説明

偏光板保護フィルム、及び偏光板

【課題】本発明の目的は偏光特性を有し、かつアミロースがもつ包接効果を利用した偏光板保護フィルム、高耐久性を有する偏光板を提供することである。
【解決手段】アミロースエステル及びセルロースエステルを含有し、よう素溶液により染色処理されたことを特徴とする偏光板保護フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は偏光板保護フィルム、及び偏光板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置に用いられる偏光板は、偏光子としてよう素染色されたポリビニルアルコールフィルムを用い、その偏光子の両面にセルロースエステルフィルムなどの保護フィルムを貼合してなる。一般によう素染色された偏光子は二色性染料で染色した偏光子と比較して偏光特性に優れているが、耐久性に劣るといわれている。しかし、最近では液晶表示装置がさまざまな用途で使用されているため、高温高湿環境下で長時間使用する場合もあり、偏光板にも高温高湿環境下で偏光特性が劣化しないような、さらなる高耐久性が求められている。
【0003】
更に偏光板の薄膜化、軽量化の要望も高く、その一手段として偏光板用保護フィルムの薄膜化が要望されている。しかしながら、偏光板用保護フィルムを、単に薄膜化するだけでは様々な弊害があることが判明してきている。その中の1つとして、透湿性(透湿度)に対する影響があり、例えば、偏光板用保護フィルムの薄膜化に伴って、透湿度は高くなり、その結果として偏光板の耐久性が低下する。この透湿度を改良するための手段がいくつか提案されている。
【0004】
例えば、表示品位が経時的に安定し、生産性に優れる表示装置を得るために、透湿性を改善した位相差フィルムが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−14230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、従来の偏光板の欠点である高温高湿環境下での偏光特性劣化を抑制し、高耐久性を有する偏光板保護フィルム、及び偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
【0007】
1.アミロースエステル及びセルロースエステルを含有し、よう素溶液により染色処理されたことを特徴とする偏光板保護フィルム。
【0008】
2.前記アミロースエステルの総アシル基置換度が0.1〜2.5の範囲であることを特徴とする前記1に記載の偏光板保護フィルム。
【0009】
3.前記1または2に記載の偏光板保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、従来の偏光板の欠点である高温高湿環境下での偏光特性劣化を抑制し、高耐久性を有する偏光板保護フィルム、及び偏光板を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、アミロースエステル及びセルロースエステルを含有し、よう素溶液により染色処理されることを特徴とする偏光板保護フィルムによって、高温高湿環境下での偏光特性劣化を抑制し、高耐久性を有することのできる偏光板保護フィルム、及び偏光板が得られることを見出し、本発明をなすに至った次第である。
【0013】
以下、本発明の各要素を詳細に説明する。
【0014】
〔アミロースエステル〕
本発明に用いられるアミロースエステルの原料となるアミロースとしては、天然澱粉に含まれるものや酵素合成により合成されたものが挙げられるが、酵素合成により合成されたものが好ましい。アミロースを酵素を用いて合成する方法は、澱粉酵素分解法やアミロスクラーゼを用いる方法等、いくつか公知であるが、ホスホリラーゼを用いる方法が特に好ましい。
【0015】
ホスホリラーゼは、加リン酸分解反応を触媒作用する酵素であり、ホスホリラーゼを用いる方法にはいくつかある。例えば、グルカンホスホリラーゼ(α−glucan phosphorylase、EC 2.4.1.1;通常、ホスホリラーゼという)を作用させて、基質であるグルコース−1−リン酸のグルコシル基をプライマーであるマルトヘプタオース等に転移する方法や、スクロースを基質とし、そしてマルトオリゴ糖をプライマーとしてそれぞれ用い、これらにスクロースホスホリラーゼとグルカンホスホリラーゼを無機リン酸の存在下で同時に作用させることによってアミロースを酵素合成する方法等がある。
【0016】
本発明に用いられるアミロースエステルの合成方法は、アミロースを各種溶媒中で酸無水物、有機酸、酸塩化物、ケテンまたはほかのエステル化試薬に反応させるのが一般的である。代表的な合成方法を以下に挙げるが、これに限定されるものではない。
【0017】
具体的には、アミロースをジメチルスルホキシドに溶解し、炭酸ナトリウム及び、酢酸ビニルもしくは無水酢酸もしくは無水プロピオン酸もしくは無水酪酸を加えてエステル化する。反応後、水をアミロースエステル溶液に投入してアミロースエステルを分離し、洗浄によりアミロースエステルを得ることが出来る。炭酸ナトリウム及び酢酸ビニルもしくは無水酢酸の比率を変えることで、さまざまな置換度のアミロースエステルが得られる。
【0018】
本発明に用いられるアミロースエステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすアミロースエステルが好ましい。
【0019】
式(I) 0.1≦X+Y≦2.5
式(II) 0≦X≦2.5
中でも0.1≦X≦2.5、0≦Y≦1.0のアミロースエステル(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。
【0020】
これらアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することが出来る。
【0021】
アミロースエステルの分子量は、重量平均分子量(Mn)で10000〜1000000のものが好ましく、60000〜1000000のものがさらに好ましい。また、Mw/Mn比が1.25以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.15以下である。
【0022】
アミロースエステルの重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びMw/Mn比を算出することが出来る。
【0023】
測定条件は以下の通りである。
【0024】
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔にすることが好ましい。
【0025】
〔セルロースエステル〕
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、硝酸セルロース等のセルロースエステルが挙げられる。
【0026】
セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を挙げることが出来る。また、これらから得られたセルロース誘導体は、それぞれを単独あるいは任意の割合で混合使用することが出来るが、綿花リンターを50質量%以上使用することが好ましい。
【0027】
