光子であれば、表示ムラが抑制された各種画像表示装置を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
以上のように、本発明の偏光子によれば、偏光板等の光学フィルムとして、液晶パネルや液晶表示装置等に使用しても、表示ムラがなく、優れた表示特性が達成できる。また、本発明によれば、偏光子や偏光板等をインライン測定によりマーキングできるため、例えば、偏光子をチップカットした直後の外観検査や梱包などオフライン工程が不要となり、一貫して液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置に貼り合わせるインハウス製造が可能となる。これにより、例えば、表示装置の低コスト化を図ることができ、かつ、その製造工程の管理も容易となるため、工業的価値は大である。
【符号の説明】
【0160】
1 偏光子
2 透明保護層
3 粘着剤層
10、11、20 偏光板
12 液晶セル
13 位相差板
14 偏光変換素子
15 1/4波長板
16 コレステリック液晶層
17 異方性多重薄膜反射型偏光素子
21 拡散板
22 導光板
23 反射板
24 プリズムシート
25 プリズム付き導光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス中に二色性物質を含有する偏光子であって、面内位相差の微分位相差変化量(σ)が、−5nm/mm〜5nm/mmの範囲であることを特徴とする偏光子。
【請求項2】
吸収を示さない測定波長において、面内位相差が950〜1350nmの範囲である請求項1に記載の偏光子。
【請求項3】
前記偏光子の厚みが28〜40μmである請求項1または2に記載の偏光子。
【請求項4】
前記吸収を示さない測定波長において、面内位相差の極大値を示す測定部位と極小値を示す測定部位との距離が、10mm以下の範囲もしくは100mm以上の範囲であり、かつ、前記極大値と前記極小値との差(面内位相差バラツキ)が60nm未満である請求項1〜3のいずれかに記載の偏光子。
【請求項5】
前記測定波長が、800〜1500nmの範囲である請求項2〜4のいずれか一項に記載の偏光子。
【請求項6】
前記測定波長が1000nmである請求項5に記載の偏光子。
【請求項7】
前記マトリックスが、ポリマーフィルムである請求項1〜6のいずれか一項に記載の偏光子。
【請求項8】
前記ポリマーフィルムがポリビニルアルコールフィルムである請求項7に記載の偏光子。
【請求項9】
チップカットされている請求項1〜8のいずれか一項に記載の偏光子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の偏光子を含む光学フィルム。
【請求項11】
さらに透明保護層を含み、前記偏光子の少なくとも一方の表面に前記透明保護層が配置された請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
少なくとも一方の最外層に粘着層が配置された請求項10または11記載の光学フィルム。
【請求項13】
さらに、偏光変換素子および位相差フィルムの少なくとも一方を含む請求項10〜12のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項14】
前記偏光変換素子が、異方性反射型偏光素子または異方性散乱型偏光素子である請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の偏光子および請求項10〜14のいずれか一項に記載の光学フィルムの少なくとも一方が、液晶セルの少なくとも一方の表面に配置された液晶パネル。
【請求項16】
請求項15記載の液晶パネルを含む液晶表示装置。
【請求項17】
偏光を出射する平面光源を有する請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の偏光子および請求項10〜14のいずれか一項に記載の光学フィルムの少なくとも一方を含む画像表示装置。
【請求項19】
エレクトロルミネッセンス表示装置である請求項18に記載の画像表示装置。
【請求項20】
請求項18に記載の画像表示装置のインハウス製造方法であって、請求項1〜9のいずれか一項に記載の偏光子および請求項10〜14のいずれか一項に記載の光学フィルムの少なくとも一方を、チップカットした直後に、前記表示装置に貼り合わせる工程を含むインハウス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−152374(P2010−152374A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19910(P2010−19910)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【分割の表示】特願2003−278357(P2003−278357)の分割
【原出願日】平成15年7月23日(2003.7.23)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】