セルロースエステルの分子量が大きいと弾性率が大きくなるが、分子量を上げすぎるとセルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎるため生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で30000〜200000のものが好ましい。また、セルロースエステルはMw/Mn比が4.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.4〜2.3である。
【0028】
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、上記高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することが出来る。
【0029】
好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(III)及び(IV)を同時に満たすセルロースエステルである。
【0030】
式(III) 2.0≦X+Y≦3.0
式(IV) 0≦X≦3.0
中でも2.4≦X+Y≦3.0、2.0≦X≦3.0のセルロースエステル(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。これらアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することが出来る。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらのセルロースエステルは公知の方法で合成することが出来る。具体的には、特開2004−315613[0045]〜[0052]に記載のセルロースアシレートが本発明に用いられるセルロースエステルとして好ましく用いられる。
【0031】
フィルム中の本発明に係るアミロースエステルとセルロースエステルとの混合比率は95:5〜5:95が好ましく、より好ましくは95:5〜50:50である。
【0032】
〔溶媒〕
本発明に係るアミロースエステル及びセルロースエステルは溶媒に溶解させてドープを形成し、これを基材上に流延しフィルムを形成させる。この際に押し出しあるいは流延後に溶媒を蒸発させる必要性があるため、揮発性の溶媒を用いることが好ましい。さらに、流延用基材を溶解しないものである。また、2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。
【0033】
ここで、上記アミロースエステル及びセルロースエステルに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
【0034】
良溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチル等が挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチル及び塩化メチレンが好ましい。
【0035】
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることでウェブ(支持体上にアミロースエステル及びセルロースエステルのドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、ウェブを丈夫にし金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のアミロースエステル及びセルロースエステルの溶解を促進したりする役割もある。
【0036】
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることが出来る。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、かつ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではアミロースエステル及びセルロースエステルに対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
【0037】
このような条件を満たし好ましい高分子化合物であるアミロースエステル及びセルロースエステルを高濃度に溶解する溶剤として最も好ましい溶剤は、塩化メチレン:エチルアルコールの比が95:5〜80:20の混合溶剤である。あるいは、酢酸メチル:エチルアルコール60:40〜95:5の混合溶媒も好ましく用いられる。
【0038】
〔添加剤〕
本発明の偏光板保護フィルムには、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、フィルムのリターデーションを調整するリターデーション調整剤等を含有させてもよい。
【0039】
(可塑剤)
可塑剤としては特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたりフィルムからブリードアウトあるいは揮発しないように、アミロースエステル及びセルロースエステルと水素結合等によって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
【0040】
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
【0041】
このような可塑剤の例として、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を好ましく用いることが出来るが、特に本発明の効果を得る上で、好ましくは多価アルコール系可塑剤及びエステル系可塑剤を使用することであり、特に多価アルコールエステル系可塑剤と後述する芳香族末端エステル系可塑剤とを含有することが好ましい。
【0042】
(多価アルコールエステル系可塑剤)
多価アルコールエステルは2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
【0043】
本発明に用いられる多価アルコールは下記一般式(V)で表される。
【0044】
一般式(V) R1−(OH)n
(式中、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数を表す。)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を挙げることが出来る。
【0045】
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると、透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。酢酸を用いるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
【0047】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
【0048】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上持つ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に、安息香酸が好ましい。
【0049】
多価アルコールエステルの分子量は300〜1500が好ましく、350〜750がさらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、アミロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を示す。
【0050】
【化1】

【0051】
【化2】

【0052】
【化3】

【0053】
【化4】

【0054】
多価アルコールエステル系可塑剤の含有量は、アミロースエステル及びセルロースエステル中に1〜15質量%含有することが好ましく、特に3〜10質量%含有することが好ましい。
【0055】
(エステル系可塑剤)
エステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するエステル系可塑剤を好ましく用いることが出来る。好ましいエステル系可塑剤としては特に限定されないが、例えば、下記一般式(VI)で表される芳香族末端エステル系可塑剤が好ましい。
【0056】
一般式(VI) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、nは1以上の整数を表す。)
エステル系可塑剤のBで表されるベンゼンモノカルボン酸残基と、Gで表されるアルキレングリコール残基、オキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基と、Aで表されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
【0057】
本発明に用いられるエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することが出来る。
【0058】
本発明に用いられるエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがアミロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
【0059】
また、芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
【0060】
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
【0061】
本発明に用いられるエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
【0062】
以下、本発明に好ましく用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
【0063】
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にフタル酸410部、安息香酸610部、ジプロピレングリコール737部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で1.33×104Pa〜最終的に4×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
【0064】
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、エチレングリコール341部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
【0065】
粘度(25℃、mPa・s);31000
酸価 ;0.1
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,2−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
【0066】
粘度(25℃、mPa・s);38000
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.4(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,3−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
【0067】
粘度(25℃、mPa・s);37000
酸価 ;0.05
以下に、本発明に係る芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0068】
【化5】

【0069】
【化6】

【0070】
(その他の可塑剤)
本発明に有用な多価カルボン酸系可塑剤は2価以上、好ましくは2〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3〜20価であることが好ましい。
【0071】
本発明に用いられる多価カルボン酸は次の一般式(Y)で表される。
【0072】
一般式(Y) R5(COOH)m(OH)n
(ただし、R5は(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す。)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸等を好ましく用いることが出来る。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上等の点で好ましい。
【0073】
多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく、公知のアルコール、フェノール類を用いることが出来る。例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることが出来る。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。また、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール等の芳香族アルコールまたはその誘導体等も好ましく用いることが出来る。
【0074】
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性の水酸基をモノカルボン酸を用いてエステル化してもよい。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
【0076】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
【0077】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
【0078】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
【0079】
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることがさらに好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
【0080】
本発明に用いられる多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。
【0081】
本発明に用いられる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
【0082】
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
【0083】
これらの可塑剤は単独あるいは2種以上混合して用いることが出来る。可塑剤の使用量は、アミロースエステル及びセルロースエステルに対して1質量%未満ではフィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため好ましくなく、20質量%を越えるとフィルムから可塑剤がブリードアウトし、フィルムの物性が劣化するため、1〜20質量%が好ましい。6〜16質量%がさらに好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。
【0084】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収機能は、液晶の劣化防止の観点から、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム等の各種光学フィルムに付与されていることが好ましい。このような紫外線吸収機能は、紫外線を吸収する材料をアミロースエステル及びセルロースエステルに含ませてもよく、アミロースエステル及びセルロースエステルからなるフィルム上に紫外線吸収機能のある層を設けてもよい。
【0085】
このような紫外線吸収機能のある紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばトリアジン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。また、特開平6−148430号に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
【0086】
本発明に有用な紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチル−フェノール〔チヌビン(TINUVIN)171〕、2−オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物〔チヌビン(TINUVIN)109〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール〔チヌビン234〕、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール〔チヌビン(TINUVIN)326〕等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。また、上記のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン326等チヌビンは何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品で、好ましく使用できる。
【0087】
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
【0088】
また、本発明の位相差フィルムに用いることのできる紫外線吸収剤は、各種塗布層の塗布性にも優れるため、特開2000−187825号に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を含むことが好ましく、特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
【0089】
また、特開平6−148430号及び特開2002−47357号記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)を好ましく用いることが出来る。特開平6−148430号の一般式(1)あるいは一般式(2)、あるいは特開2002−47357号の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0090】
また、本発明の位相差フィルムの紫外線吸収剤として、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を好ましく用いることが出来る。該化合物はリターデーション調整剤としても用いることが出来る。
【0091】
以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
【0092】
尚、以下に示す複数のRは同一の基を表す。
【0093】
【化7】

【0094】
(1)ブチル
(2)2−メトキシ−2−エトキシエチル
(3)5−ウンデセニル
(4)フェニル
(5)4−エトキシカルボニルフェニル
(6)4−ブトキシフェニル
(7)p−ビフェニリル
(8)4−ピリジル
(9)2−ナフチル
(10)2−メチルフェニル
(11)3,4−ジメトキシフェニル
(12)2−フリル
【0095】
【化8】

【0096】
【化9】

【0097】
(14)フェニル
(15)3−エトキシカルボニルフェニル
(16)3−ブトキシフェニル
(17)m−ビフェニリル
(18)3−フェニルチオフェニル
(19)3−クロロフェニル
(20)3−ベンゾイルフェニル
(21)3−アセトキシフェニル
(22)3−ベンゾイルオキシフェニル
(23)3−フェノキシカルボニルフェニル
(24)3−メトキシフェニル
(25)3−アニリノフェニル
(26)3−イソブチリルアミノフェニル
(27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(28)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(30)3−メチルフェニル
(31)3−フェノキシフェニル
(32)3−ヒドロキシフェニル
(33)4−エトキシカルボニルフェニル
(34)4−ブトキシフェニル
(35)p−ビフェニリル
(36)4−フェニルチオフェニル
(37)4−クロロフェニル
(38)4−ベンゾイルフェニル
(39)4−アセトキシフェニル
(40)4−ベンゾイルオキシフェニル
(41)4−フェノキシカルボニルフェニル
(42)4−メトキシフェニル
(43)4−アニリノフェニル
(44)4−イソブチリルアミノフェニル
(45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(46)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(48)4−メチルフェニル
(49)4−フェノキシフェニル
(50)4−ヒドロキシフェニル
(51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(52)3,4−ジブトキシフェニル
(53)3,4−ジフェニルフェニル
(54)3,4−ジフェニルチオフェニル
(55)3,4−ジクロロフェニル
(56)3,4−ジベンゾイルフェニル
(57)3,4−ジアセトキシフェニル
(58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(60)3,4−ジメトキシフェニル
(61)3,4−ジアニリノフェニル
(62)3,4−ジメチルフェニル
(63)3,4−ジフェノキシフェニル
(64)3,4−ジヒドロキシフェニル
(65)2−ナフチル
(66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(67)3,4,5−トリブトキシフェニル
(68)3,4,5−トリフェニルフェニル
(69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(70)3,4,5−トリクロロフェニル
(71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(72)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(75)3,4,5−トリメトキシフェニル
(76)3,4,5−トリアニリノフェニル
(77)3,4,5−トリメチルフェニル
(78)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0098】
【化10】

【0099】
(80)フェニル
(81)3−エトキシカルボニルフェニル
(82)3−ブトキシフェニル
(83)m−ビフェニリル
(84)3−フェニルチオフェニル
(85)3−クロロフェニル
(86)3−ベンゾイルフェニル
(87)3−アセトキシフェニル
(88)3−ベンゾイルオキシフェニル
(89)3−フェノキシカルボニルフェニル
(90)3−メトキシフェニル
(91)3−アニリノフェニル
(92)3−イソブチリルアミノフェニル
(93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(94)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(96)3−メチルフェニル
(97)3−フェノキシフェニル
(98)3−ヒドロキシフェニル
(99)4−エトキシカルボニルフェニル
(100)4−ブトキシフェニル
(101)p−ビフェニリル
(102)4−フェニルチオフェニル
(103)4−クロロフェニル
(104)4−ベンゾイルフェニル
(105)4−アセトキシフェニル
(106)4−ベンゾイルオキシフェニル
(107)4−フェノキシカルボニルフェニル
(108)4−メトキシフェニル
(109)4−アニリノフェニル
(110)4−イソブチリルアミノフェニル
(111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(112)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(114)4−メチルフェニル
(115)4−フェノキシフェニル
(116)4−ヒドロキシフェニル
(117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(118)3,4−ジブトキシフェニル
(119)3,4−ジフェニルフェニル
(120)3,4−ジフェニルチオフェニル
(121)3,4−ジクロロフェニル
(122)3,4−ジベンゾイルフェニル
(123)3,4−ジアセトキシフェニル
(124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(126)3,4−ジメトキシフェニル
(127)3,4−ジアニリノフェニル
(128)3,4−ジメチルフェニル
(129)3,4−ジフェノキシフェニル
(130)3,4−ジヒドロキシフェニル
(131)2−ナフチル
(132)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(133)3,4,5−トリブトキシフェニル
(134)3,4,5−トリフェニルフェニル
(135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(136)3,4,5−トリクロロフェニル
(137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(138)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(141)3,4,5−トリメトキシフェニル
(142)3,4,5−トリアニリノフェニル
(143)3,4,5−トリメチルフェニル
(144)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0100】
【化11】

【0101】
(146)フェニル
(147)4−エトキシカルボニルフェニル
(148)4−ブトキシフェニル
(149)p−ビフェニリル
(150)4−フェニルチオフェニル
(151)4−クロロフェニル
(152)4−ベンゾイルフェニル
(153)4−アセトキシフェニル
(154)4−ベンゾイルオキシフェニル
(155)4−フェノキシカルボニルフェニル
(156)4−メトキシフェニル
(157)4−アニリノフェニル
(158)4−イソブチリルアミノフェニル
(159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(160)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(162)4−メチルフェニル
(163)4−フェノキシフェニル
(164)4−ヒドロキシフェニル
【0102】
【化12】

【0103】
(165)フェニル
(166)4−エトキシカルボニルフェニル
(167)4−ブトキシフェニル
(168)p−ビフェニリル
(169)4−フェニルチオフェニル
(170)4−クロロフェニル
(171)4−ベンゾイルフェニル
(172)4−アセトキシフェニル
(173)4−ベンゾイルオキシフェニル
(174)4−フェノキシカルボニルフェニル
(175)4−メトキシフェニル
(176)4−アニリノフェニル
(177)4−イソブチリルアミノフェニル
(178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(179)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(181)4−メチルフェニル
(182)4−フェノキシフェニル
(183)4−ヒドロキシフェニル
【0104】
【化13】

【0105】
(184)フェニル
(185)4−エトキシカルボニルフェニル
(186)4−ブトキシフェニル
(187)p−ビフェニリル
(188)4−フェニルチオフェニル
(189)4−クロロフェニル
(190)4−ベンゾイルフェニル
(191)4−アセトキシフェニル
(192)4−ベンゾイルオキシフェニル
(193)4−フェノキシカルボニルフェニル
(194)4−メトキシフェニル
(195)4−アニリノフェニル
(196)4−イソブチリルアミノフェニル
(197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(198)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(200)4−メチルフェニル
(201)4−フェノキシフェニル
(202)4−ヒドロキシフェニル
【0106】
【化14】

【0107】
(203)フェニル
(204)4−エトキシカルボニルフェニル
(205)4−ブトキシフェニル
(206)p−ビフェニリル
(207)4−フェニルチオフェニル
(208)4−クロロフェニル
(209)4−ベンゾイルフェニル
(210)4−アセトキシフェニル
(211)4−ベンゾイルオキシフェニル
(212)4−フェノキシカルボニルフェニル
(213)4−メトキシフェニル
(214)4−アニリノフェニル
(215)4−イソブチリルアミノフェニル
(216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(217)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(219)4−メチルフェニル
(220)4−フェノキシフェニル
(221)4−ヒドロキシフェニル
【0108】
【化15】

【0109】
(222)フェニル
(223)4−ブチルフェニル
(224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(225)4−(5−ノネニル)フェニル
(226)p−ビフェニリル
(227)4−エトキシカルボニルフェニル
(228)4−ブトキシフェニル
(229)4−メチルフェニル
(230)4−クロロフェニル
(231)4−フェニルチオフェニル
(232)4−ベンゾイルフェニル
(233)4−アセトキシフェニル
(234)4−ベンゾイルオキシフェニル
(235)4−フェノキシカルボニルフェニル
(236)4−メトキシフェニル
(237)4−アニリノフェニル
(238)4−イソブチリルアミノフェニル
(239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(240)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(242)4−フェノキシフェニル
(243)4−ヒドロキシフェニル
(244)3−ブチルフェニル
(245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(246)3−(5−ノネニル)フェニル
(247)m−ビフェニリル
(248)3−エトキシカルボニルフェニル
(249)3−ブトキシフェニル
(250)3−メチルフェニル
(251)3−クロロフェニル
(252)3−フェニルチオフェニル
(253)3−ベンゾイルフェニル
(254)3−アセトキシフェニル
(255)3−ベンゾイルオキシフェニル
(256)3−フェノキシカルボニルフェニル
(257)3−メトキシフェニル
(258)3−アニリノフェニル
(259)3−イソブチリルアミノフェニル
(260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(261)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(263)3−フェノキシフェニル
(264)3−ヒドロキシフェニル
(265)2−ブチルフェニル
(266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(267)2−(5−ノネニル)フェニル
(268)o−ビフェニリル
(269)2−エトキシカルボニルフェニル
(270)2−ブトキシフェニル
(271)2−メチルフェニル
(272)2−クロロフェニル
(273)2−フェニルチオフェニル
(274)2−ベンゾイルフェニル
(275)2−アセトキシフェニル
(276)2−ベンゾイルオキシフェニル
(277)2−フェノキシカルボニルフェニル
(278)2−メトキシフェニル
(279)2−アニリノフェニル
(280)2−イソブチリルアミノフェニル
(281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(282)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(284)2−フェノキシフェニル
(285)2−ヒドロキシフェニル
(286)3,4−ジブチルフェニル
(287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(288)3,4−ジフェニルフェニル
(289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(290)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(291)3,4−ジメチルフェニル
(292)3,4−ジクロロフェニル
(293)3,4−ジベンゾイルフェニル
(294)3,4−ジアセトキシフェニル
(295)3,4−ジメトキシフェニル
(296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(298)3,4−ジフェノキシフェニル
(299)3,4−ジヒドロキシフェニル
(300)3,5−ジブチルフェニル
(301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(302)3,5−ジフェニルフェニル
(303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(304)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(305)3,5−ジメチルフェニル
(306)3,5−ジクロロフェニル
(307)3,5−ジベンゾイルフェニル
(308)3,5−ジアセトキシフェニル
(309)3,5−ジメトキシフェニル
(310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(312)3,5−ジフェノキシフェニル
(313)3,5−ジヒドロキシフェニル
(314)2,4−ジブチルフェニル
(315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(316)2,4−ジフェニルフェニル
(317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(318)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(319)2,4−ジメチルフェニル
(320)2,4−ジクロロフェニル
(321)2,4−ジベンゾイルフェニル
(322)2,4−ジアセトキシフェニル
(323)2,4−ジメトキシフェニル
(324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(326)2,4−ジフェノキシフェニル
(327)2,4−ジヒドロキシフェニル
(328)2,3−ジブチルフェニル
(329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(330)2,3−ジフェニルフェニル
(331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(332)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(333)2,3−ジメチルフェニル
(334)2,3−ジクロロフェニル
(335)2,3−ジベンゾイルフェニル
(336)2,3−ジアセトキシフェニル
(337)2,3−ジメトキシフェニル
(338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(340)2,3−ジフェノキシフェニル
(341)2,3−ジヒドロキシフェニル
(342)2,6−ジブチルフェニル
(343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(344)2,6−ジフェニルフェニル
(345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(346)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(347)2,6−ジメチルフェニル
(348)2,6−ジクロロフェニル
(349)2,6−ジベンゾイルフェニル
(350)2,6−ジアセトキシフェニル
(351)2,6−ジメトキシフェニル
(352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(354)2,6−ジフェノキシフェニル
(355)2,6−ジヒドロキシフェニル
(356)3,4,5−トリブチルフェニル
(357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(358)3,4,5−トリフェニルフェニル
(359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(361)3,4,5−トリメチルフェニル
(362)3,4,5−トリクロロフェニル
(363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(364)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(365)3,4,5−トリメトキシフェニル
(366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(368)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(370)2,4,6−トリブチルフェニル
(371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(372)2,4,6−トリフェニルフェニル
(373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(375)2,4,6−トリメチルフェニル
(376)2,4,6−トリクロロフェニル
(377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(378)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(379)2,4,6−トリメトキシフェニル
(380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(382)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(384)ペンタフルオロフェニル
(385)ペンタクロロフェニル
(386)ペンタメトキシフェニル
(387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(391)3−メトキシ−2−ナフチル
(392)1−エトキシ−2−ナフチル
(393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(401)2−メトキシ−1−ナフチル
(402)4−フェノキシ−1−ナフチル
(403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(412)メチル
(413)エチル
(414)ブチル
(415)オクチル
(416)ドデシル
(417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(418)ベンジル
(419)4−メトキシベンジル
【0110】
【化16】

【0111】
(424)メチル
(425)フェニル
(426)ブチル
【0112】
【化17】

【0113】
(430)メチル
(431)エチル
(432)ブチル
(433)オクチル
(434)ドデシル
(435)2−ブトキシ2−エトキシエチル
(436)ベンジル
(437)4−メトキシベンジル
【0114】
【化18】

【0115】
【化19】

【0116】
これらの化合物の添加量は、アミロースエステル及びセルロースエステルに対して0.1〜5.0質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がさらに好ましい。
【0117】
(酸化防止剤)
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置等が置かれた場合には、偏光板保護フィルムの劣化が起こる場合がある。酸化防止剤は、例えば、偏光板保護フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により偏光板保護フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記偏光板保護フィルム中に含有させるのが好ましい。
【0118】
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることが出来る。特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
【0119】
これらの化合物の添加量は、アミロースエステル及びセルロースエステルに対して質量割合で1〜10000ppmが好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
【0120】
(マット剤)
本発明に係るアミロースエステル及びセルロースエステルには、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することが出来る。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
【0121】
微粒子の添加量は、偏光板保護フィルム1m2当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.5gがより好ましく、0.08〜0.3gがさらに好ましい。これにより、偏光板保護フィルム表面に0.1〜1μmの凸部が形成されることが好ましく、フィルムに滑り性が付与される。
【0122】
偏光板保護フィルム中に添加される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。中でもケイ素を含むものが濁度が低くなり、また、フィルムのヘイズを小さく出来るので好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
【0123】
二酸化珪素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン等を挙げることが出来る。
【0124】
二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させて得ることが出来る。
【0125】
二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下、見掛比重が70g/L以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmであるのがより好ましく、5〜12nmであるのがさらに好ましい。これらの微粒子はフィルム中で2次凝集体を形成してフィルム表面に凹凸を形成することによって滑り性を付与している。1次粒子の平均径が小さい方がヘイズが低く好ましい。見掛比重は90〜200g/L以上がより好ましく、さらに100〜200g/L以上がより好ましい。見掛比重が大きい程、高濃度の微粒子分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、大きな凝集物の発生が少なく好ましい。尚、本発明において、リットルをLで表すこととする。
【0126】
好ましい二酸化珪素の微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものを挙げることが出来、アエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812を好ましく用いることが出来る。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、何れも使用することが出来る。
【0127】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルTT600が本発明の偏光板保護フィルムの濁度を低くし、かつ摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましい。
【0128】
有機化合物の微粒子の例としては、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが出来る。これらのうちシリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げることが出来る。
【0129】
微粒子の1次平均粒子径の測定においては、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって、1次平均粒子径とすることが出来る。
【0130】
また、上記記載の見掛比重は、二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出することが出来る。
【0131】
見掛比重(g/L)=二酸化珪素質量(g)/二酸化珪素の容積(L)
ここで添加される無機微粒子は、フィルム表面に滑り性を付与することが出来るが、多量の無機微粒子の添加は凝集物の増加や、ヘイズの著しい上昇を伴う。
【0132】
〔偏光板保護フィルムの製造〕
以下、本発明の偏光板保護フィルムの好ましい製造方法について説明する。
【0133】
1)溶解工程
アミロースエステル及びセルロースエステルに対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該アミロースエステル及びセルロースエステル、添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいはアミロースエステル及びセルロースエステル溶液に添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。
【0134】
アミロースエステル及びセルロースエステルの溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、冷却溶解法で行う方法、高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることが出来るが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
【0135】
ドープ中のアミロースエステル及びセルロースエステルの濃度は10〜35質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
【0136】
また、可塑剤や紫外線吸収剤のような添加剤の全量または一部を、こちらのドープに添加してもよい。全ての材料が溶解後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
【0137】
2)流延工程
ドープを送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルトあるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
【0138】
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
【0139】
3)溶媒蒸発工程
ウェブを金属支持体上で加熱し、金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。
【0140】
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。
【0141】
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。尚、剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させ過ぎてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
【0142】
ここで、製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離することで製膜速度を上げることが出来る)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。例えば、ドープ中にアミロースエステル及びセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来る。
【0143】
金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生しやすいため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
【0144】
また、該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を10〜150質量%とすることが好ましく、さらに10〜120質量%とすることが好ましい。
【0145】
残留溶媒量は下記の式で表すことが出来る。
【0146】
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
【0147】
5)乾燥及び延伸工程及び染色工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて、ウェブを乾燥する。
【0148】
乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥はでき上がりのフィルムの平面性を損ねやすい。全体を通して、通常乾燥温度は40〜250℃の範囲で行われる。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
【0149】
本発明の偏光板保護フィルムを製造する際の延伸工程は一軸延伸、二軸延伸などがあるが、どちらでもよく、また延伸方法は空気中での乾式延伸、水浴中での湿式延伸のどちらでもよい。また延伸倍率は1〜2倍が好ましく、さらに1〜1.5倍が好ましい。
【0150】
本発明の偏光板保護フィルムを製造する際のよう素染色工程は一般的な方法でよく、溶解助剤としてよう化カリウムを用いてもよい。これにより、アミロースの包接効果を利用して、フィルム中によう素を吸着させることが出来る。よう素溶液の濃度は0.01〜1質量%が好ましく、またよう素とよう化カリウムとの割合は任意に変えることが出来、またよう素溶液の温度は20〜40℃が好ましく、浸漬時間は3〜300秒が好ましいが、よう素溶液の温度と浸漬時間は任意に変えることが出来る。またよう素染色工程は前記延伸工程の前でも後でもよい。
【0151】
フィルムの厚さは特に限定されないが、例えば、10μm〜1mm程度のもの等任意の厚さのフィルムを作製することが出来る。好ましくは乾燥、延伸等の処理が終わった後の膜厚で10〜500μmが好ましく、特に30〜120μmが好ましい。
【0152】
〔偏光板及び液晶表示装置〕
(偏光板)
本発明の偏光板について説明する。
【0153】
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することが出来る。例えば、本発明の偏光板保護フィルムをアルカリ鹸化処理した後に、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ鹸化処理とは、水系接着剤の濡れをよくし、接着性を向上させるために、本発明の偏光板保護フィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理のことをいう。
【0154】
本発明の偏光板に用いる偏光子としては、従来公知のものを用いることが出来る。例えば、ポリビニルアルコール、あるいはエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%であるエチレン変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素あるいは二色性染料で染色したものがある。該偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが好ましく用いられる。更に塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理して配向させたものを用いることも出来る。
【0155】
こうして得られた偏光子を、本発明の偏光板保護フィルムと貼合する。このとき、少なくとも一枚は、本発明の偏光板保護フィルムが用いられる。もう一方の面には、別の偏光板保護フィルムを用いることが出来るし、またもう一方の面にも本発明の偏光板保護フィルムを用いてもよい。また、市販のセルロースエステルフィルム(KC8UX2M、KC4UX2M、KC5UN、KC4UY、KC8UY、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA(コニカミノルタオプト(株)製))をもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いることが出来る。
【0156】
表示装置の表面側に用いられる偏光板保護フィルムには防眩層あるいはクリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層を有することが好ましい。
【0157】
(液晶表示装置)
上記のようにして得られる、本発明の偏光板を液晶セルの両面に配置して貼合し、液晶表示装置を作製することが出来る。
【0158】
この場合、特に長尺フィルムを用いてロール トゥ ロールで貼合することが生産上好ましい。また使用できる液晶表示装置はTN、VA、OCB、HAN等の各種駆動方式を採用した液晶表示装置が好ましい。
【実施例】
【0159】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0160】
実施例1
《偏光板保護フィルム101の作製》
〈微粒子分散液〉
二酸化珪素微粒子(アエロジルR972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行い、微粒子分散液を調製した。
【0161】
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルを添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに微粒子分散液をゆっくりと添加した。さらに、アトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
【0162】
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステル 4質量部
微粒子分散液 11質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにアミロースエステル及びセルロースエステルを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、さらに可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
【0163】
主ドープ液100質量部と微粒子添加液2質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が110%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。さらに125℃に設定された乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行った。その後、搬送方向に1.2倍延伸したあと、室温でよう素1質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、幅1.5m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚80μmの偏光板保護フィルム101を作製した。
【0164】
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 52質量部
セルロースエステル(表1参照) 70質量部
アミロースエステル(表1参照) 30質量部
可塑剤A(トリメチロールプロパントリベンゾエート) 5質量部
可塑剤B(サンプルNo.3(芳香族末端エステル)) 5質量部
紫外線吸収剤(チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)))
1.3質量部
紫外線吸収剤(チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)))
0.6質量部
《偏光板保護フィルム102〜110の作製》
偏光板保護フィルム101の作製において、下記表1記載のセルロースエステルとアミロースエステルとの混合比率、及びよう素溶液による染色の有無を変更した以外は同様にして偏光板保護フィルム102〜110を作製した。
【0165】
《偏光板の作製》
上記作製した偏光板保護フィルム101〜110の原反試料を使って、下記に記載するアルカリケン化処理、偏光板の作製を行った。
【0166】
〈アルカリケン化処理〉
ケン化工程 2M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
【0167】
〈偏光子の作製〉
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で5倍に搬送方向に延伸して偏光子を作製した。
【0168】
上記偏光膜の両面に前記偏光板保護フィルム101〜110を完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として、各々貼り合わせ、乾燥して偏光板P101〜P110を作製した。
【0169】
《偏光板の評価》
得られた偏光板について下記の評価を行った。
【0170】
〈偏光度〉
本発明の偏光板の偏光度は、23℃55%環境下で分光光度計((株)日立製作所、U3310)を用いて、本発明の同じ2枚の偏光板の透過軸を平行に重ね合わせた場合の透過率(T1)と直交に重ね合わせた場合の透過率(T2)を測定し、下記式から偏光度を求めた。
偏光度(%)=√(T1−T2)/(T1+T2)×100
さらに偏光板を80℃90%RHの環境下に48時間放置したときの偏光度も同様に求めた。波長が500nmのときの評価の結果を表1に示す。
【0171】
【表1】

【0172】
表より、本発明の偏光板は高温高湿環境下でも偏光特性の劣化が小さいことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミロースエステル及びセルロースエステルを含有し、よう素溶液により染色処理されたことを特徴とする偏光板保護フィルム。
【請求項2】
前記アミロースエステルの総アシル基置換度が0.1〜2.5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の偏光板保護フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に有することを特徴とする偏光板。

【公開番号】特開2007−310260(P2007−310260A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141152(P2006−141152)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】